JP3916098B2 - 歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金 - Google Patents

歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯冠修復用陶材の強さ補強を目的に、陶材焼付け人工歯の下地鋳造材として利用されている歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯冠修復用陶材の強さ補強を目的に、陶材焼付け人工歯の下地鋳造材として利用されている歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金は1970年頃に実用化され始めたものである。
【0003】
旧来、歯冠の修復に当たっては、貴金属合金の鋳造材が利用されていたものの、陶材の利用方法が開発されるにつれて、生体への適合性、化学的な安定性、高度な耐磨耗性等に加え、特に審美性の面から、自然体に近い陶材を用いた歯冠の修復が患者から好まれるようになり、陶材を利用した修復処置が多く行われるようになった。
【0004】
しかしながら、歯冠修復用陶材は、その基本的組成を長石系とするものであり、市販品の主成分をみると、重量%にて、長石が80〜90%、石英が10〜15%、カオリンが0〜5%となっている。従って、歯冠修復用陶材は、上記の優位性を備える反面、引張り強さ、曲げ強さ、耐衝撃性の面においては弱点を持ち合わせていると言える。
【0005】
これらの弱点を補い、患者の要求を満足させる手段として、予め製作された金属フレーム上に陶材をベニヤ状に焼付けて歯冠を修復する技術が開発され、実用化されている。この場合に利用される金属フレーム製作用の合金としても、既に、各種の組成を持つ金属材料が報告されている。
【0006】
ここにおいて、陶材焼付け用合金に必要とされる材料特性を纏めてみると、以下のようになる。すなわち、1.陶材の焼成時に形状が保たれるように、金属材料の固相点が陶材の焼成温度以上であること。2.補修した歯冠が長期に亘り使用可能なように、陶材との結合性に富むこと。3.陶材を焼成する場合に、陶材を変形させるようなことがないように、高温強度が高いこと。4.陶材を焼成する場合に、陶材を着色してしまうような成分が少ないこと。5.金属材料の提供量を可能な限り下げて、肉薄で使用した場合でも、変形してしまう恐れがないように、弾性係数、弾性限度が大きいこと。6.修復歯冠を長期に亘って使用した場合の陶材との焼付き性を高めるために、金属材料の熱膨脹係数が陶材と同程度であること等が挙げられる。
【0007】
現在、陶材焼付け用の貴金属材料として、重量%で表示して、例えば、Auが39.0%、Ptが1.0%、Pdが35.0%、Agが19.4%、Snが5.0%の合金や、Auが88.0%、Ptが4.5%、Pdが6.0%、Agが0.5%の合金が利用されている。
【0008】
しかしながら、これらの合金は、液相点が、それぞれ、1250℃、1170℃と高く、陶材をベニヤ状に焼付けるための金属フレームを鋳造する場合の埋没材として、取扱いが比較的難しいリン酸塩系の埋没材しか利用できない。また、液相点の高い合金を用いて、鋳造作業により金属フレームを成形するには、合金の鋳込み作業を液相点より100〜150℃高い温度で行う必要があることから、原料の溶解作業には、都市ガス−酸素炎、若しくは、高周波誘導加熱炉等の利用が欠かせず、その操業に際しては、高温操作に加えて、取扱いガスや高圧電源の管理にも配慮を必要としている。
【0009】
また、高温で鋳造した場合、鋳造品の表面と埋没材とが反応し易くなり、これにより、鋳造品表面の変形や肌荒れを生じ易くなる。
【0010】
さらに、低温で鋳造可能な合金として、重量%で表示して、例えば、Auが12.0%、Pdが20.0%、Agが40〜49%、Cuが20%、Inが17〜20%、Znが0〜4%の合金が挙げられる。しかしながら、この合金は、固相点が912℃と低く、所望のように、石膏系の埋没材を利用しての金属フレーム鋳造を可能とするものの、硬度はビッカース硬度にて、195と低く、口腔内における耐蝕性も低めであり、より好ましい組成の合金開発が望まれている。
【0011】
一方、歯冠修復用陶材自体としても、従来の陶材に比べて、焼成温度が低くて済む陶材が販売されるようになって来ている。従って、陶材焼付け用の金属フレームを形成するために利用される合金も、熱源として都市ガス・大気炎を使用し得て、しかも、石膏系埋没材を用いた鋳造作業を可能とする低融点合金の開発が急務となっている。
【0012】
石膏系埋没材の利用が可能であれば、金属フレームの鋳造作業に要する時間を大幅に低減し得るばかりか、埋没材に鋳込んだ鋳造品の離型作業も容易となる。一方、鋳造製品の表面粗さが極めて細かく、細部に亘っての再現性に優れる金属フレームも容易に入手し得ることになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の難点を解消して、口腔内における耐蝕性に優れ、かつ、石膏系埋没材を利用しての金属フレーム鋳造を可能とすることにより、鋳造体の細部再現性や表面粗さに優れ、鋳造材を鋳型より取出す際の作業が容易であると共に、低融点を有し、強度及び陶材との焼付き性に優れる歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明者等は、種々の実験を重ねた結果、貴金属合金にSnとGa、又は、Sn+Ga+Inを合わせて添加することにより、歯科鋳造用陶材焼付け貴金属合金の耐力、硬度を損なう事なく、むしろ向上させながら、合金の融点を低減し、歯科用金属フレームの鋳造品製作に当たり、石膏系埋没材の利用を可能とし得ることを見出だした。これを基に、以下に述べるような合金組成をもって、課題を解決し得ることを見出だし、本発明を提供するに至った。
【0015】
すなわち、本発明の歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金は、第一の実施態様として、Au19〜20重量%と、Pd19〜30重量%と、Cu9〜20重量%と、Ir0.02〜0.03重量%と、Sn0.4〜4.5重量%と、Ga0.5〜4.5重量%と、Ag33〜48重量%と、不可避的不純物とよりなり、Sn+Gaの含有量が2〜5重量であることを特徴とする。
【0016】
本発明は、第二の実施態様として、Au18〜30重量%と、Pd23〜29重量%と、Cu11〜20重量%と、Ir0.01〜0.04重量%と、Sn0.5〜5.0重量%と、Ga0.5〜6.0重量%と、In0.5〜5.0重量%と、Ag23〜41%重量と、不可避的不純物とよりなり、Sn+Ga+Inの含有量が1.5〜7.5重量%であることを特徴とする。
【0017】
本発明は、第三の実施態様として、Au18〜20重量%と、Pd23〜29重量%と、Cu11〜18重量%と、Ir0.02〜0.03重量%と、Sn0.5〜3.0重量%と、Ga0.5〜3.0重量%と、In0.5〜3.0重量%と、Ag34〜41%重量と、不可避的不純物とよりなり、Sn+Ga+Inの含有量が1.5〜6.5重量%であることを特徴とする。
【0018】
本発明は、第四の実施態様として、Au27〜30重量%と、Pd18〜29重量%と、Cu14〜20重量%と、Ir0.01〜0.04重量%と、Sn0.5〜5.0重量%と、Ga0.5〜6.0重量%と、In0.5〜5.0重量%と、Ag23〜25%重量と、不可避的不純物とよりなり、Sn+Ga+Inの含有量が1.5〜7.5重量%であることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の第一のAu−Pd−Cu−Ir−Ag系合金に、SnとGaとを合わせ添加した合金であり、第二の実施態様はAu−Pd−Cu−Ir−Ag系合金に、SnとGaとInとを合わせ添加した合金である。また、第三の実施態様は、Auの含有量が18〜20重量%であるAu−Pd−Cu−Ir−Ag系合金に、SnとGaとInとを合わせ添加した合金であり、第四の実施態様は、Auの含有量が27〜30重量%であるAu−Pd−Cu−Ir−Ag系合金に、SnとGaとInとを合わせ添加した合金である。
【0020】
この場合、Auは生体への適合性に富み、耐蝕性に優れる合金を得るために用いるのであり、Pdは合金の熱膨脹係数を小さくし、強度を増大するために用いるのであり、Cuは合金の強度を高めるために用いるのであり、Irは結晶粒を微細化して、合金の強度と伸びを同時に大きくするために用いるのであり、Agはコスト低減のために用いるのであり、SnとGa、又はSnとGaとInは合金の液相点を低減するためと、陶材と合金の焼付き性を高めるために用いる。
【0021】
しかしながら、Auは、多量に添加すると価格面で高額になり、また、強度の面からも比較的低い強度しか得られぬため、第一、第三の実施態様では20重量%を、また、第二、第四の実施態様では30重量%を、それぞれに上限とする。Pdは、多量に添加すると、液相点を上昇させて石膏系埋没材の利用を不可能にしたり、当該合金の熱膨張係数を陶材より低くして、陶材の焼付き性を低める傾向があることから、第一の実施態様では30重量%を、また、第二、第三、第四の実施態様にては何れの場合も29重量%を、その上限とする。Cuは、多量に添加すると耐蝕性に問題を生じ易いことから、第三実施態様では18重量%を、また、第一、第二、第四の実施態様では、何れも20重量%をその上限とする。Irは、多量に添加しても、その効果が直ぐに飽和してくることから、第一、第三の実施態様では、0.03重量%を上限とし、第二、第四の実施態様では、0.04重量%を上限とする。また、Sn+Ga、又は、Sn+Ga+Inは、多量に添加すると、合金の強度を低くし、また、脆くすることから、第一の実施態様にては、Sn+Gaの5重量%を、第三の実施態様にては、Sn+Ga+Inの6.5重量%を、第二、第四の実施態様にては、Sn+Ga+Inの7.5重量%を、それぞれ上限とする。
【0022】
【実施例】
本発明の実施例について、以下にデータを添えて詳細に記述する。
【0023】
[実施例1]
Au19.61重量%と、Pd19.61重量%と、Cu9.5重量%と、Ir0.02重量%と、Sn4.3重量%と、Ga0.5重量%と、Ag47.48重量%とを含有する合金を、高周波誘導加熱炉を用いて、アルゴン雰囲気下の石英管内で溶解し、そのまま冷却凝固させて鋳塊を得た。
【0024】
上記の鋳塊より所定量切りだし、都市ガス・空気炎を用いて溶解し、ジーシー社製の「クリストパライトミクロ」を用いて用意した鋳型に鋳造することにより、各種の試験片を得た。この場合、上記のジーシー社製の「クリストパライトミクロ」は石膏系埋没材である。また、上記各種の試験片とは、ISO−9693の「Dental ceramic fused to metal restorative materials」に規定された各種の試験を行うために必要な各種の試験片である。また、上記の試験片について、それぞれ、上記の規格に規定された測定方法にて、陶材−合金間の焼付き性にあわせ、各種合金の溶融温度、熱膨張係数、耐力、伸び、及び硬度を測定した。
【0025】
陶材−合金間の焼付き性試験は、以下のようにして測定した。すなわち、原料を、アルゴン雰囲気中に置かれた高周波誘導加熱炉を用いて溶解し、総量315gの鋳塊を溶製した。その中、40gの合金を鋳塊より切りだし、都市ガス・空気炎を用いて溶解し、石膏系埋没材であるジーシー社製の「クリストパライトミクロ」を用いて用意した鋳型に、遠心鋳造法により流し込んで、長さ20mm、幅5mm、厚さ0.4mmの焼付き性試験用基板を用意した。この焼付き性試験用基板に対して、後に詳述する陶材の築盛方法に準じて、表面に清浄化処理を施した後、オペーク質セラミックを0.3mmの厚さで築盛し、その後、デンチン質セラミック、エナメル質セラミックを重ね、セラミック部の合計厚さを1.0mmに整え、ISO規定による焼付き性試験片を調整した。この焼付き性試験片のセラミック築盛した面と反対の面、すなわち、焼付き性試験用基板の露出している面の長手方向の中央部に対し径10mmの鉄棒を横にしてあてがい、鉄棒の外周面に沿わせた形で、焼付き性試験片を曲げた。この場合、曲げ加工は、焼付き性試験片の両端が90度を示した位置で停止させた。一度、両端が90度を示す位置まで曲げられた焼付き性試験片は、加圧治具により元の位置まで曲げ戻して、平坦な状態に整えた。ここで、元の平坦な状態に整えられた焼付き性試験片の陶材築盛面を観察し、表面に築盛された陶材の剥離状態を類別することにより、セラミックと焼付き性試験用基板との焼付き性を調べた。
【0026】
なお、この場合、焼付き性試験片の中央部1/3に相当する部分に、セラミックが残存する割合が50%を超え、しかも、これを満足する焼付き性試験片の数が6試料中4試料以上になっているときに、この合金は、良好な焼付き性能を有すると判断した。
【0027】
上記した組成を有する本合金の場合、所定の曲げ加工を与えた後に、合金表面に残存する陶材の面積により、セラミックとの焼付き性を評価し、その値90%を得、この値が規格を満足するものであることを確認した。
【0028】
この場合、陶材の焼付け装置としてはデンツプライ社「マルチマット・マッハ2」を用い、陶材にはデグサ社製「デグセラムゴールド」を用い、メーカー指示により、次ぎなる5工程よりなる加熱焼付け処理を行い、陶材ー合金間の焼付き性試験片を作成した。
【0029】
1)酸化被膜生成処理
鋳造し、所定形状である20mm×5mm×0.4mmの寸法に成形した焼付き性試験用基板の表面を清浄化処理した後、450℃より800℃の間を、真空中にて、毎分55℃の速度にて加熱し、引き続き、800℃にて10分間保持した後、急冷する。
【0030】
2)オペーク処理
1項の処理を終えた焼付き性試験用基板の上に、陶材として、デグサ社製「デグセラムゴールド」のオペーク質セラミックを、その築盛厚さが0.3mmとなるように塗布し、真空中、450℃にて4分間の予備乾燥を行い、引き続き、真空中にて、780℃のまでの間を毎分55℃の速度にて加熱し、780℃にて1分間保持して後、急冷する。
【0031】
3)一次デンチン処理
2項の処理を終えた焼付き性試験用基板の上に、陶材として、デグサ社製「デグセラムゴールド」のデンチン質セラミックを、その築盛厚さが0.6mmとなるように塗布し、真空中、450℃にて9分間の予備乾燥を行い、引き続き、真空中にて、780℃のまでの間を毎分55℃の速度にて加熱し、780℃にて1分間保持して後、720℃まで冷却し、次いで、720℃より680℃の間を4分かけて冷却した後、大気中に放冷する。
【0032】
4)二次デンチン処理
3項の処理を終えた焼付き性試験用基板の上に、陶材として、デグサ社製「デグセラムゴールド」のエナメル質セラミックを、その築盛厚さが0.1mmとなるように塗布し、真空中、450℃にて9分間の予備乾燥を行い、引き続き、真空中にて、780℃のまでの間を毎分55℃の速度にて加熱し、780℃にて1分間保持して後、急冷する。
【0033】
5)グレーズ処理
4項の処理を終えた焼付き性試験用基板の上に、陶材として、デグサ社製「デグセラムゴールド」のグレーズ材を塗布した後、真空中、450℃にて4分間の予備乾燥を行い、引き続き、真空中にて、780℃のまでの間を毎分55℃の速度にて加熱し、780℃にて1分間保持して後、急冷する。
【0034】
また、ISO 9693規格に規定されたように、示差熱分析法による合金の等固相点と等液相点を、それぞれ冷却曲線を用いた測定方法にて計測し、等固相点880℃と等液相点1020℃とを得た。この温度は石膏系埋没材にて鋳造可能な温度と言われる1100℃を下回っていた。
【0035】
さらに、先に調整した直径6mm、長さ20mmの鋳造材試験片を用い、ISO 9396に規定された熱膨張係数の測定を、熱機械分析装置を用いて行った。この場合、試料は25℃から500℃の間を加熱して、合金の等熱膨脹係数を求めた結果、その値として15.9×10-6-1を得た。この値は、歯科用低温溶融セラミックとして市販されているデグサ社製「デグセラムゴールド」のカタログに記載された熱膨脹係数の15.8×10-6-1と比較して、僅かに、0.1×10-6-1の違いしか示さず、陶材と合金間の焼付き性を優れた状態に保つことを示していた。
【0036】
さらに、直径3.0mm、標点間距離15mm、捩子付き掴み部の鋳造材試験片を用いて、ISO 6892規格に準じた引張試験を行い、描かれた応力ー歪み曲線より、0.2%オフセット耐力を求めた。この場合の耐力値は600MPaを示し、ISO 9693規格に規定された最小耐力値240MPaを大きく超える値を示している。
【0037】
同時に、ISO 6892規格に準じた方法で合金の伸びを測定した結果、測定した引張り破断後の伸びは、5%を示し、ISO 9693規格に規定された最小伸び値3%を上回り、ISO規格に適合する値を示している。
【0038】
上記の焼付き性試験用基板を鋳造する際に、同時に鋳造して作成した10mm×10mm×1mmの硬度試験片について、上記の焼付き性試験用基板の場合と同様の熱履歴(陶材の被覆は行うこと無しに)を与えた後、その表面の硬度をヴィツカース硬度にて測定した結果、その測定値として220を得た。
【0039】
また、本発明合金を都市ガス・大気炎にて溶解し、この溶湯を、石膏系埋没材であるジーシー社製の「クリストパライトミクロ」を用い、歯冠を形取った石膏型に鋳込んで、石膏系埋没材使用の可否試験を行った結果、石膏系埋没材を利用しても、本発明合金の鋳造処理は支障なく行い得るということが明らかになった。
【0040】
以上の試験結果に合わせて、合金組成を変化させた他は実施例1と同様にして測定した試験結果を表1乃至表6に一覧表として纏めて表示する。
【0041】
この場合、第一、及び、第二表は第一の実施態様と、その比較例による試験結果を示し、第三乃至第六表は、第二乃至第四の実施態様と、その比較例による試験結果を示す。
【0042】
これにより明らかな如く、本発明合金は、歯科鋳造用陶材焼付け貴金属合金として、陶材との焼付き性が極めて良好であり、強度に優れ、かつ、石膏系埋没材の利用も可能にする、優れた機能を合わせ備えた合金を提供し得る。
【0043】
【表1】
Figure 0003916098
【0044】
【表2】
Figure 0003916098
【0045】
【表3】
Figure 0003916098
【0046】
【表4】
Figure 0003916098
【0047】
【表5】
Figure 0003916098
【0048】
【表6】
Figure 0003916098
【0049】
【発明の効果】
本発明は、陶材との焼付き性に優れ、強度及び耐蝕性に富み、さらに、埋没材として、石膏系の埋没材を用い得ることを示しており、低温鋳込みによる金属フレーム表面の円滑性も合せ持たせた歯科鋳造用陶材焼付け貴金属合金を提供し得る。
【0050】
この合金を利用することにより、生体への適合性、化学的な安定性、高度な耐磨耗性等に加え、特に審美性の面にも優れ、かつ、自然体に近い陶材を用いて行う歯冠の修復が、迅速、かつ、精密に、しかも容易に処理し得る。

Claims (4)

  1. Au19〜20重量%と、Pd19〜30重量%と、Cu9〜20重量%と、Ir0.02〜0.03重量%と、Sn0.4〜4.5重量%と、Ga0.5〜4.5重量%と、Ag33〜48重量%と、不可避的不純物とよりなり、Sn+Gaの含有量が2〜5重量%であることを特徴とする歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金。
  2. Au18〜30重量%と、Pd23〜29重量%と、Cu11〜20重量%と、Ir0.01〜0.04重量%と、Sn0.5〜5.0重量%と、Ga0.5〜6.0重量%と、In0.5〜5.0重量%と、Ag23〜41%重量と、不可避的不純物とよりなり、Sn+Ga+Inの含有量が1.5〜7.5重量%であることを特徴とする歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金。
  3. Au18〜20重量%と、Pd23〜29重量%と、Cu11〜18重量%と、Ir0.02〜0.03重量%と、Sn0.5〜3.0重量%と、Ga0.5〜3.0重量%と、In0.5〜3.0重量%と、Ag34〜41%重量と、不可避的不純物とよりなり、Sn+Ga+Inの含有量が1.5〜6.5重量%であることを特徴とする歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金。
  4. Au27〜30重量%と、Pd18〜29重量%と、Cu14〜20重量%と、Ir0.01〜0.04重量%と、Sn0.5〜5.0重量%と、Ga0.5〜6.0重量%と、In0.5〜5.0重量%と、Ag23〜25%重量と、不可避的不純物とよりなり、Sn+Ga+Inの含有量が1.5〜7.5重量%であることを特徴とする歯科鋳造用陶材焼付貴金属合金。
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