JP2007152149A - 意匠性建材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】工程として、(1)建材表面に被印刷面形成用塗料を塗装して、被印刷層を形成する工程、(2)前記被印刷層に、反応性化合物(B)と反応する反応性化合物(A)を含有する着色インクをインクジェット印刷方式により、吐出して、着色領域を形成する工程、次いで、(3)前記着色領域に、前記反応性化合物(B)を含有するクリアーインクを吐出する工程を有する。この工程において、被印刷層に、反応性化合物(A)と反応する反応性化合物(B)を含有するクリアーインクをインクジェット印刷方式により、吐出して、クリアー領域を形成した後、前記クリアー領域に、前記反応性化合物(A)を含有する着色インクを吐出してもよい。
Description
この方法は、予め調色した塗料を、対象物に対して塗装することにより、所望の色に着色できること、及び対象物の形状により塗装方法を変化させることで、幅広い対象に対して塗装することができる利点を有している。
しかしながら、その反面、塗装により施された意匠は、主として一定面積に対して単一色による意匠を施せるにとどまり、より意匠性の高い模様等を付することが困難であるという問題を有していた。
インクジェットプリンターを用いた印刷技術として、様々な技術が検討されており、これらの代表的な技術としては、例えば、以下の特許文献1がある。
一方、インクを吐出した後にクリアー塗料を塗装する場合、バインダー成分を配合しないインクを吐出した後、クリアー塗料を塗装すると、未乾燥状態のインクがにじみ、建材の意匠性を低下させる問題がある。この問題は、特に、インクとクリアー塗料が、共に水系、又は共に溶剤系のものである場合に顕著である。
このため、インクジェットプリンターを使用する意匠性建材を製造する場合に、ノズル詰まりを生じることなく、かつ着色インクのにじみの生じない、意匠性建材の製造方法が強く要望される。
即ち、本発明は、以下の発明にある。
1.意匠性建材の製造方法であって、
(1)建材表面に被印刷面形成用塗料を塗装して、被印刷層を形成する工程、
(2)前記被印刷層に、反応性化合物(B)と反応する反応性化合物(A)を含有する着色インクをインクジェット印刷方式により、吐出して、着色領域を形成する工程、次いで、
(3)前記着色領域に、前記反応性化合物(B)を含有するクリアーインクを吐出する工程、
を有することを特徴とする方法。
2.意匠性建材の製造方法であって、
(1)建材表面に被印刷面形成用塗料を塗装して、被印刷層を形成する工程、
(2)前記被印刷層に、反応性化合物(A)と反応する反応性化合物(B)を含有するクリアーインクをインクジェット印刷方式により、吐出して、クリアー領域を形成する工程、次いで、
(3)前記クリアー領域に、前記反応性化合物(A)を含有する着色インクを吐出する工程、
を有することを特徴とする方法。
建材の表面には、予め、必要に応じてシーラーを施しても良い。
シーラーは、建材表層の物理的強化、水分や建材中のアルカリ分の透過防止、被印刷面形成塗料の機材への吸い込み防止、又は被印刷面形成塗料の基材に対する密着性向上を目的として通常使用される。
シーラーは、結合剤を主体とし、必要に応じて、溶媒や、充填材、その他の添加剤等を配合することが出来る。
前記溶媒としては、従来から塗料で用いられている溶媒を、特に制限なく使用することが出来る。このような溶媒としては、例えば、トルエンや、キシレン等の芳香族系炭化水素類:酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類:メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類:イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類:さらには各種の脂肪族炭化水素類、グリコールエーテル類、水等から選択される1種、又は2種以上を組み合わせて使用することが出来る。なお、取扱の安全上の観点、及び環境に対する観点からは、水を主として用いることが好ましい。
前記添加剤としては、例えば、消泡剤、レベリング剤、成膜助剤、抗菌剤、架橋促進剤、分散剤、沈殿防止剤等が代表的なものとして挙げられる。
これらの建材は、表面が平滑なものであっても、凹凸形状を有するものであってもよい。
建材には、インクジェット印刷を行う前に、その印刷用に、その表面に被印刷層を形成するため、被印刷面形成用塗料を塗装する。
本発明で使用される被印刷面形成用塗料は、インクジェット印刷方式により模様等を印刷する場合に、建材表面に設けることにより、被印刷層として、インク吸収性を改善して、意匠性建材の製造効率を向上させたり、インクのにじみを防止する等のために使用される。
被印刷面形成用塗料は、結合剤を主体とし、必要に応じて、溶媒や、充填剤、その他の添加剤等を配合することができる。また、被印刷面形成用塗料は、水系、溶剤系、粉体系等塗料形態の別は問わないが、取り扱いの安全上、環境問題上の観点からは、水系のものを用いることがより好ましい。
被印刷面形成用塗料は、従来から各建材毎に通常に用いられて各種の塗料を特に制限されることなく使用することができる。
その他の添加剤としては、例えば、消泡剤や、レベリング剤、紫外線吸収剤、成膜助剤、光安定化剤、抗菌剤、架橋促進剤、分散剤、沈殿防止剤、インク溶媒に対する濡れ助成剤等を必要に応じて配合することが可能であり、使用する結合剤、着色顔料、体質顔料、吸水性充填剤、溶媒等により、添加剤の種類、添加量を変化させることができる。
このような吸液量の調整は、例えば、塗膜中における充填剤の含有量、特に、吸水性充填剤の含有量を調整等することにより、当業者であれば、容易に実施することができる。
ガラス板(200×250×2mm)に、被印刷面形成用塗料をスプレー塗装で塗布する。塗布量は乾燥重量で40g/m2とし、塗膜表面が平滑且つ膜厚がガラス板全体で平均的に配向するように塗装する。塗装した被印刷面形成用塗料が常温乾燥型の塗料である場合には80℃×30分強制乾燥を行う。塗装した被印刷面形成用塗料が焼き付け乾燥型の塗料である場合には150℃×30分強制乾燥を行う。前記強制乾燥を終了した後、温度23℃、湿度50%の恒温室にて168時間静置する。静置した後、塗膜を形成させたガラス板の端面に吸水性の全くないシリコンコーキング剤により、コーキングを行う。
被印刷面形成用塗料は、従来から採用されている塗装の方法であれば、特に制限なく各種の塗装方法を使用することができる。このような塗装方法としては、例えば、エアースプレー塗装や、エアレススプレー塗装、静電塗装、ロールコーター塗装、フローコーター塗装等、各種の方法を適宜選択することができる。特に建材表面が凹凸を有している場合には、凹凸形状への追従性や、塗装速度の適合性から、エアレススプレー塗装や、静電塗装等を好適に使用することができる。なお、被印刷面形成用塗料の配合組成によっては、塗装直前の建材の表面温度が、例えば、30〜70℃に予熱されていることが、良好な被印刷層を形成する上で有効な手段となることがある。
被印刷面形成用塗料を硬化又は乾燥させる条件は、塗料の種類により常温乾燥、強制乾燥、又は活性エネルギー線照射による硬化乾燥等いずれの方法を採用することが可能であり、塗料配合により適宜選択することができる。
塗布量が20g/m2より少ないと、製造した意匠性建材の耐久性が低下する場合がある。一方、80g/m2を超えると、被印刷面形成用塗料の乾燥に要する時間が長くなり、また、被印刷面形成用塗料を塗装することによる性能向上が望めず、かえってコスト的に不利となり易い。
被印刷面形成用塗料は、必ずしも完全硬化又は乾燥させる必要はなく、ある程度溶媒を蒸発させた状態で、つまり、半乾きの状態で、後述するインクジェット印刷を行うことも、また、完全に硬化又は乾燥させた状態であってもよい。
なお、被印刷層には、後述の着色領域を形成する前に、更に、高度な意匠表現を実現するため、又はインクジェット印刷を補完する目的で、グラビア印刷や、スクリーン印刷等他の印刷手段を施しておいてもよい。
本発明で使用される着色インクは、溶剤系又は水系、無溶剤系のいずれのものも使用することができる。安全面及び環境に対する観点からは、水系もしくは無溶剤系のものを使用することが好ましい。
着色インクは、着色顔料、溶媒、以下で詳述する反応性化合物(A)、及び分散剤を主成分とし、これに必要に応じて、その他添加剤、例えば、充填剤等を配合することができる。
着色顔料としては、一般的に塗料や、インクで用いられる公知の着色顔料のいずれも用いることができるが、形成させた着色や模様の耐候性又は耐久性から、主として無機系顔料を配合することが好ましい。
また、上記無機顔料に加えて、有機系の着色顔料を配合することもできる。このような有機系の着色顔料としては、例えば、キナクリドンや、ジケトプロロピール、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、アンスラピリミジン、スレン、ジオキサジン等が代表的なものとして挙げられる。
配合量が0.5質量部未満では、発色が不十分なため、形成される模様が不鮮明になる傾向にある。また、インクの着色色剤に有機顔料を用いる際においては、耐光性、退色性に充分に配慮する必要がある。
平均粒径が20nm未満では、インクの粘度を上昇させたり、耐光性が低下する傾向にある。400nmを超えるとインクジェットプリンターの吐出ノズルのつまりが生じやすくなり、前述のような高画質での印刷が困難となる傾向にある。
これらの溶剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本発明においては、取り扱いの安全上の観点、及び環境に対する観点から、水を主とした溶媒として用いることがより好ましい。
反応性化合物(A)は、着色インクに対して、例えば、0.1〜70質量%で配合されていることが好ましく、1.0〜60質量%配合されていることがより好ましく、1.5〜50質量%配合されていることが更に好ましい。配合量が0.1質量%より少ないと、前述したような画像の耐久性、耐インクのにじみ性が低下する傾向にある。一方、この配合量が、70質量%より多いと、インクの粘度上昇、安定性低下、インクノズルの詰まりの発生等の問題を発生する傾向にある。
着色インクに使用されるその他添加剤として、例えば、導電度調整剤や、消泡剤、沈殿防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防腐剤等を必要に応じて添加することができる。
着色インクに使用される充填剤としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を添加することができる。
本発明においては、意匠性建材の製造効率等の観点から、着色インクの吐出においては、オンディマンド方式のピエゾドロップ型インクジェットプリンターを使用することが好適である。
クリアーインクは、着色領域の耐水性や、耐溶剤性、耐薬品性、耐汚染性、耐候性等の耐久性能を向上させ、更にクリアー塗料を塗り重ねる場合においては、クリアー塗料を塗装した際に生じる着色領域のインクのにじみを防止するために使用する。
本発明で使用するクリアーインクは、溶媒及び、以下で詳述する反応性化合物(B)からなり、必要に応じて各種添加剤を含有する。
クリアーインクに使用される溶媒としては、従来からインクで用いられている溶剤を特に制限なく各種使用することができる。このような溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルや、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールエーテル類:プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレンブリコールジエチルエーテル等のプロピレングリコールエーテル類、エチレングリコールや、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール等の有機溶媒及び水等が代表的なものが挙げられる。
溶剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本発明においては、取り扱いの安全上の観点、及び環境に対する観点から、水を主とした溶媒として用いることがより好ましい。
反応性化合物(B)は、クリアーインクに対して、例えば、0.1〜70質量%配合されていることが好ましく、1.0〜60質量%配合されていることがより好ましく、1.5〜50質量%配合されていることが更に好ましい。配合量が0.1質量%より少ないと、前述したような画像の耐久性、耐インクのにじみ性が低下する傾向にある。一方70質量%より多いと、インクの粘度上昇、安定性低下、インクノズルの詰まりの発生等の問題を発生する傾向にある。
クリアーインクに配合される添加剤としては、例えば、導電度調整剤や、消泡剤、沈殿防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防腐剤等を必要に応じて添加することができる。
加熱条件は、使用する反応性化合物(A)及び(B)の種類、及びインクの配合により異なるが、40〜150℃の温度範囲で、10〜1200秒の範囲で、条件を設定することができる。
本発明で使用される着色インクに配合される反応性化合物(A)は、第1の態様においては、その後に吐出されるクリアーインクに配合される反応性化合物(B)と反応するものである。着色インク及びクリアーインクに対して、これらの反応性化合物(A)及び反応性化合物(B)をそれぞれ配合することで、着色インクを吐出した後に、クリアーインクを吐出した場合、両インクが反応し、被印刷面上で、着色インクが強固に付着し、得られる画像の耐候性及び耐水性等の耐久性能が向上する。
前記アミノ基含有化合物としては、例えば、活性水素当量が50〜300のポリアミドや、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリアミドポリアミン、メンセンジアミン等が代表的なものとして好適に挙げられる。
前記エチレンイミン基含有化合物としては、例えば、エチレンイミンが好適に挙げられる。
また、前記組み合わせの内、どちらを反応性化合物(A)として着色インクに配合し、もう一方を反応性化合物(B)としてクリアーインクに配合するかは、特に制限が無い。
なお、着色インク及びクリアーインクが水系のインクである場合において、前記反応性化合物(A)又は/及び(B)が樹脂のような高分子化合物である場合においては、エマルションタイプ又は水溶性タイプのいずれのものも使用することができる。
本発明において、着色インクを吐出するインク室は、赤系、青系、黄系の3原色に加え、明度調整用としての黒色系の個々の色のインクに、個別に対応可能なプリンターヘッドを有するインクジェットプリンターか、より好ましくは前記4原色の中間色や白色系インクに必要に応じ個別に対応可能な、プリンターヘッドを4〜8群備えた、いわゆるフルカラーインクジェットプリンターを使用することができる。
本発明においては、インク吐出時にプリンターヘッドがコンベア上方に位置し、コンベア幅方向に往復運動する方式よりも、搬送されつつある建材上方に位置し固定されている、いわゆるライン方式プリンターヘッドを具備する形式のインクジェットプリンターが、生産スピードからみて好ましい。
コンベアにて、建材を搬送する速度は、10〜60m/分が好ましく、20〜50m/分がより好ましい。搬送速度が10m/分よりも遅いと、意匠性建材の製造効率が低下し、結果としてコストアップにつながる傾向にある。一方、搬送速度が60m/分を超えると、印刷された模様の画質が低下する傾向にある。
本発明で使用されるクリアー塗料は、インクジェット印刷方式により形成されたインク模様や着色のにじみを防止するのに有用である。
クリアー塗料は、従来、建材に対して塗装されているものであれば、特に制限なく各種使用することができる。
クリアー塗料は、通常、結合剤、必要に応じて配合される顔料、添加剤、溶媒から構成される。
クリアー塗料に使用される結合剤としては、例えば、アクリル樹脂や、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコン系樹脂、アクリルシリコン樹脂、ビニル樹脂、セルロース誘導体等から選択される1種、又は2種以上の組み合わせ、これらと硬化剤、又はこれらと硬化促進触媒を組み合わせて使用することができる。
クリアー塗料に使用される顔料は、クリアー塗料の透明性を失わない程度に使用することができる。これら顔料としては、艶消し剤を含む体質顔料、着色顔料、或いはカラーマイカ、ウレタン系、アクリル系等の着色或いは透明ビーズ、鱗片状黒鉛、鱗片状酸化鉄、メッキ処理ガラスフレーク、アルミ箔カラークリアー塗料切断品等の各種顔料の配合ができる。
上記溶媒としては、塗料において通常使用されているいずれのものも使用することが可能であり、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素類:酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類:メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類:イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類:更には各種の脂肪族炭化水素類、グリコールエーテル類、水等から選択される1種、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、取り扱いの安全上及び環境状の観点から、水を主な溶媒として使用することが好ましい。
このような塗装方法としては、例えば、エアースプレー塗装や、エアレススプレー塗装、静電塗装、ロールコーター塗装、フローコーター塗装等を適宜選択することができる。特に凹凸を有する建材においては、建材形状への追従性や塗装処理速度から、エアレススプレー塗装や静電塗装が好適に使用できる。
クリアー塗料を塗装した後、通常、塗料を乾燥もしくは硬化させる。乾燥条件は、塗料の種類により常温乾燥、強制乾燥、焼き付け乾燥或いは活性エネルギー線照射による硬化のいずれも用いることができ、使用する塗料配合により適宜選択することができる。
なお、使用する塗料が水系の塗料である場合には、塗装直前の表面板温度が30〜70℃に予熱されていることが、良好なクリアー塗膜を形成する上で有効な手段である。
このような態様においても、その他の条件等は、上記の第1の態様で説明したものと同様であり、当業者には容易に理解されるところである。
硬化剤
コロネートHX(日本ポリウレタン工業社製イソシアヌレート、加熱残分99%超、比重1.15) 5.3部
水52.3質量部、スチレン10.0質量部、アクリル酸ブチル15.0質量部、メタクリル酸メチル15.6質量部、メタクリル酸1.4質量部、ジアセトンアクリルアミド3質量部、乳化剤としてポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩(ニューコール707SF:日本乳化剤(株)性)2.5質量部、過硫酸カリウム0.2質量部を用いて乳化重合を行った後、アンモニア水にてpHを9に調整し、カルボニル基含有樹脂エマルションを、カルボニル基含有化合物Aとしての反応性化合物(A)として得た。
着色インク1(参考)
C.I.ピグメントブルー6質量部、水62質量部、BYK−190(湿潤分散剤:ビッグケミー社製)7質量部、エチレングリコール12質量部、ジエチレングリコール13質量部を、粒度分布(D50)78nm、(D90)135nmとなるまで練合を行い、ブルーインクを調製した。
着色インク2
着色インク1、60質量部に対して、カルボニル基含有化合物A40質量部を配合して、着色インク2を調製した。
着色インク3(参考)
着色インク2、99.4質量部に対して、反応性化合物(B)として、アジピン酸ジヒドラジド(日本化成株式会社製)0.6質量部を添加して、着色インク3を調製した。
水99.4質量部に対して、反応性化合物(B)として、アジピン酸ジヒドラジド(日本化成株式会社製)を0.6質量部添加して溶解させ、クリアーインクを調製した。
クリアー塗料
Vセラン#700 (大日本塗料(株)社製、水系アクリルシリコン樹脂塗料)を用いた。
意匠性建材の製造
石膏スラグバーライト板の表面に、上記シーラーを固形分換算で60g/m2となるように塗装し、常温で一晩静置して乾燥させた。次いで、乾燥シーラー層の表面に、上記調整した被印刷面形成用塗料を、固形分換算で45g/m2となるように塗装し、120℃×10分の条件にて乾燥させ、被印刷層を形成した。被印刷層の乾燥時の吸液量は、3.7g/m2であった。
得られた被印刷層の面に対して、以下の表1の条件で、上記各着色インクを吐出して着色領域を形成し、次いでその着色領域にクリアーインクを吐出して、インクジェット印刷を行った。なお、インクの吐出には、PX−V500(エプソン(株)社製ピエゾ式インクジェットプリンター、ノズル口径20μm)を用いた。クリアーインクの吐出後、表1に記載する各条件に従って、前記クリアー塗料を固形分換算で30g/m2となるように塗装し、100℃×10分の条件で乾燥させた後、以下の基準にて評価を行った。
被印刷層の形成までは、実施例1〜2と同様に行った。次いで、以下の表1の条件にて、上記クリアーインクを吐出して、クリアー領域を形成し、その領域に各着色インクを吐出して着色し、インクジェット印刷をおこなった。インクの吐出に用いた機器、及びその後の操作については、実施例1〜2と同様に行った。
クリアーインクの吐出を行わないこと以外は、表1の条件に基づき、実施例と同様の操作を行った。
○:着色模様のにじみ等無く、良好な画像が形成されている。
△:若干のにじみが確認できるものの、実用上問題ない程度の画像が形成されている。
×:目視にて着色インクのにじみが確認でき、画像の乱れが確認できる。
レーザー顕微鏡により、着色した箇所のインクのドット径を測定し、クリアー塗料塗装前と、塗装後のインクドット径の差を確認した。なお、レーザー顕微鏡はVK−8510((株)キーエンス社製)を使用した。
上記着色インク及びクリアーインクの吐出を行った後に、吐出を行ったインクノズルを洗浄すること無しに、常温で24時間放置し、放置後に再度印刷を行うことで、インクノズルの詰まりが発生しているか否かを判断した。
○:ノズルの詰まり等無く、良好な印刷が可能。
△:吐出レベルが○より落ちるが、実用上問題ない程度の印刷が可能。
×:ノズルの詰まりが発生し、印刷ができない状態。
なお、インク液滴は、JetScope Pro−L((有)マイクロジェット社製)で測定した。
これに対して、着色インクに対して反応性化合物(A)を配合せず、クリアーインクの吐出を行わなかった比較例1においては、インクのにじみが発生し、良好な画像が形成できていないことが確認された。
更に、着色インクに対して反応性化合物(A)及び(B)の両方を配合した比較例2においては、形成される画像は実施例と遜色ないものが形成できるものの、インクノズルの詰まりが生じ、継続しての印刷が困難となる結果が得られた。
シーラーとして、Vセラン#300(大日本塗料(株)製、建材向けアクリル樹脂系シーラー)を使用した。
被印刷面形成用塗料として、実施例1で使用したものを使用した。
クリアー塗料として、Vセラン#100クリアー(大日本塗料(株)製、外装建材用溶剤型2液性ウレタン塗料)を使用した。
着色インク4(参考)
カーボンブラック4質量部、2−ピロリドン20質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル68質量部、ポリエステルポリアミド樹脂(分散剤、ソルスパース37500、アビシア社製、NV40%)8質量部を、粒度分布(D50)80nm、(D90)142nmになるまで練合を行い、黒インクを調整した。
着色インク4、95質量部に対して、反応性化合物(A)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量184〜194、分子量380)を反応性化合物(A)として5質量部添加し、着色インク5を調整した。
着色インク4、91.2質量部に対して、エピコート828を5質量部、ポリアミド(バーサミド115、コグニス社製、活性水素当量135〜155)を反応性化合物(B)として3.8質量部添加し、着色インク6を得た。
キシレン70質量部、イソブタノール26.2質量部、反応性化合物(B)として、バーサミド115を反応性化合物(B)として3.8質量部混合し、クリアーインクを得た。
被印刷層の形成までは、実施例1〜2と同様に行った。次いで、以下の表2の条件にて、上記各着色インクを吐出して着色領域を形成し、次いでその着色領域にクリアーインク2を吐出して、インクジェット印刷を行った。インクの吐出に用いた機器、及びその後の操作については、実施例1〜2と同様に行った。
被印刷層の形成までは、実施例1〜2と同様に行った。次いで、以下の表2の条件にて、上記クリアーインク2を吐出して、クリアー領域を形成し、その領域に各着色インクを吐出して着色し、インクジェット印刷を行った。インクの吐出に用いた機器、及びその後の操作については、実施例1〜2と同様に行った。
クリアーインクの吐出を行わないこと以外は、表2の条件に基づき、実施例と同様の操作を行った。
前記基準に従い、目視による外観、レーザー顕微鏡による観察、インクノズルのつまり性を確認した。評価に用いた基材、方法等については前述の通りである。
結果を以下の表2に示す。
これに対して、着色インクに対して反応性化合物(A)を配合せず、クリアーインクの吐出を行わなかった比較例3においては、100℃で乾燥した後もインクの滲みが発生し、良好な画像が形成できていないことが確認された。
更に、着色インクに対して反応性化合物(A)及び(B)の両方を配合した比較例4においては、形成される画像は実施例と遜色ない状態であるものの、インクノズルのつまりが生じ、継続しての印刷が困難となる結果が得られた。
なお、この反応性化合物(A)と反応性化合物(B)との組合せの場合、実施例1の場合の組合せに比べて、反応時間が長くなるが、本発明の当初の目的は適切に達成された。
Claims (6)
- 意匠性建材の製造方法であって、
(1)建材表面に被印刷面形成用塗料を塗装して、被印刷層を形成する工程、
(2)前記被印刷層に、反応性化合物(B)と反応する反応性化合物(A)を含有する着色インクをインクジェット印刷方式により、吐出して、着色領域を形成する工程、次いで、
(3)前記着色領域に、前記反応性化合物(B)を含有するクリアーインクを吐出する工程、
を有することを特徴とする方法。 - 意匠性建材の製造方法であって、
(1)建材表面に被印刷面形成用塗料を塗装して、被印刷層を形成する工程、
(2)前記被印刷層に、反応性化合物(A)と反応する反応性化合物(B)を含有するクリアーインクをインクジェット印刷方式により、吐出して、クリアー領域を形成する工程、次いで、
(3)前記クリアー領域に、前記反応性化合物(A)を含有する着色インクを吐出する工程、
を有することを特徴とする方法。 - クリアー塗料により仕上げ塗装を行う工程を更に含む、請求項1又は2に記載する方法。
- 前記着色インク及びクリアーインクの吐出を、着色インクを吐出するインク室と共に、クリアーインクを吐出するインク室を有するピエゾドロップ型インクジェットプリンターを用いて行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載する方法。
- 前記化合物(A)と化合物(B)の組み合わせが、エポキシ基含有化合物とアミノ基含有化合物、エポキシ基含有化合物と水酸基含有化合物、エポキシ基含有化合物とカルボキシル基含有化合物、エチレンイミン基含有化合物とカルボキシル基含有化合物、エチレンイミン基含有化合物と水酸基含有化合物、エチレンイミン基含有化合物とアミノ基含有化合物、オキサゾリン基含有化合物とカルボキシル基含有化合物、カルボニル基含有化合物とヒドラジド基含有化合物、イソシアネート基含有化合物と水酸基含有化合物、イソシアネート含有化合物とカルボキシル基含有化合物、イソシアネート含有化合物とアミノ基含有化合物、シリル基含有化合物と金属触媒化合物の組合せからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記被印刷面が、吸液量0.5〜15.0g/m2である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
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