JP2007237749A - 入力データ切換装置及びこれを使用した電動パワーステアリング装置 - Google Patents

入力データ切換装置及びこれを使用した電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】入力データを切換える際に両者間に生じる公差を正確に補正して、入力データのリニアリティを保証する。
【解決手段】アナログ入力データを第1のA/D変換部の分解能に合わせて所定数倍した後当該第1のA/D変換部でデジタルデータに変換した変換前所定数倍入力データから前記アナログ入力データを第2のA/D変換部でデジタルデータに変換した後所定数倍した変換後所定数倍データへ切換える際に、公差記憶手段に記憶されている前記変換前所定数倍データに対する前記変換後所定数倍データの公差を変換後所定数倍入力データに加算して公差補正を行う。
【選択図】 図2

Description

本発明は、アナログ入力データを第1のA/D変換器の分解能に合わせて所定数倍してから当該第1のA/D変換器に入力してデジタルデータに変換した変換前所定数倍データと、前記アナログ入力データを第2のA/D変換器でデジタルデータに変換してから前記所定数倍した変換後所定数倍データとを、常時は変換前所定数倍データを選択し、該変換前所定数倍データが前記A/D変換器の最大値近傍の所定値に達したときに、前記変換後所定数倍データに切換えるデータ切換手段を備えた入力データ切換装置及びこれを使用した電動パワーステアリング装置に関する。
従来の電動パワーステアリング装置にあっては、例えば本出願人が先に提案したトルクセンサからのメイントルク信号をA/D変換したメイントルク入力値と、前記メイントルク信号を第1ゲイン倍した後にA/D変換したゲイン倍トルク入力値と、前記トルクセンサからのサブトルク信号とに基づいて、ステアリング機構に操舵補助力を与えるモータを制御する操舵補助力制御手段を有し、フェールセーフ機能を行うようになっている電動パワーステアリング装置の制御装置において、前記メイントルク入力値を第2ゲイン倍するゲイン倍器と、前記ゲイン倍器の出力及び前記ゲイン倍トルク入力値を切換えて前記操舵補助力制御手段に入力するスイッチ手段とを設けた電動パワーステアリング装置の制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−308136号公報(第1頁、図1〜図3)
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来例にあっては、ゲイン倍トルク入力値がA/D変換器の入力範囲を超える場合に、ゲイン倍トルク入力値からメイントルク入力を第2ゲイン倍するゲイン倍器の出力に切換えて連続した入力データを形成することができるものであるが、実際上は、ゲイン倍トルク入力値と、ゲイン倍器の出力とは、精度が異なり、ゲイン倍トルク入力値の方が高精度であると共に、ゲイン倍トルク入力値とゲイン倍器の出力とは公差を有し、単に両者を切換えただけでは、入力データのリニアリティを保証することはできず、操舵フィーリングが悪化するという未解決の課題を有する。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、入力データを切換える際に両者間に生じる公差を正確に補正して、入力データのリニアリティを保証することができる入力データ切換装置及びこれを使用した電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る入力データ切換装置は、アナログ入力データを第1のA/D変換部の分解能に合わせて所定数倍した後に当該第1のA/D変換部に入力してデジタルデータに変換して変換前所定数倍入力データを演算する第1の演算部と、前記アナログ入力データを第2のA/D変換部でデジタルデータに変換した後に所定数倍した変換後所定数倍データを演算する第2の演算部と、常時は前記変換前所定数倍データを選択し、該変換前所定数倍データが前記A/D変換部の最大値近傍の所定値に達したときに前記変換後所定数倍データに切換えるデータ切換手段と、前記変換前所定数倍データに対する前記変換後所定数倍データの公差を補正値として記憶する公差記憶手段と、前記データ切換手段で、前記変換前所定数倍データから変換後所定数倍入力データに切換える際に、変換後所定数倍入力データに前記公差記憶手段に記憶されている公差を加算する公差補正を行う公差補正手段とを備えていることを特徴としている。
また、請求項2に係る入力データ切換装置は、アナログ入力データを第1のA/D変換部の分解能に合わせて所定数倍した後に当該第1のA/D変換部に入力してデジタルデータに変換して変換前所定数倍入力データを演算する第1の演算部と、前記アナログ入力データを第2のA/D変換部でデジタルデータに変換した後に所定数倍した変換後所定数倍データを演算する第2の演算部と、常時は前記変換前所定数倍データを選択し、該変換前所定数倍データが前記A/D変換部の最大値近傍の所定値に達したときに前記変換後所定数倍データに切換えるデータ切換手段と、前記変換前所定数倍データに対する前記変換後所定倍数データの公差を演算し、演算した複数の公差を記憶する公差記憶領域を有する公差演算手段と、前記データ切換手段で、前記変換前所定数倍データから変換後所定数倍入力データに切換える際に、変換後所定数倍入力データに前記公差記憶手段に記憶されている複数の公差の平均値を算出して加算する公差補正を行う公差補正手段とを備えていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る入力データ切換装置は、アナログ入力データを第1のA/D変換部の分解能に合わせて所定数倍した後に当該第1のA/D変換部に入力してデジタルデータに変換して変換前所定数倍入力データを演算する第1の演算部と、前記アナログ入力データを第2のA/D変換部でデジタルデータに変換した後に所定数倍した変換後所定数倍データを演算する第2の演算部と、常時は前記変換前所定数倍データを選択し、該変換前所定数倍データが前記A/D変換部の最大値近傍の所定値に達したときに前記変換後所定数倍データに切換えるデータ切換手段と、前記変換前所定数倍データに対する前記変換後所定数倍データの公差を補正値として記憶する公差記憶手段と、前記変換前所定数倍データに対する前記変換後所定倍数データの公差を演算し、演算した複数の公差を記憶する公差記憶領域を有する公差演算手段と、前記アナログ入力データの変化状況を検出する入力データ変化状況検出手段と、前記データ切換手段で、前記変換前所定数倍データから変換後所定数倍入力データに切換える際に、前記入力データ変化状況検出手段で検出した入力データ変化が小さいときには、前記公差記憶領域に記憶されている複数の公差の平均値を算出して前記変換後所定数倍入力データに加算し、前記入力データ変化が大きいときには、前記公差記憶手段に記憶されている公差を前記変換後所定数倍入力データに加算して公差補正を行う公差補正手段とを備えていることを特徴としている。
さらにまた、請求項4に係る入力データ切換装置は、請求項1又は3に係る発明において、前記公差記憶手段は、出荷時の前記変換前所定数倍データに対する前記変換後所定数倍データの公差を初期値として記憶することを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る入力データ切換装置は、請求項1又は3に係る発明において、前記変換前所定倍数データが前記所定値の近傍範囲内であるときに、前記変換前所定数倍データに対する前記変換後所定数倍データの公差を算出し、当該公差を前記公差記憶手段に更新記憶する公差更新手段を備えていることを特徴としている。
また、請求項6に係る入力データ切換装置は、請求項5に係る発明において、前記公差更新手段は、算出した公差と前記公差記憶手段に記憶されている公差との偏差が所定値以上であるときに算出した公差を更新記憶するように構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項7に係る入力データ切換装置は、請求項1、3乃至6の何れか1つに係る発明において、前記公差記憶手段は、不揮発性メモリで構成されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項8に係る入力データ切換装置は、請求項1乃至7の何れか1つに係る発明において、前記アナログ入力データが操舵トルクデータであることを特徴としている。
なおさらに、請求項9に係る入力データ切換装置は、前記請求項3に係る発明において、前記アナログ入力データが操舵系に付与される操舵トルクデータであり、且つ前記入力データ変化状況検出手段が前記操舵系の操舵速度を検出する操舵速度検出手段で構成されていることを特徴としている。
また、請求項10に係る電動パワーステアリング装置は、操舵系に付与される操舵トルクを検出するトルク検出手段と、該トルク検出手段で検出した操舵トルクをアナログ入力データとして入力する請求項1乃至9の何れか1項に記載の入力データ切換装置と、該入力データ切換装置から出力される選択トルクデータに基づいて操舵補助指令値を演算し、演算した操舵補助指令値に基づいて前記操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータに対するモータ電流指令値を算出する操舵補助制御部と、該操舵補助制御部で算出したモータ電流指令値に基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ駆動部とを備えたことを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、アナログ入力データをA/D変換前に所定数倍してからA/D変換した変換前所定数倍データからA/D変換後に所定数倍した変換後所定数倍データへ切換える際に、公差記憶手段に記憶されている両者の公差を変換後所定数倍データに加算して補正することにより、不連続となることなく高い連続性を有するデータ切換えを行うことができるという効果が得られる。
しかも、公差記憶手段に記憶されている公差を使用して変換後所定数倍データを補正することにより、公差演算が間に合わない場合でも正確な公差補正を行うことができ、さらに、公差記憶手段に出荷時に初期公差を格納しておくことにより、使用開始時から正確な公差補正を行うことができる。
また、請求項2に係る発明によれば、アナログ入力データをA/D変換前に所定数倍してからA/D変換した変換前所定数倍データからA/D変換後に所定数倍した変換後所定数倍データへ切換える際に、公差演算手段で算出される両者の公差を変換後所定数倍データに加算して補正することにより、不連続となることなく高い連続性を有するデータ切換えを行うことができるという効果が得られる。
さらに、請求項3に係る発明によれば、アナログ入力データをA/D変換前に所定数倍してからA/D変換した変換前所定数倍データからA/D変換後に所定数倍した変換後所定数倍データへ切換える際に、アナログ入力データの変化態様に応じて公差記憶手段に記憶されている両者の公差及び公差演算手段で演算した公差を選択して変換後所定数倍データに加算して補正することにより、サンプリング期間内での公差演算手段での公差演算が可能であるか否かを判断して公差選択を行うことができ、公差演算処理時間が不足することによる切換データが不連続となることを確実に防止することができるという効果が得られる。
また、上記の入力データ切換装置を使用して電動パワーステアリング制御装置を構成することにより、操舵トルク検出値のA/D変換前に所定数倍してからA/D変換した値と、操舵トルク検出値をA/D変換後に所定数倍した値とを切換える際に、操舵補助指令値に変動を生じることなく、操舵フィーリングを向上させることができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す全体構成図であって、図中、EPSは電動パワーステアリング装置であって、この電動パワーステアリング装置EPSは、ステアリングホイール1に接続されたステアリングシャフト2を有し、このステアリングシャフト2がユニバーサルジョイント4a及び4b,ピニオンラック機構5を経て、操向車輪のタイロッド6に結合されている。
ステアリングシャフト2には、ステアリングホイール1の操舵トルクを検出するトルクセンサ7が設けられていると共に、ステアリングホイール1に与えられる操舵力を補助する電動モータ8が、減速ギヤ3を介して結合されている。ここで、トルクセンサ7は、共にアナログ電圧でなる操舵補助用のメイントルク信号Tmとフェールセーフ用のサブトルク信号Tsとを出力する。
また、電動パワーステアリング装置EPSを制御する例えばMCU(Micro Controller Unit)で構成されるコントロールユニット10は、A/D変換入力端子t1〜t5を有すると共に、所定のプログラムを記憶したROM11a及び演算過程のデータや演算結果のデータを記憶するRAM11bを内蔵するMCU(Micro Controller Unit)11と、このMCU11に接続されたEEPROM、フラッシュメモリ等で構成される公差記憶手段としての不揮発性メモリ12と、トルクセンサ7で検出したメイントルク信号Tmを所定ゲインα倍(αは正の整数で例えばα=3に設定されている)してMCU11に出力する増幅器で構成されるゲイン倍器13とで構成されている。コントロールユニット10には、バッテリ14からイグニッションキー15及びリレー16を経て電力が供給され、MCU11は、ゲイン倍器13で所定ゲインα倍したトルク検出値をA/D変換した変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1とトルクセンサ7で検出したメイントルク信号TmをA/D変換してからゲインα倍した変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2を公差ΔTで補正した値とをデータ切換部55で選択し、選択した選択トルク信号TSLと車速センサ17で検出された車速Vとに基づいて、モータ電流指令値IMの演算を行い、この電流指令値IMを後述するモータ駆動部51に出力することにより、電動モータ8に供給する電流を制御する。
また、不揮発性メモリ12には、工場出荷時に変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1がA/D変換機能のフルスケールに相当する最大値Tm1MAXよりは小さい値に設定された閾値Tthに達したときの変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1から変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2を減算した公差ΔTが初期値ΔT0として記憶されている。
また、図2は、電動パワーステアリング装置EPSの制御系の概略構成を、MCU11を機能ブロック図で表したシステム構成図である。同図において、ステアリングシャフト2に操舵補助力を与える電動モータ8は、モータ駆動部51によって駆動され、このモータ駆動部51は、MCU11によって制御される。このMCU11は、ゲイン倍器13から出力されるゲイン倍トルク検出値をデジタル信号に変換するA/D変換器52aと、メイントルク信号Tmをデジタル信号に変換するA/D変換器52bと、サブトルク信号Tsをデジタル信号に変換するA/D変換器52cとを有し、A/D変換器52aから入力される変換前ゲイン倍トルク信号Tm′とA/D変換器52bから出力されるデジタルメイントルク信号Tmdをデジタル的に所定ゲイン倍例えば3倍するゲイン倍器53と、D/A変換器52aから出力される変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1と、ゲイン倍器53でゲイン倍した変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2とが入力され、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1がA/D変換器52aの入力範囲内の最大値近傍値以内の値であるときには変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1を選択し、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1がA/D変換器52aの入力範囲の最大値近傍値を超える値であるときには変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2を公差補正部54で公差補正した補正値Tm2′を選択するデータ切換手段としてのデータ切換部55が設けられている。
さらに、MCU11には、車速センサ17からの車速V、モータ電流検出回路18からのモータ電流検出値IMD、及びモータ端子間電圧検出回路19からのモータ端子間電圧Vmが入力される。
また、MCU11には、操舵補助指令演算部56,センタ応答性改善部57,収斂性制御部58が設けられている。
操舵補助指令演算部56は、データ切換部55から入力される選択トルク信号TSL及び車速センサ17からの車速Vに基づいて、図3に示す操舵補助指令値算出マップを参照して電流指令値としての操舵補助指令値IM *を演算する。ここで、操舵補助指令値算出マップは、図3に示すように、横軸に選択トルク信号TSLをとり、縦軸に操舵補助指令値IM *をとると共に、車速Vをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、選択トルク信号TSLが“0”からその近傍の設定値T1までの間は操舵補助指令値IM *が“0”を維持し、選択トルク信号TSLが設定値T1を超えると最初は操舵補助指令値IM *が選択トルク信号TSLの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに選択トルク信号TSLが増加すると、その増加に対して操舵補助指令値IM *が急峻に増加するように設定され、この特性曲線が車速の増加に従って傾きが小さくなるように設定されている。
センタ応答性改善部57は、ステアリング中立付近の制御の応答性を高め、滑らかでスムーズな操舵を実現するように、データ切換部55から入力される選択トルク信号TSLを微分演算処理してアシスト特性不感帯での安定性確保、静摩擦の補償を行うセンタ応答性改善指令値Irを算出する。
さらに、収斂性制御部58は、信号選択部55から入力される選択トルク信号TSL及びモータ角速度推定部59からのモータ角速度ωを受け、車両のヨーの収斂性を改善するためにステアリングホイール1が振れ回る動作に対して、ブレーキをかけるように、モータ角速度ωに車速Vに応じて変更される収斂性制御ゲインKvを乗じて収斂性制御値Icを算出する。
そして、上記操舵補助指令演算部56,センタ応答性改善部57,及び収斂性制御部58の各出力は、加算器60を介してロバスト安定化補償部61に入力される。このロバスト安定化補償部61の出力は加算器62でモータ特性補償部63の出力と加算され、この加算出力からモータ電流が減算器64で減算されて電流制御器65に入力される。
ここで、ロバスト安定化補償部61は、上記加算器60からの加算出力を受け、sをラプラス演算子とする伝達関数G(s)=(s2+a1・s+a2)/(s2+b1・s+b2)を有し、検出トルクに含まれる慣性要素とバネ要素からなる共振系の共振周波数におけるピークを除去するようにし、制御系の安定性と応答性を阻害する共振周波数の位相のズレを補償するように構成されている。なお、伝達関数G(s)のa1,a2,b1,b2は、いずれも共振系の共振周波数frにより決定されるパラメータである。また、モータ角速度推定部59は、モータ端子間電圧及びモータ電流値に基づいて電動モータ8の角速度を推定するものであって、推定した電動モータ8の角速度ωは、モータ特性補償部63及び収斂性制御部58に入力される。
電流制御器65では、減算器64から出力される補償後操舵補助指令値IM *″の微分値Idと、補償後操舵補助指令値IM *″とモータ電流検出値IMDとの電流偏差ΔIを比例処理した電流比例値ΔIpと、電流比例値ΔIpを積分した電流積分値ΔIiとを加算してモータ電流指令値IMを算出し、算出したモータ電流指令値IMをモータ駆動部51に出力する。この図2の機能ブロック図において、ゲイン倍器13、A/D変換器52a〜52c、乗算器53、公差補正部54及び信号選択部55でデータ入力切換装置が構成され、操舵補助指令値演算部56、センタ応答性改善部57、収斂性制御部58、モータ角速度推定部59、加算器60、ロバスト安定化補償部61、加算器62−モータ特性補償部63、減算器64、電流制御部65で操舵補助制御部が構成されている。
そして、MCU11では、図4に示す公差読込処理、図5に示すトルク切換処理及び図6に示す操舵補助制御処理を実行する。
公差読込処理は、MCU11に電源が投入されたときの初期化処理として実行され、図4に示すように、先ず、ステップS1で不揮発性メモリ12からこれに記憶されている公差初期値ΔT0を読込み、次いでステップS2に移行して、読込んだ公差初期値ΔT0をRAM11bの所定記憶領域に記憶してから公差読込処理を終了する。
トルク切換処理は、図5に示すように、所定時間(例えば1msec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ずステップS11で、ゲイン倍器13及びトルクセンサ7から入力される変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1及びメイントルク信号TmをA/D変換して読込み、次いでステップS12に移行して、読込んだ変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1及びメイントルク信号Tmから夫々の中間値を減算して正負の符号を付加したトルク値に変換し、次いでステップS13に移行して、符号化されたメイントルク信号Tmをゲイン倍器13と同様のゲインα倍(例えば3倍)して変換後ゲイン倍検出値Tm2を算出してからステップS14に移行する。
このステップS14では、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が予め設定したA/D変換機能の入力範囲の最大値より僅かに小さい閾値Tth以下であるか否かを判定し、Tm1≦Tthであるときには正常A/D変換範囲内であると判断してステップS15に移行して、選択トルク信号TSLとして変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1を選択してからステップS16に移行して、選択トルク信号TSLを内蔵するRAM11aの選択トルク信号記憶領域に更新記憶する。
一方、ステップS14の判定結果が、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値Tthを超えているときには(Tm1>Tth)、正常A/D変換範囲を逸脱したものと判断してステップS17に移行し、RAM11aに記憶されている公差初期値ΔT0を読込み、次いでステップS18に移行して、変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に読出した公差ΔTを加算した値を選択トルク信号TSLとして算出してから前記ステップS16に移行する。
この図4の処理がデータ入力切換装置に対応し、ステップS11,S12の処理及びゲイン倍器13が第1の演算部に対応し、ステップS11〜S13の処理が第2の演算部に対応し、ステップ1S4の処理がデータ切換手段に対応し、ステップS17及びS18の処理が公差補正手段に対応している。
また、操舵補助制御処理は、図5に示すように、先ず、ステップS21で、車速センサ17、モータ電流検出回路18、モータ端子間電圧検出回路19等の各種センサの検出値及び選択トルク信号記憶領域に記憶されている選択トルク信号TSLを読込み、次いでステップS22に移行して、選択トルク信号TSL及び車速センサ17で検出した車速Vに基づいて図3の操舵補助指令値算出マップを参照して操舵補助指令値IM *を算出する。
次いで、ステップS23に移行して、モータ電流検出値IMD及びモータ端子間電圧Vmに基づいて下記(1)式の演算を行ってモータ角速度ωを推定してからステップS24に移行する。
ω=(Vm−IMD・Rm)/K0 …………(1)
ここで、Rmはモータ巻線抵抗、K0はモータの起電力定数である。
ステップS24では、推定したモータ角速度ωと車速Vに基づいて設定されるゲインKvとを乗算して収斂性制御値Ic(=Kv・ω)を算出し、次いでステップS25に移行して、操舵トルクTを微分演算処理してアシスト特性不感帯での安定性確保、静摩擦の補償を行うセンタ応答性改善指令値Ir を算出し、次いでステップS26に移行して、操舵補助指令値IM *、収斂性制御値Ic及びセンタ応答性改善補償値Irを加算して操舵補助補償値IM *′を算出してからステップS27に移行する。
このステップS27では、操舵補助補償値IM *′に対して共振周波数の位相ずれを補償する前述したロバスト安定化補償器61と同様のロバスト安定化補償処理を行うと共に、ロバスト安定化補償処理後の操舵補助補償値IM *′にモータ角速度ωに基づいて算出したモータ特性補償値IMCを加算して補償後操舵補助指令値IM *″を算出する。
次いで、ステップS28に移行して、補償後操舵補助補償値IM *″を微分してフィードフォワード制御用の微分値Idを算出する。次いで、ステップS29に移行して、操舵補助補償値IM *″からステップS21で読込んだモータ電流検出値IMDを減算して電流偏差ΔIを算出し、次いでステップS30に移行して、電流偏差ΔIを比例演算処理して比例補償制御用の比例値ΔIpを算出し、次いでステップS31に移行して、電流偏差ΔIを積分演算処理して積分補償制御用の積分値ΔIiを算出する。
次いで、ステップS32に移行して、微分値Id、比例値ΔIp及び積分値ΔIiを加算してモータ電流指令値IM(=Id+ΔIp+ΔIi)を算出し、次いでステップS33に移行して、前記ステップS29で算出したモータ電流指令値IMをモータ駆動部51に出力してから前記ステップS21に戻る。
この図5の処理が操舵補助制御部に対応している。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、車両の使用を開始するために、キースイッチ15をオン状態とすることにより、コントロールユニット10に電源が投入されて、MCU11で、図4の公差読込処理を実行すると共に、図5のトルク切換処理を実行開始し、さらに図6の操舵補助制御処理を実行開始される。
このとき、トルクセンサ7で検出したメイントルク信号Tmはゲイン倍器13で所定数のゲインα倍されてからMCU11のA/D変換入力端子t1に入力されると共に、直接A/D変換入力端子t2に入力され、同様にトルクセンサ7で検出したサブトルク信号Tsは直接MCU11のA/D変換入力端子t3に入力される。
また、モータ電流検出回路15で検出したモータ電流検出値IMD及びモータ端子間電圧検出回路19で検出したモータ端子間電圧VmがMCU11のA/D変換入力端子t4及びt5に入力されると共に、車速センサ17で検出された車速VもMCU11の入力端子t6に入力される。
したがって、MCU11では、先ず、図4の公差読込処理によって不揮発性メモリ12に記憶されている工場出荷時の公差初期値ΔT0を読み出して内蔵するRAM11bの所定記憶領域に記憶する。その後、図5のトルク切換処理が実行されて、トルクセンサ7で検出したメイントルク信号Tmを読込んでA/D変換機能によってデジタル信号に変換すると共に、メイントルク信号Tmをゲイン倍器13で所定数のゲインα倍したゲイン倍トルク信号をA/D変換機能によってデジタル信号に変換して変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1として読込む(ステップS11)。
次いで、デジタル値に変換した変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1とデジタル値に変換したメイントルク信号Tmとを正負の符号化し(ステップS12)、符号化したメイントルク信号Tmをゲイン倍器13と同一のゲインα倍して変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2を算出する(ステップS13)。
このとき、車両が停車していて、ステアリングホイール1を操舵しておらず、電動モータ8にモータ電流が供給されず停止している状態では、トルクセンサ7で検出するメイントルク検出信号Tmが略零であるので、ゲイン倍器13で所定ゲインα倍したゲイン倍トルクも略零となり、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1及び変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2も共に略零となっている。
このため、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値Tth以下となるので、ステップS14からステップS15に移行して変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が選択トルク信号TSLとして選択され、この選択トルク信号TSLが選択トルク信号記憶領域に更新記憶される。
このため、図6の操舵補助制御処理では、選択トルク信号記憶領域に記憶された選択トルク信号TSL及び車速Vを読込み(ステップS21)、これら選択トルク信号TSLと車速Vとに基づいて図3に示す操舵補助指令値算出マップを参照して操舵補助指令値IM *を算出する(ステップS22)。このとき、選択トルク信号TSL及び車速Vが共に略零であるので、操舵補助指令値IM *も略零となる。
一方、モータ電流検出回路15で検出したモータ電流検出値IMD及びモータ端子間電圧検出回路19で検出したモータ端子間電圧Vmに基づいて前記(1)式の演算を行ってモータ角速度ωを推定する(ステップS23)が、この電動モータ8に通電されていないので、モータ角速度ωも零となる。
そして、モータ角速度ωに基づいて収斂性制御値Icを算出し(ステップS24)、操舵トルクTを微分してセンタ応答性改善補償値Irを算出し(ステップS25)、操舵補助指令値IM *、収斂性制御値Ic及びセンタ応答性改善補償値Irを加算して操舵補助補償値IM *′を算出する(ステップS26)。この場合も操舵補助補償値IM *′が零となる。
そして、補正した操舵補助補償値IM *′に対してロバスト安定化補償を行うことにより、共振周波数frの位相ずれを補償し、この補償した操舵補助補償値IM *′にモータ特性補償値IMCを加算して補償後操舵補助指令値IM *″を算出し(ステップS27)、この補償後操舵補助指令値IM *″も零となる。
この補償後操舵補助指令値IM *″の微分値Idを演算すると共に、補償後操舵補助指令値IM *″とモータ電流検出値IMDとの電流偏差ΔIを算出し、電流偏差ΔIの比例値ΔIpと、この比例値ΔIpの積分値ΔIiとを加算することにより、モータ電流指令値IMを算出する(ステップS28〜S32)が、この場合のモータ電流指令値IMも零となり、算出したモータ電流指令値IMをモータ駆動部51に出力することにより(ステップS33)、このモータ駆動部51からモータ電流が出力されない状態が継続されて、電動モータ8の停止状態が維持される。
その後、車両が停車している状態でステアリングホイール1を操舵する所謂据え切り状態とすると、トルクセンサ7から出力されるメイントルク信号Tmが増加し、これに応じて選択トルク信号TSLとして選択されている変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が増加すると共に、車速Vが零であって図3に示す操舵補助指令値算出マップの特性線の傾きが大きいことにより、小さい選択トルク信号TSLで大きな操舵補助指令値IM *を算出するので、電動モータ8で大きな操舵補助力を発生して軽い操舵を行うことができる。
一方、車両が発進して、所定車速以上となると、図3に示す操舵補助指令値算出マップの特性線の傾きが小さくなることにより、大きな選択トルク信号TSLでも小さな操舵補助指令値IM *を算出するので、電動モータ8で発生する操舵補助力が小さくなり、ステアリングホイール1の操舵が軽くなりすぎることを抑制して最適な操舵を行うことができる。
このように、トルクセンサ7で検出したメイントルク信号Tmが常用範囲内である場合には、メイントルク信号Tmをゲイン倍器13でゲインα倍したゲイン倍トルク信号をA/D変換した変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1を選択トルク信号TSLとして選択し、この変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1に基づいて操舵補助指令値IM *を算出するので、A/D変換能のフルスケールを使用した良好な分解能の変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1を使用して操舵補助指令値IM *を算出することにより、良好な操舵補助制御を行うことができる。
しかしながら、ステアリングホイール1を急操舵した場合のように、トルクセンサ7で検出されるメイントルク信号Tmをゲイン倍器13でゲインα倍したゲイン倍トルクがA/D変換機能のフルスケールに近づいて変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値Tthを超えると、ステップS14からステップS17に移行して、不揮発性メモリ12に記憶されている公差ΔTの初期値ΔT0を読出し、次いで、変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に読出した公差ΔTの初期値ΔT0を加算した値を選択トルク信号TSLとして算出する。このとき、算出した選択トルク信号TSLは変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に出荷時に記憶された初期値ΔT0が公差ΔTとして加算されているので、図7に示すように、実線図示の変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1に対して変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2が公差ΔTだけ小さいものであるとしても、選択トルク信号TSLは変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1と略等しい値となり、選択トルク信号TSLの連続性を確保することができる。
このため、図6の操舵補助制御処理では、ステップS22で、変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に公差ΔTを加算した選択トルク信号TSLと車速Vとに基づいて図3の操舵補助指令値算出マップを参照して操舵補助指令値IM *(n)を算出することにより、前回算出した操舵補助指令値IM *(n-1)に対して連続性を有する操舵補助指令値を算出することができる。
また、モータ角速度ωに基づいて算出される収斂性制御値Icが連続性を持って増加し、選択トルク信号TSLを微分して算出するセンタ応答性改善補償値Irも選択トルク信号TSLが連続性を持って増加するので連続性を持って変化することになるため、操舵補助指令値IM *、収斂性制御値Ic及びセンタ応答性改善補償値Irを加算して算出される操舵補助補償値IM *′も連続性を持って増加する。
この操舵補助補償値IM *′にロバスト安定化補償を行い、さらにモータ特性補償値IMCを加算した補償後操舵補助指令値IM *″も連続性を持って増加し、最終的なモータ電流指令値IMも連続性を持って増加することから、電動モータ8に供給されるモータ電流も連続性を持って増加することにより、電動モータ8で発生される操舵補助力が連続性を持って増加する。
さらに、トルクセンサ7で検出されるメイントルク信号Tmが増加すると、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値Tthを超えた状態を維持し、ステップS14からステップS17を経てステップS18に移行し、ステップS13で算出された変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に不揮発性メモリ12に記憶されている公差ΔTの初期値ΔT0を加算した値が選択トルク信号TSLとして算出する状態を継続する。このため、図7に示すように、変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2が公差ΔT0だけオフセットされて変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1に連続する直線上を増加することになり、不連続となることなく連続性を持って切換えが行われるので、モータ駆動電流が連続的に増加して電動モータ8で発生される操舵補助力も連続性を持って増加することになり、この操舵補助力が減速ギヤ3を介してステアリングシャフト2に伝達されるので、運転者に良好な操舵フィーリングを与えることができる。その後、さらにメイントルク検出信号Tmが増加して、ゲイン倍器13から出力されるゲイン倍トルク信号がA/D変換機能のフルスケールを超える状態となると、A/D変換された変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1は図8に示すようにフルスケールの最大値を維持する状態となるが、その前に選択トルク信号TSLとして変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に公差ΔTを加算した値に切換えられているので、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1の飽和状態が操舵補助制御に影響することはない。
因みに、従来例の場合には、図8に示すように、実線図示の変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1に対して破線図示の変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2が公差ΔTを有している場合には、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値Tthに達した時点で、公差ΔT分の変化を生じることになり、これに応じて操舵補助指令値IM *が変化することになり、結局モータ電流指令値IMが変化することになり、電動モータ8で発生する操舵補助力も変化するので、この操舵補助力変化がステアリングシャフト2を介してステアリングホイール1に伝達されるので、運転者の操舵フィーリングが悪化し、違和感を与えることになる。
本実施形態では、上述したように、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1から変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に切換える際に公差ΔTの初期値ΔT0分を補正しているので、選択トルク信号TSLが不連続となることがなく、操舵フィーリングが変化することを確実に防止して、運転者に違和感を与えることを確実に防止することができる。
さらに、不揮発性メモリ12には、工場出荷時に算出した公差ΔTが初期値T0として記憶されているので、この公差初期値ΔT0をRAM11aに読込むことにより、公差を演算する必要はなく、公差ΔTを逐次演算する場合のように、急操舵によって変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値Tthに達したものの、前回のタイマ割込時の変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1(n-1)と今回のタイマ割込時の変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1(n)との変化量ΔTmが大きく、タイマ割込周期内で公差ΔTの演算が終了しない状態となったときに、公差ΔTが“0”として取り扱われて、選択トルク信号TSLを変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1から変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に公差ΔTを加算した値に切換える際に、公差ΔT分のトルク変動を生じることを確実に防止することができ、良好な操舵フィーリングを確保することができる。
さらにまた、閾値TthがA/D変換機能のフルスケールの最大値Tm1MAXより小さい近傍値(例えば最大値Tm1MAXを7〔Nm〕としたときに、Tthを6.5〔Nm〕に設定)に設定されているので、急操舵によって変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1がA/D変換機能のフルスケールを超える前に変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1から変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に確実に切換えることができる。
次に、本発明の第2の実施形態を図8について説明する。
この第2の実施形態では、公差ΔTとして初期値ΔT0をそのまま用いるのではなく、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値Tthに達するまでの間にRAM11bに記憶した所定数の公差ΔTとの平均値を公差ΔTとして設定するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、MCU11で実行するトルク切換処理が、図9に示すように変更されている。
このトルク切換処理は、前述した第1の実施形態における図4の処理におけるステップS15で選択トルク信号TSLを算出し、この選択トルク信号TSLをステップS16でRAM11bの選択信号記憶領域に更新記憶してからステップS41に移行し、ステップS11で読込んだ変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1からステップS12で算出した変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2を減算して公差ΔT(n)を算出し、次いでステップS42に移行して、算出した公差ΔT(n)をMCU11に内蔵するRAM11bに形成した所定段数のソフトウェア構成のシフトレジスタに公差ΔT(n)を記憶してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
一方、ステップS14の判定結果が、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値Tthを超えたものであるときには、ステップS43に移行して、RAM11bに形成したシフトレジスタの全ての段に公差ΔT(n)が記憶されているか否かを判定し、全ての段に公差ΔT(n)が記憶されている場合にはステップS44に移行する。
このステップS44では、RAM11bに記憶されている初期値ΔT0及びシフトレジスタの格段に記憶されている公差ΔT(n-1)〜ΔT(n-i)を読込み、次いでステップS45に移行して、各公差ΔT0、ΔT(n-1)〜ΔT(n-i)の平均値ΔTMを公差ΔTとして算出し、次いでステップS46に移行して、変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に公差ΔT即ち公差平均値ΔTMを加算して選択トルク信号TSL(=Tm2+ΔTM)を算出し、次いでステップS47に移行して、算出した選択トルク信号TSLをMCU11に内蔵するRAM11bの選択トルク信号記憶領域に更新記憶してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
また、前記ステップS43の判定結果が、シフトレジスタの全ての段に公差ΔT(n)が記憶されていないときには、ステップS48に移行して、変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に初期値ΔT0を加算して選択トルク信号TSL(=Tm2+ΔT0)を算出してから前記ステップS47に移行する。
この図9の処理が入力データ切換装置に対応し、このうちステップS11,S12及びゲイン倍器13が第1の演算部に対応し、ステップS11〜13の処理が第2の演算部に対応し、ステップS14〜S16、S37の処理がデータ切換手段に対応し、ステップS41及びS42の処理が公差演算手段に対応し、ステップS43〜S46及びS48の処理が公差補正手段に対応し、このうちステップS44及びS45の処理が平均値算出手段に対応している。
この第2の実施形態によると、第1の実施形態のように公差ΔTとして初期値ΔT0を使用するのではなく、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値Tth以下であるときに算出される公差ΔT(n)を複数個RAM11bに形成したシフトレジスタに順次記憶し、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値Tthを超えたときに、図9のトルク切換処理で、ステップS14からステップS43に移行して、工場出荷直後で、シフトレジスタの全ての段に公差ΔT(n)が記憶されていないときには、前述した第1の実施形態と同様に初期値ΔT0を変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に加算して選択トルク信号TSLを算出する。
しかしながら、シフトレジスタの全ての段に公差ΔT(n)が記憶されると、ステップS43からステップS44に移行して、初期値ΔT0及びシフトレジスタに記憶されている全ての公差ΔT(n-1)〜ΔT(n-i)を読込み(ステップS45)、これらの平均値ΔTMを算出してこれを公差ΔTとして変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に加算して選択トルク信号TSLを算出するので、経年変化や温度変化によって変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2の公差ΔTが変動する場合に、その変動に応じた公差ΔTを算出することができる。このため、選択トルク信号TSLを変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1から変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に公差ΔTを加算した値に切換える際に、選択トルク信号TSLの変動を抑制することができる。
したがって、選択トルク信号TSLの変動による操舵補助指令値IM *の変動を抑制し、電動モータ8で発生する操舵補助力の変動を抑制して運転者に与える操舵フィーリングを向上させることができると共に、運転者に違和感を与えることを確実に防止することができる。
なお、上記第2の実施形態では、RAM11bに常時過去の複数個の公差ΔT(n-1)〜ΔT(n-i)を格納しておき、新たな公差ΔT(n)が算出される毎に平均値ΔTMを算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、移動平均処理によって新たな公差ΔT(n)が算出される毎に平均値ΔTMを算出するようにしてもよく、さらには、平均値ΔTMが算出される毎に過去の所定数の公差ΔT(n-1)〜ΔT(n-i)を消去して、新たに所定数の公差ΔT(n-1)〜ΔT(n-i)がシフトレジスタに記憶されたときに、平均値ΔTMを算出するようにしてもよい。
次に、本発明の第3の実施形態を図10について説明する。
この第3の実施形態では、公差ΔT(n)の平均値ΔTMを算出する場合に、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1から変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に公差ΔTを加算した値に切換える直前の公差ΔTのみを所定数個記憶してその平均値を算出するようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態では、MCU11で実行するトルク切換処理が、図10に示すように、前述した第2の実施形態における図9の処理において、ステップS16及びステップS41との間に変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値Tthとこの閾値Tthより小さい閾値近傍下限値Tkとの閾値近傍の範囲内であるか否かを判定するステップS51が介挿され、ステップS51の判定結果が、Tk≦Tm1≦Tthであるときに前記ステップS41に移行し、Tm1<Tkであるときには公差ΔT(n)の算出を行うことなくタイマ割込処理を終了するようにしたことを除いては図9と同様の処理を行い、図9との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この図10の処理が入力データ切換装置に対応し、このうちステップS11,S12及びゲイン倍器13が第1の演算部に対応し、ステップS11〜13の処理が第2の演算部に対応し、ステップS14、S16、S47の処理がデータ切換手段に対応し、ステップS41、S42及びS51の処理が公差演算手段に対応し、ステップS43〜S46及びS48の処理が公差補正手段に対応し、このうちステップS44及びS45の処理が平均値算出手段に対応している。
この第3の実施形態によると、図10のトルク切換処理におけるステップS51で、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値近傍下限値Tkより小さい状態では、公差ΔT(n)の算出及びシフトレジスタへの記憶が行われないので、MCU11の演算負荷を軽減することができる一方、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値近傍範囲内となったときに、公差ΔT(n)を算出し、算出した公差ΔT(n)をシフトレジスタに順次記憶する。このため、シフトレジスタには変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値近傍範囲内にあるときの公差ΔT(n)が順次記憶されることになり、選択トルク信号TSLとして変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1から変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に公差ΔTを加算した値に切換える際の公差に近い値が所定数記憶される。したがって、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値Tthに達した時点で、ステップS14からステップS43,S44を経てステップS45に移行して、平均値ΔTMを算出してこれを公差ΔTとしたときに、トルク切換時の公差に近い値が算出されるので、切換え時の選択トルク信号TSLの変動を最小限に抑制することができ、より高い連続性をもって選択トルク信号TSLを切換えることができる。このため、操舵補助指令値IM *及び電動モータ8で発生する操舵補助力の変動を最小限に抑制して、操舵フィーリングをより向上させて、運転者に違和感を与えることを確実に防止することができる。
次に、本発明の第4の実施形態を図11及び図12について説明する。
この第4の実施形態では、変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に基づいて選択トルク信号TSLを算出する場合に、操舵速度に応じて選択トルク信号TSLの算出方法を変更するようにしたものである。
すなわち、第4の実施形態では、図11に示すように、ステアリングシャフト2の操舵角θを検出する操舵角センサ71が設けられ、この操舵角センサ71で検出された操舵角θがMCU11に入力されていると共に、MCU11で実行するトルク切換処理が、図12に示すように、前述した第1の実施形態における図10において、ステップS14とステップS43との間に、操舵角θを読込み、読込んだ操舵角θを微分して操舵角速度θVを算出するステップS61と、このステップS61で算出した操舵角速度θVが予め設定された高速設定値θVS以上であるか否かを判定するステップS62とが設けられ、このステップS62の判定結果がθV≧θVSであるときには、高速操舵状態であるものと判断して前記ステップS48に移行して、変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2にRAM11bに記憶されている初期値ΔT0を加算した値を選択トルク信号TSLとし、ステップS62の判定結果がθV<θVSであるときには、低速操舵状態であるものと判断して前記ステップS43に移行することを除いては図10と同様の処理を行い、図10との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この図12の処理が入力データ切換装置に対応し、このうちステップS61の処理及び操舵角センサ71が操舵速度検出手段に対応し、ステップS11,S12及びゲイン倍器13が第1の演算部に対応し、ステップS11〜13の処理が第2の演算部に対応し、ステップS14、S16、S47の処理がデータ切換手段に対応し、ステップS41及びS42の処理が公差演算手段に対応し、ステップS43〜S46、S48及びS62の処理が公差補正手段に対応し、このうちステップS44及びS45の処理が平均値算出手段に対応し、ステップS61の処理が入力データ変化状況検出手段に対応している。
この第4の実施形態によると、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値Tthを超える状態となって、図12のトルク切換処理でステップS14からステップS61に移行したときに、操舵角センサ71で検出した操舵角θを読込んで、この操舵角θを微分して操舵角速度θVを算出し、算出した操舵角速度θVが小さい低速操舵状態であるときには、図12のトルク切換処理におけるサンプリング周期の間でのステアリングホイール1に作用される操舵トルク変化が小さく図12のトルク切換処理の演算処理時間に余裕があるので、前述した第3の実施形態と同様に、RAM11bに形成したシフトレジスタに記憶されている初期値ΔT0及び複数個の公差ΔT(n-1)〜ΔT(n-i)の平均値ΔTMを算出し、この平均値ΔTMを公差ΔTとして変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に加算して選択トルク信号TSLを算出し、算出した選択トルク信号TSLを内蔵するRAM11bにおける選択トルク信号記憶領域に更新記憶するので、選択トルク信号TSLの連続性を正確に確保することができる。このため、図6の操舵補助制御処理で、選択トルク信号TSL及び車速Vに基づいて操舵補助指令値IM *を算出することにより、操舵フィーリングを悪化させることなく、良好な操舵補助制御を行うことができる。
しかしながら、操舵速度θVが設定値θVS以上となる高速操舵状態では、図12のトルク切換処理のサンプリング周期でのメイントルク信号Tmの変化量が大きく、変化後ゲイン倍トルク検出値Tm2の変化量もより大きくなるので、サンプリング周期内での処理時間が不足することになるので、ステップS48に移行して、ステップS12で算出した変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2にRAM11bから読出した初期値ΔT0を加算するだけで、選択トルク信号TSLを算出する。このため、図12のトルク切換処理の短いサンプリング周期の間に、確実に変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に公差ΔTを加算して選択トルク信号TSLを算出することができ、変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に公差ΔTを加算することができずに、選択トルク信号TSLが変動することを確実に防止することができる。
このように、第4の実施形態によれば、操舵速度θVに応じて選択トルク信号TSLの算出態様を変化させることにより、第1の実施形態及び第3の実施形態の効果を合わせた効果が得られる。
なお、上記第4の実施形態においては、入力データ変化状況検出手段として操舵角センサ71を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ブラシレスモータのようにロータの回転角を検出する回転角センサを有する場合には、この回転角センサを入力データ変化状況検出手段として適用するようにしてもよく、要は入力データの変化が大きいか否かを予測し得るものであれば、任意のセンサを適用することができる。
次に、本発明の第5の実施形態を図13について説明する。
この第5の実施形態では、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1から変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に公差ΔTを加算した値に切換える際に使用する公差ΔTを工場出荷時の初期値ΔT0に対して経年変化や温度変化による公差ΔTの変動を考慮して更新するようにしたものである。
すなわち、第5の実施形態では、MCU11で実行するトルク切換処理が、図13に示すように、前述した第3の実施形態における図10の処理において、ステップS41〜S48が省略され、これらに代えて、ステップS51の判定結果が、Tk≦Tm1≦Tthであるとき即ち変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値近傍範囲内であるときには、ステップS71に移行して、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1から変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2を減算して初期値ΔT0を更新するための公差ΔTA(n)(=Tm1−Tm2)を算出し、次いでステップS72に移行して、新たに算出した公差ΔTA(n)をRAM11bに形成した公差記憶領域に更新記憶してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
さらに、ステップS14の判定結果が、Tm1>Tthであるときには、ステップS14に移行して、RAM11bの公差記憶領域に記憶されている公差ΔTAを読込み、次いでステップS75に移行して、変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に公差ΔTAを加算して選択トルク信号TSLを算出し、次いでステップS76に移行して、算出した選択トルク信号TSLをRAM11bに形成した選択トルク信号記憶領域に更新記憶してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
このため、第1の実施形態における図4の公差読込処理におけるステップS1の処理が、図14に示すように、不揮発性メモリ12の公差記憶領域に記憶されている公差ΔTA(n)を読込む処理に変更され、ステップS2の処理が読込んだ公差ΔTA(n)をRAM11bに形成した公差記憶領域に記憶する処理に変更されている。
さらに、MCU11は、例えばイグニッションスイッチ(図示せず)がオフ状態となったときに、図15に示す公差記憶処理を実行する。この公差記憶処理は、先ず、ステップS81で、RAM11bに記憶されている公差ΔTA(n)を読込み、次いでステップS82に移行して、不揮発性メモリ12の公差記憶領域に記憶されている前回の公差ΔTA(n-1)を読込み、次いでステップS83に移行して、公差ΔTA(n)から公差ΔTA(n-1)を減算した偏差の絶対値|ΔTA(n)−ΔTA(n-1)|が予め設定した設定値ΔTsを超えているか否かを判定する。
このステップS83の判定結果が、|ΔTA(n)−ΔTA(n-1)|>ΔTsであるときには、公差の偏差が大きく、選択トルク信号TSLの変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1から変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に公差ΔTを加算した値に切換えるときに、トルク変動が許容範囲を超えるものと判断して、ステップS84に移行して、新たに算出した公差ΔTA(n)を不揮発性メモリ12に形成した公差記憶領域に更新記憶してから公差記憶処理を終了し、ステップS83の判定結果が、|ΔTA(n)−ΔTA(n-1)|≦ΔTsであるときには、公差の偏差が小さく許容範囲内であるものと判断して算出した公差ΔTA(n)を不揮発性メモリ12の公差記憶領域に更新記憶することなく公差記憶処理を終了する。
この図13の処理が入力データ切換装置に対応し、このうちステップS11,S12及びゲイン倍器13が第1の演算部に対応し、ステップS11〜13の処理が第2の演算部に対応し、ステップS14〜S16、S76の処理がデータ切換手段に対応し、図15の処理が公差更新手段に対応し、ステップS74及びS75の処理が公差補正手段に対応している。
この第5の実施形態によると、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値Tth以下であって、この変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1を選択トルク信号TSLとして選択している状態で、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値近傍範囲内となったときに、公差ΔTA(n)を算出するので、急操舵等によって変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1がA/D変換機能のフルスケールを超える場合以外の通常操舵範囲内で据え切り等の比較的大きなメイントルク信号Tmが得られるときに、公差の初期値ΔT0を更新することができ、経年変化や温度変化による公差ΔTの変動に正確に対応させることができる。
しかも、不揮発性メモリ12に記憶されている公差ΔTAを更新する際に、新たに算出した公差ΔTA(n)と不揮発性メモリ12に記憶されている前回の公差ΔTA(n-1)との偏差が設定値ΔTsを超えたときに行なうので、不揮発性メモリ12のデータ更新回数を制限することができ、不揮発性メモリ12としてEEPROMを使用した場合のように書き込み回数に制限がある場合に有効となる。
なお、上記第5の実施形態においては、図15のステップS83を設けて更新頻度を抑制する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、不揮発性メモリ12の書き込み回数に余裕がある場合には、ステップS82,S83を省略してステップS81から直接ステップS84に移行するようにしてもよい。
また、上記第5の実施形態においては、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1がTk≦Tm1≦Tthの閾値近傍範囲内であるときに公差ΔTA(n)を算出して、不揮発性メモリ12の公差記憶領域に更新記憶する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値Tth又はその近傍の所定値となったときに、ピンポイントで公差ΔTA(n)を算出して、公差記憶領域に更新記憶するようにしてもよい。
さらに、上記第5の実施形態においては、イグニッションスイッチがオフ状態となってMCU11の処理を終了する際に、不揮発性メモリ12に公差ΔTA(n)を更新記憶する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、MCU11が動作状態であるときに所定時間毎に図15の公差記憶処理を行うようにしてもよい。
さらにまた、上記第1〜第5の実施形態においては、閾値Tthを設けたが、これをフルスケールの最大値とするようにしてもよい。
なおさらに、上記第1〜第5の実施形態においては、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1から変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2を減算して公差ΔTを算出し、この公差ΔTを変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に加算して選択トルク信号TSLを算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1を選択トルク信号TSLとして選択している状態で、変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2が任意の所定値となったときに公差ΔTを算出し、算出した公差ΔTと変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2の値とに基づいて図7に示す変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2の特性直線の傾きBを算出すると共に、予め変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1の特性直線の傾きAを算出しておき、変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1が閾値Tthを超えたときに、TSL=(A/B)Tm2の式に変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2の値を代入することにより、選択トルク信号TSLを変化前ゲイン倍トルク検出値Tm1の特性直線の延長線上を正確にトレースすることができ、より正確なデータ切換えを行うことができ、より良好な操舵補助制御を行うことができる。
また、上記第1〜第5の実施形態においては、本発明を電動パワーステアリング装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他の任意の制御装置における入力データ切換装置に本発明を適用することができ、電動パワーステアリング装置も上記構成に限定されるものではなく、任意の構成を有する電動パワーステアリング装置に本発明を適用することができる。
さらに、上記第1〜第5の実施形態においては、ゲイン倍器13でメイントルク信号Tmを例えば3倍にした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、倍数はA/D変換する場合のフルスケールを効率よく使用できる任意の値に設定することができ、整数に限るものでもない。
さらにまた、上記第1〜第5の実施形態においては、入力データとしてメイントルク信号Tm及びそのゲイン倍器13によるゲイン倍トルク信号を使用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば特開平2002−160654号公報に記載されているように、モータの電流検出部として差動増幅回路を含んだ第1電流検出部とピークホールド回路を含んだ第2電流過検出部とを備え、第1電流検出部と第2電流検出部との検出電流値を所定の基準電流で切換える場合や、特許第3508702号明細書に記載されているようにモータ電流に応じた電圧を第1,第2ピークホールド回路により異なる増幅率で増幅してデジタル値に変換し、モータ電流が小さい場合には大きい増幅率で増幅された電圧のデジタル値を選択し、モータ電流が大きい場合には小さい増幅率で増幅された電圧のデジタル値を選択する場合のように電流検出値を切換える場合などの他の任意の異なる入力データの切換えを行う場合に本発明を適用することができる。
なおさらに、上記第1〜第5の実施形態においては、演算処理装置としてMCU11を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、CPU、MPU等の任意の演算処理装置を適用することができ、さらにA/D変換機能を内蔵する場合に限らず、演算処理装置の入力側にA/D変換器を設けるようにしてもよい。
また、上記第1〜第5の実施形態においては、閾値Tthで変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1から変換後ゲイン倍トルク検出値Tm2に公差ΔTを加算した値に切換える場合について説明したが、これに限定されるものではなく、切換えタイミングは閾値Tthより変換前ゲイン倍トルク検出値Tm1の最大値までの範囲で変更することができる。
本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成を示す図である。 本発明に係る制御系の機能構成を示すブロック図である。 車速をパラメータとした操舵トルク操舵補助指令値との関係を示す操舵補助指令値算出マップを示す特性線図である。 MCUで実行する公差読込処理手順の一例を示すフローチャートである。 MCUで実行するトルク切換処理手順の一例を示すフローチャートである。 MCUで実行する操舵補助制御処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態の動作の説明に供する特性線図である。 本発明の第1の実施形態の動作の説明に供する特性線図である。 本発明の第2の実施形態におけるMCUで実行するトルク切換処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態におけるMCUで実行するトルク切換処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成を示す図である。 本発明の第4の実施形態におけるMCUで実行するトルク切換処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第5の実施形態におけるMCUで実行するトルク切換処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第5の実施形態におけるMCUで実行する公差読込処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第5の実施形態におけるMCUで実行する公差記憶処理手順の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
EPS…電動パワーステアリング装置、1…ステアリングホイール、7…トルクセンサ、8…電動モータ、10…コントロールユニット、11…MCU、11a…ROM、11b…RAM、12…不揮発性メモリ、13…ゲイン倍器、17…車速センサ、18…モータ電流検出回路、19…モータ端子間電圧検出回路、51…モータ駆動部、52a〜52c…A/D変換器、53…乗算器、54…公差補正部、55…信号選択部、56…操舵補助指令演算部、57…センタ応答性改善部、58…収斂性制御部、61…ロバスト安定化補償部、65…電流制御部、71…操舵角センサ

Claims (10)

  1. アナログ入力データを第1のA/D変換部の分解能に合わせて所定数倍した後に当該第1のA/D変換部に入力してデジタルデータに変換して変換前所定数倍入力データを演算する第1の演算部と、前記アナログ入力データを第2のA/D変換部でデジタルデータに変換した後に所定数倍した変換後所定数倍データを演算する第2の演算部と、常時は前記変換前所定数倍データを選択し、該変換前所定数倍データが前記A/D変換部の最大値近傍の所定値に達したときに前記変換後所定数倍データに切換えるデータ切換手段と、前記変換前所定数倍データに対する前記変換後所定数倍データの公差を補正値として記憶する公差記憶手段と、前記データ切換手段で、前記変換前所定数倍データから変換後所定数倍入力データに切換える際に、変換後所定数倍入力データに前記公差記憶手段に記憶されている公差を加算する公差補正を行う公差補正手段とを備えていることを特徴とする入力データ切換装置。
  2. アナログ入力データを第1のA/D変換部の分解能に合わせて所定数倍した後に当該第1のA/D変換部に入力してデジタルデータに変換して変換前所定数倍入力データを演算する第1の演算部と、前記アナログ入力データを第2のA/D変換部でデジタルデータに変換した後に所定数倍した変換後所定数倍データを演算する第2の演算部と、常時は前記変換前所定数倍データを選択し、該変換前所定数倍データが前記A/D変換部の最大値近傍の所定値に達したときに前記変換後所定数倍データに切換えるデータ切換手段と、前記変換前所定数倍データに対する前記変換後所定倍数データの公差を演算し、演算した複数の公差を記憶する公差記憶領域を有する公差演算手段と、前記データ切換手段で、前記変換前所定数倍データから変換後所定数倍入力データに切換える際に、変換後所定数倍入力データに前記公差記憶手段に記憶されている複数の公差の平均値を算出して加算する公差補正を行う公差補正手段とを備えていることを特徴とする入力データ切換装置。
  3. アナログ入力データを第1のA/D変換部の分解能に合わせて所定数倍した後に当該第1のA/D変換部に入力してデジタルデータに変換して変換前所定数倍入力データを演算する第1の演算部と、前記アナログ入力データを第2のA/D変換部でデジタルデータに変換した後に所定数倍した変換後所定数倍データを演算する第2の演算部と、常時は前記変換前所定数倍データを選択し、該変換前所定数倍データが前記A/D変換部の最大値近傍の所定値に達したときに前記変換後所定数倍データに切換えるデータ切換手段と、前記変換前所定数倍データに対する前記変換後所定数倍データの公差を補正値として記憶する公差記憶手段と、前記変換前所定数倍データに対する前記変換後所定倍数データの公差を演算し、演算した複数の公差を記憶する公差記憶領域を有する公差演算手段と、前記アナログ入力データの変化状況を検出する入力データ変化状況検出手段と、前記データ切換手段で、前記変換前所定数倍データから変換後所定数倍入力データに切換える際に、前記入力データ変化状況検出手段で検出した入力データ変化が小さいときには、前記公差記憶領域に記憶されている複数の公差の平均値を算出して前記変換後所定数倍入力データに加算し、前記入力データ変化が大きいときには、前記公差記憶手段に記憶されている公差を前記変換後所定数倍入力データに加算して公差補正を行う公差補正手段とを備えていることを特徴とする入力データ切換装置。
  4. 前記公差記憶手段は、出荷時の前記変換前所定数倍データに対する前記変換後所定数倍データの公差を初期値として記憶することを特徴とする請求項1又は3に記載の電動パワーステアリング制御装置。
  5. 前記変換前所定倍数データが前記所定値の近傍範囲内であるときに、前記変換前所定数倍データに対する前記変換後所定数倍データの公差を算出し、当該公差を前記公差記憶手段に更新記憶する公差更新手段を備えていることを特徴とする請求項1又は3に記載の入力データ切換装置。
  6. 前記公差更新手段は、算出した公差と前記公差記憶手段に記憶されている公差との偏差が所定値以上であるときに算出した公差を更新記憶するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の入力データ切換装置。
  7. 前記公差記憶手段は、不揮発性メモリで構成されていることを特徴とする請求項1、3乃至6の何れか1項に記載の入力データ切換装置。
  8. 前記アナログ入力データが操舵トルクデータであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の入力データ切換装置。
  9. 前記アナログ入力データが操舵系に付与される操舵トルクデータであり、且つ前記入力データ変化状況検出手段が前記操舵系の操舵速度を検出する操舵速度検出手段で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の入力データ切換装置。
  10. 操舵系に付与される操舵トルクを検出するトルク検出手段と、該トルク検出手段で検出した操舵トルクをアナログ入力データとして入力する請求項1乃至9の何れか1項に記載の入力データ切換装置と、該入力データ切換装置から出力される選択トルクデータに基づいて操舵補助指令値を演算し、演算した操舵補助指令値に基づいて前記操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータに対するモータ電流指令値を算出する操舵補助制御部と、該操舵補助制御部で算出したモータ電流指令値に基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ駆動部とを備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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