JP2007131577A - 3−クロメニル−ピリドキナゾリン−1−オン誘導体 - Google Patents

3−クロメニル−ピリドキナゾリン−1−オン誘導体 Download PDF

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Naoki Nakao
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Abstract

【課題】安全性が高く、有効性に優れ且つ副作用が少なく、優れたPARP阻害作用を有する予防・治療剤の提供。
【解決手段】下記式(I)
Figure 2007131577

(式中、Rは、Aa群より任意に選ばれる置換基で置換されていても良いC1−6アルキル基(Aa群:ヒドロキシル基、C1−4のアルキル基で置換されていても良いアミノ基など)を表す。)で表される化合物またはその塩、並びに該化合物を有効成分とするPARP活性が亢進しているとみられる疾患の予防及び/または治療用の医薬組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な3−クロメニル−ピリドキナゾリン−1−オン誘導体、その製造方法、及び該誘導体の少なくともひとつを有効成分として含有することを特徴とする医薬組成物に関する。
ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(以下PARPと略す)(EC2.4.2.30、別名ポリ(ADP−リボース)シンターゼ(PARS)、ポリ(ADP−リボース)トランスフェラーゼ(pADPRT))はペルオキシナイトライト(ONOO-)等の活性酸素種や放射線等によるDNA損傷に依存して活性化される特異的な核内酵素であり、DNAが損傷を受けると、DNA上の単鎖切断部位を認識し、そのN末に存在するZnフィンガードメインがDNAと結合することにより活性化され、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、NADと略す。)を基質としてそのADP−リボース部分をヒストン、DNA−ポリメラーゼ、DNA−トポイソメラーゼ等の近傍の蛋白質への転移反応を触媒する。したがって、PARPはこのDNA単鎖切断のシグナルを出すと同時にDNA修復過程に関与していると考えられている。また、PARPの異常な活性化が起こると、その基質であるNADの消費、枯渇により、ATPが減少してエネルギー産生系が破綻し、細胞死が起こると考えられている。従って、PARP阻害剤は炎症性疾患、虚血性疾患、虚血再灌流傷害の予防、治療剤として有用であると考えられる。
PARPはアポトーシスの発現機構を構成するプロテアーゼの一つであるカスパーゼ−3(インターロイキン−1β変換酵素様システインプロテアーゼファミリーの1つ)の基質として限定分解をうけることからアポトーシスに関連しているとも考えられている。
さらにPARP阻害剤として一般的に知られている3−アミノベンズアミドやニコチンアミド等を用いた検討やPARPノックアウトマウスを用いた実験より、PARP阻害剤は脳、心臓、消化管、骨格筋および網膜等の虚血性疾患、関節炎、炎症性腸疾患および多発性硬化症等の炎症性疾患、糖尿病、ショック、錐体外路系障害、痛覚過敏、臓器移植後の再灌流障害、毛細血管拡張性運動失調症といった種々の病態において、細胞死抑制作用ならびに病態の改善作用を有することが示されている。また、PARP阻害剤はHIVを含む抗レトロウイルス剤や癌の放射線治療、化学療法の増感剤、BRCA等の遺伝子修復機構に異常の見られる癌の予防・治療剤、シスプラスチン毒性等の抗癌剤治療における副作用の軽減剤としても有用であることが報告されている。
PARP阻害剤として、種々の化合物が報告されている。2環性の構造を有するものとして、例えば、WO99/11628号公報にイソキノリン及びフタラジン誘導体、WO99/59973号公報にキノリン誘導体、WO00/26192号公報にベンゾイミダゾール−4−カルボキサミド誘導体、WO00/44726号公報にフタラジン−1−オン誘導体、WO01/57038号公報にイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体、WO02/06247号公報にチオピラノ[4,3−d]ピリミジン誘導体、WO02/48117号公報にキナゾリン−4−オン誘導体、WO02/94790号公報にイソキノリン−1−オン誘導体、WO03/07959号公報にキノキサリン誘導体、WO03/70707号公報にピリド[2,3−d]ピリダジン誘導体、WO04/09556号公報に5−ヒドロキシ−イソキノリノン誘導体等が開示されている。また、3環性の構造を有するものとして、例えば、WO99/11624号公報にフェナンスリジン誘導体、WO99/59975号公報にベンゾ[d,e]イソキノリン−1−オン誘導体、WO00/42040号公報にピロロ[4,3,2−de]イソキノリン−5−オン誘導体、WO01/16136号公報にベンゾ[c,d]アズレン−6−オン誘導体、WO01/792
06号公報にピリド[3,2,1−ij]キナゾリンジオン誘導体、WO02/12239号公報にイミダゾ[4,5,1−ij]キノリノン誘導体、WO03/80581号公報にフェナンスリジノン誘導体等が開示されている。また、4環性の構造を有するものとして、例えば、WO99/11645号公報にベンゾピラノ[4,3,2−de]フタラジノン誘導体、WO01/16137号公報にベンゾピラノ[4,3,2−de]フタラジノン誘導体・インデノ[1,2,3−de]フタラジノン誘導体等、WO02/06284号公報にインドロ[1,2−a]キナゾリノン誘導体、WO02/06240号公報にジヒドロシクロペンタ[l,m,n]フェナンスリジノン誘導体、WO03/20700号公報にインデノ[1,2−c]イソキノリン誘導体、WO03/57699号公報にベンゾ[d]イミダゾ[4,5,1−jk][1,4]ベンゾジアセピノン誘導体等が開示されている。しかしながら、これら公報には、ピリドキナゾリン骨格を有する化合物の開示はない。
PARP阻害剤として、3環性の構造を有する化合物を開示した従来技術として、特許文献1が挙げられる。この化合物は、優れたPARP阻害剤をめざすものであり、ピリドキナゾリン−1−オン骨格の3位にフェニル基あるいはナフチル基のようなアリール基が結合した構造を有するが、ピリドキナゾリン−1−オン誘導体の3位にクロメニル基が結合した化合物の開示はない。
近年、上記のように様々な化学構造のPARP阻害活性を有する化合物が見出されてきてはいるが、いまだ医薬品として世にでるには至っていない。PARP阻害作用が強く、有効性に優れ、副作用の少ない、さらには、溶解性、組織移行性、安全性等に優れた化合物の更なる探索が望まれている。
国際公開2004/043959号公報
かかる状況下において、PARP活性が亢進しているとみられる疾患の予防及び/または治療剤として、安全性が高く、有効性に優れ且つ副作用の少ない薬剤が求められている。より具体的には、優れたPARP阻害作用を有し、副作用が少なく、PARP活性が亢進しているとみられる疾患の予防及び/または治療剤、例えば、虚血性疾患、炎症性疾患、神経変性疾患等の予防および/または治療剤として、または化学療法剤・放射線治療の増感・副作用軽減剤として、とりわけ虚血性心疾患の予防及び/または治療剤、虚血性脳障害の予防及び/または治療剤として有用な新規化合物が望まれている。
本発明は、式(I)で表される3−クロメニル−ピリドキナゾリン−1−オン誘導体またはそれらの塩またはそれらの溶媒和物、または当該誘導体それらの製薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する医薬組成物よりなる。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、式(I)で示される3−クロメニル−ピリドキナゾリン−1−オン誘導体またはその塩が、優れたPARP阻害活性を有すること、活性酸素種の産生等によりDNA損傷が生じてPARPが活性化されている細胞群に対してPARPの活性抑制作用を介して保護作用を発揮すること、心筋虚血モデル、脳虚血モデル等において高い有用性を示すこと、さらに副作用が少なく安全性が高いことを見出し、本発明を完成した。本発明は、優れたPARP阻害剤として、PARP活性が亢進しているとみられる疾患の予防及び/または治療剤、とりわけ種々の虚血性疾患(脳、心臓、消化管、肝臓,腎臓、骨格筋、網膜、精巣等)、炎症性疾患(炎症性腸疾患、肝炎、関節炎、慢性関節リウマチ等)、神経変性疾患(錐体外路系障害、多発性脳硬化症、アルツハイマー病等)、筋ジストロフィー、糖尿病、ショック、頭部外傷、肝不全、腎不全、痛覚過敏等の予防および/または治療剤として、また抗レトロウイルス剤
(HIV等)や抗癌剤、抗癌療法の増感・副作用軽減剤として有用である。
本発明は、以下の態様に示される式(I)で表される3−クロメニル−ピリドキナゾリン−1−オン誘導体またはその塩、それらを有効成分とする医薬組成物、並びに該化合物またはその塩の医薬用途である。
以下本発明の各態様について説明する。
〔本発明の態様〕
〔1〕本発明の第1の態様は、下記式(I)で表される化合物、または製薬学的に許容されるその塩である。
Figure 2007131577
(式中、Rは、Aa群より任意に選ばれる置換基で1−5個置換されていても良いC1−6アルキル基(Aa群:ヒドロキシル基、C1−4のアルキル基で1ないし2個置換されていても良いアミノ基、カルボキシル基またはC1−4のアルコキシカルボニル基)を表す。)
上記式(I)で表される化合物において好ましい置換基を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
〔1−1〕
Rにおいて、「Aa群より任意に選ばれる置換基で1−5置換されていても良いC1−6アルキル基」において「C1−6アルキル基」とは、炭素原子1ないし6個からなる直鎖または分岐鎖のアルキル基を示し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘキシル等のC1−6アルキル基が挙げられ、Rはさらにこれらのアルキル基に加えて、該アルキル基の任意の水素原子が、Aa群より選ばれる置換基で1ないし5置換されていても良い基であることを意味する。
Aa群としては、ヒドロキシル基、C1−4のアルキル基で1ないし2個置換されていても良いアミノ基、カルボキシル基またはC1−4のアルコキシカルボニル基が挙げられる。「C1−4のアルキル基で1ないし2個置換されていても良いアミノ基」としては、例えば、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジ−イソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、エチルメチルアミノ、メチルプロピルアミノ、エチルプロプルアミノ、ブチルメチルアミノ、ブチルエチルアミノ、ブチルプロピル
アミノ等の基が挙げられる。「C1−4のアルコキシカルボニル基」とは、アルコキシ基の炭素数が1ないし4個のいずれかを有するアルコキシカルボニル基を意味し、例えば、メトシキカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、シクロプロピルオキシカルボニル、シクロブチルオキシカルボニル、シクロプロピルメチルオキシカルボニル等の基が挙げられる。
〔1−1−a〕
Rにおいて、「Aa群より任意に選ばれる置換基で1−5置換されていても良いC1−6アルキル基」の「C1−6アルキル基」として、C1−4のアルキル基であることが好ましく、C1−2のアルキル基であることがより好ましい。具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の基であることが好ましく、メチル、エチル等の基であることがより好ましい。
〔1−1−b〕
「Aa群より任意に選ばれる置換基で1−5置換されていても良いC1−6アルキル基」の「1−5置換」として、該アルキル基の任意の水素原子が、Aa群より選ばれる置換基で1または2置換されていていることが好ましく、Aa群より選ばれる置換基で1置換されていることがより好ましい。
〔1−1−c〕
Aa群として、ヒドロキシル基またはC1−4のアルキル基で1ないし2個置換されていても良いアミノ基、カルボキシル基であることが好ましく、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基であることがより好ましく、ヒドロキシル基、アミノ基であることが更に好ましく、ヒドロキシル基であることが特に好ましい。
〔1−2〕
Rにおいて、「Aa群より任意に選ばれる置換基で1−5置換されていても良いC1−6アルキル基」としては、「Aa群より任意に選ばれる置換基で1置換されていても良いC1−4アルキル基」であることが好ましく、「Aa群で任意に選ばれる置換基で1置換されていても良いC1−2アルキル基」であることがより好ましい。この時のAa群の置換基としては、上記〔1−1−c〕に記載の好ましい例と同様である。
〔1−2−a〕
Rにおいて、好ましい組み合わせとして、「Aa群より任意に選ばれる置換基で1置換されていても良いC1−4アルキル基」とは、具体的には、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシ−n−プロピル、4−ヒドロキシ−n−ブチル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノ−n−プロピル、4−アミノ−n−ブチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシ−n−プロピル、4−カルボキシ−n−ブチル、メトキシカルボニルメチル、2−メトキシカルボニルエチル、3−メトキシカルボニル−n−プロピル、4−メトキシカルボニル−n−ブチル、エトキシカルボニルメチル、2−エトキシカルボニルエチル、3−エトキシカルボニル−n−プロピル、4−エトキシカルボニル−n−ブチル等の基が挙げられ、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシ−n−プロピル、4−ヒドロキシ−n−ブチル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノ−n−プロピル、4−アミノ−n−ブチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシ−n−プロピル、4−カルボキシ−n−ブチル等の基であることが好ましく、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシ−n−プロピル、4−ヒドロキシ−n−ブチル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノ−n−プロピル、4−アミノ−n−ブチル等の基であることがより好ましく、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシ−n−プロピル、4−ヒドロキシ−n−ブチル等であることが更に好ましい。
〔1−2−b〕
Rにおいて、より好ましい組み合わせとして、「Aa群で任意に選ばれる置換基で1置換されていても良いC1−2アルキル基」とは、具体的には、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、アミノメチル、2−アミノエチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、メトキシカルボニルメチル、2−メトキシカルボニルエチル、エトキシカルボニルメチル、2−エトキシカルボニルエチル等の基が挙げられ、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、アミノメチル、2−アミノエチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル等の基であることが好ましく、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、アミノメチル、2−アミノエチル基であることがより好ましく、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル等であることが更に好ましい。
〔1−2−c〕
Rにおいて、特に好ましい組み合わせは、「ヒドロキシル基で1置換されたC1−2アルキル基」である。具体的には、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル等の基が挙げられる。
〔1−3〕
本発明の式(I)で表される化合物またはその塩は、ピリドキナゾリン−1−オン環の3位と7位に2個の不斉炭素を有し(下記式(I)中の*印の炭素原子)、光学活性もしくは不活性なすべての立体異性体(エナンチオマーやジアステレオマー等)などの各種混合物や単離された物質が存在する。本発明においてはこれらすべてが包含されるが、具体的には、(3R、7R)、(3S、7S)、(3S、7R)及び(3R、7S)の各立体配置を有する化合物が存在する。
置換基Rの好ましい例は、前記態様〔1−1〕〜〔1−2〕に記載の例と同じである。
Figure 2007131577
(式中、Rは前記と同一の意味を表す。)
〔1−3−a〕
かかる立体異性体の単離、精製は、優先晶出やカラムクロマトグラフィーを用いた光学分割あるいは不斉合成を通じて当業者が通常の技術によりなし得ることができる。例えば、ジアステレオマーである(3R、7R)と(3S、7S)の混合物及び(3R、7S)と(3S、7R)の混合物をカラムクロマトグラフィーで分離することができる。また、光学活性カラムクロマトグラフィーを用いて、エナンチオマーである(3R、7R)と(3S、7S)の各立体配置を有する化合物を得ることができる。
〔1−3−b〕
ジアステレオマーについては、(3R、7R)と(3S、7S)の混合物であることが好ましい。
エナンチオマーについては、(3R、7R)の立体配置を有する化合物であることが好ましく、この場合の式(I)は、下記式(I)−aとも表される。この時の置換基Rの好ましい例は、前記態様〔1−1〕〜〔1−2〕に記載の例と同じである。
Figure 2007131577
(式中、Rは前記と同一の意味を表す。)
〔1−4〕
3−クロメニル−ピリドキナゾリン−1−オン誘導体である本発明の上記式(I)で表される化合物の置換基Rは、クロメン環の5位、6位、7位、8位の位置で置換することが可能である(下記式中の5、6、7、8の番号が、各々5位、6位、7位、8位の置換位置を示す)。置換基Rの置換位置は、5位であることが好ましく、この場合の式(I)は、下記式(I)−bとも表される。この時、置換基Rの好ましい例は、前記態様〔1−1〕〜〔1−2〕に記載の例と同じである。
Figure 2007131577
(式中、Rは前記と同一の意味を表す。)
〔1−5〕
上記式(I)で表される化合物またはその塩において、より好ましい置換基位置の組み合わせ及び立体構造を有する化合物は、下記式(I)−cとも表される。この時、置換基Rの好ましい例は、前記態様〔1−1〕〜〔1−2〕に記載の例と同じである。
Figure 2007131577
(式中、Rは前記と同一の意味を表す。)
〔1−6〕
また、本発明化合物の好ましい化合物例として、以下のものが例示される。
(3R,7R)−7−アミノ−3−(5−ヒドロキシメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物1−6);
(3R,7S)−7−アミノ−3−(5−ヒドロキシメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物1−7);
(3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物2−10);
(3R,7S)−7−アミノ−3−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物2−11);
(3R,7R)−7−アミノ−3−(5−アミノメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物3−6);
(3R,7S)−7−アミノ−3−(5−アミノメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物3−7);
(3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2−アミノエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物4−7);
(3R,7S)−7−アミノ−3−[5−(2−アミノエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物4−8);
(3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2−カルボキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物5−8);
(3R,7S)−7−アミノ−3−[5−(2−カルボキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物5−9);
(3R,7R)−7−アミノ−3−(5−ヒドロキシメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物6−1);
(3S,7S)−7−アミノ−3−(5−ヒドロキシメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物6−2);
(3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物7−1);
(3S,7S)−7−アミノ−3−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物7−2);
(3R,7R)−7−アミノ−3−(5−ヒドロキシメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン 塩酸塩(化合物8);
(3R,7R)−7−アミノ−3−(5−ヒドロキシメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン メタンスルホン酸塩(化合物9);
(3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン 塩酸塩(化合物10);
(3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン メタンスルホン酸塩(化合物11);
またはその製薬学的に許容される塩が挙げられる。
本明細書中の化合物名において、*印がある場合、例えば、(3R,7R)と記載のある化合物は、(3R,7R)と(3S,7S)との混合物を表し、(3R,7S)と記載のある化合物は、(3R,7S)と(3S,7R)との混合物を表す。
〔2〕 本発明の第2の態様は、式(I)、式(I)−a、式(I)−bまたは式(I)−cで表される化合物、または製薬学的に許容されるその塩から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有することを特徴とする医薬組成物である。
〔3〕 本発明の第3の態様は、式(I)、(I)−a、式(I)−bまたは式(I)−cで表される化合物、または製薬学的に許容されるその塩から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有することを特徴とするPARP阻害剤である。
好ましくは該阻害剤中の化合物の酵素阻害活性が、IC50が10μM未満であり、更に好ましくは0.1μM未満である。ここで、IC50とは、50%の抑制率を示す阻害剤の濃度を表す。
〔4〕 本発明の第4の態様は、式(I)、式(I)−a、式(I)−bまたは式(I)−cで表される化合物、または製薬学的に許容されるその塩から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有することを特徴とするPARP活性が亢進しているとみられる疾患の予防及び/または治療剤である。
該PARPの活性が亢進しているとみられる疾患とは、ペルオキシナイトライト、ヒドロキシラジカル等の活性酸素種の産生、放射線の照射等により、DNA損傷が生じてPARPが活性化されている疾患、あるいはレトロウイルス感染症(ウイルスRNAのDNAへの逆転写過程等にPARPの関与が示唆されている)である。より具体的には、例えば、心筋梗塞、狭心症、不整脈、心不全、心筋虚血再灌流障害、その他虚血性心疾患、心臓移植、肺高血圧、脳虚血障害、脳梗塞、一過性脳虚血発作、脳卒中、脳卒中後の後遺症、脳浮腫、移植手術後の再灌流障害を含む虚血もしくは虚血再灌流による消化管、骨格筋、腎臓、肝臓、網膜、蝸牛、精巣等の臓器障害、腎不全、肝不全、多臓器不全、敗血症、ショック、急性膵炎、ARDS(急性呼吸促迫症候群)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、SLE(全身性エリテマトーデス)、ベーチェット病,毛細血管拡張性運動失調症、筋ジストロフィー、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、その他神経変性疾患、脳挫傷、頭部外傷、脳・脊髄損傷、間質性肺炎、B型肝炎、急性肝炎、劇症肝炎等の肝炎、関節炎、慢性関節リウマチ、ウェルナー症候群、エイズ、成人T細胞白血病、有毛細胞白血病、皮膚T細胞リンパ腫(Sezary症候群、菌状息肉腫)、クラミジア感染症、サイトメガロウイルス感染症、ヘルペス感染症、サルコイドーシス、喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、アトピー性皮膚炎、糖尿病および糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害等の合併症、癌、乾癬、骨粗鬆症、妊娠中毒症、動脈硬化症、痛風、痛覚過敏、シスプラチンあるいはドキソルビシン等による抗癌剤治療における副作用等が挙げられる。これらの疾患において、一酸化窒素(NO)もしくはヒドロキシラジカルが病態に関与しており、また、NOは虚血等により発生したヒドロキシラジカルにより、細胞傷害性の活性酸素種であるペルオキシナイトライトに変換されることはよく知られている。
〔5〕 本発明の第5の態様は、式(I)、式(I)−a、式(I)−bまたは式(I)−cで表される化合物、または製薬学的に許容されるその塩から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有することを特徴とする、虚血性心疾患の予防及び/または治療剤で
ある。
該虚血性心疾患としては、例えば、心筋梗塞、狭心症等が挙げられる。
〔6〕 本発明の第6の態様は、式(I)、式(I)−a、式(I)−bまたは式(I)−cで表される化合物、または製薬学的に許容されるその塩から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有することを特徴とする、虚血性脳障害の予防及び/または治療剤である。
該虚血性脳障害としては、例えば、脳梗塞、一過性脳虚血発作等が挙げられる。
〔7〕 本発明の第7の態様は、式(I)、式(I)−a、式(I)−bまたは式(I)−cで表される化合物、または製薬学的に許容されるその塩から選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有することを特徴とする組成物を用いたPARP活性が亢進しているとみられる疾患の予防及び/または治療方法である。
〔8〕 本発明の第8の態様は、PARP活性が亢進しているとみられる疾患の予防及び/または治療のための医薬品を製造するための、式(I)、式(I)−a、式(I)−bまたは式(I)−cで表される化合物、または製薬学的に許容される塩の使用である。
以上の全ての態様において、「化合物」の文言を用いるとき、「その製薬学的に許容される塩」についても言及するものとする。
本発明の式(I)または式(I)−bで表される化合物には、不斉炭素を有しており、光学活性もしくは不活性なすべての立体異性体(エナンチオマーやジアステレオマー等)などの各種混合物や単離された物質が存在しうるが、本発明においてはこれらすべてが包含される。かかる立体異性体の単離、精製は、優先晶出やカラムクロマトグラフィーを用いた光学分割あるいは不斉合成を通じて当業者が通常の技術によりなし得ることができる。
本発明の式(I)、式(I)−a、式(I)−bまたは式(I)−cで表される化合物は、酸付加塩を形成する場合がある。また、置換基の種類によっては塩基との塩を形成する場合もある。かかる塩としては、製薬学的に許容しうる塩であれば特に限定されないが、具体的には、塩酸、臭化水素酸、よう化水素酸、硫酸、硝酸、りん酸等の鉱酸類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、エナント酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、乳酸、ソルビン酸、マンデル酸等の脂肪族モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸等の芳香族モノカルボン酸、しゅう酸、マロン酸、こはく酸、フマル酸、マレイン酸、りんご酸、酒石酸等の脂肪族ジカルボン酸、くえん酸等の脂肪族トリカルボン酸などの有機カルボン酸類;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸などの有機スルホン酸類;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸類等との酸付加塩、及びナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属等の金属との塩、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、ピリジン、リシン、アルギニン、オルニチン等の有機塩基との塩や、アンモニウム塩等が挙げられる。
これらの塩は定法、例えば、当量の本発明の化合物と所望の酸あるいは塩基を含む溶液を混合し、所望の塩をろ取するか溶媒を留去して集めることにより得ることができる。
また、本発明の化合物またはその塩は、水、エタノール、グリセロール等の溶媒と溶媒和物を形成しうる。本発明にはこれら溶媒和物も含まれる。
本発明の化合物は、結晶であっても非結晶であってもよい。すなわち、本発明の前記式(I)、式(I)−a、式(I)−bまたは式(I)−cで表される化合物またはその塩には、結晶、非結晶、それらの溶媒和物の態様も含まれる。また、結晶または結晶の溶媒和物においては、結晶多形の態様も含まれる。
また、本発明には、前記式(I)、式(I)−a、式(I)−bまたは式(I)−cで
表される化合物またはその塩、それらの溶媒和物の結晶多形も含まれる。
また、本発明の化合物を合成する際に得られる、新規物質としての中間体も本発明に含まれる。
<本発明化合物の製造方法>
以下に、本発明の3−クロメニル−ピリドキナゾリン−1−オン誘導体(I)、式(I)−a、式(I)−b、式(I)−cの製造方法について説明するが、本発明はこの方法に何ら限定されるものではない。
以下の製造法の各々の式中におけるRの定義は、特に断らない限り、式(I)に記載された先の定義と同一である。
また、製造法中の反応条件については、特に断らない限り、以下の如きとする。反応温度は、−78℃から溶媒が還流する温度の範囲であり、反応時間は、反応が十分進行する時間である。また、反応に関与しない溶媒とは、例えばトルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、水、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの極性溶媒、トリエチルアミン、ピリジンなどの塩基性溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンに代表されるハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、もしくはこれらの混合溶媒であるが、反応条件により適宜選択される。塩基とは、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基、あるいはトリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、リチウムジイソプロピルアミド等の有機塩基であり、酸とは、塩酸、硫酸等の鉱酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸である。ただし、上記に記載したものに必ずしも限定されるわけではない。
[製造法1]
一般式(I)で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物は、例えば下記の方法で製造することができる。
Figure 2007131577
(式中、Rは前記と同じ意味を表し、Xは−(CHR)−(Rは、アミノ基、水酸基、C1−6アルコキシ基または水素原子を表す)、−(C=NOR)−(Rは、水素原子またはC1−6アルキル基を表す)または−(C=O)−を表し、Qは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基またはシアノ基を表す。)
以下に各反応工程をより詳細に説明する。

<工程1>
Figure 2007131577
(式中、QおよびXは前記と同じ意味を表し、Tは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基またはシアノ基を表す。)
反応式1の化合物(II)は、反応式2によって製造することができる。すなわち、アニリン誘導体(IV)から化合物(V)を経由し、化合物(II)に導くことができる。例えば、アニリン誘導体(IV)に当量あるいは過剰量のアクリル酸誘導体、アクリル酸エステル誘導体またはアクリロニトリル誘導体を、室温から150℃程度の温度で無溶媒、あるいは必要により水、アルコールまたはアセトニトリルなどの反応に関与しない溶媒を用いて付加し、化合物(V)を得る。化合物(V)は、アニリン誘導体(IV)とカルボニル化合物との還元的アルキル化や、脱離基を有する化合物との置換反応によっても得ることができる。得られた化合物(V)のTをカルボキシル基へと変換後、ポリリン酸、五酸化二リンまたはポリホスフェートエステルなどの脱水縮合剤を無溶媒あるいは必要により適当な反応に関与しない溶媒を用い、室温から120℃程度の温度で、Xがカルボニル基である化合物(II)に導くことができる。または、化合物(V)のTをカルボニルクロリド基へと変換後、塩化アルミニウム、四塩化チタンもしくは四塩化スズなどのルイス酸存在下、室温から150℃程度の温度でニトロベンゼン、二硫化炭素もしくは塩化メチレン等の反応に関与しない溶媒を用い、Xがカルボニル基である化合物(II)に導くことができる。
Xがカルボニル基以外である化合物(II)は、例えば、Xがカルボニル基である化合物(II)から容易に得ることができる。
すなわち、Xが−(CHOH)−の場合、Xがカルボニル基である化合物(II)に水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化アルミニウムリチウムなどの還元剤を反応させ、Xが−(CHOH)−である化合物(II)を得る。この反応は氷冷下から室温で進行する。氷冷で行うことが好ましい。溶媒はホウ素系還元剤ではメタノールなどのアルコール系溶媒がアルミニウム系還元剤ではTHFなどのエーテル系溶媒がよい。
また、Xが−(CHNH)−の場合、Xがカルボニル基である化合物(II)にヒドロキシルアミン誘導体を反応させ、オキシム誘導体を得る。この反応はエタノールまたはイソプロパノ−ルなどのアルコール系溶媒を用いヒドロキシルアミン誘導体を作用させる。反応温度は室温から溶媒の沸点まで可能であり、好ましくは還流条件である。得られたオキシム誘導体を触媒存在下に水素添加するか、あるいは酸性条件下に亜鉛、鉄などあるいはシアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元し、Xが−(CHNH)−である化合物(II)とする。水素添加反応の触媒はパラジウム、酸化白金、ニッケルなどを用い、溶媒はメタノールまたはエタノールなどのアルコール系溶媒、ギ酸または酢酸などの有機酸、DMFまたはN―メチルピロリジンなどのアミド系溶媒、THFまたは1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒がよい。反応は室温から使用される溶媒の沸点程度までの温度で進行する。亜鉛、鉄またはスズを用いて還元反応を行う場合、溶媒は希塩酸、希硫酸またはギ酸などがよい。
なお、Xの変換は[製造法1]<工程1>での実施に限定されることなく、どの工程でも適宜実施可能である。
<工程2>
Figure 2007131577
(式中、QおよびXは前記と同じ意味を表す。)
反応式1の化合物(III)は反応式3によって製造することができる。すなわち、化合物(II)のQが塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子の場合は、パラジウム触媒によりシアノ誘導体へと変換後、シアノ基を加水分解して化合物(III)を得ることができる。Qがアルコキシカルボニル基の場合は、アンモニアにより化合物(III)へと導く。あるいは加水分解後、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(BOP試薬)などの脱水縮合剤を用いアンモニアと縮合し化合物(III)を得る。
なお、反応式3中のXの変換は、[製造法1]<工程1>に記述した方法に準じて実施することが可能である。
<工程3>
Figure 2007131577
(式中、RおよびXは前記と同じ意味を表す。)
反応式1の化合物(I)−dは反応式4によって製造することができる。すなわち、化合物(III)に、式(VI)で表される2H−クロメン−3−アルデヒド誘導体を酸触媒存在下で反応させ、化合物(I)−dを得ることができる。この反応はエタノール、メタノールまたは酢酸などのようなプロトン性溶媒を用い、酸触媒は濃塩酸、硝酸などのような鉱酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸または硫酸などのような酸が好ましい。反応温度は室温から用いる溶媒の沸点の範囲で、好ましくは還流条件である。反応式4の反応は、化合物(VI)の等価体を用いても実施できる。例えば、化合物(III)に、化合物(VI)の等価体である下記アセタール誘導体(VI’)を酸触媒存在下で反応させ、化合物(I)−dを得ることができる。
Figure 2007131577
(式中、R31、R32は、水素原子、またはC1−6アルコキシル基、ヒドロキシル基もしくはハロゲン原子で置換されていても良いC1−6アルキル基、或いは、R31、R32が結合して各々が結合する酸素原子と一緒になって環状の基を形成してもよい。)。
ここで、R31、R32とは、各々、例えば、メチル基、エチル基、メトキシメチル基等が挙げられる。また、R31、R32が結合して各々が結合する酸素原子と一緒になっ
て形成する環状の基とは、例えば、1,3−ジオキサ−2−シクロペンチル基、1,3−ジオキサ−2−シクロヘキシル基、1,3,6−トリオキサ−2−シクロノニル基等が挙げられる。
また、反応式4で使用する2H−クロメン−3−アルデヒド誘導体(VI)は、市販品もしくは市販品から誘導可能であり、例えば、Eur.J.Org.Chem.,2001年,4207頁などに記載の方法が知られている。すなわち、サリチルアルデヒド誘導体と当量あるいは過剰量のアクロレインを、炭酸カリウムや1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などの塩基存在下、反応に関与しない溶媒中で、室温から溶媒の沸点の範囲で反応することによって、2H−クロメン−3−アルデヒド誘導体を得ることができる。
なお、反応式4中のXの変換は、[製造法1]<工程1>に記述した方法に準じて実施することが可能である。
<工程4>
Figure 2007131577
(式中、RおよびXは前記と同じ意味を表す。)
反応式1の化合物(I)は反応式5によって製造することができる。すなわち、化合物(I)−dのXの変換を、[製造法1]<工程1>に記述した方法に準じて実施することによって、一般式(I)で表される3−クロメニル−ピリドキナゾリン−1−オン誘導体を得ることができる。
[製造法2]
一般式(I)で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物は、下記の方法でも製造することができる。
Figure 2007131577
(式中、RおよびXは前記と同じ意味を表す。)

以下に各反応工程をより詳細に説明する。
<工程1>
Figure 2007131577
(式中、RおよびXは前記と同じ意味を表す。)
反応式6の化合物(VII)は反応式7によって製造することができる。すなわち、化合物(III)に、2H−クロメン−3−カルボン酸クロリド誘導体もしくは2H−クロメン−3−カルボン酸誘導体を作用させ化合物(VII)を得る。化合物(III)と酸クロリド誘導体の反応は、塩基の存在下もしくは非存在下にて、好ましくは非存在下にて、DMFもしくはN−メチルピロリドンなどの溶媒を用い、氷冷下から100℃程度の温度で進行し、化合物(VII)を得ることができる。化合物(III)とカルボン酸誘導体の反応は、反応に関与しない溶媒中で縮合剤を用いて−50〜50℃の温度でおこない、アミド誘導体へと変換後、p−トルエンスルホン酸などのような酸触媒を用いて脱水することによって化合物(VII)を得ることができる。化合物(III)とカルボン酸誘導体の縮合剤としては、例えばN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドあるいは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩などが挙げられる。
なお、反応式7中のXの変換は、[製造法1]<工程1>に記述した方法に準じて実施することが可能である。
<工程2>
Figure 2007131577
(式中、RおよびXは前記と同じ意味を表す。)
反応式6の化合物(I)−dは反応式8によって製造することができる。すなわち、化合物(VII)に水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を作用させることによって、化合物(I)−dを得ることができる。還元反応で用いる溶媒は、水素化アルミニウムリチウムを用いる場合はTHFなどのエーテル系溶媒がよく、水素化ホウ素ナトリウムではメタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒がよい。反応温度は氷冷から用いる溶媒の沸点程度までの温度である。
なお、反応式8中のXの変換は、[製造法1]<工程1>に記述した方法に準じて実施することが可能である。
<工程3>
Figure 2007131577
(式中、RおよびXは前記と同じ意味を表す。)
反応式6の化合物(I)は反応式9によって製造することができる。すなわち、化合物(I)−dのXの変換を、[製造法1]<工程1>に記述した方法に準じて実施することによって、一般式(I)で表される3−クロメニル−ピリドキナゾリン−1−オン誘導体を得ることができる。
[製造法3]
一般式(I)で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物は、例えば下記の方法でも製造することができる。
Figure 2007131577
(式中、R、TおよびXは前記と同じ意味を表す。)
以下に各反応工程をより詳細に説明する。

<工程1>
Figure 2007131577
(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
反応式10の化合物(IX)は反応式11によって製造することができる。すなわち、化合物(VIII)に、式(VI)で表される2H−クロメン−3−アルデヒド誘導体を酸触媒存在下で反応させ、化合物(IX)を得る。この反応は、[製造法1]<工程3>に記載の方
法に準じて実施可能である。
<工程2>
Figure 2007131577
(式中、RおよびTは前記と同じ意味を表す。)
反応式10の化合物(X)は反応式12によって製造することができる。例えば、化合物(IX)に当量あるいは過剰量のアクリル酸誘導体、アクリル酸エステル誘導体またはアクリロニトリル誘導体を、室温から150℃程度の温度で無溶媒、あるいは必要により水、アルコールまたはアセトニトリルなどの反応に関与しない溶媒を用いて付加し、化合物(X)を得る。この反応は、[製造法1]<工程1>に記載の方法に準じて実施可能である。
<工程3>
Figure 2007131577
(式中、R、TおよびXは前記と同じ意味を表す。)

反応式10の化合物(I)−dは反応式13によって製造することができる。すなわち、化合物(X)のTをカルボキシル基へと変換後、ポリリン酸、五酸化二リンまたはポリホスフェートエステルなどの脱水縮合剤を無溶媒あるいは必要により適当な反応に関与しない溶媒を用い、室温から120℃程度の温度で、Xがカルボニル基である化合物(I)−dに導くことができる。この反応は、[製造法1]<工程1>に記載の方法に準じて実施可能である。
なお、反応式13中のXの変換は、[製造法1]<工程1>に記述した方法に準じて実施することが可能である。
<工程4>
Figure 2007131577
(式中、RおよびXは前記と同じ意味を表す。)
反応式10の化合物(I)は反応式14によって製造することができる。すなわち、化合物(I)−dのXの変換を、[製造法1]<工程1>に記述した方法に準じて実施することによって、一般式(I)で表される3−クロメニル−ピリドキナゾリン−1−オン誘導体を得ることができる。
[製造法4]
[製造法3]の中間体である式(IX)で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物は、例えば下記の方法でも製造することができる。
Figure 2007131577
(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)

以下に各反応工程をより詳細に説明する。
<工程1>
Figure 2007131577
(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
反応式15の化合物(XI)は反応式16によって製造することができる。すなわち、化合物(VIII)に、2H−クロメン−3−カルボン酸クロリド誘導体もしくは2H−クロメン−3−カルボン酸誘導体を作用させ化合物(XI)を得る。この反応は、[製造法2]<工程1>に記載の方法に準じて実施可能である。
<工程2>
Figure 2007131577
(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
反応式15の化合物(IX)は反応式17によって製造することができる。すなわち、化合物(XI)に水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を作用させることによって、[製造法3]の中間体である式(IX)で表される化合物を得ることができる。この反応は、[製造法2]<工程2>に記載の方法に準じて実施可能である。
製造法中、反応性置換基(例えば水酸基、アミノ基等)は、各反応工程においてこれらの基を適宜保護し、適当な段階で当該保護基を除去することもできる。こうした保護基の導入・除去の方法は、保護される基あるいは保護基のタイプにより適宜行われるが、例えば[プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第3版、1999年、ジョン ウィリー アンド サンズ]の総説に記載の方法等により行うことができる。
<薬理実験例>
以下に実験例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実験例1 [PARP活性阻害作用の測定]
PARP活性阻害作用の測定方法については多くの報告があるが、測定方法によってその阻害活性値が大きく異なることが知られている(Decker,Pら、「Current Pharmaceutical Biotechnology」、2002年、第3巻、p.275〜283 など)。本発明においては文献記載の方法(Li、J−Hら、「Bioorganic & Medicinal. Chemistry Letters」、2001年,第11巻、p.1687〜1690など)を改変し、アッセイチューブ内に含まれる蛋白がADPリボシル化された量を以下のように測定することにより、PARP阻害活性を測定した。すなわち、「PARP Buffer」(25mMのMgCl2を含むpH8.0の50mMトリス−塩酸緩衝液)にて希釈した被検化合物を各チューブに50μLずつ添加し、ここに「PARP Buffer」にて希釈した「PARP
Enzyme」(Trevigen社製)を25μL(終濃度10μg/mL)、さらに「Reaction Mixture」(120μMのNAD、3.7kBqの[H]−NAD、120μg/μLの変性DNAを含む)を25μLの順に添加して37℃で15分間反応させてトリチウム標識されたADPリボシル化蛋白を生成させた後、氷冷した20%トリクロロ酢酸溶液を添加することによって反応系内の蛋白質を沈殿させると同時に、PARPの酵素反応を停止させた。これを「MultiScreen−FC 」(Millipore社製)にてろ過した後、シンチレーションカクテルを100μL/ウェル添加して、計数率を「MicroBeta」(PerkinElmer社製)にて測定した。
上記方法によりヒトPARP阻害活性を測定した結果、本発明化合物は、IC50で1nM〜10μM程度の阻害活性を示した。具体例を表1に示す。
Figure 2007131577
実験例2 [U937細胞を用いた活性酸素誘発細胞死に対する抑制効果の測定]
U937細胞を1%ウシ胎児血清を含むRPMI1640に懸濁し、3×10個/300μL/ウェルの濃度で48ウェルプレート(コーニング社製:型番3548)に播種し、被験化合物の8%DMSO溶液を50μL/ウェル添加後、8mMの過酸化水素水を50μL/ウェル添加し、37℃、5%CO2雰囲気下で6時間インキュベートした。培養上清を100μLずつ回収して96ウェルプレート(ナルジェヌンク社製:型番269620)に移し、「Cytotoxicity Detection Kit (LDH)」(ロシュ・ダイアグノスティクス社製:カタログ番号1644793)のアッセイマニュアルに従ってReaction Mixture(触媒としてジアホラーゼおよびNAD、反応基質として乳酸ナトリウムおよび塩化3−(p−ヨードフェニル)−2−(p−ニトロフェニル)−5−フェニルテトラゾリウムを含む)を50μL/ウェル添加し、遮光下にて30分間インキュベートした後、参照波長を620nmとして492nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーにて測定して死細胞から放出されたLDH(乳酸脱水素酵素)の量を測定した。
上記方法により活性酸素誘発細胞死に対する抑制効果を測定した結果、本発明化合物は、IC50で10nM〜2μM程度の阻害活性を示した。具体例を表2に示す。
Figure 2007131577
実験例3 [心筋虚血再灌流モデル]
通常飼育した体重400g前後の雄性SDラット(日本チャールス・リバー)をペントバルビタール麻酔下にて保温マット上に保定して左頸動脈に挿入留置したカニューレ(SP37)を圧アンプに接続して血圧を測定し、同時に圧脈波をトリガーとして心拍数を測定した。また、気管にカニューレを挿入して人工呼吸器(シナノ製作所製)に接続して、10mL/kg、60bpmにて人工呼吸を行った。その後、左側胸部第4肋間で開胸して心臓を露出させ、糸付き縫合針を用いて左冠状動脈前下行枝起始部に糸をかけた。約20分かけて回復させた後、ジソピラミド5mg/kgを大腿静脈内に投与し、約5分後,血圧が安定していることを確認してから冠動脈を60分間閉塞させた。55分後に左大腿静脈から3mg/kgの被検物質を静脈内投与した後、必要に応じて3mg/kg/hの速度で被検物質を持続静脈内投与した。その5分後に閉塞した冠動脈を再開通させ、60分間再灌流させた。再灌流終了後にヘパリン1000U/kgおよび飽和KCl溶液0.6mLを静脈内投与して動物を安楽死させた。その後直ちに心臓を摘出し、氷冷した栄養液中に入れ、拍動が止まった状態で心房の周囲結合組織を切除した。その後、大動脈内に逆行性に大動脈弁の手前までカニューレを挿入後、一定の静水圧で氷冷栄養液10mLを大動脈内に注入して冠動脈を灌流し、組織内の血液を洗い流した。次に、心臓を37℃に保温した栄養液中に入れ、この状態で室温の栄養液100〜200mLを灌流し、心臓を拍動させながら完全に血液を洗い流した。冷却栄養液中に心臓を戻して拍動を止めてから、0.5〜1%TTC含有栄養液5mLを大動脈内に注入し、心臓全体にTTC液を行き
渡らせた。左冠状動脈前下行枝を再結紮後、今度は氷冷栄養液10mLを注入して正常領域内の染色液だけを洗い流した。最後に、2%エバンスブルー生理食塩水5mLを大動脈内に注入した。染色液の注入操作が終わったらカニューレを着けたまま心臓を37℃の栄養液中に浸けて約10分間保温した。染色反応終了後、心臓を氷冷した栄養液に浸けて十分に冷やした。その後,結紮糸の位置で心臓を冠状断とし、さらに残りの部分を4等分に冠状断とした。最後に、CCDカメラ(キーエンス社製)を用いて心臓の冠状断面を撮影し、画像解析装置により冠状断面積、虚血領域面積、および梗塞面積をそれぞれ計測した。実施例の化合物8および10は、虚血領域中の梗塞領域の割合を有意に減少させた。
実験例4 [一過性局所脳虚血モデル]
通常飼育した8〜10週齢の雄性SDラット(日本チャールス・リバー)をハロタンを含む混合笑気ガス吸入麻酔下にて保定し、頸部を正中切開した後、外頸動脈と総頚動脈を結紮してから外頸動脈を切開し、歯科用印像剤にてコーティングしたナイロン糸を動脈内に入れ、分岐部位より内頸動脈に向けて塞栓糸を20〜22mm挿入することにより中大脳動脈の閉塞を行なった。中大脳動脈閉塞後直ちに頸部切開部位を縫合して麻酔を切り、動物を個別ケージに戻して覚醒させた。110分後に神経欠落症状を評価して、重篤な症状が確認できた動物を実験に使用した。その後動物を再度麻酔し、頸部を開いて中大脳動脈閉塞2時間後に塞栓糸を引き抜いて再灌流を行い、再灌流後に被験物質を20mg/kg腹腔内投与した後、再び頸部切開部位を縫合して動物を個別ケージに戻した。再灌流20〜24時間後、動物を断頭して直ちに全脳を摘出した。嗅球、小脳および脳幹を切除した後、大脳を前頭葉端と視神経交叉の中央部、視神経交叉部位、漏斗茎部位および後頭尾極と漏斗茎の中央部でそれぞれ切断して5片の冠状断切片に分割した。2%TTC溶液を用いて37℃、20〜30分間各切片を染色した後、冠状断面積および梗塞部面積を画像解析装置により測定し、各切片の尾側冠状断面積の全和に対する各切片の尾側梗塞部面積の全和の比率(%)を脳梗塞サイズとして算出した。実施例の化合物8は脳梗塞サイズを有意に縮小した。
実験例5 [毒性試験]
通常飼育した8週齢の雄性SDラット(日本チャールス・リバー)に実施例の化合物8を20mg/kgの用量で腹腔内投与したところ、一般症状に異常は認められず、死亡例も認められなかった。
また、本発明化合物は、以下に示すモデル試験によって、ショック、糖尿病、炎症性腸疾患、劇症肝炎、肝不全、腎不全、慢性関節リウマチ、抗癌剤による副作用等に対する予防および/または治療剤としての有用性を確認することができる。
A)ガラクトサミン負荷エンドトキシンショックモデル
通常飼育した6週齢の雄性BALB/cマウス(日本チャールス・リバー)に10mL/kgの割合にて被検物質を尾静脈内投与した直後に140mg/mLのD−ガラクトサミン(和光純薬製、カタログ番号073−02052)と0.4μg/mLのサルモネラ菌由来リポポリサッカライド(シグマ社製、カタログ番号L9764)との混合液を尾静脈内投与する。24時間後に動物の生死を確認し、生存率が50%以上の場合に薬効ありと判断する。
B)エンドトキシン致死モデル
通常飼育した9週齢の雄性ICRマウス(日本エス・エル・シー)に1mL/kgの割合にて被検物質を尾静脈内投与した10分後に120mg/kgの大腸菌由来リポポリサッカライド(シグマ社製、カタログ番号L4005)を腹腔内投与する。24時間後に動物の生死を確認し、生存率が50%以上の場合に薬効ありと判断する。
C)出血性ショックモデル
通常飼育した7〜8週齢の雄性Wistarラット(日本チャールス・リバー)をウレタン麻酔下にて保温マット上に保定し、左頚動脈にポリエチレンチューブにて作成したカニューレを挿入して圧トランスデューサーを介してポリグラフ(日本電気三栄製)に接続し、血圧をモニターする。同時に右大腿動脈にカニューレを挿入し、生理食塩水(大塚製薬製)にて希釈したヘパリン(持田製薬製)を封入したシリンジを接続して平均血圧が50mmHgになるまで脱血する。85分後に左大腿静脈から10mL/kgの割合で被検物質を静脈内投与し、その5分後に乳酸リンゲル液(清水製薬製)にて2倍希釈した血液を右大腿動脈より全量体内に戻す。さらに2時間後に右頚静脈より採血して血漿中のGPT(グルタミン酸ピルビン酸アミノ基転移酵素)・GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸アミノ基転移酵素)・BUN(尿素窒素)・CRE(クレアチニン)濃度を富士ドライケムシステム(富士写真フィルム製)を用いて測定する。これらの値が薬物非投与群と比較して低下した場合に薬効ありと判断する。
D)シスプラチン惹起腎障害モデル
通常飼育した6週齢の雄性ddyマウス(日本エス・エル・シー)に10mL/kgの割合にて被検物質を腹腔内投与した後、25mg/mLのシスプラチン(ブリストル・マイヤーズ スクイブ社製)を腹腔内投与する。その後3日間、被検物質のみを10mL/kgの割合にて1日1回腹腔内投与し、4日後に生死判定を行うと同時に、生存している動物については体重測定および眼底採血を実施し、血漿中のBUN(尿素窒素)濃度を尿素窒素B−テストワコー(和光純薬製)を用いて測定する。薬物非投与群と比較して動物の生存率、体重が増加した場合、あるいは血漿中の尿素窒素量が低下した場合に薬効ありと判断する。
E)ストレプトゾトシン投与糖尿病モデル
一晩絶食させた7週齢の雄性Wistarラット(日本エス・エル・シー)に36mg/kgのストレプトゾトシンを腹腔内投与し、45分後に10mL/kgの割合で被検物質を経口投与する。2日後に眼底採血を実施し、血漿中のグルコース濃度をグルコースCIIテストワコー(和光純薬製)を用いて測定する。薬物非投与群と比較して血漿中のグルコース濃度が低下した場合に薬効ありと判断する。
F)コラーゲン関節炎モデル
通常飼育した7週齢の雄性DBA/1マウス(日本チャールス・リバー)に10mL/kgの割合にて被検物質を1日1回経口投与し、試験開始日および21日後に1匹あたり0.1mgのウシ由来II型コラーゲン(シグマ社製、カタログ番号C1188)を尾の基底部に皮下投与する。7日おきに一回、35日後まで動物の体重、両後肢足の厚さ、関節の浮腫の有無を観察し、薬物非投与群と比較して有意に両後肢足の厚さの減少や関節の浮腫の消失があった場合に薬効ありと判断する。
G)潰瘍性大腸炎モデル
通常飼育した7週齢の雄性SDラット(日本チャールス・リバー)に飲料水として3%デキストラン硫酸ナトリウム(和光純薬製、カタログ番号191−08365)水溶液を自由摂取させて大腸炎を発症させた後、飲料水を1%デキストラン硫酸ナトリウム水溶液に切り替え、5mL/kgの割合で被検物質を一日一回経口投与する。14日後にペントバルビタール麻酔下にて大腸を摘出してその長さを測定し、10%中性ホルマリン液にて固定後、1%アルシアンブルー(ナカライテスク製、カタログ番号02318−84)にて染色してびらんの面積を測定する。薬物非投与群と比較して大腸の長さの短縮あるいはびらんの面積が有意に抑制された場合に薬効ありと判断する。
以上の結果から、本発明化合物は、優れたPARP阻害活性を有し、活性酸素種の産生等によりDNA損傷が生じてPARPが活性化されている細胞群に対してPARPの活性
抑制作用を介して保護作用を発揮することが示された。また、心筋虚血モデルにおいて梗塞領域を有意に減少する作用および脳虚血モデルにおいて脳梗塞サイズを有意に縮小する作用を発揮することが示された。また、毒性試験において何ら異常が認められなかったことから、本化合物の極めて低い毒性が示された。さらに、本発明化合物は、脳内移行性を検討したところ、脳内濃度/血漿中濃度比も良好であった。
従って、本発明の化合物は、優れたPARP阻害活性を有すること、培養細胞の酸化傷害モデルで優れた細胞保護作用を有すること、心筋虚血および脳虚血モデルにおいて高い有用性を示すこと、また、安全性が高いことから、優れた虚血性疾患、炎症性疾患、神経変性疾患等の予防および/または治療剤として、また化学療法剤・放射線治療の増感・副作用軽減剤として、とりわけ、虚血性心疾患の予防及び/または治療剤、虚血性脳障害の予防及び/または治療剤として期待できる。
本発明化合物が有効な疾患は、PARPの活性が亢進しているとみられる疾患であり、ペルオキシナイトライト、ヒドロキシラジカル等の活性酸素種の産生、放射線の照射等により、DNA損傷が生じてPARPが活性化されている疾患、あるいはレトロウイルス感染症(ウイルスRNAのDNAへの逆転写過程等にPARPの関与が示唆されている)である。より具体的には、例えば、心筋梗塞、狭心症、不整脈、心不全、心筋虚血再灌流障害、その他虚血性心疾患、心臓移植、肺高血圧、脳虚血障害、脳梗塞、一過性脳虚血発作、脳卒中、脳卒中後の後遺症、脳浮腫、移植手術後の再灌流障害を含む虚血もしくは虚血再灌流による消化管、骨格筋、腎臓、肝臓、網膜、蝸牛、精巣等の臓器障害、腎不全、肝不全、多臓器不全、敗血症、ショック、急性膵炎、ARDS(急性呼吸促迫症候群)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、SLE(全身性エリテマトーデス)、ベーチェット病,毛細血管拡張性運動失調症、筋ジストロフィー、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、その他神経変性疾患、脳挫傷、頭部外傷、脳・脊髄損傷、間質性肺炎、B型肝炎、急性肝炎、劇症肝炎等の肝炎、関節炎、慢性関節リウマチ、ウェルナー症候群、エイズ、成人T細胞白血病、有毛細胞白血病、皮膚T細胞リンパ腫(Sezary症候群、菌状息肉腫)、クラミジア感染症、サイトメガロウイルス感染症、ヘルペス感染症、サルコイドーシス、喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、アトピー性皮膚炎、糖尿病および糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害等の合併症、癌、乾癬、骨粗鬆症、妊娠中毒症、動脈硬化症、痛風、痛覚過敏、シスプラチンあるいはドキソルビシン等による抗癌剤治療における副作用等が挙げられ、これらの疾患の予防、治療剤として有用であることが期待される。また、癌の放射線療法、化学療法の増感剤としても有用であることが期待される。
本発明化合物は、医薬組成物の形態で投与される。
本発明の医薬組成物は、本発明の式(I)、式(I)−a、式(I)−bまたは式(I)−cで表される化合物またはこれらの製薬学的に許容される塩、の少なくとも一つ以上を含んでいればよく、医薬上許容される添加剤と組み合わせてつくられる。より詳細には、賦形剤(例;乳糖、白糖、マンニット、結晶セルロース、ケイ酸、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン)、結合剤(例;セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))、結晶セルロース、糖類(乳糖、マンニット、白糖、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール)、デンプン類(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン)、α化デンプン、デキストリン、ポリビニルピロリドン(PVP)、マクロゴール、ポリビニルアルコール(PVA))、滑沢剤(例;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルボキシメチルセルロース)、崩壊剤(例;デンプン類(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン)、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン)、被膜剤(例;セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、メタクリル酸コポリマーLD)、可塑剤
(クエン酸トリエチル、マクロゴール)、隠蔽剤(酸化チタン)、着色剤、香味剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸エステル)、等張化剤(例;グリセリン、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、マンニトール、ブドウ糖)、pH調節剤(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、塩酸、硫酸、リン酸緩衝液等の緩衝液)、安定化剤(例;糖、糖アルコール、キサンタンガム)、分散剤、酸化防止剤(例;アスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、dl−α−トコフェロール)、緩衝剤、保存剤(例;パラベン、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム)、芳香剤(例;バニリン、l−メントール、ローズ油)、溶解補助剤(例;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール、リン脂質コレステロール、トリエタノールアミン)、吸収促進剤(例;グリコール酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、アシルカルニチン類、リモネン)、ゲル化剤、懸濁化剤、界面活性剤または乳化剤、一般的に用いられる適当な添加剤または溶媒の類を、本発明の化合物と適宜組み合わせて種々の剤形とすることができる。
こうした剤形とは、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、坐剤、膣座剤、尿道剤、舌下投与剤、バッカル剤、口腔内崩壊剤、咀嚼剤、トローチ、ゼリー状剤、ペースト剤、口腔粘膜パッチ剤、経口液剤(乳濁剤、溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤)、ドロップ剤、吸入剤、注射剤、鼻腔投与剤(液剤、粉剤)、注射剤、外用剤(軟膏剤、クリーム剤、ゼリー状剤、ゲル剤)、貼付剤(テープ剤、パッチ剤、パップ剤等)、外用液剤、外用懸濁化剤、スプレー剤等があげられる。投与経路としては、経口または非経口(例えば、静脈内投与、動脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、直腸内投与、膣内投与、鼻腔内投与、尿道内投与、神経周囲投与、経皮投与または口腔内粘膜、陰茎粘膜等の経粘膜吸収等)により患者に投与し得る。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性または非水性の溶解剤、懸濁剤、乳濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤の担体としては、例えば注射用蒸留水、生理食塩水が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤の担体としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エチルアルコールのようなアルコール類、ポリソルベート80(TM)などがある。こうした組成物は、さらに前記の張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、可溶化剤または溶解補助剤などの添加剤である。これらは例えばメンブランフィルターによる濾過、殺菌剤の配合または紫外線照射などによって無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造し、用時溶解、乳濁または懸濁して用いる注射剤とすることもできる。本発明化合物の溶解性が低い場合には、可溶化処理を施してもよい。当該処理としては、医薬製剤に適用できる公知の方法、例えば界面活性剤(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類など)を添加する方法、薬物と可溶化剤、例えば高分子(ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)などの水溶性高分子、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、メタアクリル酸メチル−メタアクリル酸共重合体(オイドラギットL,S(TM);ローム、アンド、ハース社製)などの腸溶性高分子)との固体分散体を形成する方法が挙げられる。さらに必要により、α−、β−あるいはγ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリンなどを用いて包接化合物を形成させる方法も挙げられる。また、「薬学モノグラフNo.1,生物化学利用能」永井恒司ら、ソフトサイエンス社、78−82頁、1988年または「最近の製剤技術とその応用」、内海勇ら、医薬ジャーナル、157−159頁、1983年などを参考に、目的とする薬物に応じて、可溶化の手法を適宜変更することも可能である。これらのうち、好ましくは薬物と可溶化剤との固体分散体を形成させ溶解性を改善する方法が採用され得る(特開昭56−49314号、FR2460667号)。
本発明化合物のヒトに対する臨床投与量は適用される患者の症状、体重、年齢や性別、
適応症等を考慮して適宜決定されるが、通常成人1日当たり経口で0.1mg〜1000mg、好ましくは1mg〜300mg、非経口で0.01mg〜300mg、好ましくは0.1mg〜100mgであり、これを1回あるいは数回に分けて投与するか、持続投与する。適応症によっても上記投与量は変動する場合があり、例えば、虚血性心疾患であれば、通常成人1日当たり非経口で0.1mg〜1000mg、好ましくは30mg〜300mgを1回もしくは数回に分けて投与するか、持続投与する。また、虚血性脳障害であれば、
通常成人1日当たり非経口で0.1mg〜1000mg、好ましくは15mg〜600mgを1回もしくは数回に分けて投与するか、持続投与する。投与量は種々の条件で変動するので、上記投与量範囲より少ない量で十分な場合もある。
なお、本発明の前記一般式(I)、(I)−a、式(I)−bまたは式(I)−cで表される化合物またはその塩は、薬理学的に効果を示す投与量において毒性を示さない。
本発明化合物は、PARP阻害剤および前記で例示した疾患の予防、治療剤として、単独で、または他の薬理活性成分と併用して投与することができる。かかる薬理活性成分とは、例えば公知の他の虚血性心疾患および脳梗塞治療薬、例えば、血栓溶解剤、カルシウム拮抗薬、亜硝酸薬、ベータ遮断薬、抗血小板薬、ラジカル消去剤などが挙げられる。ここで併用とは、本発明化合物と当該薬理活性成分とをともに含む合剤を投与する他、本発明化合物と当該薬理活性成分とがそれぞれ別個の製剤として一時期にもしくは時間をずらして投与される場合をも含み、患者の血中において同時に存在する限りにおいて投与の形態は問われない。
<合成実施例>
次に、本発明をさらに詳しく説明するために合成実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
核磁気共鳴スペクトル(NMR)の測定には、ジェオルJNM−EX270(JEOL
JNM−EX270)FT−NMR(データに*を表示、日本電子(株)製)またはジェオルJNM−LA300(JEOL JNM−LA300)FT−NMR(日本電子(株)製)を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の測定には、島津LC−10A((株)島津製作所製)を、それぞれ用いた。
実施例1
(3R,7R)−7−アミノ−3−(5−ヒドロキシメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物1−6)および(3R,7S)−7−アミノ−3−(5−ヒドロキシメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物1−7)の合成
<工程1> 2,2−ジメチル−5−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシメチル)−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン(化合物1−1)の合成
文献記載の方法(Agric.Biol.Chem.,47,2411頁,1983年)に従って調整した5−ヒドロキシメチル−2,2−ジメチル−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン(1.0g)およびトリエチルアミン(1.1mL)の塩化メチレン(15mL)溶液を氷冷し、ピバロイルクロリド(0.66mL)を滴下し、同温で20分間撹拌した。反応液に飽和重曹水を加え、塩化メチレンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ去後、減圧下濃縮することによって、表題化合物(化合物1−1)(1.49g)を淡黄色オイルとして得た。
<工程2> 2−ヒドロキシメチル−3−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシメチル)フェノール(化合物1−2)の合成
工程1で得られた化合物1−1(1.3g)の1,4−ジオキサン(8mL)溶液を氷冷し、6規定塩酸(4mL)を加え、同温で1時間撹拌した。反応液に氷水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
し、乾燥剤をろ去後、減圧下濃縮することによって、表題化合物(化合物1−2)(1.12g)を無色オイルとして得た。
<工程3> 2−ヒドロキシ−6−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシメチル)ベンズアルデヒド(化合物1−3)の合成
工程2で得られた化合物1−2(1.0g)の塩化メチレン(8mL)溶液に、室温にて、活性二酸化マンガン(1.8g)を加え、室温にて15分間撹拌した。反応液に活性炭(2.0g)を加え、5分間撹拌し、不溶物をセライトろ過し、不溶物を塩化メチレンで洗浄した。ろ液と洗液を、減圧下濃縮することによって、表題化合物(化合物1−3)(0.89g)を黄色オイルとして得た。
<工程4> 5−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシメチル)−2H−クロメン−3−アルデヒド(化合物1−4)の合成
工程3で得られた化合物1−3(0.1g)およびアクロレイン(95μL)の1,4−ジオキサン(5.6mL)懸濁液に、室温にて炭酸カリウム(58mg)を加え1時間加熱還流した。反応液を放冷後、不溶物をろ過し、不溶物を酢酸エチルで洗浄した。ろ液と洗液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=100:0〜90:10〜67:33)で精製することによって、表題化合物(化合物1−4)(79mg)を黄色オイルとして得た。
<工程5> (3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシメチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物1−5−1)および(3R,7S)−7−アミノ−3−[5−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシメチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物1−5−2)の合成
4−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−8−カルボン酸アミド 塩酸塩(64mg)および工程4で得られた化合物1−4(70mg)のメタノール(2.6mL)懸濁液に、p−トルエンスルホン酸一水和物(5mg)を加え、室温にて20分間撹拌し、2時間加熱還流した。反応液を放冷後、反応液に10%炭酸カリウム水溶液を加え、塩化メチレンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ去後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=100:0〜97:3〜90:10)で精製することによって、表題化合物(化合物1−5−1)(30mg)を無色アモルファスとして、表題化合物(化合物1−5−2)(44mg)を無色アモルファスとして得た。
<工程6> (3R,7R)−7−アミノ−3−(5−ヒドロキシメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物1−6)の合成
工程5で得られた化合物1−5−1(29mg)のメタノール(0.45mL)溶液を氷冷し、4規定水酸化ナトリウム水溶液(80μL)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応液に水を加え、塩化メチレンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ去後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=100:0〜95:5〜90:10)で精製することによって、表題化合物(化合物1−6)(20mg)を白色固体として得た。
<工程7> (3R,7S)−7−アミノ−3−(5−ヒドロキシメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物1−7)の合成
工程5で得られた化合物1−5−2(40mg)を用いて、工程6と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物1−7)(26mg)を淡黄色固体として得た。
実施例2
(3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物2−10)および(3R,7S)−7−アミノ−3−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物2−11)の合成
<工程1> 5−クロロメチル−2,2−ジメチル−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン(化合物2−1)の合成
5−ヒドロキシメチル−2,2−ジメチル−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン(500mg)およびトリフェニルホスフィン(878mg)の四塩化炭素(2.3mL)溶液を2時間加熱還流した。反応液を濃縮後、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=95:5)で精製することによって、表題化合物(化合物2−1)(0.40g)を淡黄色オイルとして得た。
<工程2> 5−シアノメチル−2,2−ジメチル−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン(化合物2−2)の合成
シアン化ナトリウム(30.4mg)のDMSO(0.55mL)懸濁液に、工程1で得られた化合物2−1(100mg)のDMSO(0.35mL)溶液を加え、室温にて40分間撹拌した。反応液に水を加え、エーテルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ去後、減圧下濃縮することによって、表題化合物(化合物2−2)(94mg)を無色オイルとして得た。
<工程3> 5−カルボキシメチル−2,2−ジメチル−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン(化合物2−3)の合成
工程2で得られた化合物2−2(1.02g)のエタノール(4.9mL)溶液に、水酸化カリウム(353mg)の水(4.9mL)溶液を加え、5時間加熱還流した。反応液を約半量まで濃縮し、1規定水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで洗浄した。水層に1規定塩酸を加えpHを3に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ去後、減圧下濃縮することによって、表題化合物(化合物2−3)(0.94g)を淡黄色固体として得た。
<工程4> 5−(2−ヒドロキシエチル)−2,2−ジメチル−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン(化合物2−4)の合成
水素化リチウムアルミニウム(20.2mg)のTHF(2.0mL)懸濁液を氷冷し、工程3で得られた化合物2−3(100mg)のTHF(1mL)溶液を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液を氷冷し、水(20μL)、15%水酸化ナトリウム水溶液(20μL)次いで水(60μL)を加え、室温にて1時間撹拌した。不溶物をろ去し、不溶物を酢酸エチルで洗浄した。ろ液と洗液を減圧下濃縮することによって、表題化合物(化合物2−4)(73mg)を無色オイルとして得た。
<工程5> 5−[2−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)エチル]−2,2−ジメチル−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン(化合物2−5)の合成
工程4で得られた化合物2−4(4.0g)を用いて、実施例1<工程1>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物2−5)(6.0g)を無色オイルとして得た。
<工程6> 2−ヒドロキシメチル−3−[2−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)エチル]フェノール(化合物2−6)の合成
工程5で得られた化合物2−5(5.85g)を用いて、実施例1<工程2>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物2−6)(5.1g)を淡黄色オイルとして得た。
<工程7> 2−ヒドロキシ−6−[2−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)エチル]ベンズアルデヒド(化合物2−7)の合成
工程6で得られた化合物2−6(5.65g)を用いて、実施例1<工程3>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物2−7)(0.91g)を淡黄色オイルとして得た。
<工程8> 5−[2−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)エチル]−2H−クロメン−3−アルデヒド(化合物2−8)の合成
工程7で得られた化合物2−7(800mg)を用いて、実施例1<工程4>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物2−8)(622mg)を淡黄色オイルとして得た。
<工程9> (3R,7R)−7−アミノ−3−[5−[2−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)エチル]−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物2−9−1)および(3R,7S)−7−アミノ−3−[5−[2−(2,2−ジメチルプロパノイルオキシ)エチル]−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物2−9−2)の合成
工程8で得られた化合物2−8(300mg)を用いて、実施例1<工程5>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物2−9−1)(89mg)を無色アモルファスとして、表題化合物(化合物2−9−2)(139mg)を無色アモルファスとして得た。
<工程10> (3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物2−10)の合成
工程9で得られた化合物2−9−1(84mg)を用いて、実施例1<工程6>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物2−10)(47mg)を白色固体として得た。
<工程11> (3R,7S)−7−アミノ−3−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物2−11)の合成
工程9で得られた化合物2−9−2(135mg)を用いて、実施例1<工程6>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物2−11)(90mg)を白色固体として得た。
実施例3
(3R,7R)−7−アミノ−3−(5−アミノメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物3−6)および(3R,7S)−7−アミノ−3−(5−アミノメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物3−7)の合成
<工程1> 2,2−ジメチル−5−[(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)メチル]−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン(化合物3−1)の合成
5−ヒドロキシメチル−2,2−ジメチル−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン(5.0g)、フタルイミド(4.74g)およびトリフェニルホスフィン(8.45g)のTHF(100mL)溶液を氷冷し、アゾジカルボン酸ジエチル(40%トルエン溶液、14.6mL)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液に、氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ去後、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:
酢酸エチル=95:5〜80:20)で精製することによって、表題化合物(化合物3−1)(7.09g)を白色固体として得た。
<工程2> 2−ヒドロキシメチル−3−[(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)メチル]フェノール(化合物3−2)の合成
工程1で得られた化合物3−1(7.0g)を用いて、実施例1<工程2>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物3−2)(4.14g)を白色固体として得た。
<工程3> 2−ヒドロキシ−6−[(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)メチル]ベンズアルデヒド(化合物3−3)の合成
工程2で得られた化合物3−2(4.0g)を用いて、実施例1<工程3>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物3−3)(3.10g)を白色固体として得た。
<工程4> 5−[(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)メチル]−2H−クロメン−3−アルデヒド(化合物3−4)の合成
工程3で得られた化合物3−3(2.0g)を用いて、実施例1<工程4>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物3−4)(1.55g)を淡黄色固体として得た。
<工程5> (3R,7R)−7−アミノ−3−[5−[(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)メチル]−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物3−5−1)および(3R,7S)−7−アミノ−3−[5−[(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)メチル]−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物3−5−2)の合成
工程4で得られた化合物3−4(500mg)を用いて、実施例1<工程5>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物3−5−1)(181mg)を白色固体として、表題化合物(化合物3−5−2)(289mg)を白色固体として得た。
<工程6> (3R,7R)−7−アミノ−3−(5−アミノメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物3−6)の合成
工程5で得られた化合物3−5−1(150mg)のエタノール(4mL)懸濁液に、ヒドラジン一水和物(61mg)を加え、45分間加熱還流した。反応液を減圧下濃縮し、残渣に塩化メチレンを加え、不溶物をろ去した。不溶物を塩化メチレンで洗浄し、ろ液と洗液を減圧下濃縮した。残渣にエーテルを加え結晶化し、結晶をろ取することによって、表題化合物(化合物3−6)(75mg)を白色固体として得た。
<工程7> (3R,7S)−7−アミノ−3−(5−アミノメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物3−7)の合成
工程5で得られた化合物3−5−2(150mg)を用いて、工程6と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物3−7)(80mg)を淡黄色固体として得た。
実施例4
(3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2−アミノエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物4−7)および(3R,7S)−7−アミノ−3−[5−(2−アミノエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−
5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物4−8)の合成
<工程1> 5−(2−アミノエチル)−2,2−ジメチル−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン 塩酸塩(化合物4−1)の合成
実施例2<工程2>で得られた化合物2−2(1.0g)のエタノール(15mL)およびクロロホルム(3mL)溶液に、酸化白金(50mg)を加え、水素雰囲気下、室温にて終夜撹拌した。反応液に活性炭(150mg)を加え、しばらく撹拌した後、不溶物をセライトろ去した。不溶物をメタノールで洗浄し、ろ液と洗液を減圧下濃縮することによって、表題化合物(化合物4−1)(1.24g)を無色アモルファスとして得た。
<工程2> 5−[2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル]−2,2−ジメチル−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン(化合物4−2)の合成
工程1で得られた化合物4−1(1.24g)のTHF(10mL)懸濁液を氷冷し、飽和重曹水(10mL)次いでベンジルオキシカルボニルクロリド(0.77mL)を加え、同温で30分間撹拌した。反応液を酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ去後、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=95:5〜67:33)で精製することによって、表題化合物(化合物4−2)(435mg)を無色オイルとして得た。
<工程3> 3−[2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル]−2−ヒドロキシメチルフェノール(化合物4−3)の合成
工程2で得られた化合物4−2(0.43g)を用いて、実施例1<工程2>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物4−3)(0.41g)を黄色オイルとして得た。
<工程4> 6−[2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル]−2−ヒドロキシベンズアルデヒド(化合物4−4)の合成
工程3で得られた化合物4−3(0.40g)を用いて、実施例1<工程3>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物4−4)(0.21g)を無色オイルとして得た。
<工程5> 5−[2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル]−2H−クロメン−3−アルデヒド(化合物4−5)の合成
工程4で得られた化合物4−4(195mg)を用いて、実施例1<工程4>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物4−5)(140mg)を淡黄色オイルとして得た。
<工程6> (3R,7R)−7−アミノ−3−[5−[2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル]−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物4−6−1)および(3R,7S)−7−アミノ−3−[5−[2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル]−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物4−6−2)の合成
工程5で得られた化合物4−5(120mg)を用いて、実施例1<工程5>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物4−6−1)(38mg)を無色アモルファスとして、表題化合物(化合物4−6−2)(75mg)を淡黄色アモルファスとして得た。
<工程7> (3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2−アミノエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物4−7)の合成
工程6で得られた化合物4−6−1(38mg)のメタノール(0.9mL)溶液に、10%Pd−C(4mg)を加え、水素雰囲気下、室温にて20分間撹拌した。不溶物を
セライトろ去し、不溶物をメタノールで洗浄した。ろ液と洗液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=90:10〜80:20)で精製することによって、表題化合物(化合物4−7)(18mg)を白色固体として得た。
<工程8> (3R,7S)−7−アミノ−3−[5−(2−アミノエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物4−8)の合成
工程6で得られた化合物4−6−2(35mg)を用いて、工程7と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物4−8)(18mg)を淡黄色固体として得た。
実施例5
(3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2−カルボキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物5−8)および(3R,7S)−7−アミノ−3−[5−(2−カルボキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物5−9)の合成
<工程1> 5−ホルミル−2,2−ジメチル−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン(化合物5−1)の合成
5−ヒドロキシメチル−2,2−ジメチル−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン(12.0g)を用いて、実施例1<工程3>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物5−1)(9.73g)を淡黄色固体として得た。
<工程2> (E)−5−(2−エトキシカルボニルエテニル)−2,2−ジメチル−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン(化合物5−2)の合成
ジエチルホスホノ酢酸エチルエステル(5.60g)の無水THF(60mL)溶液を氷冷し、t−ブトキシカリウム(2.57g)を徐々に加え、同温にて20分間撹拌した。そこへ、氷冷したまま工程1で得られた化合物5−1(4.0g)の無水THF(20mL)溶液を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液を氷冷し、氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水次いで飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ去後、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=100:0〜85:15)で精製することによって、表題化合物(化合物5−2)(4.53g)を無色オイルとして得た。
<工程3> 5−(2−エトキシカルボニルエチル)−2,2−ジメチル−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン(化合物5−3)の合成
工程2で得られた化合物5−2(4.3g)のエタノール(66mL)溶液に、酸化白金(0.43g)を加え、水素雰囲気下、室温にて15分間撹拌した。反応液に活性炭(2g)を加え、しばらく撹拌した後、不溶物をセライトろ去した。不溶物をエタノールで洗浄し、ろ液と洗液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=100:0〜85:15)で精製することによって、表題化合物(化合物5−3)(3.87g)を無色オイルとして得た。
<工程4> 3−(2−エトキシカルボニルエチル)−2−ヒドロキシメチルフェノール(化合物5−4)の合成
工程3で得られた化合物5−3(3.8g)を用いて、実施例1<工程2>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物5−4)(3.81g)を淡黄色オイルとして得た。
<工程5> 6−(2−エトキシカルボニルエチル)−2−ヒドロキシベンズアルデヒド(化合物5−5)の合成
工程4で得られた化合物5−4(3.7g)を用いて、実施例1<工程3>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物5−5)(1.06g)を黄色オイルと
して得た。
<工程6> 5−(2−エトキシカルボニルエチル)−2H−クロメン−3−アルデヒド(化合物5−6)の合成
工程5で得られた化合物5−5(1.0g)を用いて、実施例1<工程4>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物5−6)(0.64g)を黄色オイルとして得た。
<工程7> (3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2−エトキシカルボニルエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物5−7−1)および(3R,7S)−7−アミノ−3−[5−(2−エトキシカルボニルエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物5−7−2)の合成
工程6で得られた化合物5−6(350mg)を用いて、実施例1<工程5>と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物5−7−1)(133mg)を白色固体として、表題化合物(化合物5−7−2)(220mg)を白色固体として得た。
<工程8> (3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2−カルボキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物5−8)の合成
工程7で得られた化合物5−7−1(43mg)のエタノール(0.5mL)溶液を氷冷し、1規定水酸化ナトリウム水溶液(0.12mL)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣に0.1規定塩酸を加えpHを4に調整した。析出した固体をろ取し、水で洗浄することによって、表題化合物(化合物5−8)(32mg)を淡黄色固体として得た。
<工程9> (3R,7S)−7−アミノ−3−[5−(2−カルボキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物5−9)の合成
工程7で得られた化合物5−7−2(43mg)を用いて、工程8と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物5−9)(28mg)を淡黄色固体として得た。
実施例6
(3R,7R)−7−アミノ−3−(5−ヒドロキシメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物6−1)および(3S,7S)−7−アミノ−3−(5−ヒドロキシメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物6−2)の合成
実施例1<工程6>で得られた化合物1−6(850mg)をHPLCにより光学分割し[CHIRALCELTM OD−H(ダイセル化学工業(株)製、n−ヘキサン:エタノール:ジエチルアミン=70:30:0.1)]、表題化合物(化合物6−1)(310mg、保持時間10.8分、99.0%e.e.)を淡黄色アモルファスとして、表題化合物(化合物6−2)(310mg、保持時間13.0分、99.2%e.e.)を淡黄色アモルファスとして得た。
実施例7
(3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物7−1)および(3S,7S)−7−アミノ−3−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン(化合物7−2)の合成
実施例2<工程10>で得られた化合物2−10(610mg)をHPLCにより光学分割し[CHIRALPAKTM AS−H(ダイセル化学工業(株)製、n−ヘキサン:エタノール:n−プロピルアミン=50:50:0.1)]、表題化合物(化合物7−1)(280mg、保持時間6.0分、99.9%e.e.)を淡黄色固体として、表題化合物(化合物7−2)(290mg、保持時間10.5分、98.8%e.e.)を淡黄色固体として得た。
実施例8
(3R,7R)−7−アミノ−3−(5−ヒドロキシメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン 塩酸塩(化合物8)の合成
実施例6で得られた化合物6−1(230mg)のメタノール(15mL)溶液に、4規定塩化水素−酢酸エチル(0.19mL)を加え、室温にて、1時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣にエーテルを加え析出した固体をろ取することによって、表題化合物(化合物8)(246mg)を黄色結晶として得た。
実施例9
(3R,7R)−7−アミノ−3−(5−ヒドロキシメチル−2H−クロメン−3−イル)―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン メタンスルホン酸塩(化合物9)の合成
実施例6で得られた化合物6−1(15mg)のメタノール(1mL)溶液に、2規定メタンスルホン酸−メタノール(23μL)を加え、室温にて、1時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣にエーテルを加え析出した固体をろ取することによって、表題化合物(化合物9)(17.3mg)を黄色結晶として得た。
実施例10
(3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン 塩酸塩(化合物10)の合成
実施例7で得られた化合物7−1(214mg)を用いて、実施例8と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物10)(210mg)を黄色固体として得た。
実施例11
(3R,7R)−7−アミノ−3−[5−(2−ヒドロキシエチル)−2H−クロメン−3−イル]―2,3,6,7−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2,1−ij]キナゾリン−1−オン メタンスルホン酸塩(化合物11)の合成
実施例7で得られた化合物7−1(20.4mg)を用いて、実施例9と同様の方法を実施することによって、表題化合物(化合物11)(18.0mg)を淡黄色固体として得た。
以下に実施例化合物の構造を表3に、また、これら実施例化合物のNMRデータを表4に示した。NMRはTMS(テトラメチルシラン)を内部標準として測定しppmで表示した。また使用溶媒は以下のように、CDCl3は重クロロホルム、DMSO−d6は重ジメチルスルホキシドを表し、各吸収線の多重度は、sは一重線、dは二重線、tは三重線、qは四重線、ddは二重線の二重線、dtは二重線の三重線、mは多重線、brsは幅広い一重線、brは幅広いピークを示し、また、結合定数(J)をHzで表示した。
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<製剤実施例>
以下に本発明の医薬組成物の例を挙げる。ここで、化合物Mとは、式(I)で表される本発明化合物およびその医薬として許容される塩(製薬学的に許容される塩)であり、詳細には実施例化合物から選択されるいずれかの化合物である。
(a)錠剤(有効成分含量1mg)
化合物M1.0g、乳糖90.0g、カルボキシメチルセルロースナトリウム5.0g、コーンスターチペースト(5%W/Vペースト)3.0gおよびステアリン酸マグネシウム1.0gをそれぞれ秤量し、常法により打錠し、100mgの錠剤とした。
(b)錠剤(有効成分含量10mg)
化合物M10g、乳糖150g、クロスカルメロースナトリウム6.0g、コーンスターチペースト(5%W/Vペースト)28.5g、ポリビニルピロリドン2.5gおよびステアリン酸マグネシウム3gをそれぞれ秤量し、常法により打錠し、200mgの錠剤とした後、酢酸フタル酸セルロースで被覆し腸溶剤とした。
(c)カプセル剤(有効成分含量50mg)
化合物M100g、ラクト−ス395.5gおよびステアリン酸マグネシウム4.5gをそれぞれ秤量した後均一に混合し、混合粉体を日本薬局方No.1のハードカプセルに250mgずつ封入した。
(d)注射剤(有効成分含量0.1mg/mL)
化合物M 0.01%W/V、リン酸ナトリウム緩衝液2.3%W/V、クエン酸0.4%W/V、マクロゴール400 3.5%W/V、および注射用蒸留水を混合して溶液となし、1mLずつ注射用アンプルに封入して注射剤を作成した。
(e)注射剤(有効成分含量1mg/mL)
化合物M 0.1%W/V、リン酸ナトリウム緩衝液2.3%W/V、クエン酸0.4%W/V、マクロゴール400 3.5%W/V、および注射用蒸留水を混合して溶液となし、1mLずつ注射用アンプルに封入して注射剤を作成した。
上記においてW/Vは質量/容量を示す。
以下の表5〜表7に示す実施例の化合物またはその塩についても、前記の<本発明の化合物の製造方法>あるいは前記の実施例1〜11と同様の方法を用いて合成することができる。
Figure 2007131577
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Claims (8)

  1. 下記式(I)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩:
    Figure 2007131577
    (式中、Rは、Aa群より任意に選ばれる置換基で1−5個置換されていても良いC1−6アルキル基(Aa群:ヒドロキシル基、C1−4のアルキル基で1ないし2個置換されていても良いアミノ基、カルボキシル基またはC1−4のアルコキシカルボニル基)を表す。)。
  2. RがAa群より任意に選ばれる置換基で1置換されていてもよいC1−2アルキル基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物、またはその製薬学的に許容される塩。
  3. Aa群より選ばれる置換基はヒドロキシル基であることを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
  4. 式(I)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする、医薬組成物。
  5. 式(I)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤。
  6. 式(I)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする、PARP活性が亢進しているとみられる疾患の予防及び/または治療剤。
  7. 式(I)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする、虚血性心疾患の予防及び/または治療剤。
  8. 式(I)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする、虚血性脳障害の予防及び/または治療剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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