JP2007091993A - エチレン−α−オレフィン共重合体および成形体 - Google Patents

エチレン−α−オレフィン共重合体および成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】成形性が良好なエチレン−α−オレフィン共重合体であって、メラが低減した成形品が得られるエチレン−α−オレフィン共重合体、および、該共重合体の成形体を提供すること。
【解決手段】エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有し、密度(d)が890〜970kg/m3であり、流動の活性化エネルギー(Ea)が50kJ/mol以上であり、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ測定によって得られる分子量分布(Mw/Mn)が3以上であり、ヘイズ引落し変化率(HDR)とメルトフローレート(MFR)と密度(d)とが下記式の関係を充足するエチレン−α−オレフィン共重合体。
HDR≦−0.782×logMFR+0.02114×d−19.25
【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン−α−オレフィン共重合体、および、該共重合体の成形体に関するものである。
食品、医薬品、日用雑貨などの包装に用いられるフィルムやシートなどには、ポリエチレン系樹脂を押出成形してなる成形体が多く用いられている。このような成形体に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体には、押出負荷が低い、加工安定性が良いなど、成形性に優れることが求められている。このようなエチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、ビス(インデニル)エタンとノルマルブチルリチウムと四塩化ジルコニウムとを反応させてなる触媒成分とシリカと有機アルミニウムオキシ化合物とトリイソブチルアルミニウムから形成されてなる触媒を用いてエチレンと1−ブテンとを共重合してなり、溶融張力とメルトフローレートが特定の関係を満たし、示差走査型熱量計により測定した吸熱曲線における最大ピークの温度と密度とが特定の関係を満たすエチレン−1−ブテン共重合体(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
特開平4−213309号公報
しかしながら、上記のエチレン−α−オレフィン共重合体からなる成形体には、成形体内部にスジのようなもの、いわゆるメラが現れることがあり、外観において、十分満足のいくものではなかった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、成形性が良好なエチレン−α−オレフィン共重合体であって、メラが低減した成形品が得られるエチレン−α−オレフィン共重合体、および、該共重合体の成形体を提供することにある。
本発明により、成形性が良好なエチレン−α−オレフィン共重合体であって、メラが低減した成形品が得られるエチレン−α−オレフィン共重合体、および、該共重合体の成形体を提供することができる。
本発明の第一は、エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有し、密度(d)が890〜970kg/m3であり、流動の活性化エネルギー(Ea)が50kJ/mol以上であり、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ測定によって得られる分子量分布(Mw/Mn)が3以上であり、ヘイズ引落し変化率(HDR)とメルトフローレート(MFR)と密度(d)とが下記式の関係を充足するエチレン−α−オレフィン共重合体にかかるものである。
HDR≦−0.782×logMFR+0.02114×d−19.25
本発明の第二は、上記エチレン−α−オレフィン共重合体を押出成形してなる成形体にかかるものである。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを含むエチレン−α−オレフィン共重合体である。該α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等があげられ、これらは単独で用いられていてもよく、2種以上を併用されていてもよい。α−オレフィンとしては、好ましくは1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンである。
エチレン−α−オレフィン共重合体中のエチレンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量(100重量%)に対して、通常50〜99.5重量%である。またα−オレフィンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量(100重量%)に対して、通常0.5〜50重量%である。
エチレン−α−オレフィン共重合体は、上記のエチレンに基づく単量体単位および炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位に加え、本発明の効果を損なわない範囲において、他の単量体に基づく単量体単位を有していてもよい。他の単量体としては、例えば、共役ジエン(例えばブタジエンやイソプレン)、非共役ジエン(例えば1,4−ペンタジエン)、アクリル酸、アクリル酸エステル(例えばアクリル酸メチルやアクリル酸エチル)、メタクリル酸、メタクリル酸エステル(例えばメタクリル酸メチルやメタクリル酸エチル)、酢酸ビニル等があげられる。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体として、好ましくは、エチレンに基づく単量体単位および炭素原子数4〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位を有する共重合体であり、より好ましくは、エチレンに基づく単量体単位および炭素原子数5〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位を有する共重合体であり、さらに好ましくは、エチレンに基づく単量体単位および炭素原子数6〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位を有する共重合体である。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体等があげられ、好ましくはエチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体であり、より好ましくはエチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体である。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)は、通常0.01〜100g/10分である。該メルトフローレートは、成形性を高める観点、特に押出負荷を低減する観点から、好ましくは0.05g/10分以上であり、より好ましくは0.1g/10分以上である。また、溶融張力、成形品の機械的強度を高める観点から、好ましくは20g/10分以下であり、より好ましくは10g/10分以下であり、さらに好ましくは6g/10分以下である。該メルトフローレートは、JIS K7210−1995に規定された方法に従い、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。なお、該メルトフローレートの測定では、通常、エチレン−α−オレフィン共重合体に予め酸化防止剤を1000ppm程度配合したものを用いる。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の密度(d;単位はkg/m3である。)は、通常、890〜970kg/m3であり、メラをより低減する観点から、好ましくは900kg/m3以上であり、より好ましくは906kg/m3以上であり、更に好ましくは910kg/m3以上であり、メラをより低減する観点から、好ましくは940kg/m3以下であり、より好ましくは930kg/m3以下であり、更に好ましくは927kg/m3以下である。該密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐を有する成形性に優れたエチレン−α−オレフィン共重合体であり、このようなエチレン−α−オレフィン共重合体は従来知られた通常の直鎖状のエチレン−α−オレフィン共重合体に比して、流動の活性化エネルギー(Ea;単位はkJ/molである。)が高い。従来から知られている通常の直鎖状のエチレン−α−オレフィン共重合体のEaは50kJ/molよりも低く、十分満足のいく成形性が得られないこと、特に押出負荷において十分満足が得られないことがあった。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体のEaは、成形性を高める観点、特に溶融張力を過度に低下させずに押出負荷を低減する観点から、好ましくは55kJ/mol以上であり、より好ましくは60kJ/mol以上である。また、成形品の光沢を高める観点から、Eaは、好ましくは100kJ/mol以下であり、より好ましくは90kJ/mol以下である。
流動の活性化エネルギー(Ea)は、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、190℃での溶融複素粘度(単位:Pa・sec)の角周波数(単位:rad/sec)依存性を示すマスターカーブを作成する際のシフトファクター(aT)からアレニウス型方程式により算出される数値であって、以下に示す方法で求められる値である。すなわち、130℃、150℃、170℃および190℃夫々の温度(T、単位:℃)におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線(溶融複素粘度の単位はPa・sec、角周波数の単位はrad/secである。)を、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、各温度(T)での溶融複素粘度−角周波数曲線毎に、190℃でのエチレン系共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際に得られる各温度(T)でのシフトファクター(aT)を求め、夫々の温度(T)と、各温度(T)でのシフトファクター(aT)とから、最小自乗法により[ln(aT)]と[1/(T+273.16)]との一次近似式(下記(I)式)を算出する。次に、該一次式の傾きmと下記式(II)とからEaを求める。
ln(aT) = m(1/(T+273.16))+n (I)
Ea = |0.008314×m| (II)
T :シフトファクター
Ea:流動の活性化エネルギー(単位:kJ/mol)
T :温度(単位:℃)
上記計算は、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、該計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製 Rhios V.4.4.4などがあげられる。
なお、シフトファクター(aT)は、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線を、log(Y)=−log(X)軸方向に移動させて(但し、Y軸を溶融複素粘度、X軸を角周波数とする。)、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際の移動量であり、該重ね合わせでは、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線は、各曲線ごとに、角周波数をaT倍に、溶融複素粘度を1/aT倍に移動させる。また、130℃、150℃、170℃および190℃の4点の値から(I)式を最小自乗法で求めるときの相関係数は、通常、0.99以上である。
溶融複素粘度−角周波数曲線の測定は、粘弾性測定装置(例えば、Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800など。)を用い、通常、ジオメトリー:パラレルプレート、プレート直径:25mm、プレート間隔:1.5〜2mm、ストレイン:5%、角周波数:0.1〜100rad/秒の条件で行われる。なお、測定は窒素雰囲気下で行われ、また、測定試料には予め酸化防止剤を適量(例えば1000ppm。)を配合することが好ましい。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、成形性を高める観点、特に押出負荷を低減する観点から、好ましくは3以上であり、より好ましくは5以上であり、更に好ましくは6以上である。また、得られる成形体の機械強度を高める観点から、好ましくは25以下であり、より好ましくは20以下であり、更に好ましくは15以下である。該分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、MwをMnで除した値(Mw/Mn)である。また、GPC法での測定条件としては、例えば、次の条件をあげることができる。
(1)装置:Water製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH6−HT
(3)測定温度:140℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準物質:標準ポリスチレン
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、従来知られている成形性に優れたエチレン−α−オレフィン共重合体に比して、ヘイズ引落し変化率(HDR)が小さい重合体であり、エチレン−α−オレフィン共重合体のHDRは、エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレートをMFR(単位:g/10分)、密度をd(単位:kg/m3)として、下記式(1)を充足する。
HDR≦−0.782×logMFR+0.02114×d−19.25 式(1)
ヘイズ引落し変化率(HDR)は、エチレン−α−オレフィン共重合体において、溶融状態で伸長変形し難い成分の含有量を表すものである。すなわち、ダイスから出た溶融したエチレン−α−オレフィン共重合体を引き伸ばし、冷却固化してフィルムを成形する場合、溶融したエチレン−α−オレフィン共重合体に超微細な伸長ムラ(よく引き伸ばされた部分とあまり引き伸ばされていない部分)が発生し、その伸長ムラが発生したまま固化されるので、伸長ムラによる超微細な凹凸がフィルムの表面に発生し、フィルムの透明性が悪くなる(フィルムのHazeが高くなる)と考えられる。そして、引き伸ばし量を小さい場合に比べて引き伸ばし量が大きい場合にフィルムの透明性が悪くなるということは、エチレン−α−オレフィン共重合体中に、溶融状態で伸長変形し難い成分が多く存在することを表すと考えられ、溶融状態で伸長変形し難い成分の含有量を、次の方法で求められるヘイズ引落し変化率(HDR)により評価するものである。なお、フィルムの透明性には、溶融したエチレン−α−オレフィン共重合体の伸長ムラによる凹凸のみならず、エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量に起因するダイスから出た時点での溶融したエチレン−α−オレフィン共重合体の凹凸、エチレン−α−オレフィン共重合体の結晶に起因する光の散乱も影響するので、HDRは、同等の分子量と結晶化度、ここでは、メルトフローレートと密度の関数として評価するものである。
エチレン−α−オレフィン共重合体のヘイズ引落し変化率(HDR)は、インフレーションフィルム成形機を用いて、下記成形条件で、厚み50μmと80μmのインフレーションフィルムを成形し、得られたインフレーションフィルムのヘイズから、厚み50μmのインフレーションフィルムのヘイズ(単位:%)をHaze50、厚み80μmのインフレーションフィルムのヘイズ(単位:%)をHaze80として、下記式より算出される。なお、ヘイズは、ASTM1003に従って測定される。
HDR = (Haze50−Haze80)/(引落し比50−引落し比80)
引落し比50=0.8/50
引落し比80=0.8/80
<成形条件>
ダイス :ダイ径50mmφ、リップギャップ0.8mm
加工温度 :170℃
エアリング :二重スリットエアリング
冷却用エア温度:25℃
フロストライン高さ:200mm
ブロー比 :1.8
引取速度 :厚み50μmの場合 7.2m/min
厚み80μmの場合 4.5m/min
押出機 :単軸押出機、径30mmφ、L/D=28、フルフライトタイプ
エチレン−α−オレフィン共重合体中に溶融状態で伸長変形し難い成分が存在するということは、溶融状態で他の重合体成分と分子の絡み合いが起こり難くい状態となっている成分があるために、伸長してもその重合体成分のみが変形され難くなっていると考えられる。そして、溶融状態で伸長変形し難い成分が存在するようなエチレン−α−オレフィン共重合体とは、高分子量成分や複雑な長鎖分岐構造(数、長さ、枝分かれ等)を有する成分が存在し、それらが、他の重合体成分と分子の絡み合いが起こり難いような分子量分布や長鎖分岐構造分布を有する共重合体であり、すなわち、溶融状態で伸長変形し難い成分が少ないエチレン−α−オレフィン共重合体は、高分子量成分や複雑な長鎖分岐構造(数、長さ、枝分かれ等)を有する成分が少なくなっている、あるいは、高分子量成分や複雑な長鎖分岐構造(数、長さ、枝分かれ等)を有する成分が他の重合体成分と分子の絡み合いが起こり易いような分子量分布や長鎖分岐構造分布(例えば、種々の分子量の成分や種々の長鎖分岐構造の成分を平均的に有する分布)を有していると思われる。従来の成形性に優れたとされる長鎖分岐を有するエチレン−α−オレフィン共重合体のヘイズ引落し変化率(HDR)は、同等のメルトフローレートと密度である本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体のHDRよりも大きく、上記式(1)を満たさなかった。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体のヘイズ引落し変化率(HDR)は、得られる成形体のメラをより低減する観点から、式(1’)を満たすことが好ましい。
HDR≦−0.782×logMFR+0.02114×d−19.24
式(1’)
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート比(MFRR)は、成形性を高める観点、特に押出負荷を低減する観点から、60以上が好ましい。該MFRRは、JIS K7210−1995に規定された方法において、試験荷重211.82N、測定温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR−H、単位:g/10分)を、JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18Nおよび温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR)で除した値である。なお、上記のメルトフローレート測定には、通常、予め酸化防止剤を1000ppm程度配合した重合体を用いる。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、好適には、微粒子状担体に触媒成分が担持されてなる固体触媒成分を用いて、エチレンとα−オレフィンとを共重合する方法があげられる。該固体触媒成分としては、例えば、触媒成分にメタロセン系錯体を用いる場合は、メタロセン系錯体をイオン化してイオン性の錯体を形成する化合物(例えば、有機アルミニウムオキシ化合物、ホウ素化合物、有機亜鉛化合物など)を微粒子状担体に担持させてなる助触媒担体などを用いることができる。
微粒子状担体としては、多孔性の物質が好ましく、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等の無機酸化物;スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ラポナイト、サポナイト等の粘土や粘土鉱物;ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの有機ポリマーなどが使用される。該微粒子状担体の50%体積平均粒子径は、通常、10〜500μmであり、該50%体積平均粒子径は、光散乱式レーザー回折法などで測定される。また、該微粒子状担体の細孔容量は、通常0.3〜10ml/gであり、該細孔容量は、主にガス吸着法(BET法)で測定される。該微粒子状担体の比表面積は、通常、10〜1000m2/gであり、該比表面積は、主にガス吸着法(BET法)で測定される。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、特に好適には、下記の助触媒担体(A)と、アルキレン基やシリレン基等の架橋基で2つのシクロペンタジエニル型アニオン骨格が結合した構造を持つ配位子を有するメタロセン系錯体(B)と、有機アルミニウム化合物(C)とを接触させてなる重合触媒の存在下、エチレンとα−オレフィンとを共重合する方法があげられる。
上記の助触媒担体(A)は、成分(a)ジエチル亜鉛、成分(b)2種類のフッ素化フェノール、成分(c)水、成分(d)無機微粒子状担体および成分(e)トリメチルジシラザン(((CH33Si)2NH)を接触させて得られる担体である。
成分(b)のフッ素化フェノールとしては、ペンタフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール等をあげることができる。エチレン−α−オレフィン共重合体の流動活性化エネルギー(Ea)を高める観点から、フッ素数の異なる2種類のフッ素化フェノールを用いることが好ましく、例えば、ペンタフルオロフェノール/3,4,5−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール/2,4,6−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール/3,5−ジフルオロフェノールなどの組み合せがあげられ、好ましくはペンタフルオロフェノール/3,4,5−トリフルオロフェノールの組み合せである。フッ素数が多いフッ素化フェノールとフッ素数が少ないフッ素化フェノールとのモル比としては、通常、20/80〜80/20である。本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体のヘイズ引落し変化率(HDR)を小さくする観点からは、該モル比は大きい方が好ましく、50/50以上が好ましい。
成分(d)の無機化合物粒子としては、好ましくはシリカゲルである。
成分(a)ジエチル亜鉛、成分(b)2種類のフッ素化フェノール、成分(c)水の各成分の使用量は特に制限はないが、各成分の使用量のモル比率を成分(a)ジエチル亜鉛:成分(b)2種類のフッ素化フェノール:成分(c)水=1:x:yのモル比率とすると、xおよびyが下記式を満足することが好ましい。
|2−x−2y|≦1
上記式のxとしては、好ましくは0.01〜1.99の数であり、より好ましくは0.10〜1.80の数であり、さらに好ましくは0.20〜1.50の数であり、最も好ましくは0.30〜1.00の数である。
また、成分(a)ジエチル亜鉛に対して使用する成分(d)無機微粒子状担体の量としては、成分(a)ジエチル亜鉛と成分(d)無機微粒子状担体との接触により得られる粒子に含まれる成分(a)ジエチル亜鉛に由来する亜鉛原子が、得られる粒子1gに含まれる亜鉛原子のモル数にして、0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。成分(d)無機微粒子状担体に対して使用する成分(e)トリメチルジシラザンの量としては、成分(d)無機微粒子状担体1gにつき成分(e)トリメチルジシラザン0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。
アルキレン基やシリレン基等の架橋基で2つのシクロペンタジエニル型アニオン骨格が結合した構造を持つ配位子を有するメタロセン系錯体(B)の金属原子としては、周期律表第IV属原子が好ましく、ジルコニウム、ハフニウムがより好ましい。また、配位子としては、インデニル基、メチルインデニル基、メチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基が好ましく、架橋基としては、エチレン基、ジメチルメチレン基、ジメチルシリレン基が好ましい。更には、金属原子が有する残りの置換基としては、ジフェノキシ基やジアルコキシ基が好ましい。メタロセン系錯体(B)として好ましくは、エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドをあげることができる。
有機アルミニウム化合物(C)として、好ましくはトリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウムである。
メタロセン系錯体(B)の使用量は、助触媒担体(A)1gに対し、好ましくは5×10-6〜5×10-4molである。また有機アルミニウム化合物(C)の使用量として、好ましくは、メタロセン系錯体(B)の金属原子モル数に対する有機アルミニウム化合物(C)のアルミニウム原子のモル数の比(Al/M)で表して、1〜2000である。
上記の助触媒担体(A)とメタロセン系錯体(B)と有機アルミニウム化合物(C)とを接触させてなる重合触媒においては、必要に応じて、助触媒担体(A)とメタロセン系錯体(B)と有機アルミニウム化合物(C)とに、電子供与性化合物(D)を接触させてなる重合触媒としてもよい。該電子供与性化合物(D)として、好ましくはトリエチルアミン、トリノルマルオクチルアミンをあげることができる。
エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布を大きくする観点、ならびに、エチレン−α−オレフィン共重合体のヘイズ引落し変化率(HDR)を小さくする観点からは、電子供与性化合物(D)を使用することが好ましく、電子供与性化合物(D)の使用量としては、有機アルミニウム化合物(C)のアルミニウム原子のモル数に対して、0.1mol%以上であることがより好ましく、1mol%以上であることが更に好ましい。なお、該使用量は、重合活性を高める観点から、好ましくは10mol%以下であり、より好ましくは5mol%以下である。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、微粒子状担体に触媒成分が担持されてなる固体触媒成分を用いて、少量のオレフィンを重合(以下、予備重合と称する。)して得られた予備重合固体成分、例えば、助触媒担体とメタロセン系錯体と他の助触媒成分(有機アルミニウム化合物などのアルキル化剤など)とを用いて少量のオレフィンを重合して得られた予備重合固体成分を、触媒成分または触媒として用いて、エチレンとα−オレフィンとを共重合する方法が好ましい。
予備重合で用いられるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどをあげることができる。これらは1種または2種以上組み合わせて用いることができる。また、予備重合固体成分中の予備重合された重合体の含有量は、固体触媒成分1g当たり、通常0.1〜500gであり、好ましくは1〜200gである。
予備重合方法としては、連続重合法でもバッチ重合法でもよく、例えば、バッチ式スラリー重合法、連続式スラリー重合法、連続気相重合法である。予備重合を行う重合反応槽に、助触媒担体、メタロセン系錯体、他の助触媒成分(有機アルミニウム化合物などのアルキル化剤など)などの各触媒成分を投入する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で投入する方法、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で投入する方法が用いられる。また、予備重合での重合温度は、通常、予備重合された重合体の融点よりも低い温度であり、好ましくは0〜100℃であり、より好ましくは10〜70℃である。
予備重合をスラリー重合法で行う場合、溶媒としては、炭素原子数20以下の炭化水素があげられる。例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素があげられ、これらは単独あるいは2種以上組み合わせて用いられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、エチレン−α−オレフィン共重合体の粒子の形成を伴う連続重合方法が好ましく、例えば、連続気相重合法、連続スラリー重合法、連続バルク重合法であり、好ましくは、連続気相重合法である。該重合法に用いられる気相重合反応装置としては、通常、流動層型反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する装置である。反応槽内に攪拌翼が設置されていてもよい。
予備重合された予備重合固体成分をエチレン−α−オレフィン共重合体の粒子の形成を伴う連続重合反応槽に供給する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する方法、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する方法が用いられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体の粒子の形成を伴う連続重合の重合温度としては、通常、エチレン−α−オレフィン共重合体が溶融する温度未満であり、好ましくは0〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体のヘイズ引落し変化率(HDR)を小さくする観点においては90℃よりも低温の具体的には70℃〜87℃の範囲が好ましく、70℃〜85℃の範囲がより好ましく、72℃〜80℃の範囲がさらに好ましい。また、エチレン−α−オレフィン共重合体の溶融流動性を調節する目的で、水素を分子量調節剤として添加してもよい。そして、混合ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。なお、予備重合固体成分を用いる場合、適宜、有機アルミニウム化合物等の助触媒成分を用いてもよい。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、必要に応じて、公知の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、抗ブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、無滴剤、顔料、フィラー等があげられる。
本発明でのエチレン−α−オレフィン共重合体は、公知の成形加工方法、例えば、インフレーションフィルム成形加工法やTダイフィルム成形加工法などの押出成形法、射出成形法、圧縮成形法などにより、各種成形体(フィルム、シート、ボトル、トレー等)に成形される。成形加工方法としては、押出成形法が好適に用いられ、得られる押出成形体は、食品包装や表面保護などの種々の用途に用いられる。
以下、実施例および比較例により本発明を説明する。
実施例および比較例での物性は、次の方法に従って測定した。
[重合体の物性]
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18N、温度190℃の条件で、A法により測定した。
(2)メルトフローレート比(MFRR)
JIS K7210−1995に規定された方法において、試験荷重211.82N、測定温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR−H、単位:g/10分)を、JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18Nおよび温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR)で除した値を、MFRRとした。
(3)密度(単位:Kg/m3
JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った。
(4)流動の活性化エネルギー(Ea、単位:kJ/mol)
粘弾性測定装置(Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800)を用いて、下記測定条件で130℃、150℃、170℃および190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線を測定し、次に、得られた溶融複素粘度−角周波数曲線から、Rheometrics社製計算ソフトウェア Rhios V.4.4.4を用いて、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線のマスターカーブを作成し、活性化エネルギー(Ea)を求めた。
<測定条件>
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:25mm
プレート間隔:1.5〜2mm
ストレイン :5%
角周波数 :0.1〜100rad/秒
測定雰囲気 :窒素
(5)分子量分布(Mw/Mn)
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法を用いて、下記の条件(1)〜(8)により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。クロマトグラム上のベースラインは、試料溶出ピークが出現するよりも十分に保持時間が短い安定した水平な領域の点と、溶媒溶出ピークが観測されたよりも十分に保持時間が長い安定した水平な領域の点とを結んでできる直線とした。
(1)装置:Water製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH6−HT
(3)測定温度:140℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準物質:標準ポリスチレン
(6)ヘイズ引落し変化率(HDR)
インフレーションフィルム成形機[プラコー社製;フルフライトタイプスクリューの単軸押出機(径30mmφ、L/D=28)、ダイス(ダイ径50mmφ、リップギャップ0.8mm)、二重スリットエアリング]を用い、加工温度170℃、押出量約5.5kg/hr、フロストライン高さ(FLD)200mm、ブロー比1.8、引取速度7.2m/min、冷却用エア25℃の加工条件で、厚み50μmのインフレーションフィルムを成形(引落し比0.8mm/50μm)し、次に、引取り速度4.5m/minとし、厚み80μmのインフレーションフィルムを成形(引落し比0.8mm/80μm)した。得られた厚み50μmのインフレーションフィルムのヘイズ値(Haze50、単位:%)と、厚み80μmのインフレーションフィルムのヘイズ値(Haze80、単位:%)とを、ASTM1003に従って測定し、下記式より、ヘイズ引落し変化率(HDR)を算出した。
HDR = (Haze50−Haze80)/(引落し比50−引落し比80)
引落し比50=0.8/50
引落し比80=0.8/80
[成形体物性]
(7)クラリティ比
(6)ヘイズ引落し変化率で得た厚み80μmのインフレーションフィルムについて、透明度測定器(株式会社村上色彩技術研究所製 TM−1D型)を用いて、フィルム加工流れ方向(MD)のクラリティ(単位は%である。)と、フィルム加工直角方向(TD)のクラリティ(単位は%である。)を測定し、下記式より、クラリティ比を求めた。この値が小さいほどメラが少ない。
クラリティ比 = (MDのクラリティ−TDのクラリティ)
/[(MDのクラリティ+TDのクラリティ)/2]
[成形性]
(8)樹脂圧力(単位:MPa)
プラコー社製インフレーションフィルム成形機(フルフライトタイプスクリューの単軸押出機(径30mmφ、L/D=28)、ダイス(ダイ径50mmφ、リップギャップ0.8mm)、二重スリットエアリング)を用い、加工温度170℃、押出量5.5kg/hr、フロストラインディスタンス(FLD)200mm、ブロー比1.8の加工条件で厚み50μのインフレーションフィルムを成形する際の押出機の樹脂圧力を測定した。該樹脂圧力が低いほど、成形性に優れる。
実施例1
(1)助触媒担体の調製
窒素置換した撹拌機を備えた反応器に、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;50%体積平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)2.8kgとトルエン24kgとを入れて、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン0.91kgとトルエン1.43kgとの混合溶液を反応器内の温度を5℃に保ちながら33分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌し、次に95℃に昇温し、95℃で3時間撹拌し、ろ過した。得られた固体成分をトルエン21kgで6回、洗浄を行った。その後、トルエンを6.9kg加えスラリーとし、一晩静置した。
上記で得られたスラリーに、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(ジエチル亜鉛濃度:50重量%)2.05kgとヘキサン1.3kgとを投入し、撹拌した。その後、5℃に冷却し、ペンタフルオロフェノール0.77kgとトルエン1.17kgとの混合溶液を、反応器内の温度を5℃に保ちながら61分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で1時間撹拌した。その後、H2O0.11kgを反応器内の温度を5℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、5℃で1.5時間撹拌し、次に55℃に昇温し、55℃で2時間撹拌した。その後、室温に冷却し、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(ジエチル亜鉛濃度:50重量%)1.4kgとヘキサン0.8kgとを投入した。5℃に冷却し、3,4,5−トリフルオロフェノール0.42kgとトルエン0.77kgとの混合溶液を、反応器内の温度を5℃に保ちながら60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で1時間撹拌した。その後、5℃に冷却し、H2O0.077kgを反応器内の温度を5℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、5℃で1.5時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で2時間撹拌し、更に、80℃に昇温し、80℃で2時間撹拌した。撹拌後、残量16Lまで上澄み液を抜き出し、トルエン11.6kgを投入し、95℃に昇温し、4時間撹拌した。撹拌後、上澄み液を抜き出し、固体成分を得た。得られた固体成分をトルエン20.8kgで4回、ヘキサン24リットルで3回、洗浄を行った。その後、乾燥することにより、固体成分(以下、助触媒担体(A)と称する。)を得た。
(2)予備重合触媒の調製
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブに、ブタン70リットルを投入した後、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド64mmolを投入し、オートクレーブを50℃まで昇温して撹拌を2時間行った。次に上記助触媒担体(A)0.6kgを投入し、オートクレーブを34℃まで降温して系内が安定した後、エチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.03MPa分と水素0.1リットル(常温常圧体積)とを仕込み、続いてトリイソブチルアルミニウム0.1molを投入して重合を開始した。36℃へ昇温するとともに、エチレンと水素とを連続供給しながら30分経過した後、50℃へ昇温するとともに、エチレンと水素をさらに連続供給することによって合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素などをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、上記助触媒担体(A)1g当り17gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒成分を得た。
(3)エチレン−α−オレフィン共重合体の製造
上記で得た予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ブテンと1−ヘキセンとの共重合を実施し、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合パウダーを得た。重合条件としては、重合温度を84℃、重合圧力を2MPa、エチレンに対する水素モル比を2.2%、エチレンと1−ブテンとの合計に対する1−ブテンモル比を2.1%、エチレンと1−ヘキセンとの合計に対する1−ヘキセンモル比を1.0%とした。重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。また、上記予備重合済触媒成分とトリイソブチルアルミニウム、およびトリイソブチルアルミニウムに対するモル比3%のトリエチルアミンとを連続的に供給し、流動床の総パウダー重量80kgを一定に維持した。平均重合時間4hrであった。得られたエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合パウダーを押出機(田辺プラスチック(株)製、40mmφ、L/D=28、フルフライトスクリュー単軸押出機)を用いて、温度150℃、スクリュー回転数80rpmの条件で造粒することによりエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体を得た。得られたエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体を用いた物性評価の結果を表1に示した。
比較例1
(1)予備重合触媒の調製
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブに、実施例1の(1)助触媒担体の調製で得た助触媒担体(A)0.7kgを投入し、ブタン80リットルとを仕込んだ後、オートクレーブを30℃まで昇温した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.03MPa分仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム210mmolとラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド70mmolを投入して重合を開始した。32℃へ昇温するとともに、エチレンを0.3kg/Hrで連続供給しながら30分経過した後、さらに51℃へ昇温するとともに、エチレンと水素をそれぞれ4.8kg/Hrと6.8リットル(常温常圧体積)/Hrで連続供給することによって合計5.5時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素などをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、上記助触媒担体(A)1g当り28gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒成分を得た。
(3)エチレン−α−オレフィン共重合体の製造
上記で得た予備重合触媒成分を用い、重合温度を80℃、エチレンに対する水素モル比を0.9%、エチレンと1−ブテンとの合計に対する1−ブテンモル比を2.8%、エチレンと1−ヘキセンとの合計に対する1−ヘキセンモル比を0.6%に変更した以外は実施例1と同様にして、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ブテンと1−ヘキセンとの共重合を実施した。得られたエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合パウダーを押出機(神戸製鋼所社製 LCM50)を用いて、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度50%、サクション圧力0.1MPa、樹脂温度200〜230℃の条件で造粒することによりエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体を得た。得られたエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体を用いた物性評価の結果を表1に示した。
比較例2
(1)エチレン−α−オレフィン共重合体の製造
比較例1の(1)予備重合触媒の調製で得た予備重合触媒成分を用い、重合温度を87℃、エチレンに対する水素モル比を0.8%、エチレンと1−ブテンとの合計に対する1−ブテンモル比を3.2%、エチレンと1−ヘキセンとの合計に対する1−ヘキセンモル比を0.7%に変更した以外は実施例1と同様にして、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ブテンと1−ヘキセンとの共重合を実施した。得られたエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合パウダーを押出機(神戸製鋼所社製 LCM50)を用いて、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度50%、サクション圧力0.1MPa、樹脂温度200〜230℃の条件で造粒することによりエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体を得た。得られたエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体を用いた物性評価の結果を表1に示した。
Figure 2007091993

Claims (2)

  1. エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有し、密度(d)が890〜970kg/m3であり、流動の活性化エネルギー(Ea)が50kJ/mol以上であり、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ測定によって得られる分子量分布(Mw/Mn)が3以上であり、ヘイズ引落し変化率(HDR)とメルトフローレート(MFR)と密度(d)とが下記式の関係を充足するエチレン−α−オレフィン共重合体。
    HDR≦−0.782×logMFR+0.02114×d−19.25
  2. 請求項1に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体を押出成形してなる成形体。
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