JP2007243918A - 弾性表面波素子および電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】弾性表面波素子の特性を向上させる。特に、素子の電極の劣化を低減する。
【解決手段】基板10と、基板の主表面のダイヤモンド層10b上に形成された圧電体膜13と、この上側に形成された弾性表面波発生用の櫛歯型電極15aと、この電極上に電極を覆うよう形成され、圧電体膜13と同じ材料からなる電極被覆膜17と、を有するよう弾性表面波素子を構成する。このように、櫛歯型電極15aの全体を圧電体膜13と圧電体膜と同じ材料からなる電極被覆膜17とで覆うことにより、電極のストレスマイグレーション耐性を向上させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)を利用したデバイスに関するものである。
弾性表面波素子(表面弾性波素子、SAWフィルタ)は、圧電材料表面を伝搬する表面波を利用した、電気−機械変換素子であり、圧電材料およびその上部に形成された一対の櫛歯型電極(IDT:interdigital transducer)を基本構成として有する。例えば、一方の櫛歯型電極に電気信号が印加されると、圧電材料に歪みが生じ、これが弾性表面波となって伝搬し、他方の櫛歯型電極から電気信号が取り出される。この際、特定の周波数が選び出されるため、共振子、フィルタ等として利用される。
これらの素子は、通信機器(無線機器、有線機器)、センサ、タッチパネル等の種々の分野で利用されており、特に、携帯電話に代表される移動体通信の分野においては必須の素子となっている。また、放送局や携帯電話基地局等のシステム装置にも用いられ、これらのシステム(例えばアンテナ部)には、高性能の装置(素子)が組み込まれている。
例えば、光通信や移動体通信における信号の高周波化に伴い、弾性表面波素子を構成する各種材料の検討が盛んに行われている。これは、追って詳細に説明するように、弾性表面波素子の周波数を大きくする手段としては、1)櫛歯型電極の電極間隔を小さくする、2)弾性表面波の伝搬速度を大きくすることが挙げられる。このうち、櫛歯型電極の電極間隔を小さくするには、微細加工技術の限界により制限を受けるため、弾性表面波の伝搬速度を増加させる技術が重要となっているからである。
例えば、サファイアやダイヤモンドを用いた素子が検討されている。中でも、ダイヤモンド層と圧電材料を積層させることにより上記伝搬速度を向上させる技術が注目されている。
例えば、特開平6−232677号公報(特許文献1)には、ダイヤモンド等よりなる層と金属酸化物よりなる層と圧電体よりなる層との積層構造を採用した弾性表面波素子に関する技術が開示されている。
また、特開平9−98059号公報(特許文献2)には、ダイヤモンド層と、ZnO層と、SiO2層の積層構造を採用し、高周波領域で優れた動作特性を有する弾性表面波素子に関する技術が開示されている。
特開平6−232677号公報 特開平9−98059号公報
本発明者らは、弾性表面波素子を有する各種電子機器に関する研究、開発に従事しており、より高性能な素子構造を検討している。
即ち、1)伝搬速度が大きい、2)電気機械的結合係数が大きい、3)周波数温度変化が小さい、4)耐電力が大きいといった、性能を有する素子構造を検討している。
しかしながら、例えば、上記特許文献1においては、その図2等に示すように、くし型電極をSiO2薄膜で覆う構造となっているため、当該膜の内部応力が電極に加わり易く、電極が壊れ易いといった問題がある。また、放熱性も悪くなるため、熱応力による電極の劣化も問題となる。
また、上記特許文献2においても、櫛歯型電極をZnO層で覆う構造となっているため、同様に、ZnOの内部応力や放熱性が問題となる。また、金属である櫛歯型電極上のZnOの結晶性にも問題がある。
このような電極の劣化は、耐電力性の低下につながり、弾性表面波素子の特性劣化を招く。
本発明は、弾性表面波素子の特性を向上させることを目的とする。特に、素子の電極の劣化を低減することを目的とする。また、電極の劣化を低減し、耐電力性を向上させつつ、伝搬速度を向上し、電気機械的結合係数を大きくし、もしくは、周波数温度変化を低減することを目的とする。
(1)本発明に係る弾性表面波素子は、(a)基板と、(b)前記基板の上側に形成された圧電体膜と、(c)前記圧電体膜の上側に形成された弾性表面波発生用の電極と、(d)前記電極上に前記電極を覆うよう形成され、前記圧電体膜と同じ材料からなる第1被膜と、(e)前記被膜上に形成された第2被膜と、を有する。
このように、電極上に圧電体膜と同じ材料からなる被膜を電極を覆うように配置したので、電極全体が圧電体膜で囲まれることになり、電極のストレスマイグレーション特性(耐性)が向上する。その結果、電極の劣化を低減し、耐電力性を向上させることができ、弾性表面波素子の特性を向上させることができる。
例えば、前記圧電体膜および前記第1被膜は、酸化亜鉛、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、および窒化アルミニウムのいずれかで構成される。
例えば、前記基板は、その表面に硬質層を有し、前記硬質層上に前記圧電体膜が形成されている。このように、硬質層を用いることで、電極の劣化を低減し、耐電力性を向上させつつ、伝搬速度を向上し、電気機械的結合係数を大きくし、もしくは、周波数温度変化を低減することができる。
例えば、前記硬質層は、ダイヤモンド、窒化ホウ素およびサファイアのいずれかで構成される。
例えば、前記被膜の膜厚をhとし、前記弾性表面波素子の弾性表面波の波数をkとした場合、これらの積(kh)が、0.003以上0.2以下である。かかる範囲内となるよう被膜の膜厚を設定することで、電極の劣化を低減し、耐電力性を向上させつつ、伝搬速度を向上し、電気機械的結合係数を大きくし、もしくは、周波数温度変化を低減することができる。
前記基板は、多結晶の硬質層を有し、前記圧電体膜は、前記硬質層上に形成された多結晶膜である。かかる構成によれば、圧電体膜が多結晶であっても耐電力性を向上させることができる。
(2)本発明に係る弾性表面波素子は、(a)硬質層を有する基板と、(b)前記硬質層上に形成された圧電体膜と、(c)前記圧電体膜の上側に形成された弾性表面波発生用の電極と、(d)前記電極上に前記電極を覆うよう形成された熱伝導率がアモルファスSiO2より大きい第1被膜と、(e)前記第1被膜上に形成された第2被膜と、を有する。
このように、電極上に熱伝導率がアモルファスSiO2より大きい第1被膜を電極を覆うように配置したので、放熱性を向上させることができ、弾性表面波素子の特性を向上させることができる。
例えば、前記圧電体膜は、酸化亜鉛、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、および窒化アルミニウムのいずれかで構成される。
例えば、前記第1被膜は、熱伝導率が10W/mK以上である。
例えば、前記第1被膜は、酸化亜鉛もしくは窒化アルミニウムである。
(3)本発明に係る電子機器は、上記弾性表面波素子を有する。ここで「電子機器」とは、電子回路等を用いて一定の機能を実現する機器一般をいい、その構成には特に限定がないが、例えば、携帯電話、パーソナルコンピュータ、PDA(携帯型情報端末)、電子手帳など各種機器が挙げられる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同一の機能を有するものには同一もしくは関連の符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
(実施の形態1)
図1および図2は、本実施の形態の弾性表面波素子の製造方法を示す工程断面図である。
まず、本実施の形態の弾性表面波素子の構造について説明する。最終工程図である図2(b)に示すように、本実施の形態の弾性表面波素子は、基板10、圧電体膜13、櫛歯型電極15a、電極被覆膜17、保護膜19を有している。
基板10は、各要素を支持するものであり、本実施の形態ではダイヤモンド基板が用いられている。ここでいうダイヤモンド基板とは、シリコン層(シリコン基板)10a上に、ダイヤモンド層10bが形成された基板をいう。
このように、その表面にダイヤモンド等の硬質層(硬質膜)が形成された基板10を用いることで、弾性表面波の伝搬速度を大きくすることができ、対応周波数の高周波化を実現できる。また、上記硬質層を用いることで、電気機械的結合係数を大きくすることができる。硬質層としては、ダイヤモンドの他、窒化ホウ素やサファイアを用いることができる。中でも、ダイヤモンドは硬度が大きく、弾性表面波素子に用いて好適である。
圧電体膜(圧電膜、圧電体膜、圧電体、圧電材料)13は、基板10の一面側(ダイヤモンド層10b上)に形成され、その構成材料としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)等が用いられる。なお、この圧電体膜13は、圧電性を有する構成材料であれば酸化亜鉛以外のものを用いてもよい。かかる構成材料としては、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、窒化アルミニウム(AlN)などが挙げられる。
櫛歯型電極15aは、圧電体膜13上に形成され、一対の櫛歯状の平面パターンを有し(図3参照)、例えばアルミニウム(Al)等の導電性材料を用いて構成される。この一対の櫛歯型電極15aは、弾性表面波発生用電極(弾性表面波励振用電極、電気機械変換を行うための電極)であり、一方の櫛歯型電極に電気信号が印加されると、圧電体膜13に歪みが生じ、これが弾性表面波となって伝搬し、他方の櫛歯型電極15aから電気信号が取り出される。この際、特定の周波数が選び出される。弾性表面波素子の周波数帯域(周波数特性)は、一つの櫛歯型電極15aの電極間隔(d)と、弾性表面波の伝搬速度(v)とを用いて、v/dで表される周波数(f=v/d)を中心とした帯域通過特性を有する。従って、上記ダイヤモンド等の硬質層を用いることで伝搬速度(v)が大きくなり高周波対応を実現できる。
電極被覆膜(電極被覆層、被膜、第1保護膜、絶縁層)17は、圧電体膜13を構成する材料と同じ材料からなり、櫛歯型電極15aの全体を覆うように、櫛歯型電極15a上に形成される。即ち、圧電体膜13の露出部および櫛歯型電極15a上に形成される。
このように、本実施の形態によれば、圧電体膜13を構成する材料と同じ材料(電極被覆膜17)で櫛歯型電極15aを被覆したので、櫛歯型電極15aの全体が、圧電体膜(13、17)で囲まれることとなる。その結果、櫛歯型電極15aのストレスマイグレーション耐性が向上する。
例えば、電極被覆膜17を圧電体膜13を構成する材料と異なる材料で形成した場合、これらの膜の内部応力や熱膨張係数の差によって、櫛歯型電極15aに応力が加わり、電極破壊の要因となる。
これに対し、本実施の形態においては、櫛歯型電極15aを、圧電体膜(13、17)で囲むことにより、ストレスマイグレーション耐性を向上させることができる。
また、電極被覆膜17として酸化亜鉛や窒化アルミニウムを用いた場合、これらの半導体的性質により、静電破壊を低減することができる。
なお、ここで、圧電体膜13を構成する材料と同じ材料とは、主たる組成が同じ材料をいい、例えば、成膜条件(処理温度、反応ガス種やその流量等)によって変化し得る種々の特性まで全く同一であることを意味するものではない。
また、追って詳細に説明するように、この電極被覆膜17は、圧電体膜13と比較して薄く、例えば、圧電体膜13が525nm程度、電極被覆膜17は、50nm程度で、1/10以下である。また、電極被覆膜17の膜厚をh、弾性表面波の波数(周波数の逆数)をkとした場合、これらの積(hk)が、0.003以上0.2以下の範囲であることが好ましい。
保護膜(第2保護膜、絶縁層)19は、電極被覆膜17上に形成され、例えば酸化シリコン(SiO2)などの絶縁物よりなる。この保護膜19は、圧電体膜13や櫛歯型電極15aなどを外界から保護する役割を果たす。また、圧電体膜13や櫛歯型電極15aは、電極被覆膜17で覆われているため、当該膜も保護膜としての役割を果たすが、当該膜の膜厚が小さいため、保護膜19は、保護力を補う役割も果たす。保護膜19としては、酸化シリコンの他、アルミナ(酸化アルミニウム、AlO3)やリン酸ガリウム(GaPO3)などを用いてもよい。
このように、本実施の形態の弾性表面波素子においては、上層から、保護膜(SiO2)19、電極被覆膜(ZnO)17、櫛歯型電極15a、圧電体膜(ZnO)13およびダイヤモンド層10bの積層構造となっている。
なお、図2(b)においては図示していないが、櫛歯型電極15aは、電極パッドPと接続され、例えば図3に示すように一連のパターンとして形成される。この電極パッドP上の電極被覆膜17および保護膜19は除去され、電極パッドPは露出している。この電極パッドPと、外部端子とがワイヤー等を用いて接続(ワイヤーボンディング)され、弾性表面波素子と外部との電気的接続が図れる。
次いで、本実施の形態の弾性表面波素子の製造工程について説明する。
図1(a)に示すように、基板10としてダイヤモンド層10bを主表面に有するダイヤモンド基板を準備する。ここでは、例えば、1000μm(平均厚さ)程度のシリコン層10a上に、20μm(平均厚さ)程度の多結晶のダイヤモンド層10bが形成された基板10を使用する。
次いで、図1(b)に示すように、ダイヤモンド層10b上に、圧電体膜13として例えば酸化亜鉛膜を、RF(高周波:radio frequency)スパッタリング法(以下、単に「スパッタ法」という)などの成膜方法を用いて525nm(平均厚さ)程度、堆積(被着)する。成膜条件は、例えば、パワー1.0kW、成膜温度500℃、ガス圧力(雰囲気圧)0.5Paで、酸化亜鉛の焼結体をターゲット材とし、反応ガスとして流量50sccmのアルゴン(Ar)および50sccmの酸素(O2)を用いて成膜する。
次いで、導電性膜15として例えばAl(アルミニウム)膜をDC(直流)スパッタ法などの成膜方法を用いて42nm(平均厚さ)程度、堆積する。成膜条件は、例えば、パワー1.0kW、成膜温度25℃(室温)、ガス圧力(雰囲気圧)1.0Paで、Alをターゲット材とし、雰囲気ガスとして流量50sccmのArを用いて成膜する。
次いで、図1(c)に示すように、導電性膜15をパターニングすることにより櫛歯型電極15aを形成する。パターニング方法としては、例えば、導電性膜15上に、フォトレジスト膜(図示せず)を塗布した後、露光・現像(フォトリソグラフィー)することにより櫛歯型のパターンを有するフォトレジスト膜(以下、単に「レジスト膜」という)を形成する。次いで、このレジスト膜をマスクにエッチングを行うことにより、レジスト膜で覆われていない導電性膜15を除去し、櫛歯型電極15aを形成する。エッチングは、例えばRIE(reactive ion etching)により行い、反応性ガスとして、例えば、塩化ホウ素(BC13)および塩素(Cl2)を主成分とするガスを用いる。その後、残存するレジスト膜を除去する。
次いで、図2(a)に示すように、圧電体膜13の露出部および櫛歯型電極15a上に、電極被覆膜17として圧電体膜13と同じ材料からなる膜(層)を形成する。この場合、酸化亜鉛膜を、圧電体膜13上において50nm(平均厚さ)程度、堆積する。例えば、RFスパッタ法などの成膜方法を用い、例えば、パワー1.0kW、成膜温度250℃、ガス圧力(雰囲気圧)0.5Paで、酸化亜鉛の焼結体をターゲット材とし、反応ガスとして流量50sccmのArおよび50sccmのO2を用いて成膜する。
この電極被覆膜17は、圧電体膜13の露出部および櫛歯型電極15a上に形成される、即ち、異なる膜上に形成されるため、その膜の成長性(配向性)が、下層の圧電体膜13より低下する。しかしながら、この電極被覆膜17は、その膜厚が小さいため圧電特性への影響は少ない。
次いで、図2(b)に示すように、保護膜(第2保護膜、絶縁層)19として、電極被覆膜17上に、例えば、酸化シリコン膜を、RFスパッタ法などの成膜方法を用いて420nm(平均厚さ)程度、堆積する。成膜条件は、例えば、パワー1.0kW、成膜温度200℃、ガス圧力(雰囲気圧)0.5Paで、酸化シリコンの焼結体をターゲット材とし、反応ガスとして流量50sccmのArおよび50sccmのO2を用いて成膜する。
以上の工程により、弾性表面波素子がほぼ完成する。
図3は、本実施の形態の櫛歯型電極15aのパターンの一例を示す平面図である。Pは、電極パッドを示す。但し、パターン形状は、図3に示すものに限定されるものではなく、例えば、各電極の櫛歯の数を変え、また、その形状を他の形状としてもよい。また、各電極の配置位置や個数を変えてもよい。
上記工程にて形成された弾性表面波素子の特性について、ベクトルネットワークアナライザ(HP8753c)を用いて検証した。当該アナライザを用いてSパラメータを測定し、測定結果から挿入損失を評価した。
なお、弾性表面波素子から30dBm以上の出力パワーを得るため、高周波アンプを取り付け、入力パワーを上記出力パワーに対応させられるように調整した。即ち、弾性表面波素子の入力側の櫛歯型電極に高周波を印加し、表面波を励起させ、出力側の櫛歯型電極から出力される信号(S21)を測定し、上記挿入損失を求めた。ここで、S21とは、電力の透過特性を示すパラメータ(Sパラメータ)であり、伝送波電力/入力波電力で表される素子の伝送特性であり、大きいほど電力損失の小さい優れた素子である。このS21の値の符合を正にすることにより挿入損失が求められる。
挿入損失の評価の結果、本実施の形態の弾性表面波素子は、挿入損失6dB程度の良好な結果を得た。
かかる挿入損失の増加は、櫛歯型電極の破壊や欠損によって生じる。しかしながら、本実施の形態の弾性表面波素子は、上述の通りストレスマイグレーション耐性や静電耐性が向上しているため、櫛歯型電極の破壊や欠損が低減され、挿入損失の減少に繋がったと考えられる。
また、本実施の形態の弾性表面波素子は、ストレスマイグレーション耐性や静電耐性が向上しているため、耐電力性が向上し、300mW以上の耐電力性を有する。
また、本実施の形態の弾性表面波素子においては、圧電体膜13に対して、電極被覆膜(圧電体膜13と同じ材料よりなる膜)17を薄く形成した(例えば上記例では、圧電体膜13が525nm程度であるのに対し、電極被覆膜17は、50nm程度でり、1/10以下である)、ので電極被覆膜17を形成しない弾性表面波素子と同等の弾性表面波伝搬速度、電気機械結合係数および周波数温度特性を有する。
特に、本発明者らの検討の結果、電極被覆膜17の膜厚をh〔Å:オングストローム、10-8cm〕、弾性表面波の波数をk=2π/λ〔m-1〕とした場合、これらの積(hk)が、0.003以上0.2以下の範囲においては、電極被覆膜17を形成しない弾性表面波素子と同等の弾性表面波伝搬速度、電気機械結合係数および周波数温度特性を得た。
さらに、上述したように、本実施の形態の弾性表面波素子は、ストレスマイグレーション耐性や静電耐性が向上しているため、電極被覆膜17を形成しない、もしくは圧電体膜13と異なる材料で形成した弾性表面波素子と比較し、耐電力性が向上する。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、実施の形態1で詳細に説明したSiO2/ZnO/ダイヤモンド構造を有するSAWレゾネータの特性について詳細に説明する。かかるSAWレゾネータは、上述したように、GHz帯の周波数と温度安定性に優れる。このSAWレゾネータを用い、低位相ノイズを持つ2〜3GHz帯発振器が実現可能である。
レッスンモデル(Lesson's Model)によると発振ループ内の電力を上げれば位相ノイズをより小さくすることが可能である。つまり、位相ノイズを小さくするためには、電力アップに耐えうるSAWレゾネータ構造とする必要がある。
ここでは、IDTの上下にZnOを配置することで、耐電力特性の向上を確認したので、以下に説明する。
例えば、9000m/s以上の高い位相速度を維持し、周波数温度特性の頂点温度25℃のデバイスを得るため以下の検討を行った。まず、SiO2のKH(KH SiO2)とIDT上のZnOのKH(KH ZnO(over the IDT))を図6に示すように変化させた。KH=2πH/λであり、Hは、膜厚、λは、波長である。ここでは、K、Hを大文字で示す。図6は、SiO2のKH、IDT上のZnOのKHおよびこれらの比を示す図である。ここで、SiO2とIDT上のZnOの合計膜厚についてのKHが、0.72の構造(Type1)と、0.92の構造(Type2)について、SiO2とIDT上のZnOのKH比を変えて検討を行った。IDT下のZnOのKHは、0.82とした。
次いで、これらのデバイスの位相速度と周波数温度係数(TCF:Temperature Coefficient Frequency:ppm/℃)の一次係数をFEMにより求めた(図7、図8参照)。FEMは、有限要素法(Finite Element Method)である。
図7は、各デバイス(Type1(a)〜(d)、Type2(a)〜(d))の位相速度(Phase Velocity:m/s)を示すグラフである。図示するように、IDT上のZnOの増加に伴って、位相速度が上昇する傾向が見られた。また、Type1(b)〜(d)およびType2(b)〜(d)について、9000m/s以上の高い位相速度が確認された。
図8は、各デバイスの周波数温度係数(TCF)を示すグラフである。これより、周波数温度特性の頂点温度を求める。
なお、デバイスの周波数温度特性は、図9に示す式[i](近似曲線)で表される。式中のΔfは、周波数変動量、f0は、中心周波数、Tは、温度を示す。ここで、温度Tで周波数fを2回微分している項の係数βを2次TCF、温度Tで周波数fを1回微分している項の係数αを1次TCFと称する。
ここでは、各膜の2次TCFが導出されておらず正確に予測するのは困難であるため、Type1(a)の2次TCFの実測値から各デバイスの頂点温度を近似的に求めた。具体的には、Type1(a)の2次TCFの実測値(−0.02ppm/℃)と、FEMにより求めた1次TCFから各デバイスの頂点温度を求めた。その結果、1次TCFが28.0ppm/℃であるType2(c)の頂点温度が25℃となるとシミュレーションされた。
よって、Type2(c)の構造が今回の狙いの位相速度および温度特性を満足するとものと判断される。
次いで、Type2(c)の構造のデバイスの作成、評価を行った。図10は、Type2(c)の2ポート共振子(S21)の特性を示す図である。縦軸はS21[dB]、横軸は周波数[MHz]を示す。なお、比較のため、Type1(a)のS21特性も示す。このType2(c)は、周波数2.45GHz、挿入損失6dB、Q値495であった。図示するように、Type1(a)(比較例)と遜色のない特性が得られた。なお、電気機械結合係数の増加のため比較例よりQ値が若干小さくなった。この点については、櫛歯の数を増やすなどの電極設計の変更により、Q値を上昇させることが可能である。また、Type2(c)の、2次TCFは、−0.021ppm/℃2、一次TCFは、2.5ppm/℃、頂点温度は、57℃となった。なお、上記シュミュレーションは、単結晶材料の材料定数を用いている。しかしながら、実デバイスは多結晶、また薄膜であるため上記シミュレーションとの差が生じた。また、このS21特性は、図11に示す評価回路を用いて測定した。図11は、S21の評価回路を示す図である。図中、SAWは、評価対象デバイス、NAは、ベクトルネットワークアナライザ、ATTは、アッテネータである。入力パワーを変化させるために、NAとSAWとの間に高周波アンプを接続してもよい。
次いで、Type2(c)の構造のデバイスの耐電力試験を行った。この耐電力試験は、室温にてデバイス(共振子)の中心周波数である2.45GHzの信号を用いて25dBm(300mW)の入力電力の投入を行い、周波数特性(挿入損失)を測定した。比較のため、Type1(a)についても同様の測定を行った。
図12に、挿入損失(ΔIL[dB])と時間の関係を示す。図示するように、Type1(a)では、入力電力の投入直後に挿入損失が大幅に増加した。これに対し、Type2(c)においては、300秒間、入力電力を投入しても、挿入損失に変化が見られなかった。このように、Type2(c)の構造のデバイスは、その耐電力が25dBm(300mW)であり、耐電力が10dBm(10mW)程度のType1(a)の構造のデバイスと比較し、大幅な耐電力向上が確認できた。
このように、耐電力特性が向上した理由については、実施の形態1でも説明したように、IDTに対する応力緩和が要因と考えられる。即ち、IDTの上下に同一材料(ZnO)を配置したので、これらの温度特性が同じとなる。よって、IDTの上下間での応力差が減少したためと考えられる。また、IDTに接触しているZnOがバリスタの役割を果たし、電極の破壊耐性が向上したためと考えられる。
ここで、本実施の形態においては、頂点温度25℃を狙いとしたためType2(c)についてその特性を詳細に説明した。しかしながら、この頂点温度は、デバイスの使用目的などによって異なるため、その都度設定される条件である。よって、他のデバイス(Type1(b)〜(d)、Type2(b)、(d))においても、耐電力特性の向上などの上記効果を奏する。よって、IDT上のZnOのKHは、少なくとも0.07以上0.2以下で上記効果を奏する(図6参照)。
また、位相速度について上記Type1(a)〜(d)に加え、図13に示すType1(e)および(f)についてもFEM計算を実施した。図13は、Type1(a)〜(f)のSiO2のKHおよびIDT上のZnOのKHを示す図である。各デバイス(Type1(a)〜(f))の位相速度を図14に示す。
図示するように、位相速度に関しては、Type1(d)が最大値となる。IDT上にZnOを配置しなかったType1(a)と同程度の位相速度となる際のIDT上のZnOのKH(KHZnO(over the IDT))は0.4である。よって、IDT上のZnOのKHが、0.4以上でType1(a)以上の位相速度を確保することができる。また、位相速度が大きく(IDT上のZnOのKHが大きく)なれば、IDT線幅を太くできる。よって、加工がし易くなるというメリットがある。よって、IDT上のZnOのKHは、0より大きく、かつ0.4以下の範囲でも効果的である。
また、本実施の形態においては、IDTの上下に同一材料(ZnO)を配置したが、IDTの上下に同じ符号の温度特性を材料を配置してもよい。即ち、IDTの下層に形成される圧電体と同じ符号の温度特性を有する材料をIDTの上層に配置してもよい。この場合も、IDTの上下間での応力差が緩和される。もちろん、同一材料がより好ましいことは上述した通りである。
(実施の形態3)
実施の形態1、2においては、応力緩和の観点からIDT(デバイス)の特性の向上を図ったが、本実施の形態においては、放熱性を向上させることで、デバイス特性の向上を図る。なお、実施の形態1と同様の箇所には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図15および図16は、本実施の形態の弾性表面波素子の製造方法を示す工程断面図である。
まず、本実施の形態の弾性表面波素子の構造について説明する。最終工程図である図16(b)に示すように、本実施の形態の弾性表面波素子は、基板10、圧電体膜13、櫛歯型電極15a、電極被覆膜18、保護膜19を有している。
基板10は、各要素を支持するものであり、本実施の形態ではダイヤモンド基板が用いられている。ここでいうダイヤモンド基板とは、シリコン層(シリコン基板)10a上に、ダイヤモンド層10bが形成された基板をいう。
このように、その表面にダイヤモンド等の硬質層(硬質膜)が形成された基板10を用いることで、弾性表面波の伝搬速度を大きくすることができ、対応周波数の高周波化を実現できる。また、上記硬質層を用いることで、電気機械的結合係数を大きくすることができる。硬質層としては、ダイヤモンドの他、窒化ホウ素やサファイアを用いることができる。中でも、ダイヤモンドは硬度が大きく、弾性表面波素子に用いて好適である。また、硬質層単体を基板としてもよい。また、水晶を用いてもよい。
圧電体膜13は、基板10の一面側(ダイヤモンド層10b上)に形成され、その構成材料としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)等が用いられる。なお、この圧電体膜13は、圧電性を有する構成材料であれば酸化亜鉛以外のものを用いてもよい。かかる構成材料としては、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、窒化アルミニウム(AlN)などが挙げられる。
櫛歯型電極15aは、圧電体膜13上に形成され、一対の櫛歯状の平面パターンを有し(図3参照)、例えばアルミニウム(Al)等の導電性材料を用いて構成される。この一対の櫛歯型電極15aは、弾性表面波発生用電極であり、一方の櫛歯型電極に電気信号が印加されると、圧電体膜13に歪みが生じ、これが弾性表面波となって伝搬し、他方の櫛歯型電極15aから電気信号が取り出される。この際、特定の周波数が選び出される。弾性表面波素子の周波数帯域(周波数特性)は、一つの櫛歯型電極15aの電極間隔(d)と、弾性表面波の伝搬速度(v)とを用いて、v/dで表される周波数(f=v/d)を中心とした帯域通過特性を有する。従って、上記ダイヤモンド等の硬質層を用いることで伝搬速度(v)が大きくなり高周波対応を実現できる。
電極被覆膜(電極被覆層、被膜、第1保護膜、絶縁層)18は、絶縁性を有し、熱伝導率が高い材料が好ましい。具体的には、熱伝導率がアモルファスSiO2大きいものが好ましい。また、熱伝導率が10[W/mK]以上であることが好ましい。
図17に各種材料の熱伝導率を示す。図示するように、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムは、アモルファスSiO2より熱伝導率が大きく、また、絶縁性が高いため電極被覆膜18として用いて好適である。また、これらの膜は、熱伝導率が、10[W/mK]以上であり、電極被覆膜18として用いて好適である。中でも、酸化亜鉛、酸化アルミニウムは、圧電特性を有するため、電極被覆膜18として用いて好適である。即ち、この場合、電極の上下の膜を同じ膜とすることができ、実施の形態1、2の効果も奏することができる。
保護膜(第2保護膜、絶縁層、被膜)19は、電極被覆膜18上に形成され、例えば酸化シリコン(SiO2)などの絶縁物よりなる。この保護膜19は、圧電体膜13や櫛歯型電極15aなどを外界から保護する役割を果たす。また、圧電体膜13や櫛歯型電極15aは、電極被覆膜18で覆われているため、当該膜も保護膜としての役割を果たすが、当該膜の膜厚が小さいため、保護膜19は、保護力を補う役割も果たす。保護膜19としては、酸化シリコンの他、アルミナ(酸化アルミニウム、AlO3)やリン酸ガリウム(GaPO3)などを用いてもよい。
保護膜19として、特に、酸化シリコン(SiO2)を用いた場合は、温度特性において、その下層の層(ZnO、ダイヤモンドなど)の特性を補償する役割を果たす。即ち、下層の層(ZnO、ダイヤモンドなど)は、温度が上昇するに従って、硬くなる特性を有するのに対し、SiO2は、柔らかくなる特性を有する。よって、これらの相補的な関係により、周波数の変化を低減できる。
以上のように、本実施の形態の弾性表面波素子においては、上層から、保護膜(SiO2)19、電極被覆膜18、櫛歯型電極15a、圧電体膜(ZnO)13およびダイヤモンド層10bの積層構造となっている。
このように、本実施の形態によれば、熱伝導率が高い材料(電極被覆膜18)で櫛歯型電極15aを被覆したので、放熱性を高めることができ、櫛歯型電極15aの変質や溶断を低減することができる。よって、耐電力性を確保できる。また、耐電力性を確保しつつ、7000m/s以上の高い位相速度を達成できる。
なお、図16(b)においては図示していないが、櫛歯型電極15aは、電極パッドPと接続され、例えば図3に示すように一連のパターンとして形成される。この電極パッドP上の電極被覆膜18および保護膜19は除去され、電極パッドPは露出している。この電極パッドPと、外部端子とがワイヤー等を用いて接続(ワイヤーボンディング)され、弾性表面波素子と外部との電気的接続が図れる。
次いで、本実施の形態の弾性表面波素子の製造工程について説明する。
図15(a)に示すように、基板10としてダイヤモンド層10bを主表面に有するダイヤモンド基板を準備する。ここでは、例えば、800μm(平均厚さ)程度のシリコン層10a上に、15μm(平均厚さ)程度の多結晶のダイヤモンド層10bが形成された基板10を使用する。
次いで、図15(b)に示すように、ダイヤモンド層10b上に、圧電体膜13として例えば酸化亜鉛膜を、RFスパッタ法などの成膜方法を用いて520nm(平均厚さ)程度、堆積(被着)する。成膜条件は、例えば、パワー0.8kW、成膜温度400℃、ガス圧力(雰囲気圧)0.5Paで、酸化亜鉛の焼結体をターゲット材とし、反応ガスとして流量30sccmのアルゴン(Ar)および30sccmの酸素(O2)を用いて成膜する。
次いで、導電性膜15として例えばAl(アルミニウム)膜をDC(直流)スパッタ法などの成膜方法を用いて100nm(平均厚さ)程度、堆積する。成膜条件は、例えば、パワー0.9kW、成膜温度25℃(室温)、ガス圧力(雰囲気圧)0.8Paで、Alをターゲット材とし、雰囲気ガスとして流量40sccmのArを用いて成膜する。
次いで、図15(c)に示すように、導電性膜15をパターニングすることにより櫛歯型電極15aを形成する。パターニングは、実施の形態1と同様に行なう。
次いで、図16(a)に示すように、圧電体膜13の露出部および櫛歯型電極15a上に、電極被覆膜18として例えば酸化亜鉛膜を、圧電体膜13上において30nm(平均厚さ)程度、堆積する。例えば、RFスパッタ法などの成膜方法を用い、例えば、パワー0.8kW、成膜温度250℃、ガス圧力(雰囲気圧)0.5Paで、酸化亜鉛の焼結体をターゲット材とし、反応ガスとして流量30sccmのArおよび30sccmのO2を用いて成膜する。この電極被覆膜18としては、酸化アルミニウムもしくは窒化アルミニウムを用いてもよい。これらの膜は、実用的であり、容易に形成することができる。
次いで、図16(b)に示すように、保護膜(第2保護膜、絶縁層、被膜)19として、電極被覆膜18上に、例えば、酸化シリコン膜を、RFスパッタ法などの成膜方法を用いて420nm(平均厚さ)程度、堆積する。成膜条件は、例えば、パワー0.9kW、成膜温度250℃、ガス圧力(雰囲気圧)0.5Paで、酸化シリコンの焼結体をターゲット材とし、反応ガスとして流量40sccmのArおよび40sccmのO2を用いて成膜する。
以上の工程により、弾性表面波素子がほぼ完成する。
上記工程によれば、電極被覆膜18として熱伝導率が高い材料を用いたので、デバイス特性が向上する。また、電極被覆膜18として酸化亜鉛を用いた場合は、実施の形態1および2の効果も奏する。
また、本実施の形態によれば、圧電体膜13および電極被覆膜18(ここでは、いずれも酸化亜鉛)を多結晶としても実施の形態1〜3の効果を奏するため、下層の基板の制限が緩和される。即ち、単結晶の酸化亜鉛をエピタキシャル成長させる場合には、下層の層であるダイヤモンド層(硬質層)10bを単結晶としなければならない。これに対し、本実施の形態においては、下層のダイヤモンド層を多結晶としても良好なデバイスを得ることができる。また、成膜方法もスパッタ法などを用いることができ、容易に膜形成を行うことができる。
なお、上記実施の形態においては、弾性表面波表面素子を例に説明したが、電圧印加により歪みを生じる圧電体を有する複合基板や、これらの素子や基板が組み込まれた電子機器等、表面弾性波を用いる機器に広く適用可能である。
利用される電子機器としては、特に携帯電話等の通信機器に有用であり、例えば、携帯電話内のアンテナ部に組み込まれ、送受信信号のフィルタとして機能する。
図4に、本発明の携帯電話への適用例を示す。図示するように、携帯電話530には、アンテナ部531、音声出力部532、音声入力部533、操作部534および表示部500を備えている。このアンテナ部に、本発明を適用することができる。
また、各種電子機器のみならず、放送局や携帯電話基地局等のシステム装置にも用いられる。特に、本発明のSAWフィルタによれば、従来の真鍮などを用いた空洞共振器型フィルタなどと比較し、小型化(例えば、1cm以下)が可能で、耐電力性も優れている。よって、上記システム装置に用いて好適である。図5に、本発明の通信システムへの適用例を示す。図5(a)に示すように、基地局601から個人、各家庭603や集合住宅605へ信号の送受信を行う通信システムにおいて、基地局601のアンテナ部に本発明を適用することができる。具体的には、図5(b)に示すように、アンテナ部701と信号処理部709との間にフィルタ703として本発明の弾性表面波素子が用いられる。なお、705は、ローノイズアンプであり、707は、ハイパワーアンプである。特に、有線、無線を問わずシステムのキー局となる箇所には、高性能の装置(素子)が要求されるため、本発明を用いて好適である。もちろん、各家庭のアンテナや集合住宅の共同アンテナ部に本発明を適用してもよい。
なお、上記発明の実施の形態を通じて説明された実施例や応用例は、用途に応じて適宜に組み合わせて、又は変更若しくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述した実施の形態の記載に限定されるものではない。
実施の形態1の弾性表面波素子の製造方法を示す工程断面図である。 実施の形態1の弾性表面波素子の製造方法を示す工程断面図である。 実施の形態1の櫛歯型電極15aのパターンの一例を示す平面図である。 本発明の携帯電話への適用例を示す図である。 本発明の通信システムへの適用例を示す図である。 図6は、SiO2のKH、IDT上のZnOのKHおよびこれらの比を示す図である。 各デバイス(Type1(a)〜(d)、Type2(a)〜(d))の位相速度を示すグラフである。 各デバイスの周波数温度係数(TCF)を示すグラフである。 デバイスの周波数温度特性の式を示す図である。 Type2(c)の2ポート共振子(S21)の特性を示す図である。 S21の評価回路を示す図である。 挿入損失(ΔIL[dB])と時間の関係を示す図である。 Type1(a)〜(f)のSiO2のKHおよびIDT上のZnOのKHを示す図である。 各デバイス(Type1(a)〜(f))の位相速度を示すグラフである。 実施の形態3の弾性表面波素子の製造方法を示す工程断面図である。 実施の形態3の弾性表面波素子の製造方法を示す工程断面図である。 各種材料の熱伝導率を示す図である。
符号の説明
10…基板、10a…シリコン層、10b…ダイヤモンド層、13…圧電体膜、15a…櫛歯型電極、17、18…電極被覆膜、19…保護膜、P…電極パッド、500…表示部、530…携帯電話、531…アンテナ部、532…音声出力部、533…音声入力部、534…操作部、601…基地局、603…各家庭、605…集合住宅、701…アンテナ部、703…フィルタ、705…ローノイズアンプ、707…ハイパワーアンプ、709…信号処理部

Claims (12)

  1. (a)基板と、
    (b)前記基板の上側に形成された圧電体膜と、
    (c)前記圧電体膜の上側に形成された弾性表面波発生用の電極と、
    (d)前記電極上に前記電極を覆うよう形成され、前記圧電体膜と同じ材料からなる第1被膜と、
    (e)前記被膜上に形成された第2被膜と、
    を有することを特徴とする弾性表面波素子。
  2. 前記圧電体膜および前記第1被膜は、酸化亜鉛、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、および窒化アルミニウムのいずれかで構成されることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波素子。
  3. 前記基板は、その表面に硬質層を有し、前記硬質層上に前記圧電体膜が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の弾性表面波素子。
  4. 前記硬質層は、ダイヤモンド、窒化ホウ素およびサファイアのいずれかで構成されることを特徴とする請求項3に記載の弾性表面波素子。
  5. 前記被膜の膜厚をhとし、前記弾性表面波素子の弾性表面波の波数をkとした場合、これらの積(kh)が、0.003以上0.2以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の弾性表面波素子。
  6. 前記基板は、多結晶の硬質層を有し、前記圧電体膜は、前記硬質層上に形成された多結晶膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の弾性表面波素子。
  7. (a)硬質層を有する基板と、
    (b)前記硬質層上に形成された圧電体膜と、
    (c)前記圧電体膜の上側に形成された弾性表面波発生用の電極と、
    (d)前記電極上に前記電極を覆うよう形成され、熱伝導率がアモルファスSiO2より大きい第1被膜と、
    (e)前記第1被膜上に形成された第2被膜と、
    を有することを特徴とする弾性表面波素子。
  8. 前記圧電体膜は、酸化亜鉛、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、および窒化アルミニウムのいずれかで構成されることを特徴とする請求項7に記載の弾性表面波素子。
  9. 前記第1被膜は、熱伝導率が10W/mK以上であることを特徴とする請求項7又は8記載の弾性表面波素子。
  10. 前記第1被膜は、酸化亜鉛もしくは窒化アルミニウムであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項記載の弾性表面波素子。
  11. 前記第1被膜の膜厚をhとし、前記弾性表面波素子の弾性表面波の波数をkとした場合、これらの積(kh)が、0より大きく0.4以下であることを特徴とする請求項7〜10記載の弾性表面波素子。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の弾性表面波素子を有する電子機器。
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