JP2007210847A - クロロシラン類の反応装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高周波誘導加熱コイルによって1000℃以上に加熱される反応部を有するクロロシラン類−水素の反応装置において、腐食性ガスの雰囲気下に曝され、高周波誘導加熱コイルからの磁束の作用を受け、且つ、1000℃以上の温度領域となる位置に部材を配置する場合に、該部材の劣化が少なく、さらに生成物の汚染が低減される反応装置を提供する。
【解決手段】上記部材を、ムライトまたは、酸化物を焼結助剤とした窒化珪素で形成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、高周波誘導加熱コイルによって高温に加熱される反応部を有し、クロロシラン類と水素との反応を行うための新規な反応装置に関するものであり、特に、高周波誘導加熱コイルからの磁束によって高温に加熱される部材が、高温に加熱されることにより腐食されて早く劣化したり、腐食された素材が揮発して原料ガスを汚染したりすることを防止する技術の改良に関するものである。
従来、半導体、太陽光発電用電池などの原料として使用されるシリコンを製造するための種々の方法が知られており、これらのうちで、幾つかの方法は既に工業的に実施されている。
例えば、その一つはジーメンス法と呼ばれる方法であり、この方法では、通電によりシリコンの析出温度に加熱したシリコン棒をベルジャーの内部に配置し、このシリコン棒にトリクロロシラン(SiHCl3)やモノシラン(SiH4)を、水素等の還元性ガスとともに接触させてシリコンを析出させる。
この方法では高純度なシリコンが得られ、一般的な方法として工業的に実施されているが、バッチ式でシリコンの析出を行うため、種となるシリコン棒の設置、シリコン棒の通電加熱、析出、冷却、取り出し、ベルジャーの洗浄などの一連の過程を、バッチごとに繰り返す必要があり、煩雑な操作を要する。
一方、連続的に多結晶シリコンを製造可能な方法として、図1に示したような構造を有する装置による方法が提案されている(特許文献1、2)。このシリコン製造装置は、密閉容器1内に、カーボンを基材とする反応管11と、この反応管11の上部側に設置され、クロロシラン類、またはクロロシラン類と水素とを反応管11の内部へ供給する原料ガス供給口6と、反応管11の外周に設置した高周波誘導加熱コイル15とを備えている。また、図示はしていないが、反応管11と高周波誘導加熱コイル15との間には必要に応じて断熱材(保温部材)が設置される。
同図の装置により、反応管11を高周波誘導加熱コイル15からの電磁波によってシリコンの融点以上に加熱し、原料ガス供給口6から供給されたクロロシラン類を反応管11の内面に接触させて液体シリコンを析出させ、下端部11aから落下させて冷却回収室21でシリコン製品を回収することができる。また反応管11の温度をシリコンの融点未満に設定する場合には、時折反応管11の温度をシリコンの融点以上に上昇させることによ
り、析出物の一部または全部を溶融させて落下させることができる。
このようなシリコン製造装置の密閉容器1内において、反応管11の内面以外の領域でシリコンが析出すると、長期間の使用において、運転阻害等の要因となることが判明した。これを抑制するための手段として、シリコン析出を防止する必要がある領域、例えば反応管11と原料ガス供給管5との隙間、あるいは反応管11の外周側領域および反応管11の下端部11aに、シールガス供給口を設けて水素等のシールガスを供給し、シールガス雰囲気で満たすことが有効であることが分かった。
また、反応管11の下端部11aおよびその周辺におけるシリコン析出を有効に防止するための技術として、本出願人は、反応管11の下端部11a周辺を図1に示したような構造とした技術を提案し、既に特許出願している。この技術では、反応管11の下端部1
1a近傍の外周側に、環状のスリットを成し、下端部11aに向かってシールガスおよび/またはエッチングガスを供給する第1ガス供給口31が設けられる。さらに、好ましくは、第1ガス供給口31から離間した位置に、第1ガス供給口31を形成する部材における第1ガス供給口31の外側周囲の壁面に向けてシールガスおよび/またはエッチングガスを供給する第2ガス供給口33が設けられる。
このような構造とすることで、例えば反応管11に巻回された保温部材、反応管11の下端部11aを加熱する加熱装置などが設置される反応管11の外周側領域や、反応管11の下端部11aへのシリコン析出を、少ない供給ガス量で抑制できる。
さらに、第1ガス供給口31を形成する部材の壁面は、反応管11からの輻射熱等によって高温に加熱される結果、反応管11の内部からの原料ガスによってシリコンが析出し易くなるが、第1ガス供給口31から離間した位置に第2ガス供給口33を設けることによって、第2ガス供給口33から上記部材における第1ガス供給口31の外側周囲の壁面に向けてシールガス等を供給するようにしたので、第1ガス供給口31を形成する部材の壁面へのシリコン析出を抑制することができる。その結果、第1ガス供給口31の形状は長時間維持され、その間、第1ガス供給口31から反応管11の下端部11aへのシールガス等の供給は阻害されない。
また、図1と同様の装置が、クロロシラン類と水素とを反応管11の内面に接触させて水素還元反応させ、目的とするクロロシラン類を生成させる反応装置としても用いられている。例えば、多結晶シリコン製造のための原料ガスを回収する等の目的で、四塩化珪素をトリクロロシランに還元するために図1と同様の装置が用いられている。
特開2003−2627号公報 特開2002−29726号公報
しかしながら、本発明者らの確認によれば、反応管11の周囲、特に、下端部11aの周囲に配置された部材は、水素、水素/塩化水素、不活性ガス/塩化水素などの腐食性ガスの雰囲気下に曝されると共に高温に加熱されることにより、腐食されて早く劣化したり、腐食された素材が揮発して原料ガスを汚染し、その結果、製造されたシリコンを汚染したりするという問題が発生する。こうした現象は、特に1200℃以上の温度に加熱された場合に顕著になる。
さらに、上記部材は反応管からの強い輻射熱を受けるために耐熱性を必要とし、高温下で化学的安定性の高いカーボン等を材質とする場合が多いが、このような材質は高温下で導体であるため、輻射による加熱以外にも、高周波誘導加熱コイルからの磁束によって直接に加熱されて異常な高温となり、本発明者らの研究によれば、予想以上のダメージを受けていることが判明した。
また、カーボン等を材質とする上記部材は、高周波誘導加熱コイルと反応管との間に設置すると磁束を遮蔽し、電力ロスまたは局部的な反応管の温度低下の原因となる。
従って、本発明の目的は、高周波誘導加熱コイルによって1000℃以上に加熱される反応部を有するクロロシラン類−水素の反応装置において、上記のような腐食性ガスの雰囲気下に曝され、高周波誘導加熱コイルからの磁束の作用を受け、且つ、1000℃以上の温度領域となる位置に部材を配置する場合に、該部材の劣化が少なく、さらに生成物の汚染が低減される反応装置を提供することにある。
本発明者らは、上記知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、上記部材の材質として特定のムライトまたは窒化珪素を使用することによって、上記環境における部材の劣化が効果的に防止され、必要な機能を発揮するための形状、強度等が長期間維持され、しかも、反応装置内で生成するシリコンやクロロシランなどの製品の汚染を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の反応装置は、高周波誘導加熱コイルによって1000℃以上に加熱される反応部を有する、クロロシラン類と水素とを反応させる反応装置であって、
1000℃以上の温度領域であり、且つ、高周波誘導加熱コイルからの磁束の影響を受ける位置に配置される部材が、ムライト(組成式2SiO2・3Al23)、または、酸
化物を焼結助剤とした窒化珪素(組成式Si34)で形成されていることを特徴とする。
上記の発明における好ましい態様では、前記反応装置は、カーボンを基材として形成され、その上部側から管内部へクロロシラン類と水素とが供給される反応管と、該反応管の外側に周設された高周波誘導加熱コイルと、を備えている。この態様において、前記部材は、反応管の外周側に配置されており、反応管の下端部へシールガスおよび/またはエッチングガスを供給する環スリット状のガス供給口を形成する部材であることが好ましい。
本発明によれば、1000℃以上、特に1200℃以上の温度で腐食性ガスの雰囲気下において使用され、高周波誘導加熱コイルからの磁束が作用する範囲において使用される部材、例えば、高周波誘導加熱コイルの内側に配置される部材の材質として、本発明に開示する特定の組成をもつ材質を用いているので、部材の耐腐食性が高く、部材の交換頻度を極めて少なくすることができる。さらに、当該部材から発生する汚染物質も抑制され、その結果、製造されたシリコン等への汚染が抑制される。
以下、図面を参照しながら本発明について詳細に説明する。本発明の反応装置は、高周波誘導加熱コイルによって1000℃以上に加熱される反応部を有する、クロロシラン類と水素とを反応させる反応装置である。
本発明の反応装置には、反応管の外側に周設された高周波誘導加熱コイルによって加熱された反応管の内面に、クロロシラン類と水素とを接触させて多結晶シリコンを析出させるシリコン製造装置が含まれる。
また、本発明の反応装置には、反応管の外側に周設された高周波誘導加熱コイルによって加熱された反応管の内面に、クロロシラン類と水素とを接触させて水素還元反応を起こし、目的とする反応生成ガスを回収する水素還元反応装置が含まれる。その代表的な例としては、多結晶シリコン製造のための原料ガスを回収する等の目的で、四塩化珪素と水素とを反応管内面に接触させて反応させ、四塩化珪素をトリクロロシランに還元する装置を挙げることができる。
上記のシリコン製造装置および水素還元反応装置のいずれも、基本的な構造は同様であり、図1〜図3の実施形態に示したような構造を有している。以下、図1〜図3の実施形態に係るシリコン製造装置について説明するが、これらの記述は、基本的には、上記の水素還元反応装置についても同様に適用される。
図1は、本発明の一実施形態におけるシリコン製造装置の断面図である。本実施形態のシリコン製造装置は、図1に示すように密閉容器1内に筒状の反応管11を備えている。反応管11の形状は、円筒形状が代表的であり、その下端部11aは下方へ開放されてい
る。
反応管11の基材としては、高周波誘導加熱コイルによる加熱が可能で、シリコンの融液に耐性がある、グラファイトなどのカーボン材が使用される。
反応管11の上部側から反応管11の内部へクロロシラン類と水素とを供給することによって、高周波誘導加熱コイル15で加熱された反応管11の内面に多結晶シリコンを析出させる。
反応に使用するクロロシラン類としては、例えば、トリクロロシラン(SiHCl3
、四塩化珪素(SiCl4)を挙げることができ、この他、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、モノクロロシラン(SiH3Cl)、およびヘキサクロロジシラン(Si2Cl6)に代表されるクロロジシラン類、オクタクロロトリシラン(Si3Cl8)に代表されるクロロトリシラン類も好適に使用できる。これらのクロロシラン類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
原料のクロロシランとして、トリクロロシランまたは四塩化珪素を主成分とするものを用いれば、ガス下流域に悪影響を及ぼすシリコン微粉や発火性のある高沸点シラン類(ポリマー)の発生を低減できるため、より長時間安定した運転が可能になる。
クロロシラン類と共に析出反応に供される水素は、例えば、原料ガス供給管5、シールガス供給口12などから供給される。あるいは、クロロシラン類の供給管とは別途の供給管を反応管11の適当な位置に接続し、この供給管から水素を供給することも可能である。
反応管11の内面をシリコンが析出可能な融点未満の温度にしてシリコンを析出させ、その後、反応管11の内面を融点以上の温度に加熱してシリコンを溶融させて下方へ落下させる方法でシリコンを製造する場合には、図1のように原料ガス供給口6を反応管11の内部に設けるのではなく、原料ガス供給口を反応管11の上面から上に設けてもよい。この場合、反応管11の上面近傍から、クロロシラン類の原料ガス供給口とは別途の経路で水素ガスを供給してもよい。
反応管11は、その外周の高周波誘導加熱コイル15からの電磁波で加熱され、反応管11の内面はシリコンの融点以上の温度か、あるいはこれ未満のシリコンが析出可能な温度に加熱される。
高周波誘導加熱コイル15は、電源からコイルへ通電することにより電磁波を発生して反応管11を加熱する。この電磁波の周波数は、反応管11等の、加熱対象の材質または形状に応じて適切な値に設定され、例えば、数十Hz〜数十GHz程度に設定される。
多結晶シリコンを製造する代表的な方法としては、前述したように2種類の方法があるが、そのうち、前者の方法では、高周波誘導加熱コイル15からの電磁波によって反応管11の内面の温度を、好ましくは950℃以上、より好ましくは1200℃以上、さらに好ましくは1300℃以上のシリコンが析出可能な融点未満の温度に加熱し、原料ガス供給口6から供給されたクロロシラン類を反応管11の内面に接触させてシリコンを固体として析出させる。その後、反応管11の内面をシリコンの融点(概ね1410〜1430℃)以上に加熱、昇温して、析出物の一部または全部を溶融させて下端部11aの開口から落下させ、落下方向に設置された冷却回収室21で回収する。
また、後者の方法では、高周波誘導加熱コイル15からの電磁波によって反応管11の内面の温度をシリコンの融点以上に加熱し、原料ガス供給口6から供給されたクロロシラ
ン類を反応管11の内面に接触させてシリコンを溶融状態で析出させ、シリコン融液を、反応管11の下端部11aの開口から連続的に落下させて、落下方向に設置された冷却回収室21で回収する。
これらの製造方法において、シリコン融液は、反応管11の内面に沿って下方へ流れ、下端部から液滴として自由落下して、落下中または落下後に固化する。冷却回収室21に落下したシリコンは、必要に応じて、シリコン、カーボン等の固体冷却材、液体四塩化珪素、液体窒素等の液体冷却材、または、図1に示すように、冷却回収室21に設けた冷却ガス供給口22から供給される冷却ガスにより冷却される。
また、冷却回収室21には、必要に応じて、図1に示すように、固化したシリコンを連続的または断続的に抜き出す取出口23を設けてもよい。
図2(a)は、本発明の別の実施形態におけるシリコン製造装置の反応管下端部の周辺を示した断面図、図2(b)はそのA−A線による断面図である。図示したように、反応管11の外周側には環状部材32が設けられており、保温部材36、高周波誘導加熱コイル15等が設置された反応管11の外側領域は、環状部材32および底板39等によって、その下方の空間から隔離されている。
環状部材32の内周面と反応管11の外周面との間で形成された環スリットからなる第1ガス供給口31を通して、シールガス37が反応管11の下端部11aへ供給される。
ここで、反応管11の下端部11aとは、同図の破線で囲った領域内における管表面のことを示している。
環状部材32の下方には、リング状部材34が配置されている。リング状部材34には周状の第2ガス供給口33が設けられ、外部に連通するガス供給管等が接続されている。リング状部材34の第2ガス供給口33から環状部材32の底面に向けてシールガス38が供給され、これにより、環状部材32の底面へのシリコン析出を抑制している。
図3は、本発明の別の実施形態におけるシリコン製造装置の反応管下端部の周辺を示した断面図である。図示したように、反応管11の外周側には環状部材32が設けられており、保温部材36、高周波誘導加熱コイル15等が設置された反応管11の外側領域は、環状部材32等によって、その下方の空間から隔離されている。
環状部材32の内周面と反応管11の外周面との間で形成された環スリットからなる第1ガス供給口31を通して、シールガス37が反応管11の下端部11aへ供給される。
環状部材32には、多数の細孔40が設けられており、これらの細孔40の出口は環状部材32の内周面に、周に沿って配置されている。これらの細孔40によって第2ガス供給口33が構成され、第2ガス供給口33から環状部材32における第1ガス供給口31の外側周囲の壁面(細孔40の出口の上部側における内周面)に向けてシールガス38が供給され、これにより、該壁面へのシリコン析出を抑制している。すなわち、図3の環状部材32は、図1および図2に示した環状部材32と同様な機能を有する。
以上に説明したシリコン製造装置において、次のような問題が生じることが確認された。すなわち、反応管11の周囲、特に、下端部11aの周囲に配置された部材、具体的には環状部材32、および第2ガス供給口33を形成する部材が、高周波誘導加熱コイル15により誘導加熱されたカーボン製の反応管11からの輻射熱等によって1000℃以上の温度に加熱されるようになり、すると、原料ガス、シールガス、エッチングガス等に含まれる水素、水素/塩化水素、不活性ガス/塩化水素などを含有する腐食性ガスの雰囲気下において、高温に加熱された上記の部材が腐食されて早く劣化したり、腐食された素材が揮発してガスを汚染し、その結果、製造されたシリコンを汚染したりするようになった
。こうした現象は、特に1200℃以上の温度に加熱された場合に顕著になる。このような問題は、水素還元反応装置においても同様に生じ得る。
また、このように反応管11からの輻射熱等によって高温に加熱される領域は、高周波誘導加熱コイル15からの磁束の影響を受けるので、カーボン、炭化珪素などのような素材で上記の部材を形成すると、誘導加熱により部材そのものが異常発熱し、他の部材の劣化を早め、あるいは著しく損傷させる。
このような問題点を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、クロロシラン類の反応装置における、1000℃以上の温度で水素および/または塩化物を含有するガスに接触し、且つ、高周波誘導加熱コイルからの磁束に対する絶縁特性を必要とする部材を、ムライトまたは、酸化物を焼結助剤とした窒化珪素で形成することが有効であることを見出した。
即ち、ムライトまたは前記特定の窒化珪素は、他の耐熱性材料よりなる部材と比べて、上記環境下での耐食性、揮発によるガス汚染または製品汚染の少なさ、絶縁性能のいずれにおいても優れており、前記の条件下で装置を運転したときに生じる問題を効果的に防止することができる。
これに対して、上記部材の材質として、例えば炭化珪素(組成式SiC)を用いた場合、絶縁性能が低く、高周波誘導加熱コイルからの磁束によって加熱されて異常発熱する場合が多い。
上記部材の材質として、アルミナ(組成式Al23)、ジルコニア(組成式ZrO2
、窒化ホウ素(組成式BN)を用いた場合では、劣化速度は遅く形状(構造)は比較的長期間維持されるが、不純物の放出量の増大により製品汚染が生じる場合が多い。また、コージライト(組成式2MgO・2AlO3・5SiO2)、珪酸カルシウム(組成式CaSiO3)などでは、製品汚染に加えて、著しい劣化等により、形状(構造)の崩壊や、必
要なシール機能の低下が早く進行する場合がある。
さらに、上記部材の材質として、例えばカーボン(組成式C)を使用すると、高周波誘導加熱コイルからの磁束によって加熱されて異常発熱し、劣化が促進されてしまう。また、本発明者らは、シリコン(組成式Si)、マグネシア(組成式MgO)、石英(組成式SiO2)等の材質により前記部材を作製して試験を行ったが、後述する比較例に示すよ
うに、それぞれ満足できるものではなかった。
前記酸化物を焼結助剤とした窒化珪素において、焼結助剤として用いられる酸化物は、好ましくは、アルミニウム、イットリウム、またはスカンジウムを金属元素の主成分とした酸化物であり、具体的には酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化イットリウム(イットリア)、酸化スカンジウムなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。酸化物焼結助剤の配合量は、公知の使用量が特に制限なく採用されるが、10重量%以下であることが好ましい。
密閉容器内において、1000℃以上の温度で腐食性ガスに接触する箇所は、主に反応管の周囲であって高周波誘導加熱コイルの内側の領域であるが、上記のセラミックスを用いた部材は、その少なくとも一部を高周波誘導加熱コイルの内側に配置しても、高周波誘導加熱コイルからの磁束によって異常発熱してしまうことがない。
なお、ここで「高周波誘導加熱コイルの内側」とは、高周波加熱コイルの磁束が十分に及ぶ範囲であれば、コイル内部に限定されず、例えば、高周波誘導加熱コイルの下端部よ
りも下方の範囲も包含される。
上記の範囲に配置される部材の具体例としては、反応管の下端部周辺に配置される以下の部材が挙げられる。
(i)反応管の外周側に配置されるガス遮蔽用隔壁
(ii)反応管の外周側に配置され、反応管の下端部へシールガスおよび/またはエッチングガスを供給する環スリット状のガス供給口を形成する部材
(iii−1)反応管の下端部に向かってシールガスおよび/またはエッチングガスを供
給する環スリット状の第1ガス供給口を反応管の下端部近傍の外周側に形成する部材
(iii−2)第1ガス供給口から離間した位置に、第1ガス供給口を形成する部材にお
ける第1ガス供給口の外側周囲の壁面に向けてシールガスおよび/またはエッチングガスを供給する第2ガス供給口を形成する部材
すなわち、図1〜図3に示した第1ガス供給口31を形成する部材、例えば環状部材32や、第2ガス供給口33を形成する部材、あるいは、これらの部材を支持する部材などが上記部材として例示される。これらの部材は、主に反応管11の下端部11a近傍からの輻射熱によって加熱されて1000℃以上になる場合があり、特に、第1ガス供給口31を形成する部材は、装置をスケールアップすると1000℃以上に加熱されることが多い。また、これらの部材は、原料ガス、シールガス、エッチングガス等に含まれる腐食性ガスの雰囲気に曝される。
上記した反応管の外周側に配置されるガス遮蔽用隔壁には、第1ガス供給口を形成する機能をもつ部材の他、シリコン析出を引き起こす可能性があるガスがその外側へ流出することを防止して内側に閉じ込める機能をもつ部材が含まれる。
この他、上記の範囲に配置される部材の具体例としては、反応管の外周に巻かれる保温部材の支持部を構成する部材などが挙げられる。
本発明によれば、1000℃以上、特に1200℃以上の温度で腐食性ガスの雰囲気下において使用される部材、例えば、高周波誘導加熱コイルの内側に配置される部材の材質として、特定の組成をもつセラミックスを用いているので、耐腐食性が高く長期間の使用が可能である。また、当該部材の揮発によって反応管内部のガスを汚染し、その結果、製造されたシリコン等を汚染することがない。さらに、反応管を加熱する高周波誘導加熱コイルから生じる磁束により部材そのものが異常発熱することがない。
上記の部材は、その全てが上記のセラミックスで形成されていてもよく、上記した本発明の効果を得る上で必要な部分のみ上記のセラミックスで形成されていてもよい。例えば、反応管の外周に巻かれる保温部材(図2および図3の符号36)は、典型的には、密度の低いカーボン材で形成されるが、高周波誘導加熱コイルからの磁束による突発的な通電発熱を防止するために、螺旋状等に縦方向へカーボン材を切断した部分を設けて、当該部分に上記のセラミックスを設けてこの隙間を繋げることで、保温部材の円周方向への通電を防止することができる。
以上、好ましい実施形態を挙げながら本発明について説明したが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変形、変更が可能である。
例えば、上述した好ましい実施形態においては第1ガス供給口および第2ガス供給口を設けたが、本発明にはこれらを設けない態様、あるいは第2ガス供給口を設けずに第1ガス供給口のみ設ける態様も包含される。
実施例
以下、さらに具体的な実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1、2]
円筒状のカーボン製反応管における下端部近傍の外周に、反応管の下端部へシールガスおよび/またはエッチングガスを供給する環スリット状のガス供給口を形成する図2に示した構造の部材(環状部材32、以下、「ガス供給口形成用部材」という)が配置された、前述した実施形態と同様な装置構成を有する反応装置を用いて、多結晶シリコンの製造および、クロロシランガスの水素還元を行った。ガス供給口形成用部材の素材として、ムライト(実施例1)、イットリウム酸化物を主成分とする焼結助剤を用いた窒化珪素(実施例2)を使用した。
高周波誘導加熱コイルによって反応管を1500℃〜1600℃に加熱し、反応管の上部側から反応ガスを供給しながら反応を行った。
装置の運転時において、ガス供給口形成用部材に接触するガスは、窒素、水素、塩化水素およびトリクロロシランであった。また、ガス供給口形成用部材に接触するガスの温度は1200℃、ガス供給口形成用部材の温度は1200℃以上であった。
以上の条件下で24時間の運転を行った後、ガス供給口形成用部材の状態と、回収したシリコンおよびクロロシランガスの純度を確認した。その結果を表1に示す。
[比較例1〜10]
ガス供給口形成用部材の素材として、表1に示したものを用いた以外は、実施例1と同一の条件で反応を行った。24時間の運転後、ガス供給口形成用部材の状態と、回収したシリコンおよびクロロシランガスの純度を確認した。その結果を表1に示す。
Figure 2007210847
図1は、本発明の一実施形態におけるシリコン製造装置の概略構成を示した断面図である。 図2(a)は、本発明の別の実施形態におけるシリコン製造装置の反応管下端部周辺を示した断面図である。図2(b)は、図1(a)のA−A線による断面図である。 図3は、本発明の別の実施形態におけるシリコン製造装置の反応管下端部周辺を示した断面図である。
符号の説明
1 密閉容器
2 シールガス供給口
3 ガス排出口
4 上部空間
5 原料ガス供給管
6 原料ガス供給口
7 冷却媒体供給口
8 冷却媒体排出口
11 反応管
11a 下端部
12 シールガス供給口
15 高周波誘導加熱コイル
16a,16b 冷却ジャケット
17a,17b 冷却媒体供給口
18a,18b 冷却媒体排出口
21 冷却回収室
22 冷却ガス供給口
23 シリコン取出口
24 回収されたシリコン
31 第1ガス供給口
32 環状部材
33 第2ガス供給口
34 リング状部材
36 保温部材
37 シールガスの流れ
38 シールガスの流れ
39 底板
40 細孔

Claims (3)

  1. 高周波誘導加熱コイルによって1000℃以上に加熱される反応部を有する、クロロシラン類と水素とを反応させる反応装置であって、
    1000℃以上の温度領域であり、且つ、高周波誘導加熱コイルからの磁束の影響を受ける位置に配置される部材が、ムライトまたは、酸化物を焼結助剤とした窒化珪素で形成されていることを特徴とする反応装置。
  2. カーボンを基材として形成され、その上部側から管内部へクロロシラン類と水素とが供給される反応管と、
    該反応管の外側に周設された高周波誘導加熱コイルと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
  3. 前記部材は、反応管の外周側に配置されており、該部材は、反応管の下端部へシールガスおよび/またはエッチングガスを供給する環スリット状のガス供給口を形成する部材であることを特徴とする請求項2に記載の反応装置。
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