JP2007105622A - 排ガス浄化ハニカムフィルタ及びその製造方法 - Google Patents

排ガス浄化ハニカムフィルタ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性及び耐熱衝撃性に優れる排ガス浄化ハニカムフィルタを効率よく製造する。
【解決手段】耐熱性と小さい熱膨張係数を有するチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体又はチタン酸アルミニウム焼結体、あるいはこれら焼結体の前駆体でハニカム成形体2を形成し、該ハニカム成形体2のガス通路の端部に、ハニカムフィルタ1の入口側aと出口側bとにおいてハニカム成形体2と実質的に同じ材質から形成され、かつ目封じ成形体と実質的に同じ材質のスラリーを塗布した目封じ成形体3を互い違いに充填し、次いでこれらを1000〜1700℃で焼成することによってハニカム成形体の端部を目封じ成形体で閉塞する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ディーゼルエンジンなどの排ガス中に含まれる炭素を主成分とする固体微粒子(パティキュレート)を捕捉、除去するための排ガス浄化ハニカムフィルタ及びその製造方法に関する。
自動車などのディーゼルエンジンなどの排ガス中には炭素を主成分とするパティキュレート(固体微粒子)がかなりの濃度(150〜250mg/Nm3)で含まれており、このパティキュレートは窒素酸化物などとともに環境問題の一因となっているため、これを効率的、経済的に除去することが急務とされている。従来から、DPF(ディーゼル パティキュレート フィルタ)などと呼ばれる、このような排ガス中の固体微粒子を捕捉、除去するための各種のフィルタが提案されている。
例えば、特許文献1には、ハニカムフィルタの両端部を複数の流路の上流側又は下流側端部で交互に閉塞させた排ガスフィルタが開示されている。この種の排ガスフィルタは、多孔質隔壁により仕切られた多数のガス通路を互いにほぼ平行に形成したハニカム成形体からなり、相隣接するガス通路の入口側と出口側とを交互に目封じ材により閉塞し、ガス通路の入口側から導入された排気ガスが前記多孔質隔壁を通過する際に、排ガス中の炭素を主成分とする固体微粒子を除去するよう浄化すべき燃焼排ガスを排ガスフィルタの上流側の開口から供給し、フィルタフィルタの隔壁を通過させて、排ガス中の固体微粒子を隔壁により捕捉、除去した後、排ガスフィルタの下流側の開口から浄化後の排ガスを取り出す構成を有している。
このような排ガスフィルタでは、所定の運転時間が経過すると、捕集した微粒子によって隔壁の目つまりが発生することから、この目つまりを解消して微粒子の捕集機能を回復させために、例えば、上記フィルタに電気ヒータや燃焼バーナーを設けて、捕集した微粒子を燃焼除去することが行われている。
一方、上記排ガスフィルタにおけるハニカムフィルタの材質としては、高い耐熱性とともに急熱や急冷の使用環境下におかれるために、小さい熱膨張性と大きい耐熱衝撃性が要求されることから、一般に炭化ケイ素やコージェライトなどの材料が提案され使用されている。
上記排ガスフィルタにおいては、ガス通路の入口側と出口側とを交互に閉塞する目封じ材も重要な役割を有し、目封じ材の形状や材質は排ガスフィルタの性能を大きく左右する。即ち、この種の排ガスフィルタにおいては、上記したようにフィルタに捕集された微粒子の燃焼除去の際にフィルタ全体が高温になるが、フィルタ全体における温度分布は、フィルタの中心部が高温になり、周縁部はそれに比べてそれほど高温にならず不均一さを生じる結果、サーマルクラックなどの発生原因となる。これを防止しフィルタの中心部の剛性を高めるため、例えば特許文献2ではガス通路の出口側における目封じ材の厚さをフィルタの中心部の目封じ材の厚みを周辺部のそれに比べて厚く形成させている。また、特許文献3ではガス通路の入口側における目封じ材の厚さをフィルタの周辺部から中心部にかけて順次厚くなるように形成している。
また、フィルタに熱衝撃が加わった場合の応力の集中を防ぎ、サーマルクラックの発生を防ぐために、目封じ材とフィルタ部の熱膨張係数を差のないようにすることが要求される。しかし、これは、フィルタ部と目封じ材とを同じ材質から形成することでは、必ずしも解決できない問題である。なぜなら、一般的にフィルタ部はガスの流路方向の熱膨張を小さくするために、フィルタ材料の結晶させる方向を制御して最も低熱膨張が得られる方向を流路方向にするのに対し、目封じ材は、ハニカムフィルタの両端部に目封じ材の材料ペーストを注入機により所定厚さに注入して形成されるため、その結晶配向をフィルタ部に合わせることは困難であり、目封じ部とフィルタ部では熱膨張に異方性が生じ、均一な熱膨張性が得られなくなる。このため、フィルタ部と目封じ材との境界付近に熱応力が集中し、クラックが発生しやすい。
特許文献4では、このようなフィルタ部と目封じ材との境界付近におけるクラックの発生を防止するために、ハニカムフィルタの端部に注入する材料ペースト量により目封じ材の厚さを変えてフィルタ部と目封じ材との境界が直線又は一定のパターンで連続しないようにし、熱応力および燃焼熱を分散させることによって、熱衝撃によるクラックの発生を防止している。
特開昭57−35918号明細書 実開昭61−10917号明細書 実開平2−63020号明細書 特許第3012167号特許公報
しかしながら、従来の排ガス浄化ハニカムフィルタでは、上記したようにハニカムフィルタと目封じ材とを同一材料で形成しても、使用している材料自体の耐熱性と耐熱衝撃性が十分でないものであること、及びハニカムフィルタのガス通路の端部に材料ペーストを所定の厚さに注入して焼成することによって目封じ材を形成していることに起因して、サーマルクラックの発生を十分に防止することが困難であった。
また、目封じ材は上記したように材料ペーストとしてハニカムフィルタの端部に注入して形成されるため、注入機を使用したとしても作業性が悪く、特に特許文献2乃至4のように目封じ材の厚さを変えながら注入する場合には、繁雑性が増すために生産性が一段と低下する。
本発明は、小さな熱膨張係数を有し変動する高温下でも耐熱性と耐熱衝撃性に優れ、かつ機械的強度も大きく、ディーゼルエンジンなどの排ガス中に含まれる微粒炭素などのパティキュレートを長期間安定して高い効率で捕捉、除去できる排ガス浄化ハニカムフィルタ及びその製造方法を提供する。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。本発明者は、ハニカムフィルタの材料として、チタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体、またはチタン酸アルミニウム焼結体が優れた特性を有すること、及び該材料で形成されたハニカム成形体の端部をハニカム成形体と同じ材質から形成した目封じ成形体で閉塞することにより、耐熱性と耐熱衝撃性に優れる排ガス浄化ハニカムフィルタを効率よく製造できることを見出し、本発明に至ったものである。すなわち、本発明は次の排ガス浄化ハニカムフィルタ及びその製造方法を提供する。
(1) 多孔質隔壁により仕切られた多数のガス通路を互いにほぼ平行に形成したハニカム成形体からなり、相隣接するガス通路の端部をハニカム成形体の入口側と出口側において交互に目封じ成形体により閉塞し、入口側からガス通路に導入された排気ガスが前記多孔質隔壁を通過する際に、排ガス中の炭素を主成分とする固体微粒子を除去するようにした排ガス浄化ハニカムフィルタの製造方法であって、
前記ハニカム成形体及び前記目封じ成形体を、次のA又はBによりかつ実質的に同じ材質で形成し、
A:MgxAl2(1-x)Ti(1+x)5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウムマグネシウムにおけるMg,Al及びTiの金属成分比と同様の金属成分比率で、Mg含有化合物、Al含有化合物及びTi含有化合物を含有する混合物、又は該混合物100質量部と(Nay1-y)AlSi38(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石1〜10質量部とを含有する混合物を1000〜1700℃で焼成したチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体又はその前駆体
B:TiO2とAl23とを前者/後者のモル比率として40〜60/60〜40で含む混合物100質量部と、(Nay1-y)AlSi38(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、又はMgO若しくはその前駆物1〜10質量部と、を含有する混合物を1250〜1700℃で焼成したチタン酸アルミニウム焼結体又はその前駆体
前記目封じ成形体を前記ガス通路の内寸よりも小さい外寸を有する成形体として形成し、該目封じ成形体の前記ガス通路に面する表面に、目封じ成形体と実質的に同じ材質を含むスラリーを塗布し、
かかる目封じ成形体を前記ハニカム成形体の多孔質隔壁により仕切られたガス通路の前記端部に充填し、
次いで目封じ成形体が充填された前記ハニカム成形体を1000〜1700℃にて焼成することによって前記端部を目封じ成形体で閉塞することを特徴とする排ガス浄化ハニカムフィルタの製造方法。
(2) 上記Bが、TiO2とAl23とに、アルカリ長石と、Mgを含むスピネル型構造の酸化物及び/又はMgO若しくはその前駆体と、を併用して混合する上記(1)の排ガス浄化ハニカムフィルタの製造方法。
(3) 前記目封じ成形体の外寸が、前記ガス通路の内寸よりも0.1〜2.0mm小さい上記(1)又は(2)の排ガス浄化ハニカムフィルタの製造方法。
(4) 多孔質隔壁により仕切られた多数のガス通路を互いにほぼ平行に形成するハニカム成形体からなり、相隣接するガス通路の端部がハニカム成形体の入口側と出口側において交互に目封じ成形体により閉塞されており、入口側からガス通路に導入された排気ガスが前記多孔質隔壁を通過する際に、排ガス中の炭素を主成分とする固体微粒子を除去するようにした排ガス浄化ハニカムフィルタであって、
前記ハニカム成形体及び前記目封じ成形体が、次の(C)又は(D)によりかつ実質的に同じ材質で形成されており、
C:MgxAl2(1-x)Ti(1+x)5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウムマグネシウムにおけるMg,Al及びTiの金属成分比と同様の金属成分比率で、Mg含有化合物、Al含有化合物及びTi含有化合物を含有する混合物、又は該混合物100質量部と(Nay1-y)AlSi38(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石1〜10質量部とを含有する混合物を1000〜1700℃で焼成したチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体
D:TiO2とAl23とを前者/後者のモル比率として40〜60/60〜40で含む混合物(X成分という)100質量部と、(Nay1-y)AlSi38(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、又はMgO若しくはその前駆物1〜10質量部と、を含有する混合物を1250〜1700℃で焼成したチタン酸アルミニウム焼結体
前記ハニカム成形体と目封じ成形体とが焼結によって接合されていることを特徴とする排ガス浄化ハニカムフィルタ。
(5) ハニカム成形体が、隔壁の厚さ0.2〜0.6mm、セル密度15〜47セル/cm2を有し、かつハニカム成形体及び目封じ成形体の気孔率が30〜70%、熱膨張係数が3.0×10-6-1以下である上記(4)の排ガス浄化ハニカムフィルタ。
(6) 上記(4)又は(5)の排ガス浄化ハニカムフィルタが缶体内に装備されていることを特徴とする排ガス浄化装置。
(7) ディーゼルエンジンを搭載した自動車の排ガス浄化に用いる上記(6)の排ガス浄化装置。
本発明によれば、耐熱性に優れ小さい熱膨張係数を有するチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体又はチタン酸アルミニウム焼結体でハニカム成形体を形成し、該ハニカム成形体のガス通路の端部をハニカムフィルタの入口側と出口側とにおいてハニカム成形体と同じ材料から事前形成した目封じ成形体で交互に閉塞することにより、耐熱性と耐熱衝撃性に優れた排ガス浄化ハニカムフィルタが得られる。
また、本発明はハニカム成形体及び目封じ成形体をチタン酸アルミニウムマグネシウム又はチタン酸アルミニウム、の焼結体又はその前駆体の同じ材料で形成し、目封じ成形体の表面に目封じ成形体と実質的に同じ材料の焼結体又はその前駆体を含有するスラリーを塗布してハニカム成形体の端部に充填し、次いでこれらを1000〜1700℃で焼成することによってハニカム成形体のガス通路の端部を互い違いに閉塞できるので、高品質の排ガス浄化ハニカムフィルタを効率よく製造できる。
本発明における排ガス浄化ハニカムフィルタ(以下ハニカムフィルタともいう)は、多孔質隔壁により仕切られた多数のガス通路を互いにほぼ平行に形成したハニカム成形体を備え、該ハニカム成型体のガス通路の端部をハニカムフィルタの入口側と出口側とにおいてハニカム成形体と同じ材料から形成した目封じ成形体で交互に閉塞して得られる。この目封じ成形体は、ハニカム成形体の端部を閉塞できるよう予めハニカム成形体の端部の形状や大きさに合わせて所定の形体に事前成形された目封止用ペレットで、その表面に焼結用のスラリーを塗布してハニカム成形体のガス通路の端部に充填し、高温に加熱することによってガス通路の端部を好ましく閉塞できる。
本発明において、上記ハニカム成形体と目封じ成形体は実質的に同じ材質で形成され、その材質としてはチタン酸アルミニウムマグネシウム燒結体又はチタン酸アルミニウム燒結体が挙げられる。
本発明において、前記チタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体としては、MgxAl2(1-x)Ti(1+x)5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウムマグネシウムにおけるMg,Al及びTiの金属成分比と同様の金属成分比率で含む、Mg含有化合物、Al含有化合物及びTi含有化合物を含有する混合物、又は該混合物を酸化物換算量として100質量部と、(Nay1-y)AlSi38(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石を1〜10質量部とを含有する混合物を調製し、該混合物を1000〜1700℃で焼成したチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体が使用される。以下の説明で、チタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体というときは、このようにして得られた燒結体を指す。
また、チタン酸アルミニウム焼結体としてはTiO2とAl23とを前者/後者のモル比率として40〜60/60〜40で含む混合物100質量部と、(Nay1-y)AlSi38(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、又はMgO若しくはその前駆物1〜10質量部とを含有する混合物を1250〜1700℃で焼成したチタン酸アルミニウム焼結体が使用される。以下の説明で、チタン酸アルミニウム焼結体というときは、このようにして得られた燒結体を指す。
次に、チタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体について具体的に説明する。原料として用いる上記Mg含有化合物、Al含有化合物、及びTi含有化合物としては、焼成によりチタン酸アルミニウムマグネシウムを合成できる成分であれば特に限定なく使用できる。Mg含有化合物、Al含有化合物、及びTi含有化合物としては、それぞれ別の化合物でなくてもよく、2種以上の金属成分を含む化合物であってもよい。これらの化合物は、通常、アルミナセラミクス、チタニアセラミクス、マグネシアセラミクス、チタン酸アルミニウムセラミクス、チタン酸マグネシウムセラミクス、スピネルセラミクス、チタン酸アルミニウムマグネシウムセラミクスなどの各種セラミクスの原料として用いられるもののうちから適宜選択して用いればよい。このような化合物の具体例としては、Al23、TiO2、MgOなどの酸化物、MgAl24、Al2TiO5、MgTi5、MgとTiを含む各スピネル型構造体などの2種類以上の金属成分を含む複合酸化物、Al、Ti及びMgからなる群から選ばれた1種又は2種以上の金属成分を含む化合物(炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩など)などを例示できる。
Mg含有化合物、Al含有化合物、及びTi含有化合物の混合割合はこれらの化合物に含まれる金属成分の比率が、上記した組成式:MgxAl2(1-x)Ti(1+x)5(式中、0<x<1であり、好ましくは0.2≦x≦0.8)で表わされるチタン酸アルミニウムマグネシウムにおけるMg、Al及びTiの金属成分比と同様の比率、好ましくは実質的に同一の比率となるようにすればよい。このような割合で上記各化合物を混合して用いることによって、原料として用いた混合物における金属成分比と同様の金属成分比を有するチタン酸アルミニウムマグネシウムを得ることができる。
本発明のハニカムフィルタを得る場合、上記したMg含有化合物、Al含有化合物及びTi含有化合物を含む混合物に対して、好ましくは添加剤としてアルカリ長石を加えられる。アルカリ長石は、チタン酸アルミニウムマグネシウムの焼結助剤であるとともに、チタン酸アルミニウムマグネシウムにSi成分を添加する役割を兼ねるものであり、組成式:(Nay1-y)AlSi38で表わされる。式中、yは、0≦y≦1を満足し、0.1≦y≦1が好ましく、特に、0.15≦y≦0.85であるものが好ましい。この範囲のy値を有するアルカリ長石は融点が低く、チタン酸アルミニウムマグネシウムの焼結促進に特に有効である。
アルカリ長石の使用量は、原料として用いる、Mg含有化合物、Al含有化合物及びTi含有化合物の各化合物を酸化物に換算した合計値100質量部に対して1〜10質量部程度とすればよく、好ましくは3〜5質量部程度とするのが好適である。この場合の混合物を酸化物として換算した合計量は、上記混合物中に含まれる水分や有機物を除去するための加熱処理を行った後、また、仮焼結を行った場合には、仮焼結後の本焼成前の質量とする。アルカリ長石の使用量が上記範囲であると、結晶構造がより安定し、優れた熱分解耐性が得られる。
Mg含有化合物、Al含有化合物及びTi含有化合物を含有する混合物、又は該混合物にアルカリ長石を加えた混合物に対して、本発明では、必要に応じて他の添加剤を加えることができ、得られる焼結体の性質を改善できる。他の添加剤としては、例えばSiO2、ZrO2、Fe23、MgO、Al23、TiO2、CaO、Y23などの酸化物やMgを含むスピネル型構造の酸化物などが挙げられる。これらの一種又は二種以上の添加剤が上記の混合物100質量部に対して好ましくは15質量部以下添加される。
上記の混合物は、充分に混合し、粉砕される。この混合物の混合、粉砕については、特に限定されないで既知の方法に従って行われる。例えば、ボールミル、媒体攪拌ミルなどを用いて行えばよい。上記混合物の粉砕の程度は、特に限定的でないが、平均粒子径が好ましくは30μm以下、特に好ましくは8〜15μm以下が好適である。これは、二次粒子が形成されない範囲であればできるだけ小さい方が好適である。
上記混合物には、好ましくは、成形助剤を配合することができる。成形助剤としては、結合剤、造孔剤、離型剤、消泡剤、及び解こう剤などの既知のものが使用できる。結合剤としては、ポリビニルアルコール、マイクロワックスエマルジョン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが好ましい。造孔剤としては、活性炭、コークス、ポリエチレン樹脂、でんぷん、黒鉛などが好ましい。離型剤としては、ステアリン酸エマルジョンなどが、消泡剤としては、n−オクチルアルコール、オクチルフェノキシエタノールなどが、解こう剤としては、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが好ましい。
成形助剤の使用量は特に限定的ではないが、本発明の場合には、原料として用いるMg含有化合物、Al含有化合物及びTi含有化合物の各化合物を酸化物として換算した合計量100質量部に対して、いずれも固形物換算でそれぞれ以下の範囲とするのが好適である。すなわち、結合剤を好ましくは0.2〜0.6質量部程度、造孔剤を好ましくは40〜60質量部程度、離型剤を好ましくは0.2〜0.7質量部程度、消泡剤を好ましくは0.5〜1.5質量部程度、及び解こう剤を好ましくは0.5〜1.5質量部程度用いるのが好適である。
上記成形助剤を加えた混合物は混合、混練して押出し成形可能に可塑化したものを押出成形によりハニカム体に成形する。押出成形の方法については既知の方法が使用でき、ハニカムのセルの形状は、円形、楕円形、六角形、四角形、三角形などのいずれでもよい。また、ハニカム成形体の全体の形態は円筒体、角筒体のいずれでもよく限定されない。成形されたハニカム成形体は、乾燥し焼成するとチタン酸アルミニウムマグネシウム燒結体となる未焼結体すなわち前駆体として乾燥したままで焼成しない状態で、又は該前駆体を1000〜1700℃、好ましくは1250〜1500℃にて焼成して使用される。焼成雰囲気については特に限定がなく、通常採用されている空気中などの含酸素雰囲気が好ましい。焼成時間は、焼結が充分に進行するまで焼成すればよく、通常は1〜20時間程度が採用される。
上記焼成の際の昇温速度や降温速度についても特に制限はなく、得られる焼結体にクラックなどが入らないような条件を適宜設定すればよい。例えば、上記混合物中に含まれる水分、結合剤などの成形助剤を充分に除去するために急激に昇温することなく、徐々に昇温することが好ましい。また、上記した焼成温度に加熱する前に、必要に応じて、好ましくは500〜1000℃程度の温度範囲において、10〜30時間程度の穏やかな昇温により仮焼結を行うことによって、チタン酸アルミニウムマグネシウムが形成する際におけるクラック発生の原因となる焼結体内の応力を緩和することができ、焼結体中のクラックの発生を抑制して均一な焼結体を得ることができる。
このようにして得られる焼結体は、MgxAl2(1-x)Ti(1+x)5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウムマグネシウム、又は、チタン酸アルミニウムマグネシウムを形成する混合物にアルカリ長石が添加される場合には、チタン酸アルミニウムマグネシウムが生成する温度付近から液相となるアルカリ長石が存在するために、チタン酸アルミニウムマグネシウムを基本成分として、アルカリ長石に含まれるSi成分がチタン酸アルミニウムマグネシウムの結晶格子中に固溶したチタン酸アルミニウムマグネシウムとなる。かかる焼結体は、高い機械的強度と低熱膨張係数を兼ね備え、しかも結晶構造が安定化されていることにより、優れた熱分解耐性を有する焼結体となる。
次に、チタン酸アルミニウム燒結体について説明する。
上記のチタン酸アルミニウムを形成するTiO2及びAl23としては、それぞれ、必ずしも純粋なTiO2及びAl23である必要はなく、焼成によりチタン酸アルミニウムを生成できる成分であれば特に限定はない。通常、アルミナセラミックス、チタニアセラミックス、チタン酸アルミニウムセラミックスなどの各種セラミックスの原料として用いられるものの中から適宜選択して使用される。例えば、Al、Tiを金属成分に含む複合酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩なども使用できる。
TiO2及びAl23は、前者/後者のモル比率が40〜60/60〜40の割合で使用されるが、好ましくは45〜50/55〜60で使用される。特に上記の範囲内で、Al23/TiO2のモル比を1以上とすることによって焼結体の共晶点を避けることができる。本発明でAl23とTiO2とは混合物として使用され、本発明では、まとめてX成分という場合がある。
本発明のハニカムフィルタの場合、上記したX成分に対して、添加剤として、Y成分を加えることが必要である。Y成分の1つである、アルカリ長石は、(Nay1-y)AlSi38で表わされるものが使用される。式中、yは、0≦y≦1を満足し、0.1≦y≦1が好ましく、特に、0.15≦y≦0.85であるものが好ましい。この範囲のy値を有するアルカリ長石は融点が低く、チタン酸アルミニウムの焼結促進に特に有効である。
別のY成分である、Mgを含むスピネル型構造の酸化物としては、例えば、MgAl24、MgTi24を用いることができる。このようなスピネル型構造の酸化物としては、天然鉱物でもよく、またMgOとAl23を含む物質、MgOとTiO2を含む物質又は該物質を焼成して得たスピネル型酸化物を用いてもよい。また、異なる種類のスピネル型構造を有する酸化物を2種以上混合して用いてもよい。また、MgO前駆体としては、焼成することによりMgOを形成するものであるならばいずれも使用でき、例えば、MgCO3、Mg(NO32、MgSO4、又はその混合物などが挙げられる。
上記X成分とY成分との使用割合は重要であり、X成分に100質量部に対してY成分が1〜10質量部とされる。なお、これは、X成分とY成分のそれぞれは、酸化物としての割合であり、酸化物以外の原料を使用した場合には、酸化物に換算した値とされる。X成分100質量部に対するY成分が、1質量部より小さい場合には、Y成分の添加効果すなわち焼結体の特性を改善する効果が小さい。逆に、10質量部を越える場合にはチタン酸アルミニウム結晶へのSiまたはMg元素の固溶限を大きく超えるため、過剰に添加された余剰成分が焼結体に単独の酸化物として存在し、特に熱膨張係数を大きくする結果を招くことになり不適当である。なかでも、X成分100質量部に対するY成分は、3〜7質量部が好適である。
なお、本発明では、上記Y成分として、(Nay1-y)AlSi38で表わされるアルカリ長石と、Mgを含むスピネル型構造の酸化物及び/又はMgO若しくはその前駆体と、を併用し、その混合物を使用するのが好ましい。該混合物を使用した場合には、上記した相乗的な機能性の向上が得られる。上記アルカリ長石と、Mgを含むスピネル型構造の酸化物及び/又はMgO若しくはその前駆体と、の混合物は、前者/後者の比率が好ましくは、2〜6/8〜4、特には3.5〜4.5/6.5〜5.5とするのが好適である。上記比率では、Si/Mgの割合が等モルで存在し、この比率範囲に含まれない場合には、チタン酸アルミニウムへのSiとMgの同時固溶による相乗効果が発揮されにくくなり好ましくない。
本発明では、上記のX成分及びY成分のほかに、必要に応じて他の焼結助剤を使用することができ、得られる焼結体の性質を改善できる。他の焼結助剤としては、例えば、SiO2、ZrO2、FeO3、CaO、Y23などが挙げられる。
上記の混合物は、充分に混合し、粉砕されるが、この混合物の混合、粉砕については、前記のチタン酸アルミニウムマグネシウムと同じである。また上記混合物には、好ましくは、結合剤、造孔剤、離型剤、消泡剤、及び解こう剤などの成形助剤を配合することができ、これらの成形助剤及びその使用量などについても前記チタン酸アルミニウムマグネシウムと実質的に同じであるので、具体的な説明は省略する。
上記成形助剤を加えた混合物は混合、混練して押出し成形可能に可塑化したものを押出成形によりハニカム成形体に成形し、成形されたハニカム成形体は、乾燥したままで焼成しない、チタン酸アルミニウム燒結体の前駆体として、又は該前駆体を燒結して得られるチタン酸アルミニウム燒結体として使用される。焼成は1250〜1700℃、好ましくは1350〜1450℃にて、好ましくは通常採用されている空気中などの含酸素雰囲気中で、通常は1〜20時間程度行われる。焼成の際の昇温速度や降温速度についても特に制限はなく、得られる焼結体にクラックなどが入らないような条件を適宜設定すればよい。
このようにして得られる焼結体は、X成分から形成されるチタン酸アルミニウムを基本成分として、Y成分である、アルカリ長石に含まれるSi成分や、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、MgO若しくは焼成によりMgOに転化するMg含有化合物に由来するMg成分がチタン酸アルミニウムの結晶格子中に固溶したものとなる。このような焼結体は、上記したように、高い機械的強度と低熱膨張係数を兼ね備え、しかも結晶構造が安定化されていることにより、優れた熱分解耐性を有する焼結体となる。
このようなチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体及びチタン酸アルミニウム燒結体は、上記したように、優れた耐熱性と低熱膨張係数を兼ね備え、しかも結晶構造が安定化されていることにより、優れた熱分解耐性と高い機械的強度を有する焼結体となる。
その結果、これら焼結体からなるハニカムフィルタは、隔壁の壁厚が例えば0.2〜0.6mm、好ましくは0.3〜0.48mm、セル密度が例えば15〜47セル/cm2の薄壁ハニカム構造を有する。そして、この焼結体の気孔率は例えば30〜70%、好ましくは40〜60%、熱膨張係数は例えば3.0×10-6-1以下、好ましくは 1.5×10-6-1以下である。このハニカムフィルタは、室温から1600℃程度の高温下においても熱分解反応が抑制されて安定的に使用できる。
なお、上記チタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体とチタン酸アルミニウム燒結体とを比べた場合、チタン酸アルミニウムマグネシウムの生成温度はチタン酸アルミニウムより約100℃も低いので、熱分解反応速度の極大値を与える過冷却度はチタン酸アルミニウムのそれに比べてかなり小さくなる。その結果、チタン酸アルミニウムマグネシウムは熱分解反応が抑制されて優れた熱分解耐性を有するので、ハニカムフィルタの構成材料としてより優れている。
本発明において、ハニカムフィルタは前記したように上記チタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体もしくはチタン酸アルミニウム燒結体、又はこれらの前駆体で形成されたハニカム成形体のガス通路の端部を、実質的に同じ材料から形成した目封じ成形体によって互い違いに閉塞してなる。この場合、目封じ成形体もハニカム成形体と実質的に同じ材質であれば、未焼成の状態の前駆体又は該前駆体を焼成して得られる焼成体のいずれであってもよい。その理由は、ハニカム成形体と目封じ成形体の一方又は両方が未焼結体(前駆体)であっても、目封じ成形体をハニカム成形体のガス通路の端部に充填した後に全体を高温に加熱して焼成することによって、未焼結体部を焼結体にできるからである。
本発明において、ハニカム成形体のガス通路の端部に充填される目封じ成形体には、充填したとき少なくともガス通路に面する表面にスラリーが塗布される。ここで、スラリーがガス通路に面する表面に塗布されるとは、その他の表面に塗布されることを排除するものではなく、スラリーは目封じ成形体の少なくともガス通路に面する表面に塗布されていればよい。この場合、スラリーとしては、目封じ成形体と実質的に同じ材質の焼結体又はその前駆体の粉体を例えば水又はアルコール類等の媒体に混入して得られるスラリーが使用される。また、スラリーの塗布方法としては、ディップ方法、吹付け方法などが例示される。このようにスラリーを塗布することにより、ガス通路と目封じ成形体との界部における充填密度が高められるため、目封じ成形体をハニカム成形体のガス通路に充填して高温で焼成したとき、目封じ成形体とハニカム成形体とを熱膨張係数や耐熱強度が実質的に同一のスラリー焼結層で接合でき、耐熱性と耐熱衝撃性に優れたハニカムフィルタが得られる。また、目封じ成形体の寸法精度に若干のばらつきがあっても、スラリーでこれをカバーできる利点もある。
目封じ成形体が充填されたハニカム成形体は、1000〜1700℃の範囲、好ましくは1250〜1500℃の範囲で焼成される。この焼成でスラリーがスラリー焼結層になると共に、ハニカム成形体及び/又は目封じ成形体が未焼結体(前駆体)で形成されていても、同時に焼成されて焼結体となる。これにより、ハニカムフィルタを焼結体で構成することができ、ハニカム成形体と目封じ成形体とがスラリー焼結層で強固に接合されたハニカムフィルタを得ることができる。なお、ハニカムフィルタの製造においては、前駆体で形成されたハニカム成形体と目封じ成形体を使用すると、低強度のため取扱い性に注意を要するが、一度の焼成で済むので好ましい。
上記焼成温度が1000℃より低いと、ハニカムフィルタを構成している未焼結体部分を充分に焼結することが困難となるため、耐熱性と耐熱衝撃性に優れたハニカムフィルタが得られなくなるおそれがある。また、焼成温度が1700℃より高くなると、熱分解反応や変形などが発生しやすくなると共に更に加熱負担も増大し不経済である。
また、上記スラリーの水分率は特に限定されないが、30質量%以下が好ましく、20質量%以下であればより好ましい。水分率が30質量%より大きくなると、スラリーの流動性が過度となるために、目封じ成形体に塗布したスラリーが流動したり、垂れ落ちやすくなって所望の厚さに塗布することが困難となるので好ましくない。また、塗布の作業性から水分率は5質量%以上が好ましい。
次に、本発明の排ガス浄化ハニカムフィルタを図面に基づいて説明する。図1は本発明の排ガス浄化ハニカムフィルタの一例の側面図(図2の左側面図)であり、図2は、図1のA−A矢視部の断面図である。図3は図1のX部の拡大断面図を示す。
図2に示すように排ガス浄化ハニカムフィルタ(以下、ハニカムフィルタという)1は、完成されたハニカム成形体2を好ましくは適宜の保持材を使用して缶体5内に収容して構成される。ハニカム成形体2は多孔質の隔壁6により仕切られた多数のガス通路7がほぼ平行に形成されたハニカム構造を有し、該ハニカム成形体2の相隣接するガス通路7の端部はハニカムフィルタ1の入口側aと出口側bにおいて交互に目封じ成形体3によって閉塞されている。これにより、ガス通路7は上流側、下流側のいずれかの端部が目封じ成形体3で閉塞されるため、ハニカム成形体2の端面は、図1に示すように目封じ成形体3で閉塞されたガス通路7と開放されているガス通路とが市松模様状に配列される。
図3は、ガス通路7の端部がこのように目封じ成形体3によって閉塞されたハニカム成形体2の端部の部分拡大断面図である。図3に示すようにハニカム成形体2と目封じ成形体3とはスラリー焼結層4によって接合される。この場合、スラリー焼結層4の材質としては、目封じ成形体3(ハニカム成形体2)と実質的に同じものが用いられる。これにより、目封じ成形体3はハニカム成形体2の隔壁6に熱膨張係数が同じ同質のスラリー焼結層4により高密度で固定されるので、耐熱強度及び耐熱衝撃性の優れたハニカム成形体2の端部が得られる。
上記ハニカムフィルタ1の入口側aに浄化すべき排ガスを缶体5の入口部8から導入し、ハニカム成形体2の入口側に開口しているガス通路7に供給すると、供給された排ガスはガス通路内において多孔質の隔壁6を通過し、排ガス中の固体微粒子(パティキュレート)を隔壁6により捕捉、除去した後、隣接するガス通路を通って出口部9から浄化後の排ガスが取り出される。
ハニカムフィルタ1は、このように排ガス中に含まれる固体微粒子、特に炭素を主成分とする固体微粒子を捕捉、除去するために使用される。排ガスの種類としては、固定タイプ及び移動タイプのいずれの燃焼装置などから排出されるガスが対象となりうるが、なかでも最も厳しい特性が要求されるディーゼルエンジンを搭載した自動車からの排ガスの浄化に好適に用いられる。
図4は好ましい目封じ成形体3を示したものである。この目封じ成形体3はガス通路6の内寸と実質的に同じかそれより僅かに小さい外寸を有する頭板11と、該頭板より小さい外寸の要部10とから形成されており、目封じ成形体3をハニカム成形体2のガス通路6に充填したとき、頭板11がハニカム成形体2の隔壁6に近接して嵌合されることにより、目封じ成形体3をガス通路6の端部に好ましい状態で嵌着できる。一方、要部10の外寸は前記スラリーの塗布代が得られるようにガス通路6の内寸より0.1〜2.0mm、好ましくは0.2〜1.0mm小さくなっているのが好ましい。ガス通路6の内寸と要部10の外寸との差異の約1/2がスラリーの塗布代として有効に機能する。したがって、前記差異が0.1mmより小さいと、要部10の表面にスラリーが薄い厚さでしか塗布できなくなり、所望の厚さのスラリー焼結層4(図3参照)が得られなくなるため、目封じ成形体3をガス通路6の端部に充分な強度で接合できなくなり好ましくない。また上記差異が2.0mmより大きいと、スラリーの塗布量を必要以上に多くしなければならないため、スラリーの塗布作業の負担が増大するばかりでなく、スラリーの垂れ落ちを助長するおそれが生じる。したがって、上記目封じ成形体3の外寸は、スラリーを塗布する要部10の外寸であり、該要部10の外寸をガス通路7の内寸に対しどの程度小さくするかは、ガス通路7の内寸の大きさ、塗布するスラリーの水分率などを考慮して上記範囲で適当に決めるのが好ましい。
また、目封じ成形体3の厚さLは限定されないが、通常は5〜25mm程度であり、好ましくは10〜20mm程度である。通常のハニカム成形体2では同一のLを有する目封じ成形体3が用いられるが、ハニカム成形体2の例えば中心部と周辺部とでLを変えることもできる。
図5は他の好ましい目封じ成形体を示す。本例の目封じ成形体3は図4の目封じ成形体の頭板11の代りに突条12を要部10の四面にそれぞれ対向して目封じ成形体3の厚さ方向(図5の高さ方向)に設けたもので、該対向する突条12の頂部の外寸すなわち対向する突条12の頂部の距離は、充填するガス通路7の内寸とほぼ同一であり、また要部10の外寸は前記の目封じ成形体と同様にガス通路6の内寸より0.1〜2.0mm程度小さくなっていて、この部分にスラリーを塗布できるようになっている。
なお、典型的な目封じ成形体について示したが、目封じ成形体の形体はこれらに限定されるものではない。
次に、本発明に係るハニカムフィルタの製造方法の一例をチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体のハニカムフィルタについて説明する。
先ず同じ材質のチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体の前駆体でハニカム成形体と目封じ成形体を形成し、該目封じ成形体の表面に目封じ成形体と実質的に同じ材質の前駆体を含有するスラリーを塗布した後、ハニカム成形体の入口側と出口側においてほぼ平行に隣接する多数のガス通路の端部に、前記目封じ成形体を交互に充填してスラリーを乾燥する。
次いで、目封じ成形体が充填されたハニカム成形体を1000〜1700℃で焼成し、前記前駆体をチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体にさせるのと同時に、目封じ成形体をハニカム成形体のガス通路の隔壁にスラリー焼結層で接合してガス通路の端部を閉塞することによってハニカムフィルタが得られる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるべきではないことはもちろんである。
材料であるチタニアとマグネシアとアルミナとアルカリ長石を、表1に示すモル比によって配合を行って混合し、これら100質量部に対してポリビニルアルコール0.25質量部、ジエチルアミンを1質量部、ポリプロピレングリコール0.5質量部を加えてボールミルで3時間混合後、120℃で12時間以上乾燥し、さらに平均粒子径10μm以下に粉砕して原料粉体を得た。この原料粉体50質量部と、造孔剤として粒子径50〜80μmのコークスを20質量部、メチルセルロースを10質量部、更に水を20質量部とを合わせて混練して、チタン酸アルミニウムマグネシウムの原料坏土を10種類作った。なお、表1において実施例10はチタン酸アルミニウムマグネシウムではなく、チタン酸アルミニウムである。
この原料坏土を用いて焼成後のハニカムフィルタがφ150×150mm、46.5セル/cm、壁厚400μmとなるように押出成形機(宮崎鉄工社製)でハニカム成形体を成形し、またハニカム成形体と一体で焼成された後の寸法が□0.9(x)×0.9(y)×15(長さL)mmとなるように、目封じ成形体を同じ原料坏土を用いてCIM成形機(山城精機社製)で成形し、該目封じ成形体をハニカム成形体の両端面が市松模様になるようにガス通路の端部に互い違いに充填する。その際、目封じ成形体の表面に前記原料坏土のスラリー(水分率10%)を塗布して充填した。これにより、チタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体の前駆体から形成されているハニカムフィルタを得た。
このハニカムフィルタの前駆体を乾燥した後、1500℃で4時間焼成し、ハニカム成形体のガス通路の端部に充填された目封じ成形体をスラリー焼結層によってガス通路の隔壁に接合し、ガス通路の端部が目封じ成形体閉塞されたチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体(実施例10はチタン酸アルミニウム焼結体)のハニカムフィルタを得た。
焼成後の各ハニカムフィルタについて、目封じ成形体の寸法、気孔率(%)、室温から800℃における熱膨張係数(×10-6-1)、水中投下法による耐熱衝撃抵抗(℃)、及び軟化温度(℃)を測定した。その結果を表2に示す。なお、目封じ成形体の寸法は、マイクロメータを用いて測定し、気孔率は、JISR1634、熱膨張係数は、JISR1618、耐熱衝撃抵抗は、JISR1648、軟化温度は、JISR2209に準拠する方法で測定した。
Figure 2007105622
Figure 2007105622
表2から明らかなように、目封じ成形体はCIM成形機によって成形寸法が、平均15(±0.4)mmの範囲でほぼ均一に成形可能なことが分かった。また、各実施例のハニカムフィルタ焼結体は、優れた耐熱特性を有していることが認められた。
本発明によるハニカムフィルタは、小さい熱膨張係数を有するチタン酸アルミニウムマグネシウム又はチタン酸アルミニウムで形成したハニカム成形体の端部をハニカムフィルタの入口側と出口側とにおいてハニカム成形体と同じ材料から形成した目封じ成形体で交互に閉塞することにより、耐熱性と耐熱衝撃性に優れる排ガス浄化ハニカムフィルタを高生産できるので、固定タイプ及び移動タイプの燃焼装置の排出ガス中に含まれる固体微粒子を除去するために好適し、特にディーゼルエンジンを搭載した自動車からの排ガスの浄化に最適である。
本発明の好ましい排ガス浄化ハニカムフィルタの側面図。 図1のA−A部の断面図。 図2のX部の拡大断面図。 本発明の実施形態に係る目封じ成形体の斜視図。 本発明の他の実施形態に係る目封じ成形体の斜視図。
符号の説明
1:排ガス浄化ハニカムフィルタ 2:ハニカム成形体
3:目封じ成形体 4:スラリー焼結層
5:缶体 6:隔壁
7:ガス通路 8:入口部
9:出口部 10:スラリー塗布面
11:頭板 12:突条

Claims (7)

  1. 多孔質隔壁により仕切られた多数のガス通路を互いにほぼ平行に形成したハニカム成形体からなり、相隣接するガス通路の端部をハニカム成形体の入口側と出口側において交互に目封じ成形体により閉塞し、入口側からガス通路に導入された排気ガスが前記多孔質隔壁を通過する際に、排ガス中の炭素を主成分とする固体微粒子を除去するようにした排ガス浄化ハニカムフィルタの製造方法であって、
    前記ハニカム成形体及び前記目封じ成形体を、次のA又はBによりかつ実質的に同じ材質で形成し、
    A:MgxAl2(1-x)Ti(1+x)5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウムマグネシウムにおけるMg,Al及びTiの金属成分比と同様の金属成分比率で、Mg含有化合物、Al含有化合物及びTi含有化合物を含有する混合物、又は該混合物100質量部と(Nay1-y)AlSi38(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石1〜10質量部とを含有する混合物を1000〜1700℃で焼成したチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体又はその前駆体
    B:TiO2とAl23とを前者/後者のモル比率として40〜60/60〜40で含む混合物100質量部と、(Nay1-y)AlSi38(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、又はMgO若しくはその前駆物1〜10質量部と、を含有する混合物を1250〜1700℃で焼成したチタン酸アルミニウム焼結体又はその前駆体
    前記目封じ成形体を前記ガス通路の内寸よりも小さい外寸を有する成形体として形成し、該目封じ成形体の前記ガス通路に面する表面に、目封じ成形体と実質的に同じ材質を含むスラリーを塗布し、
    かかる目封じ成形体を前記ハニカム成形体の多孔質隔壁により仕切られたガス通路の前記端部に充填し、
    次いで目封じ成形体が充填された前記ハニカム成形体を1000〜1700℃にて焼成することによって前記端部を目封じ成形体で閉塞することを特徴とする排ガス浄化ハニカムフィルタの製造方法。
  2. 上記Bが、TiO2とAl23とに、アルカリ長石と、Mgを含むスピネル型構造の酸化物及び/又はMgO若しくはその前駆体と、を併用して混合する請求項1に記載の排ガス浄化ハニカムフィルタの製造方法。
  3. 前記目封じ成形体の外寸が、前記ガス通路の内寸よりも0.1〜2.0mm小さい請求項1又は2に記載の排ガス浄化ハニカムフィルタの製造方法。
  4. 多孔質隔壁により仕切られた多数のガス通路を互いにほぼ平行に形成するハニカム成形体からなり、相隣接するガス通路の端部がハニカム成形体の入口側と出口側において交互に目封じ成形体により閉塞されており、入口側からガス通路に導入された排気ガスが前記多孔質隔壁を通過する際に、排ガス中の炭素を主成分とする固体微粒子を除去するようにした排ガス浄化ハニカムフィルタであって、
    前記ハニカム成形体及び前記目封じ成形体が、次の(C)又は(D)によりかつ実質的に同じ材質で形成されており、
    C:MgxAl2(1-x)Ti(1+x)5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウムマグネシウムにおけるMg,Al及びTiの金属成分比と同様の金属成分比率で、Mg含有化合物、Al含有化合物及びTi含有化合物を含有する混合物、又は該混合物100質量部と(Nay1-y)AlSi38(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石1〜10質量部とを含有する混合物を1000〜1700℃で焼成したチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体
    D:TiO2とAl23とを前者/後者のモル比率として40〜60/60〜40で含む混合物100質量部と、(Nay1-y)AlSi38(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、又はMgO若しくはその前駆物1〜10質量部と、を含有する混合物を1250〜1700℃で焼成したチタン酸アルミニウム焼結体
    前記ハニカム成形体と目封じ成形体とが焼結によって接合されていることを特徴とする排ガス浄化ハニカムフィルタ。
  5. ハニカム成形体が、隔壁の厚さ0.2〜0.6mm、セル密度15〜47セル/cm2を有し、かつハニカム成形体及び目封じ成形体の気孔率が30〜70%、熱膨張係数が3.0×10-6-1以下である請求項4に記載の排ガス浄化ハニカムフィルタ。
  6. 請求項4又は5に記載された排ガス浄化ハニカムフィルタが缶体内に装備されていることを特徴とする排ガス浄化装置。
  7. ディーゼルエンジンを搭載した自動車の排ガス浄化に用いる請求項6に記載の排ガス浄化装置。
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