JP2007224744A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】バルブタイミングの位相を保持する保持デューティ値の誤学習を防止してバルブタイミング制御の制御性を高める。
【解決手段】機関バルブのバルブタイミングを可変とする油圧式の可変バルブタイミング機構を備えたエンジンにおいて、目標変位角evttと実変位角evtとの偏差が所定範囲内にあるときに、そのときのバルブタイミングを保持するための保持デューティ値を学習するにあたり、可変バルブタイミング機構を駆動する作動油の油温が所定値以上(例えば120℃以上)であるときには、保持デューティ値の学習を禁止する(ステップST42)。これによって目標変位角付近での実変位角のふらつきに起因する保持デューティ学習値の誤学習を防止することができ、実変位角が目標変位角に収束しないという事態を回避することができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、内燃機関に設けられた機関バルブの開閉時期(バルブタイミング)を、機関運転状態に応じて制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
車両等に搭載される内燃機関(以下、エンジンともいう)においては、クランクシャフトの回転がタイミングベルト等を介してカムシャフトに伝達される。エンジンの機関バルブ(吸気バルブ・排気バルブ)は、カムシャフトのカムにより周期的に押し下げられて往復動し、吸気通路・排気通路を開閉する。このタイプのエンジンでは、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相は常に一定である。これに対し、近年では、エンジンに可変バルブタイミング(VVT:Variable Valve Timing)機構を搭載している。可変バルブタイミング機構(以下、VVTともいう)は、エンジンの出力向上、燃費向上、排気エミッション低減等を目的として、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を変化させ、機関バルブのバルブタイミングを変更する機構である。
可変バルブタイミング機構としては、例えばヘリカルスプライン式とベーン式の機構がある。これらのうち、ベーン式可変バルブタイミング機構は、例えば、内周面に凹部が形成されたハウジングと、そのハウジングの凹部を2つの油圧室(遅角側油圧室、進角側油圧室)に区画するベーンを有する内部ロータとを備え、前記ハウジングをクランクシャフトに連結し、内部ロータをカムシャフトに連結した状態で、前記遅角側油圧室及び進角側油圧室に供給する油圧をオイルコントロールバルブ(OCV)によって制御することにより、クランクシャフトとカムシャフトとの回転位相をずらしてバルブタイミングを連続的に変化させる構造となっている。
オイルコントロールバルブは、ケーシング内に往復移動可能に配設されたスプールと、このスプールを付勢する圧縮コイルばねと、電圧の印加によりスプールを吸引する電磁ソレノイド等によって構成されている。電磁ソレノイドに印加される電圧はデューティ制御されており、電磁ソレノイドで発生する吸引力は印加電圧のデューティ比に応じて変化する。そして、電磁ソレノイドに印加される電圧のデューティ比が大きいほど進角側油圧室への油圧供給量が増加し、デューティ比が小さいほど遅角側油圧室への油圧供給量が増加する。このようにして進角側油圧室及び遅角側油圧室内の油圧を調節することにより、可変バルブタイミング機構が駆動される。
オイルコントロールバルブのデューティ制御においては、例えば、カムポジションセンサの検出信号等から得られるVVTの実際の変位角(実変位角)が、エンジンの運転状態に応じた目標変位角に収束するようにデューティ値を逐次変更するフィードバック制御(例えばPD制御)と、保持デューティ学習制御とが行われている。
フィードバック制御の出力デューティは、例えば、保持デューティ学習値と、P制御量(比例項)と、D制御量(微分項)とを加算することによって求められ、その出力デューティに応じて電磁ソレノイドへの印加電圧が制御される。なお、保持デューティ値は下記の保持デューティ学習制御にて得られる値である。また、P制御量は、目標変位角と実変位角との偏差に応じて設定される値であり、D制御量は、目標変位角と実変位角との偏差の変化量に応じて設定される値である。
保持デューティ学習制御においては、実変位角が目標変位角に近似しているときに(目標変位角と実変位角との偏差が所定範囲内にあるときに)、バルブタイミングの位相を保持するように、オイルコントロールバルブ(電磁ソレノイド)を駆動するためのデューティ比を所定値(保持デューティ値)に設定する保持制御と、その保持制御で得られた保持デューティ値を逐次更新・記憶していく学習制御とが行われている。
ここで、バルブタイミング制御装置に適用するデューティ制御では、エンジンの運転状態に関係なく、常に適正な保持デューティ値が得られるようにすることが望ましく、そのような点を考慮した技術として、例えば下記の特許文献1及び2がある。
特許文献1に記載の技術では、エンジン始動時の保持デューティ値を冷却水温に基づいて補正し、さらに、暖機終了後の温間領域においても冷却水温が微妙に変動する点を考慮して冷却水温に応じて保持デューティ値を更新している。また、特許文献2に記載の技術では、冷却水温が所定温度以上であるときのみに保持デューティ値の学習更新を許容する制御において、高温側のみで学習更新が許容された保持ディーティ値が、低温側の実際の保持ディーティ値と比較してあまり差異がない点に着目し、高温側で学習更新が許容された保持ディーティ値を、次回のエンジン始動時または冷間運転時に用いている。
特開2000−230437号公報 特開平11−036905号公報
ところで、エンジン潤滑油(VVT作動油)が高温になると粘度が低下して、VVT作動油の油圧が低下する。VVT作動油の油圧が低下すると、VVTの実変位角が目標変位角付近でふらつくことがある。特に、エンジンには個体差による油圧ばらつきがあり、その油圧ばらつきの下限のエンジンでは実変位角のふらつきが生じやすい。このような実変位角のふらつきがある状態で、VVTのフィードバック制御を行うと、保持デューティ値を誤学習する可能性がある。
この点について図8を参照して説明する。まず、VVTの作動油が高温になって油圧が低下すると、カムシャフトのトルク変動の影響を受け易くなる等の要因により、図8に示すように、実変位角evtが目標変位角evtt付近でふらつく。このような実変位角evtのふらつきは進角側の振れが大きくなることから、出力デューティedvtを遅角側にフィードバック制御する機会が多くなる。その結果として、保持デューティ学習値egdvthは遅角側に向かって誤学習される。このような誤学習が発生すると、目標変位角evttに実変位角evtが収束できなくなり、目標変位角evttと実変位角evtとの偏差を残したままの状態となってVVTを進角できなくなる。
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、バルブタイミングを所定の位相に保持する保持制御値(保持デューティ値)の誤学習を防止することができ、バルブタイミング制御の制御性を高めることが可能な内燃機関のバルブタイミング制御装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、内燃機関の機関バルブのバルブタイミングを可変とする油圧式の可変バルブタイミング機構と、前記可変バルブタイミング機構の実変位角が目標変位角に一致するように当該可変バルブタイミング機構の駆動部をフィードバック制御するとともに、前記目標変位角と実変位角との偏差が所定範囲内にあるときに、そのときのバルブタイミングを保持するための保持制御値を学習する制御手段とを備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記制御手段は、前記可変バルブタイミング機構を駆動する作動油の油温が所定値以上であるか否かを判定し、作動油の油温が所定値以上であるときには、前記保持制御値の学習を禁止することを特徴としている。
この特定事項により、可変バルブタイミング機構を駆動する作動油の油温が高温(例えば120℃以上)になったときには、バルブタイミングの位相を保持するための保持制御値(保持デューティ値)の学習が禁止されるので、目標変位角付近での実変位角のふらつきに起因する保持デューティ学習値の誤学習を防止することができる。これによって実変位角が目標変位角に収束しないという事態を回避することができ、バルブタイミング制御の制御性を高めることができる。
また、同じ目的を達成するため、本発明は、内燃機関の機関バルブのバルブタイミングを可変とする油圧式の可変バルブタイミング機構と、前記可変バルブタイミング機構の実変位角が目標変位角に一致するように当該可変バルブタイミング機構の駆動部をフィードバック制御するとともに、前記目標変位角と実変位角との偏差が所定範囲内にあるときに、そのときのバルブタイミングを保持するための保持制御値を学習する制御手段とを備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記制御手段は、前記可変バルブタイミング機構を駆動する作動油の油温が所定値以上であるか否かを判定し、作動油の油温が所定値以上であるときには、前記フィードバック制御の制御定数を小さくする側に変更することを特徴としている。
この特定事項により、可変バルブタイミング機構を駆動する作動油の油温が高温(120℃以上)になったときには、フィードバック制御の制御定数(例えばP制御量、D制御量)が小さい側に変更される。このような制御定数の変更により、高油温時で油圧が低下したときに発生する実変位角のふらつき(図8参照)の影響が、フィードバック制御の制御量(例えば出力デューティ)に反映されないようにすることが可能になり、保持デューティ学習値の誤学習を防止することができる。これによって実変位角が目標変位角に収束しないという事態を回避することができ、バルブタイミング制御の制御性を高めることができる。
本発明において、作動油の油温は油温センサにて直接検出するようにしてもよい。このように作動油の油温を直接検出することで、誤学習防止制御の精度を高めることが可能になる。
本発明において、内燃機関の回転数、負荷及び機関水温に基づいて前記作動油の油温を推定するようにしてもよい。この場合、油温センサを設ける必要がなく、内燃機関に既に装備されているセンサ利用して誤学習防止制御を行うことが可能になる。
本発明によれば、作動油にて駆動される可変バルブタイミング機構を用いて機関バルブのバルブタイミングをフィードバック制御するとともに、バルブタイミングを所定の位相に保持する保持制御値を学習するバルブタイミング制御において、作動油の油温が高温になったときに、保持制御値の学習を禁止するか、もしくは、フィードバック制御の制御定数を小さい側に変更しているので、保持制御値の誤学習を防止することが可能となり、バルブタイミング制御の制御性を高めることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明を適用するエンジン(内燃機関)について説明する。
−エンジン−
図1は本発明を適用するエンジンの概略構成を示す図である。なお、図1にはエンジンの1気筒の構成のみを示している。
エンジン1は、車両に搭載される筒内直噴型多気筒ガソリンエンジンであって、その各気筒を構成するシリンダブロック1a内には上下方向に往復動するピストン1cが設けられている。ピストン1cはコネクティングロッド16を介してクランクシャフト15に連結されており、ピストン1cの往復運動がコネクティングロッド16によってクランクシャフト15の回転へと変換される。
クランクシャフト15にはシグナルロータ17が取り付けられている。シグナルロータ17の外周面には複数の突起(歯)17a・・17aが等角度ごとに設けられている。シグナルロータ17の側方近傍にはクランクポジションセンサ(エンジン回転数センサ)37が配置されている。クランクポジションセンサ37は、例えば電磁ピックアップであって、クランクシャフト15が回転する際にシグナルロータ17の突起17aに対応するパルス状の信号(出力パルス)を発生する。
エンジン1のシリンダブロック1aには冷却水温を検出する水温センサ31が配置されている。また、シリンダブロック1aの上端にはシリンダヘッド1bが設けられており、このシリンダヘッド1bとピストン1cとの間に燃焼室1dが形成されている。
エンジン1のシリンダブロック1aの下側には、潤滑油を貯留するオイルパン18が設けられている。このオイルパン18に貯留された潤滑油は、エンジン1の運転時に、異物を除去するオイルストレーナ20を介してオイルポンプ19(図2参照)によって汲み上げられて、ピストン1c、クランクシャフト15、コネクティングロッド16などに供給され、各部の潤滑・冷却等に使用される。そして、このようにして供給された潤滑油は、エンジン1の各部の潤滑・冷却等のために使用された後、オイルパン18に戻され、再びオイルポンプ19によって汲み上げられるまでオイルパン18内に貯留される。また、この例においては、オイルパン18に貯留された潤滑油を、後述する可変バルブタイミング機構100i,100eの作動油にも利用している。なお、オイルポンプ19は、エンジン1のクランクシャフト15の回転によって駆動される機械式ポンプである。
エンジン1の燃焼室1dには吸気通路11と排気通路12が接続されている。吸気通路11には、エアクリーナ7、熱線式のエアフロメータ32、吸気温センサ33(エアフロメータ32に内蔵)、及び、エンジン1の吸入空気量を調整するための電子制御式のスロットルバルブ5などが配置されている。スロットルバルブ5はスロットルモータ6によって駆動される。スロットルバルブ5の開度はスロットルポジションセンサ36によって検出される。エンジン1の排気通路12には、排気ガス中の酸素濃度を検出するO2センサ34及び三元触媒8が配置されている。
吸気通路11と燃焼室1dとの間に吸気バルブ13が設けられており、この吸気バルブ13を開閉駆動することにより、吸気通路11と燃焼室1dとが連通または遮断される。また、排気通路12と燃焼室1dとの間に排気バルブ14が設けられており、この排気バルブ14を開閉駆動することにより、排気通路12と燃焼室1dとが連通または遮断される。これら吸気バルブ13及び排気バルブ14の開閉駆動は、クランクシャフト15の回転がタイミングベルト等を介して伝達される吸気カムシャフト21及び排気カムシャフト22の各回転によって行われる。吸気カムシャフト21と排気カムシャフト22にはそれぞれ可変バルブタイミング機構(以下、VVTという)100i,100eが設けられている。各VVT機構100i,100eの詳細は後述する。
また、吸気カムシャフト21及び排気カムシャフト22の近傍にはそれぞれカムポジションセンサ38,39が配置されている。各カムポジションセンサ38,39は、例えば電磁ピックアップであって、吸気カムシャフト21及び排気カムシャフト22に一体的に設けられたロータ外周面の1個の突起(図示せず)に対向するように配置されており、その各カムシャフト21,22が回転する際にパルス状の信号を出力する。
エンジン1のシリンダヘッド1bには、燃焼室1d内に燃料を直接噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)2と点火プラグ3とが各気筒ごとに配置されている。各気筒毎のインジェクタ2には、燃料供給装置によって高圧燃料が供給され、その各インジェクタ2から燃料を燃焼室1d内に直接噴射することにより、燃焼室1d内で空気と燃料とが混合された混合気が形成され、その混合気が点火プラグ3にて点火され燃焼室1d内で燃焼される。この混合気の燃焼室1d内での燃焼によりピストン1cが往復運動してクランクシャフト15が回転する。以上のエンジン1の運転状態は、後述するECU(電子コントロールユニット)300によって制御される。なお、点火プラグ3の点火タイミングはイグナイタ4によって調整される。
−VVT−
VVT100i,100eは、図2及び図3に示すように、略中空円盤状のハウジング101と、このハウジング101内に回転自在に収容された内部ロータ104とを備えている。内部ロータ104には複数(この例では4枚)のベーン105が一体形成されている。内部ロータ104はセンタボルト106によって吸気カムシャフト21(または排気カムシャフト22)に固定されており、吸気カムシャフト21(または排気カムシャフト22)と一体となって回転する。
ハウジング101の前面側はカバー107によって覆われている。これらハウジング101、カバー107及び側板109aはボルト108にてタイミングプーリ109に固定されており、ハウジング101、カバー107及び側板109aはタイミングプーリ109と一体となって回転する。タイミングプーリ109は、タイミングベルトを介してクランクシャフト15に連結される。
ハウジング101の内部には、内部ロータ104のベーン105と同数の凸部102が形成されており、その各凸部102間に形成された凹部103内に内部ロータ104の各ベーン105が収容されている。各ベーン105の先端面は凹部103の内周面に摺動可能に接触している。内部ロータ104は、作動油の圧力をベーン105で受けることによりハウジング101に対して相対回転する。この相対回転により、クランクシャフト15に対する吸気カムシャフト21(または排気カムシャフト22)の回転位相が変化する。
ハウジング101の各凹部103には、内部ロータ104のベーン105によって区画された2つの空間が形成されている。これら2つの空間のうち、ベーン105に対してカムシャフト回転方向(図3の矢印の方向)の前側の空間が遅角側油圧室110を構成し、カムシャフト回転方向の後側の空間が進角側油圧室111を構成している。
内部ロータ104のベーン105の1つには、段差付きの貫通孔112が形成されている。この貫通孔112にはフランジ付きロックピン113が摺動可能に収容されている。ロックピン113は圧縮コイルばね114の弾性力によってタイミングプーリ109側に付勢されている。一方、タイミングプーリ109に固定された側板109aには、ロックピン113に対応する位置に係止孔115が形成されており、内部ロータ104の相対回転によりロックピン113が係止孔115に一致したときには、圧縮コイルばね114の弾性力によってロックピン113が突き出し、その先端が係止孔115に突入する。
このようなロックピン113の係止孔115への突入により、内部ロータ104のハウジング101に対する相対回転が規制され、その規制状態での相対回転位相を維持した状態で吸気カムシャフト21(排気カムシャフト22)とタイミングプーリ109とが一体に回転する。なお、ロックピン113と係止孔115とは、ロック位相つまり吸気カムシャフト21(排気カムシャフト22)の回転位相が最遅角位相(または最進角位相)となったときに一致する。
ロックピン113のロックを解除するために、そのロックピン113を有するベーン105には油通路116が設けられている。この油通路116は進角側油圧室111及び貫通孔112に連通しており、進角側油圧室111に供給された油圧が貫通孔112に導入される。また、ロックピン113のフランジ部分と貫通孔112の段差部分との間には環状油空間117が形成されている。この環状油空間117は、油通路118を介して遅角側油圧室110と連通しており、遅角側油圧室110に供給された油圧が環状油空間117にも導入される。そして、環状油空間117の油圧が圧縮コイルばね114の付勢力に打ち勝つと、ロックピン113が係止孔115から外れ、ロックピン113の係止が解除される。このようなロックピン113の係止解除によって、ハウジング101及び内部ロータ104間の相対回転が許容され、進角側油圧室111及び遅角側油圧室110に供給される油圧に基づいて、ハウジング101に対する内部ロータ104の回転位相の調整が可能となる。
以上の構造のVVT100i,100eでは、進角側油圧室111内と遅角側油圧室110内の各油圧によって内部ロータ104がハウジング101に対して相対回転する。すなわち、進角側油圧室111内の油圧を遅角側油圧室110内の油圧よりも高くすると、内部ロータ104はハウジング101に対して吸気カムシャフト21(または排気カムシャフト22)の回転方向に相対回転する。このとき、吸気カムシャフト21(または排気カムシャフト22)の回転位相はクランクシャフト15の回転位相に対して進められる(進角)。これとは逆に、遅角側油圧室110内の油圧を進角側油圧室111の油圧よりも高くすると、内部ロータ104はハウジング101に対して吸気カムシャフト21(または排気カムシャフト22)の回転方向と逆方向に相対回転され、吸気カムシャフト21(または排気カムシャフト22)の回転位相はクランクシャフト15の回転位相に対して遅らされる(遅角)。そして、このような回転位相の調整によって吸気バルブ13(または排気バルブ14)のバルブタイミングを可変とすることができる。
次に、遅角側油圧室110と進角側油圧室111に供給する作動油の圧力を制御する油圧制御系の構成について図1を参照して説明する。
まず、シリンダヘッド1b、吸気カムシャフト21、排気カムシャフト22、内部ロータ104等には、遅角側油圧室110に連通する遅角側通路119と進角側油圧室111に連通する進角側通路120とが形成されている。これら遅角側通路119と進角側流路120には、オイルコントロールバルブ(以下、OCVという)200i,200eが接続されている。OCV200i,200eには、上記したオイルポンプ19によってオイルパン18から汲み上げられた潤滑油(作動油)がオイル供給通路121を介して供給される。また、各OCV200i,200eには2つのオイル排出通路122,123が接続されている。OCV200i,200eは電磁駆動式の流量制御弁であり、後述するECU300によって制御される。なお、オイル供給通路121には、オイルストレーナ20、作動油(潤滑油)の油圧を検出する油圧センサ40、及び、作動油の油温を検出する油温センサ41が接続されている。
OCV200i,200eは、4ポート弁であって、ケーシング201の内部に往復移動可能に配設されたスプール202と、スプール202に弾性力を付勢する圧縮コイルばね203と、電磁ソレノイド204とを備えており、電磁ソレノイド204に電圧が印加されたときにスプール202が吸引されるようになっている。電磁ソレノイド204に印加する電圧は、後述ECU300によってデューティ制御される。電磁ソレノイド204の発生する吸引力は印加電圧のデューティ比に応じて変化する。この電磁ソレノイド204が発生する吸引力と圧縮コイルばね203の付勢力との釣り合いによってスプール202の位置が決定される。
そして、スプール202が移動することによって、遅角側通路119及び進角側通路120と、オイル供給通路121及びオイル排出通路122,123との連通量が変化し、遅角側通路119及び進角側通路120に対して供給される作動油の量、あるいは、これら遅角側通路119及び進角側通路120から排出される作動油の量が変化する。
例えば、吸気側のOCV200iは、電磁ソレノイド204に印加される電圧のデューティ比が大きいほど、進角側通路120に供給される作動油の供給量が多くなって吸気カムシャフト21の回転位相が進角される。一方、デューティ比が小さいほど、遅角側通路119に供給される作動油の供給量が多くなって吸気カムシャフト21の回転位相が遅角される。このようにして遅角側油圧室110及び進角側油圧室111内の油圧を調整することにより、内部ロータ104の回転位相を最遅角位相から最進角位相までの範囲で任意に調整することができる。なお、排気側のOCV200eについても、吸気側のOCV200iと同様にデューティ制御される。ただし、遅角と進角との関係が吸気側のOCV200iの場合とは逆になる。
−ECU−
ECU300は、図4に示すように、CPU301、ROM302、RAM303及びバックアップRAM304などを備えている。ROM302は、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU301は、ROM302に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAM303はCPU301での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM304はエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。これらROM302、CPU301、RAM303、及び、バックアップRAM304はバス307を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース305及び出力インターフェース306と接続されている。
入力インターフェース305には、水温センサ31、エアフロメータ32、吸気温センサ33、O2センサ34、アクセル開度を検出するアクセルポジションセンサ35、スロットルポジションセンサ36、クランクポジションセンサ37、カムポジションセンサ38,39、油圧センサ40、及び、油温センサ41などの各種センサが接続されている。出力インターフェース306には、インジェクタ2、点火プラグ3のイグナイタ4、スロットルバルブ5のスロットルモータ6、OCV200i,200e、及び、オイルポンプ19などが接続されている。そして、ECU300は、上記した各種センサの検出信号に基づいて、インジェクタ2の噴射時期制御及び点火プラグ3の点火時期制御などを含むエンジン1の各種制御を実行する。さらにECU300は、下記の「バルブタイミング制御」を実行する。
−バルブタイミング制御−
ECU300は、OCV200i,200eをデューティ制御して、吸気側のVVT100iと排気側のVVT100eのバルブタイミングを制御する。そのバルブタイミング制御について説明する。
まず、ECU300は、クランクポジションセンサ37等の各種センサの検出結果から得られるエンジン1の運転状態に基づいて、VVT100i,100eの目標変位角evttを算出するとともに、クランクポジションセンサ37及び各カムポジションセンサ38,39の検出信号からVVT100i,100eの実変位角(実回転位相)evtを採取し、その実変位角が目標変位角に収束するようにOCV200i,200eをPD制御することによって、VVT100i,100eのバルブタイミングを制御する。このようなPD制御の制御量つまり出力デューティedvtは、下記の計算式(1)に基づいて算出する。
edvt=egdvth+dvtp+dvtd ・・・(1)
ここで、egdvth:保持デューティ学習値、dvtp:P制御量(比例項)、dvtd:D制御量(微分項)である。
さらに、ECU300は保持デューティ学習制御を実行する。この例の保持デューティ学習制御では、実変位角evtが目標変位角evttに近似しているときに(例えば実変位角evtと目標変位角evttとの偏差が所定範囲内にあるときに)、VVT100i,100eのバルブタイミングの位相を保持するように、OCV200i,200e(電磁ソレノイド204)を駆動するためのデューティ比を所定値(保持デューティ値)に設定する保持制御と、その保持制御で得られた保持デューティ学習値egdvthを逐次更新・記憶していく学習制御とを行う。
−保持デューティ学習制御−
次に、ECU300が実行する保持デューティ学習制御の具体的な例を、図5のフローチャートを参照して説明する。なお、図5の各処理は吸気側のVVT100i及び排気側のVVT100eのそれぞれについて実行される。
また、図5のフローチャートの各処理で用いる検出値や演算値のなまし値とは、前回までに検出・演算された値を、今回検出・演算された値に所定割合で反映させるなまし処理(平均化処理)を行った値のことであり、例えば計算式[今回のなまし値]=[(1−α)×[前回のなまし値]+α×[今回の検出値・演算値]によって求めることができる。ただし、αはなまし係数(0〜1の間の値)である。
ステップST1において、デューティ制御状態が目標幅内にあるか否かを判定する。その判定結果が肯定判定である場合、ステップST31においてVVT制御モードecvtmdを(ecvtmd=10)とし、ステップST32において現在の保持デューティ学習値egdvthを出力デューティedvtとする(edvt=egdvth)。この後にこのルーチンを一旦終了する。
ここで、ステップST1での判定処理は、例えば、エンジン1の運転状態に基づいて演算された目標変位角evtt、クランクポジションセンサ37及びカムポジションセンサ38,39の検出信号から得られる実変位角evt(検出値)をなまし処理した実変位角のなまし値evtsm、及び、目標変位角evttをなまし処理した目標変位角のなまし値evttsmについて、下記の3つの条件j11〜j13の全てが成立しているときに「目標幅内にある」と判定する。
j11:|evtt−evttsm|≦3deg
j12:evttsm−evtsm≦0.3deg
j13:evttsm−evtsm≧−0.3deg
なお、条件j11〜j13の各判定値は、3deg、0.3deg、−0.3degに限られることなく、実変位角evt及び目標変位角evttの安定状態を考慮して他の適当な値を設定するようにしてもよい。
一方、ステップST1の判定結果が否定判定である場合はステップST2に進む。ステップST2では、保持デューティずれにより目標変位角を外れたか否かを判定し、その判定結果が肯定判定である場合はステップST3に移行する。ステップST2の判定結果が否定判定である場合はステップST4に進む。このステップST2においては、例えば、下記の2つの条件j21及びj22の双方が成立しているときに「目標変位角を外れた」と判定する。
j21:上記したステップST1の条件j12または条件j13が不成立
j22:ecvtmd=10(前回保持デューティ出力のVVT制御モード)
なお、ステップST2は、実変位角evtが目標変位角evttに近似している状態にあるか否かを判定するステップである。
ステップST3では、保持デューティ学習値(演算用)t_gdvthを算出する。
具体的には、保持デューティずれが進角側である場合(ステップST1の条件j13が不成立である場合)は、例えば、計算式[t_gdvth=egdvth−0.0039]を用いて保持デューティ学習値(演算用)t_gdvthを算出する。また、保持デューティずれが遅角側である場合(ステップST1の条件j12が不成立である場合)は、計算式[t_gdvth=egdvth+0.0039]を用いて保持デューティ学習値(演算用)t_gdvthを算出する。なお、t_gdvthを算出する各計算式の定数は、0.0039に限られることなく、保持デューティの進角側ずれ及び遅角側ずれを考慮して他の適当な値を設定するようにしてもよい。
さらに、ステップST3においては、保持デューティ学習値(演算用)t_gdvthを算出した後にサブルーチン(X)をコールする。
サブルーチン(X)では、図6に示すように、ステップST41において保持デューティ学習値(演算用)t_gdvthの上下限ガードを行う。次に、ステップST42において、油温センサ41の検出信号から得られる作動油の油温が120℃未満であるか否かを判定する。その判定結果が肯定判定である場合(油温<120℃)は、ステップST43に進んで保持デューティ値の更新(egdvth=t_gdvth)を行った後に、図5のメインルーチンのステップST4に移行する。一方、ステップST42の判定結果が否定判定である場合(油温が120℃以上)には、保持デューティ値の更新を実行せずに(保持デューティ値の学習禁止)、図5のメインルーチンのステップST4に移行する。
ステップST4では、クランクポジションセンサ37の検出信号から得られるクランク角CAが、実変位角evtの算出要求のタイミングであるか否かを判定し、その判定結果が否定判定である場合はステップST11に移行する。ステップST4の判定結果が肯定判定である場合にはステップST5に進む。
ステップST5では、制御変位角が安定しているか否かを判定する。具体的には、実変位角evtと実変位角のなまし値evtsmとの差が所定範囲内[|evt−evtsm|≦α(例えばα=0.2)]であるか否かを判定し、その判定結果が否定判定である場合(制御変位角が安定していない場合)は、ステップST9に移行してVVT制御モードecvtmdの初期化[ecvtmd=20]を行う。さらに、ステップST10において、VVT制御モードecvtmdをインクリメントした後、ステップST11において、前記した計算式(1)のP制御量dvtp及びD制御量dvtdを算出する。
P制御量dvtpの算出は、クランクポジションセンサ37の検出信号から得られるエンジン回転数、油温センサ41の検出信号から得られる作動油の油温、及び、evter[evter=evtt−evt]に基づいて、予め実験・計算により作成された3次元マップを参照して算出する。また、D制御量dvtdの算出は、同様にエンジン回転数、作動油の油温、及び、edlvter(evterの低減速度)に基づいて、予め実験・計算により作成された3次元マップを参照して算出する。なお、P制御量dvtpを算出する3次元マップ及びD制御量dvtdを算出する3次元マップは、ECU300のROM302内に記憶されている。
そして、ステップST12において、前記ステップST11で算出したP制御量dvtp及びD制御量dvtdと、現在の保持デューティ学習値egdvthとを用いて出力デューティedvtを、上記した計算式(1)にて算出した後、このルーチンを一旦終了する。
一方、ステップST5の判定結果が肯定判定である場合(制御変位角が安定している場合)は、ステップST6に進んで現在のVVT制御モードecvtmdが[ecvtmd>22]である否かを判定し、その判定結果が肯定判定である場合はステップST7に進む。ステップST6の否定判定である場合はステップST21に移行する。なお、制御変位角が安定した後の1度目のVVT制御モードecvtmdは[ecvtmd=21]である。
ステップST21においては、目標変位角が安定しているか否かを判定する。具体的には、目標変位角evttと目標変位角のなまし値evttsmとの差が所定範囲内[|evtt−evttsm|≦β(例えばβ=0.5)]であるか否かを判定し、その判定結果が否定判定である場合はステップST9に移行して、VVT制御モードecvtmdを初期化する。ステップST21の判定結果が肯定判定である場合は、ステップST22に進んで現在のVVT制御モードecvtmdが[ecvtmd=21]である否かを判定する。
ステップST22の判定結果が肯定判定である場合([ecvtmd=21]の場合)はステップST10に移行してVVT制御モードecvtmdをインクリメントする。ステップST22の判定結果が否定判定である場合([ecvtmd=22]の場合)、ステップST23に進んで保持デューティ候補をメモリする。具体的には、現在の出力デューティedvtのなまし値edvtsmを保持デューティの仮記憶値edvtsmsとする処理(edvtsms=edvtsm)を実行する。ステップST23の処理が終了した後に、ステップST10に移行してVVT制御モードecvtmdをインクリメントする。
以上のステップST21〜ステップST23の処理を経て、VVT制御モードecvtmdが[ecvtmd>22]となると(ステップST6の判定結果が肯定判定)、ステップST7において、VVT制御モードecvtmdが[ecvtmd<24」であるか否かを判定する。
ステップST7の判定結果が肯定判定である場合([ecvtmd=23]の場合)、ステップST10に移行してVVT制御モードecvtmdをインクリメントする。ステップST7の判定結果が否定判定である場合([ecvtmd=24]の場合)はステップST8に進む。
ステップST8においては、上記ステップST23でメモリした保持デューティの仮記憶値edvtsmsを保持デューティ学習値(演算用)t_gdvthとする処理[t_gdvth=egdvth]を実行した後に、サブルーチン(X)をコールする。
サブルーチン(X)では、図6に示すように、ステップST41において保持デューティ学習値(演算用)t_gdvthの上下限ガードを行う。次に、ステップST42において、油温センサ41の検出信号から得られる作動油の油温が120℃未満であるか否かを判定する。その判定結果が肯定判定である場合(油温<120℃)は、ステップST43に進んで保持デューティ値の更新(egdvth=t_gdvth)を行った後に、図5のメインルーチンのステップST9に移行する。一方、ステップST42の判定結果が否定判定である場合(油温が120℃以上)には、保持デューティ値の更新を実行せずに(保持デューティ値の学習禁止)、図5のメインルーチンのステップST9に移行する。
ステップST9では、VVT制御モードecvtmdを初期化(ecvtmd=20)し、さらにステップST10において、VVT制御モードecvtmdをインクリメントした後、ステップST11において、前記した計算式(1)のP制御量dvtp及びD制御量dvtdを算出する。
P制御量dvtpの算出は、クランクポジションセンサ37の検出信号から得られるエンジン回転数、油温センサ41の検出信号から得られる作動油の油温、及び、evter[evter=evtt−evt]に基づいて3次元マップを参照して算出する。また、D制御量dvtdの算出は、同様にエンジン回転数、作動油の油温、及び、edlvter(evterの低減速度)に基づいて3次元マップを参照して算出する。
そして、ステップST12において、前記ステップST11で算出されたP制御量dvtp及びD制御量dvtdと、ステップST8の処理(サブルーチン(X))にて更新した保持デューティ学習値egdvthとを用いて出力デューティedvtを、上記した計算式(1)にて算出した後に、このルーチンを一旦終了する。なお、ステップST8の処理(サブルーチン(X))で保持デューティ学習値egdvthが更新されていないときには、前回のVVT制御モードecvtmdでの保持デューティ学習値(演算用)t_gdvthを保持デューティ学習値egdvthとして用いる。
以上のように、この例の保持デューティ学習制御によれば、VVT100i,100eに供給する作動油の油温を油温センサ41にて検出し、その油温が120℃以上の高温になったときには、保持デューティ値の学習を禁止しているので(サブルーチン(X))、保持デューティ学習値egdvthの誤学習を防止することができる。これによって実変位角evtが目標変位角evttに収束しないという事態を回避することができ、VVT100i,100eのバルブタイミング制御の制御性を高めることができる。
なお、この例では、サブルーチン(X)のステップST41の油温判定値を120℃としているが、これに限定されることなく、目標変位角evttでの実変位角evtふらつき等を考慮して他の適当な値を設定するようにしてもよい。
−別の実施形態−
以上の例では、VVT100i,100eに供給する作動油の油温が高温(120℃以上)になったときに、保持デューティの更新を禁止しているが、本発明はこれに限られることなく、作動油の油温が高温(120℃以上)になったときに、PD制御(フィードバック制御)の制御定数であるP制御量dvtp、D制御量dvtdを小さくする側に変更するようにしてもよい。その具体的な例を図7を参照しながら説明する。
まず、この例においても、VVT100i,100eの保持デューティ学習制御は、基本的に図5のフローチャートと同様な処理にて実行される。ただし、ステップST3及びステップST8で実行するサブルーチン(X)に替えて、その各ステップST3,ST8において「保持デューティの更新(保持デューティ学習値egdvth=保持デューティ学習値(演算用)t_gdvth)」という処理を行う点、及び、ステップST11の処理「P制御量・D制御量算出」を、図7に示す処理にて実行する点が相違する。
図7のP制御量・D制御量算出処理について説明する。
まず、この例のP制御量・D制御量算出処理では、P制御量dvtp及びD制御量dvtdの算出に、通常3次元マップまたは高油温用3次元マップのいずれか一方のマップを選択的に用いる点に特徴がある。
P制御量dvtp算出用の通常3次元マップは、クランクポジションセンサ37の検出信号から得られるエンジン回転数、油温センサ41の検出信号から得られる作動油の油温、及び、evter[evter=evtt−evt]をパラメータとして予め実験・計算等により経験的に取得した値をマップ化したものである。また、D制御量dvtd算出用の通常3次元マップは、同様にエンジン回転数、作動油の油温、及び、edlvter(evterの低減速度)をパラメータとして予め実験・計算等により経験的に取得した値をマップ化したものである。なお、各通常3次元マップは、図5に示す保持デューティ学習制御で使用するマップと同じものである。
一方、P制御量dvtp及びD制御量dvtd算出用の高油温用3次元マップは、VVT100i,100eに供給する作動油の油温が高温(120℃以上)になったときに使用するマップである。高油温用3次元マップは、高油温時で油圧が低いときに発生する実変位角evtのふらつき(図8参照)を考慮して、保持デューティ値を誤学習しないようなP制御量dvtp及びD制御量dvtdを、予め実験・計算等により経験的に取得してマップ化したものであり、上記した通常3次元マップに対してP制御量dvtp及びD制御量dvtdの各制御定数が小さくなるように設定されている。なお、この高油温用マップについてもECU300のROM302内に記憶しておく。
そして、この例では、図7に示すように、ステップST51において、油温センサ41の検出信号から得られる作動油の油温が120℃未満であるか否かを判定する。その判定結果が肯定判定である場合(油温<120℃)は、通常3次元マップを選択し(ステップST52)、その選択した通常3次元マップを用いてP制御量dvtp及びD制御量dvtdを算出する(ステップST54)。
P制御量dvtpの算出は、クランクポジションセンサ37の検出信号から得られるエンジン回転数、油温センサ41の検出信号から得られる作動油の油温、及び、evter[evter=evtt−evt]に基づいて通常3次元マップを参照して算出する。また、D制御量dvtdの算出は、同様にエンジン回転数、作動油の油温、及び、edlvter(evterの低減速度)に基づいて通常3次元マップを参照して算出する。そして、このような処理により得られたP制御量dvtp及びD制御量dvtdと、保持デューティ学習値egdvthとを用いて出力デューティedvtを、上記した計算式(1)にて算出する。
一方、ステップST51が否定判定である場合(油温が120℃以上)には、高油温用3次元マップを選択し(ステップST53)、その選択した高油温用3次元マップを用いてP制御量dvtp及びD制御量dvtdを上記と同じ処理にて算出して出力デューティedvtを算出する(ステップST54)。
この例のように、VVT100i,100eに供給する作動油の油温が高温(120℃以上)であるときには、PD制御の制御定数(P制御量dvtp、D制御量dvtd)を小さい側に変更することにより、目標変位角evtt付近での実変位角evtのふらつきの影響(図8参照)が、出力デューティedvtに反映されなくなるので、保持デューティ学習値egdvthの誤学習を防止することが可能になる。これによって実変位角evtが目標変位角evttに収束しないという事態を回避することができ、VVT100i,100eのバルブタイミング制御の制御性を高めることができる。
ここで、PD制御等のフィードバック制御の制御定数を小さくすると、フィードバック制御の応答性が悪くなるが、保持デューティ学習値egdvthの誤学習を防止することの方が重要である点を考慮すると、制御定数を小さくする対策を選択した方が有利ある。また、フィードバック制御の応答性が悪くなるのは、作動油の油温が高温になるというような特殊な場合にのみであり、特に問題が生じることはない。
なお、この例においても、ステップST51の油温判定値を120℃としているが、これに限定されることなく、目標変位角evttでの実変位角evtふらつき等を考慮して他の適当な値を設定するようにしてもよい。
−他の実施形態−
以上の例では、VVT100i,100eに供給する作動油の油温を油温センサ41にて検出し、その検出した油温を保持デューティ学習制御に用いているが、これに替えて、定常時のエンジン1の回転数、負荷及び冷却水温に基づいて、定常時の作動油の油温を3次元マップを参照して推定し、その推定油温もしくは推定温度のなまし値を保持デューティ学習制御に用いるようにしてもよい。
以上の例では、吸気カムシャフトと排気カムシャフトの双方にVVTを設けた例を示しているが、これに限られることなく、吸気カムシャフトまたは排気カムシャフトのいずれか一方にVVTを設けたエンジンにも適用することができる。
以上の例では、ベーン式VVTを搭載したエンジンのバルブタイミング制御について説明したが、これに替えて、例えばヘリカルスプライン式VVT等の他の方式のVVTを搭載したエンジンのバルブタイミング制御にも本発明を適用することができる。
以上の例では、筒内直噴型ガソリンエンジンに搭載してVVTの制御に本発明を適用した例を示したが、これに限られることなく、ポート噴射型ガソリンエンジンに搭載するVVTの制御にも適用可能である。また、直列多気筒ガソリンエンジンのほか、V型多気筒ガソリンエンジンのVVTの制御にも本発明を適用することができる。さらに、ガソリンエンジンに限られることなく、ディーゼルエンジンに搭載するVVTの制御にも本発明を適用することができる。
本発明を適用したエンジンの一例を示す概略構成図である。 図1のエンジンに搭載するVVTの縦断面図及び油圧制御系の概略構成図を併記して示す図である。 図2のVVTのA−A断面図である。 ECU等の制御系の構成を示すブロック図である。 ECUが実行する保持デューティ学習制御の一例を示すフローチャートである。 保持デューティ学習制御のサブルーチンのフローチャートである。 フィードバック制御のP制御量及びD制御量を算出する処理の他の例を示すフローチャートである。 実変位角evt、目標変位角evtt、出力デューティedvt及び保持デューティ学習値egdvthを示すグラフである。
符号の説明
1 エンジン
13 吸気バルブ
14 排気バルブ
15 クランクシャフト
18 オイルパン
19 オイルポンプ
21 吸気カムシャフト
22 排気カムシャフト
41 油温センサ
100i,100e 可変バルブタイミング機構(VVT)
110 遅角側油圧室
111 進角側油圧室
119 遅角側通路
120 進角側通路
121 オイル供給通路
122 オイル排出通路
123 オイル排出通路
200i,200e オイルコントロールバルブ(OCV)
300 ECU

Claims (4)

  1. 内燃機関の機関バルブのバルブタイミングを可変とする油圧式の可変バルブタイミング機構と、前記可変バルブタイミング機構の実変位角が目標変位角に一致するように当該可変バルブタイミング機構の駆動部をフィードバック制御するとともに、前記目標変位角と実変位角との偏差が所定範囲内にあるときに、そのときのバルブタイミングを保持するための保持制御値を学習する制御手段とを備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記制御手段は、前記可変バルブタイミング機構を駆動する作動油の油温が所定値以上であるか否かを判定し、作動油の油温が所定値以上であるときには、前記保持制御値の学習を禁止することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 内燃機関の機関バルブのバルブタイミングを可変とする油圧式の可変バルブタイミング機構と、前記可変バルブタイミング機構の実変位角が目標変位角に一致するように当該可変バルブタイミング機構の駆動部をフィードバック制御するとともに、前記目標変位角と実変位角との偏差が所定範囲内にあるときに、そのときのバルブタイミングを保持するための保持制御値を学習する制御手段とを備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記制御手段は、前記可変バルブタイミング機構を駆動する作動油の油温が所定値以上であるか否かを判定し、作動油の油温が所定値以上であるときには、前記フィードバック制御の制御定数を小さくする側に変更することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 請求項1または2記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記作動油の油温を検出する油温センサを備え、前記制御手段は、前記油温センサにて検出された作動油の油温が所定値以上であるか否かを判定することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 請求項1または2記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記制御手段は、前記内燃機関の回転数、負荷及び機関水温に基づいて前記作動油の油温を推定し、その推定した作動油の油温が所定値以上であるか否かを判定することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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