JP2007253880A - 車輌のワイパ取り付け装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ピボットパイプの取り付け部分の剛性およびピボット軸の取り付け精度を十分に高めることができる車輌のワイパ取り付け装置の提供を目的とする。
【解決手段】ワイパ取り付け装置は、左右のフロントピラー9a, 9bの間に跨るようにフロントウインドガラス7の下方を通して車体3の幅方向に延びるロアレール11と、フロントウインドガラス7の下端に連続するとともに、ロアレール11を車体3の前方から覆うフロントパネル18とを備えている。ロアレール11は、下面13aを有する一体構造の角形パイプ12で構成されている。ロアレール11の下面13aにブラケット40が固定されている。ブラケット40は、フロントパネル18を貫通して車体3の前後方向に延びるピボットパイプ53を有している。ピボットパイプ53にワイパ23, 24を揺動させるピボット軸29が回動可能に挿通されている。
【選択図】図4
【解決手段】ワイパ取り付け装置は、左右のフロントピラー9a, 9bの間に跨るようにフロントウインドガラス7の下方を通して車体3の幅方向に延びるロアレール11と、フロントウインドガラス7の下端に連続するとともに、ロアレール11を車体3の前方から覆うフロントパネル18とを備えている。ロアレール11は、下面13aを有する一体構造の角形パイプ12で構成されている。ロアレール11の下面13aにブラケット40が固定されている。ブラケット40は、フロントパネル18を貫通して車体3の前後方向に延びるピボットパイプ53を有している。ピボットパイプ53にワイパ23, 24を揺動させるピボット軸29が回動可能に挿通されている。
【選択図】図4
Description
本発明は、例えばバスのような大型車輌に好適するワイパ取り付け装置に係り、特にワイパを揺動させるピボット軸を車体に取り付ける構造に関する。
車輌のフロントウインドガラスに付着する雨水や汚れを払拭するワイパ装置は、駆動源となるワイパモータと、ワイパブレードを支持するワイパアームと、ワイパモータのトルクをワイパアームに伝えるリンク機構とを備えている。
ワイパアームは、ワイパブレードの反対側に位置する一端を有している。ワイパアームの一端は、ピボット軸を介して車体に支持されている。リンク機構は、ワイパモータのトルクを受けて回転するクランクアームと、ピボット軸と一体に揺動するピボットアームと、上記クランクアームと上記ピボットアームとを連携させる複数のリンクとを備えている。
この種のワイパ装置では、クランクアームの回転運動をリンクおよびピボットアームにより往復揺動運動に変換してピボット軸に伝えている。そのため、ワイパアームの揺動角度は、クランクアームの長さおよびピボットアームの長さにより定まり、このワイパアームの揺動角度がフロントウインドガラスに対するワイパブレードの払拭範囲となる。
ところで、ワイパアームを揺動させるピボット軸は、ピボットパイプを同軸状に貫通している。ピボットパイプは、フロントウインドガラスの下端を支えるフロントウインドロアレールに固定されているとともに、車体の前面となるフロントパネルを貫通するようにこのフロントパネルに固定されている(例えば、特許文献1参照)。
フロントウインドロアレールは、ロアレールインナとロアレールアウタとを互いに突き合わせて溶接することで中空の筒形に形成されている。ロアレールインナおよびロアレールアウタは、夫々車体の前後方向に向かい合う通孔を有し、この通孔をピボットパイプが貫通している。さらに、フロントパネルは、フロントウインドロアレールを前方から覆うように、フロントウインドロアレールに溶接されている。
そのため、従来のワイパ装置によると、ピボット軸が通るピボットパイプは、ロアレールインナ、ロアレールアウタおよびフロントパネルの組み立てが完了した後、これらロアレールインナ、ロアレールアウタおよびフロントパネルに溶接等の手段により固定されている。
特許第3729990号
従来のワイパ装置によると、ピボットパイプがロアレールインナ、ロアレールアウタおよびフロントパネルの三つの車体構成要素に跨って溶接されるので、ピボットパイプの取り付け部分に寸法的な誤差が累積するのを避けられない。
特に、従来のロアレールインナおよびロアレールアウタは、夫々板金プレス加工された薄肉の金属板で構成されている。そのため、金属板を組み合わせて溶接する際に、金属板の組み合わせ部分に寸法公差が作用し易く、溶接時に金属板同士がずれたり、変形する虞があり得る。
したがって、ピボットパイプの取り付け位置や姿勢を精度よく定めることが困難となり、このピボットパイプを貫通するピボット軸が正規の位置から外れたり、傾くことがあり得る。ピボット軸の位置に関する精度が低下すると、ワイパアームの揺動角度が不所望に変化し、ワイパブレードの払拭範囲にばらつきが生じるといった問題がある。
さらに、ピボットパイプは、板金製のロアレールインナおよびロアレールアウタの間に跨るように、これらロアレールインナおよびロアレールアウタに溶接されているに止まっている。このような構成では、ピボットパイプの取り付け部分の剛性を十分に確保することが甚だ困難であり、例えばワイパアームの慣性力による反動がピボット軸からピボットパイプに加わった場合に、ピボットパイプの取り付け部分が反動に耐え切れずに変形する虞があり得る。
特に近年の大型の観光バスにおいては、フロントウインドガラスの大型化に伴ってワイパアームやワイパブレードが大きくなり、その重量が増加する傾向にある。このため、ワイパアームが揺動した時に、ピボットパイプの取り付け部分に加わる反動が益々大きなものとなり、ワイパアームが揺動する毎にピボット軸がピボットパイプの取り付け部分を支点に車体の左右方向に動き易くなる。
この結果、ピボットアームとクランクアームとを連携させるリンクのストローク量が変化し、ワイパアームの揺動角度にばらつきが生じるといった不具合がある。
本発明の目的は、ピボットパイプの取り付け部分の剛性およびピボット軸の取り付け精度を十分に確保することができ、ワイパの払拭範囲を一定に保つことができる車輌のワイパ取り付け装置を得ることにある。
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る車輌のワイパ取り付け装置は、
下面を有する一体構造の角形パイプで構成され、左右のフロントピラーの間に跨るようにフロントウインドガラスの下方を通して車体の幅方向に延びるロアレールと、
上記フロントウインドガラスの下端に連続するとともに、上記ロアレールを上記車体の前方から覆うフロントパネルと、
上記ロアレールの下面に固定され、上記フロントパネルを貫通して上記車体の前後方向に延びるピボットパイプを有するブラケットと、
上記ピボットパイプに回動可能に挿通され、上記フロントウインドガラスを払拭するワイパを揺動させるピボット軸と、を備えていることを特徴としている。
下面を有する一体構造の角形パイプで構成され、左右のフロントピラーの間に跨るようにフロントウインドガラスの下方を通して車体の幅方向に延びるロアレールと、
上記フロントウインドガラスの下端に連続するとともに、上記ロアレールを上記車体の前方から覆うフロントパネルと、
上記ロアレールの下面に固定され、上記フロントパネルを貫通して上記車体の前後方向に延びるピボットパイプを有するブラケットと、
上記ピボットパイプに回動可能に挿通され、上記フロントウインドガラスを払拭するワイパを揺動させるピボット軸と、を備えていることを特徴としている。
本発明の好ましい形態によると、ブラケットは、複数の壁で囲まれた閉断面構造を有するパイプ支持部を含んでいる。ピボットパイプは、上記パイプ支持部を貫通するように上記パイプ支持部に固定されていることを特徴としている。
本発明によれば、一体構造の角形パイプは、従来の板金材を組み合わせた車体構成要素との比較において、各部の寸法精度が高いとともに十分な剛性を有している。このため、角形パイプの下面にピボットパイプを有するブラケットを固定することで、ワイパの動作中にワイパの慣性力による反動がピボット軸を介してピボットパイプに作用しても、この反動に十分に対抗できるようにピボットパイプをしっかりと支持することができる。よって、ピボット軸が車体の左右方向に揺動するのを防止できる。
それとともに、角形パイプをフロントピラーに連結する以前の単品の状態で、この角形パイプの下面に例えば治具を用いてブラケットを固定することができる。このため、ピボットパイプの取り付け姿勢や位置に関する精度を飛躍的に高めることができる。
この結果、ワイパの揺動角度のばらつきを解消して、ワイパの払拭範囲を一定に維持することができる。
以下本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、大型の観光バス1のフロント部分を開示している。観光バス1は、車輌の一例であって、前輪2および図示しない後輪によって支えられる車体3を有している。車体3の歩道に面する左側面にドア開口部4が設けられている。ドア開口部4は、左側の前輪2の直前に位置するとともに、客室ドア5によって開閉される。
車体3の前端にフロントウインドガラス7が装着されている。フロントウインドガラス7は、例えば乗客および運転者の視野を拡大したり、観光バス1の前面の外観向上等を目的として車体3の高さ方向に拡大されている。さらに、フロントウインドガラス7は、観光バス1の空力特性を改善するため、フロントウインドガラス7の左右両端部が車体3の後方に向けて円弧状に湾曲するように絞り込まれている。
図2および図3に示すように、車体3は、ドア開口部4を有するフロントセクション8を備えている。フロントセクション8は、左右のフロントピラー9a,9bと、左側のフロントピラー9aと協働してドア開口部4を形成するセカンドピラー10と、左右のフロントピラー9a,9bの間に跨るフロントウインドロアレール11とを備えている。フロントウインドロアレール11は、フロントウインドガラス7の下方を通して車体3の幅方向に延びている。
図4に示すように、フロントウインドロアレール11は、金属製の四角い角形パイプ12で構成されている。角形パイプ12は、例えば押し出し加工、圧延加工あるいは引き抜き加工により成形された一体構造物であり、下壁13、上壁14、前壁15および後壁16を備えている。角形パイプ12の下壁13の下面13aおよび上壁14の上面14aは、夫々平坦面となっている。
さらに、角形パイプ12は、その高さ寸法が幅寸法よりも大きな縦長の断面形状を有している。そのため、角形パイプ12は、複数の板金材を組み合わせた構成要素との比較において、車体3のいずれの方向に対しても剛性が高いとともに、各壁13〜16の寸法精度が向上している。
フロントウインドロアレール11は、車体3の幅方向の中央から左右両側に進むに従い車体3の後方に向けて円弧状に湾曲している。フロントウインドロアレール11の曲率半径は、フロントウインドロアレール11の左端部11aおよび右端部11bに進むに従って次第に小さくなっている。
図3および図4に示すように、フロントウインドロアレール11は、車体3の前方からフロントパネル18によって覆われている。フロントパネル18は、フロントウインドガラス7の下方においてフロントピラー9a,9bの間に跨っている。フロントパネル18およびフロントウインドガラス7は、車体3の前面を構成している。
フロントパネル18は、その上縁にフランジ部19を有している。フランジ部19は、フロントパネル18の上縁から車体3の後方に向けて張り出すとともに、フロントウインドロアレール11の上面14aに重ね合わせて溶接されている。
フロントパネル18の上端部にウインド支持部20が形成されている。ウインド支持部20は、フロントウインドロアレール11に向けて凹んだ形状をなすとともに、フロントウインドガラス7の下縁7aに沿うように車体3の幅方向に延びている。フロントウインドガラス7の下縁7aは、図示しない接着剤を介してウインド支持部20に固定されている。
図5に概略的に示すように、観光バス1は、フロントウインドガラス7に付着する雨水や汚れを払拭するワイパ装置22を装備している。本実施形態のワイパ装置22は、対向払拭型であり、運転席側に位置する第1のワイパ23と、助手席側に位置する第2のワイパ24と、ワイパ装置22の駆動源となるワイパモータ25と、ワイパモータ25のトルクを第1および第2のワイパ23,24に伝えるリンク機構26とを備えている。
第1のワイパ23および第2のワイパ24は、互いに共通の構成を有するので、同一の参照符合を付して説明する。
第1および第2のワイパ23,24は、夫々ワイパアーム27と、このワイパアーム27の先端に支持されたワイパブレード28とを有している。ワイパアーム27は、ワイパブレード28をフロントウインドガラス7の前面に押し付けている。ワイパブレード28は、フロントウインドガラス7を払拭する。
図4に示すように、ワイパアーム27は、ワイパブレード28の反対側に位置する基端27aを有している。ワイパアーム27の基端27aは、ピボット軸29の一端にナット30を介して固定されている。ピボット軸29は、フロントウインドロアレール11に支持されて車体3の前後方向に延びている。ピボット軸29の他端にピボットアーム31が固定されている。ピボットアーム31は、ピボット軸29と一緒に所定の角度範囲に亘って揺動する。
上記ワイパモータ25は、モータブラケット32を介してフロントウインドロアレール11の中間部に支持されている。ワイパモータ25の出力軸にクランクアーム33が連結されている。クランクアーム33は、ワイパモータ25の出力軸を中心として一方向に回転する。
上記リンク機構26は、反転リンク35、中継リンク36、第1のワイパリンク37および第2のワイパリンク38を有している。反転リンク35は、車体3の高さ方向に沿って縦置きされているとともに、その中間部がピボット軸39を介してモータブラケット32に回動可能に支持されている。
中継リンク36は、クランクアーム33の先端と反転リンク35の下端との間を連結している。第1のワイパリンク37は、反転リンク35の上端と第1のワイパ23に対応するピボットアーム31の先端との間を連結している。第2のワイパリンク38は、反転リンク35の下端と第2のワイパ24に対応するピボットアーム31の先端との間を連結している。
このようなワイパ装置22によると、ワイパモータ25の駆動に伴うクランクアーム33の回転運動は、中継リンク36を介して反転リンク35の往復揺動運動に変換される。反転リンク35の揺動運動は、第1および第2のワイパリンク37,38を介して第1および第2のワイパ23,24のピボットアーム31に伝えられ、このピボットアーム31がピボット軸29を中心に揺動する。
この揺動により、ピボット軸29がワイパアーム27と一緒に所定の角度範囲に亘って往復反転するように回動し、ワイパアーム27を第1の位置と第2の位置との間で揺動させる。第1の位置では、ワイパブレード28がフロントウインドガラス7の中央部で略水平に倒れ込み、第2の位置では、ワイパブレード28がフロントウインドガラス7の左右両端部で略垂直に起立する。
この結果、図5に示すように、フロントウインドガラス7の上にワイパブレード28の移動軌跡に対応する二つの円弧状をなすワイパ払拭範囲W1,W2が規定される。ワイパ払拭範囲W1,W2は、ワイパアーム27の揺動角度によって定まり、このワイパアーム27の揺動角度は、クランクアーム33の長さおよびピボットアーム31の長さによって決定される。
図4ないし図7に示すように、第1および第2のワイパ23,24のピボット軸29は、夫々ブラケット40を介してフロントウインドロアレール11の下面13aに支持されている。このピボット軸29の支持構造は、第1および第2のワイパ23,24の双方で共通のため、本実施の形態では、第2のワイパ24の側を代表して説明する。
フロントウインドロアレール11の下面13aは、ブラケット支持領域41を有している。ブラケット支持領域41は、フロントウインドロアレール11の左端部11aに位置し、このブラケット支持領域41の位置では、フロントウインドロアレール11の曲率半径が最も小さくなっている。
図8および図9に示すように、フロントウインドロアレール11のブラケット支持領域41にブラケットホルダ42が固定されている。ブラケットホルダ42は、四角い金属板であり、三つの通孔43を有している。通孔43は、フロントウインドロアレール11の長手方向に間隔を存して一列に並んでいる。ブラケットホルダ42は、フロントウインドロアレール11の下面13aに接する外周縁の複数個所がフロントウインドロアレール11の下面13aに溶接されているとともに、通孔43の内周縁がフロントウインドロアレール11の下面13aにプラグ溶接されている。
ブラケットホルダ42をフロントウインドロアレール11の下面13aに固定した状態では、ブラケットホルダ42の前縁がフロントウインドロアレール11の前壁15よりも前方に張り出している。
図4、図8および図10に示すように、上記ブラケット40は、上壁45、下壁46、前壁47および後壁48を有する四角い箱形であり、例えば押し出し加工、圧延加工あるいは引き抜き加工により一体成形されている。
ブラケット40の上壁45は、その平面形状が上記ブラケットホルダ42よりも小さく形成されており、この上壁45の両端部に長孔49a,49bが形成されている。ブラケット40は、長孔49a,49bの内周縁をブラケットホルダ42の下面にプラグ溶接するとともに、上壁45と前壁47とで規定される角部および上壁45と後壁48とで規定される角部をブラケットホルダ42の下面に溶接することで、ブラケットホルダ42に固定されている。
なお、本実施の形態のブラケット40は、上壁45よりも下壁46の平面形状を小さくすることで、車体3の前後方向から見た時の形状を台形状に規定している。これにより、上壁45の長孔49a,49bをブラケットホルダ42に溶接する際に下壁46が邪魔とならず、溶接時の作業性の向上が図られている。
さらに、本実施の形態では、ブラケット40をブラケットホルダ42に溶接する作業は、フロントウインドロアレール11をフロントピラー9a,9bに溶接する以前に実行される。つまり、ブラケット40は、角形パイプ12がブラケットホルダ42を溶接しただけの単品に近い状態の時に、図示しない治具を用いてブラケットホルダ42に対する溶接位置が決定され、この後、ブラケットホルダ42の下面に溶接される。
図4および図8に最もよく示されるように、ブラケット40をブラケットホルダ42に溶接した状態では、ブラケット40は、上壁45、下壁46、前壁47および後壁48で囲まれた中空部の軸線を、車体3の幅方向に沿わせた姿勢でフロントウインドロアレール11の下面13aから下方に突出している。
この際、フロントウインドロアレール11のブラケット支持領域41は、大きな曲率で湾曲しているので、ブラケット40の前端部がフロントウインドロアレール11の前壁15よりも前方に張り出している。
しかるに、本実施の形態によると、フロントウインドロアレール11のブラケット支持領域41とブラケット40の上壁45との間にブラケットホルダ42を介在させ、このブラケットホルダ42の平面形状をブラケット40の上壁45よりも大きくすることで、ブラケット40の上壁45の全面をブラケットホルダ42で受け止めている。
このため、フロントウインドロアレール11の湾曲に伴ってブラケット40がブラケット支持領域41から食み出していても、ブラケット40をフロントウインドロアレール11に強固に固定することができる。
図10に示すように、ブラケット40は、その中央部にパイプ支持部51を備えている。パイプ支持部51は、上壁45、下壁46、前壁47および後壁48で囲まれた閉断面構造をなすとともに、前壁47および後壁48に夫々開口する貫通孔52a,52bを含んでいる。貫通孔52a,52bは、車体3の前後方向に互いに向かい合っている。
ブラケット40のパイプ支持部51に円筒状のピボットパイプ53が固定されている。ピボットパイプ53は、貫通孔52a,52bを貫通して車体3の前後方向に延びているとともに、貫通孔52a,52bの開口縁に溶接されている。
ピボットパイプ53の前端部にリング状の端板55が溶接等の手段により固定されている。端板55は、ピボットパイプ53の外周面から径方向外側に向けて張り出すとともに、フロントパネル18の内面に突き当っている。
ピボットパイプ53の前端部のうち端板55よりもさらに前方に位置する部分は、フロントパネル18を貫通してフロントパネル18の前方に突出しており、この突出部分の外周上に円筒状の支持部材57が取り付けられている。
図4に示すように、ピボットパイプ53の内側にブラケット40の後方から円筒状のガイドパイプ58が同軸状に挿通されている。ガイドパイプ58の前端部および後端部は、夫々ピボットパイプ53の前端および後端から軸方向に突出している。ガイドパイプ58は、その前端部の外周面に雄ねじ部59を有し、この雄ねじ部59にロックナット60がねじ込まれている。
ガイドパイプ58の後端部の外周面に回り止め用の係止部材61が溶接されている。係止部材61は、ブラケット40の後壁48に溶接したストッパ62に引っ掛かっており、これによりガイドパイプ58の回り止めがなされている。
ロックナット60を締め付けると、ガイドパイプ58がピボットパイプ53に案内されてピボットパイプ53の前方に向けて引っ張られる。これにより、ガイドパイプ58の後端部の係止部材61がピボットパイプ53の後端縁に突き当たるとともに、ロックナット60がワッシャ63を介してピボットパイプ53の前端縁を押圧する。この結果、ピボットパイプ53の軸方向および周方向に沿うガイドパイプ58の自由な移動が制限され、このガイドパイプ58がピボットパイプ53の内側に同軸状に保持される。
それとともに、ロックナット60は、ワッシャ63を介して支持部材57をフロントパネル18に向けて押圧する。この押圧により、フロントパネル18の上部がピボットパイプ53の端板55と支持部材57との間で挟み込まれ、このフロントパネル18の上部がピボットパイプ53によって支えられる。
なお、ガイドパイプ58の前端部の雄ねじ部59およびロックナット60は、ダストカバー64によって覆われている。
上記ワイパアーム27を揺動させるピボット軸29は、ガイドパイプ58の内側に挿通されている。このピボット軸29とガイドパイプ58との間には、滑り軸受65が介在されている。したがって、ワイパ装置22を作動させた時に、ピボット軸29に加わるワイパアーム27の慣性力による反動は、ガイドパイプ58からピボットパイプ53を介して箱形構造を有するブラケット40に伝わるとともに、本来的に高剛性の角形パイプ12によって受け止められることになる。
このような実施の形態によれば、一体構造の角形パイプ12は、従来の板金材を組み合わせて溶接した車体構成要素に比べて剛性が高い。このため、フロントウインドロアレール11として角形パイプ12を用い、この角形パイプ12の下面13aにピボットパイプ53を一体化した箱形のブラケット40を溶接して、このピボットパイプ53にピボット軸29を支持させることで、ピボット軸29の支持剛性を飛躍的に高めることができる。
この結果、ワイパ装置22を作動させた時に、ワイパアーム27の慣性力による反動がピボット軸29を介してピボットパイプ53に作用しても、この反動に十分に対抗できるようにピボットパイプ53をフロントウインドロアレール11でしっかりと支持することができる。
特に本実施の形態によると、ピボットパイプ53は、閉断面構造を有するパイプ支持部51を貫通するようにブラケット40に溶接されている。このため、ピボットパイプ53の支持剛性がより向上し、ワイパアーム27の慣性力による反動に容易に打ち勝つことができる。
このことにより、ワイパ装置22の作動中にピボットパイプ53の取り付け部分が変形し難くなり、ピボット軸29が車体3の左右方向に揺動するのを防止できる。よって、ワイパアーム27の揺動角度が正確に定まり、第1および第2のワイパ23,24の払拭範囲W1,W2のばらつきを解消できる。
さらに、フロントウインドロアレール11として一体構造の角形パイプ12を用いることで、この角形パイプ12が単品に近い状態の時に、ピボットパイプ53を有するブラケット40を、治具を用いて角形パイプ12の下面13aに溶接することができる。そのため、ピボット軸29を支えるピボットパイプ53の向きや姿勢に関する精度が飛躍的に高まり、ワイパアーム27の揺動角度、ひいては第1および第2のワイパ23,24の払拭範囲W1,W2を正確に定める上で有利な構成となる。
加えて、上記実施の形態では、ワイパモータ25および反転リンク35が取り付けられたモータブラケット32を、フロントウインドロレール11で直に支えている。この構成によれば、ワイパアーム27の慣性力による反動が第1および第2のワイパリンク37,38から反転リンク35に伝えられても、この反動をモータブラケット32から本来的に高剛性のフロントウインドロレール11に伝えて、このフロントウインドロレール11で受け止めることができる。
この結果、ワイパモータ25および反転リンク35がワイパアーム27の慣性力による反動の影響を受け難くなり、ピボット軸29と反転リンク35の回動中心との間の軸間距離およびワイパモータ25の出力軸と反転リンク35の回動中心との間の軸間距離を一定に保つことができる。よって、ピボットアーム31の揺動ストロークのばらつきを解消することができ、この点でもワイパアーム27の揺動角度を正確に定めることができる。
本発明は、上記実施の形態に特定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施可能である。
例えば、フロントウインドロアレールは、円弧状に湾曲する形状に限らず、車体の幅方向に沿って直線状に延びていてもよい。
さらに、上記実施の形態では、フロントウインドロアレールとブラケットとの間にブラケットホルダを介在させたが、このブラケットホルダを省略してブラケットを直接フロントウインドロアレールの下面に溶接してもよい。
加えて、上記実施の形態では、ブラケットを中空の箱形構造としたが、このブラケットの形状は限定されない。例えば、ブラケットの上壁を省略し、前壁および後壁の上縁をフロントウインドロアレールの下面に溶接してもよい。この構成においても、ブラケットの溶接が完了した時点でブラケットの前壁の上縁および後壁の上縁の間がフロントウインドロアレールによって結合される。そのため、ブラケットが中空の箱形構造となり、強度的な面で何等問題は生じない。
さらに、ブラケットをフロントウインドロアレールに溶接するに当っては、このブラケットの上端部をフロントウインドロアレールの前壁、下壁および後壁に連続して跨るように溶接してもよい。
3…車体、7…フロントウインドガラス、9a,9b…フロントピラー、11…ロアレール(フロントウインドロアレール)、12…角形パイプ、13a…下面、18…フロントパネル、23,24…ワイパ(第1のワイパ、第2のワイパ)、29…ピボット軸、40…ブラケット、53…ピボットパイプ。
Claims (4)
- 下面を有する一体構造の角形パイプで構成され、左右のフロントピラーの間に跨るようにフロントウインドガラスの下方を通して車体の幅方向に延びるロアレールと、
上記フロントウインドガラスの下端に連続するとともに、上記ロアレールを上記車体の前方から覆うフロントパネルと、
上記ロアレールの下面に固定され、上記フロントパネルを貫通して上記車体の前後方向に延びるピボットパイプを有するブラケットと、
上記ピボットパイプに回動可能に挿通され、上記フロントウインドガラスを払拭するワイパを揺動させるピボット軸と、を具備することを特徴とする車輌のワイパ取り付け装置。 - 請求項1の記載において、上記ブラケットは、複数の壁で囲まれた閉断面構造を有するパイプ支持部を含み、上記ピボットパイプは、上記パイプ支持部を貫通するように上記パイプ支持部に固定されていることを特徴とする車輌のワイパ取り付け装置。
- 請求項1又は請求項2の記載において、上記ロアレールは、上記フロントピラーの方向に進むに従い上記車体の後方に向けて湾曲し、上記ロアレールの下面は、上記ブラケットに対応する位置にブラケット支持領域を有するとともに、このブラケット支持領域に上記ブラケットよりも大きな平面形状を有する板状のブラケットホルダを溶接し、上記ブラケットは上記ブラケットホルダに溶接されていることを特徴とする車輌のワイパ取り付け装置。
- 請求項1の記載において、上記ワイパの駆動源となるワイパモータと、上記ワイパモータによるクランクアームの回転運動を往復反転する揺動運動に変換することで上記ワイパの払拭範囲を規定するリンク機構とをさらに備えており、上記ワイパモータおよび上記リンク機構は、上記ロアレールに支持されていることを特徴とする車輌のワイパ取り付け装置。
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- 2006-03-24 JP JP2006083387A patent/JP2007253880A/ja active Pending
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