JP2007273648A - プリント配線板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、生産性が良好でかつ、導体層と絶縁層との密着性が良好なプリント配線板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のプリント配線板P1は、内側導体層1(第1の導体層)と、内側導体層1上に形成され、結晶粒径が内側導体層1よりも微細で、かつエッチング液による粗化処理が施された第1のメッキ層2(第2の導体層)と、第1のメッキ層2上に積層された絶縁層3と、絶縁層3の表面上に所定の回路パターンとして形成された第1の外側導体層4と、絶縁層3の裏面上に所定の回路パターンとして形成された第2の外側導体層5とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のプリント配線板P1は、内側導体層1(第1の導体層)と、内側導体層1上に形成され、結晶粒径が内側導体層1よりも微細で、かつエッチング液による粗化処理が施された第1のメッキ層2(第2の導体層)と、第1のメッキ層2上に積層された絶縁層3と、絶縁層3の表面上に所定の回路パターンとして形成された第1の外側導体層4と、絶縁層3の裏面上に所定の回路パターンとして形成された第2の外側導体層5とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、プリント配線板及びその製造方法に関し、特に、導体層と絶縁層との密着性が良好なプリント配線板及びその製造方法に関する。
近年の電子機器の高性能化、小型化などに伴い、プリント配線板に搭載される部品の大容量化、プリント配線板自体の高密度化により放熱の必要性が増大している。そのため、例えば、放熱性、均熱性に優れた内側導体層(金属コア)を備えたメタルコアプリント配線板が用いられている(例えば特許文献1参照)。
図5は、従来のプリント配線板の一例を示す側面断面図である。
図5に示すように、従来のプリント配線板P3は、金属コアとなる内側導体層50と、内側導体層50の表面及び裏面に積層された絶縁層51と、絶縁層51の表面上に所定の回路パターンとして形成された第1の外側導体層52と、絶縁層51の裏面上に所定の回路パターンとして形成された第2の外側導体層53とを有する。
また、第1の外側導体層52と第2の外側導体層53とを電気的に接続するためのスルーホール54が形成されている。
スルーホール54内、第1の外側導体層52上及び第2の外側導体層53上にはメッキ層(膜)55が被覆されている。
絶縁層51は、例えばエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂で作られている。
内側導体層50、第1の外側導体層52及び第2の外側導体層53は、例えば銅やアルミニウムもしくはそれらを主成分とする合金等の熱伝導性の良好な金属で作られている板材である。
図6(A)〜(E)は、従来のプリント配線板の製造方法を説明するための側面断面図である。
まず、図6(A)に示すように、内側導体層50を用意する。
次いで、図6(B)に示すように、内側導体層50の表面と裏面とを貫通するビアホール50aをエッチング、パンチング等により形成する。
次いで、図6(C)に示すように、内側導体層50の面上を粗面化する。
次いで、図6(D)に示すように、絶縁層51と、絶縁層51の両面側に第1の外側導体層52及び第2の外側導体層53とを積み重ね、加熱状態にしてプレス加工を施し、一体化する。
次いで、図6(E)に示すように、第1の導体層52及び第2の導体層53とを貫通するスルーホール54を形成し、さらにその部分にメッキ層55を形成して、第1の導体層52及び第2の導体層53を接続する。また、第1の導体層52及び第2の導体層53をエッチングして回路パターンを形成する。これによって、従来のプリント配線板P3が得られる。
ここで、第1の外側導体層52及び第2の外側導体層53は、例えば18μm〜70μmの電解銅箔が用いられている。電解銅箔は、銅箔製造工程において、一方の面は絶縁樹脂との密着性を良好とするためのM面(粗面)が形成され、他方の面は電解銅箔製造時のロール面側となるS面(平滑面)が形成されている。このような電解銅箔を、外側導体層として使用する場合は、絶縁層51と接着する側はM面となり、絶縁層51と接着しない反対側の面についてはS面となるように配置される。
一方、内側導体層50は、放熱性、放熱性、大電流対応等を目的とするために、例えば厚さ200μm以上の圧延銅箔が用いられている。圧延銅箔は電解銅箔のように、銅箔製造工程においてM面(いわゆる粗面)を形成することはできず、粗面を形成するためには、銅箔製造工程とは別工程で粗化処理層50bを形成することとなる(図6(C)参照)。
圧延銅箔に粗面を形成する方法としては、プリント配線基板の製造方法で一般的に行われているように、銅箔表面に酸化物を形成する方法、この酸化物層の形状を維持して還元剤により金属銅に還元する方法、エッチング液により銅表面を針状にエッチングする方法(特許文献2、特許文献3参照)、無電解メッキまたは電解メッキにより粒径の粗い金属銅を形成する方法等が行われている(以下、この技術を従来例という)。
特開平8−293659号公報
特開2000−64067号公報
特開2000−294929号公報
従来例において、内側導体層を粗化する場合、酸化物を形成する方法では、スルーホール内面に露呈した酸化銅がメッキ液等の酸性液中に浸漬された場合に溶解してピンクリングと称される欠陥を生じるという課題があった。
また、金属銅に還元する方法では、酸化物の形成後に高価な還元剤を用いて還元を行わなければならず処理工程が増大するのみならず製造コストの増大を招くという課題があった。
また、無電解メッキまたは電解メッキにより粒径の粗い金属銅を形成する方法では、処理工程が増大し、製造コストが増大するという課題があった。
エッチング液により粗化する方法では、粗化面を少ない工程数で形成でき、上述した課題を解決できる。エッチング液による粗化に関する原理としては、銅箔表面の結晶粒界をエッチング液により腐食し、針状の粗化面を形成することである。銅箔表面と絶縁基材とが良好な接着力を生ずるためには、銅箔表面に形成された前述の針状の粗化面の深い凹凸に絶縁基材の樹脂分が食い込むことによるアンカー効果、さらに、樹脂充填性が良い凹凸形状による樹脂と銅箔表面の接着面積の拡大効果が、重要である。
ところで、近年、環境変化への対応の観点から、基板の高耐熱化のために絶縁層51にハロゲンフリー化された絶縁基材を採用することが急速に進んでいる。絶縁基材をハロゲンフリー化または高耐熱化するためには、ハロゲン元素を含まない充填材の高充填化、耐熱性を向上させる充填材の高充填化が行われ、絶縁基材を熱圧着する場合の、絶縁基材の溶融粘度としては高粘度となり、銅箔との密着性を確保することが困難となる方向にある。
一方、銅箔表面の粗化面形状としては、このような高粘度絶縁基材に対し、より大きな接着面積が確保でき、よりアンカー効果ある、粗化面の凹凸形状が必要となる。
本発明者による実験の結果、銅箔の結晶粒界を腐食させることにより粗化面を形成するエッチング液による粗化方法では、絶縁樹脂と良好な接着力を得るべく、銅箔表面の「より深い凹凸」、「樹脂との接着面積をより拡大する凹凸形状」を形成するためには、エッチング液による粗化条件のほかに、銅箔表面の結晶粒径が大きく影響していることがわかった。
図7は、圧延銅箔からなる内側導体層をエッチング液により粗化した面の結晶状態を示す写真である。
圧延銅箔は、箔製造工程において銅の鋳塊に熱間圧延と冷間圧延を交互に反復して除除に薄肉化されるため、図7に示すように、その結晶粒径が、電解銅箔や銅メッキに比べて著しく大きいことがわかる。
従って、圧延銅箔からなる内層導体層50をエッチング処理により粗化処理しても、その結晶粒径が大きいため、銅箔引きはがし強度が低く、絶縁層51との密着性は悪いという課題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、生産性が良好でかつ、導体層と絶縁層との密着性が良好なプリント配線板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のプリント配線板は、第1の導体層と、その第1の導体層上に形成され、結晶粒径が前記第1の導体層よりも微細で、かつエッチングによる粗化処理が施された第2の導体層と、その第2の導体層上に形成される絶縁層とを有することを特徴とするものである。
前記第1の導体層に形成されたビアホール内に前記第2の導体層が被覆されていてもよい。
前記第1の導体層は、圧延銅箔からなる内側導体層により形成され、前記第2の導体層は、銅メッキ層により形成され、前記絶縁層は、ハロゲンフリータイプ又は高耐熱タイプのガラスエポキシ樹脂により形成され、前記第2の導体層の粗化面の粗度が2μm以上であるのが好ましい。
前記絶縁層内に複数の前記第1の導体層が積層して構成されていてもよい。
本発明のプリント配線板の製造方法は、
(1)第1の導体層上に、結晶粒径が前記第1の導体層よりも微細な第2の導体層を形成する工程と、
(2)前記第2の導体層をエッチングにより粗化処理する工程と、
(3)前記第2の導体層上に絶縁層を形成する工程と、
を有することを特徴とするものである。
(1)第1の導体層上に、結晶粒径が前記第1の導体層よりも微細な第2の導体層を形成する工程と、
(2)前記第2の導体層をエッチングにより粗化処理する工程と、
(3)前記第2の導体層上に絶縁層を形成する工程と、
を有することを特徴とするものである。
請求項1に係る発明によれば、第2の導体層をエッチングで粗化した面の結晶粒径は、第1の導体層の結晶粒径に比べて小さいので、第2の導体層の引きはがし強度が高くなり、絶縁層との密着性が良好となる。
請求項2に係る発明によれば、ビアホール内における第2の導体層と絶縁層との密着性が良好となる。
請求項3に係る発明によれば、表面粗度Rzが2μm以上であるので、実用的な銅箔引きはがし強度1.0kN/m以上を確保することができる。
請求項4に係る発明によれば、複数の第1の導体層を用途に応じて配置することができる。
請求項5に係る発明によれば、エッチングにより第2の導体層を粗化するので、粗化面を少ない工程数で形成でき、生産性が向上する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施形態例に係るプリント配線板を示す側面断面図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態例に係るプリント配線板P1は、内側導体層1(第1の導体層、金属コア層)と、内側導体層1上に形成され、結晶粒径が内側導体層1よりも微細で、かつエッチング液による粗化処理が施された第1のメッキ層2(第2の導体層)と、第1のメッキ層2上に積層された絶縁層3と、絶縁層3の表面上に所定の回路パターンとして形成された第1の外側導体層4と、絶縁層3の裏面上に所定の回路パターンとして形成された第2の外側導体層5とを有する。
内側導体層1にはビアホール6が形成され(図2(B)参照)、ビアホール6内に第1のメッキ層2が被覆されている。
第1のメッキ層2の表面にはエッチング液により粗面処理して粗面化された粗化処理層2aが形成されている。
また、第1の外側導体層4と第2の外側導体層5とを電気的に接続するためのスルーホール7が形成されている。
スルーホール7内、第1の外側導体層4上及び第2の外側導体層5上には第2のメッキ層8(膜)が被覆されている。
内側導体層1、第1の外側導体層4及び第2の外側導体層5は、例えば銅やアルミニウムもしくはそれらを主成分とする合金等の熱伝導性の良好な金属で作られている板材である。
絶縁層3は、例えばエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂で作られている。
第1のメッキ層2及び第2のメッキ層8は、例えば銅メッキ層で作られている。
図2(A)〜(F)は、従来のプリント配線板の製造方法を説明するための側面断面図である。
まず、図2(A)に示すように、内側導体層1を用意する。
次いで、図2(B)に示すように、内側導体層1の表面と裏面とを貫通するビアホール6をエッチング、パンチング等により形成する。
次いで、図2(C)に示すように、内側導体層1の面上及びビアホール6内に、結晶粒径が内側導体層1よりも微細な第1のメッキ層2を形成する。
次いで、図2(D)に示すように、第1のメッキ層2の表面をエッチング液により粗面処理して粗面化して粗化処理層2aを形成する。
次いで、図2(E)に示すように、第1のメッキ層2上に絶縁層3と、絶縁層3の両面側に第1の外側導体層4及び第2の外側導体層5とを積み重ね、加熱状態にしてプレス加工を施し、一体化する。
次いで、図2(F)に示すように、第1の外側導体層4及び第2の外側導体層5とを貫通するスルーホール7を形成し、さらにその部分に第2のメッキ層8を形成して、第1の外側導体層4及び第2の外側導体層5を接続する。また、第1の外側導体層4及び第2の外側導体層5をエッチングして回路パターンを形成する。これによって、本発明の第1の実施形態例に係るプリント配線板P1が得られる。
図3は、銅メッキ層からなる第1のメッキ層2をエッチング液により粗化した面の結晶状態を示す写真である。
図3に示すように、第1のメッキ層2をエッチング液で粗化した面の結晶粒径は、圧延銅箔の結晶粒径に比べて小さい。従って、本発明の第1の実施形態例によれば、第1のメッキ層2の引きはがし強度が高くなり、絶縁層3との密着性が良好となる。
また、エッチングにより第1のメッキ層2を粗化するので、粗化面を少ない工程数で形成でき、生産性が向上する。
表1は、発明者が、内側導体層1をエッチングにより粗化した場合と、第1のメッキ層2をエッチングにより粗化した場合における引き剥がし強度を比較したものである。
なお、条件は以下の通りである。
(1)内側導体層1は厚さ200μmの圧延銅箔を使用する。
(2)第1のメッキ層2は厚さ30μmの銅めっき層(内側導体層1の圧延銅箔表面に析出させたもの)を使用する。
(3)絶縁層3の絶縁基材はガラスエポキシ絶縁材FR−4ハロゲンフリータイプを使用する。
(4)エッチング粗化処理条件は、CZ8101&CL8301(メック株式会社製)のエッチング液を使用し、エッチング量は3μmである。
なお、エッチング粗化処理の実際例としては、メック株式会社製の「CZ8101とCL8301の組合せ」または、「CZ8100とCL8300の組合せ」となる。
上記の処理条件において、第1のメッキ層2(圧延銅箔に形成された銅めっき層)の表面粗度Rzと銅箔引き剥がし強度の関係を表2に示す。
なお、エッチング量0.5μm〜5μmとし、表面粗度測定方法は触針式表面粗度計を使用し、触針先端径は2μmRである。また、ここでいう表面粗度Rzとは、JISB06012で規定する10点平均粗さであり、以下同様である。
なお、エッチング量0.5μm〜5μmとし、表面粗度測定方法は触針式表面粗度計を使用し、触針先端径は2μmRである。また、ここでいう表面粗度Rzとは、JISB06012で規定する10点平均粗さであり、以下同様である。
表2から、表面粗度Rzが2μm以上であれば、実用的な銅箔引きはがし強度1.0kN/m以上が確保されることがわかる(この実用的な銅箔引き剥がし強度は、上述した特許文献3の記載に基づく)。
図4は、本発明の第2の実施形態例に係るプリント配線板を示す断面図である。
図4に示すように、本発明の第2の実施形態例に係るプリント配線板P2は、複数層(図4では3層)の内側導体層1a〜1cを絶縁層3を介して積層して構成されている点を特徴としている。
各内側導体層1a〜1c上及びそれらの間は、第1のメッキ層2が形成され、第1のメッキ層2上には、結晶粒径が内側導体層1a〜1cよりも微細で、かつエッチングによる粗化処理が施された粗化処理層2aが形成されている。
本発明の第2の実施形態例に係るプリント配線板P2によれば、複数の内側導体層1a〜1cを用途に応じて適宜配置することができる。例えば、中央の内側導体層1bは放熱用又はアース用の回路、内側導体層1bの外側に隣接する内側導体層1a、1cは、大電流用又は電力制御用の回路、第1の外側導体層4及び第2の外側導体層5は小電流用又は信用用の回路として用いられる。
本発明は、上記実施の形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内において、種々の変更が可能である。例えば、第1のメッキ層2(第2の導体層)の粗化面は、防錆被膜、有機系の被膜が形成されていてもよい。
本発明は、各種電子機器に用いられるプリント配線板及びその製造に利用される。
P1:プリント配線板(第1の実施形態例)
P2:プリント配線板(第2の実施形態例)
1:内側導体層
2:第1のメッキ層
2a:粗化処理層
3:絶縁層
4:第1の外側導体層
5:第2の外側導体層
6:ビアホール
7:スルーホール
8:第2のメッキ層
P2:プリント配線板(第2の実施形態例)
1:内側導体層
2:第1のメッキ層
2a:粗化処理層
3:絶縁層
4:第1の外側導体層
5:第2の外側導体層
6:ビアホール
7:スルーホール
8:第2のメッキ層
Claims (5)
- 第1の導体層と、
その第1の導体層上に形成され、結晶粒径が前記第1の導体層よりも微細で、かつエッチングによる粗化処理が施された第2の導体層と、
その第2の導体層上に形成された絶縁層と、
を有することを特徴とするプリント配線板。 - 前記第1の導体層に形成されたビアホール内に前記第2の導体層が被覆されていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板。
- 前記第1の導体層は、圧延銅箔からなる内側導体層により形成され、
前記第2の導体層は、銅メッキ層により形成され、
前記絶縁層は、ハロゲンフリータイプ又は高耐熱タイプのガラスエポキシ樹脂により形成され、
前記第2の導体層の粗化面の粗度が2μm以上である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント配線板。 - 前記絶縁層内に複数の前記第1の導体層が積層して構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つの項に記載のプリント配線板。
- (1)第1の導体層上に、結晶粒径が前記第1の導体層よりも微細な第2の導体層を形成する工程と、
(2)前記第2の導体層をエッチングにより粗化処理する工程と、
(3)前記第2の導体層上に絶縁層を形成する工程と、
を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
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