JP2007277388A - 両連続相構造を有する二成分系ポリマーブレンド組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ポリアミド系樹脂と熱可塑性樹脂からなる二成分系ポリマーブレンドであって、溶融混練時の界面張力の大きさが0.05×10-3〜20×10-3N/mの範囲であることを特徴とする,両連続相構造が形成されている二成分系ポリマーブレンド組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 ポリアミド系樹脂と熱可塑性樹脂からなる二成分系ポリマーブレンドであって、溶融混練時の界面張力の大きさが0.05×10-3〜20×10-3N/mの範囲であることを特徴とする,両連続相構造が形成されている二成分系ポリマーブレンド組成物。
【選択図】 図1
【解決手段】 ポリアミド系樹脂と熱可塑性樹脂からなる二成分系ポリマーブレンドであって、溶融混練時の界面張力の大きさが0.05×10-3〜20×10-3N/mの範囲であることを特徴とする,両連続相構造が形成されている二成分系ポリマーブレンド組成物。
【選択図】 図1
Description
本発明は,両連続相構造が形成されている二成分系ポリマーブレンド組成物に関する.
二軸押出し機などを用いて溶融混練法により数種類のポリマーをブレンドあるいはアロイ化する手法は,新規高分子材料を創出する有力な手法の一つとして広く用いられている.一般にポリマーブレンドあるいはポリマーアロイ材料の内部には不均一な組織構造が形成されており,それらの大きさあるいは形態などの組織構造の違いにより材料の物性が大きく影響されることが知られている.したがって,材料の組織構造をいかに制御するかが,ポリマーブレンドあるいはポリマーアロイ材料の開発において重要なポイントとなる.
二成分系ポリマーブレンドあるいはポリマーアロイ材料の代表的な組織構造としては,海島構造と両連続相構造が知られている.海島構造である場合,その島成分である分散相粒子サイズは混練機中でブレンド試料に生じるせん断応力σ,成分ポリマー間の界面張力γ12,ブレンド組成から予言できることが知られている.(特許文献1)一方,両連続相構造形成に関してもこれまでに数多く報告されている.例えば,非特許文献2〜6において成分ポリマーの粘度比から両連続相構造を予言する試み,あるいは非特許文献7において成分ポリマーの粘度,成分ポリマー間の界面張力,分散相粒子サイズから両連続相構造を予言する試みが行なわれている.しかしながら,これらの報告に記載されている方法によっても両連続相構造を形成するブレンド組成を予言するができないこと多くあった.したがって,両連続相構造を形成するブレンド組成を予言するが可能となれば,材料設計が極めて能率的に行なえることになる.
本発明は,ポリアミド系樹脂と熱可塑性樹脂からなる二成分系ポリマーブレンドであって、溶融混練時の界面張力の大きさが0.05×10-3〜20×10-3N/mの範囲であることを特徴とする,両連続相構造が形成されている二成分系ポリマーブレンド組成物を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため,本発明者らは両連続相構造形成機構に関する検討を通して,両連続相構造が溶融混練により形成された組織構造による界面自由エネルギーと密接に関係することを見出した.さらに,その界面自由エネルギーは溶融混練機中でブレンド試料に生じるせん断応力σ,成分ポリマー間の界面張力γ12,ブレンド組成から推算した分散相粒子半径を用いて算出できることを見出し,本発明に到達した.
本発明は,ポリアミド系樹脂と熱可塑性樹脂からなる二成分系ポリマーブレンドであって、溶融混練時の界面張力の大きさが0.05×10-3〜20×10-3N/mの範囲であることを特徴とする,両連続相構造が形成されている二成分系ポリマーブレンド組成物に関する.
また,本発明は,二成分系ポリマーブレンド中に溶融混練により形成された組織構造による界面自由エネルギーの大きさを比較することにより,両連続相構造が形成されるブレンド組成を予測することを特徴とする二成分系ポリマーブレンド組成物に関する.
また,本発明は,溶融混練機中でブレンド試料に生じるせん断応力σ,成分ポリマー間の界面張力γ12,ブレンド組成から推算した分散相粒子半径を用いて界面自由エネルギーを計算し,その大きさを比較することにより,両連続相構造が形成されるブレンド組成を予測することを特徴とする二成分系ポリマーブレンド組成物に関する.
また,本発明は,溶融混練機中でブレンド試料に生じるせん断応力σを,2種の成分ポリマーの粘度およびブレンド組成から算出することを特徴とする二成分系ポリマーブレンド組成物に関する.
本発明により,溶融混練により調製された二成分系ポリマーブレンドの両連続相構造が形成された組成物を提供することができる.
本発明の組織構造評価方法は,二成分系ポリマーブレンド中に溶融混練により形成された組織構造による界面自由エネルギーの大きさを比較することにより,両連続相構造が形成されるブレンド組成を予測することを特徴とする.
界面自由エネルギーは,溶融混練機中でブレンド試料に生じるせん断応力σ,成分ポリマー間の界面張力γ12,ブレンド組成から推算した分散相粒子半径を用いて求めることができる.
特定の溶融混練温度としては,0〜400℃が好ましい.特に,10〜400℃が好ましい.中でも,20〜400℃が特に好ましい.
溶融状態におけるせん断応力σは,定常流動測定法および動的粘弾性測定法により実測することができる.せん断応力は,定常流動測定法より得られる定常流動粘度とせん断速度の積あるいは動的粘弾性測定法より得られる複素粘度と周波数の積として得られる.
定常流動測定法および動的粘弾性測定法としては,小野木 重治著“化学者のためのレオロジー”(化学同人)のそれぞれ第2章,p.33からp.35および第4章,p.63からp.67に記載された方法などがある.成分ポリマーのせん断粘度として,定常流動測定法により得られる定常流動粘度のせん断速度依存性は,キャピラリーの長さ(L)と直径(D)の比(L/D)が10,20および60の3種のキャピラリーを用いて,市販あるいは自製のキャピラリー型粘度測定装置を用いて測定できる.測定値に,“講座・レオロジー”(日本レオロジー学会編,高分子刊行会)P.67〜68に記載されたバグレイとラビノビッチ補正を行なった.また,成分ポリマーのせん断粘度として,動的粘弾性測定法より得られる複素粘度の周波数依存性は,例えば,直径25mm,コーン角0.1radのコーン・プレートを装着させたレオメトリックス・ファーイースト社製のRDS-IIやARESを用いて測定できる.上記2つの測定手法を行なう温度は,測定する熱可塑性樹脂によって異なる.例えば,ナイロン6樹脂では,220〜300℃である.J.D.Ferry著,“Viscoelastic Properties of Polymers, 3rd. ed.”(John Wiley & Sons,1990)に記載の温度―時間の重ね合わせにより,広いせん断速度あるいは周波数範囲における定常流動粘度あるいは複素粘度のマスターカーブを得る.得られた成分ポリマーの定常流動粘度あるいは複素粘度のマスターカーブから混練時のせん断速度における粘度を求めることができる.
溶融状態における二成分ブレンド試料せん断応力σは,L.E.Nielsen著,小野木 重治訳“高分子と複合材料の力学的性質”(化学同人)の第7章,p.233からp.269に記載された下記の式1で,2種の成分ポリマーの粘度,組成および混練機中でブレンド試料に生じるせん断速度から求めることができる.
式1中の分散相最大充填分率φmはL.E.Nielsen著,小野木 重治訳“高分子と複合材料の力学的性質”(化学同人)の第7章,p.235に記載の0.52〜0.907の値を用いることができる.
溶融混練機中でブレンド試料に生じるせん断応力σ,成分ポリマー間の界面張力γ12,分散相組成φdから特許第3430584号記載の下記の式2から分散相粒子半径rnを用いて求めることができる.
γ12はペンダントドロップ方式の溶融高分子間界面張力測定装置を用いて実測することができる.また,γ12は特許第3430584号記載の方法で計算より求めることもできる.
界面自由エネルギーΔgは下記式3から求めることができる.
式3中のNは分散相粒子数である.
γ12はペンダントドロップ方式の溶融高分子間界面張力測定装置を用いて実測することができる.また,γ12は特許第3430584号記載の方法で計算より求めることもできる.
界面自由エネルギーΔgは下記式3から求めることができる.
式3中のNは分散相粒子数である.
本発明で適用できるポリアミド系樹脂としては,ナイロン6樹脂やナイロン66樹脂やナイロン12樹脂やナイロン11樹脂やナイロン6−66共重合体やナイロン6−12共重合体や6−66−12共重合体,芳香族ポリアミド樹脂,半芳香族ポリアミド樹脂,ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどのポリアミド系樹脂が挙げられる.
上記のようないわゆる未変性ポリアミド系樹脂に代えて,不飽和カルボン酸および/またはその誘導体でグラフト変性されたポリアミド系樹脂,アミノ基,水酸基など有機官能基および/またはその誘導体でグラフト変性されたポリアミド系樹脂を配合したものを使用することができる.また,ポリマー中にアミド結合を有しておれば,上記のポリアミド系樹脂に限らないだけでなく,全く新規な樹脂であっても構わない.
また,本発明を好ましく適用できるポリアミド系樹脂以外のもう一方の成分ポリマーとしては,熱可塑性樹脂であれば,結晶性樹脂,非晶性樹脂,ラバーなど特に制限がなく,ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂,プロピレンブロック共重合体樹脂,エチレンと炭素数3以上のαーオレフィンのランダム共重合系成分,ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂,ポリエーテルケトン樹脂やポリエーテルエーテルケトン樹脂などのポリフェニレンエーテルケトン系樹脂,ポリフェニレンサルファイド系樹脂,ポリイミド系樹脂,ポリスチレン系樹脂,ポリアクリル系樹脂,ポリアクリル酸系樹脂,ABS系樹脂,ポリフェニルエーテル系樹脂,ポリカーボネート系樹脂,ポリスルホン系樹脂,ポリエーテルスルホン系樹脂,オレフィン系熱可塑性エラストマー,スチレン系熱可塑性エラストマー,ポリエステル系熱可塑性エラストマー,各種ブロック共重合体樹脂などを挙げることが出来る.オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては,エチレン・プロピレンラバー(EPR),エチレン・ブチレンラバー(EBR),エチレン・オクテンラバー(EOR),エチレン・プロピレン・ブチレンラバー(EPBR),エチレン・プロピレン・ジエンラバー(EPDM)などが挙げられる.また,スチレン系熱可塑性エラストマーとしては,スチレン・ブタジエン・スチレンラバー(SBS),スチレン・イソプレン・スチレンラバー(SIS),SBSの水素添加物であるスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンラバー(SEBS),SISの水素添加物であるスチレン・エチレン・プロピレン・スチレンラバー(SEPS)などが挙げられる.
上記のようないわゆる未変性ポリアミド系樹脂に代えて,不飽和カルボン酸および/またはその誘導体でグラフト変性されたポリアミド系樹脂,アミノ基,水酸基など有機官能基および/またはその誘導体でグラフト変性されたポリアミド系樹脂を配合したものを使用することができる.また,ポリマー中にアミド結合を有しておれば,上記のポリアミド系樹脂に限らないだけでなく,全く新規な樹脂であっても構わない.
また,本発明を好ましく適用できるポリアミド系樹脂以外のもう一方の成分ポリマーとしては,熱可塑性樹脂であれば,結晶性樹脂,非晶性樹脂,ラバーなど特に制限がなく,ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂,プロピレンブロック共重合体樹脂,エチレンと炭素数3以上のαーオレフィンのランダム共重合系成分,ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂,ポリエーテルケトン樹脂やポリエーテルエーテルケトン樹脂などのポリフェニレンエーテルケトン系樹脂,ポリフェニレンサルファイド系樹脂,ポリイミド系樹脂,ポリスチレン系樹脂,ポリアクリル系樹脂,ポリアクリル酸系樹脂,ABS系樹脂,ポリフェニルエーテル系樹脂,ポリカーボネート系樹脂,ポリスルホン系樹脂,ポリエーテルスルホン系樹脂,オレフィン系熱可塑性エラストマー,スチレン系熱可塑性エラストマー,ポリエステル系熱可塑性エラストマー,各種ブロック共重合体樹脂などを挙げることが出来る.オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては,エチレン・プロピレンラバー(EPR),エチレン・ブチレンラバー(EBR),エチレン・オクテンラバー(EOR),エチレン・プロピレン・ブチレンラバー(EPBR),エチレン・プロピレン・ジエンラバー(EPDM)などが挙げられる.また,スチレン系熱可塑性エラストマーとしては,スチレン・ブタジエン・スチレンラバー(SBS),スチレン・イソプレン・スチレンラバー(SIS),SBSの水素添加物であるスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンラバー(SEBS),SISの水素添加物であるスチレン・エチレン・プロピレン・スチレンラバー(SEPS)などが挙げられる.
上記のようないわゆる未変性熱可塑性樹脂に代えて,不飽和カルボン酸および/またはその誘導体でグラフト変性された熱可塑性樹脂,アミノ基,水酸基など有機官能基および/またはその誘導体でグラフト変性された熱可塑性樹脂を配合したものを使用することができる.また,熱可塑性を有しておれば,上記の熱可塑性樹脂に限らないだけでなく,全く新規な樹脂であっても構わない.
ポリマー中に無機充填物を含んでいても良い.タルク,炭酸カルシウム,炭酸バリウム,ウィスカー,ガラス繊維,マイカなどが挙げられ
本発明の二成分ブレンドの組成は90/10〜10/90重量%が好ましく,85/15〜15/85重量%が特に好ましい.上記範囲を外れると,両連続相構造の形成が困難となる.
無機充填物成分は,溶融混練が行なえる範囲であれば制限はないが,剛性と耐衝撃性のバランスが取れる範囲で添加することが望ましい.全樹脂成分に対して0〜50部が好ましく,0〜45部が特に好ましい.
本発明の目的を損なわない範囲で酸化防止剤,熱安定剤,核剤,紫外線吸収剤,滑剤,帯電防止剤,難燃剤,顔料,染料,タルク以外の無機充填剤,有機充填剤等を含有してよい.
これらの各成分の混合方法は一般的に樹脂組成物の混練方法として用いられる二軸混練機,バンバリーミキサーなどの混練り機を用いることができる.上記のような各組成物を混練りして得られる結晶性組成物は通常ペレット状に加工されて使用される.
各実施例,比較例にあげた各物性は以下の方法によった.
成分ポリマーの分子量は,通常種々のポリマーに対して行なわれる末端基の滴定およびGPCを用いて行なった.
成分ポリマーの分子量は,通常種々のポリマーに対して行なわれる末端基の滴定およびGPCを用いて行なった.
実施例及び比較例にて使用した2種のナイロン6樹脂(PA),2種のスチレンーアクリロニトリル共重合体(SAN)および1種のポリスチレン(PS)の数平均分子量Mn,重量平均分子量Mw,250℃,混練時のせん断速度222s-1における粘度を表1に示した.ここで,PA1およびPA2は,それぞれ宇部興産(株)製のグレード名1022Bおよび1013Bであり,SAN1およびSAN2は宇部サイコン(株)製であり,PSは旭化成工業(株)製のグレード名Styron666である.なお,250℃におけるPA,SANおよびPSの密度は,分子量に関係なくそれぞれ0.977,0.907および0.940g/cm3であった.ペンダントドロップ法により測定した250℃におけるPA/SANおよびPA/PSの界面張力の値はそれぞれ4.15および10.5mN/mであった.
ブレンド試料は(株)東洋精機製作所製のR-40型ローターを装着したブラベンダー型二軸混練機を用いて調製した.混練温度,混練時間および混練時のローター回転速度は,それぞれ250℃,5分間および90rpmである.ローター回転速度が90rpmの場合,ブレンド試料が混練機中で受けるせん断速度は222s-1となる.溶融混練前に水分の影響を取り除くために,各試料は全て80℃で24時間,減圧下で乾燥させた.PA/SANおよびPA/PS系ブレンドにおいて,PAの重量分率が75~25wt%となるブレンド試料を5wt%刻みで調製した.あらかじめペレットの状態で混ぜ合わせた成分ポリマーを予熱しておいた混練機のチャンバーに投入し,溶融混練した.混練終了後,ブレンド試料はすぐに混練チャンバーから取りだし,二枚の鉄板に挟んで冷却固化させ,厚さ約5mm程度のブロック状試料塊とした.
両連続相構造の評価は,各成分ポリマーの良溶媒による抽出実験で行なった.ブレンド試料からPA,SANおよびPSを抽出するために用いた溶媒はそれぞれギ酸,アセトンおよびクロロフォルムである.ブロック状試料塊の中心部分から約5mm角の試料を切出し,それらを各溶媒に3〜7日間ほど浸漬させた.一方の成分ポリマーだけが連続相を形成したブレンド試料は,その良溶媒による溶媒抽出実験後に試料片形状を保持することは出来ない.試料片の形状保持性によりブレンド試料中の両成分の連続性に対するブレンド組成依存性を評価できる.表2に各ブレンド試料における両連続相構造形成組成を250℃におけるSANあるいはPS成分の体積分率で示した.
両連続相構造の評価は,各成分ポリマーの良溶媒による抽出実験で行なった.ブレンド試料からPA,SANおよびPSを抽出するために用いた溶媒はそれぞれギ酸,アセトンおよびクロロフォルムである.ブロック状試料塊の中心部分から約5mm角の試料を切出し,それらを各溶媒に3〜7日間ほど浸漬させた.一方の成分ポリマーだけが連続相を形成したブレンド試料は,その良溶媒による溶媒抽出実験後に試料片形状を保持することは出来ない.試料片の形状保持性によりブレンド試料中の両成分の連続性に対するブレンド組成依存性を評価できる.表2に各ブレンド試料における両連続相構造形成組成を250℃におけるSANあるいはPS成分の体積分率で示した.
実施例1
ブレンド試料中に形成される組織構造がブレンド組成によらず海島構造型だけと仮定すれば,ブレンド試料の粘度を式1より算出し,その粘度を用いて式2からブレンド中に形成される分散相粒子のrnを得ることができる.このようにして求めたrnからブレンド試料中に生じるΔgを式3から算出することができる.なお,式1の計算で用いたφmは0.74である.
PA1およびSAN1がそれぞれ連続相を形成したブレンド試料におけるΔgのSAN組成依存性を図1に示した.図中において,PA1およびSAN1が連続相を形成したブレンド試料系のΔgをそれぞれ実線および1点鎖線で示した.両ブレンド系においてSAN組成が少ない場合にはPA1が連続相を形成しているブレンド試料系におけるΔgの方が小さいが,SAN組成が多くなるとSAN1が連続相を形成したブレンドのそれらの方が小さくなることが分かる.図中に示した点線がブレンド試料中に生じるΔgをより小さくするためにPA1連続相からSAN1連続相へと相転換するそれぞれSAN成分の体積分率φを表わしている.そのφを表3に示した.
ブレンド試料中に形成される組織構造がブレンド組成によらず海島構造型だけと仮定すれば,ブレンド試料の粘度を式1より算出し,その粘度を用いて式2からブレンド中に形成される分散相粒子のrnを得ることができる.このようにして求めたrnからブレンド試料中に生じるΔgを式3から算出することができる.なお,式1の計算で用いたφmは0.74である.
PA1およびSAN1がそれぞれ連続相を形成したブレンド試料におけるΔgのSAN組成依存性を図1に示した.図中において,PA1およびSAN1が連続相を形成したブレンド試料系のΔgをそれぞれ実線および1点鎖線で示した.両ブレンド系においてSAN組成が少ない場合にはPA1が連続相を形成しているブレンド試料系におけるΔgの方が小さいが,SAN組成が多くなるとSAN1が連続相を形成したブレンドのそれらの方が小さくなることが分かる.図中に示した点線がブレンド試料中に生じるΔgをより小さくするためにPA1連続相からSAN1連続相へと相転換するそれぞれSAN成分の体積分率φを表わしている.そのφを表3に示した.
実施例2
実施例1のSAN1の代わりSAN2を用いて計算したΔgのSAN組成依存性を図2に示した.また,この系の相転換組成φを表3に示した.
実施例1のSAN1の代わりSAN2を用いて計算したΔgのSAN組成依存性を図2に示した.また,この系の相転換組成φを表3に示した.
実施例3
実施例2のPA1の代わりPA2を用いて計算したΔgのSAN組成依存性を図3に示した.また,この系の相転換組成φを表3に示した.
実施例2のPA1の代わりPA2を用いて計算したΔgのSAN組成依存性を図3に示した.また,この系の相転換組成φを表3に示した.
実施例4
実施例1のSAN1の代わりPSを用いて計算したΔgのSAN組成依存性を図4に示した.また,この系の相転換組成φを表3に示した.
実施例1のSAN1の代わりPSを用いて計算したΔgのSAN組成依存性を図4に示した.また,この系の相転換組成φを表3に示した.
実施例5
実施例3のSAN2の代わりPSを用いて計算したΔgのSAN組成依存性を図5に示した.また,この系の相転換組成φを表3に示した.
実施例3のSAN2の代わりPSを用いて計算したΔgのSAN組成依存性を図5に示した.また,この系の相転換組成φを表3に示した.
比較例1〜4
PA1/SAN1系において,次の式4〜7を用いてSAN1が分散相から連続相へ相転換する組成を計算した.ここで,式4〜7中におけるkは,k=ηPA1/ηSAN1である.計算結果を表3に示した.
式4(非特許文献2と3)
式5(非特許文献4)
式6(非特許文献5)
式7(非特許文献6)
PA1/SAN1系において,次の式4〜7を用いてSAN1が分散相から連続相へ相転換する組成を計算した.ここで,式4〜7中におけるkは,k=ηPA1/ηSAN1である.計算結果を表3に示した.
式4(非特許文献2と3)
式5(非特許文献4)
式6(非特許文献5)
式7(非特許文献6)
比較例5〜8
PA1/SAN2系において,次の式4〜7を用いてSAN2が分散相から連続相へ相転換する組成を計算した.ここで,式4〜7中におけるkは,k=ηPA1/ηSAN2である.計算結果を表3に示した.
PA1/SAN2系において,次の式4〜7を用いてSAN2が分散相から連続相へ相転換する組成を計算した.ここで,式4〜7中におけるkは,k=ηPA1/ηSAN2である.計算結果を表3に示した.
比較例9〜12
PA2/SAN2系において,次の式4〜7を用いてSAN2が分散相から連続相へ相転換する組成を計算した.ここで,式4〜7中におけるkは,k=ηPA2/ηSAN2である.計算結果を表3に示した.
PA2/SAN2系において,次の式4〜7を用いてSAN2が分散相から連続相へ相転換する組成を計算した.ここで,式4〜7中におけるkは,k=ηPA2/ηSAN2である.計算結果を表3に示した.
比較例13〜16
PA1/PS系において,次の式4〜7を用いてPSが分散相から連続相へ相転換する組成を計算した.ここで,式4〜7中におけるkは,k=ηPA1/ηPSである.計算結果を表3に示した.
PA1/PS系において,次の式4〜7を用いてPSが分散相から連続相へ相転換する組成を計算した.ここで,式4〜7中におけるkは,k=ηPA1/ηPSである.計算結果を表3に示した.
比較例17〜20
PA2/PS系において,次の式4〜7を用いてPSが分散相から連続相へ相転換する組成を計算した.ここで,式4〜7中におけるkは,k=ηPA2/ηPSである.計算結果を表3に示した.
PA2/PS系において,次の式4〜7を用いてPSが分散相から連続相へ相転換する組成を計算した.ここで,式4〜7中におけるkは,k=ηPA2/ηPSである.計算結果を表3に示した.
Claims (5)
- ポリアミド系樹脂と熱可塑性樹脂からなる二成分系ポリマーブレンドであって、溶融混練時の界面張力の大きさが0.05×10-3〜20×10-3N/mの範囲であることを特徴とする,両連続相構造が形成されている二成分系ポリマーブレンド組成物。
- 二成分系ポリマーブレンドの一方の成分ポリマーがポリアミド系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の両連続相構造が形成されている二成分系ポリマーブレンド組成物。
- 二成分系ポリマーブレンドの一方の成分ポリマー中にアミド結合を有するポリアミド系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の両連続相構造が形成されている二成分系ポリマーブレンド組成物。
- 当該界面自由エネルギーが、溶融混練機中でブレンド試料に生じるせん断応力σ,成分ポリマー間の界面張力γ12,ブレンド組成から推算した分散相粒子半径を用いて界面自由エネルギーを計算されたものであることを特徴とする,請求項1に記載の両連続相構造が形成されている二成分系ポリマーブレンド組成物。
- 溶融混練機中でブレンド試料に生じるせん断応力σを,2種の成分ポリマーの粘度,ブレンド組成および混練機中でブレンド試料に生じるせん断速度から算出することを特徴とする請求項2に記載の両連続相構造が形成されている二成分系ポリマーブレンド組成物。
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