JP2007041514A - 液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】暗室コントラストの低下を最小限に留めつつ反射防止性能が良好であり、且つ簡易な構成で、表示品位のみならず、視野角が著しく改善されたIPS型液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】少なくとも、第1保護膜と、第1偏光膜と、光学補償領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板とを有する液晶セルと、第2偏光膜と、第2保護膜とがこの順序で配置され、黒表示時に該液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1保護膜または第2保護膜のいずれかに少なくとも防眩層が塗設されており、該防眩層の内部散乱に起因するヘイズ値が5〜35%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜10%であることを特徴とする液晶表示装置。
【選択図】図2

Description

本発明は、液晶表示装置に関し、強誘電性液晶表示装置、反強誘電性液晶表示装置及び水平方向に配向したネマチック液晶に横方向の電界を印加することにより表示を行うインプレーンスイッチングモードの液晶表示装置に関する。
液晶表示装置としては、二枚の直交した偏光板の間に、ネマチック液晶をツイスト配列させた液晶層を挟み、電界を基板に対して垂直な方向にかける方式、いわゆるTNモードが広く用いられている。この方式では、黒表示時に液晶が基板に対して立ち上がるために、斜めから見ると液晶分子による複屈折が発生し、光漏れが起こる。この問題に対して、液晶性分子がハイブリッド配向したフィルムを用いることで、液晶セルを光学的に補償し、この光漏れを防止する方式が実用化されている。しかし、液晶性分子を用いても液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しく、画面下方向での階調反転が抑えきれないという問題を生じていた。
かかる問題を解決するため、横電界を液晶に対して印加する、いわゆるインプレーンスイッチング(IPS)モードによる液晶表示装置や、誘電率異方性が負の液晶を垂直配向してパネル内に形成した突起やスリット電極によって配向分割した垂直配向(VA)モードが提案され、実用化されている。近年、これらのパネルはモニター用途に留まらず、TV用途として開発が進められており、それに伴って画面の輝度が大きく向上してきている。このため、これらの動作モードが従来問題とされていなかった、黒表示時の対角位斜め入射方向での僅かな光漏れが表示品位の低下の原因として顕在化してきた。
この色調や黒表示の視野角を改善する手段として、液晶層と偏光板の間に複屈折特性を有する光学補償材料を配置することがIPSモードにおいても検討されている。(例えば特許文献1)
一方、これら液晶表示装置においては、外光の反射による像の映り込みを防止するために、ディスプレイの最表面に防眩性フィルムを配置することにより、液晶ディスプレイの高付加価値化が行われている。
防眩性フィルムは、表面散乱に加えて内部散乱性を有する防眩フィルムが知られている。(例えば特許文献2)
ここでIPSモードの液晶表示装置に防眩性フィルムを適用する場合、液晶表示装置が光学補償を行ったものであっても、外光の反射による像の写りこみの防止効果が十分な防眩性フィルムを適用すると、暗室コントラストが低下する等の問題が顕在化することが本発明者らの検討で明らかとなった。
特開平10−307291号公報 特許第3515401号公報
本発明は上記問題に鑑みなされたものであって、暗室コントラストの低下を最小限に留めつつ反射防止性能が良好であり、且つ簡易な構成で、表示品位のみならず、視野角が著しく改善されたIPS型液晶表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は以下のとおりである。
(1)少なくとも、第1保護膜と、第1偏光膜と、光学補償領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板とを有する液晶セルと、第2偏光膜と、第2保護膜とがこの順序で配置され、黒表示時に該液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1保護膜または第2保護膜のいずれかに少なくとも防眩層が塗設されており、該防眩層の内部散乱に起因するヘイズ値が5〜35%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜10%であることを特徴とする液晶表示装置。
(2)少なくとも、第1保護膜と、第1偏光膜と、光学補償領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板とを有する液晶セルと、第2偏光膜と、第2保護膜とがこの順序で配置され、黒表示時に該液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1保護膜または第2保護膜のいずれかに少なくとも防眩層が塗設されており、前記防眩層を有する第1保護膜または第2保護膜のいずれかが、透明支持体上に、少なくとも、防眩層及び該防眩層よりも屈折率の低い低屈折率層が積層された防眩性反射防止フィルムであり、該防眩性反射防止フィルムの内部散乱に起因するヘイズ値が5〜35%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜10%であることを特徴とする液晶表示装置。
(3)(1)に記載の防眩層の内部散乱に起因するヘイズ値が5〜20%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜10%であることを特徴とする液晶表示装置。
(4)(2)に記載の防眩性反射防止フィルムの内部散乱に起因するヘイズ値が5〜20%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜10%であることを特徴とする液晶表示装置。
(5)少なくとも、第1保護膜と、第1偏光膜と、光学補償領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板とを有する液晶セルと、第2偏光膜と、第2保護膜とがこの順序で配置され、黒表示時に該液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1保護膜または第2保護膜のいずれかに少なくとも防眩層が塗設されており、該防眩性を有する保護膜の内部散乱に起因するヘイズ値が0〜5%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜30%であることを特徴とする液晶表示装置。
(6)少なくとも、第1保護膜と、第1偏光膜と、光学補償領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板とを有する液晶セルと、第2偏光膜、第2保護膜とがこの順序で配置され、黒表示時に該液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1保護膜または第2保護膜のいずれかが、透明支持体上に、少なくとも、防眩層及び該防眩層よりも屈折率の低い低屈折率層が積層された防眩性反射防止フィルムであり、該防眩性反射防止フィルムの内部散乱に起因するヘイズ値が0〜5%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜30%であることを特徴とする液晶表示装置。
(7)前記防眩層が、透光性樹脂、透光性微粒子および複数の種類の溶媒を含有する塗布組成物から形成され、該複数の溶媒が、前記透明支持体を溶解しない主溶媒と、水酸基を有する少量溶媒とを含有することを特徴とする、(1)から(6)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(8)前記透光性樹脂が少なくとも3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなり、前記透光性粒子がアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート系重合体であることを特徴とする、(7)に記載の液晶表示装置。(9)前記透光性樹脂が少なくとも3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなり、前記透光性粒子がアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体であることを特徴とする、(7)に記載の液晶表示装置。
(10)前記低屈折率層の屈折率が1.30以上1.48以下であり、且つ前記低屈折率層が含フッ素ポリマーを含み、該含フッ素ポリマーがフッ素原子を30〜80質量%含む
ことを特徴とする、(3)または(6)に記載の液晶表示装置。
(11)前記低屈折率層が架橋性若しくは重合性の官能基を含む含フッ素ポリマーを主として含有する熱硬化性および/または光硬化性を有する組成物を塗布して形成されたことを特徴とする、(3)または(6)に記載の液晶表示装置。
(12)前記低屈折率層が、(A)前記含フッ素ポリマー、(B)平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下である無機微粒子、(C)酸触媒の存在下で製造されてなる、下記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を、各々少なくとも1種を含有する硬化性組成物を塗布し硬化して形成された硬化膜であることを特徴とする、(10)または(11)に記載の液晶表示装置。
一般式(1)
(R10)m−Si(X)4-m
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
(13)前記防眩層および前記低屈折率層が、前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有する硬化性塗布組成物を塗布し硬化して形成された硬化膜であることを特徴とする、(1)から(12)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(14)前記(B)の無機微粒子が中空構造を持つことを特徴とする、(1)から(13)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(15)前記低屈折率層が、(A)フッ素を含有しないポリマー、(B)平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下であり、中空構造を持つ無機微粒子を含有する硬化性組成物を塗布し硬化して形成された硬化膜であることを特徴とする、(1)から(14)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(16)前記光学補償領域が下記式(A)〜(D)のいずれかを満たす少なくとも1位相差領域を含むことを特徴とする(1)から(15)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(A)100nm≦Re≦400nm、且つ−50nm≦Rth≦50nm
(B)60nm≦Re≦200nm、且つ30nm≦Rth≦100nm
(C)0nm≦Re≦20nm、且つ−400nm≦Rth≦−50nm
(D)30nm≦Re≦150nm、且つ100nm≦Rth≦400nm
(ここでReは面内のレターデーション、Rthは厚み方向のレターデーションである。)
(17)前記光学補償領域が第1位相差領域と第2位相差領域からなり、
第1位相差領域の面内のレターデーションReが70nm〜330nmであり、
第1位相差領域の値Nzが0を超え0.5未満であり、
第2位相差領域の面内のレターデーションReが0nm〜100nmであり、第2位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが10nm〜140nmであり、且つ第1偏光膜の透過軸が、黒表示時の液晶分子の遅相軸方向に平行であることを特徴とする(1)から(16)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(18)前記第1偏光膜、前記第1位相差領域、前記第2位相差領域及び前記液晶セルが、この順序で配置され、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の透過軸に実質的に直交していることを特徴とする(17)に記載の液晶表示装置。
(19)前記第1偏光膜、前記第2位相差領域、前記第1位相差領域及び前記液晶セルが、この順序で配置され、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の透過軸に実質的に平行であることを特徴とする(17)に記載の液晶表示装置。
(20)前記光学補償領域が第1位相差領域と第2位相差領域からなり、
第1位相差領域の面内のレターデーションReが20nm〜150nmであり、
第1位相差領域の値Nzが1.5〜7であり、
第2位相差領域の面内のレターデーションReが0nm〜50nmであり、
第2位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが−80nm〜−400nmであり、且つ第1偏光膜の透過軸が、黒表示時の液晶分子の遅相軸方向に平行であることを特徴とする(1)から(16)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(21)前記第1偏光膜、前記第1位相差領域、前記第2位相差領域及び前記液晶セルが、この順序で配置され、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の透過軸に実質的に平行であることを特徴とする(20)に記載の液晶表示装置。
(22)前記第1偏光膜、前記第2位相差領域、前記第1位相差領域及び前記液晶セルが、この順序で配置され、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の透過軸に実質的に直交していることを特徴とする(20)に記載の液晶表示装置。
(23)前記第2位相差領域が、実質的に垂直配向した棒状液晶化合物を含有する位相差層を有することを特徴とする(20)から(22)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(24)前記第2偏光膜と前記基板との間に保護膜を有し、該保護膜の厚み方向のレターデーションRthが40nm〜−50nmであることを特徴とする(1)から(23)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(25)前記第2偏光膜と前記基板との間に保護膜を有し、該保護膜がセルロースアシレートフィルム又はノルボルネン系フィルムであることを特徴とする(1)から(24)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
本発明によれば、暗室コントラストの低下を最小に抑えつつ、液晶表示面への外光の映り込み・斜めの方位角方向から見た場合に2枚の偏光板の吸収軸が90度からずれることから生ずる光漏れ、特に45度の斜め方向からの光漏れを改善することができる。
以下において、本発明の液晶表示装置の一実施形態及びその構成部材について順次説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「平行」、「直交」とは、厳密な角度±10゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±5゜未満であることが好ましく、±2゜未満であることがより好ましい。「実質的に平行」、「実質的に直交」、「実質的に垂直」も同様の意味を表す。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。さらに屈折率および位相差の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=590nmでの値である。
本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体を意味するものとする。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
本明細書において、Re、Rthは各々、ある波長λnmにおける面内のリターデーション及び厚さ方向のリターデーションを表す。ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。R
thは前記Re、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。なお、本明細書において、特に断らない限り、測定波長は590nmであり、25℃、60%RHにおける測定値とする。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、光学補償領域と特定の光学特性を有する防眩層と、黒表示時に液晶分子が基板に対して平行配向である液晶セルを有する。
より具体的には、本発明の液晶表示装置は、少なくとも第1保護膜と、第1偏光膜と、光学補償領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板とを有する液晶セルと、第2偏光膜と、第2保護膜がこの順序で配置され、黒表示時に該液晶分子が前記一対の基板の表面に対し平行に配向する液晶表示装置である。更に第1保護膜または第2保護膜のいずれかに少なくとも防眩層が塗設されており、該防眩層の内部散乱に起因するヘイズ値が5〜35%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜10%、あるいは内部散乱に起因するヘイズ値が0〜5%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜30%であることを特徴とする。
本発明の光学補償領域について説明する。本発明の光学補償領域は下記式(A)〜(D)のいずれかを満たす少なくとも1位相差領域を含むことが好ましい。
(A)100nm≦Re≦400nm、且つ−50nm≦Rth≦50nm
(B)60nm≦Re≦200nm、且つ30nm≦Rth≦100nm
(C)0nm≦Re≦20nm、且つ−400nm≦Rth≦−50nm
(D)30nm≦Re≦150nm、且つ100nm≦Rth≦400nm
(ここでReは面内のレターデーション、Rthは厚み方向のレターデーションである。)
上記式(A)を満たす位相差領域のNzは0.45〜0.55であることが好ましく、0.48〜0.52であることが特に好ましい。
上記の光学補償領域の中でも以下の第1の実施形態または第2の実施形態で説明する光学補償領域がより好ましく。第2の実施形態が特に好ましい。
<第1の実施の形態>
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の液晶表示装置の画素領域例を示す模式図である。図2及び図3は、本発明の液晶表示装置の第一の実施形態の模式図である。
図2に示す液晶表示装置は、偏光膜8、20と、第1位相差領域10と、第2位相差領域12と、一対の基板13、17及びこれに挟持される液晶層15からなる液晶セルとを有する。偏光膜8及20は、それぞれ保護膜7aと7b及び19aと19bによって挟持
されている。
本発明では保護膜7aは第1保護膜であり、保護膜19bは第2保護膜であり、第1保護膜と第2保護膜のいずれかに防眩層が塗設されている。第1保護膜7aに防眩層が塗設されている場合は、第1保護膜7aが視認側になり、第2保護膜19bが背面側になる。また、第2保護膜19bに防眩層が塗設されている場合は、第2保護膜19bが視認側となり、第1保護膜7aが背面側となる。
図2の液晶表示装置では、液晶セルは、基板13及び17と、これらに挟持される液晶層15からなる。液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは透過モードにおいて、ねじれ構造を持たないIPS型では0.2〜0.4μmの範囲が最適値となる。この範囲では白表示輝度が高く、黒表示輝度が小さいことから、明るくコントラストの高い表示装置が得られる。基板13及び17の液晶層15に接触する表面には、配向膜(不図示)が形成されていて、液晶分子を基板の表面に対して略平行に配向させるとともに配向膜上に施されたラビング処理方向14及び18等により、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子配向方向が制御されていて、遅相軸16の方向が決定されている。また、基板13もしくは17の内面には、液晶分子に電圧印加可能な電極(図2中不図示)が形成されている。
図1に、液晶層15の1画素領域中の液晶分子の配向を模式的に示す。図1は、液晶層15の1画素に相当する程度の極めて小さい面積の領域中の液晶分子の配向を、基板13及び17の内面に形成された配向膜のラビング方向4、及び基板13及び17の内面に形成された液晶分子に電圧印加可能な電極2及び3とともに示した模式図である。電界効果型液晶として正の誘電異方性を有するネマチック液晶を用いてアクティブ駆動を行った場合の、電圧無印加状態若しくは低印加状態での液晶分子配向方向は5a及び5bであり、この時に黒表示が得られる。電極2及び3間に印加されると、電圧に応じて液晶分子は6a及び6b方向へとその配向方向を変える。通常、この状態で明表示を行なう。
また、本発明に用いられる液晶セルはIPSモードに限定されることなく、黒表示時に液晶分子が前記一対の基板の表面に対して実質的に平行に配向する液晶表示装置であれば、いずれも好適に用いることができる。この例としては強誘電性液晶表示装置、反強誘電性液晶表示装置、ECB型液晶表示装置がある。
再び図2において、偏光膜8の透過軸9と、偏光膜20の透過軸21は直交して配置される。また、第1位相差領域10は、その遅相軸11が偏光膜8の透過軸9と直交に配置される。さらに、偏光膜8の透過軸9と、黒表示時の液晶層14中の液晶分子の遅相軸16とは平行であり、即ち、第1位相差領域10の遅相軸11と液晶黒表示時の液晶層14の遅相軸16とは直交である。本態様では、後述する特定の光学特性を示す第1位相差領域10を、この様に配置するとともに、後述する特定の光学特性を有する第2位相差領域を第1位相差領域10と液晶セルとの間に配置することで、液晶セルの視野角特性を改善している。
図2に示す液晶表示装置では、偏光膜8が二枚の保護膜7a及び7bに挟持された構成を示しているが、保護膜7bはなくてもよい。但し、保護膜7bを配置しない場合は、第1位相差領域10は後述する特定の光学特性を有するとともに、偏光膜8を保護する機能も兼ね備えている必要がある。保護膜7bを配置する場合は、該保護膜の厚み方向のレターデーションRthは、40nm以下であることが好ましい。また、偏光膜20も二枚の保護膜19a及び19bに挟持されているが、液晶層15に近い側の保護膜19aはなくてもよい。保護膜19aを配置する場合は、該保護膜の厚み方向のレターデーションRthの好ましい範囲は、保護膜7bと同様である。また、保護膜7b及び保護膜19aは、その厚みが薄いのが好ましく、具体的には60μm以下であるのが好ましい。
図2の態様では、第1位相差領域10及び第2位相差領域12は、液晶セルの位置を基準にして、液晶セルと偏光膜8との間に配置されていてもよいし、液晶セルと偏光膜20との間に配置されていてもよい。いずれの態様においても、第2位相差領域12が液晶セルにより近くなるように配置する。
本発明の他の実施形態を図3に示す。図3中、図2と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。図3に示す液晶表示装置では、第1位相差領域10と第2位相差領域12との位置が入れ替わり、第1位相差領域10が、第2位相差領域12と比較して偏光膜8からより遠い位置、即ち、より液晶セルに近い位置に配置される。また、図3に示す態様では、第1位相差領域10は、その遅相軸11が、偏光膜8の透過軸9と平行にして配置される。さらに、偏光膜8の透過軸9と、黒表示時の液晶層14中の液晶分子の遅相軸16とは平行であり、即ち、第1位相差領域10の遅相軸11と液晶黒表示時の液晶層14の遅相軸16とは平行である。本態様では、後述する特定の光学特性を示す第1位相差領域10をこの様に配置するとともに、後述する特定の光学特性を有する第2位相差領域を第1位相差領域10と偏光膜8との間に配置することで、液晶セルの視野角特性を改善している。
図3の液晶表示装置においても、上記と同様、7aは第1保護膜であり、19bは第2保護膜であり、第1保護膜と第2保護膜のいずれかに防眩層が塗設されており、防眩層が塗設されている保護膜が視認側であり、もう一方の保護膜が背面側である。また、保護膜7bまたは保護膜19aはなくてもよい。但し、保護膜7bがない場合は、第2位相差領域12が、後述する特定の光学特性を有するとともに、偏光膜8を保護する機能も兼ね備えている必要がある。保護膜7bを配置する場合は、該保護膜の厚み方向のレターデーションRthは、40nm以下であることが好ましい。また、偏光膜20も二枚の保護膜19a及び19bに挟持されているが、液晶層15に近い側の保護膜19aはなくてもよい。保護膜19aを配置する場合は、該保護膜の厚み方向のレターデーションRthの好ましい範囲は、保護膜7bと同様である。また、保護膜7b及び保護膜19aは、その厚みが薄いのが好ましく、具体的には60μm以下であるのが好ましい。
なお、図3の態様では、第1位相差領域10及び第2位相差領域12は、液晶セルの位置を基準にして、液晶セルと視認側の偏光膜8との間に配置されていてもよいし、液晶セルと背面側の偏光膜20との間に配置されていてもよい。いずれの態様においても、第1位相差領域10が液晶セルにより近くなるように配置する。
本発明の液晶表示装置は、図1〜図3に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶層と偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、偏光膜の保護膜の表面に反射防止処理やハードコートを施しても良い。また、構成部材に導電性を付与したものを使用してもよい。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。この場合、バックライトの配置は図2及び図3の上側であっても下側であっても良いが、バックライトを下にしたほうがより好ましい。また、液晶層とバックライトとの間に、反射型偏光板や拡散板、プリズムシートや導光板を配置することもできる。また、上記した様に、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を配置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、TFTやMIMのような3端子又は2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス
液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
以下、本発明の液晶表示装置に使用可能な種々の部材の好ましい光学特性や部材に用いられる材料、その製造方法等について、詳細に説明する。
[第1位相差領域]
本発明の液晶表示装置の一態様では、第1位相差領域は、図2に示す様に、第2位相差領域と比較して液晶セルからより離れた位置に配置される。本態様においては、第1位相差領域は、面内のレターデーションReが、70nm〜330nmである。斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第1位相差領域のReは、90nm〜250nmであるのがより好ましく、110nm〜190nmであるのがさらに好ましい。また、Nzが0を超え0.5未満で、斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第1位相差領域のNzは、0.1以上0.4未満であるのがより好ましい。0.5を超えるとコントラストを向上させるために必要なReの値が大きくなり、きわめて高精度な偏光板との貼合精度が必要になり、さらに第2位相差領域に必要なRthが大きくなり好ましくない。
なお、本態様の液晶表示装置では、第1位相差領域は、その遅相軸が、第1位相領域により近い位置に配置される偏光膜の透過軸及び液晶層の黒表示時の遅相軸と直交にして配置される。
また、本発明の液晶表示装置の他の態様では、第1位相差領域は、図3に示す様に、第2位相差領域と比較して液晶セルからより近い位置に配置される。本態様においては、第1位相差領域は、面内のレターデーションReは、70nm〜330nmであり、80nm〜230nmが好ましい。斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第1位相差領域のReは、100nm〜210nmであるのが好ましく、110nm〜190nmであるのがより好ましい。また、Nzは、0を超え0.5未満であり、0を超え0.4未満であるのが好ましい。斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第1位相差領域のNzは、0.1以上0.35未満であるのがより好ましい。0.5を超えるとコントラストを向上させるために必要なReの値が大きくなり、きわめて高精度な偏光板との貼合精度が必要になり、さらに第2位相差領域に必要なRthが大きくなり好ましくない。
なお、本態様の液晶表示装置では、第1位相差領域は、その遅相軸が、第1位相領域により近い位置に配置される偏光膜の透過軸及び液晶層の黒表示時の遅相軸と平行にして配置される。
本発明において、前記第1位相差領域は、前記光学特性を有する限り、その材料及び形態については特に制限されない。例えば、複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜、透明支持体上に高分子化合物を塗布後に加熱した膜、及び透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物を塗布もしくは転写することによって形成された位相差層を有する位相差膜など、いずれも使用することができる。また、それぞれを積層して使用することもできる。
複屈折ポリマーフィルムとしては、複屈折特性の制御性や透明性、耐熱性に優れるもの、光弾性が小さいものが好ましい。この場合、用いる高分子材料としては均一な二軸配向が達成できる高分子であれば特に制限はないが、溶液流延法や押出し成形方式で製膜できるものが好ましく、ノルボルネン系高分子、ポリカーボネート系高分子、ポリアリレート系高分子、ポリエステル系高分子、ポリサルフォン等の芳香族系高分子、ポリプロピレン等のポリオレフィン、セルロースアシレート、または、それらポリマーの2種又は3種以上を混合したポリマーなどがあげられる。
フィルムの二軸配向は、押出し成形方式や流延製膜方式等の適宜な方式で製造した当該フィルムを、例えばロールによる縦延伸方式、テンターによる横延伸方式や二軸延伸方式などにより、延伸処理することにより行うことができる。また、面方向に一軸または二軸に延伸し、厚さ方向にも延伸する方法等により厚さ方向の屈折率を制御することにより得られる。また高分子ポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理して配向させる方法等により得られる(例 特開平5−157911号公報、特開平11−125716号公報、特開2001−13324号公報)。前記のロールによる縦延伸方式では加熱ロールを用いる方法や雰囲気を加熱する方法、それらを併用する方法等の適宜な加熱方法を採ることができる。またテンターによる二軸延伸方式では全テンター方式による同時二軸延伸方法や、ロール・テンター法による逐次二軸延伸方法などの適宜な方法を採ることができる。
また、配向ムラや位相差ムラの少ないものが好ましい。その厚さは、位相差等により適宜に決定しうるが、一般的には薄型化の点より1〜300μmが好ましく、10〜200μmがより好ましく、20〜150μmがさらに好ましい。
[第2位相差領域]
本発明の液晶表示装置の一態様では、第2位相差領域は、図2に示す様に、第1位相差領域と比較して液晶セルからより近い位置に配置される。本態様においては、第2位相差領域の面内の屈折率nxとnyが実質的に等しいのが好ましく、その差は0.05以下であるのが好ましく、0.02以下であるのがより好ましく、0.01以下であるのがさらに好ましい。また、第2位相差領域は、面内のレターデーションReが、100nm以下であるのが好ましい。50nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることがさらに好ましい。また、第2位相差領域の厚み方向のレターデーションRthは、10nm〜140nmであり、30nm〜130nmであるのがより好ましく、60nm〜110nmであるのがさらに好ましい。
なお、本態様では、第2位相差領域の遅相軸の配置については特に限定されないが、第2位相差領域のReが20nmを超える場合は、第2位相差領域は、その遅相軸を、より近い位置に配置される偏光膜の透過軸と平行にして配置されるのが好ましい。そのように配置すると、例えば、第1位相差領域の厚みを薄くできる。
さらに詳細には、第1位相差領域のNz値を0.4程度に大きくした場合には、第2位相差領域のRthは30nm〜100nmが好ましく、一方、第1位相差領域のNz値を、0.1程度と小さくした場合には、第2位相差領域のRthは80〜120nmが好ましい。第1位相差領域のNz値がその中間である0.25程度では、第2位相差領域のRthは60〜100nmが好ましい。但し、前記好ましい範囲は、本態様の液晶表示装置が、液晶セルと偏光膜との間に偏光膜を保護する少なくとも一枚の保護膜を有し、且つ該保護膜の厚み方向の位相差Rthが40nm〜−100nmである場合の好ましい範囲である。
本発明の液晶表示装置の他の態様では、第2位相差領域は、図3に示す様に、第1位相差領域と比較して液晶セルからより離れた位置に配置される。本態様においては、第2位相差領域は、面内のレターデーションReが、100nm以下であるのが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることがさらに好ましい。また、厚み方向のレターデーションRthは、10nm〜140nmであり、20nm〜120nmが好ましい。25nm〜100nmであるのがより好ましく、30nm〜80nmであるのがさらに好ましい。
なお、本態様では、第2位相差領域の遅相軸の配置については特に限定されないが、第2位相差領域のReが20nmを超える場合は、第2位相差領域は、その遅相軸を、より近い位置に配置される偏光膜の透過軸と直交にして配置されるのが好ましい。そのように
配置すると、例えば、第1位相差領域の厚みを薄くできる。
さらに詳細には、第1位相差領域のNz値を0.4程度に大きくした場合には、後述する第2位相差領域のRthは30nm〜40nmが好ましく、一方、第1位相差領域のNz値を0.1程度と小さくした場合には、第2位相差領域のRthは70〜80nmが好ましい。第1位相差領域のNz値がその中間である0.25程度である場合には、第2位相差領域のRthは50〜70nmが好ましい。但し、前記好ましい範囲は、本態様の液晶表示装置が、液晶セルと偏光膜との間に偏光膜を保護する少なくとも一枚の保護膜を有し、且つ該保護膜の厚み方向の位相差Rthが40nm〜−50nmである場合の好ましい範囲である。
前記第2位相差領域は、前記光学特性を有する限り、その材料について特に制限はない。例えば、複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜、及び透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物を塗布もしくは転写することによって形成された位相差層を有する位相差膜など、いずれも使用することができる。また、それぞれを積層して使用することもできる。
上記光学特性を有する複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜は、高分子フィルムを一軸及び二軸延伸することでも容易に形成できる(例 特開2002−139621号公報、特開2002−146045号公報)。また、延伸することなしに流延するだけでこの光学特性を発現するセルロースアシレート類を好適に用いることができる。かかるセルロースアシレートとして、特開2000−275434号公報、特開2001−166144号公報、特開2002−161144号公報、特開2002−90541号公報に記載されているものを用いることができる。高分子フィルムの材料は、一般に合成ポリマー(例、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ノルボルネン樹脂、セルロースアシレート)が用いられる。
上記光学特性を有する液晶性化合物から形成された位相差層は、キラル構造単位を含んだ棒状コレステリック液晶性組成物を、支持体上もしくは仮支持体上に塗布し、その螺旋軸を基板に略垂直に配向させた後、固定化することによって形成することができる。前記位相差層を仮支持体上に形成した場合は、支持体上に転写することで作製することができる。また、複屈折が負のディスコチック液晶性化合物を水平配向(ダイレクターは基板に垂直)させて、固定した位相差層、及びポリイミド高分子を基板上に流延固定した位相差層も、同様に用いることができ。さらに、一枚の位相差層のみならず複数の位相差層を積層して、上記光学特性を示す第2位相差領域を構成することもできる。また、支持体と位相差層との積層体全体で上記光学特性を満たすようにして、第2位相差領域を構成してもよい。
ディスコチック液晶性化合物から形成された位相差層を含む第2位相差領域は、ディスコチック液晶性化合物あるいは重合性開始剤や空気界面水平配向剤(例 特願2003−388308号明細書に記載)及び前述の他の添加剤を含む塗布液を、支持体の上に形成された水平配向膜の上に塗布することで形成することができる。ディスコチック液晶層を水平に配向させるための配向膜としては有機酸や塩などの固形分含有量が0.1質量%未満のポリビニルアルコールやポリイミド、ポリアミド、アクリルなどの高分子配向膜を使用できる。配向膜を形成後にラビングは行なってもよいが、行なわなくてもよい。
その他、使用可能なディスコチック液晶性化合物の例、塗布液の調製に用いる溶媒の例、塗布方法の例、重合性開始剤及び重合性モノマー等の他の材料、及び位相差層の形成に用いられる支持体については、特願2004−37835号明細書に記載を同様に用いることができる。
<第2の実施の形態>
以下、図面を用いて本発明の第二の実施の形態について詳細に説明する。図4及び図5は、本発明の第二の実施の形態の液晶表示装置の模式図である。
図4に示す液晶表示装置は、偏光膜8及び20と、第1位相差領域10と、第2位相差領域12と、基板13及び17と、該基板に挟持される液晶層15とを有する。液晶セルの構成及び液晶層15の一画素領域中の液晶分子の配向状態については、上記本発明の液晶表示装置の第一の実施形態と同様である。
偏光膜8及20は、それぞれ保護膜7aと7b及び19aと19bによって挟持されている。偏光膜8の透過軸9と、偏光膜20の透過軸21は直交して配置されている。第1位相差領域10の遅相軸11は、偏光膜8の透過軸9及び黒表示時の液晶層15中の液晶分子の遅相軸方向16に平行である。
図4に示す液晶表示装置では、偏光膜8が二枚の保護膜7a及び7bに挟持された構成を示しているが、保護膜7bはなくてもよい。また、偏光膜20も二枚の保護膜19a及び19bに挟持されているが、液晶層15に近い側の保護膜19aはなくてもよい。なお、図4の態様では、第1位相差領域及び第2位相差領域は、液晶セルの位置を基準にして、液晶セルと視認側の偏光膜との間に配置されていてもよいし(第1保護膜に防眩層が塗設されている場合)、液晶セルと背面側の偏光膜との間に配置されていても(第2保護膜に防眩層が塗設されている場合)よい。本実施形態では、いずれの構成においても、第2位相差領域が液晶セルにより近くなるように配置する。
第2の態様においても保護膜7aは第1保護膜であり、保護膜19bは第2保護膜であり、第1保護膜と第2保護膜のいずれかに防眩層が塗設されており、防眩層が塗設されている保護膜が視認側であり、もう一方の保護膜が背面側である。
本発明の他の実施形態を図5に示す。図5の液晶表示装置は、第2位相差領域12が偏光膜8及び第1位相差領域10の間に配置されている。図5の液晶表示装置において、7aは第1保護膜であり、19bは第2保護膜であり、第1保護膜と第2保護膜のいずれかに防眩層が塗設されており、防眩層が塗設されている保護膜が視認者側であり、もう一方の保護膜がバックライト側である。また、保護膜7bまたは保護膜19aはなくてもよい。図5に示す態様では、第1位相差領域10は、その遅相軸11が、偏光膜8の透過軸9と黒表示時の液晶層15中の液晶分子の遅相軸方向16に直交になるように配置される。なお、図5の態様では、第1位相差領域及び第2位相差領域は、液晶セルの位置を基準にして、液晶セルと視認側の偏光膜との間に配置されていてもよい(第1保護膜に防眩層が塗設されている場合)し、液晶セルと背面側の偏光膜との間に配置されていても(第2保護膜に防眩層が塗設されている場合)よい。本実施形態では、いずれの構成においても、第1位相差領域が液晶セルにより近くなるように配置する。
なお、図5には、上側偏光板及び下側偏光板を備えた透過モードの表示装置の態様を示したが、本発明は一の偏光板のみを備える反射モードの態様であってもよく、かかる場合は、液晶セル内の光路が2倍になることから、最適Δn・dの値は上記の1/2程度の値になる。
本発明の液晶表示装置は、図4〜図5に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶層と偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、偏光膜の保護膜の表面に反射防止処理やハードコートを施しても良い。更に、本発明の防眩性反射防止フィルムを使用することが好ましい。また、構成部材に導電性を付与したものを使用してもよい。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。この場合、バックライトの配置は図2及び図3の上側であっても下側であっても良い。また、液晶層とバックライトとの間に、反射型偏光板や拡散板、プリズムシートや導光板を配置することもできる。また
、上記した様に、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を配置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、TFTやMIMのような3端子又は2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
以下、本発明の液晶表示装置に使用可能な種々の部材の好ましい光学特性や部材に用いられる材料、その製造方法等について、詳細に説明する。
[第1位相差領域]
本発明の第二の実施の形態に含まれる第1位相差領域は、面内のレターデーションReが20nm〜150nmであって、斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第1位相差領域のReは、40nm〜115nmであるのがより好ましく、60nm〜95nmであるのがさらに好ましい。また、Nzが1.5〜7であって、斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第1位相差領域のNzは、2.0〜5.5であるのがより好ましく、2.5〜4.5であるのがさらに好ましい。
基本的には前記第1位相差領域は、前記光学特性を有する限り、その材料及び形態については特に制限されない。例えば、複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜、透明支持体上に高分子化合物を塗布後に加熱塩した膜、及び透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物を塗布もしくは転写することによって形成された位相差層を有する位相差膜など、いずれも使用することができる。また、それぞれを積層して使用することもできる。
複屈折ポリマーフィルムとしては、複屈折特性の制御性や透明性、耐熱性に優れるものが好ましい。この場合、用いる高分子材料としては均一な二軸配向が達成できる高分子であれば特に制限はないが、従来公知のもので溶液流延法や押出し成形方式で製膜できるもの好ましく、ノルボルネン系高分子、ポリカーボネート系高分子、ポリアリレート系高分子、ポリエステル系高分子、ポリサルフォン等の芳香族系高分子、セルロースアシレート、または、それらポリマーの2種又は3種以上を混合したポリマーなどがあげられる。
フィルムの二軸配向は、押出し成形方式や流延製膜方式等の適宜な方式で製造した当該熱可塑性樹脂からなるフィルムを、例えばロールによる縦延伸方式、テンターによる横延伸方式や二軸延伸方式などにより、延伸処理することにより達成することができる。前記のロールによる縦延伸方式では加熱ロールを用いる方法や雰囲気を加熱する方法、それらを併用する方法等の適宜な加熱方法を採ることができる。またテンターによる二軸延伸方式では全テンター方式による同時二軸延伸方法や、ロール・テンター法による逐次二軸延伸方法などの適宜な方法を採ることができる。
また、配向ムラや位相差ムラの少ないものが好ましい。その厚さは、位相差等により適宜に決定しうるが、一般には薄型化の点より1〜300μm、就中10〜200μm、特に20〜150μmとされる。
ノルボルネン系高分子としては、ノルボルネン及びその誘導体、テトラシクロドデセン及びその誘導体、ジシクロペンタジエン及びその誘導体、メタノテトラヒドロフルオレンおよびその誘導体などのノルボルネン系モノマーの主成分とするモノマーの重合体であり、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可
能なその他のモノマーとの開環共重合体、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体、及びの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物が最も好ましい。ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体又は環状共役ジエンの重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲であるときに、フィルム(A)の機械的強度、及び成形加工性とが高度にバランスされて好適である。
セルロースアシレートのアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよく、総炭素数が22以下のエステル基が好ましい。これらの好ましいセルロースアシレートとしては、エステル部の総炭素数が22以下のアシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル、バレル、ヘプタノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイルなど)、アリールカルボニル基(アクリル、メタクリルなど)、アリルカルボニルキ(ベンゾイル、ナフタロイルなど)、シンナモイル基を挙げることが出来る。これらの中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートベンゾエートなどであり、混合エステルの場合はその比率は特に限定されないが、好ましくはアセテートが総エステルの30モル%以上であることが好ましい。
これらの中でも、セルロースアシレートが好ましく、特に写真用グレードのものが好ましく、市販の写真用グレードのものは粘度平均重合度、置換度等の品質を満足して入手することができる。写真用グレードのセルローストリアセテートのメーカーとしては、ダイセル化学工業(株)(例えばLT−20,30,40,50,70,35,55,105など)、イーストマンコダック社(例えば、CAB−551−0.01、CAB−551−0.02、CAB−500−5、CAB−381−0.5、CAB−381−02、CAB−381−20、CAB−321−0.2、CAP−504−0.2、CAP−482−20、CA−398−3など)、コートルズ社、ヘキスト社等があり、何れも写真用グレードのセルロースアシレートを使用できる。また、フィルムの機械的特性や光学的な特性を制御する目的で、可塑剤、界面活性剤、レターデーション調節剤、UV吸収剤などを今後することが出来る(参考資料:特開2002−277632号公報、特開2002−182215号公報)。
透明樹脂をシート又はフィルム状に成形する方法は、例えば、加熱溶融成形法、溶液流延法のいずれも用いることができる。加熱溶融成形法は、さらに詳細に、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できるが、これらの方法の中でも、機械的強度、表面精度等に優れたフィルムを得るためには、押出成形法、インフレーション成形法、及びプレス成形法が好ましく、押出成形法が最も好ましい。成形条件は、使用目的や成形方法により適宜選択されるが、加熱溶融成形法による場合は、シリンダー温度が、好ましくは100〜400℃、より好ましくは150〜350℃の範囲で適宜設定される。上記シート又はフィルムの厚みは、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmである。
上記シート又はフィルムの延伸は、該透明樹脂のガラス転移温度をTgとするとき、好ましくはTg−30℃からTg+60℃の温度範囲、より好ましくはTg−10℃からTg+50℃の温度範囲にて、少なくとも一方向に好ましくは1.01〜2倍の延伸倍率で
行う。延伸方向は少なくとも一方向であればよいが、その方向は、シートが押出成形で得られたものである場合には、樹脂の機械的流れ方向(押出方向)であることが好ましく、延伸方法は自由収縮一軸延伸法、幅固定一軸延伸法、二軸延伸法などが好ましい。光学特性の制御はこの延伸倍率と加熱温度を制御することによって行なうことが出来る。
[第2位相差領域]
本発明の第2の実施の形態の液晶表示装置が有する、第2位相差領域の面内屈折率nxとnyは実質的に等しく、厚み方向のレターデーションRthは、−80nm〜−400nmである。前記第2位相差領域のRthのより好ましい範囲は、他の光学部材の光学特性に応じて変動し、特に、より近くに位置する偏光膜の保護膜(例えば、トリアセチルセルロースフィルム)のRthに応じて、大きく変動する。斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第2位相差領域のRthは、−100nm〜−340nmであるのがより好ましく、−120nm〜−270nmであるのがさらに好ましい。一方、第2位相差領域のnxとnyは、上記した様に、実質的に同一であり、Reは0近傍の値になる。具体的には、面内レターデーションReは、0〜50nmであるのが好ましく、0〜20nmであるのがより好ましく、0〜10nmであるのがさらに好ましく、0〜5nmであるのが特に好ましい。
前記第2位相差領域は、前記光学特性を有する限り、その材料及び形態については特に制限されない。例えば、複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜、及び透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物を塗布もしくは転写することによって形成された位相差層を有する位相差膜など、いずれも使用することができる。また、それぞれを積層して使用することもできる。
上記光学特性を有する複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜は、高分子フィルムを膜の厚さ方向に延伸する方法や、ビニルカルバゾール系高分子を塗布して乾燥させる方法(特開2001−091746号公報)で容易に形成できる。また、上記光学特性を有する液晶性化合物から形成された位相差層としては、キラル構造単位を含んだコレステリックディスコチック液晶化合物や組成物を、その螺旋軸を基板に略垂直に配向させたのち固定化して形成した層、屈折率異方性が正の棒状液晶化合物や組成物を基板に略垂直に配向させたのち固定化して形成した層などを例示することができる(例えば、特開平6−331826号公報や特許第2853064号等参照)。棒状液晶化合物は低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよい。さらに、一の位相差層のみならず複数の位相差層を積層して、上記光学特性を示す第2位相差領域を構成することもできる。また、支持体と位相差層との積層体全体で上記光学特性を満たすようにして、第2位相差領域を構成してもよい。用いる棒状液晶化合物としては、配向固定させる温度範囲で、ネマチック液晶相、スメクチック液晶相、リオトロピック液晶相状態をとるものが好適に用いられる。揺らぎの無い均一な垂直配向が得られるスメクチックA相、B相を示す液晶が好ましい。特にまた、添加剤の存在下において、適切な配向温度範囲で、上記液晶状態となる棒状液晶性化合物については、該添加剤と棒状液晶性化合物を含有する組成物を用いて層を形成するのも好ましい。
《棒状液晶性化合物》
本発明の第2位相差領域は、棒状液晶性化合物を含む組成物から形成してもよい。前記棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。液晶分子には活性光線や電子線、熱などによっ
て重合や架橋反応を起こしうる部分構造を有するものが好適に用いられる。その部分構造の個数は1〜6個、好ましくは1〜3個である。
第2位相差領域が、棒状液晶性化合物を配向状態に固定して形成された位相差層を含む場合は、棒状液晶性化合物を実質的に垂直配向させて、その状態に固定して形成した位相差層を用いるのが好ましい。実質的に垂直とは、フィルム面と棒状液晶性化合物のダイレクターとのなす角度が70°〜90°の範囲内であることを意味する。これらの液晶性化合物は斜め配向させてもよいし、傾斜角が徐々に変化するように(ハイブリッド配向)させてもよい。斜め配向又はハイブリッド配向の場合でも、平均傾斜角は70°〜90°であることが好ましく、80°〜90°がより好ましく、85°〜90°が最も好ましい。
棒状液晶性化合物から形成された位相差層は、棒状液晶性化合物、所望により、下記の重合性開始剤や空気界面垂直配向剤や他の添加剤を含む塗布液を、支持体の上に形成された垂直配向膜の上に塗布して、垂直配向させ、該配向状態を固定することで形成することができる。仮支持体上に形成した場合は、該位相差層を支持体上に転写することで作製することもできる。さらに、1層の位相差層のみならず複数の位相差層を積層して、上記光学特性を示す第2位相差領域を構成することもできる。また、支持体と位相差層との積層体全体で上記光学特性を満たすようにして、第2位相差領域を構成してもよい。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
垂直配向させた液晶性化合物は、配向状態を維持して固定するのが好ましい。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基(P)の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。棒状液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/
cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。前記光学違法性層を含む第1位相差領域の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましく、1〜5μmであることが最も好ましい。
《垂直配向膜》
液晶性化合物を配向膜側で垂直に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させることが重要である。具体的には、ポリマーの官能基により配向膜の表面エネルギーを低下させ、これにより液晶性化合物を立てた状態にする。配向膜の表面エネルギーを低下させる官能基としては、フッ素原子及び炭素原子数が10以上の炭化水素基が有効である。フッ素原子又は炭化水素基を配向膜の表面に存在させるために、ポリマーの主鎖よりも側鎖にフッ素原子又は炭化水素基を導入することが好ましい。含フッ素ポリマーは、フッ素原子を0.05〜80質量%の割合で含むことが好ましく、0.1〜70質量%の割合で含むことがより好ましく、0.5〜65質量%の割合で含むことがさらに好ましく、1〜60質量%の割合で含むことが最も好ましい。炭化水素基は、脂肪族基、芳香族基又はそれらの組み合わせである。脂肪族基は、環状、分岐状あるいは直鎖状のいずれでもよい。脂肪族基は、アルキル基(シクロアルキル基であってもよい)又はアルケニル基(シクロアルケニル基であってもよい)であることが好ましい。炭化水素基は、ハロゲン原子のような強い親水性を示さない置換基を有していてもよい。炭化水素基の炭素原子数は、10〜100であることが好ましく、10〜60であることがさらに好ましく、10〜40であることが最も好ましい。ポリマーの主鎖は、ポリイミド構造又はポリビニルアルコール構造を有することが好ましい。
ポリイミドは、一般にテトラカルボン酸とジアミンとの縮合反応により合成する。二種類以上のテトラカルボン酸あるいは二種類以上のジアミンを用いて、コポリマーに相当するポリイミドを合成してもよい。フッ素原子又は炭化水素基は、テトラカルボン酸起源の繰り返し単位に存在していても、ジアミン起源の繰り返し単位に存在していても、両方の繰り返し単位に存在していてもよい。ポリイミドに炭化水素基を導入する場合、ポリイミドの主鎖又は側鎖にステロイド構造を形成することが特に好ましい。側鎖に存在するステロイド構造は、炭素原子数が10以上の炭化水素基に相当し、液晶性化合物を垂直に配向させる機能を有する。本明細書においてステロイド構造とは、シクロペンタノヒドロフェナントレン環構造又はその環の結合の一部が脂肪族環の範囲(芳香族環を形成しない範囲)で二重結合となっている環構造を意味する。
さらに液晶性化合物を垂直に配向させる手段として、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、又はポリイミドの高分子に有機酸を混合する方法を好適に用いることができる。混合する酸としてはカルボン酸やスルホン酸、アミノ酸が好適に用いられる。後述の空気界面配向剤の内、酸性を示すものを使用してもよい。また、4級アンモニウム塩類も好適に用いることが出来る。その混合量は高分子に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがさらに好ましい。
上記ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は100〜5000であることが好ましい。
棒状液晶性化合物を配向させる場合、配向膜は、側鎖に疎水性基を官能基として有するポリマーからなるのが好ましい。具体的な官能基の種類は、液晶性分子の種類及び必要とする配向状態に応じて決定する。例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基は、共重合変性、連鎖移動変性又はブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
配向膜を、主鎖に結合した架橋性官能基を有する側鎖を有するポリマー又は液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を有するポリマーを用いて形成し、その上に位相差膜を、多官能モノマーを含む組成物を用いて形成すると、配向膜中のポリマーと、その上に形成される位相差膜中の多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマー間だけではなく、配向膜ポリマー間及び多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間にも共有結合が形成され、配向膜と位相差膜とが強固に結合される。従って、架橋性官能基を有するポリマーを用いて配向膜を形成することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報明細書中段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール及びジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、又は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー及び架橋剤を含む組成物を透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なってよい。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には位相差層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法又はロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、透明支持体上に設けられることが好ましい。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋して使用する。棒状液晶性化合物の垂直配向にはラビング処理は行なわないことが好ましい。なお、配向膜を用いて液晶性化合物を配向させてから、その配向状態のまま液晶性化合物を固定して位相差層を形成し、位相差層のみをポリマーフィルム(又は透明支持体)上に転写してもよい。
《空気界面垂直配向剤》
通常、液晶性化合物は、空気界面側では傾斜して配向する性質を有するので、均一に垂直配向した状態を得るために、空気界面側において液晶性化合物を垂直に配向制御することが必要である。この目的のために、空気界面側に偏在して、その排除体積効果や静電気的な効果によって液晶性化合物を垂直に配向させる作用を及ぼす化合物を液晶塗布液に含有させて、位相差膜を形成するのが好ましい。
空気界面配向剤としては、特開2002−20363号公報、特開2002−129162号公報に記載されている化合物を用いることができる。また、特開2004−053981号公報の段落番号[0072]〜[0075]、特願2002−262239号明細書の段落番号[0037]〜[0039]、特開2004−004688号公報の段落番号[0071]〜[0078]、特開2004−139015号公報の段落番号[0052]〜[0054]、[0065]〜[0066]、[0092]〜[0094]、特開2005−097357号公報の段落番号[0028]〜[0030]、特願2004−003804号明細書の段落番号[0087]〜[0090]に記載される事項も本発明に適宜適用することができる。また、これらの化合物を配合することによって塗布性が改善され、ムラ又はハジキの発生が抑制される。
液晶塗布液への空気界面配向剤の使用量は、0.05質量%〜5質量%であることが好ましい。また、フッ素系空気界面配向剤を用いる場合は、1質量%以下であることが好ましい。
《位相差層中の他の材料》
上記の液晶性化合物と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶性化合物の配向性等を向上させることが出来る。これらの素材は液晶性化合物と相溶性を有し、配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性もしくはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、円盤状液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物、特開2005−062673号公報中の段落番
号[0069]〜[0126]記載の化合物が挙げられる。
液晶性化合物とともに使用するポリマーは、塗布液を増粘できることが好ましい。ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶性化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
[偏光膜用保護膜]
本発明の液晶表示装置は、偏光膜を保護する偏光膜用保護膜を有していてもよい。偏光膜用保護膜は、可視光領域に吸収が無く、光透過率が80%以上であり、複屈折性に基づくレターデーションが小さいものが好ましい。具体的には、面内のReが0〜30nmが
好ましく、0〜15nmがより好ましく、0〜5nmが最も好ましい。また、第1位相差領域が第2位相差領域と比較してより液晶セルに近い位置に配置される態様、例えば図2に示す態様では、液晶セル側に配置される保護膜(例えば図2中の7b及び19a)のRthは、40nm以下であることが好ましく、40nm〜−100nmであるのがより好ましく、40nm〜−50nmであるのがさらに好ましく、20nm〜−20nmであるのがさらにより好ましい。また、第2位相差領域が第1位相差領域と比較してより液晶セルに近い位置に配置される態様、例えば図3に示す態様では、液晶セル側に配置される保護膜(例えば図3中の7b及び19a)のRthは、40nm以下であることが好ましく、40nm〜−50nmであるのがより好ましく、20nm〜−20nmであるのがさらに好ましい。もう一方の保護膜(例えば、図2及び図3中の7a及び19b)の光学特性については特に制限はない。
また、保護膜の厚み、特に液晶セル側に配置される保護膜の厚身は、Rthを小さくするという観点から、60μm以下であるのが好ましく、50μm以下であるのがより好ましく、40μm以下があるのがさらに好ましい。但し、保護膜が上記光学特性を満たすために複数の層からなる場合は、厚みの好ましい範囲はこの範囲に限定されない。
保護膜には、上記特性を満足するフィルムであればいずれも好適に使用することができるが、偏光膜の耐久性の観点からは、セルロースアシレートやノルボルネン系のフィルムを含んでいるのがより好ましい。
ノルボルネン系高分子としては、ノルボルネン及びその誘導体、テトラシクロドデセン及びその誘導体、ジシクロペンタジエン及びその誘導体、メタノテトラヒドロフルオレンおよびその誘導体などのノルボルネン系モノマーの主成分とするモノマーの重合体であり、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体、及びの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物が最も好ましい。ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体又は環状共役ジエンの重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲であるときに、フィルムの機械的強度及び成形加工性が高度にバランスされて好適である。
セルロースアシレートとしては、そのアシル基が脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよく、総炭素数が22以下のエステル基が好ましい。これらの好ましいセルロースアシレートとしては、エステル部の総炭素数が22以下のアシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル、バレル、ヘプタノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイルなど)、アリールカルボニル基(アクリル、メタクリルなど)、アリルカルボニルキ(ベンゾイル、ナフタロイルなど)、シンナモイル基を挙げることが出来る。これらの中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートベンゾエートなどであり、混合エステルの場合はその比率は特に限定されないが、好ましくはアセテートが総エステルの30モル%以上であることが好ましい。
これらの中でも、セルロースアシレートが好ましく、特に写真用グレードのものが好ま
しく、市販の写真用グレードのものは粘度平均重合度、置換度等の品質を満足して入手することができる。写真用グレードのセルローストリアセテートのメーカーとしては、ダイセル化学工業(株)(例えばLT−20,30,40,50,70,35,55,105など)、イーストマンコダック社(例えば、CAB−551−0.01、CAB−551−0.02、CAB−500−5、CAB−381−0.5、CAB−381−02、CAB−381−20、CAB−321−0.2、CAP−504−0.2、CAP−482−20、CA−398−3など)、コートルズ社、ヘキスト社等があり、いずれも写真用グレードのセルロースアシレートを使用できる。また、フィルムの機械的特性や光学的な特性を制御する目的で、可塑剤、界面活性剤、レターデーション調節剤、UV吸収剤などを混合することができる(参考資料:特開2002−277632、特開2002−182215)。
透明樹脂をシート又はフィルム状に成形する方法は、例えば、加熱溶融成形法及び溶液流延法のいずれも用いることができる。加熱溶融成形法は、さらに詳細に、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できるが、これらの方法の中でも、機械的強度、表面精度等に優れたフィルムを得るためには、押出成形法、インフレーション成形法及びプレス成形法が好ましく、押出成形法が最も好ましい。成形条件は、使用目的や成形方法により適宜選択されるが、加熱溶融成形法による場合は、シリンダー温度が、好ましくは100〜400℃、より好ましくは150〜350℃の範囲で適宜設定される。上記シート又はフィルムの厚みは、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmである。
上記シート又はフィルムの延伸は、該透明樹脂のガラス転移温度をTgとするとき、好ましくはTg−30℃からTg+60℃の温度範囲、より好ましくはTg−10℃からTg+50℃の温度範囲にて、少なくとも一方向に好ましくは1.01〜2倍の延伸倍率で行う。延伸方向は少なくとも一方向であればよいが、その方向は、シートが押出成形で得られたものである場合には、樹脂の機械的流れ方向(押出方向)であることが好ましく、延伸方法は自由収縮一軸延伸法、幅固定一軸延伸法、二軸延伸法などが好ましい。光学特性の制御はこの延伸倍率と加熱温度を制御することによって行なうことができる。
セルロースアシレートフィルムのRthを小さくする方法として、非平面構造性の化合物をフィルムに混合することが有効である。また、特開平11−246704号公報、特開2001−247717号公報、特願2003−379975号明細書に記載の方法などが挙げられる。また、セルロースアシレートフィルムの厚みを小さくすることによっても、Rthを小さくすることができる。
Rthが負の光学特性を有する偏光板保護膜は、高分子フィルムを膜の厚さ方向に延伸する方法や(例 特開2000−162436号)、ビニルカルバゾール系高分子を塗布して乾燥させる方法(例 特開2001−091746号公報)で容易に形成できる。また、保護膜は、液晶材料を含んでいてもよく、例えば、Rthが負の光学特性を有する液晶性化合物から形成された位相差層であってもよい。該位相差層としては、キラル構造単位を含んだコレステリックディスコチック液晶化合物や組成物を、その螺旋軸を基板に略垂直に配向させたのち固定化して形成した層、屈折率異方性が正の棒状液晶化合物や組成物を基板に略垂直に配向させたのち固定化して形成した層などを例示することができる(例えば、特開平6−331826号公報や特許第2853064号等参照)。棒状液晶化合物は低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよい。さらに、一の位相差層のみならず複数の位相差層を積層して、Rthが負の光学特性を示す保護膜を構成することもできる。また、支持体と位相差層との積層体全体でRthが負の光学特性を満たすようにして、保護層を構成してもよい。用いる棒状液晶化合物としては、配向固定させる温度範囲で、ネマチック液晶相、スメクチック液晶相、リオトロピック液晶相状態をとるものが好適に用いられる。揺らぎの無い均一な垂直配向が得られるスメクチックA相、B
相を示す液晶が好ましい。特にまた、添加剤の存在下において、適切な配向温度範囲で、上記液晶状態となる棒状液晶性化合物については、該添加剤と棒状液晶性化合物を含有する組成物を用いて層を形成するのも好ましい。
保護膜とその上に設けられる層(接着層、配向膜あるいは位相差層)との接着を改善するため、フィルムに表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。また、透明支持体や長尺の透明支持体には、搬送工程でのすべり性を付与したり、巻き取った後の裏面と表面の貼り付きを防止するために、平均粒径が10〜100nm程度の無機粒子を固形分重量比で5%〜40%混合したポリマー層を支持体の片側に塗布や支持体との共流延によって形成したものを用いることが好ましい。
[防眩性反射防止フィルム]
本発明の防眩性反射防止フィルムについては以下のような公知の層構成を使用することができる。
たとえば、代表的な例としては
透明支持体/防眩層
透明支持体/防眩層/低屈折率層
透明支持体/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
がある。
また透明支持体とそれよりも表面側の層の間に設けても良い層として、帯電防止層(ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合)、防湿層、密着改良層、虹ムラ(干渉ムラ)防止層等が挙げられる。また、透明支持体の上に防眩層を用い防眩層だけで硬度が不足する場合、透明支持体と防眩層との間にハードコート層を儲けても良い。
帯電防止層は透明支持体とその上の層との間以外の位置に儲けることもできる。
虹ムラ(干渉ムラ)防止層は、防眩層の上に低屈折率層を光の波長の1/4前後の膜厚で形成することにより、薄膜干渉の原理により表面反射を低減することができる。
本発明の好ましい実施態様の防眩性反射防止フィルムは、透明支持体と、透明支持体
上に形成された防眩層と、そして防眩層上に形成された低屈折率層とからなる。防眩層の上に低屈折率層を光の波長の1/4前後の膜厚で形成することにより、薄膜干渉の原理により表面反射を低減することができる。
防眩層は、透光性樹脂と透光性樹脂中に分散された透光性微粒子とからなる。
本発明における反射防止層を有する防眩性反射防止フィルムを構成する各層の屈折率は以下の関係を満たすことが好ましい。
防眩層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
防眩性を有する防眩層は、好ましくは防眩性とハードコート性を兼ね備えており、本実施形態においては、1層で形成されたものを例示しているが、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。また、本実施形態のように透明支持体上に直接設けてもよいが、帯電防止層や防湿層等の他の層を介して設けてもよい。
本発明の防眩性反射防止フィルムは、その表面凹凸形状として、中心線平均粗さRaが0.08〜0.30μm、10点平均粗さRzがRaの10倍以下、平均山谷距離Smが1〜100μm、凹凸最深部からの凸部高さの標準偏差が0.5μm以下、中心線を基準とした平均山谷距離Smの標準偏差が20μm以下、傾斜角0〜5度の面が10%以上となるように設計するのが、十分な防眩性と目視での均一なマット感が達成されるので、好ましい。Raが0.08未満では充分な防眩性が得られず、0.30を超えるとギラツキ、外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生する。
また、C光源下でのCIE1976L***色空間における反射光の色味がa*値−2
〜2、b*値−3〜3、380nm〜780nmの範囲内での反射率の最小値と最大値の
比0.5〜0.99とするのが、反射光の色味がニュートラルとなるので、好ましい。またC光源下での透過光のb*値を0〜3とすると、表示装置に適用した際の白表示の黄色
味が低減され、好ましい。
また、本発明の防眩性反射防止フィルムは、その光学特性を内部散乱に起因するヘイズ(以後、内部ヘイズと呼称する)が5%〜35%であることが好ましく、5%〜30%であることがより好ましく、5%〜20%であることが更に好ましい。内部ヘイズが5%未満とするには、使用できる素材の組合せが限定され、高コストとなる。内部散乱が35%を超えると、暗室コントラストが大幅に悪化してしまう。また、内部ヘイズが上記範囲にあるとき、表面散乱に起因するヘイズ(以後、表面ヘイズと呼称する)が1%〜10%であることが好ましく、2%〜7%であることがより好ましく、更にくし幅0.5mmにおける透過像鮮明度5%〜30%とするのが、充分な防眩性と画像ボケ、暗室コントラスト低下の改善が両立されるので、好ましい。表面ヘイズが1%未満では防眩性が不足し、10%を超えると外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生する。また、鏡面反射率2.5%以下、透過率90%以上とするのが、外光の反射を抑制でき、視認性が向上するため、好ましい。
また、内部ヘイズを5%以下に低下させると、コストが上昇するものの暗室コントラストの悪化を最小限に抑えることができ、好ましい。このとき、表面ヘイズは1%〜30%であることが好ましく、1%〜20%であることがより好ましく、更にくし幅0.5mmにおける透過像鮮明度5%〜30%とするのが、充分な防眩性と画像ボケ、暗室コントラスト低下の改善が両立されるので、好ましい。
次に、防眩層について以下に説明する。
<防眩層>
防眩層は、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。従って、好ましくはハードコート性を付与することのできる透光性樹脂、防眩性を付与するための透光性微粒子、および溶媒を必須成分として含有する。
<透光性微粒子>
透光性微粒子の平均粒径は0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは2.0〜6.0μmである。平均粒径が0.5μm未満であると、光の散乱角度分布が広角にまで広がるため、ディスプレイの文字ボケを引き起こしたりするため、好ましくない。一方、10μmを超えると、防眩層の膜厚を厚くする必要が生じ、カールが大きくなる、素材コストが上昇してしまう、等の問題が生じる。
前記透光性微粒子の具体例としては、例えばポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性微粒子の屈折率にあわせて透光性樹脂の屈折率を調整することにより、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを達成することができる。具体的には、後述するような本発明の防眩層に好ましく用いられる3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分とした透光性樹脂(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100重量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性微粒子の組合せが好ましく、特に前記透光性樹脂と架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる透光性微粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
また、粒子径の異なる2種以上の透光性微粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の透光性微粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性微粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
前記透光性微粒子は、形成された防眩層中に、防眩層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合される。より好ましくは5〜20質量%である。3質量%未満であると、防眩性が不足し、30質量%を超えると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じる。
また、透光性微粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは
100〜700mg/m2である。
本発明における透光性樹脂と透光性微粒子との屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。屈折率を前記範囲とするには、透光性樹脂及び透光性微粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
また、本発明においては、透光性樹脂と透光性微粒子との屈折率の差(透光性微粒子の屈折率−透光性樹脂の屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.030を超えると、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じる。
ここで、前記透光性樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性微粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性微粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
防眩層の膜厚は、1〜10μmが好ましく、1.2〜8μmがより好ましい。薄すぎるとハード性が不足し、厚すぎるとカールや脆性が悪化して加工適性が低下する場合があるので、前記範囲内とするのが好ましい。
<透光性樹脂>
透光性樹脂は、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
バインダーポリマーを高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含む高屈折率モノマーや、フルオレン骨格を分子内に有するモノマー等を選択することもできる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、前記のエステルのエチレンオキサイド変性体やカプロラクトン変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体〔例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。前記モノマーは2種以上併用してもよい。
高屈折率モノマーの具体例としては、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート類、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、前記防眩層は、上述のエチレン性不飽和モノマー等の透光性樹脂形成用のモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、透光性微粒子および必要に応じて後述するような無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化させることにより形成することができる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
ボレート塩の例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
活性ハロゲン類の例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、
2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。
無機錯体の例にはビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,
6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,819、907、1870(CGI−403/Irg184=7/3混合開始剤、500,369,1173,2959,4265,4263など)、OXE01)等、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキシ化合物の開環重合体が
好ましい。多官能エポシキシ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、多官能エポシキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、透光性微粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して光拡散層を形成することができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
防眩層には、層の屈折率を調整して内部散乱に起因するヘイズ値を低減するために、前記の透光性微粒子に加えて、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーを含有してもよい。これらの無機フィラーは、一般的に比重が有機物よりも高く、塗布組成物の密度を高くできるため、透光性微粒子の沈降速度を遅くする効果もある。
防眩層に用いられる無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーを用いる場合、その添加量は、防眩層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。
なお、このような無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
また、防眩層にオルガノシラン化合物を用いることができる。オルガノシラン化合物の添加量は、含有層(添加層)の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜10質量%が更に好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
<防眩層用界面活性剤>
本発明の防眩層は、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を光拡散層形成用の塗布組成物中に含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、本発明の反射防止フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。
面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることが目的である。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体(「フッ素系ポリマー」と略記することもある)が挙げられ、該フッ素系ポリマーは、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位及び、下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むフルオロ脂肪族基含有共重合体であることが好ましい。
(i)下記一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
Figure 2007041514
一般式イにおいてR1は水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子ま
たは−N(R12)−を表し、mは1以上6以下の整数、nは2〜4の整数を表す。nは3であることが好ましい。R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Xは酸素原子が好ましい。
(ii)前記(i)と共重合可能な下記一般式ロで示されるモノマー
Figure 2007041514
一般式ロにおいて、R13は水素原子またはメチル基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、R15は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Yは酸素原子、−N(H)−、および−N(CH3)−が好ましい。
14は置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル
基を表す。R14のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
本発明で用いられるフッ素系ポリマー中に用いられるこれらの一般式イで示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて10質量%以上であり、好ましくは20〜80質量%であり、より好ましくは35〜70モル%の範囲である。
本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜50,000がより好ましく、8,000〜30,000が最も好ましい。
更に、本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜1質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜0.5質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜0.25質量%の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量%未満では効果が不十分であり、また1質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼす。
以下、一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーからなるフッ素系ポリマーの具体的な構造の例を示すがこの限りではない。なお式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 2007041514
Figure 2007041514
Figure 2007041514
Figure 2007041514
Figure 2007041514
また防眩層上に低屈折率層をオーバーコートする時点で表面エネルギーの低下を防げば、反射防止性能の悪化が防げる。防眩層塗布時にはフッ素系ポリマーを用いて塗布液の表面張力を下げて面状均一性を高め、高速塗布による高生産性を維持し、防眩層塗布後にコロナ処理、UV処理、熱処理、鹸化処理、溶剤処理といった表面処理手法を用いて、特に好ましいのはコロナ処理であるが、表面自由エネルギーの低下を防ぐことにより、低屈折率層塗布前の防眩層の表面エネルギーを前記範囲に制御することでも目的を達成することができる。
また、本発明の防眩層を形成する為の塗布組成物中に、チクソトロピー剤を添加しても良い。チクソトロピー剤としては、0.1μm以下のシリカ、マイカ等があげられる。これら添加剤の含有量は、通常、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、1〜10質量部程度とするのが好適である。
本発明の防眩層は、直接透明支持体上にウエット塗布されるケースが多いため、特に塗布組成物に用いる溶剤は重要な要因となる。要件としては、上記透光性樹脂等の各種溶質を充分に溶解すること、上記透光性微粒子を溶解しないこと、塗布〜乾燥過程で塗布ムラ、乾燥ムラを発生しにくいこと、支持体を溶解しないこと(平面性悪化、白化等の故障防止に必要)、逆に最低限の程度には支持体を膨潤させること(密着性に必要)、等が挙げられる。
具体例としては、支持体にトリアセチルセルロースを用いる場合には、主溶媒として各種ケトン(メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、各種セロソルブ(エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)が好ましく用いられる。また、上記の中から選択した主溶媒に対し
て、水酸基を有する少量溶媒を添加することにより、防眩性が調整でき、特に好ましい。水酸基を有する少量溶媒は、塗布組成物の乾燥工程において主溶媒よりも後まで残留することで防眩性を強くすることができるため、20〜30℃の範囲内のある温度における蒸気圧が前記主溶媒に対して低いことが好ましい。例えば、主溶媒をメチルイソブチルケトン(21.7℃における蒸気圧:16.5mmHg)に対して水酸基を有する少量溶媒としてプロピレングリコール(20.0℃における蒸気圧:0.08mmHg)の組み合わせが好ましい一例として挙げられる。主溶媒と水酸基を有する少量溶媒の混合比は、重量比で99:1〜50:50が好ましく、95:5〜70:30がより好ましい。50:50を超えると、塗布液の安定性や、塗布後の乾燥工程における面質のバラツキが大きくなり、好ましくない。
次に、前記低屈折率層について以下に説明する。
<低屈折率層>
本発明の反射防止フィルムにおける低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.35〜1.48の範囲である。
屈折率が1.30未満であると、反射防止性能は向上するが、膜の機械強度が低下し、1.55を超えると、反射防止性能が著しく悪化してしまう。
さらに、低屈折率層は下記数式(I)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(I)
(m/4)×0.7<n1×d1<(m/4)×1.3
式中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
なお、前記数式(I)を満たすとは、前記波長の範囲において数式(I)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
低屈折率層としては、熱または電離放射線により架橋する含フッ素樹脂(以下、「架橋前の含フッ素樹脂」ともいう)の架橋からなる低屈折率層(態様1)、ゾルゲル法による低屈折率層(態様2)、および粒子とバインダーポリマーを用い、粒子間または粒子内部に空隙を有する低屈折率層(態様3)等が用いられる。
熱または電離放射線により架橋する含フッ素樹脂(以下、「架橋前の含フッ素樹脂」ともいう)の架橋からなる低屈折率層(態様1)を形成する素材について以下に説明する。
低屈折率層は、例えば含フッ素ポリマーを主成分とする硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化して形成される硬化膜である。
<低屈折率層用含フッ素ポリマー>
前記含フッ素ポリマーは、硬化被膜にした場合の被膜の動摩擦係数が0.03〜0.20、水に対する接触角が90〜120°、純水の滑落角が70°以下であり、熱または電離放射線により架橋するポリマーであるのが、ロールフィルムをウェブ搬送しながら塗布、硬化する場合などにおいて生産性向上の点で好ましい。
また、本発明の反射防止フィルムを画像表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなるので、剥離力は、500gf以下が好ましく、300gf以下がより好ましく、100gf以下が最も好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難いので、該表面硬度が、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーは、フッ素原子を30〜80質量%の範囲で含有することが好ましく、また架橋性もしくは重合性の官能基を含む含フッ素ポリマーであることが好ましい。例えば、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物〔例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン〕の加水分
解物や脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性単位とを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。含フッ素共重合体の場合、主鎖は、炭素原子のみからなるのが好ましい。すなわち、主鎖骨格に酸素原子や窒素原子などを有しないのが好ましい。
前記含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
前記架橋反応性単位としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位;カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー〔例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等〕の重合によって得られる構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリルロイル基等の架橋反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
また、前記含フッ素モノマー単位及び前記架橋反応性単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から、適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合させて、他の重合単位を導入することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類〔エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等〕、アクリル酸エステル類〔アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル〕、メタクリル酸エステル類〔メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等〕、スチレン誘導体〔スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等〕、ビニルエーテル類〔メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等〕、ビニルエステル類〔酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等〕、アクリルアミド類〔N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等〕、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
前記含フッ素ポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
本発明で特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類とのランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基〔(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等〕を有していることが好ましい。
これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%を占めていることである。
本発明に用いられる低屈折率層用含フッ素ポリマーの好ましい形態として一般式1で表される共重合体が挙げられる。
Figure 2007041514
一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N及びSから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*−(CH22−O−**,*−(CH22−NH−**,*−(CH24−O−**,*−(CH26−O−**,*−(CH22−O−(CH22−O−**,*−CONH−(CH23−O−**,*−CH2CH(OH)CH2−O−**,*−CH2CH2OCONH(CH23−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式1中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式1中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65が好ましく、更に好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦
20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。ただし、x+y+z=100である。
本発明に用いられる共重合体の特に好ましい形態として一般式2が挙げられる。
Figure 2007041514
一般式2においてXは一般式1と同じ意味を表わし、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表わし、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式1におけるAの例として説明したものが当てはまる。
x、y、z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表わし、x及びyは、それぞれ30≦x≦60、5≦y≦70を満たすのが好ましく、更に好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55の場合である。z1及びz2については、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たすのが好ましく、更に好ましくは0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。ただし、x+y+z1+z2=100である。
一般式1又は2で表わされる共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。この際用いられる再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
一般式1又は2で表わされる共重合体の好ましい具体例としては、特開2004−45462号公報の[0035]〜[0047]に記載されたものを挙げることができ、該公報に記載の方法により合成することができる。
前記硬化性組成物は、(A)前記含フッ素ポリマー、(B)無機微粒子、(C)後述するオルガノシラン化合物を含有してなるのが好ましい。
<低屈折率層用無機微粒子>
無機微粒子の配合量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。例えば、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子が好ましい。
無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上100%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
前記無機微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。無機微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
低屈折率層の屈折率上昇をより一層少なくするために、前記無機微粒子は、中空構造であるのが好ましく、また、無機微粒子の屈折率は1.17〜1.40、より好ましくは1.17〜1.35、さらに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体としての屈折率を表し、中空構造の無機微粒子の場合に外殻の無機質のみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(II):
(数式II)
x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
で表される空隙率xは、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
中空の無機微粒子の屈折率をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点からは屈折率1.17未満の低屈折率の粒子は成り立たない。
なお、無機微粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定を行い測定した。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満である無機微粒子(以下「小サイズ無機微粒子」と称す)の少なくとも1種を前記の好ましい範囲内の粒径の無機微粒子(以下「大サイズ無機微粒子」と称す)と併用してもよい。
小サイズ無機微粒子は、大サイズ無機微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ無機微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このような無機微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
上述のように前記無機微粒子としては、平均粒径が上述のように低屈折率層の厚みの30〜100%であり、中空構造からなり、屈折率が上述のように1.17〜1.40であるものが特に好ましく用いられる。
無機微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。中でもカップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
前記カップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤と
して添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
次に、(C)オルガノシラン化合物について説明する。
<低屈折率層用オルガノシラン化合物>
前記硬化性組成物には、オルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物等(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)を含有させることが、耐擦傷性の点で、特に反射防止能と耐擦傷性とを両立させる点で、好ましい。
このゾル成分は、前記硬化性組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することにより低屈折率層のバインダーとして機能する。また、本発明においては、前記含フッ素ポリマーを有するので、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
前記オルガノシラン化合物は、下記一般式[A]で表されるものが好ましい。
一般式[A]
(R10m−Si(X)4-m
前記一般式[A]において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR2COO(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が
挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはXが複数存在するとき、複数のR10あるいはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
前記一般式[A]で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式[B]で表さ
れるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
Figure 2007041514
前記一般式[B]において、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカル
ボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくは *−COO−**, *−CONH−**又は *−O−**を表し、単結合、 *−COO−**および *−CONH−**が好ましく、単結合および *−COO−**が更に好ましく、 *−COO−**が特に好ましい。* は=C(R1)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は一般式[A]と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは一般式[A]と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
一般式[A]、一般式[B]の化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式[A]、一般式[B]で表される化合物の具体例を示すが、限定されるものではない。
Figure 2007041514
Figure 2007041514
これらのうち、(M−1)、(M−2)、および(M−5)が特に好ましい。
そして、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物は、一般に前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造されるものである。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。本発明においては、金属キレート化合物、無機酸類及び有機酸類の酸触媒を用いるのが好ましい。無機酸では塩酸、硫酸が好ましく、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、更には、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸が好ましく、
特に、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、具体的には、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
金属キレート化合物としては、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールとR4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を
示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる 金属キレート化合物は、一般式Zr(OR3p1(R4COCHCOR5p2、Ti(OR3q1(R4COCH
COR5q2、およびAl(OR3r1(R4COCHCOR5r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のR3およびR4は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R5
、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、およびr2は、それぞれp1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
また、本発明においては、前記硬化性組成物に、更にβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物が添加されることが好ましい。以下にさらに説明する。
本発明で使用されるのは、一般式R4COCH2COR5で表されるβ−ジケトン化合物
および/またはβ−ケトエステル化合物であり、本発明に用いられる硬化性組成物の安定性向上剤として作用するものである。ここで、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。すなわち、前
記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウムおよび/またはアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を構成するR4およびR5は、前記金属キレート化合物を構成するR4およびR5と同様である。
このβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル未満では得られる組成物の保存安定性に劣るおそれがあり好ましいものではない。
前記オルガノシラン化合物の配合量は、低屈折率層の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
前記オルガノシラン化合物は硬化性組成物(防眩層用、低屈折率層用等の塗布液)に直接添加してもよいが、前記オルガノシラン化合物をあらかじめ触媒の存在下に処理して前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物を調製し、得られた反応溶液(ゾル液)を用いて前記硬化性組成物を調整するのが好ましく、本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物および金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加した液を防眩層もしくは低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
低屈折率層における、含フッ素ポリマーに対するオルガノシランのゾル成分の使用量は、5〜100質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、8〜35質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。使用量が少ないと本発明の効果が得にくく、使用量が多すぎると屈折率が増加したり、膜の形状・面状が悪化したりするので好ましくない。
前記硬化性組成物には、上述した無機微粒子以外の無機フィラーを本発明の所望の効果を損なわない範囲の添加量で添加することもできる。無機フィラーの詳細については後述する。
[低屈折率層用硬化性組成物に含有するその他の物質]
前記硬化性組成物は、前述の(A)含フッ素ポリマー、(B)無機微粒子及び(C)オルガノシラン化合物に、必要に応じて各種添加剤および後述するラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤を添加し、更にこれらを適当な溶剤に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
低屈折率層と直接接する下層との界面密着性等の観点からは、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物等の硬化剤を少量添加することもできる。これらを添加する場合には低屈折率層皮膜の全固形分に対して30質量%以下の範囲とすることが好ましく、20質量%以下の範囲とすることがより好ましく、10質量%以下の範囲とすることが特に好ましい。
また、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系化合物あるいはフッ素系化合物の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM−4421、FM−5521、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CF2CF3,−CH2(CF24H,−CH2(CF28CF3,−CH2CH2(CF24H等)であっても、分岐構造(例えば−CH(CF32,−CH2CF(CF32,−CH(CH3)CF2CF3,−CH(CH3)(CF25CF2H等)であっても
、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えば−CH2OCH2CF2CF3,−CH2CH2OCH248H,−CH2CH2OCH2CH2817,−CH2CH2OCF2CF2OCF2
CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株
)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低n層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
[低屈折率層用の溶剤]
本発明の低屈折率層を形成するための塗布組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。乾燥負荷の観点からは、常圧、室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが好ましい。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル (90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
次に、ゾルゲル法による低屈折率層(態様2)について説明する。
低屈折率層用の素材として、各種ゾルゲル素材を用いることもできる。このようなゾルゲル素材としては、金属アルコレート(シラン、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等のアルコレート)、オルガ ノアルコキシ金属化合物、およびその加水分解物を用いることができる。特に、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシランおよびその加水分解物
が好ましい。これらの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラ ン(フェニルトリメトキシシラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙 げられる。また、各種の官能基を有するオルガノアルコキシシラン(ビニルトリアルコキシシラン、メチルビニルジアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジアルコキシシラン、β−(3,4−エポキジシ クロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン等)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等)を用いることも好ましい。特にフッ素含有のシラン化合物を用いることは、層の低屈折率化および撥水・撥油性付与の点で好ましい。
低屈折率層として、無機もしくは有機の微粒子を用い、微粒子間または微粒子内のミクロボイドと して形成した層を用いることも好ましい。微粒子の平均粒径は、0.5〜200mmであることが好ましく、1〜100nmであることがより好ましく、3〜70nmであることがさらに好ましく、5〜40nmの範囲であることが最も好ましい。微粒子の粒径は、なるべく均一(単分散)であることが好ましい。
無機微粒子としては、非晶質であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物または金属ハロゲン化物からなることがさらに好ましく、金属酸化物または金属フッ化物からなることが最も好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、PbおよびNiが好ましく、Mg、Ca、BおよびSiがさらに好ましい。二種類の金属を含む無機化合物を用いてもよい。特に好ましい無機化合物は、二酸化ケイ素、すなわちシリカである。
無機微粒子内ミクロボイドは、例えば、粒子を形成するシリカの分子を架橋させることにより形成することができる。シリカの分子を架橋させると体積が縮小し、粒子が多孔質になる。ミクロボイドを有する(多孔質)無機微粒子は、ゾル−ゲル法(特開昭53−112732号、特公昭57−9051号の各公報記載)または析出法(APPLIEDOPTICS、27、3356頁(1988)記載)により、分散物として直接合成することができる。
また、乾燥・沈澱法で得られた粉体を、機械的に粉砕して分散物を得ることもできる。市販の多孔質無機微粒子(例えば、二酸化ケイ素ゾル)を用いてもよい。ミクロボイドを有する無機微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)およびケトン(例、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)が好ましい。
有機微粒子も、非晶質であることが好ましい。有機微粒子は、モノマーの重合反応(例えば乳化重合法)により合成されるポリマー微粒子であることが好ましい。有機微粒子のポリマーはフッ素原子を含むことが好ましい。ポリマー中のフッ素原子の割合は、35〜80重量%であることが好ましく、45〜75重量%であることがさらに好ましい。また、有機微粒子内に、例えば、粒子を形成するポリマーを架橋させ、体積を縮小させることによりミクロボイドを形成させることも好ましい。
粒子を形成するポリマーを架橋させるためには、ポリマーを合成するためのモノマーの
20モル%以上を多官能モノマーとすることが好ましい。多官能モノマーの割合は、30〜80モル%であることがさらに好ましく、35〜50モル%であることが最も好ましい。上記有機微粒子の合成に用いられるモノマーとしては、含フッ素ポリマーを合成するために用いるフッ素原子を含むモノマーの例として、フルオロオレフィン類(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、アクリル酸またはメタクリル酸のフッ素化アルキルエステル類およびフッ素化ビニルエーテル類が挙げられる。フッ素原子を含むモノマーとフッ素原子を含まないモノマーとのコポリマーを用いてもよい。フッ素原子を含まないモノマーの例としては、オレフィン類(例、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル類(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、スチレン類(例、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル類(例、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル類(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル)、アクリルアミド類(例、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミド類およびアクリルニトリル類が挙げられる。多官能モノマーの例としては、ジエン類 (例、ブタジエン、ペンタジエン)、多価アルコールとアクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、多価アルコールとメタクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジメタクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート)、ジビニル化合物(例、ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジビニルベンゼン)、ジビニルスルホン、ビスアクリルアミド類(例、メチレンビスアクリルアミド)およびビスメタクリルアミド類が挙げられる。
粒子間のミクロボイドは、微粒子を少なくとも2個以上積み重ねることにより形成することができる。なお、粒径が等しい(完全な単分散の)球状微粒子を最密充填すると、26体積%の空隙率の微粒子間ミクロボイドが形成される。粒径が等しい球状微粒子を単純立方充填すると、48体積%の空隙率の微粒子間ミクロボイドが形成される。実際の低屈折率層では、微粒子の粒径の分布や粒子内ミクロボイドが存在するため、空隙率は上記の理論値からかなり変動する。空隙率を増加させると、低屈折率層の屈折率が低下する。微粒子を積み重ねてミクロボイドを形成と、微粒子の粒径を調整することで、粒子間ミクロボイドの大きさも適度の(光を散乱せず、低屈折率層の強度に問題が生じない)値に容易に調節できる。さらに、微粒子の粒径を均一にすることで、粒子間ミクロボイドの大きさも均一である光学的に均一な低屈折率層を得ることができる。これにより、低屈折率層は微視的にはミクロボイド含有多孔質膜であるが、光学的あるいは巨視的には均一な膜にすることができる。粒子間ミクロボイドは、微粒子およびポリマーによって低屈折率層内で閉じていることが好ましい。閉じている空隙には、低屈折率層表面に開かれた開口と比較して、低屈折率層表面での光の散乱が少ないとの利点もある。
ミクロボイドを形成することにより、低屈折率層の巨視的屈折率は、低屈折率層を構成する成分の屈折率の和よりも低い値になる。層の屈折率は、層の構成要素の体積当りの屈折率の和になる。微粒子やポリマーのような低屈折率層の構成成分の屈折率は1よりも大きな値であるのに対して、空気の屈折率は1.00である。そのため、ミクロボイドを形成することによって、屈折率が非常に低い低屈折率層を得ることができる。
低屈折率層は、5〜50重量%の量のポリマーを含むことが好ましい。ポリマーは、微粒子を接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。ポリマーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持できるように調整する。ポリマーの量は、低屈折率層の全量の10〜30重量%であることが好ましい。ポリマーで微粒子を
接着するためには、(1)微粒子の表面処理剤にポリマーを結合させるか、(2)微粒子をコアとして、その周囲にポリマーシェルを形成するか、あるいは(3)微粒子間のバインダーとして、ポリマーを使用する、ことが好ましい。(1)の表面処理剤に結合させるポリマーは、(2)のシェルポリマーまたは(3)のバインダーポリマーであることが好ましい。(2)のポリマーは、低屈折率層の塗布液の調製前に、微粒子の周囲に重合反応により形成することが好ましい。(3)のポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に、重合反応により形成することが好ましい。上記(1)〜(3)のうちの二つまたはすべてを組み合わせて実施することが好ましく、(1)と(3)の組み合わせ、または(1)〜(3)すべてを組み合わせで実施することが特に好ましい。(1)表面処理、(2)シェルおよび(3)バインダーについて、順次説明する。
(1)表面処理
微粒子(特に無機微粒子)には、表面処理を実施して、ポリマーとの親和性を改善することが好ましい。表面処理は、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理と、カップリング剤を使用する化学的表面処理に分類できる。化学的表面処理のみ、または物理的表面処理と化学的表面処理の組み合わせで実施することが好ましい。カップリング剤としては、オルガノアルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。微粒子が二酸化ケイ素からなる場合は、シランカップリング剤による表面処理が特に有効に実施できる。具体的なシランカップリング剤の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびβ−シアノエチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、ケイ素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシランおよびメチルビニルジエトキシシランが挙げられる。
これらのうち、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ケイ素に対して2置換のアルキル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシランおよびメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
二種類以上のカップリング剤を併用してもよい。上記に示されるシランカップリング剤に加えて、他のシランカップリングを用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec−ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)およびその加水分解物が挙げられる。カップリング剤による表面処理は、微粒子の分散物に、カップリング剤を加え、室温から60℃までの温度で、数時間から10日間分散物を放置することにより実施できる。表面処理反応を促進するため、無機酸(例、硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、オルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸(例、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、フェノール、ポリグルタミン酸)、またはこれらの塩(例、金属塩、アンモニウム塩)を、分散物に添加してもよい。
(2)シェル
シェルを形成するポリマーは、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが好ましい。フッ素原子を主鎖または側鎖に含むポリマーが好ましく、フッ素原子を側鎖に含むポリマーがさらに好ましい。ポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルが好ましく、フッ素置換アルコールとポリアクリル酸またはポリメタクリル酸とのエステルが最も好ましい。シェルポリマーの屈折率は、ポリマー中のフッ素原子の含有量の増加に伴い低下する。低屈折率層の屈折率を低下させるため、シェルポリマーは35〜80重量%のフッ素原子を含むことが好ましく、45〜75重量%のフッ素原子を含むことがさらに好ましい。フッ素原子を含むポリマーは、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの重合反応により合成することが好ましい。フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの例としては、フルオロオレフィン(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキ ソール)、フッ素化ビニルエーテルおよびフッ素置換アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルが挙げられる。
シェルを形成するポリマーは、フッ素原子を含む繰り返し単位とフッ素原子を含まない繰り返し単位からなるコポリマーであってもよい。フッ素原子を含まない繰り返し単位は、フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの例としては、オレフィン(例、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート)、スチレンおよびその誘導体(例、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル(例、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル)、アクリルアミド(例、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミドおよびアクリロニトリルが挙げられる。
後述する(3)のバインダーポリマーを併用する場合は、シェルポリマーに架橋性官能基を導入して、シェルポリマーとバインダーポリマーとを架橋により化学的に結合させてもよい。シェルポリマーは、結晶性を有していてもよい。シェルポリマーのガラス転移温度(Tg)が低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、低屈折率層内のミクロボイドの維持が容易である。ただし、Tgが低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、微粒子が融着せず、低屈折率層が連続層として形成されない(その結果、強度が低下する)場合がある。その場合は、後述する(3)のバインダーポリマーを併用し、バインダーポリマーにより低屈折率層を連続層として形成することが望ましい。微粒子の周囲にポリマーシェルを形成して、コアシェル微粒子が得られる。コアシェル微粒子中に無機微粒子からなるコアが5〜90体積%含まれていることが好ましく、15〜80体積%含まれていることがさらに好ましい。二種類以上のコアシェル微粒子を併用してもよい。また、シェルのない無機微粒子とコアシェル粒子とを併用してもよい。
(3)バインダー
バインダーポリマーは、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。バインダーポリマーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により合成することが好ましい。
二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例としては、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が挙げられる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタンも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、本発明において架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。バインダーポリマーの重合反応および架橋反応に使用する。
重合開始剤は、熱重合開始剤や、光重合開始剤が用いられるが、光重合開始剤の方がより好ましい。光重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、ア
ゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例としては、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メ チル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが挙げられる。ベンゾイン類の例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが挙げられる。ベンゾフェノン類の例としては、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが挙げられる。ホスフィンオキシド 類の例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが挙げられる。
バインダーポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に重合反応(必要ならばさらに架橋反応)により形成することが好ましい。低屈折率層の塗布液に、少量のポリマー(例、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂)を添加してもよい。
本発明の防眩性反射防止フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
<透明支持体>
本発明の防眩性反射防止フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。特に上記記載の偏光膜用保護膜上に形成されることが好ましい。
[塗布液の調整]
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。その際、溶剤の揮発量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。溶剤の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中、或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
防眩層を形成する塗布液中には、直接その上に形成される低屈折率層の乾燥膜厚(50nm〜120nm程度)に相当する異物を概ね全て(90%以上を指す)除去できるろ過をすることが好ましい。光拡散性を付与する為の透光性微粒子が低屈折率層の膜厚と同等以上であるため、前記ろ過は、透光性微粒子以外の全ての素材を添加した中間液に対して行うことが好ましい。また、前記のような粒径の小さな異物を除去可能なフィルターが入手できない場合には、少なくとも直接その上に形成される層のウエット膜厚(1〜10μm程度)に相当する異物を概ね全て除去できるろ過をすることが好ましい。このような手段により、直接その上に形成される層の点欠陥を減少することができる。
[塗布方式]
塗布方式としては、各種公知の塗布方式を使用しても良い。すなわち、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥するが、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法が面状の均一性の観点からより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。更に、特開2003−200097号公報、特開2003−211052号公報に記載されているような、構成を工夫したダイを使用し
て塗布を行うことが最も好ましい。
[乾燥]
防眩層および低屈折率層は、基材フィルム上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送される。その際の乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには120℃の温風中で数分以内にその数10%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
また、各層の塗布組成物を基材フィルム上に塗布した後の乾燥風は、前記塗布組成物の固形分濃度が1〜50%の間は塗膜表面の風速が0.1〜2m/秒の範囲にあることが、乾燥ムラを防止するために好ましい。
また、各層の塗布組成物を基材フィルム上に塗布した後、乾燥ゾーン内で基材フィルムの塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと基材フィルムとの温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
[硬化]
溶剤の乾燥ゾーンの後に、ウェブで電離放射線および/または熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化する。例えば塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm2〜1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。更に表面硬化を促進する為に窒素ガス等をパージして酸素濃度を低下する必要がある際には、酸素濃度0.01%〜5%が好ましく、幅方向の分布は酸素濃度で2%以下が好ましい。
また、防眩層の硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に本発明の低屈折率層を設けて電離放射線および/または熱により低屈折率層を硬化した際に下層の防眩層の硬化率が低屈折率層を設ける前よりも高くなると、防眩層と低屈折率層との間の密着性が改良され、好ましい。
前記のようにして製造された本発明の防眩性反射防止フィルムは、公知の粘着剤を付けて各種公知のディスプレー材料の表面フィルムとして用いたり、これを用いて偏光板を作成することにより液晶表示装置に用いることができる。この場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。本発明の反射防止フィルムは、偏光板における偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。
本発明の反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐擦傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
本発明の光散乱フィルムや反射防止フィルムを2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作成する際には、前記の反射防止フィルムを、反射防止構造を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
[鹸化処理]
(1)アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中に光散乱フィルムや反射防止フィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、光散乱フィルムや反射防止フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、透明支持体の防眩層や反射防止層を有する表面と反対の表面が親水化される。 偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、防眩層や低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に防眩層や低屈折率層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、10度未満では、反射防止膜の受けるダメージが大きすぎる為、物理強度を損ない、好ましくない。
(2)アルカリ液を塗布する方法
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を防眩層や反射防止膜を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記(1)、(2)のどちらの鹸化方法においても、ロール状の支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、前述の光散乱フィルムや反射防止フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行っても良い。さらに、同様に巻き出した支持体からなる偏光板との張り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率良く偏光板を作成することができる。
(3)防眩層や反射防止層をラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
前記(2)と同様に、防眩層および/または低屈折率層がアルカリ液に対する耐性が不
足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、防眩層、低屈折率層へのダメージなしに偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(2)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
(4)防眩層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
防眩層まではアルカリ液に対する耐性があるが、低屈折率層がアルカリ液に対する耐性不足である場合には、防眩層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に防眩層上に低屈折率層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、特に低屈折率層がフッ素含有ゾル−ゲル膜等、親水基を有する場合には防眩層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
(5)予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに防眩層や反射防止層を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して防眩層、低屈折率層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、防眩層または他の層と鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、防眩層または他の層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから防眩層または他の層を形成することで対処できる。また、防眩層または他の層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<IPSモード液晶セル1の作製>
一枚のガラス基板上に、図1に示す様に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極(図1中2及び3)を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。図1中に示す方向4に、ラビング処理を行なった。別に用意した一枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行なって配向膜とした。二枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ;d)を3.9μmとし、二枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769及び誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマチック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
<第1位相差領域1、第1位相差領域2、第1位相差領域3の作製>
厚さ80μm、Reが120nmのポリカーボネートフィルムの両面に、一軸延伸ポリエステルフィルム製の熱収縮性フィルムをその遅相軸が直交するようにアクリル系粘着層を介して接着し、これを160℃に加熱して熱収縮性フィルムを収縮させながら延伸装置を用いて、幅方向の長さをそれぞれ収縮前の92%、88%及び96%にした後、熱収縮性のフィルムを剥がして、それぞれ第1位相差領域1、第1位相差領域2、第1位相差領域3を得た。
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定し、これらの光学特性を算出したところ、第1位相差領域1はReが160nm、Rthが−40nmで、Nzが0.25であり、第1位相差領域2はReが150nm、Rthが−60nmで、Nzが0.10であり、第1位相差領域3はReが140nm、Rthが−21nmで、Nzが0.35であることが確認できた。
<第1位相差領域4、第1位相差領域5の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。該溶液を保留粒子径4μm、濾水時間35秒の濾紙(No.63、アドバンテック製)を5kg/cm2以下で用いてろ過した。
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セルロースアセテート溶液組成
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酢化度60.9%のセルロースアセテート
(重合度300、Mn/Mw=1.5) 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
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別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤Aを8質量部、レターデーション上昇剤Bを10質量部、二酸化珪素微粒子(平均粒径:0.1μm)0.28質量部、メチレンクロライド80質量部およびメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液(かつ微粒子分散液)を調製した。セルロースアセテート溶液474質量部に該レターデーション上昇剤溶液40質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。
Figure 2007041514
Figure 2007041514
得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が15質量%のフィルムを、130℃の条件で、テンターを用いて20%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま50℃で30秒間保持した後クリップを外してセルロースアセテートフィルムを作製した。延伸終了時の残留溶媒量は5質量%であり、さらに乾燥して残留溶媒量を0.1質量%未満としてフィルムを作製した。
このようにして得られたフィルム(第1位相差領域4)の厚さは80μmであった。作製した第1位相差領域4について、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定することによって、Reが70nm、Rthが175nmであり、これからNzが3.0であることが分かった。
別のミキシングタンクに、前記のレターデーション上昇剤Aを16質量部、レターデーション上昇剤Bを8質量部、二酸化珪素微粒子(平均粒径:0.1μm)0.28質量部、メチレンクロライド80質量部およびメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液(かつ微粒子分散液)を調製した。セルロースアセテート溶液474質量部に該レターデーション上昇剤溶液45質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製し、前述の第1位相差領域4同様に製膜した。このようにして得られたフィルム(第1位相差領域5)の厚さは80μmであった。作製した第1位相差領域5について、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定することによって、Reが60nm、Rthが210nmであり、これからNzが4.0であることが分かった。
<第2位相差領域1の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、下記の組成を有するセルロースアセテート溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液の組成
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド80質量部及びメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。セルロースアセテート溶液487質量部にレターデーション上昇剤溶液6質量部を混合し、十分に攪拌してドープを調製した。
Figure 2007041514
得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、60℃の温風で1分間乾燥し、フィルムをバンドから剥ぎ取った。次にフィルムを140℃の乾燥風で10分間乾燥し、厚さ80μmのフィルムを作製した。
このフィルムの光学特性は自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定することにより求めたところ、nxとnyは実質的に等しく、Re=5nm、Rth=80nmであった。このフィルムを第2位相差領域1とした。
<第2位相差領域2、第2位相差領域3の作製>
製作した第1位相差領域4、及び第1位相差領域5の表面のケン化処理を行い、このフィルム上に市販の垂直配向膜(JALS−204R、日本合成ゴム(株)製)をメチルエチルケトンで1:1に希釈したのち、ワイヤーバーコーターで2.4ml/m2塗布した。直ちに、120℃の温風で120秒乾燥した。
次に、下記の棒状液晶化合物3.8g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02g、下記の空気界面側垂直配向剤0.002gを9.2gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を調製した。
この溶液を前記配向膜を形成したフィルムの配向膜側に、下記の番手のワイヤーバーでそれぞれ塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、100℃の恒温槽中で2分間加熱し、棒状液晶化合物を配向させた。次に、80℃で120W/cm高圧水銀灯により、20秒間UV照射し棒状液晶化合物を架橋して、その後、室温まで放冷して位相差層を作製した。
Figure 2007041514
Figure 2007041514
Figure 2007041514
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、製作したフィルムのReの光入射角度依存性を測定し、予め測定した支持体の寄与分を差し引くことによって、第2位相差領域のみの光学特性を算出したところ、それぞれ第2位相差領域2はReが0nm、Rthが−225nm、第2位相差領域3はReが0nm、Rthが−295nmであって、いずれも棒状液晶が略垂直に配向していることを確認した。
<位相差3の作製>
上記で作製した第1の位相差領域5に対応するセルロースアシレートフィルムを温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記の組成のアルカリ溶液をバーコーターにより、14ml/m2塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーター((株)ノリタケカンパニー製)の下に10秒間滞留させた後、同じくバーコーターを用いて純水を3ml/m2塗布した。このときのフィルム温度は40℃であった。次いでファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返して後に、70℃の乾燥ゾーンに2秒滞留させて乾燥した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<アルカリ溶液組成>
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水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.7質量部
イソプロパノール 64.8質量部
プロピレングリコール 14.9質量部
1633O(CH2CH2O)10H(界面活性剤) 1.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<第2位相差領域の作製>
上記作製した長尺状の第1位相差領域5に対応するセルロースアシレートフィルムの鹸化処理を施した面に、下記の組成の配向膜塗布液を#14のワイヤーバーで連続的に塗布
した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、配向膜を形成した。
配向膜塗布液の組成
――――――――――――――――――――――――――
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
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Figure 2007041514
下記の組成の棒状液晶化合物を含む塗布液を、上記作製した配向膜上に#5.0のワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度は20m/minとした。室温から80℃に連続的に加温する工程で溶媒を乾燥させ、その後、80℃の乾燥ゾーンで90秒間加熱し、棒状液晶性化合物を配向させた。続いて、フィルムの温度を60℃に保持して、UV照射により液晶化合物の配向を固定化し、第2位相差4を形成した。続いて、55℃の1.5mol/L水酸化ナトリウム水溶液中に作製したフィルムを2分間浸漬した後、水に浸漬し十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、35℃の5mmol/L硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。このようにして、第1位相差領域5と第2位相差領域4が積層された位相差3を作製した。
棒状液晶化合物を含む塗布液(S1)の組成
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下記の棒状液晶性化合物(I) 100質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
下記のフッ素系ポリマー 0.4質量部
下記のピリジニム塩 1質量部
メチルエチルケトン 172質量部
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Figure 2007041514
Figure 2007041514
Figure 2007041514
作製した位相差3から棒状液晶性化合物を含む光学異方性層(第2位相差領域4)のみを剥離し、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて光学特性を測定した。波長590nmで測定した光学異方性層のみのReは0nmであり、Rthは−260nmであった。また、棒状液晶分子がフィルム面に対して実質的に垂直に配向している光学異方性層が形成されたことが確認できた。
<位相差4の作製>
ポリカーボネートフィルムを二軸延伸して、Reが268nm、Rthが1nm、Nzが0.50、厚さが60μmである位相差4を作製した。
<位相差5の作製>
アートンフィルム(JSR(株)製)を二軸延伸して、Reが195nm、Rthが−20nm、Nzが0.40、厚さが135μmである第1位相差領域6を作製した。これ
を第2位相差領域に対応するフジタックT40UZ、Re=1nm、Rth=35nmと組み合わせることで位相差5を形成する。
<位相差6の作製>
アートンフィルム(JSR(株)製)を一軸延伸して、Reが170nm、Rthが85nm、Nzが1.00、厚さが70μmである第1位相差領域7を作製した。
第1位相差領域7に対応するフィルムの表面にコロナ放電処理を施し、その上に、上記位相差3と同様にして配向膜を形成した。さらに、上記の位相差3で用いた棒状液晶化合物を含む塗布液(S1)を用いて光学異方性層(第2位相差5)を形成した。第2位相差5のみのReは0nmであり、Rthは−135nmであった。また、棒状液晶分子がフィルム面に対して実質的に垂直に配向している光学異方性層が形成されたことが確認できた。このようにして、第1位相差領域7に第2位相差領域5が積層された位相差6を作製した。
<偏光板保護膜1、偏光板保護膜2の作製>
(偏光板保護膜1)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
<セルロースアセテート溶液A組成>
置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール 11質量部
別のミキシングタンクに、下記の組成物を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液B−1を調製した。
<添加剤溶液B−1組成>
メチレンクロライド 80質量部
メタノール 20質量部
下記光学的異方性低下剤 40質量部
Figure 2007041514
セルロースアセテート溶液Aを477質量部に、添加剤溶液B−1の40質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3〜5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmの偏光板保護膜1を作製した。
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、Re
の光入射角度依存性を測定し、光学特性を算出したところ、Reが1nm、Rthが6nmであることが確認できた。
(偏光板保護膜2)
市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re=2nm、Rth=48nm)を用いて、その表面のケン化処理を行い、このフィルム上に市販の垂直配向膜(JALS−204R、日本合成ゴム(株)製)をメチルエチルケトンで1:1に希釈したのち、ワイヤーバーコーターで2.4ml/m2塗布した。直ちに、120℃の温風で120秒乾燥した。
配向膜上に、下記の棒状液晶化合物1.8g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02g、下記の空気界面側垂直配向剤0.002gを9.2gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を、#2.3のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、100℃の恒温槽中で2分間加熱し、棒状液晶化合物を配向させた。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、30秒間UV照射し棒状液晶化合物を架橋した。その後、室温まで放冷した。このようにして、偏光板保護膜2を製作した。
Figure 2007041514
Figure 2007041514

自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、偏光板保護膜2のReの光入射角度依存性を測定したところ、Reが2nm、Rthが−15nmであった。また、偏光板保護膜2の全体の厚みは83μmであった。
<偏光板Aの作製>
次に延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re=2nm、Rth=48nm)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに偏光膜のもう片側に偏光板保護膜2にケン化処理を行い、そのセルロースアセテートフィルム側が偏光膜がわになるようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付け、偏光板Aを作製した。
<偏光板Bの作製>
同様にして偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD8
0UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして前記製作の偏光板保護膜1にケン化処理を行い、偏光膜のもう片面に貼り付け偏光板Bを作製した。
<偏光板Cの作製>
同様にして偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックT40UZ、富士写真フイルム(株)製、Re=1nm、Rth=35nm、厚み40μm)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜のもう片面に貼り付け偏光板Cを作製した。
<偏光板Dの作製>
同様にして偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の両面に貼り付け偏光板Dを作製した。
<偏光板Eの作製>
次に延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re=3nm、Rth=45nm)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付け偏光板Eを形成した。
(パーフルオロオレフィン共重合体(1)の合成)
Figure 2007041514
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7gおよび過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は0.53Mpa(5.4kg/cm2)であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が0.31MPa(3.2kg/cm2)に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー28gを得た。次に該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出
後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることによりパーフルオロオレフィン共重合体(1)を19g得た。得られたポリマーの屈折率は1.421であった。
(ゾル液の調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(防眩層用塗布液Aの調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)25.4gをメチルイソブチルケトン46.3gで希釈した。更に、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を1.3g添加し、混合攪拌した。続いてフッ素系表面改質剤(P−7)0.04g、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製)を5.2g、分子量40,000のセルロースアセテートブチレート(CAB−531−1、イーストマンケミカル(株)製)0.50gを加えてエアーディスパーにて120分間攪拌して溶質を完全に溶解した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.520であった。
最後に、この溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=50/50、屈折率1.530)の30%メチルイソブチルケトン分散液を21.0g加えた後にエアーディスパーにて10分間攪拌した。
前記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用塗布液Aを調製した。
(防眩層用塗布液Bの調製)
主溶媒として用いるメチルイソブチルケトン(21.7℃における蒸気圧:16.5mmHg)46.3gを40.0gに変更し、更に水酸基を有する少量溶媒としてプロピレングリコール(20.0℃における蒸気圧:0.08mmHg)を6.3g添加した以外は防眩層用塗布液Aと同様にして、防眩層用塗布液Bを調整した。
(防眩層用塗布液Cの調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)12.7gをメチルイソブチルケトン16.7gで希釈し、コロイダルシリカ分散液MiBK−ST(商品名、平均粒径15nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)42.3gを添加した。更に、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を1.3g添加し、混合攪拌した。続いてフッ素系表面改質剤(P−7)0.04g、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製)を5.2g、分子量40,000のセルロースアセテートブチレート(CAB−531−1、イーストマンケミカル(株)製)0.50gを加えてエアーディスパーにて120分間攪拌して溶質を完全に溶解した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.500であった。
最後に、この溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した平均粒径3.0μmの架橋ポリ(メチルメタクリレート)粒子(架橋剤=エチレングリコールジメタクリレートを10%含有、屈折率1.492)の30%メチルイソブチルケトン分散液を21.0g加えた後にエアーディスパーにて10分間攪拌した。
前記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用塗布液Bを調製した。
(防眩層用塗布液Dの調製)
前記平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=50/50、屈折率1.530)を架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.607)に変更した以外は防眩層用塗布液Aと同様にして、防眩層用塗布液Dを調整した。
(防眩層用塗布液Eの調製)
前記平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=50/50、屈折率1.530)を架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=60/40、屈折率1.522)に変更した以外は防眩層用塗布液Aと同様にして、防眩層用塗布液Eを調整した。
(防眩層用塗布液Fの調製)
前記平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=50/50、屈折率1.530)を添加しない以外は防眩層用塗布液Aと同様にして、防眩層用塗布液Fを調整した。
(防眩層用塗布液Gの調製)
前記平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=50/50、屈折率1.530)を共重合組成比を40/60(屈折率1.540)に変更し、その添加量を30%メチルイソブチルケトン分散液として39.0gに変更した以外は防眩層用塗布液Aと同様にして、防眩層用塗布液Gを調整した。
(防眩層用塗布液Hの調製)
前記平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=50/50、屈折率1.530)を共重合組成比を40/60(屈折率1.540)に変更し、その添加量を30%メチルイソブチルケトン分散液として26.0gに変更した以外は防眩層用塗布液Aと同様にして、防眩層用塗布液Hを調整した。
(防眩層用塗布液Iの調製)
前記平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=50/50、屈折率1.530)を共重合組成比を30/70(屈折率1.570)に変更し、その添加量を30%メチルイソブチルケトン分散液として39.0gに変更した以外は防眩層用塗布液Aと同様にして、防眩層用塗布液Iを調整した。
(低屈折率層用塗布液Aの調整)
ポリシロキサンおよび水酸基を含有する屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)13g、コロイダルシリカ分散液MEK−ST−L(商品名、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)1.3g、前記ゾル液0.6g、およびメチルエチルケトン5g、シクロヘキサノン0.6gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層塗布液Aを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.45であった。
(低屈折率層用塗布液Bの調整)
(分散液A−1の調製)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616の調製例4に準じサイズを変更して作成)500gに、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)30g、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5g加え混合した後に、イオン交換水を9gを加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8gを添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液A−1のイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.5%であった。
(塗布液Bの調製)
オプスターJTA113 (熱架橋性含フッ素含シリコーンポリマー組成液(固形分6%):JSR(株)製)783.3質量部(固形分として47.0質量部)に対して、分散液A−1を195質量部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0質量部)、コロイダルシリカ分散物(シリカ、MEK−STの粒子径違い品、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)30.0質量部(固形分として9.0質量部)、ゾル液a17.2質量部(固形分として5.0質量部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率用塗布液Bを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.39であった。
(低屈折率層用塗布液Cの調製)
パーフルオロオレフィン共重合体(1)15.2g、中空シリカゾル(屈折率1.31、平均粒径60nm、固形分濃度20%)2.1g、反応性シリコーンX−22−164B(商品名;信越化学工業社製)0.3g、ゾル液a 7.3g、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.76g、メチルエチルケトン301g、シクロヘキサノン9.0gを添加、攪拌の後、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Cを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.40であった。
<防眩性反射防止フィルムの作製>
(1)防眩層の塗設
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(フジタック TD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re=2nm、Rth=48nm)をロール形態で巻き出して、特開2003−211052に記載の装置構成および下記の塗布条件で示されるダイコート法によって防眩層用塗布液Aを塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの防眩性を有する防眩層を形成し、巻き取った。
基本条件:スロットダイ13は、上流側リップランド長IUPが0.5mm、下流側リップランド長ILOが50μmで,スロット16の開口部のウェブ走行方向における長さが150μm、スロット16の長さが50mmのものを使用した。上流側リップランド18aとウェブWの隙間を、下流側リップランド18bとウェブWの隙間よりも50μm長くし、下流側リップランド18bとウェブWとの隙間GL を、防眩層用塗布液を塗布する際には80μm、低屈折率層用塗布液を塗布する際には50μmに設定した。また、減圧チャンバー40のサイドプレート40bとウェブWとの隙間GS 、及びバックプレート40aとウェブWとの隙間GB はともに200μmとした。それぞれの塗布液の液物性に合わせて、防眩層:防眩層用塗布液A、Cの場合:塗布速度=20m/分、ウエット塗布量=17.5ml/m2で、防眩層用塗布液Bの場合:塗布速度=40m/分、ウエット塗布量=17.5ml/m2で、低屈折率層:塗布速度=40m/分、ウエット塗布量=5.0ml/m2で塗布を行った。なお、塗布幅:1300mm、有効幅:1280mmとした。
(2)低屈折率層の塗設
上記防眩層用塗布液Aを塗布して防眩層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、前記低屈折率層用塗布液Aを上記の基本条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取った。
(3)防眩性反射防止フィルムの鹸化処理
前記低屈折率層の製膜後、前記試料について、以下の処理を行った。
1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した反射防止フィルムを前記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、前記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
このようにして、鹸化処理済みの防眩性反射防止フィルムを作製した。これをAGF11−1とする。
防眩層用塗布液Aを防眩層用塗布液B、C及びEに変更した以外はAGF11−1と同様にして防眩層を形成し、更にAGF11−1と同様にして低屈折率層の塗設、ケン化処理した。眩層用塗布液Bを塗布したものをAGF11−2とし、防眩層用塗布液Cを塗布したものをAGF11−3とし、防眩層用塗布液Eを塗布したものをAGF11−4とした。また、防眩層用塗布液Aを防眩層用塗布液G、H及びIに変更し、ウェット塗布量=21.0ml/m2に変更した以外はAGF11−1と同様にして防眩層を形成し、更にAGF11−1と同様にして低屈折率層の塗設、ケン化処理した。眩層用塗布液Gを塗布したものをAGF11−5とし、防眩層用塗布液Hを塗布したものをAGF11−6とし、防眩層用塗布液Iを塗布したものをAGF11−7とした。また、防眩層用塗布液Aを防眩層用塗布液Dに変更した以外はAGF11−1と同様にして防眩層を形成し、更にAGF11−1と同様にして低屈折率層の塗設、鹸化処理した。防眩層用塗布液Dを塗布したものをAGF6−1とし、防眩層用塗布液Fを塗布したものをAGF6−2とした。
(防眩性反射防止フィルムの評価)
得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。結果を表2に示す。
(1)平均反射率
フィルムの裏面をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における鏡面分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの鏡面反射率の算術平均値を用いた。
(2)ヘイズ
以下の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ(H)、内部ヘイズ(Hi)、表面ヘイズ(Hs)を測定した。
1)JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
2)得られたフィルムの低屈折率層側の表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的
に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
3)上記1)で測定した全ヘイズ(H)から上記2)で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
(3)像鮮明性
JIS K7105に準じて透過画像鮮明性を光学くし幅0.5mmで測定した。
(4)中心線平均粗さ
JIS−B0601に準じて得られたフィルムの中心線平均粗さRaを測定した。
(5)防眩性
得られたフィルムにルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を45度の角度から映し、−45度の方向から観察した際の反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
蛍光灯の輪郭が全くわからない :◎
蛍光灯の輪郭がわずかにわかる :○
蛍光灯はぼけているが、輪郭は識別できる :△
蛍光灯がほとんどぼけない :×
Figure 2007041514
また、AGF11−1の低屈折率層用塗布液Aを低屈折率層用塗布液Bに置き換えた以外は同様にして防眩性反射防止フィルムを作製したところ、平均反射率が1.2%に改良された。
また、AGF11−1の低屈折率層用塗布液Aを低屈折率層用塗布液Cに置き換え、塗布後の紫外線を照射量900mJ/cm2に変更した以外は同様にして防眩性反射防止フィルムを作製したところ、平均反射率が1.5%に改良された。また、低屈折率層用塗布液Cは熱硬化と併用であるため、耐擦傷性を向上することができた。
<偏光板Hの作製>
次に延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、防眩性反射防止フィルムAGF11−2をポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片面に貼り付けた。さらに偏光膜のもう片側に偏光板保護膜1に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付け、偏光板Hを作製した。
<偏光板Iの作製>
次に延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、防眩性反射防止フィルムAGF11−2をポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片面に貼り付けた。さらに偏光膜のもう片側に偏光板保護膜2に鹸化処理を行い、そのセルロースアセテートフィルム側が偏光膜がわになるようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付け、偏光板Iを作製した。
<偏光板Jの作製>
同様にして偏光膜を製作し、防眩性反射防止フィルムAGF11−2をポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re=2nm、Rth=48nm、厚み80μm)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜のもう片面に貼り付け偏光板Jを作製した。
<偏光板Kの作製>
次に延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、防眩性反射防止フィルムAGF11−2をポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にしてフィルム位相差1に鹸化処理を行い、第1位相差領域4側が偏光膜側となるように、且つ変更膜の透過軸と第1位相差領域4の遅相軸が平行になるようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜のもう片面に貼り付け偏光板Kを作製した。
<偏光板L1の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、防眩性反射防止フィルムAGF11−2をポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして位相差3を、セルロースアシレートフィルム(第1位相差領域5)側が偏光膜側となるように、且つ偏光膜の透過軸とセルロースアシレートフィルムの遅相軸が平行になるようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜のもう片面に貼り付け偏光板L1を作製した。
<偏光板L2の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして位相差3を、セルロースアシレートフィルム(第1位相差領域5)側が偏光膜側となるように、且つ偏光膜の透過軸とセルロースアシレートフィルムの遅相軸が平行になるようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜のもう片面に貼り付け偏光板L2を作製した。
<偏光板L3の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、防眩性反射防止フィルムAGF6−1をポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして位相差3を、セルロースアシレートフィルム(第1位相差領域5)側が偏光膜側となるように、且つ偏光膜の透過軸とセルロースアシレートフィルムの遅相軸が平行になるようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜のもう片面に貼り付け偏光板L3を作製した。
<偏光板M1の作製>
次に延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、防
眩性反射防止フィルムAGF6−1をポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片面に貼り付けた。さらに偏光膜のもう片側に偏光板保護膜2に鹸化処理を行い、そのセルロースアセテートフィルム側が偏光膜がわになるようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付け、偏光板M1を作製した。
<偏光板M2の作製>
次に延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、防眩性反射防止フィルムAGF6−1をポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片面に貼り付けた。さらに偏光膜のもう片側市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付け、偏光板M2を作製した。
<偏光板Nの作製>
次に延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、防眩性反射防止フィルムAGF6−1をポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にしてフィルム位相差1に鹸化処理を行い、第1位相差領域4側が偏光膜側となるように、且つ変更膜の透過軸と第1位相差領域4の遅相軸が平行になるようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜のもう片面に貼り付け偏光板Nを作製した。
<偏光板O、P、Q、R、S、Tの作製>
防眩性反射防止フィルムAGF11−2の代わりにAGF11−1、AGF11−3、AGF11−4、AGF11−5、AGF11−6、AGF11−7を使用した以外は偏光板Iを作製した方法と同様の方法で偏光板O、P、Q、R、S、Tを作製した。
<液晶表示装置LR1の作製>
偏光板Aの偏光板保護膜2側にアクリル系接着剤を用いて、作製した第1位相差領域1を、偏光膜の透過軸と第1位相差領域1の遅相軸が直交になるように貼り付けた。さらにこれに第2位相差領域1をアクリル系接着剤を用いて貼合した。
これを、前記で作製したIPSモード液晶セル1の視認側(電極を配設していないガラス基板側)に、偏光板の透過軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第1位相差領域1の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と直交になるように)、且つ第2位相差領域1面側が液晶セル側になるように貼り付けた。
続いて、このIPSモード液晶セル1の背面側(電極を配設したガラス基板側)に偏光板CをフジタックT40UZ側が液晶セル側になるように、且つ偏光板Aとはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置LR1を作製した。
<液晶表示装置L11の作製>
偏光板Iの偏光板保護膜2側にアクリル系接着剤を用いて、作製した第1位相差領域1を、偏光膜の透過軸と第1位相差領域1の遅相軸が直交になるように貼り付けた。さらにこれに第2位相差領域1をアクリル系接着剤を用いて貼合した。
これを、前記で作製したIPSモード液晶セル1の視認側に、偏光板の透過軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第1位相差領域1の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と直交になるように)、且つ第2位相差領域1面側が液晶セル側になるように貼り付けた。
続いて、このIPSモード液晶セル1の背面側に偏光板CをフジタックT40UZ側が液晶セル側になるように、且つ偏光板Iとはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置L11を作製した。
<液晶表示装置L12の作製>
偏光板Hの偏光板保護膜1側にアクリル系接着剤を用いて、作製した第1位相差領域2を、偏光膜の透過軸と第1位相差領域2の遅相軸が直交になるように貼り付けた。さらにこれに第2位相差領域1をアクリル系接着剤を用いて貼合した。
これを、前記で作製したIPSモード液晶セル1の視認側に、偏光板の透過軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第1位相差領域2の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と直交になるように)、且つ第2位相差領域1面側が液晶セル側になるように貼り付けた。
続いて、このIPSモード液晶セル1の背面側に偏光板Bを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板Hとはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置L12を作製した。
<液晶表示装置L13の作製>
偏光板JのフジタックTD80UF側にアクリル系接着剤を用いて、作製した第1位相差領域3を、偏光膜の透過軸と第1位相差領域3の遅相軸が平行になるように貼り付けた。この構成では偏光板Jの保護膜であるフジタックTD80UF、Re=2nm、Rth=48nmが第2位相差領域に相当する。
これを、前記で作製したIPSモード液晶セル1の視認側に、偏光板の透過軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第1位相差領域3の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と平行になるように)、且つ第1位相差領域3面側が液晶セル側になるように貼り付けた。
続いて、このIPSモード液晶セル1のもう背面側に偏光板Cを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板Jとはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置L13を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。
<液晶表示装置L14の作製>
偏光板Kを、前記で作製したIPSモード液晶セル1の視認側に、第1位相差領域4の遅相軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第1位相差領域4の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と平行になるように)、且つ第2位相差領域2面側が液晶セル側になるように偏光板Kを貼り付けた。
続いて、このIPSモード液晶セル1の背面側に偏光板Bを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板Kとはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置L14を作製した。
<液晶表示装置L15の作製>
偏光板JのTD80UF側にフィルム位相差2を、第2位相差領域3側が偏光膜側となるように、且つ偏光膜の透過軸と第1位相差領域5の遅相軸が直交になるようにアクリル樹脂系接着剤を用いて、貼り付け偏光板6を形成した。
これを、前記で作製したIPSモード液晶セル1の視認側に、第1位相差領域5の遅相軸が液晶セルのラビング方向と直交になるように(即ち、第1位相差領域5の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と直交になるように)、且つ第1位相差領域5面側が液晶セル側になるように偏光板6を貼り付けた。
続いて、このIPSモード液晶セル1の背面側に偏光板Bを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板6とはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置L15を作製した。
<液晶表示装置L16〜L21の作製>
偏光板Iの代わりに偏光板O、P、Q、R、S、Tを使用する以外は液晶表示装置L11と同様の方法で液晶表示装置L16〜L21を作製した。
<液晶表示装置LR8の作製>
偏光板M1の偏光板保護膜2側にアクリル系接着剤を用いて、作製した第1位相差領域1を、偏光膜の透過軸と第1位相差領域1の遅相軸が直交になるように貼り付けた。さらにこれに第2位相差領域1をアクリル系接着剤を用いて貼合した。
これを、前記で作製したIPSモード液晶セル1の視認側に、偏光板の透過軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第1位相差領域1の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と直交になるように)、且つ第2位相差領域1面側が液晶セル側になるように貼り付けた。
続いて、このIPSモード液晶セル1の背面側に偏光板CをフジタックT40UZ側が液晶セル側になるように、且つ偏光板Mとはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置LR8を作製した。
<液晶表示装置LR9の作製>
偏光板Nを、前記で作製したIPSモード液晶セル1の視認側に、第1位相差領域4の遅相軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第1位相差領域4の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と平行になるように)、且つ第2位相差領域2面側が液晶セル側になるように貼り付けた。
続いて、このIPSモード液晶セル1の背面側に偏光板Bを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板Nとはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置LR9を作製した。
本発明の実施例に対応する液晶表示装置L11〜L21及び、比較例に対応する液晶表示装置LR1、LR8〜LR9に対し、斜め漏れ光、暗室コントラスト、防眩性を下記の方法で評価し、表3にまとめた。
なお、上記の液晶表示装置では光学補償領域は全て視認側の偏光板と液晶層の間に設けられており、防眩性フィルムは第1の保護膜に対応する。
(1)斜め漏れ光
暗室内に設定されたシャーカステン上に、偏光板を貼り合わせない状態で液晶セル1を電極を配設した基板がシャーカステン側になるように置き、液晶セルのラビング方向を基準として左方向に45度の方位で、且つ液晶セルの法線方向から60度の方向に1m離れたところに設置された輝度計(分光放射輝度計CS−1000:ミノルタ(株)製)で輝度1を測定した。
次いで、上記と同じシャーカステン上に偏光板を貼り合わせた各液晶表示装置を置き、上記と同様に輝度2を測定し、これを輝度1に対する100分率で表したものを斜め漏れ光とした。
(2)暗室コントラスト
暗室内に設定されたシャーカステン上に、偏光板を貼り合わせた状態の各液晶表示装置を、電極を配設した基板がシャーカステン側になるように置き、液晶セルの法線方向に1m離れたところに設置された輝度計(分光放射輝度計CS−1000:ミノルタ(株)製)で、輝度の比(白表示/黒表示)であるコントラスト比を測定した。
(3)防眩性
上記で作製した液晶表示装置の視認者側にむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を45度の角度から映し、−45度の方向から観察した際の反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
蛍光灯の輪郭が全くわからない :◎
蛍光灯の輪郭がわずかにわかる :○
蛍光灯はぼやけているが、輪郭は識別できる :△
蛍光灯がほとんどぼけない :×
Figure 2007041514
※上記光学補償領域の欄に記載の(A+B)とは視認側偏光板のセル側保護膜に近い側か
ら位相差領域A、位相差領域Bがこの順で搭載されていることを意味する。また、第X位Yとは第X位相差Yを意味する。
表3の結果から以下のことが明らかである。
内部散乱に起因するヘイズ値が5〜35%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜10%、あるいは内部散乱に起因するヘイズ値が0〜5%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜30%である防眩層を搭載した本発明の液晶表示装置は斜め漏れ光が少なく、暗室コントラストが高く、防眩性も高く、優れたものであった。
特に防眩層の内部散乱に起因するヘイズ値が5〜20%且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜10%または内部散乱に起因するヘイズ値が0〜5%且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜20%である防眩フィルムAGF11−1〜11−4を搭載した液晶表示装置L12〜L18では防眩フィルムを搭載していない液晶表示装置LR1と同等の正面コントラストが得られ、特に好ましい。
<液晶表示装置L22の作製>
偏光板L1を、前記で作製したIPSモード液晶セル1の視認側に、偏光板の透過軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、セルロースアシレートフィルム(第1位相差領域5)の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と平行になるように)、かつ第2位相差領域4が液晶セル側になるように貼り合わせた。
続いて、このIPSモード液晶セル1の背面側に偏光板Bを偏光板保護膜1が液晶セル側になるように、かつ偏光板L1とはクロスニコル配置になるように貼り合わせ、液晶表示装置L22を作製した。
<液晶表示装置L23の作製>
偏光板L2を、前記で作製したIPSモード液晶セル1の背面側に、偏光板の透過軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、セルロースアシレートフィルム(第1位位相差領域5)の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と平行になるように)、かつ第2位相差領域4が液晶セル側になるように貼り合わせた。
続いて、このIPSモード液晶セル1の視認者側に偏光板Hを偏光板保護膜1が液晶セル側になるように、かつ偏光板L2とはクロスニコル配置になるように貼り合わせ、液晶表示装置L23を作製した。
<液晶表示装置L24の作製>
偏光板Bの偏光板保護膜1側に位相差4を、アクリル粘着剤を用いて貼り合わせた。このとき、偏光膜の透過軸と光学補償フィルムの遅相軸とは直交するようにした。このようにして偏光板7を作成した。
偏光板7を、前記で作製したIPSモード液晶セル1の背面側に、偏光板の透過軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、位相差4の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と直交するように)、かつ位相差4が液晶セル側になるように貼り合わせた。
続いて、このIPSモード液晶セル1の視認者側に偏光板Hを偏光板保護膜1が液晶セル側になるように、かつ偏光板7とはクロスニコル配置になるように貼り合わせ、液晶表示装置L24を作製した。
<液晶表示装置L25の作製>
偏光板CのフジタックT40UZ側に第1位相差領域6を、アクリル粘着剤を用いて貼り合わせた。このとき、偏光膜の透過軸と光学補償フィルムの遅相軸とは平行になるようにした。このようにして偏光板8を作成した。この構成ではT40UZが第2位相差領域に対応する。
偏光板8を、前記で作製したIPSモード液晶セル1の背面側に、偏光板の透過軸が液
晶セルのラビング方向とは平行となるように(即ち、第1位相差領域6の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と平行となるように)、かつ第1位相差領域6が液晶セル側になるように貼り合わせた。
続いて、このIPSモード液晶セル1の視認側に偏光板Hを偏光板保護膜が液晶セル側になるように、かつ偏光板8とはクロスニコル配置になるように貼り合わせ、液晶表示装置L25を作製した。
<液晶表示装置L26の作製>
偏光板Bの偏光板保護膜1側に上記で作製した位相差6を、アクリル粘着剤を用いて貼り合わせた。このとき、位相差6に含まれる第2位相差領域5が偏光板B側になるようにし、かつ、偏光膜の透過軸と第1位相差領域7の遅相軸とは直交するようにした。このようにして偏光板9を作成した。
偏光板9を、前記で作製したIPSモード液晶セル1の背面側に、偏光板の透過軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第1位相差領域7の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と直交するように)、かつ位相差6が液晶セル側になるように貼り合わせた。
続いて、このIPSモード液晶セル1の視認側に偏光板Hを偏光板保護膜が液晶セル側になるように、かつ偏光板9とはクロスニコル配置になるように貼り合わせ、液晶表示装置L26を作製した。
<液晶表示装置LR10の作製>
偏光板Dを、前記で作製したIPSモード液晶セル1の視認側に、偏光板の透過軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように貼り合わせた。
続いて、このIPSモード液晶セル1の背面側に偏光板CをT40UZが液晶セル側になるように、かつ偏光板Dとはクロスニコル配置になるように貼り合わせ、液晶表示装置LR10を作製した。
<液晶表示装置LR11の作製>
上記液晶表示装置L22に対し、視認側偏光板L1を偏光板L2に変更し、液晶表示装置LR11を作製した。
<液晶表示装置LR12の作製>
上記液晶表示装置L22に対し、視認側の偏光板L1を偏光板Jに、また、背面側の偏光板Bを偏光板Dに変更し、液晶表示装置LR12を作製した。
<液晶表示装置LR13の作製>
上記液晶表示装置L22に対し、視認側の偏光板L1を偏光板M2に、また、背面側の偏光板Bを偏光板Dに変更し、液晶表示装置LR13を作製した。
<液晶表示装置LR14の作製>
上記液晶表示装置L22に対し、視認側の偏光板L1を偏光板L3に変更し、液晶表示装置LR14を作製した。
本発明の実施例に対応する液晶表示装置L22〜L26及び、比較例に対応する液晶表示装置LR10〜LR14に対し、斜め漏れ光、暗室コントラスト、及び防眩性を評価し、表4と表5にまとめた。
なお、表4に記載の液晶表示装置L22、LR11、LR14では光学補償領域が視認側の偏光板と液晶層の間に設けられて、防眩性フィルムは本発明の第1保護膜に対応する。また、表5に記載の液晶表示装置L23〜L26では光学補償領域が視認者側の偏光板と液晶層の間に設けられて、防眩性フィルムは本発明の第2保護膜に対応する。
Figure 2007041514
Figure 2007041514
上記の結果から以下のことが明らかである。
黒表示時に液晶層の液晶分子が基板面に対して平行配向するIPS型液晶表示装置において、光学補償領域を設けた上で、内部散乱に起因するヘイズが5〜35%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜10%である防眩層を搭載させることで、正面コントラストの低下を抑制しながら、防眩性を付与することができる。
なお、光学補償領域を設けないIPSモードの液晶表示装置での比較では防眩層が上記範囲のAGF11−2を搭載したものと防眩層を上記範囲外のAGF6−1を搭載したものの斜め漏れ光と暗室コントラストの差は僅かであり認知できないレベルであった。
更に、上記の光学補償フィルムが偏光板保護フィルムを兼ねているL22とL23の態様の光学特性が特に優れていた。
本発明の液晶表示装置の画素領域例を示す模式図である。 本発明の液晶表示装置の第一の実施形態の模式図である。 本発明の液晶表示装置の第一の実施形態の模式図である。 本発明の液晶表示装置の第二の実施形態の模式図である。 本発明の液晶表示装置の第二の実施形態の模式図である。
符号の説明
1 液晶素子画素領域
2、3 電極
4 ラビング方向
5a、5b 黒表示の液晶化合物のダイレクター
6a、6b 白表示の液晶化合物のダイレクター
7a 第1保護膜
7b 保護膜
8 偏光膜
9 透過軸
10 第1位相差領域
11 遅相軸
12 第2位相差領域
13 基板
14、18 ラビング処理方向
15 液晶層
16 遅相軸
17 基板
19a 保護膜
19b 第2保護膜
20 偏光膜
21 透過軸

Claims (25)

  1. 少なくとも、第1保護膜と、第1偏光膜と、光学補償領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板とを有する液晶セルと、第2偏光膜と、第2保護膜とがこの順序で配置され、黒表示時に該液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1保護膜または第2保護膜のいずれかに少なくとも防眩層が塗設されており、該防眩層の内部散乱に起因するヘイズ値が5〜35%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜10%であることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 少なくとも、第1保護膜と、第1偏光膜と、光学補償領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板とを有する液晶セルと、第2偏光膜と、第2保護膜とがこの順序で配置され、黒表示時に該液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1保護膜または第2保護膜のいずれかに少なくとも防眩層が塗設されており、前記防眩層を有する第1保護膜または第2保護膜のいずれかが、透明支持体上に、少なくとも、防眩層及び該防眩層よりも屈折率の低い低屈折率層が積層された防眩性反射防止フィルムであり、該防眩性反射防止フィルムの内部散乱に起因するヘイズ値が5〜35%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜10%であることを特徴とする液晶表示装置。
  3. 請求項1に記載の防眩層の内部散乱に起因するヘイズ値が5〜20%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜10%であることを特徴とする液晶表示装置。
  4. 請求項2に記載の防眩性反射防止フィルムの内部散乱に起因するヘイズ値が5〜20%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜10%であることを特徴とする液晶表示装置。
  5. 少なくとも、第1保護膜と、第1偏光膜と、光学補償領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板とを有する液晶セルと、第2偏光膜と、第2保護膜とがこの順序で配置され、黒表示時に該液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1保護膜または第2保護膜のいずれかに少なくとも防眩層が塗設されており、該防眩層を有する保護膜の内部散乱に起因するヘイズ値が0〜5%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜30%であることを特徴とする液晶表示装置。
  6. 少なくとも、第1保護膜と、第1偏光膜と、光学補償領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板とを有する液晶セルと、第2偏光膜と、第2保護膜とがこの順序で配置され、黒表示時に該液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1保護膜または第2保護膜のいずれかが、透明支持体上に、少なくとも、防眩層及び該防眩層よりも屈折率の低い低屈折率層が積層された防眩性反射防止フィルムであり、該防眩性反射防止フィルムの内部散乱に起因するヘイズ値が0〜5%、且つ表面散乱に起因するヘイズ値が1〜30%であることを特徴とする液晶表示装置。
  7. 前記防眩層が、透光性樹脂、透光性微粒子および複数の種類の溶媒を含有する塗布組成物から形成され、該複数の溶媒が、前記透明支持体を溶解しない主溶媒と、水酸基を有する少量溶媒とを含有することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  8. 前記透光性樹脂が少なくとも3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなり、前記透光性粒子がアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート系重合体であることを特徴とする、請求項7に記載の液晶表示装置。
  9. 前記透光性樹脂が少なくとも3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなり、前記透光性粒子がアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体であることを特徴とする、請求項7に記載の液晶表示装置。
  10. 前記低屈折率層の屈折率が1.30以上1.48以下であり、且つ前記低屈折率層が含フッ素ポリマーを含み、該含フッ素ポリマーがフッ素原子を30〜80質量%含むことを特徴とする、請求項3または6に記載の液晶表示装置。
  11. 前記低屈折率層が架橋性若しくは重合性の官能基を含む含フッ素ポリマーを主として含有する熱硬化性および/または光硬化性を有する組成物を塗布して形成されたことを特徴とする、請求項3または6に記載の液晶表示装置。
  12. 前記低屈折率層が、(A)前記含フッ素ポリマー、(B)平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下である無機微粒子、(C)酸触媒の存在下で製造されてなる、下記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を、各々少なくとも1種を含有する硬化性組成物を塗布し硬化して形成された硬化膜であることを特徴とする、請求項10または11に記載の液晶表示装置。
    一般式(1)
    (R10)m−Si(X)4-m
    (式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
  13. 前記防眩層および前記低屈折率層が、前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有する硬化性塗布組成物を塗布し硬化して形成された硬化膜であることを特徴とする、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  14. 前記(B)の無機微粒子が中空構造を持つことを特徴とする、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  15. 前記低屈折率層が、(A)フッ素を含有しないポリマー、(B)平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下であり、中空構造を持つ無機微粒子を含有する硬化性組成物を塗布し硬化して形成された硬化膜であることを特徴とする、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  16. 前記光学補償領域が下記式(A)〜(D)のいずれかを満たす少なくとも1位相差領域を含むことを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の液晶表示装置。(A)100nm≦Re≦400nm、且つ−50nm≦Rth≦50nm
    (B)60nm≦Re≦200nm、且つ30nm≦Rth≦100nm
    (C)0nm≦Re≦20nm、且つ−400nm≦Rth≦−50nm
    (D)30nm≦Re≦150nm、且つ100nm≦Rth≦400nm
    (ここでReは面内のレターデーション、Rthは厚み方向のレターデーションである。)
  17. 前記光学補償領域が第1位相差領域と第2位相差領域からなり、
    第1位相差領域の面内のレターデーションReが70nm〜330nmであり、
    第1位相差領域の値Nzが0を超え0.5未満であり、
    第2位相差領域の面内のレターデーションReが0nm〜100nmであり、第2位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが10nm〜140nmであり、且つ第1偏光膜の透過軸が、黒表示時の液晶分子の遅相軸方向に平行であることを特徴とする請求項
    1から請求項16のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  18. 前記第1偏光膜、前記第1位相差領域、前記第2位相差領域及び前記液晶セルが、この順序で配置され、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の透過軸に実質的に直交していることを特徴とする請求項17に記載の液晶表示装置。
  19. 前記第1偏光膜、前記第2位相差領域、前記第1位相差領域及び前記液晶セルが、この順序で配置され、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の透過軸に実質的に平行であることを特徴とする請求項17に記載の液晶表示装置。
  20. 前記光学補償領域が第1位相差領域と第2位相差領域からなり、
    第1位相差領域の面内のレターデーションReが20nm〜150nmであり、
    第1位相差領域の値Nzが1.5〜7であり、
    第2位相差領域の面内のレターデーションReが0nm〜50nmであり、
    第2位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが−80nm〜−400nmであり、且つ第1偏光膜の透過軸が、黒表示時の液晶分子の遅相軸方向に平行であることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  21. 前記第1偏光膜、前記第1位相差領域、前記第2位相差領域及び前記液晶セルが、この順序で配置され、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の透過軸に実質的に平行であることを特徴とする請求項20に記載の液晶表示装置。
  22. 前記第1偏光膜、前記第2位相差領域、前記第1位相差領域及び前記液晶セルが、この順序で配置され、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の透過軸に実質的に直交していることを特徴とする請求項20に記載の液晶表示装置。
  23. 前記第2位相差領域が、実質的に垂直配向した棒状液晶化合物を含有する位相差層を有することを特徴とする請求項20から22のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  24. 前記第2偏光膜と前記基板との間に保護膜を有し、該保護膜の厚み方向のレターデーションRthが40nm〜−50nmであることを特徴とする請求項1から請求項23
    のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  25. 前記第2偏光膜と前記基板との間に保護膜を有し、該保護膜がセルロースアシレートフィルム又はノルボルネン系フィルムであることを特徴とする請求項1から24のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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