JP2007168612A - 電動式パワーステアリング装置 - Google Patents

Abstract

【課題】電動式パワーステアリング装置の減速機において、駆動ギヤと従動ギヤの噛み合いを安定化させる。
【解決手段】電動式パワーステアリング装置のハウジング１０には、ラックバー２０、ボールねじ機構３０（変位変換機構）、電動モータ４０および減速機５０が組み付けられる。電動モータ４０の出力軸４２の回転は、減速機５０により減速され、この減速された回転がボールねじ機構３０によりラックバー２０の軸方向の変位に変換されて、ラックバー２０に操舵力が付与される。減速機５０は、電動モータ４０の出力軸４２に結合されて径方向に移動可能な駆動ギヤ５１と、ボールねじ機構３０のナット３２に結合された従動ギヤ５２を備える。また、減速機５０は、駆動ギヤ５１を従動ギヤ５２に向けて径方向に付勢して弾発的に噛み合わせる各軸受５４、各スプリング５５、各ゴム５６、スプリングリテーナ５７、調整ねじ５８等（付勢機構）を備える。
【選択図】図１

Description

本発明は、電動式パワーステアリング装置に係り、特に、電動モータの出力軸の回転を減速するための減速機を備えた電動式パワーステアリング装置に関する。

この種の電動式パワーステアリング装置の一つとして、ハウジングに組み付けられた電動モータの出力軸の回転が減速機により減速され、この減速された回転が変位変換機構によりラックバーの軸方向の変位に変換されて、同ラックバーに軸力が付与されるように構成されたものがあり、例えば、下記特許文献１に記載されている。
特開２００５−１４５４３１号公報

上記特許文献１に記載された電動式パワーステアリング装置においては、減速機が、電動モータの出力軸に連結された駆動ギヤと、変位変換機構の入力部材としてのボールねじ機構のナットに連結された従動ギヤを備えている。駆動ギヤは、支持軸および円筒状の調整カラーを介してハウジングに取り付けられている。調整カラーは、中心軸から所定量偏心した支持孔を有しており、この支持孔にて駆動ギヤの支持軸が回転可能に支持されている。

ところで、上記特許文献１に記載された電動式パワーステアリング装置においては、以下のようにして駆動ギヤと従動ギヤ間のバックラッシが調整されるようになっている。まず、電動モータの出力軸と駆動ギヤの支持軸を連結する前に、駆動ギヤを支持軸および調整カラーを介してハウジングに組み付け、従動ギヤと噛み合わせる。次に、調整カラーを所定角度回転させ、駆動ギヤと従動ギヤ間のバックラッシを所定量に設定する。バックラッシの設定後、電動モータの出力軸と駆動ギヤの支持軸を連結するとともに、設定後の組み付け位置に応じて電動モータ本体をハウジングに組み付ける。

しかし、上記特許文献１に記載された電動式パワーステアリング装置では、駆動ギヤと従動ギヤ間のバックラッシを調整するに際して、常に電動モータ本体をハウジングから取り外す作業が必要であり、駆動ギヤと従動ギヤ間のバックラッシを所定値に設定した後、再度電動モータ本体をハウジングに組み付ける作業が必要であって、作業が煩雑である。また、駆動ギヤと従動ギヤ間のバックラッシを所定値に設定したとしても、減速機の減速比が大きく設定されていること等により、駆動ギヤと従動ギヤ間の僅かながたつきに起因して、駆動ギヤと従動ギヤの噛み合いが不安定になり易く、噛み合い時に異音、振動の発生するおそれが高い。

したがって、本発明では、上記問題に対処するために、駆動ギヤと従動ギヤ間のバックラッシの調整作業が極めて容易であり、しかも駆動ギヤと従動ギヤの噛み合いが安定化し得る電動式パワーステアリング装置を提供することをその目的としている。

上記目的を達成するために、本発明においては、ハウジングに組み付けられた電動モータの出力軸の回転が減速機により減速され、この減速された回転が変位変換機構によりラックバーの軸方向の変位に変換されて、同ラックバーに軸力（軸方向の力）が付与されるように構成された電動式パワーステアリング装置において、前記減速機は、前記電動モータの出力軸に連結されて径方向に移動可能な駆動ギヤと、前記変位変換機構の入力部材に連結された従動ギヤと、前記駆動ギヤを前記従動ギヤに向けて径方向に付勢して弾発的に噛み合わせる付勢機構とを備えていることに特徴がある。

この電動式パワーステアリング装置では、駆動ギヤと従動ギヤが、付勢機構により径方向にて弾発的に噛み合わされる。したがって、駆動ギヤと従動ギヤ間のバックラッシが自動的に所定大きさに維持され、両ギヤの噛み合いを安定化させることが可能である。このため、付勢機構による付勢力が所定値に維持されている長期に渡って、駆動ギヤと従動ギヤ間のバックラッシを所定大きさに設定する作業は勿論のこと、電気モータ本体のハウジングからの取り外し作業およびハウジングへの取り付け作業が不要となる。

また、本発明の実施に際して、前記付勢機構は、前記駆動ギヤの軸方向両側に配設され、前記ハウジングに前記駆動ギヤの径方向に移動可能に組み付けられて同駆動ギヤを回転可能に支持する一対の軸受と、前記ハウジングと前記軸受間に介装されて前記駆動ギヤを前記軸受と共に前記従動ギヤに向けて付勢するスプリングとを備えていることも可能である。

この場合には、スプリングによる押し付け力が、駆動ギヤの軸方向両側に配設された一対の軸受を介して駆動ギヤに伝達される。このため、スプリングによる押し付け力が、駆動ギヤと従動ギヤの噛み合い部の歯幅方向に沿って均等に加えられるようになり、両ギヤの噛み合いを安定化させることが可能である。また、スプリングが有する衝撃吸収特性により、噛み合い時に発生する衝撃が効果的に吸収されて、噛み合い時における音、振動の発生を抑制することが可能である。

また、本発明の実施に際して、前記付勢機構は、前記従動ギヤに設けた内歯に噛み合うアイドラギヤと、このアイドラギヤを支持する支持軸と前記駆動ギヤを支持する支持軸を両支持軸間の軸間距離が短くなる向きに拘束する拘束手段とを備えていることも可能である。

このとき、拘束手段として、例えばゴムベルトまたはスプリングを採用する場合には、ゴムベルトまたはスプリングによる引張力が、アイドラギヤを介して駆動ギヤおよび従動ギヤに伝達される。このため、駆動ギヤ、従動ギヤおよびアイドラギヤが、それぞれ噛み合いを強める向きに押し付けられ拘束されるようになって、駆動ギヤと従動ギヤの噛み合いを安定化させることが可能である。

また、従動ギヤの内歯にアイドラギヤを噛み合わせた状態では、アイドラギヤが従動ギヤ内に収容される。このため、アイドラギヤのためのスペースを新たに設けなくて済むので、アイドラギヤを設けても減速機のコンパクト化が可能である。

また、拘束手段として、例えばゴムベルトを採用する場合には、このゴムベルトが有する衝撃吸収特性により、噛み合い時に発生する衝撃が効果的に吸収されて、噛み合い時における音、振動の発生を抑制することが可能である。また、このゴムベルトが有する減衰特性により、噛み合い時に発生する異音、振動を効果的に減衰させることも可能である。

また、本発明の実施に際して、前記従動ギヤと前記変位変換機構の入力部材間には、同従動ギヤの偏心を許容する弾性体が介装されていることも可能である。

このとき、変位変換機構として、例えばボールねじ機構を採用する場合には、拘束手段によりアイドラギヤを介して駆動ギヤと従動ギヤが噛み合いを強める向きに付勢される場合であっても、変位変換機構の入力部材としてのナットと従動ギヤ間に介装された弾性体の弾性変形に応じて従動ギヤの径方向への移動が許容される。このため、ナットとねじ軸間のクリアランスの変動が防止されて、ラックバーのアライメント変化を抑制しながら、ボールねじ機構での異音の発生を抑制することが可能である。

また、本発明の実施に際して、前記付勢機構は、前記従動ギヤの外周にて前記従動ギヤの回転中心に対して前記駆動ギヤと対向配置されるアイドラギヤと、このアイドラギヤを支持する支持軸と前記駆動ギヤを支持する支持軸を拘束して両支持軸の軸間距離を短くする拘束手段とを備えていることも可能である。

このときも、拘束手段として、例えばゴムベルトを採用する場合には、このゴムベルトによる引張力が、アイドラギヤを介して駆動ギヤおよび従動ギヤに伝達される。このため、上記と同様、駆動ギヤ、従動ギヤおよびアイドラギヤが、それぞれ噛み合いを強める向きに押し付けられ拘束されるようになって、駆動ギヤと従動ギヤの噛み合いを安定化させることが可能であり、また、ゴムベルトが有する衝撃吸収特性により、噛み合い時における音、振動の発生を抑制すること等も可能である。

以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。図１は本発明の第１実施形態に係る電動式パワーステアリング装置の要部を概略的に示していて、この第１実施形態に電動式パワーステアリング装置においては、車両の左右方向に延設されて車体（図示省略）に組み付けられるハウジング１０にラックバー２０、ボールねじ機構３０、電動モータ４０および減速機５０が組み付けられている。

ラックバー２０は、ハウジング１０にて車両の左右方向（ラックバー２０の軸方向）に移動可能かつ回転不能に組み付けられている。このラックバー２０は、ラックギヤ（図示省略）にて入力軸のピニオン（図示省略）と軸力伝達可能に係合されるとともに、ハウジング１０を貫通した左右両端にてタイロッド、ナックルアーム（図示省略）などを介して転舵輪（（図示省略）に軸力伝達可能に連結されている。

ボールねじ機構３０は、ラックバー２０と同軸的に設けられていて、ねじ軸３１、ナット３２および多数のボール３３で構成されている。ねじ軸３１は、ラックバー２０と一体に形成されている。ナット３２は、ねじ軸３１の外周にて軸受３４，３５を介してハウジング１０にねじ軸３１の軸回りに回転可能かつ車両の左右方向へ移動不能に組み付けられている。多数のボール３３は、ねじ軸３１の外周に形成した螺旋溝とナット３２の内周に形成した螺旋溝間にて回転自在に保持されている。

電動モータ４０は、その電動モータ本体４１にてハウジング１０の外壁に固定されていて、ロータ（図示省略）の回転が出力軸４２を介して外部に出力される。出力軸４２は、弾性継手４３を介して後述する駆動ギヤ５１の支持軸５３に連結されている。弾性継手４３は、出力軸４２と支持軸５３間の所定量の軸ずれ（偏心）を許容する。

減速機５０は、電動モータ４０の出力軸４２とボールねじ機構３０のナット３２間に介装されていて、駆動ギヤ５１および従動ギヤ５２を備えている。駆動ギヤ５１および従動ギヤ５２は、所定の減速ギヤ比に設定された平行軸仕様の平歯車であり、駆動ギヤ５１が支持軸５３と同軸に一体的に固定され、従動ギヤ５２がナット３２と同軸に一体的に固定されている。これにより、電動モータ４０の出力軸４２の回転が減速機５０により減速され、この減速された回転がボールねじ機構３０によりラックバー２０の軸方向の変位に変換されて、ラックバー２０に軸力（軸方向の力）が付与される。ボールねじ機構３０は、変位変換機構としての役割を果たし、ナット３２は、変位変換機構の入力部材としての役割を果たす。

駆動ギヤ５１を支持する支持軸５３は、駆動ギヤ５１の軸方向両側に配設された一対の軸受５４，５４により軸線回りに回転可能に支持されている。一対の軸受５４，５４は、一対のスプリング５５，５５と一対のゴム５６，５６とでそれぞれ挟持されるようにして、ハウジング１０に駆動ギヤ５１の径方向に移動可能に組み付けられている。

各スプリング５５は、従動ギヤ５２から遠い側の各軸受５４の外輪部位とスプリングリテーナ５７間に所定の圧縮状態で介装されていて、各軸受５４および支持軸５３を介して駆動ギヤ５１を従動ギヤ５２に向けて付勢している。各ゴム５６は、従動ギヤ５２に近い側の各軸受５４の外輪部位とハウジング１０間に介装されていて、各スプリング５５の押し付け力に応じて弾性的に縮んで、駆動ギヤ５１の径方向への各軸受５４の移動を許容する。なお、駆動ギヤ５１と従動ギヤ５２の組み付け時において、支持軸５３と出力軸４２間に軸ずれが生じたときも、各ゴム５６が弾性的に伸縮することで、駆動ギヤ５１の径方向への支持軸５３の移動が許容されるようになっている。

スプリングリテーナ５７は、調整ねじ５８、図示を省略するガイドなどを介してハウジング１０に組み付けられていて、調整ねじ５８の回転操作に応じて駆動ギヤ５１の径方向に移動可能とされている。これにより、ハウジング１０の外側からの調整ねじ５８の回転操作に応じて、各スプリング５５の押し付け力が調整可能とされている。一対の軸受５４，５４、一対のスプリング５５，５５、一対のゴム５６，５６、スプリングリテーナ５７および調整ねじ５８は、駆動ギヤ５１を従動ギヤ５２に向けて径方向に付勢して弾発的に噛み合わせる付勢機構としての機能を果たす。

上記のように構成した第１実施形態においては、ハウジング１０に電動モータ４０および減速機５０が組み付けられた状態で、各スプリング５５の押し付け力により、駆動ギヤ５１が各軸受５４および支持軸５３を介して径方向に付勢され、従動ギヤ５２に弾発的に噛み合わされている。このため、駆動ギヤ５１と従動ギヤ５２間のバックラッシが自動的に所定大きさに維持され、両ギヤ５１，５２の噛み合いが安定化する。

これにより、各スプリング５５による押し付け力が所定値に維持されている長期に渡って、駆動ギヤ５１と従動ギヤ５２間のバックラッシを所定大きさに設定する作業は勿論のこと、電動モータ本体４１のハウジング１０からの取り外し作業およびハウジング１０への取り付け作業が不要となる。

また、上記第１実施形態では、各スプリング５５による押し付け力が、駆動ギヤ５１の軸方向両側に配設された一対の軸受５４，５４、および各軸受５４に両持ちされた支持軸５３を介して駆動ギヤ５１に伝達される。このため、各スプリング５５による押し付け力が、駆動ギヤ５１と従動ギヤ５２の噛み合い部の歯幅方向に沿って均等に加えられるようになり、両ギヤ５１，５２の噛み合いが安定化する。また、各スプリング５５が有する衝撃吸収特性により、噛み合い時に発生する衝撃が効果的に吸収されて、噛み合い時における音、振動の発生が抑制される。

また、上記第１実施形態では、各スプリング５５が、各軸受５４の外輪（非回転部）とスプリングリテーナ５７間に介装されており、支持軸５３および駆動ギヤ５１の回転の影響を受け難くされている。したがって、各スプリング５５の耐久性が確保されるので、各スプリング５５の押し付け力がより長期に渡って所定値に維持されて、両ギヤ５１，５２間のバックラッシの調整作業が一層長い期間不要となる。そして、各スプリング５５による付勢力が所定値に維持されなくなった場合には、ハウジング１０の外側の調整ねじ５８の回転操作により、各スプリング５５による付勢力を容易に所定値に設定することができる。なお、スプリング５５を複数個用いることで、押し付け力の調整自由度を高くすることができるが、使用するスプリングの数は適宜変更可能であり、例えば１個だけ使用するようにして、部品点数を減らすようにしてもよい。

上記第１実施形態においては、付勢機構として、一対の軸受５４，５４、一対のスプリング５５，５５等を用いて実施したが、これに代えて、例えば図２および図３に示すように、アイドラギヤ６１、アイドラギヤ６１を支持する支持軸６２、ゴムベルト６３等を用いて実施することも可能である。なお、この第２実施形態の他の構成については、上記第１実施形態と同様であるので、上記第１実施形態と同じ機能を果たす部材には同一の符号を付して、説明を省略する。

アイドラギヤ６１は、支持軸６２と同軸に一体的に固定され、支持軸６２の軸端にて軸受６４を介してハウジング１０に組み付けられていて、従動ギヤ５２に設けた内歯５２ａに噛み合わされている。駆動ギヤ５１は、支持軸５３の軸端にて軸受６５を介してハウジング１０に組み付けられている。軸受６４，６５の各外輪とハウジング１０間には、ゴム６６，６７がそれぞれ介装されていて、ゴム６６，６７の弾性変形に応じて軸受６４，６５の径方向への移動が許容されている。

ゴムベルト６３は、アイドラギヤ６１を支持する支持軸６２と駆動ギヤ５１を支持する支持軸５３間に、プーリ６８，６９を介して巻き掛けられており、所定張力で両支持軸６２，５３を両支持軸６２，５３の軸間距離が短くなる向きに拘束している。

プーリ６８，６９は、何れも軸受式のものであり、駆動ギヤ５１の支持軸５３、およびアイドラギヤ６１の支持軸６２の回転がゴムベルト６３の巻かれた各外輪に伝達されない構成とされている。すなわち、支持軸５３と支持軸６２は、それぞれの回転数が異なるのみならず回転方向も互いに逆であるため、ゴムベルト６３が支持軸５３，６２の回転の影響を受けないように、ゴムベルト６３が非回転状態に保持される構成としたものである。アイドラギヤ６１、アイドラギヤ６１を支持する支持軸６２、駆動ギヤ５１を支持する支持軸５３、ゴムベルト６３、プーリ６８，６９等は拘束手段としての機能を果たす。

なお、ゴムベルト６３には、アイドラプーリ７１が押し付けられている。アイドラプーリ７１は、ハウジング１０の外側からの操作によりゴムベルト６３に向けて接近、離間可能に設けられていて、アイドラプーリ７１の位置を変更することで、ゴムベルト６３の張力が調整可能とされている。

上記のように構成した第２実施形態では、ゴムベルト６３による張力が、支持軸５３を介して駆動ギヤ５１に伝達され、支持軸６２およびアイドラギヤ６１を介して従動ギヤ５２に伝達される。これにより、駆動ギヤ５１、従動ギヤ５２およびアイドラギヤ６１が、それぞれ噛み合いを強める向きに押し付けられ拘束されるようになって、駆動ギヤ５１と従動ギヤ５２の噛み合いが安定化する。

また、従動ギヤ５２の内歯５２ａにアイドラギヤ６１が噛み合わされた状態では、アイドラギヤ６１が従動ギヤ５２内に収容されている。これにより、アイドラギヤ６１のためのスペースを新たに設けなくて済むので、アイドラギヤ６１を設けても減速機のコンパクト化が可能である。

また、ゴムベルト６３が有する衝撃吸収特性により、噛み合い時に発生する衝撃が効果的に吸収されて、噛み合い時における音、振動の発生が抑制される。また、このゴムベルト６３が有する減衰特性により、噛み合い時に発生する異音、振動を効果的に減衰させることもできる。

上記第２実施形態においては、アイドラギヤ６１およびプーリ６８，６９を用いて、ゴムベルト６３が非回転状態に保持されるように構成して実施したが、これに代えて、例えば図４に示すように、アイドラギヤ７２およびプーリ７３，７４を用いて、ゴムベルト６３の回転が許容されるように構成して実施することも可能である。なお、この第２実施形態に係る第１変形実施形態の他の構成については、上記第２実施形態と同様であるので、上記第２実施形態と同じ機能を果たす部材には同一の符号を付して、説明を省略する。

アイドラギヤ７２は、軸受式のものであり、アイドラギヤ７２と支持軸６２間にて互いに回転が伝達されない構成とされている。プーリ７３，７４は、軸受式のものではなく、内輪部と外輪部が一体に形成された周知のものであり、支持軸６２，５３とそれぞれ一体的に固定されている。

上記のように構成した第２実施形態に係る第１変形実施形態においては、支持軸５３の回転に伴ってゴムベルト６３が回転し、ゴムベルト６３の回転に伴って支持軸６２が回転するが、アイドラギヤ７２は、支持軸６２の回転とは別に、従動ギヤ５２の回転に従って回転する。

上記第２実施形態に係る第１変形実施形態においても、上記第２実施形態と同様、減速機のコンパクト化を図りながら、ゴムベルト６３による張力により、駆動ギヤ５１、従動ギヤ５２およびアイドラギヤ７２が、それぞれ噛み合いを強める向きに押し付けられ拘束されるようになって、駆動ギヤ５１と従動ギヤ５２の噛み合いが安定化する効果が得られる。

また、この第１変形実施形態では、上記第２実施形態のように軸受式のプーリ６８，６９を用いなくても、周知のプーリ７３，７４（規格品）を用いて実施することができるので、上記第２実施形態に比して安価に構成することが可能である。

上記第２実施形態およびその第１変形実施形態においては、拘束手段の一要素として、ゴムベルト６３を用いて実施したが、これに代えて、例えば図５に示すように、スプリング７５を用いて実施することも可能である。なお、この第２実施形態に係る第２変形実施形態の他の構成については、上記第２実施形態と同様であるので、上記第２実施形態と同じ機能を果たす部材には同一の符号を付して、説明を省略する。

スプリング７５は、軸受６４，６５の対向配置される側の外輪間に介装されていて、所定の引張力で両支持軸６２，５３を両支持軸６２，５３の軸間距離が短くなる向きに拘束している。そして、スプリング７５の引張力に応じたゴム６６，６７の弾性変形により、軸受６４，６５の径方向への移動が許容されている。

上記のように構成した第２実施形態に係る第２変形実施形態においても、上記第２実施形態と同様、減速機のコンパクト化を図りながら、スプリング７５による引張力により、駆動ギヤ５１、従動ギヤ５２およびアイドラギヤ６１が、それぞれ噛み合いを強める向きに押し付けられ拘束されるようになって、駆動ギヤ５１と従動ギヤ５２の噛み合いが安定化する効果が得られる。

上記第２実施形態および各変形実施形態においては、従動ギヤ５２がボールねじ機構３０のナット３２に直接固定されるように構成して実施したが、例えば図６に示すように、従動ギヤ５２とボールねじ機構３０のナット３２間に、従動ギヤ５２の偏心を許容する弾性体としてのゴム７６が介装されるように構成して実施することも可能である。なお、この第２実施形態に係る第３変形実施形態の他の構成については、上記第２実施形態と同様であるので、上記第２実施形態と同じ機能を果たす部材には同一の符号を付して、説明を省略する。

この第３変形実施形態では、ゴムベルト６３の張力により、アイドラギヤ６１、支持軸６２等を介して駆動ギヤ５１と従動ギヤ５２が互いに噛み合いを強める向きに付勢される場合であっても、ナット３２と従動ギヤ５２間に介装されたゴム７６の弾性変形に応じて従動ギヤ５２の径方向への移動が許容される。これにより、ナット３２とねじ軸３１間のクリアランスの変動が防止されて、ラックバー２０のアライメント変化を抑制しながら、ボールねじ機構３０での異音の発生が抑制される。

上記第２実施形態および各変形実施形態等においては、アイドラギヤ６１，７２が従動ギヤ５２に設けた内歯５２ａに噛み合うように構成して実施したが、例えば図７に示すように、アイドラギヤ６１が従動ギヤ５２の外周に設けられるように構成して実施することも可能である。なお、図７においては、駆動ギヤ５１、従動ギヤ５２およびアイドラギヤ６１が模式的に円で表示されている。また、この第３実施形態の他の構成については、上記第２実施形態と同様であるので、上記第２実施形態と同じ機能を果たす部材には同一の符号を付して、説明を省略する。

アイドラギヤ６１は、駆動ギヤ５１とほぼ同じ大きさに設定されており、従動ギヤ５２の外周にて従動ギヤ２の回転中心に対して駆動ギヤ５１と対向配置されている。ゴムベルト６３は、駆動ギヤ５１を支持する支持軸５３とアイドラギヤ６１を支持する支持軸６２間に、プーリ６８，６９および一対のガイドピン７７，７７を介して巻き掛けられており、所定張力で両支持軸６２，５３を両支持軸６２，５３の軸間距離が短くなる向きに拘束している。一対のガイドピン７７，７７は、ハウジング１０の外側からの操作に応じて互いに接近、離間可能に設けられていて、各ガイドピン７７の位置を変更することで、ゴムベルト６３の張力が調整可能とされている。

上記のように構成した第３実施形態においても、上記第２実施形態および各変形実施形態と同様、ゴムベルト６３による引張力が、アイドラギヤ６１を介して駆動ギヤ５１および従動ギヤ５２に伝達される。これにより、駆動ギヤ５１、従動ギヤ５２およびアイドラギヤ６１が、それぞれ噛み合いを強める向きに押し付けられ拘束されるようになって、駆動ギヤ５１と従動ギヤ５２の噛み合いが安定化し、また、ゴムベルト６３が有する衝撃吸収特性により、噛み合い時における音、振動の発生が抑制される。

なお、上記３実施形態では、拘束手段の一要素として、ゴムベルト６３を用いて実施したが、これに代えて、例えばスプリングを用いてもよい。また、アイドラギヤ６１と駆動ギヤ５１を異なる大きさにしてもよい。

上記各実施形態では、駆動ギヤおよび従動ギヤとして、平行軸仕様の平歯車５１，５２を用いて実施したが、駆動ギヤおよび従動ギヤとして、例えば交差軸仕様の円筒歯車（平歯車を含む）を用いて実施することも可能である。

本発明の第１実施形態に係る電動式パワーステアリング装置の要部を概略的に示す正面断面図である。 本発明の第２実施形態に係る電動式パワーステアリング装置の要部を概略的に示す正面断面図である。 図２の３−３拡大断面図である。 第２実施形態の第１変形実施形態に係り、電動式パワーステアリング装置の要部を概略的に示す正面断面図である。 第２実施形態の第２変形実施形態に係り、電動式パワーステアリング装置の要部を概略的に示す正面断面図である。 第２実施形態の第３変形実施形態に係り、電動式パワーステアリング装置の要部を概略的に示す正面断面図である。 本発明の第３実施形態に係る電動式パワーステアリング装置の要部を概略的に示す側面図である。

符号の説明

１０…ハウジング、２０…ラックバー、３０…ボールねじ機構（変位変換機構）、３１…ねじ軸、３２…ナット（入力部材）、３３…ボール、４０…電動モータ、４２…出力軸、４３…弾性継手、５０…減速機、５１…駆動ギヤ、５２…従動ギヤ、５２ａ…内歯、５３…支持軸、５４，５４…一対の軸受（付勢機構）、５５，５５…一対のスプリング（付勢機構）、５６，５６…一対のゴム（付勢機構）、５７…スプリングリテーナ（付勢機構）、５８…調整ねじ（付勢機構）、６１，７２…アイドラギヤ（拘束手段）、６２…支持軸（拘束手段）、６３…ゴムベルト（拘束手段）、６４，６５…軸受（拘束手段）、６６，６７…ゴム（拘束手段）、６８，６９，７３，７４…プーリ（拘束手段）、７１…アイドラプーリ、７５…スプリング（拘束手段）、７６…ゴム（弾性体）、７７，７７…一対のガイドピン

Claims (5)

1. ハウジングに組み付けられた電動モータの出力軸の回転が減速機により減速され、この減速された回転が変位変換機構によりラックバーの軸方向の変位に変換されて、同ラックバーに軸力が付与されるように構成された電動式パワーステアリング装置において、
   前記減速機は、前記電動モータの出力軸に連結されて径方向に移動可能な駆動ギヤと、前記変位変換機構の入力部材に連結された従動ギヤと、前記駆動ギヤを前記従動ギヤに向けて径方向に付勢して弾発的に噛み合わせる付勢機構とを備えていることを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
2. 請求項１に記載した電動式パワーステアリング装置において、
   前記付勢機構は、前記駆動ギヤの軸方向両側に配設され、前記ハウジングに前記駆動ギヤの径方向に移動可能に組み付けられて同駆動ギヤを回転可能に支持する一対の軸受と、前記ハウジングと前記軸受間に介装されて前記駆動ギヤを前記軸受と共に前記従動ギヤに向けて付勢するスプリングとを備えていることを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
3. 請求項１に記載した電動式パワーステアリング装置において、
   前記付勢機構は、前記従動ギヤに設けた内歯に噛み合うアイドラギヤと、このアイドラギヤを支持する支持軸と前記駆動ギヤを支持する支持軸を拘束して両支持軸の軸間距離を短くする拘束手段とを備えていることを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
4. 請求項３に記載した電動式パワーステアリング装置において、
   前記従動ギヤと前記変位変換機構の入力部材間には、同従動ギヤの偏心を許容する弾性体が介装されていることを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
5. 請求項１に記載した電動式パワーステアリング装置において、
   前記付勢機構は、前記従動ギヤの外周にて前記従動ギヤの回転中心に対して前記駆動ギヤと対向配置されるアイドラギヤと、このアイドラギヤを支持する支持軸と前記駆動ギヤを支持する支持軸を拘束して両支持軸の軸間距離を短くする拘束手段とを備えていることを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
   

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