JP2007031625A - 導電性粒子を含有する硬化性組成物、その硬化物及び積層体 - Google Patents

導電性粒子を含有する硬化性組成物、その硬化物及び積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、帯電防止性を付与し、かつ、耐擦傷性及び摺動性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、その硬化物からなる硬化膜を提供する。
【解決手段】 溶剤を除く組成物全量に対して、下記成分(A)アンチモン酸亜鉛粒子 5〜50質量%、(B)下記式(1)
Figure 2007031625

で示される化合物 10〜50質量%、(C)前記(A)及び(B)成分以外の多官能(メタ)アクリレート化合物 10〜70質量%、及び(D)動的光散乱法で測定した数平均粒径が0.1〜3μmである、有機微粒子若しくは無機微粒子 0.2〜9質量%を含有することを特徴とする硬化性組成物、これを硬化させてなる硬化物及び積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性粒子を含有する硬化性組成物、その硬化物及び積層体に関する。さらに詳しくは、優れた塗工性を有し、かつ各種基材[例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等]の表面に、耐擦傷性並びに基材及び基材や隣接層との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る導電性粒子含有硬化性組成物、及びプリンタベルト又はプリンタドラム用の硬化膜(ハードコート)に関する。
近年、各種基材表面の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コーティング材;各種基材の接着剤、シーリング材;印刷インクのバインダー材として、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、硬度、屈曲性、耐擦傷性、耐摩耗性、及び密着性のいずれにも優れた硬化膜を形成し得る硬化性組成物が要請されている。
プリンタベルトは、レーザープリンタやインクジェットプリンタの画像形成装置の構成要素として使用される転写ベルトや搬送ベルトであり、帯電防止剤を含有するポリカーボネート樹脂やフッ素樹脂系材料を用いて形成されている。プリンタベルトは、他の部品や用紙と繰り返し摩擦接触するため、耐擦傷性を改善して長寿命とする要請があった。また、プリンタドラムは、レーザープリンタの画像形成装置の構成要素として使用される感光ドラムや転写ドラムである。感光ドラムは、アルミニウム製等のシリンダーの外周面に厚さ数十μm程度の光導電性コーティング層を設けた構造を有している。また、転写ドラムは、転写ベルトと同様の樹脂材料から形成されている。プリンタドラムについても、他の部品や用紙と繰り返し摩擦接触するため、耐擦傷性を改善して長寿命とする要請があった。
レーザープリンタの印刷方式として、感光ドラムや感光ベルト上に静電潜像を形成し、静電潜像をトナーで現像して得られるトナー像を転写ベルトに転写する中間転写ベルト方式、感光ドラム上に静電潜像を形成し、トナー像を転写ドラムに転写する転写ドラム方式、カラープリンタの各基本色毎に感光ドラム等を設けるタンデム方式等が知られている。これらのいずれの方式に用いられるプリンタベルトやプリンタドラムについても、前述の問題が存在していた。
一方、特許文献1には、アンチモン酸亜鉛ゾルを分散剤を用いて分子中に少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線硬化性(メタ)アクリレート中に分散させたヘイズ(曇価)が1.5以下の透明性を有する、帯電防止性ハードコート樹脂組成物が開示されている。この組成物を硬化させることによって、耐摩耗性が良好で、透明性に優れた帯電防止能を基材に付与することができることが記載されている。
特許文献2は、イソシアヌレート環構造を有する化合物を含む組成物の硬化物を開示しているが、粒子は用いられていない。膜厚を大きくすることで、硬度を発現させている。また、導電性粒子成分は配合されない。
特開平10−231444号公報 特開2004−141732号公報
特許文献1に開示されている帯電防止性ハードコート樹脂組成物は、耐擦傷性を改善することができるものの、例えば、繰り返し摩擦接触を受けるプリンタベルト用又はプリンタドラム用のハードコート材料として用いる場合には、その耐擦傷性は不十分であった。
また、耐擦傷性はあっても、ハードコート層の表面が鏡面のように平滑になりやすいために摺動性が不十分となり、他の部材と密着して、プリンタベルトの動きがスムーズでなくなったり、他の部材と擦れることにより音鳴りが発生し、プリンタの静粛性に悪影響を与える場合があった。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、帯電防止性を付与し、かつ優れた耐擦傷性及び摺動性を有する塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、その硬化物、特にプリンタベルト用又はプリンタドラム用ハードコート、及びそれを含む積層体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ね、イソシアヌレート系(メタ)アクリレート化合物を主体とする樹脂成分を用い、さらに、導電性粒子としてアンチモン酸亜鉛粒子を用いることにより、導電性付与材料として広く用いられているアンチモンドープ酸化錫(ATO)粒子よりも少ない添加量で帯電防止性を付与でき、かつ、優れた耐擦傷性と摺動性が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の硬化性組成物、その硬化物及び積層体を提供できる。
[1]溶剤を除く組成物全量に対して、下記成分
(A)アンチモン酸亜鉛粒子 5〜50質量%、
(B)下記式(1)
Figure 2007031625
[式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、一価の有機基であって、R〜Rのうち少なくとも2つが、−ROCOCR=CHであり、Rは、炭素数2〜8の2価の有機基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。]で示される化合物 10〜50質量%、
(C)前記(A)及び(B)成分以外の多官能(メタ)アクリレート化合物 10〜70質量%、及び
(D)動的光散乱法で測定した数平均粒径が0.1〜3μmである有機微粒子若しくは無機微粒子 0.2〜9質量%
を含有することを特徴とする硬化性組成物。
[2]前記(B)成分が、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレートであることを特徴とする上記[1]に記載の硬化性組成物。
[3]前記(D)成分の微粒子が、炭化水素系単量体、(メタ)アクリル酸エステル誘導体、又はアクリルアミド系誘導体を含む2種以上の単量体の共重合体からなる粒子である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
[4]前記(B)成分を、組成物中の(A)成分以外の全(メタ)アクリレート成分100質量%に対して20質量%以上含有することを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化膜。
[6]プリンタベルト用ハードコート膜であることを特徴とする上記[5]に記載の硬化膜。
[7]プリンタドラム用ハードコート膜であることを特徴とする上記[5]に記載の硬化膜。
[8]上記[5]に記載の硬化膜を含むことを特徴とする積層体。
本発明によれば、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、耐擦傷性に優れるとともに、帯電防止性及び摺動性に優れる塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、その硬化物からなる硬化膜を提供することができる。
本発明によれば、繰り返し摩擦接触を受けるプリンタベルトやプリンタドラム表面に帯電防止性及び耐擦傷性に優れたハードコート層を形成できるため、プリンタベルトやプリンタドラムの長寿命化を図ることができる。また、プリンタベルトやプリンタドラムから発生する音鳴りを抑制して、プリンタ動作時の静粛性を改善することができる。
以下、本発明の硬化性組成物、その硬化物及び積層体の実施形態を具体的に説明する。
I.硬化性組成物
本発明の硬化性組成物は、(A)アンチモン酸亜鉛粒子、(B)上記式(1)で示される化合物、(C)(A)及び(B)成分以外の多官能(メタ)アクリレート化合物、及び(D)動的光散乱法で測定した数平均粒径が0.1〜3μmである、有機微粒子又は無機微粒子を含有することを特徴とするものである。
以下、本発明の硬化性組成物の各構成成分について具体的に説明する。
1.アンチモン酸亜鉛粒子(A)
本発明に用いられる(A)成分は、アンチモン酸亜鉛粒子(A)である。
(1)アンチモン酸亜鉛粒子(A)
本発明に用いられるアンチモン酸亜鉛粒子(A)は、導電性を付与する成分として添加されるが、得られる硬化膜の耐擦傷性を向上させることにも寄与する。
アンチモン酸亜鉛粒子のサイズは、動的散乱法によって測定した数平均粒子径が10〜100nmの範囲であることが好ましく、10〜30nmの範囲であることがより好ましい。アンチモン酸亜鉛粒子のサイズが10〜100nmの範囲であると、硬化物の耐擦傷性が良好である。
アンチモン酸亜鉛粒子(A)は、粉体状又は分散液であることが好ましい。分散液である場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
また、本発明で用いるアンチモン酸亜鉛粒子は、市販品を用いてもよく、その具体例としては、日産化学工業社製「セルナックス CX−Z210IP」(酸化亜鉛(ZnO)と五酸化アンチモン(Sb)とを結合させた複酸化物(ZnO・Sb)のゾル、酸化物濃度:20.9質量%、分散媒:イソプロパノール、数平均粒子径:158nm)、CX−Z300H、CX−Z300H−F、CX−Z401M、CX−Z401M−F、CX−Z403M、CX−Z403M−F、CX−Z410M、CX−Z410M−F、CX−Z210IP−F等が挙げられる。
アンチモン酸亜鉛粒子(A)の形状は、特に限定されないが、球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、又は不定形状であり、好ましくは、球状である。アンチモン酸亜鉛粒子(A)の比表面積(窒素を用いたBET比表面積測定法による)は、好ましくは、10〜1000m/gであり、さらに好ましくは、100〜500m/gである。これらアンチモン酸亜鉛粒子(A)の使用形態は、乾燥状態の粉末、又は水若しくは有機溶剤で分散した状態で用いることができる。例えば、分散液として当業界に知られている微粒子状のアンチモン酸亜鉛粒子の分散液を直接用いることができる。特に、硬化物に優れた透明性を要求する用途においてはアンチモン酸亜鉛粒子の分散液の利用が好ましい。
アンチモン酸亜鉛粒子(A)の硬化性組成物中における配合(含有)量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、5〜50質量%であり、5〜20質量%が好ましい。5〜50質量%であれば、耐擦傷性が良好である。
また、本発明の(A)成分としては、上記のアンチモン酸亜鉛粒子に替えて、又はアンチモン酸亜鉛粒子と併用して、ATO粒子を用いることもできる。
2.式(1)で示される化合物(B)
本発明に用いられる(B)成分は、硬化物の硬度を維持しつつカールを低減すると共に屈曲性を付与する機能を有する。また、特定の低屈折率層との積層体において耐スチールウール性を向上させる機能を有する。
本発明に用いられる(B)成分である下記式(1)で示される化合物(B)とは、重合性不飽和基を有するイソシアヌル酸誘導体である。
Figure 2007031625
[式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、一価の有機基であって、R〜Rのうち少なくとも2つが、−ROCOCR=CHであり、Rは、炭素数2〜8の2価の有機基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。]
(B)成分は分子中に重合性不飽和基を2個以上有することが好ましく、重合性不飽和基は特に限定されないが、(メタ)アクリレート基であることが好ましい。重合性不飽和基を2個以上有することで硬化膜中の架橋密度が高まり、硬度の低下を少なくすることができる。
本発明において用いることができる(B)成分の具体例としては、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートモノ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートモノ(メタ)アクリレート、及びこれらの出発アルコール類へのエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド、又はカプロラクタム付加物の(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらのうち、イソシアヌル酸EO(エチレンオキシド)変性トリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
化合物(B)として好適に使用できる市販品としては、アロニックス M−313、M−315、M−325、M−326、M−327(以上、東亜合成化学工業(株)製)、SR−368(サートマー社製)等を挙げることができる。上記の化合物は、1種単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明に用いられる化合物(B)の含有量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、10〜50質量%、好ましくは、20〜50質量%、より好ましくは、35〜50質量%である。10質量%未満であると、硬化膜のカール性が大きくなることがあり、50質量%を超えると、硬化膜の硬度が不十分なことがある。
また、化合物(B)の含有量は、本発明の組成物中の(A)成分以外の全(メタ)アクリレート成分100質量%に対して20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であればさらに好ましく、60質量%以上であれば特に好ましい。20質量%以上であることにより、硬化膜の反りを効果的に低減することができる。ここで、(A)成分以外の全(メタ)アクリレート成分とは、不溶性の粒子である(A)成分を除いた全可溶性成分中に含まれる(メタ)アクリレート成分をいう。具体的には、(B)成分と、後述する(C)成分の合計量を意味する。
3.(A)及び(B)成分以外の多官能(メタ)アクリレート化合物(C)
化合物(C)は特に硬化膜の屈曲性を上げるために好適に用いられる。
(C)成分としての多官能(メタ)アクリレート化合物は、分子内に2以上の重合性不飽和基を含む(メタ)アクリレートモノマーである。多官能(メタ)アクリレート化合物は、硬化膜の硬化性、硬度を上げるために好適に用いられる。ここで多官能とは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することをいい、製膜性、硬度の観点から、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物が好ましく、5官能以上の(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましい。
多官能(メタ)アクリレート化合物の好ましい具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
多官能(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、KAYARAD DPHA、PET−30(日本化薬(株)製)、アロニックス M−305、M−400、M−402、M−404(東亞合成化学工業(株)製)、NKエステル A−TMM−3LM−N(新中村化学工業(株)製)等を挙げることができる。
本発明に用いられる(C)成分の含有量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、10〜70質量%であり、さらに好ましくは、20〜60質量%である。70質量%以上であると、硬化膜の屈曲性、カール性が劣ることがあり、10%未満であると硬化膜の硬度が劣ることがある。
4.動的光散乱法で測定した数平均粒径が0.1〜3μmである、有機微粒子又は無機微粒子(D)
本発明に用いられる(D)成分は、組成物を硬化して得られる硬化膜に摺動性を付与する。(D)成分を配合することにより、プリンタベルトやプリンタドラムから発生する雑音が低減されるため、プリンタの静粛性が改善される。
ここで、摺動性とは、硬化膜の滑りやすさをいう。硬化膜表面の凹凸が大きすぎると摩擦抵抗が増大するために摺動性が低下し、一方、硬化膜表面の凹凸が鏡面のように小さすぎても鏡面どうしを貼り合わせた場合のように摺動性は低下する。本発明の(D)成分は、硬化膜表面に適度な凹凸を付与することにより硬化膜の摺動性を改善する。
(D)成分は、上記の数平均粒径を有する粒子であれば、特に限定されず、有機微粒子又は無機微粒子を用いることができる。有機微粒子(D)としては、有機ポリマーからなる粒子であれば特に限定されないが、架橋性モノマーを共重合させた有機微粒子が硬度に優れるため硬化膜の摺動性をより改善できるため好ましい。架橋性モノマーと共重合させる他のモノマーとしては、芳香族ビニル化合物やジエン系単量体を挙げることができる。
好ましい架橋性モノマーの具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルエチルベンゼン、ジビニルナフタレン等の炭化水素系単量体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3―ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系誘導体、その他、1分子に2個以上の重合性二重結合を有する単量体が上げられる。これらモノマーは1種単独で用いても、2種以上併用して用いてもよい。これらのうちで好ましいのは、ジビニルベンゼンである。
好ましい芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α―メチルスチレン、o−メチルスチレン、p―メチルスチレン、m―メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。また、オレフィンとしては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。これらモノマーは1種単独で用いても、2種以上併用して用いてもよい。これらのうちで好ましいのは、スチレンである。
好ましいジエン系単量体の具体例としては、1,3−ブタジエン、1,2−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ペンタジエン、イソプレン、1,2−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,2−ヘプタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、2,3−ヘプタジエン、2,5−ヘプタジエン、3,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等のほか、分岐した炭素数4〜7の各種脂肪族あるいは脂環族ジエン類が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。これらのうち特に好ましいのは、1,3−ブタジエン、イソプレンである。
このような架橋性モノマーを共重合させた有機微粒子の好ましい具体例としては、ジビニルベンゼンを含む2種以上の単量体の共重合体からなる粒子が挙げられ、なかでもジビニルベンゼンとスチレンの共重合体からなる粒子等が好ましい。
このような有機微粒子の市販品として、三菱レイヨン(株)製W−450A、日本化成(株)製有機フィラー、有機フィラーJT、根上工業(株)製J−4PY、綜研化学(株)製MX150、MX180、SX130H、日進化学(株)製R−170S、積水化学(株)製XX−49L等が挙げられる。
また無機微粒子(D)の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、セリア、シリカ、ジルコニア、アルミナ、酸化チタン等の有機溶媒に不溶で導電性を持たない無機粒子が好ましい。
無機微粒子の市販品として、丸尾ケミカル(株)のカルテックス5、第一稀元素製(株)製の高純度微粒子酸化セリウム、酸化セリウムHS等が挙げられる。
(D)成分の有機微粒子の数平均粒径は、0.1〜3μmであることが必要であり、好ましくは、0.3〜2μmである。数平均粒径がこの範囲にあることにより、硬化膜の摺動性を効果的に改善することができる。
本発明に用いられる(D)成分の含有量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、0.2〜9質量%であり、好ましくは、1〜5質量%である。9質量%を超えると、硬化膜の耐擦傷性が悪化しまた塗膜上に過剰の微粒子が析出し外観を悪くする場合があり、0.2質量%未満であると十分な摺動性を得ることができないことがある。
5.ラジカル重合開始剤(E)
本発明の組成物においては、必要に応じて、(E)ラジカル重合開始剤を配合することができる。
このようなラジカル重合開始剤(E)としては、例えば、熱的に活性ラジカル種を発生させる化合物等(熱重合開始剤)、及び放射線(光)照射により活性ラジカル種を発生させる化合物等(放射線(光)重合開始剤)を挙げることができる。
放射線(光)重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであれば特に制限はなく、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
放射線(光)重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 商品名:イルガキュア 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア 1116、1173、BASF社製 商品名:ルシリン TPO、UCB社製 商品名:ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製 商品名:エザキュアー KIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等を挙げることができる。
本発明において必要に応じて用いられるラジカル重合開始剤(E)の配合量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、0.01〜10質量%配合することが好ましく、0.1〜5質量%が、さらに好ましい。0.01質量%未満であると、硬化物としたときの硬度が不十分となることがあり、10質量%を超えると、硬化物としたときに内部(下層)まで硬化しないことがある。
本発明の組成物を硬化させる場合、必要に応じて光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用することができる。
好ましい熱重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物を挙げることができ、具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
6.有機溶剤(F)
本発明の組成物は、塗膜の厚さを調節するために、(F)有機溶剤で希釈して用いることができる。例えば、反射防止膜や被覆材として用いる場合の粘度は、通常0.1〜50,000mPa・秒/25℃であり、好ましくは、0.5〜10,000mPa・秒/25℃である。
(F)有機溶剤としては、特に限定されないが、(B)成分の化合物は結晶性が高いため、高沸点溶剤を用いると本発明の組成物を均一に塗工することができるため好ましい。(E)有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン等の高沸点溶剤が好ましい。
本発明の組成物中の(F)溶剤の配合量は、通常、全組成物中の30〜80質量%であり、40〜80質量%が好ましい。30〜80質量%の範囲内であれば、塗工性が良好である。
7.その他の成分(G)
本発明の硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料、滑剤等を適宜配合できる。
8.組成物の製造方法
本発明の組成物は、次のようにして製造する。
アンチモン酸亜鉛粒子分散液((A)成分)、放射線(光)重合開始剤((E)成分)、式(1)で示される化合物((B)成分)、多官能(メタ)アクリレート((C)成分)、有機又は無機の微粒子((D)成分)を攪拌機付きの反応容器に入れ35℃〜45℃で2時間攪拌し本発明の組成物とする。
溶剤を最初のアンチモン酸亜鉛粒子分散液に使用した溶剤(α)と異なる種類の溶剤(β)に置換する場合は、アンチモン酸亜鉛粒子分散液の溶剤(α)の質量に対して1.3倍の溶剤(β)も加え同様の条件で攪拌する。次にこの組成液を、ロータリーエバポレーターを用いて溶剤(β)を加える前の質量まで減圧濃縮し本発明の組成物とする。
9.組成物の塗布(コーティング)方法
本発明の硬化性組成物はハードコートや被覆材の用途に好適であり、特にレーザープリンタベルトやプリンタドラムのハードコートとして有用である。被覆の対象となる基材としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。また、プリンタベルトや転写ドラムの素材(被覆の対象となる基材)としては、熱可塑性樹脂材料が好適に用いられる。例えばポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン−1、ポリスチレン、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルニトリル、熱可塑性ポリイミド系材料、ポリエーテルエーテルケトン、サーモトロピック液晶ポリマー、ポリアミド酸、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等の熱可塑性樹脂材料及びこれらの混合樹脂、またその混合樹脂により形成された熱可塑性エラストマーが挙げられる。一方、感光ドラムの表面素材(被覆の対象となる基材)としては、硫化カドミウム、セレン化合物、ポリシラン等が好適に用いられる。
これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよく、コーティング方法は、通常のコーティング方法、例えばディッピングコート、スプレーコート、フローコート、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができる。これらコーティングにおける塗膜の厚さは、乾燥、硬化後、通常0.1〜400μmであり、好ましくは、1〜200μmである。
10.組成物の硬化方法
本発明の硬化性組成物は、熱及び/又は放射線(光)によって硬化させることができる。熱による場合、その熱源としては、例えば、電気ヒーター、赤外線ランプ、熱風等を用いることができる。放射線(光)による場合、その線源としては、組成物をコーティング後短時間で硬化させることができるものである限り特に制限はないが、例えば、赤外線の線源として、ランプ、抵抗加熱板、レーザー等を、また可視光線の線源として、日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また紫外線の線源として、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また電子線の線源として、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。また、アルファ線、ベータ線及びガンマ線の線源として、例えば、Co60等の核***物質を挙げることができ、ガンマ線については加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は1種単独で又は2種以上を同時に又は一定期間をおいて照射することができる。
本発明の組成物の硬化反応は、空気雰囲気下においても窒素等の嫌気的条件下においても行うことができ、嫌気的条件下で硬化せしめた場合においても、その硬化物は優れた耐擦傷性を有する。
II.硬化膜
本発明の硬化膜は、前記硬化性組成物を種々の基材、例えば、プラスチック基材にコーティングして硬化させることにより得ることができる。具体的には、組成物をコーティングし、好ましくは、0〜200℃で揮発成分を乾燥させた後、上述の、熱及び/又は放射線で硬化処理を行うことにより被覆成形体として得ることができる。熱による場合の好ましい硬化条件は20〜150℃であり、10秒〜24時間の範囲内で行われる。放射線による場合、紫外線又は電子線を用いることが好ましい。そのような場合、好ましい紫外線の照射光量は0.01〜10J/cmであり、より好ましくは、0.1〜2J/cmである。また、好ましい電子線の照射条件は、加圧電圧は10〜300KV、電子密度は0.02〜0.30mA/cmであり、電子線照射量は1〜10Mradである。
本発明の硬化膜は、帯電防止性を有するとともに、耐擦傷性並びに基材や隣接層との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る特徴を有しているので、レーザープリンタベルト用又はプリンタドラム用ハードコート等の帯電防止性を要求される用途に特に好適に用いられる。
III.積層体
本発明の硬化膜は、通常、ハードコート層として基材上に積層されて用いられるものであり、帯電防止性及び耐擦傷性を要求される用途、特にプリンタベルト用又はプリンタドラム用のハードコートとして好適に用いられる。ここで、プリンタベルトとは、図1に示されるような転写(樹脂)ベルト1や、図4に示されるような吸着搬送(樹脂)ベルト21等である。プリンタドラムとは、図1〜図3に示される感光ドラム7や図2に示される転写ドラムである。
基材上に上記本発明の硬化性組成物を適用し、UV硬化させた本発明の積層体は、耐擦傷性に優れる。本発明の積層体又は硬化膜が耐擦傷性に優れる理由は、(B)成分(重合性不飽和基を有するイソシアヌル酸誘導体)が環構造を有し、かつ結晶性であるため、硬度が低下しないためと推測される。
さらに、(B)成分(重合性不飽和基を有するイソシアヌル酸誘導体)を配合することにより、基材との密着性が向上し、耐擦傷性が向上するものと推測される。
尚、本発明の積層体には、必要に応じて、本発明の硬化膜以外の層を含んでいてもよい。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に限定されるものではない。また、実施例中、各成分の配合量は特に記載のない限り、「部」は質量部を、「%」は質量%を意味している。
[製造例1]
シリコーン化合物((G)成分)の合成
反応容器にα−[3−(2’−ヒドロキシメトキシ)プロピル]ポリメチルシロキサン(東レダウ製FM0411)を80部導入する。その後、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルクレゾール、フェノチアジンを1部以下、2,4−ジイソシアナトトルエンを10部投入し液温を15℃〜25℃に保つ。その後触媒として、ジブチルスズジラウレートを1部以下導入し、液温を35℃〜45℃に上昇させる。1時間の反応後2−ヒドロキシエチルアセテートを10部導入し液温を50℃〜60℃に保つ。2時間後イソシアナート含量を測定し、0.1部以下であることを確認して目的とする反応性シリコーンを得た。
実施例1
撹拌装置を備えた反応容器に、アンチモン酸亜鉛粒子分散液(セルナックスCX−Z210IP、日産化学工業(株)製アンチモン酸亜鉛複酸化物、分散媒:イソプロパノール、固形分濃度:21質量%)41.5部(アンチモン酸亜鉛粒子として8.71部)とメチルエチルケトン83.71部、メチルイソブチルケトン139.64部を加えて撹拌し、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸アクリレート(東亞合成(株)社製、アロニックスM−315)32.74部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート49.28部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製光重合開始剤、Irgacure184)2.07部、2−メチル−1−[4−(メチルチオフェニル)]−2−モルホリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製光重合開始剤、Irgacure907)2.07部、メトキシフェノール(和光純薬社製重合禁止剤)0.01部、製造例1で製造したシリコーン化合物0.13部及び有機微粒子1(ジビニルベンゼンとスチレンの共重合体からなる粒子(SX8743(C)−03、数平均粒径0.3μm:JSR(株)製))5.00部をさらに加えて、常温で60分間撹拌して均一な組成物を得た。この組成物をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、28%であった。
実施例2〜8、及び比較例1〜5
表1に記載の成分を表1に記載の割合で配合した以外は実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
<硬化膜の作製>
易接着PET基材(A4300、東洋紡績株式会社)上にアプリケータバー(#20)を用いて表1に示す例毎に硬化性組成物を塗布した。塗布膜厚は、硬化後に5μmとなるように調整した。これを80℃で3分間静置して乾燥を行った後、高圧水銀ランプを用いてUV照射し、硬化膜を得た。UVの照度は1200mJ/cmとした。
<硬化膜の特性>
(1)表面抵抗(Ω/□)
硬化膜の表面抵抗(Ω/□)を、ハイ・レジスタンス・メーター(アジレント・テクノロジー(株)製 Agilent4339B)、及びレジスティビティ・セル16008B(アジレント・テクノロジー(株)製)を用い、印加電圧100Vの条件で測定した。得られた結果を表1に示す。
(2)摺動性
硬化膜2枚を手で持ち両者の硬化膜面を手で擦り合わせ、摺動性を評価した。摺動性は2枚の硬化膜をこすり合わせたときの滑り性の良さで判断を行った。2枚をこすり合わせたとき硬化膜面が張り付かないものを摺動性が良いと評価し「○」で示し、張り付くものを摺動性が悪いと評価し「×」で示した。
(3)耐擦傷性
スチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール(株)社製)を学振型耐磨耗試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重500gの条件で10回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で確認した。硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められないものを「○」、硬化膜の一部に剥離が生じ、又は硬化膜の表面に筋状の傷が発生したものを「×」と評価した。
Figure 2007031625
アンチモン酸亜鉛粒子:セルナックスCX−Z210IP、日産化学工業(株)製アンチモン酸亜鉛複酸化物、分散媒:イソプロパノール、固形分濃度:21質量%
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸アクリレート:東亞合成(株)社製、アロニックスM−315
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製光重合開始剤、Irgacure184
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製光重合開始剤、Irgacure907
メトキシフェノール:和光純薬社製重合禁止剤
有機微粒子1:ジビニルベンゼンとスチレンの共重合体からなる粒子(SX8743(C)−03、数平均粒径0.3μm:JSR(株)製)
有機微粒子2:ジビニルベンゼンとスチレンの共重合体からなる粒子(SX8705(P)−01、数平均粒径1.8μm:JSR(株)製)
有機微粒子3:アクリル系共重合体からなる粒子(AC−3355、数平均粒径0.5μm:ガンツ化成(株)製)
有機微粒子4:アクリル系共重合体からなる粒子(W−450A、数平均粒径0.5μ、:三菱レイヨン(株)製
無機微粒子1:炭酸カルシウムからなる粒子(カルテックス5、数平均粒径1.0μm:丸尾カルシウム(株))
表1の結果から、実施例の硬化膜は、導電性を付与する成分(アンチモン酸亜鉛粒子)の添加量が少ないが、表面抵抗値が低く、かつ、耐擦傷性と摺動性に優れることがわかる。これに対し、(D)成分の有機微粒子を添加しなかった比較例1では、摺動性が劣ることがわかる。また(D)成分の粒子を0.1質量%添加した比較例2,3では添加した有機微粒子が少なすぎるため、摺動性劣ることがわかる。さらに(D)成分の有機微粒子を10質量%添加した比較例4、5では、摺動性は良いが添加した有機微粒子量が多すぎるため硬化膜が脆くなり耐擦傷性が悪いことがわかる。
本発明の硬化性組成物、その硬化物は、帯電防止性及び耐擦傷性を要求される用途、特にレーザープリンタベルト用又はプリンタドラム用ハードコートとして有用である。
図1は、中間転写ベルト方式のレーザープリンタの構造の概要を示す図である。 図2は、転写ドラム方式のレーザープリンタの構造の概要を示す図である。 図3は、タンデム方式のレーザープリンタの構造の概要を示す図である。 図4は、インクジェットプリンタの構造の概要を示す図である。
符号の説明
1 転写(樹脂)ベルト
2 転写紙
3 トナー
4 現像器
5 光書込装置
6 帯電チャージャー
7 感光ドラム
8 定着装置
9 駆動ローラ
10 従動ローラ
11 転写帯電器
21 吸着搬送(樹脂)ベルト
22、22a 記録紙
23 給送部
24 給送ローラ
25 搬送ローラ
26 従動ローラ
27 加圧ローラ
28 ピンチローラ
29 駆動ローラ
30 ブラテン
31 帯電ブラシ
32 記録ヘッド
33 拍車
34 搬出ローラ
35 排出トレイ
36 転写ドラム
37 レーザー露光ユニット
38 ロータリー現像器

Claims (8)

  1. 溶剤を除く組成物全量に対して、下記成分
    (A)アンチモン酸亜鉛粒子 5〜50質量%、
    (B)下記式(1)
    Figure 2007031625
    [式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、一価の有機基であって、R〜Rのうち少なくとも2つが、−ROCOCR=CHであり、Rは、炭素数2〜8の2価の有機基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。]で示される化合物 10〜50質量%、
    (C)前記(A)及び(B)成分以外の多官能(メタ)アクリレート化合物 10〜70質量%、及び
    (D)動的光散乱法で測定した数平均粒径が0.1〜3μmである、有機微粒子若しくは無機微粒子 0.2〜9質量%
    を含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. 前記(B)成分が、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレートであることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記(D)成分の微粒子が、炭化水素系単量体、(メタ)アクリル酸エステル誘導体、又はアクリルアミド系誘導体を含む2種以上の単量体の共重合体からなる粒子である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記(B)成分を、組成物中の(A)成分以外の全(メタ)アクリレート成分100質量%に対して20質量%以上含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化膜。
  6. プリンタベルト用ハードコート膜であることを特徴とする請求項5に記載の硬化膜。
  7. プリンタドラム用ハードコート膜であることを特徴とする請求項5に記載の硬化膜。
  8. 請求項5に記載の硬化膜を含むことを特徴とする積層体。

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