JP2007211713A - 車両の異常報知装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンおよび機械式オイルポンプと備えたアイドルストップ車において、油圧異常を的確に報知する。
【解決手段】アイドルストップECUは、アイドルストップ条件が成立して、油圧スイッチがオンであると油圧警告灯を点灯させるステップと、フューエルカットしてアイドルストップを実行するステップと、再始動条件が成立するとアイドルストップ継続時間itを算出するステップと、itに基づいて完爆後マスク時間mtを算出するステップと、エンジン完爆後であってmtが経過した後、油圧スイッチがオンであると油圧警告灯を点灯させるステップと、油圧スイッチがオンでないと油圧警告灯を消灯させるステップとを含む、プログラムを実行する。
【選択図】図3
【解決手段】アイドルストップECUは、アイドルストップ条件が成立して、油圧スイッチがオンであると油圧警告灯を点灯させるステップと、フューエルカットしてアイドルストップを実行するステップと、再始動条件が成立するとアイドルストップ継続時間itを算出するステップと、itに基づいて完爆後マスク時間mtを算出するステップと、エンジン完爆後であってmtが経過した後、油圧スイッチがオンであると油圧警告灯を点灯させるステップと、油圧スイッチがオンでないと油圧警告灯を消灯させるステップとを含む、プログラムを実行する。
【選択図】図3
Description
本発明は、アイドリング時において予め定められた条件を満足するとエンジンを一時的に停止する車両における異常報知装置に関し、特に、オイルポンプにより供給される油圧の異常を運転者に報知する装置に関する。
地球温暖化の防止や省資源化の観点から、交差点等において赤信号で車両が停車するとエンジンを自動的に停止させて、再び走行を始めようと運転者が操作すると(たとえばアクセルペダルを踏んだり、あるいはブレーキペダルの踏み込みを止めたり、シフトレバーを前進走行ポジションに切り替えるなどの操作を行なうと)、エンジンが再始動するアイドリングストップシステム(エコノミーランニングシステム、エンジンオートマチックストップアンドスタートシステムとも呼ばれる。以下、アイドルストップシステムやアイドルストップ制御と記載する場合がある。)が実用化されている。このシステムにおいては、エンジンの再始動時には、車両に搭載された二次電池の電力を用いてモータジェネレータやスタータモータなどの電動機によりクランクシャフトを回転させてエンジンを再始動させる。
このようなアイドルストップシステムにおいては、種々のセンサ信号やスイッチ信号を検知して、予め定められたアイドルストップ開始条件が満足されるとエンジンを停止して、再びエンジンを再始動するように制御する必要がある。
一方、このようなアイドルストップ車を含めエンジンを搭載した車両においては、エンジンにより駆動されるオイルポンプを備える。オイルポンプの駆動軸は、クランクシャフトとベルトおよびプーリを介して接続され、エンジンが運転(クランクシャフトが回転)していると機械式オイルポンプが作動して、所望の油圧を確保している。この油圧が低下すると、エンジンを冷却したり潤滑したりするエンジンオイルが循環されないことになり、エンジンがオーバーヒートする等の問題が発生する可能性がある。このため、通常、エンジンを搭載した車両(アイドルストップ車に限定されないで)においては、エンジンオイルの油圧警告灯を備えている。
このような車両に関して、特開2003−336514号公報(特許文献1)は、エンジンと電気推進モータとを持つパワートレーンを有するハイブリッド自動車におけるエンジンの低油圧表示器を制御する方法を開示する。この方法は、エンジン油圧を検知するステップと、エンジン速度を検知するステップと、油圧検知値とエンジン速度検知値とを制御器へ入力するステップと、低油圧表示器を制御器へ接続するステップと、「オフ」および「走行/スタート」についての車両モードを表示するステップと、モード表示が「走行/スタート」モードであり、エンジンが作動していないとき、低油圧表示器の作動を妨げるステップとを含む。
この方法によると、アイドルストップ車が一時的にエンジンを作動させていない場合、低油圧表示器の作動が妨げられて、低油圧であっても油圧警告灯が点灯しないようにできる。
特開2003−336514号公報
しかしながら、この特許文献1に開示された方法では、エンジンの一時停止時において油圧警告灯が表示されないようにしたものに過ぎず、運転者に違和感を与える、以下のような問題が生じる。
(1)アイドルストップしている時間が長いと(特に登坂路において)、アイドルストップから復帰(エンジンが再始動)してオイルポンプが作動しても、所望の油圧に上昇するまでに時間がかかる。このため、油圧系統に異常が発生していないにもかかわらず、アイドルストップからの復帰後(アイドルストップによりオイルポンプが停止して油圧が低下していることが前提となるが)、エンジンが再始動される毎に油圧警告灯が点灯する。
(2)アイドルストップする前のエンジンが作動しているときに、油圧が低下して油圧警告灯が点灯している状態でアイドルストップすると、エンジンが停止するので、低油圧表示器の作動が妨げられる。このため、油圧系統に異常が発生しているにもかかわらず、アイドルストップ中において油圧警告灯が消灯してしまう。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、エンジンの停止と再始動とを繰り返すアイドルストップ車などの車両において、油圧異常を的確に報知することができる、車両の異常報知装置を提供することである。
第1の発明に係る車両の異常報知装置は、車両の状態が予め定められた条件を満足するとエンジンを一時的に停止する車両において異常を報知する。この車両にはエンジンが一時的に停止すると停止し再始動すると作動するポンプを含む油圧機構が備えられている。この異常報知装置は、油圧機構の異常を検知するための検知手段と、一時的な停止時間に応じて検知遅延時間を算出するための算出手段と、検知手段により異常が検知されると、運転者に異常を報知するための報知手段と、エンジンを一時的に停止した後に再始動した場合においては、検知遅延時間が経過するまで、報知手段による異常報知を禁止するための禁止手段とを含む。
第1の発明によると、車両の状態が予め定められた条件を満足するとエンジンが一時的に停止されて油圧機構のポンプが停止する。このため、機械式ポンプや電動式ポンプにより供給される油圧機構における油圧が低下する。この一時的な停止時間が長いほど、油圧機構における油圧が正常な圧力まで戻るまでにより長い時間を必要とする。このため、一時的な停止からエンジンが再始動した直後においては、作動されたポンプによっても油圧が十分に上昇されていない。このようなときに検知手段により検知された異常であるという結果を運転者に報知していたのでは、再始動の度に異常報知が行なわれる。禁止手段は、一時的な停止からエンジンが再始動した後であって、一時的な停止時間に応じて算出された検知遅延時間が経過するまで(油圧機構が正常であるときに、エンジンの再始動により作動を開始するポンプによって油圧が十分に上昇されるまでの時間が経過するまで)、油圧機構の異常を検知しても、運転者に報知することが禁止される。その結果、エンジンの停止と再始動とを繰り返すアイドルストップ車などの車両において、油圧異常を的確に報知することができる、車両の異常報知装置を提供することができる。
第2の発明に係る異常報知装置は、第1の発明の構成に加えて、油圧機構の異常がエンジンの一時的な停止前に検知された場合には、禁止手段による異常報知の禁止を解除するための手段をさらに含む。
第2の発明によると、エンジンの一時的な停止前においてすでに油圧機構が異常であることが検知されていた時には、一時的な停止中、再始動から検知遅延時間が経過する前でも、異常報知を禁止しないで、直ちに異常を運転者に報知する。これにより、エンジンの一時的な停止に起因する要因ではない要因により油圧機構に異常が発生していることを速やかに報知することができる。
第3の発明に係る異常報知装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、算出手段は、一時的な停止時間と予め定められたマップとに基づいて、検知遅延時間を算出するための手段を含む。
第3の発明によると、エンジンが再始動して機械式ポンプや電動式ポンプが作動を開始して油圧機構の油圧が正常な圧力まで上昇する時間を、一時的な停止時間をパラメータとしたマップで記憶しておく。このマップに基づいて、一時的な停止時間に対応させて検知遅延時間を算出することができる。
第4の発明に係る異常報知装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、算出手段は、一時的な停止時間が長いほど長くなるように検知遅延時間を算出するための手段を含む。
第4の発明によると、一時的な停止時間が長いほど、油圧機構の油圧が低下する。このため、一時的な停止時間が長いほど検知遅延時間が長くなるようにすると、一時的なエンジンの停止後に油圧機構の油圧が正常な状態に復帰してから、油圧機構の異常を検知することができるので、誤検知を回避できる。
第5の発明に係る異常報知装置においては、第3または4の発明の構成に加えて、検知手段は、油圧機構における油圧が低いと、油圧機構が異常であることを検知するための手段を含む。検知遅延時間は、油圧機構が異常でない場合において、エンジンの始動後に、エンジンの一時停止中に低下した油圧が、予め定められた油圧まで上昇するまでの時間に基づいて設定される。
第5の発明によると、検知遅延時間が、エンジンの一時停止中に低下した油圧が、予め定められた油圧まで上昇するまでの時間に基づいて設定される(たとえば、予め定められた油圧まで上昇するまでの時間の30〜50%余裕を持たせて設定される)。このため、油圧機構が正常である場合には十分に油圧が上昇しており、油圧機構が異常である場合には十分に油圧が上昇していないので、的確に油圧機構の異常を検知できる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る異常報知装置が搭載される車両の制御ブロックについて説明する。なお、以下の説明では、この異常報知装置は、アイドルストップ制御が実行される車両に適用されるとして説明するが、本発明が適用される車両は、ハイブリッド車等のように、エンジンの停止と再始動とを比較的頻繁に行なう車両であればよい。
この車両は、エンジン100と、エンジン100を始動および再始動(イグニッションスイッチによるエンジン100の作動開始を始動、アイドルストップによる一時停止後のエンジン100の作動開始を再始動という)するためにエンジン100をクランキングするスタータ200と、エンジン100のクランクシャフトプーリとベルトで接続されたオルタネータ300と、ライト、オーディオ、エアコンディショナのコンプレッサ等の補機負荷400と、スタータ200や補機負荷400に電力を供給するバッテリ(二次電池)500とを搭載する。さらに、車両は、エンジン100のクランクシャフトプーリとベルトで接続された機械式オイルポンプ(以下、単にオイルポンプと記載する)210と、オイルポンプ210で供給されるエンジンオイルの油圧が設定値よりも低いとオン信号を出力する圧力スイッチ220とを搭載する。なお、スタータ200ではなくモータジェネレータであってもよいし、バッテリはエンジン100停止時の電力供給のためのバッテリをさらに搭載していてもよい。また、バッテリではなく、コンデンサ等の蓄電機構であればよい。また、オイルポンプ210は、エンジンオイルを吐出するポンプに限定されない。エンジン100により作動される機械式ポンプを備えた油圧機構の異常報知に対して、本発明の適用は可能である。さらに、オイルポンプ210は、このような機械式に限定されない。エンジン100が停止すると停止してエンジン100が再始動すると作動を開始するように制御される電動オイルポンプであってもよい。
このような車両を制御する制御系は、ABS(Antilock braking System)_ECU(Electronic Control Unit)1000と、アイドルストップECU2000と、エンジンECU3000と、メータECU2100とを含む。油圧警告灯2200は、アイドルストップECU2000から点灯指令信号を受信したメータECU2100により制御されるものとする。
ABS_ECU1000には、Gセンサ1100からの信号(車両の傾きや加速度を表わす物理量の信号)、ブレーキマスタ圧センサ1200からの信号(車両の制動装置の効き具合を表わす物理量の信号)、車速センサ1300からの信号(車両の速度を表わす物理量の信号)がそれぞれ入力される。
アイドルストップECU2000には、ブレーキランプ信号と連動したブレーキが作動状態であることを示すブレーキ信号、変速機のシフトポジションを示すシフト信号、バッテリ500の温度を示すバッテリ温度信号がそれぞれ入力される。
エンジンECU3000には、アクセルペダルが踏まれていることを検知するアクセルスイッチ3100からの信号、ステアリングが操作されていることを検知するEPS(Electric Power Steering)センサ3200からの信号、エンジン100の回転数(NE)を検知するNEセンサ3300からの信号、エンジン100を冷却する冷却水の水温を検知する冷却水センサ3400からの信号がそれぞれ入力される。
また、ABS_ECU1000からアイドルストップECU2000にセンサ信号が送信され、アイドルストップECU2000からエンジンECU3000にエンジン100の再始動指令信号および停止指令信号が送信され、エンジンECU3000からアイドルストップECU2000にセンサ信号が送信される。エンジンECU3000は、アイドルストップECU2000から受信したエンジン100の再始動指令信号に基づいてスタータ200に再始動信号を送信して、スタータ200がエンジン100をクランキングしてエンジン100が再始動する。
このようなアイドルストップ制御におけるエンジン100の停止条件としては、たとえば、アクセル開度が0であること、シフト操作後1秒以上経過していること、車速が0km/hであること、エンジン回転数が1000rpm以下であること、登坂・傾斜判定が8゜以下であること、エンジン冷却水温が65℃〜105℃であること、バッテリ温度が0℃〜55℃であること、ブレーキマスタ圧が十分な制動力を確保できる以上の圧力であること、停止直前にステアリング操作していないこと等々の全ての条件を満足することである。なお、これらの条件の種類および条件における数値は一例である。
本実施の形態に係る異常報知装置を実現するアイドルストップECU2000は、アイドルストップからの復帰時において油圧スイッチ220がオン(予め定められた設定値よりも油圧が低い)であっても、直ちにメータECU2100を介して油圧警告灯2200を表示させるのではなく、アイドルストップの継続時間に応じて、エンジン100が再始動してから油圧警告灯2200の表示指令を許可するまでの時間を変化させるようにしている。また、アイドルストップECU2000は、アイドルストップが実行される前に油圧スイッチ220がオンであった場合(この場合には、エンジン100が正常に作動しているにもかかわらず油圧が低下しているので、油圧系統の異常が発生していると考えられる)、アイドルストップ中においても油圧警告灯2200を点灯させるようにしている。
図2に、図1のアイドルストップECU2000のメモリ等に記憶されるマップを示す。このマップは、アイドルストップ継続時間itと完爆後マスク時間mtとの関係を示す。図2に示すように、アイドルストップ継続時間itが長くなると、完爆後マスク時間mtが長くなる。このような特性は、本実施の形態に係る制御を実行しないアイドルストップ車両において、たとえば、エンジン100の完爆後(800rpmを越えた後)油圧警告灯が消灯するまでの時間を、アイドルストップ継続時間itを変化させて計測することにより算出する。このように実験的に計測された時間に30〜50%増加させた時間を、完爆後マスク時間mtとしている。この完爆後マスク時間mtは、エンジン100が再始動してから油圧警告灯2200の表示指令を許可するまでの遅延時間とも言える。
なお、以下の説明では、完爆後マスク時間mtは、アイドルストップ継続時間itをパラメータとした関数fにより表わされるものであると想定する。また、この図2に示すマップは一例であって、本発明がこの図2のマップに限定されるものではない。
図3を参照して、図1のアイドルストップECU2000で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、アイドルストップECU2000は、アイドルストップ条件が成立したか否かを判断する。このとき、アイドルストップECU2000は、上述したように、たとえば、アクセル開度が0であって、シフト操作後1秒以上経過していて、車速が0km/hであって、エンジン回転数が1000rpm以下であってこと、登坂・傾斜判定が8゜以下であって、エンジン冷却水温が65℃〜105℃であって、バッテリ温度が0℃〜55℃であって、ブレーキマスタ圧が十分な制動力を確保できる以上の圧力であって、停止直前にステアリング操作していないと、アイドルストップ条件が成立していると判断する。アイドルストップ条件が成立すると(S100にてYES)、処理はS200へ移される。もしそうでないと(S100にてNO)、処理はS100へ戻される。
S200にて、アイドルストップECU2000は、油圧スイッチ220からの信号がオンであるか否かを判断する。油圧スイッチ220からの信号がオンであると(S200にてYES)、処理はS300へ移される。もしそうでないと(S200にてNO)、処理はS400へ移される。
S300にて、アイドルストップECU2000は、油圧スイッチ220がオンであることに対応するフラグであるOP(LO)フラグをセットする。なお、すでに、このOP(LO)フラグがセットされていれば、セット状態を維持する。
S400にて、アイドルストップECU2000は、エンジン100への燃料噴射を停止してフューエルカット(アイドルストップ)を実行する。アイドルストップECU2000は、エンジンECU3000に、停止指令信号を出力して、エンジンECU3000は、燃料噴射制御および点火制御を停止する。この処理により、エンジン100は停止するので、オイルポンプ210も停止して、アイドルストップしている時間の経過にしたがって、エンジンオイルの油圧が低下する。
S500にて、アイドルストップECU2000は、OP(LO)フラグをセットされているか否かを判断する。OP(LO)フラグがセットされていると(S500にてYES)、処理はS600へ移される。もしそうでないと(S500にてNO)、処理はS700へ移される。なお、このOP(LO)フラグの状態は、アイドルストップ実行前の油圧スイッチ220の状態に対応しているので、アイドルストップ中において、このOP(LO)フラグに基づいて油圧警告灯2200の点灯/消灯を制御することにより、アイドルストップ前の油圧異常をアイドルストップ中に表示できる。
S600にて、アイドルストップECU2000は、油圧警告灯2200を点灯するように、メータECU2100に指令信号を出力する。これにより、たとえばインストルメントパネル内に設けられた油圧警告灯2200が点灯する。なお、すでに、油圧警告灯2200を点灯する指令信号が、メータECU2100に出力されている場合には、油圧警告灯2200の点灯が継続される。
S700にて、アイドルストップECU2000は、再始動条件が成立したか否かを判断する。このとき、アイドルストップECU2000は、上述したように、たとえば、アクセル開度、車速、エンジン回転数、登坂・傾斜度、エンジン冷却水温、バッテリ温度、ブレーキマスタ圧についてのアイドルストップ条件のうちの1つでも不成立になると、再始動条件が成立したと判断する。再始動条件が成立すると(S700にてYES)、処理はS800へ移される。もしそうでないと(S700にてNO)、処理はS700へ戻される。
S800にて、アイドルストップECU2000は、エンジン100をアイドルストップしてから再始動条件が成立するまでのアイドルストップ継続時間itを算出する。このアイドルストップ継続時間itは、たとえば、アイドルストップECU2000の内部に設けられた積算タイマのカウント値に基づいて算出される。なお、このアイドルストップ継続時間itは、エンジン100をアイドルストップしてから、実際にエンジンが再始動するまでの時間等であってもよい。
S900にて、アイドルストップECU2000は、完爆後マスク時間mtを、たとえば、図2のマップに示される関数fを用いて、mt=f(it)により算出する。
S1000にて、アイドルストップECU2000は、エンジン100の再始動処理を実行する。アイドルストップECU2000は、エンジンECU3000に再始動指令信号を出力して、エンジンECU3000は、スタータ200でエンジン100をクランキングするとともに、燃料噴射制御および点火制御を実行する。
S1100にて、アイドルストップECU2000は、エンジン100が完爆してから完爆後マスク時間mtを経過したか否かを判断する。なお、エンジン100の回転数が安定的に約800rpm以上になれば、エンジン100が完爆したと判断することができる。エンジン100が完爆してから完爆後マスク時間mtを経過すると(S1100にてYES)、処理はS1200へ移される。もしそうでないと(S1100にてNO)、処理はS1100に戻されて、エンジン100が完爆してから完爆後マスク時間mtを経過するまで待つ。
S1200にて、アイドルストップECU2000は、油圧スイッチ220からの信号がオンであるか否かを判断する。油圧スイッチ220からの信号がオンであると(S1200にてYES)、処理はS1300へ移される。もしそうでないと(S1200にてNO)、処理はS1400へ移される。
S1300にて、アイドルストップECU2000は、油圧警告灯2200を点灯するように、メータECU2100に指令信号を出力する。これにより、たとえばインストルメントパネル内に設けられた油圧警告灯2200が点灯する。なお、すでに、油圧警告灯2200を点灯する指令信号が、メータECU2100に出力されている場合には、油圧警告灯2200の点灯が継続される。これにより、アイドルストップする前に油圧スイッチ220がオンであった場合には、アイドルストップの前後にかかわらず、油圧警告灯2200が点灯し続けることになる。
S1400にて、アイドルストップECU2000は、油圧警告灯2200を消灯するように、メータECU2100に指令信号を出力する(なお、点灯指令信号が出力されている場合にはその出力を停止するようにしてもよい)。また、OP(LO)フラグがセットされている場合にはリセットする。これにより、点灯していた油圧警告灯2200が消灯したり、消灯していた油圧警告灯2200の消灯状態が継続される。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る異常報知装置を実現するアイドルストップECU2000を搭載した車両における、油圧異常報知処理の動作について説明する。なお、以下の説明においては、4つの場合に分けて説明するが、異なる場合における説明であっても、他の場合と同じ説明は繰り返さない。
<アイドルストップ前に油圧系統が異常であって、その異常が継続している場合>
アイドルストップ車が走行中に赤信号等で一時的に停止して、アイドルストップ条件が成立すると(S100にてYES)、油圧スイッチ220からの信号がオンであるか否かが判断される。油圧系統に異常が発生していてエンジンオイルの圧力(油圧)が低いと、油圧スイッチ220からオン信号が出力される(S200にてYES)。このような場合には、OP(LO)フラグがセットされる。これは、アイドルストップする前に異常を検知した場合である。
アイドルストップ車が走行中に赤信号等で一時的に停止して、アイドルストップ条件が成立すると(S100にてYES)、油圧スイッチ220からの信号がオンであるか否かが判断される。油圧系統に異常が発生していてエンジンオイルの圧力(油圧)が低いと、油圧スイッチ220からオン信号が出力される(S200にてYES)。このような場合には、OP(LO)フラグがセットされる。これは、アイドルストップする前に異常を検知した場合である。
エンジン100への燃料噴射が停止(フューエルカット)され、アイドルストップが実行されたときにおいて(S400)、OP(LO)フラグがセットされているので(S500にてYES)、油圧警告灯2200が点灯される。このとき、アイドルストップの開始前から油圧系統に異常が発生して油圧スイッチ220からオン信号が出力されており油圧警告灯2200が点灯していた。このため、アイドルストップ開始の前後にかかわらず継続して油圧警告灯2200が点灯し続けることになる。すなわち、アイドルストップが開始されたからといって、油圧警告灯2200が消灯されるものではない。
運転者がアクセルペダルを踏むことなどにより、再始動条件が成立すると(S700にてYES)、アイドルストップ継続時間itが算出され(S800)、このアイドルストップ継続時間itに対応する、完爆後マスク時間mtが算出される(S900)。エンジン100の再始動処理が実行されて(S1000)、エンジン100の回転数が安定的に約800rpm以上になってから完爆後マスク時間mtが経過しても(S1100にてYES)、油圧系統の異常が継続しているので油圧スイッチ220からオン信号が出力されている(S1200にてYES)。このため、油圧警告灯2200が点灯し続けることになる。
この場合には、アイドルストップ(フューエルカット)の前後において油圧異常が発生しているので、アイドルストップ前、アイドルストップ中、アイドルストップ後のいずれにおいても、油圧警告灯2200が点灯している。
これにより、アイドルストップ開始前に発生してエンジン再始動後も発生している油圧系統の異常を、油圧警告灯を点灯し続けることにより運転者に報知することができる。このため、運転者に違和感なく、かつ、速やかに油圧異常を報知することができる。
<アイドルストップ前に油圧系統が異常であって、その異常が解消している場合>
再始動条件が成立してから完爆後マスク時間mtが経過するまでについては、上述の場合と同じであるので、この部分についての説明は繰り返さない。
再始動条件が成立してから完爆後マスク時間mtが経過するまでについては、上述の場合と同じであるので、この部分についての説明は繰り返さない。
再始動条件が成立してから完爆後マスク時間mtが経過すると(S1100にてYES)、油圧系統の異常が解消しているので、油圧スイッチ220からオン信号が出力されない(S1200にてNO)。このため、油圧警告灯2200が消灯するように制御されるとともに、OP(LO)フラグがリセットされる(S1400)。
この場合には、アイドルストップの前において発生していた油圧異常が、アイドルストップ後には解消しているので、アイドルストップ前、アイドルストップ中、エンジン100の再始動後であって完爆後マスク時間mtが経過するまで、継続して油圧警告灯2200が点灯している。完爆後マスク時間mtが経過すると、油圧警告灯2200が消灯する。
これにより、アイドルストップ開始前に発生してエンジン再始動後に解消している油圧系統の異常を、再始動後において、完爆後マスク時間が経過してから(油圧が上昇するまでの時間の経過を待って)油圧が正常であることを判断して、油圧警告灯を消灯するようにした。このため、運転者に違和感なく油圧異常およびその油圧異常の解消を報知することができる。
<アイドルストップ前に油圧系統が正常であって、その正常が継続している場合>
アイドルストップ車が走行中に赤信号等で一時的に停止して、アイドルストップ条件が成立すると(S100にてYES)、油圧スイッチ220からの信号がオンであるか否かが判断される。油圧系統に異常が発生しておらずエンジンオイルの圧力(油圧)が低くないので、油圧スイッチ220からオン信号が出力されない(S200にてNO)。このような場合には、OP(LO)フラグがセットされない。
アイドルストップ車が走行中に赤信号等で一時的に停止して、アイドルストップ条件が成立すると(S100にてYES)、油圧スイッチ220からの信号がオンであるか否かが判断される。油圧系統に異常が発生しておらずエンジンオイルの圧力(油圧)が低くないので、油圧スイッチ220からオン信号が出力されない(S200にてNO)。このような場合には、OP(LO)フラグがセットされない。
エンジン100への燃料噴射が停止(フューエルカット)され、アイドルストップが実行されたときにおいて(S400)、OP(LO)フラグがセットされていないので(S500にてNO)、油圧警告灯2200が点灯されない。このとき、アイドルストップの開始前には油圧系統に異常が発生しておらず油圧スイッチ220からオン信号が出力されておらず油圧警告灯2200が消灯していた。このため、アイドルストップ開始の前後にかかわらず継続して油圧警告灯2200が消灯し続けることになる。
運転者がアクセルペダルを踏むことなどにより、再始動条件が成立すると(S700にてYES)、アイドルストップ継続時間itが算出され(S800)、このアイドルストップ継続時間itに対応する、完爆後マスク時間mtが算出される(S900)。エンジン100の再始動処理が実行されて(S1000)、エンジン100の回転数が安定的に約800rpm以上になってから完爆後マスク時間mtが経過しても(S1100にてYES)、油圧系統の異常が発生していないので油圧スイッチ220からオン信号が出力されていない(S1200にてNO)。このため、油圧警告灯2200が消灯し続けることになる。
この場合には、アイドルストップ(フューエルカット)の前後において油圧異常が発生しないので、アイドルストップ前、アイドルストップ中、アイドルストップ後のいずれにおいても、油圧警告灯2200が消灯している。特に、エンジン100の再始動直後においては、油圧が低下しており油圧スイッチ220からオン信号が出力されるが、完爆後マスク時間mtが経過するまでは、油圧スイッチ220の状態に基づく油圧警告灯2200の点灯/消灯制御を実行しない。さらに、アイドルストップ時間が長く油圧が大きく低下していて復帰するまでに時間を必要とする場合であっても、アイドルストップ時間itが長いほど、完爆後マスク時間mtを長くなるようにしているので、油圧系統が正常な場合には、アイドルストップ時間の長さに影響を受けることなく、油圧警告灯2200を点灯させないようにできる。
これにより、アイドルストップ開始前にもエンジン再始動後も発生していない油圧系統が異常でないことを、油圧警告灯を消灯し続けることにより運転者に報知することができる。特に、エンジン再始動直後のように油圧が低い状態であっても油圧警告灯が点灯しないので、運転者に違和感なく油圧異常でないことを報知することができる。
<アイドルストップ前に油圧系統が正常であって、その後に異常になる場合>
再始動条件が成立してから完爆後マスク時間mtが経過するまでについては、上述の場合と同じであるので、この部分についての説明は繰り返さない。
再始動条件が成立してから完爆後マスク時間mtが経過するまでについては、上述の場合と同じであるので、この部分についての説明は繰り返さない。
再始動条件が成立してから完爆後マスク時間mtが経過すると(S1100にてYES)、油圧系統が異常であるので油圧が十分に上昇しないで、油圧スイッチ220からオン信号が出力される(S1200にてYES)。このため、油圧警告灯2200が点灯するように制御される(S1300)。
この場合には、アイドルストップの前において発生していなかった油圧異常が、アイドルストップ後には発生しているので、アイドルストップ前、アイドルストップ中、エンジン100の再始動後であって完爆後マスク時間mtが経過するまで、継続して油圧警告灯2200が消灯している。完爆後マスク時間mtが経過すると、油圧警告灯2200が点灯する。
これにより、アイドルストップにより一時的にエンジンが停止してオイルポンプが停止して油圧が低下した後に発生した油圧系統の異常を、運転者に違和感なく、かつ、できる限り速やかに報知することができる。
なお、上述した実施の形態においては、油圧系統が異常であることの運転者への報知は表示灯(油圧警告灯)の点灯により実現しているが、本発明はこれに限定されない。油圧警告灯を点灯する以外にも、警告音(ブザー音等)を発したり、警告音声(合成音声等)を発したり、ナビゲーション等の表示モニタの一部に警告文字を表示したり、これらを組合わせたりして、運転者に油圧系統の異常を報知するものであればよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 エンジン、200 スタータ、210 オイルポンプ、220 圧力スイッチ、300 オルタネータ、400 補機負荷、500 バッテリ、1000 ABS_ECU、2000 アイドルストップECU、2100 メータECU、2200 油圧警告灯、3000 エンジンECU。
Claims (5)
- 車両の状態が予め定められた条件を満足するとエンジンを一時的に停止する車両の異常報知装置であって、前記車両には前記エンジンが一時的に停止すると停止し再始動すると作動するポンプを含む油圧機構が備えられ、
前記油圧機構の異常を検知するための検知手段と、
前記一時的な停止時間に応じて検知遅延時間を算出するための算出手段と、
前記検知手段により異常が検知されると、運転者に前記異常を報知するための報知手段と、
前記エンジンを一時的に停止した後に再始動した場合においては、前記検知遅延時間が経過するまで、前記報知手段による異常報知を禁止するための禁止手段とを含む、車両の異常報知装置。 - 前記異常報知装置は、前記油圧機構の異常が前記エンジンの一時的な停止前に検知された場合には、前記禁止手段による異常報知の禁止を解除するための手段をさらに含む、請求項1に記載の車両の異常報知装置。
- 前記算出手段は、前記一時的な停止時間と予め定められたマップとに基づいて、前記検知遅延時間を算出するための手段を含む、請求項1または2に記載の車両の異常報知装置。
- 前記算出手段は、前記一時的な停止時間が長いほど長くなるように前記検知遅延時間を算出するための手段を含む、請求項1または2に記載の車両の異常報知装置。
- 前記検知手段は、前記油圧機構における油圧が低いと、前記油圧機構が異常であることを検知するための手段を含み、
前記検知遅延時間は、前記油圧機構が異常でない場合において、前記エンジンの始動後に、前記エンジンの一時停止中に低下した油圧が、予め定められた油圧まで上昇するまでの時間に基づいて設定される、請求項3または4に記載の車両の異常報知装置。
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