JP2007054013A - 耐熱性l−スレオニンアルドラ−ゼおよびそれをコードする遺伝子 - Google Patents

耐熱性l−スレオニンアルドラ−ゼおよびそれをコードする遺伝子 Download PDF

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Abstract

【課題】L−threo−DOPSを製造するため、高濃度の基質存在下で効率良く、長期間安定して使用できる酵素触媒として、耐熱性L−スレオニンアルドラ−ゼをコードする遺伝子を単離、提供する。
【解決手段】ストレプトマイセス属細菌から、L−スレオニンアルドラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを単離し、特定の1ないし数個のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されたアミノ酸配列からなり、かつ耐熱性のL−スレオニンアルドラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を得た。
【選択図】なし

Description

本発明は、産業上有用なβ−ヒドロキシアミノ酸誘導体であるL−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリン(以下、L−threo−DOPSと略記する)を合成するのに有利な酵素遺伝子および従来知られていない耐熱性を有するL−スレオニンアルドラーゼを遺伝子工学的手法により提供するものであり、さらに、この遺伝子を導入した組換え微生物を利用した合成反応によって、産業上有用なL−threo−DOPSの製造法を提供するものである。より具体的には、本発明は、L−threo−DOPSの合成に有用な耐熱性のL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子およびその組換えベクターと形質転換体を提供し、この遺伝子を導入した組換え微生物による合成反応により、産業上有用なβ−ヒドロキシアミノ酸誘導体であるL−threo−DOPSの製造法を提供するものである。
β−ヒドロキシアミノ酸誘導体の一種であるL−threo−DOPSは、体内で芳香族アミノ酸脱炭酸酵素により天然型のノルアドレナリンとなり、すくみ足や起立性低血圧に有効なノルアドレナリンの前駆物質として、年間60億円以上の市場があるパ−キンソン病の治療薬である。これらは現在、化学合成法により合成されているが、L−threo−DOPSの化学合成については多段階の面倒な保護・脱保護を必要とし、また、化学合成物質は4種類の異性体の混合物からなり、目的のL−threo−DOPSを得るためには繁雑な分離工程や分割工程を必要とし、非常に高価な医薬品となる。即ち、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドとグリシンを強アルカリ存在下で縮合させ、ラセミ−スレオ/エリスロ−フェニルセリン誘導体を得た後、スレオ/エリスロ体の相互分離処理を行い、エリスロ体を除く。次に、得られたラセミ−スレオ−フェニルセリン誘導体のアミノ酸部分に置換基を導入した後、キニン、ブルシン等の光学分割剤を用いて光学分割を行い、最後にアミノ基部分の置換基を除去しなければならないなど非常に複雑なプロセスである。
一方、酵素による一段階合成法は化学合成と比べ、面倒な保護・脱保護を必要としないなどメリットは大きく、さらに安価な基質を利用することにより安価に合成することができる。酵素による一段階合成法は最も簡単かつ効率的で、近年最も注目され、様々なβ−ヒドロキシアミノ酸の一段階合成に利用されている。酵素による一段階合成法でβ−ヒドロキシアミノ酸誘導体を合成できる酵素としてスレオニンアルドラ−ゼが知られている。スレオニンアルドラ−ゼ(EC 4.1.2.5)は、β−ヒドロキシアミノ酸を分解して、グリシンとアルデヒドを生成する反応を触媒することで知られている酵素である。この酵素は二つの不斉炭素原子を有するスレオニンを基質とした場合、α−位の立体特異性によって、L−タイプとD−タイプに区別される。さらに、β−位の立体特異性によりL−スレオニンにのみ作用するL−スレオニンアルドラ−ゼ、L−アロスレオニンにのみ作用するL−アロスレオニンアルドラ−ゼ、さらにL−スレオニンとL−アロスレオニンの両方に作用する低立体選択性L−スレオニンアルドラ−ゼに分類されている。D−タイプでも同様に分けられる。
スレオニンアルドラ−ゼ活性は、現在まで酵母、放線菌、細菌など種々の微生物に広く見出されている。これまでの研究から、スレオニンアルドラーゼは幅広い範囲のβ−ヒドロキシアミノ酸に対する分解能が高いことが明らかとなっている。また、スレオニンアルドラーゼは前記の逆反応も媒介し、様々なβ−ヒドロキシアミノ酸の一段階合成能力を有することも報告されている(非特許文献1〜3)。そして、産業上の利用に関する観点からは、長期間安定して合成反応に使用できる、より高い熱安定性をもつ酵素が求められている。
しかし、高熱菌[例えば、ピロコッカス・ホリコシOT3(Pyrococcus horikoshi OT3)や、アエロパイラム・ペルニックスK1(Aeropyrum pernix K1)やスルフォロブス・トコダイイ・ストレイン7(Sulfolobus tokodaii strain7)など]の最近のゲノム解析の結果、そのような高熱菌にはL−スレオニンアルドラ−ゼは存在しないことが示唆されていることから、通常の手段では耐熱性のL−スレオニンアルドラ−ゼを入手することは極めて困難である。
酵素法による一段階合成法は最も簡単かつ効率的で、近年最も注目され、様々な物質の合成反応に利用されている。しかし、一段階合成法を用いた合成反応は、平衡の状態が正反応(L−threo−DOPSの分解反応側)に偏っているため、L−threo−DOPS生成量が低くなる問題点や、酵素に対する高濃度の基質による阻害作用の問題、そして酵素自身の不安定性など一段階合成プロセスを用いた合成反応へ利用するには多くの技術解決課題が残されている。
酵素による一段階合成法は、エシェリヒア属等により得られるL−スレオニンアルドラ−ゼや、バチルス属より得られるフェニルセリンアルドラ−ゼに様々なアルデヒド誘導体とグリシンを作用させL−スレオ−フェニルセリン誘導体を得る方法が知られている(特許文献1〜5)。しかし、このような酵素による一段階合成反応に利用されている大体のL−スレオニンアルドラ−ゼは熱安定性が低く、例えば約45〜65℃の比較的高温下におけるL−threo−DOPSの合成反応中に失活してしまい、繰り返し酵素反応を行う際、目的するL−threo−DOPSの合成量が低下する問題点があった。
特公昭52−46313号公報 特公昭51−6239号公報 特公昭54−3952号公報 特公昭54−12554号公報 特開平9−238680号公報 キムラ・ティー(Kimura,T.)他3名、ジヤーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエテイー(J.Am.Chem.Soc.)、1997年、第119巻、p.11734−11742 リウ・ジェイ・キュー(Liu,J.Q)他5名、アプライド・マイクロバイオロジー・アンド・バイオテクノロジー(Appl Microbiol Biotechnol)、1998年、第49巻、p.702−708 日本農芸化学会誌、1998年、第72(5)巻、p.746−747
本発明はβ−ヒドロキシアミノ酸誘導体であるL−threo−DOPSを酵素的合成法により製造するため、高濃度の基質の存在下でも効率良く、しかも、長期間安定して使用できる酵素触媒のL−スレオニンアルドラ−ゼをコードする遺伝子を取得し、そのような遺伝子を導入・発現した組換え微生物の利用により、上記のL−threo−DOPSを合成する方法を提供しようとするものである。
より詳しくは、本発明はL−スレオニンアルドラ−ゼを熱安定化させることにより、L−threo−DOPSの合成反応に酵素の活性低下が防止され、本発明の耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子を含有する菌体を用いる長時間の繰り返し合成反応においても活性低下が少ない技術を提供することを課題とする。すなわち、安定した合成能を保っている耐熱性L−スレオニンアルドラ−ゼを用いて長期間L−threo−DOPSの合成を可能にすることを課題とする。
本発明者らは、放線菌であるストレプトマイセス属から、β−ヒドロキシアミノ酸誘導体であるL−threo−DOPSの合成に関与する遺伝子を取得するべく鋭意検討を行った。その結果、ストレプトマイセス属細菌から取得したL−スレオニンアルドラ−ゼをコードする遺伝子がβ−ヒドロキシアミノ酸誘導体であるL−threo−DOPSの合成に利用できることを見出した。さらに、このストレプトマイセス属細菌から取得したL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子に、例えばランダム変異導入法による変異遺伝子ライブラリーを作製し、該ライブラリーから耐熱性L−スレオニンアルドラーゼを産生する変異株を取得し、さらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1] 下記の(1)、(2)、(3)または(4)に示す遺伝子:
(1)配列番号4、5、6又は7に示す塩基配列からなる遺伝子:
(2)配列番号4、5、6又は7に示す塩基配列のDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ耐熱性のL−スレオニンアルドラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子:
(3)配列番号9、10、11又は12に示すアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子:
(4)配列番号9に示すアミノ酸配列の177番目のチロシン、配列番号10に示すアミノ酸配列の169番目のスレオニン、配列番号11に示すアミノ酸配列の104番目のアスパラギン酸、または配列番号12に示すアミノ酸配列の19番目のイソロイシンが保持され、当核アミノ酸配列9、10、11又は12で示されるアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されたアミノ酸配列からなり、かつ耐熱性のL−スレオニンアルドラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
[2] 下記の(1)又は(2)に示すタンパク質:
(1)配列番号9、10、11又は12に示すアミノ酸配列からなるタンパク質:
(2)配列番号9に示すアミノ酸配列の177番目のチロシン、配列番号10に示すアミノ酸配列の169番目のスレオニン、配列番号11に示すアミノ酸配列の104番目のアスパラギン酸、または配列番号12に示すアミノ酸配列の19番目のイソロイシンが保持され、当核アミノ酸配列9、10、11又は12で示されるアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されたアミノ酸配列からなり、かつ耐熱性のL−スレオニンアルドラーゼ活性を有するタンパク質、
[3] 前項1に記載の遺伝子を含有する組み換えベクター、
[4] 前項3に記載の遺伝子を含有する組み換えベクターを含む微生物、
[5] 宿主が大腸菌である前項4に記載の微生物、
[6] NITE P−116、NITE P−117、NITE P−118およびNITE P−119として、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託された微生物、および
[7] 前項4、5または6に記載の微生物またはその調製物を、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドおよびグリシンを含有する液と接触せしめ、前記液中にL−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンを生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴とするL−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンの製造法、
に関する。
本発明により、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドとグリシンからL−threo−DOPSの合成反応を触媒する耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子が提供される。
また、本発明の耐熱性L−スレオニンアルドラーゼは、該酵素自身が熱に対して安定であるので、これらの耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子を保有する菌体もしくはその調製物を用いて、安定的にL−threo−DOPSを合成することができる。
L−スレオニンアルドラーゼは主としてL−スレオニンをグリシンとアセトアルデヒドに分解する反応を触媒する酵素である。又、この酵素は分解反応以外に逆反応としてグリシンとアセトアルデヒドからL−スレオニンとL−アロスレオニンの合成反応も触媒する酵素である。この逆(合成)反応を利用して、グリシンと3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドからL−threo−DOPSを熱安定的に合成するのが本発明の目的である。従って、L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子に変異を導入して、耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子および該遺伝子を挿入した微生物を創製し、耐熱性L−スレオニンアルドラーゼが微生物内で著量蓄積できれば、L−threo−DOPSの生産に有効に使用できると考えられる。
本発明の耐熱性L−スレオニンアルドラーゼとは、例えば65℃20分の加熱後でも50%以上の残存活性を示すなど、高い耐熱安定性を持つL−スレオニンアルドラーゼをいう。
本発明の耐熱性L−スレオニンアルドラーゼとしては、配列番号9〜12に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質が挙げられる。また、耐熱性L−スレオニンアルドラーゼには、前記配列番号9〜12において、配列番号9に示すアミノ酸配列の177番目のチロシン、配列番号10に示すアミノ酸配列の169番目のスレオニン、配列番号11に示すアミノ酸配列の104番目のアスパラギン酸、または配列番号12に示すアミノ酸配列の19番目のイソロイシンが保持され、当該配列番号9、10、11又は12で示されるアミノ酸配列において、1乃至数個(約2〜20個、好ましくは約2〜10個程度)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ耐熱性L−スレオニンアルドラーゼ活性を有するタンパク質等も含まれる。
L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子に変異を導入するとは、基礎となるL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子の塩基配列中の塩基が1〜数個(約2〜10個)他の塩基に置換、または塩基が付加あるいは削除され、基礎となるL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子から耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子へと変異させることをいう。
上記変異操作に供される基礎となるL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子(以下、変異を導入する基となる遺伝子ともいう。)としては、L−スレオニンアルドラーゼを有する動物、植物、又は微生物由来のいずれの遺伝子でも使用できるが、工業的な利用には微生物由来のものが好ましい。前記微生物としては、例えばストレプトマイセス属(Streptomyces)を好ましく挙げることができる。
変異を導入する基となる遺伝子は、好ましくは、ストレプトマイセス属(Streptomyces)に属す微生物由来のDNA、さらに好ましくは、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)由来のDNA、とりわけ好ましくはストレプトマイセス・セリカラーA3(2)株(以下、親株ということもある。)由来の遺伝子が挙げられる。ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部(日本、木更津市)にストレプトマイセス・バイオラセルーバー(Streptomyces violaceruber)NBRC15146株として保存されており、誰でも入手可能である。
変異を導入する基となる親株由来の遺伝子としては、例えば配列番号3で表される塩基配列のDNAを含む遺伝子を挙げることができる。
ただし、変異を導入する基となる遺伝子は、上記当該の遺伝子に限定されず、例えば配列番号8で表されるアミノ酸配列を含むL−スレオニンアルドラーゼをコードするすべての遺伝子を含む。
変異を導入する基となる遺伝子に変異を導入された耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子としては、例えば配列番号4〜7で表される塩基配列のDNAを含む遺伝子を挙げることができる。
また、前記配列番号4〜7で示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ耐熱性L−スレオニンアルドラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを含む遺伝子も、本発明に用いられる遺伝子である。
なお、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列」とは、例えば配列番号4に示す塩基配列をプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法またはプラーク・ハイブリダイゼーション法などを用いることにより得られるDNAを意味する。なお、ここでいう「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、例えば相同性が高いDNA同士、少なくとも配列番号4で示される塩基配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは約80%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは、約0.1〜2倍程度の濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウムよりなる。)、温度約65℃程度でのハイブリダイズ条件をいう。なお、相同性は塩基配列解析ソフト、例えばEMBOSSなどにより計算され得る。
また、本発明において「遺伝子」または「DNA」という用語には、DNAのみならずそのmRNAおよびcDNAも含むものとする。したがって、本発明の遺伝子には、これらのDNA、mRNAおよびcDNAの全てが含まれる。
本発明において「相補的な配列」とは、L−スレオニンアルドラーゼをコードする塩基配列に対して塩基対合則(アデニン/チミン、シトシン/グアニン)に従って形成される塩基配列をいう。
ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)株からのL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子の取得および変異の導入は、例えば以下の方法により実施することができる。
まず、ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)株を栄養培地で培養し菌体(微生物)を得る。栄養培地は、通常の微生物の培養に使用される培地であればいずれも好ましく用いることができる。
菌体(微生物)からのゲノムDNAの抽出は公知の方法で行なうことができ、また市販のDNA抽出キットを用いて簡便に行なうことができる。市販のDNA抽出キットとしては、例えばPuregene DNA Isolation Kit(Gentra社製)、GFX Genomic Blood DNA Purification Kit(アマシャムバイオサイエンス社製)、MagPrep Bacterial Genomic DNA Kit(Novagen社製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
次に、ストレプトマイセス・セリカラーA3(2)株の全塩基配列はデータベース上で公開されているので、L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子の配列も閲覧することができる(例えばGenBank Accession No.AL645882)。このAccession No.AL645882に示されるL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)のN末端およびC末端配列の塩基配列をもとにオリゴヌクレオチドを設計する。設計したオリゴヌクレオチドをプライマーとして、上記で抽出したゲノムDNAを鋳型にPCRを行い、L−スレオニンアルドラーゼをコードするDNAを得る。このようなプライマーとして例えば配列番号1または2の塩基配列で示されるプライマーが挙げられる。配列番号1の塩基配列で示されるプライマーはL−スレオニンアルドラーゼのN末端配列の上流に制限酵素EcoRIの認識配列を、配列番号2の塩基配列で示されるプライマーはL−スレオニンアルドラーゼのC末端配列の下流に制限酵素BamHIの認識配列をそれぞれ追加したものである。なお、前記認識配列は前記に限定されず、後記するベクターが有する制限酵素部位に含まれる制限酵素の認識配列との関係から適宜選択するのが好ましい。PCR反応は公知のPCR増幅装置、例えばサーマルサイクラー等を利用し得る。PCRのサイクルは、公知技術に従って行なわれてよく、例えばデナチュレーション→アニーリング→エクステンションを1サイクルとして、約10〜100サイクル、好ましくは約20〜50サイクル程度増幅するのが好ましい。
PCRによって得られたDNA断片を制限酵素、例えばEcoRIと制限酵素BamHIなどで処理し、同じく両制限酵素で処理した発現ベクターと連結させることにより発現ベクターを得ることができる。該発現ベクターを公知の方法で例えば大腸菌などの微生物に挿入し上記遺伝子のクローニングを行ない得る。
大腸菌等の微生物への遺伝子の導入および該遺伝子の発現は遺伝子工学実験の常法に基づいて行うことができる。大腸菌や放線菌等の種々の微生物のベクターの情報や外来遺伝子の導入・発現法は、多くの実験書に記載されているので(たとえば、Sambrook,J.,Russel,D.W.,Molecular Cloning A Laboratory Manual,3rd Edition,CSHL Press, 2001; Hopwood,D.A.,Bibb,M.J.,Chater, K.F.,Bruton,C.J.,Kieser,H.M.,Lydiate,D.J.,Smith,C.P.,Ward,J.M.,Schrempf,H.Genetic manipulation of Streptomyces:A laboratory manual,The John Innes Institute,Norwich,UK,1985)、それらに従ってベクターの選択、遺伝子の導入、発現を行うことができる。
クローニングされたストレプトマイセス・セリカラーA3(2)由来のL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子への変異の導入は、市販の変異導入用キットなどを用いることにより簡便に行なうことができる。すなわち、L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子が挿入されたベクターを用いて、変異導入用キットを該キットのプロトコールなどに従い実施することにより、L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子に非常に高い頻度でランダムに変異が導入され、同時に該変異した遺伝子(以下、変異遺伝子という。)がPCRにより増幅され得る。このような変異導入用キットとしては、例えばMutazyme DNA polymeraseを含むGeneMorph Random Mutagenesis Kit(Stratagene製)、GeneTailor(登録商標) Site−Directed Mutagenesis System(インビトロジェン社製)、Mutan(登録商標)−Super Express Km(タカラバイオ株式会社製)またはDiversify PCRランダム突然変異誘発キット(BDバイオサイエンス社製)などが挙げられるがこれに限定されない。変異導入用キットによりL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子に変異が導入され増幅された、変異遺伝子のPCR産物を、DNA精製用キットを用いて精製するのが好ましい。該精製用キットとしては、例えばQIAquick PCR purification Kit(Qiagene社製)、SpinClean(登録商標) PCR Purification Kit(Mbiotech社製)、AMPure(登録商標) PCR産物クリーンアップキット(パーキンエルマー社製)、JETFLEX Genomic DNA Purification kit(Genomed社製)、GFX 96 PCR Purification Kit(Amersham)、AutoSeq G−50(Pharmacia)などが挙げられるがこれに限定されない。精製した変異遺伝子のPCR産物を前述した二種類の制限酵素、例えばEcoRIとBamHIなどで切断した後、アガロースゲル電気泳動にかけて、約1kbpに相当するバンドをゲルから切り出して、更にアガロースゲルからDNAの精製を行うのが好ましい。該精製は、市販キットを使用することができ、例えばQIAquick Gel extraction Kit(Qiagene社製)またはS.N.A.P.UV−Free Gel Purification Kit(Invitrogen社製)などを使用し得るが、これらに限定されない。精製された変異遺伝子のPCR産物は、適当な発現用ベクターに挿入され、次いで変異遺伝子が挿入された発現ベクターを、宿主(菌株)に挿入し、宿主を形質転換し、変異遺伝子ライブラリーを構築し得る。
発現用ベクターとしては、例えば細菌プラスミド(pBluescript SK+、pBluescript KS+、pUC18、pUC19、pBR322、pET 16b、pET 32a(+)、pCITE 4a、pGEX−5X−1、pGEX−5X−3、pMAL−p2、pMAL−c2、pBridge Vecto、pKF18k DNA、pKF19k DNA、pTrc99A(アマシャムバイオサイエンス製)、pSPORT 1、Charmomid 9−36 DNA、pEU−DFR、pIVEX 2.3−MCS、pIVEX 2.4c、pIVEX 2.3、pIVEX 2.4b Nde、pIVEX 2.4aなど)、ファージDNA(ラムダファージなど)、酵母プラスミド(pG−1など)、哺乳類細胞用のベクターとしてのバキュロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルスなどのウイルスDNA、SV40とその誘導体などが挙げられ、宿主において複製可能である限り他のいかなるベクターも用いることができる。
ベクターは例えば複製開始点、選択マーカー、プロモーターを含み、必要に応じてエンハンサー、転写終結配列(ターミネーター)、リボソーム結合部位、ポリアデニル化シグナルなどを含んでいてもよい。ベクターは、種々の制限酵素部位をその内部にもつポリリンカーを含んでいるか、または単一の制限酵素部位を含んでいることが望ましい。制限酵素部位としては、例えばEcoRI、BamHI、PstIサイト、NotIサイト、SalIサイト、KpnIサイトまたはHindIIIサイトなどが挙げられる。これら制限酵素サイトは、各々制限酵素EcoRI、BamHI、PstI、NotI、SalI、KpnIまたはHindIIIなどで切断され得る。
ベクターへの遺伝子導入は、公知の手段で行なうことができる。具体的には、ベクター中の特定の制限酵素部位(例えばEcoRI、BamHIなど)を特定の制限酵素(例えばEcoRI、BamHIなど)によって切断し、その切断部位に本発明の遺伝子を挿入するのが好ましい。このようにして、本発明の遺伝子を含む組換えベクターを調製できる。
宿主としては、例えば細菌、例えば大腸菌(例えば、エシェリヒア・コリJM109菌株など)、コリネバクテリウム属菌、バチルス属菌、ストレプトミセス、枯草菌など;真菌細胞、例えばアスペルギルス属菌株など;酵母細胞、例えばパン酵母、メタノール資化性酵母など;昆虫細胞、例えばドロソフィラS2、スポドプテラSf9など;ヒト培養細胞を含む哺乳類細胞、例えばCHO、COS、BHK、3T3、C127など;あるいはこれらのコンピテントセルなどが挙げられ、好ましくは大腸菌のコンピテントセルである。
形質転換は、例えば塩化カルシウム/塩化ルビジウム法、リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン介在トランスフェクション、電気穿孔法などの公知の方法で行うことができる。
具体的には、例えば上述の変異遺伝子が挿入された発現ベクターとエシェリヒア・コリJM109(以下、大腸菌JM109ともいう。)のコンピテントセルと混合することにより、形質転換された微生物を得ることができる。
上述の変異遺伝子が挿入された発現ベクターにて形質転換された微生物(以下、単に形質転換された微生物または形質転換微生物という。)は下記する微生物培養培地などで、培養温度約20〜40℃、培養時間約1〜7日間、培地のpH約5.0〜8.0程度で培養されることが好ましい。
L−スレオニンアルドラーゼの活性の測定は、例えば以下の様にして行なうことができる。L−スレオニンアルドラーゼのL−threo−DOPSの分解活性は、L−threo−DOPSを含む反応液(以下、分解反応液ともいう。)に、形質転換微生物から調製した無細胞抽出液を添加し、約20〜60℃、好ましくは約40〜50℃、約1〜30分間、好ましくは約10〜15分間反応を行い、生成したグリシンをHPLCにより定量することにより測定することができる。無細胞抽出液としては、形質転換微生物を例えば水媒体中で超音波やガラスビーズなどで破砕した後のL−スレオニンアルドラーゼを含む遠心分離上清などが挙げられる。
L−スレオニンアルドラーゼのL−threo−DOPS合成活性は、形質転換微生物をグリシンと3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドを含む反応液(以下、合成反応液ともいう。)中で、約5〜50℃、好ましくは約10〜20℃、約1〜24時間、好ましくは約4〜6時間反応させ、生成したL−threo−DOPSを例えばODSカラムを用いたHPLC法などにより定量することができる。
分解反応液および合成反応液の基礎となる溶液としては、形質転換された微生物の生育やL−スレオニンアルドラーゼの働きを阻害しない溶液であれば特に制限はなく、例えば微生物培養培地または緩衝液、あるいは水(例えば精製水、蒸留水、イオン交換水等)などが好ましく挙げられる。
微生物培養培地は、通常の微生物の培養に使用される培地であれば好ましく用いることができ、例えば炭素源、窒素源、無機塩類およびその他の栄養物質などを含有する天然培地または合成培地などが用いられる。
炭素源としては、例えばグルコース、フルクトース、シュークロース、マンノース、マルトース、マンニトール、キシロース、ガラクトース、澱粉、糖蜜、ソルビトールまたはグリセリンなどの糖質および糖アルコール、酢酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸またはグルコン酸などの有機酸、エタノールまたはプロパノールなどのアルコールなどが挙げられる。また、所望によりノルマルパラフィンなどの炭化水素なども用いることができる。炭素源は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
これら炭素源の培地における濃度は通常約0.1〜10%(wt)程度である。
窒素源としては、窒素化合物、例えば塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなどの無機もしくは有機アンモニウム化合物、尿素、アンモニア水、硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、コーンスティープリカー、肉エキス、ペプトン、NZ−アミン、蛋白質加水分解物またはアミノ酸などの含窒素有機化合物なども使用可能である。窒素源は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
窒素源の培地濃度は、使用する窒素化合物によっても異なるが、通常約0.1〜10%(wt)程度である。
無機塩類としては、例えばリン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硝酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸コバルトまたは炭酸カルシウムなどが挙げられる。これら無機塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
無機塩類の培地濃度は、使用する無機塩によっても異なるが、通常約0.01〜1.0%(wt)程度である。
栄養物質としては、例えば肉エキス、ペプトン、ポリペプトン、酵母エキス、乾燥酵母、コーンスティープリカー、脱脂粉乳、脱脂大豆塩酸加水分解物または動植物若しくは微生物菌体のエキスやそれらの分解物などが挙げられる。
栄養物質の培地濃度は、使用する栄養物質によっても異なるが、通常約0.1〜10%(wt)程度である。
培地のpHは約5.0〜8.0程度が好ましい。
好ましい微生物培養培地としては、LB(Luria−Bertani培地;トリプトン10g/L、酵母エキス5g/L、食塩10g/L)、NZYM培地、Terrific Broth、SOB培地、2xYT培地、AHC培地、χ1776培地、M9培地、YPD培地、SD培地、YPAD培地またはSuper broth培地などが挙げられる。
緩衝液としては、例えばリン酸バッファー、トリスバッファー、リン酸緩衝食塩水、酢酸緩衝液などが挙げられる。緩衝液のpHは、通常約5〜10、さらに約6.5〜8.5が好ましい。
また、耐熱性L−スレオニンアルドラーゼを産生する変異株を上述の遺伝子ライブラリーから選択するためのスクリーニングは、例えば96穴のディープウェルプレートなどを用いて、少量の培養で迅速に行なうことができる。即ち、前述変異遺伝子ライブラリーのコロニーを、例えばコロニーピッカーなどにより選抜し、該コロニーの菌体(微生物)を、例えば96穴のプレートを用いて約0.1〜0.5mL、好ましくは約0.25mLの微生物培養培地などで培養を行ない、菌体を得る。この菌体とL−スレオニンを含む反応液を約30〜50℃、約10〜120分、好ましくは約30分間反応後、生成したアセトアルデヒドを発色剤(例えば、約15W/V%酢酸アンモニウム、約0.5V/V%酢酸、約20V/V%アセチルアセトンを含む溶液;以下、発色剤において同様である。)と反応させ黄色の発色により、L−スレオニンアルドラーゼ活性の確認を行なう。この一次スクリーニングで活性の確認されたコロニーの菌体(微生物)のみを次の二次スクリーニングに供する。
二次スクリーニングも同様に、例えば96穴のディープウェルプレートなどを用いて、約0.1〜0.5mL、好ましくは約0.25mLの微生物培養培地などで培養を行なう。得られた菌体(微生物)を例えばガラスビーズと共に細胞破砕装置シェイクマスター(バイオメディカルサイエンス社製)などで微生物の細胞破砕後、遠心分離を行い、無細胞抽出液を得、更に約60〜70℃、好ましくは約65℃、約10〜30分、好ましくは約20分間の熱処理を行なう。耐熱性のない酵素はこの段階で失活してしまう。熱処理後の無細胞抽出液とL−スレオニンを含む反応液を約30〜50℃、約10〜120分、好ましくは約60分間反応後、生成したアセトアルデヒドを発色剤と反応させ黄色の発色により、L−スレオニンアルドラーゼ活性の確認を行なう。
前述のスクリーニングにより得られた耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子が導入され形質転換された変異微生物(以下、変異遺伝子導入微生物という。)を得ることができる。この形質転換された微生物の菌株を約50〜200μg/mL、好ましくは約100μg/mLのアンビシリンを含む微生物培養培地(例えばLB培地など)で、約20〜40℃で約1時間〜48時間、静置若しくは攪拌下に培養し、その培養液から遠心分離により菌体(微生物)を回収することにより取得できる。
回収された菌体からプラスミドDNAを抽出する。プラスミドDNAの抽出は、公知の方法で行なうことができ、また市販のDNA抽出キットを用いてプラスミドDNAを簡便に抽出できる。市販のプラスミドDNA抽出キットとしては、例えば、例えばQIAquick plasmid purification kit(Qiagen社製)等が挙げられる。この抽出されたプラスミドDNAの塩基配列を決定することにより、本発明の耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする全DNAを決定することができる。
得られたDNA断片の塩基配列は、例えばジデオキシヌクレオチド酵素法等、公知の方法により決定することができる。また、キャピラリー電気泳動システムを用い、検出には多色蛍光技術を使用して塩基配列を決定することもできる。また、DNAシークエンサー、例えば、ABI PRISM 3700 DNA ANALYZER(アプライドバイオシステム社製)等を使用して自動的に分析して塩基配列を決定することもできる。
上記のようにして、耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードするDNAの塩基配列を決定し、本発明に用いられる遺伝子として、例えば、配列番号4〜7に示す塩基配列を決定し得る。該配列番号4で示される塩基配列を含む遺伝子は、親株由来のL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子の塩基配列(配列番号3)の529番目のシトシンがチミンに変化した遺伝子である。該配列番号5で示される塩基配列を含む遺伝子は、親株由来のL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子の塩基配列(配列番号3)の505番目のグアニンがアデニンに変化した遺伝子である。該配列番号6で示される塩基配列を含む遺伝子は、親株由来のL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子の塩基配列(配列番号3)の310番目のグアニンがアデニンに変化した遺伝子である。該配列番号7で示される塩基配列を含む遺伝子は、親株由来のL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子の塩基配列(配列番号3)の55番目のチミンがアデニンに変化した遺伝子である。
次いで該塩基配列をアミノ酸配列に翻訳して解析し、例えば、配列番号9〜12に示す耐熱性L−スレオニンアルドラーゼの全アミノ酸配列を決定することができる。すなわち、配列番号9で示されるタンパク質のアミノ酸配列は、親株由来のL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子の塩基配列(配列番号3)の529番目のシトシンがチミンに変化することにより、翻訳されるアミノ酸の配列の177番目のアミノ酸残基がヒスチジン残基からチロシン残基に変化したものである。配列番号10で示されるタンパク質のアミノ酸配列は、親株由来のL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子の塩基配列(配列番号3)の505番目のグアニンがアデニンに変化することにより、翻訳されるアミノ酸の配列の169番目のアミノ酸残基がアラニン残基からスレオニン残基に変化したものである。配列番号11で示されるタンパク質のアミノ酸配列は、親株由来のL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子の塩基配列(配列番号3)の310番目のグアニンがアデニンに変化することにより、翻訳されるアミノ酸の配列の104番目のアミノ酸残基がアスパラギン酸残基からアスパラギン残基に変化したものである。配列番号12で示されるタンパク質のアミノ酸配列は、親株由来のL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子の塩基配列(配列番号3)の55番目のチミンがアデニンに変化することにより、翻訳されるアミノ酸の配列の19番目のアミノ酸残基がフェニルアラニン残基からイソロイシン残基に変化したものである。
上述の耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子を含む発現ベクターにて形質転換された微生物(以下、変異遺伝子導入微生物という。)を培養し、得られる変異遺伝子導入微生物を下記する反応に用いるのが好ましい。培養は、上記形質転換微生物の培養条件と同様に行うことができる。例えば好気条件下で約12〜24時間程度実施するのが好ましい。また培養温度は例えばエシェリキア・コリJM109株形質転換体の場合、ポリペプトンや酵母エキス等の炭素源や窒素源、食塩等の無機物を含む培地を用いて、好ましくは約20〜40℃、より好ましくは30〜37℃である。
得られた変異遺伝子導入微生物またはその調製物を、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドとグリシンを含有する液(合成反応液)と接触させ、目的のL−threo−DOPS一段階合成反応を行い生成蓄積せしめる。該合成反応液の基礎となる溶液は、上記した分解反応液および合成反応液の基礎となる溶液と同様のものを用いることができる。
すなわち、本発明のL−threo−DOPSの製造方法において、変異遺伝子導入微生物またはその調製物を用いて、グリシンと3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドから一段階で収率よくL−threo−DOPSを得ることができる。
変異遺伝子導入微生物は、培養液中に存在する状態や培養液から該微生物を分離・濃縮などして使用することもできる。また、変異遺伝子導入微生物の調製物としては、例えばアクリルアミドやカラギーナンなどの担体上に変異遺伝子導入微生物を固定化した固定化微生物、あるいは、凍結乾燥やアセトン処理などによる乾燥微生物などの調製物などが挙げられる。また、前記調製物には変異遺伝子導入微生物に生成蓄積した酵素を抽出し、好ましくは精製などして樹脂担体などに固定化した固定化酵素も含まれる。酵素の精製法は、微生物を超音波やガラスビーズで破砕した後、硫安沈殿、イオン交換およびゲルろ過カラムクロマトといった通常酵素精製に用いられる精製法を組み合わせて行なうことができる。
又、変異遺伝子導入微生物は、紫外線、エックス線または薬品等を用いる人工的な変異手段でさらに変異しうるが、このように得られるどのような変異株であっても本発明の対象とする耐熱性L−スレオニンアルドラーゼ生産能を有するかぎり、本発明の変異遺伝子導入微生物として使用することができる。
合成反応液中に含まれる3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドは、L−スレオニンアルドラーゼの酵素活性を阻害しない程度の濃度で用いられ、通常、合成反応液の約0.1〜10%(wt)程度である。またその供給方法としては分割添加や連続的に添加する方法などで行うことが出来る。
合成反応液中に含まれる他方の反応基質であるグリシンは、通常約0.1〜30%(wt)程度を反応系に存在せしめて使用されるが、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドに対しては等モル以上で使用することが好ましい。グリシンは、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドと同様に合成反応液に添加できる。
合成反応液と変異遺伝子導入微生物またはその調製物との接触は、例えば培養した変異遺伝子導入微生物を遠心分離機やろ過などで集め、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドとグリシンを含有する合成反応液に加えて接触せしめてもよく、また集めた変異遺伝子導入微生物を例えば水媒体中で超音波やガラスビーズなどで破砕した後のL−スレオニンアルドラーゼを含む遠心分離上清または該上清から精製したL−スレオニンアルドラーゼを合成反応液に加える方法であってもよい。また、固定化微生物や固定化酵素を合成反応液と接触させても良い。
合成反応液と変異遺伝子導入微生物またはその調製物との接触方法は、公知の方法、例えばバッチ方式または連続方式(例えば、カラム法、固定化微生物、固定化酵素法等)など、いずれの方法も用いることができる。
また、合成反応液と変異遺伝子導入微生物をフィルターなどにより分離し、変異遺伝子導入微生物を連続的に回収し、繰り返し再使用することもできる。
本発明の反応は、pH約5〜10、特に好ましくは約6.5〜8.5において、温度約5〜60℃、特に約10〜50℃で静置若しくは攪拌下に反応を進行せしめるのが好ましい。反応時間としては、通常1時間〜48時間の範囲が好ましい。
また、本発明の反応は、好気、嫌気いずれの条件でも行なうことができる。また、合成反応液と変異遺伝子導入微生物の反応は、変異遺伝子導入微生物が生存できる条件、例えば上記微生物の培養における条件と同様の条件で実施することが好ましい。
本酵素系には補酵素としてビタミンB6が要求されるため、合成反応液には、例えばピリドキシン、ピリドキサールまたはピリドキサール−5’−リン酸などを添加することが好ましい。該補酵素を添加することにより反応が高められ得る。
また。合成反応液には、所望により例えば2−メルカプトエタノールのような還元剤を添加することもできる。
かくして反応せしめた反応混合物中には、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドとグリシンから両化合物の反応生成物であるL−threo−DOPSが高選択的にかつ高収率(反応条件により一概にはいえないが、約15%d.e.以上、好ましくは約20%d.e.以上、より好ましくは約20〜80%d.e.程度である。)に生成し得る。
合成されたL−threo−DOPSの精製は、公知の方法、例えばイオン交換樹脂、吸着樹脂やシリカゲルなどのクロマト分離、酢酸エチルやトルエンなどの有機溶媒を用いた溶媒抽出、溶解度の差を利用した分別結晶化などを組み合わせて行なうことができる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本発明において配列中、Aはアデニン、Gはグアニン、Cはシトシン、Tはチミンを示す。本明細書において%は特に断らない限り質量%を意味する。
L−スレオニンアルドラーゼ産生株DNAの取得
Streptomyces coelicolor A3(2)からのゲノムDNA抽出には、PUREGENE DNA Isolation Kit(Gentra社製)を用いた。まず、斜面培養したStreptomyces coelicolor A3(2)のコロニーから白金耳を用いて採取した菌体を、ポリペプトン1.0%、酵母エキス0.2%および硫酸マグネシウム0.1%を含む液体培地10mL(pH7.0)に植菌し、30℃、2日間振騰培養した。この5mLの培養液を15mLのファルコンチュ−ブへ移し、10,000rpmで5分間遠心した。上清を捨て、得られたペレットをキットに添付のCell Lysis Solution 3mLに懸濁した。その後、キットの使用説明書に従い、DNAを抽出した。得られたDNAは、DNA Hydration Solution 500μLに溶解し、1μLをアガロ−ス電気泳動してDNAの存在を確認後、4℃または−20℃で保存した。
L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子の増幅
実施例1で取得したStreptomyces coelicolor A3(2)のゲノムDNAよりL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子をPCR反応より増幅するためのプライマーを合成した。即ち、Streptomyces coelicolor A3(2)のゲノム解析の結果得られたL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子の塩基配列はすでに公開されている(GenBank Accession no. AL645882)。この遺伝子のオープンリーディングフレ−ム(ORF)のN末端およびC末端部分の塩基配列を利用し制限酵素の認識配列として、N末端の前にEcoRI認識配列を追加したDNAプライマー配列
5’プライマー:5’-ATATACCATGGAATTCAACCCTCCTAAGACCGACG-3’(配列番号1)
とC末端の後にBamHI認識配列を追加したDNAプライマー配列;
3’プライマー:5’-ATCTAGAGGATCCTCAGCGCGCCATCTCTTCCTTG-3’(配列番号2)
を合成した。
これらのDNAプライマー(配列番号1と配列番号2)を用いて実施例1で得たゲノムDNAを鋳型としてPCRにより増幅を行なう。PCRには、Takara社のLA−PCRキットを用い、2種類のHigh GCバッファーで反応を行った。PCRの条件は以下の通りである。
PCR条件:1μL鋳型ゲノムDNA (387.5ng/μL)、0.5μL(5 U/μL)TaKaRa LA Taq DNA polymerase、 25μL LA−Taq DNA polymerase添付のHigh GCバッファー(I)(1X)、8μL dNTP (各2.5mM)、0.5μL 5’プライマー配列番号1)25pmol/mLおよび0.5μL 3’プライマー(配列番号2)25pmol/mLの混合物に水を加え、総量50μLの溶液を作製し、94℃で2分間熱処理後、94℃で40秒、60℃で30秒、72℃で2分の条件で30サイクルのプログラムで増幅を行い、その後72℃で5分間処理した。また、増幅の確認は1%のアガロ−ス電気泳動で行った。その結果、制限酵素部位を含む1種類のL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子が増幅された(1097bp)。
組換えL−スレオニンアルドラーゼ発現ベクターの作製。
PCRにより増幅されたL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子を、制限酵素EcoRI及びBamHIで切断して分離し、発現ベクターpTrc99A(アマシャムバイオサイエンス製)に挿入することにより発現させた。即ち、実施例2におけるPCRにより増幅されたL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子断片を含むPCR溶液を精製(QIAquick PCR purification kit;Qiagen社製)し、各々10Uの制限酵素EcoRI及びBamHIを用いて37℃で3時間切断反応を行った。反応後の溶液を1%(W/V)濃度のアガロ−スゲル電気泳動により分離し、1081bpに相当するバンドをゲルより切り出してQIAquick Gel extraction kit(Qiagen社製)により精製した。
次に1μgのpTrc99A(アマシャムバイオサイエンス製)を各10Uの制限酵素EcoRI及びBamHIを用いて37℃で一晩静置し、pTrc99Aの制限酵素部位の切断反応を行った。反応後の溶液を0.7%(W/V)濃度のアガロ−スゲル電気泳動により切断を確認し、QIAquick PCR purification kit(Qiagen社製)により精製し,30μLのトリス−塩酸緩衝液(10mM,pH8.5)に溶解した。
制限酵素EcoRI及びBamHIで切断して得た1081bpのL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子断片を含む溶液8μLとEcoRI及びBamHIで切断して得たpTrc99Aの溶液8μLをLigation high(TOYOBO社製)と混合し、16℃で5時間連結反応を行った。反応後の溶液5μLを用いて大腸菌JM109を形質転換した。形質転換した大腸菌JM109を含む溶液を100μg/mLのアンピシリン、0.1mMのIPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド)および0.004%のX−galを含むLB寒天培地上に塗布し、37℃で一晩培養してコロニーを形成させた。それぞれについて白色の陽性コロニーを選択し、3mLの100μg/mLのアンピシリンを含んだLB液体培地に植菌し、37℃で一晩培養した。培養液を遠心分離して集菌後、QIAquick plasmid purification kit(Qiagen社製)により約2μgのプラスミドDNAを精製した。そのうち約0.5μgのプラスミドDNAをEcoRI及びBamHIで切断し、1%(W/V)濃度のアガロ−スゲル電気泳動により1081bpに相当する挿入断片の存在を確認した。さらに挿入断片の塩基配列をシークエンス反応により確認したところ、変異は認められなかった。この発現プラスミドをplth−SCA3(2)とした。
組換えL−スレオニンアルドラーゼの大腸菌での発現および活性測定
挿入断片が確認されたplth−SCA3(2)ベクターを挿入した大腸菌JM109株(この形質転換体は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託されている。寄託番号:受託番号NITE P−111)を100μg/mLのアンピシリンを含む3mLのLB培地に植菌し、一晩37℃で培養した。この培養液のうち、0.1mLを10mLのLB培地(100μg/mLのアンピシリンを含む)に接種した。約3時間後、培養液のOD600が0.4〜0.7に上昇したことを確認後、最終濃度で2mMになるように1MのIPTGを培地に添加し組換えL−スレオニンアルドラーゼの大腸菌での発現を誘導させた。その培養液をさらに、一晩37℃で培養し、培養液を10000×g、5分間の遠心操作により細胞を沈殿させ、上清を除いた後、0.85%のNaClで1回洗浄した。遠心操作により細胞を沈殿させた後、ビーズ衝撃法細胞破砕装置Beads Homogenizer Model BC−20(4℃,3分,セントラル科学貿易製)でその菌体を2回破壊した。20000×gで10分間遠心した後、その上清を粗酵素液としてL−スレオニンアルドラーゼの分解活性を調べた。反応液の組成は100μLのL−threo−DOPS(1mg/mL),25μLのピリドキサール−5’−リン酸(0.6μg/mL)および1μLのメルカプトエタノール(2−Mercaptoethanol)を水で150μLとし、この150μLの反応液に50μLの粗酵素液(多段階希釈により許容範囲に合わせた)を加え50℃で10分間酵素反応を行い,3倍量のメタノールを加えることにより反応を停止させた。L−threo−DOPSの分解産物であるグリシンの生成量は液体クロマトグラフ分析法(以下HPLCと言う;、日立L2000シリーズ、日立製作所製)でポストカラム分析法を用いて測定した。HPLC分析は、COSMOSIL 5C18−MS(Φ4.6×150mm)カラム、カラムおよび反応コイル温度20℃,移動相は0.1% 1−ヘプタンスルホン酸Na/メタノール[10:1(V/V)],ポスト反応液組成は、ミリ−Q水1Lに対しホウ酸21.64g、水酸化ナトリウム12g、2−メルカプトエタノール 2mL、OPA(オルトフタルアルデヒド;800mg/15mLエタノール)、Briji−35(ポリオキシエチレンラウリルエーテル;0.25g/2mLエタノール)を添加し行った。HPLCの流速は移動相および反応液共に0.75mL/分で、分離産物の検出はλex/em=340/450nmの蛍光で分析した。このHPLCによるグリシンの分析範囲は0.1μg/mL以下である。酵素活性は50℃における1分間あたり1μmolのグリシンの生成量を1単位とした。その結果、Streptomyces coelicolor A3(2)のゲノムDNAよりクロ−ニングしたL−スレオニンアルドラーゼは、粗酵素1mgあたり154単位のL−スレオニンアルドラーゼ分解活性を示すことがわかった。
また、分解活性が確認されたStreptomyces coelicolor A3(2)由来の L−スレオニンアルドラーゼによる合成反応の目的物質であるL−threo−DOPSの合成活性を調べた。即ち、plth−SCA3(2)ベクターを含む大腸菌JM109株を100μg/mLのアンピシリンを含む3mLのLB液体培地に植菌し、一晩37℃で培養した。この培養液のうち、0.5mLを50mLのLB培地(100μg/mLのアンピシリンを含む)に接種した。約3時間後、培養液のOD600が0.4〜0.7に上昇したことを確認後、最終濃度で2mMになるように1MのIPTGを添加しL−スレオニンアルドラーゼの大腸菌での発現を誘導させた。その培養液をさらに、一晩37℃で培養し、培養液を10000×g,10分間の遠心操作により細胞を沈殿させ、上清を除いた後、0.85%のNaCl水溶液で1回洗浄した。遠心操作により細胞を沈殿させた後、その菌体を用い合成反応を行った。反応液の組成は1gのグリシン、100mgの3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、10μLのメルカプトエタノール(2−Mercaptoethanol)、250μLのピリドキシサ−ル−5’−リン酸(PLP;0.6mg/mL)、4.74mL 0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)、0.0158gの亜硫酸ナトリウム、0.0375gのTriton X−100に溶解し、1N塩酸で最終pHを6.5にした。この反応液に−80℃で凍結保存しておいた上記遠心分離操作により得た菌体を加え15℃で5時間酵素反応を行い、3倍量のメタノールを加えることにより反応を停止させた。合成産物であるL−threo−DOPSの合成量はHPLC(日立L2000シリ−ズ、日立製作所製)で測定した。HPLC分析は、COSMOSIL 5C18−MS(Φ4.6×150mm)カラム、カラム温度30℃,移動相は0.1% 1−ヘプタンスルホン酸(pH2.5)/メタノール/1,4−ジオキサン=[500:50:15(V/V/V)]で行った。HPLCの移動相流速は0.75mL/分で、分離産物の検出はUV=220nmの吸光で分析した。その結果、Streptomyces coelicolor A3(2)のゲノムDNAよりクロ−ニングしたL−スレオニンアルドラーゼは、菌体培養液1Lあたり0.4gのL−threo−DOPSの合成活性能を有する酵素であることがわかった。なお反応液1Lあたりの合成量は4gであった。
ランダム変異導入法による変異遺伝子ライブラリーの作製
作製したplth−SCA3(2)を用いてGeneMorph Random Mutagenesis Kit(Stratagene製)のプロトコールに従いランダムに変異を導入することにより点変異遺伝子ライブラリーを構築した。このKitに含まれているMutazyme DNA polymeraseは従来のTaq DNA polymeraseと比べ非常に高い頻度で変異を導入することができ、さらに初期のベクターの濃度を制御することにより導入される変異の頻度を制御できる。そこで実施例3で作製したplth−SCA3(2)を鋳型としてPCRを行うことにより導入される変異を制御した。このときplth−SCA3(2)の濃度を50ng/μL、250ng/μL、さらに500ng/μLの三つの濃度でPCRを行うことにより導入される変異を制御した。このときプライマーはクロ−ニングの時と同様にN末端の前にEcoRI認識配列を追加した5’プライマー(配列番号1)とC末端の後にBamHI認識配列を追加した3’プライマー(配列番号2)を用いて行った。変異PCRの条件は以下の通りである。
変異PCR条件:1μL鋳型DNA 50ng/μL(250ng/μL、500ng/μL)、1μL(2.5U/μL)Mutazyme DNA polymerase、25μL GeneMorph Random Mutagenesis Kitに添付の反応バッファー(1X)、8μL dNTP 0.2mM、0.5μL 5’プライマー(配列番号1)25pmol/mLおよび0.5μL 3’プライマー(配列番号2)25pmol/mLの混合物に水を加え、総量50μLの溶液を作製し、96℃で秒30秒間熱処理後、96℃で30秒、60℃で30秒、72℃で1分15秒、30サイクルのプログラムで増幅を行い、その後72℃で10分間処理した。増幅反応後の溶液10μLを1%濃度のアガロ−スゲル電気泳動を行った結果、目的とした約1kbpのL−スレオニンアルドラーゼをコードするDNA断片が増幅されていることを確認した。
次に、ランダム変異導入法により増幅した変異PCR産物を大腸菌JM109に導入し、変異遺伝子ライブラリーを構築した。即ち、変異型L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子を含むPCR溶液をQIAquick PCR purification kitにより精製(Qiagen社製)し、精製した変異PCR産物全量を各々20Uの制限酵素EcoRI及びBamHIを用いて37℃で一晩切断反応を行った後、1%(W/V)濃度のアガロ−スゲル電気泳動により分離し、約1kbpに相当するバンドをゲルより切り出してQIAquick Gel extraction kit(Qiagen社製)により該バンド部分のDNAを精製後、30μLのトリス−塩酸緩衝液(10mM,pH8.5)に溶解した。次に1μgのpTrc99Aを各10Uの制限酵素EcoRI及びBamHIを用いて37℃で一晩静置し、pTrc99Aの制限酵素部位の切断反応を行い、反応後の溶液をQIAquick PCR purification kitにより精製(Qiagen社製)し、30μLのトリス−塩酸緩衝液(10mM,pH8.5)に溶解した。精製したEcoRIとBamHIで切断した約1kbpに相当するDNA部分のDNA溶液8μLと2μLの EcoRIとBamHIで切断したベクターpTrc99Aを5μLのLigation high(TOYOBO製)と混合し、16℃で一晩連結反応を行った。連結反応後の溶液5μLを用いて大腸菌JM109を形質転換させ変異遺伝子ライブラリー作製した。
耐熱性L−スレオニンアルドラーゼのハイスルプットスクリ−ニング
変異遺伝子ライブラリーのコロニーをコロニーピッカー(GENETIX、ビ−エム機械社製)によりランダムに約12592株を選抜し、一次スクリーニングへ供した。一次スクリーニングは2mL容量の96穴の角型ディープウェルプレート(Whatman製)を用い、100μg/mLのアンピシリンを含む250μLのLB液体培地に植菌し、96穴の角型プレ−ト振動機(Titramax 1000,HEIDOLPH社製)で一晩培養した(30℃、600rpm)。96穴の角型ディープウェルプレートを2500rpmで10分間遠心することにより菌体を分離し、−80℃で1時間処理した。菌体を用いた酵素反応は菌体に250μLのL−スレオニン(2mg/mL)を添加し50℃で30分間振動させながら反応を行った。この菌体反応によりL−スレオニンはグリシンとアセトアルデヒドに分解される。活性を有する変異酵素の選別は反応後の液と同量の発色剤(Nash’s試薬:15%(W/V)酢酸アンモニウム、0.5%(V/V)酢酸および20%(V/V)アセチルアセトン)を添加し50℃で30分間振動させながら行った。酵素活性を有するコロニーはアセトアルデヒドの発色試薬により黄色に発色する。その結果、2769のコロニーについて黄色(吸光度:388nm)の発色が観察された。
一次スクリ−ニングの結果、活性を示している2769株を対象に熱処理を加えた後に酵素基質と発色剤を加え、2次スクリ−ニングへ供し、残存活性により発色するコロニーを選択した。即ち、一次スクリ−ニングの結果、L−スレオニン分解活性を示している2769株を96穴の角型ディープウェルプレート(Whatman製)の100μg/mLのアンピシリンを含む250μLのLB液体培地に植菌し、96穴の角型プレ−ト振動機(Titramax 1000,HEIDOLPH社製)で一晩培養した(30℃、600rpm)。96穴の角型ディープウェルプレートを2500rpmで10分間遠心することにより菌体を分離した。その菌体をプレートビーズ衝撃法多検体細胞破砕装置シェイクマスター Ver 1.2(15分,バイオディカルサイエンス製)で破壊した。遠心(2500rpm、10分)により得られた上澄みを粗酵素液とし、96穴の角型アッセイプレートに50μLずつ分注した後、65℃で20分間熱処理を行った。熱処理後の96穴の角型アッセイプレートに50μLのL−スレオニン(2mg/mL)を添加し50℃で60分間振動させながら酵素反応を行った。活性を有する変異酵素の選別は反応後の液と同量(100μL)の発色剤[Nash’s試薬:15%(W/V)酢酸アンモニウム、0.5%(V/V)酢酸および20%(V/V)アセチルアセトン]を添加し50℃で30分間振動させながら行った。その結果、11のコロニーについて黄色(吸光度:388nm)の発色が観察された。
耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子の単離および塩基配列の解析
2次スクリ−ニングの結果、強い発色を示した耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子をもつ大腸菌JM109をLB液体培地3mLで培養し、プラスミドをQIAprep plasmid purification Kit(キアゲン製)で抽出した。シ−クエンス反応は、GeneAmp PCR System 9700(アプライドバイオシステム社製)、 Dyeterminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit (アプライドバイオシステム社製)を用い、96℃ 10秒、50℃ 5秒、60℃ 4分、25サイクルで行った。反応生成物のシ−クエンスは全自動シークエンサー ABI Prism 3100 DNA Analyzer(アプライドバイオシステム社製)にて解析することにより決定した。
その結果強い発色を示した4種類の異なる耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子配列は親株のL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子に比べ、それぞれ、親株の塩基配列(配列番号3)の529番目のシトシンがチミンに(H44:表1記載の変異株)、同塩基配列の505番目のグアニンがアデニンに(I1−94:表1の変異株)、同塩基配列の310番目のグアニンがアデニンに(5A2−84:表1の変異株)および同塩基配列の55番目のチミンがアデニンに(F8:表1の変異株)に変化していた。これらのことをアミノ酸配列に翻訳すれば、親株の塩基配列(配列番号3)の529番目のシトシンがチミンに変化することにより、翻訳されるタンパク質のアミノ酸の配列の177番目のアミノ酸残基がヒスチジン残基からチロシン残基に(H44)、親株の塩基配列(配列番号3)の505番目のグアニンがアデニンに変化することにより、翻訳されるタンパク質のアミノ酸の配列の169番目のアミノ酸残基がアラニン残基からスレオニン残基に(I1−94)、親株の塩基配列(配列番号3)の310番目のグアニンがアデニンに変化することにより、翻訳されるタンパク質のアミノ酸の配列の104番目のアミノ酸残基がアスパラギン酸残基からアスパラギン残基に(5A2−84)、親株の塩基配列(配列番号3)の55番目のチミンがアデニンに変化することにより、翻訳されるタンパク質のアミノ酸の配列の19番目のアミノ酸残基がフェニルアラニン残基からイソロイシン残基に(F8)に変化していた。この4種類の耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子の配列を(変異株名:H44,I1−94,5A2−84およびF8に対応して)配列番号4、5、6及び7に示す。
独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託されている。寄託番号:受託番号NITE P−116、NITE P−117、NITE P−118およびNITE P−119。
耐熱性L−スレオニンアルドラーゼ変異酵素の各熱処理温度における安定性
実施例7記載の耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子を含む大腸菌JM109(寄託番号:受託番号NITE P−116、NITE P−117、NITE P−118およびNITE P−119)を100μg/mLのアンピシリンを含むLB液体培地3mLに植菌し、一晩30℃で振とう培養を行った。その振とう培養液500μLを50mLのLB液体培地(100μg/mLのアンピシリンを含む)に植菌し、30℃、約5時間後(OD600=0.6〜0.8)に最終濃度が2mMになるように500μLの1M IPTGを無菌添加しさらに30℃で一晩振とう培養した。その培養液を10000×gで5分間遠心分離し、培養上清を除いた後、0.85%のNaClで1回洗浄した。同様に遠心操作により細胞を沈殿させた後、ビ−ズ衝撃法細胞破砕装置Beads Homogenizer Model BC−20(4℃,3分,セントラル科学貿易製)でその菌体を2回破壊した。20000×gで10分間遠心した後、その上清を粗酵素液として100μLを1500μL容サンプリングチュ−ブに入れ40℃、50℃、60℃、65℃で20分間熱処理した。低立体選択性L−スレオニンアルドラーゼの残存活性は、反応液150μL[100μLのL−threo−DOPS(1mg/mL)、25μLのPLP(0.6μg/mL)、1μLのメルカプトエタノール(2−Mercaptoethanol)]に50μLの熱処理したそれぞれの粗酵素液(多段階希釈により許容範囲に合せた)を加え50℃で10分間酵素反応を行なった。10分後、3倍量のメタノールを加えることにより反応を停止させた。L−threo−DOPSの分解産物であるグリシンの生成量は液体クロマトグラフ分析法(以下HPLCと言う、日立L2000シリ−ズ、日立製作所製)でポストカラム分析法を用いて測定した。HPLC分析は、COSMOSIL 5C18−MS(Φ4.6×150mm)カラム、カラムおよび反応コイル温度20℃、移動相は0.1% 1−ヘプタンスルホン酸Na/メタノール[10:1(V/V)]、ポスト反応液組成は、ミリ−Q水1Lに対しホウ酸21.64g、水酸化ナトリウム12g、2−メルカプトエタノール 2mL、OPA(800mg/15mLエタノール)、Briji−35(0.25g/2mLエタノール)を添加し行った。HPLCの流速は移動相および反応液共に0.75mL/分で、分離産物の検出はλex/em=340/450nmの蛍光で分析した。このHPLCによるグリシンの分析範囲は0.1μg/mL以下である。熱安定性は、50℃における1分間あたり1μmolのグリシンの生成量を1単位とした酵素活性を求め、熱処理前のStreptomyces coelicolor A3(2)(親株)のL−スレオニンアルドラーゼの活性値を100%とし、各処理温度について熱処理後の相対活性(%)を算出し表1に示した。
Figure 2007054013
表1で明らかなように、Streptomyces coelicolor A3(2)のL−スレオニンアルドラーゼが、65℃で20分間処理することにより10.6%しか残存活性を示さないことに対し、本発明の耐熱性L−スレオニンアルドラーゼであるH44は85.7%、F8は58.6%、5A2−84は62.1%、I1−94は67.6%の残存活性を示した。
耐熱性L−スレオニンアルドラーゼの繰り返し利用によるL−threo−DOPSの製造
L−threo−DOPSの一段階合成において、耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子を導入された大腸菌の菌体反応によるL−threo−DOPS合成反応後、この菌体を回収し再度L−threo−DOPS合成反応に供する方法で行った。即ち、実施例7記載の耐熱性L−スレオニンアルドラーゼのうち、変異酵素H44が最も高い熱安定性を示した事から、繰り返し合成反応は親株由来のL−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子を含む大腸菌(寄託番号:受託番号NITE P−111)と耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子であるH44を含む大腸菌寄託番号:受託番号NITE P−116)とのL−threo−DOPS合成反応を比較した。反応液の組成は1gのグリシン、100μgの3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、10μLのメルカプトエタノール(2−Mercaptoethanol)、250μLのピリドキシサ−ル−5’−リン酸(PLP、0.6mg/mL)、4.74mL 0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)、0.0158gの亜硫酸ナトリウムおよび、0.0375gのTriton X−100を混合溶解し、1N塩酸で最終pHを6.5にした。この反応液に−80℃で凍結保存しておいた菌体(培養液50mL相当分)を加え15℃で5時間酵素反応を行なわせ、反応後の反応液を遠心分離(10000×g、10分)により菌体を回収し、この菌体を繰り返し新鮮な反応液に懸濁し、再度同様の条件でL−threo−DOPS合成反応を行った。この操作を20回繰り返し、合計100時間合成反応を行った結果、L−threo−DOPSの合成量は図1に示すように1回目のL−threo−DOPSの合成能は、親株と耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子導入微生物(H44株)は、共に同様のL−threo−DOPS合成能を示し、尚かつ11回目の繰り返し反応までその合成能に変化は見られなかった。しかし、親株由来のL−スレオニンアルドラーゼの場合、12回目の反応、即ち60時間後からのL−threo−DOPSの合成量が減少し、20回目に L−threo−DOPSの濃度は1回目の反応で得られたL−threo−DOPSの濃度(4000μg/mL)の半分である2042μg/mLであるのに対して、耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子であるH44の遺伝子を含む大腸菌では1回目の反応で得られたL−threo−DOPSの濃度の91%に相当する3550μg/mLとなった。このことから、耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子であるH44の遺伝子を含む大腸菌の繰り返し利用によりL−threo−DOPSを高い合成効率で製造することが可能であることが示された。なおこのような耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子であるH44の遺伝子を含む大腸菌を用いた繰り返し合成反応により合成されたL−threo−DOPSの総合成量は71g/Lであった。
本発明の遺伝子は、耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子として有用である。該遺伝子を挿入した微生物を用いる本発明のL−threo−DOPSの製造法は、医薬品として有用なL−threo−DOPSを煩雑な分離精製工程を行うこともなく工業的に有利に製造できる。
親株のStreptomyces coelicolor A3(2)株および耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子導入微生物(H44)株を用いたL−threo−DOPSの繰り返し合成反応を示す図である。図中−○−はStreptomyces coelicolor A3(2)株を、−◆−は耐熱性L−スレオニンアルドラーゼをコードする遺伝子導入微生物(H44)株を示す。

Claims (7)

  1. 下記の(1)、(2)、(3)または(4)に示す遺伝子:
    (1)配列番号4、5、6又は7に示す塩基配列からなる遺伝子:
    (2)配列番号4、5、6又は7に示す塩基配列のDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ耐熱性のL−スレオニンアルドラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子:
    (3)配列番号9、10、11又は12に示すアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子:
    (4)配列番号9に示すアミノ酸配列の177番目のチロシン、配列番号10に示すアミノ酸配列の169番目のスレオニン、配列番号11に示すアミノ酸配列の104番目のアスパラギン酸、または配列番号12に示すアミノ酸配列の19番目のイソロイシンが保持され、当核アミノ酸配列9、10、11又は12で示されるアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されたアミノ酸配列からなり、かつ耐熱性のL−スレオニンアルドラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
  2. 下記の(1)又は(2)に示すタンパク質:
    (1)配列番号9、10、11又は12に示すアミノ酸配列からなるタンパク質:
    (2)配列番号9に示すアミノ酸配列の177番目のチロシン、配列番号10に示すアミノ酸配列の169番目のスレオニン、配列番号11に示すアミノ酸配列の104番目のアスパラギン酸、または配列番号12に示すアミノ酸配列の19番目のイソロイシンが保持され、当核アミノ酸配列9、10、11又は12で示されるアミノ酸配列において1乃至数個のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されたアミノ酸配列からなり、かつ耐熱性のL−スレオニンアルドラーゼ活性を有するタンパク質。
  3. 請求項1に記載の遺伝子を含有する組み換えベクター。
  4. 請求項3に記載の遺伝子を含有する組み換えベクターを含む微生物。
  5. 宿主が大腸菌である請求項4に記載の微生物。
  6. 受託番号NITE P−116、NITE P−117、NITE P−118およびNITE P−119として、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託された微生物。
  7. 請求項4、5または6に記載の微生物またはその調製物を、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド及びグリシンを含有する液と接触せしめ、前記液中にL−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンを生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴とするL−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンの製造法。

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