JP2007252396A - 医療用透析液の製造装置および製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微生物やエンドトキシンによる汚染が実質的にない医療用透析液を安全かつ安価に製造する医療用透析液の製造装置および製造方法を提供すること。
【解決手段】医療用透析液の製造装置10は、上流から順に、細孔径が0.5〜10μm程度の前段フィルター11、イオン交換樹脂が充填された軟化装置12、塩素等の酸化剤を除去する活性炭装置13、活性炭装置13から流出する不純物を除去する前段のフィルターよりも細孔径が小さい後段フィルター14、逆浸透膜装置1、電気式脱イオン水製造装置2及び透析液原液混合装置3を設置し、これらを接続配管でそれぞれ接続したものである。透析液原液混合装置3が停止した場合、逆流防止弁4により、透析液原液と混合した後の透析液が逆流してEDI処理水の電気抵抗を低下させ、処理水を介した漏電が起こるのを防止する。
【選択図】図1
【解決手段】医療用透析液の製造装置10は、上流から順に、細孔径が0.5〜10μm程度の前段フィルター11、イオン交換樹脂が充填された軟化装置12、塩素等の酸化剤を除去する活性炭装置13、活性炭装置13から流出する不純物を除去する前段のフィルターよりも細孔径が小さい後段フィルター14、逆浸透膜装置1、電気式脱イオン水製造装置2及び透析液原液混合装置3を設置し、これらを接続配管でそれぞれ接続したものである。透析液原液混合装置3が停止した場合、逆流防止弁4により、透析液原液と混合した後の透析液が逆流してEDI処理水の電気抵抗を低下させ、処理水を介した漏電が起こるのを防止する。
【選択図】図1
Description
本発明は、微生物やエンドトキシンによる汚染が実質的にない医療用透析液を安全かつ安価に製造する医療用透析液の製造装置および製造方法に関する。
医療用透析液は精製水と、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸ナトリウム、ブドウ糖が一定量溶解したA原液及び炭酸水素ナトリウムが溶解したB原液の2種類の透析液原液を混合することによって製造される。
透析液原液と混合される精製水としては、従来から、水道水等の原水にフィルター、軟化装置、活性炭装置等による前処理を施した後に逆浸透膜処理した精製水が使用されている。すなわち、原水中の濁質や微生物などをフィルターで除去し、イオン交換により軟水化や純水化を行い、活性炭処理により塩素等の酸化剤を除去し、逆浸透膜処理によって精製水を得るものである。
このような方法で製造された精製水には、人体に悪影響を及ぼす微生物やその代謝物であるエンドトキシンが充分に除去されずに含まれていることや、あるいは除去されたとしても精製後に配管内等で発生することが近年になって明らかになってきており、そのまま医療用透析液の製造に用いることは望ましくない。例えば、エンドトキシンが透析膜を介して体内に流入すると、体内で炎症性サイトカインが産生され、それに伴って発生するβ2−MGという蛋白質が体内蓄積することによって透析アミロイド症という病気を引き起こすことが指摘されている。そこで近年、精製水中の微生物やエンドトキシンを低減する試みが盛んになされている。
精製水中の微生物やエンドトキシンを低減する第1の方法として、オゾン、次亜塩素酸、過酸化水素、ホルムアルデヒド等の薬液により、精製水製造系内を洗浄する方法が提案されている。この方法によれば、系内を定期的に薬液洗浄することで系内の微生物繁殖を抑制し、精製水中に微生物やエンドトキシンが混入することを防止できるという利点がある。
精製水中の微生物やエンドトキシンを低減除去する第2の方法として、60〜90℃に加熱した純水で精製水製造系内を循環洗浄する方法が提案されている。この方法によれば、系内を定期的に循環洗浄することで系内の微生物繁殖を抑制し、精製水中に微生物やエンドトキシンが混入することを防止できるという利点がある。
精製水中の微生物やエンドトキシンを低減除去する第3の方法として、紫外線照射の方法が提案されている。この方法によれば、定期的な洗浄操作をすることなく精製水中に微生物やエンドトキシンが混入することを防止できるという利点がある。
特開2003−305119号公報
特開2001−239270号公報
Clinical Engineering,Vol.16,No.6,2005,547頁
透析会誌,38(2),2005,p.149-154
前記第1の方法では、残留した薬液が患者の人体に悪影響を及ぼす恐れがあるほか、残留した薬液は自然環境への負荷が高いためそのまま河川等に放流することはできず、特別な廃液処理が必要となるという薬液残留の問題が残るという問題がある。
前記第2の方法では、大掛かりな加熱冷却設備を必要とするため設備コストが高くなるという問題がある。
前記第3の方法では、微生物等と一緒に精製水中の有機物が分解されイオン化するため、精製水の抵抗率が低下してしまうという問題がある。そこで抵抗率の低下を防止するために後段に非再生型イオン交換装置等を設置することになるが、その結果として装置が複雑とならざるを得ない。また、紫外線ランプの電力消費量は大きく、また紫外線ランプは消耗品であるため、電気代と紫外線ランプ交換代のために運転コストが高くなるという欠点もある。
さらに前記3つの方法に共通して、メンテナンス上の欠点も存在する。まず、前記第1および第2の方法では、定期的な洗浄操作を実施する際に透析液製造装置の運転を停止しなければならない。一方、前記第3の方法では定期的な洗浄操作が不要であるものの、消耗品である紫外線ランプや非再生型イオン交換装置を交換する際に透析液製造装置の運転を停止しなければならない。そして、運転を一旦停止すると、作業時に系内に混入した微生物などの影響で、運転再開後に微生物が増殖する恐れもある。
従って、本発明の課題は、微生物やエンドトキシンによる汚染が実質的にない医療用透析液を安全かつ安価に製造する医療用透析液の製造装置および製造方法を提供することにある。
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、逆浸透膜処理装置と、電気式脱イオン水製造装置と、該電気式脱イオン水製造装置の処理水と透析液原液を混合して透析液を得る透析液原液混合装置を、この順序で配置してなる医療用透析液の製造装置であれば、微生物やエンドトキシンによる汚染が実質的にない医療用透析液を安全かつ安価に製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、逆浸透膜処理装置と、電気式脱イオン水製造装置と、該電気式脱イオン水製造装置の処理水と透析液原液を混合して透析液を得る透析液原液混合装置を、この順序で配置してなる医療用透析液の製造装置を提供するものである。
また、本発明は、逆浸透膜処理水を電気式脱イオン処理し、該脱イオン水と透析液原液を混合して透析液を得る医療用透析液の製造方法を提供するものである。
本発明の医療用透析液の製造装置によれば、電気式脱イオン水製造装置により、精製水中の微生物やエンドトキシンを除去できるため、洗浄薬液の残存による患者の人体や自然環境への悪影響、高額な設備費コストや運転コスト、装置の複雑化、連続運転化の困難といった従来技術の課題が解消され、微生物やエンドトキシンによる汚染が実質的にない医療用透析液を安価に製造することができる。
また、逆浸透膜処理装置と電気式脱イオン水製造装置を透析室の外に設置すれば、電気式脱イオン水製造装置を大型化でき、多人数用透析装置に好適なものとなる。一方、電気式脱イオン水製造装置と透析液原液混合装置を透析室内に設置すれば、両装置を繋ぐ配管を短くでき、配管内での微生物発生を制限できる。また、電気式脱イオン水製造装置と透析液原液混合装置を接続する配管に、透析液の逆流を防止する逆流防止弁を設置するなどの所定の漏電防止対策を施すことによって、医療用透析液製造装置の取扱い者及び血液透析患者の安全性が確保される。
さらに、本発明の医療用透析液の製造方法において、透析液製造工程の運転に先立って電気式脱イオン水製造装置の洗浄工程を行えば、系内の微生物が繁殖するのを防止することで、透析液の製造開始直後から高品質の透析液を製造することができる。
本発明の医療用透析液の製造装置で用いる逆浸透膜装置としては、特に制限されず、純水製造分野で使用される公知のものが挙げられる。すなわち、逆浸透膜装置は、逆浸透膜に被処理水を浸透圧以上の加圧下で供給し、前処理装置で吸着除去できなかった微量の有機物、イオン類、微粒子、シリカなどを逆浸透膜で阻止してイオン類などを減少させた透過水を処理水として得ると共に、イオン類などを濃縮した濃縮水を排出するものである。この逆浸透膜装置としては、逆浸透膜が負に帯電したアニオン性のものを用いることが、天然水中の微粒子や不純物を有効に除去でき、また廉価に入手できることからも好ましい。
本発明の医療用透析液の製造装置で用いる電気式脱イオン水製造装置(以下、単に、「EDI」とも言う。)としては、特に制限されず、純水製造分野で使用される公知のものが挙げられる。すなわち、一側のカチオン交換膜、他側のアニオン交換膜で区画される脱塩室に、イオン交換体を充填して脱塩室を構成し、該カチオン交換膜、アニオン交換膜を介して脱塩室の両側に濃縮室を設け、これらの脱塩室及び濃縮室を、陽極を備えた陽極室と陰極を備えた陰極室の間に配置してなるものであり、電圧を印加しながら脱塩室に被処理水を流入すると共に、濃縮室に濃縮水を流入して被処理水中の不純物イオンを除去し、脱イオン水を得るものである。また、特開2001−239270号公報の図1〜図5に記載される装置などを用いることができる。
EDIの脱塩室に充填するイオン交換体としては、特に制限されず、アニオン交換体とカチオン交換体の混床部分を少なくとも一部に含むものが、脱塩室内の殺菌効果とウィルス失活効果が向上するため好ましい。また、アニオン交換体単床及びアニオン交換体とカチオン交換体の混床を少なくとも備えるものが、炭酸やシリカといった弱酸成分の除去に好適であり、精製水の水質が向上するため好ましい。アニオン交換体単床とアニオン交換体とカチオン交換体の混床比率としては、例えば体積比で1:9〜9:1の範囲で適宜決定される。イオン交換体の形態としては、粒状のイオン交換樹脂、イオン交換繊維、特開2002−306976号公報に記載のモノリス状の有機多孔質イオン交換体などが挙げられる。
また、脱塩室に充填されるイオン交換体は、熱水による加熱処理されたイオン交換樹脂が好ましい。カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂の混合イオン交換樹脂の場合、いずれか一方、好ましくは耐熱性に優れるカチオン交換樹脂が加熱処理されていればよい。これによりイオン交換樹脂から精製水中への有機体炭素(TOC)の溶出を低減することができる。TOC溶出の少ないイオン交換樹脂を充填することで、処理水中へのTOCの初期溶出は劇的に低減され、TOC除去機能は飛躍的に増大する。もともとEDIにはある種のTOC除去機能が備わっている。TOCは微生物の生育のための栄養源となるため、TOCを除去することは微生物繁殖阻止につながり、EDIスタック内や精製水中の細菌類などの微生物量を低減することができる。微生物が減れば、それに伴って発生するエンドトキシン濃度も低減する。熱水による加熱処理において、熱水温度は50〜100℃の範囲が好ましく、更に好ましくは80〜95℃であり、その処理時間としては、2〜10時間の範囲が好ましく、更に好ましくは3〜8時間である。
また、脱塩室に充填されるイオン交換樹脂は、酸、アルカリ剤及び塩類から選ばれる1種又は2種以上の薬液に接触させた後、再生処理されたものが、イオン交換体からのTOC等の不純物の溶出を防止することができる点で好ましい。これら薬液処理は、イオン交換樹脂の中、とりわけ強酸性陽イオン交換樹脂や強塩基性陰イオン交換樹脂に対して有効である。イオン交換樹脂の薬液処理方法としては、特開昭64−56148号公報に記載の方法で精製することが望ましく、例えばイオン交換容量の2〜4倍当量の食塩(濃度で10%が目安)と0.3〜0.5倍当量のNaOH(濃度で1%程度が目安)の混合溶液を2〜12時間接触させる方法が挙げられる。このような薬液処理により、イオン交換樹脂からのTOC等の不純物の溶出を防止することができる。また、再生方法は、通常行われる特開昭64−56148号公報に記載の公知の方法が適用される。
また、脱塩室に充填されるイオン交換樹脂は、上記加熱処理又は薬液処理のいずれか一方の処理又は両方の処理がされたものであってもよい。カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂の混合イオン交換樹脂の場合、それぞれの樹脂を別々に処理してから混合してもよく、また混合樹脂を処理してもよい。特にアニオン交換樹脂は耐熱性に劣るため、加熱処理することなく、薬液処理することが好適である。
本発明で使用されるEDIの脱塩室のSVは、50〜500h−1が好ましく、特に100〜400h−1が好ましい。脱塩室の形状としては、例えば内部がくり抜かれたプラスチック製の枠体が使用でき、特にプラスチックは抗菌性のものが、細菌の付着を防止し微生物繁殖を阻止することができる点で好ましい。抗菌性プラスチックは、各種製品の主体となるプラスチックに抗菌剤を添加して成形されたもの、あるいはプラスチック成形体の表面を抗菌性塗膜で被覆されたものが使用できる。抗菌剤としては、特に制限されず、例えば無機系抗菌剤、有機系抗菌剤及び天然系抗菌剤が挙げられる。無機系抗菌剤は、例えば銀、銅、亜鉛などの抗菌性金属をゼオライトやシリカゲルなどの担体に担持したものが使用できる。また、抗菌剤が適用されるプラスチックとしては、PVC、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ABS、PET、ポリアミドシリコーン樹脂などが挙げられる。また、本発明において、抗菌性プラスチックが使用されるEDIの接液部は、セルの内側、連結管の内側及び構成部材の接続部分などである。
本発明で使用されるEDIの濃縮室は、通常の構造のものでよく、例えば合成樹脂で成型された内部がくり抜かれた枠体やゴムパッキン又はガスケット様の枠体を用いることができる。また、濃縮室の内部空間にはイオン交換膜同士の密着を防止し、流路の確保をするために、導電性又は非導電性水透過性体を配置してもよい。透過性体としては、例えば、メッシュ状物、不織布、織布及びこれ以外の多孔質体などが挙げられ、このうちメッシュ状物が網目の選定が容易であると共に水透過性に優れ、濃縮室の差圧上昇を招き難い点で好ましい。濃縮室の厚さとしては、0.5〜6mmが好ましく、特に1.0〜5.0mmが好ましい。0.5mm未満であると、濃縮室の構造を維持することが難しくなり、濃縮室の性能を発揮できない。また通水差圧も上昇しやすい。一方、6mmを超えると電気抵抗が高くなり、消費電力が増大する。
本発明で使用されるEDIの濃縮室及び電極室は、イオン交換体充填又は無充填のいずれであってもよいが、イオン交換体が充填されているものが好ましく、特にカチオン交換体とアニオン交換体の混合イオン交換体が充填されているものは、濃縮室や電極室に殺菌効果とウィルス失活効果を付与して、EDIスタック内全体を清浄にすることができるばかりでなく、電気抵抗を低減することができるためより省エネルギーな運転を実施できるという点で好ましい。また、濃縮室及び電極室にイオン交換体が充填されていれば、濃縮室及び電極室にEDIの処理水の一部を流入させても電気抵抗を大きく低減させることがなく、且つより一層清浄に保つことができる。
EDIの濃縮室及び電極室に充填されるイオン交換体は、脱塩室に充填されるイオン交換体と同様に、加熱処理または薬液処理されたものも使用できる。通常濃縮室や電極室はTOC濃度が高いため、微生物やエンドトキシンが発生し易い。このため、加熱処理または薬液処理されたイオン交換体を充填することで、濃縮水中又は電極水中のTOC濃度が低減され、EDIスタック内全体を清浄にすることができる。
本発明で使用される透析液原液混合装置は、EDIの処理水と透析液原液を混合して透析液を得る装置であり、公知のものが使用できる。すなわち、透析液原液混合装置としては、個人用透析装置及び多人数用透析装置が挙げられる。また、混合方式としては、特に制限されず、定容量方式及びフィードバック方式などが挙げられる。定容量方式は、例えばモータ駆動のピストンとプランジャによる原液定流量ポンプにより、定められた量の原液が混合部へ送られ、一方、EDI処理水は減圧弁などにより、一定圧力に制御されて原液と同様に混合部へ送られ、この混合部で原液と処理水が混合された後、透析液定容量ポンプ内に給水するものである。また、フィードバック方式は、例えば一定の流量で制御されたEDI処理水中に、透析液原液を各種のポンプを用いて注入して混合され、作成された透析液の濃度が設定された濃度になるようにポンプの回転数を制御するものである。これらの透析液原液混合装置は、Clinical Engineering,Vol.16,No.6,2005,533-547頁に開示されている。
本発明の医療用透析液の製造装置は、逆浸透膜処理装置と電気式脱イオン水製造装置を透析室の外に設置し、透析液原液混合装置を透析室内に設置することが、電気式脱イオン水製造装置を大型化でき、多人数用透析装置に好適なものとなる。一方、電気式脱イオン水製造装置と透析液原液混合装置を透析室内に設置すれば、両装置を繋ぐ配管を短くでき、配管内での微生物発生を制限できる。透析室とは、透析患者が透析を受ける場所を言い、病室も含まれる。また、透析室の外とは、そこに設置しても医療機器と認定されないような、病棟の外、病棟の中の機械室、水処理室、材料室、設備棟等を言う。
本発明の医療用透析液の製造装置は、電気式脱イオン水製造装置と透析液原液混合装置を接続する配管に、透析液の逆流を防止する逆流防止弁を設置することが好ましい。これによって、透析液原液を添加した後の透析液が逆流して電気式脱イオン水製造装置の印加電圧が上昇することを防止し、漏電事故発生の危険性を低減することができる。透析液原液混合装置は、透析液供給管の末端は開放されており、圧力がゼロと見なされ、通常の運転においては逆流の恐れはない。しかし、透析液原液混合装置を停止した場合、配管内には透析液が混合された水(電気を通す水)が残存しており、これをそのまま放置しておくと、濃度拡散によって、混合部からイオンが逆流して電気式脱イオン水製造装置まで到達する恐れがある。その際、電気式脱イオン水製造装置の運転を再開して電流を流すと、濃度拡散により逆流したイオンによって電気式脱イオン水製造装置直後の水の電気抵抗が下がり、混合部まで電気が流れる可能性がでてくる。このため、電気式脱イオン水製造装置と透析液原液混合装置を接続する配管に、逆流防止弁を設置することで、かかる漏電の危険性を排除できる。漏電に伴う感電等の心配がなく安全である基準としては、JIS T0601−1における漏れ電流が10μA以下である。かかる逆流防止弁の設置は、とりわけ電気式脱イオン水製造装置と透析液原液混合装置を透析室内に設置した場合、両装置を繋ぐ配管が短いため、特に有効である。
また、本発明の医療用透析液の製造装置は、さらに、電気式脱イオン水製造装置の脱塩室出口の水質設定を抵抗率で1.0MΩ・cm以上、好ましくは10MΩ・cm以上、特に好ましくは15MΩ・cm以上とすることによって、電気式脱イオン水製造装置の処理水の電気抵抗を増大させ、処理水を介した漏電防止効果を高めることができる。また、電気式脱イオン水製造装置と透析液原液混合装置とを結ぶ配管の一部を、内径25mm以下、好ましくは20mm以下で、かつ長さ1500mm以上、好ましくは2000mm以上の非金属配管部材で施工することによっても漏電防止効果を高めることができる。非金属配管部材としては、PVC配管、シリコンチューブ等が挙げられる。当該配管径が内径25mmを越え、且つ長さが1500mm未満のものは、透析液原液混合装置停止時、濃度拡散により逆流したイオンによって電気式脱イオン水製造装置直後の水の電気抵抗が下がる恐れがでてくる。当該配管は、上記内径及び長さを有するものであれば、逆流防止弁の設置を省略することができるが、逆流防止弁を設置した方が、更に安全性が高まる点で好ましい。
本発明の医療用透析液の製造装置は、逆浸透膜装置の前段に、公知の前処理装置を設置することが、比較的大きな濁質や微生物等を除去して、逆浸透膜装置の負荷を低減して、処理効率を向上させることができる点で好ましい。前処理装置としては、例えば上流側から順に、細孔径が0.5〜10μm程度のフィルター、イオン交換樹脂が充填された軟化装置、活性炭装置及び前段のフィルターよりも細孔径が小さなフィルターを設置したものが挙げられる。
本発明の医療用透析液の製造装置は、電気式脱イオン水製造装置と透析液原液混合装置とを結ぶ配管と、逆浸透膜装置被処理水管とを接続する戻り配管を設置することが、後述する電気式脱イオン水製造装置洗浄工程を実施することができる点で好ましい。
次に、本発明の実施の形態における医療用透析液の製造装置及び医療用透析液の製造方法について図1を参照して説明する。図1は医療用透析液の製造装置の一例を示すフロー図である。図1中、医療用透析液の製造装置10は、上流側から順に、細孔径が0.5〜10μm程度の前段フィルター11、イオン交換樹脂が充填された軟化装置12、塩素等の酸化剤を除去する活性炭装置13、活性炭装置13から流出する不純物を除去する前段のフィルターよりも細孔径が小さな後段フィルター14、逆浸透膜装置1、電気式脱イオン水製造装置2及び透析液原液混合装置3を設置し、これらを接続配管でそれぞれ接続したものである。なお、逆浸透膜装置1の上流側が前処理装置である。なお電気式脱イオン水製造装置2と逆浸透膜装置1の間に、紫外線殺菌装置や紫外線酸化装置を設置することもできる。また、透析液原液混合装置3には透析液原液タンク31から透析液原液が供給されるようになっている。電気式脱イオン水製造装置2と透析液原液混合装置3を接続する配管bには逆流防止弁4が設置され、逆流防止弁4の上流側の配管bと逆浸透膜装置の被処理水供給配管aと接続する戻り配管cが設置されている。なお、逆流防止弁4以外の弁類などは図面簡略化のため、記載が省略されている。
図1の医療用透析液の製造装置10を用いて、医療用透析液を製造するには、逆浸透膜装置1から得られる逆浸透膜処理水を電気式脱イオン水製造装置2に通水して脱イオン処理し、該脱イオン水と透析液原液を透析液原液混合装置3において混合して透析液を得る(透析液製造工程)。得られた透析液は透析治療に用いられる。電気式脱イオン水製造装置2の脱塩室、濃縮室及び電極室の各構造及び充填されるイオン交換体などは、本発明の医療用透析液の製造装置で記載したものと同様である。
なお、電気式脱イオン水製造装置2において、濃縮室、好ましくは濃縮室及び電極室には、イオン交換体、好ましくはカチオン交換体とアニオン交換体の混合イオン交換体が充填されていることが好ましく、更に、脱塩室処理水の一部を、該濃縮室と電極室に流入させることが好ましい。清浄な純水をイオン交換体が充填された濃縮室及び電極室に流すことによって、殺菌効果とウィルス失活効果を付与することができる。また、純水を濃縮室及び電極室に流すと従来のEDIでは電圧が高くなってしまい、運転維持が困難となるが、イオン交換体を充填しているため電圧が低減され、安定な運転をすることができる。
本発明の医療用透析液の製造方法において、逆浸透膜処理水(透過水)中のTOC濃度は100〜1000μgC/l程度である。また、EDI処理水中のTOC濃度は100μgC/l以下、好ましくは1〜10μgC/l、更に好ましくは1μgC/l以下であることが、微生物の発生が極めて厳しい条件となる点で好ましい。
本発明の医療用透析液の製造方法において、透析液製造工程の運転に先立って、逆浸透膜処理水を電気式脱イオン処理して、EDIを洗浄する洗浄工程を行うことが、EDI全体が微生物が存在しない清浄なEDIとすることができ、そこから得られる処理水中には微生物やエンドトキシンが存在しない透析液原液と混合する精製水として好適なものとなる点で好ましい。EDIを洗浄する洗浄工程としては、例えば図1中、EDI処理水が透析液原液混合装置3に流れないように、不図示の弁を閉じ、戻り配管cを通るようにしておき、この状態でEDIを循環運転する。なお、EDIを洗浄する洗浄工程においては、EDI処理水を逆浸透膜装置1の前段に戻すことなく、一部又は全部を系外へ放出するものであってもよい。
EDIを洗浄する洗浄工程は、電気式脱イオン水製造装置の脱イオン処理を印加電流密度0.05〜3A/dm2、好ましくは0.5〜3A/dm2で行うことが好ましい。印加電流密度を通常の純水を製造するEDIの運転条件よりも大きくすることで、より洗浄効果が表れる。また、系内の微生物の繁殖を十分に防止するためには、30分以上、特に1時間以上の運転を行なうのが好ましい。
EDIを洗浄する洗浄工程を実施することにより、系内の微生物が繁殖するのを防止することができる。特に濃縮室や電極室はTOC濃度が高いため、微生物やエンドトキシンが発生し易い。このため、少なくとも濃縮室にはイオン交換体を充填し、処理水を濃縮室と電極室に流入させる洗浄工程を実施することにより、濃縮水中又は電極水中のTOC濃度が低減され、EDIスタック内全体を清浄にすることができる。
本発明の医療用透析液の製造方法において、透析液原液混合装置3が停止した場合、透析液の逆流が懸念されるが、図1の医療用透析液の製造装置10においては、電気式脱イオン水製造装置2と透析液原液混合装置3の間の配管bには、逆流防止弁4が設置されており、透析液原液と混合した後の透析液が逆流してEDI処理水の電気抵抗を低下させ、処理水を介した漏電が起こるのを防止する。また、電気式脱イオン水製造装置2に対する透析液由来の各種イオンによる汚染を防止することによって、処理水水質の高純度化を維持することができる。
透析液の水質基準としては、ISO透析液水質基準(2005)が適用でき、エンドトキシン濃度0.03EU/ml以下、細菌濃度が0.1cfu/ml以下とされている。ISO透析液水質基準(2005)については、例えば透析学会38(2);149−154頁、2005に記載されている。本発明の医療用透析液の製造方法で得られる透析液原液混合装置3に供給されるEDI処理水は、エンドトキシン濃度0.03EU/ml以下、細菌濃度0.1cfu/ml以下のものが安定して得られる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
図1に示す医療用透析液の製造装置を使用し、下記装置仕様及び運転条件により、7時間通水処理して透析液を製造した。精製水の抵抗率、TOC濃度、細菌濃度、エンドトキシン濃度及び逆流防止弁直前の電流値をそれぞれ下記の方法に準拠して測定した。なお、記載のない条件は、純水製造又は透析液混合における通常の条件である。その結果を表1に示す。なお、逆浸透膜処理水であって、EDI未処理水のTOC濃度は200μgC/l、導電率10μS/cmであった。
(前段フィルター);細孔径5μmのミクロポアーフィルター(オルガノ社製)
(軟化装置);全自動軟水装置SAT(オルガノ社製)
(活性炭装置);活性炭濾過装置CAA(オルガノ社製)
(後段フィルター);細孔径1μmのミクロポアーフィルター(オルガノ社製)
(逆浸透膜装置);オスモクリアRO−B(オルガノ社製)
(EDI);スーパーデサリナーSDA−0100(オルガノ社製)
(EDI脱塩室のイオン交換樹脂);IRA120BとIRA402BLの容積比1:1の混合イオン交換樹脂(ともにロームアンドハース社製)
(EDI濃縮室のイオン交換樹脂);IRA120BとIRA402BLの容積比1:1の混合イオン交換樹脂(ともにロームアンドハース社製)
(EDI接液部及び脱塩室を構成する材質);ABS樹脂
(透析液原液混合装置);DAB−30C(日機装社製)
(EDIと透析液原液混合装置との接続配管);内径20mm、長さ2000mmのシリコンチューブ
(軟化装置);全自動軟水装置SAT(オルガノ社製)
(活性炭装置);活性炭濾過装置CAA(オルガノ社製)
(後段フィルター);細孔径1μmのミクロポアーフィルター(オルガノ社製)
(逆浸透膜装置);オスモクリアRO−B(オルガノ社製)
(EDI);スーパーデサリナーSDA−0100(オルガノ社製)
(EDI脱塩室のイオン交換樹脂);IRA120BとIRA402BLの容積比1:1の混合イオン交換樹脂(ともにロームアンドハース社製)
(EDI濃縮室のイオン交換樹脂);IRA120BとIRA402BLの容積比1:1の混合イオン交換樹脂(ともにロームアンドハース社製)
(EDI接液部及び脱塩室を構成する材質);ABS樹脂
(透析液原液混合装置);DAB−30C(日機装社製)
(EDIと透析液原液混合装置との接続配管);内径20mm、長さ2000mmのシリコンチューブ
・原水;戸田市水道水
・ 精製水採水量(EDI処理水流量);100L/h
・ EDIの印加電流;0.3A/dm2
・EDI濃縮室流量;EDIの処理水の一部を30L/hで流す
・EDI電極室流量;EDIの処理水の一部を10L/hで流す
・ 精製水温度;37℃一定
・ 精製水採水量(EDI処理水流量);100L/h
・ EDIの印加電流;0.3A/dm2
・EDI濃縮室流量;EDIの処理水の一部を30L/hで流す
・EDI電極室流量;EDIの処理水の一部を10L/hで流す
・ 精製水温度;37℃一定
(細菌濃度);オートクレーブ又は乾熱滅菌したガラス製濾過びんおよびフィルターホルダーに細孔径0.45μmのミリポアフィルターを設置し、被処理水を吸引濾過し、濾過したフィルターを低栄養培地であるR2A培地の入ったシャーレに乗せて、約1週間25℃で培養し、培養後の細菌濃度をカウントする。
(エンドトキシン濃度);リムルス試薬を用いた公知の方法で行った。
(漏れ電流);逆流防止弁の直近上流側の配管中を流れる流体の漏れ電流をJIS T0601−1に従って測定した。漏れ電流が10μA以下であれば、人体に感電などの影響がないとされている。
EDIの印加電流密度0.3A/dm2に代えて、0.5A/dm2とした以外は、実施例1と同様とした。
比較例1
図1に示す医療用透析液の製造装置において、EDIの設置及び逆流防止弁の設置を省略した以外は、実施例1と同様の方法で行った。従って、逆浸透膜装置と透析液原液混合装置との接続配管は、内径20mm、長さ2000mmのシリコンチューブである。
図1に示す医療用透析液の製造装置において、EDIの設置及び逆流防止弁の設置を省略した以外は、実施例1と同様の方法で行った。従って、逆浸透膜装置と透析液原液混合装置との接続配管は、内径20mm、長さ2000mmのシリコンチューブである。
表1の結果から明らかなように、実施例1は精製水の水質が良好で、TOC(全有機体炭素)、細菌及びエンドトキシン濃度がいずれも比較例1に比較して低い。また、実施例2は実施例1よりもTOC濃度が低いが、これは電気式脱イオン水製造装置の脱イオン性能が電流密度に反比例して減少したためと思われる。なお、実施例1及び2はISOの透析液水質基準(2005年)を十分に満たしている。比較例1はTOC濃度及び細菌濃度共に高く、透析液用精製水としては不適なものである。
精製水の抵抗率16MΩ・cmに代えて、10MΩ・cmとした以外は、実施例1と同様の方法で行った。なお、この精製水の抵抗率の調整は、EDI被処理水中に塩化ナトリウムを添加し、供給水のイオン負荷を変えることで行った。なお、評価項目は、漏れ電流のみとした。その結果を表2に示す。
精製水の抵抗率16MΩ・cmに代えて、1MΩ・cmとした以外は、実施例1と同様の方法で行った。なお、この精製水の抵抗率の調整は、EDI被処理水中に塩化ナトリウムを添加し、供給水のイオン負荷を変えることで行った。なお、評価項目は、漏れ電流のみとした。その結果を表2に示す。
参考例1
精製水の抵抗率16MΩ・cmに代えて、0.1MΩ・cmとした以外は、実施例1と同様の方法で行った。なお、この精製水の抵抗率の調整は、EDI被処理水中に塩化ナトリウムを添加し、供給水のイオン負荷を変えることで行った。なお、評価項目は、漏れ電流のみとした。その結果を表2に示す。
精製水の抵抗率16MΩ・cmに代えて、0.1MΩ・cmとした以外は、実施例1と同様の方法で行った。なお、この精製水の抵抗率の調整は、EDI被処理水中に塩化ナトリウムを添加し、供給水のイオン負荷を変えることで行った。なお、評価項目は、漏れ電流のみとした。その結果を表2に示す。
表2の結果から明らかなように、実施例3及び4では逆流防止弁直前の漏れ電流値は10μA以下であり、JIS規格を満たしていることから、漏電の心配が無く安全であることが確認された。一方、参考例1は逆流防止弁直前の電流値が10μAを上回っており、人体への感電等の危険性が懸念される。
EDIと透析液原液混合装置とを結ぶ配管の内径20mmに代えて、5mmとした以外は、実施例1と同様とした。なお、評価項目は、漏れ電流のみとした。その結果を表3に示す。
EDIと透析液原液混合装置とを結ぶ配管の内径20mmに代えて、12mmとした以外は、実施例1と同様とした。なお、評価項目は、漏れ電流のみとした。その結果を表3に示す。
参考例2
EDIと透析液原液混合装置とを結ぶ配管の内径20mmに代えて、50mmとした以外は、実施例1と同様とした。なお、評価項目は、漏れ電流のみとした。その結果を表3に示す。
EDIと透析液原液混合装置とを結ぶ配管の内径20mmに代えて、50mmとした以外は、実施例1と同様とした。なお、評価項目は、漏れ電流のみとした。その結果を表3に示す。
表3の結果から明らかなように、実施例5及び6では逆流防止弁直前の電流値は10μA以下であり、JIS規格を満たしていることから、漏電に伴う感電等の心配が無く安全である。一方、参考例2は逆流防止弁直前の電流値が10μAを上回っており、人体への感電等の危険性が懸念される。
EDIと透析液原液混合装置とを結ぶ配管の長さ2000mmに代えて、3000mmとした以外は、実施例1と同様とした。なお、評価項目は、漏れ電流のみとした。その結果を表4に示す。
EDIと透析液原液混合装置とを結ぶ配管の長さ2000mmに代えて、1500mmとした以外は、実施例1と同様とした。なお、評価項目は、漏れ電流のみとした。その結果を表4に示す。
参考例3
EDIと透析液原液混合装置とを結ぶ配管の長さ2000mmに代えて、750mmとした以外は、実施例1と同様とした。なお、評価項目は、漏れ電流のみとした。その結果を表4に示す。
EDIと透析液原液混合装置とを結ぶ配管の長さ2000mmに代えて、750mmとした以外は、実施例1と同様とした。なお、評価項目は、漏れ電流のみとした。その結果を表4に示す。
表4の結果から明らかなように、実施例7及び8では逆流防止弁直前の電流値は10μA以下であり、JIS規格を満たしていることから、漏電に伴う感電等の心配が無く安全であることが確認された。一方、参考例3は逆流防止弁直前の電流値が10μAを僅かに上回った。
透析液製造工程の運転後、医療用透析液の製造装置を1週間停止した後、透析液製造工程を再実施するのに先立って、4時間の電気式脱イオン水製造装置洗浄工程を実施し、その後、透析液製造工程を開始して、開始後5分後のEDI処理水をサンプリングしたこと以外は実施例1と同様とした。なお、洗浄工程時の印加電流は1.0A/dm2とし、EDI処理水の50%を逆浸透膜装置の前段に戻して循環運転させ、残りの50%を系外へ排出した。評価方法は、精製水のTOC濃度、細菌濃度及びエンドトキシン濃度を測定することで行った。その結果を表5に示す。
参考例4
洗浄工程時の印加電流を1.0A/dm2に代えて、0.01A/dm2とした
以外は、実施例9と同様とした。その結果を表5に示す。
洗浄工程時の印加電流を1.0A/dm2に代えて、0.01A/dm2とした
以外は、実施例9と同様とした。その結果を表5に示す。
参考例5
洗浄工程を行わなかったこと以外は、実施例9と同様とした。その結果を表5に示す。
洗浄工程を行わなかったこと以外は、実施例9と同様とした。その結果を表5に示す。
表5の結果から明らかなように、実施例9では透析液製造モードの運転を開始直後でもEDI処理水中のTOC、細菌、エンドトキシンの各濃度は低く、清浄な処理水水質であることが確認された。一方、参考例4ではEDI処理水中のTOC、細菌、エンドトキシンの各濃度は全て実施例9に比較して高い値を示しており、清浄度合いは十分とは言えない。参考例5では参考例4に比べてさらにEDI処理水中のTOC、細菌、エンドトキシン濃度は高くなっていて、EDI処理水の清浄化が不十分であることが確認された。
本発明の医療用透析液の製造装置および製造方法は、微生物やエンドトキシンによる汚染が実質的にない医療用透析液を安価に且つ安全に提供できるため、透析を行う病院などにおいて有用な技術となる。
1 逆浸透膜装置
2 電気式脱イオン水製造装置
3 透析原液混合装置
4 逆流防止弁
10 医療用透析液の製造装置
11 前段フィルター
12 軟化装置
13 活性炭装置
14 後段フィルター
a、b、c 配管
2 電気式脱イオン水製造装置
3 透析原液混合装置
4 逆流防止弁
10 医療用透析液の製造装置
11 前段フィルター
12 軟化装置
13 活性炭装置
14 後段フィルター
a、b、c 配管
Claims (15)
- 逆浸透膜処理装置と、電気式脱イオン水製造装置と、該電気式脱イオン水製造装置の処理水と透析液原液を混合して透析液を得る透析液原液混合装置を、この順序で配置してなることを特徴とする医療用透析液の製造装置。
- 前記逆浸透膜処理装置と前記電気式脱イオン水製造装置を透析室の外に設置し、前記透析液原液混合装置を透析室内に設置することを特徴とする請求項1記載の医療用透析液の製造装置。
- 少なくとも前記電気式脱イオン水製造装置と前記透析液原液混合装置を透析室内に設置することを特徴とする請求項1記載の医療用透析液の製造装置。
- 前記電気式脱イオン水製造装置と前記透析液原液混合装置を接続する配管に、透析液の逆流を防止する逆流防止弁を設置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用透析液の製造装置。
- 前記脱塩室、濃縮室又は前記電極室は、熱水による加熱処理されたイオン交換体が充填されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療用透析液の製造装置。
- 前記脱塩室は、アニオン交換体単床及びアニオン交換体とカチオン交換体の混床を少なくとも備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療用透析液の製造装置。
- 前記濃縮室又は前記電極室に充填されるイオン交換体が、アニオン交換体とカチオン交換体の混合イオン交換体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療用透析液の製造装置。
- 前記電気式脱イオン水製造装置の処理水の抵抗率が、1.0MΩ・cm以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療用透析液の製造装置。
- 前記電気式脱イオン水製造装置と前記透析液原液混合装置を結ぶ配管の少なくとも一部が、内径25mm以下で、且つ長さ1500mm以上の非金属配管部材で構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の医療用透析液の製造装置。
- 前記電気式脱イオン水製造装置の接液部の材質は抗菌性プラスチックであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の医療用透析液の製造装置。
- 逆浸透膜処理水を電気式脱イオン処理し、該脱イオン水と透析液原液を混合して透析液を得ることを特徴とする医療用透析液の製造方法。
- 前記電気式脱イオン水製造装置の処理水中の有機体炭素(TOC)濃度が100μgC/L以下とすることを特徴とする請求項11に記載の医療用透析液の製造方法。
- 前記電気式脱イオン水製造装置の処理水の一部を、該電気式脱イオン水製造装置のイオン交換体が充填された濃縮室又は電極室に流入させることを特徴とする請求項11又は12に記載の医療用透析液の製造方法。
- 逆浸透膜処理水を電気式脱イオン処理し、該脱イオン水と透析液原液を混合して透析液を得る透析液製造工程の運転に先立って、逆浸透膜処理水を電気式脱イオン処理して、電気式脱イオン水製造装置を洗浄する洗浄工程を行うことを特徴とする請求項11に記載の医療用透析液の製造方法。
- 前記洗浄工程は、電気式脱イオン水製造装置の脱イオン処理を印加電流密度0.05〜3A/dm2で行うことを特徴とする請求項14に記載の医療用透析液の製造方法。
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