本発明は、集積回路チップなどの電子回路チップを組込んだシールを製造する装置に関するものである。
近年、集積回路チップなどの電子回路チップ(以下ICチップと呼ぶ)の小型化、薄型化の進展に伴い、ICチップがさまざまな利用形態で使用されるようになった。
このようなICチップの利用形態の一つとして、たとえば、特開平3-38396号公報などに記載されているように、情報を記憶する小型の電子回路チップを、ICチップから非接触で情報を読み出すための通信装置と共に、携帯可能なプラスチックカードに埋め込んで使用する利用形態が知られている。この応用例として、ICチップに個人識別情報を格納したプラスチックカードを、非接触で個人識別情報を確認する電子的なIDカードとして使用する利用形態が知られている。またICチップに工業製品を構成する部品の情報を格納したプラスチックカードを工業製品内に入れておき、廃棄時に部品の再利用情報として役立てる利用方法も知られている。
このようにICチップの利用範囲は拡大しつつある。しかし現状のICチップ組込み技術では組込める素材はプラスチックなどの一部の素材に限られている。また現状ではICチップを組込む製品は出荷時にすでICチップが組込まれているのが一般的であり、利用者がある物に対してICチップを組込む必要性が生じた段階でICチップを組込むことが困難である。
一方、紙やセロハン等の素材からなる薄いシートに接着面を付加したシールも幅広く使われている。シールの利用目的として、補修を目的とした利用用途もあるが、その他、文字や図柄などの情報をシール表面に記述あるいは印刷し貼付けるという情報の付加を目的とした利用用途がある。しかし従来のシールでは付加できる情報は、文字や図柄等のシール表面に表記できる情報のみ限られるという問題がある。
本発明の目的は、従来埋め込みが困難なものに対してICチップを付加するICシールの製造装置を提供することにある。
本発明は、ICチップと通信装置の組を複数有する第1のシートを、1組のICチップと通信装置ごとに切断する第1の切断装置と、切断された第1のシートを、接着面を持つ第2のシートに付ける装置と、第1のシートが付けられた第2のシートを切断する第2の切断装置とを備え、切断された第2のシートが、ICシールとして取り出される。
また、本発明は、ICチップと通信装置の組を複数有する第1のシートを、1組のICチップと通信装置ごとに切断する切断装置と、切断された第1のシートを、接着面及び記述面を持つ第2のシートに付ける装置と、第1のシートが第2のシートに付けられた後でかつICシールとして取り出される前に、通信装置を介してICチップと通信すると共に記述面に印刷する装置とを備える。
本発明によれば、ICシールの記述面に文字および図柄を印刷できるICシール製造装置を実現できる。
本発明によれば、作成するICシールの長さによらず内臓するICチップおよび通信装置の組の個数を任意に設定可能なICシール製造装置を実現できる。
本発明は、紙やセロハン等の素材からなるシートに接着面を付加したシールにICチップを組込んだICシールを提案する。ICシールを用いると、貼付けることができる素材であれば従来ICチップの埋め込みが困難な物に対してもICチップを付加することができる。またICチップを付加する必要が生じた段階での後付けも可能である。さらに従来のシールでは付加することのできない音声、音、電子的な文章や図柄などの情報をデジタル化してICチップに記録して貼付けることができる。
本発明では、さらに貼る/剥すという動作に注目したICシールの構造、ICシールに関する周辺機器、ICシールを用いた応用システムを提案する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に述べる。
図1および図2を用いてICシール1000の構造について述べる。本実施形態を実施形態1とする。
図1は、図2に示すICシール1000を点線1900にて切断したICシール1000の断面図である。図1の断面図は、説明の都合上ICシール1000の厚みを増して記述する。以後、本実施例においてICシール1000の断面図はICシール1000の厚みを増して記述する。ICシール1000は、シート1300、ICチップ1100、通信装置1200を構成要素として持つ。シート1300は例えば紙やセロハンやプラスチップカードなどの薄い素材である。シート1300は接着面1400を有する。接着面1400には接着剤が付着しており、ICシール1000を後述貼付け対象物2100に貼付ける機能を有する。シート1300は、記述面1500を有してもよい。記述面1500は文字・記号・絵・画像等を印刷あるいは書き込む面である。シート1300はICチップ1100と通信装置1200を有する。
ICチップ1100には記憶装置1110と処理装置1120を組込む。記憶装置1110はデータ1111およびプログラム1112を記録する。処理装置1120はプログラム1112を実行する。通信装置1200は後述するICチップリーダ/ライタ(以下ICチップR/Wと記す)2200と接触あるいは非接触で通信を行ない、ICチップ1100と後述する外部端末2300が通信するのを仲介する。また通信装置1200はICチップ1100への電源供給も合わせて行う。
シート1300には、付加素材(記述面側)1620および付加素材(接着面側)1610を組込む場合もある。付加素材(記述面側)1620は、ICチップ1100および通信装置1200に対して記述面1500側に位置する素材であり、例えば記述面1500への書込み時あるいは印刷時に生じる圧力によりICチップ1100および通信装置1200が破壊されるのを防ぐ補強素材や、記述面1500への印刷時に生じる熱からICチップ1100および通信装置1200を保護する断熱素材などがある。
付加素材(接着面側)1610は、ICチップ1100および通信装置1200に対して接着面1400側に位置する素材であり、例えばICシール1000を貼り付ける面が曲面である場合にICチップ1100や通信装置1200が変形し破壊されないように保護する前記補強素材や、後述の貼付け対象物2100が熱を発する場合にその熱の影響からICチップ1100や通信装置1200を保護する断熱素材や、後述貼付け対象物2100が磁力を発生する場合にその磁力の影響からICチップ1100や通信装置1200を保護する防磁素材などがある。
ICチップ1100および通信装置1200および付加素材(記述面側)1620および付加素材(接着面側)1610は、シート1300の内部に組込む他に、シート1300の記述面1500あるいは接着面1400上に順番を変えずに貼付けても良い。ここで順番を変えずにという意味は図1の記述面1500を上と接着面1400を下と呼ぶとすると、付加素材(記述面側)1620は常にICチップ1100および通信装置1200の上に配置し、付加素材(記述面側)1610は常にICチップ1100および通信装置1200の下に配置することを意味する。
実施形態1で示したICシール1000により、従来ICチップ1100および通信装置1200を組込むことが困難な素材からなる物に対してもICシール1000を貼り付けることでICチップ1100および通信装置1200の貼付けが可能となる。またICシールを用いると、ICチップ1100および通信装置1200を組込む必要が生じた物に対して必要が生じた段階で貼付けが可能となる。
図3を用いてICシール1000の使用例について述べる。本実施形態を実施形態2とする。
ICシール1000を接着面1400を用い貼付け対象物2100に貼付ける。ICシール1000は、データ1111およびプログラム1112として、ICシール1000に関係するデータ1111やプログラム1112を、また貼付け対象物2100に関係するデータ1111およびプログラム1112を記録する。ICチップR/W2200は、通信装置1200と接触あるいは非接触で通信し通信線2400を介してICチップ1100と外部端末2300とが通信するのを仲介する。ここで通信線2400は、有線、無線あるいは短距離・長距離を問わずデータの送受信の仲介を行う通信装置一般をさし、たとえばインターネットやシステム内のバスである。外部端末2300は、ICチップ1100と通信を行い、データ1111およびプログラム1112の読み書きや、プログラム1112内の処理の呼び出し、あるいは逆にプログラム1112内からの処理からの呼び出しに対する応答、さらに外部端末2300を操作するオペレータとの入出力処理等を行う。
実施形態2で示したICシール1000により、従来ICチップ1100および通信装置1200を組込むことが困難な素材からなる物に対してもICシール1000を貼り付けることでICチップ1100および通信装置1200の貼付けが可能となる。またICシールを用いると、ICチップ1100および通信装置1200を組込む必要が生じた物に対して必要が生じた段階で貼付けが可能となる。
図4、図5を用いて、シールが剥された事をシール自身で検知可能なICシール1000の構造について述べる。本実施形態を実施形態3とする。
図4はICシール1000を剥す前の状態を示したICシール1000および貼付け対象物2100の断面図である。実施形態3ではICシール1000を2枚のシート1300により構成する。2枚それぞれを区別するためにそれぞれシート(正)1300とシート(副)1300と呼ぶ。シート(正)1300には、ICチップ1100、通信装置1200を組込む。シート(正)1300は接着面1400よりも粘着力の強い強力接着面3400を持つ。シート(副)1300は接着面1400を持ちその一部がシート(正)1300に接着している。さらにシート(正)1300とシート(副)1300の間には、シート(正)1300とシート(副)1300それぞれに一部が組込まれた切断センサ3300を組込む。切断センサー3300は例えばUの字型の金属線である。シール1000を貼付け対象物2100に貼付けると、シート(正)1300の強力接着面3400とシート(副)1300の接着面1400の一部が貼付け対象物2100に接着する。
次にICシール1000を剥した後の状態を図5を用いて説明する。ICシール1000を剥すとシート(副)1300の部分は剥がれるが、シート(正)1300とシート(副)1300とを接着する接着面1400よりもシート(正)1300と貼付け対象物2100とを接着する強力接着面3400の方が接着力が強いため、シート(正)1300は貼付け対象物2100に貼付いたままとなる。この結果切断センサ3300がシート(正)1300内の切断センサ(正)4100とシート(副)1300内の切断センサ(副)4200とに分断される。
以上の構造により、切断センサ3300のU字型の両端で通電テストを行い、通電すればICシール1000は剥がされておらず、通電しなければICシール1000が剥がされたことが検知できる。さらに切断センサ3300に張力を与えた状態でシート(正)1300とシート(副)1300内に組込んでおくことにより、切断センサ3300切断時に切断センサ(正)4100および切断センサ(副)4200の切断面がそれぞれシート(正)1300内およびシート(副)1300内に潜りこみ、再度シート(正)1300とシート(副)1300とを貼り合せても切断センサ(正)4100と切断センサ(副)4200とが接触しない仕組みが実現できる。この仕組みにより一度剥したICシール1000を再度貼合せても既に剥された事が検知可能となる。
切断センサ3300を使わずに、ICチップ1100の一部を、シート(副)1300に組込むことによりICシール1000を剥すことでICチップ1100の機能を停止することができる。また通信装置1200をシート(副)1300に組込むことによりICシール1000を剥すことでICチップ1100が外部端末2300と通信できないようにすることができる。さらに通信装置1200を読取り用の通信装置と書込み用の通信装置に分け、そのいずれかの通信装置をシート(副)1300に組込むことによりICシール1000を剥すことで読み取り専用あるいは書き込み専用にすることができる。
実施形態3によりICシール1000が剥された事が検知可能となる。従来剥された事を検知するシールとして、レンタルビデオカセットの解体を防ぐためのシールやソフトウェアの袋に貼られた未開封を証明するシールなどがある。これらのシールは剥すとシールの色が変色したりシール自体が破れたりする。これらのシールは目視により剥された事が検知可能であるが電子的に検知するのは困難であった。実施形態3によりICシール1000が剥された事を電子的に検知可能となる。
図6を用いて、貼付ける事で外部端末2300との通信が可能になるICシール1000の構造について述べる。本実施形態を実施形態4とする。
実施形態4ではICシール1000にICチップ1100と前記ICチップ1100に接続された接続端子(ICシール側)6100を組込む。また貼付け対象物2100に通信装置1200と通信装置1200と接続された接続端子(貼付け対象物側)6200を組込む。接続端子(ICシール側)6100は、ICシール1000の接着面1400の表面上に存在する。接続端子(貼付け対象物側)6200は貼付け対象物2100の表面上に複数存在する。ICシール1000を貼付け対象物2100に貼付けることにより接続端子(ICシール側)6100といずれかの接続端子(貼付け対象物側)6200が接触する。これによりICチップ1100と通信装置1200が接続端子(ICシール側)6100と接続端子(貼付け対象物側)6200とを介して接続される。以下実施形態2と同様に、通信装置1200とICチップR/W2200が仲介しICチップ1100と外部端末2300が通信を行う。
実施形態4により、通信装置1200をICシール1000外の貼付け対象物2100内に配置することが可能となる。非接触でICチップ1100が外部端末2300と通信する場合は、通信装置1200が大きければより遠距離での通信が可能となる。しかしICシール1000内に通信装置1200がある場合、通信装置1200を大きくするとICシール1000の携帯性が低下する。本実施形態により通信装置1200を貼付け対象物2100内に組込むことが可能となり、ICシール1000は小さいまま大きな通信装置1200を利用することが可能になる。
図7、図8を用いてICチップ1100および通信装置1200の再利用が可能なICシール1000の構造について述べる。本実施形態を実施形態5とする。
実施形態5ではICシール1000を図7に示す3つのシート1300により構成する。それぞれのシート1300を識別するためにシート(A)1300、シート(B)1300、シート(C)1300と呼ぶ。シート(C)1300にはICチップ1100および通信装置1200を組込む。シート(A)1300は記述面1500を持つ。シート(B)1300は接着面1400を持つ。シート(B)1300の接着面1400と反対の面上に(以下図上方向を上と記す)シート(C)1300を乗せ、さらにそのシート(C)1300の上にシート(A)1300を重ねる。シート(A)1300とシート(B)1300がシート(C)1300を介さず直接接触する部分である内部接着面8400に接着剤を添付しシート(A)1300とシート(B)1300を接着する。
以上の構造を持つICシール1000に対して、ICチップ1100および通信装置1200の再利用時には、点線8500および点線8600でICシール1000を切断する。図8は切断後のICシール1000の断面図である。シート(A)1300はシート(A1)1300、シート(A2)1300、シート(A3)1300に切断される。シート(B)1300はシート(B1)1300、シート(B2)1300、シート(B3)1300に切断される。シート(A2)1300とシート(C)1300およびシート(B2)1300とシート(C)1300は接着されていないためにシート(C)1300を単独で取り出す事が可能である。取出したシート(C)1300を新たなシート(A)1300およびシート(B)1300で挟み込むことによりICチップ1200および通信装置1200の再利用が可能である。また本実施形態は、接着面1400を持たなくてもよい。
実施形態5により、ICチップ1100と通信装置1200の再利用が可能となる。
図9を用いてICシール印刷装置10000に関して述べる。本実施形態を実施形態6とする。
ICシール印刷装置10000は、切断装置10200、ICチップR/W2200、印字装置10300、ロール軸10400、取出し口10500から構成する。さらにICシール印刷装置10000は通信線2400を介して外部端末2300と接続する。外部端末2300はICシール印刷装置10000内に存在しても良い。切断装置10200はICシール1000を切断する。印字装置10300は記述面1500に文字や図柄等を印刷する。ロール軸10400にはICシールロール10100を装着する。ICシールロール10100は、ICシール1000を円柱側面に巻いた物であり、ロール軸10400が回転することで、ICシール1000が矢印10700の方向に送られる。ICシールロール10100には複数のICチップ1100と通信装置1200の組が組込まれている。取出し口10500は、切断されたICシール1000を取出す出口である。
以下、印刷の手順について述べる。外部端末2300において、ICシール1000の記述面1500に印刷する印字データ10600とICチップ1100に格納するデータ1111およびプログラム1112を決定する。データの決定は例えばオペレータが外部端末2300に指定する。次に前記印字データ10600を通信線2400を介して印字装置10300に送り記述面1500上に印刷する。
次にデータ1111およびプログラム1112を通信線2400、ICチップR/W2200、通信装置1200を介してICチップ1000内の記憶装置1110へ送り記憶装置1110内に記憶する。記述面1500への印字、記憶装置1110への記憶が完了すると、ロール軸10400を回転し、記述面1500上に印刷した印字データ10600およびデータ1111およびプログラム1112を記録したICチップ1100および前記ICチップ1100に付随する通信装置1200が、切断装置10200位置に対して取り出し口10500側(図9において左側)にくるまでICシール1000を送り出す。ICチップ1100および通信装置1200が埋め込まれている位置の判別には、例えば埋め込まれている部分だけICシール1000の幅や厚さを変えておく事で検出可能である。次に、切断装置10200を用いてICシール1000を切断し、取り出し口10500からICシール1000を送出する。
実施形態6により、ICシール1000の記述面1500に文字および図柄を印刷し、さらにICチップ1100にデータを書き込むICシール印刷装置10000が実現できる。
図10を用いて、第2のICシール印刷装置10000について述べる。本実施形態を実施形態7とする。実施形態7と実施形態6の相違点は、実施例6のICシール印刷装置10000では、切断後のICシール1000が内臓するICチップ1100および通信装置1200の組の個数は切断後のICシール1000の長さによって決まるの対して、実施形態7では、切断後のICシール1000が内臓するICチップ1100および通信装置1200の組の個数は切断後のICシール1000の長さによらず任意に指定することができる点である。
本実施形態においてICシール印刷装置10000は、2つの切断装置10200、ICチップR/W2200、印字装置10300、熱着装置11100、2つのロール軸10400、取出し口10500から構成する。2つの切断装置10200はそれぞれを識別するために切断装置(A)10200および切断装置(B)10200と記す。また2つのロール軸10400についてもそれぞれを識別するためにロール軸(A)10400、ロール軸(B)10400と記す。ロール軸(A)11400およびロール軸(B)には、それぞれシート1300を円柱側面上の巻き付けたシートロール11200が装着する。それぞれのシート1300およびシートロール11200を区別するため、ロール軸(A)11400に巻き付いている物を、シート(A)1300およびシートロール(A)11200と呼び、ロール軸(B)10400に巻き付いている物を、シート(B)1300およびシートロール(B)11200と呼ぶ。ロール軸(A)10400が回転することでシート(A)が矢印11800の方向に送り出される。またロール軸(B)10400が回転することでシート(B)1300が矢印11850の方向に送り出される。
本実施形態におけるシート(A)1300は接着面1400および記述面1500を持つ。一方本実施形態におけるシート(B)1300はICチップ1100と通信装置1200の組を複数と内部接着面8400とを有する。
外部端末2300から、作成するICシール1000に装着するICチップ1100および通信装置1200の組の数を指定すると、指定した個数のシート(B)1300をロール軸(B)10400、切断装置(B)10200、熱着装置11100を用いてシート(A)1300の記述面上1500上に貼付ける。貼付けるICチップ1100および通信装置1200の組の数はたとえばオペレータが外部端末2300に入力する。
シート(B)1300の貼付けは、まずロール軸(B)10400が回転しシート(B)1300を矢印11850の方向に送り出し、1組のICチップ1100および通信装置1200が切断装置(B)10200の下を完全に通過するまで送る。次に切断装置(B)10200を用いてシート(B)1300を切断する。次に切断したシート(B)を熱着装置11100を用いてシート(A)1300の記述面1500に貼付ける。
シート(B)1300は、シート(A)1300の記述面1500と接触する側に内部接着面8400を有する。内部接着面8400には熱により粘性が高まり接着する接着剤を塗っておく。熱着装置11100は中央部がくびれた形状で、シート(B)1300をシート(A)1300に押し付ける時に、熱着装置11100の周囲部分のみがシート(B)1300の周囲(ICチップ1100および通信装置1200がない所)に接触する。これによりシート(B)1300の周囲が熱着装置11100から伝わる熱で加熱され内部接着面8400がシート(A)1300に粘着する。シート(B)1300を周囲で接着するのは、熱によりICチップ1100および通信装置1200を破壊しない為である。以上シート(B)1300の貼付け処理を指定された貼付ける組の数だけ繰り返す。
本実施形態ではシート(B)1300がシート(A)1300に貼付いた物をICシール1000と呼ぶ。以下ICシール1000の記述面1500およびICチップ1300へのデータの印刷・書込み、ICシール1000の切断は実施形態6の場合と同様である。
実施形態7により、作成するICシール1000の長さによらず内臓するICチップ1100および通信装置1200の組の個数を任意に指定可能なICシール印刷装置10000が実現できる。
図11を用いて、実施形態5で示したICチップ1100および通信装置1200の再利用が可能なICシール1000を作成する再利用ICシール作成装置12000の構造について述べる。本実施形態を実施形態8とする。再利用ICシール作成装置12000は、切断装置10200、熱着装置11100、シート挿入装置12100、ロール軸(A)10400、ロール軸(B)10400、取出し口10500から構成する。
ロール軸(A)10400には実施形態5で述べたシート(A)1300を円柱側面に巻き付けたシートロール(A)11200が付けられており、ロール軸(A)10400が回転することでシート(A)1300が矢印12700の方向に送り出される。ロール軸(B)10400には実施形態5で述べたシート(B)1300を円柱側面に巻き付けたシートロール(B)11200が付けられており、ロール軸(B)10400が回転することシート(B)1300が矢印12750の方向に送り出される。シール(B)1300は内部接着面8400を持ち、内部接着面8400には熱により粘性が高まり接着する接着剤を塗っておく。内部接着面8400はシール(A)1300が持ってもよい。シート挿入装置12100は実施形態5で述べたシート(C)1300をシート(A)1300とシート(B)1300の間に挿入する。ロール軸(A)10400およびロール軸(B)10400が回転することにより、シート(C)1300が熱着装置11100に運ばれる。
熱着装置11100は中央部がくびれた形状で、シート(A)1300をシート(B)1300に押し付けた時に、熱着装置11100の周囲部分のみがシート(A)1300の周囲(シート(C)1300を挟んでいない所)に接触する。これによりシート(A)1300の周囲が熱着装置11100から伝わる熱で加熱されシート(B)1300に粘着する。シート(C)1300が挟みこまれた部分は熱着装置11100によって加熱されないので、シート(A)1300とシート(C)1300の間およびシート(B)1300とシート(C)1300の間は接着されない。
次にロール軸(A)10400およびロール軸(B)10400を回転させシート(C)1300を挟んで熱着したシート(A)1300およびシート(B)1300を切断装置10200の取出し口側(図11において左側)まで送る。次に切断装置10200を用いてシート(A)1300およびシート(B)1300を切断する事で、実施形態5で示したICシール1000の構造を持つICシール1000が作成できる。
実施形態8により、実施形態5で示したICチップ1100と通信装置1200とが再利用可能なICシール1000を作成する再利用ICシール作成装置12000が実現できる。
図12を用いて、デジタルコンテンツ記録メディア13100の再生を、販売端末13200を通過した後可能にする技術について述べる。本実施形態を実施形態9とする。本実施形態は、デジタルコンテンツ記録メディア13100、ICシール1000、販売端末13200、鍵管理サーバ13300、メディア再生装置13400、通信線2400で構成する。
デジタルコンテンツ記録メディア13100は、音楽、映像、ソフトウェア等のデジタルコンテンツ13650を記録する媒体であり、例えば、CD-ROM、DVDなどである。本実施形態では、暗号化したデジタルコンテンツ13600をデジタルコンテンツ記録メディア13100に記録する。デジタルコンテンツ13650はコンテンツID13500を持ち、同じコンテンツID13500を持つデジタルコンテンツ13650は同じ暗号鍵13750を用いて暗号化する。暗号鍵は13750は対応する復号鍵13700を持つ。ここで対応するとは、暗号鍵13750で暗号化したデータを復号鍵13700で復号化できるという意味である。さらにコンテンツID13500に対して使用する暗号鍵13750と復号鍵13700を示す鍵対応表13800を用意する。デジタルコンテンツ記録メディア13100にICシール1000を貼付ける。
本実施形態で使用するICシール1000は、実施形態3で示した剥す事で読み取りができなくなるICシール1000を用いる。これによりICシール1000が剥されて別のデジタルコンテンツ記録メディアに貼付けられて再利用されることを防ぐ。ICシール1000には、コンテンツID13500を記録する。復号鍵13700と鍵対応表13800を鍵管理サーバ13300に記録する。
販売端末13200は、ICチップR/W2200を内臓する。販売端末13200は、デジタルコンテンツ記録メディア13100の販売時に、内臓するICチップR/W2200を用いてICシール1000内に記録してあるコンテンツID13500を読み取り、通信線2400を介して鍵管理サーバ13300にコンテンツID13500を送る。この時合わせて、販売情報を鍵管理サーバ13300に送っても良い。販売情報とは、例えばその販売端末13200がどこにあるか、購入者の年齢、購入時間等である。
鍵管理サーバ13300は、受け取ったコンテンツID13500に対応する復号鍵13700を鍵対応表13800を用いて検索し、販売端末13200に通信線2400を介して送り返す。復号鍵13700を受けた販売端末13200は、内臓するICチップR/W2200を用いて復号鍵13700をICシール1000に記録する。
メディア再生装置13400は、デジタルコンテンツ13650を再生する装置である。メディア再生装置13400は、メディア読み取り装置13450、ICチップR/W2200、加工装置13490、復号装置13460、出力装置13470をバス13480で接続した構造を持つ。メディア読み取り装置13450は、デジタルコンテンツ記録メディア13100の記録内容である暗号化したデジタルコンテンツ13600を読み取る。復号装置13460は、復号鍵13700を用いて暗号化したデジタルコンテンツ13600を復号する。加工装置13490は、復号化されたデジタルコンテンツ13650に対してデータ加工を行う。ここでデータ加工とは、デジタルコンテンツ13650の内容が例えば音楽であればデジタルからアナログの波形データへの変換等であり、映像であればデジタルデータから画像データへの変換等である。出力装置13470は、加工装置13490により加工した結果を外部に出力する。ここで外部とは、再生するデジタルコンテンツが音楽の場合であればアンプ等であり、映像の場合であればモニタ等であり、ソフトウェアの場合であればコンピュータ等である。バス13480はメディア再生装置13400内の各装置間のデータ通信を仲介する。
以下、再生プロセスを順に説明する。メディア再生装置13400にデジタルコンテンツ記録メディア13100をセットすると、メディア再生装置13400は、内臓するICチップR/W2200を用いてICシール1000から復号鍵13700を読み取る。もしICシール1000に復号鍵13700が記録されていない場合は再生を停止する。次にメディア再生装置13400は、メディア読み取り装置13450を用いて暗号化したデジタルコンテンツ13600を読み取る。次に復号装置13460において、読み取った復号鍵13700を用いて暗号化したデジタルコンテンツ13600を復号化する。さらに復号化したデジタルコンテンツ13650を、加工装置13490を用いて加工し、出力装置13470を用いて外部に出力する。
実施形態9により、販売前のデジタルコンテンツ記録メディア13100ではデジタルコンテンツ13650の再生が行えなくすることが可能となり、販売前のデジタルコンテンツ記録メディア13100の万引き等の防止に役立つ。
図13を用いてICシール1000を、デジタルデータを記録するための読み取り専用メディアであるROMメディア14000のパッチ(内容の一部更新)に応用した実施形態について述べる。本実施形態を実施形態10とする。ROMメディア14000はデジタルのデータ14220が記録してあり、データ14220は、各データ14220が個々に持つアドレス14210で参照できる。ROMメディア14000にICシール1000を貼付ける。ICシール1000にはパッチテーブル14100を記憶する。パッチテーブル14100は、変更対象アドレス14110、変更データ14130の組を記録する。パッチテーブル14100は、ICシール1000を貼付けたROMメディア14000のデータ14220に対して、アドレス14210と変更対象アドレス14110が一致する場合、前記データ14220を前記変更対象アドレス14110と組になった変更データ14130と置き換える事を示した表である。
一方、ROMメディア14000を読み取るメディア再生装置13400は本実施形態において、メディア読み取り装置13450、ICチップR/W2200,加工装置13490、処理装置1110、記憶装置1120、出力装置13470をバス13480で接続した構造を持つ。ROMメディア14000がメディア再生装置13400にセットされると、メディア再送装置13400はICチップR/W2200を用いてICシール1000内に記録してあるパッチテーブル14100を読み込み、記憶装置1120に記録する。次にメディア再生装置13400は、メディア読み取り装置13450を用いてデータ14220を読み取り、加工装置13490に転送する。この際にメディア再生装置13400は処理装置1110を用いて、読み込んだデータ14220のアドレス14210と一致する変更対象アドレス14110が存在する場合には、データ14220の代わりに前記変更対象アドレス14110と組になった変更データ14130を加工装置13490に転送する。以下加工装置13490および出力装置13470による処理は実施形態9の場合と同様である。
実施形態10により、ROMメディア14000に対する変更データ14130をICシール1000に記憶して貼り付けておくことで、変更データ14130の紛失等が防げる。
図14、図15を用いてICシール1000と複数のICチップR/W2200を用いて貼付け対象物2100の位置検出を行う実施形態について述べる。本実施形態を実施形態11とする。まず図14を用いて位置検出を行う為のシステム構成について述べる。
まずICチップR/W2200を複数用意し位置的に分散して配置する。本実施形態では複数の棚15200がある事を仮定し、それぞれの棚15200にICチップR/W2200を配置する。ここで個々の棚15200およびICチップR/W2200を区別する為に、それぞれ添字を付加しICチップR/W[m]2200、棚[n]15200と記述する。ただしm、nは変数で、各棚15200および各ICチップR/W2200ごとに異なる数字が入る。各ICチップR/W[m]2200は外部端末2300と通信線2400を介して接続してある。棚[n]15200には、貼付け対象物2100が置かれているとする。さらに貼付け対象物2100にはICシール1000を貼っておく。ここで貼付け対象物2100およびICシール1000が複数存在する場合もあるので、それぞれ個々を識別するために、それぞれ添字を付加して貼付け対象物[p]2100およびICシール[p]1000と表記する。変数pの扱いは前記変数m、nと同様である。貼付け対象物[p]2100およびICシール[p]1000ともに同じ変数を使用しているのは、互いに貼る/貼られるという関係を持つICシール1000と貼付け対象物2100は同じ変数pの値を持つことを意味するものとする。
ICシール[p]1000には検索データテーブル15100を記録する。検索データテーブル15100には項目15110と値15120の欄がある。項目15110はどのような種類のデータを値15120の欄に記録しているかを示すデータである。図14の例では、貼付け対象物[p]2100について値15120の欄で、その本の「タイトル」、その本を「所蔵」している所、その本の「発行年月日」が記録してあることを各項目15110のデータは示している。値15120には、各項目15110に対応するデータを記録する。図14の例では、「タイトル」の項目に対しては「△△大百科」が、「所蔵」の項目については「○○図書館」が、「発行年月日」の項目については「×月×日」が記録してある。
以上の構成を持つシステムに対して、外部端末2300において図15に示すフローチャートに従った処理を行う。処理ステップ16010において、外部端末2300を用いて検索する貼付け対象物[p]2100の検索条件の指定を外部から受ける。検索条件は、例えば項目15110の欄に「タイトル」を持ちその項目15110の値15120の欄に「△△大百科」を持つものという形式で指定する。
処理ステップ16020において、外部端末2300に接続されたICチップR/W[m]2200の中から、処理フロー16090によって実現されるループ内において既に選択済みでない1台のICチップR/W[m]2200を選ぶ(選んだICチップR/W2200[m]を特にICチップR/W2200[p0]2200と表記する)。処理ステップ16030において、ICチップR/W[m0]2200が読み取ることができて、かつ処理フロー16080によって実現されるループ内において既に読み取っていないICシール[p]1000が存在するかを調べる(存在する場合はそのICシール[p]1000を特にICシール[p0]1000と記す)。もしICシール[p0]1000が存在する場合は処理フローを処理ステップ16040に移す。存在しない場合は処理フローを処理ステップ16060に移す。処理ステップ16040においてICシール[p0]1000が持つ検索データテーブル15100の内容が前記検索条件と一致するかを調べ、一致する場合は処理フローを処理ステップ16050に移す。一致しない場合は処理フローを処理ステップ16030に移す。処理ステップ16050において、外部端末2300を用い、ICチップR/W[m0]2200が検索条件にあった貼付け対象物[p0]2100(ICシール[p0]1000を貼付けてある貼付け対象物)が見つかったことを表示する。処理ステップ16060において、外部端末2300と接続した全てのICチップR/W[m]2200を選択したかを判別し、全てを選択した場合は位置検出処理を終了し、選択していない場合は処理フローを処理ステップ16020に移す。
実施形態11により、貼付け対象物2100の位置が検索可能になる。
ICシールの構造を示した図である。
ICシールの概観を示した図である。
ICシールを使用例を示した図である。
剥されたことを検知可能なICシールの構造を示した図(剥す前)である。
剥されたことを検知可能なICシールの構造を示した図(剥した後)である。
貼る事で貼付け対象物内にある通信装置とICシールが接続する構造を示した図である。
ICチップおよび通信装置の再利用性に優れたICシールの構造(ICチップ、通信装置取出し前)である。
ICチップおよび通信装置の再利用性に優れたICシールの構造(ICチップ、通信装置取出し後)である。
ICシール印刷装置の構造を示した図である。
組込むICチップおよび通信装置の数を制御可能なICシール印刷装置の構造を示した図である。
再利用可能なICシールを作成する装置の構造を示した図である。
販売時に復号鍵をICシールにダウンロードするシステムの構成図である。
ROMメディアに対する差分供給メディアとしてICシールを用いた例を示した図である。
ICシールを用いて貼付け対象物の位置を検出するシステムの構成図である。
ICシールを用いて貼付け対象物の位置を検出する処理のフローチャートである。
符号の説明
1000…ICシール、1100…ICチップ、1110…記憶装置、1120…処理装置、1300…シート、2200…ICチップR/W、2300…外部端末、2400…通信線。