JP2007147063A - 液封入式防振装置用仕切り部材及びその液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】オリフィス部材と弾性仕切り膜との接合強度を確保しつつも接着剤を不要として、その製造コストの大幅な削減を達成することができる液封入式防振装置用仕切り部材及びその液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1の貫通孔を有する弾性仕切り膜を加硫成形工程で成形し、その弾性仕切り膜を、貫通孔を含む部位が射出空間内に位置するように、インサート工程において樹脂射出用金型内にインサートする。そして、樹脂成形工程において、樹脂射出用金型の射出空間内に樹脂材料を射出して、オリフィス部材を弾性仕切り膜と一体に成形する。これにより、接着剤を不要として、製造コストの大幅な削減を図ることができる。更に、オリフィス部材の樹脂材料を弾性仕切り膜の貫通孔内に充填して、その充填部でオリフィス部材に対する弾性仕切り膜の抜け防止手段を形成するので、両部材の接合強度を確実に確保することができる。
【選択図】図1
【解決手段】少なくとも1の貫通孔を有する弾性仕切り膜を加硫成形工程で成形し、その弾性仕切り膜を、貫通孔を含む部位が射出空間内に位置するように、インサート工程において樹脂射出用金型内にインサートする。そして、樹脂成形工程において、樹脂射出用金型の射出空間内に樹脂材料を射出して、オリフィス部材を弾性仕切り膜と一体に成形する。これにより、接着剤を不要として、製造コストの大幅な削減を図ることができる。更に、オリフィス部材の樹脂材料を弾性仕切り膜の貫通孔内に充填して、その充填部でオリフィス部材に対する弾性仕切り膜の抜け防止手段を形成するので、両部材の接合強度を確実に確保することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、液封入式防振装置用仕切り部材およびその液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法に関するものである。
従来の液封入式防振装置200は、図6に示すように、エンジン側に取り付けられる第1取付け具201と、車体フレーム側に取り付けられる第2取付け具202とがゴム状弾性体から構成される防振基体203で連結され、第2取付け具202に取付けられたダイヤフラム205と防振基体203との間に液封入室206が形成されている。
そして、液封入室206は、仕切り部材207によって主液室206Aと副液室206Bとに仕切られ、これら主及び副液室206A,206Bは、オリフィス220によって互いに連通されている。その結果、オリフィス220による主及び副液室206A,206B間の流体流動効果や防振基体203の制振効果により、振動減衰機能と振動絶縁機能とを果すことができる。
また、仕切り部材207は、図6に示すように、樹脂材料から構成されるオリフィス部材208と、ゴム状弾性体から構成される弾性仕切り膜209とを備える。このように、弾性仕切り膜209で主及び副液室206A,206B間を区画して、両液室間の液圧変動を弾性仕切り膜209の往復動変位で吸収することにより、小振幅入力時の低動ばね特性を得ることができる。
しかしながら、この液封入式防振装置200では、弾性仕切り膜209とオリフィス部材208とを加硫接着することで仕切り部材207を構成していた。そのため、オリフィス部材207の製造工程においては、接着剤の塗布工程や乾燥工程が必要となり、その分、製造コストが嵩むという問題点があった。
また、接着部が液体内に浸漬されるという構造上、弾性仕切り膜209の往復動変位と共に液体が接着部界面へ浸入して、接着部のはがれが生じ易いという問題点があった。そのため、接着部のはがれに対する信頼性を確保するべく、耐液・耐熱性の接着剤を使用する必要が生じ、その分、材料コストが嵩むという問題点があった。また、オリフィス部材208に使用できる樹脂材料も接着性を確保できる材料に限られることとなり、その選択範囲が狭くなるという問題点もあった。
そこで、接着剤を不要とする構造が提案されている。例えば、特開平5-248479号公報には、オリフィス部材を熱可塑性樹脂から構成すると共に外部材84及び内部材88に2分割し、これら各部材84,88間にゴム板94の外周縁部を挟み込んだ後、各部材84,88の合わせ面を超音波溶着により一体化することで仕切部材40(液封入式防振装置用仕切り部材)を製造する技術が記載されている。この技術によれば、ゴム板94が各部材84,88間に挟圧保持されるので、接着剤を不要とすることができる。
特開平5-248479号公報(例えば、段落[0047]、[0050]、図6から図9など)
しかしながら、上述したオリフィス部材を2分割して溶着する技術では、2分割した各部材84,88をそれぞれ射出成形する射出成形工程と、それら各部材84,88でゴム板94を挟み込んで組み立てる組立工程と、その組立工程により組み立てられたユニットを超音波伝達手段によって溶着する溶着工程という工程がそれぞれ必要となり、設備コストや作業コストが極めて嵩むという問題点があった。
また、超音波溶着に適合する樹脂材料を選択する必要があり、その分、樹脂材料の選択範囲が狭くなるという問題点があった。更に、オリフィス部材を2分割したので、各部材84,88をそれぞれ射出成形する必要が生じ、樹脂射出用金型の取り個数が減少するため、成形コストが嵩むという問題点もあった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、オリフィス部材と弾性仕切り膜との接合強度を確保しつつも、接着剤を不要として、その製造コストの大幅な削減を達成することができる液封入式防振装置用仕切り部材及びその液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求の範囲第1項記載の液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法は、液体が封入される液体封入室を主液室と副液室とに区画する位置に配置され前記主及び副液室間の液圧差を緩和する弾性仕切り膜と、その弾性仕切り膜により区画された前記主及び副液室を互いに連通させるオリフィスを形成するオリフィス部材とを備え、そのオリフィス部材が樹脂材料から構成されると共に前記弾性仕切り膜がゴム状弾性体から構成される液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法であって、少なくとも1以上の貫通孔が周縁部に形成された略円板形状に前記弾性仕切り膜を加硫成形する加硫成形工程と、その加硫成形工程により加硫成形された前記弾性仕切り膜の少なくとも前記貫通孔を含む部位が前記オリフィス部材の形状を有する射出空間内に位置するように、前記弾性仕切り膜を前記樹脂射出用金型内にインサートするインサート工程と、そのインサート工程により前記弾性仕切り膜がインサートされた前記樹脂射出用金型の射出空間内に樹脂材料を射出して、前記オリフィス部材を前記弾性仕切り膜と一体に成形する樹脂成形工程とを備え、前記オリフィス部材の樹脂材料を前記弾性仕切り膜の貫通孔内に充填して、その充填部で前記オリフィス部材に対する前記弾性仕切り膜の抜け防止手段を形成する。
請求の範囲第2項記載の液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法は、請求の範囲第1項記載の液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法において、前記加硫成形工程は、前記弾性仕切り膜を前記オリフィス部材の側面における外径寸法よりも大径の略円板状に加硫成形するものであり、前記インサート工程は、前記加硫成形工程により前記オリフィス部材の側面における外径寸法よりも大径に形成された前記弾性仕切り膜の外周部を前記樹脂射出用金型の保持部で保持するものである。
請求の範囲第3項記載の液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法は、請求の範囲第1又は第2項に記載の液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法において、前記加硫成形工程は、前記加硫成形工程は、前記オリフィス部材に埋設される部位の少なくとも一部が前記液圧変動を緩和させる為の膜部よりも肉厚となるように前記弾性仕切り膜を加硫成形するものである。
請求の範囲第4項記載の液封入式防振装置用仕切り部材は、請求の範囲第1から第3項のいずれかに記載の製造方法によって製造されたものである。
請求項1記載の液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法によれば、加硫成形工程で成形した弾性仕切り膜をインサート工程で樹脂射出金型内にインサートすると共に、樹脂成形工程でオリフィス部材を弾性仕切り膜と一体に成形することで、液封入式防振装置用仕切り部材を製造することができる。
よって、弾性仕切り膜とオリフィス部材とを加硫接着することで製造される従来品のように、接着剤の塗布工程や乾燥工程などを必要としないので、作業工程を簡素化することができ、その分、作業コストの大幅な低減を図ることができるという効果がある。
また、接着剤が不要となることで、その分、材料コストの削減を図ることができるという効果がある。同様に、接着剤による接着部がなくなることで、接着部がはがれるという問題点を解消して、信頼性の向上を図ることができるという効果がある。更に、接着剤と樹脂材料との接着性を考慮しなくても良いので、樹脂材料の選択範囲が広がるという効果がある。
一方、2分割したオリフィス部材で弾性仕切り膜を狭み込むと共に超音波溶着により一体化する従来品のように、オリフィス部材を2分割してそれぞれを射出成形する必要がないので、樹脂射出用金型の射出空間を効率的に使用して、その分、取り個数を増加させることができるという効果がある。
また、従来品のように、2分割したオリフィス部材で弾性仕切り膜を挟み込んで組み立てる組立工程と、その組立工程により組み立てられたユニットを超音波溶着する溶着工程とを必要としないので、作業工程および製造設備を簡素化することができ、その分、作業コスト及び設備コストの大幅な削減を図ることができるという効果がある。
そして、本発明の製造方法によれば、オリフィス部材の樹脂材料を弾性仕切り膜の貫通孔内に充填して、その充填部でオリフィス部材に対する弾性仕切り膜の抜け防止手段を形成することができる。よって、オリフィス部材と弾性仕切り膜との十分な接合強度を得ることができるので、動的な特性や耐久性能を確実に確保することができるという効果がある。
請求項2記載の液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法によれば、請求項1記載の液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法の奏する効果に加え、加硫成形工程は、弾性仕切り膜をオリフィス部材の側面における外径寸法よりも大径の略円板状に加硫成形するものである。よって、インサート工程においては、弾性仕切り膜の外周部を樹脂射出用金型の保持部で保持することができるので、弾性仕切り膜の位置決めをより高精度に行うことができるという効果がある。その結果、オリフィス部材に対する弾性仕切り膜の位置精度を高めることができるので、その分、動的な特性や耐久性能を確保した液封入式防振装置用仕切り部材を製造することができるという効果がある。
請求項3記載の液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法によれば、請求項1又は2に記載の液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法の奏する効果に加え、加硫成形工程は、オリフィス部材に埋設される部位の少なくとも一部が液圧変動を緩和させる為の膜部よりも肉厚となるように弾性仕切り膜を加硫成形するものである。即ち、弾性仕切り膜は、インサート工程において射出空間内に位置する部位がより肉厚となるように成形されるので、樹脂成形工程において射出空間内に射出される樹脂材料の射出量を少なくすることができ、その分、材料コストの削減を図ることができるという効果がある。
請求項4記載の液封入式防振装置用仕切り部材によれば、請求の範囲第1から第3項のいずれかに記載の製造方法によって製造された液封入式防振装置用仕切り部材と同様の効果を奏する。
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の1実施の形態における液封入式防振装置100の断面図である。
この液封入式防振装置100は、自動車のエンジンを支持固定しつつ、そのエンジン振動を車体フレームヘ伝達させないようにするための防振装置であり、図1に示すように、エンジン側に取り付けられる第1取付け金具1と、筒状の第2取付け金具2と、これら両金具1,2を連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体3とを主に備えて構成されている。
第1取付け金具1は、図1に示すように、アルミニウム合金から略円柱状に構成され、その上端面(図1上側面)には、めねじ部11が下方(図1下方)へ向けて凹設されている。また、第1取付け金具1の長手方向(図1上下方向)の略中間部には、フランジ状の被ストッパ部12が径方向外方へ向けて張り出して形成されている。
第2取付け金具2は、図1に示すように、鉄鋼材料から上下端(図1上側及び下側)が開口した筒状に構成されている。なお、第2取付け金具2は、段差を有して構成されており、その段差の上側(図1上側)が大径筒部2aとされ、段差の下側(図1下側)が小径筒部2bとされている。
防振基体3は、図1に示すように、ゴム状弾性体から断面略円錐台形状に形成され、第1取付け金具1の下端側(図1下側)と第2取付け金具2の上端(図1上側)内周部との間に加硫接着されている。
防振基体3の上端部(図1上側)には、図1に示すように、上記した第1取付け金具1の被ストッパ部12を覆うストッパゴム部31が連なっており、このストッパゴム部31が後述するストッパ金具4に当接することで、大変位時のストッパ作用が得られるように構成されている。
一方、防振基体3の下端部(図1下側)には、図1に示すように、第2取付け金具2の内周面を覆うゴム膜32が連なっており、このゴム膜32には、後述するオリフィス部材8のオリフィス形成壁81、及び、ダイヤフラム5の取付け金具51がそれぞれ密着されている。
第2取付け金具2の上端部(大径筒部2a)には、図1に示すように、ストッパ金具4が外嵌圧入されている。ストッパ金具4は、上記したように、ストッパゴム部31の変位を規制して、ストッパ作用を得るための部材であり、鉄鋼材料から略カップ状に構成されている。
なお、ストッパ金具4の側面には、図1に示すように、液抜き孔41が穿設されている。この液抜き孔41は、ストッパ金具4の内周側空間に貯留された液体を排出するための排出孔であり、第2取付け金具2の上側(図1上側)端縁部と略一致する高さに開口されている。液封入式防振装置100の組み立て工程や走行時などにおいて、ストッパ金具4の内周側空間に液体等が貯留された場合には、その液体等が液抜き孔41を介して外部へ排出される。
ダイヤフラム5は、図1に示すように、ゴム状弾性体から部分球状を有するゴム膜状に構成されるものであり、第2取付け金具2(小径筒部2b)の下端部(図1下側)に取着されている。その結果、このダイヤフラム5の上面側と防振基体3の下面側との間には、液体封入室6が形成されている。
この液体封入室6には、エチレングリコールなどの不凍性の液体(図示せず)が封入されている。また、液体封入室6は、図1に示すように、後述する仕切り部材7(オリフィス部材8及び弾性仕切り膜9)によって、防振基体3側(図1上側)の主液室6Aと、ダイヤフラム5側(図1下側)の副液室6Bとの2室に仕切られている。
なお、ダイヤフラム5は、上面視ドーナツ状の取付け金具51に加硫接着されており、図1に示すように、その取付け金具51を介して、第2取付け金具2の下端部(図1下側)に取着されている。
仕切り部材7は、図1に示すように、液体封入室6を主液室6Aと副液室6Bとに仕切るものであり、樹脂材料から略円柱状に構成されるオリフィス部材8と、ゴム状弾性体から略円板状に構成される弾性仕切り膜9とを備えている。弾性仕切り膜9は、主及び副液室6A,6Bを区画する位置に配置されている。
その結果、比較的小さな振幅が入力される場合には、弾性仕切り膜9が往復動変位することで、液体封入室6(主及び副液室6A,6B)間の液圧差を緩和して、低動ばね特性を得ることができる。
ここで、仕切り部材7は、オリフィス部材8と弾性仕切り膜9とのインサート成形により構成されている。よって、従来品のように両部材8,9を加硫接着するための接着剤を必要としない。また、仕切り部材7には、オリフィス部材8に対する弾性仕切り膜9の抜け防止手段が設けられており、両部材8,9の接合強度が十分に確保されている。なお、抜け防止手段の詳細構成については、後述する。
オリフィス部材8の上下端(図1上側及び下側)には、図1に示すように、オリフィス形成壁81,82が径方向外方へ向けてそれぞれ張り出して形成されており、これら各オリフィス形成壁81,82の対向面間(即ち、オリフィス部材8の外周面側と第2取付け金具2の内周面側(ゴム膜32)との間)にオリフィス20が形成されている。このオリフィス20は、主液室6Aと副液室6Bとを連通させるオリフィス流路である。
なお、オリフィス20は、上側(図1上側)のオリフィス形成壁81に切り欠き形成される切欠き部81a(図3参照)を介して、主液室6Aに連通される一方、オリフィス部材8の側面に貫通形成される開口部85(図3参照)を介して、副液室6Bに連通されている。
ここで、液封入式防振装置100の組み立ては、まず、第2取付け金具2の下端側(図1下側)開口部から仕切り部材7とダイヤフラム5とを順に嵌め込み、次いで、第2取付け金具2の小径筒部2b全体を径方向(図1左右方向)に縮径加工(絞り加工)することにより行われる。
なお、この絞り加工は、複数の移動可能なダイス刃を有する絞リダイスを用いて行われ、具体的には、第2取付け金具2の小径筒部2bの外周面全周を取り囲むように前記複数のダイス刃を配置すると共に、そのダイス刃を中心に向かって移動させることにより、小径筒部2b全体を径方向へ均等に縮径する。
その結果、仕切り部材7(オリフィス部材8)は、図1に示すように、防振基体3に設けた仕切り体受け部33とダイヤフラム5とによって、液封入式防振装置100の軸芯方向(図1上下方向)に挟持固定される。なお、仕切り体受け部33は、防振基体3の下面側の複数箇所に段部として形成されており、その段部によってオリフィス部材8の上端面(図1上側面)を受け止める。
ここで、この組み立て状態においては、仕切り体受け部33が圧縮変形されており、この仕切り体受け部33の弾性復元力が仕切り部材7の保持力としてその仕切り部材7の上端面に作用されている。これにより、大振幅や高周波数の振幅が入力された場合などでも、仕切り部材7を強固かつ安定的に挟持固定して、各部材の位置ずれや共振などに起因する動的な特性への影響を回避することができる。
次に、図2及び図3を参照して、仕切り部材7について説明する。図2(a)は、仕切り部材7の上面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb―IIb線における仕切り部材7の断面図である。また、図3は、図2(a)の矢印A方向から見た仕切り部材7の側面図である。
仕切り部材7は、上述したように、オリフィス部材8と弾性仕切り膜9とを備え、これら両部材8,9はインサート成形により一体化されている。なお、仕切り部材7の製造方法については、後述する。
オリフィス部材8は、図2及び図3に示すように、樹脂材料から軸芯Oを有する略円筒状に形成されている。オリフィス部材8の軸方向上下端(図2(b)上側及び下側)には、略フランジ状のオリフィス形成壁81,82が径方向外方へ向けて張り出して形成されている。このオリフィス形成壁81,82の対向面間に上述したオリフィス20が形成される(図1参照)。
上側のオリフィス形成壁には、図2(a)及び図3に示すように、上面視略コ字状の切欠き部81aが切欠き形成されている。この切欠き部81aは、オリフィス出入口として機能する開口部であり、上述したように、この切欠き部81aを介して、オリフィス20が主液室6Aに連通される。
また、オリフィス部材8の側面の1カ所には、図3に示すように、軸心O方向(図3上下方向)に延びる縦壁83が径方向外方へ向けて張り出して形成されている。この縦壁83によって、オリフィス20(図1参照)が区画される。なお、縦壁83の張り出し寸法は、オリフィス形成壁81,82と略同等とされている。
オリフィス部材8の側面であって、縦壁83の側方には、図2及び図3に示すように、開口部85が貫通形成されている。この開口部85は、オリフィス出入口として機能する開口部であり、上述したように、この開口部85を介して、オリフィス20が副液室6Bに連通される。
オリフィス部材8の内周側には、図2に示すように、支持壁86が径方向内方へ向けて張り出して形成されている。この支持壁86には、弾性仕切り膜9の周縁部が埋設されている。なお、壁部86の板厚は、オリフィス部材8の胴部及びオリフィス形成壁81,82の板厚よりも厚く形成されている。よって、後述する樹脂射出工程では、樹脂材料の流動空間を確保して、射出空間内に確実に樹脂材料を充填できるので、歩留まりの向上を図ることができる。
弾性仕切り膜9は、ゴム状弾性体から略円板状に構成され、図2に示すように、その周縁部がオリフィス部材8内に埋設されている。これにより、弾性仕切り膜9は、液体封入室6を主及び副液室6A,6Bに区画する位置に配設されている。ここで、図4を参照して、弾性仕切り膜9の詳細構成について説明する。
図4(a)は、弾性仕切り膜9の上面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb―IVb線における弾性仕切り膜9の断面図である。
弾性仕切り膜9は、図4に示すように、ゴム状弾性体から軸心Pを有する略円板状に構成されるゴム膜であり、上述したように、その周縁部がオリフィス部材8内に埋設されることで(図2参照)、主液室6Aと副液室6Bとを区画する位置に配設され(図1参照)、主及び副液室6A,6B間の液圧差を緩和する機能を発揮する。
この弾性仕切り膜9の膜部91には、図4に示すように、後述する厚肉部93と接する位置に複数(本実施の形態では12個)の貫通孔92が板厚方向(図4(a)紙面垂直方向)に穿設されている。後述するように、この貫通孔92には、オリフィス部材8を構成する樹脂材料が充填され、これにより、オリフィス部材8に対する弾性仕切り膜9の抜け防止手段が形成される。
なお、本実施の形態では、図4に示すように、貫通孔92の断面形状が略円状に形成されると共に、各貫通孔92は、それぞれ周方向へ略等間隔(略30度ごと)に配設されている。これにより、弾性仕切り膜91が往復動変位する場合には、各貫通孔92への負荷を軽減及び均一化して、耐久性の向上を図ることができる。
弾性仕切り膜9の周縁部には、厚肉部93が略円環状に形成されている。この厚肉部93は、上述した貫通孔92と共にオリフィス部材8内に埋設される部位である(図2参照)。厚肉部93の厚み寸法(図4(b)上下方向の厚さ)は、膜部91よりも厚肉に構成されているので、その分、オリフィス部材8を構成する樹脂材料の使用量を少なくして、材料コストの削減を図ることができる。
また、厚肉部93を膜部91よりも厚肉に形成することで、膜部91と厚肉部93との境界部に段差を形成することができる。その結果、弾性仕切り膜9が往復動変位する場合には、かかる段差(厚肉部93の内周面)をオリフィス部材8に対する弾性仕切り膜9の抜け防止手段として機能させることができると共に、その分、貫通孔92及びその貫通孔92内に充填される樹脂への負荷を軽減することができる。
ここで、弾性仕切り膜9は、その外径寸法Drがオリフィス部材8の側面における外径寸法Do(図2(b)参照)よりも大径に形成され、厚肉部93の外周側がオリフィス部材8の側面から突出するように構成されている(図2及び図3参照)。これにより、後述するインサート工程においては、厚肉部93の外周側を樹脂射出用金型70の保持部73a,74aで保持することができるので、弾性仕切り膜9の位置決めをより高精度に行うことができる(図5参照)。
次に、図5を参照して、仕切り部材7の製造方法について説明する。図5は、樹脂射出用金型70の断面を模式的に示した模式図である。
仕切り部材7の製造に際しては、まず、加硫成形工程において、弾性仕切り膜9を上述した形状(図4参照)に加硫成形する。加硫成形工程で弾性仕切り膜9を加硫成形した後は、インサート工程に移行する。
インサート工程では、図5に示すように、樹脂射出用金型70内に弾性仕切り膜9をインサートする。これにより、弾性仕切り膜9の貫通孔92及び厚肉部93(図4参照)が射出空間75内に配置される。
なお、樹脂射出用金型70は、下型71、上型72およびスライド型73,74から構成されており、これら各型71〜
74を型閉めすることにより、上述したオリフィス部材8の形状に一致する射出空間75が形成される。
74を型閉めすることにより、上述したオリフィス部材8の形状に一致する射出空間75が形成される。
スライド型73,74は、図5に示すように、断面コ字状に凹設形成される保持部73a,74aを備えており、かかる保持部73a,74aで弾性仕切り膜9の厚肉部93を保持する。その結果、弾性仕切り膜9の位置決めをより高精度に行って、オリフィス部材8に対する弾性仕切り膜9の位置精度を高めることができ、動的な特性や耐久性能を確保した仕切り部材7を製造することができる。
インサート工程により弾性仕切り膜9を樹脂射出用金型70内にインサートした後は、樹脂成形工程へ移行する。樹脂成形工程では、図5に示す状態から射出空間75内にゲート72aを介して樹脂材料を射出して、オリフィス部材8を弾性仕切り膜9と一体に成形(インサート成形)する。
この場合、弾性仕切り膜9は、上述したインサート工程において、その貫通孔92が射出空間75内に位置するように樹脂射出用金型70内にインサートされているので、樹脂成形工程では、樹脂材料を貫通孔92内に充填して、その充填部でオリフィス部材8に対する弾性仕切り膜9の抜け防止手段を形成することができる。よって、オリフィス部材8と弾性仕切り膜9との十分な接合強度を得ることができ、その結果、動的な特性や耐久性能を確実に確保することができる。
ここで、貫通孔92は、上述したように、厚肉部93に接する位置に形成されているので(図4参照)、射出空間75に狭小空間部が形成されることを防止して、樹脂の流動性を確保すると共に応力集中の発生を回避することができ、その結果、歩留まりの向上を図ることができる。
樹脂成形工程によりオリフィス部材8と弾性仕切り膜9とを一体に成形(インサート成形)した後は、成形品を樹脂射出用金型70内から取り出して、仕切り部材7の製造が完了する。
このように、本発明の製造方法によれば、オリフィス部材8と弾性仕切り膜9とをインサート成形することで仕切り部材7を製造するので、弾性仕切り膜とオリフィス部材とを加硫接着する従来品のように、接着剤の塗布工程や乾燥工程などを必要としない。その結果、作業工程を簡素化して、作業コストの大幅な低減を図ることができる。
また、接着剤が不要となることで、その分、材料コストの削減を図ることができと共に、接着部がはがれるという問題点を解消して、信頼性の向上を図ることができる。更に、接着剤と樹脂材料との接着性を考慮しなくても良いので、樹脂材料の選択範囲を拡大することができる。
また、本発明の製造方法によれば、2分割したオリフィス部材で弾性仕切り膜を挟み込むと共に超音波溶着により一体化する従来品のように、オリフィス部材を2分割してそれぞれを射出成形する必要もない。よって、樹脂射出用金型70に射出空間75を効率的に形成することができ、その取り個数を増加させることができる。
また、従来品のように、2のオリフィス部材で弾性仕切り膜を挟み込んで組み立てる組立工程と、その組立工程により組み立てられたユニットを超音波溶着する溶着工程とを必要としないので、作業工程および製造設備を簡素化することができ、その分、作業コスト及び設備コストの大幅な削減を図ることもできる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施の形態では、貫通孔92の形状を断面円形に形成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではではなく、他の形状とすることは当然可能である。例えば、厚肉部93に沿う長穴状、(即ち、周方向に沿う環状の孔を放射状に分断した形状)などが例示される。
また、上記実施の形態では、弾性仕切り膜9の抜け防止手段の構成要素として、貫通孔92を例に説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、弾性仕切り膜9の少なくとも片面側に設けられる凹部または凸部であっても良い。
即ち、凹部であれば、その凹部内にオリフィス部材8の樹脂材料が充填されることにより、また、凸部であれば、その凸部がオリフィス部材8の樹脂材料に取り囲まれることにより、弾性仕切り膜9の抜け防止手段を構成することができる。
[産業上の利用可能性]
樹脂材料からなるオリフィス部材とゴム状弾性材からなる弾性仕切り膜とから構成される液封入式防振装置用仕切り部材を接合強度を確保しつつ接着剤を不要とすることができる。
樹脂材料からなるオリフィス部材とゴム状弾性材からなる弾性仕切り膜とから構成される液封入式防振装置用仕切り部材を接合強度を確保しつつ接着剤を不要とすることができる。
100 液封入式防振装置
6 液体封入室
6A 主液室
6B 副液室
7 仕切り部材(液封入式防振装置用仕切り部材)
8 オリフィス部材
9 弾性仕切り膜
91 膜部
92 貫通孔
93 厚肉部
20 オリフィス
70 樹脂射出用金型
73a,74a 保持部
75 射出空間
Do オリフィス部材の側面における外径寸法
Dr 弾性仕切り膜の外径寸法
6 液体封入室
6A 主液室
6B 副液室
7 仕切り部材(液封入式防振装置用仕切り部材)
8 オリフィス部材
9 弾性仕切り膜
91 膜部
92 貫通孔
93 厚肉部
20 オリフィス
70 樹脂射出用金型
73a,74a 保持部
75 射出空間
Do オリフィス部材の側面における外径寸法
Dr 弾性仕切り膜の外径寸法
Claims (4)
- 液体が封入される液体封入室を主液室と副液室とに区画する位置に配置され前記主及び副液室間の液圧差を緩和する弾性仕切り膜と、その弾性仕切り膜により区画された前記主及び副液室を互いに連通させるオリフィスを形成するオリフィス部材とを備え、そのオリフィス部材が樹脂材料から構成されると共に前記弾性仕切り膜がゴム状弾性体から構成される液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法において、
少なくとも1以上の貫通孔が周縁部に形成された略円板形状に前記弾性仕切り膜を加硫成形する加硫成形工程と、
その加硫成形工程により加硫成形された前記弾性仕切り膜の少なくとも前記貫通孔を含む部位が前記オリフィス部材の形状を有する射出空間内に位置するように、前記弾性仕切り膜を前記樹脂射出用金型内にインサートするインサート工程と、
そのインサート工程により前記弾性仕切り膜がインサートされた前記樹脂射出用金型の射出空間内に樹脂材料を射出して、前記オリフィス部材を前記弾性仕切り膜と一体に成形する樹脂成形工程とを備え、
前記オリフィス部材の樹脂材料を前記弾性仕切り膜の貫通孔内に充填して、その充填部で前記オリフィス部材に対する前記弾性仕切り膜の抜け防止手段を形成することを特徴とする液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法。 - 前記加硫成形工程は、前記弾性仕切り膜を前記オリフィス部材の側面における外径寸法よりも大径の略円板状に加硫成形するものであり、前記インサート工程は、前記加硫成形工程により前記オリフィス部材の側面における外径寸法よりも大径に形成された前記弾性仕切り膜の外周部を前記樹脂射出用金型の保持部で保持するものであることを特徴とする請求の範囲第1項記載の液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法。
- 前記加硫成形工程は、前記オリフィス部材に埋設される部位の少なくとも一部が前記液圧変動を緩和させる為の膜部よりも肉厚となるように前記弾性仕切り膜を加硫成形するものであることを特徴とする請求の範囲第1又は第2項に規制の液封入式防振装置用仕切り部材の製造方法。
- 請求の範囲第1から第3項のいずれかに記載の製造方法によって製造されたものであることを特徴とする液封入式防振装置用仕切り部材。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010071455A (ja) * | 2008-09-22 | 2010-04-02 | Yanmar Co Ltd | 防振支持装置 |
JP2012189170A (ja) * | 2011-03-11 | 2012-10-04 | Toyo Tire & Rubber Co Ltd | 液封入式防振装置 |
-
2006
- 2006-06-14 JP JP2006164205A patent/JP2007147063A/ja not_active Withdrawn
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