JP2007276196A - 平版印刷版材料及び印刷方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】機上現像性に優れ,かつ、耐刷性,長期保存時の地汚れ,非画像部のキズ汚れに優れるCTP方式用の平版印刷版材料及び印刷方法の提供。
【解決手段】基材上に、光熱変換剤を含む親水性層と感熱画像形成層とを基材側からこの順に有する平版印刷版材料において、該親水性層に平均粒径が3〜20μmの球状セルロース粒子を含有することを特徴とする平版印刷版材料。
【選択図】なし

Description

本発明は平版印刷版材料(以下、単に印刷版材料ともいう)及び印刷方法に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(以下CTPと称す)方式に用いられる平版印刷版材料及び印刷方法に関する。
現在,印刷の分野においては,印刷画像データのデジタル化に伴い,CTP方式による印刷が行われるようになってきているが,この印刷においては,安価で取り扱いが容易で従来の所謂PS版と同等の印刷適性を有したCTP方式用印刷版材料が求められている。
特に近年,特別な薬剤による現像処理が不要であるダイレクトイメージング(以下DIと称す)性能を有し,この機能を備えた印刷機に適用可能であり,またPS版と同等の使い勝手を有するものとして,汎用タイプのプロセスレスプレートが求められている。
サーマルプロセスレスプレートの画像形成に主として用いられるのは近赤外〜赤外線の波長を有する赤外線レーザー記録方式である。この方式で画像形成可能なサーマルプロセスレスプレートには,大きく分けて,アブレーションタイプと熱融着画像層機上現像タイプが存在する。
アブレーションタイプとしては,例えば,特開平8−507727号,同6−186750号,同6−199064号,同7−314934号,同10−58636号,同10−244773号に記載されているものが挙げられる。
これらは,例えば,基材上に親水性層と親油性層とをいずれかの層を表層として積層したものである。表層が親水性層であれば,画像様に露光し,親水性層をアブレートさせて画像様に除去して親油性層を露出することで画像部を形成することができる。ただし,アブレートした表層の飛散物による露光装置内部の汚染が問題となるため,露光装置には特別な吸引装置が必要となる場合があり,露光装置に対する汎用性は低い。
一方,アブレーションを生じることなく画像形成が可能であり,かつ特別な現像液による現像処理や拭き取り処理の不要な印刷版材料の開発も進められている。たとえば,特許2938397号,特許2938397号,特開平9−123387号,特開平9−123388号に開示されているような,感熱画像形成層に熱可塑性微粒子と水溶性高分子化合物の結合剤を用いた,印刷機上で湿し水またはインクを用いて現像することが可能なCTP用印刷版材料が挙げられる。これらの機上現像可能な印刷版材料は、鮮鋭なドット形状、高精細な画像が得られ、又露光後の現像プロセスを必要とせず、環境適性にも優れている。
しかしながら、これらの上記印刷版材料は、親水性層,画像形成層自身の膜強度が弱いため,耐刷性が不充分であるといった問題があった。これらの課題に対し,画像形成層に反応性の熱可塑性樹脂を添加し改善がなされている(例えば、特許文献1、2を参照)。
上記反応性の熱可塑性樹脂を添加すると,現像性が劣化したり,汚れや非画像部のキズ汚れが発生しやすくなり,上記を両立した印刷版の開発が強く要望されている。
さらにアブレーションを生じることなく機上現像可能な印刷版材料として,重合性化合物を内包するマイクロカプセルを含む画像記録層を有する平版印刷版原版が機上現像可能であることも知られている(例えば、特許文献3を参照)。
また支持体上に、赤外線吸収剤とラジカル重合開始剤と重合性化合物とを含有する感光層を設けた機上現像可能な平版印刷版原版が知られている(例えば、特許文献4を参照)。
上記印刷版の機上現像性,汚れ,耐刷性との両立のために,支持体と画像記録層との間の特定の水溶性樹脂を使用した下塗り層を設けるが開示されている。しかし,耐刷性においてはパウダーを使用した印刷のような場合には十分でなく,また重合性化合物を使用するため,長期保存時の現像性や汚れ等が劣化することがわかった
特開2005−297233号公報 特開2005−305690号公報 特開2001−277740号公報 特開2002−365789号公報
本発明の目的は,機上現像性に優れ,かつ、耐刷性,長期保存時の地汚れ,非画像部のキズ汚れに優れるCTP方式用の平版印刷版材料及び印刷方法を提供することにある。
本発明の上記目的は,下記構成により達成される。
1.基材上に、光熱変換剤を含む親水性層と感熱画像形成層とを基材側からこの順に有する平版印刷版材料において、該親水性層に平均粒径が3〜20μmの球状セルロース粒子を含有することを特徴とする平版印刷版材料。
2.基材上に、光熱変換剤を含む親水性層と感熱画像形成層とを該基材側からこの順に有する平版印刷版材料において、該感熱画像形成層に平均粒径が1〜10μmの球状セルロース粒子を含有することを特徴とする平版印刷版材料。
3.前記セルロース粒子が多孔質性であることを特徴とする前記1または2に記載の平版印刷版材料。
4.前記感熱画像形成層が機上現像可能な層であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版材料。
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版材料をレーザー光により画像露光した後、平版印刷機上で湿し水または湿し水と印刷インキにより現像を行い印刷することを特徴とする印刷方法。
本発明の上記構成により、インキ着肉性が良好で機上現像性に優れ、かつ、地汚れ防止性が良好で印刷性に優れ、耐刷性、耐傷性に優れるCTP方式用の平版印刷版材料が提供できる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は、基材上に、光熱変換剤を含む親水性層と感熱画像形成層とを該基材側からこの順に有する平版印刷版材料において、該親水性層または該感熱画像形成層に球状セルロース粒子を含有することを特徴とする。
本発明においては、親水性層または感熱画像形成層に特定の平均粒径の球状セルロース粒子を含有することにより、インキ着肉性が良好で機上現像性に優れ、かつ、地汚れ防止性が良好で印刷性に優れ、耐刷性、耐傷性に優れるCTP方式用の平版印刷版材料が提供できる。
(球状セルロース粒子)
本発明においては、親水性層及び/または画像形成層に特定の平均粒径の球状セルロース粒子を含有することが必須である。球状でかつ特定の平均粒径であることで,表面凹凸によるマット効果と滑り性が発現し,耐傷性,耐刷性が向上する.また球状セルロースは,球状の形状と親水性により,地汚れの劣化が抑えられる.特に多孔質性のものは上記性能が良好である。
本発明に関わる上記球状セルロース粒子としては、セルロース又はセルロースエステルから成るものが好ましい。ここで、セルロースエステルとしては、例えば三酢酸セルロース、三プロピオン酸セルロース、三酪酸セルロース、三硝酸セルロース等のセルロースエステル;酢酸・酪酸セルロース、酢酸・プロピオン酸セルロース、プロピオン酸・酪酸セルロース等のセルロース混合エステル;二酢酸セルロース、二硝酸セルロース、二プロピオン酸セルロース、二酪酸セルロース、一酢酸セルロース、一硝酸セルロース等のセルロース部分エステル、これらの中間エステルなどが挙げられる。これらのうち、特にセルロース又は三酢酸セルロースから成るものが好ましい。
球状セルロース粒子の平均粒径は,親水性層に採用するときは3〜20μmであることが必要である.好ましくは3〜10μm,更に好ましくは3〜7μmである.3μm未満であると,マット効果や滑り効果が発現せず,耐傷性,耐刷性が劣化する.また20μmを越えると,親水性層に保持できないばかりか,地汚れ等を劣化させ,好ましくない。一方,画像形成層に採用するときは1〜10μmであることが必要である.好ましくは1〜8μm,更に好ましくは1〜5μmである.1μm未満であると,親水性層同様,マット効果や滑り効果が発現せず,耐傷性,耐刷性が劣化する.一方,10μmを越えると,画像形成層に保持できず,耐刷性が劣化するので好ましくない。
ここでいう平均粒径とは、一次粒子径の平均値である。一次粒子径は、本発明に係るモース硬度の範囲を有する金属酸化物粒子を電子顕微鏡で撮影し、投影図における金属酸化物粒子の最長辺と最短辺を実測し、この平均値を平均粒径として算出した値である。平均粒径は、この粒径が、0.12μm以上で0.4μmの範囲にある粒子100個について測定し、数平均値を算出した値である。
球状セルロース粒子は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができる。
球状セルロース粒子の含有量は,親水性層中に0.1〜50質量%、特に1〜20質量%、更に3〜10質量%配合するのが好ましい。0.1%未満であると本発明の効果が発揮できない.また50%を越えると親水性層の膜形成層が低下し,本発明の効果が発揮できない。
一方,画像形成層については,画像形成層中に0.1〜20質量%、特に0.5〜10質量%、更に1〜5質量%配合するのが好ましい。0.1%未満であると本発明の効果が発揮できない.また20%を越えると画像形成層の膜形成層が低下し,本発明の効果が発揮できない。
球状セルロース粒子の製造方法は,特開平5−200268号等の製造方法を参考にすることができる.例えば,
(I)水不混和性液体からなる分散媒中に、ビスコース液および界面活性剤を添加して、水/油型のビスコースエマルジョン液を作製し、別に、水不混和性液体からなる分散媒中に、ビスコース凝固液を添加して、水/油型ビスコース凝固液エマルジョンを作製し、これら両エマルジョンを混合し互に反応させて、平均粒径15μm以下の球状セルロース微粒子を形成させる方法,
(II)水不混和性液からなる分散媒中に、ビスコース液および界面活性剤を添加して、水/油型のビスコースエマルジョンを作成し、このビスコースエマルジョンに酸性ガスを吹き込み、前記ビスコースエマルジョンと前記酸性ガスとを反応させて、平均粒径15μm以下の球状セルロース微粒子を形成させる方法,
(III)水不混和性液からなる分散媒中に、ビスコース液および界面活性剤を添加して、水/油型のビスコースエマルジョンを作成し、このビスコースエマルジョンを攪拌しながら、これをビスコース凝固液、またはビスコース凝固液と界面活性剤との混合液中に滴下して、平均粒径15μm以下の球状セルロース微粒子を形成させる方法等がある。
<親水性層>
(光熱変換剤)
本発明においては,親水性層および画像形成層は下記の光熱変換素材を含有することで高感度を実現している。特に親水性層には下記金属酸化物を光熱変換素材として添加することが好ましい。
光熱変換剤としては,可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。前者としては、黒色酸化鉄(Fe34)や、前述の二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。後者とては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの平均粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換素材のうち、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。
具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Ba、から選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
本発明に用いる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−273393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。
これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。したがって、これらの複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均1次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
これらの複合金属酸化物の添加量としては、親水性層全固形分に対して20%以上、40%未満であり25%以上、39%未満がより好ましく、さらに好ましくは25%以上30%未満の範囲である。添加量が20%未満であると、十分な感度がでず、また40%以上であると、アブレートによるアブレーションカスが発生する。
また、本発明においては親水性層、画像形成層には下記赤外吸収染料を光熱変換素材として添加することができる。一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの赤外吸収染料の添加量としては、画像形成層全固形分に対して0.1%以上10%未満であり0.3%以上7%未満がより好ましく、さらに好ましくは0.5%以上6%未満の範囲である。添加量がこれを逸脱すると、上記同様に添加量が0.1%未満であると、十分な感度がでず、また10%以上であると、アブレートによるアブレーションカスが発生する。
本発明に係る親水性層には上記光熱変換剤、高分子化合物以外に下記のような親水性マトリックス構造を形成するための素材を含んでもよい。
親水性マトリックスを形成する素材としては上記以外の金属酸化物が好ましく、更に好ましくは金属酸化物粒子を含むことが好ましい。
この金属酸化物としては、例えばコロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられ、金属酸化物の形態としては、球状、羽毛状その他のいずれの形態でもよく、平均粒径としては3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物粒子を併用することもできる。また、粒子表面に表面処理がなされていてもよい。
上記金属酸化物粒子はその造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
本発明では、上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点が有り、良好な強度を得ることが出来る。
コロイダルシリカとしては、ネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下のコロイダルシリカが好ましく、アルカリ性コロイダルシリカが好ましい。
ネックレス状コロイダルシリカとは1次粒子径がnmのオーダーである球形シリカの水分散径の総称である。ネックレス状コロイダルシリカとは1次粒子径が10〜50nmの球形コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。
パールネックレス状(すなわち真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のイメージが真珠ネックレスのような形状をしていることを意味する。ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。ネックレス状のコロイダルシリカとしては具体的には日産化学工業(株)性の「スノーテックス−PS」シリーズなどが挙げられる。
また、コロイダルシリカは粒子系が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明には平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく3〜15nmであることが更に好ましい。
又、前述のようにコロイダルシリカの中ではアルカリ性の物が地汚れ発生を抑制する効果が高いため、アルカリ性のコロイダルシリカを使用することが特に好ましい。
平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカ日産化学性の「スノーテックス20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子系10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカは前述のネックレス状コロイダルシリカと併用することで、層の多孔質性維持しながら、強度をさらに向上させることが可能となり、特に好ましい。
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカ/ネックレス状コロイダルシリカの比率は95/5〜5/95が好ましく、70/30〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。
本発明に係る親水性層の親水性マトリックスの多孔質化材として平均粒径が1μm未満の多孔質金属酸化物粒子を含有することが出来る。多孔質金属酸化物粒子としては、後述する多孔質シリカまたは多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることが出来る。
多孔質シリカ粒子は一般に湿式法または乾式法により製造される。湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることが出来る。乾式法では四塩化ケイ素を水素と酸素とともに燃焼し、シリカを析出することで得られる。
これらの粒子は製造条件の調整により多孔性や平均粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものがとくに好ましい。多孔質アルミノシリケート粒子は例えば特開平10−71764号に記載されている方法により製造される。
即ちアルミニウムアルコキシドとケイ素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時にその他の金属アルコキシドを添加して3成分系以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や平均粒径を制御することが可能である。
粒子の多孔性としては細孔容積で0.5ml/g以上であることが好ましく、0.8ml/g以上であることがより好ましく、1.0〜2.5ml/g以下であることが更に好ましい。
本発明の多孔質化材としては、ゼオライトも使用できる。ゼオライトは結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。
本発明に係る親水性層は、鉱物粒子を含有することができる。鉱物粒子としては、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等の層状鉱物粒子が挙げられる。
中でも、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。
又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が1μm未満であり、平均アスペクト比が50以上であることが好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。また、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。粒子径が上記範囲より大きくなると、塗膜に不均一性が生じて、局所的に強度が弱くなる場合がある。
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましい。特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを作成した後、塗布液に添加することが好ましい。
(その他の素材)
本発明に係る親水性層にはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
また、親水性層には水溶性樹脂もしくは水分散性樹脂を含有してもよい。このような樹脂としては、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
また、本発明の親水性層の塗布液には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系、F系、アセチレングリコール系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
また、本発明の親水性層はリン酸塩を含むことができる。本発明では親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
親水性層の乾燥付き量としては、0.1〜20g/m2が好ましく、0.5〜15g/m2がより好ましくさらに、1〜10g/m2が特に好ましい。
(球状シリカ粒子)
本発明では、親水性層に平均粒径が4.0〜8.0μmであり、かつCV値が1〜10%であるシリカ粒子を含有することが好ましい。上記平均粒径とCV値を兼ね備える球状シリカ粒子を含有することにより、親水性層及び画像形成層の表面凹凸を制御でき、パウダーを使用した耐刷性や紙粉が多い紙等を使用した場合の異物に対する画像形成層の摩耗防止、さらには非画像部の耐傷性や可視画性を向上させる効果がある。
本発明のCV値とは、変動計数と呼ばれる値で、相対的な散らばりを表す指標である。
この値が小さいほど平均粒径分布の散らばりが少ないことを意味する。標準偏差はスケールの影響を受けるため相互に比較ができないが、変動係数は標準偏差からスケールの影響を排除しているため、単位が異なる値でも散らばりの度合いが相互に比較できる。
繰り返し測定時の測定値の変動は正規分布をとるので、平均値と標準偏差から変動係数が算出される。
CV(%)=(粒径の標準偏差/平均粒径)×100
上記平均粒径は、一次粒径の平均値であり、一次粒径は、粒径の分かっている標準粒子を用いてコールターカウンターを校正し、校正されたコールターカウンターを用いて平均粒子径,粒子径分布(CV値)を求める。
CV値は、印刷適正、耐傷性の面から1〜10%であることが必要であるが、1〜5%が特に好ましい。
また、本発明に係る球状シリカ粒子の平均粒径は耐傷性、耐刷性の面から、4.0〜8.0μmが好ましい。4.0μ未満であると,表面凹凸が小さくなり,耐傷性、耐刷性が劣化し好ましくない.また8.0μより大きいと,インキが付着しやすくなり,地汚れ性が劣化し好ましくない。
本発明において、親水性層中に含まれる上記シリカ粒子は、親水性層の全固形分に対して膜強度、耐傷性、印刷適正の面から3〜40質量%が好ましく、特に5〜25質量%が好ましい。
本発明の形態として、親水性層を2層(上層,下層)に分けて設置しても良い。親水性層を2層に分けることで一部性能が機能分離できるので,好ましい。
上下層とも用いる素材は、同様の素材を用いることができるが,下層では多孔質性であることの利点が少ないため,より無孔質である方が塗膜強度が向上するといった理由から、親水性マトリクスの多孔質化材の含有量は親水性層よりも少ないことが好ましい。また,それに伴って,上記球状シリカ粒子や下記の平均粒径が1〜12μmの粒子が保持できるため,下層により多くの粒子を添加することが有効である。一方,上層は多孔質性が求められるため,下層とは反対の方法を採る方が好ましい。
(平均粒径が3.0〜4.0μmの球状粒子)
本発明では上記以外の粒子として,平均粒径が1〜12μmの無機粒子もしくは無機素材で被覆された粒子を含有することが好ましい。特に平均粒径は2〜10μmが好ましく、3〜8μmがさらに好ましい。
その中でも3〜4μmの球状粒子は,上記球状シリカ粒子と併用することで,耐刷性や非画像部の耐傷性が向上する。これは,球状シリカ粒子の周辺の画像層むき出しの部分に,3〜4μmの球状粒子は配置されることにより,性能が向上すると発明者は推定している。上記効果は球状シリカ粒子増量でも可能であるが,平均粒径の異なる粒子,特に3〜4μmの球状粒子は空いているスペースに十分に配置できるため,より効果が良好である推定している。
平均粒径が1〜12μmの粒子の添加量としては、親水性層全体の0.5〜50質量%であることが好ましく、3〜30質量%であることがより好ましい。
粒子の組成,構造は,多孔質、無孔質、有機樹脂粒子、無機微粒子を問わず用いても良く、無機フィラーとしてはシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、カーボンブラック、グラファイト、TiO2、BaSO4、ZnS、MgCO3、CaCO3、ZnO、CaO、WS2、MoS2、MgO、SnO2、Al23、α−Fe23、α−FeOOH、SiC、CeO2、BN、SiN、MoC、BC、WC、チタンカーバイド、コランダム、人造ダイアモンド、ザクロ石、ガーネット、ケイ石、トリボリ、ケイソウ土、ドロマイト等、有機フィラーとしてはポリエチレン微粒子、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等を挙げることが出来る。
また無機被服フィラーとしてはたとえばPMMAやポリスチレン、メラミンといった有機粒子の芯剤を芯剤粒子よりも中継の小さな無機粒子で被覆した粒子が挙げられる。無機粒子の平均粒径としては芯材粒子の1/10〜1/100程度であることが好ましい。また,無機粒子としては、同様にシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど公知の金属酸化物粒子を用いることができる。被覆方法としては、種々の公知の方法を用いることができるが、ハイブリダイザのような空気中で芯材粒子と被覆材粒子とを高速に衝突させて芯材粒子表面に被覆材粒子を食い込ませて固定、被覆する乾式の被覆方法を好ましく用いることができる。
本発明においては、本発明の範囲を満たすフィラーであれば特に制限無く効果が発揮できるが、特に塗布液中での沈降を抑制するためには多孔質シリカ粒子、多孔質アルミノシリケート粒子等の多孔質無機フィラー、多孔質無機被服フィラーを用いるのがよい。
(感熱画像形成層)
感熱画像形成層は加熱により、画像を形成し得る層であり、熱溶融性素材、熱融着性素材等の熱可塑性化合物あるいは加熱により親水性から疎水性へと変化する素材(疎水化前駆体)を含む。加熱の方法は活性光線の露光により発生する熱による方法であり、特にレーザー光の露光により発生する熱により画像形成するものが好ましい。
本発明に係る感熱画像形成層は、機上現像可能な画像形成である場合に本発明の効果が大きい。
機上現像可能とは、印刷版材料を画像露光した後、特に現像処理を経ることなく、印刷機上で平版印刷の湿し水、または湿し水と印刷インキにより現像可能でそのまま印刷工程へと移行可能であることをいう。
本発明の感熱画像形成層は熱可塑性化合物を熱可塑性粒子として、粒子の形態で含むのが好ましい。
即ち、熱溶融性素材あるいは熱融着性素材を熱溶融性粒子あるいは熱融着性粒子として粒子の状態で用いるのが好ましい。
又、本発明に係る感熱画像形成層の好ましい態様のひとつとして、感熱画像形成層が疎水化前駆体を含有する態様も好ましい態様である。
疎水化前駆体としては、熱によって親水性(水溶性または水膨潤性)から疎水性へと変化するポリマーを用いることができる。具体的には、例えば、特開2000−56449に開示されている、アリールジアゾスルホネート単位を含有するポリマーを挙げることができる。
上記熱溶融性粒子は、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が300℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものである。又、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。
更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でもポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行うことができる。又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
又、熱溶融性粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は機上現像性、解像度などの面より、0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
又、熱溶融性粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
本発明の感熱画像形成層は、熱溶融性粒子をマイクロカプセル化して含有するのが特に好ましい態様である。
層中の熱溶融性粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
本発明に用いられる熱融着性粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体粒子が挙げられ、高分子重合体微粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10、000〜1、000、000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体微粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
高分子重合体微粒子は乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、気相重合法等、公知の何れの方法で重合された高分子重合体からなるものでもよい。溶液重合法又は気相重合法で重合された高分子重合体を微粒子化する方法としては、高分子重合体の有機溶媒に溶解液を不活性ガス中に噴霧、乾燥して微粒子化する方法、高分子重合体を水に非混和性の有機溶媒に溶解し、この溶液を水又は水性媒体に分散、有機溶媒を留去して微粒子化する方法等が挙げられる。又、何れの方法においても、必要に応じ重合あるいは微粒子化の際に分散剤、安定剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の界面活性剤やポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用いてもよい。
又、熱融着性粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は機上現像性、解像度などの面から0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
又、熱融着性粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
本発明の感熱画像形成層は、熱融着性粒子をマイクロカプセル化して含有するのが特に好ましい態様である。
マイクロカプセルとしては、例えば特開2002−2135号や特開2002−19317号に記載されている疎水性素材を内包するマイクロカプセルを挙げることができる。
マイクロカプセルは平均径で0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜5μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることがさらに好ましい。
マイクロカプセルの壁の厚さは径の1/100〜1/5であることが好ましく、1/50〜1/10であることがより好ましい。
マイクロカプセルの含有量は感熱画像形成層全体の5〜100質量%であり、20〜95質量%であることが好ましく、40〜90質量%であることがさらに好ましい。
マイクロカプセルの壁材となる素材、およびマイクロカプセルの製造方法は公知の素材および方法を用いることができる。たとえば、「新版マイクロカプセルその製法・性質・応用」(近藤保、小石真純著/三共出版株式会社発行)に記載されているか、引用されている文献に記載されている公知の素材および方法を用いることができる。
層中の熱可塑性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
本発明に係る感熱画像形成層は、さらに水溶性素材を含有することができる。水溶性素材を含有することにより、印刷機上で湿し水やインクを用いて未露光部の感熱画像形成層を除去する際に、その除去性を向上させることができる。
水溶性素材としては、親水性層に含有可能な素材として挙げた水溶性樹脂を用いることもできる。感熱画像形成層で使用できる水溶性樹脂は、親水性の天然高分子及び合成高分子から選ばれる。
本発明に好ましく用いられる水溶性樹脂の具体例としては、天然高分子では、アラビアガム、水溶性大豆多糖類、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ等)、その変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等、合成高分子では、ポリビニルアルコール(好ましくは鹸化度70モル%以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ビニルアルコール/アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、その共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体、そのアルカリ金属塩またはアミン塩等を挙げることができる。また、目的に応じて、これらを二種以上混合して用いることもできる。しかし、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
感熱画像形成層中の水溶性樹脂の含有量としては、層全体の1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がさらに好ましい。
(感熱画像形成層に含有可能なその他の素材)
本発明に用いられる感熱画像形成層にはさらに以下のような素材を含有させることができる。
本発明では、感熱画像形成層が赤外線吸収色素を含有することが好ましい態様である。
上記金属酸化物粒子と供に、併用することで感熱画像形成層の膜強度をより向上させることができ、パウダーを使用した耐刷性や紙粉が多い紙等を使用した場合の異物耐性をより向上させることができる。
本発明で使用できる赤外吸収色素は、一般的な赤外吸収色素、例えば、シアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの赤外吸収染料の添加量としては、アブレーション防止の面から画像形成層全固形分に対して0.1質量%以上10質量%未満が好ましく、0.3質量%以上7質量%未満がより好ましく、さらに好ましくは0.5質量%以上6質量%未満の範囲である。
感熱画像形成層の付き量としては、0.01〜5g/m2が好ましく、さらに好ましくは0.1〜3g/m2であり、特に好ましくは0.2〜2g/m2である。
(保護層)
感熱画像形成層の上に保護層を設けることもできる。
保護層に用いる素材としては、上述の水溶性樹脂などを好ましく用いることができる。
また、特開2002−19318号や特開2002−86948号に記載されている親水性オーバーコート層も好ましく用いることができる。
保護層の付き量としては、0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、さらに好ましくは0.2〜2g/m2である。
(基材)
基材としては、印刷版の基板として使用される公知の材料を使用することができる。例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基材等が挙げられる。基材の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、比重と剛性との関係から特にアルミニウムが好ましい。アルミニウム板は、通常その表面に存在する圧延・巻取り時に使用されたオイルを除去するためにアルカリ、酸、溶剤等で脱脂した後に使用される。脱脂処理としては特にアルカリ水溶液による脱脂が好ましい。
また、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行うことが好ましい。例えば、ケイ酸塩やシランカップリング剤等のカップリング剤を含有する液に浸漬するか、液を塗布した後、十分な乾燥を行う方法が挙げられる。陽極酸化処理も易接着処理の一種と考えられ、使用することができる。また、陽極酸化処理と上記浸漬または塗布処理を組み合わせて使用することもできる。また、公知の方法で粗面化されたアルミニウム板を使用することもできる。
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等を挙げることができる。
これらの中でもハンドリング適性等から、好ましいのはポリエステルのPETならびにPENであり、特に好ましくはPETである。
PETはテレフタル酸とエチレングリコール、PENはナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールから構成されるが、これらを触媒の存在下で適当な反応条件下で結合させることによって重合できる。このとき、適当な1種、または2種以上の第3成分を混合しても良い。
適当な第3成分としては、2価のエステル形成官能記を有する化合物であればよく、例えば、ジカルボン酸の例として次のようなものが挙げられる。
例えばイソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。
また、グリコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。
本発明のPET樹脂及びフィルムの固有粘度は0.5〜0.8であることが好ましい。
また固有粘度の異なるものを混合して使用しても良い。
本発明のPETの合成方法は、特に限定があるわけではなく、従来公知のPETの製造方法に従って製造できる。
例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させる直接エステル化法、初めにジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応させ、これを減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することにより重合させるエステル交換法を用いることができる。
この際、必要に応じてエステル交換触媒あるいは重合反応触媒を用い、あるいは耐熱安定剤を添加することができる。熱安定剤としては、例えば、リン酸、亜リン酸、及びそれらのエステル化合物が挙げられる。また、合成時の各過程で着色防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料などを添加させてもよい。
(微粒子)
また、上記の基材中にはハンドリング性向上のため0.01μm〜10μmの微粒子を1ppm〜1000ppm添加することが好ましい。
ここで、微粒子としては、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330158号明細書等に記載のシリカ、仏国特許第1296995号明細書等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号明細書等に記載のアルカリ土類金属又はカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等を用いることができる。
有機物としては、米国特許第2,322,037号明細書等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号明細書や英国特許第981,198号明細書等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号公報等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号公報等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号明細書等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号明細書等に記載されたポリカーボネートの様な有機微粒子を用いることができる。微粒子の形状は、定形、不定形どちらでもよい。
本発明に係る基材は、本発明の印刷版材料に上記のハンドリング適性を付与する観点から、弾性率が300kg/mm2〜800kg/mm2であることが好ましく、より好ましくは400kg/mm2〜600kg/mm2である。
ここで、弾性率とは、引張試験機を用い、JIS C2318に準拠したサンプルの標線が示すひずみと、それに対応する応力が直線的な関係を示す領域において、ひずみ量に対する応力の傾きを求めたものである。これがヤング率と呼ばれる値であり、本発明では、前記ヤング率を弾性率と定義する。
さらに本発明に係る基材は、本発明の平版印刷版材料が本発明に記載の効果を奏するためには、前記印刷版材料を印刷機へ設置する際のハンドリング適性向上の観点から、平均膜厚が100μm〜500μmの範囲であり、且つ、厚み分布が5%以下であることが好ましい。特に好ましくは120μm〜300μmの範囲であり、厚み分布が2%以下である。本発明に係る支持体の厚み分布とは、厚みの最大値と最小値の差を平均厚みで割り百分率で表した値である。ここで、支持体の厚み分布の測定方法は、一辺が60cmの正方形に切り出した支持体を縦、横10cm間隔で碁盤目状に線を引き、この36点の厚みを測定し平均値と最大値、最小値を求める。
本発明に係る基材としては、プラスチックフィルム支持体が好ましく用いられるが、プラスチックフィルムと金属板(例えば、鉄、ステンレス、アルミニウムなど)やポリエチレンで被覆した紙などの材料(複合基材ともいう)を適宜貼り合わせた複合支持体を用いることもできる。これらの複合基材は、塗布層を形成する前に貼り合わせても良く、また、塗布層を形成した後に貼り合わせても良く、印刷機に取り付ける直前に貼り合わせても
本発明においては、基材と親水性層間に下引層を設置することが好ましい。
下引層の構成としては、2層構成が好ましく、基材側(下引下層)には基材に接着性を考慮した素材を使用し、親水性層側には下引下層と親水性層との接着性を考慮した素材を使用することが好ましい。
下引下層で使用する素材としてはビニル系ポリマー、ポリエステル、スチレンージオレフィン等があげられ、特にビニル系ポリマー、ポリエステルが好ましく、これらの組み合わせまたは変性されていることが好ましい。
一方、下引上層で使用できる素材としては、親水性層との接着性を向上させる意味で、水溶性ポリマーを含有することが好ましく、特にゼラチン、ポリビニルアルコールユニットを主成分とする水性ポリマー、アクリル樹脂やポリエステル樹脂が好ましい。これらは下引下層との接着性、親水性層との接着性を考慮する点で、下引下層で使用される素材と上記水溶性ポリマーを混合することが好ましい。
本発明においては、PETを基材とし、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂またはポリエステル樹脂を含有する下引き層を有する態様、またアルミニウムを基材とし、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂またはポリエステル樹脂を含有する下引き層を有する態様が好ましい態様である。
本発明では上記下引き上層に上記素材を含有することで、基材と親水性層間の接着性を向上させ、異物耐性や機上現像性をさらに向上させることができる。
下引層には、以下のような無機粒子を用いることができる。例えば、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、チタニア、酸化スズ、酸化インジウム、タルクのような無機物が挙げられる。これらの微粒子の形状は特に制限がなく、針状でも、球形でも、板状でも破砕状でも用いることができる。好ましい大きさは0.1〜15μm、より好ましくは0.2〜10μm、さらに好ましくは0.3〜7μmである。粒子の添加量は片面1m2あたり0.1〜50mg、より好ましくは0.2〜30mg、さらに好ましくは0.3〜20mgである。
下引層は、透明性や塗布ムラ(干渉ムラ)の点から、0.05〜0.50μが好ましく、より好ましくは0.10〜0.30μmである。
本発明において下引層は、支持体の製膜中、特に結晶配向化が完了する前のポリエステルフイルムの片面又は両面に塗布液を塗布する、支持体の製膜後に、オンラインまたはオフラインにポリエステルフイルムの片面又は両面に塗布液を塗布することが好ましい。
下引層の塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばキスコート法、リバースコート法、ダイコート法、リバースキスコート法、オフセットグラビアコート法、マイヤーバーコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法などを単独または組み合わせて適用するとよい。
下引層に帯電防止層を設置することが好ましい。帯電防止層は、帯電防止剤とバインダーから構成されている。
帯電防止剤としては、金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物の例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO2、V25等、あるいはこれらの複合酸化物が好ましく、特にバインダーとの混和性、導電性、透明性等の点から、SnO2(酸化スズ)が好ましい。異元素を含む例としてはSnO2に対してはSb、Nb、ハロゲン元素等を添加することができる。これらの異元素の添加量は0.01〜25mol%の範囲が好ましいが、0.1〜15mol%の範囲が特に好ましい。
(露光)
本発明においては、平版印刷版材料をレーザー光を用いて画像を形成するのが好ましい。その中でも、特にサーマルレーザーによる露光によって画像形成を行うことが好ましい。
例えば赤外及び/または近赤外領域で発光する、即ち700〜1500nmの波長範囲で発光するレーザーを使用した走査露光が好ましい。レーザーとしてはガスレーザーを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザーを使用することが特に好ましい。
本発明の走査露光に好適な装置としては、該半導体レーザーを用いてコンピュータからの画像信号に応じて印刷版材料表面に画像を形成可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。
一般的には、(1)平板状保持機構に保持された印刷版材料に一本もしくは複数本のレーザービームを用いて2次元的な走査を行って印刷版材料全面を露光する方式、(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された印刷版材料に、円筒内部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式、(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された印刷版材料に、円筒外部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式が挙げられる。
本発明に関しては特に(3)の走査露光方式が好ましく、特に印刷装置上で露光を行う装置においては、(3)の露光方式が用いられる。
(印刷)
本発明の印刷方法は、湿し水及び印刷インクを用いる一般的な平版印刷方法が適用できる。
本発明の印刷方法としては、特に湿し水としてイソプロノールを含有しない(含有しないとは水に対して0.5質量%以下の含有率である)湿し水を使用する場合が好ましい態様である。
上記のようにして画像形成がなされた印刷版材料は、現像処理工程を経ることなく印刷を行うことができる。
即ち、本発明の印刷版材料をレーザー光により画像露光をした後、平版印刷機上で湿し水または湿し水と印刷インキにより現像を行い、印刷することが好ましい態様である。
画像形成後の印刷版材料をそのまま印刷機の版胴に取り付けるか、あるいは印刷版材料を印刷機の版胴に取り付けた後に画像形成を行い、版胴を回転させながら水供給ローラー及びまたはインク供給ローラーを印刷版材料に接触させることで画像形成層の非画像部を除去することが可能である。
上記の非画像部の除去、いわゆる機上現像方法を下記に示す。
印刷機上での画像形成層の非画像部(未露光部)の除去は、版胴を回転させながら水付けローラーやインクローラーを接触させて行うことができるが、下記に挙げる例のような、もしくは、それ以外の種々のシークエンスによって行うことができる。また、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは、無段階に変化させて行ってもよい。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転させ、次いで、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転させ、次いで、印刷を開始する。
(2)印刷開始のシークエンスとして、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転させ、次いで、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転させ、次いで、印刷を開始する。
(3)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーとインクローラーとを実質的に同時に接触させて版胴を1回転〜数十回転させ、次いで、印刷を開始する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例における「部」は、特に断りない限り「質量部」を表す。
(基材1の作製)
(PET樹脂)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール65質量部にエステル交換触媒として酢酸マグネシウム水和物0.05質量部を添加し、常法に従ってエステル交換を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05質量部、リン酸トリメチルエステル0.03質量部を添加した。
次いで、徐々に昇温、減圧にし、280℃,6.65×10Paで重合を行い、固有粘度0.70のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を得た。
以上のようにして得られたPET樹脂を用いて、以下のようにして二軸延伸PETフィルムを作製した。
(二軸延伸PETフィルム)
PET樹脂をペレット化したものを150℃で8時間真空乾燥した後、285℃でTダイから層状に溶融押しだし、30℃の冷却ドラム上で静電印加しながら密着させ、冷却固化させ、未延伸フィルムを得た。
この未延伸シートをロール式縦延伸機を用いて、80℃で縦方向に3.3倍延伸した。
得られた一軸延伸フィルムに引き続き、テンター式横延伸機を用いて、第一延伸ゾーン90℃で総横延伸倍率の50%延伸し、さらに第二延伸ゾーン100℃で総横延伸倍率3.3倍になるように延伸した。
次いで、70℃2秒間、前熱処理し、さらに第一固定ゾーン150℃で5秒間熱固定し、第二固定ゾーン220℃で15秒間熱固定した。次いで160℃で横(幅手)方向に5%弛緩処理し、テンターを出た後に、室温まで60秒かけて冷却し、フィルムをクリップから解放、スリットし、それぞれ巻き取り、厚さ175μmの二軸延伸PETフィルムを得た。この二軸延伸PETフィルムのTgは79℃であった。なお、得られた基材の厚み分布は2%であった。
二軸延伸PETフィルムの画像形成機能層上に表面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、下引塗布液a−1を乾燥膜厚が0.8μmとなるよう塗布し、123℃で乾燥し、親水性側に下引層A−1を設けた。
この後、下引層A−1の上表面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、下引層A−1の上には下引塗布液a−2を乾燥膜厚が0.1μmとなるよう塗布し、123℃で乾燥して下引層A−2を設け、更に140℃で2分間熱処理し、片面下引層形成済みの基材1を得た。
(下引塗布液a−1)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1(モル比)の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃)固形分濃度30質量% 250g
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40(モル比)の3元系共重合ラテックス(Tg=20℃)固形分濃度30質量% 25g
アニオン系界面活性剤S−1(2質量%) 30g
水で1kgに仕上げた。
(下引塗布液a−2)
変性水性ポリエステルL−4溶液(23質量%) 31g
クラレ製エクセバール(ポリビニルアルコールとエチレンの共重合体)RS−2117の5質量%水溶液 58g
アニオン系界面活性剤S−1(2質量%) 6g
硬膜剤H−1(0.5質量%) 100g
真球状シリカマット剤(日本触媒社のシーホスターKE−P50)2質量%分散液
10g
以上に蒸留水を加えて1000mlとした。
Figure 2007276196
(水性ポリエステル(L−4)溶液の調製)
テレフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール62質量部、酢酸カルシウム一水塩0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量部を、窒素気流下において、170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモン0.04質量部及び1、4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度で、ほぼ理論量の水を留去しエステル化を行った。
その後、更に反応系内を約1時間かけて減圧、昇温し最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合を行い、水性ポリエステルを作製した。
得られた水性ポリエステル固有粘度は0.33(100ml/g)であった。
また、重量平均分子量は80,000〜100,000であった。
次いで、撹拌翼、環流冷却管、温度計を付した2Lの3つ口フラスコに、純水850mlを入れ、撹拌翼を回転させながら、水性ポリエステルを150g徐々に添加した。
室温でこのまま30分間撹拌した後、1.5時間かけて内温が98℃になるように加熱し、この温度で3時間加熱溶解した。加熱終了後、1時間かけて室温まで冷却し、一夜放置して、15質量%の水性ポリエステル溶液A1を調製した。
《変性水性ポリエステル溶液の調製》
撹拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3Lの4つ口フラスコに、前記15質量%の水性ポリエステルA1溶液1900mlを入れ、撹拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱する。
この中に、過酸化アンモニウムの24%水溶液を6.52ml加え、モノマー混合液(メタクリル酸グリシジル28.5g、アクリル酸エチル21.4g、メタクリル酸メチル21.4g)を30分間かけて滴下し、さらに3時間反応を続ける。
その後、30℃以下まで冷却、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルB1溶液(ビニル系成分変性比率20質量%)を調製した。またビニル系成分変性比率5質量%にしたものを変性水性ポリエステルL−4とした。
(下層、上層親水性層の塗布)
下記表1の組成の下層親水性層塗布液を基材1の下引き塗布面にワイヤーバーを用いて、乾燥質量3.0g/m2になるように塗布し15mの長さの100℃に設定押された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させた。
引き続き下記表2の組成の上層親水層塗布液をワイヤーバーを用いて、乾燥質量1.80g/m2になるように塗布し塗布し30mの長さの100℃に設定された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させた。塗布後のサンプルは60℃で2日間のエイジングを行なった。
Figure 2007276196
表1の組成をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して下層親水性層塗布液を作製した。
Figure 2007276196
表2の組成をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して上層親水性層塗布液を作製した。
(画像形成層塗布液の調製)
下記表3の組成の画像形成層塗布液を上記で作製した上層親水性層の上にワイヤーバーを用いて、乾燥質量0.55g/m2になるように塗布し、30mの長さの70℃に設定された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させ、感熱画像形成層を形成した。塗布後のサンプルは50℃で2日間のエイジングを行ない、平版印刷版材料を得た。
上記平版印刷版材料を660mm幅に断裁し、基材1(PET基材)を使用したものは外径76mmの紙コアに30m巻回し、ロール状平版印刷版材料を得た。一方、基材2(アルミニウム基材)を用いたものも660mm幅に断裁し、シート状平版印刷版材料を得た。
親水性層または画像形成層中に表3に示すように球状粒子を添加し、上記平版印刷版材料の作製と同様にして、ロール状またはシート状の平版印刷版材料を作製した。
Figure 2007276196
<評価>
露光方法
印刷版試料は,露光サイズに合わせて切断した後に、露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、露光エネルギーを240mJ/cm2として、2,400dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数を表す。)、175線で画像を形成し、画像形成した印刷版試料を作製した。
印刷方法
印刷装置:三菱重工工業(株)製DAIYA1−Fを用いて、湿し水アストロマーク3(日研化学研究所社製)、2質量%、インクはトーヨー ハイユニティM紅 (東洋インキ社製)を用意しそれぞれで印刷評価を行った。耐刷性評価以外はコート氏を用いて印刷を行った。表印刷時にはパウダー(商品名:ニッカリコM(ニッカ(株)製))を使用し、印刷装置のパウダー目盛10で噴霧した。
(機上現像性:刷り出しの評価)
刷り出し時、良好なS/N比(非画像部に地汚れが無く、すなわち、画像形成層の非画像部が印刷機上で除去され、かつ、画像部の濃度が適正範囲となっている。特にバックコート層のマット材による画像層のキズに起因する現像不良もない状態)を有した印刷物が得られるまでの印刷枚数を測定し、機上現像性の指標とした。損紙の枚数が少ないほど優れている。40枚以上では実用上問題がある。
(耐刷性)
上質紙を用いて上記印刷条件で印刷した裏紙を用いて印刷評価した。画像の3%の小点の欠落,または,ベタ部の濃度低下のいずれかが確認された段階で耐刷終点とし,その枚数を求め,この枚数を耐刷性の指標とした。
(耐傷性(インキ付着))
露光前に人差し指の爪の腹で材料をこすり,印刷20枚目の実害度合いを下記ランクで評価し,非画像部の耐傷性の指標の一つとした。
現像後の非画像部のボールペンインキの付着:
○:インキが付着してない
○△:わずかにインキが付着している
△:少しインキが付着している
△×:50%網部と同程度の濃度でインキが付着している
×:ベタ部と同程度の濃度でインキが付着している
(地汚れ)
長期保存時での地汚れ性として,印刷版材料を40℃80%RHの雰囲気下で3日間保存し,露光後に1万枚印刷後の印刷物の非画線部と紙白との色差を,GretagMacbeth社製色彩計SPM−100を使用して測定し,地汚れを色差で評価したものを指標とした。色差(△E)が0.5以上では実用上問題がある。
Figure 2007276196
A:シリカ粒子1(不定形)水澤化学JC−70、平均粒径:6μm
B:シリカ粒子2(球状多孔質)洞海化学サンスフェアH−51、平均粒径:6μm
C:セルロース1(球状多孔質)レンゴー レセフィア 平均粒径:8μm、
D:セルロース2(球状多孔質)レンゴー レセフィア 平均粒径:3μm
E:セルロース3(不定形)旭化成アビセルPH−M06 平均粒径:6μm
表4から、本発明の平版印刷版材料及び印刷方法は機上現像性、耐刷性、印刷適正、耐傷性に優れていることが分かる。

Claims (5)

  1. 基材上に、光熱変換剤を含む親水性層と感熱画像形成層とを基材側からこの順に有する平版印刷版材料において、該親水性層に平均粒径が3〜20μmの球状セルロース粒子を含有することを特徴とする平版印刷版材料。
  2. 基材上に、光熱変換剤を含む親水性層と感熱画像形成層とを該基材側からこの順に有する平版印刷版材料において、該感熱画像形成層に平均粒径が1〜10μmの球状セルロース粒子を含有することを特徴とする平版印刷版材料。
  3. 前記セルロース粒子が多孔質性であることを特徴とする請求項1または2に記載の平版印刷版材料。
  4. 前記感熱画像形成層が機上現像可能な層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版材料をレーザー光により画像露光した後、平版印刷機上で湿し水または湿し水と印刷インキにより現像を行い印刷することを特徴とする印刷方法。
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