JP2007177053A - レーザー光吸収部材用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザー光に対する吸収性が高いにも拘わらず、レーザー光吸収部材の色相を容易に調整できるレーザー光吸収部材用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂(A)と、この樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜10重量部の赤色系無機顔料(B)とでレーザー光吸収部材用樹脂組成物を構成する。前記赤色系無機顔料(B)はベンガラなどであってもよい。前記樹脂組成物は、さらに赤色系有機染料(C)を含有してもよい。前記樹脂組成物中のカーボンブラックの含有量は、0.1重量%未満である。本発明には、前記樹脂組成物で形成された第1の樹脂成形品と、レーザー光を透過可能な第2の樹脂成形品とが、レーザー溶着により接合されている複合成形品も含まれ、自動車のテールランプ用部品であってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー光吸収性が高いながらも、所望の色相に調色(又は補色)可能であり、レーザー溶着におけるレーザー光吸収部材に用いるための樹脂組成物、この樹脂組成物で形成された樹脂成形品(レーザー光吸収部材)、及びこの樹脂成形品と、レーザー光透過性樹脂成形品とがレーザー溶着により接合されている複合成形品に関する。
樹脂部材同士を接合させる方法には、接着剤や粘着剤を介して樹脂部材を接着する方法が知られているが、リサイクル性や作業工程の短縮などの点から樹脂部材同士を直接接合させる溶着による接合方法が着目されている。溶着による接合のうち、特にレーザー光照射を利用するレーザー溶着方法は、熱溶着や超音波溶着に比べて、熱や振動の影響を受けにくく、樹脂成形品の形状に大きく依存することなく効率よく接合可能であるという利点がある。
レーザー溶着では、通常、レーザー光に対して透過性の樹脂成形品と、レーザー光を吸収可能な樹脂成形品とを接触させて、透過性の樹脂成形品側から両成形品の界面にレーザー光を照射し、樹脂を溶融、固化させることにより、樹脂成形品同士を接合している。そして、レーザー光吸収側の樹脂成形品(吸収部材)には、通常、レーザー光吸収剤が配合されており、このレーザー光吸収剤としては、接合強度、汎用性、コストなどの点から、カーボンブラックが使用されている。しかし、カーボンブラックを吸収部材に使用すると、高い接合強度が得られるものの、少量でも高い黒色度に着色されるとともに、溶着部も濃い黒色を呈するため、レーザー光透過部材から吸収部材及び溶着部が透けて見え、外観性(美観)を損なう。また、カーボンブラックの黒色度が高いため、樹脂成形品を、他の着色剤などにより調色することも困難である。
特開2003−183524号公報(特許文献1)には、700〜1200nmの波長範囲のスペクトル領域においてレーザーを吸収する天然色及び着色した成形用熱可塑性樹脂組成物に関し、レーザー透過性熱可塑性材料、及びフタロシアニン、ナフタロシアニン、ペリレンなどのIR吸収性化合物を含有し、組成物全体のカーボンブラック含有量が0.1重量%未満の組成物が開示されている。特開2005−290087号公報(特許文献2)には、芳香環を有するホスホン酸銅及び樹脂を含有するレーザー溶着用樹脂組成物、及びこの樹脂組成物を用いて得られるレーザー吸収性成形物が開示されている。しかし、これらの樹脂組成物を、自動車用テールランプなどの赤色系の部品に利用すると、下地の吸収部材及び溶着部位が目立ち外観を損なう。また、上記IR吸収性化合物は、高価であるとともに、有機系化合物であるため耐熱性も低い。
特開2003−183524号公報(請求項1及び段落番号[0001]) 特開2005−290087号公報(請求項1及び2)
従って、本発明の目的は、レーザー光に対する吸収性が高くても、色相を容易に調整できるレーザー溶着用(吸収部材用)樹脂組成物及びその成形品(レーザー光吸収部材)を提供することにある。
本発明の他の目的は、高い接合強度で接合されているにも拘わらず、下地である吸収部材の色相及び溶着部位が目立たず、外観性(美観)に優れる複合成形品を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、赤色系無機顔料を特定の割合でレーザー光吸収部材に用いると、レーザー光に対する吸収性が高いにも拘わらず、レーザー光吸収部材の色相を容易に調整できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明のレーザー光吸収部材用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)と、赤色系無機顔料(B)とで構成されており、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、赤色系無機顔料(B)を0.001〜10重量部の割合で含有する。前記赤色系無機顔料(B)はベンガラなどであってもよい。赤色系無機顔料(B)の平均粒径は、50〜800nm程度であってもよい。前記樹脂組成物は、さらに赤色系有機染料(C)を含有してもよい。赤色系無機顔料(B)と赤色系有機染料(C)との割合(重量比)は、0.01/1〜20/1程度であってもよい。前記樹脂組成物は、カーボンブラックの含有量が、0.1重量%未満であってもよい。
本発明には、前記樹脂組成物で形成されたレーザー光吸収用樹脂成形品、及び前記樹脂組成物で形成された第1の樹脂成形品と、レーザー光を透過可能な第2の樹脂成形品とが、レーザー溶着により接合されている複合成形品も含まれる。第2の樹脂成形品は、赤色系着色剤を含有してもよい。前記複合成形品は、自動車のテールランプ用部品であってもよい。
本発明では、熱可塑性樹脂と特定の割合の赤色系無機顔料とでレーザー光吸収部材用樹脂組成物を構成するので、レーザー光に対する吸収性が高くても、レーザー光吸収部材の色相を容易に調整することができる。そのため、このようなレーザー光吸収部材を、レーザー光透過部材に対して高い接合強度で接合できるにも拘わらず、下地である吸収部材の色相及び溶着部位が目立たず、外観性(美観)に優れる複合成形品を得ることが可能である。また、本発明の樹脂組成物では、赤色系無機顔料を用いるので、耐熱性も高く、例えば、射出成形などの加工時に変色しやすい成形法を適用しても、製品の色のバラツキを抑制又は防止できる。
[レーザー光吸収部材用樹脂組成物]
本発明のレーザー光吸収部材(レーザー溶着)用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)と、赤色系無機顔料(B)とで構成されている。
(A)熱可塑性樹脂
ベース樹脂となる熱可塑性樹脂としては、種々の熱可塑性樹脂が使用でき、レーザー光吸収性及びレーザー光透過性のいずれであってもよく、結晶性樹脂であっても、非結晶性樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリアクリロニトリルなど)、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマーなどのオレフィンの単独又は共重合体など)、ビニル系樹脂(塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、熱可塑性ポリエステル系樹脂(ポリC2−4アルキレンテレフタレート、ポリC2−4アルキレンナフタレート、これらのコポリエステル、ポリアリレート、液晶性ポリエステルなど)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド6/66、ポリアミド6/11など)、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなどのビスフェノール型ポリカーボネート、水添ビスフェノール型ポリカーボネートなど)、ポリフェニレンオキシド系樹脂などが挙げられる。
前記スチレン系樹脂としては、ポリスチレン(GPPSなど)、スチレン−アクリル系共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)など)、スチレン−ジエン又はオレフィン系共重合体[スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体など]、ゴム含有スチレン系樹脂[耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン樹脂(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム−スチレン樹脂(MBS樹脂)、メタクリル酸メチル−スチレン樹脂(MS樹脂)、メタクリル酸メチル変性ABS樹脂(透明ABS樹脂)、α−メチルスチレン変性ABS樹脂、マレイミド変性ABS樹脂、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(AAS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン・プロピレンゴム−スチレン樹脂(AES樹脂)など]などが挙げられる。
前記熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。複数の樹脂を組み合わせて用いる場合、樹脂の組合せは、レーザー溶着性や成形性を損なわない限り、レーザー光透過部材(又は被着体)を構成する樹脂の種類に応じて、同系統又は異系統の樹脂の組み合わせであってもよい。
熱可塑性樹脂のうち、ポリスチレン(GPPSなど)、AS樹脂、ゴム強化樹脂(例えば、ゴム含有スチレン系樹脂(例えば、ABS樹脂など)、スチレン−ジエン又はオレフィン系共重合体など)などのスチレン系樹脂を用いる場合が多い。
(B)赤色系無機顔料
赤色系無機顔料としては、酸化鉄(例えば、ベンガラ、マルスレッドなどの酸化鉄(III)など)、鉛丹(四三酸化鉛、光明丹)、モリブデンレッド、カドミウムレッドなどが挙げられる。これらの赤色系無機顔料は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの赤色系無機顔料のうち、ベンガラなどの酸化鉄(酸化鉄(III)など)が好ましい。
赤色系無機顔料の平均粒径は、例えば、1000nm以下(例えば、50〜1000nm)、好ましくは800nm以下(例えば、50〜800nm)、さらに好ましくは60〜700nm(例えば、80〜600nm)程度であってもよい。
赤色系無機顔料(B)の割合は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、例えば、0.001〜10重量部(例えば、0.01〜5重量部)、好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部(例えば、0.3〜2重量部)程度である。
本発明では、前記赤色系無機顔料(B)をレーザー光吸収剤として用いるので、レーザー光に対する吸収性が高いにも拘わらず、色相を容易に調整することができる。本発明の樹脂組成物では、カーボンブラックの含有量は、0.1重量%未満(0重量%以上0.1重量%未満)であり、実質的に含有しなくてもレーザー溶着性が高い。
(C)赤色系の調色用着色料(第2の着色剤)
本発明の樹脂組成物は、さらに赤色系の調色用着色料(C)(第2の着色剤)を含有してもよい。本発明では、前記赤色系無機顔料(B)をレーザー光吸収剤として用いるので、調色用着色料により、樹脂組成物の色相を容易に調整できる。
赤色系の調色用着色料(C)としては、橙色系、紫系などの着色料も含む染料(有機染料など)、有機顔料などが挙げられる。
赤色系染料(有機染料)としては、例えば、橙色染料[アゾ染料(ディスパースオレンジ3など)、縮合多環キノン系染料(バットオレンジ3など)など]、赤色染料[アゾ染料(ディスパースオレンジ3、ディスパースレッド1など);アントラキノン染料(ディスパースレッド11,15など)、縮合多環キノン系染料(バットオレンジ3など)、スレン系染料(バットレッド23など)、ペリノン系染料など]、紫色染料(ディスパースバイオレット1などのアントラキノン染料;バットバイオレット2などのインジゴイド染料など)などが挙げられる。
赤色系有機顔料としては、例えば、橙色又は赤色顔料[ピグメントレッド1,3,4,6,48,57:1(赤色202号)などのβ−ナフトール系アゾ顔料;ピグメントレッド37、ピグメントオレンジ13などのピラゾロン系アゾ顔料;ペリノン・ペリレン系顔料(ピグメントレッド179、190などの赤色顔料など);アンスラキノン系顔料(ピグメントレッド83、177など);チオインジゴ;ピグメントレッド88;ハンザイエロー;パーマンネントレッド、レーキレッド、ウォッチャンレッド、ブリリアント・カーミン6Bなど]、紫色顔料[キナクリドン系顔料(ピグメントバイオレット19など);ジオキサジン顔料(ピグメントバイオレット23など);インジルビンなど]などが挙げられる。
これらの着色料は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの赤色系調色用着色料のうち、赤色系有機染料が好ましい。
赤色系無機顔料(B)と調色用着色料(赤色系有機染料など)(C)との割合(重量比)は、(B)/(C)=0.01/1〜20/1、好ましくは0.1/1〜15/1、さらに好ましくは1/1〜10/1(例えば、2/1〜8/1)程度である。
樹脂組成物には、必要により、他の着色剤(第3の着色剤)、例えば、非赤色系染料、非赤色無機顔料、非赤色系有機顔料などを添加してもよい。前記非赤色系染料としては、黄色染料(ディスパースイエロー3などのアゾ染料;バットイエロー2,3などのアントラキノン染料;バットイエロー4などの縮合多環キノン系染料など)、青色染料(バットブルー1,3,14,ソルベントブルー11などのアントラキノン染料;バットブルー4などの縮合多環キノン系染料;バットブルー1などのインジゴイド染料;など)、緑色染料(バットグリーン1、ディスパースグリーン1などの縮合多環キノン系染料など)などが挙げられる。
非赤色無機顔料としては、例えば、白色顔料(二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、リトポンなど)、体質顔料(炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、水酸化アルミニウム、カオリンクレー、タルク、ベントナイトなど)、黄色顔料(リサージ、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、ジンククロメート、黄土(オーカー)、シェナーなど)、橙色顔料(マルスオレンジなど)、褐色顔料(マルスブラウンなど)、青色顔料(紺青、群青、コバルトブルー(テナール青)など)、緑色顔料(クロムグリーン、マルスグリーンなど)、紫色顔料(マルスバイオレットなど)などが挙げられる。
非赤色系有機顔料としては、例えば、黄色顔料(ピグメントイエロー110などのイソインドリノン系顔料;ピグメントイエロー108、123などのアンスラキノン系顔料;ベンジジンイエローなど)、青色顔料[ピグメントブルー15,15:3(フタロシアニンブルー)などのフタロシアニン系顔料(銅フタロシアニンなど);ピグメントブルー60などのスレン系顔料;インジゴ、インジゴ白などのインジゴ又はチオインジゴ系顔料など]、緑色顔料(ピグメントグリーン10などのアゾ化合物の金属錯塩;ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)などのフタロシアニン系顔料など)などが挙げられる。
これらの他の着色剤(第3の着色剤)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。第3の着色剤の割合は、樹脂組成物全体に対して、0〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%程度であってもよい。
前記樹脂組成物は、必要により、他の添加剤、例えば、相溶化剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤(ガラス繊維、炭素繊維、金属フィラーなど)、安定剤(酸化防止剤など)、帯電防止剤、滑剤、分散剤、発泡剤、抗菌剤などを含んでいてもよい。
前記樹脂組成物は、発振波長193〜1600nm程度のレーザー光を吸収可能であればよい。前記樹脂組成物のレーザー光に対する吸光度は、厚み2mmの成形品の吸光度で、0.05〜4.0、好ましくは0.1〜4.0、さらに好ましくは0.15〜4.0程度である。なお、樹脂組成物は、このようなレーザー光吸光度を、レーザー光の前記発振波長の全範囲について有している必要はなく、少なくともレーザー溶着に使用するレーザー光の発振波長に対して上記のような範囲のレーザー光吸光度を有していればよい。
本発明の樹脂組成物は、レーザー光に対する吸収性(ひいてはレーザー溶着性)に優れるため、レーザー溶着におけるレーザー光吸収用樹脂成形品(吸収部材)に用いるのに適している。
[樹脂成形品]
本発明の樹脂成形品(レーザー光吸収用樹脂成形品又は吸収部材)は、前記樹脂組成物で形成されている。このような樹脂成形品は、前記樹脂組成物又はその構成成分を、押出機、ニーダー、ミキサー、ロールなどを用いた慣用の混合方法で混合(例えば、溶融混練)し、慣用の成形方法、例えば、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形などにより、成形することにより得ることができる。
樹脂成形体の形状は、接合させるに十分な接触面(平面など)を少なくとも一部に有する限り、特に制限されず、二次元的形状(例えば、板状)又は三次元的形状であってもよい。
[複合成形品]
本発明の複合成形品は、前記樹脂組成物で形成された第1の樹脂成形品(吸収部材)と、この樹脂成形品に対してレーザー溶着により接合された第2の樹脂成形品(レーザー光を透過可能な樹脂成形品(透過部材))とで構成されている。このような複合成形品は、レーザー照射により、透過部材と吸収部材とを、少なくとも両者の接合部を面接触させ、透過部材側からレーザー光を照射することにより、前記透過部材と吸収部材との界面を部分的に溶融させて接合面を密着させ、冷却して接合(又は一体化)することにより得られる。
第2の樹脂成形品(透過部材)を構成する樹脂としては、特に制限されず、前記吸収部材用樹脂組成物の項で例示の各種熱可塑性樹脂が使用できる。透過部材は、吸収部材を構成する樹脂に対して相溶性の樹脂で形成するのが好ましい。透過部材の樹脂と吸収部材の樹脂との組み合わせは、異種(又は異系統)の樹脂の組み合わせであってもよく、同種(又は同系統)の樹脂の組合せであってもよい。
透過部材は、レーザー溶着性を阻害しない範囲で着色剤を含有していてもよい。このような着色剤としては、レーザー光が透過可能な有彩色又は無彩色着色剤(又はレーザー光に対して非吸収性の着色剤)が使用できる。前記着色剤としては、例えば、前記吸収部材用樹脂組成物の項で例示した第2の着色剤(赤色系染料、赤色系有機顔料など)、及び第3の着色剤(非赤色系染料、非赤色系有機顔料、非赤色無機顔料)などが使用できる。これらの着色剤のうち、有機着色剤(有機染料又は有機顔料など)、特に赤色系着色剤(赤色系有機染料など)を用いるのが好ましい。赤色系着色剤を用いると、下地である吸収部材の色相及び溶着部位が目立たず、複合成形品の外観性(美観)を改善できる。
前記着色剤の割合は、透過部材を構成する熱可塑性樹脂100重量部に対して、例えば、0.001〜20重量部、好ましくは0.01〜10重量部(例えば、0.05〜5重量部)、さらに好ましくは0.1〜3重量部程度である。
吸収部材と透過部材とのレーザー溶着に用いるレーザー光源としては、通常、発振波長193〜1600nm程度のレーザー光源が使用でき、例えば、固体レーザー(Nd:YAG励起、半導体レーザー励起など)、半導体レーザー(650〜980nm)、チューナブルダイオードレーザー(630〜1550nm)、チタンサファイアレーザー(Nd:YAG励起、690〜1000nm)などを用いる場合が多い。
なお、透過部材のレーザー光に対する透過率は、使用するレーザー光の発振波長に応じて、例えば、20%以上(例えば、20〜100%程度)、好ましくは25〜98%、さらに好ましくは30〜95%程度であってもよい。なお、透過部材は、レーザー溶着に用いるレーザー光の発振波長に対して、上記の透過率を有していればよく、前記レーザー光の発振波長(193〜1600nm程度)の全ての範囲に対して上記の透過率を有している必要はない。また、透過部材は、少なくともレーザー溶着により吸収部材と接合される部位が上記の透過率を有していればよい。
透過部材の形状は、特に制限されず、吸収部材と同様の形状から選択できる。なお、透過部材は、少なくとも溶着部位(接合部位)において、例えば、50μm〜10mm、好ましくは70μm〜8mm、さらに好ましくは100μm〜5mm程度の厚みを有していてもよい。
透過部材は、レーザー光に対する透過率を阻害しない範囲で、必要により、慣用の添加剤、例えば、前記吸収部材用樹脂組成物の項で例示の添加剤などを含有してもよい。
透過部材の製造方法は、特に制限されず、吸収部材と同様の方法により製造できる。また、透過部材を構成する樹脂組成物の製造方法も特に制限されず、前記吸収部材用樹脂組成物と同様の方法により製造できる。
このような複合成形品は、例えば、自動車部品(ランプ部品、例えば、方向指示器用ランプ部品、テールランプ用部品など)、家庭用又はオフィスオートメーション(OA)用機器、例えば、コンピューター、ワードプロセッサー、プリンター、コピー機、ファックス、電話、モバイル機器などの機器類や各種家電製品を構成する部品(ハウジング、ケース、カバー、ドア、カートリッジなど)、家庭用品、建築材料などの各種樹脂成形品として有用である。
本発明の樹脂組成物又は樹脂成形品は、レーザー吸収性に優れるとともに、調色により容易に色相を調整可能であるため、レーザー溶着が利用される各種機器類(自動車部品、家庭又はOA用機器、家庭用品など)の構成部品(ハウジング、ケース、カバーなど)に有用である。前記樹脂成形品は、赤色に着色されているため、特に、自動車のランプ用ハウジング、例えば、方向指示器ランプ用ハウジング、テールランプ用ハウジングなどとして有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜3及び比較例1〜4
ABS樹脂(ダイセルポリマー(株)製,300SF)、AS樹脂(ダイセルポリマー(株)製,080SF)、ベンガラ(バイエルケミカルジャパン社製,バイフェロックス110M)及び赤色染料(有本化学(株)製,PR−8315,ペリノン系染料)を表1に示す割合で配合し、押出機を用いて、バレル温度220℃にて溶融混合し、ペレット状の樹脂組成物を得た。
得られたペレット状組成物を用いて、シリンダー温度220℃及び金型温度50℃で、レーザー光吸収側の試験片A(厚さ2mmの段部を有する縦8cm×横2cm×厚さ4mmの2段プレート)を作製した。
なお、比較として、ベンガラを用いない例、ベンガラに代えてカーボンブラック(大日本インキ化学工業社製、A1−1000)を表1に示す割合で用いた例について、上記と同様の操作を行い、レーザー光吸収側の試験片Aを作製した。
0.2重量%の赤色染料(有本化学(株)製,PR−8315,ペリノン系染料)を含有するポリメチルメタクリレート(PMMA,三菱レイヨン(株)製,アクリペットVH)を用いて試験片Aと同様の形状の試験片Bを作製し、この試験片Bと上記試験片Aとを、それぞれの厚さ2mmの段部を重ねて接触させた状態で、レーザー溶着機により、下記の条件で、試験片B側からレーザー光を照射して溶着を行った。
レーザー溶着機:(株)ファインデバイス社製,FD200 30W
レーザー光波長:808nm
出力:20W
スポット径:2mm
走査距離:15mm
なお、実施例及び比較例では、下記の測定方法に従って、各特性を評価した。
(1)溶着強度(接合強度)
引張試験機(オリエンテック社製,RTC−1325)を用いて、レーザー溶着した試験片Aと試験片Bとを5mm/分で引張せん断し、溶着強度(N)を測定した。
(2)色差ΔE
ベンガラもカーボンブラックも使用しない比較例1の試験片Aの色相を基準(基準プレート)とし、実施例及び他の比較例の試験片Aの色差ΔEを、色差計(コニカミノルタ(株)製,CM−3600d)を用いて測定した。なお、基準プレートの色相は、L*(D65)=47.35、a*(D65)=44.91、b*(D65)=18.40であった。
結果を表に示す。
Figure 2007177053
表1から明らかなように、実施例では、吸収側試験片Aは、透過側試験片Bに対して高い溶着強度で接合されており、比較例1の基準プレートとの色差も小さかった。このことから実施例では、レーザー光吸収性が高いにも拘わらず、赤色染料により、色相の調整が可能であることが明らかである。それに対し、カーボンブラックを含有する比較例2〜4では、両試験片は、高い溶着強度で接合されているものの、基準プレートとの色差が非常に大きく、赤色染料により色相を調整することが困難であった。また、ベンガラもカーボンブラックも含有しない比較例1では、レーザー溶着できなかった。
さらに、透過側から溶着部を目視にて観察したところ、実施例では、溶着部が濃い赤色を呈しており、溶着部の色と、赤色に着色された透過側試験片との色味の差は小さかった。それに対し、カーボンブラックを用いた比較例2〜3では、溶着部は、黒色の度合いが強い赤色を呈しており、透過側試験片との色味の差が大きく、溶着跡が目立っていた。

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂(A)と、赤色系無機顔料(B)とで構成されており、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、赤色系無機顔料(B)を0.001〜10重量部の割合で含有するレーザー光吸収部材用樹脂組成物。
  2. 赤色系無機顔料(B)がベンガラである請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 赤色系無機顔料(B)の平均粒径が、50〜800nmである請求項1記載の樹脂組成物。
  4. さらに赤色系有機染料(C)を含有する請求項1記載の樹脂組成物。
  5. 赤色系無機顔料(B)と赤色系有機染料(C)との割合(重量比)が、0.01/1〜20/1である請求項4記載の樹脂組成物。
  6. カーボンブラックの含有量が、0.1重量%未満である請求項1記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1記載の樹脂組成物で形成されたレーザー光吸収用樹脂成形品。
  8. 請求項1記載の樹脂組成物で形成された第1の樹脂成形品と、レーザー光を透過可能な第2の樹脂成形品とが、レーザー溶着により接合されている複合成形品。
  9. 第2の樹脂成形品が、赤色系着色剤を含有する請求項8記載の複合成形品。
  10. 自動車のテールランプ用部品である請求項8記載の複合成形品。
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