JP2007059360A - 透明導電性フィルム、透明導電性シートおよびタッチパネル - Google Patents
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【解決手段】プラスチックフィルム上に、透明導電性薄膜を積層した透明導電性フィルムであって、該透明導電性フィルムの初期の表面抵抗値をR0とし、85℃、85%RHの雰囲気下で1000時間放置後の表面抵抗値をRとしたとき、下記式(1)を満足することを特徴する透明導電性フィルム。
0.8≦R/R0≦1.2 ・・・(1)
【選択図】図2
Description
月刊ディスプレイ、2000年6月号、第3頁
0.8≦R/R0≦1.2 ・・・(1)
0.8≦R/R0≦1.2 ・・・(1)
(a)透明導電性薄膜と下地との界面に水分が浸入し、透明導電性薄膜が下地から剥がれて、クラックなどが生じる。
(b)透明導電性薄膜の膜質(酸化度など)が変わり、表面抵抗値が変わる。
高温・高湿下において、水分が透明導電性薄膜と下地の界面に浸入して透明導電性薄膜に浮きやクラックが発生するのは、透明導電性薄膜と下地の付着力が低下するからである。スパッタリングや真空蒸着などの真空プロセスにて成膜した透明導電性薄膜は、堆積粒子のエネルギーが0.1〜5eV(温度換算で約1000〜50000K)と高エネルギーであるため、成膜直後の透明導電性薄膜と下地層との付着力は非常に強力である。
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸類と多価アルコール類からなる。ポリエステル樹脂に用いられる多価カルボン酸類としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸、スルホテレフタル酸、およびまたはそれらの金属塩、アンモニウム塩などの芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、等の不飽和脂肪族、および、脂環族ジカルボン酸等を、また多価カルボン酸としては他にトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の三価以上の多価カルボン酸等が例示できる。
アクリル樹脂としては例えば、多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルなどから合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂などが挙げられる。必要に応じて、これらの多官能性の樹脂に単官能性の単量体、例えば、ビニルピロリドン、メチルメタクリレート、スチレンなどを加えて共重合させることができる。
前述のように、透明導電性薄膜と基材のプラスチックフィルムとの付着力が、成膜直後および高温・高湿試験後のいずれにおいても強くなるような下地層を用いても、下地層表面が何らかの要因で汚染された部分があると、この汚染された部分から、高温・高湿下で保存した際に、透明導電性薄膜がはがれてしまう。基材のプラスチックフィルム上に透明導電性薄膜を成膜する場合、経済的な観点から、プラスチックフィルムをロール状態に巻いたものから、巻き出した後に透明導電性薄膜を成膜し、次いでロール状態に巻き取る、巻取り式成膜方法が用いられることが多い。このため、プラスチックフィルムの透明導電性薄膜を成膜する面に、プラスチックフィルムの裏面から汚染物質が裏移りする場合がある。
インジウム−錫酸化物(ITO)に代表される透明導電性材料は、導電性を発現しているキャリアは、陽イオン(酸化インジウムの場合は、In+)サイトへの置換(In+サイトへのSn+の置換)および酸素欠損に起因していることは良く知られている。このうち、高温・高湿度下に暴露することで、透明導電性薄膜の酸素欠損は、変化し易い。そこで、高温・高湿下でも酸化し難い酸化物からなる透明導電性薄膜を選定することが重要である。
透明導電膜の技術、オーム社、日本学術振興会 透明酸化物光・電子材料第166委員会編集、平成11年発行、第175頁
薄膜中への水素取り込みは、金属酸化物の3次元ネットワークを終端してしまうため、膜質を低下させる原因となる。薄膜中に取り込まれる水素は、成膜中の水蒸気に起因しており、成膜中の水蒸気分圧を1×10-3Pa以下の雰囲気に制御すれば、高温・高湿下での表面抵抗値の変化は生じなくなる。成膜中の水蒸気分圧を1×10-3Pa以下とするためには、成膜を開始する前の到達真空度を1×10-3Pa以下になるように十分に真空度を高めることが重要である。さらに、基板であるプラスチックフィルムに含んでいる水分を、成膜室に導くまでに、十分除去しておくことが重要である。このためには、プラスチックフィルムを真空中で2分間以上暴露した後に、成膜室に導くことが望ましい。
薄膜の材料となる金属酸化物には、この精製工程や成型工程などで、シリコン、アルミニウム、鉄、ジルコニウムなどが混入することがある。これらの不純物が材料に混入していると、薄膜中にもほぼその濃度のまま、混入してしまう。そのため、出来るだけ高純度の材料を用いることが好ましく、さらに好ましくは、純度が99.9質量%以上の材料を用いることが好ましい。
例えば、スパッタリング法にて成膜する場合、薄膜の材料となるターゲットの成分のみから薄膜を形成させることが理想的である。しかしながら、実際には、スパッタリング法にて成膜する際に、成膜装置の構成部材であるステンレスや銅なども、ターゲットの材料と同時に飛ばしてしまうことがある。スパッタリング装置の場合、一番問題となるのが、ターゲットが形成されている土台(バッキングプレート)に用いられる銅板からの銅の混入である。この銅の混入を低減するために、銅板が外部に出ている部分に関しては、グランド電位のシールド板で覆うのが有効である。
JIS−K7105に準拠し、日本電色工業(株)製NDH−1001DPを用いて、光線透過率及びヘイズを測定した。
JIS−K7194に準拠し、4端子法にて測定した。測定機は、三菱油化(株)製 Lotest AMCP−T400を用いた。
厚さ40μmのアイオノマーフィルムを、ポリエステル系接着剤を用いて、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムにラミネートした付着力測定用積層体を作製した。この付着力測定用積層体のアイオノマー面と透明導電性フィルムの透明導電性薄膜面を対向させ、130℃でヒートシールした。この積層体を付着力測定用積層体と透明導電性フィルムとを180度剥離法で剥離し、この剥離力を付着力とした。この時の剥離速度は1000mm/分とした。
ガラス板上にサンプルを密着させ、JIS B0601に準拠し、二次元表面粗さ測定機(東京精密株式会社製、サーフコム300B)を用いて、カットオフ0.8、測定長4mm、触針の荷重4mN、触針速度0.3mm/分の条件で中心線平均粗さ(Ra)を測定した。
透明導電性フィルムおよびこれを用いて作製したタッチパネルを、(株)ナガノ科学機械製作所製のLH43−12Pを用いて85℃、85%RHの雰囲気下で1000時間暴露した。この処理による表面抵抗率の変化をR/Ro(R:85℃、85%RHの雰囲気下で1000時間後の表面抵抗値、R0:初期の表面抵抗値)で求めた。また、タッチパネルが通常どおり動作するか否かも確認した。
高温・高湿試験前後のタッチパネルにおいて、ポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)にペン荷重0.5Nをかけて、入力位置および出力位置のズレを測定した。
光重合開始剤含有アクリル系樹脂(大日精化工業(株)製、セイカビームEXF−01J)を、トルエン/MEK(80/20;質量比)の混合溶媒をもちいて、固形分濃度が50質量%になるように加え、撹拌して均一に溶解し塗布液を調製した。両面に易接着層を有する二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、A4340、厚み188μm)に、最終の塗膜の厚みが5μmになるように、調製した塗布液を、マイヤーバーを用いて塗布し、80℃で1分間乾燥を行った後、紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製、UB042−5AM−W型)を用いて紫外線を照射(光量:300mJ/cm2)し、塗膜を硬化させた。この塗膜を両面に形成した後、180℃で1分間の加熱処理を施して、揮発成分の低減を行った。
酸化スズ5質量%をドーパントとして含有する酸化インジウム(三井金属鉱業(株)製、密度7.1g/cm3)をターゲットとして用いた以外は、実施例1、3および比較例1、3と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、タッチパネルを作製した。
酸化アンチモン5質量%をドーパントとして含有する酸化スズ(三井金属鉱業(株)製、密度5.8g/cm3)をターゲットとして用いた以外は、実施例1および比較例1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。ただし、O2ガスの流量は、表面抵抗値が最小となるように設定した。また、実施例1と同様にして、タッチパネルを作製した。
実施例1と同様にして作製した両面に硬化物層を有するフィルムの一方の面に、下記の屈折率の異なる層を形成した。
実施例1Cと同様にして作製した透明導電性フィルムを、アクリル系粘着剤を介して、厚みが1.0mmのポリカーボネート製のシートに貼り付けて、透明導電性積層シートを作製した。この透明導電性積層シートを固定電極として用い、実施例6の透明導電性フィルムを可動電極に用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した
実施例1において、アクリル系樹脂100質量部に対して、平均粒径が4.5μmのトスパール145(東芝シリコーン社製)を1質量部となるように添加し、分散させた以外は実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性薄膜面の中心線平均粗さ(Ra)は0.24μmであった。さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを製作した。なお、3波長の蛍光灯下で、前記の透明導電性フィルムをガラスに押し付けながらニュートンリングの発生の有無を確認したが、ニュートンリングの発生は全く見られなかった。
表1、2の結果より、実施例1〜9記載の透明導電性フィルムは、高温・高湿試験後でも表面抵抗値の変化が少ないことがわかる。また、これらの透明導電性フィルムを用いたタッチパネルは、高温・高湿試験後でも十分な入力精度を有していることがわかる。
2:ターゲット
3:ターゲットとシールド板との隙間
4:バッキングプレート
5:真空槽壁面
6:電極プレート
7:絶縁スペーサー
8:磁気回路
9:透明導電性フィルム
10:透明プラスチックフィルム(基材)
11:透明導電性薄膜
12:硬化性樹脂からなる硬化物層
13:ガラス板
14:ビーズ
15:粘着剤
16:透明樹脂シート
Claims (7)
- プラスチックフィルム上に、透明導電性薄膜を積層した透明導電性フィルムであって、該透明導電性フィルムの初期の表面抵抗値をR0とし、85℃、85%RHの雰囲気下で1000時間放置後の表面抵抗値をRとしたとき、下記式(1)を満足することを特徴する透明導電性フィルム。
0.8≦R/R0≦1.2 ・・・(1) - 前記透明導電性薄膜がインジウム−スズ複合酸化物からなることを特徴とする請求項1記載の透明導電性フィルム。
- 前記透明導電性薄膜がスズ−アンチモン複合酸化物からなることを特徴とする請求項1記載の透明導電性フィルム。
- プラスチックフィルムと透明導電性薄膜との硬化物層を有し、この硬化物層に粒子を含有し、透明導電性薄膜面の中心線平均粗さ(Ra)が0.1〜0.5μmであることを特徴する請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
- 前記透明導電性フィルムのプラスチックフィルムと透明導電性薄膜との間、または硬化物層と透明導電層の間に、透明導電性薄膜の屈折率よりも、屈折率が低い層を1層以上設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電性フィルムの透明導電性薄膜面とは反対面に、粘着剤を介して透明樹脂シートを貼り合わせることを特徴とする透明導電性シート。
- 前記透明導電性薄膜を有する一対のパネル板を、透明導電性薄膜が対向するようにスペーサーを介して配置してなるタッチパネルにおいて、少なくとも一方のパネル板が請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電性フィルムもしくは透明導電性シートからなることを特徴とするタッチパネル。
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