JP2007000167A - テニスボール及びテニスボールの製造方法 - Google Patents

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聡明 田中
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Abstract

【課題】コアとフェルト部との剥離強度、反発特性及び打球感が良好であるテニスボール、及び溶剤を用いることなく、フェルト部への浸透度合が適切な状態で、所定の厚みを有する接着層を作業性良好に均一に形成して、コアとフェルト部とを接合することが出来るテニスボールの製造方法の提供。
【解決手段】 テニスボール1は、コア2、接着層10及び外皮3を備える。外皮3は、メルトン部4とシーム5とからなる。接着層10は、ポリアクリル酸ナトリウムを増粘剤として0.2質量%以上5.0質量部以下含む水系接着剤をナイフコート法により、メルトンへの浸透度合が適切な状態で、所定の膜厚で均一にメルトンに塗布し、乾燥させた後、メルトン部4をコア2に貼り合わせて加硫させることにより形成される。テニスボール1は、コア2とメルトン部4との剥離強度が良好であり、反発特性及び打球感が良好である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、硬式テニスに用いられるテニスボール及びその製造方法に関する。
テニスボールは、ゴム製で中空球体であるコアと、このコアの表面を覆う外皮とから構成されている。外皮は、コアの保護、空気抵抗の適正化によるテニスボールの飛翔の安定、外観の向上及び手触り感の向上に寄与する。また、外皮は、耐久性、打球感等の基本性能を左右する。
外皮には、織りフェルト(以下、メルトンという)が用いられることが多い。メルトンは、タテ糸とヨコ糸とが織られることで構成されている。一般的なメルトンには、ヨコ糸としてナイロン繊維と羊毛とが混紡された紡績糸が用いられており、タテ糸として綿糸が用いられている。メルトンが製造される場合、まずヨコ糸及びタテ糸が織られて原反が得られる。通常は、朱子織りと称される特殊な方法によって原反が織られる。この原反に起毛加工が施され、ヨコ糸から毛羽がかき出される。さらに原反に縮絨加工が施され、毛羽同士が絡み合って緻密に固まる。こうして厚みがあり、良好な風合いのメルトンが得られる。
特開2004−89613号公報には、外皮にタテ糸及びヨコ糸が織られて構成されたメルトンが用いられており、このメルトンの目付量が660g/m以上790g/m以下であり、ヨコ糸の密度が100本/10cm以上160本/10cm以下であり、ヨコ糸が化学繊維と羊毛とが混紡されてなる紡績糸であり、化学繊維と羊毛との質量比が0.65/1以上0.85/1以下であるテニスボールの発明について開示されている。
ところで、コアとメルトンとを接着させる方法としては、両者の間に固形ゴムシートを挟んで熱と圧力とをかける方法、又は固形ゴムを有機溶剤に溶かして調製した接着剤をメルトンの接着面に塗布して溶剤を乾燥させた後、これをコアに貼り合わせて熱及び圧力をかける方法がある。前者の方法においては、所望される固形ゴムシートの厚みが非常に薄いため、シートを均一に作成するのが困難であり、通常は、後者の方法が採用されている。
その具体的な方法としては、架橋剤を含む接着剤が塗布されたコアに、加硫促進剤を含む他の接着剤を塗布し、メルトンで被覆する方法、メルトン接着面に接着剤を塗布した後、予め他の接着剤が塗られたコアと貼り合わせて仮止めし、熱と圧力とをかける方法がある。後者の方法においては、上記他の接着剤により貼り合わせ状態が良好に保持されるので、通常は、後者の方法が用いられる。
塗装の方法としては、スプレー等による吹付け、膜転写、ナイフコート法等の展べ塗りが挙げられるが、スプレーはノズルが度々詰まること、膜転写は均一な厚みの膜を作成するのに大規模な設備を要することから、簡便で管理が容易であるナイフコート法が通常、用いられている。ナイフコート法とは、接着剤を接着面に供給し、接着剤をならして塗布する展べ塗りのうち、ドクターナイフ等のナイフ(ブレード)を接着面に押し付け、接着剤をならして塗布する方法である。
特開2004−89613号公報
近年、溶剤の人体の健康及び環境への影響が問題になっており、溶剤を出来る限り使用しないことが求められている。溶剤を使用しないことにすると、固形ゴムをバルクで使用する、又は水に溶かした水系接着剤を使用することになるが、固形ゴムをバルクで使用するのは、前述したように均一に固形ゴムシートを作成するのが困難であり、膜を均一にするために大規模な設備を要するので不適切である。
水系接着剤は、前述のナイフコート法により塗布される。この場合、メルトンへの浸透度合及び付着量をコントロールするために添加剤を添加する必要があり、従来はメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びキサンタンガムが増粘剤として用いられており、その粘度及び固形分率の制御のみで、浸透度合及び付着量がコントロールされている。しかし、これらを含む接着剤は溶剤系接着剤に比べてメルトン接着面に浸透しやすく、浸透度合と付着量とがともに満足出来るようにコントロールすることが出来ないという問題がある。すなわち、浸透度合が適切である粘度にすると付着量が減少し、剥離強度が低下する。付着量が好適である粘度にすると、浸透量が多過ぎ、メルトンの柔軟性が失われて反発特性及び打球感の悪化が招かれる。
また、塗布時には、ナイフの刃先に、安定的に均一に十分量の接着剤が供給されることが必要であり、溶剤系接着剤の場合、接着剤自体がメルトンの搬送方向に引きずられて転動し、安定的に均一に十分量の接着剤が供給される。上記増粘剤を使用した水系接着剤は、粘度を下げた場合、刃先に十分量の接着剤が供給されるが、浸透度合が多過ぎることになる。粘度を上げた場合、ナイフの刃の腹に付着した接着剤が刃先まで移動しなくなって、刃先への接着剤の供給量が不足し、刃の交換や洗浄をするのが度々必要となるという問題がある。この場合において、接着剤を刃先まで送るための装置を作成するのは困難であり、高価につくので、この接着剤を工業上、使用するのは困難である。従って、上記増粘剤を含む水系接着剤を使用した場合、作業性良く、所定の厚みを有する接着層を均一に形成することが出来ないという問題がある。
以上の問題は、不織布がニードルで繰り返して突き刺され、毛羽立たされることによって得られるニードルフェルトを、テニスボールの外皮として用いる場合にも生じている。
本発明の目的は、コアと、外皮のフェルト部との間に、フェルト部への浸透度合が適切で、所定の厚みを有する接着層が介在するので、剥離強度、反発特性及び打球感が良好であるテニスボール、及び溶剤を用いることなく、フェルト部への浸透度合が適切な状態で、所定の厚みを有する接着層を作業性良好に均一に形成して、コアとフェルト部とを接合することが出来るテニスボールの製造方法の提供にある。
本発明に係るテニスボールは、
(1)中空のコア、
(2)コアを覆うフェルト部
及び
(3)フェルト部とコアとの間に介在する接着層を備えており、
接着層は、ポリアクリル酸金属塩を0.2質量%以上5.0質量%以下含む水系組成物をフェルト部に塗布してなる。
好ましくは、水系接着剤がラテックスを含む。ここで、ラテックスとは、天然ゴム又は合成ゴムが水溶液に分散したエマルジョンをいう。
本発明に係るテニスボールの製造方法は、
(1)コアを形成する工程、
(2)フェルト部の裏面に、ポリアクリル酸金属塩を0.2質量%以上5.0質量%以下含む水系組成物からなる接着剤を展べ塗りする塗布工程、
(3)展べ塗りした接着剤を乾燥させる工程、
(4)コアに、接着剤を乾燥させたフェルト部を貼り合わせる工程
及び
(5)フェルト部を貼り合わせたコアを成形型に投入し、該コアを加圧及び加熱してコアとフェルト部とを接合する工程
を有する。
好ましくは、上記塗布工程は、フェルト部の裏面に、ラテックスと、0.2質量%以上5.0質量%以下のポリアクリル酸金属塩とを含む水系組成物からなる接着剤を展べ塗りする工程である。
好ましくは、上記塗布工程は、フェルト部の裏面に、ポリアクリル酸金属塩を0.2質量%以上5.0質量%以下含む水系組成物からなる接着剤をナイフコート法により展べ塗りする工程である。
好ましくは、上記塗布工程は、フェルトの裏面に、ポリアクリル酸ナトリウムを0.2質量%以上5.0質量%以下含む水系組成物からなる接着剤を展べ塗りする工程である。
本発明に係るテニスボールの製造方法は、
(1)コアを形成する工程、
(2)コアに、架橋剤を含む接着剤を塗布する工程、
(3)フェルト部の裏面に、ラテックスと、0.2質量%以上5.0質量%以下のポリアクリル酸金属塩と、加硫促進剤とを含む水系組成物からなる接着剤を展べ塗りする工程、
(4)展べ塗りした接着剤を乾燥させる工程、
(5)コアに、接着剤を乾燥させたフェルト部を貼り合わせる工程
及び
(6)フェルト部を貼り合わせたコアを成形型に投入し、該コアを加圧及び加熱してコアとフェルト部とを接合する工程
を有する。
本発明のテニスボールは、コアとフェルト部との間に介在する接着層が、均一に、所定の厚みを有し、フェルト部への浸透度合が適切であるので、コアとフェルト部との剥離強度、反発特性及び打球感が良好である。
本発明のテニスボールの製造方法においては、フェルト部に、ポリアクリル酸金属塩を0.2質量%以上5.0質量%以下含む水系接着剤を展べ塗りする塗布工程を有するので、溶剤を用いることなく、フェルト部への浸透度合が適切で、均一に所定の厚みを有した状態で、作業性良好に、接着層がフェルト部上に形成され得る。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態にかかるテニスボール1が示された一部切り欠き断面図である。このテニスボール1は、コア2、接着層10および外皮3を備えている。コア2は中空の球体であり、架橋ゴム(すなわち弾性材料)から形成されている。コア2の厚みは通常3mmから4mmである。コア2には、大気圧に対して約80KPaの内圧がかけられている。これにより、テニスボール1に反発性能が付与される。外皮3は、フェルト部としてのメルトン部4とシーム5とからなり、コア2の表面のほぼ全体を被覆している。外皮3は、接着層10によってコア2の表面に固定されている。
図2は、図1のテニスボール1の外皮3に用いられているメルトン部4が示された平面図である。このメルトン部4は、略まゆ型である。メルトン部4が端部同士が対向するように湾曲させられ、2枚のメルトン部4が互い違いに組み合わされ、コア2の表面に貼り付けられる。2枚のメルトン部4の接合部分には、シーム5が形成されている。
コア2は、ゴム組成物が架橋されることによって形成されている。好適な基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリクロロプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体及びアクリルゴムが例示される。これらのゴムの2種以上が併用されてもよい。好ましい基材ゴムは、天然ゴム、ポリブタジエン及びスチレン−ブタジエン共重合体である。反発性能、強度及びコストの観点から、天然ゴムが特に好ましい。
ゴム組成物の架橋形態は特には制限されないが、通常は硫黄架橋が採用される。硫黄の配合量は、ゴム100質量部に対して0.5質量部以上5.0質量部以下であるのが好ましい。配合量が上記範囲未満であると、コア2の強度が不十分となることがある。この観点から、配合量は1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上が特に好ましい。配合量が上記範囲を超えると、テニスボール1の打球感が損なわれることがある。この観点から、配合量は4.5質量部以下がより好ましく、4.0質量部以下がさらに好ましく、3.5質量部以下が特に好ましい。
強度向上、比重調整等の目的で、ゴム組成物に充填剤が配合されてもよい。好適な充填剤としては、酸化亜鉛、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ及びカーボンブラックが例示される。
ゴム組成物には、必要に応じ、加硫促進剤、架橋助剤、軟化剤、補強剤、老化防止剤、着色剤、加工助剤等が配合されてもよい。
図3は、図2のメルトン部4が示された模式的な拡大断面図である。この図において上側がメルトン部4の表側であり、下側がメルトン部4の裏側(コア2に貼り付けられたときにコア2と当接する側)である。メルトン部4は、タテ糸6とヨコ糸7とが織られることによって構成されている。織り組織は、通常は8枚朱子織りである。もちろん、4枚朱子織り、5枚朱子織り、6枚朱子織り、7枚朱子織り等の織り組織であってもよい。タテ糸6には、綿糸が用いられている。ヨコ糸7には、化学繊維と羊毛とが混紡された紡績糸が用いられている。ヨコ糸7には、起毛加工によって毛羽8が生じている。
ヨコ糸7に用いられる化学繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維等のポリエステル繊維及びレーヨン繊維が例示される。2種以上の化学繊維が併用されてもよい。適度な強度を備えかつ安価に入手が可能であるとの観点から、ナイロン繊維が特に好ましい。なお、メルトン部4の目付量は、450g/m 以上900g/m 以下の範囲内で、所望されるテニスボールの寿命に対応させて決定される。
接着層10は、ラテックス、増粘剤、加硫促進剤及び加硫助剤を含む水系接着剤を乾燥させ、加硫してなる。ラテックスとしては、接着後の強度を確保するという観点から天然ゴムラテックスが好ましい。ラテックスには、ゴム固形分が30質量%以上70質量%以下含まれるのが好ましい。天然ゴムラテックスの具体例としては、タイのUNIMAC(株)が生産する商品名「UNIMAC LATEX LA」が挙げられる。
水系接着剤には、増粘剤として、ポリアクリル酸金属塩が含まれる。ポリアクリル酸金属塩は、アクリル酸の重合体の金属塩である。このポリアクリル酸金属塩としては、ナトリウム塩、及びカリウム塩が挙げられるが、ナトリウム塩の方が、ナイフコート法により水系接着剤をメルトンに塗布するときに適切に転動するので好ましい。ポリアクリル酸ナトりウムの具体例としては、(株)日本触媒の商品名「アクアリックDLシリーズ」、「アクアリックHシリーズIH」、「アクアリックHシリーズFH」及び「アクアリックHシリーズMH」が挙げられる。適切な粘度が得られるという観点から、「アクアリックHシリーズFH」が好ましい。
ポリアクリル酸金属塩の含有量は、水系接着剤全体に対して0.2質量%以上5.0質量%以下とされる。ポリアクリル酸金属塩の含有量の下限は、好ましくは0.4質量%、さらに好ましくは0.6質量%であり、上限は、好ましくは4.0質量%、さらに好ましくは3.5質量%である。
ポリアクリル酸金属塩の含有量が0.2質量%未満であると、ナイフコート法により水系接着剤をメルトンに塗布するときに、水系接着剤のメルトンへの浸透量が多くなり、ナイフの刃先への水系接着剤の供給量が不足して造膜性が悪くなる。ポリアクリル酸金属塩を含む水系接着剤は短時間であれば「はじく」性質があり、この水系接着剤がメルトンにしみ込む前に水系接着剤を乾燥させ、媒体の水を蒸発させるように工程を設定することで、「はじく」性質を利用することが出来るが、ポリアクリル酸金属塩の含有量が0.2質量%未満であると「はじく」性質が乏しく、メルトンへの浸透量が多くなる。メルトンへの浸透量が多いとナイフとメルトンとの間に存在する滑剤の量が少ないことになり、膜が作られにくくなる。
一方、ポリアクリル酸金属塩の含有量が5.0質量%を超えると、「はじく」性質が大きくなってメルトンへの浸透量が少なくなり、剥離強度が低下することになる。
水系接着剤に、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びキサンタンガムを配合して、浸透度合及び付着量を調整することにしてもよい。メチルセルロースの具体例としては、信越化学(株)の商品名「メトローズ 90SH100000」が挙げられ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの具体例としては、日本製紙ケミカル(株)の商品名「サンローズ F1400MC」が挙げられる。
加硫促進剤としては、強度及びスコーチの観点からジチオカルバミン酸塩系のものが好ましく、中でもEZ(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)が好ましい。具体例としては、大内新興化学工業(株)製の商品名「ノクセラーEZ」がある。加硫促進剤は、ゴム成分(固形分)100質量部に対して0.5質量部以上4.0質量部以下添加されるのが好ましい。
加硫助剤としては酸化亜鉛が好ましい。加硫助剤は、ゴム成分100質量部に対して1.0質量部以上5.0質量部以下添加されるのが好ましい。
水系接着剤に、比重調整等の目的で充填剤が添加されてもよい。充填剤としては炭酸カルシウム、シリカ等があり、充填剤はゴム成分100質量部に対し20質量%以下で添加されるのが好ましい。
加硫剤は、コア2側に、加硫剤としてのイオウを含む接着剤が塗布される場合は不要であるが、コア2側に上記接着剤が塗布される場合において添加されてもよい。添加される場合は、ゴム成分100質量部に対して0.2質量部以上3.0質量部以下添加されるのが好ましい。
以下に、テニスボール1の製造方法について説明される。まず、コア2用の上記ゴム組成物が配合、混練りされて、押出機により押し出され、ストランドが所望の質量毎にカットされて、プラグが得られる。このプラグが、凸型部及び凹型部で構成される、ハーフシェル用金型に投入される。プラグが金型内で加圧、加熱されて、碗状のハーフシェルが得られる。
得られたハーフシェルは、縁部が研磨され、研磨粉が除去された後に、上記ゴム組成物を溶剤に溶かして調製された接着剤が塗布される。一方のハーフシェルに、塩化アンモニウム及び亜硝酸ナトリウムのタブレット並びに水が投入された状態で、ハーフシェルが2個貼り合わされる。これがコア用金型に投入され、加硫されて、コア2が得られる。加硫時に上記タブレット及び水が加熱され、塩化アンモニウムと亜硝酸ナトリウムとの間に化学反応が生じる。この化学反応によって窒素ガスが発生し、コア2に内圧が負荷される。内圧は、他の手段によって負荷されてもよい。新品段階でのコア2の内圧と大気圧との差は、通常は60KPa以上120KPa以下である。新品段階の内圧とは、加圧された容器に収納されて通常の流通経路で販売され、容器が開封された直後のテニスボール1の内圧を意味する。
コア2は、通常は、表面が研磨された後、天然ゴムラテックス、イオウ及び酸化亜鉛を含む接着剤が塗布される。この接着剤は塗布しなくてもよい。但し、塗布する方が、この接着剤中のイオウが上記水系接着剤中の加硫促進剤と反応して架橋し、コア2とメルトン部4との接合が堅固になるので、好ましい。
一方で、メルトンの裏面に、上記水系接着剤がナイフコート法により塗布される。図4は、メルトン11に水系接着剤12が塗布される状態が示された一部拡大断面図である。図4において、シート状のメルトン11に、ドクターナイフ13が押し付けられている。水系接着剤12は、メルトン11の搬送先のドクターナイフ13の刃先手前に供給され、ドクターナイフ13によりならされている。ポリアクリル酸金属塩の水溶液は糸引き性を有するので、水系接着剤12は糸引き性を有しており、水系接着剤12をメルトン11に塗布するときに、水系接着剤12は切れにくく、膜状になりやすい。水系接着剤12は、スムースにかつ部分的に滞留することなく、ドクターナイフ13の刃先に流れ込んで、転動する。本実施形態においては、水系接着剤12が糸引き性を有しており、ドクターナイフ13の刃先に均一に十分量供給されるので、メルトン11への水系接着剤12の浸透度合が適切であって、千切れることなく、均一に所定量の厚みを有した状態で、水系接着剤12がメルトン11に塗布される。これにより得られるテニスボール1は、外皮3下の硬さが均一になる。
水系接着剤12は、これがメルトン11に染みこむ前に乾燥させられ、水分が蒸発する。その後、メルトン11はまゆ型に裁断されて、メルトン部4が形成される。メルトン部4の大きさ、及び形状は適宜選択される。メルトン部4の側面(裁断面)に、シーム接着剤としての白ゴムが塗布された後、二枚のメルトン部4がコア2に貼り合わされる。これが、テニスボール用金型に投入され、加熱、加圧されて、テニスボール1が得られる。なお、メルトン11が、まゆ型に裁断されて、メルトン部4が形成された後、その裏面に水系接着剤12が塗布されることにしてもよい。また、シーム接着剤は、着色剤により所定の色に調整されたゴム組成物がナフサ等の有機溶剤に溶解され、これに、多数枚が重ね合わされたメルトン部4が浸漬されて、メルトン部4の側面に付着されるものであってもよい。
以下、実施例に基づき本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
天然ゴム100質量部、クレー60質量部、酸化亜鉛(三井金属工業(株)の商品名「亜鉛華1号」)5質量部、ステアリン酸1質量部、イオウ1質量部及び加硫促進剤としてのジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学工業(株)の商品名「ノクセラーEZ」)1質量部からなるゴム組成物を混練りし、押出機により押し出して、所望の質量毎にカットして、プラグを得た。このプラグをハーフシェル用金型に投入し、150℃で2分、加硫して、ハーフシェルを得た。
得られたハーフシェルには、縁部を研磨し、研磨粉を除去した後に、上記ゴム組成物を溶剤に溶かして調製した接着剤を塗布した。そして、一方のハーフシェルに、上記タブレット及び水が投入された状態で、ハーフシェルを2個貼り合わせた。これを直径60mmのコア用金型に投入し、150℃で7分、加硫して、コアを得た。コアには、表面を研磨した後に、天然ゴムラテックス160質量部(固形分換算で100質量部)、イオウ1質量部、酸化亜鉛(三井金属工業(株)の商品名「亜鉛華1号」)3質量部の組成物からなる接着剤を塗布した。
天然ゴムラテックス(UNIMAC(株)の商品名「UNIMAC LATEX LA」:固形分62.5質量部)160質量部、ポリアクリル酸ナトリウム((株)日本触媒の商品名「アクアリックHシリーズFH」)1質量部、メチルセルロース(信越化学(株)の商品名「メトローズ 90SH10000D」)5質量部、水420質量部、酸化亜鉛(三井金属工業(株)の商品名「亜鉛華1号」)3質量部、及び加硫促進剤としてのジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学工業(株)の商品名「ノクセラーEZ」)2質量部からなる、下記の表1に示される組成の水系接着剤を調製し、この水系接着剤をナイフコート法によりメルトンに2回、塗布した。次に、メルトンを図2に示されるようなまゆ型のメルトン部に打ち抜いた後、メルトン部の側面に白ゴムを塗り、2枚のメルトン部をコアの表面に自動貼り合わせ機により貼り合わせた。これをテニスボール用金型内で、135℃で10分加硫し、実施例1のテニスボールを得た。
Figure 2007000167
[実施例2から20及び比較例1から4]
水系接着剤の組成を上記の表1、下記の表2及び表3に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2から14及び比較例1から4のテニスボールを得た。
[比較例5」
天然ゴム(固形)100質量部、ゴム揮発油420質量部、酸化亜鉛(三井金属工業(株)の商品名「亜鉛華1号」)5質量部、及び加硫促進剤としてのジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学工業(株)の商品名「ノクセラーEZ」)2質量部からなる溶剤系接着剤を調製し、この溶剤系接着剤をメルトンに塗布する他は、実施例1と同様にして、比較例5のテニスボールを得た。
Figure 2007000167
Figure 2007000167
[浸透度合の測定]
浸透度合は、水系接着剤又は溶剤系接着剤を塗布し、乾燥させたメルトンを切断し、切断面を顕微鏡により拡大観察して深さを測定することにより求めた。この結果が、上記の表1、表2及び表3に示されている。
[剥離強度の測定]
テニスボールを解体して、幅25mm、長さ100mmの試験片に切り出し、メルトン部及びコアの端部を手で剥がして、それぞれの端部を引張試験機のチャックで掴んで引っ張り、剥がれたときの強度を測定した。測定により得られる応力−歪み曲線の上側ピークの平均値と下側ピークの平均値との平均値を、剥離強度として採用した。この結果が、上記の表1、表2及び表3に示されている。
[打球感の評価]
10人のプレーヤーにテニスボールを打たせて、打球感を評価させた。「打球感がよい」と回答したプレーヤーの数が8人以上の場合を「A」とし、4人以上7人以下の場合を「B」とし、3人以下の場合を「C」とした。「打球感がよい」とは、具体的には「球離れがよい」かつ「弾みがよい」状態をいう。この結果が、上記の表1、表2及び表3に示されている。
比較例1のテニスボールは、水系接着剤中のポリアクリル酸ナトリウムの含有量が少ないので、実施例より浸透度合が大きくなり、打球感が劣っている。比較例2のテニスボールは、ポリアクリル酸ナトリウムの含有量が多いので、水系接着剤がメルトン部からはじかれて、浸透度合が小さくなり、剥離強度が劣っている。また、付着量が少なく、打球感も劣る。比較例3及び比較例4のテニスボールは、水系接着剤がポリアクリル酸ナトリウムを含有しないので、千切れることなく、均一に接着剤を塗布させるために、付着量が多くなり、浸透度合も大きくなって、打球感が劣っている。水系接着剤の浸透度合が大きい場合、メルトン部がFRRのようにごわごわになり、弾まなくて重たい打球感となる。そして、この水系接着剤は、メルトン部の内部にしみ込み、メルトン部とコアとの間に介在する量が少ないので、剥離強度が小さくなる。各実施例のテニスボールは、全ての評価項目において優れている。比較例5のテニスボールは、評価内容は実施例と同等であるが、接着剤が溶剤を含有するので、人体の健康及び環境への影響上、使用するのは不適切である。
本発明は、ニードルフェルトを用いたテニスボールにも適用可能であり、また、フェルトに、ローラー、へら等による展べ塗りによりに水系接着剤を塗布する場合にも適用可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係るテニスボールが示された一部切り欠き断面図である。 図2は、図1のテニスボールの外皮のメルトン部が示された平面図である。 図3は、図2のメルトンが示された模式的な拡大断面図である。 図4は、メルトンに水系接着剤が塗布される状態が示された一部拡大断面図である。
符号の説明
1・・・テニスボール
2・・・コア
3・・・外皮
4・・・メルトン部
5・・・シーム
6・・・タテ糸
7・・・ヨコ糸
8・・・毛羽
10・・・接着層
11・・・メルトン
12・・・水系接着剤
13・・・ドクターナイフ

Claims (7)

  1. 中空のコアと、該コアを覆うフェルト部と、該フェルト部とコアとの間に介在する接着層とを備えており、
    該接着層は、ポリアクリル酸金属塩を0.2質量%以上5.0質量%以下含む水系組成物をフェルト部に塗布してなるテニスボール。
  2. 上記水系組成物が、ラテックスを含む請求項1に記載のテニスボール。
  3. コアを形成する工程と、
    フェルト部の裏面に、ポリアクリル酸金属塩を0.2質量%以上5.0質量%以下含む水系組成物からなる接着剤を展べ塗りする塗布工程と、
    展べ塗りした接着剤を乾燥させる工程と、
    上記コアに、接着剤を乾燥させたフェルト部を貼り合わせる工程と、
    上記フェルト部を貼り合わせたコアを成形型に投入し、該コアを加圧及び加熱してコアとフェルト部とを接合する工程と
    を有するテニスボールの製造方法。
  4. 上記塗布工程が、フェルト部の裏面に、ラテックスと、0.2質量%以上5.0質量%以下のポリアクリル酸金属塩とを含む水系組成物からなる接着剤を展べ塗りする工程である請求項3に記載のテニスボールの製造方法。
  5. 上記塗布工程が、フェルト部の裏面に、ポリアクリル酸金属塩を0.2質量%以上5.0質量%以下含む水系組成物からなる接着剤をナイフコート法により展べ塗りする工程である請求項3又は4に記載のテニスボールの製造方法。
  6. 上記塗布工程が、フェルト部の裏面に、ポリアクリル酸ナトリウムを0.2質量%以上5.0質量%以下含む水系組成物からなる接着剤を展べ塗りする工程である請求項3から5のいずれかに記載のテニスボールの製造方法。
  7. コアを形成する工程と、
    該コアに、架橋剤を含む接着剤を塗布する工程と、
    フェルト部の裏面に、ラテックスと、0.2質量%以上5.0質量%以下のポリアクリル酸金属塩と、加硫促進剤とを含む水系組成物からなる接着剤を展べ塗りする工程と、
    展べ塗りした接着剤を乾燥させる工程と、
    上記コアに、接着剤を乾燥させたフェルト部を貼り合わせる工程と、
    上記フェルト部を貼り合わせたコアを成形型に投入し、該コアを加圧及び加熱してコアとフェルト部とを接合する工程と
    を有するテニスボールの製造方法。
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