JP2007239754A - 筒内噴射式内燃機関の制御装置 - Google Patents

筒内噴射式内燃機関の制御装置 Download PDF

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純一 山口
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Abstract

【課題】内燃機関の圧縮行程の燃料噴射に伴う燃焼の悪化を防ぐとともに、運転フィーリングの向上、並びに圧縮行程の燃料噴射による運転領域の拡大化によって燃料消費率の一層の向上を図ることができる筒内噴射式内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】圧縮行程噴射モードと吸気行程噴射モードとを切り替えて運転可能な内燃機関の制御装置が、前記圧縮行程噴射モード中に、燃焼の悪化状態が検出された場合に、前記圧縮行程噴射モードを維持しつつ燃焼安定性の回復を図る運転モードと、前記吸気行程噴射モードに切り替えて燃焼安定性の回復を図る運転モードとを選択する次運転モード判定手段とを有してなる。
【選択図】図3

Description

本発明は、筒内噴射式内燃機関の制御装置に係り、特に、燃料噴射弁による圧縮行程噴射モードにおける燃焼の悪化を回復させる筒内噴射式内燃機関の制御装置に関する。
現在の自動車は、環境保全の観点から自動車の排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)等の排気物質の更なる削減が要求されている。これらの削減を目的とした一例としては、ダイレクトインジェクションエンジン(筒内噴射式内燃機関)が挙げられる。該筒内噴射式内燃機関は、燃料噴射弁による燃料噴射が気筒の燃焼室内で直接に行われている。
そして、前記燃料噴射弁による燃料噴射は、前記内燃機関の吸気行程又は圧縮行程にて行われることが一般的である。例えば、高負荷及び高回転が要求される場合には、ストイキにて均質燃焼を行うべく、吸気行程の燃料噴射を行って燃焼の安定化を図る一方で、低負荷及び低回転が要求されるときには、リーンにて成層燃焼を行うべく、圧縮行程の燃料噴射を行って燃料消費率(燃費)の向上化を図っている。
ここで、上記の如く、前記筒内噴射式内燃機関では、各運転要求に応じて吸気行程又は圧縮行程の燃料噴射がなされているが、該圧縮行程の燃料噴射においては、燃料と空気との混合不足等によって燃焼が悪化するという問題があることから、この状況を打開するべく、燃焼安定性を回復させる手段を有する筒内噴射式内燃機関の技術が提案されている(例えば、特開平9−303189号公報等参照)。
該提案の技術は、燃焼性回復手段を有しており、該燃焼性回復手段は、圧縮行程の燃料噴射時において燃焼の悪化が検出された場合には、直ちに圧縮行程の燃料噴射から吸気行程の燃料噴射に運転モードの切り替えを行うものである。
また、前記燃焼性回復手段は、圧縮行程の燃料噴射時において燃焼の悪化が検出された場合には、制御パラメータである空燃比、燃料噴射時期、又は点火時期等を変更して燃焼安定性の回復を行う機能を有し、さらに、圧縮行程の燃料噴射が予め設定された時間継続されたときには、燃焼の悪化の検出の有無にかかわらず、吸気行程の燃料噴射をいわば強制的に実行し、圧縮行程の燃料噴射にて生成されるデポジットによる燃焼の悪化を未然に防止する機能をも有するものとされている。
ところで、前記内燃機関における圧縮行程の燃料噴射は、気筒内の燃料と空気とを成層化させ、該燃料を点火プラグ近傍に集めて燃焼させることができ、燃焼室全体としてはリーンな空燃比で運転できるため、燃費の向上を図るのに良好なものである。
しかし、前記従来の技術は、圧縮行程の燃料噴射時において燃焼の悪化が検出された場合には、直ちに圧縮行程の燃料噴射を止めて吸気行程の燃料噴射に運転モードの切り替えをする、若しくは圧縮行程の燃料噴射が設定時間を越えたときには、吸気行程の燃料噴射を強制的に実行していることから、燃焼安定性の点では不具合は少ないものの、燃費の点で不都合が生ずることになる。また、上記の如く吸気行程の燃料噴射に切り替えることは、噴射の切り替え時にトルク段差が発生するので、運転者は、意図しないトルク変動があったとして違和感を覚え、運転性が悪化したかの様に感じさせることにもなるという問題がある。
また、前記従来の技術の燃焼性回復手段は、吸気行程の燃料噴射へ切り替える点と、圧縮行程の燃料噴射にて制御パラメータの変更を行う点とについては示されているものの、これらは別個独立に示されており、これらを選択すること、並びにこれらのいずれかを優先して選択することに関しては示されていない。これは、例えば、燃料噴射弁の噴射口周囲に生成されるデポジットの堆積現象において問題がある。つまり、燃料の噴霧パターンが変化し初める初期段階のデポジットは、吸気行程の燃料噴射により前記デポジットを燃焼させて除去し得る。その一方、その後の段階にて前記デポジットの付着量が多くなると、完全には除去できない場合がある。この現象は、燃焼の悪化要因として発生頻度が高いと考えられるものであり、前記従来の技術のように、吸気行程の燃料噴射へ切り替え、又は圧縮行程の燃料噴射にて制御パラメータの変更を行うことが別個独立になされ、選択がなされない場合には、前記デポジット生成段階が何等考慮されず、該デポジットの付着による燃焼の悪化には適切に対処することができない。
なお、前記従来の技術は、燃焼安定性に影響を与える空気と燃料の混合方法を改善することによって燃焼安定性の向上を図る点についても、特に考慮がなされていない。
すなわち、本願発明者は、燃料噴射が内燃機関の吸気行程又は圧縮行程にて行われる筒内噴射式内燃機関において、燃料噴射弁の噴霧パターンが経年変化によって変化すると、圧縮行程の燃料噴射の燃焼安定性に大きな影響を与えることになるので、直ちに吸気行程の燃料噴射に切り替えて燃焼安定性の回復を図って燃焼の悪化を防ぐことも考慮した。しかしながら、この噴射の切り替え時には、トルク段差によるショックが発生して運転フィーリングに悪影響を与えることを鑑みて、前記圧縮行程の燃料噴射時において燃焼の悪化状態が検出された場合には、吸気行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図るのか、圧縮行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図るのかのいずれかを選択できるようにする必要があるとの新たな知見を得たものであり、これにより、デポジットの付着等による燃焼の悪化とともに、運転フィーリングの悪化をも防ぐことができ、しかも、これまで圧縮行程の燃料噴射が選択できなかった領域を減らして該圧縮行程の燃料噴射による運転領域を従来よりも拡大することができ、筒内噴射式内燃機関の価値を一層高めることができることになる。しかし、前記従来の技術は、これらの点については格別の配慮がなされていない。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、内燃機関の圧縮行程の燃料噴射に伴う燃焼の悪化を防ぐとともに、運転フィーリングの向上、並びに圧縮行程の燃料噴射による運転領域の拡大化によって燃料消費率の一層の向上を図ることができる筒内噴射式内燃機関の制御装置を提供することである。
前記目的を達成すべく、本発明に係る制御装置は、圧縮行程中に燃料を気筒内に直接噴射する圧縮行程噴射モードを有する内燃機関の制御装置において、前記制御装置は、前記気筒内の燃焼の安定化を図る燃焼安定化手段を有し、前記燃焼安定化手段は、前記圧縮行程噴射モード中に、燃焼の悪化状態が検出された場合に、前記圧縮行程噴射モードを維持しつつ燃焼安定性の回復を図る運転モードを有することを特徴としている。
また、本発明に係る制御装置は、圧縮行程中に燃料を気筒内に直接噴射する圧縮行程噴射モードと吸気行程中に燃料を気筒内に直接噴射する吸気行程噴射モードとを切り替えて運転可能な内燃機関の制御装置において、前記制御装置は、前記圧縮行程噴射モード中に、燃焼の悪化状態が検出された場合に、前記圧縮行程噴射モードを維持しつつ燃焼安定性の回復を図る運転モードと、前記吸気行程噴射モードに切り替えて燃焼安定性の回復を図る運転モードとを選択する次運転モード判定手段とを有することを特徴としている。
前記の如く構成された本発明の制御装置は、燃焼安定化手段の次運転モード判定手段が、吸気行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る運転モードと、圧縮行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る運転モードとを有し、圧縮行程の燃料噴射時において燃焼の悪化状態が検出された場合には、前記吸気行程又は圧縮行程噴射の各運転モードのうちいずれかを選択しているので、吸気行程の運転モードを減らし、圧縮行程の燃料噴射による運転領域を従来に比して一層拡大させることができる。そして、前記構成により、吸気行程の燃料噴射への切り替えを運転者、及び自動車間制御装置の加減速要求等による種々の要求に応じて行うこともできるので、デポジットの付着による燃焼の悪化、及びトルクショックによる運転フィーリングの悪化の双方に対応することができる。
また、本発明に係る制御装置の具体的態様は、前記燃焼安定化手段は、前記吸気行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る場合には、該吸気行程の燃料噴射を所定の時間継続する吸気行程噴射継続手段を有していること、又は前記燃焼安定化手段は、前記圧縮行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る場合には、燃焼に関わる制御パラメータを変更する制御パラメータ変更手段を有していること、若しくは前記制御パラメータは、燃圧、排気ガス再循環量、空気流動生成弁開度、吸・排気弁のバルブオーバーラップ量、又は燃料噴射回数の少なくとも一つからなることを特徴としている。
さらに、本発明に係る制御装置の他の具体的態様は、前記次運転モード判定手段は、前記圧縮行程の燃料噴射時における燃焼の悪化状態の検出回数、若しくは前記内燃機関の運転要求に応じて前記吸気行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る運転モードを選択すること、又は前記次運転モード判定手段は、前記吸気行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る場合には、前記圧縮行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る運転モードへの切り替えを禁止し、前記吸気行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る運転モードの継続が所定回数実行されたときには、前記圧縮行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る運転モードを選択すること、若しくは前記燃焼安定化手段は、前記圧縮行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る場合には、燃焼に関わる制御パラメータを変更する制御パラメータ変更手段を有しており、前記制御パラメータは、前記燃料噴射弁の燃料噴射時期、目標噴射量、又は点火時期の少なくとも一つからなること、前記燃料噴射時期と前記点火時期の制御パラメータは、交互に変更されること、若しくは前記燃料噴射時期と前記点火時期の制御パラメータは、前記燃料噴射時期と前記点火時期が同じクランク角度にあるところの基準クランク角に対して、前記燃料噴射開始時期、前記点火時期の各々において略同一のクランク角の変化量となるべく、進角又は遅角側に変更されていること、又は前記燃焼安定化手段は、前記圧縮行程の燃料噴射時における燃焼の悪化状態が改善された場合には、前記制御パラメータの値を前記改善時点の値に再設定し、次回の圧縮行程の燃料噴射時における燃焼の悪化状態が検出されるまで前記再設定された値を記憶保持する制御パラメータ値再設定手段を有していること、又は前記燃焼安定化手段は、前記内燃機関の回転変動に基づいて燃焼状態を判定する回転変動判定手段を有することを特徴としている。
さらにまた、本発明に係る制御装置のさらに他の具体的態様は、前記制御装置は、前記圧縮行程の燃料噴射の運転領域を前記内燃機関の回転数と負荷とによる制御マップ、若しくは前記内燃機関の回転数と水温とによる制御マップとして持ち、前記燃焼安定化手段は、前記内燃機関の回転変動が所定のしきい値を越えた場合には、前記制御マップのうち、前記しきい値を越えた区画範囲を前記圧縮行程の燃料噴射の運転領域から前記吸気行程の燃料噴射の運転領域に変更すること、又は前記内燃機関は、過給機を備え、前記燃焼安定化手段は、前記内燃機関の回転変動が所定のしきい値を越えた場合には、前記過給機の過給圧を所定の値を越えさせない、若しくは前記過給機の過給圧を減少させること、又は前記内燃機関は、吸・排気弁のバルブオーバーラップ量を増減させて燃焼ガスを前記気筒内に導入する内部EGR機構と、他の配管経路から既燃焼ガスを吸気ポートに導入する外部EGR機構とを備え、前記燃焼安定化手段は、前記内燃機関の回転変動が所定のしきい値を越えた場合には、前記外部EGR量を減少させる、及び/又は、前記内部EGR量を増大させること、又は前記内燃機関は、自動変速機と組み合わされ、前記燃焼安定化手段は、前記内燃機関の回転変動が所定のしきい値を越えた場合には、前記自動変速機のロックアップ解除を行うとともに、該ロックアップ解除時点での略同一回転数域において、前記ロックアップ解除以後に、前記内燃機関の回転変動が所定のしきい値を下回った場合には、前記ロックアップを再び実行する変速機連携制御手段を有していることを特徴としている。
以上の説明から理解できるように、本発明の筒内噴射式内燃機関の制御装置は、内燃機関の圧縮行程における燃焼の悪化を防ぐとともに、運転フィーリングの向上、並びに圧縮行程の燃料噴射による運転領域の拡大化によって燃料消費率の一層の向上を図ることができる。
以下、図面により本発明の実施形態について説明する。
図1及び図2は、本実施形態の筒内噴射式内燃機関の制御装置を備えたターボ過給機付きの筒内噴射式内燃機関を示しており、図1は、前記内燃機関及び自動変速機の構成図、図2は、前記内燃機関の可変動弁機構及び空気流動生成機構の構成図である。
まず、図1を用いて前記内燃機関全体の構成について説明する。
該内燃機関は、ターボ過給機付きの筒内噴射エンジンであり、シリンダヘッドとシリンダブロックから構成されるエンジン本体には、前記シリンダブロックに挿入されたピストン2、該ピストン2により形成される燃焼室3を有する気筒1が複数個設けられている。
該気筒1には、吸気ポート4と排気ポート5が吸気弁6及び排気弁7を介して接続されており、前記吸気ポート4は、その上流側から順にエアクリーナ22、空気流量センサ23を介し、ターボ過給機のコンプレッサー24を経由して、モータ駆動される電子制御スロットルボディ25が配設され、吸気管26に接続されている。電子制御スロットルボディ25の絞り弁25aにはスロットル開度を検出するスロットルセンサ27が備えられ、吸気管26には、吸気通路内の圧力を測定する圧力センサ28が備えられている。
また、前記気筒1には、燃焼室3内に燃料を直接噴射するべく、燃料噴射弁8が適宜位置に設けられており、この燃料噴射弁8の上流側には、燃焼室3内の圧力が高い状態でも燃料噴射させるべく、燃料分配管10、燃料圧センサ11、燃料を圧送する高圧ポンプ12、低圧ポンプ13、及び燃料タンク14がそれぞれ燃料配管に接続されている。
高圧ポンプ12は、エンジンのカムシャフト(図示せず)の回転によって連動するカム15に駆動されて燃料圧力を上昇させ、高圧レギュレータ16によって所定の燃料圧力に調圧された燃料が燃料分配管10に供給される。また、前記エンジンで消費されない余剰の燃料は、低圧レギュレータ17を経由して減圧された後、燃料タンク14へ戻される。
低圧ポンプ13は、始動時のエンジンキーをオンにした時点から、低圧ポンプリレー18によって駆動され、以後の燃料噴射に備えて高圧ポンプ12に供給される燃料圧力の加圧が開始するように機能する。
なお、前記エンジンのクランクケースの適宜位置には、該エンジンのクランクシャフトに同期して回転するリングギア19の回転変動を検出する回転センサ20が設けられている。また、前記シリンダブロックの冷却水通路には、前記エンジンの暖機状態を判定する水温センサ21が適宜位置に備えられている。
次に、排気ポート5の下流側には、排気マニホールド29に接続されたターボ過給機のタービン30を介して排気管31が配設されている。詳しくは、排気マニホールド29と排気管31とは、前記ターボ過給機のタービン30をバイパスするバイパス弁32によって接続されており、モータで駆動されるロータリーバルブにより、前記バイパス通路の開口面積を可変できる構成とされている。また、排気管31の下流側には、触媒コンバータ33、消音器34が配設されている。なお、図2に示すように、バイパス弁32と触媒コンバータ33との間の排気管31には、その適宜位置に排気温度を計測する排気温度センサ35を設けても良いものである。
そして、燃料圧センサ11、回転センサ20、水温センサ21、圧力センサ28等の各種センサからの出力信号は、本実施形態の筒内噴射内燃機関の制御装置(ECU)36に入力され、ECU36は、後述するように、前記エンジンが冷機状態若しくは暖機状態にあるか、エンジン回転数とエンジン負荷の状態を判断し、圧縮行程噴射モードが可能であるか否かを判定し、該圧縮行程噴射モードが可能な場合には、ECU36内にプログラムされた燃料噴射プログラム、回転変動検出プログラム、及び分割噴射制御プログラム等の各種プログラムを実行し、燃料噴射弁8、点火プラグ9、高圧レギュレータ16、絞り弁25a、バイパス弁32、吸気バルブ可変駆動部45、及び排気バルブ可変駆動部47等の各種アクチュエータに駆動信号を出力する。なお、前記エンジンは、排気ガス再循環(外部EGR)の通路を有しているが、この構成については後述する。
また、自動変速機制御装置(ATCU)37は、自動変速機(ATM)48に対し、シフトアップ・ダウンの変速制御、前記エンジン側のフライホイールとATM48のトルクコンバータとを直接的に接続するロックアップ制御等を行っている。
そして、ECU36とATCU37とは、通信線で接続されており、相互に情報のやり取りをすることで、エンジン状態と自動変速機状態に応じて最適な変速制御を行う。
図2は、前記内燃機関の空気流動生成機構及び可変動弁機構の構成図である。
該空気流動生成機構の一部をなすタンブルコントロールバルブ(TCV)41は、吸気ポート4を二分割する仕切り板43の一段側(図2に示す分割された下側)を開閉するものであり、後述するように、ECU36の燃焼安定化手段40内に備えられる空気流動制御手段53eからの出力信号に基づいてバルブ角度が制御される。そして、図3に示す空気流動制御手段53eは、TCV駆動部42がモータ駆動若しくはダイヤフラムアクチュエータにより駆動されることでTCV41の開度を可変制御し、気筒1内に生成される空気流動、すなわち、主にタンブル流の強弱を制御している。
次に、前記可変動弁機構の一部をなす吸気カム・排気カムは、吸気カムシャフト44及び排気カムシャフト46を介して吸気弁6及び排気弁7の開弁作動を可変制御するものであり、後述するように、ECU36の燃焼安定化手段40内に備えられる可変動弁制御手段53fは、吸気バルブ可変駆動部45及び排気バルブ可変駆動部47を駆動させ、バルブの開閉タイミングを制御し、吸気ポート4から排気ポート5にかけての空気流動を制御している。なお、前記バルブ可変駆動部45、47については特に詳述しないが、吸気カムシャフト44のカムの作動角が変えられるよう、カムシャフト捻りやカム山切り替え等のバルブタイミング可変機構を備えている。また、これは排気弁7側も同様である。
なお、燃焼安定化手段40は、前記過給機の過給圧制限により、加圧された気筒内の燃料噴霧の気化促進を図って燃焼の悪化を防止しているが、この点については後述する。
図3は、ECU36内の燃焼安定化手段40の制御ブロック図である。
該燃焼安定化手段40は、圧縮行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る場合には、燃焼に関わる制御パラメータを変更、又は吸気行程噴射モードを継続して、気筒1内の燃焼の安定化を図るものであり、回転変動判定手段49、次運転モード判定手段50、燃料噴射制御手段51、吸気行程噴射継続手段の一態様である継続時間演算手段52、制御パラメータ変更手段の一態様であるパラメータ試行運転手段53、変速機連携制御手段79、運転モード履歴記憶手段54、パラメータ値再設定手段55、及びモニター作動手段56から構成される。
回転変動判定手段49は、回転センサ20で検出されたリングギア19の角速度変化をECU36内に取り込んで計算し、予め設定された回転変動のしきい値と比べるものであり、この回転変動に基づいて燃焼状態を判定し、その結果を次運転モード判定手段50に出力する。
該次運転モード判定手段50は、回転変動判定手段49が圧縮行程の燃料噴射時に前記しきい値を超えたと判定した場合には、圧縮行程の燃料噴射時における燃焼の悪化状態が検出されたことになるので、現在時点以降の噴射モードを吸気行程噴射モードに変更して燃焼安定性の回復を図る運転モードにするか、又は圧縮行程噴射モードのままで燃焼に関わる制御パラメータを変更して燃焼安定性の回復を図る運転モードにするかのうち、少なくともいずれかのモードをこれまでの噴射モードの運転履歴に基づいて選択する。これにより、例えば、燃焼の悪化の初期段階に対して速やかに回復を図ることができる吸気行程噴射モードをまず所定回数行い、これでも燃焼安定性が回復しない場合には、次に圧縮行程噴射モードで制御パラメータの変更を行うことも可能になり、各種要因の燃焼の悪化状態に対して速やかに対応しつつ、回復動作全体から見れば噴射モードの切り替え回数・制御パラメータを変更する試行運転の繰り返し頻度を減らすことができ、燃費の悪化を抑制させることができる。
燃料噴射制御手段51及び継続時間演算手段52は、吸気行程噴射モードにてデポジット等による燃焼安定性の回復を行うものであり、次運転モード判定手段50による指示に基づいて、圧縮行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る運転モードへの切り替えを禁止し、吸気行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る運転モードを継続しており、その内容は、運転モード履歴記憶手段54に出力される。例えば、回転変動判定手段49の出力信号に基づき、燃焼が悪化し始めた初期状態では、デポジット堆積量が少ないことから、吸気行程噴射モードに切り替えて燃焼温度を上げ、このデポジットを燃焼させて速やかに燃焼安定性の回復を図ることができ、これにより、燃焼悪化の初期では、設定されている制御パラメータを変更せずに燃焼安定性の回復ができる。
なお、圧縮行程噴射モードにて燃焼が悪化する他の要因としては、燃料噴射弁8から噴射された燃料噴霧が充分に気化せず、液滴状態で点火プラグ9に到達して発生する点火プラグ9のくすぶり等も考えられるが、本実施形態の燃焼安定化手段40は、この場合にも吸気行程噴射モードを所定時間継続することで、燃焼安定性を回復させることができる。
パラメータ試行運転手段53は、圧縮行程噴射モードにて燃焼安定性の回復を行うものであり、次運転モード判定手段50による指示に基づいて、燃焼の悪化が連続して発生する場合には、後述するように、圧縮行程噴射モード中に制御パラメータを試行的に変更しており、燃焼の悪化が以後に連続して生ずることを防いでいる。
なお、燃焼の悪化要因としては、前述したように、圧縮行程噴射モード時に燃料噴射弁の噴射ノズル部や燃焼室の噴射口周囲に堆積するデポジットの生成が一要因として挙げられ、このデポジットが堆積した状態では、燃料噴霧の貫通力が低下したり、噴霧の噴射方向がずれたりして噴霧パターンが変化してしまい、点火プラグ9への燃料噴霧の到達時間が変わり、最適な燃焼を得るための燃料噴射時期や点火時期が初期設定値に対して変化することになる。そして、前記デポジットは、燃焼温度が比較的高くなる吸気行程噴射モードにて運転することで除去可能であるが、堆積が進むと完全に除去できない場合があることが分かっている。したがって、パラメータ試行運転手段53は、燃焼の悪化が連続して検出された場合には、圧縮行程噴射モードにて燃料噴射時期や点火時期等の各制御パラメータを変更している。
より具体的には、パラメータ試行運転手段53は、燃料噴射時期制御手段53a、点火時期制御手段53b、燃圧制御手段53c、分割噴射制御手段53d、空気流動制御手段53e、可変動弁制御手段53f、EGR制御手段53g、及び過給圧制御手段53hから構成され、燃料噴射時期、点火時期、燃圧、燃料噴射回数、空気流動生成弁開度、吸・排気弁のバルブオーバーラップ量、排気ガス再循環量、及び目標噴射量のうち、少なくとも一つの制御パラメータの変更を行っており、例えば、空気流動制御手段53eは、可変動弁制御手段53fと各々単独、若しくは組み合わせることで、エンジン運転条件に応じて最も好適な空気流動を得ている。そして、この変更内容は、運転モード履歴記憶手段54に出力される。
変速機連携制御手段79は、圧縮行程噴射モードにおいて燃焼の悪化を検出した場合には、ATCU37に対し、燃焼悪化が検出されたエンジン回転数のエリアに限ってロックアップ制御を制限するように指示するものであり、燃焼の悪化が生じても、ECU36とATCU37とが連携制御し、サージトルクを緩和させて運転性の悪化を抑制させるものであり、その結果は、運転モード履歴記憶手段54に出力される。
運転モード履歴記憶手段54は、吸気行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る運転モードが継続して実行された回数、圧縮行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る運転モードである制御パラメータの変更履歴等を記憶し、パラメータ値再設定手段55及びモニター作動手段56に出力する。そして、吸気行程の燃料噴射継続が所定回数に達しても燃焼安定性の回復が図れていないときには、前記次運転モード判定手段50が圧縮行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る運転モードへの切り替えを許可するので、該次運転モード判定手段50と相俟って、圧縮行程噴射モードにおける制御パラメータの変更回数が余分に繰り返されることなく燃焼安定性の回復ができる制御ルーチンが構成されることになる。
パラメータ値再設定手段55は、圧縮行程の燃料噴射時における燃焼の悪化状態が改善された場合には、制御パラメータの値を改善時点の値に再設定し、次回の圧縮行程の燃料噴射時における燃焼の悪化状態が検出されるまで再設定された値を記憶保持するものであり、これにより、制御パラメータの変更が、初期の設定値から燃焼安定に到るまでに繰り返し試行されることがなく、次回の圧縮行程噴射モードに入った際に、直ちに燃焼安定性が良好な制御パラメータにて運転を可能にすることができる。その結果は、回転変動判定手段49側に出力される。
一方、モニター作動手段56は、燃焼安定性が長期に亘って改善されない場合には、例えば、自動エンジン診断装置や計器盤のチェックランプ等のモニター装置39に対して、整備が必要と思われる内容や運転者に点検を促したりする内容の表示を指示している。
以上の構成により、燃焼安定化手段40は、エンジン状態に応じて燃料噴射や空気流動を制御し、安定した圧縮行程噴射モード運転を行えるものである。
図4は、燃焼安定化手段40の動作フローチャートである。
ステップ1では、回転センサ20からの信号取り込み、ステップ2では、エンジン負荷を読み込み、ステップ3では、エンジン制御に必要な他の各種センサの信号を取り込んでステップ4に進み、前記各種センサ信号に基づいて均質燃焼による吸気行程噴射モード又は成層燃焼による圧縮行程噴射モードのいずれかのモードが可能であるかの運転領域の判定を行う。
ステップ5では、現在が圧縮行程噴射モードであるか否かを判定し、圧縮行程噴射モードである場合、すなわちYESのときには、ステップ6に進んで回転変動レベルを算出してステップ7に進む。一方、ステップ5にて圧縮行程噴射モードでない場合には、ステップ20に進み、吸気行程噴射モードと判定してこのルーチンを抜ける。
ステップ7では、回転変動判定手段49にて、算出された回転変動レベルの値が予め設定されたしきい値を越えているか否かに基づいて、燃焼が悪化しているか否かを判定し、燃焼が悪化している場合、すなわちYESのときには、ステップ8に進み、燃焼が悪化していないときにはこのルーチンを抜ける。
ステップ8では、次運転モード判定手段50にて、吸気行程噴射モードによる燃焼安定化制御の許可してステップ9に進む。これは、例えば、燃焼悪化を最初に検出した場合には、吸気行程噴射モードでデポジットが除けることが多く、また、運転者がアクセルペダルを踏み込んで加速要求をしていた場合のように、圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードへの切り替え時のトルクショックによる影響を無視できるときには、吸気行程噴射モードによる燃焼安定化制御を行えるからである。
ステップ9では、吸気行程噴射モードへの切り替えタイミングを測り、ステップ10では、燃料噴射制御手段51及び継続時間演算手段52にて、吸気行程噴射モードの運転を行う。そして、ステップ11では、吸気行程噴射モードの目標継続時間を算出し、ステップ12にて該目標継続時間が経過したら、ステップ13に進んで吸気行程噴射モードによる燃焼安定化制御を終了し、運転モード履歴記憶手段54にて、燃焼安定性回復のための吸気行程噴射モード実行回数として、燃焼安定化制御カウンタを1から一つ繰り上げてステップ14に進む。
ステップ14では、運転モード履歴記憶手段54にて、前記燃焼安定化制御カウンタが3以上であるか否か、つまり、燃焼安定性回復のための吸気行程噴射モードが2回実行されたか否かを判定し、制御カウンタが3以上、すなわちYESのときには、ステップ15に進み、一方、制御カウンタが3未満のときには、ステップ4の運転領域の判定に戻る。
ステップ15では、吸気行程噴射モードにおける燃焼安定性の回復が十分でないことから、次運転モード判定手段50にて、吸気行程噴射モードによる燃焼安定化制御の許可し、パラメータ試行運転手段53にて、圧縮行程噴射モードによる燃焼安定性の回復を行うべく、各制御パラメータを変更してステップ16に進み、回転変動レベルを算出してステップ17に進む。
ステップ17では、回転変動判定手段49にて、算出された回転変動レベルの値が予め設定されたしきい値を越えているか否かに基づいて、制御パラメータ変更後の燃焼が悪化しているか否かを判定し、燃焼が悪化している場合、すなわちYESのときには、ステップ21に進み、燃焼が悪化していないときにはステップ18に進む。
ステップ18では、燃焼安定性が回復しているので、パラメータ値再設定手段55にて、変更後の制御パラメータをECU36内の記憶装置に制御値として書き込んで学習記憶し、以後の圧縮行程噴射モードでの運転は、この再設定された制御パラメータに基づいて運転される。そして、ステップ19では、ステップ14の吸気行程噴射モードによる燃焼安定化制御カウンタをリセットして一連の燃焼安定化制御の動作を終了する。
一方、ステップ21では、運転モード履歴記憶手段54にて、変更した制御パラメータの内容を記憶保持してステップ22に進み、モニター作動手段56にて、先の記憶内容を自己診断装置のモニターに表示させる。なお、計器盤面の注意表示灯を点灯させ、運転者に注意を促すことも可能である。
次に、図5から図8にしたがって、吸気行程噴射モードによる燃焼安定化制御について説明する。
まず、図5は、ECU36が有する運転モードの制御マップを示しており、横軸(エンジン回転数)と縦軸(エンジンの負荷)とが各々所定の値の範囲で複数の区分に分割されている。この分割された一つの区分を、便宜上、マップエリアと称することにする。そして、各マップエリアは、エンジン回転数と負荷とにより、吸気行程噴射モード或いは圧縮行程噴射モードが決められている。
ここで、例えば、圧縮行程噴射モードのN4T3のマップエリアにおいて、運転中に、燃焼が悪化して回転変動レベルがしきい値を超えた場合には、上述のように、まず、吸気行程噴射モードによる燃焼安定化制御が許可される。次に、燃焼安定性の回復のために、燃焼が悪化したN4T3のマップエリアから吸気行程噴射モード設定方向に、すなわち、図5では負荷が高い側のマップエリアを圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードへ切り替える。
つまり、図6の燃焼安定化制御後の圧縮行程噴射モード領域に示されるように、燃焼安定化手段40の燃料噴射制御手段51及び継続時間演算手段52は、前記マップのうち、前記しきい値を越えた範囲を圧縮行程の燃料噴射の運転領域から吸気行程の燃料噴射の運転領域に変更し、噴射モードの切り替えを行っている。このように、燃焼の悪化したマップエリアのみを吸気行程噴射モードへ切り替えることで、全運転領域にておいて噴射モードを切り替えする場合に比べて、燃費が低減できる。なお、前記マップエリアの切り替え範囲は、燃焼が悪化したマップエリアから吸気行程噴射モード方向としたが、同一エンジン回転数の範囲のマップエリア、図6にて示すN4T1、N4T2も含め、エンジン回転数N4の全範囲の噴射モードを吸気行程噴射モードに切り替えても良い。
図7も、ECU36が有する運転モードの制御マップを示しており、横軸(エンジン回転数)と縦軸(エンジンの水温)とが各々所定の値の範囲で複数の区分に分割されている。
各マップエリアは、エンジン水温と回転数とにより、吸気行程噴射モード或いは圧縮行程噴射モードが決められており、例えば、圧縮行程噴射モードのN4W3のマップエリアにおいて、運転中に、燃焼が悪化して回転変動レベルがしきい値を超えた場合には、燃焼安定性の回復のために、燃焼が悪化したN4W3のマップエリアから圧縮行程噴射モード設定方向に、すなわち、図7では水温が低い側のマップエリアを圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードへ切り替える。
つまり、図8の燃焼安定化制御後の圧縮行程噴射モード領域に示されるように、燃料噴射制御手段51及び継続時間演算手段52は、前記マップのうち、前記しきい値を越えた範囲を圧縮行程の燃料噴射の運転領域から吸気行程の燃料噴射の運転領域に変更し、噴射モードの切り替えを行っている。このように、燃焼の悪化したマップエリアのみを吸気行程噴射モードへ切り替えているので、全運転領域にておいて噴射モードを切り替えする場合に比べ、燃費が低減できるのは前記負荷と回転数のマップと同様である。
次に、圧縮行程噴射モードによる燃焼安定化制御について説明する。
まず、図9から図11は、パラメータ試行運転手段53の燃料噴射時期制御手段53a及び点火時期制御手段53bに関するものである。
図9は、ECU36内の記憶装置に組み込まれた燃料噴射プログラムの一部であり、制御パラメータである燃料噴射開始時期(IT)と点火時期(ADV)の制御マップであるIT/ADV制御マップの概念を示す図である。
一般には、ITとADVの設定点は、エンジン回転数、負荷、噴射モード等のエンジン運転状態の違いに応じて、複数パターンが考慮された運転代表点における実験エンジンでの検証結果に基づいて設定されている。
ここで、図9は、ITとADVのマップ上において、燃焼性が良い燃焼安定領域について示しており、ひとつのエンジンAの初期の燃焼安定領域を点線で示し、他のエンジンBの初期の燃焼安定領域を一点鎖線で示している。つまり、エンジン個々は、初期状態においても、燃焼安定領域の広さと位置に違いがあることが分かる。これらの違いは、エンジンが運転を開始した初期状態でも、エンジン個々においては、複数ある気筒毎の燃料噴射弁の噴射量のばらつき、空気流動生成弁の組立ばらつき等による空気分配に差があり得るからである。したがって、運転設定点であるM1のITとADVとは、燃焼安定性及び前記ばらつき要因を考慮して決めることが好ましい。
また、エンジンAにおいて、エンジンの経年劣化に伴って、安定して燃焼できるIT・ADVが変化した領域を実線で示している。ここで、燃焼が悪化する一要因としては、上記のように、燃料噴射弁の噴射口周囲に、デポジットが堆積するために燃料噴霧が適切に気化されない状態が挙げられる。これは、燃料噴霧の噴霧パターンが変化し、燃料噴霧の外形角が広がる傾向があり、噴霧の貫通力が低下して噴霧移動速度が遅くなるものである。このため、燃焼安定領域は、初期の位置に対して、IT進角方向に移動することとなり、初期の運転設定点のままで圧縮行程噴射モードでの運転を続けると燃焼の悪化が進行するので、次記のように、燃焼安定化手段40のパラメータ試行運転手段53を用いて、制御パラメータのIT、ADVを再設定することで燃焼安定性を維持している。
図10及び図11は、パラメータ試行運転手段53の燃料噴射時期制御手段53a及び点火時期制御手段53bによるITとADVの再設定方法の説明図である。
図10は、燃料噴射タイミングのIT/ADV制御マップである。
パラメータ試行運転手段53は、エンジンの運転初期の燃焼安定領域57内において、設定された初期設定格子点M1での噴霧貫通力の低下による燃焼の悪化が検出された場合には、まず、燃料噴射時期制御手段53aにより、ITを所定量進角させて新たな格子点の燃焼安定度を判定する。ここで、燃焼安定度が充分でない場合には、次に、点火時期制御手段53bにより、ADVを進角させて燃焼安定度を判定し、例えば、デポジット付着により噴霧貫通力が弱まった場合の燃焼安定領域58に到る如く、燃焼安定性の回復がなされるまで、ITとADVを順次交互に進角させ、各格子点にて燃焼安定度を判定しており、燃焼が安定するITとADVの格子点M2を捜している。
また、エンジンの運転初期の燃焼安定領域57内において、設定された初期設定格子点M1での噴霧の拡散による燃焼の悪化が検出された場合には、前記ITを所定量遅角させて新たな格子点の燃焼安定度を判定する。そして、ここで、燃焼安定度が充分でない場合には、次に、ADVを遅角させて燃焼安定度を判定し、例えば、空気流動の変化により燃料噴霧が拡散した場合の燃焼安定領域59に到る如く、燃焼安定性の回復がなされるまで、ITとADVを順次交互に遅角させ、各格子点にて燃焼安定度を判定しており、燃焼が安定するITとADVの格子点M3を捜している。
さらに、図10の制御マップ上において、IT、ADVを振っていく方向は、IT=ADV線60(ITとADVが同じクランク角度にある点を結んだ直線)にほぼ平行になるように行えば、以下に述べる効果が得られる。
つまり、図10に示したように、燃焼安定領域がIT/ADV制御マップ上では、IT=ADV線60にほぼ平行に分布する場合が多いことが分かる。これは、燃料噴射弁8から燃料噴霧が噴射され、点火プラグ9に到達するまでに、燃料噴霧と空気の混合が進行して着火可能な混合気を形成するためには、ある程度の時間経過を必要とするからである。よって、同じエンジン回転数・負荷であれば、この着火可能な混合気形成時間も大きく変わらないことに着目して、ITとADVの変更もIT=ADV線にほぼ平行に振っていけば、安定燃焼が得られる格子点により早く到達できることになる。
また、初期設定の格子点M1は、燃焼安定度と燃料消費率等を考慮して決められているため、特にADVの変更には、燃料消費率が悪化する懸念があることを考慮すれば、ADVの変化幅がITの変化幅以下となるようにIT及びADVを振ることで、燃料消費率の悪化を抑えつつ、燃焼安定を得られる格子点が選定できる。
図11は、前記IT及びADVの最初に振る方向について説明したものである。
このIT及びADVの最初に振る方向は、初期設定格子点M1からその周囲の各格子点について、順次回転変動レベルを測定し、燃焼安定領域がIT進角方向にあるか、若しくはIT遅角方向にあるかを判断して決定する。
つまり、図示のように、初期設定点M1からIT/ADVの格子点である、AからFまでの各点毎に回転変動レベルを所定時間測定してM1に戻る動作を行い、格子点A、B、Cの回転変動レベルの平均値と、格子点D、F、Eの回転変動レベルの平均値を各々算出して比較し、この結果から、より回転変動レベルが低いIT方向を判断して、これがITを最初に振る方向と決定する。
なお、前記格子点AからFまでの6点中に、回転変動のしきい値以下である格子点が含まれる場合には、直ちに最も回転変動レベルの低い格子点に設定しても良い。また、回転変動レベルの判定に用いる格子点の間隔設定は、IT、ADVの各々の最小制御単位としても良く、さらに、上記の判定動作用として格子点間隔を予め設定しても良いものである。
次に、図12と図13は、パラメータ試行運転手段53の燃圧制御手段53cに関するものである。
燃圧制御手段53cは、燃料噴射弁8に供給する燃圧を変えることで燃料噴霧の到達距離を変える。つまり、図12において、比較的低い燃圧の噴霧61の到達距離PLoと、より高い燃圧の噴霧62の到達距離PHiとは異なり、高燃圧の方が燃料噴霧の移動速度が速くなる。さらに、燃料噴霧の移動に伴って空気との混合が進行するが、より高燃圧の噴霧62の方が時間当たりの移動量が大きいので混合が促進されやすく、燃圧を増減させることで点火プラグ9に着火可能な混合気の到達時間を変えることができ、燃焼性の改善を図ることができる。
図13は、燃圧制御手段53cの動作タイミングチャートであり、吸気行程噴射モードから圧縮行程噴射モードに切り替った時点から燃焼安定性の回復までの動作を示している。
まず、噴射モードの切り替え時には、供給空気量の応答遅れに起因する回転変動が発生するので、誤判定を防ぐべく、切り替え直後から所定時間Td経過までの間は、回転変動の判定値として含めないこととする。
そして、所定時間Td経過後、回転変動が予め設定されているしきい値を超えたと判定した場合には、燃圧をP1からP2へ所定量上昇させる。その後、未だ燃焼安定性の回復が充分でない場合は、さらにP2からP3へ所定量上昇させる如く、この動作を繰り返し行い、回転変動レベルが、しきい値よりも低くなる変更後判定値以下になった場合には、燃圧制御手段53cによる回復制御を終了している。
また、前記変更後判定値を設けることにより、回転変動レベルの振れがあっても、この振れによる誤判定を防ぎ、燃圧制御手段53cが再実行されてしまうことを防いでいる。
なお、前記燃圧制御手段53cは、燃圧の上昇方向に動作させているが、燃料システム系の最大燃圧が高圧ポンプ12の昇圧限度による制限を受ける場合には、下降方向に振っても良い。この場合には、低燃圧化させることで燃料噴射弁8の噴射期間が増加し、点火プラグ9に向かう混合気の供給時間が延びて着火可能な期間が増す効果がある。
また、図14から図17は、パラメータ試行運転手段53の分割噴射制御手段53dに関するものである。
分割噴射制御手段53dは、圧力センサ28により検出された吸気管内圧力、及び燃料圧力センサ11により検出された燃料圧力に応じて、気筒1内に分割噴射される燃料の第1噴射と第2噴射との噴射量分担率、噴射時期、噴射間隔等を制御マップ及び制御テーブルから参照している。
そして、圧縮行程噴射モード運転中は、電圧低下検出手段(図示せず)が電源電圧の電圧変動の監視を常時行い、前記第2噴射が問題なく実行できると判断した場合にのみ分割噴射制御を継続して前記第2噴射を許可する。このように、エンジン状態に応じて燃料噴射を制御することで安定した圧縮行程噴射モード運転を行うことができる。
次に、上記の燃料と空気の混合促進手段の一態様である分割噴射制御手段53dにより、燃料と空気の混合を制御して燃焼安定性を回復させる方法について述べる。
図14及び図15は、圧縮行程での噴霧状態について示した模式図である。
図14は、圧縮行程にて燃料噴射を1回で行った噴射直後の状態を示しており、噴射直後は、噴霧中心部の燃料分布が過密状態になる燃料過密部63が形成されているが、噴霧が気筒1内を移動するのに伴い、気筒1内の空気流動、圧縮行程時まで保存されたタンブル流によって噴霧周囲部64から空気との混合が進行している。
図15は、さらにピストンが上昇し、点火直前の状態を示しており、点火プラグ9には着火可能な混合気分布が存在しているが、混合が充分ではない燃料過密部63が依然として残っている。この状態で点火すると、燃料過密部63の燃料が燃焼不十分となり、点火プラグ9のくすぶりによる燃焼の悪化を招く要因となる。また、本発明の如く、過給機付き筒内噴射式エンジンにおいては、圧縮行程の筒内圧が自然吸気式エンジンに対してより高いため、噴霧外形の収縮割合が大きい。このため、噴霧中心部の燃料分布が過密になる燃料過密部63が形成され易いことから、過給下で圧縮行程噴射モード運転を行うためには、燃料と空気の混合促進を図ることが特に重要となる。
図16及び図17は、分割噴射制御手段53dによる分割噴射を示した図であり、円錐コーン噴霧の偏向噴霧噴射弁を用いて、圧縮行程にて2回噴射を行い、第2噴射終了直後の状態を示している。
つまり、図16に示すように、第1噴射の燃料噴霧64に続き、第2噴射の燃料噴霧66を連続して噴射しており、前記のように1回で噴射する場合に比べて、分割噴射させると、噴霧周囲部64、66の表面積が拡大することが分かる。これにより、燃料過密部63、65の燃料と空気の混合が進むことになる。
図17は、さらにピストンが上昇し、点火直前の状態を示しており、この時点では、燃料噴霧の移動に伴って、噴霧周囲部64の燃料と空気の混合が進行し、点火プラグ9付近には着火可能な混合気分布が存在していることが分かる。
すなわち、第1噴射は、噴霧の混合が進むことによって噴霧移動速度が低下し、後から噴射された第2噴射は、ピストン2の上昇に伴って圧力の高まった気筒1内を移動するため、点火プラグ9付近では、前記第1噴射の混合気分布に対して前記第2噴射の混合気分布が重なる領域67が形成され、点火可能な点火時期の期間が増すことになり、前記のように1回で噴射する場合に比べて、進角させることができる。これにより、燃焼時間を充分確保できるので、スモークを低減できることのほか、HC排出率を低減できる効果が生ずる。
また、前記第1噴射と前記第2噴射との噴射間隔を増減することで、着火時点の点火プラグ9周囲の空燃比を変えることができる。すなわち、噴射間隔を延長すれば、点火プラグ9周囲の燃料噴霧の重なり合う領域が減少し、着火時点での空燃比をリーンにすることができる。
以上のように、分割噴射制御手段53dは、燃料と空気の混合を促進させるべく、分割噴射による噴射回数を増減することで、点火プラグ9がくすぶり難くなり、燃焼安定性の回復を図ることができる。
次に、図18は、パラメータ試行運転手段53の燃料噴射時期制御手段53a、点火時期制御手段53b、並びに分割噴射制御手段53dを組み合わせて行う燃焼安定性の回復について説明する。
パターンAは、燃料噴射時期制御手段53a及び点火時期制御手段53bを組み合わせて行う燃焼安定性の回復であり、通常の圧縮行程噴射モード運転時において、燃焼状態に応じてITとADVをそれぞれ進角又は遅角させて安定燃焼を行っている。
パターンBも、燃料噴射時期制御手段53a及び点火時期制御手段53bを組み合わせて行う燃焼安定性の回復であり、1回の燃料噴射に対して、点火を2回連続して行っており、これにより、点火プラグ9での着火可能な期間を延ばしている。
パターンCも、燃料噴射時期制御手段53a及び点火時期制御手段53bを組み合わせて行う燃焼安定性の回復であり、前記パターンBに対して、2回目の点火を排気行程中に行っている。この2回目の点火は、過濃な混合気に着火して起こる点火プラグ9のくすぶり、噴霧パターンが変化することで液滴が点火プラグ9に到達して起こる点火プラグ濡れ等のプラグ汚損を防止するものである。
パターンDは、点火時期制御手段53b及び分割噴射制御手段53dを組み合わせて行う燃焼安定性の回復であり、圧縮行程噴射中に分割噴射を行っており、パターンEも、点火時期制御手段53b及び分割噴射制御手段53dを組み合わせて行う燃焼安定性の回復であり、前記パターンDに対して、2回目の点火を排気行程中に行っている。
これらは、燃料噴射制御手段53aと分割噴射制御手段53dとで燃料噴霧と空気の混合促進を図り、さらに、点火時期制御手段53bで点火プラグ9の自己清浄作用を図るものであり、以上のように、各制御手段を組み合わせることで、より早期に燃焼安定性の回復を図ることができる。
次に、図19と図20は、パラメータ試行運転手段53の空気流動制御手段53eに関するものである。
図19は、上記した吸気ポート4にTCV41を有するエンジンであり、吸気行程の状態を示している。
吸気ポート4内には、その内部を二段目たる上部ポート4aと一段目たる下部ポート4bとに2分割する仕切り板43が備えられており、吸気ポート4に臨んだ吸気管26には、モータ若しくはダイヤフラムアクチュエータにより駆動される弁開閉機構42が配設され、該弁開閉機構のシャフト42aにはTCV41が同期回転するように支持されている。そして、TCV41は、分割された下部ポート4bの開口面積を変化させることができ、吸気行程時に生成される空気流動の強さを増減させている。なお、図示のように、下部ポート4bを閉じ、上部ポート4aを通る通気量を多くさせると、気筒1内には吸気弁6から排気弁7に向かう順タンブル流68が生成される。
図20は、同じエンジンの圧縮行程の状態を示している。
圧縮行程まで保存された順タンブル流68は、ピストン冠面2aから再び吸気弁4付近を通って点火プラグ9に向かうため、燃料噴霧64が吸気弁4側から点火プラグ9に向かって移動する。
このように、空気流動制御手段53eは、弁開閉機構42及びTCV41を介して空気流動の強さを増加させることで、例え、燃料噴霧の中心付近に燃料過密部が存在している場合においても、保存された順タンブル流68によって噴霧外周部から燃料と空気の混合の進行度合いが増すとともに、点火プラグ9方向に押し上げられるので、点火に好適な空燃比の混合気に着火させることができる。
次に、図21から図25は、パラメータ試行運転手段53のEGR制御手段53g及び可変動弁制御手段53fの組み合わせに関するものである。
ここで、EGR制御手段53gは、他の配管経路69から既燃焼ガスを吸気ポート4に導入する外部EGR機構に関するものであり、一方、可変動弁制御手段53fは、吸・排気弁のバルブオーバーラップ量を増減させて既燃焼ガスを気筒1内に導入する内部EGR機構に関するものである。
図21に示すように、外部EGRガスの導入機構は、排気マニホールド29から既燃焼ガスを取り出しており、少なくとも1つのEGR圧送口71、該EGR圧送口71に連通されるEGR配管69、該EGR配管69にて、吸気ポート4へのEGRガス流入量を制御するEGR制御弁72、該EGR制御弁72を経由し、気筒1毎の下部ポート4bに分配された外部EGRガスを導入するEGR導入口73から構成され、EGR制御手段53gによりEGR制御弁72の開度が制御される。
また、可変動弁制御手段53fは、図21では図示しないが、前記図2に示したように、吸気弁6、排気弁7をそれぞれ駆動する可変動弁機構44〜47を備えている。
図21は、圧縮噴射モード運転時における排気行程の状態を示している。
この状態では、吸気管26に備えられた弁開閉機構42によってTCV41が閉じられているため、外部EGRガス74は、EGR導入口73から下部ポート4bに導かれている。
図22は、図21からさらに時間が経過し、上死点直前の状態を示している。
この状態では、可変動弁制御手段53fは、排気弁7のバルブ閉時期を遅らせ、さらに、吸気弁6のバルブ開時期を早めており、吸・排気弁6、7の作動クランク角時期の重なった範囲、いわゆるバルブオーバーラップを増加させている。そして、排気マニホールド29から一部の既燃焼ガスたる内部EGRガス75は、燃焼室3に再び導かれているとともに、吸気ポート4側にも流入している。
ここで、吸気ポート4は、仕切り板43によって上部ポート4aと下部ポート4bとに分割され、該下部ポート4b側は、TCV41が全閉か、若しくは閉じ方向にあるため、空気の流動が少なくなって、内部EGRガス75が上部ポート4a側に多く流入していることになる。
図23は、吸気行程にてピストン2が下降している状態を示している。
圧縮行程噴射モードにおいては、上述の如くTCV41が閉弁状態を維持しており、下部ポート4bが閉じられているので、吸入空気は、上部ポート4aを通って燃焼室3に流入し始める。そして、先に上部ポート4aに導かれていた内部EGRガス75は、前記吸入空気の流れに乗って、先に燃焼室3内に導かれ、続いて該吸入空気が流入し、気筒1内には、強いタンブル流68が生成される。また、下部ポート4bに導入されたEGRガス76は、ピストン2の下降流によって気筒1内に取り込まれ、気筒1の内壁を沿うようにピストン冠面2aの吸気弁側に導かれている。
ここで、外部EGRガスを気筒1内に導入させると、火炎伝播速度が遅くなって燃焼の進行が緩やかになるので、NOxの排出量が低減できる。しかし、外部EGRガスの導入量を増やし過ぎると、燃焼の悪化を招く。
一方、内部EGRガスは同じく不活性ガスであるものの、排気ポート5から直接に気筒1内に導かれているので、前記外部EGRガスよりもガス温度が高く、燃料噴霧中心の過密部分の気化促進に効果がある。
したがって、EGR制御手段53g及び可変動弁制御手段53fは、空気と燃料の混合に着目し、かつ、排気マニホールド29から導入される外部EGRガスの量が燃焼安定性に影響を与えることから、吸・排気弁6、7のバルブオーバーラップを利用して既燃焼ガスを気筒1内に導く内部EGRと、排気マニホールド29から配管69を経由して既燃焼ガスを吸気ポート4に導く外部EGRとについて、その導入量の比を変えることで燃焼の悪化を防いでいる。つまり、回転変動が所定のしきい値を越え、燃焼の悪化が検出された場合には、EGR制御手段53gにて外部EGRガスの導入量を減少させれば燃焼安定性の回復を図ることができ、また、外部EGRガス導入量の減少に加えて、可変動弁制御手段53fにて可変動弁機構42を駆動させて内部EGRガスの導入量を増加させれば、燃料噴霧の気化を促進でき、着火可能なADVの選択範囲を増やせるので、燃焼安定性の回復をさらに早めることができる。
図24は、圧縮行程における点火直前の状態を示している。
この状態よりも少し以前の圧縮上死点前60°クランク角付近で噴射された燃料噴霧は、圧縮行程まで保存されたタンブル流68の流動と、気筒1内に導かれた内部EGRガス75による気筒1内温度の上昇により、空気との混合が促進されて着火可能な混合気64を形成する。
また、吸気行程中に気筒1内に取りこまれた外部EGRガス76は、圧縮行程でピストン2が上昇するに伴ってピストン冠面2aの吸気弁6側に多く分布し、内部EGRガス75と外部EGRガス76とがピストン2側に分布するので、前記混合気の分布が、点火プラグ9周囲に比較的小さい領域として集められる。
したがって、混合気が分散し難い状態になり、ADVの選択期間が増し、安定燃焼できるADVを選定することができる。
図25は、内部EGRガスを気筒1内に導く際のバルブタイミングチャートである。
既燃焼ガスである内部EGRガスが積極的に気筒1内に導入されない運転時には、排気弁7の弁閉時期を77で示し、吸気弁6の弁開時期を78で示す。
一方、点火プラグ9への液滴の付着等によって燃焼が悪化した場合には、内部EGRガスを気筒1内に導入して燃焼安定性の回復を図る必要があるので、排気弁7の弁閉時期を遅角させて77aとし、吸気弁6の弁開時期を進角させて78aとすると、バルブオーバーラップ量が拡大する。
なお、本実施形態では、排気弁7と吸気弁6の双方を変更させているが、いずれか片方のみを変更させても良く、EGR制御手段53g、可変動弁制御手段53fは、それぞれ単独で実行させても燃焼安定性の回復に効果がある。また、他の制御パラメータと組み合わせて実行させても良い。
次に、パラメータ試行運転手段53の過給圧制御手段53hに関し、図2を用いて説明する。
図2に示したように、排気系の構成は、排気マニホールド29が、過給機であるターボチャージャーのタービン30を通って排気管31に接続されているとともに、バイパス弁32を経由して排気管31に接続されている。
ここで、前述したように、過給機付き筒内噴射式エンジンにおいては、自然吸気式エンジンに比べて、さらに圧縮行程での筒内圧が上昇し、燃料噴霧は、高い筒内圧のために収縮し易く、噴霧中心部の気化の促進に不利となる。このため、高過給時の運転時には、気化が不十分な燃料噴霧が点火プラグを通過するので、点火プラグ濡れによる失火の発生頻度が高まってしまう。
したがって、過給圧制御手段53hは、回転変動が所定のしきい値を越え、高過給時に燃焼の悪化を検出した場合には、バイパス弁32を駆動させ、タービン30を通る排気ガス量を減少させて、前記過給機の過給圧を所定の値よりも越えさせない、又は前記過給機の過給圧を所定の値まで減少させるように制御している。
なお、過給機を備えた筒内噴射式エンジンに関して、燃焼の悪化を検出した際に過給圧を制限し、加圧された気筒1内の燃料噴霧の気化促進を図るものであれば、前記他の制御パラメータの変更と組み合わせても良く、燃焼安定性の回復が得られたときには、バイパス弁32を閉じて通常の過給圧に復帰させる。
また、触媒コンバータ33の早期活化を図るための触媒早期活性化制御を行う場合には、燃焼安定化手段40による燃焼安定化制御によって安定した暖機運転を継続させることもできる。
つまり、触媒早期活性化制御は、冷間始動時において、まずクランキングの間は噴射モードを吸気行程噴射モードとし、完爆後に圧縮行程噴射モードに切り替える。次に、ADVを燃焼安定性が保てる限度にて圧縮上死点(TDC)付近に極力近づけて点火する。さらに、前記可変動弁機構を駆動させて排気弁7の開弁時期を制御できる最大まで進角させている。
ここで、上述のように、内部EGRガスには未燃燃料(HC)の量が増大しているので、排気行程において2回目の点火を行えば、燃焼室3からの火炎伝播による後燃えが排気マニホールド29内で短時間生じ、排出ガスの温度を高めることができる。
また、冷間始動時には、前記燃料噴射プログラムにより、従来のエンジン制御と同様に、目標燃料噴射量が暖機後のアイドリング状態に対して増量補正され、充分に暖機した状態、並びに触媒早期活性化制御の終了に合わせて目標燃料噴射量の増量補正を終了する。
したがって、冷間始動時に燃焼安定化制御を行い、可変動弁制御手段53f、点火時期制御手段53bを用いると、燃焼安定性を維持しつつ、触媒コンバータ33の早期活性化が可能となる。
なお、この触媒早期活性化制御を行う際に、バイパス弁32を開き、排気ガスを、タービン30をバイパスして排気管31へ流しても良く、これにより、タービン30に吸収される熱エネルギーを少なくし、触媒コンバータ33への熱エネルギー供給量を増やすことができる。また、触媒コンバータ33の活性化を行う上述の触媒早期活性化制御では、排気管31に設けられた排気温度センサ35で検知された温度が、予め設定された所定の値以上になった場合に終了し、触媒コンバータ33に過度の温度上昇が作用して熱劣化が起こることを防いでいる。さらに、前記排気温度センサ35を備えずに、始動時から所定の時間経過した後に触媒早期活性化制御を終了しても良い。
次に、図26と図27は、燃焼安定化手段40の変速機連携制御手段79に関するものである。
図26は、ECU36とATCU37との間における通信制御系を示している。
上述のように、ECU36は、変速機連携制御手段79を有しており、ATM48とエンジンの連携制御のために用いる情報を、回転センサ20、スロットル開度センサ27、車速度センサ38の各種センサからの出力信号として取り込んでいる。
一方、ATCU37は、ロックアップ解除判定手段37a、ロックアップクラッチ制御手段37bを有しており、ECU36と常時相互に通信がなされることで、エンジン状態に最適な変速動作を行っている。
ここで、変速機連携制御手段79は、燃焼安定性に関わる回転変動が所定のしきい値を越え、エンジンの燃焼の悪化が検出された場合には、ECU36からATCU37に対し、ATM油圧制御弁80等の動力伝達機構を駆動するように制御信号が出力され、ATM48がロックアップクラッチ81の制御を行っている。具体的には、前記回転変動が所定のしきい値を越えた場合には、ATM48のロックアップ解除を行うとともに、該ロックアップ解除時点での加減速に関わるエンジンの略同一回転数域において、前記ロックアップ解除以後に、前記回転変動が所定のしきい値を下回った場合には、前記ロックアップを再び実行している。
図27は、変速機連携制御手段79の動作フローチャートである。
ステップ23では、圧縮行程噴射モードかを判定し、ステップ24では、回転変動レベルを算出し、ステップ25では、回転変動判定手段49にて回転変動レベルと所定のしきい値とを比較する。
ステップ26では、運転モード履歴記憶手段54の記憶内容を参照し、現在までに燃焼安定化制御が実行されたか否かを判定する。そして、燃焼安定化制御が実行された場合、すなわち、YESのときにはステップ27に進み、一方、燃焼安定化制御が実行されていないときには、このルーチンを抜ける。
ステップ27では、変速機連携制御手段79にて、ATM37がロックアップ状態にあるか否かを判定してステップ28に進み、現在時点のエンジン回転数を記憶してステップ29に進み、ロックアップの解除信号をATCU37に出力してステップ30に進む。
ここで、ステップ30では、ロックアップ解除の時点を基準として、エンジン回転数の変化ΔNeが、所定のしきい値である設定エンジン回転数変化ΔNe以下になったか否かを判定する。そして、ΔNeが前記設定ΔNe以下の場合には、ステップ31に進んで、改めてロックアップ許可信号をATCU37へ出力する。一方、ΔNeが前記設定ΔNeを越えているときには、このルーチンを抜ける。
このように、燃焼が悪化したときには、ロックアップ時に対して、エンジンからの車両駆動系へのトルク変動の伝達が自動変速機の機構により緩和され、つまり、オートマチックの制御でバックアップすることにより、燃焼の悪化を直接に解消することはできないものの、少なくとも運転フィーリングを良好にすることができる。
なお、本実施形態の前記設定ΔNeは、略500r/minに設定されるが、変速機とエンジンのマッチングによって最適な設定ΔNeにすれば良く、この設定回転数に限定されるものではない。また、前記自動変速機の変速段毎に設定ΔNeを変えても良いものである。
以上のように、本発明の前記実施形態は、上記の構成としたことによって次の機能を奏するものである。
すなわち、燃料噴射弁8による噴射が均質燃焼たる吸気行程又は成層燃焼たる圧縮行程のほか、触媒昇温のための排気行程にて行われる本実施形態の筒内噴射式エンジンの制御装置36は、気筒1内の燃焼の安定化を図る燃焼安定化手段40を有しており、該燃焼安定化手段40は、前記エンジンの回転変動に基づいて、前記圧縮行程の燃料噴射モード時において燃焼の悪化状態が検出された場合には、前記圧縮行程の燃料噴射モードにて燃焼安定性の回復を図る運転モードへの切り替えを禁止して前記吸気行程の燃料噴射モードにて燃焼安定性の回復を図るか、若しくは前記圧縮行程の燃料噴射モードにて燃焼に関わる種々の制御パラメータを変更して燃焼安定性の回復を図るかの運転モードのうちいずれかを選択可能な次運転モード判定手段を有しているので、従来の技術の如く、吸気行程の燃料噴射へ常に切り替えられることがなく、圧縮行程の燃料噴射による運転領域を従来に比して一層広く設定することができ、筒内噴射式エンジンの価値をより高めることができる。
そして、本実施形態の筒内噴射式内燃機関の制御装置36は、前記構成により、圧縮行程噴射モードに先行して所定時間に限定された吸気行程噴射モードにおいて燃焼安定性の回復を図り、しかる後に圧縮行程噴射モードにて制御パラメータを変更するという制御の優先順位をつけることもできるので、速やかな燃焼安定性が得られ、かつ、余分な燃焼安定性の回復動作を繰り返さずに、内燃機関の信頼性の向上を図ることができる。
しかも、圧縮行程噴射モードにて制御パラメータを変更して燃焼安定性の回復を図る場合のみに比して、初期段階のデポジット付着等による燃焼の悪化に対して適切に対応でき、かつ、吸気行程噴射モードによる燃焼安定性の回復を図る場合のみに比して、トルク段差による運転フィーリングの悪化に対しても適切に対応できることになる。
以上、本発明の一実施形態について詳説したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の精神を逸脱しない範囲で、設計において種々の変更ができるものである。
例えば、前記実施形態では、燃焼安定化手段40は、図4に示すように、吸気行程噴射モードの後に圧縮行程噴射モードによる燃焼安定性の回復が行われているが、この構成に限定されるものではなく、次運転モード判定手段50がいずれかのモードを選択できる限り、前記吸気行程噴射モードとともに、前記圧縮行程噴射モードによる燃焼安定性の回復を行うほか、前記吸気行程噴射モードとは別に、前記圧縮行程噴射モードによる燃焼安定性の回復を行っても良く、これらの場合にも前記と同様の効果を奏することができる。例えば、前記燃圧、排気ガス再循環量、空気流動生成弁開度、吸・排気弁のバルブオーバーラップ量、及び燃料噴射回数の各制御パラメータは、空気と燃料の混合を促進させることに着目したものであり、この空気と燃料の混合に影響を与える制御パラメータを可変することで燃焼安定性の回復を行うものであるが、これらのパラメータは、燃焼安定度に与える感度が比較的低いことから、該パラメータを変更させつつ、吸気行程噴射モードを所定時間継続させることができる。
これに対し、前記燃料噴射時期、目標噴射量、及び点火時期の各制御パラメータは、燃焼安定度に与える感度が高いものであるので、吸気行程噴射モードを行わず、該パラメータの変更のみ行われる。
また、前記変速機連携制御手段79では、ステップ30のように、エンジン回転数の変化幅ΔNeで判定しているが、この例のほか、車速度の変化幅、スロットル開度の変化幅にて設定されていても良いものである。
本発明の実施形態の筒内噴射式内燃機関の制御装置を備えたターボ過給機付きの筒内噴射式内燃機関及び自動変速機の構成図。 図1の内燃機関の可変動弁機構及び空気流動生成機構の構成図。 図1の筒内噴射式内燃機関の制御装置内の燃焼安定化手段の制御ブロック図。 図3の燃焼安定化手段の動作フローチャート。 図3の燃焼安定化手段の吸気行程噴射モードによる燃焼安定化制御の説明におけるエンジン回転数と負荷の制御マップ。 図5の変更後のエンジン回転数と負荷の制御マップ。 図5のエンジン回転数と水温の制御マップ。 図7の変更後のエンジン回転数と水温の制御マップ。 図3の燃焼安定化手段の圧縮行程噴射モードによる燃焼安定化制御の説明における燃料噴射時期及び点火時期による燃焼安定領域の経年変化を示す図。 図9の燃料噴射時期制御手段及び点火時期制御手段における燃焼安定領域の探索方法を示す図。 図9の燃料噴射時期制御手段及び点火時期制御手段におけるIT/ADV制御マップ。 図3の燃焼安定化手段の圧縮行程噴射モードによる燃焼安定化制御の説明における異なる燃圧による噴霧到達距離を示す図。 図12の燃圧制御手段における燃圧制御方法を示す図。 図3の燃焼安定化手段の圧縮行程噴射モードによる燃焼安定化制御の説明における1回噴射時の上死点付近の説明図。 図14の1回噴射時の点火時点の説明図。 図14の分割噴射制御手段による2回噴射時の上死点付近の説明図。 図14の分割噴射制御手段による2回噴射時の点火時点の説明図。 図3の燃焼安定化手段の圧縮行程噴射モードによる燃焼安定化制御の説明における燃料噴射時期制御手段、点火時期制御手段、並びに分割噴射制御手段を組み合わせて行う燃焼安定性の回復の説明図。 図3の燃焼安定化手段の圧縮行程噴射モードによる燃焼安定化制御の説明における空気流動制御手段による吸気行程の説明図。 図19の空気流動制御手段による圧縮行程の説明図。 図3の燃焼安定化手段の圧縮行程噴射モードによる燃焼安定化制御の説明におけるEGR制御手段による排気行程の説明図。 図21のEGR制御手段及び可変動弁制御手段による圧縮行程の説明図。 図21のEGR制御手段及び可変動弁制御手段による吸気行程の説明図。 図21のEGR制御手段及び可変動弁制御手段による点火直前の説明図。 図21の可変動弁制御手段によるバルブタイミングチャート。 図3の燃焼安定化手段による燃焼安定化制御におけるECUとATCUとの通信系統の説明図。 図26の変速機連携制御手段の動作フローチャート。
符号の説明
1 気筒
6 吸気弁
7 排気弁
8 燃料噴射弁
36 筒内噴射式内燃機関の制御装置
40 燃焼安定化手段
48 自動変速機
49 回転変動判定手段
50 次運転モード判定手段
52 吸気行程噴射継続手段
53 制御パラメータ変更手段
55 制御パラメータ値再設定手段
79 変速機連携制御手段

Claims (16)

  1. 圧縮行程中に燃料を気筒内に直接噴射する圧縮行程噴射モードを有する内燃機関の制御装置において、
    前記制御装置は、前記気筒内の燃焼の安定化を図る燃焼安定化手段を有し、
    前記燃焼安定化手段は、前記圧縮行程噴射モード中に、燃焼の悪化状態が検出された場合に、前記圧縮行程噴射モードを維持しつつ燃焼安定性の回復を図る運転モードを有することを特徴とする制御装置。
  2. 圧縮行程中に燃料を気筒内に直接噴射する圧縮行程噴射モードと吸気行程中に燃料を気筒内に直接噴射する吸気行程噴射モードとを切り替えて運転可能な内燃機関の制御装置において、
    前記制御装置は、前記圧縮行程噴射モード中に、燃焼の悪化状態が検出された場合に、前記圧縮行程噴射モードを維持しつつ燃焼安定性の回復を図る運転モードと、
    前記吸気行程噴射モードに切り替えて燃焼安定性の回復を図る運転モードとを選択する次運転モード判定手段とを有することを特徴とする制御装置。
  3. 前記燃焼安定化手段は、前記吸気行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る場合には、該吸気行程の燃料噴射を所定の時間継続する吸気行程噴射継続手段を有していることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  4. 前記燃焼安定化手段は、前記圧縮行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る場合には、燃焼に関わる制御パラメータを変更する制御パラメータ変更手段を有していることを特徴とする請求項1又は3記載の制御装置。
  5. 前記制御パラメータは、燃圧、排気ガス再循環量、空気流動生成弁開度、吸・排気弁のバルブオーバーラップ量、又は燃料噴射回数の少なくとも一つからなることを特徴とする請求項4記載の制御装置。
  6. 前記次運転モード判定手段は、前記圧縮行程の燃料噴射時における燃焼の悪化状態の検出回数若しくは前記内燃機関の運転要求に応じて、前記吸気行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る運転モードを選択することを特徴とする請求項2記載の制御装置。
  7. 前記次運転モード判定手段は、前記吸気行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る場合には、前記圧縮行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る運転モードへの切り替えを禁止し、前記吸気行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る運転モードの継続が所定回数実行されたときには、前記圧縮行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る運転モードを選択することを特徴とする請求項2又は6記載の制御装置。
  8. 前記制御装置は燃焼に関わる制御パラメータを変更する制御パラメータ変更手段を有し、前記次運転モード判定手段が前記圧縮行程の燃料噴射にて燃焼安定性の回復を図る場合には、前記制御パラメータは、前記燃料噴射弁の燃料噴射時期、目標噴射量、又は点火時期の少なくとも一つからなることを特徴とする請求項2、6又は7記載の制御装置。
  9. 前記燃料噴射時期と前記点火時期の制御パラメータは、交互に変更されることを特徴とする請求項8記載の制御装置。
  10. 前記燃料噴射時期と前記点火時期の制御パラメータは、前記燃料噴射開始時期と前記点火時期が同じクランク角度にあるところの基準クランク角に対して、前記燃料噴射開始時期、前記点火時期の各々において略同一のクランク角の変化量となるべく、進角又は遅角側に変更されていることを特徴とする請求項9記載の制御装置。
  11. 前記燃焼安定化手段は、前記圧縮行程の燃料噴射時における燃焼の悪化状態が改善された場合には、前記制御パラメータの値を前記改善時点の値に再設定し、次回の圧縮行程の燃料噴射時における燃焼の悪化状態が検出されるまで前記再設定された値を記憶保持する制御パラメータ値再設定手段を有していることを特徴とする請求項4又は5に記載の制御装置。
  12. 前記燃焼安定化手段は、前記内燃機関の回転変動に基づいて燃焼状態を判定する回転変動判定手段を有することを特徴とする請求項1、3から5、11のいずれか一項に記載の制御装置。
  13. 前記制御装置は、前記圧縮行程の燃料噴射の運転領域を前記内燃機関の回転数と負荷とによる制御マップ、若しくは前記内燃機関の回転数と水温とによる制御マップとして持ち、前記燃焼安定化手段は、前記内燃機関の回転変動が所定のしきい値を越えた場合には、前記制御マップのうち、前記しきい値を越えた区画範囲を前記圧縮行程の燃料噴射の運転領域から前記吸気行程の燃料噴射の運転領域に変更することを特徴とする請求項12記載の制御装置。
  14. 前記内燃機関は、過給機を備え、前記燃焼安定化手段は、前記内燃機関の回転変動が所定のしきい値を越えた場合には、前記過給機の過給圧を所定の値を越えさせない、又は前記過給機の過給圧を減少させることを特徴とする請求項12又は13記載の制御装置。
  15. 前記内燃機関は、吸・排気弁のバルブオーバーラップ量を増減させて燃焼ガスを前記気筒内に導入する内部EGR機構と、他の配管経路から既燃焼ガスを吸気ポートに導入する外部EGR機構とを備え、前記燃焼安定化手段は、前記内燃機関の回転変動が所定のしきい値を越えた場合には、前記外部EGR量を減少させる、及び/又は、前記内部EGR量を増大させることを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の制御装置。
  16. 前記内燃機関は、自動変速機と組み合わされ、前記燃焼安定化手段は、前記内燃機関の回転変動が所定のしきい値を越えた場合には、前記自動変速機のロックアップ解除を行うとともに、該ロックアップ解除時点での略同一回転数域において、前記ロックアップ解除以後に、前記内燃機関の回転変動が所定のしきい値を下回った場合には、前記ロックアップを再び実行する変速機連携制御手段を有していることを特徴とする請求項12から15のいずれか一項に記載の制御装置。
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