JP2007112908A - 酸変性ポリエステルイミド樹脂、感光性樹脂組成物、レジストパターンの形成方法、プリント配線板及び半導体素子。 - Google Patents
酸変性ポリエステルイミド樹脂、感光性樹脂組成物、レジストパターンの形成方法、プリント配線板及び半導体素子。 Download PDFInfo
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Abstract
Description
本発明は、酸変性ポリエステルイミド樹脂、感光性樹脂組成物、レジストパターンの形成方法、プリント配線板及び半導体素子に関する。
各種電子機器の小型化、軽量化に伴い、プリント配線板、及び半導体素子を内蔵する半導体パッケージにおいては、微細な開口パターンを形成する目的で感光性のソルダーレジストが用いられている。
これら用途におけるソルダーレジストに対しては、高解像度、絶縁性及びはんだ耐熱性等の特性が要求される。近年、特に半導体パッケージ用のソルダーレジストにおいては、これら特性に加えて、例えば、−55℃〜125℃の温度サイクル試験(TCT)に対して更に高い耐性を達成することが要求されている。そのため、ソルダーレジストの硬化膜の物理特性、例えば、引張り強度、伸び率のより高いレジストが求められている。加えて、HAST耐性等の電気絶縁特性についてもさらなる向上が求められている。
一方、ソルダーレジストとして用いられる感光性樹脂組成物としては、エポキシアクリレート、アクリル、アクリルアクリレート、ウレタンアクリレート等多種多様のものが提案されていおり、中でもエポキシアクリレートが広く一般的に使用されている。そして、上記の要求特性を満足させるべく、エポキシアクリレートについての種々検討が行われてきた。例えば、エポキシアクリレートの化学構造の検討や、エポキシアクリレート合成時に導入する不飽和一塩基酸の量の調整による架橋密度の検討がなされている。また、最近では、アクリルゴムやニトリルゴム分散エポキシ樹脂といったゴム成分を用いて、物性値を向上させる試みもある。
さらに、上述のTCTに対する耐性を向上させる目的で、例えば特許文献1では、エポキシ樹脂と不飽和モノカルボン酸との付加生成物をテトラヒドロ無水フタル酸等と反応させることによって得られる不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂に、これの硬化剤として作用するエポキシ樹脂と、エラストマーとを組み合わせた半導体パッケージ用の液状ソルダーレジスト組成物が提案されている。
また、特許文献2では、ノボラックエポキシ樹脂及びゴム変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂との混合物をエチレン性不飽和カルボン酸と反応させて得られる生成物と、多塩基酸等との反応生成物を含有することを特徴とする液状の感光性樹脂組成物が提案されている。
一方で、耐熱性や物理特性において各段に優れた性能を示す樹脂として、イミド基を有するポリイミド樹脂が知られている。このポリイミド樹脂は、半導体、HDDサスペンション部分のカバーコート材、フレキシブル配線基材等、多岐の分野で使用されている。感光性樹脂組成物の分野では、ポリアミック酸の状態で露光及び現像した後に加熱によりイミド環を形成させる、感光性ポリイミドが用いられる。この感光性ポリイミドは半導体のパッシベーション膜として広く使用されている。
特開平11−288087号公報
特開平9−5997号公報
しかしながら、上記従来の酸変性エポキシアクリレートは、従来の樹脂系の延長線上での改良に過ぎず、物理特性、電気絶縁性を大幅に向上させるには限界があった。
また、従来の感光性ポリイミドの場合、イミド環の閉環反応が脱水を伴うために膜減りが大きい点や、反応に高温を必要とする点等から、配線板用途では適用が難しいとされている。加えて、感光性ポリイミドは、露光後の炭酸ナトリウム等の希アルカリ現像液への溶解性が必ずしも良好でないため、半導体用途以外の分野への適用は困難と考えられており、半導体用途以外ではこれまで用いられてこなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、解像度、はんだ耐熱性、温度サイクル試験に対する耐性、及び電気絶縁特性といった特性において十分に高いレベルを達成することのできる感光性樹脂組成物及び感光性フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは、鋭意検討の結果、特定構造の酸変性ポリエステルイミド樹脂を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される構造を含む酸変性ポリエステルイミド樹脂である。
式(1)中、R1は下記一般式(11)又は(12)で表されるイミド基含有基を1又は2以上有する2価の有機基を示し、R2は2価の有機基を示し、R3は水素原子又は下記一般式(20)で表される1価の基を示し、nは1以上の整数を示し、同一分子中の複数のR1、R2及びR3はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、R1が上記イミド基含有基を2以上有するときそれらは同一でも異なっていてもよい。
この酸変性ポリエステルイミド樹脂は、主鎖中にイミド基を有するとともに、側鎖にカルボキシル基を導入したことにより、感光性樹脂組成物又は感光性フィルムにおいて用いられたときに、解像度、はんだ耐熱性、温度サイクル試験に対する耐性、及び電気絶縁特性といった特性において十分に高いレベルを達成することが可能となった。
本発明はまた、下記一般式(10)で表されるイミド基含有ジカルボン酸をジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂と反応させて下記一般式(2)で表される構造を含むポリエステルイミド樹脂を得る工程と、該ポリエステルイミド樹脂中の水酸基の少なくとも一部に酸無水物を付加する工程と、を備える製造方法によって得られる酸変性ポリエステルイミド樹脂である。
式(10)及び(2)中、R1は下記一般式(11)又は(12)で表されるイミド基含有基を1又は2以上有する2価の有機基を示し、R2は2価の有機基を示し、nは1以上の整数を示し、同一分子中の複数のR1及びR2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、R1が前記イミド基含有基を2以上有するときそれらは同一でも異なっていてもよい。
この酸変性ポリエステルイミド樹脂も同様に、主鎖中にイミド基を有するとともに、側鎖にイミド基を導入したことにより、感光性樹脂組成物又は感光性フィルムにおいて用いられたときに、解像度、はんだ耐熱性、温度サイクル試験に対する耐性、及び電気絶縁特性といった特性において十分に高いレベルを達成することが可能となった。
上記イミド基含有ジカルボン酸は、下記一般式(3)で表されるトリカルボン酸無水物と、下記一般式(5)で表されるジイソシアネート又は下記一般式(6)で表されるジアミンとの反応により得られる化合物であることが好ましい。
この場合において、上記トリカルボン酸無水物1.0モルに対する上記ジイソシアネート又は上記ジアミンの比率を0.4〜0.6モルとして、上記トリカルボン酸無水物と上記イソシアネート又は上記ジアミンとを反応させることが好ましい。
上記イミド基含有ジカルボン酸は、下記一般式(3)で表されるトリカルボン酸無水物及び下記一般式(4)で表されるジカルボン酸と、下記一般式(5)で表されるジイソシアネート又は下記一般式(6)で表されるジアミンとの反応により得られる化合物であることが好ましい。
酸変性ポリエステルイミド樹脂は、重量平均分子量が15000〜100000であり、酸価が50〜200mgKOH/gであることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記本発明の酸変性ポリエステルイミド樹脂と、光重合性化合物と、光重合開始剤と、を含有する。
この感光性樹脂組成物は、上記本発明の酸変性ポリエステルイミド樹脂をアルカリ可溶性成分として用いたことにより、解像度、はんだ耐熱性、温度サイクル試験に対する耐性、及び電気絶縁特性といった特性において十分に高いレベルを達成することが可能となった。
本発明の感光性樹脂組成物は、2以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物、2以上のオキセタニル基を有するオキセタン化合物、又は2以上のブロック化イソシアネート基を有するブロック化イソシアネート化合物を更に含有することが好ましい。
本発明の永久レジスト形成用感光性フィルムは、支持体と、該支持体上に設けられ、上記本発明の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層と、を備えている。
この永久レジスト形成用感光性フィルムは、上記本発明の酸変性ポリエステルイミド樹脂を用いたことにより、解像度、はんだ耐熱性、温度サイクル試験に対する耐性、及び電気絶縁特性といった特性において十分に高いレベルを達成可能なものとなった。
本発明のレジストパターンの形成方法は、基板及び該基板上に形成され回路パターンを有する導体層を有する積層基板の導体層側の面上に、導体層を覆うように上記本発明の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層を形成する工程と、該感光性樹脂組成物層を露光及び現像することにより感光性樹脂組成物の硬化物を含むレジストパターンを形成させる工程と、を備える。
このレジストパターンの形成方法は、プリント配線板や半導体パッケージ等におけるパターン化された永久レジスト層の形成において好適に用いられる。
本発明のプリント配線板は、絶縁基板及び該絶縁基板上に形成され回路パターンを有する導体層を有する積層基板と、導体層の一部が露出するように積層基板の導体層側の面上に形成され、上記本発明の感光性樹脂組成物の硬化物を含む永久レジスト層と、を備える。
本発明の半導体素子は、絶縁基板及び該絶縁基板上に形成され回路パターンを有する導体層を有する積層基板と、導体層の一部が露出するように積層基板の導体層側の面上に形成され、上記本発明の感光性樹脂組成物の硬化物を含む永久レジスト層と、を備える。
本発明の酸変性ポリエステルイミド樹脂を用いた感光性樹脂組成物は、炭酸ナトリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液等のアルカリ水溶液で現像可能である。
本発明の感光性樹脂組成物の硬化膜は、はんだ耐熱性、温度サイクル試験に対する耐性TCT耐性)、及び電気絶縁特性といった特性において十分に高いレベルを達成することが可能である。
本発明の感光性樹脂組成物の硬化膜は、特に、HAST試験等の高湿下での金属のマイグレーションが十分に防止されるため、高湿下での絶縁特性(HAST耐性)に優れる。
更には、本発明の感光性樹脂組成物は、硬化膜の伸び率や引張り強度等の物理特性にも優れている他、ソルダーレジストに要求される一般特性である、はんだ耐熱性、無電解Ni/Auめっき性においても十分なレベルを達成できる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
酸変性ポリエステルイミド樹脂は、上記一般式(1)で表される構造を含んでいる高分子化合物である。式(1)において、R1は上記一般式(11)又は(12)で表されるイミド基含有基を1又は2以上有する。式(11)及び(12)において、R4は3価の有機基を示し、R5及びR6はそれぞれ独立に2価の有機基を示す。R2は2価の有機基を示し、R3は水素原子又は上記一般式(20)で表される1価の基を示し、nは1以上の整数を示す。
この酸変性ポリエステルイミド樹脂は、例えば、上記一般式(10)で表されるイミド基含有ジカルボン酸をジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂と反応させて上記一般式(2)で表される構造を含むポリエステルイミド樹脂を得る工程と、該ポリエステルイミド樹脂中の水酸基の少なくとも一部に酸無水物を付加する工程と、を備える製造方法によって好適に得ることができる。
イミド基含有ジカルボン酸は、例えば、上記一般式(3)で表されるトリカルボン酸無水物と、上記一般式(5)で表されるジイソシアネート又は上記一般式(6)で表されるジアミンとの反応により得られる。
トリカルボン酸無水物とジイソシアネートまたはジアミンとの反応の際には、所定量のジカルボン酸を同時に反応させてもよい。この反応により、得られるイミド基含有ジカルボン酸が、R1が式(12)で表されるイミド基含有基を有する化合物を含むものとなる。これにより、得られる酸変性ポリエステルイミド樹脂にアミド基が導入されて、樹脂の可とう性が向上する。
上記のような製造方法によって酸変性ポリエステルイミド樹脂を得る場合、式(11)及び(12)中のR4は、式(3)で表されるトリカルボン酸無水物に由来する残基となる。式(3)のトリカルボン酸無水物としては、トリメリット酸無水物、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸無水物等が挙げられる。これらの中でも、合成する際の溶剤への溶解性、コスト面ならびに合成の容易性などの点で、トリメリット酸無水物が好適である。すなわち、R1は下記化学式(11a)又は(12a)で表されるイミド基含有基を有することが好ましい。
式(12)及び(12a)におけるR6は、上記トリカルボン酸無水物とともにジイソシアネート等と反応させるジカルボン酸に由来する残基であり、ジカルボン酸からカルボキシル基を除いた部分がR6に相当する。このジカルボン酸としては、具体的には、例えば、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸及びメチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸などが挙げられる。
イミド基含有ジカルボン酸としては、特に、下記一般式(10a)で表される化合物が好ましく、更には、下記式(10b)で表される化合物が好ましい。
上記各式において、R5は上記ジイソシアネート又は上記ジアミンに由来する残基であり、ジイソシアネートからイソシアネート基を除いた部分又はジアミンからアミノ基を除いた部分がR5に相当する。
ジイソシアネートとしては、1分子中にイソシアネート基を2個有するジイソシアネート化合物であれば、特に制限はなく使用できる。具体的には、ブタン−1,1−ジイソシアネート、エタン−1,2−ジイソシアネート、プロパン−1,3−ジイソシアネート、ブタン−1,2−ジイソシアネート、2−メチルブタン−1,4−ジイソシアネート、ペンタン−1,5−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
ジアミンとしては、1分子中にアミノ基を2個有するジアミン化合物であれば、特に制限はなく使用できる。具体的には、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス−[3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルフィド、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、o−トリジン、o−トリジンスルホン、2,4−ジアミノメチリレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ベンゾフェノンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、2,6−ジアミノピリジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、1,2−ジアミノシクロヘキサンなどが挙げられる。
トリカルボン酸無水物とジイソシアネートまたはジアミンとを反応させる際には、トリカルボン酸1.0モルに対するジイソシアネート又はジアミンの比率を0.3〜0.7とすることが好ましく、0.4〜0.6モルとすることがより好ましく、0.5モルとすることが更に好ましい。係る比率が0.7モルより大きい場合には、得られるイミド基含有ジカルボン酸の分子量が大きくなる傾向にある。イミド基含有ジカルボン酸の分子量が大きくなると、アルカリ現像液への現像が低下し、本発明の意図するアルカリ現像型の感光性樹脂組成物に用いることが困難となる傾向にある。したがって、得られるイミド基含有ジカルボン酸の分子量を大きくし過ぎないことが重要である。具体的には、イミド基含有ジカルボン酸の分子量は好ましくは300〜2000、より好ましくは400〜1000、更に好ましくは450〜800となるように制御するのがよい。なお、ジイソシアネートまたはジアミンの上記比率が0.5モルより大きい場合には、トリカルボン酸無水物との反応により、イミド基に加えてアミド基も生成する。
テトラカルボン酸二無水物を、トリメリット酸無水物とともにジイソシアネートまたはジアミンと反応させてもよい。この場合のテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
テトラカルボン酸無水物とジイソシアネート等との反応は、トリカルボン酸無水物、ジイソシアネートまたはジアミンと反応しない有機溶媒中で行う。通常、複数種の有機溶媒を汲み合わせた混合溶媒が用いられるが、この場合、用いられる有機溶媒の種類とその混合比が重要である。有機溶媒としては、溶解性の面から非プロトン性有機溶媒が適している。非プロトン性極性溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、N−メチル−2−ピロリドン、4−ブチロラクトン、スルホラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどが例示できる。これらの中でも、溶媒の沸点、扱いやすさの観点から、ジメチルホルムアミド、4−ブチロラクトンを用いることが好ましい。
イミド基含有ジカルボン酸を合成する際には、はじめに、トリカルボン酸無水物とジイソシアネートまたはジアミンとを、非プロトン性極性溶媒等の有機溶媒の存在下で好ましくは120℃〜180℃に加熱することにより、反応させる。反応温度が120℃未満であると、反応速度が低下して、反応時間が長くなる過ぎる場合がある。反応時間は、重合の進行を考慮すると、通常1〜10時間、好ましくは2〜6時間とする。また、この反応は、反応開始から終了まで一定の反応温度で行ってもよいし、初期は低温で行い、その後温度を上げてもよい。温度を上げたときに、水と共沸可能な芳香族炭化水素を投入し、脱水を行ってもよい。このときの反応温度は芳香族炭化水素量やコック付きの水分定量受器の容量によって変化するが、特に、120℃〜180℃で反応させることが好ましい。反応は、反応系で水が副生しなくなるまで行われる。
水と共沸させるための芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼンなどの揮発性の高い芳香族炭化水素が例示できる。特に、沸点が比較的低く、作業環境上安全性の高いトルエンが好ましい。芳香族炭化水素の使用量は、非プロトン性極性溶媒の0.1〜0.4重量比の範囲が好ましい。芳香族炭化水素の使用量が上記の範囲未満であると共沸蒸留による水の除去効果が低下し、さらに、イミド基含有ジカルボン酸の生成促進効果も低下する。芳香族炭化水素の使用量が上記の範囲を超えると反応中間体のアミドカルボン酸や生成したイミド基含有ジカルボン酸が析出してしまう場合がある。
次に、イミド基含有ジカルボン酸(一般式(10))とジグリシジルエーテル型エポキシ化合物との反応により、式(2)のポリエステルイミド樹脂を得る工程についての詳細を説明する。
用いられるジグリシジルエーテル型エポキシ化合物は、グリシジルーテル基を2個有するエポキシ化合物であれば、特に限定されない。ジグリシジルエーテル型化合物は、特に、1分子中に1以上のフェノキシ基を有することが好ましく、1分子中に2以上のフェノキシ基を有することがより好ましい。
ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノールジグリシジルエーテル等のビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノールジグリシジルエーテル等のビキシレノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及び、それらの二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
これらの中で、耐熱性、耐薬品性に優れ、硬化収縮が比較的小さいことからビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。すなわち、式(1)及び(2)において、R2は下記化学式(30)で表される2価の基であることが好ましい。式(30)中、mは0以上の整数を示す。
これらのジグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては市販のものを用いることができる。例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとしては「エピコート828」,「エピコート1001」及び「エピコート1002」(いずれもジャパンエポキシレジン社製、商品名)等が挙げられる。ビスフェノールFジグリシジルエーテルとしては「エピコート807」(ジャパンエポキシレジン社製、商品名)等が、ビスフェノールSジグリシジルエーテルとしては「EBPS−200」(日本化薬社製、商品名)及び「エピクロンEXA−1514」(大日本インキ化学工業社製、商品名)等が挙げられる。また、ビフェノールジグリシジルエーテルとしては「YL−6121」(ジャパンエポキシレジン社製、商品名)等が挙げられ、ビキシレノールジグリシジルエーテルとしては「YX−4000」(ジャパンエポキシレジン社製、商品名)等が挙げられる。さらに、水添ビスフェノールAグリシジルエーテルとしては「ST−2004」及び「ST−2007」(いずれも東都化成社製、商品名)等が挙げられ、上述した二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては「ST−5100」及び「ST−5080」(いずれも東都化成社製、商品名)等が挙げられる。
これらのジグリシジルエーテル型エポキシ化合物は、感光性樹脂組成物のアルカリ水溶液による現像性を良好なものとするために、そのエポキシ当量(1当量のエポキシ基を含む化合物のグラム重量)が160〜3300であることが望ましい。なお、エポキシ当量は、JIS K 7236「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」により測定することができる。
イミド基含有ジカルボン酸とジグリシジルエーテル型エポキシ化合物との反応(重合反応)は、公知の通常の方法により行うことができる。イミド基含有ジカルボン酸とジグリシジルエーテル型エポキシ化合物の配合比は、得られるポリエステルイミド樹脂の分子量の観点、アルカリ水溶液による現像性の観点、貯蔵安定性の観点、及び塗膜性の観点等から、官能基当量比(カルボキシル基/エポキシ基)で表したときに、1.03〜1.30であると好ましい。
上記重合反応に用いられる触媒としては、例えば、ホスフィン類、アルカリ金属化合物及びアミン類等が挙げられる。具体的には、例えば、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属化合物、トリエタノールアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムブロマイドなどのアミン類が挙げられる。これらは1種類を単独で或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
これらのなかで、上記重合反応に用いられる触媒として、9.0以下のpKaを有する三級アミンを用いることにより、分子量の大きいポリエステルイミド樹脂を得ることができる。さらに、三級アミンは7.3以下のpKaを有するものがより好ましい。このような三級アミンを触媒として用いることにより、最終的に得られる酸変性ポリエステルイミド樹脂を、直鎖状のものを主成分とするものとすることができる。このとき、上述した具体的な触媒のうち、ホスフィン類、アルカリ金属化合物以外のもの、或いは三級アミンであって9.0以上のpKaのものを用いると、酸変性ポリエステルイミド樹脂において、エーテル型網目結合及び/又はエステル型網目結合のような結合種による架橋構造が生成して、感光性樹脂組成物の現像性が低下する傾向にある。
触媒の使用量は、重合反応速度の観点、並びに感光性樹脂組成物より得られる硬化膜の耐熱性及び電食絶縁性等の観点から、イミド基含有ジカルボン酸およびジグリシジルエーテル型エポキシ化合物の総量100質量部に対して、1〜10質量部であると好ましい。重合反応における反応温度は、重合反応速度の観点および副反応の進行防止の観点から、100〜150℃であることが好ましい。
次に、ポリエステルイミド樹脂中の水酸基の少なくとも一部に酸無水物を付加する工程(酸変性工程)について説明する。酸無水物の付加により、ポリエステルイミド樹脂にカルボキシル基が導入されて、式(1)の構造が生成する。
酸変性工程に用いられる酸無水物としては、例えば、マレイン無水物、コハク酸無水物、イタコン酸無水物、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、クロレンド酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸などのジカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物、その他これに付随する例えば5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体等が挙げられる。これらのなかで、ジカルボン酸無水物を用いると好ましい。また、これらは1種類を単独で或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
なお、カルボキシル基を有する側鎖を表す式(20)において、R7は上記酸無水物に由来する残基であり、酸無水物中、酸無水物基を除いた部分がR7となる。例えば、酸無水物としてテトラヒドロ無水フタル酸を用いた場合、式(20)は下記化学式(20a)で表される1価の基となる。
酸無水物の添加量は、アルカリ水溶液による現像性の観点、並びに、最終的に得られる硬化膜の耐熱性及び電食絶縁性の観点等から、官能基当量比(添加する酸無水物中の酸無水物基/ポリエステルイミド樹脂中の水酸基)で表すと、0.6〜1.3であると好ましい。
酸変性工程における反応温度は、反応速度の観点及び副反応を防止する観点から、80〜130℃であることが好ましい。
イミド基含有ジカルボン酸とジグリシジルエーテル型エポキシ化合物との反応、及び酸変性工程で用いる溶媒としては、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン若しくはメチルシクロヘキサノン等のケトン化合物、トルエン、キシレン若しくはテトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル若しくはトリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル化合物、上記グリコールエーテル化合物の酢酸エステル化合物等のエステル化合物、エチレングリコール若しくはプロピレングリコール等のアルコール化合物、または、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ若しくはソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げられる。
酸変性ポリエステルイミド樹脂は、重量平均分子量(Mw)が15000〜100000の範囲であることが好ましく、20000〜70000であることがより好ましく、30000〜50000であることが更に好ましい。重量平均分子量(Mw)が15000より小さい場合、得られた樹脂の物理特性が低下する傾向にあり、70000より大きい場合には、アルカリ現像性が低下する傾向にある。ここで、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレンによる換算値を意味する。
式(1)で表される構造において、nの好ましい上限値は、R1、R2及びR3の種類によって適宜変化する。酸変性ポリエステルイミド樹脂の重量平均分子量が100000となるようなnの値を上限として定めることが好ましい。酸変性ポリエステルイミド樹脂は、特に、下記一般式(1a)で表される構造を含むことが好ましい。
酸変性ポリエステルイミド樹脂の酸価は、アルカリ水溶液による現像性の観点、並びに、得られる硬化膜の電気絶縁性、耐薬品性及びめっき耐性等の観点から、50〜200mgKOH/gであることが好ましい。酸価の下限は100mgKOH/gであることがより好ましい。酸価の上限は160mgであることがより好ましく、150mgKOH/gであることが更に好ましい。
酸変性ポリエステルイミド樹脂の酸価は、以下の方法により測定することができる。まず、酸変性ポリエステルイミド樹脂溶液約1gを精秤した後、その樹脂溶液にアセトンを30g添加し、樹脂溶液を均一に溶解する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行う。そして、滴定結果より下記式(A)により酸価を算出する。
A=10×Vf×56.1/(Wp×I) (A)
式中、Aは酸価(mgKOH/g)を示し、Vfはフェノールフタレインの滴定量(mL)を示し、Wpは酸変性ポリエステルイミド樹脂溶液の重量(g)を示し、Iは酸変性ポリエステルイミド樹脂溶液の不揮発分の割合(質量%)を示す。
本発明の感光性樹脂組成物は、以上のような酸変性ポリエステルイミド樹脂と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを含有する。以下、本発明の感光性樹脂組成物の好適な実施形態について説明する。
光重合性化合物としては、分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物が好適に用いられる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのモノあるいは多官能(メタ)アクリレート類、ビスフェノールAのポリエチレングリコールあるいはプロピレングリコール付加物のモノ又は多官能(メタ)アルリレート類、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のモノあるいは多官能(メタ)アクリレート類、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート類、ジアリルフタレート等が使用できる。これらは単独あるいは混合系で使用できる。また、硬化物に可とう性を持たせたい場合は、ジオール化合物、アクリル酸誘導体及びポリイソシアネート化合物を必須原料として合成される、エチレン性不飽和基を有するウレタン化合物を用いることが望ましい。
光重合開始剤としては、公知のものを特に制限なく用いることができる。例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヘラーケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−モルホリノフェノン)−ブタノン−1,2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物等などが挙げられる。これらは1種類を単独で或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物は、2以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物、2以上のオキセタニル基を有するオキセタン化合物、又は2以上のブロック化イソシアネート基を有するブロック化イソシアネート化合物を更に含有することが好ましい。これらの化合物は、加熱により架橋構造を生成する熱硬化剤として作用する。
エポキシ化合物の例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノールジグリシジルエーテル等のビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノールジグリシジルエーテル等のビキシレノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及び、それらの二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中で、耐熱性、耐薬品性に優れ、硬化により比較的収縮しないことからビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、テトラグリシジルキエイレノイルエタン樹脂、が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
これらの化合物は酸変性ポリエステルイミドの製造の際に使用する字グリシジルエーテル型エポキシ化合物と同様、市販のものを用いることができる。例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとしては「エピコート828」、「エピコート1001」及びエピコート1002(いずれもジャパンエポキシレジン社製、商品名)等が挙げられる。ビスフェノールFジグリシジルエーテルとしては「エピコート807」(ジャパンエポキシレジン社製、商品名)等が挙げられ、ビスフェノールSジグリシジルエーテルとしては「EBPS−200」(日本化薬社製、商品名)及び「エピクロンEXA−1514」(大日本インキ化学工業社製、商品名)等が挙げられる。また、ビフェノールジグリシジルエーテルとしては「YL−6121」(ジャパンエポキシレジン社製、商品名)等が挙げられ、ビキシレノールジグリシジルエーテルとしては「YX−4000」(ジャパンエポキシレジン社製、商品名)等が挙げられる。さらに、水添ビスフェノールAグリシジルエーテルとしては「ST−2004」及び「ST−2007」(いずれも東都化成社製、商品名)等が挙げられ、上述した二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては「ST−5100」及び「ST−5080」(いずれも東都化成社製、商品名)等が挙げられる。
また、オキセタン化合物の例としては、例えば、ビフェニレンビスオキセタン、テレフタレートビスオキセタン、オキセタン化フェノールノボラック、ジ(1−エチル(3−オキセタニル)メチルエーテル等が挙げられる。具体的な例としては、東亜合成(株)製の「アロンオキセタン」シリーズの「OXT−121」、「OXT−221」、「OXT−212」、「PNOX−1009」(以上いずれも商品名)や、宇部興産(株)製の「エナタコールOXBP」、「エナタコールOXTP」(以上いずれも商品名)などがある。オキセタン化合物を用いる場合には、反応性が低いため、トリフェニルホスフィンや熱酸発生剤を硬化触媒として用いてもよい。
ブロック化イソシアネート化合物は、常温では不活性であるが加熱するとブロック剤が可逆的に解離してイソシアネート基を再生する化合物である。ブロック化イソシアネート化合物としては、イソシアヌレート型、ビウレット型、アダクト型のもの挙げられ、密着性の見地からはイソシアヌレート型が好ましい。これらは、単独で又は2種類以上で使用される。上記ブロック剤としては、ジケトン類、オキシム類、フェノール類、アルカノール類及びカプロラクタム類から選ばれる少なくとも一種の化合物が挙げられる。具体的には、メチルエチルケトンオキシム、ε−カプロラクタム等が挙げられる。ブロック化イソシアネートは、例えば、「スミジュールBL−3175」、「デスモジュールTPLS−2957」、「TPLS−2062」、「TPLS−2957」、「TPLS−2078」、「BL4165」、「TPLS2117」、「BL1100」,「BL1265」、「デスモサーム2170」、「デスモサーム2265」(以上住友バイエルウレタン(株)製、商品名)、「コロネート2512」、「コロネート2513」、「コロネート2520」(以上日本ポリウレタン工業(株)製、商品名)等が市販品として容易に入手可能である。ブロック剤の解離温度は120〜200℃であることが好ましい。
感光性樹脂組成物は、特に銅等の金属との密着性が必要とされる場合、密着性向上剤として、メラミン、トリアジン化合物及びその誘導体を含有することが好ましい。例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン−フェノール−ホルマリン樹脂や、四国化成工業社製の「2MZ−AZINE」、「2E4MZ−AZINE」、「C11Z−AZINE」、「2MA−OK」(以上商品名)等が挙げられる。あるいはエチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類を用いてもよい。これらの化合物は銅回路との密着性を上げ耐PCT性を向上させ、耐電食性にも効果がある。感光性樹脂組成物は、これら密着性向上剤を、感光性樹脂組成物全体に対して0.1〜10質量%含有することが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、密着性、硬度等の特性を向上する目的で、必要に応じて硫酸バリウム、チタン酸バリウム、粉状酸化珪素、無定形シリカ、タルク、クレー、焼成カオリン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉等の無機充填剤を含有していてもよい。その含有量は、好ましくは0〜70重量%である。
更に、感光性樹脂組成物は、着色剤、重合禁止剤、チキソ性付与剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、添加剤類を含有していてもよい。着色剤としては、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオジングリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどが挙げられる。重合禁止剤としては、にハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン等が挙げられる。チキソ性付与剤としては、ベントン、モンモリロナイト、エアロジル、アミドワックス等が挙げられる。消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系、高分子系等のものが挙げられる。密着性付与剤としては、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等が挙げられる。
感光性樹脂組成物は、通常、希釈剤中に溶解又は分散された状態で、感光性フィルムの製造や、レジストパターンの形成等に用いられる。希釈剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類、ベンジルアルコール、シクロヘキサン等の炭化水素類、ジアセトンアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルブチルケトン、ジブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、6−ヒドロキシ−2−ヘキサノン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類及びそのアセテートジエチレングリコールジアルキルエーテル類、トリエチレングリコールアルキルエーテル類、プロピレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート、ジプロピレングリコールアルキルエーテル類、トルエン、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル等のカルボン酸エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、炭酸プロピレンなどの溶剤を単独、或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物中の酸変性ポリエステルイミド樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物を塗布時の塗膜性、乾燥後のタック性(べとつき易さ)のしみ出しの観点、並びに、はんだ耐熱性および光感度の観点から、酸変性ポリエステルイミド樹脂と光重合性化合物との合計量100質量部に対して、30〜90質量部であることが好ましく、40〜80質量部であることがより好ましい。光重合開始剤の含有量は、酸変性ポリエステルイミド樹脂と光重合性化合物との合計量100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.2〜10質量部であることがより好ましい。この含有量が0.2質量部未満では、光感度が不十分となる傾向があり、20質量部を超えると、露光後の硬化物が脆くなる傾向がある。
熱硬化剤(エポキシ化合物、オキセタン化合物又はブロック化イソシアネート化合物)は、感光性樹脂組成物の耐熱性を向上させる目的で使用される。その含有量は、現像性、感光特性に加え、TCT耐性、及びHAST耐性、貯蔵安定性を考慮すると、酸変性ポリエステルイミド樹脂と光重合性化合物との合計量100質量部に対して、5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。
図1は、本発明による永久レジスト形成用感光性フィルムの一実施形態を示す断面図である。図1に示す永久レジスト形成用感光性フィルム1は、シート状の支持体11と、支持体11上に設けられた感光性樹脂組成物層12と、感光性樹脂組成物層12を保護する保護フィルム13とで構成されている。感光性樹脂組成物層12は、上記感光性樹脂組成物を含んで形成されている。
永久レジスト形成用樹脂フィルム1は、例えば、支持体11上に、上記感光性樹脂組成物を上記希釈剤に溶解して、固形分濃度30〜70質量%程度の溶液を調製し、この溶液を支持体11上に塗布して感光性樹脂組成物層12を形成し、感光性樹脂組成物層12上に保護フィルム13を積層することにより、作製できる。感光性樹脂組成物層12の厚みは、用途により異なるが、加熱及び/又は熱風吹き付けにより希釈剤を除去した後の厚みで、10〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましい。この厚みが10μm未満では工業的に塗工困難となる傾向があり、100μmを超えると本発明により奏される上述の効果が相対的に小さくなる傾向にあり、特に、物理特性及び解像度が低下する傾向にある。
支持体11としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムなどが用いられる。
支持体11の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。この厚みが5μm未満では現像前に支持体を剥離する際に支持体11が破れやすくなる傾向があり、また、100μmを超えると解像度及び可撓性が低下する傾向がある。本発明の場合には、上述したような酸変性ポリエステルイミド樹脂を用いて感光性樹脂組成物層を形成するので、支持体11の厚みが従来のものと比較してより厚い場合、例えば25μmを超えて100μm以下の場合であっても、その可撓性及び解像度を十分なレベルに維持することができる。
永久レジスト形成用感光性フィルム1は、そのまま保管してもよいし、巻芯にロール状に巻き取って保管してもよい。
図2は、本発明によるプリント配線板の一実施形態を示す断面図である。図2に示すプリント配線板2は、絶縁基板22及び絶縁基板22上に形成され回路パターンを有する導体層23を有する積層基板20と、導体層23の一部が露出するように積層基板20の導体層23側の面上に形成され、上記感光性樹脂組成物の硬化物からなる永久レジスト層24とを備える。積層基板20は、更に、導体層23と反対側の面上に、回路パターンを有しない導体層21を有している。
導体層21,23は、銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス等の鉄系合金等(好ましくは銅、銅系合金、鉄系合金)の導電体で形成されている。
永久レジスト層24は、ソルダーレジストとして機能するとともに、基板にはんだ付けを施した後の配線の保護膜を兼ねる。プリント配線板2は、半導体素子などの実装(例えば、ワイヤーボンディング、はんだ接続)がなされた状態で、パソコン等の電子機器へ装着される。
図3は、プリント配線板2の製造方法の一実施形態を示す工程図である。図3に示す製造方法により、積層基板20上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターン(永久レジスト層)24が形成される。
図3に示す製造方法においては、まず、(a)に示す積層基板20の導体層23側の面上に、導体層23を覆うように、上記感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂組成物層24aを形成する(図3の(b))。感光性樹脂組成物層24aは、例えば、上述の永久レジスト形成用感光性フィルム1を用いて好適に形成させることができる。この場合、永久レジスト形成用感光性フィルム1から保護フィルム13を除去する工程と、感光性樹脂組成物層12が積層基板10と密着するように永久レジスト形成用感光性フィルム1を積層する工程とを経て、感光性樹脂組成物層24a(12)が形成される。
永久レジスト形成用感光性フィルムの積層においては、感光性樹脂組成物層12を加熱しながら積層基板20に対して圧着する方法が好適に用いられる。積層の際の雰囲気は特に制限されないが、密着性及び追従性等の見地から減圧下で積層することが好ましい。感光性樹脂組成物層12を加熱する温度は70〜130℃とすることが好ましく、圧着圧力は0.1〜1.0MPa程度とすることが好ましく、周囲の気圧は4kPa以下とすることがより好ましい。感光性樹脂組成物層12を上記のように70〜130℃に加熱する場合には、積層性を更に向上させるために、積層基板20に対して積層前に予熱処理を行ってもよい。なお、永久レジスト形成用感光性フィルム1は、導体層以外の面上に感光性樹脂組成物層を形成するために用いることもできる。
積層が完了した後、支持体11を除去し、感光性樹脂組成物層24aの所定部分に対して、マスクパターン5を介して活性光線を照射する(露光工程、図3の(c))。活性光線を照射された部分の感光性樹脂組成物層においては架橋反応が進行して、感光性樹脂組成物の硬化物が生成する。マスクパターン5はアートワークとも呼ばれる。支持体11が透明の場合には、支持体11を除去せずに、そのまま活性光線を照射してもよい。
活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものが用いられる。また、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いられる。
露光工程後、支持体11が残っている場合にはこれを除去してから、感光性樹脂組成物層の未露光部分を除去することにより、レジストパターン24を永久レジスト層として形成させる(現像工程、図3の(d))。永久レジスト層24においては、現像により開口部26が形成されており、開口部26において導体層23の一部が露出している。現像は、ウエット現像、ドライ現像等により行われる。ウエット現像の場合は、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の感光性樹脂組成物に対応した現像液を用いて、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像する。現像液としては、安全かつ安定であり、操作性が良好なものが好適に用いられる。例えば、20〜50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液(1〜5重量%水溶液)、水酸化ナトリウム推奨液、ヒドロキシテトラメチルアンモニウム水溶液等が現像液として用いられる。
以上のような方法により形成されたレジストパターン(永久レジスト層)24は、引張り強度、伸び率等の物理特性に優れる。そして、この永久レジスト層24を備えるプリント配線板2は、、十分なTCT耐性及びHAST耐性を発現する。
本発明の感光性樹脂組成物は、プリント配線板の他、半導体パッケージ、フレキシブル配線板、半導体素子等における永久レジスト層の形成のためにも、好適に用いられる。例えば、半導体パッケージ用のソルダーレジストとして用いる場合は、上記現像工程終了後、はんだ耐熱性、耐薬品性等を向上させる目的で、高圧水銀ランプによる紫外線照射や加熱を行うことが好ましい。紫外線を照射させる場合は、その照射量を、例えば0.2〜10J/cm2程度の照射量に調整する。レジストパターンを加熱する場合は、100〜170℃程度の範囲で15〜90分程加熱することが好ましい。紫外線照射と加熱とをともに施してもよい。この場合、紫外線照射と加熱を同時に行ってもよいし、いずれか一方を行った後、他方を行ってもよい。紫外線の照射と加熱とを同時に行う場合、はんだ耐熱性、耐薬品性等を効果的に付与する観点から、60〜150℃に加熱することがより好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(酸変性ポリエステルイミド樹脂の合成)
(合成例1)
まず、攪拌機、還流冷却機、温度計及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、トリメリット酸無水物192.0g(1.0mol)、ジフェニルメタンジイソシアネート125.0g(0.5mol)、非プロトン性極性溶媒であるジメチルホルムアミド250.0gを仕込み、窒素気流中で120℃で2時間加熱した後、150℃に昇温して更に3時間加熱することにより、反応を進行させた。
(合成例1)
まず、攪拌機、還流冷却機、温度計及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、トリメリット酸無水物192.0g(1.0mol)、ジフェニルメタンジイソシアネート125.0g(0.5mol)、非プロトン性極性溶媒であるジメチルホルムアミド250.0gを仕込み、窒素気流中で120℃で2時間加熱した後、150℃に昇温して更に3時間加熱することにより、反応を進行させた。
溶媒を留去後、得られた黄色の粉末のIRスペクトルにおいて、2270cm−1付近のイソシアネート基由来の吸収が消失するしているとともに、1780cm−1及び1726cm−1付近にイミド基由来の吸収が見られたことから、イミド基含有ジカルボン酸の生成が確認された。
次に、得られたイミド基含有ジカルボン酸に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(「YD−011」商品名、東都化成社製、エポキシ当量473g/eq)800.0g、ジメチルパラトルイジン(三星化学社製)24.8g、シクロヘキサノン600.0gおよびトルエン400.0gを加えた。窒素気流下、100℃に加熱した状態で反応液を攪拌することにより、エポキシ樹脂に含まれる水分を還流脱水しながら反応を進行させた後、140℃で4時間保温した。続いて、テトラヒドロ無水フタル酸(新日本理化社製)820.0gを添加し、120℃で3時間保温して、酸変性ポリエステルイミド樹脂(以下「酸変性ポリエステルイミド樹脂(a)」という。)を得た。
反応液をシクロヘキサノン300.0g及びメチルエチルケトン700.0gの混合溶媒で希釈して、酸変性ポリエステルイミド樹脂(a)の溶液(固形分濃度:52.0質量%)を得た。酸変性ポリエステルイミド樹脂(a)の酸価は123mgKOH/gであり、GPC法による重量平均分子量は28000、分子量分布は2.0であった。酸変性ポリエステルイミド樹脂(a)のIRスペクトルを確認したところ、1780、1726cm−1付近にイミド基由来の吸収が認められるとともに、914cm−1付近のエポキシ基由来の吸収の消失が確認された。
(合成例2)
まず、攪拌機、還流冷却機、温度計及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、トリメリット酸無水物192.0g(1.0mol)、1,5−ジイソシアネートナフタレン105.0g(0.5mol)、非プロトン性極性溶媒であるジメチルホルムアミド250.0gを仕込み、窒素気流中で120℃で2時間加熱し後、150℃に昇温して更に3時間加熱することにより、反応を進行させた。
まず、攪拌機、還流冷却機、温度計及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、トリメリット酸無水物192.0g(1.0mol)、1,5−ジイソシアネートナフタレン105.0g(0.5mol)、非プロトン性極性溶媒であるジメチルホルムアミド250.0gを仕込み、窒素気流中で120℃で2時間加熱し後、150℃に昇温して更に3時間加熱することにより、反応を進行させた。
溶媒を留去後、得られた黄色の粉末のIRスペクトルにおいて、2270cm−1付近のイソシアネート基由来のピークが消失するとともに、1780cm−1及び1726cm−1付近にイミド基由来の吸収が見られたことから、イミド基含有ジカルボン酸の生成が確認された。
次に、得られたイミド基含有ジカルボン酸に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(「YD−011」(商品名)、東都化成社製、エポキシ当量473g/eq)800.0g、ジメチルパラトルイジン(三星化学社製)24.8g、シクロヘキサノン600.0gおよびトルエン400.0gを加えた。窒素気流下、100℃に加熱した状態で反応液を攪拌することにより、エポキシ樹脂に含まれる水分の還流脱水しながら反応を進行させた後、140℃で4時間保温した。続いて、テトラヒドロ無水フタル酸(新日本理化社製)820.0gを添加し、120℃で3時間保温して、酸変性ポリエステルイミド樹脂(以下「酸変性ポリエステルイミド樹脂(b)」という。)を得た。
反応液をシクロヘキサノン300.0g及びメチルエチルケトン700.0gの混合溶媒で希釈して、酸変性ポリエステルイミド樹脂(b)の溶液(固形分濃度:52.0質量%)を得た。酸変性ポリエステルイミド樹脂(b)の酸価は125mgKOH/gであり、GPC法による重量平均分子量は26000、分子量分布は2.2であった。酸変性ポリエステルイミド樹脂(b)のIRスペクトルを確認したところ、780、1726cm−1付近にイミド基由来の吸収が認められるとともに、914cm−1付近のエポキシ基由来の吸収の消失が確認された。
(合成例3)
まず、攪拌機、還流冷却機、温度計及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、トリメリット酸無水物192.0g(1.0mol)、ジフェニルメタンジイソシアネート75.0g(0.3mol)、アジピン酸29.2(0.2mol)、非プロトン性極性溶媒であるジメチルホルムアミド250.0gを仕込み、窒素気流中で120℃で2時間加熱し後、150℃に昇温して更に3時間加熱することにより、反応を進行させた。
まず、攪拌機、還流冷却機、温度計及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、トリメリット酸無水物192.0g(1.0mol)、ジフェニルメタンジイソシアネート75.0g(0.3mol)、アジピン酸29.2(0.2mol)、非プロトン性極性溶媒であるジメチルホルムアミド250.0gを仕込み、窒素気流中で120℃で2時間加熱し後、150℃に昇温して更に3時間加熱することにより、反応を進行させた。
溶媒を留去後、得られた黄色の粉末のIRスペクトルにおいて、2270cm−1付近のイソシアネート基由来の吸収が消失するとともに、1780cm−1及び1726cm−1付近にイミド基由来の吸収、1525cm−1付近にアミド基由来の吸収が見られ、イミド基含有ジカルボン酸の生成が確認された。
次に、得られたイミド基含有ジカルボン酸に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(「YD−011」(商品名)、東都化成社製、エポキシ当量473g/eq)815.0g、ジメチルパラトルイジン(三星化学社製)24.8g、シクロヘキサノン600.0gおよびトルエン400.0gを加えた。窒素気流下、100℃に加熱した状態で反応液を攪拌することにより、エポキシ樹脂に含まれる水分の還流脱水しながら反応を進行させた後、140℃で4時間保温した。続いて、テトラヒドロ無水フタル酸(新日本理化社製)880.0gを添加し、120℃で3時間保温して、酸変性ポリエステルイミド樹脂(以下「酸変性ポリエステルイミド樹脂(c)」という。)を得た。
反応液をシクロヘキサノン300.0g及びメチルエチルケトン700.0gの混合溶媒で希釈して、酸変性ポリエステルイミド樹脂(c)の溶液(固形分濃度:53.5質量%)を得た。酸変性ポリエステルイミド樹脂(c)の酸価は133mgKOH/gであり、GPC法による重量平均分子量は35000、分子量分布は2.2であった。酸変性ポリエステルイミド樹脂(c)のIRスペクトルを確認したところ、1780、1726cm−1付近にイミド基由来の吸収、1525cm−1付近にアミド基由来の吸収が認められるとともに、914cm−1付近のエポキシ基由来の吸収の消失が確認された。
(比較用樹脂の合成)
攪拌機、還流冷却機、温度計及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(「エピコート1001」(商品名)、ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量479g/eq)182.7質量部、シクロヘキサノン64.0質量部及びトルエン30.0質量部を仕込み、窒素気流下、130℃に加熱した状態で攪拌することにより、エポキシ樹脂に含まれる水分の還流脱水を行った。
攪拌機、還流冷却機、温度計及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(「エピコート1001」(商品名)、ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量479g/eq)182.7質量部、シクロヘキサノン64.0質量部及びトルエン30.0質量部を仕込み、窒素気流下、130℃に加熱した状態で攪拌することにより、エポキシ樹脂に含まれる水分の還流脱水を行った。
次いで、テトラヒドロフタル酸(新日本理化社製)34.9質量部とジメチルパラトルイジン(三星化学社製)3.6質量部を反応液に添加し、140℃で4時間保温した。続いて、テトラヒドロ無水フタル酸(新日本理化社製)108.0質量部を添加し、120℃で3時間保温して、重量平均分子量38000、酸価133mgKOH/gの酸変性ポリエステル樹脂(以下「比較用樹脂(X)という。)を得た。反応液をメチルエチルケトン127.0質量部で希釈して、比較用樹脂(X)の溶液(固形分濃度:57.0質量%)を得た。
(その他の比較用樹脂)
後述する比較例においては、酸変性ビスフェノールA型エポキシアクリレート(以下「比較用樹脂(Y)という。)の65質量%カルビトールアセテート/ソルベントナフサ溶液(「ZAR−1035」(商品名)、日本化薬社製)、及び、酸変性ビスフェノールF型エポキシアクリレート(以下「比較用樹脂(Z)という。)の65質量%カルビトールアセテート/ソルベントナフサ溶液(「ZFR−1185」(商品名)、日本化薬社製)を用いた。
後述する比較例においては、酸変性ビスフェノールA型エポキシアクリレート(以下「比較用樹脂(Y)という。)の65質量%カルビトールアセテート/ソルベントナフサ溶液(「ZAR−1035」(商品名)、日本化薬社製)、及び、酸変性ビスフェノールF型エポキシアクリレート(以下「比較用樹脂(Z)という。)の65質量%カルビトールアセテート/ソルベントナフサ溶液(「ZFR−1185」(商品名)、日本化薬社製)を用いた。
(実施例1〜8、比較例1〜5)
上記で合成した酸変性ポリエステルイミド樹脂又は比較用樹脂の溶液と、以下のような光重合性化合物、光重合開始剤、熱架橋性モノマーと、その他表1に示す成分とを、表1に示す質量比で混合することにより、実施例1〜8及び比較例1〜5の感光性樹脂組成物溶液を調製した。なお、表1中、酸変性ポリエステルイミド樹脂及び比較用樹脂の質量比は、溶液中の固形分の量を示す。
(光重合性化合物)
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・BPE−10(商品名、新中村化学工業社製):ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート
(光重合開始剤)
・I−369(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフェリノフェニル)−ブタノン−1
(熱架橋性モノマー)
・YX4000(商品名、油化シェル(株)製):ビフェニル型エポキシ樹脂
・アロンオキセタンOXT−221(商品名、東亜合成(株)製):オキセタン化合物
・BL−3175(商品名、住化バイエルウレタン(株)製):ブロック型イソシアネート
上記で合成した酸変性ポリエステルイミド樹脂又は比較用樹脂の溶液と、以下のような光重合性化合物、光重合開始剤、熱架橋性モノマーと、その他表1に示す成分とを、表1に示す質量比で混合することにより、実施例1〜8及び比較例1〜5の感光性樹脂組成物溶液を調製した。なお、表1中、酸変性ポリエステルイミド樹脂及び比較用樹脂の質量比は、溶液中の固形分の量を示す。
(光重合性化合物)
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・BPE−10(商品名、新中村化学工業社製):ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート
(光重合開始剤)
・I−369(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフェリノフェニル)−ブタノン−1
(熱架橋性モノマー)
・YX4000(商品名、油化シェル(株)製):ビフェニル型エポキシ樹脂
・アロンオキセタンOXT−221(商品名、東亜合成(株)製):オキセタン化合物
・BL−3175(商品名、住化バイエルウレタン(株)製):ブロック型イソシアネート
(評価用積層体の作製)
上記で調製した感光性樹脂組成物溶液を、支持体である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(「G2−16」(商品名)、帝人社製)上に均一に塗布し、これを熱風対流式乾燥機を用いて100℃で約10分間乾燥した。乾燥後の感光性樹脂組成物層の膜厚は25μmであった。
続いて、感光性樹脂組成物層の支持層と反対側の面上に、ポリエチレンフィルム(NF−13(商品名)、タマポリ社製)を保護フィルムとして貼り合わせて、感光性エレメントを得た。
上記で調製した感光性樹脂組成物溶液を、支持体である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(「G2−16」(商品名)、帝人社製)上に均一に塗布し、これを熱風対流式乾燥機を用いて100℃で約10分間乾燥した。乾燥後の感光性樹脂組成物層の膜厚は25μmであった。
続いて、感光性樹脂組成物層の支持層と反対側の面上に、ポリエチレンフィルム(NF−13(商品名)、タマポリ社製)を保護フィルムとして貼り合わせて、感光性エレメントを得た。
この感光性エレメントを、プリント配線板用基板上に連続式真空ラミネータ(HLM−V570、日立化成工業社製、商品名)を用いて、ヒートシュー温度100℃、ラミネート速度0.5m/分、気圧4kPa以下、圧着圧力0.4MPaの条件の下、ポリエチレンフィルムを剥離しつつ積層して、評価用積層体を得た。このとき、プリント配線板用基板として、ガラスエポキシ基材に12μm厚の銅箔を積層したプリント配線板用基板(E−679F(商品名)、日立化成工業(株)社製)の銅表面を砥粒ブラシで研磨し、水洗後、乾燥したものを用いた。
(塗膜性の評価)
未露光の評価用積層体からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、感光性樹脂組成物層の表面に指を軽く押し付けたときの、指に対する張り付き程度を以下の基準で塗膜性を評価した。結果を表2に示す。
A:指に対する張り付きが認められない、または、ほとんど認められない。
B:指に対する張り付きが認められる。
未露光の評価用積層体からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、感光性樹脂組成物層の表面に指を軽く押し付けたときの、指に対する張り付き程度を以下の基準で塗膜性を評価した。結果を表2に示す。
A:指に対する張り付きが認められない、または、ほとんど認められない。
B:指に対する張り付きが認められる。
(現像性評価)
評価用積層体上に、ネガとしてストーファー21段ステップタブレットを有するフォトツールを密着させ、オーク製作所社製HMW−201GX型露光機を使用して、該ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。続いて、常温で一時間静置し、PETフィルムを剥離した後、30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を80秒間スプレーして現像を行い、80℃で10分間加熱(乾燥)した。未露光部における樹脂の残さの有無を電子線走査型顕微鏡(SEM)で観察し、以下の基準で現像性を評価した。結果を表2に示す。
A:残さが見られない。
B:残さが見られる。
評価用積層体上に、ネガとしてストーファー21段ステップタブレットを有するフォトツールを密着させ、オーク製作所社製HMW−201GX型露光機を使用して、該ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。続いて、常温で一時間静置し、PETフィルムを剥離した後、30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を80秒間スプレーして現像を行い、80℃で10分間加熱(乾燥)した。未露光部における樹脂の残さの有無を電子線走査型顕微鏡(SEM)で観察し、以下の基準で現像性を評価した。結果を表2に示す。
A:残さが見られない。
B:残さが見られる。
(はんだ耐熱性の評価)
評価用積層体上に、ネガとして2mm角のパターンを有するフォトツールを密着させ、上述した露光機を使用して、該ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。次いで、常温で1時間静置した後、該積層体上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、現像性評価の場合と同様の現像液及び現像条件でスプレー現像を行い、80℃で10分間加熱(乾燥)した。続いて、オーク製作所社製紫外線照射装置を使用して1J/cm2のエネルギー量で紫外線照射を行い、更に160℃で60分間加熱処理を行うことにより、2mm角の開口部を有するソルダーレジストを形成した評価用パッケージ基板を得た。
評価用積層体上に、ネガとして2mm角のパターンを有するフォトツールを密着させ、上述した露光機を使用して、該ストーファー21段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。次いで、常温で1時間静置した後、該積層体上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、現像性評価の場合と同様の現像液及び現像条件でスプレー現像を行い、80℃で10分間加熱(乾燥)した。続いて、オーク製作所社製紫外線照射装置を使用して1J/cm2のエネルギー量で紫外線照射を行い、更に160℃で60分間加熱処理を行うことにより、2mm角の開口部を有するソルダーレジストを形成した評価用パッケージ基板を得た。
次いで、該パッケージ用基板にロジン系フラックス(「MH−820V」(商品名)、タムラ化研社製)を塗布した後、260℃のはんだ浴中に30秒間浸漬してはんだ処理を行った。このようにしてはんだめっきを施されたパッケージ基板上のソルダーレジストのクラック発生状況並びに基板からのソルダーレジストの浮き程度及び剥離程度を目視により観察し、次の基準ではんだ耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
A:ソルダーレジストのクラックの発生が認められず、ソルダーレジストの浮き及び剥離も認められない。
B:ソルダーレジストのクラック、浮き及び剥離のいずれかが認められる。
A:ソルダーレジストのクラックの発生が認められず、ソルダーレジストの浮き及び剥離も認められない。
B:ソルダーレジストのクラック、浮き及び剥離のいずれかが認められる。
(TCT耐性の評価)
上記はんだ耐熱性評価と同様にしてはんだめっきを施された評価用パッケージ基板を作成し、これを−55℃の大気中に15分間晒した後、180℃/分の昇温速度で昇温し、次いで、125℃の大気中に15分間晒した後、180℃/分の降温速度で降温する熱サイクルを1500回繰り返した。その後、評価用パッケージ基板のソルダーレジストにおけるクラック及び剥離の状態を金属顕微鏡(100倍)で観察し、次の基準でTCT耐性を評価した。結果を表2に示す。
A:ソルダーレジストのクラック及び剥離が観察されない。
B:ソルダーレジストのクラック及び剥離のいずれかが確認される。
上記はんだ耐熱性評価と同様にしてはんだめっきを施された評価用パッケージ基板を作成し、これを−55℃の大気中に15分間晒した後、180℃/分の昇温速度で昇温し、次いで、125℃の大気中に15分間晒した後、180℃/分の降温速度で降温する熱サイクルを1500回繰り返した。その後、評価用パッケージ基板のソルダーレジストにおけるクラック及び剥離の状態を金属顕微鏡(100倍)で観察し、次の基準でTCT耐性を評価した。結果を表2に示す。
A:ソルダーレジストのクラック及び剥離が観察されない。
B:ソルダーレジストのクラック及び剥離のいずれかが確認される。
表2に示すように、実施例は、塗膜性、現像性、引張り強度、伸び率、はんだ耐熱性、TCT耐性、HAST耐性の何れについても優れた特性を示した。これに対して、比較例は、少なくともHAST耐性の点で十分でなかった。
本発明の感光性樹脂組成物は、プリント配線板や半導体パッケージ、フレキシブル配線板上に形成されるソルダーレジスト(永久レジスト層)、さらには、半導体素子を保護する永久マスクの形成のために好適に用いられる。また、本発明の感光性樹脂組成物は、引張り強度、伸び率等の物理特性が優れているため、プリント配線板の層間絶縁材料であるフォトビア材料や半導体素子上の絶縁膜に使用することも可能である。
1…永久レジスト層形成用感光性フィルム、2…プリント配線板、11…支持体、12…感光性樹脂組成物層、13…保護フィルム、20…積層基板、21…導体層、22…絶縁基板、23…導体層、24…永久レジスト層(レジストパターン)、26…開口部。
Claims (14)
- 下記一般式(1)で表される構造を含む酸変性ポリエステルイミド樹脂。
[式(1)中、R1は下記一般式(11)又は(12)で表されるイミド基含有基を1又は2以上有する2価の有機基を示し、R2は2価の有機基を示し、R3は水素原子又は下記一般式(20)で表される1価の基を示し、nは1以上の整数を示し、同一分子中の複数のR1、R2及びR3はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、R1が前記イミド基含有基を2以上有するときそれらは同一でも異なっていてもよい。
式(11)及び(12)中、R4は3価の有機基を示し、R5及びR6はそれぞれ独立に2価の有機基を示し、複数のR4は同一でも異なっていてもよい。
式(20)中、R7は2価の有機基を示す。] - 下記一般式(10)で表されるイミド基含有ジカルボン酸をジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂と反応させて下記一般式(2)で表される構造を含むポリエステルイミド樹脂を得る工程と、
該ポリエステルイミド樹脂中の水酸基の少なくとも一部に酸無水物を付加する工程と、を備える製造方法によって得られる酸変性ポリエステルイミド樹脂。
[式(10)及び(2)中、R1は下記一般式(11)又は(12)で表されるイミド基含有基を1又は2以上有する2価の有機基を示し、R2は2価の有機基を示し、nは1以上の整数を示し、同一分子中の複数のR1及びR2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、R1が前記イミド基含有基を2以上有するときそれらは同一でも異なっていてもよい。
式(11)及び(12)中、R4は3価の有機基を示し、R5及びR6はそれぞれ独立に2価の有機基を示し、複数のR4は同一でも異なっていてもよい。] - 前記トリカルボン酸無水物1.0モルに対する前記ジイソシアネート又は前記ジアミンの比率を0.3〜0.7モルとして、前記トリカルボン酸無水物と前記イソシアネート又は前記ジアミンとを反応させる、請求項3記載の酸変性ポリエステルイミド樹脂。
- 重量平均分子量が15000〜100000であり、酸価が50〜200mgKOH/gである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の酸変性ポリエステルイミド樹脂。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の酸変性ポリエステルイミド樹脂と、
光重合性化合物と、
光重合開始剤と、
を含有する感光性樹脂組成物。 - 2以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物を更に含有する、請求項7記載の感光性樹脂組成物。
- 2以上のオキセタニル基を有するオキセタン化合物を更に含有する、請求項7記載の感光性樹脂組成物。
- 2以上のブロック化イソシアネート基を有するブロック化イソシアネート化合物を更に含有する、請求項7記載の感光性樹脂組成物。
- 支持体と、
該支持体上に設けられ、請求項7〜10のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層と、
を備える永久レジスト形成用感光性フィルム。 - 基板及び該基板上に形成され回路パターンを有する導体層を有する積層基板の前記導体層側の面上に、前記導体層を覆うように請求項7〜10のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層を形成する工程と、
該感光性樹脂組成物層を露光及び現像することにより前記感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストパターンを形成させる工程と、
を備えるレジストパターンの形成方法。 - 絶縁基板及び該絶縁基板上に形成され回路パターンを有する導体層を有する積層基板と、
前記導体層の一部が露出するように前記積層基板の前記導体層側の面上に形成され、請求項7〜10のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物を含む永久レジスト層と、
を備えるプリント配線板。 - 絶縁基板及び該絶縁基板上に形成され回路パターンを有する導体層を有する積層基板と、
前記導体層の一部が露出するように前記積層基板の前記導体層側の面上に形成され、請求項7〜10のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物を含む永久レジスト層と、を備える半導体素子。
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JP2009009107A (ja) * | 2007-05-25 | 2009-01-15 | Toray Ind Inc | 感光性樹脂組成物 |
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-
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