JP2007003790A - 塗布型光学膜およびその作製方法、光学多層膜、反射型スクリーン、並びに浸漬塗布装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】微粒子分散系の塗料を用いた場合にも、微粒子間の相互作用による局部的な粘度ムラを抑制し、面内厚みムラが非常に小さく、色目ムラの認識できない塗布型光学膜の作製方法、塗布型光学膜、さらには光学多層膜、反射型スクリーンを提供し、面内膜厚ムラと面間膜厚ムラを同時に低減する要求を実現する浸漬塗布装置を提供する。
【解決手段】塗布槽102内に充填されたニュートン流体である微粒子分散系の塗料102L中に支持体11を浸漬し、支持体11を塗料102L液面から相対的に引き上げながら支持体11上に塗料を付着させて塗膜を形成する塗布工程を含む塗布型光学膜の作製方法において、塗料102Lの粘度、支持体11の相対的引上速度、支持体11と塗布槽102壁面との距離dのうち、少なくとも1つを調整して、支持体11上の塗料102Lのせん断速度を0.8sec-1以上とする。
【選択図】図1
【解決手段】塗布槽102内に充填されたニュートン流体である微粒子分散系の塗料102L中に支持体11を浸漬し、支持体11を塗料102L液面から相対的に引き上げながら支持体11上に塗料を付着させて塗膜を形成する塗布工程を含む塗布型光学膜の作製方法において、塗料102Lの粘度、支持体11の相対的引上速度、支持体11と塗布槽102壁面との距離dのうち、少なくとも1つを調整して、支持体11上の塗料102Lのせん断速度を0.8sec-1以上とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、塗布型光学膜およびその作製方法、光学多層膜、反射型スクリーン、並びに浸漬塗布装置に関するものである。
従来から、支持体に塗布液を塗布する方法として浸漬塗工法、いわゆるディッピング塗布法が広く実用化されている。このディッピング法では、ニュートン流体である塗料の場合、塗布膜厚は、塗料粘度、塗布速度、塗料比重、塗料固形分、表面張力等により決定され、適切な塗料管理がなされている場合には、再現よく膜厚制御を行なうことができる。
また、面内膜厚ムラを軽減する方法として、周辺の環境を整える方法は従来から特許公開公報に種々開示されている。要は、乾燥過程における周辺蒸気量が異なる、つまり乾燥速度が変化し、いわゆるタレ現象が生じるという問題に関する内容である。
例えば、支持体を感光体塗布液から引き上げる際、塗布液から発生する溶媒蒸気を減少させる方法が示されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によると、溶媒蒸気濃度を減少させる為の気体通路を塗工槽上部に取り付けねばならず、塗工装置が複雑となり、また気流の流れ方向は支持体に対して横方向であり、従って、風上側と風下側で支持体に対して気流の当たり方が異なり、塗布ムラが生じ易いという問題がある。
また、支持体引き上げ時に塗工槽内部の塗布液面上に位置させたリング状エアードクターから気流を支持体に当てる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法では塗工槽内部の気流の乱れと、塗膜へ直接当たる気流により塗膜ムラが発生するという問題がある。
また、塗工槽上部に設けた伸縮フードにより蒸気濃度を上から下へ減少させることが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。この方法では装置が複雑になり、品種交換等の手間も多くなって、実施が困難であるという不具合がある。
また、支持体の引き上げ時に水平方向の気流を発生させている(例えば、特許文献4参照。)が、これも特許文献1に開示の技術と同様の原因で塗布ムラが生じ易いという問題がある。また、支持体引き上げ時に、塗工槽上部で周方向に回転する気流を吹き付ける方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)が、この方法では装置が複雑になり、また、気流が当たることによる塗布ムラが生じ易いという問題がある。
また、支持体引き上げ時に支持体の接線方向にノズルから気流を吹き付ける方法が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。この方法ではノズルからの気流の当たった部分の液が流れ、塗膜ムラとなるという問題がある。
塗工上端部のタレ防止を目的とする方法としては、そのほかに数多く開示されている(例えば、特許文献7,8参照。)が、いずれも装置の構造が複雑になる、塗膜のムラが生じ易い等の欠点を有している。
また、支持体保持治具に円筒状多孔質体からなる送気孔部を設け、送気孔部から放出された気体を塗布液面に向けた下降気流とするようにした浸漬塗工装置が開示されている(例えば、特許文献9参照。)。
要するに、上記のように気流の存在する環境下においては、膜厚ムラを小さくすることは非常に難しい。そこで、周辺環境の影響をうけないようにブース等を支持体全体に覆い被せる方法(例えば、特許文献10参照。)は有効である。これにより面内における膜厚ムラは改善される。
しかし一方で、塗料が微粒子分散系である場合、上記乾燥固定の対策だけでは効果が得られず、塗料特性により非常に面内膜厚に影響を及ぼすという問題がある。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、微粒子分散系の塗料を用いた場合にも、塗布において塗料がうけるせん断速度を規定することにより、微粒子間の相互作用による局部的な粘度ムラを抑制し、面内厚みムラが非常に小さく、色目ムラの認識できない塗布型光学膜の作製方法、塗布型光学膜、さらには光学多層膜、反射型スクリーンを提供することを目的とする。また、面内膜厚ムラと面間膜厚ムラを同時に低減する要求を実現する浸漬塗布装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、塗布槽内に充填されたニュートン流体である微粒子分散系の塗料中に支持体を浸漬し、前記支持体を前記塗料液面から相対的に引き上げながら該支持体上に塗料を付着させて塗膜を形成する塗布工程を含む塗布型光学膜の作製方法において、前記塗料粘度、前記支持体の相対的引上速度、前記支持体と塗布槽壁面との距離のうち、少なくとも1つを調整して、前記支持体上の塗料のせん断速度を0.8sec-1以上とすることを特徴とする塗布型光学膜の作製方法である(請求項1)。
前記課題を解決するために提供する本発明は、請求項1に記載の塗布型光学膜の作製方法により形成されてなることを特徴とする塗布型光学膜である(請求項2)。
前記課題を解決するために提供する本発明は、請求項1に記載の塗布型光学膜の作製方法により形成され、前記塗料をTiO2またはZrO2の金属酸化物微粒子を含む高屈折率用塗料として得られる高屈折率光学膜と、請求項1に記載の塗布型光学膜の作製方法により形成され、前記塗料をフッ素系樹脂および/またはSiO2の金属酸化物微粒子を含む低屈折率用塗料として得られる低屈折率光学膜とが積層されてなることを特徴とする光学多層膜である(請求項3)。
ここで、透明支持体上に、前記高屈折率光学膜と前記低屈折率光学膜とが交互に積層された複数膜であることが好ましい。
前記課題を解決するために提供する本発明は、光源からの光を反射して画像を表示する反射型スクリーンにおいて、請求項3または4に記載の光学多層膜と、該光学多層膜の透過光を吸収する光吸収層と、前記光学多層膜の最外層上に該光学多層膜が反射した光を拡散させる光拡散層とを備えることを特徴とする反射型スクリーンである(請求項5)。
前記課題を解決するために提供する本発明は、ニュートン流体である微粒子分散系の塗料が満たされた塗布槽と、支持体を前記塗布槽上で保持し、該支持体を昇降させる昇降機構とを備え、前記昇降機構により支持体を降下させて前記塗布槽の塗料中に浸漬し、ついで前記支持体を前記塗料液面から引き上げながら該支持体上に塗料を付着させて塗膜を形成する浸漬塗布装置において、前記支持体上の塗料のせん断速度が0.8sec-1以上となるように、前記塗料粘度、前記支持体の引上速度及び前記支持体と塗布槽壁面との距離が設定されていることを特徴とする浸漬塗布装置である(請求項6)。
本発明の塗布型光学膜の作製方法によれば、微粒子分散系の塗料を用いた塗布工程において、塗料のせん断速度を規定することにより、塗料内循環による塗料特性の不均一性、微粒子間の相互作用による粘度不均一性を低減でき、支持体上の塗布型光学膜の面内膜厚むらを低減することができる。また、この作製方法により作製された塗布型光学膜は面内膜厚むらが非常に少ないため、色目むらの認識できない(問題とならない)光学膜となる。
また、本発明の光学多層膜によれば、目的の屈折率を有する高屈折率光学膜と低屈折率光学膜とが均一な膜厚で積層されるため、特定波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有する機能性の光学膜を塗布によって形成することが可能となる。
また、本発明の反射型スクリーンによれば、プロジェクターからの特定波長の光を反射し、外光などのそれ以外の波長領域の入射光を透過・吸収する選択反射が可能となるため、反射スクリーン上の映像の黒レベルを下げて高コントラストを達成することが可能となり、部屋が明るい状態でもコントラストの高い映像を表示することが可能となる。
また、本発明の浸漬塗布装置によれば、光学膜として要求される面内膜厚ムラの低減レベルに対応することが可能となる。
また、本発明の光学多層膜によれば、目的の屈折率を有する高屈折率光学膜と低屈折率光学膜とが均一な膜厚で積層されるため、特定波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有する機能性の光学膜を塗布によって形成することが可能となる。
また、本発明の反射型スクリーンによれば、プロジェクターからの特定波長の光を反射し、外光などのそれ以外の波長領域の入射光を透過・吸収する選択反射が可能となるため、反射スクリーン上の映像の黒レベルを下げて高コントラストを達成することが可能となり、部屋が明るい状態でもコントラストの高い映像を表示することが可能となる。
また、本発明の浸漬塗布装置によれば、光学膜として要求される面内膜厚ムラの低減レベルに対応することが可能となる。
以下に、本発明に係る塗布型光学膜の作製方法について説明する。
まず、本発明の塗布型光学膜の作製方法を実施するために使用する浸漬塗布装置の概略構成を図1に示す。図1は装置側面図である。
まず、本発明の塗布型光学膜の作製方法を実施するために使用する浸漬塗布装置の概略構成を図1に示す。図1は装置側面図である。
図1に示すように、浸漬塗布装置100は、隔壁で囲われた密閉空間を形成するブース101内に、ニュートン流体である微粒子分散系の塗料102Lが満たされた塗布槽102と、支持体11を前記塗布槽102上で保持し、該支持体11を昇降させる昇降機構103を備え、前記昇降機構103により支持体11を降下させて前記塗布槽102の塗料102L中に浸漬し(図中の点線で示す状態)、ついで前記支持体11を前記塗料102L液面から引き上げながら該支持体11上に塗料102Lを付着させて塗膜を形成し、同時に前記重密閉槽104内で塗膜から溶媒を蒸発させて乾燥する制御を行う制御部(図示せず)を有する。ここで、ニュートン流体とは、非粘性またはあまり粘りのない流体のことである。
ブース101は、隔壁により外部との空気のやり取りを完全にあるいはできる限り遮断して内部に気流をできるだけ発生させない密閉空間を形成している。ここで密閉空間とは、その空間内の位置によって塗膜からの有機溶媒の単位時間当たりの蒸発量(蒸発速度)がほとんど変わらない状態をいう。また、この空間に対して外気の影響は勿論、ブース101内の局所排気等による気流の影響がないような設計にするべきである。
昇降機構103は、基台に設けられた昇降ねじと、昇降ねじを回転する昇降モータと、昇降ねじの回転により昇降する昇降機と、昇降機に設けられたアームと、アームの先端部に設けられた支持体11を固定する支持体保持部からなり、昇降モータの駆動により支持体11を昇降させるものである。
塗布型光学膜の作製方法は、密閉空間内で、ニュートン流体である微粒子分散系の塗料に支持体を浸漬し、前記支持体を前記塗料液面から引き上げながら該支持体上に塗料を付着させて塗膜を形成する塗布工程と、該塗膜から溶媒を蒸発させて乾燥する塗布工程と、その後支持体上の塗膜に対して紫外線や熱などのエネルギーを付与して成膜して塗布型光学膜とする工程とを有する。本発明は、前記塗布工程において、前記塗料粘度、前記支持体の相対的引上速度、前記支持体主面と塗布槽壁面との距離dのうち、少なくとも1つを調整して、前記支持体上の塗料のせん断速度を0.8sec-1以上とすることを特徴としている。
塗布工程における手順は次の通りである。
(S1)昇降機構103に支持体11をセットした後、ブース101内を密閉空間とする。
(S2)昇降機構103により支持体11を降下させて、塗布槽102の塗料102L中に浸漬する。
(S3)支持体11を塗料102L液面から一定速度で引き上げながら、該支持体11上に塗料102Lを付着させて塗膜を形成する。
(S4)同時にステップS3で形成された塗膜から有機溶媒を蒸発させ、ブース内で膜の乾燥を行う。すなわち、支持体11を引き上げることにより支持体11上に塗布が行なわれ、形成された塗膜は上方へ移動しながら乾燥が行われる。
(S5)塗膜が形成された支持体11の下端が液面から離れ、塗布・乾燥工程が終了する。
このように浸漬塗布装置100では、塗布工程と乾燥工程とが同時に行われる。
(S1)昇降機構103に支持体11をセットした後、ブース101内を密閉空間とする。
(S2)昇降機構103により支持体11を降下させて、塗布槽102の塗料102L中に浸漬する。
(S3)支持体11を塗料102L液面から一定速度で引き上げながら、該支持体11上に塗料102Lを付着させて塗膜を形成する。
(S4)同時にステップS3で形成された塗膜から有機溶媒を蒸発させ、ブース内で膜の乾燥を行う。すなわち、支持体11を引き上げることにより支持体11上に塗布が行なわれ、形成された塗膜は上方へ移動しながら乾燥が行われる。
(S5)塗膜が形成された支持体11の下端が液面から離れ、塗布・乾燥工程が終了する。
このように浸漬塗布装置100では、塗布工程と乾燥工程とが同時に行われる。
本方法は、塗料102Lを選定し、塗布工程にある支持体11と塗布槽102壁面との距離d、あるいは支持体11の引上速度(塗布速度)を制御することにより、塗料102Lにせん断速度を規定値以上に与え、塗布される塗料の特性ムラを抑制するものである。これにより支持体11の塗膜面内の膜厚むらを抑制することが可能となる。
ここで、支持体11の塗膜面内の膜厚むらを抑制する効果は、塗料102Lのせん断速度の値に左右される。すなわち、せん断速度が規定値以上となるように、塗布速度と塗料固形分、支持体と塗布槽の壁との距離を設計するのが好ましく、これらのパラメーターを組み合わせることにより、せん断速度が0.8(sec-1)以上好ましくは1.5(sec-1)以上となるように設計することが好ましい。せん断速度が0.8(sec-1)未満である場合は、塗料の特性ムラ(粘度)を抑制できなくなるために、本発明の効果が少ない。逆にせん断速度が大きく、レイノルズ数が1570をこえるような条件で塗布を行なうと、塗布工程における塗料の流動が、層流から乱流に変化することが経験的にわかっている(塗料の流動と顔料分散 PATTON著)。そのために、結果的に塗布ムラが発生しやすくなる。
塗料102Lがニュートン流体である場合、基本的にはせん断速度にて粘度の変化は起きないが、極低せん断領域においては、微粒子分散系塗料の場合、粒子間相互作用の影響を無視できない。よって、塗料102Lに支持体11を浸漬し、数ミリメートル/分〜数メートル/分といった遅い塗布速度で支持体を引き上げる、あるいは塗料をタンクから抜くといった、低せん断速度領域で塗布するような方式においては、粒子間相互作用の影響により塗布槽102内の塗料特性ムラが塗布膜の厚みムラに影響してしまう。よって、設計膜厚を鑑みながら、塗布速度を上げ、支持体と塗布槽壁面との距離dを狭めることにより、塗布工程における塗料せん断速度をあげることが好ましい。また、支持体11の1枚ごとのその塗布工程前に塗布槽102内の塗料102Lについて循環させつつ塗布槽102からオーバーフローさせるようにして塗布槽102内の塗料102Lの塗料特性の分布が均一になるようにするとよい。
また、支持体11は引上げ過程のどこかで一時的に塗料のせん断速度が0.8sec-1以上となっていればよい。例えば、図2に示すように、塗布槽102の形状により、支持体11引上げ方向に支持体11と塗布槽102壁面との距離が短い部分(d1の部分)と該距離が長い部分(d2の部分)とが存在し、支持体11の引き上げ過程で支持体11上の塗料のせん断速度が0.8sec-1以上となる領域A1と、支持体11上の塗料のせん断速度が0.8sec-1未満となる領域A2が存在するようになっていてもよい。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、せん断応力が作用することによって支持体上に塗料がニュートン流体の状態で塗布される塗布方式であればそのすべてに適用可能である。
すなわち、例えばニュートン流体である微粒子分散系の塗料の塗布槽内への充填、塗布槽内からの排出が可能な塗布槽と、前記塗布槽内に支持体を保持する保持機構とを備え、前記塗布槽に前記塗料を充填して該塗布槽内に保持された支持体を該塗料中に浸漬し、ついで前記塗布槽内から前記塗料を排出して前記支持体に塗料を付着させて塗膜を形成する浸漬塗布装置を用いて、前記塗料粘度、前記支持体の相対的引上速度、前記支持体と塗布槽壁面との距離のうち、少なくとも1つを調整して、前記支持体上の塗料のせん断速度を0.8sec-1以上となるようにするとよい。
すなわち、例えばニュートン流体である微粒子分散系の塗料の塗布槽内への充填、塗布槽内からの排出が可能な塗布槽と、前記塗布槽内に支持体を保持する保持機構とを備え、前記塗布槽に前記塗料を充填して該塗布槽内に保持された支持体を該塗料中に浸漬し、ついで前記塗布槽内から前記塗料を排出して前記支持体に塗料を付着させて塗膜を形成する浸漬塗布装置を用いて、前記塗料粘度、前記支持体の相対的引上速度、前記支持体と塗布槽壁面との距離のうち、少なくとも1つを調整して、前記支持体上の塗料のせん断速度を0.8sec-1以上となるようにするとよい。
また、本発明では例えばつぎのような高屈折率用塗料や低屈折率用塗料を使用するとよい。
(高屈折率用塗料)
高屈折率の光学膜用の塗料は、微粒子と、有機溶媒と、エネルギーを吸収して硬化反応を起こす結合剤と、分散剤とを含有する。
(高屈折率用塗料)
高屈折率の光学膜用の塗料は、微粒子と、有機溶媒と、エネルギーを吸収して硬化反応を起こす結合剤と、分散剤とを含有する。
微粒子は、成膜された後の光学膜の屈折率を調整するために添加される高屈折率材料の微粒子であり、Ti、Zr、Al、Ce、Sn、La、In、Y、Sb、等の酸化物、または、In-Sn等の合金酸化物が挙げられる。なお、光触媒を抑える目的でTi酸化物にAl、Zr等の酸化物が適当量含有されたとしても、本発明の効果を妨げるものではない。
また、微粒子の比表面積は55〜85 m2/gが好ましく、75〜85 m2/gであることがより好ましい。比表面積がこの範囲にあると、微粒子の分散処理により、光学膜用材料中における微粒子の粒度で100nm以下に抑えることが可能となり、ヘイズの非常に小さな光学膜を得ることが可能である。
有機溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレングリコールアセテート等のエステル系溶媒等が用いられる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋である必要はなく、異性体、未反応物、分解物、酸化物、水分等の不純成分が20%以下であれば含まれていてもかまわない。
また、塗料の固形分の上昇を抑えるためには、高沸点タイプの有機溶媒が好ましいが、塗膜乾燥に要する時間が多く必要となることを鑑みると、60〜140℃の沸点をもつ有機溶媒が好ましい。
また、塗料の固形分の上昇を抑えるためには、高沸点タイプの有機溶媒が好ましいが、塗膜乾燥に要する時間が多く必要となることを鑑みると、60〜140℃の沸点をもつ有機溶媒が好ましい。
分散剤と硬化反応する結合剤は、熱硬化性樹脂、紫外線(UV)硬化型樹脂、電子線(EB)硬化型樹脂等があげられる。熱硬化性樹脂、UV硬化型樹脂、EB硬化型樹脂の例としてはポリスチレン樹脂、スチレン共重合体、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式等)基を有するポリマーでもよい。また、炭素鎖中にフッ素、シラノール基の入った樹脂でも構わない。
上記樹脂を硬化反応させる方法は放射線または熱いずれでもよいが、紫外線照射により樹脂の硬化反応を行う場合には、重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート等のパーオキシド系開始剤が挙げられる。これらの開始剤の使用量は、重合性単量体合計100重量部あたり0.2〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部とする。
上記微粒子を分散させる分散剤は、その含有量が微粒子に対し3.2〜9.6×1011mol/m2であるが、これより含有量が少ないと光学膜に十分な分散性を得ることができない。逆に、含有量が多いと、塗膜中における分散剤体積比率が上昇するために、膜屈折率が低下して屈折率の調整範囲が狭くなることから光学膜積層設計が困難となる。
上記の分散剤に含まれる親水基の極性官能基の量は、10-3〜10-1mol/gである。官能基がこれより少ない、あるいは多い場合には、微粒子の分散に対する効果が発現せず、分散性低下などにつながる。
極性官能基として、以下に示すような官能基でも凝集状態にならないため、有用である。
・-SO3M、-OSO3M、-COOM、P=O(OM)2(ここで、式中Mは、水素原子あるいは、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属である。)、3級アミン、4級アンモニウム塩
・R1(R2)(R3)NHX(ここで、式中R1、R2、R3は、水素原子あるいは炭化水素基であり、X-は塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオンあるいは無機・有機イオンである。)
・-OH、-SH、-CN、エポキシ基等
・-SO3M、-OSO3M、-COOM、P=O(OM)2(ここで、式中Mは、水素原子あるいは、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属である。)、3級アミン、4級アンモニウム塩
・R1(R2)(R3)NHX(ここで、式中R1、R2、R3は、水素原子あるいは炭化水素基であり、X-は塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオンあるいは無機・有機イオンである。)
・-OH、-SH、-CN、エポキシ基等
極性官能基の導入部位は特に規定はない。これら分散剤は、1種単独で用いられることが可能であるが、2種以上を併用することも可能である。
また、塗膜における本発明の分散剤は、総量で上記粉末100重量部に対して、20〜60重量部が好ましく、38〜55重量部がより好ましい。
また、分散剤親油基の重量平均分子量は110〜3000が好ましい。分子量がこの範囲よりも低いと、有機溶媒に対して十分に溶解しないなどの弊害が生じる。逆に高すぎる場合には光学膜に十分な分散性を得ることができない。なお、分散剤の分子量の測定はゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により行えばよい。
上記分散剤には、結合剤と硬化反応を起こすための官能基を有していてもよい。また、本発明の分散剤以外の結合剤を含む場合には結合基を多く有する多官能ポリマー、またはモノマーが好ましい。
上記高屈折率用塗料を使用して本発明の塗布型光学膜の作製方法により塗布・乾燥を行い、エネルギーを付与して硬化させて高屈折率の塗布型光学膜とすることができる。
(低屈折率用塗料)
低屈折率の光学膜用の塗料は、低い屈折率をもつ層の材料として設計される。
例えば、フッ素系樹脂および/またはSiO2微粒子、中空微粒子等を含むものであり、成膜すると1.45以下の屈折率をもつ光学膜となるものが特に好ましい。
低屈折率の光学膜用の塗料は、低い屈折率をもつ層の材料として設計される。
例えば、フッ素系樹脂および/またはSiO2微粒子、中空微粒子等を含むものであり、成膜すると1.45以下の屈折率をもつ光学膜となるものが特に好ましい。
含フッ素系樹脂に関しては、主鎖がふっ素変性されたポリマーには、例えば、パーフルオロ主鎖型パーフルオロポリエーテル、パーフルオロ側鎖型パーフルオロポリエーテル、アルコール変性パーフルオロポリエーテル、イソシアネート変性パーフルオロポリエーテルなどが挙げられ、またフッ素を有するモノマーには、例えば、CF2=CF2、CH2=CF2、CF2=CHFなどが挙げられ、またこれらモノマーを重合したもの、これらをブロックポリマー化したものも使用できる。
側鎖がふっ素変性されたポリマーについては、溶剤可溶な主鎖に対してグラフトポリマー化したものが挙げられるが、特に、溶剤が使用できる樹脂としてその扱いが容易であることからポリフッ化ビニリデンが好ましい低屈折率熱可塑性ポリマーの例として挙げられる。低屈折率熱可塑性ポリマーとしてこのポリフッ化ビニリデンを用いた場合には、低屈折率層の屈折率は約1.4となるが、さらに低屈折率層の屈折率を下げるにはトリフルオロエチルアクリレートのような低屈折率アクリレートを、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して10重量部から300重量部、好ましくは100重量部から200重量部添加してもよい。
また、低屈折率材として用いられる微粒子としては、LiF(屈折率1.4)、MgF2(屈折率=1.4)、3NaF・AlF3( 屈折率=1.4)、AlF3(屈折率=1.4)、SiOx( x:1.5≦x≦2.0)( 屈折率=1.35〜1.48)等の超微粒子が使用される。
有機溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレングリコールアセテート等のエステル系溶媒、含フッ素溶媒等が用いられる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋である必要はなく、異性体、未反応物、分解物、酸化物、水分等の不純成分が20%以下であれば含まれていてもかまわない。
含フッ素溶媒としては、パーフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンなどの含フッ素芳香族炭化水素類、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミンなどの含フッ素アルキルアミン類、パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクタン、パーフルオロデカン、パーフルオロドデカン、パーフルオロ−2,7−ジメチルオクタン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1H−1,1−ジクロロパーフルオロプロパン、1H−1,3−ジクロロパーフルオロプロパン、1H−パーフルオロブタン、2H,3H−パーフルオロペンタン、3H,4H−パーフルオロ−2−メチルペンタン、2H,3H−パーフルオロ−2−メチルペンタン、パーフルオロ−1,2−ジメチルヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルヘキサン、1H−パーフルオロヘキサン、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオロヘキサン、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタン、1H−パーフルオロオクタン、1H−パーフルオロデカン、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンなどの含フッ素脂肪族炭化水素類、パーフルオロデカリン、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの含フッ素脂環族炭化水素類、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、フッ素含有低分子量ポリエーテルなどの含フッ素エーテル類を単独または混合して用いることが可能である。
また、塗料の固形分の上昇を抑えるためには、高沸点タイプの有機溶媒が好ましいが、塗膜乾燥に要する時間が多く必要となることを鑑みると、60〜140℃の沸点をもつ有機溶媒が好ましい。
上記低屈折率用塗料を使用して本発明の塗布型光学膜の作製方法により塗布・乾燥を行い、成膜して前記高屈折率用塗料で形成された塗布型光学膜よりも低屈折率の塗布型光学膜とすることができる。
なお上記高、低屈折率用塗料の製造に当たっては、混練工程、分散工程及びこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程によって行われる。本発明において使用する微粒子、樹脂、溶媒など全ての原料は何れの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。分散及び混練には、アジター、ペイントシェーカー等の従来公知の装置を用いればよい。
(反射型スクリーン)
本発明に係る反射型スクリーンの構成例を図3に示す。反射型スクリーン10は、支持体11上に形成された反射層である光学多層膜12と、光学多層膜12の透過光を吸収する光吸収層13と、光学多層膜12の最外層上に該光学多層膜12が反射した光を拡散させる光拡散層14とを備える。
本発明に係る反射型スクリーンの構成例を図3に示す。反射型スクリーン10は、支持体11上に形成された反射層である光学多層膜12と、光学多層膜12の透過光を吸収する光吸収層13と、光学多層膜12の最外層上に該光学多層膜12が反射した光を拡散させる光拡散層14とを備える。
支持体11は透明であり、透明フィルム、ガラス板、アクリル板、メタクリルスチレン板、ポリカーボネート板、レンズ等の所望の光学特性を満足するものであればよい。光学特性として、上記支持体11を構成する材料の屈折率は1.3〜1.7、ヘイズは8%以下、透過率は80%以上が好ましい。また、支持体11にアンチグレア機能をもたせてもよい。
透明フィルムはプラスチックフィルムが好ましく、このフィルムを形成する材料としては、例えばセルロース誘導体(例、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース及びニトロセルロース)、ポリメチルメタアクリレート、メチルメタクリレートと他のアルキル(メタ)アクリレート、スチレンなどといったビニルモノマーとの共重合体などの(メタ)アクリル系樹脂;ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)などのポリカーボネート系樹脂;(臭素化)ビスフェノールA 型のジ(メタ)アクリレートの単独重合体ないし共重合体、(臭素化)ビスフェノールA のモノ(メタ)アクリレートのウレタン変性モノマーの重合体および共重合体などといった熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂;ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよび不飽和ポリエステル;アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが好ましい。また、耐熱性を考慮したアラミド系樹脂の使用も可能である。この場合には加熱温度の上限が200℃以上となり、その温度範囲が幅広くなることが予想される。
プラスチックフィルムは、これらの樹脂を伸延あるいは溶剤に希釈後フィルム状に成膜して乾燥するなどの方法で得ることができる。厚さは剛性の面からは厚いほうがよいが、ヘイズの面からは薄いほうが好ましく、通常25〜500μm程度である。
また、上記プラスチックフィルムの表面がハードコートなどの被膜材料で被覆されたものであってもよく、無機物と有機物からなる光学多層膜の下層にこの被膜材料を存在させることによって、付着性、硬度、耐薬品性、耐久性、染色性などの諸物性を向上させることも可能である。
光学多層膜12は、屈折率の異なる複数種類の光学膜が積層された複数層からなり、例えば第1の光学膜として高屈折率光学膜12Hと、第2の光学膜として低屈折率光学膜12Lとが交互に積層された構成である。図3において、支持体11両面それぞれに、まず高屈折率の光学膜12Hが設けられ、ついで低屈折率の光学膜12Lが設けられ、以降光学膜12Hと光学膜12Lとが交互に設けられ、最後に光学膜12Hが設けられた構成であり、片面当り2n+1層(両面層数2(2n+1))(nは1以上の整数である。)からなる積層膜となっている。
光学膜12Hは、支持体11、または光学膜12Lの上に本発明の塗布型光学膜の作製方法により上記高屈折率用塗料を塗布した後に硬化反応により形成される塗布型光学膜である。
光学膜12Hの膜厚は、80nm〜15μm、より好ましくは600〜1000nmとする。15μmより厚くすると、分散し切れなかった微粒子によるヘイズ成分が増大して光学膜としての機能が得られないからである。
また、光学膜12Hの屈折率は、1.70〜2.10とすることが好ましい。屈折率を2.10よりも高くすると、微粒子の分散性が不充分となって光学膜としての機能が損なわれる。また、屈折率を1.70よりも低くすると、光学膜12Lを積層した場合の反射特性が十分ではなくなり、スクリーンとしての特性が不充分となる。
光学膜12Lは、光学膜12Hの上に本発明の塗布型光学膜の作製方法により上記低屈折率用塗料を塗布した後に成膜される屈折率1.30〜1.69の塗布型光学膜である。光学膜12Lの屈折率は低屈折率用塗料に含まれる樹脂の種類、場合によっては微粒子の種類及び添加量などにより決まる。なお、屈折率が1.69よりも高くなると光学膜12Hとの屈折率の差が確保できず、光学膜12Hに積層した場合の反射特性が十分ではなくなり、スクリーンとしての特性が不充分となる。また、1.3よりも低い屈折率をもった膜を形成することが困難であり、屈折率1.3が製造上の下限となる。
光学膜12Lの膜厚は、80nm〜15μm、より好ましくは600〜1000nmとする。
以上の構成により、光学多層膜12は、面内及び面間の塗布型光学膜の膜厚むらが非常に少なくなるため、色目むらの目立たない光学膜積層体となる。また、赤色、緑色、青色の三波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有するようになる。なお、光学膜12H,12Lそれぞれの屈折率や厚みを調整することにより、光学多層膜12として反射する三波長帯の波長位置をシフトさせて調整することが可能であり、これによりプロジェクターから投射される光の波長に対応させた光学多層膜12とすることができる。
なお、光学多層膜12を構成する光学膜12H,12Lの層数は特に限定されるものではなく、所望の層数とすることができる。また、光学多層膜12はプロジェクター光の入射側及びその反対側の最外層が光学膜12Hとなる奇数層により構成されることが好ましい。光学多層膜12を奇数層の構成とすることにより、偶数層とした構成の場合よりも三原色波長帯域フィルターとして機能が優れたものとなる。
光学多層膜12の具体的な層数は3〜7層の奇数層とすることが好ましい。層数が2以下の場合には反射層としての機能が十分ではないためである。一方、層数が多いほど反射率は増加するが、層数8以上では反射率の増加率が小さくなり、光学多層膜12の形成所要時間をかけるほど反射率の改善効果が得られなくなるためである。
光吸収層13は、光学多層膜12、支持体11を透過した光を吸収させるためのもので、例えば、図3では支持体11の背面側(光拡散層14とは反対面)の光学多層膜12の最外層表面に黒色の樹脂フィルムを貼り付けた態様を示している。
あるいは、光吸収層13は、黒色の塗料を用いて塗布によって得られた層でもよい。
黒色の塗料として、カーボンブラック微粒子、シリカ微粒子等表面にカーボンブラックを被着させた微粒子等が挙げられる。これらの微粒子には導電性があっても良い。
また、カーボンブラック微粒子の製法は、オイルファーネス法、チャンネル法、ランプ法、サーマル法等が知られている。
黒色の塗料として、カーボンブラック微粒子、シリカ微粒子等表面にカーボンブラックを被着させた微粒子等が挙げられる。これらの微粒子には導電性があっても良い。
また、カーボンブラック微粒子の製法は、オイルファーネス法、チャンネル法、ランプ法、サーマル法等が知られている。
黒色を沈める目的の場合、微粒子の一次粒子径、分散性が塗膜としての黒色を決定する大きな要素となり、一次粒子径が小さく表面積が大きなものほど漆黒性は向上する。また、表面官能基の多いカーボンブラックは、アルキド樹脂のようにOH基やカルボキシル基など極性官能基を有するビヒクルと親和性が高く、極性の低い炭化水素系溶剤と組み合わせることにより、樹脂との濡れ性がよくなり、光沢や漆黒度が高くなる。また、上記樹脂がもつ官能基と反応性のあるイソシアネート基、カルボキシル基をもつ硬化剤を添加して、塗膜を硬化させると良い。
一般に表面官能基の量は、チャンネルカーボンの方がファーネスカーボンよりも多いが、ファーネス法でも酸化処理を施すことによって、官能基量を増やすことができる。カーボンブラックの一次粒子径は、好ましくは30nm以下であり、より好ましくは20nm以下である。粒子径が大きくなると、漆黒度が下がり、光吸収層としての性能が落ちる。
塗布方法は、スクリーン塗布、ブレード塗布、スプレー塗布等従来既知の方法で構わない。
また、膜厚は、10〜50μm程度が好ましく、より好ましくは15〜25μmである。膜厚が10μmよりも小さい場合には、とくにスプレー塗布の場合に漆黒度が低下してしまう。一方、膜厚が50μmよりも大きい場合には、塗膜が脆くなり、クラックが発生し易くなる。
光拡散層14は、光学多層膜12上に透明樹脂を塗布し、エンボス加工、ビーズコート処理によって表面に凹凸を設ける。あるいは光拡散機能を有するフィルムを貼り合わせてもよい。
上記スクリーン10によって、該スクリーンへの入射光の表面散乱を抑制し、プロジェクターからの特定波長の光を反射し、外光などのそれ以外の波長領域の入射光を透過・吸収する選択反射が可能となり、スクリーン10上の映像の黒レベルを下げて高コントラストを達成するものであり、部屋が明るい状態でもコントラストの高い映像を表示することが可能となる。例えば、グレーティング・ライト・バルブ(GLV)を用いた回折格子型プロジェクターのようなRGB光源からの光を投射した場合にスクリーン10上で広視野角で、かつコントラストが高く、外光の映り込みのない良好な映像が鑑賞できるようになる。
すなわち、スクリーン10に入射する光は、光拡散層14で表面散乱することなく透過し、光学多層膜12に到達し、当該光学多層膜12にて入射光に含まれる外光成分は透過されて光吸収層13で吸収され、映像に関わる特定波長領域の光のみ選択的に反射され、その反射光は光拡散層14の表面にて拡散され視野角の広い画像光として視聴者に供される。したがって、上記反射光である画像光への外光の影響を高いレベルで排除することができ、従来にない高コントラスト化が可能となる。
本発明に係る反射型スクリーン10は例えば以下に示す工程で製造すればよい。
(S11)支持体11としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、図1に示す浸漬塗布装置を使用して本発明の塗布型光学膜の作製方法における塗布・乾燥工程の条件で当該支持体11の主面に高屈折率用塗料を所定量塗布し、乾燥を行う。
(S12)塗膜に紫外線を照射して硬化させ、所定膜厚の光学膜12Hを形成する。
(S13)ついで、図1に示す浸漬塗布装置を使用して本発明の塗布型光学膜の作製方法における塗布・乾燥工程の条件で、光学膜12H上に低屈折率用塗料を所定量塗布し、乾燥を行う。
(S14)その塗膜を加熱乾燥し、所定膜厚の光学膜12Lを形成する。これにより、光学膜12Hと光学膜12Lとの積層構成となる。
(S15)ついで、支持体11の最外層にある光学膜12L上にステップS11と同じ塗布・乾燥条件で高屈折率用塗料を用いた塗膜を形成する。
(S16)塗膜に紫外線を照射して硬化させ、所定膜厚の光学膜12Hを形成する。以降、ステップS13〜S16までの処理を所定回数行い、支持体11上に光学多層膜12を形成する。
(S11)支持体11としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、図1に示す浸漬塗布装置を使用して本発明の塗布型光学膜の作製方法における塗布・乾燥工程の条件で当該支持体11の主面に高屈折率用塗料を所定量塗布し、乾燥を行う。
(S12)塗膜に紫外線を照射して硬化させ、所定膜厚の光学膜12Hを形成する。
(S13)ついで、図1に示す浸漬塗布装置を使用して本発明の塗布型光学膜の作製方法における塗布・乾燥工程の条件で、光学膜12H上に低屈折率用塗料を所定量塗布し、乾燥を行う。
(S14)その塗膜を加熱乾燥し、所定膜厚の光学膜12Lを形成する。これにより、光学膜12Hと光学膜12Lとの積層構成となる。
(S15)ついで、支持体11の最外層にある光学膜12L上にステップS11と同じ塗布・乾燥条件で高屈折率用塗料を用いた塗膜を形成する。
(S16)塗膜に紫外線を照射して硬化させ、所定膜厚の光学膜12Hを形成する。以降、ステップS13〜S16までの処理を所定回数行い、支持体11上に光学多層膜12を形成する。
(S17)光学多層膜12の最外層表面に低屈折率の透明接着剤(EPOXY TECHNOLOGY社製EPOTEK396)を塗布し、その上に板形状の光拡散層層14の凹凸の有る面とは反対面を接触面として搭載した後に当該接着剤を硬化させて光学多層膜12と光拡散層14とを貼り合わせる接着層とする。
(S18)支持体11の裏面に黒色の光吸収剤を含有した樹脂を塗布し、光吸収層13を形成し、本発明に係る反射型スクリーン10とする。
(S18)支持体11の裏面に黒色の光吸収剤を含有した樹脂を塗布し、光吸収層13を形成し、本発明に係る反射型スクリーン10とする。
なお、本発明に係るスクリーンとして、支持体のおもて面に上記と同じ構成の光学多層膜が形成され、その光学多層膜の最外層表面に光機能性拡散板が形成され、支持体の裏面に光吸収層が形成された構成としてもよい。このスクリーンでも、プロジェクターからの特定波長の光を反射し、外光などのそれ以外の波長領域の入射光を透過・吸収することによりスクリーン上の黒レベルを下げて高コントラストを達成することが可能である。
(実施例1)
実施例1で使用した高屈折率用塗料の組成と製造方法及び塗布型光学膜の作製方法を以下に示す。
(1)高屈折率用塗料
・微粒子:TiO2微粒子
(石原産業社製、平均粒径約20nm、屈折率2.48)100重量部(2.02wt%)
・分散剤:SO3Na基含有分子
(重量平均分子量:500、SO3Na基濃度:2×10−3 mol/g)
20重量部(0.40wt%)
・結合剤:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物
(日本化薬社製UV硬化性樹脂、商品名DPHA) 30重量部(0.61wt%)
・溶媒:メチルイソブチルケトン(MIBK) 4800重量部(96.97wt%)
まず微粒子、分散剤、溶媒を所定量混合し、ペイントシェーカーで分散処理を行いTiO2微粒子分散液を得た。ついで、該分散液に結合剤を添加し、攪拌機にて攪拌処理を行い、塗料流体性がニュートリアンの高屈折率用塗料とした。
実施例1で使用した高屈折率用塗料の組成と製造方法及び塗布型光学膜の作製方法を以下に示す。
(1)高屈折率用塗料
・微粒子:TiO2微粒子
(石原産業社製、平均粒径約20nm、屈折率2.48)100重量部(2.02wt%)
・分散剤:SO3Na基含有分子
(重量平均分子量:500、SO3Na基濃度:2×10−3 mol/g)
20重量部(0.40wt%)
・結合剤:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物
(日本化薬社製UV硬化性樹脂、商品名DPHA) 30重量部(0.61wt%)
・溶媒:メチルイソブチルケトン(MIBK) 4800重量部(96.97wt%)
まず微粒子、分散剤、溶媒を所定量混合し、ペイントシェーカーで分散処理を行いTiO2微粒子分散液を得た。ついで、該分散液に結合剤を添加し、攪拌機にて攪拌処理を行い、塗料流体性がニュートリアンの高屈折率用塗料とした。
(2)塗布型光学膜の作製方法
図1に示す浸漬塗布装置を使用し、塗布槽102に塗料102Lとして上記高屈折率用塗料を満たした。また、支持体11主面と塗布槽102壁面との距離dを6mmとした。
図1に示す浸漬塗布装置を使用し、塗布槽102に塗料102Lとして上記高屈折率用塗料を満たした。また、支持体11主面と塗布槽102壁面との距離dを6mmとした。
支持体11として主面の対角長さが42インチのPETフィルムを用いて、本発明の塗布型光学膜の作製方法に従い塗布型光学膜を作製した。すなわち、つぎの作製手順で行った。
(S21)昇降機構103に支持体11をセットした後、ブース101内を密閉する。
(S22)昇降機構103により支持体11を降下させて、塗布槽102の塗料102L中に浸漬する。
(S23)支持体11を塗料102L液面から420mm/minの速度(塗布速度)で引き上げながら、該支持体11上に塗料102Lを付着させて塗膜を形成する。
(S24)同時にステップS23で形成された塗膜から有機溶媒を蒸発させ、塗膜の乾燥を行う。
(S25)支持体11が基準位置に戻り塗布・乾燥工程が終了する。
(S26)つぎに塗膜を紫外線(UV)硬化(1000mJ/cm2)させ、所定膜厚の塗布型光学膜を形成したサンプルを得た。
(S21)昇降機構103に支持体11をセットした後、ブース101内を密閉する。
(S22)昇降機構103により支持体11を降下させて、塗布槽102の塗料102L中に浸漬する。
(S23)支持体11を塗料102L液面から420mm/minの速度(塗布速度)で引き上げながら、該支持体11上に塗料102Lを付着させて塗膜を形成する。
(S24)同時にステップS23で形成された塗膜から有機溶媒を蒸発させ、塗膜の乾燥を行う。
(S25)支持体11が基準位置に戻り塗布・乾燥工程が終了する。
(S26)つぎに塗膜を紫外線(UV)硬化(1000mJ/cm2)させ、所定膜厚の塗布型光学膜を形成したサンプルを得た。
(3)評価方法
(I)せん断速度
塗布中におけるせん断速度は、シミュレーションにより求めた。シミュレーションは、フルーエント株式会社製のソフトである、GAMBIT、POLUFLOWを用いて行った。ここでは、塗布槽102の深さを20cm、タンク幅を任意に変化させた場合、支持体11を各塗布速度で引き上げた場合の塗料の上昇速度を2次元で計算し、せん断速度を見積もった。
(II)膜厚
また、得られたそれぞれのサンプルごとに、フィルメトリックス(松下インターテクノ社製)を用いて面内の9点で塗布型光学膜の膜厚を測定し、その測定値から面内膜厚の平均値dを求めた。
(III)σ/d値
前記膜厚測定値から標準偏差σを算出し、次式によりσ/dを求めた。
σ/d(%)=σ値/d×100
(IV)目視上のムラ
得られたサンプル表面を目視で観察し、サンプル面内において色目の変化が認められないものを評価良好(記号○)、色目の変化が認められるものを評価不良(記号×)とした。
(I)せん断速度
塗布中におけるせん断速度は、シミュレーションにより求めた。シミュレーションは、フルーエント株式会社製のソフトである、GAMBIT、POLUFLOWを用いて行った。ここでは、塗布槽102の深さを20cm、タンク幅を任意に変化させた場合、支持体11を各塗布速度で引き上げた場合の塗料の上昇速度を2次元で計算し、せん断速度を見積もった。
(II)膜厚
また、得られたそれぞれのサンプルごとに、フィルメトリックス(松下インターテクノ社製)を用いて面内の9点で塗布型光学膜の膜厚を測定し、その測定値から面内膜厚の平均値dを求めた。
(III)σ/d値
前記膜厚測定値から標準偏差σを算出し、次式によりσ/dを求めた。
σ/d(%)=σ値/d×100
(IV)目視上のムラ
得られたサンプル表面を目視で観察し、サンプル面内において色目の変化が認められないものを評価良好(記号○)、色目の変化が認められるものを評価不良(記号×)とした。
(実施例2,3)
実施例1において、塗布速度をそれぞれ250mm/min(実施例2),70mm/min(実施例3)に変化させ、それ以外は実施例1と同じ条件でサンプルを作製し、評価した。
実施例1において、塗布速度をそれぞれ250mm/min(実施例2),70mm/min(実施例3)に変化させ、それ以外は実施例1と同じ条件でサンプルを作製し、評価した。
(実施例4〜6)
実施例1において、支持体11主面と塗布槽102壁面との距離dをそれぞれ14mm(実施例4)、20mm(実施例5)、40mm(実施例6)と変化させ、それ以外は実施例1と同じ条件でサンプルを作製し、評価した。
実施例1において、支持体11主面と塗布槽102壁面との距離dをそれぞれ14mm(実施例4)、20mm(実施例5)、40mm(実施例6)と変化させ、それ以外は実施例1と同じ条件でサンプルを作製し、評価した。
(実施例7,8)
実施例2において、支持体11主面と塗布槽102壁面との距離dをそれぞれ14mm(実施例7)、20mm(実施例8)と変化させ、それ以外は実施例2と同じ条件でサンプルを作製し、評価した。
実施例2において、支持体11主面と塗布槽102壁面との距離dをそれぞれ14mm(実施例7)、20mm(実施例8)と変化させ、それ以外は実施例2と同じ条件でサンプルを作製し、評価した。
(比較例1,2)
実施例3において、支持体11主面と塗布槽102壁面との距離dをそれぞれ14mm(比較例1)、20mm(比較例2)と変化させ、それ以外は実施例3と同じ条件でサンプルを作製し、評価した。
実施例3において、支持体11主面と塗布槽102壁面との距離dをそれぞれ14mm(比較例1)、20mm(比較例2)と変化させ、それ以外は実施例3と同じ条件でサンプルを作製し、評価した。
(比較例3)
実施例1において、支持体11主面と塗布槽102壁面との距離dを85mmと変化させ、それ以外は実施例1と同じ条件でサンプルを作製し、評価した。
実施例1において、支持体11主面と塗布槽102壁面との距離dを85mmと変化させ、それ以外は実施例1と同じ条件でサンプルを作製し、評価した。
以上の評価結果を表1に示す。
実施例はすべてせん断速度が0.8sec-1以上となり、目視上の色目の変化が認められず良好であった。これに対して、比較例はすべてせん断速度が0.8sec-1未満となり、目視上の色目の変化が認められ不良であった。
実施例はすべてせん断速度が0.8sec-1以上となり、目視上の色目の変化が認められず良好であった。これに対して、比較例はすべてせん断速度が0.8sec-1未満となり、目視上の色目の変化が認められ不良であった。
(実施例9)
つぎの手順で反射型スクリーンを作製した。
(S31)実施例1の塗布条件のうち、実施例1における塗料102Lを以下に示す組成の低屈折率用塗料(2)(旭硝子社製 サイトップ)とし、UV硬化に代えて90℃加熱による成膜として、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、実施例1のサンプルの高屈折率の光学膜(高屈折率膜)上に、屈折率1.35の低屈折率の光学膜(低屈折率膜)を形成する。
<低屈折率用塗料(2)組成>
・末端カルボキシル基をもつパーフルオロブテニルビニルエーテルの重合体
(S32)ついで、ステップS31で形成した低屈折率膜上に実施例1と同じ条件で高屈折率膜を形成する。これにより、支持体/高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜の3層構造の光学多層膜となる。
(S33)ついで、支持体11上の一方の面に形成された光学多層膜上に粘着層を介して拡散フィルムを貼合し、支持体11の他方の面に形成された光学多層膜上に黒色塗料を塗布して光吸収層を形成して、図3に示す構成の反射型スクリーンを得た。
つぎの手順で反射型スクリーンを作製した。
(S31)実施例1の塗布条件のうち、実施例1における塗料102Lを以下に示す組成の低屈折率用塗料(2)(旭硝子社製 サイトップ)とし、UV硬化に代えて90℃加熱による成膜として、それ以外の条件は実施例1の条件と同じとして、実施例1のサンプルの高屈折率の光学膜(高屈折率膜)上に、屈折率1.35の低屈折率の光学膜(低屈折率膜)を形成する。
<低屈折率用塗料(2)組成>
・末端カルボキシル基をもつパーフルオロブテニルビニルエーテルの重合体
(S32)ついで、ステップS31で形成した低屈折率膜上に実施例1と同じ条件で高屈折率膜を形成する。これにより、支持体/高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜の3層構造の光学多層膜となる。
(S33)ついで、支持体11上の一方の面に形成された光学多層膜上に粘着層を介して拡散フィルムを貼合し、支持体11の他方の面に形成された光学多層膜上に黒色塗料を塗布して光吸収層を形成して、図3に示す構成の反射型スクリーンを得た。
得られた反射型スクリーンにプロジェクタ(ソニー(株)製HS20)から白色像を投射し、スクリーンからの反射光の色度ムラをΔEabの指標で分光放射輝度計(ミノルタ製CS1000)により測定した。ここで、ΔEabが2.5未満を良好、2.5以上を不良として判定した。
(実施例10)
実施例9における光学多層膜の積層数を支持体/高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜の5層とし、それ以外の条件は実施例9の条件と同じとして、反射型スクリーンを得た。
実施例9における光学多層膜の積層数を支持体/高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜の5層とし、それ以外の条件は実施例9の条件と同じとして、反射型スクリーンを得た。
(実施例11)
実施例9における光学多層膜の積層数を支持体/高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜の7層とし、それ以外の条件は実施例9の条件と同じとして、反射型スクリーンを得た。
実施例9における光学多層膜の積層数を支持体/高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜の7層とし、それ以外の条件は実施例9の条件と同じとして、反射型スクリーンを得た。
(比較例4)
つぎの手順で反射型スクリーンを作製した。
(S41)比較例2の塗布条件のうち、比較例2における塗料102Lを前記低屈折率用塗料(2)(旭硝子社製 サイトップ)とし、UV硬化に代えて90℃加熱による成膜として、それ以外の条件は比較例2の条件と同じとして、比較例2のサンプルの高屈折率の光学膜(高屈折率膜)上に、屈折率1.35の低屈折率の光学膜(低屈折率膜)を形成する。
(S42)ついで、ステップS41で形成した低屈折率膜上に比較例2と同じ条件で高屈折率膜を形成する。これにより、支持体/高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜の3層構造の光学多層膜となる。
(S43)ついで、支持体11上の一方の面に形成された光学多層膜上に粘着層を介して拡散フィルムを貼合し、支持体11の他方の面に形成された光学多層膜上に黒色塗料を塗布して光吸収層を形成して、図3に示す構成の反射型スクリーンを得た。
つぎの手順で反射型スクリーンを作製した。
(S41)比較例2の塗布条件のうち、比較例2における塗料102Lを前記低屈折率用塗料(2)(旭硝子社製 サイトップ)とし、UV硬化に代えて90℃加熱による成膜として、それ以外の条件は比較例2の条件と同じとして、比較例2のサンプルの高屈折率の光学膜(高屈折率膜)上に、屈折率1.35の低屈折率の光学膜(低屈折率膜)を形成する。
(S42)ついで、ステップS41で形成した低屈折率膜上に比較例2と同じ条件で高屈折率膜を形成する。これにより、支持体/高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜の3層構造の光学多層膜となる。
(S43)ついで、支持体11上の一方の面に形成された光学多層膜上に粘着層を介して拡散フィルムを貼合し、支持体11の他方の面に形成された光学多層膜上に黒色塗料を塗布して光吸収層を形成して、図3に示す構成の反射型スクリーンを得た。
(比較例5)
つぎの手順で反射型スクリーンを作製した。
(S51)比較例3の塗布条件のうち、比較例3における塗料102Lを前記低屈折率用塗料(2)(旭硝子社製 サイトップ)とし、UV硬化に代えて90℃加熱による成膜として、それ以外の条件は比較例3の条件と同じとして、比較例3のサンプルの高屈折率の光学膜(高屈折率膜)上に、屈折率1.35の低屈折率の光学膜(低屈折率膜)を形成する。
(S52)ついで、ステップS51で形成した低屈折率膜上に比較例3と同じ条件で高屈折率膜を形成する。これにより、支持体/高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜の3層構造の光学多層膜となる。
(S53)ついで、支持体11上の一方の面に形成された光学多層膜上に粘着層を介して拡散フィルムを貼合し、支持体11の他方の面に形成された光学多層膜上に黒色塗料を塗布して光吸収層を形成して、図3に示す構成の反射型スクリーンを得た。
つぎの手順で反射型スクリーンを作製した。
(S51)比較例3の塗布条件のうち、比較例3における塗料102Lを前記低屈折率用塗料(2)(旭硝子社製 サイトップ)とし、UV硬化に代えて90℃加熱による成膜として、それ以外の条件は比較例3の条件と同じとして、比較例3のサンプルの高屈折率の光学膜(高屈折率膜)上に、屈折率1.35の低屈折率の光学膜(低屈折率膜)を形成する。
(S52)ついで、ステップS51で形成した低屈折率膜上に比較例3と同じ条件で高屈折率膜を形成する。これにより、支持体/高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜の3層構造の光学多層膜となる。
(S53)ついで、支持体11上の一方の面に形成された光学多層膜上に粘着層を介して拡散フィルムを貼合し、支持体11の他方の面に形成された光学多層膜上に黒色塗料を塗布して光吸収層を形成して、図3に示す構成の反射型スクリーンを得た。
以上の実施例9〜11、比較例4,5の反射型スクリーンの反射率及びΔEabを表2に示す。
10・・・反射型スクリーン、11・・・支持体、12・・・光学多層膜、12H,12L・・・塗布型光学膜、13・・・光吸収層、14・・・光拡散層、100・・・浸漬塗布装置、101・・・ブース、102・・・塗布槽、102L・・・塗料、103・・・昇降装置、104・・・重密閉槽
Claims (6)
- 塗布槽内に充填されたニュートン流体である微粒子分散系の塗料中に支持体を浸漬し、前記支持体を前記塗料液面から相対的に引き上げながら該支持体上に塗料を付着させて塗膜を形成する塗布工程を含む塗布型光学膜の作製方法において、
前記塗料粘度、前記支持体の相対的引上速度、前記支持体と塗布槽壁面との距離のうち、少なくとも1つを調整して、前記支持体上の塗料のせん断速度を0.8sec-1以上とすることを特徴とする塗布型光学膜の作製方法。 - 請求項1に記載の塗布型光学膜の作製方法により形成されてなることを特徴とする塗布型光学膜。
- 請求項1に記載の塗布型光学膜の作製方法により形成され、前記塗料をTiO2またはZrO2の金属酸化物微粒子を含む高屈折率用塗料として得られる高屈折率光学膜と、
請求項1に記載の塗布型光学膜の作製方法により形成され、前記塗料をフッ素系樹脂および/またはSiO2の金属酸化物微粒子を含む低屈折率用塗料として得られる低屈折率光学膜とが積層されてなることを特徴とする光学多層膜。 - 透明支持体上に、前記高屈折率光学膜と前記低屈折率光学膜とが交互に積層された複数膜であることを特徴とする請求項3に記載の光学多層膜。
- 光源からの光を反射して画像を表示する反射型スクリーンにおいて、
請求項3または4に記載の光学多層膜と、該光学多層膜の透過光を吸収する光吸収層と、前記光学多層膜の最外層上に該光学多層膜が反射した光を拡散させる光拡散層とを備えることを特徴とする反射型スクリーン。 - ニュートン流体である微粒子分散系の塗料が満たされた塗布槽と、
支持体を前記塗布槽上で保持し、該支持体を昇降させる昇降機構とを備え、
前記昇降機構により支持体を降下させて前記塗布槽の塗料中に浸漬し、ついで前記支持体を前記塗料液面から引き上げながら該支持体上に塗料を付着させて塗膜を形成する浸漬塗布装置において、
前記支持体上の塗料のせん断速度が0.8sec-1以上となるように、前記塗料粘度、前記支持体の引上速度及び前記支持体と塗布槽壁面との距離が設定されていることを特徴とする浸漬塗布装置。
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JP2005183369A JP2007003790A (ja) | 2005-06-23 | 2005-06-23 | 塗布型光学膜およびその作製方法、光学多層膜、反射型スクリーン、並びに浸漬塗布装置 |
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JP2011237510A (ja) * | 2010-05-07 | 2011-11-24 | Nippon Kayaku Co Ltd | 誘電体多層膜及びそれを用いた光学部品 |
CN115243894A (zh) * | 2020-03-10 | 2022-10-25 | 住友化学株式会社 | 层叠光学膜 |
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2005
- 2005-06-23 JP JP2005183369A patent/JP2007003790A/ja active Pending
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EP1944519A2 (en) | 2007-01-11 | 2008-07-16 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Clutch operating device |
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