JP2007262449A - 転動部品用鋼および転動部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 自動車のエンジン補機用の軸受などの部品における鋼材の白色組織変化を防止して軸受などの部品の長寿命化を図った転動部品用鋼および転動部品を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.50〜1.1%、Si:0.1〜1.2%、Mn:0.2〜1.5%、Cr:3.0〜10.0%、N:0.02〜0.05%、P≦0.03%、S≦0.01%、Al:0.005〜0.05%、Ti≦0.005%、O≦0.0015%を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼で、焼入れ温度900〜1080℃から焼入れして150〜230℃の焼戻し後の残留オーステナイト量が8〜30%であり、かつその後に300℃に保持した場合に残留オーステナイトの減少量が3%以下である転動部品用鋼である。
【選択図】 図1

Description

この出願の発明は、自動車エンジンの電装補機用のオルタネータ、電磁クラッチ、中間プーリ、カーエアコン用のコンプレッサ、水ポンプ、ベルト式CVT、デファレンシャルなどに使用される転動部品用鋼およびこの鋼材からなる転動部品に関し、特に耐白色組織変化に優れた転動部品用鋼およびこの鋼材からなる転動部品に関する。
自動車エンジンの電装補機用のオルタネータ、電磁クラッチ、中間プーリ、カーエアコン用のコンプレッサ、水ポンプなどに使用される軸受は小型化に伴い高速回転化されている。このため、これらの軸受に白色組織変化(白層)を伴って早期剥離が発生する。この早期剥離は転動面に起こる微小なすべりによる潤滑油の分解により発生した水素が軸受材料中に侵入することにより発生するといわれている。
このような、白色組織変化を伴う短時間剥離に対する軸受などの転動部品用鋼の寿命向上策として、振動による繰り返し応力の負荷による炭素原子の応力誘起拡散に着目し、炭素の拡散抑制とマトリクス強度の向上を図るものが提案されている(特許文献1参照。)。しかし、この発明は、水素侵入下での疲労強度向上やその対策となる残留オーステナイトについては考慮されていない。
さらに、白層を伴う短時間剥離に対する寿命向上策として、Crによる転送面の酸化皮膜形成により水素の侵入防止を図るものが提案されている(特許文献2参照。)。しかし、この発明も、水素の存在する環境での疲労強度向上やその対策となる残留オーステナイトについては考慮されていない。
またさらに、白層を伴う短時間剥離に対する寿命向上策として、炭化物、炭窒化物による組織変化のピン留め効果と結晶粒界の微細化による粒界強度向上、組織変化伝播速度の遅延を図るものが提案されている(特許文献3参照。)。しかし、この出願の発明は、水素侵入下での疲労強度向上やその対策となる残留オーステナイトについては、やはり考慮されていない。
さらに、残留オーステナイトが体積量で15〜45%と考慮した転がり軸受が提案されている(特許文献4参照。)。しかし、この出願の発明は、熱処理として浸炭窒化処理を行う必要があり、長時間の熱処理が必要である。しかし、このものも残留オーステナイトの安定性については考慮されていない。
特許第2883460号公報 特許第3009254号公報 特開2005−147352号公報 特開2005−314794号公報
自動車のエンジン補機用のオルタネータ、電磁クラッチ、中間プーリ、カーエアコン用のコンプレッサ、水ポンプ、ベルト式CVT、デファレンシャルなどに使用する軸受などの部品においては、過酷な使用によって軸受用鋼中に白色組織変化を伴って早期剥離が発生する。そこで、本発明が解決しようとする課題は、この白色組織変化を防止して軸受などの部品の長寿命化を図った転動部品用鋼およびこの鋼材からなる転動部品を提供することである。
上記したように、自動車のエンジン電装補機用などに使用される軸受に白色組織変化を伴って発生する早期剥離は、転動面に起こる微小なすべりによる潤滑油の分解により発生した水素が軸受材料中に侵入することにより発生するといわれている。
そこで、発明者は、軸受材料について種々の試験をし、その試験片を調査したところ、長寿命の材料と短寿命の材料では、残留オーステナイト量に差があることを見出した。すなわち、この残留オーステナイトは、試験前に同じ量であったとしても、短寿命のものでは、転がり疲労を受けるうちに残留オーステナイトがマルテンサイトに変態し、その残留オーステナイト量が減少していた。使用中にマルテンサイト変態すると焼戻しを受けていない脆いマルテンサイトとなり、そこから容易に疲労亀裂が生成することが考えられる。従って、疲労を受けても残留オーステナイトが分解しないことが重要である。
そこで、残留オーステナイトの安定性を評価する指標として300℃に昇温後の残留オーステナイトの減少量を採用して寿命を評価したところ、長寿命の材料では300℃に昇温後の残留オーステナイトの減少量が少ないことが分かった。つまり、転動部品用鋼の軸受材料中に水素が侵入する環境下の転がり疲労寿命に対しては、材料中の残留オーステナイト量がキーとなること、かつ、その残留オーステナイトが疲労環境下で分解しないこと、つまり、残留オーステナイトが安定であることが、水素侵入下で発生する白色組織変化を伴う早期剥離に対して重要であることを見出した。
さらに、残留オーステナイトを安定化する方法を考究したところ、材料中のCrおよびNの量を高めることが重要であることを見出し、本発明の手段を得た。
さらに、本発明の転動部品用鋼は、長時間の熱処理が必要な浸炭や浸炭窒化処理を用いることなく、単純な焼入、焼戻し処理にて、白色組織変化を防止して軸受の長寿命化を図った転動部品用鋼を得られるため、大幅なコストアップをすることなく、寿命の向上を図ることができることを見出した。
そこで、上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明では、質量%で、C:0.50〜1.1%、Si:0.1〜1.2%、Mn:0.2〜1.5%、Cr:3.0〜10.0%、N:0.02〜0.05%、P≦0.03%、S≦0.01%、Al:0.005〜0.05%、Ti≦0.005%、O≦0.0015%を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼で、焼入れ温度900〜1080℃から焼入れして150〜230℃の焼戻し後の残留オーステナイト量が8〜30%であり、かつその後に300℃に保持した場合に残留オーステナイトの減少量が3%以下であることを特徴とする転動部品用鋼である。
さらに、請求項2の発明では、質量%で、C:0.50〜1.1%、Si:0.1〜1.2%、Mn:0.2〜1.5%、Cr:3.0〜10.0%、N:0.02〜0.05%、P≦0.03%、S≦0.01%、Al:0.005〜0.05%、Ti≦0.005%、O≦0.0015%を含有し、さらにNi≦2.0%、Mo≦1.5%、V≦1.0%、Nb≦0.3%から選択した1種又は2種以上を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼で、焼入れ温度900〜1080℃から焼入れして150〜230℃の焼戻し後の残留オーステナイト量が8〜30%であり、かつその後に300℃に保持した場合に残留オーステナイトの減少量が3%以下であることを特徴とする転動部品用鋼である。
さらに、請求項3の発明では、質量%で、C:0.50〜1.1%、Si:0.1〜1.2%、Mn:0.2〜1.5%、Cr:3.0〜10.0%、N:0.02〜0.05%、P≦0.03%、S≦0.01%、Al:0.005〜0.05%、Ti≦0.005%、O≦0.0015%を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼からなり、焼入れ温度900〜1080℃から焼入れして150〜230℃の焼戻し後の残留オーステナイト量が8〜30%であり、その後300℃に保持した場合の残留オーステナイトの減少量が3%以下であることを特徴とする転動部品である。
さらに、請求項4の発明では、質量%で、C:0.50〜1.1%、Si:0.1〜1.2%、Mn:0.2〜1.5%、Cr:3.0〜10.0%、N:0.02〜0.05%、P≦0.03%、S≦0.01%、Al:0.005〜0.05%、Ti≦0.005%、O≦0.0015%を含有し、さらにNi≦2.0%、Mo≦1.5%、V≦1.0%、Nb≦0.3%から選択した1種又は2種以上を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼からなり、焼入れ温度900〜1080℃から焼入れして150〜230℃の焼戻し後の残留オーステナイト量が8〜30%であり、その後300℃に保持した場合の残留オーステナイトの減少量が3%以下であることを特徴とする転動部品である。
上記手段の転動部品用鋼における成分限定理由を以下に説明する。なお、%は質量%である。
C:0.50〜1.1%
Cは、焼入、焼戻しにて硬さを確保するために必要な元素で、このために0.50%以上を必要とする。一方、寿命低下の原因となる巨大炭化物を防止するために1.1%以下とする必要がある。そこで、Cは0.50〜1.1%とし、好ましくは0.60〜0.90%とする。
Si:0.1〜1.2%
Siは、焼入性向上,焼戻し軟化抵抗を増加するために必要な元素で、このためには0.1%以上を必要とする。一方、1.2%を超えても、効果は飽和し、かつ、加工性を低下させる。そこで、Siは0.1〜1.2%とし、好ましくは0.4〜0.9%とする。
Mn:0.2〜1.5%
Mnは、焼入性を向上し、適度な残留オーステナイト量を得るために必要な元素で、このためには0.2%以上必要である。一方、1.5%を超えて多すぎると残留オーステナイトが過剰となる。そこで、Mnは0.2〜1.5%とする。
Cr:3.0〜10.0%
Crは、焼入性を向上するとともに、特に残留オーステナイトを安定化させる元素で、このためには3.0%以上を必要とする。一方、Crが多すぎると寿命低下の原因となる巨炭の発生を防止するため、Crを10.0%以下とする必要がある。そこで、Crは3.0〜10.0%とし、好ましくは4.0〜8.0%とする。
P:≦0.03%
Pは、不純物として不可避的に含有されるが、粒界を脆化させ耐衝撃性を下げるので0.03%以下とする。
S:≦0.01%
Sは、不純物として不可避的に含有されるが、硫化物により転動寿命を低下するので0.01%以下とする。
O≦0.0015%
Oは、不純物として不可避的に含有されるが、介在物を形成して寿命を低下させる元素である。そこで、Oは0.0015%以下とする。
Ti≦0.005%
Tiは、不純物として不可避的に含有されるが、介在物を形成して寿命を低下させる元素である。そこで、Tiは0.005%以下とする。
Al:0.005〜0.05%
Alは、脱酸及び結晶粒度調整のために必要な元素である。このためにはAlは0.005%以上必要である。しかし、過剰なAlは再酸化により大きな介在物をもたらし寿命を低下させるの。そこで、Alは0.05%以下とする。
N:0.02〜0.05%
Nは、残留オーステナイトを安定化させる元素である。このためにはNは0.02%以上必要である。しかし、Nは過剰に添加すると鋼中に空孔をつくり強度を低下させる。そこで、Nは0.05%以下とする。
さらに、選択元素の成分限定理由について説明する。
Ni:≦2.0%
Niは、焼入性を向上するとともに靭性を向上させる元素であるが、Niが2.0%を超えると、効果が飽和しコストアップとなる。そこで、Niは2.0%以下とする。
Mo≦0.5%
Moは、焼入性を向上するとともに疲労強度を向上させる元素であるが、Moが0.5%を超えると、効果が飽和しコストアップとなる。そこで、Moは0.5%以下とする。
V≦1.0%
Vは、焼入性を向上するとともに疲労強度を向上させる元素であるが、Vが1.0%を超えると、効果が飽和しコストアップとなる。そこで、Vは1.0%以下とする。
Nb≦0.3%
Nbは、結晶粒を微細化し疲労強度を向上させる元素であるが、Nbが0.3%を超えると、効果が飽和しコストアップとなる。そこで、Nbは0.3%以下とする。
さらに、本発明の手段における上記の成分からなる鋼を、焼入れ温度900〜1080℃に30分保持した後焼入れし、150〜230℃の焼戻し後の残留オーステナイト量を8〜30%に限定する理由を説明すると、このように適度な量の残留オーステナイトの存在により介在物周りの応力集中は緩和されることとなり寿命が向上する。残留オーステナイト量が8%未満ではその効果がなく、30%を超えると多量の残留オーステナイトにより硬さが低下し、寿命が低下する。なお、JIS規格のSUJ2のような通常のズブ焼の鋼を用いた場合には使用中の分解により寿命が低下するため残留オーステナイトは15%以下にコントロールされるが、本発明の手段の鋼では残留オーステナイトが安定であるため、焼入れ温度900〜1080℃に30分保持して焼入れし、150〜230℃に焼戻しすることで焼入れ温度900〜1080℃に30分保持した後焼入れし、150〜230℃の焼戻することで残留オーステナイトを30%まで含有できる。
本発明の手段の構成とすることにより、自動車エンジンの電装補機用などとして使用される転動部品用鋼からなる転動部品における鋼材の白色組織変化に伴う早期剥離が防止でき、部品の長寿命化が図れるなど、本発明は従来にない優れた効果を奏するものである。
本発明を実施するための最良の形態について説明する。先ず、表1のA〜Hの供試鋼は本発明の転動部品用鋼で、I〜Oは比較鋼である。この表1に示す成分元素を有する鋼を溶製して100kg鋼塊を製造した。次いでこの鋼塊から鍛伸によりφ65mmの丸棒とし、これらを常法により球状化焼鈍した。すなわち、球状化焼鈍は最高点温度800℃とし、合計14時間の球状化焼鈍を実施した。
なお、上記の比較鋼において、比較鋼IはCが本発明の下限値より少ない。比較鋼JはCrが本発明の下限値より少ない。比較鋼KはCrが本発明の上限値より多い。比較鋼LはNが本発明の下限値より少なく、かつ、Tiが本発明の上限値より多い。比較鋼MはCrが本発明の下限値より少ない。比較鋼NはNが本発明の上限値より多い。比較鋼OはCrが本発明の下限値より少なく、かつ、Nが本発明の下限値より少ないものである。
Figure 2007262449
これらの球状化焼鈍した供試鋼および比較鋼からそれぞれスラスト型転動疲労試験片を採取した。さらに、これらの採取した試験片を焼入れした。表2に示すように、焼入れはCr含有量の多寡により焼入れ温度840〜1100℃として30分保持し、その後50℃の油中に焼入れした。次いで、焼戻しを(a)として180℃×90minで実施した。これらの焼入、焼戻し後の硬さ、残留オーステナイト量を測定した後、さらに焼戻しを(b)として300℃×90minで実施し、残留オーステナイトの安定性を評価した。なお、残留オーステナイト量はオーステナイト相とマルテンサイト相からのX線回折線の積分強度から算出した。
次いで、転動部品用鋼の疲労強度や寿命の向上の効果を知るために転動疲労試験を行った。この転動疲労試験はスラスト型転動疲労試験機を用い、面圧5290MPaで実施した。この場合、試験前に試験片に水素をチャージして白色組織変化に起因する剥離を再現した。この水素チャージの条件は5%NH4SCN溶液に48時間浸漬し、浸漬後に表面をラップ研磨して腐食生成物を除去し、水素チャージ1時間後からスラスト型転動疲労試験をスタートして行った。
これらのスラスト型転動疲労試験片についての試験結果を残留オーステナイト量と共に表2に示す。さらに、本発明の転動部品用鋼と比較鋼のスラスト型転動疲労試験のL10寿命とオーステナイト減少量の関係をグラフとして図1に示す。
Figure 2007262449
表2に見られるように、本発明の供試鋼のA〜Hでは焼入れ・焼戻し後の%で示す残留オーステナイト量は、最も低いものが供試鋼Hの(a)180℃焼戻し後の8.9%および(b)300℃焼戻し後の8.2%で、最も高いものが供試鋼Fの(a)180℃焼戻し後の28.2%および(b)300℃焼戻し後の27.6%である。したがってA〜Hの供試鋼はいずれも本発明の目的の8〜30%のもので、本発明の範囲を満足するものである。さらに、使用中の残留オーステナイトの安定性(分解されてマルテンサイトとなることがない)を示す、残留オーステナイトの減少量の(a)−(b)は、最大のもので供試鋼Cの2.4%である。すなわち、供試鋼A〜Hは、残留オーステナイトの減少量の(a)−(b)がいずれも3%以下であり、本発明の範囲を満足するものである。その結果、これら供試鋼A〜Hの材料の寿命を示す転動疲労試験のL10寿命は、図1に見られるように、供試鋼Gの15.5×106サイクル以上である。
上記の発明鋼に対し、比較鋼のI、比較鋼K、比較鋼Nはオーステナイト減少量は3%以下を満足するが、スラスト型転動疲労試験のL10寿命は4.0×106サイクル以下と本発明の供試鋼に比して劣るものである。さらに比較鋼J、比較鋼L、比較鋼M、比較鋼Oはオーステナイト減少量は3%を超えており、しかも、スラスト型転動疲労試験のL10寿命は4.4×106サイクル以下と本発明の供試鋼に比して劣るものである。
さらにA’の供試鋼は、組成はAの供試鋼と同じであるが、焼戻した後の残留オーステナイト量を変化させるため、1080℃から焼入れした後、先ず−80℃×60minのサブゼロ処理を行ったものである。次いで(a)の180℃×90minの焼戻しを行い、これらの焼入、焼戻し後の硬さ、残留オーステナイト量を測定した後、さらに(b)の300℃×90minの焼戻しを行ったものであり、サブゼロ処理の効果を確認するための比較鋼として示すものである。
このサブゼロ処理したA’の供試鋼は、(a)の180℃焼戻し後の残留オーステナイト量が6.8%であり、その後の(b)の300℃焼戻し後の残留オーステナイト量が6.5%であり、サブゼロ処理により残留オーステナイトの減少量は0.3%と少なく安定しているものの、残留オーステナイト量が8%未満であり本発明に比して劣っている。しかも、転動疲労試験のL10寿命は5.5×106と寿命も短く、サブゼロ処理による効果は得られなかった。
さらにA”の供試鋼は、組成はAの供試鋼と同じであるが、焼戻した後の残留オーステナイト量を変化させるため、1100℃から焼入れ処理を行ったものである。次いで(a)の180℃×90minの焼戻しを行い、これらの焼入、焼戻し後の硬さ、残留オーステナイト量を測定した後、さらに(b)の300℃×90minの焼戻しを行った。
このA”の供試鋼は、(a)の180℃焼戻し後の残留オーステナイト量が40.2%であり、その後の(b)の300℃焼戻し後の残留オーステナイト量が38.9%であり、残留オーステナイトの減少量は1.3%と少なく安定しているものの、残留オーステナイト量が30%を超え過剰であり、そのため硬さが低下し、転動疲労試験のL10寿命は6.2×106と寿命が短くなっている。
本発明の転動部品用鋼と比較鋼のスラスト型転動疲労試験のL10寿命とオーステナイト減少量の関係を示すグラフ。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.50〜1.1%、Si:0.1〜1.2%、Mn:0.2〜1.5%、Cr:3.0〜10.0%、N:0.02〜0.05%、P≦0.03%、S≦0.01%、Al:0.005〜0.05%、Ti≦0.005%、O≦0.0015%を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼で、焼入れ温度900〜1080℃から焼入れして150〜230℃の焼戻し後の残留オーステナイト量が8〜30%であり、かつその後に300℃に保持した場合に残留オーステナイトの減少量が3%以下であることを特徴とする転動部品用鋼。
  2. 質量%で、C:0.50〜1.1%、Si:0.1〜1.2%、Mn:0.2〜1.5%、Cr:3.0〜10.0%、N:0.02〜0.05%、P≦0.03%、S≦0.01%、Al:0.005〜0.05%、Ti≦0.005%、O≦0.0015%を含有し、さらにNi≦2.0%、Mo≦1.5%、V≦1.0%、Nb≦0.3%から選択した1種又は2種以上を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼で、焼入れ温度900〜1080℃から焼入れして150〜230℃の焼戻し後の残留オーステナイト量が8〜30%であり、かつその後に300℃に保持した場合に残留オーステナイトの減少量が3%以下であることを特徴とする転動部品用鋼。
  3. 質量%で、C:0.50〜1.1%、Si:0.1〜1.2%、Mn:0.2〜1.5%、Cr:3.0〜10.0%、N:0.02〜0.05%、P≦0.03%、S≦0.01%、Al:0.005〜0.05%、Ti≦0.005%、O≦0.0015%を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼からなり、焼入れ温度900〜1080℃から焼入れして150〜230℃の焼戻し後の残留オーステナイト量が8〜30%であり、その後300℃に保持した場合の残留オーステナイトの減少量が3%以下であることを特徴とする転動部品。
  4. 質量%で、C:0.50〜1.1%、Si:0.1〜1.2%、Mn:0.2〜1.5%、Cr:3.0〜10.0%、N:0.02〜0.05%、P≦0.03%、S≦0.01%、Al:0.005〜0.05%、Ti≦0.005%、O≦0.0015%を含有し、さらにNi≦2.0%、Mo≦1.5%、V≦1.0%、Nb≦0.3%から選択した1種又は2種以上を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼からなり、焼入れ温度900〜1080℃から焼入れして150〜230℃の焼戻し後の残留オーステナイト量が8〜30%であり、その後300℃に保持した場合の残留オーステナイトの減少量が3%以下であることを特徴とする転動部品。
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