JP2007277193A - 化粧品基材およびその製造方法 - Google Patents

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正人 吉岡
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Abstract

【課題】毛髪化粧品に配合し、毛髪への適用後に加熱処理することで、毛髪に艶、潤い、滑らかさを付与し、櫛通り性を改善することができる、ヒートアクティブ効果が高く、しかも保存安定性に優れたシリル化ペプチドからなる化粧品基材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】下記の一般式(I)
【化1】
Figure 2007277193

で表されるシランカップリング剤とペプチドを水溶液中にて炭素数1〜3の低級一価アルコール共存下で反応させることによって上記課題が達成される。炭素数1〜3の低級一価アルコール濃度は反応用ペプチド水溶液の2〜20質量%が好ましく、ペプチドの数平均分子量は、200〜3,000が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヘアコンディショナー、毛髪セット剤などの毛髪化粧品原料として有用なシリル化ペプチドからなる化粧品基材およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、ペプチドのアミノ酸側鎖の末端アミノ基を含むアミノ基と、2つの水酸基が1つのケイ素原子に直結したシランカップリング剤を水溶液中にて炭素数1〜3の低級一価アルコール共存下で反応させることを特徴とし、毛髪への適用後に加熱処理すると、毛髪に優れた艶、滑らかさを付与する効果の高いシリル化ペプチドからなる化粧品基材およびその製造方法に関するものである。
従来から、シリル化剤やシランカップリング剤などのシラン試薬とペプチドを反応させ、ペプチドとシリコーンの両方の特性を有したペプチド変性シリコーン誘導体やシリル化ペプチドが製造されてきた。
特にシリル化ペプチドは、特開2000−302647号公報(特許文献1)で報告されているように、毛髪への塗布後にドライヤーなどの加熱処理でシラノール基の脱水縮合によって生じる被膜形成作用(しばしば、ヒートアクティブ効果と呼ばれる)が毛髪に対して光沢や潤滑さを与えるため、毛髪化粧品に好適に配合されている。
また、特開平5−148119号公報(特許文献2)や特表2005−520024号公報(特許文献3)では、1分子内に複数のケイ素原子を有するシランカップリング剤やケイ素原子にアルコキシ基が結合したシランカップリング剤とプロテインとを反応させて得られるプロテイン−シリコーン共重合体からなる化粧料組成物の製造方法が示されている。
しかしながら、特許文献2や特許文献3に記載のプロテイン−シリコーン共重合体組成物は、1分子内に複数のケイ素原子を有するシランカップリング剤から調製されるため、またケイ素原子が1分子内に1つのシランカップリング剤から調製される場合においても、プロテイン−シリコーン共重合体同士がシロキサン結合を介して交叉結合し、水溶性が低いシリコーン構造を有しているため、水中でのpH安定性や保存安定性が悪く、保存中に濁りや沈殿を生じるという問題があった。
一方、特開平8−59424号公報(特許文献4)や特開平8−67608号公報(特許文献5)では、アルコキシ基やハロゲン原子といった加水分解性の置換基が直結した1つのケイ素原子を有するシランカップリング剤にペプチドを共有的に結合させ、シリル化ペプチド分子間同士のシロキサン結合からなるシリコーン構造を有していないことを特徴としたシリル化ペプチドの製造方法が示されており、上記特許文献2や特許文献3に記載のプロテイン−シリコーン共重合体組成物が抱える保存中に濁りや沈殿を生じるという重大な問題を解決している。
しかしながら、上記特許文献4や特許文献5に記載されている方法で製造されたシリル化ペプチドは、製造時にシラノール基同士の脱水縮合を抑えるように反応がコントロールされているため、ペプチドのアミノ基へのシリル基の導入率が60%前後とやや低いことが原因となり、使用時のヒートアクティブ効果が十分には発揮できないといった問題があった。
特開2000−302647号公報 特開平5−148119号公報 特表2005−520024号公報 特開平8−59424号公報 特開平8−67608号公報
したがって、本発明は、上記の問題点を解消し、使用時のヒートアクティブ効果が高く、しかも保存安定性に優れたシリル化ペプチドからなる化粧品基材およびその製造方法を提供することを課題とする。すなわち、本発明によれば、毛髪への適用後に加熱処理することで、毛髪に艶、潤い、滑らかさを付与し、櫛通り性を改善することができる化粧品基材として有用なシリル化ペプチドを容易に製造することができる。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、ペプチドのアミノ酸側鎖の末端アミノ基を含むアミノ基に、次の一般式(I)
Figure 2007277193
で表されるシランカップリング剤を水溶液中にて炭素数1〜3の低級一価アルコール共存下で反応させる製造方法で得られたシリル化ペプチドが、上記課題を解決し、使用時のヒートアクティブ効果が高く、しかも保存安定性に優れていることを見出し、本発明を完成するにいたった。
すなわち、本発明によれば、ペプチドのアミノ酸側鎖の末端アミノ基を含むアミノ基に、一般式(I)で表されるシランカップリング剤を水溶液中で反応させる際、炭素数1〜3の低級一価アルコールを含有させることで、シランカップリング剤のペプチド水溶液への溶解性が向上するため、シランカップリング剤とペプチドのアミノ基との反応性が向上するだけでなく、シラノール基の安定性が向上するため、シラノール基の脱水縮合からなるシロキサン結合の形成も抑制することができる。したがって、本発明で得られた化粧品基材として有用なシリル化ペプチドは、使用時のヒートアクティブ効果が高く、しかも保存安定性に優れている。
また、本発明者らは、上記一般式(I)で表されるシランカップリング剤とペプチドのアミノ基との反応の際に添加する炭素数1〜3低級一価アルコール含有量が、反応用ペプチド水溶液の2〜20質量%が好適であり、シリル官能基を導入するペプチドの数平均分子量は200〜3,000であることがシリル官能基の導入率、化粧品として使用した際のヒートアクティブ効果および化粧品中での保存安定性の面で好ましいことを見出した。
本発明のシリル化ペプチドからなる化粧品基材は、毛髪への適用後の加熱処理によって生じる高いヒートアクティブ効果により、毛髪に艶、潤い、滑らかさを付与し、櫛通り性を改善することができ、しかも保存安定性に優れる。また、本発明の製造方法によれば、これらの効果に優れるシリル化ペプチドからなる化粧品基材を容易に製造することができる。
以下、本発明を、シリル化ペプチドを製造するにあたって使用するペプチド類、シランカップリング剤、シリル化ペプチドの製造、シリル化ペプチドの構造および特性に分けて、詳細に説明する。
〔ペプチド類〕
本発明のシリル化ペプチドの製造方法で使用するペプチド類は、哺乳類、魚類および海綿動物などから得られるコラーゲン(その変性物であるゼラチンも含む)、ケラチン、絹フィブロイン、セリシン、カゼイン、コンキオリン、エラスチン、鶏卵の卵黄タンパク、卵白タンパクなどの動物由来タンパク、大豆、エンドウ豆、小麦、ゴマ、ビール粕、トウモロコシ、米(米糠)、イモ類のタンパクなどの植物由来タンパク、サッカロミセス属、カンディタ属、エンドミコプシス属の酵母菌やビール酵母、清酒酵母といわれる酵母菌より分離した酵母タンパク、キノコ類(担子菌)やクロレラより分離した微生物由来タンパクなどを酸、アルカリ、酵素あるいはそれらの併用により部分加水分解することで得られる天然由来の加水分解タンパク質、および、ポリグリシン、ポリリシン、ポリグルタミン酸、ポリセリンなどの合成ペプチドである。
本発明のシリル化ペプチドの製造方法において、シランカップリング剤との反応に用いられるペプチドの数平均分子量は、毛髪への収着性、造膜性、化粧品中での保存安定性の面から、200〜3,000が好ましく、250〜2,500がより好ましい。すなわち、ペプチドの数平均分子量が上記範囲以下では、シリル化ペプチド中でのシリル基の占める割合が大きくなるため保存安定性が悪くなるのに加え、毛髪化粧品に使用した場合、ペプチドの毛髪への収着性、造膜作用が低下する。逆に、数平均分子量が上記範囲以上になると、シリル化ペプチド中でのシリル基の占める割合が小さく、シリコーンが有する光沢や滑らかさの毛髪への付与や良好な伸展性を発揮できなくなるだけでなく、保存中に高分子量のペプチドが会合して不溶物が生じやすくなる。なお、本発明で使用している数平均分子量とは、後述の条件で測定したゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により得られた分析値である。
〔シランカップリング剤〕
本発明に用いられるシランカップリング剤としては、上記一般式(I)で表される反応試薬を用いなければならない。なお、一般式(I)で表されるシランカップリング剤は、水溶液中で3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランのエトキシ基や3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランのメトキシ基を加水分解することで容易に得られる。
〔シリル化ペプチドの製造〕
ペプチドと上記一般式(I)で表されるシランカップリング剤との反応では、ペプチドは、ペプチド濃度が10〜30質量%になるように炭素数1〜3の低級一価アルコールを含む水溶液で希釈されることが好ましい。これは、ペプチドの濃度が高すぎると、生じたシリル化ペプチドのシラノール基がシロキサン結合を形成しやすくなる恐れがあるからである。
使用する炭素数1〜3の低級一価アルコールは、シリル化ペプチド製造後に減圧濃縮などによって脱アルコールが容易なメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが適しているが、シリル化ペプチドは化粧品に使用されるため、安全性や着臭の面から、エタノールがより好適である。
そして、炭素数1〜3の低級一価アルコールの濃度は、反応用ペプチド水溶液の2〜20%質量が好ましい。アルコール濃度が上記範囲以下では、シリル化ペプチドがシラノール基の脱水縮合を経てシロキサン結合を形成し、長期的にはポリマーへと移行するため、シリル化ペプチドの保存安定性が悪くなるのに加え、毛髪上でのヒートアクティブ効果が低下し、逆に、アルコール濃度が上記範囲以上になると、水溶液中のペプチドが凝集しやすくなり不溶物を生じる恐れがある。
ペプチドとシランカップリング剤の反応は塩基性側で進行するので、ペプチド溶液がpH8〜10、特に8.5〜9.5になるように水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ水溶液をペプチド溶液に添加する必要がある。ペプチド溶液のpHが上記範囲以上であると、本発明である炭素数1〜3の低級一価アルコール共存下においてもシリル化ペプチドのシラノール基の制御が困難になり、シロキサン結合の形成が促進され、また、ペプチド溶液のpHが上記範囲以下では、シランカップリング剤とペプチドのアミノ基の反応性が低くなる恐れがある。
反応温度は、シラノール基の安定化を図るため55℃以下にすることが好ましく、特に35〜50℃にすることが好ましい。なお、特許文献4や特許文献5では、40℃〜55℃で反応を行っているが、本発明の製造方法では、ペプチド水溶液に低級一価アルコールが添加されているため、より低い温度でより高い反応率が得られる。
反応の進行と終了は、ファン・スレーク(van Slyke)法により、反応液中のペプチドのアミノ態窒素量を測定することによって確認することができる。
反応終了後、シラノール基の安定化を図るため速やかに反応液を中和した後、そのまま、あるいはイオン交換樹脂、透析膜、電気透析、ゲルろ過、限外ろ過などによって精製し、必要に応じて濃縮により濃度調整や脱アルコールをして化粧品に配合するが、シロキサン結合の形成を避けるため濃縮は低温での減圧濃縮が好ましい。
〔シリル化ペプチドの構造および特性〕
シリル化ペプチドを毛髪化粧品に配合し、良好なヒートアクティブ効果を発揮させるためには、シリル官能基の導入率とペプチド部分の分子量が重要な点となる。すなわち、シリル官能基の特性を強く引き出すためには、分子量が小さく、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸含有量の多いペプチドを用いればよく、逆にペプチド部の特性を強調し、それにシリル官能基の性質を付加させたい場合には、分子量が大きく、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸含有量が少ないペプチドを用いればよい。ただし、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸が多い低分子のペプチドでは、シリル官能基の導入率が極度に高くなると、親水性が減少し、保存安定性が悪くなるのに加え、ペプチド本来の毛髪への収着作用が低下する。逆にペプチドへのシリル官能基の導入率が低すぎる場合には、良好なヒートアクティブ効果が得られない。
そのため、シリル官能基のペプチドへの導入率は厳密には規定できないが、ペプチドの数平均分子量が200〜600でシリル官能基の導入率が60〜75%、ペプチドの数平均分子量が600〜1,500で導入率が65〜80、ペプチドの数平均分子量が1,500〜3,000で導入率が70〜80%以上とするのが好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例に先立ち、実施例などで使用するゲルろ過クロマトグラフィー(GPC、以下GPCと記す)分析の分析条件を示す。また、以下の実施例などにおいて溶液や分散液の濃度を示す%はいずれも質量%である。
〔GPC分析条件〕
分析カラム:東ソー(株)製TSKgel G3000PWXL(7.8mmIDX30cm)
溶離液 :0.1%トリフルオロ酢酸−45%アセトニトリル−水溶液
溶出速度 :0.3ml/min
検出器 :UV検出器、220nm
標準試料 :リボヌクレアーゼA(MW13,700)
アプロチニン(MW6,500)
インシュリンB鎖(MW3,496)
ブラジキニン(MW1,060)
グルタチオン(MW307)
実施例1
シルクの加水分解により得られた数平均分子量639のペプチド(加水分解シルク)の15%水溶液100g(アミノ態窒素量の測定によって得られた化学量論的モル数として27.03mmol)を20%水酸化ナトリウム水溶液によりpH9に調整した後、エタノール濃度が13%になるように上記調整液にエタノールを添加し、加水分解シルク溶液を調製した。
次に、上記の加水分解シルク溶液を40℃で攪拌しながら、その中に、加水分解シルクと等モル数の一般式(I)で示したシランカップリング剤を1時間かけて滴下した。滴下終了後、45℃で3時間攪拌を続け、反応を終結させた。
反応終了後、アミノ態窒素量を測定することにより、シリル官能基の加水分解シルクのアミノ基への導入率を求めたところ、導入率は80%であった。
反応液を希塩酸でpHを6に調整した後、減圧下で脱アルコールを行い、濃度を調整して反応生成物であるシリル化加水分解シルクの濃度が10%の水溶液を159g得た。
このシリル化加水分解シルクをGPCで分析したところ、数平均分子量は805であり、原料である加水分解シルクの数平均分子量より166大きくなっていた。しかし、シリル化加水分解シルクと加水分解シルクのGPCクロマトグラムを比較したところ、図1の実線で示したようにシリル化加水分解シルクのクロマトグラムからは、図1の破線で示した加水分解シルクの2倍以上の分子量に相当する成分が認められず、シロキサン結合によるシリル化加水分解シルクの重合体は生じていないことが分かった。
実施例2
小麦タンパクの加水分解により得られた数平均分子量812のペプチド(加水分解小麦タンパク)の20%水溶液100g(アミノ態窒素量の測定によって得られた化学量論的モル数として27.32mmol)を20%水酸化ナトリウム水溶液によりpH9に調整した後、エタノール濃度が10%になるように上記調整液にエタノールを添加し、加水分解小麦タンパク溶液を調製した。
次に、上記の加水分解小麦タンパク溶液を40℃で攪拌しながら、その中に、加水分解小麦タンパクと等モル数の一般式(I)で示したシランカップリング剤を1時間かけて滴下した。滴下終了後、45℃で3時間攪拌を続け、反応を終結させた。
反応終了後、アミノ態窒素量を測定することにより、シリル官能基の加水分解小麦タンパクのアミノ基への導入率を求めたところ、導入率は79%であった。
反応液を希塩酸でpHを6に調整した後、減圧下で脱アルコールを行い、濃度を調整して反応生成物であるシリル化加水分解小麦タンパクの濃度が10%の水溶液を195g得た。
このシリル化加水分解小麦タンパクをGPCで分析したところ、数平均分子量は1011であり、原料である加水分解小麦タンパクの数平均分子量より199大きくなっていた。しかし、シリル化加水分解小麦タンパクと加水分解小麦タンパクのGPCクロマトグラムを比較したところ、図2の実線で示したようにシリル化加水分解小麦タンパクのクロマトグラムからは、図2の破線で示した加水分解小麦タンパクの2倍以上の分子量に相当する成分が認められず、シロキサン結合によるシリル化加水分解小麦タンパクの重合体は生じていないことが分かった。
実施例3
コラーゲンの加水分解により得られた数平均分子量1257のペプチド(加水分解コラーゲン)の30%水溶液100g(アミノ態窒素量の測定によって得られた化学量論的モル数として25.06mmol)を20%水酸化ナトリウム水溶液によりpH9に調整した後、エタノール濃度が7%になるように上記調整液にエタノールを添加し、加水分解コラーゲン溶液を調製した。
次に、上記の加水分解コラーゲン溶液を40℃で攪拌しながら、その中に、加水分解コラーゲンと等モル数の一般式(I)で示したシランカップリング剤を1時間かけて滴下した。滴下終了後、45℃で3時間攪拌を続け、反応を終結させた。
反応終了後、アミノ態窒素量を測定することにより、シリル官能基の加水分解コラーゲンのアミノ基への導入率を求めたところ、導入率は77%であった。
反応液を希塩酸でpHを6に調整した後、減圧下で脱アルコールを行い、濃度を調整して反応生成物であるシリル化加水分解コラーゲンの濃度が10%の水溶液を265g得た。
このシリル化加水分解コラーゲンをGPCで分析したところ、数平均分子量は1468であり、原料である加水分解コラーゲンの数平均分子量より211大きくなっていた。しかし、シリル化加水分解コラーゲンと加水分解コラーゲンのGPCクロマトグラムを比較したところ、図3の実線で示したようにシリル化加水分解コラーゲンのクロマトグラムからは、図3の破線で示した加水分解コラーゲンの2倍以上の分子量に相当する成分が認められず、シロキサン結合によるシリル化加水分解コラーゲンの重合体は生じていないことが分かった。
比較例1
実施例1と同じ加水分解シルクを用いて、特許文献2の方法に従い、以下のようにしてシリル化加水分解シルクを製造した。
加水分解シルクの30%水溶液100g(アミノ態窒素量の測定によって得られた化学量論的モル数として54.05mmol)に固形水酸化ナトリウムを加えてpH11に調整した後、この溶液を55℃に加温し、攪拌下で加水分解シルクと等モル数のシランカップリング剤である3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランを1時間かけて滴下した。滴下終了後、60℃で5時間攪拌を続けた後、60℃で一晩放置した。
反応終了後、アミノ態窒素量を測定することにより、シリル官能基の加水分解シルクのアミノ基への導入率を求めたところ、導入率は74%であった。
反応液を希塩酸でpHを6に調整した後、濃度を調整して、反応生成物であるシリル化加水分解シルクの濃度が10%の水溶液を398g得た。
このシリル化加水分解シルクをGPCで分析したところ、数平均分子量は1492であり、原料である加水分解シルクの数平均分子量である639より853大きくなっていた。そこで、シリル化加水分解シルクと加水分解シルクのGPCクロマトグラムを比較したところ、図4の実線で示したようにシリル化加水分解シルクのクロマトグラムからは、図4の破線で示した加水分解シルクの2倍以上の分子量に相当する成分が認められ、この製造方法によるシリル化加水分解シルクは、シロキサン結合による重合体とシロキサン結合を有していない単量体の混合物でることが確認できた。
比較例2
実施例2と同じ加水分解小麦タンパクを用いて、特許文献2の方法に従い、以下のようにしてシリル化加水分解小麦タンパクを製造した。
加水分解小麦タンパクの30%水溶液100g(アミノ態窒素量の測定によって得られた化学量論的モル数として40.98mmol)に固形水酸化ナトリウムを加えてpH11に調整した後、この溶液を55℃に加温し、攪拌下で加水分解小麦タンパクと等モル数のシランカップリング剤である3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランを1時間かけて滴下した。滴下終了後、60℃で5時間攪拌を続けた後、60℃で一晩放置した。
反応終了後、アミノ態窒素量を測定することにより、シリル官能基の加水分解小麦タンパクのアミノ基への導入率を求めたところ、導入率は71%であった。
反応液を希塩酸でpHを6に調整した後、濃度を調整して、反応生成物であるシリル化加水分解小麦タンパクの濃度が10%の水溶液を373g得た。
このシリル化加水分解小麦タンパクをGPCで分析したところ、数平均分子量は1801であり、原料である加水分解小麦タンパクの数平均分子量である812より989大きくなっていた。そこで、シリル化加水分解小麦タンパクと加水分解小麦タンパクのGPCクロマトグラムを比較したところ、図5の実線で示したようにシリル化加水分解小麦タンパクのクロマトグラムからは、図5の破線で示した加水分解小麦タンパクの2倍以上の分子量に相当する成分が認められ、この製造方法によるシリル化加水分解小麦タンパクは、シロキサン結合による重合体とシロキサン結合を有していない単量体の混合物でることが確認できた。
比較例3
実施例3と同じ加水分解コラーゲンを用いて、特許文献2の方法に従い、以下のようにしてシリル化加水分解コラーゲンを製造した。
加水分解コラーゲンの30%水溶液100g(アミノ態窒素量の測定によって得られた化学量論的モル数として25.06mmol)に固形水酸化ナトリウムを加えてpH11に調整した後、この溶液を55℃に加温し、攪拌下で加水分解コラーゲンと等モル数のシランカップリング剤である3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランを1時間かけて滴下した。滴下終了後、60℃で5時間攪拌を続けた後、60℃で一晩放置した。
反応終了後、アミノ態窒素量を測定することにより、シリル官能基の加水分解コラーゲンのアミノ基への導入率を求めたところ、導入率は69%であった。
反応液を希塩酸でpHを6に調整した後、濃度を調整して、反応生成物であるシリル化加水分解コラーゲンの濃度が10%の水溶液を345g得た。
このシリル化加水分解コラーゲンをGPCで分析したところ、数平均分子量は2976であり、原料である加水分解コラーゲンの数平均分子量である1257より1719大きくなっていた。そこで、シリル化加水分解コラーゲンと加水分解コラーゲンのGPCクロマトグラムを比較したところ、図6の実線で示したようにシリル化加水分解コラーゲンのクロマトグラムからは、図6の破線で示した加水分解コラーゲンの2倍以上の分子量に相当する成分が認められ、この製造方法によるシリル化加水分解コラーゲンは、シロキサン結合による重合体とシロキサン結合を有していない単量体の混合物でることが確認できた。
比較例4
実施例1と同じ加水分解シルクを用いて、特許文献4の方法に従い、以下のようにしてシリル化加水分解シルクを製造した。
加水分解シルクの30%水溶液50g(アミノ態窒素量の測定によって得られた化学量論的モル数として27.03mmol)に20%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9.5に調整した後、55℃に加温した。
一方、上記加水分解シルクと等モル数のシランカップリング剤である3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランを15%水溶液になるように水で溶解し、希塩酸でpH3.5に調整した後、50℃で15分間攪拌することで、ケイ素原子に直結しているエトキシ基が水酸基に置換したシランカップリング剤を得た。
上記の加水分解シルク溶液を55℃で攪拌しながら、その中に、水酸基に置換したシランカップリング剤水溶液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、55℃で5時間攪拌を続け反応を終結させた。
反応終了後、アミノ態窒素量を測定することにより、シリル官能基の加水分解シルクのアミノ基への導入率を求めたところ、導入率は62%であった。
反応液を希塩酸でpHを6に調整し、電気透析装置で脱塩した後、濃度を調整して、反応生成物であるシリル化加水分解シルクの濃度が10%の水溶液を121g得た。
このシリル化加水分解シルクをGPCで分析したところ、数平均分子量は778であり、原料の加水分解シルクの数平均分子量である639より139大きくなっていた。しかし、シリル化加水分解シルクと加水分解シルクのGPCクロマトグラムを比較したところ、図7の実線で示したようにシリル化加水分解シルクのクロマトグラムからは、図7の破線で示した加水分解シルクの2倍以上の分子量に相当する成分が認められず、シロキサン結合によるシリル化加水分解シルクの重合体は生じていないことが分かった。
比較例5
実施例2と同じ加水分解小麦タンパクを用いて、特許文献4の方法に従い、以下のようにしてシリル化加水分解小麦タンパクを製造した。
加水分解小麦タンパクの30%水溶液50g(アミノ態窒素量の測定によって得られた化学量論的モル数として20.49mmol)に20%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9.5に調整した後、55℃に加温した。
一方、上記加水分解小麦タンパクと等モル数のシランカップリング剤である3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランを15%水溶液になるように水で溶解し、希塩酸でpH3.5に調整した後、50℃で15分間攪拌することで、ケイ素原子に直結しているメトキシ基が水酸基に置換したシランカップリング剤を得た。
上記の加水分解小麦タンパク溶液を55℃で攪拌しながら、その中に、水酸基に置換したシランカップリング剤水溶液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、55℃で5時間攪拌を続け反応を終結させた。
反応終了後、アミノ態窒素量を測定することにより、シリル官能基の加水分解小麦タンパクのアミノ基への導入率を求めたところ、導入率は60%であった。
反応液を希塩酸でpHを6に調整し、電気透析装置で脱塩した後、濃度を調整して、反応生成物であるシリル化加水分解小麦タンパクの濃度が10%の水溶液を110g得た。
このシリル化加水分解小麦タンパクをGPCで分析したところ、数平均分子量は976であり、原料の加水分解小麦タンパクの数平均分子量である812より164大きくなっていた。しかし、シリル化加水分解小麦タンパクと加水分解小麦タンパクのGPCクロマトグラムを比較したところ、図8の実線で示したようにシリル化加水分解小麦タンパクのクロマトグラムからは、図8の破線で示した加水分解小麦タンパクの2倍以上の分子量に相当する成分が認められず、シロキサン結合によるシリル化加水分解小麦タンパクの重合体は生じていないことが分かった。
比較例6
実施例3と同じ加水分解コラーゲンを用いて、特許文献4の方法に従い、以下のようにしてシリル化加水分解コラーゲンを製造した。
加水分解小麦コラーゲンの30%水溶液50g(アミノ態窒素量の測定によって得られた化学量論的モル数として12.53mmol)に20%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9.5に調整した後、55℃に加温した。
一方、上記加水分解コラーゲンと等モル数のシランカップリング剤である3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランを15%水溶液になるように水で溶解し、希塩酸でpH3.5に調整した後、50℃で15分間攪拌することで、ケイ素原子に直結しているエトキシ基が水酸基に置換したシランカップリング剤を得た。
上記の加水分解コラーゲン溶液を55℃で攪拌しながら、その中に、水酸基に置換したシランカップリング剤水溶液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、55℃で5時間攪拌を続け反応を終結させた。
反応終了後、アミノ態窒素量を測定することにより、シリル官能基の加水分解コラーゲンのアミノ基への導入率を求めたところ、導入率は58%であった。
反応液を希塩酸でpHを6に調整し、電気透析装置で脱塩した後、濃度を調整して、反応生成物であるシリル化加水分解コラーゲンの濃度が10%の水溶液を98g得た。
このシリル化加水分解コラーゲンをGPCで分析したところ、数平均分子量は1412であり、原料の加水分解コラーゲンの数平均分子量である1257より155大きくなっていた。しかし、シリル化加水分解コラーゲンと加水分解コラーゲンのGPCクロマトグラムを比較したところ、図9の実線で示したようにシリル化加水分解コラーゲンのクロマトグラムからは、図9の破線で示した加水分解コラーゲンの2倍以上の分子量に相当する成分が認められず、シロキサン結合によるシリル化加水分解コラーゲンの重合体は生じていないことが分かった。
〔シリル化ペプチドの保存安定性試験〕
上記実施例1〜3および比較例1〜6で得られたシリル化ペプチドの水溶液を90日間室温(ただし、10〜25℃)保存した時の沈殿物発生の有無を目視により観察した。評価基準は下記のとおりである。
評価基準
+++ : 沈殿物が非常に多い
++ : 沈殿物が多い
+ : 沈殿物または濁りがわずかに認められる
− : 沈殿物および濁りが認められない
その結果を表1に示す。なお、表1には、各実施例および比較例のシリル化ペプチドの合成に使用したペプチドの種類を併記する。

Figure 2007277193
表1に示したように、実施例1〜3で調製したシリル化ペプチドはいずれも、室温保存で沈殿物や濁りを生じなかった。これに対し、特許文献2の方法で調製した比較例1〜3のシリル化ペプチドは、保存後15日目には沈殿物を生じていた。また、特許文献4の方法で調製した比較例4〜6のシリル化ペプチドは、90日間の保存でも沈殿物や濁りを生じなかった。
〔シリル化ペプチドのpH安定性試験〕
実施例1〜3および比較例1〜6で調製したシリル化ペプチドのpH安定性を調べた。すなわち、シリル化ペプチドの10%水溶液を18%塩酸または20%水酸化ナトリウム水溶液でpH3、4、5、7、9、10に調整した後、25℃で24時間放置して沈殿物や濁りの有無を目視により観察した。その結果を表2に示す。なお、評価基準は保存安定性試験の場合と同様に行った。

Figure 2007277193
表2に示したように、実施例1〜3のシリル化ペプチドおよび比較例4〜6のシリル化ペプチドではいずれのpHでも沈殿や濁りが全く見られなかったが、比較例1〜3のシリル化ペプチドではpH3〜5で濁りが生じ、pH10では細かい不溶物が沈殿していた。
次に、上記の実施例1〜3および比較例1〜6で調製したシリル化ペプチドを各種毛髪化粧品に配合した実施品1〜3および比較品1〜6を用いた応用例で、シリル化ペプチドのヒートアクティブ効果について説明する。
応用例1
表3に示す組成のヘアローションを調製し、それぞれのヘアローションを毛髪に適用後、ヘアドライヤーで熱風乾燥した毛髪とヘアドライヤーで冷風乾燥した毛髪の艶、潤い、櫛通り性を評価した。なお、実施品や比較品中における各成分の含有量はいずれも質量部によって表し、含有量が固形分量でないものに関しては成分名のあとに括弧書きで固形分濃度を示す。また、溶液または分散液の濃度は質量%である。
Figure 2007277193
上記ヘアローションによる毛髪の処理は下記のように行った。すなわち、長さ15cmで重さ1gの毛束を上記3種類のヘアローションに対して2本ずつ用意し、それぞれ2%ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、水道水の流水中でゆすいだ後、各ヘアローション0.5gをそれぞれ2本の毛束に対してよくのばしながら塗りつけた。そして、各ヘアローションを塗りつけられた一方の毛束には1000Wの市販ヘアドライヤーで10cm離れたところから2分間熱風をあてて毛束を乾燥させ、もう一方の毛束には同じヘアドライヤーで冷風乾燥処理を行った。なお、熱風乾燥時の毛束の温度は乾燥開始30秒後には65℃であり、毛束の乾燥終了時の温度は72℃であった。
乾燥後の毛髪の艶、潤いおよび櫛通り性の最も良いものを〔5〕、最も良くないものを〔0〕として順位付けの評価を10人のパネラー(女性6人、男性4人)によって行った。その平均値を評価値として表4に示す。

Figure 2007277193
表4に示したように、実施例1で調製したシリル化加水分解シルクを含有するヘアローションを使用した場合、処理後の毛髪の艶、潤い、櫛通り性のいずれの評価項目においても、加熱処理をした場合は、加熱処理をしていない場合(冷風乾燥)に比べて、評価値が大きく上昇しており、実施例1で調製したシリル化加水分解シルクは、高いヒートアクティブ効果を有することが確認できた。これに対して、比較例1で調製したシリル化加水分解シルクを使用した場合は、加熱処理品と冷風乾燥品の評価値に大差がなく、ヒートアクティブ効果はほとんどないことが分かった。また、比較例4で調製したシリル化加水分解シルクを使用した場合は、加熱処理品の評価値が冷風乾燥品よりも上昇していることから、比較例4で調製したシリル化加水分解シルクもヒートアクティブ効果を有しているが、実施品1に比べて評価値が低いことから実施例1で調製したシリル化加水分解シルクほどのヒートアクティブ効果を有していないと判断できた。
応用例2
表5に示す組成のヘアリンスを調製し、洗浄した毛髪に各ヘアリンスを使用後、ヘアドライヤーで熱風乾燥した毛髪とヘアドライヤーで冷風乾燥した毛髪の艶、潤い、櫛通り性および毛髪のはりを評価した。なお、実施品や比較品中における各成分の含有量はいずれも質量部によって表し、含有量が固形分量でないものに関しては成分名のあとに括弧書きで固形分濃度を示す。また、溶液または分散液の濃度は質量%である。


Figure 2007277193
上記ヘアリンスによる毛髪の処理は下記のように行った。すなわち、長さ15cmで重さ1gの毛束を上記3種類のヘアリンスに対して2本ずつ用意し、それぞれペプチドやその誘導体を含まない市販のシャンプーで洗浄し、お湯でゆすいだ後、各ヘアリンス2gをそれぞれ2本の毛束に対してよくのばしながら塗りつけた。そして、ヘアリンス処理済み毛束をお湯でゆすいだ後、各ヘアリンス処理をした一方の毛束を応用例1と同じ条件でヘアドライヤーにより加熱乾燥し、もう一方の毛束には冷風乾燥処理を行った。これらシャンプー洗浄、ヘアリンス処理、乾燥の工程を5回繰り返した後、応用例1と同じ評価基準で毛髪の艶、潤いおよび櫛通り性の評価を10人のパネラー(女性6人、男性4人)によって行い、その平均値を評価値とした。また、各毛束より14本ずつ抜き取った毛髪を以下のような毛髪のはりの評価試験に供した。
〔毛髪のはりの評価法〕
長さ15cmの毛髪のほぼ中央部位に図10のように軽く結び目(ノット)を作り、毛根側を上にし、毛先側に10gの錘を付けて室温で相対湿度58%の恒湿槽中に1分間吊した後、毛先側の錘を外し、さらに1時間上記恒湿槽中に吊した。そして、毛髪上に作成したノットを走査型電子顕微鏡で撮影し、その撮影画像をもとに毛髪のノットの大きさ(長径)を画像処理装置で測定した〔走査型電子顕微鏡には日本電子(株)製、JSM−5800LVを用い、画像処理は同社製、SemAfore(商品名)を使用した〕。1試料につき14本の毛髪についてノットの大きさを測定し、測定結果の最も大きかったものから2つと最も小さかったものから2つの毛髪についての結果は除外し、各試料のそれぞれ残った10本の毛髪の結果について平均値を求め、それを評価結果とした。なお、評価結果の数値が大きい(ノットが大きい)ほど、毛髪に「はり」があることを意味する。
毛髪の艶、潤い、櫛通り性および毛髪のはりの評価結果を表6にそれぞれ平均値で示す。
Figure 2007277193
表6に示したように、実施品2のヘアリンス処理をした毛髪の艶、潤い、櫛通り性の評価項目における評価値は、加熱処理をしていない場合(冷風乾燥)に比べて加熱処理をした場合の方が大きく上昇しており、実施例2で調製したシリル化加水分解小麦タンパクは、高いヒートアクティブ効果を有することが確認できた。これに対して、比較品2のヘアリンスを使用した場合は、加熱処理品と冷風乾燥品の評価値に大差がなく、比較例2で調製したシリル化加水分解小麦タンパクのヒートアクティブ効果はほとんどないことが分かった。また、比較品5のヘアリンスを使用した場合は、加熱処理品の評価値が冷風乾燥品よりも上昇していることから、比較例5で調製したシリル化加水分解小麦タンパクもヒートアクティブ効果を有しているが、実施品2に比べて評価値が低いことから実施例2で調製したシリル化加水分解小麦タンパクほどのヒートアクティブ効果を有していないと判断できた。
毛髪のはりの評価結果を表すノットの大きさは、実施品2のヘアリンスによる処理後に加熱乾燥させた毛髪が最も大きく、この値は同じヘアリンス処理後に冷風乾燥させた毛髪の約1.24倍であり、さらに比較品2のヘアリンスによる処理後に加熱乾燥させた毛髪の約1.26倍という大きな数値を示したことから、実施例2で調製したシリル化加水分解小麦タンパクは加熱によって毛髪のはりを大きく向上させる効果を有していることが明らかとなった。一方、比較品2では加熱処理毛髪と冷風乾燥毛髪の値に大差がなく、比較例2のシリル化加水分解小麦タンパクの加熱による毛髪のはりを向上させる効果は認められなかった。また、比較品5のヘアリンスによる処理後に加熱乾燥させた毛髪のノットの大きさは、同じヘアリンス処理後に冷風乾燥させた毛髪の約1.11倍であり、比較例5のシリル化加水分解小麦タンパクも、加熱処理によって毛髪のはりを向上させることが認められたが、実施例2のシリル化加水分解小麦タンパクほど高い効果は確認できなかった。
応用例3
表7に示す組成の毛髪セット剤を調製し、洗浄した毛髪に各毛髪セット剤を使用後、ヘアドライヤーで熱風乾燥した毛髪とヘアドライヤーで冷風乾燥した毛髪の艶、潤い、櫛通り性および毛髪のはりを評価した。なお、実施品や比較品中における各成分の含有量はいずれも質量部によって表し、含有量が固形分量でないものに関しては成分名のあとに括弧書きで固形分濃度を示す。また、溶液または分散液の濃度は質量%である。
Figure 2007277193
上記毛髪セット剤による毛髪の処理は下記のように行った。すなわち、長さ20cmに揃えた毛髪を2%ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、水でゆすいで室温にて乾燥させた後、これら処理毛髪20本からなる毛束を作製し、ロッドに巻き付けた。その毛束を巻き付けたロッドを上記3種類の毛髪セット剤に対して2本ずつ用意し、各毛髪セット剤2gをそれぞれ2本の毛束に対して塗布した後、各毛髪セット剤処理をした一方の毛束を90℃の熱風乾燥機中で乾燥させ、もう一方の毛束を36℃の恒温槽中で乾燥させた。乾燥後の毛束をロッドより取り外し、応用例1と同じ評価基準で毛髪の艶と潤いの評価を10人のパネラー(女性6人、男性4人)によって行い、その平均値を評価値とした。また、各毛束より14本ずつ抜き取った毛髪を応用例2と同じ毛髪のはりの評価試験に供し、ノットの大きさを比較した。それらの結果を表8に平均値で示す。
Figure 2007277193
表8に示したように、実施品3の毛髪セット剤処理をした毛髪の艶と潤いの評価項目における評価値は、36℃で加温乾燥させた場合に比べて90℃で加熱乾燥させた場合の方が大きく上昇しており、実施例3で調製したシリル化加水分解コラーゲンは、高いヒートアクティブ効果を有することが確認できた。これに対して、比較品3では36℃加温処理品と90℃加熱処理品の評価値に大差がなく、比較例3で調製したシリル化加水分解コラーゲンのヒートアクティブ効果はほとんどないことが分かった。また、比較品6では90℃加熱処理品の評価値が36℃加温処理品よりも上昇していることから、比較例6で調製したシリル化加水分解コラーゲンもヒートアクティブ効果を有しているが、実施品3に比べて評価値が低いことから実施例3で調製したシリル化加水分解コラーゲンほど高いヒートアクティブ効果を有していないと判断できた。
毛髪のはりの評価結果を表すノットの大きさは、実施品3の毛髪セット剤による処理後に90℃加熱乾燥させた毛髪が最も大きく、この値は同じ毛髪セット剤処理後に36℃加温乾燥させた毛髪の約1.25倍であり、さらに比較品3の90℃加熱処理毛髪の約1.21倍という大きな数値を示したことから、実施例3で調製したシリル化加水分解コラーゲンは加熱によって毛髪のはりを大きく向上させる効果を有していることが明らかとなった。一方、比較品3では36℃加温処理毛髪と90℃加熱処理毛髪の値に大差がなく、比較例3のシリル化加水分解コラーゲンの加熱による毛髪のはりを向上させる効果は認められなかった。また、比較品6の毛髪セット剤による処理後に90℃加熱乾燥させた毛髪のノットの大きさは、同じ毛髪セット剤による処理後に36℃で加温乾燥させた毛髪の約1.12倍であり、比較例6のシリル化加水分解コラーゲンも、加熱処理によって毛髪のはりを向上させることが認められたが、実施例3のシリル化加水分解コラーゲンほど高い効果は確認できなかった。
実施例1で調製したシリル化加水分解シルクとその原料の加水分解シルクのGPCクロマトグラムである。 実施例2で調製したシリル化加水分解小麦タンパクとその原料の加水分解小麦タンパクのGPCクロマトグラムである。 実施例3で調製したシリル化加水分解コラーゲンとその原料の加水分解コラーゲンのGPCクロマトグラムである。 比較例1で調製したシリル化加水分解シルクとその原料の加水分解シルクのGPCクロマトグラムである。 比較例2で調製したシリル化加水分解小麦タンパクとその原料の加水分解小麦タンパクのGPCクロマトグラムである。 比較例3で調製したシリル化加水分解コラーゲンとその原料の加水分解コラーゲンのGPCクロマトグラムである。 比較例4で調製したシリル化加水分解シルクとその原料の加水分解シルクのGPCクロマトグラムである。 比較例5で調製したシリル化加水分解小麦タンパクとその原料の加水分解小麦タンパクのGPCクロマトグラムである。 比較例6で調製したシリル化加水分解コラーゲンとその原料の加水分解コラーゲンのGPCクロマトグラムである。 毛髪のはりの評価を行う際に作製する毛髪のノット(結び目)を模式的に表した図である。

Claims (8)

  1. 2つの水酸基が1つのケイ素原子に直結したシランカップリング剤とペプチドを水溶液中にて炭素数1〜3の低級一価アルコール共存下で反応させて得られたシリル化ペプチドからなることを特徴とする化粧品基材。
  2. 2つの水酸基が1つのケイ素原子に直結したシランカップリング剤が、下記の一般式(I)で表される請求項1に記載のシリル化ペプチドからなることを特徴とする化粧品基材。
    Figure 2007277193
  3. 一般式(I)で表されるシランカップリング剤とペプチドとを水溶液中で反応する際に使用する炭素数1〜3の低級一価アルコール濃度が、反応用ペプチド水溶液の2〜20質量%である請求項1または2に記載のシリル化ペプチドからなることを特徴とする化粧品基材。
  4. ペプチドの数平均分子量が200〜3,000である請求項1〜3に記載のシリル化ペプチドからなることを特徴とする化粧品基材。
  5. 2つの水酸基が1つのケイ素原子に直結したシランカップリング剤とペプチドを水溶液中にて炭素数1〜3の低級一価アルコール共存下で反応させて得られたシリル化ペプチドからなることを特徴とする化粧品基材の製造方法。
  6. 2つの水酸基が1つのケイ素原子に直結したシランカップリング剤が、下記の一般式(I)で表される請求項5に記載のシリル化ペプチドからなることを特徴とする化粧品基材の製造方法。
    Figure 2007277193
  7. 一般式(I)で表されるシランカップリング剤とペプチドとを水溶液中で反応する際に使用する炭素数1〜3の低級一価アルコール濃度が、反応用ペプチド水溶液の2〜20質量%である請求項5または6に記載のシリル化ペプチドからなることを特徴とする化粧品基材の製造方法。
  8. ペプチドの数平均分子量が200〜3,000である請求項5〜7のいずれかに記載のシリル化ペプチドからなることを特徴とする化粧品基材の製造方法。
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