ところで、上述のように巻取軸端部構造体が一定位置に固定されていない自由状態になっていると、巻取軸によるシャッターカーテンの巻き取り、繰り出しを行うときにチェーンに引張力が作用することにより、上記巻取軸端部構造体には、この引張力に基づく上下方向の回動力が生ずることになる。この回動力によって巻取軸端部構造体が上下方向に回動すると、巻取軸によるシャッターカーテンの円滑な巻き取り、繰り出しに支障が生ずるおそれがあるため、巻取軸端部構造体が上下方向に回動することを抑止できる工夫をシャッター装置に行うことが求められる。
本発明の目的は、一定位置に固定されていない自由状態となっている巻取軸端部構造体の上下方向の回動を抑止できるようになる開閉装置の巻取軸端部構造を提供するところにある。
本発明に係る開閉装置の巻取軸端部構造は、下側に配置されている巻取軸支持手段によって上向きに支持され、開閉体を巻き取り、繰り出すために正逆回転可能となっている巻取軸と、この巻取軸の端部に取り付けられたブラケットと、このブラケットに、前記巻取軸からこの巻取軸の直径方向にずれた位置に取り付けられ、前記巻取軸を回転させるための駆動装置と、この駆動装置の駆動力を前記巻取軸に伝達するための無端走行部材を有する駆動力伝達手段と、を含んで構成されている巻取軸端部構造体が、一定位置に固定されていない自由状態となっているシャッター装置において、前記巻取軸端部構造体に生ずる上下方向の回動力に対抗するための回動力対抗構造体を備えていることを特徴とするものである。
本発明に係る開閉装置の巻取軸端部構造は、巻取軸端部構造体に生ずる上下方向の回動力に対抗するための回動力対抗構造体を備えているため、巻取軸による開閉体の巻き取り、繰り出しを行うときに無端走行部材に引張力が作用することにより、上記巻取軸端部構造体にこの引張力に基づく上下方向の回動力が生じても、巻取軸端部構造体が上下方向に回動することを回動力対抗構造体によって抑止することができることになり、これにより、巻取軸による開閉体の円滑な巻き取り、繰り出しを実現できる。
なお、ここでいう無端走行部材に作用する引張力とは、開閉体が自重で下方へ閉じ移動するときの巻取軸の回転によって無端走行部材に作用する引張力でよく、あるいは、開閉体を巻取軸で巻き取るため又は巻取軸から繰り出すために、前記駆動装置が巻取軸を回転させたときに無端走行部材に作用する引張力でよい。
また、上記無端走行部材はチェーンでもよく、ベルト等でもよい。すなわち、上記駆動力伝達手段は、チェーン方式のものでもよく、ベルト方式のもの等でもよい。
また、巻取軸の下側に配置されていてこの巻取軸を上向きに支持するための前記巻取軸支持手段は、例えば、ローラ等のように回転する部材で巻取軸を支持するものでもよく、あるいは、巻取軸と接触する箇所が平坦面や湾曲面等となっていて回転しない受け部材等で巻取軸を支持するものでもよく、さらには、回転部材と非回転部材の両方で巻取軸を支持するものでもよい。また、巻取軸支持手段は、巻取軸を支持する部材が巻取軸の円周方向の1箇所、例えば、巻取軸の真下に配置されたものでもよく、巻取軸の円周方向の複数個所に配置されたものでもよい。
さらに、巻取軸の長さ方向における巻取軸支持手段の個数は任意であり、1個でもよく、複数個でもよく、さらに、巻取軸の長さ方向における巻取軸支持手段の長さも任意である。
また、前述した回動力対抗構造体の構造及びこの回動力対抗構造体を構成する手段の個数は、任意であり、例えば、この回動力対抗構造体を、巻取軸から開閉体が繰り出される繰出位置に対し、共に巻取軸の直径方向にずれて配置されている少なくとも2個の回動力対抗手段によって構成してもよい。
これによると、少なくとも2個の回動力対抗手段により、巻取軸端部構造体に生ずる上下方向の前記回動力に対して有効に対抗できることになる。
そして、巻取軸端部構造体に生ずる上下方向の前記回動力に対して一層有効に対抗できるようにするためには、上記2個の回動力対抗手段のうち、一方の回動力対抗手段を巻取軸端部構造体に上向きの対抗力を作用させる手段とし、他方の回動力対抗手段を巻取軸端部構造体に下向きの対抗力を作用させる手段とすればよい。
このように、2個の回動力対抗手段のうち、一方の回動力対抗手段を巻取軸端部構造体に上向きの対抗力を作用させる手段とし、他方の回動力対抗手段を巻取軸端部構造体に下向きの対抗力を作用させる手段とする場合には、これらの回動力対抗手段の配置位置は、巻取軸端部構造体に生ずる上下方向の回動力に対して効果的に対抗できるようにするために、巻取軸から開閉体が繰り出される繰出位置との関係において決めればよい。
すなわち、上記繰出位置が、巻取軸の軸芯位置と駆動装置の配置位置との間の位置になっている場合には、巻取軸端部構造体に上向きの対抗力を作用させる前記一方の回動力対抗手段を、繰出位置よりも駆動装置の配置位置側に配置し、巻取軸端部構造体に下向きの対抗力を作用させる前記他方の回動力対抗手段を、繰出位置よりも巻取軸の軸芯位置側に配置する。
このように巻取軸端部構造体に上向きの対抗力を作用させる前記一方の回動力対抗手段を、繰出位置よりも駆動装置の配置位置側に配置し、巻取軸端部構造体に下向きの対抗力を作用させる前記他方の回動力対抗手段を、繰出位置よりも巻取軸の軸芯位置側に配置する場合には、前記他方の回動力対抗手段を、巻取軸端部構造体が上下方向に移動することを許容する手段とすることが好ましい。
これによると、巻取軸によって開閉体の巻き取り、繰り出しが行われ、これによって巻取軸での開閉体の巻径が変化し、巻取軸が前記巻取軸支持手段に対して上下動しても、巻取軸端部構造体にこの上下動に追随した上下方向の移動を行わせることができるため、巻取軸による開閉体の巻き取り、繰り出しを所定どおり円滑に行える。
また、上記繰出位置が、巻取軸の軸芯位置に対して駆動装置の配置位置とは反対側の位置になっている場合には、巻取軸端部構造体に下向きの対抗力を作用させる前記他方の回動力対抗手段を、巻取軸の軸芯位置よりも駆動装置の配置位置側に配置し、巻取軸端部構造体に上向きの対抗力を作用させる前記一方の回動力対抗手段を、駆動装置の配置位置よりも巻取軸の軸芯位置側に配置する。
このように巻取軸端部構造体に下向きの対抗力を作用させる前記他方の回動力対抗手段を、巻取軸の軸芯位置よりも駆動装置の配置位置側に配置し、巻取軸端部構造体に上向きの対抗力を作用させる前記一方の回動力対抗手段を、駆動装置の配置位置よりも巻取軸の軸芯位置側に配置する場合には、前記一方の回動力対抗手段を、前記巻取軸端部構造体が上下方向に移動することを許容する手段とすることが好ましい。
これによると、この場合にも、巻取軸によって開閉体の巻き取り、繰り出しが行われ、これによって巻取軸での開閉体の巻径が変化し、巻取軸が前記巻取軸支持手段に対して上下動しても、巻取軸端部構造体にこの上下動に追随した上下方向の移動を行わせることができるため、巻取軸による開閉体の巻き取り、繰り出しを所定どおり円滑に行える。
なお、以上のように巻取軸が巻取軸支持手段に対して上下動したときに、巻取軸端部構造体にこの上下動に追随した上下方向の移動を行わせことができる回動力対抗手段は、例えば、ばねやゴム等の弾性力を利用したものでもよく、ウエイト部材の重量等を利用したものでもよく、その対抗力発生原理は任意である。
また、前述した2個の回動力対抗手段のうちの1個の回動力対抗手段の対抗力は、前記巻取軸に作用させてもよく、前記ブラケットに作用させてもよく、前記駆動装置等に作用させてもよい。また、残りの回動力対抗手段の対抗力は、前記巻取軸に作用させてもよく、前記ブラケットに作用させてもよく、前記駆動装置等に作用させてもよい。
また、巻取軸の前述した端部と、開閉体を巻き取り、繰り出す巻取軸の本体部分とを直接連結してもよく、あるいは、例えば、ユニバーサルジョイント等による芯ずれ吸収手段を介して連結してもよい。
後者によると、開閉体の巻き取り、繰り出しによって巻取軸での開閉体の巻径が変化し、この巻径の変化により、巻取軸が前記巻取軸支持手段に対して上下動し、巻取軸のこの上下動に対し、上述した回動力対抗構造体による対抗力が作用している巻取軸端部構造体が充分に追従した上下動を行えなくても、巻取軸の本体部分と、巻取軸の端部が取り付けられている前記ブラケットとの間で生ずる芯ずれは、上記芯ずれ吸収手段によって吸収できることになる。
また、前記2個の回動力対抗手段のうちの1個の回動力対抗手段を、駆動装置に当接する当接部を有するものとし、これにより、巻取軸端部構造体を、駆動装置を中心に上下方向に回動自在としてもよい。
これによると、巻取軸端部構造体は、上記当接部が当接している駆動装置を中心に上下方向に回動自在するものとなり、前記2個の回動力対抗手段のうちの残りの回動力対抗手段を、この巻取軸端部構造体に生ずる上下方向の回動力に対する対抗力を巻取軸端部構造体に作用させるものとすればよくなるため、前記少なくとも2個の回動力対抗手段で構成される前記回動力対抗構造体の全体の構造を簡単化することができる。
なお、上記当接部は、前記2個の回動力対抗手段のうちの前記1個の回動力対抗手段が1個の部材で形成されている場合には、この部材でもよく、この部材の一部でもよく、また、前記2個の回動力対抗手段のうちの前記1個の回動力対抗手段が複数個の部材で形成されている場合には、これらの部材で形成されたこの回動力対抗手段自身の一部でもよく、これらの部材のうちの1個でもよく、この1個の部材の一部でもよい。
また、以上説明した本発明は、一定位置に固定されていない自由状態となっている前述した巻取軸端部構造体が巻取軸の一方の端部だけに設けられている場合と、巻取軸の両方の端部に設けられている場合と、巻取軸端部構造体が設けられていない巻取軸の他方の端部が一定位置に固定された非自由状態となっている場合と、この巻取軸の他方の端部も、一定位置に固定されていない自由状態となっている場合とに適用できる。
巻取軸の他方の端部も、一定位置に固定されていない自由状態となっている場合には、本発明に係る巻取軸端部構造を、巻取軸がこの巻取軸の軸方向とこの巻取軸の直径前後方向とに移動することを阻止するための巻取軸移動阻止手段を備えているものとすることが好ましい。
これによると、巻取軸の一方の端部に設けられた巻取軸端部構造体と、巻取軸の他方の端部とが一定位置に固定されていない自由状態となっていても、巻取軸と、この巻取軸に前記ブラケットを介して取り付けられた前記駆動装置とが巻取軸の軸方向と巻取軸の直径前後方向とに移動することを巻取軸移動阻止手段によって阻止することができ、たとえ巻取軸や駆動装置等に予定外の外力が作用しても、巻取軸を前記巻取軸支持手段で上向きに支持された所定位置に維持させることができる。
以上説明した本発明は、巻取軸がこの巻取軸の下側に配置された巻取軸支持手段によって上向きに支持されるものとなっているため、巻取軸の自重や開閉体の重量によって下側への撓む量が大きくなる長寸法の巻取軸を備えた大スパン用の開閉装置に主に有効に適用することができるが、本発明は、これに限らず、小スパン用の開閉装置等にも適用することができる。
また、本発明は任意な開閉装置に適用することができ、すなわち、本発明が適用される開閉装置は、開閉体がシャッターカーテンになっているシャッター装置でもよく、開閉体が防煙垂れ幕となっている防煙垂れ幕装置でもよく、開閉体がスクリーンとなっているロールスクリーン装置等でもよい。
また、本発明がシャッター装置に適用される場合には、そのシャッター装置は任意な用途のシャッター装置でよく、そのシャッター装置は、巻取軸から繰り出されたシャッターカーテンで防災区画を形成するための防災用シャッター装置(エレベータのためのものを含む)でもよく、シャッターカーテンで出入口や窓等の開口部を開閉する開口部用シャッター装置でもよく、さらに、車庫用シャッター装置でもよく、物置用シャッター装置でもよく、トラック等の車両の荷台に搭載される車搭用シャッター装置等でもよい。
さらに、本発明がシャッター装置に適用される場合には、そのシャッター装置は、巻取軸を回転させるための前記駆動装置を備えたシャッター装置となるが、本発明は、巻取軸の回転を駆動装置だけではなく手操作でも行える自動式と手動式の両方の機能を備えたシャッター装置にも適用でき、さらに、本発明は、上記駆動装置がシャッターカーテンを巻取軸に巻き取るときに巻取軸を回転させるために利用され、シャッターカーテンを繰り出すときの巻取軸の回転は、シャッターカーテンの自重やウエイト部材の自重等を利用して行われるシャッター装置等にも適用できる。
また、本発明において、巻取軸の構造、形式は任意である。すなわち、巻取軸は、1本の軸により又は複数の軸を直列的に連結することにより形成されたものでもよく、中心に配置された固定軸の外周に、シャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための回転部材が回転自在に配置されたものでもよい。また、後者における回転部材は、固定軸の外周に回転自在に嵌合された複数個のホイールと、固定軸の軸方向に離間して配置されたこれらのホイール同士を連結するバー状等の連結部材とを含んで形成されたものでもよく、あるいは、これらのホイールと、これらのホイールの外周に固定嵌合されてホイール同士を結合するパイプ状部材とを含んで形成されたもの等でもよい。
また、シャッターカーテンは、全体又は略全体がスラットで形成されたものでもよく、パネルで形成されたものでもよく、シートで形成されたものでもよく、リンクで連結されたパイプで形成されたものでもよく、ネットで形成されたものでもよく、さらには、種類が異なる複数の部材の複合、例えば、スラットとシートのように、これらのうちの複数の複合で形成されたもの等でもよい。
本発明によると、巻取軸端部構造体が一定位置に固定されていない自由状態となっていても、この巻取軸端部構造体が上下方向に回動することを抑止できるという効果を得られる。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る巻取軸端部構造が適用された開閉装置となっているシャッター装置の全体を示す正面図であり、開閉体がシャッターカーテンとなっているこのシャッター装置は、天井部材1によって室内空間2と区画されている天井空間3に水平に配置されている巻取軸10から繰り出されるシャッターカーテン11により、室内空間2に防火、防煙のための防災区画を形成するための防災用シャッター装置となっている。
図1のS2−S2線断面図である図2に示されているように、上端が巻取軸10に結合されて巻取軸10に巻き取られているシャッターカーテン11は、天井部材1に配設されたまぐさ部材4に形成されているスリットを通って天井裏空間3から室内空間2に達しており、図1で示されている室内空間2における壁や柱等の建物躯体5に取り付けられているガイドレール6にシャッターカーテン11の幅方向両端部である左右両端部がスライド自在に挿入されているため、これらのガイドレール6で案内されながらシャッターカーテン11は、巻取軸10の正逆回転による巻き取り、繰り出しによって上下方向に開閉移動する。シャッターカーテン11は、金属製の座板11Aを除く全部又は略全部が、耐火塗料を塗布及び/又は含浸させた耐火シートで形成されており、シャッターカーテン11の下降で座板11Aが室内空間2の床2Aに着床することにより、シャッターカーテン11は全閉となって上記防災区画を形成し、また、シャッターカーテン11の上昇で座板11Aがまぐさ部材4に達すると、シャッターカーテン11は全開となる。
図2で示されているように、天井裏空間3に存在する建物躯体7には、L字形の支持部材31が取り付けられ、図1で示されているように、この支持部材31は巻取軸10の長さ方向に複数設けられ、これらの支持部材31の図2で示す水平部31A同士には、巻取軸10の略全長の長さとなっているベース部材32が架設固定され、このベース部材32の上に、巻取軸10の下側に配置されていて巻取軸10を上向きに支持する巻取軸支持手段33が配置されている。本実施形態に係る巻取軸支持手段33は、回転部材である2個のローラ34と、これらのローラ34を回転自在に保持しているローラ保持部材35とで構成され、2個のローラ34は巻取軸10に巻き取られているシャッターカーテン11に巻取軸10の円周方向に離れた2箇所で下側から当接しているため、この巻取軸支持手段33は、巻取軸10を、この巻取軸10の円周方向の2箇所(あるいは、巻取軸2の直径水平方向又は略直径水平方向に離れた2箇所)において支持する手段となっている。
このような巻取軸支持手段33は、図1で示されているとおり、巻取軸10の長さ方向に複数個設けられている。
また、シャッターカーテン11を巻き取り、繰り出すための巻取軸10の本体部分からは、巻取軸10の一方の端部となっている図1の右側の端部10Aが突出しており、この端部10Aは、図1のS3−S3線断面図である図3に示されているブラケット37に回転自在に挿通されて取り付けられ、このようにしてブラケット37に取り付けられている端部10Aのブラケット37から突出した軸端には、大径スプロケットホイール38が固定されている。そして、本実施形態では、この端部10Aが巻取軸10の上記本体部分に直接連結された構造となっている。
また、ブラケット37には、巻取軸10からこの巻取軸10の直径方向に離れた位置において、巻取軸10を回転させるための駆動装置である開閉機40が取り付けられ、ブラケット37に対して巻取軸10と同じ側に配置されているこの開閉機40の駆動軸40Aはブラケット37を貫通しており、この駆動軸40Aのブラケット37を貫通して突出した軸端に小径スプロケットホイール41が固定され、この小径スプロケットホイール41と大径スプロケットホイール38とに無端走行部材であるチェーン42が架け渡されている。これらの小径スプロケットホイール41と大径スプロケットホイール38とチェーン42とにより、電動モータとブレーキの組み合わせからなる開閉機40の駆動軸40Aからの回転駆動力を巻取軸10へ伝達するための駆動力伝達手段が構成されている。
そして、巻取軸10と、この巻取軸10の端部10Aに取り付けられたブラケット37と、このブラケット37に取り付けられた開閉機40と、無端走行部材となっているチェーン42を有している上記駆動力伝達手段とにより、巻取軸10の一方の端部であるこの端部10A側の巻取軸端部構造体50が構成されている。この巻取軸端部構造体50は、巻取軸10と開閉機40が取り付けられているブラケット37が、天井裏空間3に存在する前記建物躯体7に結合されていなくて一定位置に固定されていないため、一定位置に固定されていない自由状態となっている。
このように巻取軸端部構造体50を、一定位置に固定されていない自由状態とした場合には、後述するように、この巻取軸端部構造体50には上下方向の回動力が生ずるため、この実施形態に係る防災用シャッター装置には、この回動力に対抗し、巻取軸端部構造体50の上下方向の回動を抑止するための回動力対抗構造体60が設けられている。この回動力対抗構造体60の構造は、以下のように構成されている。
図3で示されているように、建物躯体7には、この建物躯体7から巻取軸10側への方向となっている前方へ延びる上下のアーム部43A,43Bを有するコ字形状の支持部材43が結合され、この支持部材43は、図1で示されているように、巻取軸端部構造体50の配置位置と対応する位置において、巻取軸10の長さ方向に2個設けられ、図3で示すように、これらの支持部材43の下側アーム部43B同士には、ベース部材44が架設固定され、上側アーム部43A同士には、天部材45が架設固定されている。
ベース部材44には、支柱46Aと、この支柱46Aの上端に取り付けられ、開閉機40の下面に当接している当接部を形成するものとなっていてこの開閉機40を下から受けるための部材ともなっている受け部材46Bと、を有している受け構造体46が配置され、受け部材46Bは、開閉機40を、この開閉機40の駆動軸40Aを中心に回動自在に受けている。また、ブラケット37の上面には、ブラケット37を貫通している巻取軸10の端部10Aの真上又はこの真上よりも図3の右側の位置において、ばね受け部材47Aが取り付けられているとともに、天部材45の下面におけるこのばね受け部材47Aと上下に対向する位置にも、ばね受け部材47Bが取り付けられ、これらのばね受け部材47Aと47Bの間に、弾性部材である圧縮コイルばね47Cが介入されており、これらのばね受け部材47Aと47Bと圧縮コイルばね47Cとにより、ばね構造体47が構成されている。
これらの受け構造体46とばね構造体47により、本実施形態に係る上述の回動力対抗構造体60が構成されている。
図1で示されている巻取軸10の左側の端部10Bには、建物躯体7に結合されるなどして一定位置に固定されたブラケットは設けられておらず、このため、この端部10Bも、上述した巻取軸端部構造体50と同じく、一定位置に固定されていない自由状態となっている。このように、巻取軸10の一方の端部10Aに設けられた巻取軸端部構造体50と、ブラケットが設けられていない巻取軸の他方の端部10Bとが、一定位置に固定されていない自由状態となっていても、巻取軸10が前述した巻取軸支持手段33で上向きに支持されている所定位置から脱落したり、巻取軸10が軸方向に移動してシャッターカーテン11の幅方向端部の位置が左右のガイドレール6の位置からずれたりすることを防止するため、本実施形態に係る防災用シャッター装置には、巻取軸10がこの巻取軸10の軸方向と巻取軸10の直径前後方向とに所定値以上に大きく移動することを阻止するための図1で示す巻取軸移動阻止手段20が設けられている。この巻取軸移動阻止手段20は、図1及び図2で示されている第1〜5ストッパ部材21〜25を含んで構成されたものとなっている。
図1で示されている巻取軸10の一方の端部10A側に配置されている第1ストッパ部材21は、図2で示すとおり、前述した複数の支持部材31の水平部31A同士に架設固定された前記ベース部材32に立設されており、この第1ストッパ部材21は、巻取軸10の端部10Aに結合された円盤部材26と、巻取軸10の本体とは反対側から対向している(図1も参照)。また、図1で示されている巻取軸10の他方の端部10B側に配置されている第2ストッパ部材22も上記ベース部材32に立設されているとともに、この第2ストッパ部材22は、巻取軸10の端部10Bの端面と、巻取軸10の本体とは反対側から対向している。このため、巻取軸10等に巻取軸10の軸方向への成分を有する予定外の外力が作用しても、これらのストッパ部材21と22により、巻取軸10がこの巻取軸10の軸方向へ所定値以上に大きく移動することが阻止されている。
図1で示されている第3及び4ストッパ部材23,24も上記ベース部材32に立設されているとともに、これらのストッパ部材23,24は、第3ストッパ部材23について示している図2で分かるように、巻取軸10の両方の端部10A,10Bの後側、すなわち、巻取軸10と前記建物躯体7との間に配置されている。図1で示されている第5ストッパ部材25は巻取軸10の軸方向に複数配置されており、この第5ストッパ部材25は、図2で示されているように、建物躯体7から前方へ延びる前方延出部25Aと、この前方延出部25Aの下端から下方へ延び、建物躯体7とは反対側において巻取軸10と対向する下方延出部25BとからなるL字形になっており、この下方延出部25Bに、巻取軸10に巻き取られているシャッターカーテン11と前後方向に対向するローラ27が回転自在に取り付けられている。
このため、巻取軸10等に巻取軸10の直径前後方向への成分を有する予定外の外力が作用しても、これらの第3及び4ストッパ部材23,24と第5ストッパ部材25のローラ27とにより、巻取軸10がこの巻取軸10の直径前後方向へ大きく移動することが阻止され、これにより、巻取軸10が前記巻取軸支持手段33の2個のローラ34から落下することが阻止されている。
なお、第5ストッパ部材25のローラ27は、巻取軸10に巻き取られるシャッターカーテン11の巻径が最大となっても、このシャッターカーテン11と干渉することがないように、巻取軸10から前方へ比較的大きな距離離れた位置に配置されており、また、上記予定外の外力によって巻取軸10が前方へ移動しても、シャッターカーテン11に接触する部材は回転自在のローラ27であるため、シャッターカーテン11の損傷を防止できるようになっている。
以上説明した防災用シャッター装置は、巻取軸10が長寸法となっている大スパン用のものであるが、巻取軸10がその自重やシャッターカーテン11の重量によって下側に撓むことは巻取軸支持手段33によって防止されている。
通常時の防災用シャッター装置のシャッターカーテン11は、図1で示した座板11Aがまぐさ部材4の位置に達している全開状態となっている。そして、このときには、開閉機40の前述したブレーキがオンとなっているため、巻取軸10は回転できない状態となっている。このように巻取軸10が非回転となっていて、シャッターカーテン11が全開状態になっているときに火災が発生し、この火災を検知したセンサからの信号が前記開閉機40を制御する制御装置に入力することにより、あるいは、防災用シャッター装置の定期点検時等において、作業者が図示しない手操作部材を操作することにより、開閉機40のブレーキがオフとなる。これにより、巻取軸10の回転を止めていた制動力が消滅するため、巻取軸10は、座板11Aの重量を含むシャッターカーテン11の重量によって回転し、シャッターカーテン11が巻取軸10から下方へ繰り出されることによりシャッターカーテン11は全閉となる。
また、図示しないスイッチ装置を操作することにより、開閉機40の前記電動モータの駆動軸40Aは回転駆動し、これにより、前述した小径スプロケットホイール41と大径スプロケットホイール38とチェーン42とによる駆動力伝達手段を介して、巻取軸10はシャッターカーテン11の繰り出し時とは反対へ回転し、シャッターカーテン11は巻取軸10に巻き取られて上昇することになり、全開位置にシャッターカーテン11が達すると、この全開位置を検知した図示しない検知手段からの信号で上記電動モータは停止するとともに、前記ブレーキはオンとなる。これにより、シャッターカーテン11は全開位置に停止する。
以上のようにシャッターカーテン11が巻取軸10に巻き取られ、また巻取軸10から繰り出されると、巻取軸10でのシャッターカーテン11の巻径が変化するが、前述したように、前記巻取軸支持手段33で上向きに支持されているこの巻取軸10の一方の端部10Aに設けられた巻取軸端部構造体50と、巻取軸の他方の端部10Bとは、一定位置に固定されていない自由状態となっているため、巻取軸10は、巻取軸支持手段33に対してシャッターカーテン11の巻径に変化に追随して上下動することになり、このため、巻取軸10によるシャッターカーテン11の巻き取り、繰り出しは円滑に行われることになる。
また、巻取軸10によるシャッターカーテン11の巻き取り、繰り出し時等において、巻取軸10等に予定外に外力が作用しても、前述した巻取軸移動阻止手段20により、巻取軸10がこの巻取軸10の軸方向と巻取軸10の直径前後方向とに所定値以上に大きく移動することは阻止され、巻取軸10は所定位置に維持される。
以上において、図3で示されているように、本実施形態では、巻取軸10の直径水平方向において、巻取軸10からシャッターカーテン11が繰り出される繰出位置Aは、巻取軸10の軸芯位置Bと開閉機40の配置位置Cとの間の位置になっている。このため、全開状態となっていたシャッターカーテン11が、前述したように、全開位置から座板11Aの重量を含む自重によって下方へ繰り出されたときには、この繰り出しを行うために図3において左回転する巻取軸10及び大径スプロケットホイール38により、チェーン42の下段部42Aには引張力Eが作用することになり、この引張力Eのために、ブラケット37には、前記巻取軸支持手段33で支持されている巻取軸10を中心とした上下方向の回動力Dが、具体的には、図3において左方向への回動力Dが生ずることになり、この回動力Dのために巻取軸端部構造体50は、巻取軸10を中心に上下方向に、具体的には、図3において左方向に回動しようとする。
本実施形態に係る防災用シャッター装置が、このような回動力Dが生ずるブラケット37を含んで構成された前記巻取軸端部構造体50を備えたものとなっていても、この防災用シャッター装置は、前述した受け構造体46とばね構造体47により構成されている回動力対抗構造体60を備えており、上記繰出位置Aよりも開閉機40の配置位置C側に配置されている受け構造体46は、巻取軸端部構造体50に、具体的には開閉機40に、回動力Dに対抗するための上向きの対抗力を作用させる回動力対抗手段となり、繰出位置Aよりも巻取軸10の軸芯位置B側に配置されているばね構造体47は、巻取軸端部構造体50に、具体的にはブラケット37に、回動力Dに対抗するための下向きの対抗力を作用させる回動力対抗手段となる。
このため、巻取軸端部構造体50が回動力Dによって上下方向に回動することは、これらの受け構造体46とばね構造体47によって抑止されることになり、これにより、巻取軸10からのシャッターカーテン11の自重による繰り出しは円滑に行われることになる。
そして、シャッターカーテン11が全閉位置に達したときに、言い換えると、巻取軸10からのシャッターカーテン11の繰り出し長さが最大となっていて、この繰り出し長さに対応するシャッターカーテン重量により、回動力Dと同じ方向の大きな回動力が巻取軸支持手段33で支持されている巻取軸10を中心に巻取軸端部構造体50に生じても、この回動力によって巻取軸端部構造体50が図3において左方向に回動することも、受け構造体46とばね構造体47からなる回動力対抗構造体60によって抑止されることになる。
また、シャッターカーテン11の巻き取り、繰り出しによって巻取軸10でのシャッターカーテン11の巻径が変化し、この巻径の変化により、シャッターカーテン11が巻き取られている巻取軸10が巻取軸支持手段33に対して上下動することになるが、この巻取軸10の端部10Aが取り付けられているブラケット37等からなる巻取軸端部構造体50には、ばね構造体47の下向きの対抗力が作用し、この対抗力はばね構造体47のばね弾性力によるものであって、このばね構造体47は、このばね構造体47による対抗力が作用している巻取軸端部構造体50の部分の上下方向の移動を許容する回動力対抗手段となっているため、巻取軸10でのシャッターカーテン11の巻径が変化し、これによって巻取軸10が巻取軸支持手段33に対して上下動しても、巻取軸端部構造体50は、受け構造体46で受けられている開閉機40を中心に自由に上下方向に回動できることになり、これにより、巻取軸10でのシャッターカーテン11の巻径が変化するシャッターカーテン11の巻き取り、繰り出しを巻取軸10によって所定どおり円滑に行える。
図4〜7は、回動力対抗構造体60のうち、回動力Dに対抗するために、巻取軸端部構造体50に下向きの対抗力を作用させる回動力対抗手段となっている図3のばね構造体47に代わるそれぞれの別実施形態を示す。
ばね構造体47に代わる図4の回動力対抗手段は、巻取軸10に巻き取られているシャッターカーテン11における巻取軸10の端部10Aの近くの上面をばねの弾性力で下向きに押圧するばね構造体70となっている。このばね構造体70は、建物躯体7から巻取軸10の上まで前方へ延びる支持部材71の下面に取り付けられたばね受け部材70Aと、このばね受け部材70Aの下側に配置され、圧縮コイルばね70Cを介してばね受け部材70Aと連結されているばね受け部材70Bと、このばね受け部材70Bに保持部材70Dを介して回転自在に取り付けられた2個のローラ70Eとを備えたものになっている。圧縮コイルばね70Cの圧縮弾性力により、巻取軸10の円周方向に2個配置されているローラ70Eは、巻取軸端部構造体50の構成部材である巻取軸10を、この巻取軸10に巻き取られているシャッターカーテン11を介して下向きに押圧しており、これにより、前記回動力Dに対抗するための下向きの対抗力が巻取軸端部構造体50の構成部材である巻取軸10に作用している。
この実施形態におけるばね構造体70も、このばね構造体70による対抗力が作用している巻取軸端部構造体50の部分が、具体的には、シャッターカーテン11の巻き取りが行われている巻取軸10の本体部分における端部10Aの近くの部分が上下方向に移動することを許容する回動力対抗手段となっているため、巻取軸10でのシャッターカーテン11の巻径の変化によってこの巻取軸10が巻取軸支持手段33に対して上下動しても、巻取軸端部構造体50は、受け構造体46で受けられている開閉機40を中心に自由に上下方向に回動できることになり、これにより、シャッターカーテン11の巻き取り、繰り出しを巻取軸10によって所定どおり円滑に行える。
ばね構造体47に代わる図5の回動力対抗手段は、巻取軸端部構造体50の構成部材であるブラケット37に、巻取軸10の端部10Aの真下又はこの真下よりも図5の右側の位置において取り付けられたばね掛け部材80Aと、建物躯体7に結合された支持部材81の水平部81Aのベース部材82に取り付けられたばね掛け部材80Bと、これらのばね掛け部材80A,80Bに両端が掛けられた引っ張りコイルばね80Cとよって構成されたばね構造体80となっている。この実施形態におけるL字形の支持部材81は、図1及び図3の実施形態における支持部材43に代わるものであり、巻取軸10の軸方向に2個設けられているこれらの支持部材81の水平部81A同士に上記ベース部材82が架設固定されているとともに、これらの水平部81A同士に架設固定されたもう1個のベース部材83に、図1〜3の実施形態でも用いられた受け構造体46が配置されている。
この図5の実施形態では、ばね構造体80の引っ張りコイルばね80Cの引っ張り弾性力により、回動力Dに対抗する下向きの対抗力がブラケット37に作用している。
この実施形態におけるばね構造体80も、このばね構造体80による対抗力が作用しているブラケット37等からなる巻取軸端部構造体50の部分の上下方向の移動を許容する回動力対抗手段となっているため、巻取軸10でのシャッターカーテン11の巻径が変化し、この巻径の変化のために巻取軸10が巻取軸支持手段33に対して上下動しても、巻取軸端部構造体50は、受け構造体46で受けられている開閉機40を中心に自由に上下方向に回動できることになり、これにより、シャッターカーテン11の巻き取り、繰り出しを巻取軸10によって所定どおり円滑に行える。
ばね構造体47に代わる図6の回動力対抗手段は、ブラケット37の上面に、巻取軸10の端部10Aの真上又はこの真上よりも図6の右側の位置において取り付けられたウエイト部材90となっており、このウエイト部材90の重量により、回動力Dに対抗する下向きの対抗力がブラケット37に作用している。
この実施形態におけるばねウエイト部材90も、このウエイト部材90による対抗力が作用しているブラケット37等からなる巻取軸端部構造体50の部分の上下方向の移動を許容する回動力対抗手段となっており、このため、巻取軸10でのシャッターカーテン11の巻径が変化し、この巻径の変化のために巻取軸10が巻取軸支持手段33に対して上下動しても、巻取軸端部構造体50は、受け構造体46で受けられている開閉機40を中心に自由に上下方向に回動できることになり、これにより、巻取軸10によるシャッターカーテン11の巻き取り、繰り出しを所定どおり円滑に行える。
ばね構造体47に代わる図7の回動力対抗手段も、ウエイト部材の重量によって回動力Dに対抗する下向きの対抗力を生させるウエイト構造体100となっている。このウエイト構造体100は、前記大径スプロケットホイール38から突出した巻取軸10の端部10Aに取り付けられている溝101A付きのリング部材101と、このリング部材101の溝101Aに嵌合されたループ状ワイヤ部材102に吊り下げられたバー部材103と、このバー部材103の下端に水平又は略水平に取り付けられた受け部材104と、この受け部材104に載せられたウエイト部材105とからなり、ウエイト部材105には、バー部材103を挿入する切欠部105Aが形成されている。
この実施形態では、ウエイト部材105の重量により、回動力Dに対抗する下向きの対抗力を巻取軸10に作用させることができるとともに、受け部材104には任意な個数のウエイト部材105を段積みして載せることができるため、段積みするウエイト部材105の個数の選択により、巻取軸10に作用させる下向きの対抗力の大きさを適切に設定することができる。
そして、この実施形態におけるばねウエイト構造体100も、このウエイト部材105による対抗力が作用している巻取軸端部構造体50の部分が、具体的には、巻取軸10の端部10Aが上下方向に移動することを許容する回動力対抗手段となっており、このため、巻取軸10でのシャッターカーテン11の巻径が変化し、この巻径の変化のために巻取軸10が巻取軸支持手段33に対して上下動しても、巻取軸端部構造体50は、受け構造体46で受けられている開閉機40を中心に自由に上下方向に回動できることになり、これにより、巻取軸10によるシャッターカーテン11の巻き取り、繰り出しを所定どおり行える。
図8は、これまでの実施形態とは、巻取軸10からシャッターカーテン11が繰り出される繰出位置Aと、巻取軸10の軸芯位置Bと、開閉機40の配置位置Cとの位置関係が異なっている実施形態を示す。すなわち、この実施形態では、繰出位置Aは、巻取軸10の軸芯位置Bに対して開閉機40の配置位置Cとは反対側の位置になっている。また、この実施形態では、図1及び図3の実施形態における支持部材43の代わりにコ字形の支持部材91が用いられている。巻取軸10の軸方向に2個設けられているこれらの支持部材91の上側アーム部91A同士には、天部材92が架設固定され、下側アーム部91B同士には、ベース部材93が架設固定されている。
上述したようにこの実施形態では、繰出位置Aは、巻取軸10の軸芯位置Bに対して開閉機40の配置位置Cとは反対側の位置となっているため、全開状態となっていたシャッターカーテン11が、全開位置から座板11Aの重量を含む自重によって繰出位置Aから下方へ繰り出されたときには、この繰り出しを行うために図8において右回転する巻取軸10及び大径スプロケットホイール38により、チェーン42の上段部42Bには引張力Gが作用することになり、この引張力Gのために巻取軸端部構造体50を構成しているブラケット37には、前記巻取軸支持手段33で支持されている巻取軸10を中心とした上下方向の回動力Fが、具体的には、図8において右方向の回動力Fが生ずることになる。
このような回動力Fに対抗するための本実施形態に係る回動力対抗構造体60は、巻取軸10の直径前後方向にずれて配置された2個の回動力対抗手段となっている受け構造体110とばね構造体120とで構成されている。巻取軸10の軸芯位置Bよりも開閉機40の配置位置C側に配置されていて、開閉機40の真上又は略真上に配置されている受け構造体110は、上記天部材92に垂下固定された支柱110Aと、この支柱110Aの下端に取り付けられ、開閉機40の上面に当接している部材となっていてこの開閉機40を上から受けるための部材ともなっている受け部材110Bとを有して構成され、この受け部材110Bは、開閉機40を、この開閉機40の駆動軸40Aを中心に回動自在に受けている。また、開閉機40の配置位置Cよりも巻取軸10の軸芯位置B側に配置されていて、巻取軸10の端部10Aの真下又はこの真下よりも図8の右側の位置において配置されているばね構造体120は、ブラケット37の下面に取り付けられたばね受け部材120Aと、上記ベース部材93の上面に取り付けられたばね受け部材120Bと、これらのばね受け部材120Aと120Bの間に介入された圧縮コイルばね120Cとで構成されている。
この実施形態では、前記回動力Fに対して、受け構造体110は開閉機40に下向きの対抗力を作用させ、ばね構造体120は、圧縮コイルばね120Cの圧縮弾性力によってブラケット37に上向きの対抗力を作用させ、これにより、巻取軸10とブラケット37と開閉機40等で構成されている巻取軸端部構造体50の上下方向の回動が抑止される。
また、この実施形態のばね構造体120は、このばね構造体120による対抗力が作用しているブラケット37等からなる巻取軸端部構造体50の部分の上下方向の移動を許容する回動力対抗手段となっており、このため、巻取軸10でのシャッターカーテン11の巻径が変化し、この巻径の変化のために巻取軸10が巻取軸支持手段33に対して上下動しても、巻取軸端部構造体50は、受け構造体110の受け部材110Bに上面が当接している開閉機40を中心に自由に上下方向に回動できることになり、したがって、巻取軸10によるシャッターカーテン11の巻き取り、繰り出しを所定どおり行える。
図9は、図8の回動力対抗構造体60のうち、回動力Fに対抗するために、巻取軸端部構造体50に上向きの対抗力を作用させる回動力対抗手段となっているばね構造体120に代わる別実施形態を示す。
この実施形態では、図8で示されている天部材92の代わりに巻取軸10の直径前後方向の幅寸法が大きい天部材94が用いられ、この天部材94に受け構造体110が配置されている。また、図8のばね構造体120に代わるばね構造体130は、巻取軸10の端部10Aの真上又はこの真上よりも図9の右側の位置において、天部材94の下面に取り付けられたばね掛け部材130Aと、このばね掛け部材130Aの真下においてブラケット37の上面に取り付けられたばね掛け部材130Bと、これらのばね掛け部材130A,130Bに両端が掛けられた引っ張りコイルばね130Cとによって構成されている。
このため、この図9の実施形態では、引っ張りコイルばね130Cの引っ張り弾性力により、回動力Fに対抗する上向きの対抗力がブラケット37に作用している。
また、この実施形態のばね構造体130も、このばね構造体130による対抗力が作用しているブラケット37等からなる巻取軸端部構造体50の部分の上下方向の移動を許容する回動力対抗手段となっているため、巻取軸10でのシャッターカーテン11の巻径が変化し、この巻径の変化のために巻取軸10が巻取軸支持手段33に対して上下動しても、巻取軸端部構造体50は、図8の実施形態と同様に、開閉機40を中心に自由に上下方向に回動できることになり、したがって、巻取軸10によるシャッターカーテン11の巻き取り、繰り出しを所定どおり行える。
なお、図8と図9の実施形態において、シャッターカーテン11の自重による繰り出しが行われていない通常時の巻取軸端部構造体50には、開閉機40等の重量のため、巻取軸支持手段33で支持されている巻取軸10を中心とした図8及び図9の左方向への回動力が作用しているが、前述した座板11Aが前記まぐさ4の位置に達しているシャッターカーテン11の全開時においても、少なくともこの座板11Aの重量によるシャッターカーテン11の自重が巻取軸端部構造体50に作用しており、この座板11Aの重量によるシャッターカーテン11の自重は、上記開閉機40等の重量によって巻取軸端部構造体50に作用する上記回動力を打ち消す方向に作用しているため、回動力Fに対向するための対抗力を巻取軸端部構造体50に作用させる回動力対抗手段が、上述した受け構造体110やばね構造体110,120であっても、巻取軸端部構造体50が巻取軸10を中心として図8及び図9の左方向への回動することはない。
これまで説明してきたそれぞれの実施形態では、ブラケット37に取り付けられた巻取軸10の一方の端部10Aと、シャッターカーテン11の巻き取り、繰り出しが行われる巻取軸10の本体部分とが直接連結された構造となっていたが、図10は、この一方の端部10Aと、巻取軸10の本体部分とを、芯ずれ吸収手段となっているユニバーサルジョイント36を介して連結した構造となっている実施形態を示す。
この実施形態によると、巻取軸10の本体部分と、巻取軸10の端部10Aが取り付けられたブラケット37等からなる巻取軸端部構造体50とが芯ずれ状態となることがユニバーサルジョイント36で許容されるため、シャッターカーテン11の巻径の変化で巻取軸10が巻取軸支持手段33に対して上下動したとき、この上下動に対し、回動力対抗構造体による対抗力を受けている巻取軸端部構造体50がこの回動力対抗構造体の対抗力のために充分に上下方向に回動できなくても、巻取軸10の本体部分と、巻取軸10の端部10Aが取り付けられているブラケット37との間で生ずる芯ずれを、上記ユニバーサルジョイント36によって吸収できることになる。
言い換えると、この図10の実施形態によると、前述した回動力Dや回動力Fに対する対抗力を巻取軸端部構造体50に作用させるための回動力対抗構造体を構成するそれぞれの回動力対抗手段は、前述した実施形態の回動力対抗手段46,47,70,80,90,100,110,120,130と同じものでもよく、また、これらの回動力対抗手段46,47,70,80,90,100,110,120,130よりも簡単な構造のものでもよくなり、このため、これらの回動力対抗手段の構造の簡単化、すなわち、上記回動力対抗構造体の構造の簡単化を図ることができる。