JP2007231011A - 共沸蒸留方法 - Google Patents

共沸蒸留方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007231011A
JP2007231011A JP2007024286A JP2007024286A JP2007231011A JP 2007231011 A JP2007231011 A JP 2007231011A JP 2007024286 A JP2007024286 A JP 2007024286A JP 2007024286 A JP2007024286 A JP 2007024286A JP 2007231011 A JP2007231011 A JP 2007231011A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
distillation
liquid
raw material
azeotropic
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007024286A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5094148B2 (ja
Inventor
Hiroshi Maruta
浩 丸田
Chihiro Otogawa
千博 乙川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2007024286A priority Critical patent/JP5094148B2/ja
Publication of JP2007231011A publication Critical patent/JP2007231011A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5094148B2 publication Critical patent/JP5094148B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

【課題】共沸蒸留の分離性能を向上させ、分離に必要なエネルギーを削減するための共沸蒸留方法を提供する。
【解決手段】反応工程および反応生成物の分離精製を行う蒸留塔を有し、反応原料が蒸留塔で共沸蒸留の助剤となる系において、反応原料の少なくとも一部を反応系に供給せずに共沸助剤として蒸留塔へ供給することで、反応プロセス全体としてのエネルギー効率を高める。
【選択図】図5

Description

本発明は、共沸蒸留方法に関する。より詳しくは、反応工程および反応生成物の分離精製を行う蒸留工程を有し、反応原料が蒸留工程で共沸蒸留の助剤となる系において、蒸留工程に反応原料の一部を供給することで共沸蒸留の分離性能を向上させ、分離に必要なエネルギーを削減するための共沸蒸留方法に関する。
極大共沸点または極小共沸点を与えるような2以上の成分の組合せにおいては、共沸現象が生じる。この共沸現象を利用した蒸留たる「共沸蒸留」においては、単蒸留や分留では分離が困難な2つ以上の物質からなる混合物に、これらのいずれか1つ以上と共沸混合物を形成する物質(一般に「助剤」と呼ばれる)が添加されると、蒸留の分離性能が向上する。共沸蒸留が適用される産業分野の例として、酢酸アリルの加水分解反応によるアリルアルコールの製造工程(特許文献1、特許文献2)や2,3−ジクロル−1−プロパノールの精製工程(特許文献3)が挙げられる。
特許文献1では、加水分解反応の反応原料成分の一つである、酢酸アリルおよび水、並びに反応生成物であるアリルアルコールの共沸混合物から、抽出操作で酢酸アリルを回収する方法が開示されている。しかしながら、当該特許文献では回収された酢酸アリルは全量反応工程に供給されており、助剤として蒸留塔に供給した場合の効果は一切記述されていない。
特許文献2では、加水分解反応の反応原料成分の一つである酢酸アリルを水との分離のための共沸助剤として利用した共沸蒸留方法が開示されている。しかしながら、当該特許文献も特許文献1と同様、酢酸アリルを助剤として蒸留塔に供給した場合の効果は一切記述されていない。
一方、特許文献3では、反応に伴う副生成物を濃縮し助剤として使用する共沸蒸留方法が開示されている。しかしながら、助剤は反応原料ではないため、反応工程へのリサイクルは行われていない。
以降、各特許文献に関して詳細な説明を行う。
図1は特許文献1を説明するためのフロー図である。図1を参照して、このようなプロセスにおいては、酢酸アリル、水を主成分とする反応原料(101)と回収した酢酸アリル(102)を混合した反応原料(103)を加水分解反応器(11)に導入する。加水分解反応器(11)から出た反応液(104)は、第一蒸留塔(12)に導かれて蒸留され、水を含む酢酸等の塔底液(105)が抜き出され、酢酸アリル製造工程に循環供給される。
また第一蒸留塔(12)の塔頂からは、アリルアルコール、酢酸アリル、水の共沸蒸留混合物(106)が留出され、デカンター(13)に導入される。デカンター(13)において上記混合物(106)は、酢酸アリルの多い油層(110)と、酢酸アリルの少ない水層(109)の二層に分離する。油層(110)は抽出塔(14)に導入される。この抽出塔(14)では水を主成分とする抽剤(112)を用いた抽出操作により酢酸アリルが除去され、ボトム液(111)はアリルアルコールおよび水が主成分であり、後工程の蒸留操作で含水アリルアルコールが精製される。一方、抽出塔(14)の塔頂からは実質的にアリルアルコールを含まない酢酸アリルおよび水を含む液(113)が抜き出され、上記した循環液(102)として反応器(11)に送られる。
図2は特許文献2を説明するためのフロー図である。酢酸アリルおよび水を主成分とする反応原料液(201)と、水、酢酸アリルの反応原料成分を含む回収液(202)を、あわせて加水分解反応器(21)に通すことで酢酸アリルの加水分解反応によりアリルアルコール、酢酸を得る。前記反応器(21)で生成した反応生成液(204)は酢酸アリル、アリルアルコール、水、酢酸よりなり、第一蒸留塔(22)に供給され、該第一蒸留塔(22)の塔頂からは、酢酸アリル、水、アリルアルコールの共沸混合物として未反応の酢酸アリルの一部が回収され、留出液(208)は前記(21)の加水分解反応器に循環される。
他方、該第一蒸留塔(22)の塔底から、生成した酢酸、アリルアルコールおよび未反応の水と、一部の酢酸アリルが抜き出される。第一蒸留塔(22)の塔底から抜き出される液(205)は、第二蒸留塔(23)に供給され、液(205)中の酢酸アリルを共沸助剤として使用し、塔頂からアリルアルコール、水、酢酸アリルの共沸混合液(212)を、塔底から酢酸または酢酸、水を主成分とする液(209)を得る。第二蒸留塔(23)の塔頂留分(212)は、第三の蒸留塔(24)に供給される。
第三の蒸留塔(24)の塔頂から、水、酢酸アリル、アリルアルコールが留出される。そして、凝縮後デカンタ(25)で油層と水層の二層に分けられる。油層は酢酸アリルが主成分であり、この有機相の全量又は一部を共沸助剤として塔(24)に還流させることによりアリルアルコールを精製する。水層は少量のアリルアルコールと酢酸アリルを含有しており、前期油層の一部と共に加水分解反応器(21)に戻される。
図3は特許文献3を説明するためのフロー図である。アリルアルコールを反応原料としたエピクロルヒドリン製造プロセスにおける中間製品2,3−ジクロル−1−プロパノール(以降、DCHと省略する)を主成分とし、副生成物として1,2,3−トリクロルプロパン(以降、TCPと省略する)およびその他低沸分を含む液(301)が、第一蒸留塔(31)に供給され、該第一蒸留塔(31)の塔頂から、助剤としてTCPを主成分とする液(307)が供給される。液(301)中の水は、塔頂から供給されるTCPが助剤として作用することで、DCH−水共沸混合物より低沸点のTCP−水共沸混合物となって塔頂へ留出し、該第一蒸留塔(31)の塔頂留出分(303)となる。従って、水の大部分をTCP−水共沸混合物の形で留出させるため、DCHの塔頂への留出が抑制される。塔底液(302)は後工程の精製設備に供給される。塔頂留出分(303)は凝縮・冷却され、デカンタ(32)にて水層(304)と油層(305)に分離する。水層(304)は別に設けた処理設備へ送られる。油層(305)は第二蒸留塔(33)へ供給され、塔底からTCPを主成分とした液(307)として第一蒸留塔(31)へ供給される。塔頂留出分(306)は別に設けられた処理設備に導入される。
近年、二酸化炭素の排出量削減、燃料の節約の点から、共沸蒸留における分離性能を実質的に低下させることなく、分離に要するエネルギーを削減することが強く要請されている。
特開昭62−149637号公報 特開平1−85940号公報 特開平7−25796号公報
本発明の目的は、共沸蒸留における分離性能を実質的に低下させることなく、分離に要するエネルギーを削減することを可能とする共沸蒸留方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究の結果、反応工程における反応原料成分の一部を蒸留工程に供給して、積極的に共沸助剤として用いることが、むしろ当該反応工程の反応原料の当該蒸留工程の分離性能を向上させ、且つ、総合的にはエネルギー削減を可能とすることを見出した。
本発明の共沸蒸留方法は上記知見に基づくものであり、より詳しくは、反応工程、反応生成物の分離精製を行う蒸留工程、および蒸留工程の後工程に反応原料を回収する工程を少なくとも有する共沸蒸留方法であって;前記反応工程における反応原料の少なくとも一種が、前記蒸留工程において共沸蒸留の助剤として作用し;且つ該助剤として作用する反応原料の一部を、蒸留工程へ供給することを特徴とするものである。
上記構成を有する本発明の共沸蒸留方法においては、反応原料の一部を共沸助剤として蒸留工程に供給することにより、共沸蒸留の分離性能が向上するというメリットが得られる。この場合、未反応原料の循環量増加に伴うデメリットがある可能性があるが、このようなデメリットは、留出液への高沸点成分の混入の減少、排水負荷の低減等により実質的には問題とはならないことが、本発明者らにより見出されている。
本発明は反応原料が共沸助剤としても作用する場合に、反応原料の少なくとも一部を(反応系に供給せずに)共沸助剤として当該蒸留工程へ供給することにより、当該蒸留工程の分離性能を高め、且つ、当該蒸留工程にて必要なエネルギーの削減を可能としている。
本発明は、例えば、以下の[1]〜[5]の態様を含む。
[1] 反応工程、反応生成物の分離精製を行う蒸留工程、および蒸留工程の後工程に反応原料を回収する工程を少なくとも有する共沸蒸留方法であって;
前記反応工程における反応原料の少なくとも一種が、前記蒸留工程において共沸蒸留の助剤として作用するものであって;且つ該助剤として作用する反応原料の一部を、蒸留工程へ供給することを特徴とする共沸蒸留方法。
[2] 蒸留工程の後工程で回収され、未反応の前記助剤として作用する反応原料を80質量%以上含む、液体および/又は気体の一部を、蒸留工程に供給することを特徴とする[1]に記載の共沸蒸留方法。
[3] 蒸留工程が複数の蒸留塔からなり、未反応の前記助剤として作用する反応原料を80質量%以上含む、液体および/又は気体の一部を、最初の蒸留塔へ供給することを特徴とする[2]に記載の共沸蒸留方法。
[4] 前記助剤として作用する反応原料が酢酸アリルであり、前記反応生成物がアリルアルコールおよび酢酸であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の共沸蒸留方法。
[5] [4]に記載された共沸蒸留方法をプロセスの一部として含む、アリルアルコールの製造方法。
上述したように、本発明によれば共沸蒸留の分離性能が向上する結果、当該蒸留工程の消費エネルギーの低減、および当該蒸留工程における塔頂留分中の高沸点成分濃度の削減を達成できる。
以下、本発明についてより詳しく説明する。
(共沸蒸留方法)
本発明の共沸蒸留方法は、反応工程、反応生成物の分離精製を行う蒸留工程、および蒸留工程の後工程に反応原料を回収する工程を有する。本発明においては、反応原料の少なくとも一種が蒸留工程で共沸蒸留の助剤となる系において、当該反応原料の一部を蒸留工程へ供給することが特徴である。
(共沸)
極大共沸点または極小共沸点(これらを総称して、「共沸点」という)を与えるような少なくとも2成分の組合せ(共沸混合物)においては、共沸現象が生じ、該共沸点においては、発生する蒸気の組成は、液体の組成に等しくなる。本発明においては、このような共沸現象を利用して、共沸蒸留を行う。
(共沸混合物を与える組合せ)
本発明において共沸混合物を与える成分の組合せは、本発明においては、反応原料の少なくとも一種が蒸留工程で共沸蒸留の助剤となる系である限り、特に制限されない。例えば、以下に示す成分の組合せを好適に使用することができる。
(1)水−酢酸アリル−アリルアルコール
(助剤)
単蒸留や分留では分離が困難な2つ以上の物質からなる混合物に対して、これら成分のいずれか1つ以上と共沸混合物を形成する物質を添加した際に、蒸留の分離性能が向上するような成分を「助剤」という(共沸剤、エントレーナーと呼ばれる場合もある)。本発明においては、反応原料の少なくとも一種が蒸留工程で共沸蒸留の助剤となる。助剤となるか否かの基準は、共沸する成分の何れかを加えることで、共沸点が最高共沸または最低共沸の組成に近づくか否かで決まる。
(本発明の一態様)
図4は、本発明の一態様を示すフロー図である。図4において、反応原料を含む液(401)は後述する反応原料回収工程(44)より回収された反応原料からなる循環液(402)と合流し、反応原料(403)として反応工程(41)に供給される。反応工程(41)から出た反応生成液(404)は、共沸助剤として作用する反応原料を含む液(420)と合流し、共沸蒸留塔(42)に供給される。
共沸蒸留塔(42)に供給された反応生成液(404)は蒸留操作により、塔底から主として高沸分を含む塔底液(405)が抜き出され、塔頂から助剤を含む共沸混合物からなる塔頂留分(406)が抜き出される。塔頂留分(406)の一部は還流(407)として共沸蒸留塔(42)に戻され、残りの液(408)は反応原料回収工程(44)に供給される。反応原料回収工程(44)は、反応原料を回収できるならば蒸留、抽出に限らず任意の分離操作を用いることが可能であるが、原料回収に要する費用や回収率を評価基準にして具体的な分離操作を決定すれば良い。反応原料回収工程(44)から回収された反応原料(410)は(402)として反応工程(41)へ供給される。
なお、反応原料を含む液(420)の添加位置は反応生成液(404)の位置に限定されず、例えば、還流(407)に添加しても良い。また、反応原料を含む液(420)は、回収した反応原料からなる循環液(410)の少なくとも一部、もしくは新たに加える反応原料成分の一部のいずれでもよい。
反応原料を含む液(420)は、その中の助剤として作用する反応原料の濃度が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。濃度が80質量%未満であると、好適な共沸組成にするために反応原料(420)の供給量を増す傾向が強まり、結果としてリボイラーの負荷の増大等によりエネルギーコストが増大する傾向が生じる可能性がある。
(共沸助剤の添加)
共沸助剤として共沸蒸留塔(42)に供給する液(420)の添加可否および添加量は次の基準(I)〜(II)を基に決定すればよい。
(I)共沸蒸留塔(42)の効率向上によるメリットが、反応原料回収工程(44)におけるデメリットを上回ること。
上記メリットとは、共沸蒸留塔(42)の分離性能向上によりもたらされる経済的効果である。一般に、蒸留操作においては塔頂留分中の高沸分濃度を下げるために還流操作を行うため、還流として蒸留塔に供給する分だけ共沸蒸留塔(42)のリボイラ(43)で必要なエネルギーが増加する。しかしながら、発明の実施により塔頂留出物(406)の組成が最低沸点を持つ共沸組成に近づくことで、より少ない還流で所定の分離性能を満足できるため、共沸蒸留塔(42)のリボイラ(43)で必要なエネルギーを削減できる。あるいは、高沸分濃度の低下により、塔頂から流出する高沸分の量が減るため、後工程での処理費用の低減につながる。
一方、上記デメリットとは、発明の実施により未反応の反応原料の循環量が助剤として使用する分だけ増加して、反応原料回収工程(44)での処理量が増加することから、経済的に不利となることを指す。
(II)その他、運転条件等の制約に従うこと。製造する目的化合物や設備により運転条件が変わるため、塔頂、塔底の各抜き出し液のいずれか一方、もしくは両方の流量、組成等の目標値の制約等により決定される。
例えば、後述する実施例1の具体例では、後工程(特許文献1に記載のものと同一の抽出工程)で使用している抽剤の回収工程で使う加熱蒸気の量が毎時0.2質量部上昇したが、共沸塔・塔頂の酢酸(高沸成分)濃度を大幅に削減することで、排水中の酢酸流量は毎時0.04質量部減った。したがって、この実施例1の場合には、下記の不等式が成立する。
毎時0.04質量部の酢酸(排水処理費用・酢酸ロス)のメリット(年間1000万円程度)>毎時0.2質量部のスチーム増のデメリット(年間200万円程度)
以下実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ制限されるものではない。
(実施例1)
実施例として特許文献1のアリルアルコール製造工程にて本発明を実施した。
CHCOOCHCH=CH + HO → CH=CHCHOH + CHCOOH
以下、本実施例1を説明するためのフロー図である図5を用いて、説明を行う。
図5において、酢酸アリル合成工程を経て生成した酢酸アリルを含む反応原料(501)は後述する抽出塔(55)により回収された反応原料酢酸アリル(502)と混合されて加水分解反応器(51)に供給される。
加水分解反応(51)では、触媒として強酸性のイオン交換樹脂を使用しており、0.6MPa、78℃の温度条件下、滞留時間:50分にて反応させた。反応生成液(504)と、抽出塔(55)により回収された酢酸アリルの一部(520)が混合した流れ(505)は蒸留塔(52)に供給される。蒸留塔では圧力0.15MPa、塔頂温度90℃前後、塔底温度115℃前後の条件で運転される。塔底から抜き出される液(506)は、酢酸、水を主成分とする液で、酢酸アリル合成工程に戻されて循環利用される。塔頂からの留出分(507)は50℃前後まで冷却されてデカンタ(54)に供給される。デカンタ(54)では酢酸アリル濃度の高い油層と酢酸アリル濃度の低い水層の2層に分離する。油層液の一部は共沸蒸留塔(52)の分離性能向上のため還流(509)として戻され、残りの油層液(510)は抽出塔(55)へと供給される。
一方、水層(508)は後述の液(512)と共にアリルアルコール精製工程へ供給される。抽出塔(55)では0.110MPa、40℃の条件下、共沸蒸留塔(52)の塔頂抜き出し液(510)とほぼ水からなる液(511)との向流接触により、(510質量流量):(511質量流量)=1:1.4の比率で供給され、塔頂からアリルアルコールを除去された酢酸アリル(513)が抜き出され、塔底からは酢酸アリルを若干含むアリルアルコール水溶液(512)が抜き出される。なお(508)および(512)は混合されて、次の蒸留塔にて酢酸アリルが除去された後、アリルアルコール水溶液の蒸留操作により塔頂からアリルアルコールと水の共沸組成が得られる。回収された酢酸アリル(513)(濃度97.3%)は加水分解反応器(51)の反応原料(502)および共沸蒸留の助剤(520)としてリサイクルされる。
ここで、(51)、(54)の運転条件は上記の通りで、(52)の塔底抜き出し(506)流量を毎時62.9質量部、デカンタ(54)の油層からの還流(509)流量を毎時52.5質量部で一定とする運転方針の下、8時間のテストを実施した。各流れの流量、組成の平均値を表1に示す。この時、蒸留塔(52)の塔頂温度は92.7℃で、リボイラ(53)での蒸気使用量は毎時38.3質量部であった。また、アリルアルコールの生成量(次工程への移送量:(508)+(512))は毎時12.4質量部であった。
このときの実施例1の各流れの流量・組成データを表1に示す。
Figure 2007231011
(実施例2)
本実施例2を説明するためのフロー(フロー図)を、図6に示す(図6の説明においては、図5と同じ箇所は同一番号を記して、それらの説明を省略する)。
図6において、流れ(521)のように抽出塔から回収した酢酸アリルを共沸蒸留塔(52)の還流(509)に供給し、(509)と(521)の流量の和を実施例1と同程度の値としたことを除き、(51)、(54)の運転条件および共沸蒸留塔(52)の塔底抜き出し(506)の流量に関しては実施例1と同一条件で実験を実施した。この時、蒸留塔(52)塔頂温度は92.2℃で、リボイラ(53)での蒸気使用量は毎時37.3質量部であった。また、アリルアルコールの生成量(次工程への移送量:(508)+(512))は毎時12.4質量部であった。
このときの実施例2の各流れの流量・組成データを表2に示す。
Figure 2007231011
(比較例1)
本比較例1を説明するためのフロー(フロー図)を図7に示す(図7の説明においては、図5と同じ箇所は同一番号を記して、それらの説明を省略する)。
図7において、反応原料を助剤として添加しない条件下で(すなわち、図5における流れ(520)の流量を0(ゼロ)とし)、塔頂留分中の酢酸濃度を抑えるために還流(509)の流量を毎時54.9質量部と増量したことを除き、(51)、(54)の運転条件および(506)流量に関しては実施例1と同一条件で実験を実施した。このとき、蒸留塔(52)塔頂温度は93.2℃で、リボイラ(53)での蒸気使用量は毎時41.2質量部であった。また、アリルアルコールの生成量(次工程への移送量:(508)+(512))は毎時12.4質量部であった。
このときの比較例1の各流れの流量・組成データを表3に示す。
Figure 2007231011
上述したように、実施例1および2と、比較例1とではアリルアルコール生成量はほぼ等しいが、実施例で1および2はリボイラ(53)での蒸気使用量を低減することが可能となった。
(実施例3)
実施例1と同様にして、流れ(520)のように抽出塔から回収した酢酸アリル(濃度97.3%)を共沸蒸留塔(52)の共沸剤として加水分解反応器(51)の出口(504)に供給する運転を223日間実施した。当該期間中の生産量は、平均して毎時100.0質量部であった。
(52)の塔頂温度は91.4℃、塔底温度は116.9℃、圧力は0.110MPaで、(55)の塔頂圧力0.110MPaであった。(53)における蒸気使用量は平均で毎時316質量部、後工程を含めて使用した蒸気量は平均で毎時356質量部であった。また、(52)に流入した酢酸のうち、(52)塔底からの酢酸の回収率は99.9%であった。
このときの運転時の各流れの流量・組成データを表4に示す。
Figure 2007231011
(比較例2)
比較例1と同様にして、図5における流れ(520)の流量を0とする運転を167日間実施した。当該期間中の生産量は、平均して毎時108.8質量部であった。
(52)の塔頂温度は92.0℃、塔底温度は117.4℃、圧力は0.112MPa、(55)の塔頂圧力は0.112MPaであった。(53)における蒸気使用量は平均で毎時375質量部、後工程を含めて使用した蒸気量は平均で毎時464質量部であった。また、(52)に流入した酢酸のうち、(52)塔底からの酢酸の回収率は99.6%であった。
このときの運転時の各流れの流量・組成データを表5に示す。
Figure 2007231011
特許文献1のプロセスフローを説明するためのフロー図(ないしブロック図)である。 特許文献2のプロセスフローを説明するためのフロー図である。 特許文献3のプロセスフローを説明するためのフロー図である。 本発明のプロセスフローを説明するためのフロー図である。 実施例1および3のプロセスフローを説明するためのフロー図である。 実施例2のプロセスフローを説明するためのフロー図である。 比較例1および2のプロセスフローを説明するためのフロー図である。
符号の説明
11 加水分解反応器
12 蒸留塔
13 デカンタ
14 抽出塔
21 加水分解反応器
22 第一蒸留塔
23 第二蒸留塔
24 第三蒸留塔
25 デカンタ
31 第一蒸留塔
32 デカンタ
33 第二蒸留塔
41 反応工程
42 共沸蒸留塔
43 共沸蒸留塔(42)リボイラ
44 反応原料回収工程
51 加水分解反応器
52 共沸蒸留塔
53 共沸蒸留塔(52)リボイラ
54 デカンタ
55 抽出塔
101 加水分解反応原料液
102 回収された反応原料液
103 加水分解反応器(11)に供給する液
104 加水分解反応器(11)の反応生成液
105 第一蒸留塔(12)塔底抜き出し液
106 第一蒸留塔(12)塔頂蒸気
107 第一蒸留塔(12)還流液
108 デカンタ(13)油層抜き出し液
109 デカンタ(13)水層抜き出し液
110 抽出塔(14)抽出水
111 抽出塔(14)抽出液
112 抽出塔(14)抽残液
201 加水分解反応原料液
202 回収された反応原料液
203 加水分解反応器(21)に供給する液
204 加水分解反応器(21)の反応生成液
205 第一蒸留塔(22)塔底抜き出し液
206 第一蒸留塔(22)塔頂蒸気
207 第一蒸留塔(22)還流液
208 第一蒸留塔(22)留出液
209 第二蒸留塔(23)塔底抜き出し液
210 第二蒸留塔(23)塔頂蒸気
211 第二蒸留塔(23)還流液
212 第二蒸留塔(23)留出液
213 第三蒸留塔(24)塔底抜き出し液
214 第三蒸留塔(24)塔頂蒸気
215 第三蒸留塔(24)還流液
216 デカンタ(25)水層抜き出し液
217 デカンタ(26)油層抜き出し液
301 第一蒸留塔(31)フィード液
302 第一蒸留塔(31)塔底抜き出し液
303 第一蒸留塔(31)塔頂蒸気
304 デカンタ(32)水層抜き出し液
305 デカンタ(32)油層抜き出し液
306 第二蒸留塔(33)留出液
307 第二蒸留塔(33)より回収した助剤液
401 反応原料液
402 回収された未反応原料液
403 反応工程(41)に供給する液
404 反応工程(41)の反応生成液
405 共沸蒸留塔(42)塔底抜き出し液
406 共沸蒸留塔(42)塔頂蒸気
407 共沸蒸留塔(42)還流液
408 共沸蒸留塔(42)留出液
409 反応原料回収工程(44)より未反応原料を回収した後の残液
410 反応原料回収工程(44)より回収した未反応原料液
420 助剤として共沸蒸留塔(42)に供給する反応原料液
501 加水分解反応原料液
502 回収された反応原料液
503 加水分解反応器(51)に供給する液
504 加水分解反応器(51)の反応生成液
505 共沸蒸留塔(52)フィード液
506 共沸蒸留塔(52)塔底抜き出し液
507 共沸蒸留塔(52)塔頂蒸気
508 デカンタ(54)水層抜き出し液
509 共沸蒸留塔(52)還流液
510 デカンタ(54)油層抜き出し液
511 抽出塔(55)抽出水
512 抽出塔(55)抽出液
513 抽出塔(55)抽残液
514 高沸廃液から回収した酢酸
515 次工程から回収した酢酸アリル
520 (51)の反応生成液(504)に添加する回収反応原料液
521 共沸蒸留塔(52)の還流液(509)に添加する回収反応原料液

Claims (5)

  1. 反応工程、反応生成物の分離精製を行う蒸留工程、および蒸留工程の後工程に反応原料を回収する工程を少なくとも有する共沸蒸留方法であって;
    前記反応工程における反応原料の少なくとも一種が、前記蒸留工程において共沸蒸留の助剤として作用するものであって;且つ該助剤として作用する反応原料の一部を、蒸留工程へ供給することを特徴とする共沸蒸留方法。
  2. 蒸留工程の後工程で回収され、未反応の前記助剤として作用する反応原料を80質量%以上含む、液体および/又は気体の一部を、蒸留工程に供給することを特徴とする請求項1に記載の共沸蒸留方法。
  3. 蒸留工程が複数の蒸留塔からなり、未反応の前記助剤として作用する反応原料を80質量%以上含む、液体および/又は気体の一部を、最初の蒸留塔へ供給することを特徴とする請求項2に記載の共沸蒸留方法。
  4. 前記助剤として作用する反応原料が酢酸アリルであり、前記反応生成物がアリルアルコールおよび酢酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の共沸蒸留方法。
  5. 請求項4に記載された共沸蒸留方法をプロセスの一部として含む、アリルアルコールの製造方法。
JP2007024286A 2006-02-02 2007-02-02 アリルアルコールの製造方法 Active JP5094148B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007024286A JP5094148B2 (ja) 2006-02-02 2007-02-02 アリルアルコールの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006026051 2006-02-02
JP2006026051 2006-02-02
JP2007024286A JP5094148B2 (ja) 2006-02-02 2007-02-02 アリルアルコールの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007231011A true JP2007231011A (ja) 2007-09-13
JP5094148B2 JP5094148B2 (ja) 2012-12-12

Family

ID=38551955

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007024286A Active JP5094148B2 (ja) 2006-02-02 2007-02-02 アリルアルコールの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5094148B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011516553A (ja) * 2008-04-09 2011-05-26 ダウ グローバル テクノロジーズ リミティド ライアビリティ カンパニー ジクロロヒドリン類を回収する多段法及び装置
KR20180070294A (ko) * 2016-12-16 2018-06-26 주식회사 엘지화학 미반응 단량체를 포함하는 혼합용액으로부터 미반응 단량체의 분리방법

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60237032A (ja) * 1984-05-10 1985-11-25 Showa Denko Kk アリルアルコ−ルの精製方法
JPS62255437A (ja) * 1986-04-25 1987-11-07 バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト ジアステレオマ−類の分離
JPS6485940A (en) * 1987-09-29 1989-03-30 Daicel Chem Production of allyl alcohol
JPH04235138A (ja) * 1990-12-27 1992-08-24 Showa Denko Kk アリルアルコールの精製法
JPH05238972A (ja) * 1992-02-28 1993-09-17 Daicel Chem Ind Ltd アリルアルコ−ルの製造方法
JP2001097893A (ja) * 1999-07-29 2001-04-10 Tokuyama Corp 高純度有機化合物の製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60237032A (ja) * 1984-05-10 1985-11-25 Showa Denko Kk アリルアルコ−ルの精製方法
JPS62255437A (ja) * 1986-04-25 1987-11-07 バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト ジアステレオマ−類の分離
JPS6485940A (en) * 1987-09-29 1989-03-30 Daicel Chem Production of allyl alcohol
JPH04235138A (ja) * 1990-12-27 1992-08-24 Showa Denko Kk アリルアルコールの精製法
JPH05238972A (ja) * 1992-02-28 1993-09-17 Daicel Chem Ind Ltd アリルアルコ−ルの製造方法
JP2001097893A (ja) * 1999-07-29 2001-04-10 Tokuyama Corp 高純度有機化合物の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011516553A (ja) * 2008-04-09 2011-05-26 ダウ グローバル テクノロジーズ リミティド ライアビリティ カンパニー ジクロロヒドリン類を回収する多段法及び装置
KR20180070294A (ko) * 2016-12-16 2018-06-26 주식회사 엘지화학 미반응 단량체를 포함하는 혼합용액으로부터 미반응 단량체의 분리방법
KR102142550B1 (ko) 2016-12-16 2020-08-07 주식회사 엘지화학 미반응 단량체를 포함하는 혼합용액으로부터 미반응 단량체의 분리방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP5094148B2 (ja) 2012-12-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2639872C2 (ru) Способ очистки пропиленоксида
JP5476774B2 (ja) (メタ)アクリロニトリルの回収方法
RU2672591C1 (ru) Улучшения, относящиеся к очистке пропиленоксида
CN101312936A (zh) 乙酸脱水***及其方法
CN102432453A (zh) 稀醋酸溶液提纯工艺及设备
JP2019514937A (ja) (メタ)アクリル酸の連続回収方法および装置
KR100670881B1 (ko) 고순도 모노에틸렌 글리콜의 제조 방법
JP2003534221A (ja) 濃硝酸を製造する方法およびそのような方法を実施するための装置
JP6592593B2 (ja) フェノールの精製方法
JP6038157B2 (ja) アセトニトリルの精製方法
JP4160087B2 (ja) アクリル酸エステルの製造方法
JP5094148B2 (ja) アリルアルコールの製造方法
US8083903B2 (en) Process for producing allyl alcohol
KR20010075276A (ko) 고순도 모노에틸렌 글리콜의 제조 방법
JP2019514936A (ja) (メタ)アクリル酸の連続回収方法および装置
JP6602490B2 (ja) (メタ)アクリル酸の回収方法
JP2005060241A (ja) 溶剤の精製方法およびそれに用いる装置
KR101842095B1 (ko) 아세트산 정제 공정 및 장치
KR101628287B1 (ko) (메트)아크릴산의 연속 회수 방법 및 장치
CN117603058A (zh) 环己醇氨化法所得粗胺精馏提纯获得环己胺和二环己胺的方法
KR20180064892A (ko) (메트)아크릴산의 회수 방법
WO2007099804A1 (ja) 第2級ブタノールの精製方法及び製造方法
JP2006256992A (ja) プロピレンオキサイドの精製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091106

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120522

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120720

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120821

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120918

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5094148

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150928

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350