JP2007129270A - 半導体レーザ素子及びその製造方法 - Google Patents

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久晴 八木
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Abstract

【課題】高温雰囲気においても高信頼性を確保することができる半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】本発明の半導体レーザは、半導体層の組成より、活性層106よりバッファ層105、107の禁制帯幅が大きく、またクラッド層104、108の禁制帯幅は、それぞれに接するバッファ層105、107の禁制帯幅より大きくなるように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、高温雰囲気で高信頼性を有する半導体レーザ素子に関する。
半導体レーザ素子(以下では半導体レーザと称する)の一従来例として、K.Itaya等によって提唱され、文献「IEEE Journal of Quantum Electronics(vol.29.No.6June 1993)」に開示されたものがある。
図6はこの半導体レーザの断面構造を示す。n型GaAs基板402上に、n型In0.5(Ga0.3Al0.70.5Pクラッド層403、アンドープGaAs活性層404、p型In0.5(Ga0.3Al0.70.5Pクラッド層405及びp型In0.5Ga0.5Pコンタクト層406をこの順に積層してある。
加えて、これらの積層構造の上にn型GaAs電流ブロック層407及びp型GaAsコンタクト層408を積層してある。また、n型GaAs基板402の底面にn型用電極401を形成し、p型GaAsコンタクト層408上にp型用電極409を形成してある。
なお、この半導体レーザの上記半導体層は、MOCVD法による結晶成長を用いて積層され、結晶成長温度は700℃とされている。
この半導体レーザでは、共振器長400〜450μm、25℃において、閾値電流28mAであり、GaAs活性層404をAlGaAsより禁制帯幅の大きなInGaAlPからなるクラッド層403、405で挟んでいるため、活性層404からのキャリアリークを防止でき、200℃以上の高温においてもレーザ発振が可能になっている。
しかしながら、上記構成の半導体レーザでは、高温時の素子において劣化が生じ、駆動電流の増大が生じるという間題があり、例えば、本発明者等の実験結果によれば、50℃にて5mW、3000時間のエージングを行ったところ、初期の駆動電流は47mAであったものが、エージングにより58mAに増大する等の劣化を示した。このため、上記の半導体レーザ素子では、高温雰囲気下における信頼性に問題があることがわかった。
そこで、本発明者等は、信頼性不良が発生し、劣化が起こった上記従来の半導体レーザの、エージング後の素子の活性層を電子顕微鏡で観察したところ、活性層とクラッド層の界面付近に結晶の欠陥が多く存在しており、この欠陥が素子劣化の原因であることを知見した。
このように、活性層とクラッド層の界面に多数の欠陥が生じる理由としては、クラッド層と活性層はそれぞれ主たる構成要素であるV族元素が異なり、主たるV族元素が異なる半導体層の界面では、非発光の再結合準位が存在するため、上記の半導体レーザでは、少数キャリアと多数キャリアが非発光の再結合を生じ、温度上昇による欠陥の発生が急速に進んでいることが考えられる。
以上のように、上記従来の半導体レーザでは、InGaAlP系の半導体からなるクラッド層を用いており、クラッド層は禁制帯幅が大きいため、注入キャリアを活性層に閉じ込める効果が大きく、高温での動作が可能であるという利点を有する反面、高温時における素子の劣化が激しく、高温雰囲気下における信頼性が低いという問題点があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高温雰囲気においても高信頼性を確保することができる半導体レーザ素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の半導体レーザ素子は、基板上に第一導電型のクラッド層、活性層及び第二導電型のクラッド層を順次積層して構成され、該第一導電型のクラッド層及び該第二導電型のクラッド層の内の少なくとも一つのクラッド層が主たる構成要素としてPを含み、かつ該活性層が主たる構成要素としてAsを含む半導体レーザ素子において、Pを含むクラッド層と、該活性層との間に、禁制帯幅が該活性層より大きく、かつ該クラッド層より小さいAsを主たる構成要素として含むバッファ層を形成してなり、そのことにより上記目的が達成される。
好ましくは、前記活性層がIn1-x1-y1Gax1Aly1As(0≦x1≦1,0≦y1≦1,2.132y1+0.964x1−0.046x1y1<1.44)で構成され、かつ、前記バッファ層がIn1-x2-y2Gax2Aly2As(0≦x2≦1,0≦y2≦1)で構成され、該活性層と、主たる構成要素としてPを含む前記クラッド層との組成比率が、下記(1)式及び下記(2)式の条件を満たす
0.36+2.5y1+1.064x1−0.189x1y1<0.36+2.5y2+1.064x2−0.189x2y2 …(1)
0.36+2.5y1+1.064x1−0.189x1y1<1.8+0.368y2+0.1x2−0.143x2y2 …(2)
構成とする。
また、好ましくは、主たる構成要素としてPを含む前記クラッド層がIn1-x4-y4Gax4Aly4P(0≦x4≦1,0≦y4≦1)で構成され、かつ前記バッファ層がIn1-x3-y3Gax3Aly3As(0≦x3≦1,0≦y3≦1)で構成され、該クラッド層に接して該バッファ層が形成され、両者の組成比率が、下記(3)式及び下記(4)式の条件を満たす
1.351+2.23y4+0.643x4+0.786x4×x4+0.786x4y4>1.8+0.368y3+0.1x3−0.143x3y3
…(3)
1.351+2.23y4+0.643x4+0.786x4×x4+0.786x4y4>0.36+2.5y3+1.064x3−0.189x3y3
…(4)
構成とする。
また、好ましくは、前記バッファ層の層厚dが、下記(5)式の条件を満たす
0.001μm≦d≦0.12μm …(5)
構成とする。
また、好ましくは、前記第一導電型のクラッド層及び前記第二導電型のクラッド層がいずれも主たる構成要素としてPを含み、該第一導電型のクラッド層と該活性層との間及び該第二導電型のクラッド層と該活性層との間に、禁制帯幅が該活性層よりも大きく、Asを主たる構成要素として含むバッファ層をそれぞれ形成し、p導電型のクラッド層に接するバッファ層の層厚d1と、n導電型のクラッド層に接するバッファ層の層厚d2の関係が、下記(6)式の条件を満たす
d1<d2 …(6)
構成とする。
また、本発明の半導体レーザ素子の製造方法は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の半導体レーザ素子の製造方法であって、気相成長方法によりPを主たる構成要素として含む前記第一導電型のクラッド層の成長後にAsを主たる構成要素として含む前記バッファ層を積層する工程を包含し、該工程において、該第一導電型のクラッド層の成長温度T1と、該バッファ層の成長温度T2の関係が、下記(7)式の条件を満たす
T1>T2 …(7)
構成とする。
以下に本発明の作用を説明する。
Pを含むクラッド層と、活性層との間に、禁制帯幅が活性層より大きく、かつクラッド層より小さいAsを主たる構成要素として含むバッファ層を形成する構成によれば、後述のエージング結果により、半導体レーザの高温雰囲気における特性の劣化を抑制でき、その信頼性を向上できることを確認できた。
その理由としては、半導体レーザ、即ち本素子の駆動時に、活性層からオーバーフローする少数キャリアが、バッファ層により遮られ、Asを主たる構成要素とする層(バッファ層)とPを主たる構成要素とする層(クラッド層)との界面に存在する欠陥で再結合する確率が減少し、発熱が抑制されるため、欠陥の増殖が妨げられたためと考えられる。
なお、エージング後の本素子を電子顕微鏡で観察したところ、バッファ層とクラッド層の界面において、欠陥はほとんど見られず、欠陥の増殖が生じていないことが確認された。
Pを含むクラッド層と、活性層との間に、禁制帯幅が活性層より大きく、かつクラッド層より小さいAsを主たる構成要素として含むバッファ層を形成する構成は、上記(1)式及び(2)式を満たす組成又は上記(3)式及び(4)式を満たす組成で各半導体層を形成することにより、具体的に達成することができる。
また、バッファ層の層厚dを、上記(5)式の条件を満たす構成にすれば、駆動電流の変化ΔIopを顕著に低減できる。その理由は、バッファ層の層厚dを0.001μm以上にすると、活性層からバッファ層に漏れ出した少数キャリアがAlGaAsとInAlGaPの界面の欠陥まで到達するのが抑制され、多数キャリアと非発光の再結合が生じにくくなるためである。そのため、素子の発熱が抑えられ、欠陥の増殖が抑えられ、信頼性が向上される。
一方、バッファ層の層厚dを0.12μmより大きくすると、駆動電流の変化ΔIopの増大が激しくなる。その理由は、活性層からバッファ層に漏れ出した少数キャリアが、バッファ層で非発光の再結合を起こし、発熱を生じることにより、欠陥が増殖するためである。
なお、バッファ層の層厚dを0.12μm未満にすると、活性層からバッファ層に漏れ出した少数キャリアがクラッド層のポテンシャルを受けて反射され、活性層で再結合される確率が大きくなるので、このような効果は生じないと考えられる。
よって、バッファ層の層厚dを、上記(5)式の条件を満足する範囲に設定すると好ましいものになる。
また、p導電型のクラッド層に接するバッファ層の層厚d1と、n導電型のクラッド層に接するバッファ層の層厚d2の関係を、上記(6)式の条件を満たす関係に設定すると、素子の信頼性をさらに向上できる。
その理由は、一般に、電子の拡散長は正孔より大きいため、層厚d2を比較的大きくすれば、電子が少数キャリアとして、クラッド層とバッファ層との界面に到達することを抑制できる。また、正孔は拡散長が電子と比較して短いため、クラッド層に接するバッファ層を薄くすることが可能であることによる。
また、気相成長方法によりPを主たる構成要素として含む第一導電型のクラッド層の成長後にAsを主たる構成要素として含むバッファ層を積層する工程を包含し、この工程において、第一導電型のクラッド層の成長温度T1と、バッファ層の成長温度T2の関係が、上記(7)式の条件を満たすように設定する構成によれば、一例として、PH3を原料として使用した後に、成長温度を下げてAsH3を用いて成長を行う場合を例にとって説明すると、このような工程によれば、配管等に付着したPを含む残留原料が、再蒸発して供給される効果(メモリー効果)を低減できる。即ち、PとAsが混じり合うのを低減できる。
ここで、PとAsが混じり合う半導体においては、AsとPがそれぞれ個別に凝集する場合があり、結晶欠陥発生の原因となる。
しかるに、上記構成によれば、上述した理由により、結晶欠陥発生の原因をその分低減できるので、各クラッド層及びバッファ層が設計通りに作製され、PとAsが混じり合うことが抑制されるので、信頼性の高い素子を得ることができるのである。
以上の本発明半導体レーザ素子では、クラッド層に禁制帯幅の大きな半導体を用いているために、活性層からのキャリアリークを防止でき、高温動作が可能となる。加えて、クラッド層と活性層の間にAsを主たる構成要素とするバッファ層を挿入することにより、AsとPの界面を活性層から離して、結晶欠陥が活性層に侵入することを防止できる。その結果、高温雰囲気における素子の信頼性を格段に向上できるという効果がある。
また、特に請求項2又は請求項3記載の半導体レーザ素子によれば、組成を調整することにより、上記同様の効果を奏することができる半導体レーザ素子を具体的に実現できる。
また、特に請求項4記載の半導体レーザ素子によれば、上記した理由により、駆動電流の変化ΔIopを顕著に低減できる高信頼性の半導体レーザ素子を実現できる。
また、特に請求項5記載の半導体レーザ素子によれば、電子が少数キャリアとして、クラッド層とバッファ層との界面に到達することを抑制できるので、その分、素子の信頼性を一層向上できる。
また、本発明の半導体レーザ素子の製造方法によれば、気相成長方法によりPを主たる構成要素として含む第一導電型のクラッド層の成長後にAsを主たる構成要素として含むバッファ層を積層する工程を包含し、この工程において、第一導電型のクラッド層の成長温度T1と、バッファ層の成長温度T2の関係が、T1>T2となるように設定するので、例えば、配管等に付着したPを含む残留原料が、再蒸発して供給される効果を低減できる。このため、その分、結晶欠陥発生の原因を低減できるので、各クラッド層及びバッファ層が設計通りに作製され、PとAsが混じり合うことが抑制される結果、より一層信頼性の高い半導体レーザ素子を実現できる。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
(実施形態1)
図1〜図3は本発明半導体レーザの実施形態1を示す。本実施形態1は本発明を実屈折率導波型の半導体レーザに適用した例を示す。以下に図1に基づき本実施形態1の半導体レーザの構造を製造工程とともに説明する。
まず、MOCVD装置のサセプタ上にn型GaAs基板(ウエハー)102を導入し、このn型GaAs基板102上にn型GaAs層103、n型In0.5Ga0.2Al0.3Pクラッド層104、バッファ層(1)(Ga0.7Al0.3As、アンドープ、層厚0.05μm)105、活性層(Ga0.86Al0.14As、アンドープ、層厚0.06μm)106、バッファ層(2)(Ga0.7Al0.3As、アンドープ、層厚0.05μm)107、p型In0.5Ga0.35Al0.15Pクラッド層(1)108、p型GaAsエッチングストッパ層109、p型In0.5Ga0.35Al0.15Pクラッド層(2)110及びp型GaAs保護層111を第1回目のMOCVD成長により順次積層する。
次に、ウエハーをMOCVD装置から取り出し、ウエットエッチングを行い、続いて、ウエハーを再度MOCVD装置内のサセプタ上に導入し、第2回目のMOCVD成長により、n型Ga0.3Al0.7As電流ブロック層(1)112及びn型GaAs電流ブロック層(2)113を選択成長を用いて積層する。
その後、n型GaAs基板102の底面にn型用電極101を形成し、また、p型GaAs保護層(キャップ層)111上にp型用電極114を形成する。以上の製造工程を経て、本実施形態1の実屈折率導波型の半導体レーザが作製される。
本実施形態1の半導体レーザによれば、半導体層の組成より、活性層106よりバッファ層105、107の禁制帯幅が大きく、またクラッド層104、108の禁制帯幅は、それぞれに接するバッファ層105、107の禁制帯幅より大きくなっている。
次に、本実施形態1の半導体レーザのエージング結果を示す。本実施形態1の半導体レーザは、発振波長780nmであり、50℃において5mWの光出力のエージングを行ったところ、駆動電流は初期値が50mAであり、3000時間後には1mAの増加に抑えられ、安定した特性を得ることができることを確認できた。
ここで、本実施形態1の半導体レーザにおいて、特性の劣化が少ない理由としては、半導体レーザ、即ち本素子の駆動時に、活性層からオーバーフローする少数キャリアが、バッファ層により遮られ、Asを主たる構成要素とする層(バッファ層)とPを主たる構成要素とする層(クラッド層)との界面に存在する欠陥で再結合する確率が減少し、発熱が抑制されるため、欠陥の増殖が妨げられたためと考えられる。
なお、エージング後の本素子を電子顕微鏡で観察したところ、バッファ層とクラッド層の界面において、欠陥はほとんど見られず、欠陥の増殖が生じていないことが確認された。
図2は、InGaAlAs系半導体及びInGaAlP系半導体の組成と、格子定数(A)と、禁制帯幅Eg(eV)との関係を示す。グラフ中の(a)〜(d)の組成における禁制帯幅Eg(eV)は下記の式で表わされる。
(1)In1-x1-y1Gax1Aly1As半導体について
直接遷移領域である領域(a)での禁制帯幅Egは、下記(8)式で表される。
Eg=0.36+2.5y1+1.064x1−0.189x1y1 …(8)
また、間接遷移領域である領域(b)での禁制帯幅Egは、下記(9)式で表される。
Eg=1.8+0.368y1+0.1x1−0.143x1y1 …(9)
(2)In1-x2-y2Gax2Aly2P半導体について
直接遷移領域である領域(c)での禁制帯幅Egは、下記(10)式で表される。
Eg=1.351+2.23y2+0.643x2+0.786x2×x2+
0.786x2y2 …(10)
間接遷移領域である領域(d)での禁制帯幅Egは、下記(11)式で表される。
Eg=2.25+0.2y2+0.011x2 …(11)
ここで、活性層は直接遷移の半導体でなければならないため、(8)式>(9)式の条件を満たす必要があり、下記(12)式が必要となる。
2.132y1+0.964x1−0.046x1y1<1.44 …(12)
また、バッファ層の組成が活性層より大きくなるためには、上記(8)式、(10)式及び(11)式より、下記(1)式及び下記(2)式の条件を満足する必要がある。
0.36+2.5y1+1.064x1−0.189x1y1<0.36+2.5y2+1.064x2−0.189x2y2 …(1)
0.36+2.5y1+1.064x1−0.189x1y1<1.8+0.368y2+0.1x2−0.143x2y2 …(2)
また、バッファ層に接するクラッド層の禁制帯幅Egが、バッファ層より大きくなるためには、上記(8)式、(9)式、(10)式及び(11)式より、下記(3)式及び下記(4)式の条件を満足する必要がある。
1.351+2.23y4+0.643x4+0.786x4×x4+0.786x4y4>1.8+0.368y3+0.1x3−0.143x3y3
…(3)
1.351+2.23y4+0.643x4+0.786x4×x4+0.786x4y4>0.36+2.5y3+1.064x3−0.189x3y3
…(4)
よって、上記(1)式及び(2)式の条件、又は(3)式及び(4)式の条件を満たす組成で各半導体層を構成すれば、Pを含むクラッド層と、活性層との間に、禁制帯幅が活性層より大きく、かつクラッド層より小さいAsを主たる構成要素として含むバッファ層を備えた本実施形態1の半導体レーザと同様の効果を奏する半導体レーザを具体的に実現することができることになる。
なお、各半導体層の組成比により、格子定数が変化し、半導体層に歪が生じる場合においても、結晶欠陥の増大しない範囲であれば、上記(1)式及び(2)式、又は(3)式及び(4)式の条件を満足する組成により、同様の効果を得ることができる。
図3は、本実施形態1において、バッファ層の層厚d(μm)を変化させたときの、エージング(3000時間)による駆動電流の変化ΔIop(mA)を示す。
図3より、バッファ層の層厚dを0.001μm〜0.12μmに設定すると、駆動電流の変化ΔIopを顕著に低減できることがわかる。その理由は、バッファ層の層厚dを0.001μm以上にすると、活性層からバッファ層に漏れ出した少数キャリアがAlGaAsとInAlGaPの界面の欠陥まで到達するのが抑制され、多数キャリアと非発光の再結合が生じにくくなるためである。そのため、素子の発熱が抑えられ、欠陥の増殖が抑えられ、信頼性が向上される。
一方、バッファ層の層厚dを0.12μmより大きくすると、駆動電流の変化ΔIopの増大が激しくなる。その理由は、活性層からバッファ層に漏れ出した少数キャリアが、バッファ層で非発光の再結合を起こし、発熱を生じることにより、欠陥が増殖するためである。
なお、バッファ層の層厚dを0.12μm未満にすると、活性層からバッファ層に漏れ出した少数キャリアがクラッド層のポテンシャルを受けて反射され、活性層で再結合される確率が大きくなるので、このような効果は生じないと考えられる。
よって、バッファ層の層厚dは、下記(5)式の条件を満足する範囲に設定すると好ましいものになる。
0.001μm≦d≦0.12μm …(5)
なお、バッファ層の層厚dをかかる範囲に設定すると、図3より、駆動電流の変化ΔIopが3mA以下となり、非常に安定した動作を得ることができることがわかる。
なお、活性層及びバッファ層の一方、或いは両方にInを入れた場合でも、上記(1)式及び(2)式、又は(3)式及び(4)式の条件を満たす組成であれば、上記同様の効果が得られることを確認できた。
(実施形態2)
図4は本発明半導体レーザ素子の実施形態2を示す。本実施形態2は本発明を損失導波路型の半導体レーザに適用した例を示す。但し、本実施形態2では、その製造方法に特徴を有するものである。
本実施形態2の半導体レーザはMOCVD法により作製し、使用原料として、TMG(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMI(トリメチルインジウム)、PH3(ホスフィン)、AsH3(アルシン)、SiH3(モノシラン)、DEZ(ジエチルジンク)を用いた。
以下に図4に基づき本実施形態2の半導体レーザの構造を製造工程とともに説明する。
まず、n型GaAs基板202をMOCVD装置のサセプタ上に導入し、n型GaAs基板202上に、基板温度750℃にてn型GaAs層203、n型Ga0.5Al0.5Asクラッド層(1)204(層厚1.0μm)及びn型In0.5Ga0.3Al0.2Pクラッド層(2)205(層厚0.4μm)を順次成長させる。
続いて、その直後に、成長温度を700℃に変更し、n型In0.5Ga0.3Al0.2Pクラッド層(2)205上にバッファ層(1)(In0.1Ga0.54Al0.36As、アンドープ、層厚0.08μm)206、多重量子井戸活性層(アンドープ)207、バッファ層(2)(In0.1Ga0.54Al0.36As、アンドープ、層厚0.08μm)208、p型In0.5Ga0.3Al0.2Pクラッド層(1)209及びn型GaAs電流ブロック層210をMOCVD成長により積層する。
なお、多重量子井戸活性層207は、3層のアンドープの量子井戸活性層(層厚8nmのIn0.2Ga0.72Al0.08As)と2層のアンドープのバリア層(層厚10nmのIn0.1Ga0.63Al0.27As)を交互に配置した構成となっており、量子井戸活性層には約1.4%の圧縮歪が加えられている。
次に、ウエハーをMOCVD装置から取り出し、電流ブロック層210のストライプ部分を選択エッチングにより除去する。その後、ウエハーを再度MOCVD装置のサセプタ上に導入し、MOCVD法による再成長により、p型Ga0.5Al0.5Asクラッド層(2)211及びP型GaAsコンタクト層212を積層する。
その後、n型GaAs基板202の底面にn型用電極201を形成し、また、P型GaAsコンタクト層212上にp型用電極213を形成する。以上の工程を経て、本実施形態2の損失導波路型の半導体レーザが作製される。
なお、本実施形態2の半導体レーザ素子において、多重量子井戸活性層は、禁制帯幅がバッファ層より小さいため、井戸層の基底準位はバッファ層より小さくなる。また、バッファ層の禁制帯幅は、接するクラッド層より小さくなっている。
次に、本実施形態2の半導体レーザのエージング結果を示す。本素子の発振波長は920nmであり、90℃における10mWの初期電流値は80mAであった。そして、50℃、3000時間のエージング後の駆動電流の変化△Iopは、1mAであり、良好な駆動電流の安定性が得られることを確認できた。
ここで、本実施形態2では、上記の製造工程において、PH3を原料として使用した後に、成長温度を下げてAsH3を用いて成長を行っている。このような工程によれば、配管等に付着したPを含む残留原料が、再蒸発して供給される効果(メモリー効果)を低減できる。即ち、PとAsが混じり合うのを低減できる。
ここで、PとAsが混じり合う半導体においては、AsとPがそれぞれ個別に凝集する場合があり、結晶欠陥発生の原因となる。
しかるに、本実施形態2では、上記理由により、結晶欠陥発生の原因をその分低減できるので、本実施形態2によれば、各クラッド層及びバッファ層が設計通りに作製され、PとAsが混じり合うことが抑制されるので、信頼性の高い素子を得ることができる。
なお、本実施形態2においては、活性層として、多重量子井戸層を用いているが、その活性層における禁制帯幅を適宜に設定すれば、上記実施形態1同様の効果を奏する半導体レーザを実現できる。
また、本実施形態2では、活性層及びバッファ層として、Inを含む半導体を用いているが、上記(1)式及び(2)式、又は(3)式及び(4)式の条件を満たす組成であれば、AlGaAs半導体層等を用いても同様の効果を得ることができる。
更に、本実施形態2に示すように、活性層に歪を加えた場合でも、同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態2では、気相成長方法として、MOCVD法により、Pを主たる構成要素として含むクラッド層の成長後にAsを主たる構成要素として含むバッファ層を積層する工程を有し、この工程において、クラッド層の成長温度T1よりもバッファ層の成長温度T2を低下させているが、このような気相成長方法は、MOCVD成長以外に、ガスソースMBE、クロライド系VPE等についても同様に適用することが可能である。
(実施形態3)
図5は本発明半導体レーザの実施形態3を示す。本実施形態3は本発明を実屈折率導波型の半導体レーザに適用した例を示すが、本実施形態3は、p型クラッド層の接するバッファ層の層厚d2を、n型クラッド層に接するバッファ層の層厚d1よりも厚く設定したことに特徴を有する。以下に図5に基づきその構造を製造工程とともに説明する。
まず、n型GaAs基板302上にn型GaAs層303、n型In0.5Ga0.2Al0.3Pクラッド層304、バッファ層(1)(Ga0.7Al0.3As、アンドープ、層厚0.04μm)305、活性層(Ga0.86Al0.14As、アンドープ、層厚0.06μm)306、バッファ層(2)(Ga0.7Al0.3As、アンドープ、層厚0.08μm)307、p型In0.5Ga0.2Al0.3Pクラッド層(1)308、p型GaAsエッチングストッパ層309、p型In0.5Ga0.35Al0.15Pクラッド層(2)310及びp型GaAs保護層311を第1回目のMBE成長により積層する。
その後、ウエットエッチングを施し、続いて、第2回目のMBE成長により、n型Ga0.3Al0.7As電流ブロツク層(1)312及びn型GaAs電流ブロック層(2)313を選択成長を用いて積層する。その後、n型GaAs基板302の底面にn型用電極電極301を形成し、また、p型GaAs保護層311上にp型用電極314を形成する。以上の製造工程を経て、本実施形態3の実屈折率導波型の半導体レーザが作製される。
次に、本実施形態3の半導体レーザのエージング結果を示す。本素子は、発振波長780nmであり、本素子を50℃において5mWの光出力のエージングを行ったところ、駆動電流は初期値が50mAであり、3000時間後には0.5mAの増加に抑えられ、安定した特性を得ることができることを確認できた。
ここで、本実施形態3の半導体レーザでは、p型クラッド層(1)308の接するバッファ層307の層厚d2が、nクラッド層304に接するバッファ層3045の層厚d1より厚くなっている。
一般に、電子の拡散長は正孔より大きいため、層厚d2を比較的大きくすれば、電子が少数キャリアとして、p型クラッド層(1)308とバッファ層307との界面に到達することを抑制できる。また、正孔は拡散長が電子と比較して短いため、n型クラッド層304に接するバッファ層305を薄くすることが可能であり、本実施形態2ではd2>d1としており、素子の信頼性がさらに向上している。
なお、活性層及びバッファ層にInを入れた場合でも、上記(1)式及び(2)式、又は(3)式及び(4)式の条件を満たす組成であれば、InAlGaAs半導体層等を用いても同様の効果を得ることができる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態1〜実施形態3では、いずれもバッファ層が2層設けられた例を示しているが、Pを主たる構成要素として含むクラッド層がn型のみであり、p型クラッド層はAsを主たる構成要素としても同様の効果が得られる。逆に、Pを主たる構成要素として含むクラッド層がp型のみであり、n型クラッド層はAsを主たる構成要素としても同様の効果が得られる。
本発明の実施形態1を示す、半導体レーザ素子の断面図。 本発明の実施形態1を示す、InGaAlP系及びInGaAlAs系半導体の組成と格子定数及び禁制帯幅との関係を示すグラフ。 本発明の実施形態1を示す、バッファ層厚dとΔIopの関係を示すグラフ。 本発明の実施形態2を示す、半導体レーザ素子の断面図。 本発明の実施形態3を示す、半導体レーザ素子の断面図。 半導体レーザ素子の従来例を示す断面図。
符号の説明
101、201、301 n型用電極
114、314 p型用電極
102、202、302 n型GaAs基板
103、203、303 n型GaAs層
104、204、205、304 n型クラッド層
105、206、305 バッファ層
106、207、306 活性層
107、208、307 バッファ層
108、110、209、213、308、310 p型クラッド層
111、311 p型GaAsキャップ層
112、113、211、212、312、313 n型電流ブロック層
109、309 エッチングストッパ層

Claims (1)

  1. 基板上に第一導電型のクラッド層、活性層及び第二導電型のクラッド層を順次積層して構成され、該第一導電型のクラッド層及び該第二導電型のクラッド層の内の少なくとも一つのクラッド層が主たる構成要素としてPを含み、かつ該活性層が主たる構成要素としてAsを含む半導体レーザ素子において、
    Pを含むクラッド層と、該活性層との間に、禁制帯幅が該活性層より大きく、かつ該クラッド層より小さいAsを主たる構成要素として含むバッファ層を形成した半導体レーザ素子。
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