JP2007134019A - 光ピックアップ装置 - Google Patents

Abstract

【課題】部品点数の更なる削減を図りつつも、グレーティングの位相調整が十分に行える光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】カバー１２の前部に折り曲げにより形成される板バネ部１２ｂが設けられている。これは、グレーティング３の径とほぼ同じ大きさの外径を成し軸心にレーザー光通過用の貫通孔ｈが形成された円盤リング状の板状部１２ｂａと、この板状部１２ｂａの縁部とカバー１２の前端とを繋ぐ連結部１２ｂｂとよりなっている。従って連結部１２ｂｂは、軸方向の負荷により板状部１２ｂａに対し弾性変形するようになり、いわゆる板バネの役割を果たす。板バネ部１２ｂは、連結部１２ｂｂが弾性変形するとともに、板状部１２ｂａがグレーティング３と当接しており、グレーティング３には連結部１２ｂｂの弾発力が軸方向に付与されている。
【選択図】図２

Description

本発明は、ＣＤやＤＶＤといった情報記録媒体に対し各種の情報を記録したり再生したりする光ピックアップ装置に関するものであり、特に、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を生成するために組み込まれるグレーティングの組み付け機構を改良した光ピックアップ装置に関するものである。

一般に、光ピックアップ装置の光学系は、概略、レーザー光を発する円柱状のＬＤ(レーザーダイオード)と、このＬＤからのレーザー光を回折する樹脂製で円柱状のグレーティングと、このグレーティングからの回折光を光ディスクに集束させる対物レンズと、その光ディスクからの戻り光をその対物レンズを介して受光する光検出器とからなり、これらのうちＬＤとグレーティングは、主としてレーザー光（回折光）の出射方向を安定させる観点から、光ピックアップ装置本体の一部を構成するベース部に組み付けられて、一体的な光源ユニットを形成する。

この場合、各光学部品相互間の位置調整を行うことができるように、例えば、グレーティングはベース部に対して、レーザー光の光軸方向に移動可能で且つ光軸回りに回転可能な状態で取り付けられ、光軸方向の位置および回転位置を調整した後に、接着剤等によってベース部の側に固定されるようになっている。ここで、出射レーザー光を回折するグレーティングの位相調整を簡単に且つ正確に行うことのできる機構を備えているとした光ピックアップ装置が、特許文献１に開示されている。

具体的には、レーザー光源から出射されたレーザー光を回折するグレーティングと、このグレーティングが固定されているホルダと、このホルダが移動可能に収容されている装置フレーム側収容部と、前記ホルダを前記装置フレーム側収容部に押しつけ固定しているコイルばねとを有する光ピックアップ装置において、前記ホルダと前記コイルばねの間にスペーサが挟み込まれている構成としている。

そしてこの構成により、スペーサによって前記ホルダに対する前記コイルばねの接触が回避されるので、前記コイルばねの弾性復帰力が前記ホルダに伝わることがなくなり、また、前記コイルばねの端が前記ホルダの端面の凹凸に引掛かることも防止されるとしている。そしてこの結果、前記コイルばねに起因した弊害を回避できるとしている。

ところが、このような位相調整をし得るには、少なくともスペーサ及びコイルばねという別個の部品が必要となるため、それらの煩雑な部品管理や組み付け作業が強いられるし、コストダウンの要請にも十分に応えられないという問題がある。そこで、煩雑な部品管理や組み付け作業を抑止するとともにコストダウンの要請に対応すべく、部品点数の削減を図りつつも、グレーティングの位相調整が十分に行えるとした光ピックアップ装置が、特許文献２に開示されている。

具体的には、レーザー光を回折する円柱状のグレーティング、このグレーティングを軸方向に押圧する弾性体、及びこの弾性体を支持し前記レーザー光を発するＬＤが、この順に挿入される収容凹部を有した光ピックアップ装置において、前記弾性体は、前記レーザー光を通過させる貫通孔が形成され前記グレーティングの後面に当接する板状部と、この板状部の縁部から対称的に突出し弾性変形して前記ＬＤの前面に当接する複数の突片部と、が一体成形されてなる構成としている。

図６は、このような、板状部と突片部とが一体成形された弾性体を有する従来の光ピックアップ装置における、グレーティングの取付構成の一例を示す平面分解図である。同図において、１０１は、ビームスプリッタや各種レンズ等、光ピックアップ装置の複数の光学部品が取り付けられるベースであり、通常はダイキャスト等の成型品よりなる。但し、同図では複数の光学部品は図示していない。

ベース１０１の前部には凹部１０１ａが設けられており、これに略円柱状のグレーティング１０２が挿入される。グレーティング１０２の前方には、上述した弾性体に相当するＧスプリング１０３が同軸で組み込まれ、更にその前方よりＬＤスプリング１０４で押さえつけるようにして固定される。ＬＤスプリング１０４は、側面視略コの字状をした板金部品であり、これに図示しないホルダーが填め込まれる。ホルダーには図示しないＬＤが保持されており、グレーティング１０２とＧスプリング１０３に同軸に配置される。

Ｇスプリング１０３は、例えばＳＵＳ等の金属板から製作されるものであって、図７に正面図（ａ），平面図（ｂ）で示すように、グレーティング１０２の径とほぼ同じ外径を成し軸心にレーザー光通過用の貫通孔ｈが形成された円盤リング状の板状部１０３ａと、この板状部１０３ａの縁部から折曲して突出する一対の突片部１０３ｂとが一体成形されてなっている。従って各突片部１０３ｂは、軸方向の負荷により板状部１０３ａに対し弾性変形するようになり、いわゆる板バネの役割を果たす。

一方、グレーティング１０２は、その軸心近辺部を透過するレーザー光に回折作用を施すものであり、グレーティング１０２の外周面には、位相調整用に調整治具が差し込まれる溝が軸方向に形成されている（不図示）。図８は、このような調整治具の一例を示す図であり、同図（ａ）は正面図、同図（ｂ）は下面図である。この調整治具１０５は、比較的太い握り部１０５ａと、これより二段階に細くなりつつ延びるロッド１０５ｂ，１０５ｃで構成された棒状をしており、ロッド１０５ｃの先端には偏芯ピン１０５ｄが設けられている。

図６に戻って、ベース１０１に上記各部品が取り付けられた状態で、Ｇスプリング１０３は、各突片部１０３ｂが弾性変形してそれらの各先端部がＬＤスプリング１０４に当接するとともに、板状部１０３ａがグレーティング１０２と当接しており、グレーティング１０２には各突片部１０３ｂの弾発力が軸方向に付与されている。従って、グレーティング１０２は、凹部１０１ａの底面に押圧されて軸方向の移動が規制されるとともに、軸回りの回転が可能に保持されて、位相調整が可能となっている。

そして、その位相調整は、ベース１０１の上面より凹部１０１ａまで貫通する貫通孔１０１ｂに上述した棒状の調整治具１０５を挿入し、グレーティング１０２の上記溝に偏芯ピン１０５ｄを差し込み、そのまま調整治具１０５を回転させ偏芯ピン１０５ｄを旋回させることで、グレーティング１０２が軸回転してなされる。その際、グレーティング１０２と板状部１０３ａが相互に当接して円滑に摺動するわけであるが、板状部１０３ａとグレーティング１０２が略同径であるので、均一な当接状態を維持でき、相互の摺動も安定することとなる。

その他、ベース１０１の上面には、略平板状のカバー１０６が取り付けられる。これは、ベース１０１の上面より突設する位置決めピン１０１ｃに、カバー１０６の角部に開けられた位置決め孔１０６ａを嵌合させ位置決めした上で、位置決めピン１０１ｃ近傍に設けたネジ穴１０１ｄに、位置決め孔１０６ａ近傍に設けた取付孔１０６ｂを介して、ビス１０７を螺合させるものである。これにより、カバー１０６がベース１０１の上面に固定される。
特開２０００−２８５４９４号公報 特開２００４−２２０３４号公報

しかしながら、上記図６に示したような従来の構成では、グレーティングを付勢する弾性部材（Ｇスプリング１０３）がまだ必要である上に、組立時にはその弾性部材を作業者の手で保持しながらＬＤを取り付けるといった、複雑な作業が強いられるので生産性が低くなる。本発明は、このような問題点に鑑み、部品点数の更なる削減を図りつつも、グレーティングの位相調整が十分に行える光ピックアップ装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明では、レーザー光を回折するグレーティングと、このグレーティングが移動可能に収容されている装置ベース側収容凹部と、前記グレーティングを前記装置ベース側収容凹部に押しつけ固定している弾性体とを有する光ピックアップ装置において、前記弾性体が前記装置ベースのカバーと一体成形されてなることを特徴とする。

また、前記弾性体は、前記グレーティングの径とほぼ同じ大きさの外径を成し該グレーティングに当接する円盤リング状の板状部と、この板状部の縁部と前記カバーの端部とを繋ぐ連結部とよりなることを特徴とする。

或いは、前記弾性体は、前記グレーティングの径とほぼ同じ大きさの幅を成し先端が該グレーティングに当接するＵ字状の板状部と、この板状部の縁部と前記カバーの端部とを繋ぐ連結部とよりなることを特徴とする。

本発明によれば、部品点数の更なる削減を図りつつも、グレーティングの位相調整が十分に行える光ピックアップ装置を提供することができる。

具体的には、グレーティングを軸方向に押圧する弾性体をベースのカバーと一体成形することにより、部品点数を削減しつつ組み付け作業を容易にしており、しかもグレーティングの位相調整が十分に行える光ピックアップ装置を実現している。

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。

図１は、本発明の光ピックアップ装置の光学系を示す概略構成図である。同図に示すように、光ピックアップ装置１の光学系は、ＬＤ（レーザーダイオード）２及びグレーティング３よりなる光源ユニット４と、この光源ユニット４から出射されたレーザー光（回折光）を光ディスク１０に向けて反射させるとともに、その光ディスク１０からの戻り光を透過させるハーフミラーやプリズムといったビームスプリッタ５と、このビームスプリッタ５からの反射光を平行光にするコリメートレンズ６と、このコリメートレンズ６からの平行光を光ディスク１０の記録面に集束させる対物レンズ７と、ビームスプリッタ５を透過した光ディスク１０からの戻り光をセンサレンズ８を介して受光する光検出器９とからなっている。

図２は、本発明の実施例１に係る光ピックアップ装置における、グレーティングの取付構成を示す図であり、同図（ａ）は平面図、同図（ｂ）は正面図、同図（ｃ）は側面図である。同図（ａ）ではカバーを透視した状態でベースを描いてある。また、同図（ｂ），（ｃ）ではカバーとグレーティングのみ描いてある。同図において、１１は、ビームスプリッタや各種レンズ等、光ピックアップ装置の複数の光学部品が取り付けられるベースであり、通常はダイキャスト等の成型品よりなる。但し、同図では複数の光学部品は図示していない。

ベース１１の前部には凹部が設けられており、これに略円柱状のグレーティング３が挿入される。また、ベース１１の上面には、例えばＳＵＳ等の金属板から製作される略平板状のカバー１２が取り付けられる。これは、ベース１１の上面に設けたネジ穴１１ａに、カバー１２の角部に開けられた取付孔１２ａを介して、図示しないビスを螺合させるものである。これにより、カバー１２がベース１１の上面に固定される。グレーティング３と図示しないＬＤとの位置関係は、上記従来の構成と同様である。

さて、本実施例では、カバー１２の前部に折り曲げにより形成される板バネ部１２ｂが設けられている。これは、グレーティング３の径とほぼ同じ大きさの外径を成し軸心にレーザー光通過用の貫通孔ｈが形成された円盤リング状の板状部１２ｂａと、この板状部１２ｂａの縁部とカバー１２の前端とを繋ぐ連結部１２ｂｂとよりなっている。従って連結部１２ｂｂは、軸方向の負荷により板状部１２ｂａに対し弾性変形するようになり、いわゆる板バネの役割を果たす。

一方、グレーティング３は、その軸心近辺部を透過するレーザー光に回折作用を施すものであり、グレーティング３の外周面には、位相調整用に調整治具が差し込まれる溝が軸方向に形成されている（不図示）。調整治具としては、上記図８で示したものと同様のものが使用される。板バネ部１２ｂは、連結部１２ｂｂが弾性変形するとともに、板状部１２ｂａがグレーティング３と当接しており、グレーティング３には連結部１２ｂｂの弾発力が軸方向に付与されている。

従って、グレーティング３は、ベース１１に設けられた図示しない上記凹部の底面に押圧されて軸方向の移動が規制されるとともに、軸回りの回転が可能に保持されて、位相調整が可能となっている。そして、その位相調整は、カバー１２の前部に設けた孔１２ｃ及び、ベース１１の前端に設けた切り欠き部１１ｂに上述した調整治具を挿入し、グレーティング３の上記溝に偏芯ピンを差し込み、そのまま調整治具を回転させ偏芯ピンを旋回させることで、グレーティング３が軸回転してなされる。

その際、グレーティング３と板状部１２ｂａが相互に当接して円滑に摺動するわけであるが、板状部１２ｂａとグレーティング３が略同径であるので、均一な当接状態を維持でき、相互の摺動も安定することとなる。ここで、カバー１２の形状を図３に示しておく。同図（ａ）は平面図、同図（ｂ）は正面図、同図（ｃ）は側面図である。

図４は、本発明の実施例２に係る光ピックアップ装置における、グレーティングの取付構成を示す図であり、同図（ａ）は平面図、同図（ｂ）は正面図、同図（ｃ）は側面図である。同図（ａ）ではカバーを透視した状態でベースを描いてある。また、同図（ｂ），（ｃ）ではカバーとグレーティングのみ描いてある。本実施例の基本的な構成は上記実施例１と同様であるが、カバー前部に設けられる板バネ部の形状が異なっている。

さて、本実施例では、カバー１２の前部に折り曲げにより形成される板バネ部１２ｄが設けられている。これは、グレーティング３の径とほぼ同じ大きさの幅を成し中央にレーザー光通過用の開口ｏが形成されたＵ字状の板状部１２ｄａと、この板状部１２ｄａの縁部とカバー１２の前端とを繋ぐ連結部１２ｄｂとよりなっている。従って連結部１２ｄｂは、軸方向の負荷により板状部１２ｄａに対し弾性変形するようになり、いわゆる板バネの役割を果たす。

板状部１２ｄａの先端は、側面視略Ｖ字状に折り曲げられており、この折り曲げ部でグレーティング３の側面視略中央を押さえる構成となっている。これによりグレーティング３は、ベース１１に設けられた図示しない上記凹部の底面に略均等に押圧されて軸方向の移動が規制されるとともに、軸回りの回転が可能に保持されて、安定した位相調整が可能となっている。

また、板状部１２ｄａの先端が折り曲げられているので、カバー１２をベース１１に取り付ける際に、同図（ｃ）の矢印で示すようにスライドさせても、板状部１２ｄａの先端がグレーティング３に引っ掛かることがない。ここで、カバー１２の形状を図５に示しておく。同図（ａ）は平面図、同図（ｂ）は正面図、同図（ｃ）は側面図、同図（ｄ）は板バネ部の補助投影図である。

以上説明したように、本発明によれば、グレーティングを軸方向に押圧する弾性体をベースのカバーと一体成形することにより、部品点数を削減しつつ組み付け作業を容易にしており、しかもグレーティングの位相調整が十分に行える光ピックアップ装置を実現している。

本発明の光ピックアップ装置の光学系を示す概略構成図。 本発明の実施例１に係る光ピックアップ装置における、グレーティングの取付構成を示す図。 実施例１におけるカバーの形状を示す図。 本発明の実施例２に係る光ピックアップ装置における、グレーティングの取付構成を示す図。 実施例２におけるカバーの形状を示す図。 従来の光ピックアップ装置における、グレーティングの取付構成の一例を示す平面分解図。 従来の弾性体であるＧスプリングの形状を示す図。 調整治具の一例を示す図。

符号の説明

１ 光ピックアップ装置
２ レーザーダイオード
３ グレーティング
４ 光源ユニット
５ ビームスプリッタ
６ コリメートレンズ
７ 対物レンズ
８ センサレンズ
９ 光検出器
１０ 光ディスク
１１ ベース
１２ カバー
１２ｂ，１２ｄ 板バネ部

Claims (4)

1. レーザー光を回折するグレーティングと、このグレーティングが移動可能に収容されている装置ベース側収容凹部と、前記グレーティングを前記装置ベース側収容凹部に押しつけ固定している弾性体とを有する光ピックアップ装置において、
   前記弾性体が前記装置ベースのカバーと一体成形されてなり、前記弾性体は、前記グレーティングの径とほぼ同じ大きさの外径を成し該グレーティングに当接する円盤リング状の板状部、或いは、前記グレーティングの径とほぼ同じ大きさの幅を成し先端が該グレーティングに当接するＵ字状の板状部と、この板状部の縁部と前記カバーの端部とを繋ぐ連結部とよりなり、
   前記連結部は、軸方向の負荷により前記板状部に対し弾性変形するようにしてなることを特徴とする光ピックアップ装置。
2. レーザー光を回折するグレーティングと、このグレーティングが移動可能に収容されている装置ベース側収容凹部と、前記グレーティングを前記装置ベース側収容凹部に押しつけ固定している弾性体とを有する光ピックアップ装置において、
   前記弾性体が前記装置ベースのカバーと一体成形されてなることを特徴とする光ピックアップ装置。
3. 前記弾性体は、前記グレーティングの径とほぼ同じ大きさの外径を成し該グレーティングに当接する円盤リング状の板状部と、この板状部の縁部と前記カバーの端部とを繋ぐ連結部とよりなることを特徴とする請求項２に記載の光ピックアップ装置。
4. 前記弾性体は、前記グレーティングの径とほぼ同じ大きさの幅を成し先端が該グレーティングに当接するＵ字状の板状部と、この板状部の縁部と前記カバーの端部とを繋ぐ連結部とよりなることを特徴とする請求項２に記載の光ピックアップ装置。

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