本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる場合がある。
本発明は、剛性を有する基板上に薄膜トランジスタ(TFT)等の半導体素子を形成した後に、当該基板に研削処理、研磨処理、化学処理によるエッチング等を行うことよって、基板を薄膜化または除去して可撓性を有する半導体装置の作製を行う。さらに本発明では、基板を薄膜化または除去する前または薄膜化した後に、基板にプラズマ処理等の表面処理を行うことにより保護膜を形成する形態もとりうる。保護膜を形成することによって、基板を薄膜化または除去した場合であっても、当該基板上に設けられた半導体素子への不純物元素や水分等の侵入を抑制することが可能となる。
以下に、本発明の半導体装置の作製方法の一例を図1、図2を参照して説明する。なお、図1は、基板を薄膜化または除去する前にあらかじめ基板に表面処理を行う場合を示しており、図2は、基板を薄膜化した後に当該薄膜化された基板に表面処理を行う場合を示している。
はじめに、基板を薄膜化または除去する前に基板に表面処理を行う場合に関して図1を参照して説明する。
まず、基板101を用意し、表面をフッ酸(HF)、アルカリまたは純水を用いて洗浄する(図1(A))。
基板101としては、バリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、セラミック基板またはステンレスを含む金属基板等を用いることができる。また、Si等の半導体基板を用いてもよい。
次に、基板101の一方の面に表面処理を行う(図1(B))。基板101の表面処理は、プラズマ処理や不純物元素をドーピングすることにより行う。例えば、基板101の表面に窒素雰囲気下でプラズマ処理を行い、当該基板101の表面を窒化することによって窒化処理層102(以下、絶縁膜102とも記す)を形成する。この場合、絶縁膜102は、少なくとも窒化物が含まれており、基板に形成された窒化物は、表面処理の条件によっては濃度分布(ここでは窒素の濃度分布)を有するように存在している場合がある。他にも、酸素雰囲気下でプラズマ処理を行い当該基板101の表面を酸化することによって酸化処理層を形成してもよいし、酸素および窒素雰囲気下でプラズマ処理を行い当該基板101の表面を酸窒化することによって酸窒化処理層を形成してもよい。また、N原子をドーピングして基板101の表面にN原子を添加することによって窒化処理層102を形成したり、窒素雰囲気下で熱処理を行うことによって窒化処理層102を形成したりすることもできる。
なお、本発明におけるプラズマ処理とは、半導体膜、絶縁膜、導電膜等の被処理物に対する酸化処理、窒化処理、酸窒化処理、水素化処理、表面改質処理等を含んでおり、これらの処理はその目的に応じて用いるガスを選択すればよい。例えば、被処理物(ここでは基板101)に窒化処理を行う場合には、窒素を含む雰囲気下(例えば、窒素(N2)と希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xeの少なくとも一つを含む)雰囲気下、窒素と水素と希ガス雰囲気下、NH3と希ガス雰囲気下、NO2と希ガス雰囲気下またはN2Oと希ガス雰囲気下)でプラズマ処理を行う。被処理物に酸化処理を行う場合には、酸素を含む雰囲気下(例えば、酸素(O2)若しくは一酸化二窒素と希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xeの少なくとも一つを含む)雰囲気下、酸素又は一酸化二窒素と水素(H2)と希ガス雰囲気下)でプラズマ処理を行う。なお、このとき、被処理物(ここでは基板101の表面に形成された絶縁膜102)にプラズマ処理に用いた希ガスが含まれている場合があり、例えば、Arを用いた場合には被処理物中にArが含まれている場合がある。
また、プラズマ処理として、高周波(マイクロ波等)を用いて高密度(好ましくは、1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下)、且つ低電子温度(好ましくは0.5eV以上1.5eV以下)の条件下でのプラズマ処理(以下、「高密度プラズマ処理」と記す)を行うことが好ましい。プラズマの励起を、マイクロ波等の高周波の導入により行うことにより低電子温度で高密度のプラズマを生成することができ、この高密度プラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、被処理物の表面を酸化処理または窒化処理することができる。このように、被処理物に高密度プラズマ処理を行うことにより、プラズマの密度が高密度であり、被処理物付近での電子温度が低いため、被処理物に対するプラズマによるダメージを抑制することができる。また、プラズマの密度が高密度であるため、プラズマ処理を用いて被処理物に窒化処理または酸化処理を行うことによって形成される窒化処理層または酸化処理層は、CVD法やスパッタ法等により形成された膜と比較して膜厚等が均一性に優れ、且つ緻密な膜を形成することができる。また、プラズマの電子温度が低いため、従来のプラズマ処理や熱酸化法と比較して低温度で窒化処理または酸化処理を行うことができるため、例えば、基板としてガラスを用いた場合には、ガラス基板の歪点よりも100℃以上低い温度でプラズマ処理を行った場合であっても十分に窒化処理または酸化処理を行うことができる。
次に、基板101の表面に形成された絶縁膜102上にトランジスタやダイオード等の半導体素子を有する素子群103を形成する(図1(C))。
素子群103としては、例えば、トランジスタ、ダイオードまたは太陽電池等を有する半導体素子から構成されている。トランジスタとしては、ガラス等の剛性を有する基板上に形成された半導体膜をチャネルとして利用する薄膜トランジスタ(TFT)、Si等の半導体基板上に当該基板をチャネルとして利用する電界効果型トランジスタ(FET)または有機材料をチャネルとして利用する有機TFT等で設けることができる。また、ダイオードとしては、可変容量ダイオード、ショットキーダイオードまたはトンネルダイオード等の各種ダイオードを適用することができる。本発明では、これらのトランジスタやダイオード等を用いることよって、CPU、メモリまたはマイクロプロセッサ等のありとあらゆる集積回路を設けることができる。また、素子群103は、トランジスタ等の半導体素子に加えてアンテナを有する形態もとりうる。素子群103にアンテナを設けた半導体装置は、アンテナで発生した交流の電圧を用いて動作を行い、またアンテナに印加する交流の電圧を変調することによって、非接触で外部機器(リーダ/ライタ)とデータの送受信を行うことが可能となる。なお、アンテナは、トランジスタを有する集積回路とともに形成してもよいし、集積回路とは別個に形成した後に電気的に接続するように設けてもよい。
次に、基板101の他方の面(絶縁膜102が設けられた面と反対側の面)を研削処理、研磨処理または化学処理によるエッチングを行うことにより基板101の薄膜化または除去を行う(図1(D))。研削処理は、砥石の粒子を用いて被処理物(ここでは、基板101)の表面を削り取り平滑にする。研磨処理は、研磨布紙や研磨砥粒を等の研磨材を用いて被処理物の表面を塑性的平滑作用または摩擦的みがき作用によって平滑にする。また、化学処理は、薬剤を用いて被処理物に化学エッチングを行う。
ここでは、研削手段104を用いて基板101の表面に研削処理を行う例を示している。なお、研削処理後にさらに基板101の表面に研磨処理を行うことが好ましく、研削処理後に研磨処理を行うことによって基板101の表面形状を均一化することができる。また、研削処理、研磨処理を行った後に、化学処理を用いてさらにエッチングを行うことによって基板の薄膜化または除去を行ってもよい。特に、基板101を除去する場合には、研削処理、研磨処理等を行い基板をある程度薄膜化した後に、化学処理によりエッチングを行うことによって、効率的に基板101を除去することができる。なお、基板101としてガラス基板を用いる場合には、化学処理として弗化水素酸を含む薬液を用いた化学エッチングを行うことが好ましい。なお、基板101の薄膜化を行う場合には、基板の厚さが1μm以上100μm以下、好ましくは2μm以上50μm以下、より好ましくは4μm以上30μm以下にすると可撓性を有するため好ましい。また、基板101を除去する場合には、完全に除去することが好ましいが、基板の厚さを1μm以下にすればよい。
また、基板101を除去する場合には、基板101と当該基板101に保護膜として設けられた絶縁膜102とがエッチングの選択比を利用して、絶縁膜102をストッパーとして用いることができる。例えば、基板101としてガラス基板を用い、当該ガラス基板に窒素雰囲気下で高密度プラズマ処理を行うことにより窒化処理層を形成した場合、窒化処理層は窒化処理されていないガラス基板と比較して窒化物を含んでいるため物理的強度が向上する。そのため、基板101を研削または研磨により除去する際に、窒化処理層を研削または研磨のストッパーとして利用することができる。また、化学処理により基板101を除去する場合にも同様に、エッチングの選択比を利用して窒化処理層をストッパーとして利用することができる。
以上の工程を経て、可撓性を有する半導体装置を作製することができる(図1(E))。また、この後、さらに利用に応じて可撓性を有するフィルム等で素子群103を封止することによって半導体装置としてもよく、実施者が適宜選択して行うことができる。
このように、図1に示した半導体装置では、基板101を薄膜化した後であっても、保護膜として機能する絶縁膜102が形成されているため、素子群103に不純物元素が混入することを防止することができる。
続いて、図2を用いて基板を薄膜化した後に当該薄膜化された基板に表面処理を行う場合に関して説明する。
まず、基板101を用意し、表面をフッ酸(HF)、アルカリまたは純水を用いて洗浄する(図2(A))。基板101としては、上述したいずれかの基板を用いればよい。
次に、基板101上にトランジスタ等の半導体素子を有する素子群103を形成する(図2(B))。
次に、基板101の表面(素子群103が設けられた面と反対側の面)を研削、研磨またはエッチングすることにより基板101を薄膜化して基板106とする(図2(C))。ここでは、研削手段104を用いて基板101の表面を研削する例を示している。また、研削後にさらに基板101の表面を研磨することによって、基板101の表面形状を均一化することができる。また、研削処理、研磨処理を行った後に、化学処理を用いてさらにエッチングを行うことによって基板の薄膜化を行ってもよい。
次に、薄膜化された基板106に表面処理を行う(図2(E))。表面処理としては、上述したいずれかの方法を用いて行うことができるが、ここでは、高密度プラズマ処理を用いて表面処理を行うことが好ましい。CVD法やスパッタ法等を用いて保護膜として機能する絶縁膜を設けることも可能であるが、これらの方法を用いた場合には、処理温度等の影響により被処理物である素子群103にダメージが加わり、素子群に含まれるトランジスタ等の特性に悪影響を及ぼす恐れがある。一方、高密度プラズマ処理を行った場合には、プラズマの密度が高密度であり、被処理物付近での電子温度が低いため、被処理物に対するプラズマによるダメージを抑制することができる。また、プラズマの電子温度が低いため、従来のプラズマ処理や熱酸化法と比較して低温度で窒化処理または酸化処理等を行うことができる。また、プラズマの密度が高密度であるため、プラズマ処理を用いて被処理物に窒化処理または酸化処理を行うことによって形成される窒化処理層または酸化処理層等は、CVD法やスパッタ法等により形成された膜と比較して膜厚等が均一性に優れ、且つ緻密な膜を形成することができる。従って、例えば、基板106の表面に窒素雰囲気下で高密度プラズマ処理を行うことによって、当該基板106の表面に保護膜として機能する窒化処理層107(以下、「絶縁膜107」とも記す)を形成する。このとき、被処理物(ここでは基板106の表面に形成された絶縁膜107)にプラズマ処理に用いた希ガスが含まれている場合があり、例えば、Arを用いた場合には被処理物中にArが含まれている場合がある。なお、保護膜として機能する絶縁膜107が形成された状態で基板106の厚さを1μm以上100μm以下、好ましくは2μm以上50μm以下、より好ましくは4μm以上30μm以下にすると可撓性を有するため好ましい。
このように、基板101を薄膜化した後に、当該薄膜化された基板106の表面に保護膜として機能する絶縁膜107を形成することによって、素子群103に不純物元素が混入することを防止することができる。
また、図1で示したように基板101を薄膜化する前に保護膜として機能する絶縁膜102を形成した後に薄膜化を行い、さらに図2に示したように薄膜化された基板106に保護膜として機能する絶縁膜107を形成することもできる。例えば、基板101を薄膜化する前に基板101の一方の表面にN原子をドーピングしてN原子を添加して基板101の表面に窒化処理層102(絶縁膜102)を形成し、さらに基板101上に絶縁膜102を介してトランジスタ等の素子群を形成した後に基板101の他方の面を薄膜化し、基板101の薄膜化した面に窒素雰囲気下で高密度プラズマ処理を行うことにより窒化処理層107(絶縁膜107)を形成することができる。また、他にも、基板101を薄膜化する前に基板101の一方の表面に窒素雰囲気下で高密度プラズマ処理を行うことにより窒化処理層102(絶縁膜102)を形成し、さらに基板101上に絶縁膜102を介してトランジスタ等の素子群を形成した後に基板101の他方の面を薄膜化し、基板101の薄膜化した面に高密度プラズマ処理を行うことにより保護膜として機能する絶縁膜を形成することができる。
なお、トランジスタ等の半導体素子からなる素子群が設けられた基板に表面処理を行う場合(ここでは、基板を薄膜化した後に表面処理を行う場合)、表面処理として高密度プラズマ処理を用いることが好ましい。高密度プラズマ処理を用いることにより、表面処理に伴う素子群103へのダメージを抑制することができるためである。一方、トランジスタ等の半導体素子からなる素子群が設けられていない基板に表面処理を行う場合(ここでは、基板を薄膜化する前に表面処理を行う場合)には、素子群へのダメージ等を考慮しなくてよいため、表面処理としては高密度プラズマ処理、不純物元素のドーピング、窒素雰囲気下または酸素雰囲気下等における熱酸化処理、CVD法、スパッタ法等の方法を用いることができる。
このように、基板101を薄膜化する前と基板101を薄膜化した後に表面処理を行うことによって、保護膜として機能する絶縁膜102および絶縁膜107が形成されるため、より効果的に外部から素子群103に不純物元素が混入することを防止することができる。
以上のように、基板を薄膜化する前または薄膜化した後に基板にプラズマ処理等の表面処理を行い保護膜を形成することによって、基板を薄膜化した場合であっても、基板上に設けられた半導体素子への不純物元素や水分等の侵入を抑制することが可能となる。
以下に、上述した図1または図2の作製方法の具体例に関して図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の作製方法の一例に関して図3、図4を参照して説明する。はじめに、上述した図1の作製方法に関し、より詳細に説明する。
まず、基板201を用意し、基板201表面をフッ酸(HF)、アルカリまたは純水を用いて洗浄する(図3(A))。
基板201としては、バリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、セラミック基板、ステンレスを含む金属基板またはSi等の半導体基板等を用いることができる。なお、ここでは基板201としてガラス基板を用いる場合を示す。
次に、プラズマ処理を行い基板201の一方の面に窒化処理を行うことによって、当該基板201の表面に窒化処理層202(以下、「絶縁膜202」とも記す)を形成する(図3(B))。絶縁膜202は、少なくとも窒化物が含まれており、基板に形成された窒化物は、表面処理の条件によっては濃度分布(ここでは窒素の濃度分布)を有するように存在している場合がある。また、プラズマ処理の他にも、N原子をドーピングすることにより、基板201に絶縁膜202を形成することも可能である。また、プラズマ処理を行う場合には、上述した高密度プラズマ処理を行うことが好ましい。高密度プラズマ処理を行うことによって、低電子温度且つ高密度で行えるため、基板201表面へのダメージを低減し且つ表面を緻密にすることができる。
被処理物に高密度プラズマ処理を行うことにより、プラズマの密度が高密度であり、被処理物付近での電子温度が低いため、被処理物に対するプラズマによるダメージを抑制することができる。また、プラズマの密度が高密度であるため、プラズマ処理を用いて被処理物に窒化処理または酸化処理を行うことによって形成される窒化処理層または酸化処理層は、CVD法やスパッタ法等により形成された膜と比較して膜厚等が均一性に優れ、且つ緻密な膜を形成することができる。また、プラズマの電子温度が低いため、従来のプラズマ処理や熱酸化法と比較して低温度で窒化処理または酸化処理を行うことができる。基板201としてガラスを用いた場合には、ガラス基板の歪点よりも100℃以上低い温度でプラズマ処理を行った場合であっても十分に窒化処理または酸化処理を行うことができる。
次に、絶縁膜202上に下地膜として機能する下地絶縁膜203(以下、「絶縁膜203」とも記す)を形成し、絶縁膜203上に半導体膜204を形成する(図3(C))。
絶縁膜203としては、CVD法やスパッタ法等を用いて、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y)等の酸素または窒素を有する絶縁膜の単層構造、またはこれらの積層構造で設けることができる。例えば、絶縁膜203を2層構造で設ける場合、1層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜で設け、2層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を設けるとよい。また、絶縁膜203を3層構造で設ける場合、1層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を設け、2層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜を設け、3層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を設けるとよい。このように、下地膜として機能する絶縁膜203を形成することによって、基板201からNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が、半導体膜204中に拡散し、半導体素子の特性に悪影響を及ぼすのを抑制することができる。
半導体膜204としては、非晶質(アモルファス)半導体またはセミアモルファス半導体(SAS)で形成することができる。また多結晶半導体膜を用いていても良い。SASは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいる。少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶領域を観測することができ、珪素を主成分とする場合にはL−Oフォノンに由来するラマンスペクトルが520cm−1よりも低波数側にシフトしている。X線回折では珪素結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)を終端させるため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。SASは、珪素を含む気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪素を含む気体としては、SiH4、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることが可能である。またGeF4を混合させても良い。この珪素を含む気体をH2、または、H2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈してもよい。希釈率は2〜1000倍の範囲、圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzである。基板加熱温度は300℃以下でよい。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020atoms/cm3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019atoms/cm3以下、好ましくは1×1019atoms/cm3以下とする。ここでは、公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)を用いてシリコン(Si)を主成分とする材料(例えばSixGe1−x等)で非晶質半導体膜を形成し、当該非晶質半導体膜をレーザ結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法などの公知の結晶化法により結晶化させる。また、結晶化の方法として、他にもDCバイアスを印加して熱プラズマを発生することにより、当該熱プラズマを半導体膜に作用することによって行ってもよい。
次に、半導体膜204を選択的にエッチングすることによって、島状の半導体膜205a〜205dを形成し、当該島状の半導体膜205a〜205dを覆うようにゲート絶縁膜206を形成する(図3(D))。
ゲート絶縁膜206としては、CVD法やスパッタ法等により、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y)等の酸素または窒素を有する絶縁膜の単層構造、またはこれらの積層構造で設けることができる。また、他にも島状の半導体膜205a〜205dに酸素雰囲気下(例えば、酸素(O2)と希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xeの少なくとも一つを含む)雰囲気下または酸素と水素(H2)と希ガス雰囲気下)または窒素雰囲気下(例えば、窒素(N2)と希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xeの少なくとも一つを含む)雰囲気下または窒素と水素と希ガス雰囲気下またはNH3と希ガス雰囲気下)で高密度プラズマ処理を島状の半導体膜205a〜205dの表面を酸化処理または窒化処理することによって、ゲート絶縁膜を形成することもできる。高密度プラズマ処理により島状の半導体膜205a〜205dに酸化処理または窒化処理を行うことによって形成される酸化処理層または酸化処理層から形成されるゲート絶縁膜は、CVD法やスパッタ法等により形成された絶縁膜と比較して膜厚等が均一性に優れ、且つ緻密な膜を有している。
次に、ゲート絶縁膜206上にゲート電極207を選択的に形成した後、当該ゲート電極207を覆うように絶縁膜209、絶縁膜211を形成する。なお、ここでは、薄膜トランジスタ210a〜210dにおいて、ゲート電極207の側面に接するようにサイドウォール(以下、「絶縁膜208」とも記す)を形成し、さらにnチャネル型薄膜トランジスタ210a、210cにおいて、当該絶縁膜208の下方に位置する半導体膜205a、205cにLDD領域を設けた例を示している(図3(E))。
ゲート電極207としては、CVD法やスパッタ法等により、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素またはこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料の単層構造または積層構造で設けることができる。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素に代表される半導体材料により形成することもできる。例えば、窒化タンタルとタングステンとの積層構造で設けることができる。
絶縁膜209としては、CVD法やスパッタ法等により、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y)等の酸素または窒素を有する絶縁膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む膜の単層構造、またはこれらの積層構造で設けることができる。
絶縁膜211としては、CVD法やスパッタ法等により、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y)等の酸素または窒素を有する絶縁膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む膜、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル等の有機材料やシロキサン樹脂からなる単層または積層構造で設けることができる。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いることもできる。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。なお、図3における半導体装置において、絶縁膜209を設けずにゲート電極207を覆うように絶縁膜211を直接設けることも可能である。
次に、絶縁膜211上に島状の半導体膜205a〜205dのソース領域およびドレイン領域と電気的に接続するように導電膜212を形成し、当該導電膜212を覆うように絶縁膜213を形成し、薄膜トランジスタ210a〜210d(以下、nチャネル型薄膜トランジスタ210a、210c、pチャネル型薄膜トランジスタ210b、210dとも記す)を設ける(図4(A))。
導電膜212としては、CVD法やスパッタ法等により、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジウム(Nd)、炭素(C)から選ばれた一種の元素または当該元素を複数含む合金からなる単層構造または積層構造を用いることができる。例えば、当該元素を複数含む合金からなる導電膜として、例えばCとTiを含有したAl合金、Niを含有したAl合金、CとNiを含有したAl合金、CとMnを含有したAl合金等を用いることができる。また、積層構造で設ける場合、AlとTiを積層させることによって設けることができる。
絶縁膜213としては、CVD法やスパッタ法等により、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y)等の酸素または窒素を有する絶縁膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む膜、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル等の有機材料やシロキサン樹脂からなる単層または積層構造で設けることができる。
次に、基板201の他方の表面(絶縁膜202が設けられた面と反対側の面)に研削処理、研磨処理、または化学処理によるエッチング等を行うことによって基板201を薄膜化または除去する(図4(B))。ここでは、研削手段214を用いて基板201の表面を研削する例を示している。また、研削後にさらに基板201の表面に研磨処理を行うことが好ましく、研削処理後に研磨処理を行うことによって基板201の表面形状を均一化することができる。また、研削処理、研磨処理を行った後に、化学処理を用いてさらにエッチングを行うことによって基板の薄膜化または除去を行ってもよい。特に、基板201を除去する場合には、研削処理、研磨処理等を行い基板をある程度薄膜化した後に、化学処理によりエッチングを行うことによって、効率的に基板201を除去することができる。
以上の工程により、可撓性を有する半導体装置を得ることができる(図4(C))。
なお、本発明の半導体装置に含まれる薄膜トランジスタの構造は上述した構造に限られない。例えば、図3(E)では、n型の薄膜トランジスタ210a、210cにサイドウォールの下方に位置する半導体膜にLDD領域を設け、p型の薄膜トランジスタ210b、210dにはLDD領域を設けていないが、両方にLDD領域を設けた構成としてもよいし、両方にLDD領域およびサイドウォールを設けない構造(図7(A))とすることもできる。また、薄膜トランジスタの構造として上述した構造に限られず、チャネル形成領域が1つ形成されるシングルゲート構造でもよいし、2つ形成されるダブルゲート構造または3つ形成されるトリプルゲート構造等のマルチゲート構造を用いることができる。また、ボトムゲート構造としてもよいし、チャネル形成領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有するデュアルゲート型としてもよい。また、ゲート電極を積層構造で設ける場合に、ゲート電極下方に形成される第1の導電膜207aと当該第1の導電膜207a上に形成される第2の導電膜207bで設け、当該第1の導電膜207aをテーパー状で形成し、第1の導電膜にのみ重なるようにソースまたはドレイン領域として機能する不純物領域より低い濃度の不純物領域を設ける構造(図7(B))で設けることもできる。また、ゲート電極を積層構造で設ける場合に、ゲート電極の下方に形成される第1の導電膜207aと当該第1の導電膜207a上に形成される第2の導電膜207bで設け、当該第2の導電膜207bの側壁に接し且つ導電膜207aの上方に形成されるようにサイドウォール208を設ける構造(図7(C))とすることも可能である。また、上記構成において、半導体膜のソースまたはドレイン領域として機能する不純物領域をNi、Co、W、Mo等のシリサイドで設けることも可能である。
続いて、上記図3、図4とは異なる半導体装置の作製方法の一例に関して図5を用いて説明する。具体的には、上述した図2の作製方法に関し、より詳細に説明する。
まず、図4(A)に示す状態まで上述したように形成する。ただし、ここでは基板201の表面に表面処理を行わずに基板201上に絶縁膜203を直接形成する(図5(A))。
次に、基板201の一方の表面(絶縁膜203が設けられた面と反対側の面)に研削処理、研磨処理、化学処理によるエッチング等を行うことによって、基板201を薄膜化し、基板216とする(図5(B))。ここでは、研削手段214を用いて基板201の表面を研削する例を示している。また、研削後にさらに基板201の表面を研磨することによって、基板201の表面形状を均一化することができる。
次に、薄膜化された基板216に表面処理を行い保護膜として機能する絶縁膜を形成する(図5(D))。表面処理としては、上述したいずれかの方法を用いて行うことができるが、ここでは、高密度プラズマ処理を用いて基板216に表面処理を行うことが好ましい。CVD法やスパッタ法等を用いて保護膜として機能する絶縁膜217を設けることも可能であるが、これらの方法を用いた場合には、処理温度等の影響により被処理物である薄膜トランジスタ210a〜210d等にダメージが加わり、当該薄膜トランジスタ210a〜210dの特性に悪影響を及ぼす恐れがある。一方、高密度プラズマ処理を行った場合には、プラズマの密度が高密度であり、被処理物付近での電子温度が低いため、被処理物である薄膜トランジスタ210a〜210d等に対するプラズマによる損傷を抑制することができる。また、プラズマの密度が高密度であるため、例えば、プラズマ処理を用いて被処理物に窒化処理または酸化処理を行うことによって形成される窒化処理層または酸化処理層等は、CVD法やスパッタ法等により形成された膜と比較して膜厚等が均一性に優れ、且つ緻密な膜を形成することができる。ここでは、基板216の表面に窒素雰囲気下で高密度プラズマ処理を行うことによって、当該基板216の表面に保護膜として機能する窒化処理層217(以下、「絶縁膜217」とも記す)を形成する。このとき、被処理物(ここでは基板216の表面に形成された絶縁膜217)にプラズマ処理に用いた希ガスが含まれている場合があり、例えば、Arを用いた場合には被処理物中にArが含まれている場合がある。
また、本発明の半導体装置は図3〜図5に示した構造に限られず、例えば図6に示す構造もとりうる。図6(A)に示す構造は、上記図4(B)において、基板201を薄膜化する際に、基板201を完全に除去せずに薄膜化を行うことによって、基板218として残す構造である。また、図6(B)に示すように、図6(A)に示した構造において、基板218の表面(絶縁膜202が設けられた面と反対側の面)に表面処理を行い保護膜として機能する絶縁膜217を設けた構造とすることもできる。この場合、保護膜として機能する絶縁膜202、基板216および絶縁膜217の積層構造によって形成されているため、より効果的に外部から薄膜トランジスタに不純物元素や水分等が混入することを防止することができる。例えば、ガラス基板に窒化処理を行うことによって、保護膜として機能する絶縁膜202又は絶縁膜217を形成した場合、図6(B)の構造において、基板を構成する酸化珪素が窒化処理層に挟まれた構造となる。
また、本発明の半導体装置は、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置(RFID(Radio Frequency Identification)、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ(Radio Frequency)、無線タグ、電子タグ、無線チップともよばれる)や画素部を有する表示装置への適用も可能である。
例えば、上記図4において、基板201を薄膜化または除去する前に絶縁膜213上にアンテナとして機能する導電膜221を形成し、当該導電膜221を覆うように保護膜として機能する絶縁膜222を形成し、続けて基板201を薄膜化または除去することによって、可撓性を有し非接触でデータの送受信が可能な半導体装置を作製することができる(図8(A))。
導電膜221としては、CVD法、スパッタ法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、メッキ法等を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層構造又は積層構造で形成する。
また、基板201を薄膜化または除去する前にアンテナとして機能する導電膜221が設けられた基板223と基板201上に設けられた薄膜トランジスタ等の半導体素子を電気的に接続するように貼り合わせ、続けて基板201を薄膜化または除去することによって、可撓性を有し、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置を作製することができる(図8(B))。
基板223としては、あらかじめプラスチック等の可撓性を有する材料を用いてもよいし、基板201と基板223を貼り合わせた後に両方の基板の薄膜化または除去を行うことも可能であり、この場合基板201と同様の材料を用いることができる。また、基板201と基板223との貼り合わせとして、ここでは接着性を有する樹脂224に含まれた導電性粒子225を用いることによって、半導体素子とアンテナとして機能する導電膜221との接続を行っているが、銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペースト等の導電性接着剤、ACP(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着剤や半田接合等を用いて接続することも可能である。
また、上記図4において、基板201を薄膜化または除去する前に絶縁膜211上に導電膜212と電気的に接続するように画素電極231を設けることによって、画素部を有する半導体装置を作製することができる。例えば、画素電極231上に配向膜232および配向膜234で挟むように液晶材料233を設け、配向膜234上に対向電極235を設けることによって、可撓性を有する液晶表示装置を作製することができる(図8(C))。また、画素電極231上に有機EL層等の発光層236および対向電極237を連続して積層することによって、可撓性を有する自発光型の表示装置を作製することができる(図8(D))。なお、図8(D)において、絶縁膜238は複数の画素を分離するための隔壁として設けられ、絶縁膜239は保護膜として設けられている。
なお、本実施の形態においては、上述した図1または図2における素子群として薄膜トンジスタを用いた例を示したが、これに限られず、上述したように、Si等の半導体基板上に当該半導体基板をチャネルとして利用する電界効果型トランジスタ(FET)や有機材料をチャネルとして利用する有機TFT等で設けることができる。また、トランジスタの他にもダイオードや太陽電池等を設けることができる。
例えば、基板201としてSi等の半導体基板を用いる場合には、基板201上の一方の面上に当該半導体基板をチャネル領域としてトランジスタを形成し、その後基板201の他方の面から薄膜化を行った後に、薄膜化した基板201の表面に表面処理を行い保護膜として機能する絶縁膜を形成することができる。表面処理としては、上述したいずれかの方法を用いて行うことができるが、高密度プラズマ処理を行うことによりトランジスタに加わるダメージを抑制することができるため好ましい。
なお、本実施の形態は本明細書に記載した他の実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態におけるプラズマ処理を行う場合の装置の一例に関して図面を参照して説明する。
図19(A)のプラズマ処理装置は、プラズマの生成が可能な複数の処理室と、各処理室に基板を搬送する共通室、及び基板を出し入れするロードロック室を備えている。このように、絶縁膜、導電膜または半導体膜の成膜およびプラズマ処理を連続して行う場合には、複数の処理室を備えたプラズマ処理装置を用いることができる。なお、図19(A)は、本実施の形態で示すプラズマ処理装置の一構成例を上面からみた図である。
図19(A)で例示するプラズマ処理装置は、第1の処理室311、第2の処理室312、第3の処理室313、第4の処理室314、ロードロック室310、315、共通室320を有している。それぞれの処理室は気密性を有している。各処理室には、真空排気手段、ガス導入手段、プラズマ発生手段が備えられている。
ロードロック室310、315は、試料(処理基板)を各処理室に搬入するための部屋である。共通室320は、それぞれのロードロック室310、315および第1〜第4の処理室に対して共通に配置されている。基板201はロードロック室310、315からこの共通室320を経由して各処理室に搬送される。第1〜第4の処理室は、基板101に導電膜、絶縁膜または半導体膜の成膜処理、エッチング処理、若しくはプラズマ処理などを行うための部屋である。なお、共通室320には、ロボットアーム321が設けてあり、ロボットアーム321によって、基板101が各部屋へ運ばれる。
第1の処理室311、第2の処理室312、第3の処理室313、第4の処理室314及びロードロック室310、315と、共通室320との間にはゲート弁322〜327が設けられている。
第1の処理室311、第2の処理室312、第3の処理室313及び第4の処理室314は、目的に応じて内部の構成が異なっている。処理の内容としては、プラズマ処理、成膜処理、熱処理、エッチング処理などがある。
図19(B)は、プラズマ処理を行うための処理室内の構成例である。処理室内には、プラズマ処理を行う被処理基板331を配置するための支持台351と、ガスを導入するためのガス供給部352と、排気口353と、アンテナ354と、誘電板355と、プラズマ発生用の高周波を供給する高周波供給部356とを有している。また、支持台351に温度制御部357を設けることによって、被処理基板331の温度を制御することも可能である。以下に、プラズマ処理の一例に関して説明する。
ここで、プラズマ処理とは、半導体膜、絶縁膜、導電膜に対する酸化処理、窒化処理、酸窒化処理、水素化処理、表面改質処理を含んでいる。これらの処理は、その目的に応じて用いるガスを選択すれば良い。
例えば、酸化処理または窒化処理を行うには以下のようにすれば良い。まず、処理室内を真空にし、ガス供給部352から酸素または窒素を含むガスを導入する。例えば、酸素を含むガスとしては、酸素(O2)と希ガスまたは酸素と水素と希ガスの混合ガスを導入することができる。また窒素を含むガスとしては、窒素と希ガスまたはアンモニアガスと希ガスの混合ガスを導入することができる。次に、被処理基板331を温度制御部357を有する支持台351に配置させ、被処理基板331を100℃〜550℃に加熱する。なお、被処理基板331と誘電板355との間隔は、20〜80mm(好ましくは20〜60mm)の範囲内とする。
次に、高周波供給部356からアンテナ354にマイクロ波を供給する。ここでは、周波数2.45GHzのマイクロ波を供給する。そして、マイクロ波をアンテナ354から誘電板355を通して処理室内に導入することによって、プラズマ励起により活性化された高密度プラズマ358が生成される。マイクロ波の導入によりプラズマの励起を行うと、低電子温度(3eV以下、好ましくは1.5eV以下)で高電子密度(1×1011cm−3以上)のプラズマを生成することができる。この低電子温度且つ高密度プラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)を用いることによって、被処理基板331にダメージを与えずに当該被処理基板331の表面にプラズマ処理を行い窒化処理または酸化処理を行うことができる。
例えば、NH3ガスとArガス雰囲気中でプラズマ処理を行った場合、マイクロ波によりNH3ガスとArガスとが混合された高密度励起プラズマが生成される。NH3ガスとArガスとが混合された高密度励起プラズマ中では、導入されたマイクロ波によりArガスが励起されてラジカルが生成され、当該ArラジカルとNH3分子とが衝突することにより窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)が生成される。そのラジカルと被処理基板331とが反応して、当該被処理基板331の窒化を行うことができる。その後、NH3ガスとArガスとが、排気口353から処理室外へ排気される。また、酸素又は亜酸化窒素などを導入した場合には、酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)が生成され被処理基板331若しくは被処理基板331上にある被膜の酸化を行うことができる。
また、例えば、基板201上に設けるトランジスタの作製においても、この高密度プラズマによる固相反応で半導体膜を直接酸化、窒化若しくは酸窒化してゲート絶縁膜を形成することができる。また、高密度プラズマによる固相反応で半導体膜に形成した絶縁膜に、プラズマや熱反応を利用したCVD法で酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコンなどの絶縁膜を堆積し積層させたゲート絶縁膜としても良い。いずれにしても、高密度プラズマで形成した絶縁膜をゲート絶縁膜の一部又は全部に含んで形成される電界効果型トランジスタは、特性のばらつきを小さくすることができる。
以下に、具体例として、上記図3において、基板201に対して、第1の処理室311において基板201にプラズマ処理を行い、第2の処理室312において絶縁膜203を形成し、第3の処理室313においてプラズマ処理を行い、第4の処理室314において半導体膜204を成膜する一例について説明する。
まず、基板201は多数枚が収納されたカセット328ごとロードロック室310に搬入される。カセット328の搬入後、ロードロック室310の搬入扉を閉鎖する。この状態において、ゲート弁322を開けてカセット328から処理基板を1枚取り出し、ロボットアーム321によって共通室320に配置させる。この際、共通室320において基板201の位置合わせが行われる。
次に、ゲート弁322を閉鎖し、ついでゲート弁324を開ける。そして、第1の処理室311へ基板201を移送する。第1の処理室311内で、基板201に対してプラズマ処理を行うことによって、基板201を酸化または窒化させる。ここでは、第1の処理室311において、窒素雰囲気下でプラズマ処理を行うことによって、基板201の表面に窒化物を含む窒化処理層202を形成する。
次に、基板201表面に窒化処理層を形成した後、基板201はロボットアーム321によって共通室320に引き出され、第2の処理室312に移送される。第2の処理室312内では、150℃〜300℃の温度で成膜処理を行い、絶縁膜203を形成する。絶縁膜203としては、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y)などの酸素または窒素を有する絶縁膜の単層構造、またはこれらの積層構造で設けることができる。ここでは、第2の処理室312において、プラズマCVD法により、1層目の絶縁膜として窒化酸化シリコン膜を形成し、2層目の絶縁膜として酸化窒化シリコン膜を形成する。なお、プラズマCVD法に限られず、ターゲットを用いたスパッタ法により形成してもよい。
次に、絶縁膜203を成膜した後、基板201はロボットアーム321によって共通室320に引き出され、第3の処理室313に移送される。第3の処理室313内では、絶縁膜203に対してプラズマ処理を行うことによって、絶縁膜203を酸化または窒化させる。ここでは、第3の処理室313において、酸素雰囲気下(例えば、酸素と希ガス雰囲気下または酸素と水素と希ガス雰囲気下または一酸化二窒素と希ガス雰囲気下)でプラズマ処理を行うことによって、絶縁膜203の表面を酸化させる。
次に、絶縁膜203を酸化した後、基板201はロボットアーム321によって共通室320に引き出され、第4の処理室314に移送される。第4の処理室314内では、150℃〜300℃の温度で成膜処理を行い、プラズマCVD法により半導体膜204を形成する。なお、半導体膜204としては、微結晶半導体膜、非晶質ゲルマニウム膜、非晶質シリコンゲルマニウム膜またはこれらの積層膜などを使用することができる。また、半導体膜の形成温度を350℃〜500℃として水素濃度を低減するための熱処理を省略してもよい。なお、ここではプラズマCVD法を用いて形成する例を示したが、ターゲットを用いたスパッタ法を用いて形成してもよい。
以上のように、半導体膜を成膜した後、基板201はロボットアーム321によってロードロック室315に移送され、カセット329に収納される。
なお、図19(A)に示したのはあくまで一例であり、例えば、半導体膜を形成した後に続けて第5の処理室を用いて導電膜や絶縁膜を形成してもよいし、さらに処理室の数を増やすことも可能である。また、プラズマ処理を行う処理室とは別にRTA等の加熱処理を行う処理室を設け、半導体装置の作製工程における熱処理に利用することも可能である。また、図19(A)において第1の処理室311〜第4の処理室314はシングル型の処理室を用いた例を示したが、バッチ型の処理室を用いて多数枚を一度に処理する構成としてもよい。
なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。つまり、上記実施の形態で示した材料や形成方法は、本実施の形態でも組み合わせて利用することができるし、本実施の形態で示した材料や形成方法も上記実施の形態でも組み合わせて利用することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態とは異なる半導体装置の作製方法に関して図面を参照して説明する。具体的には、薄膜トランジスタ、記憶素子及びアンテナを含む本発明の半導体装置の作製方法について、図面を参照して説明する。
まず、基板701の一表面に、窒素雰囲気下でプラズマ処理を行い窒化処理層702(以下、絶縁膜702とも記す)を形成し、続けて下地となる絶縁膜703および非晶質半導体膜704(例えば非晶質珪素を含む膜)を形成する(図9(A))。
基板701は、ガラス基板、石英基板、金属基板やステンレス基板の一表面に絶縁膜を形成したもの、本工程の処理温度に耐えうる耐熱性があるプラスチック基板等を用いるとよい。このような基板701であれば、その面積や形状に大きな制限はないため、基板701として、例えば、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いれば、生産性を格段に向上させることができる。また、Si等の半導体基板を用いてもよい。
絶縁膜703は、CVD法やスパッタ法等により、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y)等の酸素または窒素を有する絶縁膜の単層構造、またはこれらの積層構造で設けることができる。下地となる絶縁膜が2層構造の場合、例えば、1層目として窒化酸化珪素膜を形成し、2層目として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。下地となる絶縁膜が3層構造の場合、1層目の絶縁膜として酸化珪素膜を形成し、2層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜を形成し、3層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。または、1層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成し、2層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜を形成し、3層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。下地となる絶縁膜は、基板701からの不純物の侵入を防止するブロッキング膜として機能する。
次に、絶縁膜703上に、非晶質半導体膜704(例えば非晶質珪素を含む膜)を形成する。非晶質半導体膜704は、公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により、25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで形成する。続いて、非晶質半導体膜704を公知の結晶化法(レーザ結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザ結晶化法を組み合わせた方法等)により結晶化して、結晶質半導体膜を形成する。その後、得られた結晶質半導体膜を所望の形状にエッチングして、結晶質半導体膜706〜710を形成する(図9(B))。
結晶質半導体膜706〜710の作製工程の一例を以下に簡単に説明すると、まず、プラズマCVD法を用いて、膜厚66nmの非晶質半導体膜を形成する。次に、結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体膜上に保持させた後、非晶質半導体膜に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)を行って結晶質半導体膜を形成する。その後、必要に応じてレーザ光を照射し、フォトリソグラフィ法を用いることによって結晶質半導体膜706〜710を形成する。
レーザ結晶化法で結晶質半導体膜を形成する場合、連続発振型のレーザビーム(CWレーザビーム)やパルス発振型のレーザビーム(パルスレーザビーム)を用いることができる。ここで用いることができるレーザビームは、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。このようなレーザビームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザビームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このときレーザのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。なお、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、Arイオンレーザ、またはTi:サファイアレーザは、連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザビームを発振させると、半導体膜がレーザによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
また、結晶化を助長する金属元素を用いて非晶質半導体膜の結晶化を行うと、低温で短時間の結晶化が可能となるうえ、結晶の方向が揃うという利点がある一方、金属元素が結晶質半導体膜に残存するためにオフ電流が上昇し、特性が安定しないという欠点がある。そこで、結晶質半導体膜上に、ゲッタリングサイトとして機能する非晶質半導体膜を形成するとよい。ゲッタリングサイトとなる非晶質半導体膜には、リンやアルゴンの不純物元素を含有させる必要があるため、好適には、アルゴンを高濃度に含有させることが可能なスパッタ法で形成するとよい。その後、加熱処理(RTA法やファーネスアニール炉を用いた熱アニール等)を行って、非晶質半導体膜中に金属元素を拡散させ、続いて、当該金属元素を含む非晶質半導体膜を除去する。そうすると、結晶質半導体膜中の金属元素の含有量を低減又は除去することができる。
次に、結晶質半導体膜706〜710を覆うゲート絶縁膜705を形成する。ゲート絶縁膜705は、CVD法やスパッタ法等により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む膜を、単層又は積層して形成する。具体的には、酸化珪素を含む膜、酸化窒化珪素を含む膜、窒化酸化珪素を含む膜を、単層又は積層して形成する。
また、ゲート絶縁膜705は、結晶質半導体膜706〜710に対し前述の高密度プラズマ処理を行い、表面を酸化又は窒化することで形成しても良い。例えば、He、Ar、Kr、Xeなどの希ガスと、酸素、酸化窒素(NO2)、アンモニア、窒素、水素などの混合ガスを導入したプラズマ処理で形成する。この場合のプラズマの励起は、マイクロ波の導入により行うと、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。この高密度プラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体膜の表面を酸化又は窒化することができる。
このような高密度プラズマを用いた処理により、1〜20nm、代表的には5〜10nmの絶縁膜が半導体膜に形成される。この場合の反応は、固相反応であるため、当該絶縁膜と半導体膜との界面準位密度はきわめて低くすることができる。このような、高密度プラズマ処理は、半導体膜(結晶性シリコン、或いは多結晶シリコン)を直接酸化(若しくは窒化)するため、形成される絶縁膜の厚さは理想的には、ばらつきをきわめて小さくすることができる。加えて、結晶性シリコンの結晶粒界でも酸化が強くされることがないため、非常に好ましい状態となる。すなわち、ここで示す高密度プラズマ処理で半導体膜の表面を固相酸化することにより、結晶粒界において異常に酸化反応をさせることなく、均一性が良く、界面準位密度が低い絶縁膜を形成することができる。
ゲート絶縁膜は、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁膜のみを用いても良いし、それにプラズマや熱反応を利用したCVD法で酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコンなどの絶縁膜を堆積し、積層させても良い。いずれにしても、高密度プラズマで形成した絶縁膜をゲート絶縁膜の一部又は全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを小さくすることができる。
また、半導体膜に対し、連続発振レーザ若しくは10MHz以上の周波数で発振するレーザビームを照射しながら一方向に走査して結晶化させて得られた結晶質半導体膜706〜710は、そのビームの走査方向に結晶が成長する特性がある。その走査方向をチャネル長方向(チャネル形成領域が形成されたときにキャリアが流れる方向)に合わせてトランジスタを配置し、上記ゲート絶縁層を組み合わせることで、特性ばらつきが小さく、しかも電界効果移動度が高いトランジスタ(TFT)を得ることができる。
次に、ゲート絶縁膜705上に、第1の導電膜と第2の導電膜とを積層して形成する。第1の導電膜は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)により、20〜100nmの厚さで形成する。第2の導電膜は、公知の手段により、100〜400nmの厚さで形成する。第1の導電膜と第2の導電膜は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成する。または、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素に代表される半導体材料により形成する。第1の導電膜と第2の導電膜の組み合わせの例を挙げると、窒化タンタル(TaN)膜とタングステン(W)膜、窒化タングステン(WN)膜とタングステン膜、窒化モリブデン(MoN)膜とモリブデン(Mo)膜等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、第1の導電膜と第2の導電膜を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層構造ではなく、3層構造の場合は、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造を採用するとよい。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成し、ゲート電極とゲート線を形成するためのエッチング処理を行って、ゲート電極として機能する導電膜716〜725を形成する。
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストからなるマスクを形成して、結晶質半導体膜706、708〜710に、イオンドープ法又はイオン注入法により、N型を付与する不純物元素を低濃度に添加して、N型不純物領域711、713〜715とチャネル形成領域780、782〜784を形成する。N型を付与する不純物元素は、15族に属する元素を用いれば良く、例えばリン(P)、砒素(As)を用いる。
次に、フォトリソグラフィ法によりレジストからなるマスクを形成して、結晶質半導体膜707に、P型を付与する不純物元素を添加して、P型不純物領域712とチャネル形成領域781を形成する。P型を付与する不純物元素は、例えばボロン(B)を用いる。
次に、ゲート絶縁膜705と導電膜716〜725を覆うように、絶縁膜を形成する。絶縁膜は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタ法)により、珪素、珪素の酸化物又は珪素の窒化物の無機材料を含む膜や、有機樹脂などの有機材料を含む膜を、単層又は積層して形成する。次に、絶縁膜を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、導電膜716〜725の側面に接する絶縁膜(サイドウォールともよばれる)739〜743を形成する(図9(C))。また、絶縁膜739〜743の作製と同時に、ゲート絶縁膜705がエッチングされた絶縁膜734〜738を形成する。絶縁膜739〜743は、後にソース又はドレイン領域を形成する際のドーピング用のマスクとして用いる。
次に、フォトリソグラフィ法により形成したレジストからなるマスクと、絶縁膜739〜743をマスクとして用いて、結晶質半導体膜706、708〜710にN型を付与する不純物元素を添加して、LDD(Lightly Doped drain)領域として機能する第1のN型不純物領域727、729、731、733と、第2のN型不純物領域726、728、730、732とを形成する。第1のN型不純物領域727、729、731、733が含む不純物元素の濃度は、第2のN型不純物領域726、728、730、732の不純物元素の濃度よりも低い。上記工程を経て、N型の薄膜トランジスタ744、746〜748と、P型の薄膜トランジスタ745が完成する。
なお、LDD領域を形成するためには、サイドウォールの絶縁膜をマスクとして用いる手法がある。サイドウォールの絶縁膜をマスクとして用いる手法は、LDD領域の幅の制御が容易であり、また、LDD領域を確実に形成することができる。
続いて、薄膜トランジスタ744〜748を覆うように、絶縁膜を単層又は積層して形成する(図10(A))。薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁膜は、公知の手段(SOG法、液滴吐出法等)により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ、シロキサン等の有機材料等により、単層又は積層で形成する。シロキサン系の材料とは、例えば、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む物質、又は、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基にフッ素、アルキル基、芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む物質に相当する。例えば、薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁膜が3層構造の場合、1層目の絶縁膜749として酸化珪素を含む膜を形成し、2層目の絶縁膜750として樹脂を含む膜を形成し、3層目の絶縁膜751として窒化珪素を含む膜を形成するとよい。
なお、絶縁膜749〜751を形成する前、又は絶縁膜749〜751のうちの1つ又は複数の薄膜を形成した後に、半導体膜の結晶性の回復や半導体膜に添加された不純物元素の活性化、半導体膜の水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処理には、熱アニール、レーザアニール法又はRTA法などを適用するとよい。
次に、フォトリソグラフィ法により絶縁膜749〜751をエッチングして、第2のN型不純物領域726、728〜732、P型不純物領域712を露出させるコンタクトホールを形成する。続いて、コンタクトホールを充填するように、導電膜を形成し、当該導電膜をパターン加工して、ソースドレイン配線として機能する導電膜752〜761を形成する。
導電膜752〜761は、CVD法やスパッタリング法等により、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジウム(Nd)、炭素(C)、シリコン(Si)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方又は両方とを含む合金材料に相当する。導電膜752〜761は、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜と窒化チタン(TiN)膜とバリア膜の積層構造を採用するとよい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電膜752〜761を形成する材料として最適である。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア膜を形成すると、結晶質半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体膜と良好なコンタクトをとることができる。
次に、導電膜752〜761を覆うように、絶縁膜762を形成する(図10(B))。絶縁膜762は、SOG法、液滴吐出法またはスクリーン印刷法やグラビア印刷法等の印刷法を用いて、無機材料又は有機材料により、単層又は積層で形成する。また、絶縁膜762は、好適には、0.75μm〜3μmの厚さで形成する。
続いて、フォトリソグラフィ法により絶縁膜762をエッチングして、導電膜757、759、761を露出させるコンタクトホールを形成する。続いて、コンタクトホールを充填するように、導電膜を形成する。導電膜は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)を用いて、導電性材料により形成する。次に、導電膜をパターン加工して、導電膜763〜765を形成する。なお、導電膜763、764は、記憶素子が含む一対の導電膜のうちの一方の導電膜となる。従って、好適には、導電膜763〜765は、チタン、又はチタンを主成分とする合金材料若しくは化合物材料により、単層又は積層で形成するとよい。チタンは、抵抗値が低いため、記憶素子のサイズの縮小につながり、高集積化を実現することができる。また、導電膜763〜765を形成するためのフォトリソグラフィ工程においては、下層の薄膜トランジスタ744〜748にダメージを与えないために、ウエットエッチング加工を行うとよく、エッチング剤にはフッ化水素(HF)又はアンモニア過水を用いるとよい。
次に、導電膜763〜765を覆うように、絶縁膜766を形成する。絶縁膜766は、公知の手段(SOG法、液滴吐出法等)を用いて、無機材料又は有機材料により、単層又は積層で形成する。また、絶縁膜762は、好適には、0.75μm〜3μmの厚さで形成する。続いて、フォトリソグラフィ法により、絶縁膜766をエッチングして、導電膜763〜765を露出させるコンタクトホール767〜769を形成する。
次に、導電膜765に接し、アンテナとして機能する導電膜786を形成する(図11(A))。導電膜786は、CVD法、スパッタリング法、印刷法、液滴吐出法、印刷法等を用いて、導電性材料により形成する。好ましくは、導電膜786は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。具体的には、導電膜786は、スクリーン印刷法により、銀を含むペーストを用いて形成し、その後、50〜350度の加熱処理を行って形成する。又は、スパッタリング法によりアルミニウム膜を形成し、当該アルミニウム膜をパターン加工することにより形成する。アルミニウム膜のパターン加工は、ウエットエッチング加工を用いるとよく、ウエットエッチング加工後は200〜300度の加熱処理を行うとよい。
次に、導電膜763、764に接するように記憶素子として機能する有機化合物層787を形成する(図11(B))。記憶素子としては、電気的作用、光学的作用又は熱的作用等により、その性質や状態が変化する材料を用いることができる。例えば、ジュール熱による溶融、絶縁破壊等により、その性質や状態が変化し、下部電極と、上部電極とが短絡(ショート)することができる材料を用いればよい。そのため記憶素子に用いる層(ここでは有機化合物層)の厚さは、5nmから100nm、好ましくは10nmから60nmとするとよい。
ここでは、有機化合物層787は、液滴吐出法、スピンコート法、蒸着法等により形成する。続いて、有機化合物層787に接するように、導電膜771を形成する。導電膜771は、スパッタ法やスピンコート法、液滴吐出法、蒸着法等により形成する。
以上の工程を経て、導電膜763と有機化合物層787と導電膜771との積層体からなる記憶素子部789および導電膜764と有機化合物層787と導電膜771との積層体からなる記憶素子部790が完成する。
なお、上記の作製工程では、有機化合物層787の耐熱性が強くないため、アンテナとして機能する導電膜786を形成する工程の後に、有機化合物層787を形成する工程を行うことを特徴とする。
有機化合物層に用いる有機材料としては、例えば、4、4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)や4,4’−ビス{N−[4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル]−N−フェニルアミノ}ビフェニル(略称:DNTPD)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物、ポリビニルカルバゾール(略称:PVK)やフタロシアニン(略称:H2Pc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等のフタロシアニン化合物等を用いることができる。これら材料は、正孔輸送性の高い物質である。
また、他にも有機材料として、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる材料や、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体などの材料も用いることができる。これら材料は、電子輸送性が高い物質である。
さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等の化合物等を用いることができる。
また、有機化合物層は単層構造であっても、積層構造であってもよい。積層構造の場合、上記材料から選び、積層構造することができる。また上記有機材料と、発光材料とを積層してもよい。発光材料として、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン、ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(略称:TBP)等がある。
また、上記発光材料を分散してなる層を用いてもよい。発光材料分散してなる層において、母体となる材料としては、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)等のアントラセン誘導体、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)等のカルバゾール誘導体、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:ZnBOX)などの金属錯体等を用いることができる。また、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等を用いることができる。
このような有機材料は、熱的作用等によりその性質を変化させるため、ガラス転移温度(Tg)が50℃から300℃、好ましくは80℃から120℃であるとよい。
また、有機材料や発光材料に金属酸化物を混在させた材料を用いてもよい。なお金属酸化物を混在させた材料とは、上記有機材料又は発光材料と、金属酸化物とが混合した状態、又は積層された状態を含む。具体的には複数の蒸着源を用いた共蒸着法により形成された状態を指す。このような材料を有機無機複合材料と呼ぶことができる。
例えば正孔輸送性の高い物質と、金属酸化物を混在させる場合、当該金属酸化物にはバナジウム酸化物、モリブデン酸化物、ニオブ酸化物、レニウム酸化物、タングステン酸化物、ルテニウム酸化物、チタン酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物を用いると好ましい。
また電子輸送性の高い物質と、金属酸化物を混在させる場合、当該金属酸化物にはリチウム酸化物、カルシウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、マグネシウム酸化物を用いると好ましい。
有機化合物層には、電気的作用、光学的作用又は熱的作用により、その性質が変化する材料を用いればよいため、例えば光を吸収することによって酸を発生する化合物(光酸発生剤)をドープした共役高分子を用いることもできる。共役高分子として、ポリアセチレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリフェニレンエチニレン類等を用いることができる。また、光酸発生剤としては、アリールスルホニウム塩、アリールヨードニウム塩、o−ニトロベンジルトシレート、アリールスルホン酸p−ニトロベンジルエステル、スルホニルアセトフェノン類、Fe−アレン錯体PF6塩等を用いることができる。
なお、ここでは、記憶素子部789、790として、有機化合物材料を用いた例を示したが、これに限られない。例えば、結晶状態と非晶質状態の間で可逆的に変化する材料や第1の結晶状態と第2の結晶状態の間で可逆的に変化する材料等の相変化材料を用いることができる。また、非晶質状態から結晶状態にのみ変化する材料を用いることも可能である。
結晶状態と非晶質状態の間で可逆的に変化する材料とは、ゲルマニウム(Ge)、テルル(Te)、アンチモン(Sb)、硫黄(S)、酸化テルル(TeOx)、Sn(スズ)、金(Au)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、Co(コバルト)及び銀(Ag)から選択された複数を有する材料であり、例えば、Ge−Te−Sb−S、Te−TeO2−Ge−Sn、Te−Ge−Sn−Au、Ge−Te−Sn、Sn−Se−Te、Sb−Se−Te、Sb−Se、Ga−Se−Te、Ga−Se−Te−Ge、In−Se、In−Se−Tl−Co、Ge−Sb−Te、In−Se−Te、Ag−In−Sb−Te系材料が挙げられる。また、第1の結晶状態と第2の結晶状態の間で可逆的に変化する材料とは、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、セレン(Se)及びテルル(Te)から選択された複数を有する材料であり、例えば、Te−TeO2、Te−TeO2−Pd、Sb2Se3/Bi2Te3が挙げられる。この材料の場合、相変化は2つの異なる結晶状態の間で行われる。また、非晶質状態から結晶状態にのみ変化する材料とは、テルル(Te)、酸化テルル(TeOx)、アンチモン(Sb)、セレン(Se)及びビスマス(Bi)から選択された複数を有する材料であり、例えば、Ag−Zn、Cu−Al−Ni、In−Sb、In−Sb−Se、In−Sb−Teが挙げられる。
次に、記憶素子部789、790、アンテナとして機能する導電膜786を覆うように、SOG法、スピンコート法、液滴吐出法または印刷法等により、保護膜として機能する絶縁膜772を形成する。絶縁膜772は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの炭素を含む膜、窒化珪素を含む膜、窒化酸化珪素を含む膜、有機材料により形成し、好ましくはエポキシ樹脂により形成する。
次に、上記実施の形態で示したように、基板701の薄膜化または除去を行う(図12(A))。ここでは、図4に示したように、基板701に研削処理、研磨処理または化学処理によるエッチング等によって基板701を除去し絶縁膜702を露出させた例を示している。ここでは、研削手段795を用いて薄膜化を行う。なお、基板701を研削手段795により薄膜化した後に、研磨処理や化学処理を用いたエッチング等を行ってもよい。このように、絶縁膜702が露出するまで基板701に研削処理、研磨処理または化学処理によるエッチング等を行う場合には、絶縁膜702をストッパーとして用いることができる。
また、他にも、上記図6(B)に示したように基板701の一部を残すように薄膜化を行った後に、残存した基板701に表面処理を行い保護膜として機能する絶縁膜を形成してもよいし、上記図5で示したように絶縁膜702を形成せずに、基板701を薄膜化した後に表面処理を行うことによって、保護膜として機能する絶縁膜を形成することも可能である。
次に、第1のシート材791と第2のシート材792を用いて封止処理を行う(図12(B))。
封止に用いる第1のシート材791、第2のシート材792として、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなるフィルム、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルム等を利用することができる。また、フィルムは被処理体と加熱処理と加圧処理が行われるものであり、加熱処理と加圧処理を行う際には、フィルムの最表面に設けられた接着層か、又は最外層に設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着する。また、第1のシート材791と第2のシート材792の表面には接着層が設けられていてもよいし、接着層が設けられていなくてもよい。接着層は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂系接着剤、樹脂添加剤等の接着剤を含む層に相当する。また、封止後に内部への水分等の侵入を防ぐために封止するシート材にシリカコートを行うことが好ましく、例えば、接着層とポリエステル等のフィルムとシリカコートを積層指せたシート材を利用することができる。
また、第1のシート材791、第2のシート材792として、静電気等を防止する帯電防止対策を施したフィルム(以下、帯電防止フィルムと記す)を用いることもできる。帯電防止フィルムとしては、帯電防止可能な材料を樹脂中に分散させたフィルム、及び帯電防止可能な材料が貼り付けられたフィルム等が挙げられる。帯電防止可能な材料が設けられたフィルムは、片面に帯電防止可能な材料を設けたフィルムであってもよいし、両面に帯電防止可能な材料を設けたフィルムであってもよい。さらに、片面に帯電防止可能な材料が設けられたフィルムは、帯電防止可能な材料が設けられた面をフィルムの内側になるように層に貼り付けてもよいし、フィルムの外側になるように貼り付けてもよい。なお、帯電防止可能な材料はフィルムの全面、あるいは一部に設けてあればよい。ここでの帯電防止可能な材料としては、金属、インジウムと錫の酸化物(ITO)、両性界面活性剤や陽イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤等の界面活性剤用いることができる。また、他にも帯電防止材料として、側鎖にカルボキシル基および4級アンモニウム塩基をもつ架橋性共重合体高分子を含む樹脂材料等を用いることができる。これらの材料をフィルムに貼り付けたり、練り込んだり、塗布したりすることによって帯電防止フィルムとすることができる。帯電防止フィルムで封止を行うことによって、商品として取り扱う際に、外部からの静電気等によって半導体素子に悪影響が及ぶことを抑制することができる。
なお、特に封止処理が必要ない場合には、図12(A)に示した構造で完成させることも可能である。また、封止処理は、基板701または絶縁膜772のどちらか一方の面の封止を選択的に行ってもよい。
なお、本実施の形態は、上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。つまり、上記実施の形態で示した材料や形成方法は、本実施の形態でも組み合わせて利用することができるし、本実施の形態で示した材料や形成方法も上記実施の形態でも組み合わせて利用することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、非接触でデータのやりとりが可能である半導体装置の適用例に関して図面を参照して以下に説明する。非接触でデータのやりとりが可能である半導体装置は利用の形態によっては、RFID(Radio Frequency Identification)、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ(Radio Frequency)、無線タグ、電子タグまたは無線チップともよばれる。
半導体装置80は、非接触でデータを交信する機能を有し、高周波回路81、電源回路82、リセット回路83、クロック発生回路84、データ復調回路85、データ変調回路86、他の回路の制御を行う制御回路87、記憶回路88およびアンテナ89を有している(図13(A))。高周波回路81はアンテナ89より信号を受信して、データ変調回路86より受信した信号をアンテナ89から出力する回路であり、電源回路82は受信信号から電源電位を生成する回路であり、リセット回路83はリセット信号を生成する回路であり、クロック発生回路84はアンテナ89から入力された受信信号を基に各種クロック信号を生成する回路であり、データ復調回路85は受信信号を復調して制御回路87に出力する回路であり、データ変調回路86は制御回路87から受信した信号を変調する回路である。また、制御回路87としては、例えばコード抽出回路91、コード判定回路92、CRC判定回路93および出力ユニット回路94が設けられている。なお、コード抽出回路91は制御回路87に送られてきた命令に含まれる複数のコードをそれぞれ抽出する回路であり、コード判定回路92は抽出されたコードとリファレンスに相当するコードとを比較して命令の内容を判定する回路であり、CRC回路は判定されたコードに基づいて送信エラー等の有無を検出する回路である。
また、記憶回路としては1つに限定されず、複数設けてもよく、SRAM、フラッシュメモリ、ROMまたはFeRAM等や上記実施の形態で示した有機化合物層を記憶素子部に用いたものを用いることができる。
次に、本発明の非接触でデータの交信が可能な半導体装置の動作の一例について説明する。まず、アンテナ89により無線信号が受信される。無線信号は高周波回路81を介して電源回路82に送られ、高電源電位(以下、VDDと記す)が生成される。VDDは半導体装置80が有する各回路に供給される。また、高周波回路81を介してデータ復調回路85に送られた信号は復調される(以下、復調信号)。さらに、高周波回路81を介してリセット回路83およびクロック発生回路84を通った信号及び復調信号は制御回路87に送られる。制御回路87に送られた信号は、コード抽出回路91、コード判定回路92およびCRC判定回路93等によって解析される。そして、解析された信号にしたがって、記憶回路88内に記憶されている半導体装置の情報が出力される。出力された半導体装置の情報は出力ユニット回路94を通って符号化される。さらに、符号化された半導体装置80の情報はデータ変調回路86を通って、アンテナ89により無線信号に載せて送信される。なお、半導体装置80を構成する複数の回路においては、低電源電位(以下、VSS)は共通であり、VSSはGNDとすることができる。
このように、リーダ/ライタから半導体装置80に信号を送り、当該半導体装置80から送られてきた信号をリーダ/ライタで受信することによって、半導体装置のデータを読み取ることが可能となる。
また、半導体装置80は、各回路への電源電圧の供給を電源(バッテリー)を搭載せず電磁波により行うタイプとしてもよいし、電源(バッテリー)を搭載して電磁波と電源(バッテリー)により各回路に電源電圧を供給するタイプとしてもよい。
上記実施の形態で示した構成を用いることによって、折り曲げることが可能な半導体装置を作製することが可能となるため、曲面を有する物体に貼り付けて設けることが可能となる。
次に、可撓性を有する非接触でデータのやりとりが可能な半導体装置の使用形態の一例について説明する。表示部3210を含む携帯端末の側面には、リーダ/ライタ3200が設けられ、品物3220の側面には半導体装置3230が設けられる(図13(B))。品物3220が含む半導体装置3230にリーダ/ライタ3200をかざすと、表示部3210に品物の原材料や原産地、生産工程ごとの検査結果や流通過程の履歴等、更に商品の説明等の商品に関する情報が表示される。また、商品3260をベルトコンベアにより搬送する際に、リーダ/ライタ3240と、商品3260に設けられた半導体装置3250を用いて、該商品3260の検品を行うことができる(図13(C))。このように、システムに半導体装置を活用することで、情報の取得を簡単に行うことができ、高機能化と高付加価値化を実現する。また、上記実施の形態で示したように、曲面を有する物体に貼り付けた場合であっても、半導体装置に含まれるトランジスタ等の損傷を防止し、信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
また、上述した非接触データのやりとりが可能である半導体装置における信号の伝送方式は、電磁結合方式、電磁誘導方式またはマイクロ波方式等を用いることができる。伝送方式は、実施者が使用用途を考慮して適宜選択すればよく、伝送方式に伴って最適なアンテナを設ければよい。
例えば、半導体装置における信号の伝送方式として、電磁結合方式または電磁誘導方式(例えば13.56MHz帯)を適用する場合には、磁界密度の変化による電磁誘導を利用するため、アンテナとして機能する導電膜を輪状(例えば、ループアンテナ)、らせん状(例えば、スパイラルアンテナ)に形成する。
また、半導体装置における信号の伝送方式として、マイクロ波方式(例えば、UHF帯(860〜960MHz帯)、2.45GHz帯等)を適用する場合には、信号の伝送に用いる電磁波の波長を考慮してアンテナとして機能する導電層の長さ等の形状を適宜設定すればよく、例えば、アンテナとして機能する導電膜を線状(例えば、ダイポールアンテナ)、平坦な形状(例えば、パッチアンテナ)に形成することができる。また、アンテナとして機能する導電膜の形状は線状に限られず、電磁波の波長を考慮して曲線状や蛇行形状またはこれらを組み合わせた形状で設けてもよい。
アンテナとして機能する導電膜は、CVD法、スパッタ法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、メッキ法等を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層構造又は積層構造で形成する。
例えば、スクリーン印刷法を用いてアンテナとして機能する導電膜を形成する場合には、粒径が数nmから数十μmの導電体粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性のペーストを選択的に印刷することによって設けることができる。導電体粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子、または分散性ナノ粒子を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤および被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、珪素樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、導電膜の形成にあたり、導電性のペーストを押し出した後に焼成することが好ましい。例えば、導電性のペーストの材料として、銀を主成分とする微粒子(例えば粒径1nm以上100nm以下)を用いる場合、150〜300℃の温度範囲で焼成することにより硬化させて導電膜を得ることができる。また、はんだや鉛フリーのはんだを主成分とする微粒子を用いてもよく、この場合は粒径20μm以下の微粒子を用いることが好ましい。はんだや鉛フリーはんだは、低コストであるといった利点を有している。
また、上述した材料以外にも、セラミックやフェライト等をアンテナに適用してもよいし、他にもマイクロ波帯において誘電率および透磁率が負となる材料(メタマテリアル)をアンテナに適用することも可能である。
また、電磁結合方式または電磁誘導方式を適用する場合であって、アンテナを備えた半導体装置を金属に接して設ける場合には、当該半導体装置と金属との間に透磁率を備えた磁性材料を設けることが好ましい。アンテナを備えた半導体装置を金属に接して設ける場合には、磁界の変化に伴い金属に渦電流が流れ、当該渦電流により発生する反磁界によって、磁界の変化が弱められて通信距離が低下する。そのため、半導体装置と金属との間に透磁率を備えた材料を設けることにより金属の渦電流を抑制し通信距離の低下を抑制することができる。なお、磁性材料としては、高い透磁率を有し高周波損失の少ないフェライトや金属薄膜を用いることができる。
また、アンテナを設ける場合には、1枚の基板上にトランジスタ等の半導体素子とアンテナとして機能する導電膜を直接作り込んで設けてもよいし、半導体素子とアンテナとして機能する導電膜を別々の基板上に設けた後に、電気的に接続するように貼り合わせることによって設けてもよい。
なお、上述した以外にも可撓性を有する半導体装置の用途は広範にわたり、非接触で対象物の履歴等の情報を明確にし、生産・管理等に役立てる商品であればどのようなものにも適用することができる。例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。これらの例に関して図14を用いて説明する。
紙幣、硬貨とは、市場に流通する金銭であり、特定の地域で貨幣と同じように通用するもの(金券)、記念コイン等を含む。有価証券類とは、小切手、証券、約束手形等を指す(図14(A))。証書類とは、運転免許証、住民票等を指す(図14(B))。無記名債券類とは、切手、おこめ券、各種ギフト券等を指す(図14(C))。包装用容器類とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指す(図14(D))。書籍類とは、書物、本等を指す(図14(E))。記録媒体とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指す(図14(F))。乗物類とは、自転車等の車両、船舶等を指す(図14(G))。身の回り品とは、鞄、眼鏡等を指す(図14(H))。食品類とは、食料品、飲料等を指す。衣類とは、衣服、履物等を指す。保健用品類とは、医療器具、健康器具等を指す。生活用品類とは、家具、照明器具等を指す。薬品類とは、医薬品、農薬等を指す。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像機、薄型テレビ受像機)、携帯電話機等を指す。
紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類等に半導体装置20を設けることにより、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、書籍類、記録媒体等、身の回り品、食品類、生活用品類、電子機器等に半導体装置20を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。乗物類、保健用品類、薬品類等に半導体装置20を設けることにより、偽造や盗難の防止、薬品類ならば、薬の服用の間違いを防止することができる。半導体装置20の設け方としては、物品の表面に貼ったり、物品に埋め込んだりして設ける。例えば、本ならば紙に埋め込んだり、有機樹脂からなるパッケージなら当該有機樹脂に埋め込んだりするとよい。可撓性を有する半導体装置を用いることによって、紙等に設けた場合であっても、上記実施の形態で示した構造を有する半導体装置を用いて半導体装置を設けることにより、当該半導体装置に含まれる素子の破損等を防止することができる。
このように、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に半導体装置を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。また乗物類に半導体装置を設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。また、動物等の生き物に埋め込むことによって、個々の生き物の識別を容易に行うことができる。例えば、家畜等の生き物にセンサーを備えた半導体装置を埋め込むことによって、生まれた年や性別または種類等はもちろん現在の体温等の健康状態を容易に管理することが可能となる。
なお、本実施の形態は、上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。つまり、上記実施の形態で示した材料や形成方法は、本実施の形態でも組み合わせて利用することができるし、本実施の形態で示した材料や形成方法も上記実施の形態でも組み合わせて利用することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の半導体装置について上記実施の形態とは異なる構造に関して図面を参照して説明する。具体的には、画素部を有する半導体装置の一例に関して説明する。
まず、画素部に発光素子を設けた場合に関して図15を参照して説明する。なお、図15(A)は本発明の半導体装置の一例を示す上面図を示しており、図15(B)は図15(A)をa−b間とc−d間で切断した断面図を示している。
図15(A)に示すように、本実施の形態で示す半導体装置は、基板501上に設けられた走査線駆動回路502、信号線駆動回路503および画素部504等を有している。また、画素部504を基板501と共に挟むように対向基板506が設けられている。走査線駆動回路502、信号線駆動回路503および画素部504は、基板501上に上記実施の形態で示したいずれかの構造を有する薄膜トランジスタを形成して設けることができる。基板501と対向基板506は、シール材505により貼り合わされている。また、走査線駆動回路502および信号線駆動回路503は、外部入力端子となるFPC507からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。また、ここではFPC(flexible printed circuit)しか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。
図15(B)は、図15(A)のa−b間とc−d間で切断した場合の断面図を示しており、ここでは、基板501上に保護膜として機能する絶縁膜520を介して信号線駆動回路503と画素部504に含まれる薄膜トランジスタが設けられている。信号線駆動回路503は、上記実施の形態で示したいずれかの構造を有するn型の薄膜トランジスタ510aとp型の薄膜トランジスタ510bとを組み合わせたCMOS回路が形成されている。また、走査線駆動回路502や信号線駆動回路503等の駆動回路は、CMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板501上に走査線駆動回路502や信号線駆動回路503等の駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板501上ではなく外部に形成することもできる。また、対向基板506の表面には、保護膜として機能する絶縁膜526が設けられている。なお、基板501は、上記実施の形態で示したいずれかの構造を用いればよく、ここでは基板の一方の面に表面処理を行い保護膜として機能する絶縁膜520を形成した後に、当該絶縁膜520上に半導体素子を設け、その後基板の他方の面から薄膜化を行うことによって基板501としている。また、対向基板506は、基板を薄膜化した後に表面処理を行うことにより保護膜として機能する絶縁膜526が設けられている。
また、画素部504は、発光素子516と当該発光素子516駆動するための薄膜トランジスタ511とを含む複数の画素により形成されている。薄膜トランジスタ511は、上記実施の形態で示したいずれかの構造を有する薄膜トランジスタを適用することができる。また、ここでは、薄膜トランジスタ511のソースまたはドレイン領域に接続されている導電膜512に接続するように第1の電極513が設けられ、当該第1の電極513の端部を覆うように絶縁膜509が形成されている。絶縁膜509は、複数の画素において隔壁として機能している。
絶縁膜509として、ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。また、カバレッジを良好なものとするため、絶縁膜509は、当該絶縁膜509の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるように設ける。例えば、絶縁膜509の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁膜509の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。絶縁膜509としては、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。他にも、絶縁膜509としてエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン等の有機材料やシロキサン樹脂からなる単層または積層構造で設けることができる。また、上記実施の形態で示したように、絶縁膜509にプラズマ処理を行い、当該絶縁膜509を酸化または窒化することによって、絶縁膜509の表面を改質して緻密な膜を得ることも可能である。絶縁膜509の表面を改質することによって、当該絶縁膜509の強度が向上し開口部等の形成時におけるクラックの発生やエッチング時の膜減り等の物理的ダメージを低減することが可能となる。また、絶縁膜509の表面が改質されることによって、当該絶縁膜509上に設けられる発光層514との密着性等の界面特性が向上する。
また、図15に示す半導体装置は、第1の電極513上に発光層514が形成され、当該発光層514上に第2の電極515が形成されている。これら第1の電極513、発光層514および第2の電極515の積層構造により発光素子516が設けられている。
第1の電極513および第2の電極515は、一方を陽極として用い、他方を陰極として用いる。
陽極として用いる場合には、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、珪素を含有したインジウム錫酸化物膜、酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いてスパッタ法により形成した透明導電膜、酸化亜鉛(ZnO)、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
陰極として用いる場合には、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、または窒化カルシウム)を用いることが好ましい。なお、陰極として用いる電極を透光性とする場合には、電極として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、珪素を含有したインジウム錫酸化物、酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いてスパッタ法により形成した透明導電膜、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
ここでは第1の電極513を陽極として透光性を有するITOを用い、基板501側から光を取り出す構造とする。なお、第2の電極515に透光性を有する材料を用いることにより対向基板506側から光りを取り出す構造としてもいし、第1の電極513および第2の電極515を透光性を有する材料で設けることによって、基板501および対向基板506の両側に光りを取り出す構造(両面射出)とすることも可能である。
また、発光層514は、低分子系材料、中分子材料(オリゴマー、デンドリマーを含む)、または高分子(ポリマーともいう)材料等による単層または積層構造を、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の公知の方法によって形成することができる。
また、ここではシール材505で対向基板506を基板501と貼り合わせることにより、基板501、対向基板506、およびシール材505で囲まれた空間508に本発明の発光素子516が備えられた構造になっている。なお、空間508には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材505で充填される構成も含むものとする。
なお、シール材505にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、対向基板506に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。対向基板506も基板501と同様に上記実施の形態で示したように薄膜化することが可能である。また、薄膜化した後に表面処理を行うことによって保護膜を形成してもよく、ここでは対向基板506に表面処理を行い保護膜として機能する526を設けた例を示している。また、あらかじめプラスチック基板を設けた後に、上記実施の形態で示した表面処理を行うことによって保護膜として機能する絶縁膜526を設けることも可能である。
なお、画素部を有する半導体装置としては、上述したように画素部に発光素子用いた構成に限られず、画素部に液晶を用いた半導体装置も含まれる。画素部に液晶を用いた場合の半導体装置を図16に示す。
図16は、液晶を画素部に有する半導体装置の一例を示しており、導電膜512および第1の電極513を覆うように設けられた配向膜521と対向基板506に設けられた配向膜523との間に液晶522が設けられている。また、第2の電極524が対向基板506に設けられており、第1の電極513と第2の電極524間に設けられた液晶に加える電圧を制御して光の透過率を制御することにより像の表示を行う。また、液晶522中に第1の電極513と第2の電極524との間の距離(セルギャップ)を制御するために球状のスペーサ525が設けられている。なお、薄膜トランジスタ510a、510bまたは511としては、上記実施の形態で示したいずれかの構造を適用することができる。
このように、本実施の形態で示す半導体装置は、画素部を発光素子で設けてもよいし液晶で設けてもよい。
次に、上記画素部を有する半導体装置の利用形態について図面を参照して説明する。
上記画素部を有する半導体装置の利用形態として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話機、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD(digital versatile disc)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などの電子機器が挙げられる。それらの具体例を以下に示す。
図17(A)はテレビ受像機であり、筐体2001、支持台2002、表示部2003、スピーカー部2004、ビデオ入力端子2005等を含む。上記実施の形態1または2に示した構造を表示部2003や駆動回路等に設けられる薄膜トランジスタ等を有する半導体装置に適用することによって、テレビ受像機を作製することができる。
図17(B)はデジタルカメラであり、本体2101、表示部2102、受像部2103、操作キー2104、外部接続ポート2105、シャッター2106等を含む。上記実施の形態に示した構造または作製方法を表示部2102や駆動回路等に設けられる薄膜トランジスタ等を有する半導体素子に適用することによって、デジタルカメラを作製することができる。
図17(C)はコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。上記実施の形態に示した構造または作製方法を表示部2203や駆動回路等に設けられる薄膜トランジスタ等を有する半導体素子に適用することによって、コンピュータを作製することができる。
図17(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。上記実施の形態に示した構造または作製方法を表示部2302や駆動回路等に設けられる薄膜トランジスタ等を有する半導体素子に適用することによって、モバイルコンピュータを作製することができる。
図17(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(DVD再生装置など)であり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体(DVD等)読み込み部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。表示部A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を表示する。上記実施の形態に示した構造または作製方法を表示部A2403や表示部B2404や駆動回路等に設けられる薄膜トランジスタ等を有する半導体素子に適用することによって、画像再生装置を作製することができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置にはゲーム機器なども含まれる。
図17(F)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607、音声入力部2608、操作キー2609、接眼部2610等を含む。上記実施の形態に示した構造または作製方法を表示部2602や駆動回路等に設けられる薄膜トランジスタ等を有する半導体素子に適用することによって、ビデオカメラを作製することができる。
図17(G)は携帯電話機であり、本体2701、筐体2702、表示部2703、音声入力部2704、音声出力部2705、操作キー2706、外部接続ポート2707、アンテナ2708等を含む。上記実施の形態に示した構造または作製方法を表示部2703や駆動回路に設けられる薄膜トランジスタ等を有する半導体素子に適用することによって、携帯電話機を作製することができる。
また、本発明の半導体装置は、基板を薄膜化することによって、可撓性を有する状態とすることができる。以下に、画素部を有し且つ可撓性を有する半導体装置の具体例に関して図面を参照して説明する。
図18(A)はディスプレイであり、本体4101、支持台4102、表示部4103を含む。表示部4103は可撓性を有する基板を用いて形成されており、軽量で薄型のディスプレイを実現できる。また、表示部4103を湾曲させることも可能であり、支持台4102から取り外して湾曲した壁に沿ってディスプレイを取り付けることも可能である。このように、可撓性を有するディスプレイは、フラットな面はもちろん湾曲した部分にも設けることが可能となるため、様々な用途に用いることができる。本実施の形態または上記実施の形態で示した可撓性を有する半導体装置を表示部4103や回路等に用いることによって、可撓性を有するディスプレイを作製することができる。
図18(B)は巻き取り可能なディスプレイであり、本体4201、表示部4202を含む。本体4201および表示部4202は可撓性を有する基板を用いて形成されているため、ディスプレイを折り畳んだり、巻き取ったりして持ち運ぶことが可能である。そのため、ディスプレイが大型である場合でも折り畳んだり、巻き取ったりして鞄に入れて持ち運ぶことができる。本実施の形態または上記実施の形態で示した可撓性を有する半導体装置を表示部4202や回路等に用いることによって、可撓性を有し、軽量、薄型の大型のディスプレイを作製することができる。
図18(C)は、シート型のコンピュータであり、本体4401、表示部4402、キーボード4403、タッチパッド4404、外部接続ポート4405、電源プラグ4406等を含んでいる。表示部4402は可撓性を有する基板を用いて形成されており、軽量で薄型のコンピュータを実現できる。また、本体4401の部分に収納スペースを設けることによって表示部4402を本体に巻き取って収納することが可能である。また、キーボード4403も可撓性を有するように設けることによって、表示部4402と同様に本体4401の収納スペースに巻き取って収納することができ、持ち運びが便利になる。また、使用しない場合にも折り畳むことによって場所をとらずに収納することが可能となる。本実施の形態または上記実施の形態で示した可撓性を有する半導体装置を表示部4402や回路等に用いることによって、可撓性を有し、軽量、薄型のコンピュータを作製することができる。
図18(D)は、20〜80インチの大型の表示部を有する表示装置であり、本体4300、操作部であるキーボード4301、表示部4302、スピーカー4303等を含む。また、表示部4302は可撓性を有する基板を用いて形成されており、キーボード4301を取り外して本体4300を折り畳んだり巻き取ったりして持ち運ぶことが可能である。また、キーボード4301と表示部4302との接続は無線で行うことができ、例えば、湾曲した壁に沿って本体4300を取り付けながらキーボード4301で無線によって操作することができる。この場合表示部4302を本実施の形態または上記実施の形態で示した可撓性を有する半導体装置を表示部4302や回路等に用いることによって、可撓性を有し、軽量、薄型の大型表示装置を作製することができる。
図18(E)は電子ブックであり、本体4501、表示部4502、操作キー4503等を含む。またモデムが本体4501に内蔵されていても良い。表示部4502は可撓性基板を用いて形成されており、折り曲げたり巻き取ったりすることができる。そのため、電子ブックの持ち運びも場所をとらずに行うことができる。さらに、表示部4502は文字等の静止画像はもちろん動画も表示することが可能となっている。本実施の形態または上記実施の形態で示した可撓性を有する半導体装置を表示部4502や回路等に用いることによって、可撓性を有し、軽量、薄型の電子ブックを作製することができる。
図18(F)はICカードであり、本体4601、表示部4602、接続端子4603等を含む。表示部4602は可撓性基板を用いて軽量、薄型のシート状になっているため、カードの表面に張り付けて形成することができる。また、ICカードを非接触でデータの受信が行える場合に外部から取得した情報を表示部4602に表示することが可能となっている。本実施の形態または上記実施の形態で示した可撓性を有する半導体装置を表示部4602や回路等に用いることによって、可撓性を有し、軽量、薄型のICカードを作製することができる。
以上の様に、本発明の半導体装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。