JP2007009004A - アルミニウム用熱間圧延油 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウムの熱間圧延に用いる熱間圧延油であり、基油及び油性剤を含有する潤滑油、アミン誘導体からなる第1添加剤、及び第1添加剤とは異なる種類のアミン誘導体、アルキルスルホン酸塩、及び数平均分子量120以上1000未満の含酸素添加物から選ばれる1種以上からなる第2添加剤とよりなる。第1添加剤と第2添加剤との合計量は、潤滑油100重量部に対し0.01〜15.0重量部である。熱間圧延油を水に3〜15重量%分散させてエマルション状態として、熱間圧延機の圧延ロール又は/及びアルミニウム板に供給し、熱間圧延を行う。
【選択図】なし
Description
熱間圧延油としては、一般に、鉱油を基油とし、油性剤を含有するものが用いられてきた。
また、鉱油を基油とした熱間圧延油よりも潤滑性に優れ、熱間圧延中に発生するアルミニウム磨耗粉を容易に除去できる潤滑油として、天然油脂及び/又は合成エステルを主要成分とする熱間圧延油が開発されている(特許文献1〜5)。
そして、アルミニウム製品の生産性、品質の向上には、アルミニウムの熱間圧延における熱間圧延油の潤滑性を向上させることが有効である。
熱間圧延油の潤滑性を向上させるために、添加する油性剤の増量や、油性効果の高い油性剤の添加、熱間圧延油の粘度増加及び、エマルションの油分濃度の増加等が実施されてきた。
また、熱間圧延においては、圧延ロールの表面にロールコーティングが必ず生ずるが、そのロールコーティングが剥がれやすくなる場合がある。剥がれやすいロールコーティングが形成されると、熱間圧延時にはがれた微小のロールコーティングが、アルミニウム材料の表面に押し込まれ、ピックアップインクルージョンという欠陥が発生するという問題があった。この欠陥は、後工程の冷間圧延でも消失することがなく、製品の表面品質に悪影響を及ぼす。
また、熱によって熱間圧延油が蒸散し難くなることや、ロールバイト内への導入油量が多くなることで、熱間圧延後のアルミニウム材料の表面に残留する熱間圧延油の量が多くなるために、コイル状態で放置した際に、板間ですべりが生じてコイルつぶれが発生するという問題があった。
それ故、上記従来技術によって熱間圧延油の潤滑性を向上させるだけでは、コストの増大につながり、また、生産能率に多大な影響を及ぼすおそれがある。
上記第1添加剤は1種類のアミン誘導体からなり、
上記第2添加剤は、上記第1添加剤とは異なるアミン誘導体、アルキルスルホン酸塩、及び数平均分子量120以上1000未満の含酸素添加物から選ばれる一種以上からなり、
上記第1添加剤と上記第2添加剤との合計量は、上記潤滑油100重量部に対して0.01〜15.0重量部であることを特徴とするアルミニウム用熱間圧延油にある(請求項1)。
そのため、上記熱間圧延油は、次のような優れた圧延潤滑性を発揮することができる。
即ち、上記熱間圧延油は、圧延ロールの表面に残存しにくくなり、噛み込み不良の発生を抑制することができる。
また、上記熱間圧延油はアルミニウム材料の板面に残存しにくくなるため、熱間圧延におけるコイル潰れの発生を抑制することができる。
また、上記熱間圧延油は、圧延ロールの表面に均一で緻密なロールコーティングを形成しやすくなり、熱間圧延における板表面へのピックアップインクルージョンの発生を抑制することができる。
上記アルミニウム用熱間圧延油は、水に3〜15重量部分散させてエマルション状態にして、熱間圧延機の圧延ロール又は/及び上記アルミニウム板に供給することを特徴とするアルミニウムの熱間圧延方法にある(請求項4)。
即ち、脂肪族アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、カプリルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、牛脂アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジオクチルアミン、ブチルオクチルアミン、ジステアリルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベへニルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、トリオクチルアミン等がある。
また、アルキレンオキシドの付加モル数が6モルを超える場合には、基油への溶解性が悪くなるおそれがあり、また、エマルションへの乳化性に悪影響を及ぼすおそれがある。より好ましくは、アルキレンオキシドの付加モル数は1〜4モルである。
この場合には、上記熱間圧延油の圧延潤滑性をより向上させることができる。
具体的には、例えば、上記第1添加剤としてトリエタノールアミンを用いた場合には、上記第2添加剤としては、トリエタノールアミン以外のアルカノールアミン、脂肪族アミン、及び芳香族アミンなどのアミン誘導体、上記アルキルスルホン酸塩、上記含酸素添加物から選ばれる1種以上を用いることができる。
上記含酸素化合物としては、具体的には、例えば、水酸基を3〜6個有する、数平均分子量200以上1000未満の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物及びそのハイドロカルビルエーテル、数平均分子量120以上1000未満のポリアルキレングリコール及びそのハイドロカルビルエーテル、炭素数2〜10の2価アルコール等がある。
上記含酸素化合物としては、1種又は、異なる構造を有する2種以上を用いることができる。
上記多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物及びそのハイドロカルビルエーテルを構成する多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールアルカン、トリメチロールアルカンの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール、イジリトール、タリトール、ズルシトール、アリトール、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース等がある。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシ−1−メチルプロパン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシヘキサン等がある。
上記アルキレンオキシド等付加物は、例えば、1種類のアルキレンオキシド等の単独重合、2種類以上のアルキレンオキシド等のランダム共重合、ブロック共重合又は、ランダム/ブロック共重合等がある。
また、水酸基を3〜6個有する多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加させる際、付加される水酸基は、全ての水酸基であっても、一部の水酸基であってもよい。
ハイドロカルビル基は、炭素数1〜24の炭化水素基である。
炭化水素基としては、たとえば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等がある。
炭素数1〜24のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘプチル基、直鎖又は分枝のオクチル基、直鎖又は分枝のノニル基、直鎖又は分枝のデシル基、直鎖又は分枝のウンデシル基、直鎖又は分枝のドデシル基、直鎖又は分枝のトリデシル基、直鎖又は分枝のテトラデシル基、直鎖又は分枝のペンタデシル基、直鎖又は分枝のヘキサデシル基、直鎖又は分枝のヘプタデシル基、直鎖又は分枝のオクタデシル基、直鎖又は分枝のノナデシル基、直鎖又は分枝のイコシル基、直鎖又は分枝のヘンイコシル基、直鎖又は分枝のドコシル基、直鎖又は分枝のトリコシル基、直鎖又は分枝のテトライコシル基等がある。
このようなアルキレンオキサイドとしては、上述の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物及びそのハイドロカルビルエーテルを構成するアルキレンオキサイドとして列挙したものと同様のもの等がある。
また、上記ポリアルキレングリコールのハイドロカルビルエーテルとしては、ポリアルキレングリコールの末端水酸基の一部又は全てをハイドロカルビルエーテル化させたものを用いることができる。
ハイドロカルビル基としては、例えば、上述の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物及びそのハイドロカルビルエーテルを構成するハイドロカルビル基として列挙した各基等がある。
このような2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール等がある。
上記潤滑油は、鉱油よりなる基油と、脂肪酸、合成エステル、又は天然油脂の少なくとも1種よりなる上記油性剤と、脂肪酸のアミン石鹸、スルフォン酸ソーダ、又はポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤の少なくとも1種よりなる乳化剤とを含有していることが好ましい(請求項3)。
次に、上記油性剤としては、上記のごとく、例えば、脂肪酸、合成エステル、及び天然油脂等がある。
上記脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸等がある。
上記合成エステルとしては、例えば、ネオペンチルグリコールエステル、トリメチロールプロパンエステル、及びペンタエリスリトールエステル等がある。
上記天然油脂としては、例えば、パーム油、豚脂、牛脂、及びひまし油等がある。
上記スルフォン酸ソーダとしては、例えば、ジオクチルスルホこはく酸ナトリウム、オクチルスルホこはく酸ジナトリウム、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等がある。
上記ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレントリメチロールプロパントリラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールトリラウリン酸エステル、及びポリオキシエチレンオレイルエーテル等がある。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジtert−ブチル−P−クレゾール等のフェノール系化合物、フェニル−α−ナフチルアミン等の芳香族アミン、ソルビタンモノオレート等の多価アルコールの部分エステル、リン酸エステル及びその誘導体等がある。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等がある。
消泡剤としては、例えば、シリコン系のものがある。
上記熱間圧延油の水への分散割合が3重量%未満の場合には、圧延ロールへのプレートアウト(離水展着)量が減少するおそれがあり、一方、15重量%以上の場合には、冷却性が低下し、潤滑性の向上効果が得られず、ムダに製造コストを増大させてしまうおそれがある。
次に、本発明の実施例にかかるアルミニウム用の熱間圧延油について説明する。本例においては、後述の表1に示すごとく、組成の異なる複数の熱間圧延油(試料E1〜試料E11)を作製する。
本例の熱間圧延油(試料E1〜試料E11)は、基油及び油性剤を含有する潤滑油と、第1添加剤と、第2添加剤とを含有する。第1添加剤は1種類のアミン誘導体からなり、第2添加剤は、第1添加剤とは異なる種類のアミン誘導体、アルキルスルホン酸塩、及び数平均分子量120以上1000未満の含酸素化合物の少なくとも1種以上からなる。第1添加剤と第2添加剤との合計量は、上記潤滑油100重量部に対して0.01〜15.0重量部である。
各試料(試料E1〜試料E11)は、第2添加剤の種類や量を変えて作製したものである。試料E1〜E11の配合組成を後述の表1に示す。
試料C1は、第2添加剤を用いずに作製した点を除いては、上記試料E1〜E11と同様に作製したものである。
また、試料C2〜C6は、試料E1〜E11とは、第2添加剤の量を変えて作製したものである。
各資料C1〜試料C6の配合組成を後述の表2に示す。
熱間圧延は、各試料の熱間圧延油をそれぞれ水に分散させて油分濃度10vol%のエマルション状態にし、この熱間圧延油のエマルションを熱間圧延機の圧延ロール又は/及びアルミニウム板に供給することにより行う。
ロール径155mm、ロール表面粗度1.0μmの圧延ロールを有する圧延機を用いて、圧延速度34m/min、板材温度450℃という条件でアルミニウム材の熱間圧延を10回行った。このとき、各試料の熱間圧延油(エマルション状態)を圧延機のロール及びアルミニウム材に供給した。アルミニウム材としては、JISA−5182F(幅40mm、長さ450mm、厚さ5.0mm)を用いた。
Claims (4)
- 少なくとも、基油及び油性剤を含有する潤滑油と、第1添加剤と、第2添加剤とを含有するアルミニウム用の熱間圧延油において、
上記第1添加剤は1種類のアミン誘導体からなり、
上記第2添加剤は、上記第1添加剤とは異なるアミン誘導体、アルキルスルホン酸塩、及び数平均分子量120以上1000未満の含酸素添加物から選ばれる一種以上からなり、
上記第1添加剤と上記第2添加剤との合計量は、上記潤滑油100重量部に対して0.01〜15.0重量部であることを特徴とするアルミニウム用熱間圧延油。 - 請求項1において、上記第1添加剤としての上記アミン誘導体は、脂肪族アミン、アルカノールアミン、脂肪族ポリアミン、芳香族アミン、脂環式アミン、複素環アミン、又はそれらのアルキレンオキシド付加物であり、上記第2添加剤としての上記アミン誘導体は、脂肪族アミン、アルカノールアミン、脂肪族ポリアミン、芳香族アミン、脂環式アミン、複素環アミン、及びそれらのアルキレンオキシド付加物から選ばれる1種以上であることを特徴とするアルミニウム用熱間圧延油。
- 請求項1又は2において、上記潤滑油は、鉱油よりなる基油と、脂肪酸、合成エステル、又は天然油脂の少なくとも1種よりなる上記油性剤と、脂肪酸のアミン石鹸、スルフォン酸ソーダ、又はポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤の少なくとも1種よりなる乳化剤とを含有していることを特徴とするアルミニウム用熱間圧延油。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム用熱間圧延油を用いてアルミニウム板の熱間圧延を行う方法であって、
上記アルミニウム用熱間圧延油は、水に3〜15重量%分散させてエマルション状態にして、熱間圧延機の圧延ロール又は/及び上記アルミニウム板に供給することを特徴とするアルミニウムの熱間圧延方法。
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JP2011252100A (ja) | プレス用潤滑油及びそれを用いたプレコートアルミニウム合金板のプレス方法 |
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