JP2007215844A - 歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金 - Google Patents

歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金 Download PDF

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Abstract

【課題】口腔内における耐蝕性に優れ、かつ、低融点を有し、石膏系埋没材を使用しての金属フレーム鋳造を可能とすることにより、鋳造体の細部再現性や表面粗さに優れ、鋳造材を鋳型より取出す際の作業が容易であると共に、強度および陶材との焼付性に優れる歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金を提供する。
【解決手段】貴金属合金にSnを添加せずに、Gaの増量により合金の融点を下げ、かつ、Pdの増量により適正な熱膨張率を確保した。これにより、歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金として、石膏系埋没材が使用でき、耐力、硬さを損なうことなく、陶材との接着性を保った合金を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、歯冠修復用陶材の強さ補強を目的に、陶材焼付用鋳造フレームとして使用されている歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金に関するものである。特に、本発明は、鋳造時に石膏系埋没材を使用することができる、低融点の歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金に関する。
歯冠修復用陶材の強さ補強を目的に、陶材焼付用鋳造フレームとして使用されている歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金は1970年頃に実用化され始めたものである。
旧来、歯冠の修復に当たっては、貴金属合金からなる鋳造冠が使用されていたものの、陶材の使用方法が開発されるにつれて、生体への適合性、化学的な安定性、高度な耐磨耗性等に加え、特に審美性の面から、自然歯の色調に近い陶材を用いた歯冠の修復が患者から好まれるようになり、陶材を使用した修復処置が多く行われるようになった。
しかしながら、歯冠修復用陶材の基本的組成は長石系を主とするものであり、一般的には、SiOが50〜70質量%、Alが5〜20質量%、CaOが0〜3質量%、NaOが1〜20質量%、KOが8〜20質量%からなる組成であるため、上記の優位性を備える反面、引張強さ、曲げ強さ、耐衝撃性の面においては弱点を持ち合わせている。
これらの弱点を補い、患者の要求を満足させる手段として、予め鋳造にて金属フレームを作製し、その表面に陶材を焼付け、陶材焼付クラウンブリッジにて歯冠を修復する技術が開発され、実用化されている。この場合に使用される金属フレーム製作用の合金として、すでに、各種の組成を持つ金属材料が報告されている。
陶材焼付用合金に必要とされる材料特性として、
1.陶材の焼成時に金属フレームの形状が保たれるように、金属材料の固相点が陶材の焼成温度以上であること;
2.修復した歯冠が長期に亘り使用可能なように、陶材との焼付性が良好なこと;
3.陶材を焼成する場合に、金属フレームが変形することがないように、高温強度が高いこと;
4.陶材を焼成する場合に、陶材を着色してしまうような成分が少ないこと;
5.金属フレームが肉薄で使用した場合でも、変形してしまうおそれがないように、金属材料の弾性係数、弾性限度が大きいこと;および
6.修復歯冠を長期に亘って使用した場合の陶材との焼付性を高めるために、金属材料の熱膨張係数が陶材の熱膨張係数よりも0.5〜2.0×10−6-1高いこと等が挙げられる。
現在、陶材焼付用の貴金属材料として、例えば、Auが39.0質量%、Ptが1.0質量%、Pdが35.0質量%、Agが19.4質量%、Snが5.0質量%の合金や、Auが88.0質量%、Ptが4.5質量%、Pdが6.0質量%、Agが0.5質量%の合金が使用されている。
しかしながら、これらの合金は、液相点が、それぞれ、1250℃、1170℃と高く、陶材を築盛するための金属フレームを鋳造する場合の埋没材として、安価な石膏系では鋳造体の表面が埋没材と反応し易くなり、鋳造体表面の鋳肌荒れを生じ易くなり、高価なリン酸塩系の埋没材しか使用できない。しかし、リン酸塩系の埋没材は硬いため、鋳造体を掘り出す作業も困難である。
また、液相点の高い合金を用いて、鋳造にて金属フレームを成形するには、合金の鋳造温度を液相点より100〜150℃高い温度で行う必要があることから、合金の溶解作業には、酸素・都市ガス混合炎溶解、若しくは、高周波誘導加熱溶解等が欠かせず、その操業に際しては、高温操作に加えて、取扱いガスや高圧電源の管理にも配慮を必要としている。
一方、石膏系埋没材の使用が可能であれば、金属フレームの鋳造作業に要する時間を大幅に低減し得るばかりか、埋没材に鋳込んだ鋳造体の掘り出し作業も容易となる。さらに、鋳造製品の表面粗さが極めて細かく、細部の再現性にも優れる金属フレームが容易に得られることになる。
したがって、金属フレームの仕上げ性および鋳造の経済性の観点から、石膏系埋没材の使用を可能とする、低温で鋳造可能な合金が求められる。
また、歯冠修復用陶材自体としても、従来の陶材に比べて、焼成温度が低いタイプの陶材が販売されるようになってきている。それにともない、陶材焼付用の金属フレームを形成するために使用される合金も低融点であることが求められる。
かくして、熱源としてエアー・都市ガス混合炎を使用し得て、しかも、石膏系埋没材を用いた鋳造作業を可能とする低融点合金の開発が急務となっている。
低温で鋳造可能な合金として、例えば、Auが12.0質量%、Pdが20.0質量%、Agが40〜49質量%、Cuが20質量%、Inが17〜20質量%、Znが0〜4質量%の合金が挙げられる。この合金は、固相点が912℃と低いため、所望のように、石膏系の埋没材を使用しての金属フレーム鋳造を可能とするものの、ビッカース硬さが195HVと低く、口腔内における耐蝕性も低めであり、より好ましい組成の合金開発が望まれている。
特開平11−1738号(特許文献1)には、SnおよびGa、またはSn、GaおよびInを合わせて貴金属合金に添加することによって、歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金の耐力、硬度を損なうことなく、むしろ向上させながら、合金の融点を低減し、歯科用金属フレームの鋳造品製造に当たり、石膏系埋没材の使用を可能とする技術が開示されている。
この合金を用いた場合、陶材の焼成処理時に、合金の表面に黒色の酸化膜が生成した。この黒色の酸化膜は、Snが含まれるためと考えられる。
一般的に、陶材焼付用合金において、特に陶材の築盛後の熱処理時に黒色酸化膜が生成することは、審美性の観点から好ましくなく、酸化膜を除去する技工作業を必要とする。
特開平11−1738号
本発明は、上記の難点を解消して、口腔内における耐蝕性に優れ、かつ、低融点を有し、石膏系埋没材を使用しての金属フレーム鋳造を可能とすることにより、鋳造体の細部再現性や表面粗さに優れ、鋳造材を鋳型より取出す際の作業が容易であると共に、強度および陶材との焼付性に優れる歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者等は、種々の実験を重ねた結果、貴金属合金にSnを添加せずに、Gaの増量により合金の融点を下げ、かつ、Pdの増量により適正な熱膨張率を確保した。これにより、歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金として、石膏系埋没材が使用でき、耐力、硬さを損なうことなく、陶材との接着性を保った合金を提供することに成功した。
すなわち、本発明は、Gaを含有し、かつ、Snを含有しないAu−Pd−Cu−Ir−Ag系の歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金を提供する。特に、その融点、より詳しくは液相点が1100℃以下であることを特徴とする。
より具体的には、本発明の歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金は、Au18〜29質量%と、Pd35〜41質量%と、Cu13〜17質量%と、Ir0.01〜0.1質量%と、Ga2〜9質量%と、Ag14〜24質量%よりなることを特徴とする。
本発明の合金は、上記の組成を有するため、陶材との焼付性に優れ、強度および耐蝕性に富み、さらに、埋没材として、石膏系の埋没材を使用することが可能であり、低温鋳込みによる金属フレーム表面の潤沢性も持ち合わせた歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金を提供し得る。
また、本発明の貴金属合金はSnを含まないため、陶材の焼成処理時に、合金の表面に黒色の酸化皮膜が生成しない。
この合金を使用することにより、生体への適合性、化学的な安定性、高度な耐磨耗性等に加え、特に審美性の面にも優れ、かつ、陶材を用いて行う自然歯の色調に近い歯冠修復が、迅速、かつ、精密に、しかも容易に処理し得る。
本発明の実施態様は、Au−Pd−Cu−Ir−Ag系合金にGaを添加した合金である。また、本発明の合金はSnを含まないことを特徴とする。
この場合、Auは生体への適合性に富み、耐蝕性に優れる合金を得るために用いるのであり、Pdは合金の熱膨張係数を低くし、強度を増大するために用いるのであり、Cuは合金の強度を高めるために用いるのであり、Irは結晶粒を微細化して、合金の強度と伸びを同時に大きくするために用いるのであり、Agはコスト低減のために用いるのであり、Gaは合金の融点を低下させるためと、陶材と合金の焼付性を高めるために用いる。
しかしながら、Auは、多量に添加すると価格面で高額になり、また、強度の面からも比較的低い強度しか得られないため、29質量%を上限とする。
Pdは、多量に添加すると、融点を上昇させて石膏系埋没材の使用を不可能にするが、少量であると、当該合金の熱膨張係数が高くなり、結果、併せて使用する陶材にも高い熱膨張係数が必要となることから、35質量%をその下限とし、41質量%をその上限とする。
Cuは、多量に添加すると耐蝕性に問題を生じ易いことから17質量%をその上限とし、少量の添加では溶融温度が高くなることから13質量%を下限とする。
Irは、多量に添加しても、その効果が直ぐに飽和してくることから、0.1質量%を上限とする。
また、Gaは、融点を低下させる効果を考慮し、少量であると石膏系埋没材の使用が不可能となるため2質量%を下限とし、また、多量に添加すると合金の強度を低くし、脆くすることから、9質量%を上限とする。
また、Agは、合金全体の組成が100質量%となるよう、上記した他成分の残余部を占める。
すなわち、本発明の歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金は、Au18〜29質量%と、Pd35〜41質量%と、Cu13〜17質量%と、Ir0.01〜0.1質量%と、Ga2〜9質量%と、Ag14〜24質量%よりなることを特徴とする。
この組成により、低融点を有し、石膏系埋没材を使用しての金属フレーム鋳造を可能とし、強度および陶材との焼付性、耐蝕性に優れる歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金の提供が可能となった。
1.特性評価
表1に示す組成に基づき、実施例1〜11および比較例1〜7の合金を製造した。さらに、従来例1および2として、従来組成の合金も製造した。
各種合金の原料成分を混合し、高周波誘導加熱炉を用いて、アルゴン雰囲気下の石英管内で溶解し、そのまま冷却凝固させて、各々、総量371gの鋳塊を得た。
上記の鋳塊より所定量切りだし、エアー・都市ガス混合炎を用いて溶解し、石膏系埋没材を用いて用意した鋳型に遠心鋳造することにより、各種合金の溶融温度、熱膨張係数、耐力、伸び、および硬さを測定するための各種の試験片を作製し、各試験を行った。併せて、陶材と金属の焼付性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
[固相点および液相点]
合金の融点として、より正確には、合金の固相点および液相点を示差熱分析法により得られた加熱曲線を用いて測定した。
液相点が1100℃以下であれば、石膏系埋没材にて鋳造可能な合金であると評価する。
[熱膨張係数]
直径6mm、長さ20mmの試験片を用い、熱機械分析装置にて熱膨張係数の測定を行った。50℃から500℃の間の熱膨張係数を求めた。
陶材と金属との熱膨張係数の差が大きい場合は、陶材が破折してしまい、有効な焼付ができないが、金属の熱膨張係数が陶材の熱膨張係数よりも高い値であれば常に陶材側に圧縮応力が加わった状態であり、高い焼付強度が得られる。今回用いた低溶陶材の熱膨張係数が14.4×10-6-1であることを考慮して、合金の熱膨張係数が14.9×10-6-1以上16.4×10-6-1未満であれば、陶材と金属の焼付性を優れた状態に保つ合金であると評価する。
[耐力および伸び]
さらに、直径3.0mm、標点間距離15mm、つかみ部のねじ山付き鋳造材試験片を用いて、引張試験を行い、描かれた応力−歪み曲線より、0.2%オフセット耐力を求めた。同時に、引張試験で伸びを測定した。
JIS T 6118の「歯科メタルセラミック修復用貴金属材料」に規定された最小耐力値250MPaおよび引張り破断後の最小伸び値2%以上であれば、強度が高い合金であると評価する。
[陶材との焼付性]
また、陶材と金属の焼付性試験は、以下のようにして測定した。
上記の鋳塊から40gを切りだし、エアー・都市ガス混合炎を用いて溶解し、石膏系埋没材を用いて用意した鋳型に、遠心鋳造法により流し込んで、長さ20mm、幅5mm、厚さ0.4mmの焼付性金属試験片を用意した。この焼付性金属試験片に対して、後に詳述する陶材の築盛方法に準じて、陶材焼付面の清浄化処理を施した後、オペーク陶材を0.3mmの厚さで築盛し焼成した後、ボディ陶材、エナメル陶材を重ね焼成を行い、陶材部の合計厚さを1.0mmに調整した。
この焼付性試験片の陶材を築盛した面と反対の面、すなわち、焼付性金属試験片の露出している面の長手方向の中央部に対しφ10mmの鉄棒を横にしてあてがい、鉄棒の外周面に沿わせた形で、焼付性試験片を曲げた。この場合、曲げ加工は、焼付性試験片の両端が90度を示した位置で停止させた。一度、両端が90度を示す位置まで曲げられた焼付性試験片は、加圧治具により元の位置まで曲げ戻して、平坦な状態に整えた。ここで、元の平坦な状態に整えられた焼付性試験片の陶材築盛面を観察し、表面に築盛された陶材の剥離状態を類別することにより、陶材と金属試験片との焼付性を調べた。
剥離の際に金属試料側にオペーク陶材が残存すれば、焼付性が良好な合金であると評価する。
陶材を焼付ける際にはポーセレンファーネスを使用し、熱膨張係数14.4×10-6-1の陶材を用いて、次の5工程よりなる酸化膜の調整と陶材の焼成を行い、陶材と金属の焼付性試験片を作製した。
(1) 所定形状である20mm×5mm×0.4mmの寸法に成形した焼付性試験片の表面を600番の耐水研磨紙で研磨を行った後清浄化処理し、ポーセレンファーネスにて450℃から800℃まで、真空中にて、毎分55℃の昇温速度にて加熱し、引き続き、800℃にて10分間保持した後、大気中にて放冷し酸化膜の生成処理を行った。その後、焼付性試験片の表面を2〜3kg/cmの弱圧でアルミナブラストを行い、蒸留水で超音波洗浄を行った。
(2) 工程(1)の処理を終えた焼付性試験用基板の上に、オペーク陶材を、その築盛厚さが0.3mmとなるように塗布し、真空中、450℃にて8分間の予備乾燥後、真空中にて、790℃まで毎分50℃の昇温速度にて焼成し、大気中にて放冷した。
(3) 工程(2)の処理を終えた焼付性試験片の上に、ボディ陶材を築盛厚さが0.6mmとなるように築盛し、450℃にて5分間の予備乾燥後、真空中にて、760℃まで毎分35℃の昇温速度にて焼成し、780℃にて30秒間保持した後、大気中にて放冷した。
(4) 工程(3)の処理を終えた焼付性試験片の上に、エナメル陶材を、その築盛厚さが0.1mmとなるように築盛し、450℃にて5分間の予備乾燥後、真空中にて、750℃まで毎分35℃の昇温速度にて焼成し、大気中にて放冷した。
(5) 工程(4)の処理を終えた焼付性試験片を研削による厚さ調整を行い、蒸留水での超音波洗浄を行った。その試験片を450℃にて5分間の予備乾燥後、大気中にて、750℃まで毎分50℃の昇温速度にて焼成し、大気中にて放冷した。
[表面硬度]
また、10mm×10mm×1mmの硬さ試験片について、上記の焼付性試験片の場合と同様の熱履歴(陶材の被覆は行うことなしに)を与えた後、その表面の硬さをマイクロビッカース硬さ試験機にて測定した。
表面硬度が250HV以上であれば、耐摩耗性を有する合金であると評価する。
[外観]
また、本発明合金をエアー・都市ガス混合炎にて溶解し、石膏系埋没材を用いて作製した歯冠を形取った石膏型に鋳込んで、得られた合金の鋳造面性状および適合性を確認した。
特に表面に生成した酸化被膜の色調を観察し、黒色であれば不良とする。
Figure 2007215844
Figure 2007215844
比較例1〜4の合金は、Ga無添加系のものである。PdおよびCuの組成を変化させても、液相点が1100℃を下回ることがなく、石膏系埋没材に使用することは不可能であった。
実施例1〜6、比較例5および6の合金は、Au23.6質量%、Ir0.02質量%、Ga5.7質量%に固定し、PdおよびCuの組成を変化させたものである。
実施例1〜6の合金は、液相点が1100℃以下であり石膏系埋没材の使用が可能であった。また、熱膨張係数も14.9×10−6−1以上16.4×10−6−1未満の範囲にあり、陶材との焼付性が良好であり、硬度、耐力および伸びについても目標値を満足するものであった。さらに、酸化膜の色調も灰色であり、審美性の観点からも好ましい結果であった。
一方、比較例5および6の合金は、伸びが規格外となり、歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金として適さないことが分かった。
次に、実施例7〜10の合金は、実施例3を基準として、Pd37.7質量%、Cu14.1%、Ir0.02質量%に固定し、AuおよびGaの組成を変化させたものである。また、実施例11の合金は、実施例3を基準として、Irを0.09質量%に増量したものである。
実施例7〜11の合金は、液相点が1100℃以下であり石膏系埋没材の使用が可能であった。また、熱膨張係数も14.9×10−6−1以上16.4×10−6−1未満の範囲にあり、陶材との焼付性が良好であり、硬度、耐力および伸びについても目標値を満足するものであった。さらに、酸化膜の色調も灰色であり、審美性の観点からも好ましい結果であった。
比較例7の合金は、Snを含有する合金として、特許文献1の実施例7の組成に基づき製造したものである。
この合金は、黒色の酸化膜を生成し、審美性の観点から好ましくない。
これらの結果から、Snを含有しないことにより、審美性の観点から好ましい合金が得られることが確認された。
また、Au18〜29質量%、Pd35〜41質量%、Cu13〜17質量%、Ir0.01〜0.1質量%、Ga2〜9質量%およびAg14〜24質量%を含有することにより、陶材との焼付性が良好であり、硬度、耐力および伸びについても目標値を満足する合金が得られることが分かった。
特に、Gaの含有量が2質量%以上であるため、融点が低く、石膏系埋没材を使用することが可能であり、さらに、Pdが35質量%以上添加されていることによって、適度な熱膨張率を有する合金が得られた。
本発明合金は、歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金として、陶材との焼付性が極めて良好であり、強度に優れ、かつ、低融点で石膏系埋没材の使用も可能にする、優れた機能を合わせ備えた合金を提供し得る。

Claims (3)

  1. Gaを含有し、かつ、Snを含有しないAu−Pd−Cu−Ir−Ag系の歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金。
  2. 液相点が1100℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金。
  3. Au18〜29質量%と、Pd35〜41質量%と、Cu13〜17質量%と、Ir0.01〜0.1質量%と、Ga2〜9質量%と、Ag14〜24質量%よりなることを特徴とする請求項1または2に記載の歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011516734A (ja) * 2008-04-09 2011-05-26 バイオピーエム、アクティエボラーグ 貴金属合金物体の製造方法

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