JP2007051734A - ボルト・ナットの緩み止め構造 - Google Patents

ボルト・ナットの緩み止め構造 Download PDF

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Abstract

【課題】 再生利用もでき、しかも緩み止め構造としての信頼度が格段に高いボルト・ナットの緩み止め構造を提供する。
【解決手段】 本発明のボルト・ナット緩み止め構造は、その軸線に直交する方向に伸びる一条以上の溝1bが形成されるボルト1と、その軸線に直交する方向に伸びる一条以上の溝2bが形成されるナット2と、ボルト・ナットに差し込まれ、ナット2が緩むのを防止するロック・キー部材3と、を備える。ロック・キー部材3は、ボルト1の溝1b、及びナット2の溝2bに差し込まれる本体部3aと、ナット2に当たって本体部3aのボルト・ナットへの差し込みを停止させるストッパ3bと、本体部3aに設けられた係止爪3cと、を有する。係止爪3cは、本体部3aがボルト・ナットに差し込まれるときに弾性変形する一方、本体部3aがボルト・ナットに差し込まれた後に姿勢復元して本体部3aがボルト・ナットから抜けるのを防止する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ボルトに螺合されたナットの緩みを止めるボルト・ナットの緩み止め構造に関し、特に機械式ロック方式のボルト・ナットの緩み止め構造に関する。
ボルト・ナットの緩み止め構造としては、摩擦力を増大させる方式と、機械式ロック方式の二種類がある。前者の代表的なものとしては、ダブルナットやスプリングナットがある。後者の代表的なものとしては、割りピンと併用するJIS準拠の溝付きナットがある。
後者の機械式ロック方式の緩み止め構造を詳しく説明する。まず、比較的細い線状のピン又は割りピン、溝付きナット、及び横穴を穿孔したボルトを用意し、ボルトの横穴と溝付きナットの溝の向きとを一直線にしたうえ、ピン又は割りピンを溝付きボルトの横穴及び溝付きナットの溝に挿通して、ナットが回るのを制限する。そして、ピン又は割りピンの先端部を折り曲げて、ピン又は割りピンがボルト・ナットから抜けるのを防止する。
しかし、従来の機械式ロック方式の緩み止め構造には、折り曲げられたピンの先端部が塑性変形しているので、一度使用したピンを増し締めに際して再利用できないという欠点がある。この欠点を解決するために、特許文献1には、割りピンの先端に弾性変形できる係止部を設け、割りピンをボルトの通孔に挿通するときは係止部を弾性変形させる一方、通孔に挿通した後は係止部を復元させて割りピンが抜けるのを防止する緩み止め構造が開示されている(特許文献1、段落番号0005を参照)。同様の構造の割りピンは、特許文献2にも開示されている。
実開平7−16016号公報 特開平9−203405号公報
しかし、特許文献1及び2に記載の割りピンにあっては、細い線状の同一断面の部材を折り曲げて、割りピン及び係止部を形成しているので、弾性変形させる係止部と割りピンの強度が同じになり、割りピンの強度を大きくすることができない。それゆえ、ナットに強い回転力が働いた場合、ボルトとナットの境で発生する剪断力によって割りピンが破断するおそれがある。つまり、この割りピンを使用したボルト・ナットの緩み止め構造は、ナットに強力な戻り回転力がかかるところに使用することができず、その信頼度が低くなる。
そこで本発明は、再生利用もでき、しかも緩み止め構造としての信頼度が格段に高いボルト・ナットの緩み止め構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、その軸線に直交する方向に伸びる一条以上の溝又は貫通孔が頭部に形成されたボルトと、その軸線に直交する方向に伸びる一条以上の溝が一方の座面に形成されたナット、又はその軸線に直交する方向に伸びる一条以上の貫通孔が側面に形成されたナットと、前記ボルトの溝又は貫通孔の向きと、前記ナットの溝又は貫通孔の向きとが同期する時に現れるボルト・ナットを横貫する連通孔に差し込まれ、前記ナットが緩むのを防止するロック・キー部材と、で構成するボルト・ナットの緩み止め構造であって、前記ロック・キー部材は、前記ボルト・ナットを横貫する前記連通孔に差し込まれる本体部と、前記ナットの外縁に当接して前記本体部の前記連通孔への差し込みを停止させるストッパと、前記本体部に設けられた係止爪と、を有し、前記係止爪は、前記本体部が前記連通孔に差し込まれるときに弾性変形する一方、前記本体部が前記連通孔に差し込まれて所定位置に到達した後に姿勢復元して前記本体部が前記連通孔から抜けるのを防止することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のボルト・ナットの緩み止め構造において、その軸線に直交する方向に伸びる一条以上の貫通孔を設けた前記ボルトにおいて、前記貫通孔の向きと同期する切り欠き溝を前記ボルトの頭頂部に刻設したことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のボルト・ナットの緩み止め構造において、その軸線に直交する方向に伸びる一条以上の溝が一方の座面に形成されたナット、又はその軸線に直交する方向に伸びる一条以上の貫通孔が側面に形成されたナットにおいて、当該ナットの他方の座面に、当該溝又は当該貫通孔の向きと同期する切り欠き溝が刻設されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のボルト・ナットの緩み止め構造において、前記ロック・キー部材の係止爪は、前記ナットの内周面のねじ谷部に係合して前記本体部が前記ボルト・ナットを横貫する前記連通孔から抜けるのを防止することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のボルト・ナットの緩み止め構造において、前記ロック・キー部材の全長は、前記ボルト・ナットを横貫する前記連通孔の全長に対し、少なくとも10%以上長いことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のボルト・ナットの緩み止め構造において、前記ロック・キー部材の全長は、前記ボルト・ナットを横貫する前記連通孔の全長と略一致することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のボルト・ナットの緩み止め構造において、前記ナットは、角型ナットであることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のボルト・ナットの緩み止め構造において、前記ナットは、丸型ナットであることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のボルト・ナットの緩み止め構造において、前記ナットは、角型部と丸型部とを併設して成るナットであることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1ないし9のいずれかに記載のボルト・ナットの緩み止め構造において、前記ロック・キー部材の本体部の断面積は、前記係止爪の断面積に比べて格段に大きいことを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項1ないし10のいずれかに記載のボルト・ナットの緩み止め構造において、前記ロック・キー部材の本体部の断面形状は、角型又は略角型であることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、ボルト・ナットの境で発生する大きな剪断力を受ける機能を、本体部に持たせる一方、ロック・キー部材がボルト・ナットから抜けるのを防止する機能を、弾性変形する係止爪に持たせているので、再生利用ができ、しかも緩み止め構造としての信頼性が格段に高いボルト・ナットの緩み止め構造が得られる。
請求項2に記載の発明によれば、作業者は、この切欠き溝を目印にして、ボルトの頭部側に立っただけでボルトに穿設された貫通孔の向きと条数を知ることができる。そして作業者は又、この切欠き溝を目印にして、後でロック・キー部材を差し込むべきボルト・ナットを横貫する連通孔の位置も簡単に知ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、作業者は、この切欠き溝を目印にして、ボルトの頭部側に立っただけでナットの裏面の溝又は貫通孔の向きと条数を知ることができるので、ボルトの溝又は貫通孔と突き合わせてボルト・ナットを横貫する連通孔を構成する作業がし易くなる。そして作業者は又、この切欠き溝を目印にして、増し締めをした場合のナットの締め込み回転ストローク長を読み取ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、ロック・キー部材の係止爪がナットの内周面のねじ谷部に係合するので、ナットの外側から見ただけでは、係止爪の係合を外す方法が簡単には理解できない。それゆえ、ロック・キー部材に封をしたようになり、いたずらで簡単にロック・キー部材を取り外すことができない。
請求項5に記載の発明によれば、作業者にロック・キー部材の取り付けを失念させないことができる。また、ナットが緩みなく正しく取り付けられているかどうかは、ナットから突き出したロック・キー部材の姿・所在を遠方より目視で確認すればよく、個々のボルト・ナットに取り付いてのメンテナンス作業を省略できる。
請求項6に記載の発明によれば、ボルトの頭部側からではロック・キー部材の存在が容易には視認できないので、より封止効果が高い。
請求項7に記載の発明によれば、ナットを締めるのに汎用の工具が使える。
請求項8に記載の発明によれば、汎用の工具が使えないので、より封止効果が高くなる。しかも、貫通孔の数をランダムに設定できる。
請求項9に記載の発明によれば、ナットを締めるのに汎用の工具が使える。しかも、貫通孔の数をランダムに設定できる。
割りピンを使う従来方法にあっては、比較的小径の材料に制限される。しかるに請求項10に記載の発明では、剪断応力の大きさに応じてロック・キー部材の本体部の断面積を大きく設定できるので信頼度が格段に高まる。
請求項11に記載の発明によれば、本体部に対する係止爪の方向性を持たせることができる。
以下に添付図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態におけるボルト・ナットの緩み止め構造の斜視図を示す。本実施形態のボルト・ナットの緩み止め構造は、ねじが切ってあるボルト1と、ボルト1に嵌るナット2と、ボルト1及びナット2に差し込まれてナット2が緩むのを防止するロック・キー部材3との3部材で構成される。この実施形態では、ダブルナット2,4の押さえ側ナット2に本発明のボルト・ナットの緩み止め構造を適用している。まず、各部の構造について説明する。
<ボルトについて>
図2に示されるように、ねじが切ってあるボルト1の頭部1’には、その軸線に直交する方向に伸びる二条の深い溝1bが施される。この溝1bは、ボルト1の軸線方向からみて、ボルト1の軸線を通ると共に十文字状に交差する。溝1bの深さは、ナット2を締め終わったときに必要とされるナット2からのボルト頭部1’の突き出し分、ナット2の高さ、増し締め作業に必要な分の三つを加えた深さになる。それゆえ、溝1bは比較的深い溝になる。そして、図3に示されるように、この溝1bにロック・キー部材3が差し込まれる。
ここで、ボルト1の頭頂部1aから深い溝1bを施す場合には、ボルト1の頭頂部1a側が開口しているから、目視でロック・キー部材3の係止爪3c(係止爪3cについては後述する)を確認し、溝1bを通した汎用のドライバなどを用いて係止爪3cを操作できる。このため、ロック・キー部材3の脱着に便利であるという長所がある。他方、ボルト1の切り込みが長いので、その分ボルト1の強度が低下し、大きな力のかかる用途には向かないという欠点がある。ただし、汎用のナット4と併用するいわゆるダブルナット2,4として使うならこの欠点をカバーできる。
<ナットについて>
この実施形態のナット2は、汎用(JIS規格)のナット、例えば六角ナットに部分的な加工を加えたタイプのものである。
汎用ナットに加工を加えたタイプのナット2は、汎用ナットの裏側の一部を削って円筒部分2aを作り、この円筒部分2aにロック・キー部材3が着座する溝2bを設けるタイプと、汎用ナット2に溝2bだけを加工するタイプとに分けることができる。まず、前者のタイプについて説明する。
図4及び図5は前者のタイプのナットを示す。このナット2は、角型部と丸型部とを併設して成る。すなわち、角型のナット2の裏側の一部には、角部を削って円筒部分2aが設けられる。ナット2の裏面(締め付け面)には、ナット2の軸線に直交する方向に伸びる溝2bが設けられる。この溝2bは延長するとナット2の軸線を通る。この溝2bは、例えば周方向に均等間隔を空けて十二条設けられる。そして、図6に示されるように、この溝2bにロック・キー部材3が差し込まれる。
ナット2の目視側の座面には、裏側の座面に設けた溝2bに同期する切欠き溝2cが刻設される。切欠き溝2cの深さは、溝2bよりも浅く、例えば1〜3mm程度に設定される。この切欠き溝2cも延長するとナットの軸線を通り、ナット2の軸線から放射状に配置される。
図7は、後者のタイプ、すなわち汎用ナット2に溝2bだけを加工したタイプのナットを示す。ナット2の裏面(締め付け面)には、ナット2の軸線に直交する方向に伸びる溝2bが設けられる。この溝2bは、六角形のナット2の外形の平面部分2dに直交し、且つ平面部分2dの中心に配置される。図7では、合計六条の溝2bがナット2の軸線から放射状に配置される。ナット2の目視側の表面には、裏側に設けた溝2bに同期する切欠き溝2cが刻設される。切欠き溝2cはナット2の裏側の溝2bに同期しているので、切欠き溝2cも放射状に合計六条設けられる。
これらの汎用ナットを加工したタイプのナット2は、汎用のスパナを用いて回転させることができる簡便さがある。そのうえ、図7に示されるナット2にあっては、コストを安くできるという長所があるが、溝数が六本であるから、増し締め時の最小ストローク長を得る角度が六十度になる(正確には、ボルト1の割り溝1bが一本の場合は六十度、二本の場合は三十度になる)。つまり、ボルト・ナットを横貫する連通孔の最大条数は、ナットの角数と同じ数に制約されるので、ナット2を回転させて連通孔を得る場合の最小ストローク長が大きくなる。なお、角ナットの側面に溝又は貫通孔を孔設する場合、その軸線と直交する側面に設けないと、連通孔の長さが変動してしまう。
他方、図4及び図5に示されるナット2にあっては、ナット2の角部がないから少なくとも十二本の溝を設けることができる。このため、増し締めの場合の最小ストローク長を得る角度が三十度になる(正確には、ボルト1の割り溝1bが一本の場合は三十度、二本の場合は十五度になる)。ただし、溝数を多くした分若干強度は低下し、また、特別設計のナットが必要で、専用ナット部材のコストが高くなるという。
<ロック・キー部材について>
本発明の特徴的な構成が具現化される部材である。ロック・キー部材3は、剣のような形状を持ち、直線的に伸びる本体部3aと、本体部3aから張り出す鍔状のストッパ3bとを有する。本体部3aは、質量が大きくて硬質の金属の棒状の角材からなる。この本体部3aは、ボルト・ナットを横貫する連通孔、すなわちボルト1の溝1b及びナット2の溝2bに差し込まれるので、大きな剪断力を受ける。それゆえ、変形し難い質量が大きい金属が用いられる。
本体部3aの断面形状は、角型又は略角型である。そして、本体部3aの断面形状は横に長い長方形になり、ロック・キー部材3が差し込まれるボルト・ナットの溝も細長い長方形になるのが望ましい。本体部3aに対する係止爪3cの方向性を持たせ、係止爪3cがナット2の内周に確実に引っ掛かるようにするためである。
本体部3aの端部には、ストッパ3bが設けられる。ストッパ3bは、ナット2の外縁に当接して本体部3aの連通孔への差し込みを停止させる。
本体部3aのストッパ3bよりには、板ばね状の係止爪3cがストッパ3bに向けて立ち上がる。すなわち、係止爪3cは、ストッパ3bに向かって徐々に本体部3aから離間するように緩やかに(本体部3aからの傾斜角度は最大でも5度程度)折り曲げられる。係止爪3cには本体部3aとは材質が異なるばね材が用いられ、係止爪3cと本体部3aとは溶接などで固定される。係止爪3cは、本体部3aよりも断面積が格段に小さくて弾性変形し易い。逆にいえば、本体部3aの断面積は、係止爪3cの断面積に比べて格段に大きい。この係止爪3cは、本体部3aがボルト・ナットへ差し込まれるとき、本体部3aに向かって撓んで本体部3aのボルト・ナットへの差込を許容する。一方、本体部3aがボルト・ナットへ差し込まれた後は、復元してナット2の内周面のねじ谷部に引掛かかり、本体部3aがボルト・ナットから抜けるのを防止する。
図1に示されるように、この実施形態のロック・キー部材3の全長はナットの横幅よりも相当量長い。具体的には、ボルト・ナットを横貫する連通孔の全長に対し、少なくとも10%以上長い。わざと長く突き出して作業者にはロック・キー部材3の取り付けを失念させないためである。また、ナットが緩みなく正しく取り付けられているかどうかを遠方より目視で簡単に確認できるのでメンテナンスを省略できる。さらにブラックボックス化した構造物などの場合、善意の部外者にとって「このナットはあなたが解除してはいけないのです。問題があるなら管理者に申し出ましょう」とのメッセージになる。
次に、ボルト・ナット緩み止め構造の使用方法について説明する。上記ボルト・ナットを用いて緩み止めをする場合、及び緩み止めを解除する場合には、以下に記載の操作を行なう。
図9に示されるように、第一段階として、ナット2の締め付け作業において締め付けの限界近くに達したところで、ボルト1の頭部1’側から目視してボルト1の割り溝1bの向きをナット2の前端面に施した切欠き2cに一致させて、そこでナット2の回転を止める。ナット2の前端面の切欠き2cと後端面に設けた比較的深い溝2bの位置関係は同期しているから、ナット2の後端面に設けた深い溝2bとボルト1に施した割り溝1bとが繋がり、ボルト・ナットを横貫する連通孔が構成される。ここで、ナットが締め止まった位置でボルト1及びナット2の双方の溝の向きは必ずしも一致するとは限らない。この場合には、確認のために限界までナット2の締め付けを行なった後、ナット2の切欠き溝2cのなかでボルト1の割り溝1bの向きに最も近い位置に配置される切欠き溝2cまでナット2を締め戻し回転させて、双方の溝を一致させる。
図10に示されるように、第二段階として、ロック・キー部材3を装着する。このとき、ナット2の後端面と水平に構成された一本の、あるいは溝の配置設計によっては数本できる貫通孔から作業上に都合のよい貫通孔を選ぶ。そして、ロック・キー部材3を係止爪3cが作動するまで挿入する。以上により、ボルト・ナットの緩み止め作業が終了する。
図11は、復元した係止爪3cとナット2との関係を示す。ナット2の内周にはねじの谷があり、ロック・キー部材3を抜こうとすると、ねじの谷に係止爪3cの先端5が食い込む。つまり、ロック・キー部材3を抜こうとすると、係止爪3cがねじの谷に引っ掛かかり、係止爪3cが反るのが防止される。それゆえ、一旦係止爪3cが作動すると、簡単にはロック・キー部材3を引き抜くことはできない。
一旦緩み止めしたボルト・ナットを後で解除するときには、ボルト1の頭部1’に開口した割り溝1bから、たとえば汎用ドライバなどの板状の治具を差し入れて、ロック・キー部材3に設けた係止爪3cを押さえながら(図中破線まで押し下げながら)ロック・キー部材を引き抜くと、簡単にロック・キー部材3を脱抜できる。
第三段階として、メンテナンス時に増し締めを行なう場合は、上記に記載のようにロック・キー部材3を解除した後、必要な回転ストローク長をもってナット2の回転を止めて、再びロック・キー部材3で施錠すればよい。このとき、ナット2の前端面に施した切欠き溝2cの角度を読み取ると、例えばねじピッチが1.5mmで六十度進んだ切欠き溝2cと一致させたとすると、0.25mm増し締めしたと数字で把握できる。
図12は、ボルト1の他の例を示す。上記実施形態のボルト1は割り溝方式のボルトであるのに対し、このボルト1は横穴方式のボルト1である。すなわち、ボルト1の頭部側に開口する割り溝ではなく、ボルト1の側面に貫通孔1eを設ける。ボルト1の頭頂部1aには、この貫通孔1eの向きを示すための比較的浅い切り欠き溝1dが貫通孔1eの向きに同期するように刻設する。貫通孔1eのボルト軸線方向の長辺の長さは、ロック・キー部材3が座る分と増し締めで必要とする分の長さがあればよい。それゆえ、割り溝方式のようにボルト1の強度はあまり低下しない。
この場合の長所は、ボルト・ナットの構造原理を知らない部外者は、ロック・キー部材3の脱抜方法を目視しただけでは簡単には理解できないことである。たとえ見抜いたとしても、専用治具がなければ解除できない。それゆえ、いわゆる錠前効果が期待できる。他方、製造コストが高くなること、ボルト1の頭部1’からロック・キー部材3が目視できないので、ロック・キー部材3を脱抜する場合、図13に示されるように、ナット2の側面からロック・キー部材3の本体部3aに沿って金属板などの硬質の薄板状の専用抜き治具6を挿入して係止爪3cを押し下げなければならない。このボルト1の用途は、ブラックボックスにしたい構造物のより確実な封印、いたずらや悪意の者から構造物の解体を守る用途に有望である。
図14及び図15は、ナットの他の例を示す。上記実施形態のナットは、汎用(JIS規格)のナットに部分的な加工を加えたタイプのナットであるのに対し、この例のナット2は、ナット2の角部を削り落とした丸型ナット2を用いてこれに溝加工を加えている。ナット2を円筒形にした点を除いて、上記実施形態のナットと同一であるから、同一の符号を附してその説明を省略する。この例のナット2によれば、ナットの裏面側の溝2bの数を多くすることができると共に、汎用スパナを使えなくして封止効果をより高めることができる。その一方で、ナット2の表側の切欠き溝2cを深くしてここに図16に示される専用の締め治具7をあてて回転する必要がある。専用工具が必要になる分、作業に工数がかかる。この専用の締め治具7は、円筒状の本体部7bと、本体部7bの内周に設けられ、ナット2の切欠き溝2cに噛み合う歯7aと、本体部7bを回転させるハンドル7cと、を備える。
図17はナット2のさらに他の例を示す。この例のナット2では、ナット2の裏面(締め付け面)に溝を設ける替わりに、ナット2の側面にロック・キー部材3が差し込まれる貫通孔2eを設けている。そして、ナット2の目視側の表面に、貫通孔2eに同期する切欠き溝2cを刻設する。
図18及び図19はロック・キー部材3の他の例を示す。この例のロック・キー部材3は、その長さがボルト・ナットを横貫する連通孔の全長と略一致している。こうすることで、ボルト1の頭部側からではロック・キー部材3の所在が確認できなくなる。それゆえ、いたずら又は悪意の者からナット2がより解除されにくくなる。ただし、ロック・キー部材の差し入れが困難になり作業工数が多くなる。
図20は、本実施形態のボルト・ナット緩み止め構造を座金8と組み合わせて使用した例を示す。例えば材木を締めるとき何年間か経過すると、木材が乾燥してボルト・ナットが緩むので、増し締めが必要になる。ナット2の微妙な角度を調整でき、しかも内部を封止できるので、本実施形態のボルト・ナット緩み止め構造は増し締めのときに最適である。
着脱を極めて簡単に操作できる特徴を生かして、締め付ける対象物が時間の経過と共に変形または縮小していわゆる逃げ現象が発生する場合など、メンテナンスを行って増し締めを必要とする用途に最適に提供できる。
従来から一般に使われているボルト・ナットのねじ座面の摩擦力の増大を応用した緩み止めのものと異なり、本発明のボルト・ナットは封止原理が機械構造に由来する絶対的なナットの回転止めであることから、車両、船舶、工作機械などのエンジンの据付部など激しい振動でナットが緩み易い箇所の対策としてダブルナットを使う場合の押さえ側ナットとしても提供できる。
本発明のロック・キー部材の施錠機能を活用することで、屋外鉄塔、橋梁などメンテナンスが必要であるにもかかわらずこれが難しく、且ついたずらや悪意の者からボルト・ナットを守りたい箇所の簡便な封止、またある種の構造物を特定者以外にはブラックボックスとしたい場合の錠前用途としても提供できる。
本実施形態の溝付きナットにおいて、ナットの角部を落として円筒形に仕立て、ナットの前部に設けた放射状の溝を利用する専用締め付け工具でのみ本実施形態のナットを回転できるようにすると、スパナなどの汎用工具は使えなくなるので、この場合はいたずら又は悪意の者によるボルト・ナットの抜脱を阻止したい用途に最適に提供できる。
ナットの増し締め量を簡便に把握できる機能の応用として、各種内燃機関や化学プラントなどで使用される流体流量規制装置において、ボルトに連動させた流量調節弁の開度をナットの転回操作によるボルトの突き出し量で決める場合など、機械装置操作用の機構部品としての用途にも提供できる。
本発明の一実施形態におけるボルト・ナットの緩み止め構造の斜視図である。 ボルトの斜視図である。 ロック・キー部材が差し込まれたボルトの斜視図である。 ナットの斜視図である。 ナットの正面図である。 ナットの断面図である。 他の例のナットの斜視図である。 ロック・キー部材の斜視図である。 締め付けたときのナットとボルトの関係を示す正面図である。 ロック・キー部材を差し込んだボルト・ナットの正面図である。 ロック・キー部材を差し込んだボルト・ナットの断面図である。 ボルトの他の例を示す斜視図である。 専用抜き治具を挿入して係止爪を操作した状態を示す断面図である。 ナットの他の例を示す斜視図である。 ナットの他の例を示す断面図である。 専用の締め治具を示す斜視図である。 ナットのさらに他の例を示す斜視図である。 他の例のロック・キー部材を差し込んだボルト・ナットの斜視図である。 他の例のロック・キー部材を差し込んだナットの断面図である。 上記実施形態のボルト・ナット緩み止め構造を座金と組み合わせて使用した例を示す斜視図である。
符号の説明
1…ボルト
1’…頭部
1a…頭頂部
1b…溝
1d…切欠き溝
1e…貫通孔
2,4…ナット
2a…円筒部分
2b…溝
2c…切欠き溝
2e…貫通孔
3…ロック・キー部材
3a…本体部
3b…ストッパ
3c…係止爪
5…係止爪の先端
6…専用抜き治具
7…専用締め治具
7a…噛み合う歯
7b…本体部
7c…ハンドル
8…座金

Claims (11)

  1. その軸線に直交する方向に伸びる一条以上の溝又は貫通孔が頭部に形成されたボルトと、その軸線に直交する方向に伸びる一条以上の溝が一方の座面に形成されたナット、又はその軸線に直交する方向に伸びる一条以上の貫通孔が側面に形成されたナットと、前記ボルトの溝又は貫通孔の向きと、前記ナットの溝又は貫通孔の向きとが同期する時に現れるボルト・ナットを横貫する連通孔に差し込まれ、前記ナットが緩むのを防止するロック・キー部材と、で構成するボルト・ナットの緩み止め構造であって、
    前記ロック・キー部材は、前記ボルト・ナットを横貫する前記連通孔に差し込まれる本体部と、前記ナットの外縁に当接して前記本体部の前記連通孔への差し込みを停止させるストッパと、前記本体部に設けられた係止爪と、を有し、
    前記係止爪は、前記本体部が前記連通孔に差し込まれるときに弾性変形する一方、前記本体部が前記連通孔に差し込まれて所定位置に到達した後に姿勢復元して前記本体部が前記連通孔から抜けるのを防止することを特徴とするボルト・ナットの緩み止め構造。
  2. その軸線に直交する方向に伸びる一条以上の貫通孔を設けた前記ボルトにおいて、前記貫通孔の向きと同期する切り欠き溝を前記ボルトの頭頂部に刻設したことを特徴とする請求項1に記載のボルト・ナットの緩み止め構造。
  3. その軸線に直交する方向に伸びる一条以上の溝が一方の座面に形成されたナット、又はその軸線に直交する方向に伸びる一条以上の貫通孔が側面に形成されたナットにおいて、当該ナットの他方の座面に、当該溝又は当該貫通孔の向きと同期する切り欠き溝が刻設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のボルト・ナットの緩み止め構造。
  4. 前記ロック・キー部材の係止爪は、前記ナットの内周面のねじ谷部に係合して前記本体部が前記ボルト・ナットを横貫する前記連通孔から抜けるのを防止することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のボルト・ナットの緩み止め構造。
  5. 前記ロック・キー部材の全長は、前記ボルト・ナットを横貫する前記連通孔の全長に対し、少なくとも10%以上長いことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のボルト・ナットの緩み止め構造。
  6. 前記ロック・キー部材の全長は、前記ボルト・ナットを横貫する前記連通孔の全長と略一致することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のボルト・ナットの緩み止め構造。
  7. 前記ナットは、角型ナットであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のボルト・ナットの緩み止め構造。
  8. 前記ナットは、丸型ナットであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のボルト・ナットの緩み止め構造。
  9. 前記ナットは、角型部と丸型部とを併設して成るナットであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のボルト・ナットの緩み止め構造。
  10. 前記ロック・キー部材の本体部の断面積は、前記係止爪の断面積に比べて格段に大きいことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のボルト・ナットの緩み止め構造。
  11. 前記ロック・キー部材の本体部の断面形状は、角型又は略角型であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載のボルト・ナットの緩み止め構造。
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