JP2007004065A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ブレードニップ2nよりも感光体表面移動方向上流側に、クリーニングブラシ21を備え、ブレードニップ2nにトナーが堆積することを防止するトナー堆積防止手段として、感光体ドラム1を表面通常移動方向である正規回転方向とは逆方向に表面移動させることで、ブレードニップ2nの感光体表面移動方向上流側の楔形の空間に、堆積した堆積トナーをクリーニングブラシ21がトナーを除去する位置まで運び、クリーニングブラシ21によってトナーを除去する。
【選択図】 図14
Description
金属製のクリーニングブレードは、像担持体の表面との当接部分が変形しにくいため、像担持体表面に当接するブレード先端部の加工精度が低い場合や像担持体表面の微小な凹凸がある場合には、ブレード先端部と像担持体表面との間を密着させることができない。そのため、ブレード先端部と像担持体表面との当接部分に微小な隙間が形成されてしまう。このような微小な隙間があると、その隙間を通じてトナーがすり抜け、クリーニング不良が生じやすい。
これに対し、ゴムなどの弾性材で形成されたクリーニングブレードは、像担持体表面との当接部分が像担持体表面に沿って変形するため、ブレード先端部の加工精度が多少低くても、また像担持体表面に微小な凹凸があっても、像担持体表面と密着することができる。よって、金属製のクリーニングブレードに比べて、トナーがすり抜けにくくクリーニング性能に優れている。したがって、クリーニングブレードとしては、ゴムなどの弾性材で形成されたものが広く実用化されている。このようなクリーニングブレードを用いた画像形成装置としては、特許文献1、特許文献2等に記載のものが知られている。
しかし、球形トナーは、従来の粉砕トナーをクリーニングするためのクリーニングブレードを用いて像担持体表面から除去しようとしても十分に除去することが困難であり、クリーニング不良が発生してしまうという問題を有している。
このクリーニングブレード2は、感光体ドラム1の表面移動方向Aに対して、ブレード先端部分2Aがカウンター方向となるように感光体ドラム1表面に当接している。
このときのクリーニングブレード2の感光体ドラム1に対する初期接触角度はθであり、かつ、その食込み量はdである。ここで、「初期接触角」とは、次のように定義されるものである。すなわち、感光体ドラム1の軸方向から見て、感光体ドラム1が無いとしたときにクリーニングブレード2の感光体ドラム1と対向する面(以下、単にブレード対抗面2aと言う)が位置することになる仮想の面を示す直線を仮想ブレード線Fとし、クリーニングブレード2と感光体ドラム1の表面との交点Cにおける感光体ドラム1表面部分の接線を接線Gとする。そして、この接線Gと仮想ブレード線Fとのなす角θを初期接触角と定義する。
また、クリーニングブレード2の材料としては、ゴムなどの弾性部材が用いられ、硬度(JIS−A)が65[°]以上、80[°]以下であり、反発弾性係数が20[%]以上、60[%]以下であるポリウレタンが広く用いられている。
図25は、図24に示した状態において感光体ドラム1を図中矢印Aの方向へ表面移動させたときのブレード先端部分2Aの変形状態を、感光体ドラム1軸方向から見た断面図である。図24に示した状態で感光体ドラム1が図中矢印Aの方向へ表面移動すると、感光体ドラム1表面に接触していたクリーニングブレード2のブレード対抗面2aが、感光体ドラム1表面との摩擦力によって図中矢印Aの方向へ引っ張られる。これにより、ブレード稜線部2bが移動し、最終的には、図25に示すように、ブレード稜線部2bを含むブレード先端面2cの一部が感光体ドラム1表面に接触した状態となる。この状態を「スティック状態」という。
このスティック状態におけるブレード稜線部2bの周囲の圧縮変形は、感光体ドラム1の表面移動中は、その圧縮変形による復元力とその当接部分の動摩擦力とが平衡状態になるところで維持される。一方、感光体ドラム1の表面移動停止中は、その圧縮変形による復元力よりも大きい当接部分の静止摩擦力によって維持される。したがって、感光体ドラム1の表面移動中に当接部分の動摩擦力が変動せず、かつ、当接部分の静止摩擦力がスティック状態におけるブレード稜線部2bの周囲の圧縮変形に対する復元力よりも大きい場合には、スティック状態が一定に維持される。
このように、スティック状態においては、感光体ドラム1表面との当接面積が小さく、かつ、圧縮弾性がクリーニングブレード2と感光体ドラム1表面との当接圧を高める向きに働くことから、図24に示した状態に比べて、その当接圧が高い状態になり、トナーのすり抜けが起きにくい。よって、トナーのすり抜けを抑制するためには、クリーニング時に安定してスティック状態を維持することが重要である。
この実験の結果、クリーニングブレード2と表面移動部材との当接部分では、ブレード長手方向において部分的に、球形トナーのすり抜けが発生することが確認された。そして、球形トナーのすり抜けが発生している部分では、スティックスリップ運動が発生していることが確認された。
この「スティックスリップ運動」とは、スティック状態時のブレード稜線部2bが位置する点をゼロ(原点)としたとき、その原点に対して感光体ドラム1表面移動方向上流側の領域で、ブレード稜線部2bが原点との距離にして8[μm]以上15[μm]以下の範囲内で往復移動する運動をいう。
本発明者らは、上述の実験を含む種々の実験を行った結果、スティックスリップ運動が開始されるのは、スティック状態のクリーニングブレード2と感光体ドラム1表面との当接部分を1個又は数個の球形トナーがすり抜けた直後であることを確認した。
感光体ドラム1の表面移動に伴って搬送されてきた球形トナーTは、ブレードニップ2nにおいて一旦はせき止められる。その後、この球形トナーTは、表面移動する感光体ドラム1の表面との接触部分に働く摩擦力を駆動源として回転し始める。そして、球形トナーTは、その回転力によりブレードニップ2nで球形トナーTと接触する部分のクリーニングブレード2にめり込み、これを変形(めり込み変形)させ、ブレードニップ2nを回転しながら進んでいく。その結果、球形トナーTは、スティック状態のブレードニップ2nをすり抜けてしまう。
ここで、めり込み変形とはクリーニングブレード2が圧縮変形した状態で、球形トナーTがブレードニップ2n部に潜り込んだときに、球形トナーTがクリーニングブレード2を押し上げて変形させるものを言う。
このとき、スリップ状態になったブレード部分Iのブレード長手方向両側部分は、図27に示すようにスティック状態が維持されて、ブレード稜線部2bの周囲が十分に圧縮変形した状態であり、この圧縮変形による復元力によって十分に当接圧が働いている。これに対して、ブレード部分Iでは、スリップ状態になっているため、ブレード稜線部2bの周囲の圧縮変形が小さく、圧縮変形による復元力が小さい状態である。したがって、スリップ状態になったブレード部分Iと感光体ドラム1表面との当接部分には十分な当接圧が働かなくなる。
このように、スティックスリップ運動が発生してしまったブレード部分では、一度に多くの球形トナーがすり抜けてしまい、クリーニング不良が発生する。
具体的には、先端角が鈍角形状のブレードと直角形状のブレードで同じ条件でクリーニング性を評価した結果、同じブレード線圧値であってもクリーニング性が異なり、先端角が鈍角形状のブレードのほうが直角形状のブレードよりも低いブレード線圧値でクリーニング可能であることがわかった。
これは、ブレードの先端角が鈍角であると直角のものに比べて、クリーニングブレード2におけるブレード稜線部2bの周囲が変形しにくい。そして、図24に示す状態からクリーニングブレード2が感光体ドラム1の表面移動方向に引っ張られ、スティック状態となるときに、先端角が鈍角である方がブレード稜線部2bの移動する量が少なくなり、感光体ドラム1と接触するブレード先端面2cの接触幅も小さくなる。これにより、感光体ドラム1との感光体表面移動方向における接触幅であるブレードニップ2nのニップ幅が小さくなり、同じブレード線圧(押圧力)であっても感光体ドラム1にかかるピーク圧力が大きくなるためである。
これは、クリーニングブレード2と感光体ドラム1との当接部の感光体ドラム1表面移動方向上流側にトナーが堆積することにより、堆積したトナーに当接する押圧力が分散され、接触幅が広いものと同じ状態となるためである。当接する押圧力が分散されるとピーク圧力が低下し、クリーニング不良が発生する。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記トナー像担持体は潜像担持体であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記トナー像担持体は中間転写体であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の画像形成装置において、上記ブレード当接部よりも上記トナー像担持体の表面移動方向上流側で該トナー像担持体の表面上の上記トナーを除去するトナー除去手段を有し、該トナー像担持体を該表面移動方向(以下、表面通常移動方向と呼ぶ)とは逆方向(以下、表面逆移動方向と呼ぶ)に表面移動させることで、該ブレード当接部の該トナー像担持体の通常表面移動方向上流に堆積した堆積トナーを該トナー除去手段が該トナーを除去する位置まで運び、該トナー除去手段によって該堆積トナーを除去する堆積トナー除去制御を行い、該トナー除去手段と該堆積トナー除去制御とによって上記トナー堆積防止手段を成すことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記堆積トナー除去制御時の上記トナー除去手段による上記トナー像担持体の表面上の上記堆積トナーの除去は、0.01[mg/cm2]以上、0.1[mg/cm2]以下の範囲で上記トナーを該トナー像担持体表面上に残留させることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4または5の画像形成装置において、上記トナー除去手段が上記トナー像担持体に回転しながら接触することにより上記トナーを除去するブラシ部材であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記ブラシ部材に電圧を印加するためのバイアス印加手段を有し、上記トナー像担持体が上記表面逆移動方向に表面移動するときに、該ブラシ部材を回転させるとともに、該バイアス印加手段により該ブラシ部材に画像形成時の上記トナーの正規の摩擦帯電特性と同極性のバイアスを印加することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記ブラシ部材に電圧を印加するためのバイアス印加手段を有し、上記トナー像担持体が上記表面逆移動方向に表面移動するときに、該ブラシ部材は回転するとともに、該バイアス印加手段により該ブラシ部材に画像形成時のトナーの正規の摩擦帯電特性と逆極性のバイアスを印加することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項6、7または8の画像形成装置において、上記ブラシ部材のブラシ長は、0.2[mm]以上、20[mm]以下であり、より好ましくは、0.5[mm]以上、10[mm]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項4、5、6、7、8または9の画像形成装置において、上記トナー像担持体が所定の回転数だけ表面移動したときに、上記堆積トナーを除去する堆積トナー除去モードとなることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項4、5、6、7、8、9または10の画像形成装置において、作像動作終了後に上記堆積トナーを除去する堆積トナー除去モードとなることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の画像形成装置において、上記先端角の角度が95[°]以上、120[°]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の画像形成装置において、上記クリーニングブレードのゴム硬度(JIS−A硬度)は65[°]以上、80[°]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13の画像形成装置において、上記クリーニングブレードの常温(24[℃]±3[℃])における反発弾性係数が30[%]以下であり、10[℃]から40[℃]までの間での変化率が350[%]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の画像形成装置において、上記トナー像担持体が静止している状態での上記クリーニングブレードが該トナー像担持体に加える線圧は、0.50[N/cm]以上であることを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15の画像形成装置において、少なくとも上記クリーニング手段と上記トナー像担持体とを一体として、装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとすることを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の画像形成装置において、上記トナー像担持体の表面を形成する表層に架橋構造を備えるバインダー樹脂を用いた保護層を設け、該バインダー樹脂はその構造中に電荷輸送材を備えることを特徴とするものである。
以下、本発明を電子写真方式の画像形成装置であるプリンタ100に適用した一つ目の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態1」という。)について説明する。
まず、実施形態1に係るプリンタ100全体の構成及び動作について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ100全体の概略構成図である。このプリンタ100は、図中矢印A方向に回転するトナー像担持体としての感光体ドラム1を備えている。感光体ドラム1は、アルミニウム基体の外周面に有機感光体からなる感光層を形成したものを用い、そのドラム表層がポリカーボネート製のもので、オイラーベルト法の測定により測定した摩擦係数μが0.3≦μ≦0.6の範囲内のものである。この感光体ドラム1の周囲には、帯電手段としての帯電装置4と、潜像形成手段としての露光装置5、現像手段としての現像装置6、転写手段としての転写装置7、クリーニング手段としてのクリーニング装置8及び除電手段としての除電装置9が配置されている。また、転写装置7により転写が行われる転写領域に対して、紙などの記録材Pが搬送される記録材搬送方向(図中矢印Bの方向)の下流側には、記録材P上のトナー像を定着させる定着手段としての定着装置(不図示)が配置されている。
クリーニングブレード2およびクリーニングブラシ21により除去されたトナーは、クリーニング装置8の内部に落下する。そして、図示しないトナー搬送機構により廃トナーとして図示しない廃トナーボトルへ搬送され、ここに蓄えられる。このようにして廃トナーボトルに蓄えられた廃トナーは、サービスマンなどにより回収される。なお、クリーニング装置8の内部に落下した転写残トナーを、リサイクルトナーとして現像装置6などに搬送し、再度現像に使用するようにしてもよい。
このような球形トナーにおいては、上述したように、粉砕トナーを感光体ドラム1表面から除去するために用いられていた従来のクリーニングブレードでは、その球形トナーを感光体ドラム1表面から十分に除去しきれず、クリーニング不良が発生するという問題がある。
そこで、本発明者らが解析を行なったところ、クリーニングブレード2により球形トナーを除去している部分は球形トナーの回転によるブレードニップ2nへの潜り込みに起因するブレード稜線部のスティックスリップ運動が全く発生していなかった。一方、クリーニング不良しているクリーニングブレード2と感光体ドラム1のブレードニップ2nでは、ほとんどの場合クリーニングブレード2のブレード稜線部2bがスティックスリップ運動していることがわかった。よって、このスティックスリップ運動を無くすことができれば、一度に多くの球形トナーがすり抜けてしまう事態の大半を防止でき、クリーニング不良の発生を抑制できる。そこで、本発明者らの鋭意研究の結果、種々のクリーニング条件のうち、クリーニングブレード2が感光体ドラム1に与える垂直抗力(ブレード線圧)がスティックスリップ運動に密接に関係することを突き止めた。また、クリーニングブレード2と感光体ドラム1で形成されるブレードニップ2nの感光体表面移動方向上流側に堆積する堆積トナーの量がクリーニング性に大きく影響していることがわかった。
クリーニングブレード2は感光体ドラム1と接触する側の稜線を形成する2つの面が成す先端角が鈍角となるように加工されており、厚み幅w1で先端エッジ部をw1×w3の幅でカットしている。w2は金属支持板3との接着部の先端からブレード稜線部2bまでのブレード自由長部分の長さである。
図4は、従来の先端を加工していないクリーニングブレード2と金属支持板3との断面図である。従来はクリーニングブレード2が感光体ドラム1と接触する部分のエッジ角度は90[°]とし、稜線精度を上げて感光体ドラム1との接触均一性を向上させるものであった。プリンタ100では、先端角を95[°]〜120[°]と鈍角形状とし、さらに、従来どおりに稜線精度を上げている。
なお、この実験には図2で説明した円形度が0.98以上となるような球形トナーを用いた。また、クリーニングブレード2の大きさは、図3及び図4を用いて説明すると、w1=3.6[mm]、w2=7.2[mm]、w3=1.8[mm]の大きさのブレードを用いた。また、感光体ドラム1は直径30[mm]の小径ドラムを使用した。また、感光体ドラム1に球形トナーを現像装置により全面付着させた状態で行っている。
図5に示すように、加工していないブレードと比べると、クリーニングブレード2の先端角を鈍角形状とすることにより食い込み量に対するブレード線圧値の増加率が大きくなる。
図6に示すように、先端角を鈍角形状に加工したブレードはブレード線圧が0.5[N/cm]以上でクリーニング可能となった。一方、加工していないブレードは、図7に示すように、0.75[N/cm]以上でクリーニングが可能となった。
このように、両者のブレードのクリーニング可能線圧値に差が生じた原因は以下のためである。
図8および図9の図中Nは垂直抗力であるブレード線圧を示し、N1はクリーニングブレード2がブレードニップ2nで感光体ドラム1表面に直接加える抗力を示し、N2はクリーニングブレード2がブレード先端面2cから堆積トナー12を介して感光体ドラム1表面に加える抗力を示している。ここでは、クリーニングブレード2を使用開始した初期の状態について検討するので、堆積トナー12は少ない状態であるので、堆積トナー12を介して感光体ドラム1に加えられる抗力N2のクリーニング性への影響は考慮しない。
一方、クリーニングブレード2の先端角を鈍角形状に加工することにより、感光体ドラム1との摩擦力による巻き込みが少なくなり、ブレードニップ2nの幅L1が小さくなる。したがって、クリーニングブレード2が感光体ドラム1に与える抗力N1のピーク圧力は大きくなり、クリーニングブレード2のスティックスリップ運動が発生せず、球形トナーを押しとめることが可能となる。
また、クリーニングブレード2の材料によってもクリーニングブレード2のスティックスリップ運動を抑制することができることがわかっている。クリーニングブレード2の硬度に関しては、高硬度にすることにより球形トナーがクリーニングブレード2に衝突したときの変形を低減し、クリーニングブレード2の感光体ドラム1への抗力の分布ムラを低減することができ感光体ドラム1との接触状態が安定化する。
この点について説明すると、図26に示すようにブレードニップ2nにおいて、一旦はせき止められた球形トナーTは、その回転力によって球形トナーと接触する部分のクリーニングブレード2をめり込み変形させながら押しのける。そして、最終的に、スティック状態のクリーニングブレード2と感光体ドラム1との当接部分をすり抜ける。
このように、クリーニングブレード2として反発弾性係数が低い材料を用いる場合、トナーのすり抜けが起きた直後のスティックスリップ運動の発生を防止することができる。
硬度が80[°]以上になるとブレード部材自身がクリープをおこし初期は高ブレード線圧となるが、時間と共にブレード線圧が低下する即ち弾性力が低下するという現象となる。
一方硬度を低くすると、食い込み量に対してブレード線圧変化が小さくなりバラツキが低減する。しかし、硬度が低い弾性体からなるクリーニングブレードを用いる場合、クリーニングするために必要なブレード線圧を得るために大きく食い込ませなくてはならない。硬度が低い上に食い込みを大きくすると感光体ドラム1との接触面積が大きくなり圧力分布が平坦となり、ピーク圧力が低下する。
これらのことからブレード硬度は65〜80[°]が適正で好適なクリーニング性能がえられる。なお、この硬度は、JIS−A規格に基づくものである。
反発弾性はクリーニングブレード2がトナーをクリーニングするときに、ブレード稜線部2bと接触しているトナーを跳ね返すなどの作用がある。これまで、非球形である粉砕トナーなどのクリーニングには、反発弾性は大きい方が跳ね返すことでクリーニング能力を高める作用をしてきた。しかし、球形トナー用いると、この跳ね返す前にトナーがブレードニップ2nのブレード下面へ潜り込み、跳ね返しによるクリーニング性の向上の作用の効果が少ないことが判ってきた。なお、反発弾性を小さくするにはポリウレタン成分のハードセグメントを多くする。
これによって、線圧を高くする構成に対して、低反発ブレードを使用することは必須となる。温度変化に対する反発弾性係数の変化を図10に示す。反発弾性係数は温度と共に高くなる傾向にある。しかし、C品の様に10[℃]で比較的高い反発弾性を有する物は40[℃]で高くなるが変化率自身は200[%]程度の変動しかない。又、B品の様に低温で小さな反発弾性でも、高温度で反発弾性係数が大きくなり変化率が600[%]に達するものもある。実験的にA品のように常温時に30[%]以下で且つ変化率が350[%]以下の物が安定的なクリーニング性能がえられた。
図11は、図3に示す先端角が鈍角形状のクリーニングブレード2を用いた場合の経時おけるクリーニング性の変化を評価した耐久実験の結果を示すグラフである。図11では、横軸が作像枚数であり、縦軸がクリーニング性の評価である。この耐久実験にはリコー製imagio NEO 352 を用い、画像面積率A4横用紙で5[%]の横帯ベタ画像を作成し、クリーニングブレード2によりクリーニングさせたときの感光体ドラム1上の残留トナーを目視で確認し、ランク評価を行った。ランク値が大きいほどクリーニング性が良好で、ランク5が完全にクリーニング可、ランク1が全面クリーニング不良発生である。
図14(a)は、クリーニングブラシ21および先端角を鈍角形状に加工したクリーニングブレード2により感光体ドラム1から球形トナーを除去し、感光体ドラム1が静止している状態である。なお、図14(a)についてクリーニングブラシ21と感光体ドラム1とが接触する部分をブラシニップ21nと呼ぶ。
クリーニングブレード2のブレードニップ2nの感光体表面移動方向上流側の楔状の空間には堆積トナー12がある量存在する状態である。この堆積トナー12の量がある値以上なったとき、もしくは感光体ドラム1が静止し、ニップ部のトナーがクリーニングブレード2から圧力を受け続け固着した状態になったとき、堆積トナー12がブレードニップ2nにおける圧力のバランスを崩す原因となりクリーニング不良が発生する。
図15は、ブレードの接離のタイミングを示すフローチャートである。このフローチャートは、ある一定回数画像形成動作を行った後にクリーニングモードを実行するものである。図15において、プリントする枚数を指定してプリントON(S1)して、プリントを実行する(S2)。このときのプリント枚数nをカウント(S3)して、積算のプリント枚数nがある一定枚数A以上(S4のYES)の場合、堆積トナー除去モードを実行する(S5)。堆積トナー除去モードが実行されると、図14を用いて説明した動作が実行される。クリーニングモードが終了したら、プリント枚数をリセット(S6)して、指定枚数プリントした場合(S7のYES)は終了する。一方、指定枚数プリントしてない場合(S7のNO)は、再びプリントを実行する。プリント枚数がある一定枚数A以下の場合(S4のNO)かつ、指定枚数プリントしたか確認していない場合(S7のNO)は、再びプリントを実行する。一方、指定枚数プリントした場合は終了(エンド)する。
T1〜T2の間は通常の画像形成時の動作であり、T2〜T6の間は堆積トナー除去モード時の動作である。画像形成動作中に堆積トナー除去モードが実行されると、正規回転方向に回転していた感光体ドラム1は図14(a)のように静止する(T2)。感光体ドラム1は静止した後に図14(b)のように正規回転方向とは逆方向に回転し始める(T3)。感光体ドラム1が逆回転することによりブラシニップ21nに到達した堆積トナー12は回転するクリーニングブラシ21により感光体ドラム1上から除去がなされる。
感光体ドラム1が所定時間dt1逆回転すると、その回転を停止して(T4)、図14(d)のように正規回転方向に回転し始める(T5)。そして、所定時間dt2、回転すると堆積トナー除去モードを終了(T6)する。
dt1>L3/v
の関係を満たす。これにより、ブレードニップ2nに堆積した堆積トナー12をブラシニップまで搬送することができる。
さらに、所定時間dt2は
dt2>L3/v
の関係を満たすことにより、クリーニングブラシ21の散らし効果により感光体ドラム1に均一に散らされたトナーをブレードニップ2nまで到達させることができる。
すなわち、堆積トナー除去モードにおいて、感光体ドラム1表面上からトナーを完全に除去すると、その後の画像形成の際には、ブレードニップ2nで感光体ドラム1表面とクリーニングブレード2とが直接接触する状態となる。感光体ドラム1表面とクリーニングブレード2とが直接接触した状態で、感光体ドラム1が回転すると摩擦力が大きい状態となり、ブレード稜線部2bが感光体ドラム1の表面移動方向下流側に巻き込まれ、クリーニングブレード2全体が折れた状態となる、いわゆる「捲れ」が生じるおそれがある。
一方、堆積トナー除去モードにおいて、感光体ドラム1表面上にトナーをある程度残しておくことにより、その後の画像形成の際には、ブレードニップ2nで感光体ドラム1とクリーニングブレード2との間にトナーが入る。トナーが間に入ることにより、ブレードニップ2nでの摩擦力を軽減し、クリーニングブレード2の捲れが生じることを防止することができる。
トナーの残留量が0.01[mg/cm2]未満の場合、ブレードニップ2nにおけるクリーニングブレード2と感光体ドラム1との摩擦力が下がらず、捲れが生じるおそれがある。また、トナーの残留量が0.1[mg/cm2]よりも多くなると、堆積トナー12により線圧を分散する抗力N2が大きくなり、クリーニングブレード2が感光体ドラム1に与える抗力N1のピーク圧力が減少してクリーニング不良が生じる。また、クリーニング不良が生じなくても、クリーニング不良が生じる状態になりやすく、頻繁に堆積トナー除去モードを実行しなくてはならなくなる。
さらに、適切な量のトナーが感光体ドラム1表面上に残留する構成としては、印加するバイアスの極性または大きさによって調節するものに限るものではない。ブラシの密度や食込み量、クリーニングブラシ21と感光体ドラム1との速度比など、クリーニングブラシ21の機械的な除去能力を調節することにより、堆積トナー除去モード時に適切な量のトナーが残留するようにしてもよい。
このようにブレードニップ2nに堆積した堆積トナー12がある所定の量以上にならないようにクリーニングブラシ21を用いて制御することによりクリーニング不良の発生を防止することができる。また、この堆積トナーの除去モードはある一定の間隔で定期的に行ってもよく、さらには画像面積率が大きく転写残トナー量が多くなるような場合は毎回行うことにより確実にクリーニング不良の発生を防止することが可能となる。また、所定の回転数だけ表面移動したときに、堆積トナー除去モードとすることで、クリーニング不良の発生を防止することができる。
クリーニングブラシ21について、ブラシ長は、0.2〜20[mm]、好ましくは0.5〜10[mm]の範囲である。ブラシの毛の長さが20[mm]以上では、クリーニング装置の稼動時間とともに像担持体との繰り返し摺擦により、ブラシ体の逆方向の傾斜角が減少して倒毛してクリーニング機能が低下する。ブラシ毛体の毛の長さが、0.2[mm]以下では、像担持体に対する物理的な力が不足する。したがって、0.2〜20[mm]好ましくは0.5〜10[mm]の範囲にすることによって、像担持体からのクリーニング性、像担持体へのトナー付着性が向上する。
図17は、プリンタ100を用いた耐久試験結果である。ランク値が大きいほどクリーニング性が良好で、ランク5が完全にクリーニング可、ランク1が全面クリーニング不良発生である。また、堆積トナーを除去するモードは一定の間隔で定期的に行っている。その結果、図17に示すように150000(枚)まで画像形成を行う耐久試験を行ったが、クリーニング不良の発生はなかった。
上述の実施形態1では、高解像性や転写性の良好な小粒径の球形トナーとして重合法によるものを記載したが、用いるトナーとして歯これに限定されるものではなく、例えば従来の機械的な粉砕分級法で作成されたものであっても良い。
導電性支持体50としては、体積抵抗1010[Ω・cm]以下の導電性を示すものを用いることができる。感光層は単層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず電荷発生層52と電荷輸送層53とからなる積層構成の場合についてから述べる。
電荷発生層52は、電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体50上、あるいは下引き層51上に塗布し、乾燥することにより形成される。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷輸送層53は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層52上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により単独あるいは2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は解像度・応答性の点から、25[μm]以下とすることが好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、5[μm]以上が好ましい。
感光層は、前述の電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを導電性支持体50上ないし、下引き層51上に塗布、乾燥することによって形成できる。電荷輸送物質を含有させずに、電荷発生物質と結着樹脂とから構成してもよい。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
結着樹脂としては先に電荷輸送層53で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層52で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに50〜150重量部であればより好ましい。
感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。感光層の膜厚は、5〜25[μm]程度が適当である。
下引き層51にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。また、これらの下引き層51は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。
保護層54のバインダー構成として、架橋構造からなる保護層54も有効に使用される。架橋構造の形成に関しては、1分子内に複数個の架橋性官能基を有する反応性モノマーを使用し、光や熱エネルギーを用いて架橋反応を起こさせ、3次元の網目構造を形成するものである。この網目構造がバインダー樹脂として機能し、高い耐摩耗性を発現するものである。
電気的な安定性、耐刷性、寿命の観点から、上記反応性モノマーとして、全部もしくは一部に電荷輸送能を有するモノマーを使用することは非常に有効な手段である。このようなモノマーを使用することにより、網目構造中に電荷輸送部位が形成され、保護層54としての機能を十分に発現することが可能となる。
さらに好ましくは、電荷輸送能を有するモノマーとして、電気的・化学的安定性が高いこと、キャリアの移動度が速いこと等から、トリアリールアミン構造を有する反応性モノマーが有効に使用される。
これ以外に塗工時の粘度調整、架橋型電荷輸送層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能の重合性モノマー及び重合性オリゴマーを併用することができる。これらの重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
光により重合させる場合は、光として紫外線を用いることが好ましいが、光エネルギーのみで反応が進行することはごく稀であり、一般には光重合開始剤が併用される。
この場合の重合開始剤とは、主には波長400[nm]以下の紫外線を吸収してラジカルやイオン等の活性種を生成し、重合を開始させるものである。なお、本発明においては、上述した熱及び光重合開始剤を併用することも可能である。
上述した表層に非常に硬い保護層を設けた像担持体としての感光体を用いることにより、感光層としての機能が損なわれないようにしたままクリーニングブレード2による感光体膜削れを防止することができる。
また、クリーニングブラシ21に電荷を印加するためのバイアス印加手段としての電源バイアス13を有し、感光体ドラム1が正規回転方向とは逆方向に表面移動するときに、クリーニングブラシ21を回転させるとともに、画像形成時のトナーの正規の摩擦帯電特性と同極性のバイアスをクリーニングブラシ21印加することにより、転写残トナーに多く含まれる逆帯電トナーを良好に除去することとができ、正規帯電トナーを感光体ドラム1表面上に残留させることにより、クリーニング再開時のクリーニングブレード2に捲れが生じることを防止することができる。これについて、すべてのトナーを感光体ドラム1から除去すると感光体ドラム1が再び正回転したとき、ブレードニップ2nにトナーが全くいない状態となる。このような状態が起こるとクリーニングブレード2と感光体ドラム1との当接部における摩擦力が大きくなり、ブレード部材が捲れ返ってしまう。また、ブレード部材によりクリーニングされたニップ部の堆積トナーは転写の影響でプラスとマイナスの極性トナーが混在している状態となっているため、いずれかの極性のバイアスをクリーニングブラシ21に印加することで、クリーニングブラシ21に静電的に回収されるトナーと、回収されずにクリーニングブラシ21により均一に感光体ドラム1上に散らされるトナーが発生する。均一に散らされたトナーはブレードニップ2nに再び堆積されるが、量が少ないのでクリーニング不良の発生には至らない。さらに、ブレードニップ2nにおける潤滑作用でクリーニングブレード2と感光体ドラム1との摩擦力を低減し、クリーニングブレード2の捲れ返りを防止することができる。
特に、0.01[mg/cm2]以上の範囲でトナーを感光体ドラム1表面上に残留させることで、より確実に、クリーニングブレード2と感光体ドラム1との摩擦力を低減し、クリーニングブレード2の捲れ返りを防止することができる。さらに、0.1[mg/cm2]以下の範囲でトナーを感光体ドラム1表面上に残留させることで、クリーニング不良が生じることを防止することができる。
また、ブラシの毛の長さが20[mm]以上では、クリーニング装置8の稼動時間とともに感光体ドラム1との繰り返し摺擦により、ブラシ体の逆方向の傾斜角が減少して倒毛してクリーニング機能が低下する。ブラシ毛体の毛の長さが、0.2[mm]以下では、感光体ドラム1に対する物理的な力が不足する。したがって、0.2〜20[mm]好ましくは0.5〜10[mm]の範囲にすることによって、感光体ドラム1からのクリーニング性、感光体ドラム1へのトナー散らし性が向上する。
また、感光体ドラム1が所定の回数だけ表面移動したときに、堆積トナー除去モードを実行することにより、トナーすり抜けが発生するブレードニップ2nの堆積トナー量の閾値を把握し、簡易な制御で堆積トナー12の量がその閾値を超えないようにすることができる。
また、作像動作終了後に堆積トナー除去モードを実行することにより、画像濃度が濃い画像を連続して出力した場合や紙ジャムなどの異常動作による転写残トナーの増加が発生しても、毎回除去モードを実行することで確実にクリーニングブレード2でトナーをクリーニングすることができる。
また、クリーニングブレード2の先端角の角度を、95[°]以上、120[°]以下とすることにより、ブレードニップ2nの幅が小さくなり、通常の直角形状のブレードと同じ加重かけてもブレード面圧が高くなるので、球形トナーをクリーニングすることができる。
また、クリーニングブレード2のゴム硬度(JIS−A硬度)を65[°]以上とすることにより、トナーがクリーニングブレード2に衝突したときの変形を低減し、80[°]以下とすることにより、クリーニングブレード2の感光体ドラム1への抗力の分布ムラを低減し感光体ドラム1とクリーニングブレード2との接触状態を安定にすることができる。
また、クリーニングブレード2の常温(24[℃]±3[℃])における反発弾性係数を30[%]以下とし、10[℃]から40[℃]までの間での変化率が350[%]以下とすることで、クリーニングブレード2の反発弾性係数を低くして、トナーがクリーニングブレードに衝突したときの変形に対する復元力を低下させることにより、クリーニングブレード2の感光体ドラム1への接触状態を安定化させる。
また、感光体ドラム1が静止している状態でのクリーニングブレード2が感光体ドラム1に加える線圧は、0.50[N/cm]以上としている。従来のブレード部材を用いた場合は大きな荷重を与えようとすると、ブレード部材が支持板との接着部分の根元で折れ曲がり、ブレード部材が像担持体と所謂腹当り状態で接触し、接触面積が大きくなる。このような状態では大きな
荷重を与えてもクリーニングに必要なピーク圧力は得られないので、さらに大きな荷重を与える必要がある。クリーニングブレード2のように、先端角を鈍角に加工したブレードを用いると、その形状効果で感光体ドラム1との接触面積が小さくなりことがわかり、クリーニングに重要なピーク圧力を効率よく与えることができる。その結果、従来ブレードよりも低い0.50[N/cm]の抗力を感光体ドラム1に与えることで球形トナーをクリーニングすることができる。
また、感光体ドラム1の表層に、架橋構造を備えるバインダー樹脂を用いた保護層54を設けることにより、球形トナーを除去するために大きな線圧が加わる感光体ドラム1が削れることを防止することができる。さらに、バインダ−樹脂の構造中に電荷輸送材を分散させることにより、感光層としての機能が損なわれないようにすることができる。
次に、画像形成装置であるプリンタ100の他の実施形態(以下、「実施形態2」という。)について説明する。
実施形態2のプリンタ100は、感光体ドラム1とクリーニング装置8とを一体に支持し、プリンタ100本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジを有するものである。なお、実施形態2では、感光体ドラム1及びクリーニング装置8のほか、帯電装置4及び現像装置6も一体に支持したプロセスカートリッジである。プロセスカートリッジとしては、少なくとも、感光体ドラム1及びクリーニング装置8を一体に支持したものであればよい。また、プリンタ本体部分の基本構成は、実施形態1と同様である。
従来スペースの問題で小型のクリーニング手段しか搭載できないプロセスカートリッジではクリーニング不良が発生しやすい問題から球形トナーを用いることは困難であった。しかし、プリンタ100では球形トナーを用いても簡易な構成でクリーニングを行うことができるので、球形トナーを用いるプリンタ100で、プロセスカートリッジを用いることが可能である。
したがって、プロセスカートリッジ200内における廃トナーを蓄えるスペースを小さくでき、コンパクトなプロセスカートリッジ200を実現できる。
また、一般に、このような電子写真方式の画像形成装置は、その構成が複雑で、これを構成する各装置を容易に交換したりすることが困難である場合が多いが、本実施形態2のように交換等が必要な装置について一体に支持したプロセスカートリッジとすることで、その交換等が容易となり、利便性が向上する。
次に、画像形成装置であるプリンタの更に他の実施形態(以下、「施形態3」いう。)について説明する。実施形態3のプリンタは、実施形態2におけるプロセスカートリッジ200を用いたカラープリンタ300である。
図20、実施形態3に係るプリンタ全体の概略構成図である。このカラープリンタ300は、カラープリンタ300を水平面上に設置したときに、水平方向に長尺な状態となるように、複数のローラ30a,30bに張架された中間転写ベルト27を備えている。この中間転写ベルト27は、図中矢印Dの向きに表面移動する。中間転写ベルト27における水平方向に延在する平面部分には、上述したプロセスカートリッジ200が4つ並んで配置されている。各プロセスカートリッジ200は、それぞれ異なる色のトナーを用い、図中左側から順に、イエロー用プロセスカートリッジ200Y、マゼンタ用プロセスカートリッジ200M、シアン用プロセスカートリッジ200C、ブラック用プロセスカートリッジ200Kである。各プロセスカートリッジにおいて感光体ドラム1の表面に形成された各色トナー像は、各感光体ドラム1に中間転写ベルト27を介して対向配置された1次転写装置29Y,29M,29C,29Kによって形成される転写電界によって、中間転写ベルト27上に1次転写される。このとき、ブラック用プロセスカートリッジ200Kから図中左側から向かって、順次、中間転写ベルト27上に各色トナー像が互いに重なり合うように1次転写される。これにより、中間転写ベルト27上には、各色トナー像が互いに重なり合った、重ね合わせトナー像が形成される。この重ね合わせトナー像は、中間転写ベルト27の表面移動に伴って2次転写装置32と対向する2次転写領域へ搬送される。また、この2次転写領域には、重ね合わせトナー像の先端がこの領域へ進入するタイミングに合わせて、図中矢印Eの向きに搬送される記録材Pも進入してくる。そして、2次転写装置32によって形成される転写電界によって、中間転写ベルト27上の重ね合わせトナー像は、記録材P上に一括して2次転写される。このようにして重ね合わせトナー像が転写された記録材Pは、図示しない定着装置へ搬送され、ここで重ね合わせトナー像が定着された後、機外へ排出される。
なお、本実施形態のプリンタは、4つのプロセスカートリッジを、中間転写ベルト27の表面移動方向上流側から、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に配置しているが、この順番に特定されるものではなく、どの順番で配置してもよい。
次に、画像形成装置であるプリンタの更に他の実施形態(以下、「実施形態4」という。)について説明する。実施形態4のプリンタも、実施形態2におけるプロセスカートリッジを用いたカラープリンタである。
図21は、実施形態4に係るカラープリンタ300全体の概略構成図である。このカラープリンタ300は、実施形態3の中間転写ベルト27に代えて、表面に記録材Pを担持した状態で表面移動する記録材搬送ベルト34を用い、各プロセスカートリッジ200Y,200M,200C,200Kの感光体ドラム1上の各色トナーを、直接記録材P上に重なり合うように転写するものである。なお、実施形態4においても、4つのプロセスカートリッジの配置順序は任意である。
次に、画像形成装置であるプリンタの更に他の実施形態(以下、「実施形態5」という。)について説明する。実施形態5のプリンタも、実施形態2におけるプロセスカートリッジ200を用いたカラープリンタ300である。中間転写ベルト27を上述の感光体ドラム1をクリーニングするクリーニング装置8と同様のクリーニング装置を用いてクリーニングする構成となっている。
図22は、実施形態5に係るカラープリンタ300全体の概略構成図である。このカラープリンタ300は、実施形態3の場合と同様に中間転写ベルト27を用いて記録材P上に重ね合わせトナー像を転写するこのであるが、2次転写後のトナー像担持体としての中間転写ベルト27の表面部分に残留した転写残トナーをクリーニングするベルトクリーニング装置35を備えている。このベルトクリーニング装置35は、上述したクリーニング装置8と同様の構成になっている。このベルトクリーニング装置35は、ローラ30cによって巻き回されている中間転写ベルト27の表面部分にクリーニングブレードが当接するように配置されている。上述したクリーニング装置8と同様の構成を有するベルトクリーニング装置35によれば、中間転写ベルト27のようなベルト状の像担持体表面に付着した球形トナーも、高いクリーニング性をもってクリーニングすることが可能である。
また、図示しないが、同じような構成の転写搬送ベルトのクリーニング装置としても同様の効果を得ることができる。
2 クリーニングブレード
2a ブレード対抗面
2b ブレード稜線部
2c ブレード先端面
2n ブレードニップ
3 金属支持板
4 帯電装置
5 露光装置
6 現像装置
7 転写装置
8 クリーニング装置
9 除電装置
21 クリーニングブラシ
100 プリンタ
200 プロセスカートリッジ
300 カラープリンタ
Claims (17)
- トナー像を担持して表面移動するトナー像担持体と、
該トナー像担持体の表面にカウンター方向に当接し、該トナー像担持体上のトナーを除去するクリーニングブレードを備えたクリーニング手段とを有する画像形成装置において、
該トナー像を形成する該トナーとして円形度0.98以上の球形トナーを用い、
該トナー像担持体と接触する該クリーニングブレードの稜線を形成する2つの面が成す先端角を鈍角形状とし、
該トナー像担持体と該クリーニングブレードとが当接するブレード当接部に該トナーが堆積することを防止するトナー堆積防止手段を有することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1の画像形成装置において、
上記トナー像担持体は潜像担持体であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1の画像形成装置において、
上記トナー像担持体は中間転写体であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1、2または3の画像形成装置において、
上記ブレード当接部よりも上記トナー像担持体の表面移動方向上流側で該トナー像担持体の表面上の上記トナーを除去するトナー除去手段を有し、
該トナー像担持体を該表面移動方向(以下、表面通常移動方向と呼ぶ)とは逆方向(以下、表面逆移動方向と呼ぶ)に表面移動させることで、該ブレード当接部の該トナー像担持体の通常表面移動方向上流に堆積した堆積トナーを該トナー除去手段が該トナーを除去する位置まで運び、該トナー除去手段によって該堆積トナーを除去する堆積トナー除去制御を行い、
該トナー除去手段と該堆積トナー除去制御とによって上記トナー堆積防止手段を成すことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4の画像形成装置において、
上記堆積トナー除去制御時の上記トナー除去手段による上記トナー像担持体の表面上の上記堆積トナーの除去は、
0.01[mg/cm2]以上、0.1[mg/cm2]以下の範囲で上記トナーを該トナー像担持体表面上に残留させることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4または5の画像形成装置において、
上記トナー除去手段が上記トナー像担持体に回転しながら接触することにより上記トナーを除去するブラシ部材であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項6の画像形成装置において、
上記ブラシ部材に電圧を印加するためのバイアス印加手段を有し、上記トナー像担持体が上記表面逆移動方向に表面移動するときに、該ブラシ部材を回転させるとともに、該バイアス印加手段により該ブラシ部材に画像形成時の上記トナーの正規の摩擦帯電特性と同極性のバイアスを印加することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項6の画像形成装置において、
上記ブラシ部材に電圧を印加するためのバイアス印加手段を有し、上記トナー像担持体が上記表面逆移動方向に表面移動するときに、該ブラシ部材は回転するとともに、該バイアス印加手段により該ブラシ部材に画像形成時のトナーの正規の摩擦帯電特性と逆極性のバイアスを印加することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項6、7または8の画像形成装置において、
上記ブラシ部材のブラシ長は、0.2[mm]以上、20[mm]以下であり、
より好ましくは、0.5[mm]以上、10[mm]以下であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4、5、6、7、8または9の画像形成装置において、
上記トナー像担持体が所定の回転数だけ表面移動したときに、上記堆積トナーを除去する堆積トナー除去モードとなることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4、5、6、7、8、9または10の画像形成装置において、
作像動作終了後に上記堆積トナーを除去する堆積トナー除去モードとなることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の画像形成装置において、
上記先端角の角度が95[°]以上、120[°]以下であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の画像形成装置において、
上記クリーニングブレードのゴム硬度(JIS−A硬度)は65[°]以上、80[°]以下であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13の画像形成装置において、
上記クリーニングブレードの常温(24[℃]±3[℃])における反発弾性係数が30[%]以下であり、10[℃]から40[℃]までの間での変化率が350[%]以下であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の画像形成装置において、
上記トナー像担持体が静止している状態での上記クリーニングブレードが該トナー像担持体に加える線圧は、0.50[N/cm]以上であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15の画像形成装置において、
少なくとも上記クリーニング手段と上記トナー像担持体とを一体として、装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとすることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の画像形成装置において、
上記トナー像担持体の表面を形成する表層に架橋構造を備えるバインダー樹脂を用いた保護層を設け、該バインダー樹脂はその構造中に電荷輸送材を備えることを特徴とする画像形成装置。
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