JP2007085819A - 熱化学検査装置および熱化学検査装置用反応チップ - Google Patents

熱化学検査装置および熱化学検査装置用反応チップ Download PDF

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Abstract

【課題】生体内物質を検査する場合、従来は病院等にある大がかりな装置を利用し、時間と手間をかけることが多かった。それを簡便にする一つの手法に免疫クロマトグラフ法などが有るが、主に色の変化を判断するものが多く、判断する人の個人差や見落としなどが生じ、明確な判断自体が難しいことが問題であるとともに、定量的な判断も難しかった。本発明では、簡単な装置および操作で、検出判断に人的な誤差が含まれない明確な結果が得られ、かつ定量も可能な熱化学検査装置を提供する。
【解決手段】サーモモジュールを用いた熱センサと、熱センサの下面に接する温度安定化部材と、熱センサを内包する保護カバーと、液体が通過する流路と流路の途中には検出用試薬を配置した反応部を備える反応チップを有し、反応チップは前記反応部近傍にて熱センサの上部と接している熱化学検査装置。
【選択図】図1

Description

反応用試薬と検出用試薬との反応熱を熱センサにて検出する熱化学検査装置であり、反応する部分を任意に交換可能な分析装置に関する。
我々は病気になったときあるいは定期的な健康診断においても各種の検査を受ける。その中には生体内の物質の定性的、定量的な検出が多く含まれている。たとえば生体に侵入しているウィルスの検出、生体内で異常に増加している酵素の検出、または生体内で増加している糖質、脂質などの検出がある。従来これらの検査は病院に備えられている大がかりな装置で行われているため、その検出と結果の評価までには時間を要することから、もっと手軽で検査時間のかからない方法が求められてきた。
そこで考えられたのが免疫クロマトグラフ法である(例えば特許文献1参照)。図9にその簡単な構成を示している。構成は繊維を織り込んだクロマトグラフ媒体1、裏打ちフィルム2、試料採取部3、標識抗体4、固定化抗体5、有色磁性粒子6、磁石7からなっている。
測定対象の抗原を含むサンプル試料を試料採取部3に施すと、試料は下流へ移動してゆき、標識抗体4と反応結合する。結合した試料はさらに下流へ移動し、固定化抗体5とさらに結合する。固定化抗体5は媒体に固定化されているため結合した試料はここでストップする。試料には標識抗体が結合しているため、標識物の発色によって存在が確かめられ、試料中に検出するべき抗原があることが分かる。
また、未反応の試料はそのまま下流へと移動するが、その時有色磁性粒子6も押し流しながら移動するため、最終的に有色磁性粒子6は磁石7にトラップされる。つまり、磁石7近傍で有色磁性粒子の色に基づく呈色発現により、試験が終了したことを知らせることが出来る。
この方法は構成が非常に簡単なため、生体内の物質を測定する簡易的な手法として広く発展してきている。特に最近ではインフルエンザウィルスの検出など、緊急的な判断が治療に大きな効果をもたらすものについては有効活用されている。
特開平5−52836号公報(図1)
この様に従来の免疫クロマトグラフ法を利用することによって、簡易的に生体内物質を検査することは可能となってきた。しかしながら、従来法にもいくつかの問題が存在する。まず発色物質と結合したサンプル試料がトラップされているところの色の変化を判断するわけであるが、人の目によって判断するため、個人差、経験の差あるいは見落としなどが生じ、明確な判断自体が難しいことである。とくに大量の抗原が試料の中に含まれていれば良いが、量が減るに従い明確な色変化が生じない場合がしばしばある。あるいは確実に抗原抗体反応を起こさずに移動してくる発色物質もあるため、そのノイズ成分は色変化では判断が不可能である。
これらのことは、従来法で試料が確実に終点まで達したことを示す機構があることから分かるように、試料との化学結合により起こっているかどうかが曖昧な場合が多々あることが問題となっている。この判断を明確にするために光学的な検査装置に組み込むといっ
た試みもあるが、それを行うと装置はやはり複雑化してしまう。
さらには従来法では、目的物質の存在は判断できてもその量は判断できないことがある。つまり、たとえばウィルスに感染した場合、その初期はわかりにくく、ある程度増加した場合に存在は判断できるが、その後さらに増えているのかあるいは快方に向かって減っているのかなどの途中経過は判断が難しい。
そこで本発明の目的は、簡単な操作により生体物質を検出可能な検査装置を提供することであり、その検出判断に人的な誤差が含まれない明確な結果が得られるものとする。さらには生体物質の定量も可能な熱化学検査装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために本発明の熱化学検査装置の構造および熱化学検査装置用反応チップの構造においては下記に記載する手段を採用する。
サーモモジュールを用いた熱センサと、熱センサの下面に接する温度安定化部材と、熱センサを内包する保護カバーと、液体が通過する流路と流路の途中には検出用試薬を配置した反応部を備える反応チップを有し、反応チップは反応部近傍にて熱センサの上部と接していることを特徴とする。
また反応チップは薬液供給部が保護カバーから外部に露出していると良く、熱センサから取り外すことができ、交換可能であるとなお良い。
さらに温度安定化部材はヒートシンクとペルチェ素子を組み合わせたものであること、または熱センサを2個有し、一方の熱センサだけが反応チップの反応部と接していると効果的である。
また熱化学検査装置用反応チップは流路となるわずかな間隙を形成しつつ重ね合わせた2枚の薄板と、2枚の薄板の間には接合部と、流路の一方と他方の端部には薬液供給部と薬液排出部と、流路の途中には検出用試薬を配置した反応部を備えることを特徴とするか、あるいはフィルム状の吸水部材からなる流路と、流路の一方と他方の端部は薬液供給部と薬液排出部となし、流路の薬液供給部と薬液排出部の途中には検出用試薬を含ませた反応部とを有することを特徴とする。
反応チップの反応部と薬液供給部との間には予備反応部を設けている、あるいは少なくとも薬液排出部は2ヵ所ある、あるいは吸水部材の少なくとも片面には保護部材が設けられているとなお良い。
さらには流路では液体が毛管現象を利用して移動すると効果的である。
本発明の熱化学検査装置は、反応チップ内でのサンプル試料の熱反応を直接見ることが出来ることから、操作が非常に簡単になり迅速な検査が可能となる。
また熱センサと保温装置および検査チップという非常に簡単な構成であることから、従来の様な大がかりな分析装置と比較すると、非常に小さな装置とすることが出来、例えば病院の診察室での卓上などの診察現場での使用が出来る。
反応チップも流路と反応物質を供えただけの簡単な構成であるため、簡単に安価に作れることから、使い捨てにも対応できる。これは、流路として吸水部材を利用することで、
さらに有利となる。また反応物質を変更した様々なチップ構成が可能なことから、同じ検査装置で各種の検査をすることが出来る。
さらに反応チップは毛管現象を利用して液体を動かすことから、煩雑な送液システムを装置に加えることも必要ない。
また、本発明の熱化学検査装置は反応チップ内で起きた熱反応を最終的には電気信号に変換して判断するので、従来の免疫クロマトグラフの様な個人的主観にとらわれずに明確な判断が可能となる。そして、電気的な数値はサンプル試料の定性的な判断だけでなく、定量的な測定も可能に出来る。
またさらに熱センサを2個利用して、反応熱と環境温度変化との差分を検出出来る熱化学検査装置とすることで、さらなる高感度測定も可能となる。
以上から本発明の熱化学検査装置は、今後病院や個人医院などにおいて迅速な免疫診断やウィルス診断に、あるいは検査機関などにおいての簡易検査装置として、さらには家庭での感染症などへの簡易的診断など様々な利用が期待できる。さらには環境分析や環境汚染物質のその場での検査など、病院以外での応用も期待される。
〔第一の実施形態〕
以下、図面を用いて本発明の熱化学検査装置の最適な実施形態を説明する。まず図1には本発明の熱化学検査装置における第一例の断面図を示している。
図1に示したように本発明の熱化学検査装置には、中心的役割を持つ熱センサ10が設置されている。熱センサは熱電対を多数集積化したサーモモジュールであり、基本的な構造は一般的にペルチェ素子として知られているものと同じである。ただし、本発明では微量試料から発せられる微少熱量を検出するために、従来よりかなり熱電対が高集積化されたマイクロサーモモジュールを利用している。検査の対象にもよるが、たとえば3mm角の大きさであり、柱の対数が18対〜98対のものを用いている。
図1の熱センサ10の上下方向に温度差が生じると、その温度差は電圧出力として変換される。つまり、熱センサ10は電圧をモニターしておくことで、温度変化を検出することが出来る。図1における熱センサ10の下側の面は温度安定化部材20に設置されている。熱センサ10は温度安定化部材20に対して熱伝導性の接着剤やグリスあるいはハンダなどを利用して、熱伝導が良く固定されている。温度安定化部材20は熱伝導の良いアルミや銅などの金属をある程度熱容量が大きな形状にしたヒートシンク21とペルチェ素子22の2重構造になっている。
ペルチェ素子22は電流を流すとその上下方向に熱を輸送することが出来る温度制御用の素子であり、外部電源とつなぐことでヒートシンク21の温度を一定に保つことが出来、つまりはヒートシンクに接している熱センサ10の温度を高精度に安定化させることが出来る。この場合、外部電源の出力を調整するためには熱センサ10近傍の温度を常時モニターする必要があり、図示はしていないが白金測温体やサーミスタなどの温度センサをヒートシンク21に設置しておく。ただし、検出対象物質からの発熱が大きい場合などそれほど環境温度変化の影響を考慮しなくて良い場合は、ペルチェ素子22を設置せずにヒートシンク21だけで温度安定化部材20としても良い。また、温度安定化部材20はこれも金属材料などで作られている基台50の上に設置されている。
さらに本発明の熱化学検査装置では内部の雰囲気温度を安定化させるために、保護カバ
ー30を設けている。保護カバー30は外部と内部を遮断することで、外気温の変化や外部からの輻射の影響で熱センサ10の温度が変化することを極力小さくするために設けられている。保護カバー30は金属材料、セラミックス、プラスチックなど各種の材料が利用出来る。また、保護カバー30は二体に分離できる構造になっており、ちょうど蓋を開けるようにその内部を一時的に開放することが可能となっている。
熱センサ10の上には反応チップ40が乗せられている。反応チップ40の詳細な構造は図2の断面図と図3の平面図とを用いて説明する。図2に見られるように反応チップ40は2枚のガラスの薄板45を重ね合わせた構造になっている。薄板45の間には狭い隙間があり、液体が通過できる流路41を形成している。そして流路41の途中には検出用試薬を配置した反応部42を有している。反応部42は抗原、抗体あるいは酵素などの特異的にある化学物質と反応をする検出用試薬をガラスに固定して作られている。固定方法は単純に試薬液を滴下乾燥させ物理吸着させる方法、さらに薄板45との化学結合を伴う方法、あるいはバインダーを用いた塗布などが利用できる。
また、流路41の両端は薬液供給部43と薬液排出部44となっている。流路41は非常に狭い間隔で形成されているため、薬液供給部43に検査対象となるサンプル試薬液を接触させると、毛細管現象によりサンプル試薬液は自然に内部に吸い込まれ拡散するようになっている。また、薬液排出部44は流路41の空気を排出するためと多量の液体が投入された場合の排出をするために存在する。その場合、薬液排出部44には吸水用の繊維やゲルなどを設けておくと良い。
そして図3に示しているように、平面的には流路41の両側には接合部46を設けている。接合部46は基本的には2枚の薄板45を接合して構造を維持するためにあるが、その厚みをコントロールすることで流路41の厚さを規定している。つまり、流路41は図2に示した2枚の薄板45と図3に示した2ヵ所の接合部46に囲まれた空間で形成されている。接合部46にはエポキシ系、アクリル系、シリコン系、ゴム系などの接着剤を用いて、適宜厚みと幅を制御出来るよう印刷などにより塗布し、上下の薄板45を接着している。接着には熱や光を用いて硬化安定化させる。また接着剤の種類は使用する薬液の性質を考慮して、化学的に影響を受けにくいものを選択する必要がある。さらに、流路41の幅や厚みは簡易的に規定するためには、パッキンなどを挟み込んでから接着剤で固定することも可能である。
説明は図1に戻るが、ここで述べた反応チップ40は反応部42の近傍にて熱センサ10と接触している。これは反応部42にて発生したあるいは吸収された熱的な変化を容易に熱センサ10に伝えることが出来るためである。また、反応チップ40の薬液供給部43は保護カバー30から外部に露出して設置されている。これは装置の外部からサンプル試薬を注入できるようにするためである。そのため、保護カバー30は2体に分離出来るようになっており、分離された保護カバー30接触部分にはあらかじめ反応チップ40の大きさに対応した隙間が出来るように作られている。
反応チップ40と熱センサ10とは熱伝導が良く接触出来るようにしている。しかし、反応チップ40は検査目的や検体ごとに交換する必要があるため、容易に交換可能である必要がある。そこでここでは熱センサ10の上面には微細な金属やセラミックスの粒子を含有した熱伝導グリースを塗布し、反応チップ40を乗せることで熱伝導良くかつ取り外し自在に固定している。なお熱伝導グリースは時間が経過しても固化しないものである。別な方法としては熱伝導性のゴムシートを熱センサ10の上に設置しておき、反応チップ40を圧着して設置することも可能である。ゴムシートは繰り返し利用できることから、反応チップ40交換時のグリースの拭き取りなどは必要なくなる。
それでは熱化学検査装置を用いた検査方法について説明する。まず検査対象となるサンプル試料の検出が出来る反応チップ40が必要である。ここでは血液中の血糖値を測定する場合を例にとって述べる。そこで血糖は化学物質のグルコースであることから、グルコースと特異的に反応するグルコース酸化酵素を流路41の途中に固定化した反応チップ40をまず用意する。
先ほど述べたように熱センサ10の上面にはあらかじめ熱伝導性グリースをわずかに塗布しておき、反応チップ40の反応部42と熱センサ10の位置がほぼ一致するようにあわせて固定する。なお熱伝導グリースは反応チップ40を設置するごとに新しく塗り替えた方が好ましい。
続いて保護カバー30をかぶせることで、外気の出入りをほぼ遮断する。保護カバー30は二体に分かれているため、片方は反応チップ40を固定する前に設置しておいても良い。この時二体の保護カバー30にある隙間から反応チップ40の薬液供給部43が外部に露出できるように位置あわせを行っておく。また保護カバー30により内部を完全に密封してしまうと、内部温度が変化したときに内部圧力が変わってしまうため、わずかな空気の出入りは残しておいた方がよい。
温度安定化部材20のペルチェ素子22に電流を投入し、温度センサからの温度情報によってヒートシンク21を所定の温度に制御されるまで時間をおく。今回は酵素の活性に良い条件である40℃に設定した。熱センサ10はヒートシンク21に接触していることから熱センサ10の温度、さらにはそこに接触している反応チップ40もほぼ40℃に調整される。このとき熱センサ10の出力電圧を測定すると、センサの上下にて温度差がほとんどないため電圧は非常に小さい。
ヒートシンク21が40℃でほぼ安定したのち、反応チップ40の薬液供給部43にサンプル試料として検体の血液を接触させる。血液は毛細管効果に依って流路41を拡散してゆき、薬液排出部44に近づいてゆく。流路41の途中には反応部42があり、ここではグルコース酸化酵素が反応部42に固定されているため、血液中のグルコースは通過中に特異的に酸化されることとなる。グルコースの酸化反応は約80kJ/molの発熱をともなう反応であり、反応部42の温度は局所的に上昇する。
その熱は熱センサ10に伝えられ、熱センサ10の上面の温度も上昇する。熱センサ10の下面は温度安定化部材20により一定に保たれているため、熱センサ10の上下には発熱量に従った温度差が生じる。このとき熱センサ10からの電圧出力をモニターすることにより、それまでより高い電圧が検出される。この電圧変化からサンプル試料の血液中のグルコース検出、さらには電圧の絶対値からグルコースの濃度も評価することが出来る。
以上は、酵素反応を用いて生体物質を検出する手法であるが、その他に例えば抗原抗体反応を利用しての検出も可能である。その場合、サンプル試料は血液、唾液、尿などであったりするが、反応部42に固定されるのは主にその生体試料に含まれるであろう抗原に対する抗体である。前述の操作と同じようにして、本発明の熱化学検査装置を利用して、抗原抗体反応の発熱から、病気の根元となる抗体物質も測定可能である。
ただし、抗原抗体反応は一般的には酵素反応に比較して単位発熱量が小さい場合が多い。そのため、非常にわずかなサンプル試料濃度の時はある程度の増幅が必要になる。その場合の対応を示したのが、図4のタイプの反応チップ40である。この反応チップ40の特徴は反応部42と薬液供給部43との間に予備反応部49を設けている。
予備反応部49には酵素を抗体と結合させた、酵素標識抗体を設置している。また、反応部42には抗体だけを、こちらは反応チップ40の薄板45に固着して設けている。サンプル試料を薬液供給部43より浸透させるとまず予備反応部49に到達し、サンプルに含まれる抗原は酵素標識抗体の抗体部分と選択的結合をする。さらに下流へ浸透した酵素標識抗体と抗原との結合体は、反応部42に到達し固定化されている抗体と結合して、反応部42に留まる。
サンプル試料を薬液供給部43から浸透させるのと多少時間をおいて、酵素標識抗体に用いている酵素の基質溶液をやはり薬液供給部43から浸透させる。すると、基質は反応部42に到達し、さきに到達して固定化されている酵素標識抗体の酵素によって化学反応をする。当然この場合も反応熱が発生するわけであり、反応部42に接している熱センサ10によって反応熱を検出することが出来る。つまりこの反応熱は酵素標識抗体と結合した抗原の量に相関するため、サンプル試料に含まれている抗原を検出することが可能となる。
このような予備反応部49を備えた反応チップ40を用いることにより、反応熱が比較的小さい反応の場合も他の反応に置き換えた増幅が可能となり、反応物質の検出が可能となる。
以上では酵素反応あるいは抗原抗体反応の反応熱を例にとって説明を行ってきたが、その他の免疫作用、たとえばハプテンと抗体相互作用、さらには生物学的親和性を有するレクチンと糖やその他の活性物質と受容体なども利用可能である。ただし、親和性相互作用などになるとさらに熱変化は小さくなるため、増幅反応は必要となる場合が多い。
〔第二の実施形態〕
続いて構造の異なる第二の熱化学検査装置と用いる第二の反応チップ40について説明する。図5にその断面図を示したが、この図5は図1の断面図の方向とは90°異なる方向からのものである。図5から明らかなように第二の熱化学検査装置には熱センサ10が2個備えられている。その他、熱安定化部材20、保護カバー30、反応チップ40、基台50などの位置関係はすでに述べたものと基本的に同じである。
熱センサ10が2個あることによって、反応チップ40の構造は変わっているので、その構造を図6を用いて説明する。図6は第二の熱化学検査装置に対応した反応チップ40の平面図である。この反応チップ40もガラスなどの2枚の薄板45を接合部46により固定した構造となっている。そして接合部46がないところは流路41となっている。
そしてこの反応チップ40の特徴は流路41が途中から二つに分岐して、薬液排出部44が二ヵ所存在することである。この分岐は左右対称の構造である。そして2つに分岐した流路41の片側のみに反応部42が設けられている。
この分岐構造を有した反応チップ40は図5に示したように熱化学検査装置に取り付けられる。図5では反応チップ40の分岐した二つの流路41の断面が見えている。反応チップ40は当然ながら熱センサ10の上に接触して配置されているが、二つの流路41と二つの熱センサ10がそれぞれ対応する位置に設定されている。この時さらに一方の流路41に存在する反応部42が一方の熱センサ10のほぼ真上に来るようになっている。
第二の熱化学検査装置を用いた検査方法について簡単に説明する。反応チップ40を設置し、保護カバー30を覆い、温度安定化部材20により温度調節をし、薬液供給部43にサンプル試料を接触させるまでは前述の方法と同じである。しかし第二の熱化学検査装置においては反応チップ40の流路41が分岐していることから、サンプル試料は途中で
流路41に沿って2方向にやはり分離される。ここで一方の流路41へと流れたサンプル試料は反応部42に達し、化学反応を起こすことで熱変化し前述の方法のように反応部42が接している一方の熱センサ10には反応熱に従った電圧が検出される。
しかし、他方の流路41には反応部42は存在しないため、サンプル試料との化学反応は起こらず、当然他方の熱センサ10では反応熱に伴う電圧出力は得られない。ただし、サンプル試料の流れなどによってわずかではあるが外部からの熱を運んで来るため、それに伴うセンサの出力変化は存在する。その外部の熱源からの出力変化は当然化学反応を伴う側の熱センサ10にも存在することから、通常それはノイズ電圧となる。しかし、第二の熱化学検査装置の構造をとることにより、ノイズ成分の出力は他方の熱センサ10により検出されているため、両者の熱センサ10の出力差をとることでノイズ成分を分離することが可能となる。
以上のように第二の熱化学検査装置では、外部温度の影響をさらに小さくすることが出来ることから、わずかな反応熱しか得られない検査も行うことが可能となる。
この第二の熱化学検査装置用の第二の反応チップ40では、薬液供給部43は一ヵ所であるが、流路41が分離することでその先の薬液排出部44が二ヵ所になっている。しかし流路41を2本用意し、その両端を薬液供給部43と薬液排出部44とし、一方の流路41のみに反応部42を設けるという構造も可能である。この場合、サンプル試料は二ヵ所の薬液供給部43に同時に同じものを加えることとなる。
〔第三の実施形態〕
さらに続いて図7を用いて反応チップ40の第三の例を説明する。この反応チップ40の特徴的なところは吸水部材47を設けそれを流路41としているところである。吸水部材41にはナイロン、テトロン、セルロース、その他有機物繊維を織り込んだ布類、あるいはクロマトグラフ用の紙や濾紙、スポンジ類なども使うことが出来る。
吸水部材47の上下にはプラスチックフィルムからなる保護部材48が設けられている。これは、反応チップ40の強度を保つためや液の乾燥を防ぐために設けており、そのような問題がなければ保護部材48は片側にしたり、無くすことも可能である。吸水部材47の一方の端は薬液供給部43になっており、他方の端は薬液排出部44になっている。薬液供給部43の吸水部材47は保護部材48より多少はみ出しており、薬液を吸収しやすくなっている。
さらに流路42の途中、つまり吸水部材47の一部分には反応部42が設けられている。反応部42にはサンプル試料に特異的に反応する、抗原、抗体、酵素などが固定化されている。基本的には吸水部材47にそれらの化学物質をしみ込ませて作っているが、吸水部材47の材質と反応部42の構成の関係によっては、化学的に結合させて固定することも可能である。
以上の構成の反応チップ40は、血液のような溶液状のサンプル試料を薬液供給部43に添加すると、流路41が吸水部材47であるためサンプル試料は内部に吸い込まれてゆく。そして毛管現象にしたがって、あたかもクロマトグラフィーを行うようにサンプル試料は薬液排出部44方向に進行してゆき、ついには反応部42に到達することで、先に述べた様な特異的な化学反応を起こして発熱することが出来る。
この反応チップ40も図1に示したように、熱化学検査装置内部に装着して利用する。この時、反応部42の近傍にて熱センサ10と接触するよう配置されている。また、この反応チップ40を用いた検査方法もすでに述べた方法と同じである。
また、この吸水部材47を利用した反応チップ40も先に述べたような流路41を2つに分離した構造にも応用できる。その平面的構造を図8に示した。図のように2つに分離した流路41の構造を持っており、その流路41は吸水部材47から出来ている。そして、吸水部材47の少なくとも片面には保護部材48が設けられている。この場合は流路41が分離していることから、形状を保つためにも保護部材48は設けた方が好ましい。
そして、分離した吸水部材47の一方にのみ反応部42が設けられており、この反応部42が熱センサ10の近傍に来るように熱化学検査装置内部には設置する。
以上の様に第三の反応チップ40は流路41として吸水部材47を利用していることで、ガラス板を僅かなギャップを設けて貼り付けるような手間がいらないことから、簡便な製造が可能であり、またコスト的にも安価になり有利である。
また、保護部材48を設けたとしても、薄いフィルムで十分であるため、反応部42と熱センサ10との距離を短くして、熱的な抵抗も小さく出来るため、検出感度も上げることが可能である。
本発明の実施の形態における熱化学検査装置の構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態における熱化学検査装置に用いる反応チップの構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態における熱化学検査装置に用いる反応チップの構造を示す平面図である。 本発明の実施の形態における熱化学検査装置に用いる反応チップの構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態における熱化学検査装置の構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態における熱化学検査装置に用いる反応チップの構造を示す平面図である。 本発明の実施の形態における熱化学検査装置に用いる反応チップの構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態における熱化学検査装置に用いる反応チップの構造を示す平面図である。 従来の免疫クロマトグラフチップの構造を示す断面図である。
符号の説明
1 クロマトグラフ媒体
2 裏打ちフィルム
3 試料採取部
4 標識抗体
5 固定化抗体
6 有色磁性粒子
7 磁石
10 熱センサ
20 温度安定化部材
21 ヒートシンク
22 ペルチェ素子
30 保護カバー
40 反応チップ
41 流路
42 反応部
43 薬液供給部
44 薬液排出部
45 薄板
46 接合部
47 吸水部材
48 保護部材
50 基台

Claims (12)

  1. サーモモジュールを用いた熱センサと、該熱センサの下面に接する温度安定化部材と、前記熱センサを内包する保護カバーと、液体が通過する流路と該流路の途中には検出用試薬を配置した反応部を備える反応チップとを有し、前記反応チップは前記反応部近傍にて前記熱センサの上部と熱伝導可能に接続している熱化学検査装置。
  2. 前記反応チップは薬液供給部が前記保護カバーから外部に露出していることを特徴とする請求項1に記載の熱化学検査装置。
  3. 前記反応チップは前記熱センサから取り外すことができ、交換可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱化学検査装置。
  4. 前記温度安定化部材はヒートシンクとペルチェ素子とを組み合わせたものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の熱化学検査装置。
  5. 前記熱センサを複数個有し、少なくとも一つの前記熱センサが前記反応チップの前記反応部と接していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の熱化学検査装置。
  6. 間隙を形成しつつ重ね合わせた2枚の薄板と、該2枚の薄板の間隙の一部には前記薄板同士を接合する接合部と、前記2枚の薄板と前記接合部とで囲まれた空間で形成される流路と、該流路の一方と他方の端部には薬液供給部と薬液排出部と、前記流路の途中には検出用試薬を配置した反応部とを備える熱化学検査装置用反応チップ。
  7. 吸水部材からなる流路と、該流路の一方と他方の端部は薬液供給部と薬液排出部となし、前記流路の前記薬液供給部と前記薬液排出部の途中には検出用試薬を含ませた反応部とを有する熱化学検査装置用反応チップ。
  8. 前記反応部と前記薬液供給部との間には予備反応部を有することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の熱化学検査装置用反応チップ。
  9. 前記薬液排出部は少なくとも2ヵ所備えることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の熱化学検査装置用反応チップ。
  10. 前記吸水部材の少なくとも片面には保護部材が設けられていることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の熱化学検査装置用反応チップ。
  11. 前記流路では液体が毛管現象を利用して移動することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の熱化学検査装置。
  12. 前記流路では液体が毛管現象を利用して移動することを特徴とする請求項6から請求項10のいずれか一項に記載の熱化学検査装置用反応チップ。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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