JP2007140105A - 多層膜反射鏡及び露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 酸化による反射率低下が生じにくい多層膜反射鏡及び該多層膜反射鏡を備えた露光装置を提供する。
【解決手段】 基板(4)表面にMoを主成分とする層とSiを主成分とする層を交互に周期的に成膜した構造を有するMo/Si多層膜(6)と、前記Mo/Si多層膜上にRuを主成分とする層とSiを主成分とする層を交互に周期的に成膜した構造を有するRu/Si多層膜(8)とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 基板(4)表面にMoを主成分とする層とSiを主成分とする層を交互に周期的に成膜した構造を有するMo/Si多層膜(6)と、前記Mo/Si多層膜上にRuを主成分とする層とSiを主成分とする層を交互に周期的に成膜した構造を有するRu/Si多層膜(8)とを備える。
【選択図】 図1
Description
この発明は、基板表面に多層膜を形成した多層膜反射鏡及び該多層膜反射鏡を備える露光装置に関するものである。
近年、半導体集積回路の微細化の進展に伴い、光の回折限界によって制限される光学系の解像力を向上させるために、従来の紫外線に代えて、これより短い波長(例えば11〜14nm程度)の極端紫外線を使用した投影露光装置が開発されている。(特許文献1参照)。
上述の極端紫外線を使用した投影露光装置(EUV露光装置)においては、極端紫外線が透過する物質が存在しないため、光学系は反射鏡によって構成される必要があるが、この波長域では物質の屈折率が1よりも僅かに小さいことによる全反射を利用した斜入射ミラーや、界面での微弱な反射光の位相を合わせて多数重畳させて、全体として高い反射率を得る多層膜ミラーなどが使用される。
EUVリソグラフィに用いられる反射鏡は、波面収差に対して、形状誤差が小さく、高精度な面形状に形成される必要があるが、その加工は容易でない。そこで、多層膜反射鏡の表面を一層ずつ削り取ることによって、実質的にサブnmの形状誤差を補正する技術が開発されている(国際公開第01/41155号パンフレット参照)。
ここで、多層膜反射鏡に用いられるモリブデン(Mo)層及びシリコン(Si)層により構成される多層膜の場合、多層膜の表面を削り取ることにより酸化しやすいMo層が露出するため、Mo層の酸化を防止するSi単層膜等の酸化防止膜を成膜する必要がある。また、多層膜に対するカーボンコンタミネーション及びSi層を含めた酸化を防止するためにルテニウム(Ru)層等のキャッピング層を成膜する必要がある。
しかしながら、Ru層は光学的にMo層と略同一であるため、削り取った多層膜の表面にキャッピング層としてRu層を成膜することにより、削り取ったMo層の位置とは異なる位置にRu層が位置することにより膜加工量に対する反射波面の位相が大きく変化する。更に、削り取った部分の反射率も大きく変化する。
この発明の課題は、酸化による反射率低下が生じにくい多層膜反射鏡及び該多層膜反射鏡を備えた露光装置を提供することである。
この発明の多層膜反射鏡は、基板(4)表面にMoを主成分とする層とSiを主成分とする層を交互に周期的に成膜した構造を有するMo/Si多層膜(6)と、前記Mo/Si多層膜上にRuを主成分とする層とSiを主成分とする層を交互に周期的に成膜した構造を有するRu/Si多層膜(8)とを備えることを特徴とする。
また、この発明の露光装置は、この発明の多層膜反射鏡(2)を光学系の少なくとも一部に備えることを特徴とする。
この発明の多層膜反射鏡によれば、酸化による反射率の経時的な低下を防止することができる。また、多層膜反射鏡のMo/Si多層膜の内、最表面から除去加工を行う範囲の部分をRu/Si多層膜に置き換えたため、多層膜の除去加工後に保護層を設ける必要がない。
また、この発明の露光装置によれば、光学系の少なくとも一部に酸化による反射率の経時的な低下を防止した多層膜反射鏡を備えているため、長期間に亘って良好な露光を行なうことができる。
図面を参照して、この発明の第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡について説明する。多層膜反射鏡は、例えば極端紫外光(EUV光)を露光光とするEUV露光装置等に用いられる。図1は、第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡2の断面図である。図1に示すように、多層膜反射鏡2は、高精度な形状に研磨された低熱膨張ガラス基板4の表面にモリブデン(Mo)を主成分とする層とシリコン(Si)を主成分とする層が交互に周期的に成膜された構造を有するMo/Si多層膜6と、Mo/Si多層膜6上に成膜された酸化防止層であるRuを主成分とする層とSiを主成分とする層を交互に周期的に成膜した構造を有するRu/Si多層膜8とを備えている。
また、図2は、反射面形状の補正を行った多層膜反射鏡2の断面図である。この多層膜反射鏡2においては、反射面形状の補正を行なうために面内で除去量に分布を生じさせて、即ち、Ru/Si多層膜の表面側の多層膜の一部(図中符号10で示す)が除去されている。
EUV露光装置の投影結像光学系は、いわゆる回折限界の光学系であり、波面収差を充分に小さくしておかないと設計通りの性能を得ることは出来ない。回折限界の光学系における波面収差の許容値の目安としては、Marechalによる、二乗平均値(RMS)で使用波長の1/14以内という基準がある。これはStrehl強度(収差のある光学系と無収差光学系との間の点像強度の最大値の比)が80%以上になるための条件である。実際の露光装置の投影結像光学系は、これよりも更に低い収差になるように製造されている。
EUV露光装置においては、露光波長は主として13nmあるいは11nm付近の波長が使用される。光学系の波面収差(WFE)に対して、個々のミラーに許容される形状誤差(FE)は(1)式で与えられる。
FE=WFE/2/√n(RMS)・・・(1)
ここでnは光学系を構成するミラーの数である。反射光学系においては入射光と反射光の両方がそれぞれ形状誤差の影響を受けるので、波面収差には形状誤差の2倍の誤差が乗ることから、(1)式に示すように、2で割る必要がある。即ち、回折限界の光学系において、個々の反射鏡に許容される形状誤差(FE)は、波長λとミラーの枚数nに対して(2)式で与えられる。
ここでnは光学系を構成するミラーの数である。反射光学系においては入射光と反射光の両方がそれぞれ形状誤差の影響を受けるので、波面収差には形状誤差の2倍の誤差が乗ることから、(1)式に示すように、2で割る必要がある。即ち、回折限界の光学系において、個々の反射鏡に許容される形状誤差(FE)は、波長λとミラーの枚数nに対して(2)式で与えられる。
FE=λ/28/√n(RMS)・・・(2)
例えば、波長13nmで、4枚の反射鏡で構成される反射光学系の場合には、各反射鏡に許容される形状誤差は、0.23nmRSMとなり、6枚の反射鏡で構成された反射光学系の場合には、各反射鏡に許容される形状誤差は、0.19nmRSMとなる。しかしながら、このような高精度の面形状の反射鏡を製造することは非常に困難である。
例えば、波長13nmで、4枚の反射鏡で構成される反射光学系の場合には、各反射鏡に許容される形状誤差は、0.23nmRSMとなり、6枚の反射鏡で構成された反射光学系の場合には、各反射鏡に許容される形状誤差は、0.19nmRSMとなる。しかしながら、このような高精度の面形状の反射鏡を製造することは非常に困難である。
近年、多層膜反射鏡の多層膜の表面を一層ずつ削り取ることによって、実質的にサブnmの形状誤差を補正することのできる技術が報告された(国際公開第01/41155号パンフレット参照)。以下に、この技術の原理を説明する。図3に示すようにA,B二種類の物質を一定の周期長dで交互に積層した多層膜の表面から、図4に示すように一層対を除去する場合を考える。図3で、多層膜表面に対して垂直方向に進行する光線に対する、厚さdの多層膜一層対の光路長は、OP=nAdA+nBdBで与えられる。ここでdA,dBは各層の厚さを表し、dA+dB=dである。nA,nBは物質A,Bそれぞれの屈折率である。図3で、最表面の多層膜一層対を除去した厚さdの部分の光路長は、OP’=ndで与えられる。nは真空の屈折率を表し、n=1である。多層膜の最上層を除去することによって、そこを通過する光線が進む光学的距離が変化することになる。これは、実質的にその変化分だけ面形状を修正したことと光学的に等価である。
光路長の変化(即ち、面形状の変化)は、Δ=OP’−OPで与えられる。極端紫外線の波長域では、物質の屈折率が1に近いので、Δは小さな量となり、本方法により精密な面形状の補正が可能になる。具体例として、波長13.4nmでMo/Si多層膜を用いた場合を示す。直入射で使用するために、d=6.8nm、dMo=2.3nm、dSi=4.5nmとする。この波長での屈折率は、nMo=0.92,nSi=0.998である。これらの数値を用いて光路長の変化を計算すると、OP=6.6nm、OP’=6.8nm、Δ0.2nmとなる。厚さ6.8nmの層を除去する加工によって、0.2nm相当の面形状の補正を行うことが出来る。なお、Mo/Si多層膜の場合、Si層の屈折率は1に近いので、光路長の変化は主としてMo層の有無によるものであり、Si層の有無には殆ど依存しない。従って、多層膜の層を除去する際に、Si層の厚さを正確に制御する必要は無い。この例ではSi層の厚さは4.5nmあり、この層の途中で加工が停止すれば良い。即ち、数nmの精度の加工を施すことによって0.2nm単位の面形状補正を行うことが出来る。なお、多層膜の反射率は積層数とともに増加して一定の層数を越えると飽和して一定になる。予め反射率が飽和するのに充分な層数を積層しておけば、表面から多層膜の一部を除去しても反射率の変化は生じない。
上記のように多層膜の最上層を除去して形状補正を行った多層膜反射鏡の表面には、Mo層とSi層が露出する。Mo層表面は酸化しやすく、酸化すると反射率の低下を招く。これを防ぐために、多層膜の除去加工を行った後に全面にSi層を保護膜として成膜する方法が知られている。
近年、多層膜反射鏡表面のコンタミネーションを防止するためにMo/Si多層膜の最上層だけに別の材料(キャッピング層)を用いることが提案されている。多層膜表面のコンタミネーションには、表面に吸着した炭化水素が分解して生じる炭素層の堆積と、表面の酸化がある。何れもEUV光照射による光化学反応によるものである。炭素層は、酸化性の使用雰囲気にすることにより付着を防止したり、表面を積極的に酸化させることにより炭酸ガス(CO,CO2)として除去することが可能である。しかし、そうすると多層膜表面も酸化してしまい、多層膜表面が酸化すると反射率が低下する。Siよりも耐酸化性に優れたキャッピング材料が盛んに研究されており、その代表的な材料はRuである。Ruは、EUV光が照射されたときにSiよりも酸化し難いことが知られている。
しかしながら、多層膜の除去加工を行った後の保護膜としてRu層を使用するためには大きな課題がある。図5は、Mo層の厚さが2.4nm、Si層の厚さが4.5nm、積層数50層対で、最上層はSi層であるMo/Si多層膜の表面を少しずつ削り取ったときの、波長13.5nmのEUV光に対する反射率と反射波の位相(即ち形状誤差補正量)の変化を示す。反射率は僅かに上昇して元の値に戻るが殆ど変化しない。反射波の位相は、Si層が削られている間は全く変化しないが、Mo層が削られるに従って変化する。この結果、Mo/Si多層膜を一層対(厚さ6.9nm)除去すると、位相差8°、即ち0.3nm(8/360×13.5=0.3)に相当する反射面形状の補正をしたのと等価となる。Si層の途中では殆ど反射率と位相の変化は無いので、一層対を除去する加工精度は0.3nmを実際に加工するのと比べて大幅に緩和される。
図6は、Mo/Si多層膜の表面を除去加工し、その上に厚さ2nmのSi層を全面に成膜した場合の反射率と反射波の位相の変化を示す。表面にSi層を形成しても、図5の反射率と反射波の位相の変化は保存される。反射率の変化は若干低減されている。図7は、Si層の上に厚さ2nmのRu層を全面に成膜した場合の反射率と反射波の位相の変化を示す。反射率と反射波の位相の変化は、図5とは全く異なる振る舞いを示すようになり、これでは多層膜除去加工によって形状誤差を補正することが出来ない。以上のように、Mo/Si多層膜の表面を削って実質的な形状を補正する技術と、耐酸化性を高めたRuキャッピング層とは両立し得ないという重大な問題点があった。
そこで、上述のように、Mo/Si多層膜の内、最表面から除去加工を行う範囲の部分をRu/Si多層膜に置き換え、多層膜の除去加工後に保護層を設けることを廃止した。Ru/Si層の部分を除去加工してRu層が露出しても、Ruは元々酸化し難い材料であるので、酸化防止のための保護層を形成する必要は無く、従来のように多層膜除去加工後の保護層形成に伴う問題は生じなくなる。表面に露出したSi層は、Ru層に比べれば酸化しやすい。従って、更に耐酸化性を高めるためには、最表面から除去加工を行う範囲の部分をRu/SiC多層膜またはRu/SiO多層膜またはRu/SiO2多層膜を用いる。但し、Si層をSiC層、SiO層もしくはSiO2層に置換すると反射率は低下するので、必要最小限の層に適用する必要がある。MoとRuは光学定数が近いのでMo層をRu層に置換することによる反射率の低下はごく僅かだが、この僅かな反射率低下をも避けるためには、Ru層の代わりにMoRu合金層を用いれば良い。MoRu層は合金化によりMo層よりも耐酸化性に優れている。
第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡によれば、Ru/Si多層膜の表面を削ることによる実質的な形状補正と、補正加工後の耐酸化性の維持とを両立することが出来るので、高精度で、かつ酸化による反射率低下の生じにくい多層膜反射鏡を提供することが出来る。
次に、図面を参照して、この発明の第2の実施の形態にかかるEUV露光装置について説明する。図8は、第2の実施の形態にかかるEUV露光装置(縮小投影露光装置)の概略構成を示す図である。図8に示すEUV露光装置においては、光路上はすべて真空(例えば、1×10−3Pa以下)に保たれている。EUV露光装置は、光源を含む照明光学系ILを備えている。照明光学系ILから射出されたEUV光(一般的には波長5〜20nmを指し、具体的には波長13nm、11nmが用いられる。)は、折り返しミラー301により反射され、パターンが形成されているレチクル302上を照射する。
レチクル302は、反射型のレチクルであり、レチクルステージ303に固定されたチャック303aに保持されている。レチクルステージ303は、走査方向に100mm以上移動可能に構成されており、走査方向と直交する方向及び光軸方向に微小移動可能に構成されている。レチクルステージ303の走査方向及び走査方向に直交する方向の位置は図示しないレーザ干渉計により高精度に制御され、光軸方向の位置はレチクルフォーカス送光系304とレチクルフォーカス受光系305からなるレチクルフォーカスセンサにより制御されている。
レチクル302にはEUV光を反射する多層膜(例えば、モリブデン(Mo)/シリコン(Si)やモリブデン(Mo)/ベリリウム(Be))が成膜されており、この多層膜の上の吸収層(例えば、ニッケル(Ni)やアルミニウム(Al))によりパターニングされている。レチクル302により反射されたEUV光は、光学鏡筒314内に入射する。
光学鏡筒314内には、複数(この実施の形態においては4つ)のミラー306,307,308,309が設置されている。これらのミラー306〜309の少なくとも1つは、第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡により構成されている。なお、この実施の形態においては、投影光学系として4つのミラーを備えているが、6つまたは8つのミラーを備えるようにしてもよい。この場合には、開口数(NA)をより大きくすることができる。
光学鏡筒314内に入射したEUV光は、ミラー306により反射された後、ミラー307、ミラー308、ミラー309により順次反射され、光学鏡筒314内から射出して、ウエハ310に入射する。なお、ミラー306〜309等により構成される投影光学系の縮小倍率は、例えば1/4または1/5である。また、光学鏡筒314の近傍には、ウエハ310のアライメントを行なうオフアクシス顕微鏡315が設置されている。
ウエハ310は、ウエハステージ311に固定されたチャック311a上に保持されている。ウエハステージ311は、光軸と直交する面内に設置されており、光軸と直交する面内に例えば300〜400mm移動可能に構成されている。また、ウエハステージ311は、光軸方向にも微小移動可能に構成されている。ウエハステージ311の光軸方向の位置は、ウエハオートフォーカス送光系312とウエハオートフォーカス受光系313からなるウエハオートフォーカスセンサにより制御されている。ウエハステージ311の光軸と直交する面内における位置は、図示しないレーザ干渉計により高精度に制御されている。
露光時には、レチクルステージ303とウエハステージ311は、投影光学系の縮小倍率と同一の速度比、例えば、(レチクルステージ303の移動速度):(ウエハステージ311の移動速度)=4:1または5:1で同期走査する。
この第2の実施の形態にかかるEUV露光装置によれば、投影光学系を構成するミラーの少なくとも1つが第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡により構成されているため、酸化による反射率低下が生じない高精度な面形状を有する光学系により良好な露光を行なうことができる。
なお、第2の実施の形態においては、ミラー306〜309の少なくとも1つが第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡により構成されているが、照明光学系ILに含まれるミラー、折り返しミラー301、レチクル302等が第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡により構成されるようにしてもよい。
低熱膨張ガラス製の基板上に、マグネトロンスパッタリングにより周期長6.9nmのMo/Si多層膜を40層対形成した。Mo層の厚さは2.4nm、Si層の厚さは4.5nmとした。その上に、同じ周期長のRu/Si多層膜を10層対形成した。Ru層の厚さは2.4nm、Si層の厚さは4.5nmとした。界面の汚染や酸化による反射率の低下を防ぐために、Mo/Si多層膜とRu/Si多層膜は、同一の成膜装置内で真空を破らずに連続して形成した。この多層膜の波長13.5nmのEUV光による反射率は、Mo/Siを50層対積層した従来の多層膜と殆ど同じである。
次に、反射面形状の補正を行うために、Arイオンビームを用いたイオンビーム加工装置により、表面側からRu/Si多層膜の一部を部分的に除去した。Ru/Si多層膜の除去量は10層対を超えないように制限した。そのため、加工後の表面に露出するのは、Si層とRu層だけでありMo層は露出しない。最大10層対のRu/Si多層膜を除去することにより、実質的に0.3×10=3nmまでの形状修正を、0.3nm刻みで行うことが出来る。酸化しやすいMo層が表面に露出することが無いので、加工後の表面酸化による反射率の低下は殆ど生じない。従って、反射率の経時的な低下を殆ど生じない多層膜反射鏡を製造することができた。
低熱膨張ガラス製の基板上に、イオンビームスパッタリングにより周期長6.9nmのMo/Si多層膜を45層対形成した。Mo層の厚さは2.4nm、Si層の厚さは4.5nmとした。その上に、同じ周期長のRu/SiC多層膜を5層対形成した。Ru層の厚さは2.4nm、SiC層の厚さは4.5nmとした。界面の汚染や酸化による反射率の低下を防ぐために、Mo/Si多層膜とRu/SiC多層膜は、同一の成膜装置内で真空を破らずに連続して形成した。この多層膜の波長13.5nmのEUV光による反射率は、Mo/Si多層膜を50層対積層した従来の多層膜よりも約10%低下したが、多層膜反射鏡として十分な高反射率を維持している。
次に、反射面形状の補正を行うために、Arイオンビームを用いたイオンビーム加工装置により、表面側からRu/SiC多層膜の一部を部分的に除去した。Ru/SiC多層膜の除去量は5層対を超えないように制限した。そのため、加工後の表面に露出するのは、SiC層とRu層だけでありMo層は露出しない。最大5層対のRu/SiC多層膜を除去することにより、実質的に0.3×5=1.5nmまでの形状修正を、0.3nm刻みで行うことが出来る。酸化しやすいMo層が表面に露出することが無いので、加工後の表面酸化による反射率の低下は殆ど生じない。従って、反射率の経時的な低下を殆ど生じない。SiC層はSi層よりも耐酸化性が高いので、本実施例による多層膜は、実施例1の多層膜よりも高い耐酸化性を示す。その結果、実施例1の多層膜よりも反射率の経時的な低下を小さく抑えることが出来る多層膜反射鏡を製造することができた。
低熱膨張ガラス製の基板上に、イオンビームスパッタリングにより周期長6.9nmのMo/Si多層膜を45層対形成した。Mo層の厚さは2.4nm、Si層の厚さは4.5nmとした。その上に、同じ周期長のRu/SiO2多層膜を2層対形成した。Ru層の厚さは2.4nm、SiO2層の厚さは4.5nmとした。界面の汚染や酸化による反射率の低下を防ぐために、Mo/Si多層膜とRu/SiO2多層膜は、同一の成膜装置内で真空を破らずに連続して形成した。この多層膜の波長13.5nmのEUV光による反射率は、Mo/Si多層膜を50層対積層した従来の多層膜よりも約10%低下したが、多層膜反射鏡として十分な高反射率を維持している。
次に、反射面形状の補正を行うために、Arイオンビームを用いたイオンビーム加工装置により、表面側からRu/SiO2多層膜の一部を部分的に除去した。Ru/SiO2多層膜の除去量は2層対を超えないように制限した。そのため、加工後の表面に露出するのは、SiO2層とRu層だけでありMo層は露出しない。最大2層対のRu/SiO2多層膜を除去することにより、実質的に0.3×2=0.6nmまでの形状修正を、0.3nm刻みで行うことが出来る。酸化しやすいMo層が表面に露出することが無いので、加工後の表面酸化による反射率の低下は殆ど生じない。従って、反射率の経時的な低下を殆ど生じない。SiO2層はSiC層よりも更に耐酸化性が高いので、本実施例による多層膜は、実施例2の多層膜よりも高い耐酸化性を示す。その結果、実施例2の多層膜よりも反射率の経時的な低下を小さく抑えることが出来る多層膜反射鏡を製造することができた。
低熱膨張ガラス製の基板上に、マグネトロンスパッタリングにより周期長6.9nmのMo/Si多層膜を40層対形成した。Mo層の厚さは2.4nm、Si層の厚さは4.5nmとした。その上に、同じ周期長のMoRu/Si多層膜を10層対形成した。MoRu層は、Mo中に10重量%のRuを含有するMoRu合金からなる。MoRu層の厚さは2.4nm、Si層の厚さは4.5nmとした。界面の汚染や酸化による反射率の低下を防ぐために、Mo/Si多層膜とMoRu/Si多層膜は、同一の成膜装置内で真空を破らずに連続して形成した。この多層膜の波長13.5nmのEUV光による反射率は、Mo/Si多層膜を50層対積層した従来の多層膜と全く同じである。
次に、反射面形状の補正を行うために、Arイオンビームを用いたイオンビーム加工装置により、表面側からMoRu/Si多層膜の一部を部分的に除去した。MoRu/Si多層膜の除去量は10層対を超えないように制限した。そのため、加工後の表面に露出するのは、Si層とMoRu層だけでありMo層は露出しない。最大10層対のMoRu/Si多層膜を除去することにより、実質的に0.3×10=3nmまでの形状修正を、0.3nm刻みで行うことが出来る。酸化しやすいMo層が表面に露出することが無いので、加工後の表面酸化による反射率の低下は殆ど生じない。従って、反射率の経時的な低下を殆ど生じない多層膜反射鏡を製造することができた。
2…多層膜反射鏡、4…ガラス基板、6…Mo/Si多層膜、8…Ru/Si多層膜、IL…照明光学系、302…レチクル、303…レチクルステージ、306〜309…ミラー、310…ウエハ、311…ウエハステージ。
Claims (5)
- 基板表面にMoを主成分とする層とSiを主成分とする層を交互に周期的に成膜した構造を有するMo/Si多層膜と、
前記Mo/Si多層膜上にRuを主成分とする層とSiを主成分とする層を交互に周期的に成膜した構造を有するRu/Si多層膜と
を備えることを特徴とする多層膜反射鏡。 - 面内で除去量に分布を生じさせて前記Ru/Si多層膜の表面側から前記Ru/Si多層膜を除去したことを特徴とする請求項1記載の多層膜反射鏡。
- 前記Ru/Si多層膜のSiに代えて、SiC、SiO及びSiO2からなる群から選ばれた1つを用いることを特徴とする請求項1または請求項2記載の多層膜反射鏡。
- 前記Ru/Si多層膜のRu層に代えて、MoRu合金からなる層を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の多層膜反射鏡。
- 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の多層膜反射鏡を光学系の少なくとも一部に備えることを特徴とする露光装置。
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