JP2007063955A

JP2007063955A - 仕口構造

Info

Publication number: JP2007063955A
Application number: JP2005255066A
Authority: JP
Inventors: Naoto Shimono; 直人下野; Hirokazu Nozawa; 裕和野澤
Original assignee: Takenaka Komuten Co Ltd
Current assignee: Takenaka Komuten Co Ltd
Priority date: 2005-09-02
Filing date: 2005-09-02
Publication date: 2007-03-15

Abstract

【課題】プレキャストコンクリート柱の経済的なメリットをより発揮しやすくする。
【解決手段】プレキャストコンクリート柱２と梁１とを仕口金物３で連結してあると共に、仕口金物３に、ブレース４の端部を取り付けてある仕口構造において、プレキャストコンクリート柱２は、仕口金物３に形成された柱連結用の台座プレート３ｂにその端面部２ａを当接する状態に取り付けられている。
【選択図】図２

Description

本発明は、プレキャストコンクリート柱と梁とを仕口金物で連結してあると共に、前記仕口金物に、ブレースの端部を取り付けてある仕口構造に関する。

近年、鋼構造の柱に替えて、例えば、遠心成形等によって形成したプレキャストコンクリート柱を使用する事例が見られ、金属に比べて安価な材料によって形成できることから、コストダウンを図ることが可能となっている。
そして、このようなプレキャストコンクリート柱を用いた架構の仕口構造としては、図５に示すように、プレキャストコンクリート柱２の長手方向の一部に、梁１やブレース４を取り付けるための金属筒製の仕口金物３０を製作段階に一体に埋設しておき、この仕口金物３０の外周部に、金属プレート３１を溶接して、その金属プレート３１に前記梁１やブレース４を取り付けてあるものがあった（例えば、特許文献１参照）。

特開平１１−８１４５７号公報

上述した従来の仕口構造によれば、前記仕口金物から柱本体に伝達される力は、双方の付着力等の連結力に左右されるわけであるが、仕口金物とコンクリートとの接続強度を高く望めないことから、両者間に大きな応力伝達を期待する場合には、仕口金物に使用する鋼管の肉厚を大きなものとしたり、鋼管の内周面にリブやスタッドボルト等を設けたり、プレキャストコンクリート柱の径や断面積を大きなものとする必要があり、経済的な設計が実施しにくい問題点があった。
更には、建物に風力や地震力等の外力が作用した場合には、前記仕口金物には前記ブレースによる力も作用し、プレキャストコンクリート柱に大きな曲げモーメントやせん断力が作用する危険性があり、この意味からも、プレキャストコンクリート柱の径や断面積を大きなものとする必要があり、経済的な設計が実施しにくいものであった。

従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、プレキャストコンクリート柱の経済的なメリットをより発揮しやすくできる仕口構造を提供するところにある。

本発明の第１の特徴構成は、プレキャストコンクリート柱と梁とを仕口金物で連結してあると共に、前記仕口金物に、ブレースの端部を取り付けてある仕口構造において、前記プレキャストコンクリート柱は、前記仕口金物に形成された柱連結用の台座プレートにその端面部を当接する状態に取り付けられているところにある。

本発明の第１の特徴構成によれば、前記プレキャストコンクリート柱は、前記仕口金物に形成された柱連結用の台座プレートにその端面部を当接する状態に取り付けられているから、仕口金物とプレキャストコンクリート柱との間に作用する力は、仕口金物の台座プレートとプレキャストコンクリート柱端面部との接当押圧力として伝わることとなり、柱端面部の面積をフルに活用して伝達される。
従って、従来のように、仕口金物にリブやスタッドボルト等を設置する複雑な加工をしたり、プレキャストコンクリート柱の径や断面積を大きなものとしなくても、充分な接合強度を確保することが可能となる。
また、従来のようにプレキャストコンクリート柱の中間部に仕口金物による大きな曲げモーメントやせん断力が作用することがないから、軸力を主にしたプレキャストコンクリート柱の断面設計を行うことが可能となり、プレキャストコンクリート柱のメリットを生かした経済的な設計が実施し易くなる。

本発明の第２の特徴構成は、前記仕口金物と前記プレキャストコンクリート柱との連結構造は、ピン接合であるところにある。

本発明の第２の特徴構成によれば、本発明の第１の特徴構成による上述の作用効果を叶えることができるのに加えて、仕口金物とプレキャストコンクリート柱との連結構造がピン接合であるから、両者間に作用する曲げ力をキャンセルすることができ、プレキャストコンクリート柱の断面設計において曲げモーメントを考慮せずに、軸力を主として行うことができる。
従って、プレキャストコンクリート柱がもともと備えた高い圧縮強度を効率よく発揮させることができ、より経済的な設計を実施することが可能となる。

以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。

図１は、本発明の仕口構造の一実施形態を採用した建物架構の要部を示すもので、梁１とプレキャストコンクリート製の柱２とを仕口金物３を介して連結することで架構が構成されている。そして、上下左右に隣接する一対の梁１、柱２で囲まれた一つの架構面には、斜めにブレース４が配置され、該当する仕口部の仕口金物３にその端部が取り付けられている。

前記梁１は、最下層においては、鉄筋コンクリート製の基礎梁１Ａとして構成されており、他の階層においては、Ｈ形鋼製の通常梁１Ｂで構成されている。そして、前記仕口金物３は、これら二種類の取り付き対象それぞれに対して、取り付き状態が異ならせてあり、鉄筋コンクリート製の基礎梁１Ａに対しては、その一部に埋設状態に設けられており、Ｈ形鋼製の通常梁１Ｂに対しては、梁フランジに溶接によって取り付けられている。

前記柱２は、図２、図３に示すように、遠心成形法によって形成されており、中空部を有する円筒形状に構成されている。そして、上下両端面部２ａには、それぞれボルト接合用の複数の雌ネジ金物２ｂが埋設されている。

前記仕口金物３は、図に示すように、基本的には、金属プレートを組み合わせて溶接で一体化し、鋼板シアパネルとしての機能を発揮できる構造に形成してあり、前記梁１と一体となる梁一体部３ａと、前記柱２を連結するための台座プレート３ｂと、前記ブレース４を連結するためのブレース取付部３ｃとを一体的に備えて構成されている。

前記梁一体部３ａは、上述の基礎梁１Ａに用いる仕口金物３の場合、図２に示すように、基礎梁１Ａの断面内に埋設されることで基礎梁１Ａと一体化が図られる構造に構成してあり、ベースプレートや複数の支圧板やアンカープレート等を備えている。
一方、上述の通常梁１Ｂに用いる仕口金物３の場合、図３に示すように、通常梁１Ｂのフランジ部に沿うプレート材で構成されており、溶接によって梁１フランジに固定されている。

前記台座プレート３ｂは、前記柱２の端面部２ａの形状に沿った円形のプレートで構成してあり、柱２の前記雌ネジ金物２ｂの位置に対する箇所には、台座プレート３ｂと柱２との連結用ボルトＢを挿通自在な挿通孔５が形成されている。また、台座プレート３ｂに作用する柱２からの荷重を支持できる構造とするために、台座プレート３ｂの裏面側には複数の補強プレートＰが一体に設けられている。

前記ブレース取付部３ｃは、プレートを十字状に組み付けて一体に形成してあり、ブレース軸芯方向視の断面形状が「＋」となるように構成してある。そして、柱２の上端側の仕口金物３のブレース取付部３ｃは、添え板６を使用したボルト接合によってブレース４を取り付けるように構成されている。一方、柱２の下端側の仕口金物３のブレース取付部３ｃは、十字断面の端面部にエンドプレート７が設けられ、そのエンドプレート７にブレース４の端部が溶接によって取り付けられるように構成されている。

前記ブレース４は、図４に示すように、長手方向の中間部が角筒形状の角筒部４ａとして構成してあり（図４（イ）参照）、両端部は、夫々のブレース取付部３ｃに対応した十字断面部４ｃとして構成してある（図４（ハ）参照）。そして、角筒部４ａと十字断面部４ｃとは、互いの断面形状の共通する断面を備えた連結部４ｂを介して一体連結されている（図４（ロ）参照）。即ち、前記連結部４ｂは、角筒と十字断面とが合わさった断面形状を呈しており、前記角筒部４ａと十字断面部４ｃ間の応力伝達をスムースに行えるように構成されている。

柱２の上端側の仕口構造は、図３に示すように、前記通常梁１Ｂが通し梁で構成されており、柱軸芯が交差するＨ形鋼の部分の下フランジｆに、仕口金物３の梁一体部３ａが固定されており、この仕口金物３に備えた台座プレート３ｂには、柱２の上端の端面部２ａが接当状態でボルト固定してある。ボルト固定は、台座プレート３ｂの挿通孔５に対して上方からボルトＢを挿通させ、柱２の雌ネジ金物２ｂに螺合させることで実施されており、この連結部は、実質上はピン接合構造となり、応力計算上もピン接合として扱われる。
また、ブレース取付部３ｃには、ブレース４の端部の十字断面部４ｃが添え板６を使用してボルト連結してある。尚、通常梁１Ｂの仕口金物３が取り付いた部分には、前記下フランジｆから上フランジやウエブにわたる補強プレートが一体に取り付けてあり、補強が図られている。
また、柱２の下端側の仕口構造は、図２に示すように、前記基礎梁１Ａ断面内に、仕口金物３の梁一体部３ａが埋設状態に固定されており、この仕口金物３に備えた台座プレート３ｂには、柱２の下端の端面部２ａが接当状態でボルト固定してある。ボルト固定は、基礎梁コンクリート打設前に台座プレート３ｂの挿通孔５に対して下方からボルトＢを挿通させ、柱２の雌ネジ金物２ｂに螺合させることで実施されており、この連結部も、実質上はピン接合構造となり、応力計算上もピン接合として扱われる。
また、ブレース取付部３ｃには、ブレース４の端部の十字断面部４ｃが溶接で固定してある。

本実施形態の仕口構造によれば、仕口金物３と柱２との間の力は、柱の軸芯方向に沿った力となって作用し易いから、例えば、地震時にブレース４からの断面力が仕口金物３に作用しても、柱は、軸力を主とした応力負担状態となり、大きな曲げ力やせん断力を考慮せずに、柱本来の軸力を主とした断面設計を行えるようになり、より経済的な設計を叶えることが可能となる。

〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。

〈１〉前記仕口構造は、先の実施形態で説明した鉄筋コンクリート製の基礎梁１Ａとプレキャストコンクリート柱２との仕口部に限るものではなく、例えば、基礎梁１Ａは、鉄骨構造であってもよい。また、Ｈ形鋼製の通常梁１Ｂとプレキャストコンクリート柱２との仕口部に限るものではなく、例えば、通常梁１Ｂは、鉄筋コンクリート構造であってもよい。また、ブレース４の取り付けは、基礎梁と柱との仕口部と、通常梁と柱との仕口部間に設置されること以外にも、通常梁と柱との仕口部どうしに設置されることもある。
〈２〉前記仕口金物３は、先の実施形態で説明した形状や構造に限るものではなく、適宜変更が可能で、それと同様に、梁一体部３ａや、台座プレート３ｂ、ブレース取付部３ｃの形状や構造の変更も可能である。
〈３〉前記ブレースは、先の実施形態で説明した断面形状や構造に限るものではなく、適宜変更が可能である。

尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。

架構を示す要部正面図仕口金物の取付状態を示す正面視断面詳細図仕口金物の取付状態を示す正面視断面詳細図ブレースの断面を示す説明図従来の仕口部を示す要部正面図

符号の説明

１梁
２柱（プレキャストコンクリート柱）
２ａ端面部
３仕口金物
３ｂ台座プレート
４ブレース

Claims

プレキャストコンクリート柱と梁とを仕口金物で連結してあると共に、前記仕口金物に、ブレースの端部を取り付けてある仕口構造であって、
前記プレキャストコンクリート柱は、前記仕口金物に形成された柱連結用の台座プレートにその端面部を当接する状態に取り付けられている仕口構造。
前記仕口金物と前記プレキャストコンクリート柱との連結構造は、ピン接合である請求項１に記載の仕口構造。