JP2007235389A - 広指向性スピーカシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コーン型スピーカユニット1は、低域から比較的高い音域までの音を出力する役割を受け持つ。2はディフューザであり、その外周面57には、高域用スピーカユニット3が設けられている。第1のホーン5は、コーン型振動板4と、ディフューザ2との間に配置され、その間隙に第1の音響通路8が形成され、また、ディフューザ2との間隙に第2の音響通路9が形成される。第2のホーン6は、コーン型振動板4の延長上に位置し、第1のホーンに沿って、第1の音響通路8が延長形成される間隙を介して配置されている。ディフューザ2の中央部に孔7が設けられて、第3の音響通路10が形成されている。
【選択図】図1
Description
図7は、従来の大口径コーン型スピーカの特性を示す説明図である。
図7(a)は、大口径コーン型スピーカを使用したときの指向特性を示すグラフである。図7(b)は、大口径コーン型スピーカに高域用スピーカを併用した場合の周波数特性を示すグラフである。
そのため、呼出しアナウンスや音楽再生に用いる場合、中高域についても指向性を広くしたい場合には、口径の小さなコーン型スピーカを用いるが、変換効率が悪くなる。
しかし、大口径コーン型スピーカをウーファとして用い、クロスオーバ周波数よりも高い音域を高域用スピーカに任せた場合、図7(b)に示すように、中心軸(0度)では問題がないが、斜め方向においては、クロスオーバ周波数よりも少し低い音域において音圧が不足している。従って、高域用スピーカを併用するだけでは、低域よりも比較的高い音域について広指向性を実現することができない欠点がある。
また、中央孔と周辺孔という2つの音響通路を用いた位相干渉を利用しているため、位相干渉のピークとディップが急峻になるという問題もある。
従って、第1のホーン及びディフューザにより、音の位相が調整され、低域及びこの低域よりも比較的高い音域の周波数についてまで、広指向性を得ることができる。
第1のホーンは、コーン型振動板の内面および外面に沿って音を導く第1,第2の音響通路を形成する。従って、従来技術のように音を閉じこめるものではないから、高域についても出力音圧レベルの低下が少ないので、カットオフ周波数が低くなることなく、音の明瞭度を増すことができる。
一般に、中心軸に対して90度に近い方向には音を伝える必要がない。従って、第1の音響通路を経て放射される音を、中心軸から所望の角度のカバーエリアに集中させることにより、音への変換効率を上げることができる。
第2のホーンが、上述した請求項1に記載の発明における、コーン型振動板の役割を果たすので、コーン型振動板を有しないスピーカユニットにおいても、請求項1に記載の発明と同様の作用を奏する。
コーン型振動板を有するスピーカユニットの単体だけでは、十分な出力を得られない高域の音出力を、高域用スピーカを用いて補うことにより、フルレンジで広指向性を得ることができる。その結果、音の明瞭度が増す。
また、複数の高域用スピーカが斜め方向放射状に複数格納されるから、高域の音が正面に集中しない。その結果、高域について、広指向特性が得られることになる。高域用スピーカの個数は、2個でもよいが、3個以上とした方が音の広がりがよい。
従って、第1の音響通路、第2の音響通路に加えて、上述した孔が第3の音響通路となることによって、経路差を生じる音響通路が増えることから、位相干渉によって特定の周波数において生じるピークとディップを和らげることができる。
高域用のスピーカユニットを追加したり、第3の音響通路を設けたりすることが簡単な構造であるという効果がある。
本発明のスピーカシステムは、例えば、天井埋め込み型スピーカとしての用途において、広指向性を維持したまま変換効率を良くすることができるので、スピーカ設置台数を少なくしたり、低出力のアンプを使用したりすることが可能となる。
1はコーン型スピーカユニットであり、低域から比較的高域までの音を出力する役割を受け持つ、いわゆる「ウーファ」に相当する。変換効率を良くするには、その口径を大口径(6.5インチ(16.5cm)以上)にするとよい。8インチ(20.32cm)程度が好適である。
2はディフューザ(diffuser)である。図示の例では、ディフューザ2の外周面57(図4参照)には、高域用スピーカユニット3が設けられているが必須ではない。高域用スピーカユニット3は、高域の音を出力する役割を受け持つ、いわゆる「ツィータ」であり、図示の例では、4個のユニットが等角度で配置されている。
4はコーン型スピーカユニット1のコーン型振動板である。典型的な形状は、コーン(cone:円錐形)という名の通り、直線断面形状の振動板であるが、広がるにつれて広がりの度合いが大きくなる曲線断面形状の振動板の場合もある。
第2のホーン6は、コーン型振動板4の延長上に位置し、第1のホーン5に沿って、上述した第1の音響通路8が延長形成される間隙を介して配置されているが、必須の構成ではない。
第1のホーン5の断面形状は、第1のホーン5がコーン型振動板4に沿う部分では、コーン型振動板4の断面形状に呼応する必要があるが、全体としては、直線断面形状に限らず、広がるにつれて広がりの度合いが大きくなる(反り上がる)曲線断面形状にすることもできる。第2のホーン6についても、直線断面形状に限らず、広がりの度合いが大きくなる曲線断面形状にすることもできる。
コーン型振動板4の中心のセンタキャップ12からディフューザ2の先端部58(図4参照)まで、第3の音響通路10が形成されている。
上述した第1〜第3の音響通路8,9,10の経路長が異なるため、背景技術において説明した従来技術と同様に、音の聴取点において、各音響通路を経由した音が、聴取位置において合成されるとき、位相干渉が生じ、中央部において、音の周波数が高くなるほど出力音圧レベルが低下し、指向特性が平坦化の傾向を持つようになる。
なお、上述した第1〜第3の音響通路8,9,10を形成する部材の外形状は、音の回折が少なくなるように、できるだけ丸みをおびるようにされている。
図3は、また、図1に示した実施の形態の広指向性スピーカシステムの内部構造を説明する第2の断面構造図である。この断面構造図は、図1に示した広指向性スピーカシステムを、第1ねじ座17及び第2セルフタップボス18が存在する角度で分断したときの断面構造図である。いずれの図においても、図1と同じ部分には同じ符号を付している。
内部構造を詳細に説明する前に、コーン型振動板4、第1のホーン5、ディフューザ2、第2のホーン6について、各部材の形状と、相互の配置関係を説明しておく。
図2に示した第1の断面構造図に基づいて作成され、図1,図2と同じ部分には同じ符号を付している。
50は、本発明の広指向性スピーカシステムの中心軸であて、コーン型スピーカユニット1、第2のホーン6、第1のホーン5、ディフューザ2の中心軸でもある。
コーン型スピーカユニット1において、コーン型振動板4のコーン形状の外部であるか内部であるかによって、Aをコーン型振動板4の外面と呼び、Bを内面と呼ぶ。コーン型振動板4はエッジ27を介してフランジ28に固定される。コーン型振動板4のエッジ27に接する開口部を、前面開口部51と呼ぶ。
ホーンの外部であるか内部であるかによって、Aを第2のホーン6の外面と呼び、Bを内面と呼ぶ。第2のホーン6は、その突起6aを、コーン型スピーカユニット1のフランジ28の孔に係合させて固定されるが、詳細は図示していない。第2のホーン6のフランジ28に結合する側を小径開口部52と呼び、その反対の大径側を前面開口部53と呼ぶ。
第1のホーン5は、図1にも示されていた第2ねじ座17を4箇所に有し、第2のホーン6の有する第2セルフタップボス18と位置合わせし、図示下方向から、図示しないセルフタップを第2セルフタップボス18に設けられた孔にねじ込むことにより、第2のホーン6に固定される。
コーン型振動板4の側に位置する開口を、小径開口部54、その反対の大径側を前面開口部55と呼ぶ。
ディフューザ2の形状により、第2の音響通路9の曲がり具合を調整できるから、ディフューザ2は、第2の音響通路9を通過する音の位相を調整する、位相調節器の機能を有している。
従って、第2の音響通路9は、基底部56から先端部58に移行する変曲点66から先は、そのリング状の横断面の内径が中心方向に拡大される。
また、ディフューザ2は、図示の例では、その中央部に、基底部56から先端部58まで、孔7が貫通している。従って、先端部58は、孔7の前面開口部ともなる。孔7の内面59は、基底部56、先端部58の端部において丸められている。
図示の例では、孔7はホーン形状になっている。孔7の全体を通して見れば、ホーンの内面と同様な形状であって、基底部56側の開口断面が小径となり、前面開口部58側の開口断面が大径となる。
しかし、孔7は、孔7が音響通路となりさえすれば、ホーン形状でなくてもよい。開口断面の径が変わらない円筒状のものでも、前面開口部の開口断面が小径となるものでもよい。
第1のホーン5は、その小径開口部54が、コーン型振動板4の前面開口部51よりも内部に位置し、その外面Aが、その小径開口部52の側において第1の音響通路8(図1,図2参照)を介してコーン型振動板4の内面Bに沿って配置される。従って、第1のホーン5は、その少なくとも一部が、コーン型振動板4の内部(内面B側)にある。
図示の例において、第1のホーン5の前面開口部55は、第2のホーン6の前面開口部53よりも前に突き出ているが、これは必須の要件ではない。第2のホーン6は、第1の音響通路8を延長させて中央のエリアに音を集中されるためのものであるから、第1のホーン5の前面開口部55が、第2のホーン6の前面開口部53よりも内部に位置していてもよい。
図示の例において、ディフューザ2の先端部58は、第1のホーン5の前面開口部55よりも前に突き出ている。しかし、ディフューザ2は、斜め寄りの方向に第2の音響通路を形成するものであるから、ディフューザ2の先端部58の突き出しは必須の要件ではない。
ディフューザ2は、その中央部に第3の音響通路10(図1,図2参照)となる孔7を有する。
図2において、コーン型スピーカユニット1は、動電型スピーカである。
そのフランジ28を、ねじ等により、図示しない、天井板等の平面バッフル板、スピーカボックス等のエンクロージャの孔に取り付けて固定される。あるいは、第2のホーン6の前面開口部53の周囲に、図示のようなフランジ65を設けた場合は、このフランジ65を天井板等の平面バッフル板、スピーカボックス等のエンクロージャの孔に取り付けて固定するようにしてもよい。
図示の磁気回路部21は外磁型である。リング状のマグネット11の中心にセンタポール22がある。マグネット11はヨーク23とプレート24に挟まれ、プレート24の中央孔にセンタポール22が挿入されている。これらが磁気回路部21を構成する。
磁気回路部21は、穴空きのフレーム26を介してフランジ28に取り付けられている。
コーン型振動板4の前面開口部51(図4参照)はエッジ27により、フランジ28に固定されている。
そもそも、フランジ28を有したフレーム26は、少なくとも磁気回路部21及びコーン型振動板4を取り付けるための部材であればよいので、形状的に制限されない。例えば、フレーム26は、円錐部に多孔を有する、円錐台、n角錐台(nは3,4,5,…)形状であってもよい。
コーン型スピーカユニット1は、低域の音については、コーン型振動板4の全体がピストン運動する、そのため、第1〜第3の音響通路8,9,10の間に経路差はできにくい。
しかし、高域の音になると、コーン型振動板4は、分割振動を起こし、中央付近でしか振動しなくなる。従って、音のエネルギーがコーン型振動板4の中心付近に集中し、点音源のようになる。
その際、本発明の実施の形態では、従来技術のように、音をコーン型振動板4の内部に閉じこめていないので、高域の出力音圧レベルが抑圧されない。
なお、図示の例では、第2のホーン6を設けているが、この第2のホーン6は、第1の音響通路8を経て放射される音を、中心エリアに集中させるためのものであるから、必須のものではない。
また、ディフューザ2に設けた孔7は第3の音響通路となる。音響通路が増えることにより、位相干渉によって特定の周波数において生じるピークとディップを和らげることができるが、必須のものではない。
図2において、15は振動板及びエッジであって、中央はドーム状(dome半球状)の振動板であり、周囲が半円環(半ドーナツ)面状のエッジになっている。エッジが振動板と同程度の面積を占めている。
なお、高域用スピーカユニット3は、広指向性スピーカシステムをフルレンジ(全音域)用にするためのものであるから、必須のものではない。
第1のホーン5の第2ねじ座17には、第1のホーン5の外面A(図4参照)に嵌合部17aがあり、ここに第2のホーン6の第2セルフタップボス18がはめ込まれ、第2ねじ座17から、第2セルフタップボス18にセルフタップがねじ込まれる。
一方、ディフューザ2は、ディフューザ組立体41,42とが、それらの外周面57(図4参照)においては、X−X線上で組み合わされ、内面59(図4参照)においては、Y−Y線上で組み合わされることにより構成される。
図中、図1〜図4と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。
この実施の形態においては、コーン型スピーカユニット1のフランジ28が、ホーン形状バッフル板61に取り付けられて使用される。図示の例では、ホーン形状バッフル板61がコニカルホーンの形状をしているが、その内面Bが、第1のホーン5の外面A(図4参照)に沿って広がるようになっていればよい。
63はセルフタップボスであって、予め何らかの固着方法により、フランジ28に固定されている。第1のホーン5は、例えば、図示しないセルフタップを第2ねじ座17からセルフタップボス63にねじ込むことにより、コーン型スピーカユニット1のフランジ28に固定される。
この実施の形態においては、図1〜図5に示した、コーン型スピーカユニット1を用いる代わりに、非コーン型振動板を有するスピーカユニット71を用いるものである。この非コーン型振動板も磁気回路部中のボイスコイルにより駆動される。
非コーン型振動板を有するスピーカユニット71としては、ドーム型の振動板を有するスピーカユニット、平板型振動板を有するスピーカユニット等を用いることができる。
従って、第2のホーン72の第1のフランジ72aは、その小径開口部が、非コーン型の振動板を有するスピーカユニット71の開口部71aに取り付けられている。また、第2のホーン72には、図示しないバッフル板に取り付けるための第2のフランジ72bを有する。
ディフューザ2は、図1〜図4に示したものと同じであるから、説明を省略する。
高域用スピーカ3は、フルレンジ化が必要であれば取り付けるが、必須ではない。
図示の例では、第1のホーン5の前面開口部55(図4参照)は、第2のホーン72の前面開口部よりも前に突き出ているが、これは必須の要件ではない。
また、コーン型振動板4がエッジ27を有するものを示したが、エッジのないものでもよい。
また、天井埋め込み型として使用するものとして説明したが、ボックス型スピーカシステムなど他の形式で設置されてもよい。
Claims (5)
- コーン型振動板を有するスピーカユニットを用いた広指向性スピーカシステムであって、
第1のホーンとディフューザを有し、
前記第1のホーンは、当該小径開口部が、前記コーン型振動板の前面開口部よりも内部に位置し、当該外面が、当該小径開口部の側において第1の音響通路を介して前記コーン型振動板の内面に沿って配置され、
前記ディフューザは、当該基底部が、前記第1のホーンの前面開口部よりも内部に位置して前記第1のホーンの小径開口部に対向し、当該外周面が、第2の音響通路を介して、前記基底部から前記第1のホーンの内面に沿って広がった後、先端部に向かって狭まる形状をしている、
ことを特徴とする広指向性スピーカシステム。 - 第2のホーンを有し、
該第2のホーンは、前記コーン型振動板の前面開口部に近接して前記コーン型振動板の延長上に位置し、当該内面は、前記第1のホーンの外面に沿って、前記第1の音響通路が延長形成される間隙を介して配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の広指向性スピーカシステム。 - 非コーン型の振動板を有するスピーカユニットを用いた広指向性スピーカシステムであって、
第1のホーンと第2のホーンとディフューザを有し、
前記第2のホーンは、当該小径開口部が、前記スピーカユニットの開口部に取り付けられ、
前記第1のホーンは、当該小径開口部が、前記第2のホーンの前面開口部よりも内部に位置し、当該外面が、当該小径開口部の側において第1の音響通路を介して前記第2のホーンの内面に沿って配置され、
前記ディフューザは、当該基底部が、前記第1のホーンの前面開口部よりも内部に位置して前記第1のホーンの小径開口部に対向し、当該外周面が、第2の音響通路を介して、前記基底部の側から前記第1のホーンの内面に沿って広がった後、先端部に向かって狭まる形状をしている、
ことを特徴とする広指向性スピーカシステム。 - 複数の高域用スピーカを有し、
該複数の高域用スピーカは、前記ディフューザの先端部寄りの外周面に、前記ディフューザの中心軸から見て、互いに斜め方向放射状になるように格納されている、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の広指向性スピーカシステム。 - 前記ディフューザは、当該中央部に第3の音響通路となる孔を有する、
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の広指向性スピーカシステム。
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