JP2006517385A - 遺伝子型特定のための方法および組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、標的核酸から得られた興味の改変ヌクレオチドを、既知の比率で、その興味の改変ヌクレオチド周囲の配列を含め、または、含まずにアンプリコンに組み込むための、5‘タグを有する増幅プライマーの使用を含めた、プライマー伸長反応を実行するための組成物および方法を提供する。本発明は、標的核酸から生成された、また、5’タグから生成された改変ヌクレオチドを特定すること、これらの結果を比較すること、プライマー伸長反応の効率を評価すること、および、このような反応の効率を監視することを実現する。本発明は、ヌクレオチドの取り込み効率に影響を及ぼす可能性のあるDNA配列および実験変数の関与の程度を明らかにし、かつ、多型の解釈のための基準点を提供する。本発明はまた、スクラピー耐性ヒツジ集団の繁殖法を提供する。

Description

本出願は、2002年8月2日出願、名称「スクラピー座位における複数対立遺伝子を特定するための組成物および方法(Compositions and Methods for Identifying Multiple Alleles at the Scrapie Locus)」なる米国仮出願第60/400,533号、および、2002年12月20日出願、名称「プライマー伸長反応および多型検出反応を実行するための方法および組成物(Methods and Compositions for Conducting Primer Extension and Polymorphism Detection Reactions)」なる米国特許出願第10/328,150号の登録日の利益を主張するものである。なお、これらの全開示を、引用することにより本開示に含めることとする。
(発明の背景)
過去20年間に渡るバイオテクノロジー分野における広範な進歩により、全ての生物種のゲノム特性の特定および考究のために新しい有望な道が切り開かれてきた。具体的には、核酸合成および配列決定における進歩は、ゲノミクス科学の誕生をもたらした。高処理配列決定技術により、ヒトゲノムを含む各種ゲノムのマッピングのような重要な成果を挙げることができた。大量のDNAの配列を急速に決定できるようになると共に、ゲノム特性の大規模な分析が可能となった。現在では技術が発達し、遺伝型における個体ベースまたは集団ベースの変動に与るゲノムの特質を特定し、その性質を明らかにすることが可能となり、その知見は、ある任意の疾患に対する個体の感受性の特定、遺伝子またはゲノムにおける対象となる特性の特定、および、病態を招くか、または、促進する遺伝的特性の特定のような応用にも利用が可能となっている。個体間および集団間におけるゲノム変動を明らかにする過程の内もっとも有望なものとして、遺伝的多型の分析および特性究明がある。
多型とは、異なる生物種間に見られるゲノムの変動、例えば、一つの生物種の中の成員間に見られる、一つの生物種の中の集団間または下位集団間に見られる、または、一つの生物種の中の個体間に見られる、ゲノム変動に関する。このような変動は、問題のゲノムの特定座位における核酸配列の差として発現される。これらの差は、例えば、ゲノムにおけるヌクレオチドの、または、ヌクレオチド集団の、欠失、付加または挿入、再編成、または、置換を含む。
多型の一つの重要なタイプは一塩基多型(SNP、スニップ)である。一塩基多型、すなわち、DNA配列において単一のヌクレオチド塩基が個体間で変動する多型は、300塩基対に付き約1回から、1000塩基対に付き約1回までの頻度で起こる。スニップは、遺伝子のコード領域の内部でも外部でも起こり得る。例えば、多種のガン、高血圧、心臓病および糖尿病を含めた多くの疾患が、ヒト人口中の小集団におけるSNPが、または、SNPの集合が基礎となっている変異の結果であると考えられている。現在、ゲノミクスの焦点の一つは、スニップおよびスニップ群の特定およびそれらの性質を明らかにすること、および、スニップが、医学的および/または薬理遺伝学的な表現形質にどのように関わっているのかを明らかにすることにある。
ゲノムの中の多種類の多型を決定する、または、スコアリングするために様々の方法が開発されている。これらの方法は、多種類のゲノム多型に応用が可能であるが、特にスニップを決定する、または、スコアリングするのに利用が可能である。
多型検出のための一つの好ましい方法は、酵素支援プライマー伸長を用いる。SNP−IT(商標)(Goelet,P等、国際公開WO92/15712および米国特許第5,888,819および6,004,744号によって開示される、なお、上記のそれぞれ全部を引用することにより本明細書に含める)は、標的核酸配列の所定の多型部位におけるヌクレオチドを特定するのに好ましい方法である。従って、この方法は、広範な多型の決定用として一般的な応用性を持つものではあるが、特にスニップスコアリングには好適である。SNP−IT(商標)とは多型部位問い合わせであるが、この方法では、標的核酸配列の多型部位周辺のヌクレオチド配列情報を用いて、標的ポリヌクレオチドの多型部位の改変ヌクレオチドに直近ではあるが、その改変ヌクレオチドを含まない領域に対して相補的なプライマーを設計する。このプライマーを、多くの場合1種以上の鎖停止ヌクレオシド三リン酸前駆物質(または好適な類縁体)の存在下に、標識された単一ターミネーターヌクレオチド、例えば、ジデオキシヌクレオチドにより、ポリメラーゼを用いて伸長させる。このようにして、SNP−IT(商標)プライマーに共有的に付着された検出可能なシグナルまたは部分が生成される。
SNP−IT(商標)のある実施態様では、オリゴヌクレオチドプライマーは、伸長反応前に、固相支持体に結合される。別の実施態様では、伸長反応は溶液の中で実行され、次に、その伸長産物は固相支持体に結合される。SNP−IT(商標)の別の実施態様では、プライマーは検出可能となるように標識され、伸長ターミネーターヌクレオチドは、その伸長したプライマー産物の固相支持体への結合を可能とするように修飾される。
リガーゼ/ポリメラーゼ介在性遺伝子ビット分析法(米国特許第5,679,524および5,952,174号、両者を引用することにより本明細書に含める)は、多型部位のヌクレオチドを特定するための、好適なポリメラーゼ介在性プライマー伸長法のもう一つの例である。リガーゼ/ポリメラーゼSNP−IT(商標)では2本のプライマーを利用する。一般に、一方のプライマーは検出可能となるように標識され、他方は、固相支持体に結合するように設計される。リガーゼ/ポリメラーゼSNP−IT(商標)の別の実施態様では、伸長したヌクレオチドが検出可能となるように標識される。リガーゼ/ポリメラーゼSNP−IT(商標)におけるプライマーは、同じ鎖の多型部位のそれぞれの側にハイブリダイズするように設計され、この多型部位を含むギャップが生ずるようにする。伸長反応が上手くいき、その後にライゲーション反応が上手くいった時にのみ検出可能なシグナルが生成される。この方法は、ハイブリダイゼーションまたはプライマー伸長単独を用いた方法に比べて、背景が相当に低レベルの場合でもシグナルを生成するという利点を有する。
標的ポリヌクレオチドにおける指定の多型部位におけるヌクレオチドを特定するための、さらに別の方法がSoederlund等(米国特許第6,013,431号、この全開示を引用することにより本明細書に含める)によって記載される。この別法では、標的核酸配列の多型部位周囲のヌクレオチド配列情報を利用して、標的の多型部位における改変ヌクレオチド(単複)に隣接はするが、それを含まない領域に対して相補的なプライマーを設計する。この方法のある実施態様では、分離後、標的ポリヌクレオチドを、問い合わせプライマーに対するハイブリダイゼーション前に、好適な任意の手段で増幅することが可能である。このプライマーは、ポリメラーゼを用いて、多くの場合、少なくとも1種の標識デオキシヌクレオチドおよび1種以上の鎖停止ヌクレオシド三リン酸前駆物質(または好適な類縁体)から成る混合物の存在下に、伸長される。この標識されたデオキシヌクレオチドがプライマーに取り込まれる際に検出可能なシグナルが発せられる。
スニップ情報を用いる研究は多くの場合大規模であるために、スニップ検出は速やかで、高処理し易く、かつ、信頼性が高くなければならない。多型検出アッセイの結果や、SNP応用による特定に対して信頼性の高い解釈を与えることは、特に、多様な高処理プロトコールを用いる場合には、重要な考慮事項となる。プライマー伸長反応産物の正確な定量は、結果を解釈する一つの方法である。
上記に鑑み、多型の検出および特定の分野では、増幅の確認を実現し、多型の正確な検出と特定を実現し、かつ、反応産物について、個別的なまたは同時的な定量分析を可能とするシステムが求められている。さらにまた、診断アッセイを模倣するコントロール反応を類似の条件下で実行し、そうすることによって、甲のヌクレオチドの取り込み効率を乙のヌクレオチドに対して優勢とする因子が、アッセイ結果の解釈に及ぼす影響を抑えることを可能とする、特に、多重化応用においてそれを可能とするアッセイが求められている。
(発明の要旨)
一つの実施態様では、本発明は、プライマー伸長反応の実行法であって、不変のヌクレオチドによって隣接される改変ヌクレオチドを有する標的核酸配列を増幅することによって、標的配列から生成される配列と第1鎖増幅プライマーから生成される配列とを有するアンプリコンを入手すること、その際、増幅条件下で標的核酸に実質的にハイブリダイズすることが不可能な5‘タグを含む第1鎖増幅プライマーが用いられ、かつ、5’タグは標的核酸の改変ヌクレオチドを含み、また、第2鎖増幅プライマーを用いること;プライマー伸長反応に前記アンプリコンを用いること、その際、標的核酸から生成される配列中の改変ヌクレオチドの正体は、第1特定プライマーを、標的核酸から生成される配列中の改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズさせることによって特定され;第2特定プライマーを、増幅プライマーから生成される配列中の改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズさせること;1種以上のヌクレオチド類および一つの重合剤の存在下に第1および第2特定プライマーを伸長させること;標的核酸から生成される改変ヌクレオチドの正体を特定すること;および、第1特定プライマーの伸長産物と第2特定プライマーの伸長産物とを比較することを含む、プライマー伸長反応の実行法を含む。
別の実施態様では、本発明は、プライマー伸長反応を実行する法であって、1頭以上の個体から得られた標的核酸を含むサンプルを入手すること;5‘方向では不変のヌクレオチドによって隣接され、3’方向では不変のヌクレオチドによって隣接されるトランスバージョンである改変ヌクレオチドを有するサンプル中の核酸を増幅することによって、サンプルから生成された配列と、タグ付き第1鎖増幅プライマーから生成される配列とを有するアンプリコン集団を入手すること、その際、サンプル中の標的核酸と実質的にハイブリダイズすることが不可能な5‘タグを含む、タグ付き第1鎖プライマーが使用され、かつ、前記5’タグは、その両脇を未改変ヌクレオチドによって挟まれる改変ヌクレオチドを含み、第2鎖増幅プライマーが使用され;プライマー伸長反応において前記アンプリコン集団を用いること、その際、サンプルから生成される配列中の改変ヌクレオチドの正体は、第1特定プライマーを、サンプルから生成される配列中の改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズすることによって特定され;第2特定プライマーを、増幅プライマーから生成される配列中の改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズさせること;1種以上のヌクレオチド類および一つの重合剤の存在下に第1および第2特定プライマーを伸長させること;サンプルから生成される改変ヌクレオチドの正体を特定すること;および、第1特定プライマーの伸長産物と第2特定プライマーの伸長産物とを比較すること、を含むプライマー伸長反応の実行法を含む。
別の実施態様では、本発明は、少なくとも2種の増幅プライマーを用いるプライマー伸長の実行法であって、未改変ヌクレオチドによって隣接される改変ヌクレオチドを含む標的核酸を入手すること;前記未改変ヌクレオチドによって隣接される改変ヌクレオチドを含む5‘タグを有する第1増幅プライマーを、標的核酸にハイブリダイズさせること、その際、5’タグは、標的核酸に対して実質的にハイブリダイズ不可能であり、かつ、第2増幅プライマーを標的核酸にハイブリダイズさせること;および、少なくとも1種以上のヌクレオチド類および一つの重合剤の存在下に増幅プライマーを伸長させること、を含むプライマー伸長の実行法を含む。
別の実施態様では、本発明は、組成物であって、標的核酸に対してハイブリダイズすることが可能な領域を有する1本のプライマーで、標的核酸は1個の改変ヌクレオチドと1個の未改変ヌクレオチドとを含み、プライマーはさらに、標的核酸の前記改変ヌクレオチドと前記未改変ヌクレオチドとを有する5‘タグ領域を含み、かつ、5’タグ領域は、標的核酸の増幅に好適な条件下において、標的核酸に実質的にハイブリダイズ不可能であることを特徴とするプライマーを含む組成物を含む。
別の実施態様では、本発明は、プライマー伸長反応において鎖ターミネーターのプライマーへの取り込み効率を監視する方法であって、標的核酸の混合サンプルからアンプリコンの集団を生成すること、その際、アンプリコン集団は複数の配列を既知の比率で含み;鎖ターミネーターを用い、かつ、前記複数の配列に対して特異的なプライマーの集団を用いて、アンプリコンの集団に対してプライマー伸長反応を実行すること;鎖ターミネーターが前記既知の比率でプライマー集団に取り込まれる、その取り込み効率を検出・測定し、それによってプライマー伸長反応における、鎖ターミネーターのプライマーへの取り込み効率を監視すること;既知の比率における鎖ターミネーターの取り込み効率に関して得られた情報を用いて、未知の比率を持つ多型への標的とされるプライマーに対するこれら鎖ターミネーターの観察された取り込み効率を解釈すること、を含む監視法を含む。
さらに別の実施態様では、本発明は、プライマー伸長反応を実行する方法であって、1頭以上の個体から得られた標的核酸を含むサンプルを入手すること;改変ヌクレオチドを有するサンプル中の核酸を増幅することによって、サンプルから生成された配列と、タグ付き第1鎖増幅プライマーから生成される配列とを有するアンプリコン集団を入手すること、その際、サンプル中の標的核酸と実質的にハイブリダイズすることができない5‘タグを含む、タグ付き第1鎖プライマーが使用され、かつ、5’タグは前記改変ヌクレオチドを含み、第2鎖増幅プライマーが使用され;プライマー伸長反応において前記アンプリコン集団を用いること、その際、サンプルから生成される配列中の改変ヌクレオチドの正体は、第1特定プライマーを、サンプルから生成される配列中の改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズすることによって特定され;第2特定プライマーを、増幅プライマーから生成される配列中の改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズさせること;1種以上のヌクレオチド類および一つの重合剤の存在下に第1および第2特定プライマーを伸長させること;サンプルから生成される改変ヌクレオチドの正体を特定すること;および、第1特定プライマーの伸長産物と第2特定プライマーの伸長産物とを比較することを含む、プライマー伸長反応の実行法を含む。
本発明はまた、スクラピー耐性ヒツジの繁殖法を含む。
本発明を、これ以上の、他の利点および実施態様を含めてさらによく理解するために、実施例と組み合わせて下記の説明を参照されたい。なお、これらの範囲は、付属の特許請求項に記載される。
本発明の好ましい実施態様は、例示と説明のために選ばれたものであって、いかなる意味でも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明のいくつかの局面における好ましい実施態様が、この添付の図面に示される。
(好ましい実施態様の詳細な説明)
本発明は、プライマー伸長反応、核酸増幅反応および多型特定反応を実行するための方法および組成を提供する。さらに、本発明は、多型の、高処理多重検出を監視する方法および組成物を提供する。
(フランキング)
フランキングという用語は、興味の部位に隣接する、少なくとも1種の対合しないヌクレオチド塩基を含む。好ましくは、この1種以上の対合しないヌクレオチド塩基は興味の部位の直近である。もっとも好ましくは、フランキングとは、興味の部位の直近である。従って、5‘側において、不変のヌクレオチドにフランクされる改変ヌクレオチドとは、この不変のヌクレオチドは、改変ヌクレオチドの5’方向の配列においてまさに直ぐ次のヌクレオチドである配列を述べていることになる。同様に、3‘側において不変のヌクレオチドによってフランクされる改変ヌクレオチドとは、この不変のヌクレオチドは、改変ヌクレオチドの3’方向の配列においてまさに直ぐ次のヌクレオチドである配列を述べていることになる。
(改変ヌクレオチド)
改変ヌクレオチドとは、ある任意の座位において、一つの集団の中の個体内で、または、個体間で変動することが知られているヌクレオチドを意味する。好ましくは、集団は、任意の属および種の、複数の個体を含む。改変ヌクレオチドという用語は、ヌクレオチド配列における多型を含むことを意味する。多型部位は、集団において大きな変動を示すこともあり、また、集団の1%以下でしか変動しないこともある。多型は、一つの個体内部ではヘテロかホモかどちらかである。ホモ接合性個体は、相同染色体の1個以上の対応座位に同一対立遺伝子を有する。ヘテロ接合性個体は、相同染色体の1個以上の対応座位に異なる対立遺伝子を有する。本明細書で用いる場合、対立遺伝子とは、遺伝子のコード領域の内側か、外側か、そのいずれかであって、イントロン、エキソン、および、未転写または未翻訳領域を含む、遺伝子または核酸配列の別形態を含む。ある特定の遺伝子の対立遺伝子は、一般に、相同染色体の同じ場所を占める。従って、多型は異種とも呼ばれる。なぜなら、多型の存在によって、一つの種の中のあるもの達は、ある配列を持つ遺伝子(例えば、野生型対立遺伝子)を帯び、一方、別のもの達は、変異配列(例えば、突然変異対立遺伝子)を持つことがあるからである。もっとも単純な場合、配列の内ただ一つの変異変異しか存在しないが、この多型は二塩基異種性と呼ばれる。例えば、一つの座位における二つの対立遺伝子が区別されない場合(例えば、A/A)、この個体は、対象の座位においてホモ接合性であると言われる。もしも一つの座位における二つの対立遺伝子が区別されるものであれば(例えば、A/G)、この個体は、対象の座位においてヘテロ接合性であると言われる。既知の一塩基多型の圧倒的多数は二塩基異種性である。すなわち、対象とする特定の座位において、二つの異なる塩基が存在する。個体という用語は、ヒトを含めた、しかし、ヒトだけに限定されない全ての種の個体を含む。改変ヌクレオチドは、様々のやり方で起こり得るが、改変ヌクレオチドという用語は、例えば、突然変異、挿入、欠失、フレームシフト等によって変動するヌクレオチドを含むことが意図される。もっとも好ましくは、改変ヌクレオチドは一塩基多型である。
(未改変ヌクレオチド)
未改変ヌクレオチドとは、ある任意の集団の個体間で、任意の座位において変動しないヌクレオチドである。もっとも好ましくは、未改変ヌクレオチドは、一つの集団の個体間で決して変動しない。一つの集団の個体は好ましくは、ヒト集団におけるヒト個体のように、同じ属および種から成る。
(タグ)
5‘タグという用語の意味するものは、プライマーの5’末端で始まり、プライマーの3‘方向にしばらく延びるが、標的核酸配列に対しては実質的にハイブリダイズ不可能なヌクレオチド配列である。増幅プライマーの場合、5’タグは、標的核酸配列の増幅を支持するのに十分な条件下では、標的核酸配列に対して実質的にハイブリダイズ不可能でなければならない。タグは、非相補性塩基であってもよく、あるいは、プライマー配列が、その使用目的のために、標的鎖の配列とハイブリダイズするのに十分な相補性を持つものであるならば、比較的長い配列として、そのプライマーの中に分散させることも可能である。好ましくは、5‘タグは、標的核酸に対してほとんど、または、全く相補性を持たない。もっとも好ましくは、5’タグは、標的核酸に対して相補性を持たない。しかしながら、5‘タグを別とすると、もっとも好ましい実施態様におけるプライマーは、最適結果を得るためには、ハイブリダイズする標的核酸(単複)の不変領域に対して完全な相補性を持っていなければならない。従って、本発明において用いられる両プライマーは、その配列が実質的に相補的であり、用いる特定の条件下において、標的ヌクレオチド配列と、2本鎖構造またはハイブリッドを形成することが可能である。この一般規則に対する例外は、増幅条件下で、標的核酸と実質的にハイブリダイズ不可能である増幅プライマーの5’タグ領域、および、特定用プライマーの伸長を妨げないように、アンプリコンまたはアンプリコン集団に実質的にハイブリダイズ不可能な特定用プライマーの5‘タグ領域である。未改変ヌクレオチドに隣接する標的核酸の不変配列が既知である場合、従来技術に通常の錬度を有する当業者には、それらの配列に対して実質的にハイブリダイズ不可能な配列を選択する方法、従って、増幅または特定反応のいずれも妨げない5’タグの設計を可能とする方法の利用が可能である。好ましくは、5‘タグは、標的核酸に対して、約1%未満から約30%を越えない相補性を示す。さらに好ましくは、5’タグは、標的核酸配列に対して約1%未満から約25%を越えない相補性を示す。もっとも好ましくは、5‘タグは、標的核酸配列に対して約1%から約5%を越えない相補性を示す。5’タグが、標的核酸の不変または改変ヌクレオチドを全く含まないように設計されている場合、その5‘タグは、標的核酸に対して全く相補性を示すことはできない。
(相補性)
ある核酸分子は、別の核酸分子−または、それ自体−に対して、完全な配列的相補性を示す場合、その別の核酸分子の相補体と呼ばれる。本明細書で用いる場合、分子同士の内の一方の各ヌクレオチドが、他方のヌクレオチドと塩基対を形成することが可能な場合、この分子同士は完全な相補性を示すと言われる。実質的に相補的であるとは、ある核酸分子が、少なくとも通例の低厳密度条件下で、別の核酸分子−またはそれ自体−に対してアニールすることを可能とするほど十分な安定度を持ってハイブリダイズする能力を指す。同様に、分子同士が通例の高厳密度条件下で互いにアニールしたままの状態を維持するほど十分な安定度を持ってハイブリダイズする場合、その分子同士は相補的であると言われる。通例の厳密度条件は、例えば、Sambrook、J.,et al.,in Molecular Cloning,a Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,New York(1989)(引用することにより本明細書に含める)に記載される。イオン濃度および温度の厳密度に及ぼす作用の説明が、PCR Primer:A Laboratory Manual,Diffenbach and Dveksler(Eds),Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,New York(1995)(引用することにより本明細書に含める)に見出される。従って、完全な相補性からの逸脱は、その逸脱が、分子同士の、2本鎖構造またはハイブリッドを形成する能力を阻害するものでない限り、容認し得る。好ましくは、プライマー(複)は、5‘タグを含まない領域において、それらがアニールするように設計されている標的核酸領域に対して80から100%の相補性を表していなければならない。さらに好ましくは、プライマー(複)は、5‘タグを含まない領域において、それらがアニールするように設計されている標的核酸領域に対して90から100%の相補性を表していなければならない。もっとも好ましくは、プライマー(複)は、5‘タグを含まない領域において、それらがアニールするように設計されている標的核酸領域に対して100%の相補性を表していなければならない。
(プライマー伸長)
プライマー伸長とは、鋳型依存的なやり方で、1個以上のヌクレオチド分の、オリゴヌクレオチドプライマーの伸長を含む。この1個以上のヌクレオチドは、1個以上の鎖ターミネーターであっても、アシクロターミネーターであっても、非鎖停止ヌクレオチドおよび/またはその類縁体等であってもよい。このヌクレオチドまたはその類縁体が何であれ、それは、鋳型依存的なやり方で、重合剤によって、プライマーに付加が可能でありさえすればよい。好ましくは、増幅プライマーが伸長する場合、ヌクレオチドは全て4種のデオキシヌクレオチド、dATP、dGTP、dTTPおよびdCTPである。好ましくは、特定プライマーが伸長する場合、1種以上の標識チェーンターミネーターが使用される。好ましい増幅法は、ポリメラーゼ連鎖反応のような、熱的に安定な重合剤を用いた増幅である。熱的に安定なポリメラーゼを用いるための増幅条件は従来技術においてよく知られる。
好ましい実施態様では、増幅後、好ましくは特定プライマーの使用前に、反応混合物を調製する。この目的を達成するために多くの方法が従来技術で知られている。例えば、反応混合液に存在する全てのデオキシヌクレオチドを不活性化する1種以上のフォスファターゼでその混合液を処理し、1種以上のヌクレアーゼを添加して単一鎖プライマーを除去し、次に、特定工程の前にフォスファターゼおよびヌクレアーゼを分離または活性化し、その他、当業者に既知の方策を実行することである。次に、特定プライマーおよび重合剤を、好ましくは、蛍光標識したターミネーターと共に添加し、プライマー伸長を起こさせる。一旦プライマー伸長が起こったならば、反応産物を、好ましくは、毛細管ゲル電気泳動を用いて蛍光検出器により分析する。この装置は、プライマーを、質量:電荷比に基づいて分離するので、検出プライマーの特定は、展開されたプライマーの分布を蛍光で検査することによって確認することが可能である。
多型部位を検出する好ましい方法では、酵素支援プライマー伸長を使用する。SNP−IT(商標)(Goelet,P.et al.,および米国特許第5,888,819および6,004,744号に開示される、なお、この全体を引用することにより本明細書に含める)は、標的核酸配列における所定の多型部位のヌクレオチドを特定するための好ましい方法である。従って、SNP−IT(商標)は、広範な多型の決定用として一般的に応用可能であるものの、スニップ集計には特に好適である。SNP−IT(商標)とは多型部位問い合わせ法であるが、この方法では、標的核酸配列の多型部位周辺のヌクレオチド配列情報を用いて、標的ポリヌクレオチドの多型部位の改変ヌクレオチドに直近ではあるが、その改変ヌクレオチドを含まない領域に対して相補的なプライマーを設計する。標的ポリヌクレオチドは生物サンプルから分離して、問い合わせプライマーにハイブリダイズさせる。分離後、この標的ポリヌクレオチドを、問い合わせプライマーにハイブリダイズさせる前に、何らかの適当な手段によって増幅してもよい。このプライマーを、多くの場合1種以上の鎖停止ヌクレオシド三リン酸前駆物質(または好適な類縁体)の存在下に、標識された単一ターミネーターヌクレオチド、例えば、ジデオキシヌクレオチドにより、ポリメラーゼを用いて伸長させる。それによって検出可能なシグナルが発せられる。
多型部位のヌクレオチドを特定するための、また別の好適なポリメラーゼ介在性プライマー伸長法としてリガーゼ/ポリメラーゼ介在性遺伝ビット分析法(米国特許第5,679,524および5,952,174号がある、なお、これら両方を引用することにより本明細書に含める)がある。リガーゼ/ポリメラーゼSNP−IT(商標)は、2本のプライマーを利用する。一般に、一方のプライマーは検出可能となるように標識され、他方は、固相支持体に固定するように設計される。リガーゼ/ポリメラーゼSNP−IT(商標)の別の実施態様では、伸長したヌクレオチドが検出可能となるように標識される。リガーゼ/ポリメラーゼSNP−IT(商標)におけるプライマーは、多型部位のそれぞれの側にハイブリダイズし、多型部位を含むギャップが生ずるように設計される。伸長反応が上手く行き、その後で連結反応が上手く行った場合にのみ検出可能なシグナルが生成される。この方法は、ハイブリダイゼーションまたはプライマー伸長のみを用いる方法に比べて、背景雑音が相当に低い条件下でシグナルを生成するという利点を提供する。
標的ポリヌクレオチドの多型部位のヌクレオチドを特定する、また別の方法がSoederlund等(米国特許第6,013,431号、なお、この全開示を引用することにより本明細書に含める)によって記載されている。この方法では、標的核酸配列の多型部位周辺のヌクレオチド配列を用いて、標的ポリヌクレオチドの、多型部位に対して3‘末端に隣接するが、標的ポリヌクレオチドの多型部位の改変ヌクレオチド(単複)は含まない領域に対して相補的であるオリゴヌクレオチドプライマーを設計する。標的ポリヌクレオチドを生物サンプルから分離し、問い合わせプライマーにハイブリダイズさせる。この方法のいくつかの実施態様では、分離後、問い合わせプライマーとのハイブリダイゼーション前に、この標的ポリヌクレオチドは何らかの好適な手段によって増幅される。このプライマーを、多くの場合少なくとも1種の鎖停止ヌクレオシド三リン酸前駆物質(または好適な類縁体)から成る混合物の存在下に、ポリメラーゼを用いて伸長させる。標識されたデオキシヌクレオチドがプライマーに取り込まれることによって検出可能なシグナルが生成される。
プライマー伸長反応が行われたならば、伸長、および、未伸長特定プライマー(もしあれば)は、互いに分離および/または識別され、それによって、問い合わせされる1個以上の対立遺伝子の多型部位を特定することが可能になる。核酸の分離は、従来技術で既知のいずれの方法でも実行が可能である。挿入染料、例えば、臭化エチジウムを抱えるDNA2本鎖の検出を含む方法もあれば、その構造が既知または未知の、特定の配列を検出する、および/または、オリゴヌクレオチド分子を分離または捕捉するハイブリダイゼーション法もあれば、従来技術でよく知られたブロッテイング法と組み合わせたハイブリダイゼーション法もある。ハイブリダイゼーション法は、従来技術でよく知られた他の分離技法、例えば、固相捕捉、例えば、タグ捕捉アレイによるタグ付きオリゴヌクレオチドの分離、ハプテン結合オリゴヌクレオチドによって免疫アフィニティービーズに捕捉させ、次にこれに磁性を帯びさせることによる分離法と組み合わせてもよい。固相捕捉技法としてはまた、オリゴヌクレオチドが相補配列を有する固定オリゴヌクレオチドによって捕捉されるDNAアフィニティークロマトグラフィーも挙げられる。特定のポリヌクレオチドタグを、遺伝子工学的に、オリゴヌクレオチドプライマーに導入し、固定された相補配列とのハイブリダイゼーションによって分離するようにしてもよい。このような固相捕捉技法としてはまた、ストレプトアビジン被覆ビーズ(磁気的、または、非磁気的)による、ビオチニル化オリゴヌクレオチドの捕捉が挙げられる。DNAはまた、より伝統的な方法、例えば、遠心、電気泳動法または沈殿法または表面堆積法によって分離することも可能である。この方法は、変異位置が、差別的に標識された蛍光停止性ヌクレオチドを用いて問い合わせされる場合、また、未伸長のオリゴヌクレオチドは標識されないままに留まり、そのために、質量:電荷比に基づいて分離される蛍光分子を検出するための電気泳動プラットフォーム上では事実上不可視である場合に、特に利用が可能である。特に、伸長または未伸長のプライマーが溶液相に存在する場合はそうである。溶液という用語は、溶媒に懸濁する粒子も含む。溶液は、水性成分であっても、有機性成分であっても、水性と有機性の両成分を含んでいてもよい。
SNP−IT(商標)のある実施態様では、プライマーは、伸長反応前に固相支持体に結合される。また別の実施態様では、伸長反応は溶液の中(例えば、試験管またはマイクロウェルの中)で実行され、その後で伸長産物を固相支持体に結合させる。SNP−IT(商標)のある別の実施態様では、プライマーを検出可能となるように標識し、かつ、伸長したターミネーターヌクレオチドを修飾して、伸長プライマー産物を固相支持体に結合可能とさせる。このようなものの実例としては、プライマーを蛍光的に標識し、ターミネーターヌクレオチドをビオチン標識ターミネーターヌクレオチドとし、かつ、固相支持体を、アビジンまたはストレプトアビジンでコートする、または、誘導体形成する場合が挙げられる。従って、このような実施態様では、伸長プライマーは固相支持体に結合することが可能であり、非伸長プライマーは固相支持体に結合することができない。そのために、伸長反応が上手くできたかどうかに応じて検出可能なシグナルが生成されることになる。
好ましくは、増幅反応は多重化され、2種以上、または、最大100以上の多型配列が、同じ反応容器において同時に増幅される。好ましくは、特定反応も多重化される。好ましくは、プライマー伸長は、増幅反応(単複)と同じ反応において、好ましくはその後に実行される。実行される増幅反応は、エキソヌクレアーゼIおよび小エビアルカリフォスファターゼのような薬剤による処理によって、または、篩い分けろ過のような物理的処理によって、そのまま放置すれば、プライマー伸長反応を妨げたり、その進行を阻止する可能性のある、増幅反応のいくつかの成分を除去するようにしてもよい。
(重合剤)
重合剤とは、鋳型依存的なやり方でプライマーを伸長させることが可能な薬剤である。重合剤は、ウィルス、細菌、古細菌、真菌、マイコプラスマ、前核細胞および真核細胞を含む様々な生物から単離またはクローンされる。好ましい重合剤としてはポリメラーゼが挙げられる。より好ましいのは、生理的な温度よりも高い温度、例えば、50℃から70℃、または、少なくとも90℃から約95℃の温度に対して耐性を示し、かつ、その温度で活性を示すポリメラーゼである。好ましいポリメラーゼとしては、T.aquaticusから得られたTaq(商標)(ABI,フォスターシティー、カリフォルニア州から市販されている)、Sequenase(商標)およびThermosequenase(商標)(U.S.Biochemical、クリーブランド、オハイオ州から市販)、および、Exo(−)ポリメラーゼ(New England Biolabs,ビバリー、マサチューセッツ州から市販)が挙げられる。その他、熱安定性を示すポリメラーゼであれば、どのポリメラーゼであっても、例えば、Thermus aquaticus、Thermus brocianus、Thermus thermophilus、Thermus flavus、Thermococcus litoralis、および、Thermogata maritimeを含むThermus種から得られたポリメラーゼ、および、Pyrococcus furiosus、Pyrococcus sp.GB−D、および、Pyrococcus woeseiを含むPyrococcus種から得られたポリメラーゼであっても使用が可能である。生物学的に活性なタンパク分解性断片、組み換えポリメラーゼ、遺伝子工学的に加工されたポリメラーゼ活性を有する酵素、および、改変ポリメラーゼも、重合剤の定義に含まれる。本発明では、様々な生物種・起源由来の各種ポリメラーゼを、面倒な実験を要することなく使用が可能であることを理解しなければならない。
(標的核酸)
本発明は、変異核酸および未変異核酸を含む標的核酸配列を獲得することを含む。標的核酸は、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド分子に対してハイビリダイズする能力に関して生物的活性を有することが好ましい。標的核酸配列は、DNAまたはRNA、1本鎖または2本鎖、または、DNA/RNAハイブリッド2本鎖のいずれであってもよい。標的核酸配列はポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドであってもよい。好ましい標的核酸配列は、検出を容易にするために、40から約2000ヌクレオチド長である。ある状況下では、例えば、既知の擬似遺伝子を有する核酸配列領域において多型を分析する場合では、最大数十kbに上る例外的に長い標的核酸分節が必要とされることがある。また、擬似遺伝子ではなく、遺伝子特異的な増幅プライマーの選択を可能とするために長いアンプリコンが必要とされる。大きな標的核酸配列は、従来技術で既知の方法によって、例えば、音波処理のような機械的または流体力学的せん断法によって、または、制限酵素またはヌクレアーゼ等の酵素法によって切断または断片化してもよい。次に、これらの短くなった分節をさらに断片化して、興味の改変ヌクレオチド(単複)を含むさらに短い配列を、余分の配列と分離するようにしてもよい。そうしないと、これら余分の配列は、改変ヌクレオチドの分析の際に邪魔な副次的反応に関わることがあるからである。このような断片化DNAの回収法は従来技術においてよく知られており、例えば、ゲル電気泳動、HPLC、および、捕捉配列へのハイブリダイゼーションを用いる技術が挙げられる。
標的核酸配列は単離されたものであっても、生物サンプルから得られたものであってもよい。本明細書で用いる単離という用語は、本明細書で記述するプライマー伸長反応に実質的に干渉する可能性のある、標的核酸配列と連結している可能性のある、細胞核由来でない、タンパク質、脂質、炭水化物、またはその他の細胞性雑物、または、培養基のようなその他の物質を実質的に含まない状態を指す。単離という用語は、上記の物質の完全な不在を指すことを意図するものではない。また、この単離という用語は、水、バッファーまたは塩のような安定化剤についても、それらが本発明の方法を実質的に妨げるものでない限り、一般にそれらの不在を指すことを意図するものでもない。本明細書で使用するサンプルという用語は、DNAまたはRNAまたはDNA/RNAハイブリッドのいずれであれ、興味の核酸を含む、または含むと予想される、全ての物質を指す。サンプルは、植物、および、ヒトを含む動物を含む、どのような供給源から得られたものであってもよい。一般に、このような物質は、血液サンプル;組織サンプル;個体から直接得た細胞または培養継代細胞;植物;酵母;真菌類;マイコプラスマ;ウィルス;古細菌;新鮮、固定、凍結、または、パラフィンまたはその他の固定剤に包埋させた組織切片または頬部粘膜;法医学サンプル、例えば、単一個体または二人以上の個体から、単独で、または、非生物物質に付着または混合した状態で得られる生物組織、のような形を取る。好適サンプルの一つの例は、EDTAのような抗凝固剤を入れた採取装置に収集した静脈血である。このようなサンプルは、例えば、アルカリ溶解による鋳型調製に応じる。他の種類のサンプルもアッセイ可能であるが、別の、または、広範な鋳型調製、例えば、フェノール/クロロフォルム抽出、高い塩濃度の存在下においてシリカ基質上でのDNAの捕捉、または、その他の方法等を要求することがある。多種多様な物質から核酸を回収または単離するために、多くの方法が当業者にとって既知である。
標的核酸は、好ましくは、1個以上の個体から抽出したゲノムDNA、例えば、法医学的調査、父性テスト、農作物遺伝子型テスト、または、薬理遺伝学アッセイを実行する際に得られるようなゲノムDNAから直接、または、それから誘導されたものである。本発明の薬理遺伝学的運用は、例えば、個体のゲノムから得られた標的の、または、興味の核酸配列における1個以上の改変ヌクレオチドの特定と関連する表現型特徴を予測する、または、決定するのに使用が可能である。この表現型特徴は、例えば、ある特定の病態に対する、個体の感受性、1種以上の病的状態に対する個体の予後、治療処方および薬剤に対する、個体の予想される反応等であってもよい。しかしながら、標的核酸は、必ずしもゲノムDNAである必要はない。実際、本発明では、他の形のDNA、例えば、cDNA、またはcDNAライブラリーも使用が可能である。実際、改変ヌクレオチドを有する、または、有すると予想され、かつ、プライマー伸長反応において増幅される可能性のある、事実上全ての核酸が、本発明において使用するのに好適である。ある好ましい実施態様では、標的核酸配列は、法医学サンプルから得られる。
標的核酸は、2本鎖DNA、RNAまたはその他の核酸の内の、上流鎖核酸または下流鎖核酸のいずれかから得られた、または、誘導されたものであってもよい。上流鎖核酸は、プラス鎖またはセンス鎖核酸を含む。下流鎖核酸は、上流鎖の標的核酸に対して相補的なマイナスまたはアンチセンス鎖を含むことが意図される。従って、いずれかの鎖について言及する場合であっても、他方の変異核酸を含み、かつ、プライマーは、一方の鎖または両鎖にハイブリダイズするように設計される。これは、変異核酸は、例えば、ある遺伝子のコード鎖の変異核酸の特定を明らかにすることを目的とした、例えば、増幅・特定プライマーを用いることによって、改変ヌクレオチドそれ自体を特定または検出することも可能であり、あるいは、例えば、その遺伝子の、対応非コード鎖における改変ヌクレオチドの特定を明らかにする目的とした増幅・特定プライマーを用いることによって特定することも可能だからである。これは、ワトソンクリック塩基対における相補性による。従って、当業者であれば、特定用プライマーばかりでなく、改変ヌクレオチドまたはその相補体を特定するための増幅・特定用プライマーの設計が可能であること、および、増幅プライマー(単複)のタグ(単複)もそれに応じて設計が可能であることが認識されよう。
標的核酸は、コード領域内の配列に限定されることを意図するものではなく、少なくとも1個の変異核酸を含む、ゲノムの任意の領域または任意の部分を含んでよい。ゲノムという用語は、ヒトを含めた動物や植物に見られる複雑なゲノムの他に、それによりもはるかに単純で小型の核酸供給源、例えば、ウィルス、ウィロイド、および、その他の、核酸を含む任意の生物物質に見られる核酸をも含むことが意図される。分析に好適な核酸配列の一つの例として、プリオンタンパクをコードする、牛PrP遺伝子のコード配列内から得たアンプリコンが挙げられる。PrP遺伝子のタンパク産物は既知の異性体を有するが、これらはPrP遺伝子配列における変化としてアッセイすることが可能である。1個以上の変異核酸を含むアンプリコンは、本明細書に記述される本発明にとって好適な鋳型となる。好ましくは、標的核酸は一塩基多型を含む。
標的核酸配列、またはその断片(単複)は、未改変ヌクレオチドによって隣接される改変ヌクレオチドを含む、または、前記ヌクレオチドに対して遠位か近位かいずれかに位置するヌクレオチドおよび配列を含む。改変ヌクレオチドは、天然の、または誘発の突然変異、欠失、挿入、再編成、反復配列、塩基修飾、または、核酸配列における単一のまたは複数の塩基変化であってもよいし、または、それらから発生したものであってもよい。このような変化と、より優勢な、または、正常な配列が、一つの集団内で共存することがある。ある場合においては、これらの変化は、種に対して、または、種内の個体に対して利益も不利益ももたらさず、その配列の複数の対立遺伝子が、安定した、または、擬似的安定状態にあることがある。一方またある場合には、これらの配列変化は、種に対して生存上の、または、進化上の利益をもたらし、従って変異配列または対立遺伝子が、時の経過と共に最終的には、その種の多くの、または、大部分の成員のゲノムの中に組み込まれることもある。また別のある場合には、この変異配列または対立遺伝子は、突然変異が、ある個体に対して、遺伝疾患または欠損症の病因と成る、または、罹り易くさせる場合のように、種に対して不利益をもたらすことがある。本明細書で使用する突然変異または多型部位という用語は、一つの種の内の数名の成員間において、一つの種の内の一つの集団において、または、種間において見られる、任意の配列における1個以上の改変ヌクレオチドを指す。このような突然変異または多型としては、一塩基多型(SNP)、1個以上の塩基の欠失、または、1個以上の塩基の挿入が挙げられるが、ただしそれらに限定されない。
(アンプリコン)
本明細書で用いる場合のアンプリコンとは、鋳型、1種以上のヌクレオチドおよび鋳型依存性重合剤の存在下にプライマーを用いて核酸を生成する場合のポリメラーゼ連鎖反応の産物を含む。プライマー伸長反応のアンプリコン産物は典型的には2本鎖である。アンプリコンが2本鎖である場合、アンプリコンを生成するために用いられるプライマーは同一であり(すなわち、上流鎖プライマーは全て互いに同一であり、下流プライマーは全て互いに同一である)、アンプリコンに導入されたプライマーから生成された配列は、得られたアンプリコン集団の各アンプリコン分子において同一である。ただし、同一プライマーが、ヘテロ接合体である、改変ヌクレオチドを含む標的DNAの領域を増幅する場合はこれに該当しない。アンプリコンを生成するために使用されるプライマーが同一でない場合(すなわち、上流プライマー同士が必ずしも同一ではなく、および/または、下流プライマー同士が必ずしも同一ではない)、アンプリコンは、分子から成る1集団、または、アンプリコンから成る1集団であって、その集団では、得られたアンプリコン内においてプライマーから生成される配列は、改変ヌクレオチドを全く含まない標的DNAの領域を、非同一プライマーが増幅する状況下でも、同一とはならない。この状況は、異なる5‘タグを有するプライマーを用いた場合に生じる。本発明は、プライマー伸長反応を実行するに際しこの現象を利用する。本明細書でアンプリコンという用語を用いる場合、個々のアンプリコン分子から成る集団を指すことが意図される。このような集団は、それぞれの場合に応じて、互いに同一である、実質的に同一である、または、同一でない複数のアンプリコンを含んでいてよい。非同一アンプリコン集団は、非同一プライマーを用いることによって、および/または、改変ヌクレオチドを含む標的DNAを増幅することによって生成される。
アンプリコンは、例えば、5‘タグ付きプライマーを採用することによって、その内部にプライマー配列を導入させてもよい。このような配列は、例えば、プライマーの5’末端に用いることによってアンプリコンに導入することが可能である。プライマーの5‘末端に導入したこの配列を本明細書では5’タグと呼ぶことにする。アンプリコンのどちらか片側鎖または両鎖は、アンプリコンの上流プライマーと下流プライマーどちらか片方または両方がそのようなタグを抱えることに応じて、上記配列を有してよい。さらに、アンプリコンは、5‘タグの特性が異なる複数のプライマーを用いた結果として生成される、複数のアンプリコンから成る集団であってもよい。複数のアンプリコンから成るこのような集団のメンバーは、複数の5’タグを用いた結果生成される配列、および、標的核酸(単複)を鋳型として用いた結果生成される配列を含む。一つのアンプリコンにおいて、増幅プライマーによって生成される配列とは、5‘タグ配列を含むプライマー配列を含む、アンプリコンの部分を指す。一つのアンプリコンにおいて、サンプルの標的核酸によって生成される配列とは、プライマーの3’末端を越えて鋳型依存的に伸びるが、しかし、反対プライマーに対して相補的な3‘延長部は排除する、標的核酸配列を含む。典型的には、標的核酸によって生成される配列は、片方の1本鎖のプライマー配列の3’末端に留意し、他方の1本鎖プライマー配列の3‘末端に留意し、かつ、介在配列が、標的核酸によって生成される配列と一致することに注目することによって、アンプリコンの中に位置づけることが可能となる。好ましくは、2本鎖アンプリコンは、プライマー伸長反応で鋳型として使用する前に変性される。
(プライマー)
鋳型、または、標的核酸と実質的にハイブリダイズできない5‘タグまたは配列を有する、1本のプライマー、または2本以上のプライマーの使用が、そのプライマーが、鋳型とハイブリダイゼーションを行うのに十分な配列を含み、そのために標的核酸中の所望の配列が増幅可能とされる限り、可能である。これは、プライマー(単複)の5’末端(単複)において鋳型と実質的にハイブリダイズできない配列を用いることで実現が可能である。標的核酸配列に対して実質的にハイブリダイズできないということは、標的核酸配列にアニールできない、または、ハイブリダイズできない、従ってプライマー伸長反応において伸長できないことを意味する。好ましくは、5‘タグは、サンプル中の、または、アンプリコン中の標的核酸配列に対して50%未満の相補性を示すものでなければならない。さらに好ましくは、タグは、サンプルまたはアンプリコン中の標的核酸配列に対して10%または20%未満の相補性を示すものでなければならない。もっとも好ましくは、5’タグは、本発明の使用に合致する最小量の相補性、それは1%以下の低い相補性であるが、を示すものでなければならない。
プライマーは、プライマー伸長反応において、その3‘末端が伸長可能なポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドであることが可能である。オリゴヌクレオチドがプライマーとして使用可能であるためには、典型的には、使用される条件下で、鋳型または標的に対し、2本鎖構造を形成することが可能なほど十分な相補性を有するだけでよい。そのような条件の確立は、典型的には、当業者には既知の、溶媒と塩濃度、インキュベーション温度、インキュベーション回数、アッセイ試薬および安定化因子の選択を含む。プライマーまたはプライマーオリゴヌクレオチドという用語は、ある核酸鎖に対して相補的なプライマー伸長産物の合成が、例えば、PCR反応のようなDNA複製反応において誘発させる際に、合成の起点として作動することが可能な、本明細書に定義された通りのオリゴヌクレオチド配列を指す。非プライマーオリゴヌクレオチドと同様、プライマーヌクレオチドも、従来技術で既知の任意の技法を用いて、例えば、放射性原子、蛍光ラベル、酵素ラベル、タンパク質、ハプテン、抗体、配列タグ、質量ラベル等によって標識されてもよい。このような標識は、プライマーに対し、その5’末端に、従来技術で既知の複数の技術を用いて連結させて用いるようにしてもよい。この標識は、捕捉用部分として作用するようになっていてもよい。
本明細書で使用されるポリヌクレオチドという用語は、任意の数のヌクレオチドポリマーである。オリゴヌクレオチドという用語は、任意の数のヌクレオチド、好ましくは200個未満のヌクレオチドを含むポリヌクレオチド分子を含む。もっとも好ましくは、オリゴヌクレオチドは15から100ヌクレオチド長である。しかしながら、ある特定のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの正確な長さは多くの因子に依存し、これらの因子は次に最終的な機能または用法に依存する。オリゴヌクレオチドの長さに影響を及ぼす因子をいくつか挙げると、例えば、オリゴヌクレオチドの配列、アッセイ中に使用される塩濃度と温度のような変数の観点から見たアッセイ条件、そのオリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドの質量:荷電比を修飾する目的で、および/または、例えば、DNAチップの特定のハイブリダイゼーション位置に対してオリゴヌクレオチドを地点的に分離するのに使用されるタグ捕捉配列を供給する目的で、塩基を追加するように5‘末端を修飾されているか否か、がある。
短いプライマーは、鋳型と十分に安定なハイブリッド複合体を形成するために、より低い温度を要求することがある。本発明のプライマーは、上流鎖の、または、下流鎖の核酸に対して相補的でなければならない。好ましくは、プライマーは、その3‘末端を含めて自己相補性を持ってはならない。これは、自己プライミング構造およびアッセイノイズを招くプライマー折り返しを防ぐためである。本発明における好ましいプライマーとしては、約8から約100ヌクレオチド長から、最大数千ヌクレオチド長となる長いポリヌクレオチドまでのオリゴヌクレオチドを含む。
実際に、配列をアンプリコン/アンプリコン集団の中に導入する場合、増幅プライマーは、与えられた一組の条件下で下記を実現できるほどの十分な長さを持っていなければならない。すなわち、(1)標的核酸と十分な特異性をもってハイブリダイズしてアンプリコンを生成すること、および、(2)得られたアンプリコン/アンプリコン集団の中に配列を導入することが可能なほど十分に長い5‘タグ長を持ち、そのために、少なくとも部分的に5’タグ領域を形成する、または、5‘タグ領域によって完全に生成されるその配列に選択的にアニールすることが可能な特定プライマーをプライマー伸長反応に使用することが可能であること、である。5’タグの中に導入されたSNPは、他の全てのSNP同様、アンプリコンのいずれの鎖でも分析が可能である。SNPが「フォワード」プライマーによって導入された場合、そのSNPは、伸長するフォワードプライマーにハイブリダイズするよう設計されたプライマーによって分析可能としてもよいし、または、フォワードプライマーの娘鎖に対してハイブリダイズするように設計されてもよい。最初の例では、SNPは、最初の増幅プライマーにおいて、標的DNAに対して相補的な部分にごく近接して導入することが可能であり、このSNPを問い合わせするプライマーは、その特異的標的配列部分に対して実質的に相補的であることが可能である。このことは、5‘タグのサイズを極小にすることとなり、これは、コストおよび合成効率の両観点から好ましい。第2の例でも、SNPは、最初の増幅プライマーのハイブリダイズ不能部とハイブリダイズ可能部の接合部に近接させることが可能である。しかしながら、この場合は、問い合わせプライマーは娘鎖にハイブリダイズし、フォワードプライマーのハイブリダイズ不能部の配列と、少なくともその配列が極めて近似することになる。良好な特異性を実現するためには、この第2の例は、実質的な5’タグ配列を要する。図18参照。
約10ヌクレオチドから成るプライマーが、現在の技術水準において非標的核酸の背景の下に、相補的標的核酸配列に対して選択的にハイブリダイズするように使用が可能な最短配列である。もっともこのように短い配列は、30億塩基対を越えるヒトゲノムのような複雑なゲノムの中に存在する複数の部位と完全にハイブリダイズする可能性がより高い。従って、ただ意図する標的部位にのみハイブリダイズするプライマーを設計するためには、標的DNA全体のサイズと複雑性を考慮しなければならない。もっとも好ましくは、十分なレベルのハイブリダイゼーション特異性を確保するために、少なくとも20から約35ヌクレオチドに渡って途切れの無い相補性を持つ配列を用いることである。ただし、長さは、与えられた標的DNA分子の配列に応じて相当に変動する可能性がある。本発明のプライマーは、例えば、1種以上の上流プライマーが、1種以上の上流鎖標的核酸または1種以上の下流鎖核酸にハイブリダイズすることによって、標的核酸配列に対して特異的にハイブリダイズする、または、アニールすることが可能となっていなければならない。本明細書では、二つの核酸配列は、もしもその二つの分子が、ハイブリダイゼーションを促進するのに十分な条件下で、抗平行的な、2本鎖核酸構造またはハイブリッドを形成可能である場合、互いにハイブリダイズ可能であると言われる。一方、同じ条件下で、非標的核酸配列とインキュベートした場合、互いに2本鎖構造またはハイブリッドを実質的に形成不能となっていなければならない。
(検出)
さらに別の実施態様では、第1および第2特定プライマーは検出特性を備える。この検出特性は、第1および第2特定プライマーにおいて同じでも、異なっていてもよい。検出特性は、質量、見かけ質量、分子量、見かけ分子量、質量と電荷量の組み合わせまたは比、塩基数、磁気共鳴、分光光度計測、蛍光計測、電荷量、偏光分析、光散乱、発光、および、抗原抗体相互作用から成るグループから選ばれる特性であってもよい。特定プライマーは、そのような特性を持つことが当業者には既知の方法によって修飾することが可能である。好ましくは、検出特性は捕捉タグを含む。捕捉タグを付したプライマーは、例えば、アレイ、アドレス可能なアレイ、実質上のアレイに適用することが可能であり、プライマーの正体は、このようなアレイに対するそのプライマーの結合によって確定することが可能である。もっとも好ましくは、検出特性は、5‘タグのヌクレオチド数差によって誘発される質量:電荷比の変化、すなわち、それらのプライマーを毛細管ゲル電気泳動によって分離可能とする質量:電荷比の変化である。
本発明のプライマーは、5‘末端が標識されてもよい。好ましい実施態様では、特定プライマーは5’末端が標識される。標識としては、任意の標識、例えば、放射性ラベル、蛍光ラベル、酵素ラベル、タンパク質、ハプテン、抗体、配列タグ等が挙げられる。標識は本発明の過程を妨げないことが好ましい。好ましい標識は、固相支持体に結合した配列に対して相補的な、個別のヌクレオチド配列を含む。この場合、固相支持体は、アドレス可能なアレイまたは実質上のアレイを含むアレイを含む。従って、このプライマーを、好適なハイブリダイゼーション条件下にこの固相支持体に暴露した場合、標識は、固相支持体に結合した相補配列とハイブリダイズする。このようにして、プライマーの正体は、アレイにおける幾何学的位置によって、あるいは、標識と捕捉部分との連結点を特定するその他の手段によって確定することが可能である。
もっとも好ましくは、特定プライマーのプライマー伸長産物は分離されて、毛細管ゲル電気泳動によって特定され、一方、蛍光性の停止ヌクレオチドによって標識されたプライマー伸長産物の特定には蛍光検出器が用いられる。このもっとも好ましい実施態様では、蛍光ラベルを抱える伸長プライマーは、その質量:電荷比によって分離される。しかしながら、従来技術において多くの分離・検出法が既知であり、本明細書のこの発明は、一旦その開示が当業者の手に渡ったならば、多種多様な検出・分離法によって実行可能となろう。本発明の主要な利点は、検出特性、および、分離および/または検出を助けるために、特定プライマーの上に配置されるタグの多様性である。実際、タグが無くとも、本発明のプライマーは、当業者には既知の、内在的な物理的特性または振る舞いに基づいて分離、検出、および/または、特定が可能である。
検出という用語は、一つの、または、複数の検出可能な部分を特定することを指す。この用語は、電磁特性、例えば、電荷、光、蛍光、化学的発光;電磁特性の変化、例えば、蛍光偏光、光偏光、ダイクロイズム、光散乱、屈折率変化、反射、赤外・紫外・可視光スペクトラム、質量、質量:電荷比、および、電磁放射または電磁放射変化に基づく全てのやり方の検出技術によって部分を特定する能力を含むことが意図される。この用語はさらに、結合アフィニティー、内在質量、質量配置と静電特性、サイズ、および、配列長に基づく部分の特定をも含む。質量および分子量のような特性は、見かけの質量または見かけの分子量によって推定が可能であること、従って、本明細書で使用される質量または分子量という用語は、各種装置および方法によって決定された推定値を排除するものではなく、従って、これらの用語を、その質量または分子量に到達するのに使用された方法または装置を斟酌することなく、いかなる単一の絶対値に限定するものではないということを理解しなければならない。
多型部位に存在するヌクレオチドを検出するさらに別の方法は、プライマー伸長反応後の任意の地点において、反応混合液に残存する、組み込まれなかった、複数の遊離ヌクレオチドの濃度の比較によるものである。この実施態様において組み込まれなかったヌクレオチドの検出には、一般に、質量分析、例えば、エレクトロスプレイ質量分析を用いることが可能である。この検出法は、プライマー伸長反応の際に、多型塩基に対して相補的であるヌクレオチド(単複)のみが反応混合液において枯渇することから可能となる。従って、質量分析を用いて、それらのヌクレオチドに対する質量ピークの相対的強度を比較することが可能となる。同様に、未標識プライマーの濃度を定量し、その情報を用いて、多型部位に存在するヌクレオチドの特定を達成してもよい。
(支持体/アレイ)
本発明において好ましいアレイとしては、上に定義したアレイを含む、番地参照が可能なアレイであって、個々の位置が既知の座標を持ち、そのためアレイ上の任意の位置におけるシグナルが、特定可能特性を持つものとして特定可能とされるアレイが挙げられるが、ただしそれに限定されない。このようなアレイは、普通、チップ、バイオチップ、バイオチップアレイ、DNAチップ、RNAチップ、ヌクレオチドチップ、および、オリゴヌクレオチドチップと呼ばれる。本明細書で用いるアレイとは、形態や構成によらない全てのアレイ、2次元アレイおよび3次元アレイを含むことが意図される。
一つの特に好ましいアレイとして、Affymetrix社から市販されるGenFlex(商標)タグアレイがある。これは、2000種のタグ配列用捕捉プローブから構成される。これは、類似のハイブリダイゼーション特性を持ち、公共データベース中の配列に対して少なくとも最小の相同性を有する、可能な全ての20マーから選ばれた20マーである。
好ましい分離法は、全ての伸長プライマーおよび未伸長プライマーを固相支持体に暴露する。固相支持体はアレイを含む。本明細書では、アレイという用語は、固体、半固体、ゲルまたはポリマー相上の複数の位置に固定された生物分子の規則的な配置を指すものとして用いられる。この定義は、シリカ、シラン、シリコン、ケイ酸塩やその誘導体によって処理された、または、コートされた相、例えば、ポリスチレン、ナイロンによって処理またはコートされた相、特に、ポリスチレンプレート、ガラスおよび、誘導体ガラスを含めたその誘導体、ガラスビーズ、孔調整ガラス(CPG)をも含む。固定生物分子としては、他の部分、例えば、タグおよび/またはアフィニティー部分を含む部分が挙げられる。アレイという用語は、チップ、バイオチップ、バイオチップアレイ、DNAチップ、RNAチップ、ヌクレオチドチップ、および、オリゴヌクレオチドチップを含み、かつ、それらと同義であることが意図される。これらの用語は全て、アレイから成るアレイを含むことが意図され、かつ、生物高分子、例えば、その配列が既知の、または、その配列が未知のオリゴヌクレオチドおよびDNA分子を含むことが意図される。
(トランスバージョン)
トランスバージョンという用語の意味するところは、ヌクレオチド配列における改変ヌクレオチドであって、その変異が、ピリミジンの代わりにプリンが出現する場合、または、プリンの代わりにピリミジンが出現する場合である。当業者であれば、これらのアッセイでは通常のトランジションも使用が可能であるが、ただし、トランジションでは、他方の鎖においてそのSNPを逆比で再生させることはないので、法医学的用途には好ましくないことが了解されるであろう。しかしながら、診断的な、単一鋳型供給用途においては、1:1ヘテロ接合体が、プライマー伸長反応実行時にどのような外見を見せるかを知ることが必要とされるだけである。
(ヌクレオチド)
本発明のプライマー伸長反応は、標識・未標識を問わず、1種以上のヌクレオチドから成る混合物と、1種の重合剤を用いる。本明細書で用いるヌクレオチドまたは核酸という用語は、重合剤によってプライマーに付加することが可能な任意のリン酸化状態にある、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ヌクレオチドのアシクロ誘導体、および、それらの機能的等価物または誘導体を指すことが意図される。ヌクレオチドの機能的等価物とは、例えば、増幅法またはプライマー伸長法で用いられるポリメラーゼに対して基質として作用するものである。ヌクレオチドの機能的等価物とは、標的ポリヌクレオチドに対して配列特異的なやり方でハイブリダイズする能力を保持するポリヌクレオチドに変換可能なものである。ヌクレオチドの例としては、鎖停止ヌクレオチド、もっとも好ましくは、ddATP、ddCTP、ddGTPおよびddTTPのようなジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)が挙げられるが、ただし、当業者に既知の他のターミネーター、例えば、アシクロヌクレオチド類縁体、その他のアシクロ類縁体、および、アラビノシド三リン酸も本発明の範囲内に含められる。好ましいddNTPは、通例の2‘デオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)とは、糖成分の3’位置のヒドロキシル基を欠如する点で異なる。
使用されるヌクレオチドは、検出可能な特性を担持してもよい。本明細書で用いる検出可能特性としては、ヌクレオチド間の区別を可能とするものであれば、どの検出可能特性であってもよい。この検出可能特性は、本発明の方法を全く妨げるものではないことが重要である。検出可能特性とは、適当な検出法を用いて検出することが可能な、原子、または分子または分子の一部を指す。検出可能特性としては、内在質量、電荷、電子スピン、質量タグ、放射性同位元素、染料、生物発光、化学発光、核酸特性、ハプテン、タンパク質、光散乱/相転位特性、または、蛍光特性が挙げられる。本明細書で用いる「同じ検出可能特性」という用語は、同じシグナルを持つために検出可能となるヌクレオチド同士を含む。同じ検出可能特性としては、複数のヌクレオチドが同じタイプのラベルによって標識される場合、例えば、AとCヌクレオチドが、同じタイプの染料で標識され、それらが同じタイプのシグナルを発射する場合が挙げられる。
ヌクレオチドおよびプライマーは、従来技術で既知のどの技術を用いて標識してもよい。好ましい標識としては、放射性ラベル、蛍光ラベル、酵素ラベル、タンパク質、ハプテン、抗体、配列タグ、質量タグ、蛍光タグ等が挙げられる。好ましい染料タイプのラベルとしては、TAMRA(カルボキシ−テトラメチルローダミン)、ROX(カルボキシ−X−ローダミン)、FAM(5−カルボキシフルオレセン)等が挙げられる。
本発明のプライマー伸長反応では、1種以上のヌクレオチド塩基を用いることが可能である。好ましくは、特定工程では、異なる塩基から成る2種類以上のヌクレオチドを用いる。もっとも好ましくは、本発明の特定反応は、異なる塩基から成る4種のヌクレオチドを用いる。もっとも好ましい実施態様では、異なる4種全てのヌクレオチドが、相互に区別可能なラベルで標識される。例えば、AはdR6Gで、CはdTAMRAで、GはdR110で、TはdROXで標識される。
ヌクレオチドはまた、電磁放射の振る舞いと関連する各種分光法によって検出されても、または、検出可能となるように標識されてもよい。上記分光法としては、例えば、電子スピン共鳴、光学活性または、円偏光二色性分光法のような回転分光法、蛍光、蛍光偏光、吸収/発射分光法、紫外線・赤外線・可視光分光法または質量分析、ラマン分光法、および、核磁気共鳴分光法が挙げられる。
(座位)
「座位」という用語は、DNAのような核酸の一つの不連続領域であって、小さい場合は単一塩基のこともあり、大きい場合は数十万塩基長のこともある領域を含む。「スクラピー座位」とは、スクラピーに対する感受性と関連する4個の一塩基多型を抱える、PrP遺伝子コード領域の310塩基対セクションを含むPrP遺伝子を含む。
(複合遺伝型)
「複合遺伝型」という用語は、あるサンプルが、一つの座位について3種以上の表現を含む場合、例えば、その座位のコピーの数を増大させる何かの重複事象、または、2個以上の個体からの核酸が併合して単一の核酸サンプルとなって、任意の座位の3種以上の表現を含む外見を持つサンプルを生成する場合の遺伝型を含む。複合遺伝型は、倍数体を示す個体から得たサンプル;サンプルにおける付加的染色体の出現、例えばトリソミーを示す個体のサンプル;サンプルにおける遺伝子重複;トランスジェニック動物のサンプルを分析する場合;および、サンプルが胎盤吻合を経験した個体から得られたものである場合、および、その他の現象からもたらされる可能性がある。「胎盤吻合」という用語は、胎児同士の血液、細胞または組織が、大なり小なり混じりあう条件を含む。1種を越える細胞種の混合体を有する個体、ある特定の遺伝要素の増大を示す細胞集団、および、2頭以上の個体から得られた核酸の混合サンプル、これらは全て見かけ上複合遺伝型を示す。このような複合遺伝型は、DNAが1頭以上の個体または1種以上の生物種から分離される法医学的調査では、あるいは、例えばトリソミー21の場合のように、単一の細胞供給種の内においてある特定の遺伝要素が過剰に発現される状況では、一般的に観察される。1種を越える細胞タイプの混合体、例えば、キメラ生物体も、DNAを混合細胞集団から回収し、しかも、そのDNAがあたかも単一細胞集団から由来するものであるかのように分析する場合、複雑な遺伝型をもたらす可能性がある。
本発明の好ましい実施態様では、標的核酸配列は、オリゴヌクレオチドアレイを用いて、複数の同時検出(多重化)と同時に、平行処理をも可能とする形式に配置される。
本明細書に教示される特別のプライマーおよび方法の好ましい用途としては、単一起源鋳型による、すなわち、非混合起源による診断的多型遺伝子タイピングを含む。本明細書に教示されるプライマーおよび方法は、例えば、どの配列におけるどのような一塩基多型にも応用が可能である。このような実施態様では、もっとも好ましくは、本明細書に記載されるプライマーを用いたアンプリコンに、対照の1:1ヘテロ接合体部位が導入される。この実施態様では、対照のヘテロ接合体部位のアッセイは、アンプリコンの生成を確認することになり、また、探求する標的核酸多型分析の基準となる。
本明細書に教示される特別のプライマーおよび方法の好ましい用途としては、さらに、混合鋳型起源による、法医学の一塩基多型遺伝子タイピングが挙げられる。このような実施態様では、トランスバージョンであって、そのトランスバージョンの直ぐ上流のヌクレオチドが、そのトランスバージョンの直ぐ下流のヌクレオチドに対して相補的である、そのようなトランスバージョンである一塩基多型がもっとも好ましい。このような実施態様では、本発明の、少なくとも2種のプライマーが使用される。この実施態様の第1プライマーは、改変ヌクレオチドX/Yの比、X:Y=3:1を有するが、これは、娘鎖では、X:Y=1:3に逆転する。この実施態様の第2プライマーは、改変ヌクレオチドX/Yの平衡比、X:Y=1:1を有し、これはヘテロ接合体部位を生成する。
法医学的使用に特に好適なトランスバージョンとしては、その性格がパリンドローム的であるDNAから成る短いDNA配列に両脇を挟まれるものである。すなわち、各鎖のトランスバージョンに対して直ぐ5‘側の塩基類が同じであり、従って、トランスバージョンに対して直ぐ3’側の塩基類が各鎖において同じであり、従って、任意の鎖において、トランスバージョンの5‘側直近の塩基が、そのトランスバージョンの3’側直近の塩基の相補体である。この相補性は、−2と+2、等々から、限られた小数の塩基にまで延長してもよい。このようなトランスバージョンは、SWaP SNPと呼ぶことがある。これは、そのトランスバージョンがG/C(=S)かA/T(=W)トランスバージョンのいずれかであり、パリンドロームの真ん中に位置する(SWaP=S,WがPalindromeの真ん中(amid)にある)ことを意味する。このトランスバージョンは、G/CまたはA/T表現において何らかの非対称が生ずると逆転して、スニップのタイプ、または、スニップ周囲の隣接DNA配列に影響を与えることなく、他方鎖では逆の非対称となる。
本発明の一つの実施態様は、プライマー伸長反応を実行する法であって、不変のヌクレオチドによって隣接される改変ヌクレオチドを有する標的核酸配列を増幅することによって、標的配列から生成される配列と第1鎖増幅プライマーから生成される配列とを有するアンプリコンを入手すること、その際、増幅条件下で標的核酸に実質的にハイブリダイズすることが不可能な5‘タグを含む第1鎖増幅プライマーが用いられ、かつ、5’タグは標的核酸の改変ヌクレオチドを含み、また、第2鎖増幅プライマーを用いること;プライマー伸長反応に前記アンプリコンを用いること、その際、標的核酸から生成される配列中の改変ヌクレオチドの正体は、第1特定プライマーを、標的核酸から生成される配列中の改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズさせることによって特定され;第2特定プライマーを、増幅プライマーから生成される配列中の改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズさせること;1種以上のヌクレオチド類および一つの重合剤の存在下に第1および第2特定プライマーを伸長させること;標的核酸から生成される改変ヌクレオチドの正体を特定すること;および、第1特定プライマーの伸長産物と第2特定プライマーの伸長産物とを比較することを含む、プライマー伸長反応の実行法を含む。
本発明の別の実施態様では、5‘タグの改変ヌクレオチドに対し5’方向直近には、標的核酸の改変ヌクレオチドに対して5‘方向に未改変ヌクレオチドがある。5’方向に直近の意味は、改変ヌクレオチドから5‘方向に隣のヌクレオチドである。従って、この実施態様では、5’タグは、標的核酸の改変ヌクレオチド、および、改変ヌクレオチドの5‘方向の隣のヌクレオチドを、標的核酸におけるものと同じ配置で含む。
本発明のさらに別の実施態様では、3‘タグの改変ヌクレオチドに対し3’方向直近には、標的核酸の改変ヌクレオチドに対して3‘方向に未改変ヌクレオチドがある。3’方向に直近の意味は、改変ヌクレオチドから3‘方向に隣のヌクレオチドである。従って、5’タグは、標的核酸の改変ヌクレオチド、および、改変ヌクレオチドの3‘方向の隣のヌクレオチドを、標的核酸におけるものと同じ配置で含む。本発明の別の実施態様では、5’タグの改変ヌクレオチドに対し3‘方向直近には、標的核酸の改変ヌクレオチドの3’方向に対する未改変ヌクレオチドがあり、かつ、5‘タグの改変ヌクレオチドに対し5’方向直近には、標的核酸の改変ヌクレオチドの5‘方向に対する未改変ヌクレオチドがある。従って、5’タグは、標的核酸の改変ヌクレオチド、および、改変ヌクレオチドの3‘方向の隣接ヌクレオチドと、改変ヌクレオチドの5’方向の隣接ヌクレオチドの両方を、標的核酸配列におけると同様の配置で含むことが可能である。さらに、5‘タグは、改変ヌクレオチドに対して3’方向に隣接する少なくとも2個の未改変ヌクレオチド、および、改変ヌクレオチドに対して5‘方向に隣接する少なくとも2個の未改変ヌクレオチドを含み、かつ、3’方向に直近の少なくとも2個の未改変ヌクレオチド、および、5‘方向に直近の少なくとも2個の未改変ヌクレオチドとは、標的核酸における改変ヌクレオチドを両側から挟持する対応ヌクレオチドに対して実質的に相同である。好ましくは、標的核酸の改変ヌクレオチドを両側から挟持する対応ヌクレオチドは、5’タグの両側挟持ヌクレオチドと同様であり、その程度は、これらの両側挟持ヌクレオチドの、プライマー伸長反応における改変ヌクレオチドの取り込みに及ぼす影響に関して言えば、標的核酸における改変ヌクレオチドを取り巻くものと同じ、または、類似の配列環境を現出することが可能なほどである。好ましくは、実質的に相同とは80%以上の相同性である。さらに好ましくは、実質的相同とは90%以上の相同性である。もっとも好ましくは、実質的に相同とは99%以上の相同性である。
本発明の別の実施態様では、特定プライマーは、1個以上の標識ヌクレオチド塩基分だけ延長され、かつ、質量、見かけ質量、分子量、見かけ分子量、質量と電荷の組み合わせまたはその比、塩基数、磁気共鳴、分光光度計測、蛍光計測、電荷、偏光分析、光散乱、発光および抗原抗体相互作用から成るグループから選ばれる特性によって検出が可能である。
本発明の別の実施態様では、特定プライマーは、1個の鎖ターミネーター分だけ延長される。鎖ターミネーターは、ジデオキシヌクレオチド、アシクロターミネーター等であってよい。鎖ターミネーターは標識され、そのために、得られた伸長プライマーが、質量、見かけ質量、分子量、見かけ分子量、質量と電荷の組み合わせまたはその比、塩基数、磁気共鳴、分光光度計測、蛍光計測、電荷、偏光分析、光散乱、発光および抗原抗体相互作用のような特性によって検出可能となるようにしてもよい。好ましくは、鎖ターミネーターは、蛍光性または蛍光原性部分によって標識され、例えば、毛細管電気泳動装置とカップルさせた通例の蛍光検出装置による検出を可能とするようになっている。
別の実施態様では、特定プライマーは、実質上のアレイに適用される。この実質上のアレイは、伸長プライマーと未伸長プライマーとが、微小球懸濁液を含むアレイ上で分離されるが、その微小球懸濁液が、タグ付きプライマーを分離するために1種以上の捕捉部分を含んでいる。次に、これらの微小球は、一意の特定特性を持っており、そのために、それらを、その特性、例えば、直径、密度、サイズ、色等に基づいて分離することが可能である。
別の好ましいアレイは、分析される核酸、例えば、5‘タグに対して相補的な配列タグを有する番地参照が可能なアレイである。これらの相補的タグは、そのアレイの既知の位置に結合する。このタイプのタグは、適切なハイブリダイゼーション条件下でアレイにハイブリダイズする。1個以上伸長したプライマーを検出するのと結びつけて結合プライマーの位置を確かめることによって、多型部位におけるヌクレオチドの特定が可能になる。
別の好ましい実施態様では、本発明は、5‘タグにおける改変ヌクレオチドの正体を変えて、5’タグから得られる改変ヌクレオチドの正体が既知の比率に固定されるアンプリコンの集団を形成することを含む。5‘タグにおける改変ヌクレオチドの正体を変えることは、改変ヌクレオチドの位置のヌクレオチドの正体が、全てのプライマー分子において同じとはならない、そのようなプライマーを用いることを意味する。従って、全てのプライマーは、改変ヌクレオチドか、または、その改変ヌクレオチドではない別のヌクレオチドによって隣接される未改変ヌクレオチドを含むことが可能である。例えば、改変ヌクレオチドがG/Cスニップである場合、プライマー分子の一方の半分は改変ヌクレオチド部位にGを持ち、プライマー分子の他方の半分は、その改変ヌクレオチド部位にCを有する、そのようなプライマー集団を使用することが可能になる。このようなG/Cスニップを持つ標的核酸を用いた増幅は、全ては天然に生じるG/Cスニップを有するが、一方の半分は、5’タグによって生成される改変ヌクレオチド部位にGを持ち、他方の半分は、5‘タグによって生成される改変ヌクレオチド部位にCを持つ、そのようなアンプリコン集団を生成する。次に、このアンプリコン集団を、5’タグから生成された変異部位に対して特異的な特定プライマー、および、天然に生じた変異部位に対して特異的な特定プライマーをプローブとして用いて検索する。このようにして、この改変ヌクレオチドを、このアンプリコンにおいて既知の比率で再生することが可能である。本発明の好ましい実施態様では、5‘タグの改変ヌクレオチドの正体を変動させて、その改変ヌクレオチドに関して平衡的なヘテロ接合体集団となるアンプリコン集団を生成する。平衡的ヘテロ接合体とは、二つの別々のDNA配列が等濃度存在する、DNA分子種の混合物である。本発明の観点から言えば、等濃度の二つの改変ヌクレオチドを持つ、等濃度の二つの5’タグプライマーを使用することによって、増幅プライマーの5‘タグ部分から得られた配列に関して2種類の分子種が存在するアンプリコン集団がもたらされる。別々のDNA配列に関するこのような等価性は、平衡的ヘテロ接合体を表すと言ってもよい。
本発明の好ましい実施態様では、標的核酸は、2頭以上の個体から得られた核酸を含む。2頭以上の個体とは、核酸を含む、2種以上の生物学的実体を意味する。例えば、標的核酸は、犯罪の被害者の核酸、および、一人以上の他者から得た核酸を含む法医学サンプルであってもよい。個体という用語は、核酸を宿す任意の生物種の成員を含み、ヒトのみに限定されないことが意図される。実際、サンプルは、2種以上の異なる生物種からの、または、異なる属の2頭以上の個体からの核酸を含んでもよい。
本発明の別の実施態様では、2種以上の改変ヌクレオチドが特定される。これらの改変ヌクレオチドは、同じ核酸分子または標的核酸に乗っていてもよいし、あるいは、別々の核酸分子または標的核酸に乗っていてもよい。好ましくは、2種以上の改変ヌクレオチドは、同じ標的核酸分子の上に乗っている。もっとも好ましくは、2種以上の改変ヌクレオチドは、それらが同じアンプリコン分子の上に乗っているものとして本発明が実行されるように配置される。
別の実施態様では、本発明は、プライマー伸長反応を実行する法であって、1頭以上の個体から得られた標的核酸を含むサンプルを入手すること;5‘方向では不変のヌクレオチドによって隣接され、3’方向では不変のヌクレオチドによって隣接されるトランスバージョンである改変ヌクレオチドを有するサンプル中の核酸を増幅することによって、サンプルから生成された配列と、タグ付き第1鎖増幅プライマーから生成される配列とを有するアンプリコン集団を入手すること、その際、サンプル中の標的核酸と実質的にハイブリダイズすることができない5‘タグを含む、タグ付き第1鎖プライマーが使用され、かつ、前記5’タグは、その両脇を未改変ヌクレオチドによって挟まれる改変ヌクレオチドを含み、第2鎖増幅プライマーが使用され;プライマー伸長反応において前記アンプリコン集団を用いること、その際、サンプルから生成される配列中の改変ヌクレオチドの正体は、第1特定プライマーを、サンプルから生成される配列中の改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズすることによって特定され;第2特定プライマーを、増幅プライマーから生成される配列中の改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズさせること;1種以上のヌクレオチド類および一つの重合剤の存在下に第1および第2特定プライマーを伸長させること;サンプルから生成される改変ヌクレオチドの正体を特定すること;および、第1特定プライマーの伸長産物と第2特定プライマーの伸長産物とを比較することを含む、プライマー伸長反応の実行法を含む。
本発明の別の実施態様では、前記トランスバージョンの5‘方向における隣接未改変ヌクレオチドは、そのトランスバージョンの3’方向における隣接未改変ヌクレオチドに対して相補的である。
別の実施態様では、前記第1鎖増幅プライマーは、第1鎖増幅プライマーの改変ヌクレオチドの5‘方向直近に2個以上のヌクレオチドを含み、その際、この2個以上のヌクレオチドは、標的の改変ヌクレオチドの5’方向直近の2個以上のヌクレオチドと同一である。従って、5‘タグによって生成される配列中の改変ヌクレオチドを特定するために用いられる特定プライマーは、特定プライマー中に存在するものと同じ2個の3’末端ヌクレオチドを用いる。本発明の別の実施態様では、第1鎖増幅プライマーは、第1鎖増幅プライマーの改変ヌクレオチドの3‘方向直近に2個以上のヌクレオチドを含み、その際、この2個以上のヌクレオチドは、標的核酸中の改変ヌクレオチドの3’方向直近の2個以上のヌクレオチドと同一である。本発明の別の実施態様では、第1鎖増幅プライマーは、第1鎖増幅プライマーの改変ヌクレオチドの5‘方向直近に2個以上のヌクレオチドを含み、かつ、第1鎖増幅プライマーの改変ヌクレオチドの3‘方向直近に2個以上のヌクレオチドを含み、それぞれが、標的核酸中の改変ヌクレオチドを両脇挟持する対応ヌクレオチドと同一となるように配置される。5’タグ中の改変ヌクレオチド周囲のこれら未改変ヌクレオチドを含めることは、標的DNA中に存在する変異核酸の近隣に類似の配列環境を有する一つのアンプリコン、または複数のアンプリコン集団を形成することになり、もしそのような策を取らなければ、特定プライマーによるプライマー伸長の結果に関して誤解を招きかねない、DNA配列環境感受性作用を低下させることになる。
本発明の別の実施態様では、第2鎖増幅プライマーは、改変ヌクレオチドを有する5‘タグを含む。この第2鎖増幅プライマーも、5’方向か、3‘方向のいずれかにおいて、標的中の改変ヌクレオチドに隣接する未改変ヌクレオチド(単複)によって隣接されてもよい。この改変ヌクレオチドがトランスバージョンである場合、5’方向の第1改変ヌクレオチドは、トランスバージョンの3‘方向に隣接する改変ヌクレオチドに対して相補的であるが、両改変ヌクレオチドが、第1鎖増幅プライマーの5’タグと、第2鎖増幅プライマーの5‘タグに含まれることがもっとも好ましい。
本発明の別の実施態様では、本発明は、第1および第2鎖増幅プライマーにおける改変ヌクレオチドの正体を適当に変えて、改変ヌクレオチドの正体が既知の比率で変化するアンプリコンの集団を形成させる。好ましくは、第1および第2鎖増幅プライマーの5‘タグ中の改変ヌクレオチドの正体を適当に変えて、それら5’タグによって生成されるアンプリコン集団におけるヌクレオチドの同一性に関して、1:1の比、および、3:1の比を含むアンプリコン集団を形成させる。得られたアンプリコン集団は、標的核酸から形成される改変ヌクレオチドの他に、タグによって生成される上流鎖において、例えば、3:1と1:1の比を有し、タグによって生成される下流鎖において1:3と1:1の比を有する。従って、プライマー伸長反応に特定プライマーを用いることは、上記モル比に一致するシグナルを生成することになり、かつ、標的核酸から生成される改変ヌクレオチドに関する特定プライマー結果との比較に利用することが可能となる。
別の実施態様では、第1および第2特定プライマーは検出可能特性を担う。第1特定プライマーの検出可能特性は、第2特定プライマーの検出可能特性と同じであっても、あるいは、異なっていてもよい。
本発明の別の実施態様では、2個以上の改変ヌクレオチドが特定される。これらの改変ヌクレオチドの内1個が、両方が、または、2個以上がトランスバージョンであってもよい。この2個以上の改変ヌクレオチドは、同じ核酸分子に乗っていてもよいし、または、別々の核酸分子に乗ってもよい。
本発明の別の実施態様では、改変ヌクレオチドはトランスバージョンであり、かつ、特定プライマーは、1個以上の標識ヌクレオチド分だけ延長され、そのため、質量、見かけ質量、分子量、見かけ分子量、質量と電荷の組み合わせまたはその比、塩基数、磁気共鳴、分光光度計測、蛍光計測、電荷、偏光分析、光散乱、発光および抗原抗体相互作用から選ばれる特性によって検出が可能である。
本発明の別の実施態様では、改変ヌクレオチドはトランスバージョンであり、特定プライマーは、1個の鎖ターミネーター分だけ延長される。鎖ターミネーターは、ジデオキシヌクレオチドまたはアシクロターミネーターであってよい。鎖ターミネーターは検出可能な部分によって標識することが可能である。もっとも好ましくは、鎖ターミネーターは、蛍光検出器によって検出可能となるように標識される。
別の実施態様では、改変ヌクレオチドはトランスバージョンを含み、かつ、特定プライマーはタグ捕捉部分を含む。タグ捕捉部分を備えたこの特定プライマーは、アレイ上に捕捉されてもよい。このアレイは、番地参照可能なアレイか、または実質上のアレイであってもよい。
本発明の別の実施態様では、改変ヌクレオチドはトランスバージョンであり、第2鎖増幅プライマーは、同じ改変ヌクレオチドを有する5‘タグ、および、5’方向に隣接される未改変ヌクレオチド、および、3‘方向に隣接される未改変ヌクレオチドにおいて、第1鎖増幅プライマーのものと同じものを含み、その際、第1鎖増幅プライマーは、改変ヌクレオチドにおける1:1のトランスバージョン比を反映し、かつ、第2鎖増幅プライマーは、改変ヌクレオチドにおける1:3のトランスバージョン比を反映し、その際、プライマー伸長反応において少なくとも3種の特定プライマーが使用される。
ある好ましい実施態様では、個体はヒツジである。別の実施態様では、好ましくは、1頭以上の個体の内少なくとも1頭は、少なくとも1種の複合遺伝型を示す。好ましくは、標的核酸はPrP座位を含む。
別の実施態様では、本発明は、少なくとも2種の増幅プライマーを用いるプライマー伸長を実行する方法であって、未改変ヌクレオチドによって隣接される改変ヌクレオチドを含む標的核酸を入手すること;前記未改変ヌクレオチドによって隣接される改変ヌクレオチドを含む5‘タグを有する第1増幅プライマーを、標的核酸にハイブリダイズさせること、その際、5’タグは、標的核酸と第2増幅プライマーに対して実質的にハイブリダイズ不可能であり;および、少なくとも1種以上のヌクレオチド類および一つの重合剤の存在下に増幅プライマーを伸長させること、を含むプライマー伸長実行法を含む。
別の実施態様では、本発明は組成物であって、標的核酸に対してハイブリダイズすることが可能な領域を有する1本のプライマーで、標的核酸は1個の改変ヌクレオチドと1個の未改変ヌクレオチドとを含み、プライマーはさらに、標的核酸の前記改変ヌクレオチドと前記未改変ヌクレオチドとを有する5‘タグ領域を含み、かつ、5’タグ領域は、標的核酸の増幅に好適な条件下において、標的核酸に実質的にハイブリダイズ不可能であることを特徴とするプライマーを含む組成物を提供する。増幅を実現するのに十分な条件は従来技術で既知であり、これまでに具体的に説明もし、引例を通じて本明細書にも組み込んでいる。このような条件として、熱的に安定な重合剤による標的核酸増幅用プロトコールが挙げられる。
別の実施態様において、本発明は、プライマー伸長反応における、鎖ターミネーターのプライマーへの取り込み効率を監視する方法であって、標的核酸の混合サンプルからアンプリコンの集団を生成すること、その際、アンプリコン集団は、5‘タグ変異配列を既知の比率で、標的由来変異配列を未知の比率で含み;鎖ターミネーターを用い、かつ、5’タグ由来配列中の変異配列および標的由来変異配列に対して特異的なそれぞれ区別可能なプライマーの集団を用いて、アンプリコンの集団に対してプライマー伸長反応を実行すること;鎖ターミネーターが既知の比率でプライマー集団に取り込まれる、その取り込み効率を検出・測定し、それによって5‘タグ由来変異配列に対し、プライマー伸長反応における、鎖ターミネーターのプライマーへの取り込みの割合を測定すること、を含む監視法を含む。「混合サンプル」という用語は、2頭以上の個体からの核酸を含むサンプルを含む。既知の配列に対して特異的なプライマー集団とは、特定プライマーの集団を意味する。
さらに別の実施態様では、本発明は、プライマー伸長反応を実行する法であって、1頭以上の個体から得られた標的核酸を含むサンプルを入手すること;改変ヌクレオチドを有するサンプルの核酸を増幅することによって、サンプルから生成された配列と、タグ付き第1鎖増幅プライマーから生成される配列とを有するアンプリコン集団を入手すること、その際、サンプル中の標的核酸と実質的にハイブリダイズすることができない5‘タグを含む、タグ付き第1鎖プライマーが使用され、かつ、5’タグは前記改変ヌクレオチドを含み、第2鎖増幅プライマーが使用され;プライマー伸長反応において前記アンプリコン集団を用いること、その際、サンプルから生成される配列中の改変ヌクレオチドの正体は、第1特定プライマーを、サンプルから生成される配列中の改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズすることによって特定され;第2特定プライマーを、増幅プライマーから生成される配列中の改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズさせること;1種以上のヌクレオチド類および一つの重合剤の存在下に第1および第2特定プライマーを伸長させること;サンプルから生成される改変ヌクレオチドの正体を特定すること;および、第1特定プライマーの伸長産物と第2特定プライマーの伸長産物とを比較することを含む、プライマー伸長反応の実行法を含む。改変ヌクレオチドはトランスバージョンであってもよいし、例えば、挿入、欠失または再編成によって生じたものであってもよく、あるいは、他のどのような方法によって、天然でも合成的でも、変異が核酸配列の導入されてあってもよい。
さらに別の実施態様では、本発明は、病気または障害に対する感受性に関して動物をスクリーニングする方法であって、一つの座位において3種類以上の対立遺伝子における多型ヌクレオチドの正体を確定すること、および、その多型ヌクレオチドの正体を用いて、その動物が病気または障害に対して感受性を持つかどうかを判断することを含むスクリーニング法を提供する。動物は好ましくはヒツジであり、その動物の内の少なくとも1頭は、少なくとも1個の座位に関して複合遺伝型を示すことが好ましい。好ましい実施態様では、1個の座位における3種以上の対立遺伝子の多型ヌクレオチドの正体が特定される。好ましい実施態様では、この病気または障害は、例えば、スクラピーのような伝染性脳障害である。このスクリーニング法は、複合遺伝型に寄与する特定の対立遺伝子型の出現率を増大させる、または、減少させる調節的繁殖プログラムにおいて、ある動物を使用することが可能かどうかを決定するのに用いることが可能である。
前述の方法はいずれも、スクラピー耐性ヒツジの繁殖法であって、本発明の方法を用いて雄ヒツジと雌ヒツジのPrP座位において2種以上の対立遺伝子の多型ヌクレオチドの正体を特定すること、この多型ヌクレオチドの正体を用いて、その雄ヒツジと雌ヒツジが、スクラピーに対する感受性と関連しない2種以上の対立遺伝子を持つかどうかを決定すること、を含むヒツジの繁殖法に使用が可能である。スクラピーに対する感受性と関連する対立遺伝子を宿す動物は、特に、PrP座位において3種以上の対立遺伝子がある場合には、繁殖のために使用されないことが好ましい。PrP座位において3種以上の対立遺伝子を有する動物の場合、繁殖結果は、複合遺伝型を示さない動物の場合よりも不確かである。
本発明の方法および組成物は、複合遺伝型の有無を確定するのに、また、そのような複合遺伝型の多型を特定するのに使用が可能である。複合遺伝型とは、サンプルが1個体の核酸を含み、その個体が、興味の核酸について3種以上の対立遺伝子を持つ、そのような状況から生ずる遺伝型も含む。複合遺伝型は、例えば、倍数体を示す個体から得られたものであってもよい。一方、複合遺伝型は、倍数体不在の下で生じることも可能である。複合遺伝型を示す可能性のある個体の、その他の例としては、1種以上の遺伝子重複を有する個体、トランスジェニック個体、トリソミー、染色体の全体的または部分的重複、その他、見かけのキメラ状態をもたらす胎盤吻合のような現象が挙げられる。
複合遺伝型は、胎盤吻合によって生じる可能性がある。胎盤吻合は、双子の胎児の胎盤が融合し、その血流が混じり合う場合に起こる。その結果、幹細胞および対立遺伝子が混じることがある。胎盤吻合による対立遺伝子の混合は、その影響を受けた胎児に対して、様々な量の対立遺伝子を付与し、しかも、それは、影響を受けた動物において組織タイプ毎に変動する可能性がある。血液の僅かの混合は、影響を受けた個体の遺伝型に、比較的低用量の、ある特定の対立遺伝子を加えることになるので、一般的遺伝子タイピング法によって影響を被った個体の対立遺伝子を調べると、外見的には軽度の異常として現れる。本明細書に開示される方法および組成物は、複合遺伝型の存在の検出、および、複合遺伝型と関連する対立遺伝子の遺伝子タイピング、または特定において優れて好適である。
従来の遺伝子タイピングを用いた場合、遺伝子タイピング努力を誤らせる可能性のある複合遺伝型の一つの例が、ヒツジスクラピー病におけるPrP対立遺伝子と関連して見られる。スクラピーは、ヒツジやヤギの、致死的な神経変性疾患であり、ウシ海綿状脳症(BSE)およびヒト・クロイツフェルトヤコブ病(CJD)を含む、伝染性の海綿状疾患の一つである。他の、伝染性海綿状脳症(TSE)と共通して、スクラピーの特徴は、プリオンタンパク遺伝子PrPのタンパク質産物の不正な折れ畳みにある。ヒツジでは、感染に対する感受性の程度は、前記タンパクの特定の異形同士の組み合わせと関連している。特に、136、154および171位に存在するアミノ酸が感受性レベルに強い意味を持ち、ARR(136アラニン、154アルギニン、171アルギニン)がもっとも耐性が高く、VRQ(136バリン、154アルギニン、171グルタミン)がもっとも感受性が高いものの内の一つである。合計、既知のタンパクにおいて5種の異型があり、組み合わせると、可能な15の遺伝型が得られる。136、154および171位におけるPrP遺伝子の5種類の異型は、1文字アミノ酸コードで、ARQ,ARR,ARH,AHQおよびVRQと表される。
スクラピーを検出するために使用されている従来の遺伝子タイピング技術は、PrP座位における複合遺伝型を検出・区分することができなかった。例えば、スクラピーに対する現在の遺伝子タイピング技術は、個体に存在する、二つのコピーから成る正常な遺伝子相補体以外のものもあり得るという可能性を全く考慮していない。しかしながら、例えば、4種の一塩基多型すなわちスニップがあって、ARR/ARHと表示することを要求する動物が、実際には、ARR/ARH/ARQかも知れず、しかも、その3番目の対立遺伝子は、従来のいくつかの遺伝子タイピング法や組成物では、その存在を示す独自のバンドを示さない可能性がある。4種のスニップ部位における特定のヌクレオチドの有無のみを特定する現在のアッセイ技術は、PrP遺伝子座位の2コピー以上を持つ可能性のある動物の正確な遺伝子タイピングを可能とするには十分ではない。ある任意の検査横断面に存在する一塩基多型の相対的比率を定量することによってのみ、鋳型DNA標的について、さらにそれ以上のコピーがあるのかどうかを確定することが可能になる。以上から、現在の技術は、動物のPrP座位における正確な遺伝子タイピングを可能とするものではない。
複合遺伝型を示す個体を含めた、集団の中の個体の正確な遺伝子タイピングを実現することは、良好な結果を挙げる調節的繁殖プログラムの実行には不可欠である。複合遺伝型を説明できなければ、集団の中の病気に感受性のある個体、または、病気に罹り難い、または、耐性を有する個体を単離しようとする努力を誤りかねない。スクラピーの場合、ヒツジ集団における全ての遺伝型−複合遺伝型を含めた−を正確に決定することは、好成績を挙げる調節繁殖プログラムの実現をもたらすことになる。なぜなら、そのプログラムでは、スクラピー発症に対して抵抗力を持つ個体は選択的に繁殖されるが、一方、スクラピーに対して感受性を持つ個体は繁殖することを阻止されるからである。
本発明の方法および組成物は、これまでにも、ヒツジ集団において、PrP座位における複合遺伝型を確定・特定に用いられてきている。下記の議論はヒツジ集団に関するものではあるが、本発明の方法および組成物は、ヒト集団を含めた、いずれの集団においても複合遺伝型の確定・特定するのに使用が可能である。本発明の方法および組成物は、哺乳類を含めた、いずれの集団においても複合遺伝型の確定・特定するのに使用が可能である。哺乳類としては、ウシ、ヤギ、ブタ、霊長類、げっ歯類等が挙げられる。
ヒツジのスクラピーに対する遺伝的感受性試験は、試験された動物の内約0.1%が、PrP遺伝子座に複合遺伝型を示すという注目すべき事実を明らかにした。試験したヒツジ集団に対するプライマー伸長分析から得られた結果は、場合によって、相当にバランスを欠くことが観察された。観察されたアンバランス比率の大部分は、試験したPrP座位に余分のコピーが存在すると仮定することによって説明が可能である。この発見に関する一つの解釈は、染色体内部の、または、異なる染色体間における遺伝子重複、染色体13(ヒツジのPrP遺伝子が存在する)のトリソミー、または、胎盤吻合である。
動物の集団における個体について、PrP座位の余分コピーを含めた、PrP対立遺伝子の出現状態について試験することが可能である。スクラピーに対する感受性を付与するPrP対立遺伝子を、または、対立遺伝子の組み合わせを示す動物を特定することが可能である。同様に、スクラピーに対する耐性と関連する、または、スクラピーに対する感受性と関連しないPrP対立遺伝子を、または、対立遺伝子の組み合わせを示す動物も特定することが可能である。そのような動物を特定または検出し、それらをまとめ、全体集団から分離することによって、スクラピーに対して感受性をより持たない、ほとんど持たない、または、全く持たない繁殖集団を作成することが可能である。
さらに、ヒツジ集団から得たヒツジ***または卵子を、PrP座位に関して遺伝子タイピングすることも可能であり、3種以上の対立遺伝子を含む、対立遺伝子の組み合わせを示すサンプルを分離し、スクラピーに対して感受性をより持たない、ほとんど持たない、または、全く持たないヒツジ集団の形成に使用するために保存することも可能である。このような***および/または卵子は、人工授精、体内または体外受精、または、ゲノム物質の胚細胞・胚へのマイクロインジェクションを含めた−ただし、これらに限定されない−好ましい特徴を備えた動物を生産するように設計された、その他の生殖技術において使用することが可能である。
PrP座位に関してヒツジの遺伝子タイピングを実行することは、複数対立遺伝子PrP遺伝子の知識および、好ましい遺伝型の存在に関して選択された個別のヒツジの選択的繁殖と相俟って、スクラピー耐性ヒツジ集団をもたらすことが可能である。
650,000頭を越える個体動物について、ある私企業のプライマー伸長アッセイ法SNP−IT(商標)を用い、本発明の方法によって遺伝子タイピングを行った。このアッセイは、136、154、171位(コドン171は、2種の多型ヌクレオチドを有し、アルギニン、グルタミンまたはヒスチジンをコードすることが可能である)においてコード能力を決める4種のスニップを問い合わせする。
一つの実施態様では、このアッセイは、4種全ての多型ヌクレオチドを含むスクラピー遺伝子から成る310bpの単一アンプリコンの形成に依存する。次に、このアンプリコンを、多重化蛍光プライマー伸長アッセイにおいて鋳型として用いる。このアッセイに用いられる伸長プライマーは、サイズと配列においてそれぞれ異なるので、毛細管電気泳動において分離することが可能であり、多型部位に存在する塩基を、従って、タンパクの中に存在するであろうアミノ酸を推定することを可能とする。本発明によって使用するのが好適なアッセイが、2002年6月25日登録の、米国特許出願連番第10/179,826号に開示されている。この全開示を引用することにより本明細書に含める。
ここに展開したアッセイによって生成されるプロフィールは馴染みのもとなり、異なるスニップ同士の間で、さらに詳細には、ヘテロ接合体細胞の異なるピーク同士の間で、ピーク強度に関して予測可能となった。最初は、明らかに異常なプロフィールが観察されたが、最初は、最初のPCR反応の際に二次的汚染の鋳型が存在することによるものだと思われた。しかしながら、繰り返し分析することにより、また、別系統の問い合わせ動物から採取した新鮮なサンプルで再試験したところ、バランスの欠如は実際のものであり、バランス欠如を示す個体における複合遺伝型の出現によるものであることが確かめられた。
また別の、まだ観察されたことのない多型が、このバランス欠如の基礎原因であるのかどうかを確認するためにDNA配列決定法を実施した。配列決定では、新規の多型は明らかにされなかった。
本出願者は、バランス欠如プロフィールは、いくつかの個体においてPrP遺伝子の複数のコピーが存在するためであることを発見した。その結果、遺伝子型が、例えば、XYヘテロ接合体で表される動物は、X異型に関するスニップを過剰に示す可能性のあること、この遺伝型は、XXYまたは、さらにXXXYと報告した方がより正確であることが明らかになった。本出願者はまた、ABCという形の、三つの異なる対立遺伝子が存在する場合、問題の座位の2コピーを越えるものがあるとしなければ説明できない現象があることを観察した。
この結果は、調節的繁殖プログラムに用いられる動物の選択にとって大きな意味を持つ可能性がある。なぜならば、好ましい対立遺伝子の2倍投与は、その好ましい性質の伝達率を増大させる可能性があるのに対し、一方、有害な対立遺伝子の2倍投与は、全ての子孫に対するその有害性質の伝達率を増大させる可能性があるからである。このことは、一つの組織、典型的には血液(ただし血液に限定されない)をタイピングすることによって観察される複合遺伝型は、同様に、配偶子DNAにも出現することを前提とする。核酸を含む、または、含むと予想される全てのサンプルは、本明細書に開示される本法および組成物によって定量することが可能である。
本明細書に記述される全ての実施態様において、最初のPCR反応に外来の鋳型DNAを加え、標的DNAを十分多量に生産し、そのPCR産物に加えられる外来プローブのプライマー伸長を促進するようにすることが可能である。この外来配列は完全に人工的であってもよいのであるから、その設計は高度に弾力的であるが、配列は、調査されるゲノムDNA多型の分析を妨げることのないように選択される。このようにして伸長されたプローブは、例えば、少なくとも三つの明確な機能を有する。すなわち、これらの機能は、(i)PCR反応が上手く進んでいることを示す、(ii)プライマー伸長反応が効率的であることを示す、および、(iii)アッセイに対して独立のサイズマーカーとして働くから、アッセイ特異的産物の正確なサイズ評価を可能とする。この特質は、図23および24に描かれる。
本発明の一つの利点は、ある特定の形態の2個を越えるハプロタイプがある、あるいは、標的DNAサンプルに存在する特定のハプロタイプのコピー数に明らかな非対称がある鋳型DNAサンプルについて正確な遺伝子タイピングの実行が可能であることである。このことは、例えば、ヒツジのPrP(プリオンタンパク)座位の余分のコピーとして、または、特定の改変ヌクレオチドの見かけの非対称を招く2種以上の鋳型DNAの非対称として、または、特異的ハプロタイプとして特定される改変ヌクレオチドの塊りとして観察されることがある。本発明は、調節的繁殖プログラムに応用が可能である。ある特定形の2個を越えるハプロタイプが存在した場合、それは、特定のハプロタイプの出現率を増大または減少するための繁殖戦略を複雑にする。本発明のさらにもう一つの利点は、ある標的DNAサンプル中の複数の特異的改変ヌクレオチドの相対量の定量、および、各改変ヌクレオチドの比の解釈を可能とすることである。
図は、分かり易くするために単純化してある。例えば、改変ヌクレオチドに隣接するプライマーの伸長産物は、図では、変異位置がホモ接合体ならばそうなるように、単一ピークで示される。変異位置がヘテロ接合体の場合、二つのごく近接した関連ピークが形成される。これは、この二つの伸長産物は、取り込んだ末端塩基が異なるために、また、恐らくは停止塩基に付着される標識が異なるために、ごく僅か異なる質量:電荷比を持つためにそうなる。5‘タグの違いは、質量:電荷比を変えることがある。
本明細書で用いる場合、“S”とはGまたはCを指す。“R”はAまたはGを指す。“Y”はTまたはCを指す。“K”はGまたはTを指す。“M”はCまたはAを指す。
図1は、PrP座位で分析したヒツジの実際の遺伝子タイピングプロフィールを示す。このプロフィールは、米国特許出願連番第10/179,826号に開示されるアッセイを用いて生成されてものである。このプロフィールは、矢印1(黒塗り)および矢印2(斜線縞)によって標識されるヘテロ接合***置における予期しないバランス欠如を示す。この場合、予期されていたパターンは、矢印2によって示されるピークの方が矢印1よりも僅かに大きいものであった。この例ではそのピークがそれよりも遥かに小さくなっている。矢印3(白)および矢印4(水平線縞)によって示されるピークも予想に反してバランス欠如している。矢印4によって示されるピークは、通常は、矢印3によって示されるものよりも僅かに大きい筈である。この例では、矢印4によって示されるピークは、矢印3よりも際立って大きい。
図2は、DNAの中に少なくとも3種のハプロタイプが存在するように見える、実際の遺伝子タイピングプロフィールを示す。矢印1(黒塗り)、2(斜線縞)および3(白)によって示されるピークは、それ自体が特異的アロタイプARR(矢印1)、AHQ(矢印2)およびARH(矢印3)を診断するものである。この思いがけない観察に加えて、示されたピークにはそれぞれヘテロ接合体の対合遺伝子が伴い、かつ、それぞれの場合においてヘテロ接合体結果の外見は異常なことに非対称である。
図3は、標的核酸中の多型の鏡像を有する増幅プライマーを示す。図示したものは、タグを備えた2本の増幅プライマーであり、その際、この2本のプライマーは、タグ中の単一ヌクレオチドの正体が異なるのみであり、この単一ヌクレオチドは、標的の興味の一塩基多型を両側挟持する同じヌクレオチドによって両側挟持される。「鏡像」多型(5‘タグ中の)を両側挟持する塩基は、標的において「実像」多型を両側挟持するものと同じである。増幅プライマーの一方は、標的鋳型と、または、標的DNAが得られた生物由来の他のDNAともほとんど無関係の5’DNA配列(点線で示す)を持つように修飾されている。これらの増幅プライマーは、2本の、酷似はするが、はっきりと別々の配列から成る集団であって、2本のプライマーは、同じ標的に(黒塗り矢印配列の相補体)にアニールはするが、タグ中の単一ヌクレオチドが異なる点で互いに異なる。この単一ヌクレオチド位置は、標的とする「実像」のSNP多型の「鏡像」となる。図示の2本のプライマーと、1本の対向プライマー(図示せず)を組み合わせて増幅を実行すると、その結果、アンプリコンのプールが得られる。その際、「実像」SNPの(ヘテロ接合形の)コピーがアンプリコンの末端に生成されるが、その「鏡像SNP」は、このハイブリッドプライマーの5‘タグから得られたものである。特異的に特定はされていないけれども、SNPの直前の塩基と、SNPの直後の塩基が示されていることに注意されたい。「実像SNP」から一塩基もコピーされないこともあってもよいが、SNPの前または後ろ、または、その前後の1塩基以上をコピーすることが好ましい。これは、実像SNPと鏡像SNPの両方に対してプライマー伸長反応を実行する際に、鎖停止ヌクレオチド取り込みの相対的効率に関して、「鏡像SNP」が、「実像SNP」と相同的にまたは相似的に振舞うことを可能にするためである。
図4は、一塩基多型を含む標的核酸配列の診断的増幅と、得られると予想されるアンプリコンを示す。この実施態様では、多型ヌクレオチドを含む標的核酸を増幅するのに、多型が、得られるアンプリコンの中に含まれるようにするために少なくとも3本の異なる増幅プライマーが用いられる。図示のように、プライマーの内の2本は、同じ配列において標的核酸にハイブリダイズすることができる同一配列の3‘末端を有し−そのために、標的のこの部分に対して等しく競合して、標的核酸の、多型を有する領域を増幅することになる−、また、標的配列に対してほとんどハイブリダイズできない5’タグ配列を有する。この5‘タグ配列は“R”を含むことが示されているが、これは、GとAの両塩基がこの位置に存在することを示すものであるが、これが、この5’タグの配列における唯一の違いである。これも図示される第三のプライマーは、アンプリコンが興味の多型を含むように、多型の遠位の2本鎖の内他方鎖にハイブリダイズする。標的の同じ配列にハイブリダイズするこの2本のプライマーは、それぞれ、増幅反応の条件下では標的核酸に実質的にハイブリダイズすることが不可能で、かつ、5‘タグ中の1ヌクレオチド残基においてのみ異なる5’タグを有する。これらのタグは、そのタグ中に標的多型の鏡像を抱える。この実施態様では、タグ中のAおよびGは、アンプリコンにおいて標的多型を両側挟持するヌクレオチドと同じヌクレオチドによって両側挟持される。上述のようなプライマーを用いることは、5‘タグを巧妙に選択することによって、標的核酸を増幅した結果、「鏡像SNP」を既知の調節的な比率で有する、アンプリコンの生成を可能とする能力を付与する。ある実施態様では、得られたアンプリコン集団におけるA:G比が1:1となるアンプリコンを形成するように、この二つのタグ付きプライマーは等しい割合で用いられるのが好ましい。そうすることによって、その同じアンプリコンにおいて、標的核酸から増幅された多型部位と同様のヘテロ接合部位が再現される。この実施態様の具体例が図4に示される。同図において、二つのプライマーの5’タグによって生成されるA:G比を「鏡像SNP」と言い、標的核酸から増幅された多型部位を「実像SNP」と言う。この実施態様で見て取れるように、各鏡像および実像SNPは、各鏡像および実像SNPを挟持する塩基が同一であるという点で、同じ配列環境にある。この実施態様は、これらの部位で実行されるプライマー伸長反応のヘテロ性が配列環境差によるかも知れないという可能性が好都合にも低下させられるという利点を有する。さらに、この実施態様は、単一塩基プライマー伸長反応後に、観察者に対し、明瞭なヘテロ接合体シグナルを提供するという点で特に有利である。信頼できるヘテロの鏡像SNPの形成は、各鋳型は等量であるので、GターミネーターとAターミネーターの取り込み効率に関する基準点を与えるために、標的とされる実像SNPにおける状況の評価を可能とする。プライマー伸長後、アンプリコンに存在する実像SNPに対する停止塩基の相対的取り込み効率を調べることによって、この多型の接合性、すなわち、これもヘテロ接合体であるのか、それとも、ホモ接合体SNPの場合に予想されるように、塩基の内のどちらか一方の取り込みに際立って偏倚しているのかどうかを確定することが可能になる。
図5は、50:50診断増幅産物を示し、かつ、診断的プライマー伸長反応における下流または上流鎖の使用法を示す。図5は、一つの鏡像SNPと一つの実像SNPを有するアンプリコンが生成された実施態様を示す。この鏡像SNPと実像SNPとは同じアンプリコンに存在するので、PCR反応の効率によらず等モルである。両位置は、同じ鎖にハイブリダイズする別々の、かつ、識別可能なSNP−IT(商標)プライマーを用いることによって同時に問い合わせすることが可能である。そのために、SNP周囲の配列環境は、鏡像SNPと実像SNPの間で同様に維持され、かつ、この配列環境が、一方の鎖停止ヌクレオチドの取り込み効率を、他方の取り込み効率に対して優越させるような影響を持つとしても、その影響は、鏡像SNPと実像SNP問い合わせの間では正規化することが可能となる。鏡像および実像SNPを上流鎖(タグ付きプライマーの伸長産物)にからのCおよびTターミネーターの付加として問い合わせする場合、過剰な増幅プライマーは、SNP−IT(商標)伸長反応前に(例えば、Exo I消化により)効率的に除去されることに注意されたい。そうできなかった場合は、過剰なプライマーをもたらすが、これは、SNP−IT(商標)伸長反応の際に鋳型として利用されるので、鏡像SNP:実像SNPの1:1モル比が失われる。鏡像SNPと実像SNPを、ハイブリッドプライマーの下流(娘)鎖におけるAおよびGターミネーターの付加として問い合わせすることはこの問題を回避させるが、ハイブリッドプライマーの鏡像SNP位置の5‘側に十分なDNAを供給し、娘鎖に対してSNP−IT(商標)の安定なハイブリダイゼーションの実現を可能としなければならない。伸長プライマーの3’末端塩基が、鏡像および実像SNPに対し、それぞれの方向において、直前先行する塩基と同一であることが示されていること、および、この例では、改変ヌクレオチドを越えた塩基も、鏡像および実像SNPの間で維持されていることに注意されたい。
図6は、標的が単一供給源の鋳型DNAを含み、例示のためにA/G多型を用いた場合の、3通りの可能な結果を示す。パネルAは、標的SNPがGGホモの場合の結果、パネルBは、標的SNPがAGヘテロの場合の結果、パネルCは、標的SNPがAAホモの場合の結果である。鏡像SNPと実像SNPとは同じアンプリコンに存在するので、PCRの効率とは無関係に等モルである。両位置は、同じ鎖にハイブリダイズする別々の、かつ、識別可能なSNP−IT(商標)プライマーを用いることによって同時に問い合わせすることが可能である。そのために、SNP周囲の「配列環境」は、鏡像SNPと実像SNPの間で同様に維持され、かつ、この配列環境が、一方の鎖停止ヌクレオチドの取り込み効率を、他方の取り込み効率に対して優越させるような影響を持つとしても、その影響は、鏡像SNPと実像SNP問い合わせの間では正規化することが可能となる。鏡像SNPヘテロ接合体と実像SNP結果の間のシグナル強度が等しいことは、もっとも有利な条件ではあるけれども、絶対的要件ではない。鏡像SNPと実像SNPにおいて十分なシグナル強度があって、各SNPにおけるヘテロピーク間の比が、確率的変動やアーチファクトノイズが検出シグナルの相当部分を占めるレベルを上回って確定可能であることだけが必要なのである。(人工的な)鏡像SNPからの受容可能なシグナル検出レベルを、関連する実像SNPからの結果を有効と受け取る前に、設定することも有利であるかも知れない。このことは、多重化分析において、一つの特異的アンプリコンが、受容可能なレベルに増幅されなかった場合、そのシグナルをアンプリコンの鏡像SNPからのシグナルを調べることで確かめることが可能である点で特に有効であろう。
図7は、単一供給源鋳型DNAにおける8種の多型に関する多重化アッセイの結果がどのような外見を呈するかを示す。鏡像(M)SNPと実像(R)SNPで調べた任意のアンプリコンにおいて、単一供給源の鋳型DNAの場合、実像SNPには3通りの可能な結果しかない。鏡像SNPは、このアンプリコンが多重化内で定量可能なレベルにまで生産された場合、必ずヘテロシグナルを返してくるが、その際、一方のヌクレオチドの取り込みの、他方のヌクレオチドの取り込みに対する比は何らかのやり方で測定が可能である。ただし、取り込みの絶対値はMとRの間で(両者は等モルであるが)、また、個々のSNPの間で異なることがある。実像SNPによって戻されるシグナルは、このヘテロシグナル比と極めて近似するか、または、その比の一方または他方に極端に偏倚する。これは、その実像SNPが、一方または他方の色合から成るホモ接合体であることを示す。色合とは、可能な、異なる6種の組み合わせ(AG,AC,AT、TG,TC,GC)の内の一つであるSNPの型を意味する。この場合に戻されるシグナルも、鏡像SNPと実像SNPの問い合わせに使用されるSNP−IT(商標)プライマーが異なるハイブリダイゼーション特性を持つ場合は、鏡像SNPによって戻されるものよりも大きくなる。ただし、必ずしも常にそうだというわけではない。しかしながら、本明細書に記載される分析システムを用いると、全ての実験変数および配列環境変数は自動的に正規化されるので、鏡像および実像SNPから生成されるピークの間の比はほぼ等しい。ここでは、8種の未特定SNPから成る一組を例示のために用いた。SNP5が、鏡像および実像SNPの両方において特に弱いシグナルを生成するところが示されていることに注意されたい。これは、標的アンプリコンがこの多重化分析において効果的に生産されなかった場合に予想される結果である。このような結果から比を取ることは、得られた比の中でもより間違いに導き易いものである。本システムは、ターミネーターとして使用したヌクレオチド種がそれぞれ識別可能な特性を持つ限り、どのようなSNP組み合わせ、または、異なるSNP同士のどのような混合物にも適用することが可能である。さらに、戻されたシグナルは、恐らくは毛細管電気泳動装置−この場合、実像SNP SNP−IT(商標)プライマーは鏡像SNPプライマーよりもゆっくりと移動し、停止ヌクレオチドは、蛍光染料のような何らかの検出可能なラベルを担っているが−を用いてピークとして示される。鏡像SNPヘテロ接合体は、対応する実像SNP結果の近傍に示されているが、それぞれがはっきりと識別される限り、鏡像SNPと実像SNPとは図示のように互いに接近していることは必ずしも必要ではない。SNP−IT(商標)反応の産物同士の識別を可能とするシステムであればどのようなものでも本法に適用が可能である。
図8は、互いに相補的であるヌクレオチドによって両側を挟持されるトランスバージョンである多型を標的とする、混合が予想されるDNAサンプルを解釈するための単一試験管テストを例示する。黒塗り四角は、斜線四角に対して相補的なヌクレオチドを示す。図示の比率および、G/Cの使用は、例示のためだけのものである。当業者であれば、どのトランスバージョンでもどの比率でもこのアッセイに使用が可能であることが理解されよう。さらに、実像および鏡像SNPの周囲には、単一の隣接ヌクレオチドしか図示されていない。これは、ただ図を見易くするためにそうしているのに過ぎない。プライマー伸長の際、停止塩基の取り込みについて同じまたは近似の効率を与えるために、SNPの一方側に、他方側に、または、両側に1個を越えるヌクレオチドが必要とされるかも知れないし、または、相補的であることが必要なのはゼロ塩基であるかも知れない。図示のフォワードプライマーにおける3:1(G:C)の比は、Gを抱えるフォワードプライマーを、Cを抱えるフォワードプライマーよりも3倍高い濃度で含ませて初期のPCR反応を実行することによって達成される。この比は娘鎖では逆転する。なぜなら、娘鎖では、GよりもCの方が3倍多いからである。リバースプライマーも、単一ヌクレオチドの正体のみが異なる二つのプライマーから成る混合集団として示されている。ここでは、C包含プライマーに対するG包含プライマーの比は、初期PCRでは等しくなるように調節され、アンプリコンにおいて鏡像SNPを1:1比で生成する。さらに、二つの人工的に導入された多型部位周囲の塩基も、実像SNPに合致して、鏡像SNPの配列環境を維持するように逆転していることに注意されたい。
図9は、三つの既知の比を持つG:Cと、未知の比を持つS残基からデータを得るために4本の伸長プライマーが用いられる4重化反応を示す。G:Cの既知の比は、3:1、1:1および1:3である。実像SNPのSプライマーのどちらか一方は必要である(ただし、両方は必ずしも必要ではない)。単一*印は、そのように印したプライマーの内の一つだけが必要とされることを示す。このようなプライマーの内の一方が、他方よりも好ましい配列特性を持つと判断され、プライマー伸長反応において好ましい選択とされる場合がある。Exo Iと記したプライマーは、特定工程の前に、初期増幅の相補的プライマーの効率的除去が必要な場合にのみこれらのプライマーが使用されることを示す。1:1多型は他方鎖においても(プライマー図示せず)問い合わせが可能であり、その場合、初期増幅プライマーにおいてより大きな5‘タグ配列が必要となることに注意されたい。これは、アンプリコンに十分な鋳型DNAを与えて、プライマー伸長に使用されるプライマーが安定にハイブリダイズすることを可能とするためである。得られたG:Cの三つの比(3:1、1:3および1:1)に関するデータ、および、実像SNPの情報の両方を獲得するのに、図示のような4本の伸長プライマーを用いるだけでよい。僅か4本の伸長プライマーの使用は必要な分析を緩和し、異なるSNP分析の多重化への適応力を増大させる。なぜなら、各SNPは、個別の独自性を維持しながら、異なる全ての伸長産物に適合させるための分析空間(それが毛細管であれ、または、他の分析結果読み取り台であれ)を要するものだからである。使用する伸長プライマーの如何によらず、全てのプライマーの3’末端塩基は、「黒塗四角」ヌクレオチドの相補塩基である「斜線四角」ヌクレオチドにアニールするように描かれていることに注意されたい。図示されるように、標的SNP周囲の配列環境は、特定反応時の鋳型としてどちらの鎖が使用されるかには無関係に維持される。
図10は、4重単一試験管G:C(3:1、1:1および1:3)アッセイが理想的にどのような結果を呈するかを示す。XおよびYターミネーター(ここではGおよびCとして示される)の取り込みの相対的効率のグラフが形成されるが、「実像SNP」における観察された取り込み効率はこのグラフ上のどこかに配置されるが、それは、この反応を起動するのに用いられた鋳型DNAに存在していたに違いないXおよびYヌクレオチドの相対的比率を示す。このグラフはただ例示目的だけのものである。なぜなら、この方法で形成されるグラフは、実際には、特に、伸長反応を飽和点まで進行させた場合(すなわち、プライマー伸長反応に必要な何かの成分が枯渇した場合)には、図示のように直線とはならないと想定されるからである。
図11は、あるプライマー伸長反応において二つの停止ヌクレオチドの相対的取り込みに関してよりありそうな形をしたグラフを示す。このグラフは、二つの極端なホモ接合体点において軸に接触しているが、これは、これらの点でも、分析対象のアンプリコンの量は等価であることを仮定している。各個別のSNPについて、曲線の形を記述する特異的関数が存在する場合があるならば、その形は、必然的にごく限られた数の局所的配列環境における各SNP色合について経験的に求められよう。
図12は、単一試験管において、最大6本の伸長プライマーを用いてトランスバージョン多型をどのようにしてアッセイすることが可能かを示す。単一*印は、これら標的特定プライマーの両方とも使用してよく、また、その結果を平均してもよいことを示す。ただし、その場合、ホモ接合体または混合サンプルでは、これらの内の一方または他方を先ず逆数値に変更しなければならない、なぜなら偏った値は他方鎖では逆転するからという事実に十分な考慮を払って行う。二重*印は、これら標的特定プライマーの両方とも使用してよく、また、その結果を平均してもよい、なぜなら、これらは、どちらの鎖でアッセイしても真のバランスの取れたヘテロ接合体を表すことを示す。Exo Iと表示されたプライマーは、Exo Iと表示されるプライマーの使用前に、増幅プライマーの効率的除去が必要な場合にのみ使用されることを示す。各SNPを上流と下流鎖で分析することにより、最大6本のSNP−IT(商標)プライマーによって3種の異なるSNPを分析することが可能である。鏡像SNPが他方鎖に比率スイッチを形成する場合、両比率におけるターミネーターXとYの効率に関する情報を得るために、鏡像SNPを両鎖について分析しなければならない。しかしながら、他方の増幅プライマーによって形成される他方の鏡像SNPは、2本鎖とされた場合この比率スイッチを経過しない。この鏡像SNPは、再び1:1比でそれ自身のコピーを再生するに過ぎない。これら二つの1:1比は、二つの別々のSNP−IT(商標)プライマーを用いることによって両鎖において分析が可能であり、XおよびYターミネーターの取り込み効率を、この二つの伸長反応の間で平均することも可能である。同様に、「実像SNP」も両鎖で分析することが可能であり、また、「実像SNP」は、1個以上の鋳型の混合であるためにバランスが崩れると、鎖から鎖への切り替えが起こることを念頭に置いて分析することが可能である。このように観察される切り替えの数学的補正は、共通比を計算する前に実行しなければならない。
図13は、6重化単一試験管SNP比率マトリックスの結果はどのような外見を呈するかを示す。XおよびYターミネーター(ここではGおよびCとして示される)の取り込みの相対的効率のグラフが形成されるが、「実像SNP」における観察された取り込み効率(平均)はこのグラフ上のどこかに配置されるが、それは、この反応を起動するのに用いられた鋳型DNAに存在していたに違いないXおよびYヌクレオチドの相対的比率を示す。1:1「鏡像SNP」の効率は平均であることに注意されたい。ただし、この点を強調するために、1:1鏡像SNPと「実像SNP」点の両方とも、グラフの上では二つの近接点として示されている。このグラフは例示目的のためだけのものである。なぜなら、この方法で形成されるグラフは、実際には、図示のように直線とはならないと考えられる。
図14は、あるプライマー伸長反応において二つの停止ヌクレオチドの相対的取り込みに関してよりありそうな形をしたグラフを示す。このグラフは、二つの極端なホモ接合体点において軸に接触しているが、これは、これらの点でも、分析対象のアンプリコンの量は等価であることを仮定している。各個別のSNPについて、曲線の形を記述する特異的関数が存在する場合があるならば、その形は、ごく限られた数の局所的配列環境における各SNP色合について経験的に求められよう。1:1比および実像SNP分析は、両鎖における分析の後、標的由来実像SNPに見られるかも知れない1:1比からの偏倚に対処するための適当な救済行動が取られて後、平均することが可能となることに注意されたい。
図15は、複数の多型を調べる多重化反応の結果がどのよな外見を呈するかを示す。図示の場合では、6種の多型を、SNP当たり4本の伸長ポリマーを用いて、すなわち、既知の比率の鏡像SNPを問い合わせするのに3本および実像SNPを問い合わせするのに1本を用いて分析する。以前と同様、多くの「実像SNP」について同時に多重化分析を実行し、一方では、各SNPについて標準曲線またはその他の数学的予測式を作成し、個々のグラフからXおよびYヌクレオチドの相対的割合(XおよびYは、任意の個別SNPに対して可能な二つのヌクレオチド種を表す)を読み取ることが可能である。このように共同分析した、沢山の異なるSNPから情報を組み合わせることによって、混合物の中に存在する個々のDNA鋳型の割合に関する最大公約数的結論に到達することが可能であり、このことは、個々のDNAプロフィールの内の一つが既知であれば(例えば、性的暴行の被害者のプロフィール)さらに促進される。
図16は、ある特定の配列環境における任意のSNPに関するプライマー伸長反応において、一方のヌクレオチドの取り込み比と、他方のヌクレオチドの比の間に見られる関数を定義するための、さらに別の、もっとも好ましい経験的手段を示す。図には、増幅反応によってアンプリコン集団の両末端に、トランスバージョンSNPが、8種の異なる比率で取り込まれた場合が示される。ただし、実際に使用された比は、図示のものよりも幾分か幅広かった。これら様々な比から、実際の取り込みレベルと、鋳型DNAの既知の利用比の間の関係をプロットすることが可能である。これら様々な比のチェックを単一試験管アッセイで実行することは不可能かも知れないが、そのために、アンプリコン集団の中に1:1比コントロールを組み込んだ。これは、この部分において取り込みレベルは同じであり、各種偏倚性鏡像SNPから得られた結果をまとめて数学的関係式に表すことが可能であることを実証するためである。一SNPに対してこの作業を完了したならば、その数学的関係式は、特異的配列によって両側挟持される全てのSNPに適用可能であるかも知れないし、また、この作業は、全ての局所的配列環境における各SNP色合について繰り返してもよいかも知れない。これによって必然的に実験の回数は限定されよう。
図17は、2個の鎖停止ヌクレオチドの取り込み効率の間に見られるもっとも単純な関係を示す。その関係は、直線関係であり、また、対数/直線関係の形を取るより複雑な数学関係式である。他の関数、例えば指数関数も、特定の比における鎖停止ヌクレオチド取り込み効率を記述する可能性があり、これらは、ある特定の局所的配列環境における各特異的SNP色合について経験的に定められる。この関係式を直線関係式に変換することによって、停止ヌクレオチドの取り込みに関する観察比から未知の比を確定することが簡単になる。
図18は、記載される本発明の実際例を示す。図は、136、154、171−1および171−2位置において4個の多型ヌクレオチドに隣接する初期増幅プライマー(黒塗り矢印)によるヒツジPrP遺伝子の一部の増幅を示す。この多型ヌクレオチドは、初期増幅プライマーに対して5‘タグが付着されるために、増幅時再生される。各プライマーは、多型ヌクレオチドの内の2個を再生する(フォワードプライマーのタグにおいて136と154、および、リバースプライマーのタグにおいて171−1と171−2)。多型部位のそれぞれは、等モル量の初期増幅プライマーの使用によりバランスの取れたヘテロ接合体として再構成される(合計で、2本のそれぞれ別のフォワードプライマー配列と、2本のそれぞれ別のリバースプライマー配列)。純正なヘテロ接合体および再構成されたヘテロ接合体の周囲の局所配列のみが示される(プライマー伸長反応のアンプリコン標的に関して、3’側2塩基および5‘側1塩基)。この純正の多型は、図示のように、4本のプライマー(黒塗り矢印、5’末端のみ表示)によって問い合わせされ、一方、再構成された平衡型ヘテロ接合体は、4本のプライマー(斜線四角矢印)からなる別の一組によって問い合わせされる。問い合わせプライマーの各ペアは別々であるが、その3‘末端の2塩基において共通性を分かちあっている。再構成された136および171−2多型部位を問い合わせするプライマーは、四角矢印の一部(初期増幅プライマーの鋳型特異的な部分)に対して相補的であることに注意されたい。これは、必要な5’タグ配列の必要な長さを制限する手段であって、この長いハイブリッドプライマーの効率的な合成を助ける。171−1および171−2多型の性格により(これらの部位は直近である)、これらの再構成部位において、問い合わせされる多型の5‘側単一ヌクレオチドに関して、実際の状況を完全には反映させることができないことに注意されたい。ここでは、それぞれの場合において、二つの可能な塩基の内より一般的なものが示されている。図示したプライマー伸長プローブのどれも、電気泳動時に各分子種の移動位置に影響を与えるために用いられるポリT移動性修飾因子のような5’修飾因子を全く示していない。これらの修飾因子は、見易くするために図から省略した。
図19は、図18のようなヒツジDNAの分析結果を示すものであり、各実像SNPをヘテロ接合体−天然には起こりそうもないことであるが−として示す。鏡像SNPに取り込まれた各ヌクレオチド間の比を、実像SNPにおいて観察された比と比較することが可能であり、かつ、この比が、実像SNPにおける平衡型ヘテロ接合体を示すものか、それとも、元の鋳型のPrP遺伝子の余分のコピーの存在を示すものかに関して判断を下すことが可能である。鏡像SNPの方が、実像SNP伸長産物よりもゆっくりと移動するところ(見かけの分子量がより大きい)が示されていることに注意されたい。このことは、各分子種が一意に特定可能である限り必ずしも必要ではない。さらに、実像と鏡像SNPの間の絶対面積は同じである必要はなく、ただ、任意のヘテロ接合体ペアに取り込まれたターミネーター間の面積比だけは同じでなければならないことに注意されたい。この図にはサイズコントロールも示されている。
図20は、記述のシステムが、改変ヌクレオチドとして欠失が存在するか否かを監視するのに使用可能であることを示す。この増幅によって生産される産物は、標的欠失を含む産物の生成を示すことに限定されるが、欠失と、野生型標的DNAが等しく発現されるアンプリコン集団の生成に使用することも可能である。これは、初期増幅プライマーの等濃度を、欠失および、5‘タグに表される野生型配列と組み合わせることによって実現される。改変ヌクレオチドの、この人工的発現を探るために使用されるプライマーは、欠失した配列内部の1ヌクレオチドに対して、または、不変の5’側ヌクレオチドを欠失部位に対して、伸びるように標的される。欠失および野生型配列の検出に影響を与えると予想される、伸長用の可能な標的は多数あるが、どれがもっとも好適であるかは、欠失部の伸長や、欠失部位の内部および周囲のDNA配列に依存する。
図21は、欠失検出と同様のやり方で、挿入を検出するのに本システムが使用可能であることを示す。増幅プライマーは、標的される挿入配列を模す5‘タグ配列を抱えるところが示されているが、一方は5’タグに挿入を抱え、他方は標的DNAの野生型配列を抱える、初期増幅プライマーを等比率で組み合わせることによって、挿入と野生型配列とが等しく発現されるアンプリコン集団が生産される。5‘タグ配列における改変ヌクレオチドの問い合わせは、挿入部内のヌクレオチドか、または、挿入部5’側の未改変ヌクレオチドに向けられる。挿入および野生型配列の検出に影響を与えると予想されるシステムは多数あるが、どれがもっとも好適であるかは、挿入部の伸長や、挿入部位の内部および周囲のDNA配列に依存する。
図22は、二つの初期増幅プライマーであって、それぞれほとんど同一の5‘タグを抱えるが、改変ヌクレオチドこれは一塩基であっても、欠失や挿入のようにいくつかのヌクレオチドを含んでいてもよい−においてのみ異なる増幅プライマーを用いて、一形態の改変ヌクレオチドをアンプリコンに導入することが可能であることを示す。このシステムは、改変ヌクレオチドがアンプリコンの対向鎖に発現されるが、改変ヌクレオチド形は、絶対的1:1に近い比でバランスされるアンプリコンの集団を生成する。このシステムは、同じ標的DNA特異的ハイブリダイゼーション部位に向って競合する、二つの別々のプライマーをバランスさせなければならないという問題を克服する。しかしながら、5’タグ間の相同性が極端であるために、初期増幅プライマー5‘タグが、自身の伸長産物の3’末端に、同一分子内で、または、分子間で結合する可能性がある。このことがPCR増幅を妨げないようにするには、アッセイ条件の注意深い設計および、特に増幅時の熱の時間的変化の設計が必要である。
図23は、外来制御システムの全体設計を示す。2本の長い線は、2本の、人工的相補配列を示す。これらを既知のコピー数添加してPCRを起動し、図示のPCRプライマー(PCR1およびPCR2)によって増幅し、同時にPCRにおいて分析用鋳型DNAおよびプライマーからアンプリコンが生成される。人工アンプリコンが生成された場合、それらは、図示のプローブの予測可能なプライマー伸長を促進するのに利用可能となる。二つのプローブは、例えば、制限部位となるように設計されたパリンドローム型DNAの領域内の同じ塩基を標的するように使用することが可能である。5‘末端に様々な長さを持つタグ(括弧付き点線で示す)を備えた複数のプローブを使用することが可能である。
図24は、外来の制御DNA配列として効率的に働く、特異的な一組のDNA配列を示す。各DNA配列の機能に関しては図23を参照されたい。この100bpの人工構築体(配列番号38)の中央に指定される制限部位はPvu II制限部位(下線部)である。標的塩基は、Pvu II認識部位内のTであり、これは、異なる配列であるが、3‘末端では配列共通性を有するプローブによって上流鎖と下流鎖の両方において標的される。Pvu IIのパリンドローム性は、認識部位の前のさらに2塩基分延長し(上流鎖のみ上線部)、上流鎖と下流鎖における配列近似性をさらに強調するので、両プローブは、その3’末端において3塩基を共通に持つが、それらの元となる配列は10塩基に渡って共通である(標的塩基の前の3個、標的塩基そのもの、および、標的塩基後のさらに6個の塩基)。この例では、プローブは伸びて停止性A(ゴチック、下線)を取り込む。見易さのためにプライマーとプローブの5‘末端のみを示す。上流鎖のプライマーとプローブ(配列番号39と40)、および、下流鎖のプライマーとプローブ(配列番号41と42)は、アンプリコン(配列番号38)の上に整列させて示す。
図25は、図18に記述した構築体が形成され、次に、171−1実像および171−1鏡像SNPを用いてプローブした場合に得られる結果を示す。図は、(i)ホモ接合体GG実像SNPを鋳型として用いた場合、(ii)ヘテロ接合体GA実像SNPを鋳型として用いた場合、および(iii)ホモ接合体AAを鋳型として用いた場合に得られるパターンを示す。三つの全ての場合において、アンプリコンに人工的に導入された鏡像SNPは問い合わせされて、実像のヘテロ(ii)例と類似の平衡を持つヘテロ接合体プロフィールを示した。
図26は、図18に記述した構築体では、4種の実像SNPのそれぞれ、および、鏡像SNPのそれぞれ、さらに4種の不変コントロールプローブを、多重化プライマー伸長反応に用いたが、同構築体の分析結果を示す。画像は、予期した通り、各実像SNPはホモ接合体であるが、一方各鏡像SNPはヘテロ接合体であることを示す。鏡像SNPヘテロ接合体の位置はサテライト四角の中に示される。この例では、鏡像SNPプローブは一緒に移動しているが、鏡像プローブの5‘末端に巧妙に余分の塩基を付加することによって、これらは分離されて、それぞれが電気泳動図の不連続領域を占めるようになる。この変化は「実像SNP」には導入された。従って、実像SNPは電気泳動図の不連続領域に移動している。
図27は、SWaP SNP TSC0084838に対するSNP−IT(商標)問い合わせの構成部分を示す。このSWaP SNPは、フォワードおよびリバースプライマー両鏡像SNP位置において1:1に平衡された5‘タグ付きプライマーによって増幅された。従って、得られたアンプリコンは、鏡像位置の全てにおいて1:1比のG:Cを持つ。分析により、Cターミネーターは、Gターミネーターよりもはるかに低い効率で取り込まれることが示された。しかしながら、この例は、実像SNP−この例ではヘテロ接合体−において見かけ上バランス欠如が見られるが、これは、この特定のSNPでは正常であること、また、各鏡像位置においても同様のバランス欠如が存在することがその通りであることを高い信頼度で裏付けることを示す。この例ではプライマーが1:1比で使用されたことに注意されたい。鏡像1と2は逆転し、娘鎖では1:1比を与えた。実像SNPも同じ取り込み比を示し、最後の鏡像4も信頼できる1:1バランスを示した。この例では、鏡像2は、逆転パリンドローム配列に置かれており、そのため真の鏡像ではないことに注意されたい。従って、この多型と、他の鏡像および実像SNP位置において、GおよびCターミネーターの取り込み効率にほとんど差があるようには見えないことは驚きである。
図28は、スクラピーアッセイの初期増幅相の際に得られた310bpアンプリコン(配列番号43)を示す。配列の中の4個の多型部位の位置をY,R,RおよびKで示す。これらは、コドン136、154および171(二つの直近のSNP)の変化に対応する。
図29は、鏡像SNP付き5‘タグを含むように修飾されていない、スクラピーアッセイの注釈付き記録である。示した配列は、プラス鎖のもののみである(配列番号44)。従って、強調した配列の内のいくつかは、真のプライマー/プローブ配列の逆相補体を指す。初期増幅プライマーの位置はゴチック体で示す。プローブは下線で示したが、SNP位置に隣接・挟持する。プローブは標的アンプリコンの異なる鎖にアニールする。そのため、136はCかTのいずれか、154はCかTのいずれか、171−1はGかAのいずれか、171−2はCかAのいずれかを取り込む。154および171−1プローブは、アンプリコンの異なる鎖にアニールするが、その5’末端において、ゴチック体で示した6個の相補性塩基を共有する。特定のSNP変異に対するアミノ酸翻訳を、右側辺縁に括弧で示した。実質的に不変の部分は、対照伸長産物を生成するのに使用された。プローブ配列はイタリック体で示した。ただし、5‘ポリT付加列は、これらコントロールプローブの鋳型特異的部分の5’末端において括弧で示した。2種の標的配列に向かって競合する合計4本のコントロールプローブがあり、短いプローブは陽性であり、長いプローブは陰性であるので、これらは全て、不変のG取り込みを隣接・挟持することになる。
当業者であれば、本開示をこれまで読み進め理解した後では、本発明によって教示される組成物および方法を用いた多数の実施態様は、余計な実験を要することなく実行が可能であることが了解されるであろう。この実施態様は、本明細書に開示される実施態様の組み合わせも含む。さらに、当業者であれば、1個以上の改変ヌクレオチドを含む5‘タグを用いることによって外来配列をアンプリコンに導入することが可能であるが、これは、特定プライマーを設計するに当たって極めて広範な融通性を与えることが了解されるであろう。さらにまた、特定、捕捉、および/または、検出のために特定プライマー中に5’タグを用いることは、結果の分析について広範な融通性を与えるものであることが当業者には同じく了解されるであろう。これらの、および、その他の利点は、本開示を読み理解した時点で、当業者には明白となろう。
当業者であれば、特定プライマーに付着される外来の5‘配列を巧妙に選択することによって、大規模な多重化増幅が、個々のプライマーをアッセイのコントロール成分として利用することにより個々の検出プライマー反応の解釈ばかりでなく、多重化アッセイ全体の解釈をも支援するような産物を生成することを可能とする大規模な多重化増幅の構築が可能となることが了解されよう。
本発明のある好ましい実施態様では、プライマー伸長反応産物の分析は、標識された特定プライマーの相対量を定めるよう行うことが可能とされた。定量分析は、特定プライマーに取り込まれたヌクレオチドの正体、特定プライマーの正体(すなわち、それが5‘タグ配列のプローブか、それとも、標的核酸中の天然に生じた多型なのか)、特定プライマーのシグナル強度を比較し、次に、プライマーの相対的シグナル強度を比較して、起こったプライマー反応(すなわち、増幅反応と特定反応)それぞれの相対的成功度を決定することによって行った。このようにして、当業者であれば、標識プライマーの相対量を調べ、既知のプライマーから得られるシグナルを、アンプリコンの中に導入された5’タグ配列によって誘発される変異核酸の既知の比と比較することによって、プライマー伸長反応、または、増幅・プライマー伸長併合反応に手直しを加えることが可能である。このようにして、当業者であれば、一旦本発明の開示を手にしたならば、単一反応試行において、問題となる結果が、不十分な増幅によるものか、改変ヌクレオチドの不十分な伸長によるものか、または、沢山の反応パラメータ集団によるものかを学び取ることが可能である。本発明のこの実施態様を採用することは、上記反応の手直しを大きく単純化させるという点で、多重化および高処理プロトコルにおいては有利である。
多型部位において各ヌクレオチドの取り込み効率を定めることができるということは、結果の確かさが決定的に重要な診断的遺伝子タイピングの分野ではきわめて有利である。例えば、農業遺伝子タイピングの分野では、ヒツジPrP遺伝子がしばしば複数のコピー数として存在することが最近示されているが、これは、この遺伝子の分析を複雑にする。PrP分析に必要とされるアンプリコンの一部として平衡型ヘテロ接合体シグナルを発生させたならば、この現象を呈するどのようなサンプルでも急速に評価することが可能となる。さらにまた、単一反応で多数の多型を対象とする製薬ゲノム分析において、アンプリコンの一部として平衡型ヘテロ接合体を生成させたならば、それは、多重化内において、その特定のアンプリコンの生産が定量可能なレベルに生産されていることの確認を可能とし、さらに、標的とする特定の多型を模倣するヘテロ接合体多型を供給し、かつ、多重化内の各多型の比較、および、それぞれについて要求される結果の確かさの実現を可能とする。鋳型混合サンプルが可能な法医学環境では、記述のシステムは、標準曲線や、一方のヌクレオチドと他方のヌクレオチドの間の取り込み効率の関係式の形成を可能とし、かつ、元の鋳型の中にあったに違いないとされる各ヌクレオチドレベルの評価を可能とする。この場合、任意の数の、沢山の多型を用い、それらが大規模多重化反応において組み合わせが可能となるようにそれらの特性を評価することも可能である。
本明細書に教示される特別のプライマーおよび方法については、父性試験、製薬ゲノム分析等を含め、他にも沢山の用途があることが、本開示を手にした当業者には明白であろう。
本発明を全体的に説明したので、下記の実施例を参照すれば本発明はより簡単に理解されることになろう。しかし、この実施例は例示のために提供されるのであって、特に指定しない限り本発明を限定することを意図するものではない。
(実施例)
本発明は、異なる二種類のサンプルの分析を簡単化する。すなわち、重要性の高い(例えば、医学用診断サンプル)単一供給源鋳型DNAサンプル、および、二番目には、法医学的DNA分析ではよく見られることであるが、1頭を上回る個体からの鋳型DNAを含む可能性のあるサンプルの分析である。
(実施例1)
単一供給源からのDNAを分析する場合、調査対象多型の人工代表物を、その標的多型と同じアンプリコンに導入し、人工代表物が、標的多型と正確に同じ濃度で存在するようにすることが可能である。さらに、真の多型の配列環境を、その多型の人工代表物を挟持するDNAにおいて模倣することも可能である。DNAポリメラーゼ仲介性ヌクレオチド付加の効率に影響を及ぼす可能性のある他の全ての変数は、実像と人工的多型の両方を同時に問い合わせするプライマー伸長反応においては、実像SNPとその人工的コピーの間で自動的に正規化される。上記変数としては、例えば、塩濃度、pH、熱の時間変動、PCR成分の濃度(Mg++、バッファー、BSA、dNTP等のような添加物)が挙げられる。
一例として、SNP TSC0096009は下記の配列を持つ。
Figure 2006517385
SNP:R(a/g)
Figure 2006517385
多型塩基はR(GまたはA)であり、これは、G/Aか、または、相補鎖ではC/Tとして分析することが可能である。この多型部位周辺領域は、下記のプライマーを用いて標準的PCRで増幅することが可能である。
フォワード(上流)プライマー:5’ccctgctcacccttttctctggatgct3’(配列番号2)
リバース(下流)プライマー:5’gagaaggcctcagttgggtgaagcg3’(配列番号3)
これらのプライマーは、それぞれ、Tm71.6℃および70.1℃のアニール温度を持ち、97bpPCRアンプリコンを増幅する。開示された技法を用いると、これよりももっと大きなPCRアンプリコンが生成される。その場合、標的DNAとは無関係の5‘タグ配列が、プライマーの一方を、実際の標的されるSNPの「鏡像」を持つように修飾する。この「鏡像」は、上記フォワードプライマーを、(例えば)下記の二つの配列の1:1混合物で置換することによって生成される。
フォワード‘T’プライマー:
5’tcctcgattac*ttgtcagccctgctcacccttttctctggatgct3’(配列番号4)
フォワード“C”プライマー
5’tcctcgattac*ctgtcagccctgctcacccttttctctggatgct3’(配列番号5)
5‘タグ配列には下線を施し、人工的に形成されたSNPは、先行する星印(*)によって示す。小数の、ハイブリダイズする付加的塩基は、5’タグ配列の接合部および鋳型特異的配列の5‘末端に含めてもよい。これは、この部分での局所的ハイブリダイゼーション中断の原因となる5’タグ配列の作用を打ち消すためである(例えば、前述の配列中のは、5‘タグ配列を持たないフォワードプライマー(配列番号2)には見られないハイブリダイズ性塩基である)。このリバースプライマーは、上に示したもの(配列番号3)と変わらない。これらのプライマーと共通のリバースプライマーを用いて増幅した場合に生成される産物は、二つの多型部位、すなわち、標的とする元の実際のSNP、および、5’タグ配列から誘導されたDNAにおける、このSNPの鏡像とを発現することに注意されたい。両部位とも同一の挟持塩基を持つ(問い合わせされる鎖の3‘側の2塩基、および、問い合わせ部位の5’側の1塩基)。これら両SNPとも、今度は、G/A塩基を含む下記の二つのプライマーを用いて問い合わせすることが可能である。
実像SNPプローブ(フォワード):5’ggttttaccaggcctgaactctctcca3’(配列番号6)(Tm、68.1℃)
鏡像SNPプローブ(リバース):5’agaaaagggtgagcagggctgaca3’(配列番号7)(Tm、67.0℃)
これらのプライマーそれぞれの3‘末端における2塩基がCA(下線で示す)であるが、これら二つの塩基の5’側では相同性が不完全であるので、特定の厳密条件下では、この二つのプライマーは交差ハイブリダイズすることが無いことに注意されたい。配列はまた異なる長さを持つので、蛍光計測毛細管電気泳動装置で伸長産物を分析した場合、結果(鏡像SNPヘテロ接合体からの)は、2個の、別々の、近接ピークとして現れ、実像SNPから得られるものは、近接した単一または二重ピークである(例えば、図6参照)。
各停止塩基の取り込み率は、鏡像SNPヘテロ接合体と実像SNPヘテロ接合体の間で維持され、これは、実像SNPの正確な遺伝子タイピングを可能とする。
(実施例2)
法医学用途では、1頭を越える個体から得られた鋳型DNAを分析する必要のある場合がある。このような状況では、全ての法医学的鋳型は混合物の可能性ありと仮定し、通例として、混合物の特定を可能とするやり方でDNAを分析する方が有利であり、その混合物に対するその後の解釈もやり易くなる。相補的塩基によって挟持されるトランスバージョン多型を用いると、この要求を満たすことが可能になる。
SNP TSC0018292の増幅を、1個のAとTによって挟持されるG/C SNPの分析の一例として用いる。これは、分析される多型の「鏡像」の配列環境を5‘側1塩基、3’側1塩基に限定する。このSNPは下記の通り。
Figure 2006517385
SNP:S(c/g)
Figure 2006517385
このS(GまたはC)多型は、下記のプライマー配列を用いて増幅することが可能である。
フォーワード(上流)プライマー:5’ccatatgaaatgctcattgctgtcctca3’
(配列番号9)
リバース(下流)プライマー:5’gacacagaagaaaggtgtgcagtggctg3’
(配列番号10)
これらのプライマーは、それぞれ、68.3℃および70.1℃のアニール温度を持ち、102bpアンプリコンを増幅する。これらのプライマーに、標的SNPを既知の濃度で人工的に再構成することを可能とする5‘タグ配列を付加した場合、これよりも際立って大きなアンプリコンが生成される。この分析を可能とする好適なプライマーを下記に示す。
5’タグフォワード(上流)プライマー:
Figure 2006517385
(配列番号11)
および、
Figure 2006517385
(配列番号12)
5’タグリバース(下流)プライマー:
Figure 2006517385
(配列番号13)
および、
Figure 2006517385
(配列番号14)
アンプリコン集団において変異塩基の調節的生成をもたらす5‘タグの塩基の前には星印(*)を置く。フォワード(上流)プライマーを、例えば、3xG担持プライマー対1xC担持プライマーという偏倚した比率で用いた場合、G塩基の発現が、C塩基の発現よりも3x高い鏡像SNPが生成される。この比は娘鎖では逆転し、C塩基の発現が、G塩基よりも3x高くなる。増幅反応では、リバース(下流鎖)プライマーは、GとC担持配列が等濃度となるように組み合わせなければならない。こうすることによって、どの鎖を分析対象とするかとは無関係に、バランスされたヘテロ接合体である鏡像SNPが得られる。
偏倚型3:1鏡像SNPフォワードプローブ(上流):
5’(Tn)agatcctctggagctaactcctatggtcta3’(配列番号15)(Tm65.3℃)
偏倚型1:3鏡像SNPリバースプローブ(下流):
5’(Tn)acagcaatgagcatttcatatggcaa3’(配列番号16)(Tm65.8℃)
平衡型ヘテロ鏡像SNPフォワードプローブ(上流):
5’(Tn)gcacacctttcttctgtgtccacga3’(配列番号17)(Tm66.1℃)
平衡型ヘテロ鏡像SNPリバースプローブ(下流):
5’(Tn)ggattcgcttgacggaagtattgaga3’(配列番号18)(Tm65.9℃)
これらのプライマーはそれぞれ、3‘末端においてAで終止していること(下線にて示す)、および、各プローブは伸長してGまたはCを取り込むことに注意されたい。アンプリコン鋳型における次の塩基はTであり、この配列環境は鎖によらず維持される。さらに、各プローブは、いくつかの非ハイブリダイズ性の塩基(例えば、ここではTnで表されるいくつかのT)を含むように修飾されていることに注意されたい。これらの付加的塩基は、各伸長プローブの見かけの移動を変化させて、電気泳動において一意の、予測可能な位置を占めるようにさせるための手段として含める。
人工的鏡像SNPを問い合わせするために設計された上記プローブの他に、初期増幅の標的である実像SNPを問い合わせするために下記の二つのプローブが用いられる。
フォワード(上流)プローブ:5’(Tn)cctcccattggctgtcctggaa3’(配列番号19)
リバース(下流)プローブ:5’(Tn)gctgccctgcagaaaggagctga3’(配列番号20)
人工SNPを問い合わせするプローブと同様、これらのプローブも、配列依存性作用が正規化されるのを確保するために、その3‘末端にを持つ。これらのプローブが伸長する場合、これらは、GまたはC、あるいは、GとCの両方を取り込むが、これは、元の鋳型DNAがホモ接合体であるか(GまたはC)、または、ヘテロ接合体であるか(GとC)に依存する。鋳型における次の塩基はこの場合もTである。元のサンプルが2頭を越える個体の混合物である場合、次の条件が適えられればこのことを認定することは可能である。すなわち、二つの鋳型の組み合わせがGまたはCに対してホモ接合体ではないこと、またヘテロ接合体であった場合、組み合わされた鋳型同士が、等しい比率で対合するホモ接合体である二つ(以上)の個体鋳型の組み合わせから生成された場合に見られるような、見かけ上の平衡型ヘテロ接合体ではないこと、または、ヘテロ接合体である(相対的比率は問わない)二つ(以上)の個体鋳型の組み合わせではないこと、である。
この場合も、前述のプライマー伸長プローブはそれぞれ、その伸長産物を、電気泳動において一意の場所に分離するために、その5‘末端にいくつかのT塩基を含むように修飾される。
前述のシステムは、図15に示したものと同様の結果を与える。図15では、SNPシステム当たり僅か4本の伸長プライマーを用いて6個のSNPが同時に分析されたことが示される。図のトレースと、図に含まれる数学的操作によって、面積(各ピーク下の面積)の絶対値と観測値の間の関係式を定めることが可能となり、さらに、実際のSNPの面積の観測された比率から、絶対比率を求めることが可能になる。図15では、見易くするために、1:1と予想される鏡像SNP伸長産物の中から一つ、および、実像SNPの中から一つのみを示す。
面積の観測値と、ある多型部位に存在する塩基の絶対的比率の間の相関を定めるには、絶対比と観測比の間の関係式を定義する必要がある。これを、TSC0018292 SNPについて、前述の5‘タグプライマー(配列番号11および12)を、C担持プライマーに対するG担持プライマーの比率をはるかに広い範囲に変化させ、一方で、他方のプライマー(配列番号13および14)は1:1比に維持し増幅試験管を変えてもコントロールとなるようにして、実行した。面積の絶対比と観測比の間の関係式を構築するには、増幅DNAの内、鏡像SNPのみを問い合わせする必要がある。実際に、可能な全ての局所配列環境を備え、可能な全てのSNPを形成するような人工的システムを、しかも、問い合わせに必要なのは人工的に形成されたSNPだけなのであるから、変異DNA領域の増幅を要することのない人工的システムを開発することが可能である。
(実施例3)
(スクラピー感受性に関するPrP座位の標準分析および複合遺伝型の観察)
(PrP座位)
産業的に関心の高い4個のSNPが、ヒツジのPrP遺伝子のコード領域内にある(この配列は、GENBANKのアクセス番号M31313にて入手が可能である、なお、引用することによりこれを本明細書に含める)。これらのSNPは、多重化鎖停止プライマー伸長によってアッセイすることが可能である。これらのSNPは互いに接近しているので、310bpの単一PCRアンプリコンにおいてアッセイすることが可能である。このアンプリコンは、それぞれが、興味の4個のSNPの3‘末端に隣接する4本の特定プライマーに対する標的となる。しかしながら、310bpアンプリコンの上には相当量の不変DNAが発現されており、この不変DNAは、不変塩基に対して伸長し、従って、SNP部位に存在する塩基の如何によらず予測可能な産物を生成するコントロールプライマーに対する標的として使用が可能である。
コントロールおよび特定プライマー配列を選択することによって、SNPを問い合わせし、かつ、標識検出プライマーに隣接・挟持する4種の標識コントロールを生成する単一試験管アッセイを開発することは可能である。これらのコントロールの内の2本は、電気泳動下、恐らくは標識されている検出プライマーの全てよりも小さな見かけの質量を持って移動する。これらのコントロールは、310bpアンプリコン内の同じ中心部DNA配列を標的にし、同じ不変塩基を問い合わせする。これらはただ5‘末端のみにおいて異なる。すなわち、標的配列にアニールするプライマーの50%において2個のT塩基だけ長くなっている。別の二つのコントロールは、検出プライマーよりも大きな見かけの質量を持って移動する。これらは、310bp配列内の不変配列の別のセクションを標的とする二つのコントロールプライマーによって生成され、一方が他方よりも2個のT塩基だけ長い点で異なる。このタグも5’末端に対する付加物である。いずれのコントロールプライマーでもその伸長はGの取り込みを招き、これは、この場合、蛍光染料を担っており、レーザー照射の下で青シグナルを返す。このようにして標識検出プライマー産物を両側挟持することは、局所的サザーン質量分析法の適用を可能とし、標識検出プライマー産物質量の正確な定量を可能とする。
(鋳型調製)
ヒツジDNAは、NaEDTA真空容器に採取した20マイクロリットルの静脈血から、アルカリ溶解変法を用いて調製した。この変法では、100mM塩化アンモニウム洗浄および2回の50mM NaCl/0.1mM EDTA洗浄を行い、遠心して洗浄の間に白血球ペレットを回収した。細胞溶解は、回収した白血球ペレットを50mM NaOH中で室温攪拌して行った。次に、溶解細胞を100mM Tris HCl、pH7.5を添加して中和し、滅菌脱イオン水にて希釈した。
(PCR増幅)
3マイクロリットルの鋳型DNAを3マイクロリットルのPCR Mastermixと混ぜた。Mastermixは、200nMのフォワードおよびリバースプライマー、200マイクロモルのdNTP、2.0mMのMgCl、1xGold Buffer(ABI、ワシントン、英国)、100pg/ml熱不活性化BSAを含む。32サイクルのPCRを実行した。これは、臭化エチジウム染色アガロースゲル電気泳動から判断して310pbアンプリコン約5ngを生成するのに十分であった。
(EXO/SAP処理)
余分の増幅プライマーや取り込まれなかったdNTPを破壊するために、SAP(USB)およびEXO(New England Biolabs)を、各増幅産物ウェルに直接加えた。次にプレートを37℃で60分加熱し、その後72℃で15分維持して酵素活性を熱的に不活性化した。
(プライマー伸長)
2.5マイクロリットルのEXO/SAP−処理アンプリコンを、2.5マイクロリットルのSNaPshot成分(ABI、ワシントン、英国)と混合した。後者は、DNAポリメラーゼ、蛍光性dNTP、興味の4個のSNPと、さらにアンプリコン中の不変位置を挟持する、私企業独占販売のプローブの混合物を含む。57℃で20秒のアニーリング、その後、60℃で40秒の伸長による25サイクルの伸長を実行した。伸長サイクル間の加熱変性は95℃で10秒であった。
伸長プローブは、4個の多型塩基に隣接するように設計した。すなわち伸長してフォワード方向136位でC/Tを、リバース方向154位でC/Tを、フォワード方向171−1位でA/Gを、リバース方向171−2でC/Aを取り込むように設計した。さらに、2個の不変の取り込みGに向けられ、136、154および171位に存在する多型塩基と無関係に予測可能な結果をもたらす4本のコントロール伸長プライマーを含めた。これらの不変産物は、電気泳動分離に際して診断的伸長産物を挟持するように、また、結果の分析の際には、内部コントロールおよびサイズマーカーの両方の役割を果たすように設計された。
(仔牛小腸フォスファターゼ消化)
伸長産物を、ABI 3100毛細管電気泳動装置(ABI、ワシントン、英国)に電気注入すると、取り込まれなかった蛍光ターミネーターは、仔牛小腸フォスファターゼ(CIP、New England Biolabs)の消化により中性にされた。CIPは、プライマー伸長反応の産物に直接加え、サンプルを元に戻して37℃で60分インキュベートし、酵素活性は95℃でインキュベートして破壊した。この高温はまた、蛍光産物を完全に変性させ、その後の分析用に調製する役目も果たした。
(多型)
標的は、個体によって生産されるアロタイプを決定する4個のSNPを宿しているので、310bpのアンプリコンが生成された。観察された非平衡の源が、初期増幅プライマーの一方または他方の結合部位の中に潜む、PrP遺伝子における新規の多型に在る可能性、または、4本の伸長プライマーの結合部位(単複)に在るのかを調べた。初期増幅プライマーの結合物部位を含めて、310bpの全領域の配列を決定するために、アンプリコンのさらに外側にアニールするプライマーを設計して、アンプリコンを生成した。
いくつかの非平衡型サンプル(n=8)について、その大きい方のアンプリコンの配列決定を行ったが、文献に未だ報告されていない新規SNPは明らかにされなかった。さらに、この大きなアンプリコンを用いてプライマー伸長反応を起動したところ、それよりも短い310bpアンプリコンによって生成されるものと区別のつかない非平衡型プロフィールを持つ産物を生成した。二つの情報源から得られた証拠は、この非平衡は、存在する二つの対立遺伝子の一方の、対立遺伝子特異的増幅に根ざすものではないことが示された。振り返って見れば、これはありそうもないことである。なぜなら、観察された事象において、非平衡は、154の結果を考えると一方の対立遺伝子の過剰を示し、171の結果を評価した場合には他方の対立遺伝子の過剰を示すことになるが、これは明らかに不正な状況だからである。このように、ある一時点において1個を越えるSNPの強度の同時変動が起こるというのは、伸長プライマー結合部位の裏には1個の新規SNPが存在するという議論と真っ向から対立する。なぜなら、その場合複数の新規のSNPがなければならないからである。
今日まで、本発明者達は、受け容れることができないほどバランス欠如したプロフィールを示す動物を約500例記録した。この数字は、試験した動物の約0.1%である。プロフィールをまとめて総覧すると、この非平衡は、四つのSNP全てに、かつ、(単一ピークの有無のみから遺伝型が求められる場合は)全ての遺伝型に観察された。複数の反復列について調べ、動物のサンプリングを改めても、結果は一定であった。PrP配列をコードする少なくとも三つの領域を含む鋳型DNAを、初期増幅プライマーの標的とすることを決定した。
SNP−ITアッセイを用いて試験した動物の家系図を構築した。これは、遺伝子重複が、非平衡プロフィールの遺伝として、一定率の子孫に観察されるであろうと、あるいは、トリソミーが、遺伝型が単にピークの絶対的有無によって得られるものであるとすれば存在しないと考えられるアロタイプの遺伝を示すことがあろうと(トリソミーが母親の正常な生殖機能に影響しないとして)期待してのことであった。得られた一つの興味ある家計図は、沈黙的な第3の対立遺伝子の遺伝を示した。
個別の動物のスクラピー感受性の判断は、PrPアロタイプの組み合わせから推定する。ARRおよびVRQ両アロタイプを持つと判断された動物は、有利な対立遺伝子が等しい頻度で継代されると期待して、すなわち、子孫の半分は好ましいARR対立遺伝子を遺伝すると期待して、調節的繁殖プログラムにおいて使用してよい。
この実施例で示された結果は、遺伝子重複のタイプが明らかにされたその結果に応じて、ある動物の場合は、以前には、繁殖可能性に限界があると考えられていたが、本明細書に記載される結果に照らして見ると、実際ははるかに大きな価値を持つとされ、一方、別の動物では、受容可能な遺伝型を持つとされたものが、受容しがたい遺伝型のものと再分類されるという結果をもたらす。例えば、3倍体ARR/ARR/VRQと分類された動物は、その特性が別々の要素として遺伝可能な場合、VRQよりも、もっと沢山のARR担持性の子孫を生産することになる。逆に、ARR/VRQ/VRQと判定された動物は、好ましくないVRQ対立遺伝子をより高い頻度で継代させることになる。
(実施例4)
非平衡がPrP座位で検出可能であることを観察した後、本出願者は、本明細書に開示する発明を取り込んだ新規のアッセイを設計した。このアッセイによれば、どのような非平衡でも、通例の検査室操作よりももっと確実に検出される。
下記に具体的に述べるのは、ヒツジ(Ovis aries)のPrP遺伝子の一部における4個のSNP部位の分析に、本開示がどのように使用可能であるかを示す実例である。本実施例は、単一供給源鋳型の増幅と、混合鋳型の解釈の両方の局面を持つ。なぜなら、ヒツジPrP遺伝子は、動物によっては、細胞当たり2種を越えるコピー数のものが存在する可能性があり、これは、非平衡型(および見かけ上の「混合」)プロフィールをもたらすからである。この説明は、図18、25および26を参照することによってさらによく理解される。
初期増幅は、下記のプライマー配列を用いて行った。
5‘タグフォワード(上流)プライマー:
Figure 2006517385
(配列番号21)
および、
Figure 2006517385
(配列番号22)
5’タグリバース(下流)プライマー
Figure 2006517385
(配列番号23)
および、
Figure 2006517385
(配列番号24)
以前と同様、アンプリコン集団において改変ヌクレオチドの形成を指示するヌクレオチドは、星印(*)を先行させた。各プライマーの5‘タグには、このような位置が2箇所あることに注意されたい。初期増幅においてこれらのプライマーを等濃度で用いることにより、390bpのアンプリコンが得られた。その際、4個の標的SNPは、アンプリコンの末端に再構築され、問い合わせされると、それぞれが平衡型ヘテロ接合体シグナルを戻すことが可能となっている。この平衡型ヘテロ接合体は、下記の配列をプライマー伸長反応に加えて形成したものである。
鏡像136プローブ:5’(Tn)tgactgtggctaccaccttgacgatg3’(配列番号25)
鏡像154プローブ:5’(Tn)tccactggatagctgaagctctggaca3’(配列番号26)
鏡像171−1プローブ:5’(Tn)aacacacagtcaccaccaccaccttc3’(配列番号27)
鏡像171−2プローブ:5’(Tn)cacgcatagctgatacggtcacctgta3’(配列番号28)
これらのプローブは、その5‘末端に、(Tn)で表される非ハイブリダイズ性塩基を含むように修飾される。この塩基は、プローブの、アンプリコン内の標的配列に対する結合には加わらず、単に、伸長プローブが、電気泳動下に移動する位置を修飾し、それによって、確実に、実像SNPプローブと、鏡像SNPプローブとが別々の性質をもって移動するようにするためのものである。このシステムからの仮想的出力のイメージが図19に示される。この図では、実像SNPが全てヘテロ接合体形として示されているが、実際には、この特定のヒツジのシステムではこれはまず起こらない。一方、鏡像SNPは、各SNPについて、平衡型ヘテロ接合体シグナルを戻すことが示される。鏡像ヘテロ接合体における各ピークの面積間の比は、対応する実像SNPのヘテロ接合性を確認するのに役立つ。この実験を実行して得られる電気泳動図の実際図が、図25および26として提示されている。この内図26では、鏡像SNPの分離が不完全である。完全な分離は、この鏡像SNPプローブの5’タグを修飾することによって実現が可能である。
非平衡型プロフィールは、鏡像SNPによって定義される、正常なヘテロ接合体面積比から大きく偏倚すること、および、そのような非平衡プロフィールは、増幅反応を起動するのに使用された鋳型の中に余分の遺伝材料が存在することを示すものであることが予想されてもよい。鏡像SNPにおける面積比を評価し、この比を用いて、適当な実像SNPで観察されるバランスを自動的に評価し、かつ、あるプロフィールを正常合格とし、または、非平衡不合格とすることは可能である。この機能性は、このプライマー伸長技術を用いてSNPの遺伝子タイピングを自動的に実行する能力にさらに上乗せされるものである。
(実施例5)
SWaP SNPを増幅し、1:1の導入比が、ヘテロ接合体実像SNPにおいて上手く維持されていることが示された。
TSC84838は下記の配列を持つ:
5‘隣接配列:
Figure 2006517385
(配列番号46)
観察対象:S(c/g)
3‘隣接配列:
Figure 2006517385
(配列番号29)
G/C SNPは、アンプリコンの両端に多型塩基の1コピーを導入した、下記のプライマーペアによって増幅が可能である。
G担持フォーワード:
Figure 2006517385
(配列番号30)
C担持フォーワード:
Figure 2006517385
(配列番号31)
G担持リバース:
Figure 2006517385
(配列番号32)
G担持リバース
Figure 2006517385
(配列番号33)
導入された鏡像SNP前後のパリンドローム配列は、実像SNPを挟持するものと同一であるが、下線にて示す。各例において、導入された鏡像SNPには星印(*)を先行させて示す。リバースプライマーのパリンドローム配列は、真の鏡像でないことに注意されたい。このプライマーは、これが、この擬似鏡像SNPにおけるGおよびCターミネーターの取り込み効率に対して観察可能な作用を及ぼすのかどうかを判断するために用いた。
このアンプリコンは長さが174bpであり、下記のプローブ配列により探知が可能である。
鏡像1リバース:
agagaaaatctctactatgtaccatggctcactact(配列番号34)
鏡像1フォワード:
tctttacggtatgtcgcccatcttgct(配列番号35)
実像リバース:
ataaacttgttcaaaatgtatgtgtatattcgctct(配列番号36)
擬似鏡像2フォーワード:
tcagttctgatgcccagatggagga(配列番号37)
これらのプローブは全て、鏡像2フォワードを除いては、同じ2個の塩基(CT)で終わっていることに注意されたい。鏡像2フォワードはGAで終わっており、真の鏡像SNPではない。しかしながら、これらの伸長の結果は全てGターミネーターの導入の方がCターミネーターよりも優ることを示しており、これは、電気泳動図の平衡は、取り込みの効率によるもので、アッセイに用いられた鋳型DNAの非対称によるものではないことを示す明らかな証拠である。でたらめに導入された擬似鏡像SNP2ですらも、CターミネーターよりもGの方をより高い効率で取り込んでいることに注意されたい(図38)。
この結果は、SまたはW SNPがパリンドローム配列の真ん中に存在することが必ずしも全ての場合において必要ではないことを意味する。しかしながら、本出願者は、この状況は、SNP毎に、また、隣接・挟持配列毎に変動するものと予想する。
本発明を、その特異的実施態様と関連させて説明してきたのであるから、本発明に対しさらに修正を加えることが可能であることが理解されたであろう。本出願は、一般的に本発明の原理に従った、本発明の変種、用法、または、応用は、それがどのようなものであれ全てカバーすることが意図される。また、本開示からは逸脱するものの、本発明の関わる従来技術において既知のまたは通例の慣行の範囲内に含まれるもの、また、これまで本明細書に記載され、かつ、下記の付属の特許請求の範囲内に含まれる本質と適合するものは本発明に含まれる。
図1は、見かけ上2個のハプロタイプしか発現されていないスクラピー座位におけるヘテロ接合体の非平衡を示す。 図2は、3個の別々のハプロタイプを表す一意のピークが存在するヘテロ接合体の非平衡を示す。 図3は、それぞれ、ある標的DNAに対してハイブリダイズ可能な3‘末端と、この標的DNAに実質的にハイブリダイズできない5’タグ配列とを含む、2本のハイブリッド増幅プライマーを示す。 図4は、一塩基多型を含む標的核酸配列の診断的増幅、および、得られるアンプリコンを示す。 図5は、50:50診断増幅の産物を示し(図4の増幅によって得られると予想される産物)、診断的プライマー伸長反応において下流または上流鎖がどのように使用されるかを示す。 図6は、標的が単一供給源の鋳型DNAであり、A/G単一の、蛍光性塩基伸長反応を用い、毛細管電気泳動によって分析した場合に得られると予想される可能な結果を、例示目的のためにのみ示す。 図7は、8個の多型に関する多重化アッセイにおいて予想される結果の外見を示す。各標的SNPに対する鏡像SNPは、比較的小さい二重ピークとして表されている。 図8は、互いに相補的であるヌクレオチドによって両側挟持されるトランスバージョンである多型を解読するための、混合サンプルに対する単一試験管テストを示す。 図9は四重化反応を示す。すなわち、図8で得られたアンプリコンが、四つの別々の伸長プライマー(一つの星印を持つプライマーでは一つしか使用されない)によって問い合わせされ、G:Cの3通りの比率と未知の多型残基Sからのデータを生成するの使用されている。 図10は、プライマー伸長反応が、停止ヌクレオチドに関して不飽和の場合、四重化単一試験管G:C(3:1、1:1および1:3)アッセイから得られる結果が理想的にはどのような外見を呈するかを示す。 図11は、プライマー伸長反応における2個の停止ヌクレオチドについて、その相対的取り込みの実際に予想される形を示す。 図12は、アンプリコン当たり最大6本の伸長プライマーによるトランスバージョン多型アッセイを示す。 図13は、6重化単一試験管SNP比マトリックスの結果を取ったならば、どのような外見を呈するかを示す。 図14は、プライマー伸長反応における2個の停止ヌクレオチドについて、その相対的取り込みのさらに実際と合致すると考えられる形を示す。 図15は、複数の多型を調べる多重化反応を実施した場合、得られる結果はどのような外見を呈するかを示す。 図16は、ある特定の配列環境における任意のSNPに対するプライマー伸長反応において、一方のヌクレオチドの、他方のヌクレオチドに対する取り込み比の間の関数を定義する手段を示す。 図17は、二つの鎖停止ヌクレオチドの取り込み効率の間の考えられる数学的関係を示す。 図18は、ヒツジPrP遺伝子に対する本発明の応用を示す。5‘タグ配列それぞれに2個の別々の鏡像SNPが担持される。 図19は、もしも各SNPがヘテロ接合体であるとした場合の(天然では起こると考えられていない)PrP分析の結果を示す。 図20は、システムが、改変ヌクレオチドが欠失の結果生じた標的ヌクレオチドをどのように増幅するかを示す。 図21は、システムが、改変ヌクレオチドが挿入の結果生じた標的ヌクレオチドをどのように増幅するかを示す。 図22は、改変ヌクレオチドが、2本の初期増幅プライマーに付着された2本の5‘タグプライマーの使用によって導入される可能性のあるシステムの設計を示す。 図23は、PCR反応用の、外来性コントロールシステムを示す。 図24は、PCR反応用の、外来性コントロールシステムの一部として効率的に働く可能性のある、一組のDNA配列を示す。 図25は、図18による遺伝子タイピング実験の結果パターンを示す。 図26は、図18により多重化遺伝子タイピングの結果パターンを示す。 図27は、標的とされたSWaP SNP結果を示す。 図28は、スクラピーアッセイの際に生産された310bpアンプリコンを示す。 図29は、スクラピー座位における興味の配列を示す。

Claims (61)

  1. プライマー伸長反応を実施する方法であって、該方法は、以下、
    未改変のヌクレオチドによって隣接される改変ヌクレオチドを有する標的核酸を増幅することによって、標的核酸から生成される配列および第1鎖増幅プライマーから生成される配列を有するアンプリコンを入手する工程であって、ここで、増幅条件下で該標的核酸に実質的にハイブリダイズすることが不可能である5’タグを含む第1鎖増幅プライマーを使用し、ここで、該5’タグは該標的核酸の該改変ヌクレオチドを含む工程であって、そして、第2鎖増幅プライマーを使用する工程;
    プライマー伸長反応にアンプリコンを使用する工程であって、ここで、該標的核酸から生成される該配列中の該改変ヌクレオチドの同一性が、第1同定プライマーを、該標的核酸から生成される該配列中の該改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズさせることによって決定される工程;
    第2同定プライマーを、該増幅プライマーから生成される該配列中の該改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズさせる工程;
    1種以上のヌクレオチド類および重合剤の存在下に該第1および該第2同定プライマーを伸長させる工程;
    該標的核酸から生成される該改変ヌクレオチドの同一性を決定する工程;および、
    第1同定プライマーの伸長産物と該第2同定プライマーの伸長産物とを比較する工程であって、それによって、該プライマー伸長反応を実行する工程、
    を包含する、方法。
  2. 前記5’タグにおける前記改変ヌクレオチドの5’方向の直近に、前記標的核酸の該改変ヌクレオチドの5’方向に対する前記未改変ヌクレオチドがある、請求項1に記載の方法。
  3. 前記5’タグにおける前記改変ヌクレオチドの3’方向直近に、前記標的核酸の該改変ヌクレオチドの3’方向に対する前記未改変ヌクレオチドがある、請求項1に記載の方法。
  4. 前記5’タグにおける前記改変ヌクレオチドに対して3’方向直近に、前記標的核酸の該改変ヌクレオチドの3’方向に対する前記未改変ヌクレオチドがあり、かつ、5’タグにおける該改変ヌクレオチドに対する5’方向直近に、該標的核酸の該改変ヌクレオチドの5’方向に対する該未改変ヌクレオチドがある、請求項1に記載の方法。
  5. 前記5’タグは、前記改変ヌクレオチドに対して、3’方向直近に少なくとも2個の未改変ヌクレオチドと、改変ヌクレオチドの5’方向直近に少なくとも2個の未改変ヌクレオチドとを有し、ここで、該3’方向に直近の少なくとも2個の未改変ヌクレオチドおよび該5’方向に直近の少なくとも2個の未改変ヌクレオチドは、標的核酸中の改変ヌクレオチドに隣接する対応するヌクレオチドに対して実質的に相同となるように選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記第1および第2同定プライマーは、検出可能特性を有している、請求項1に記載の方法。
  7. 前記第1同定プライマー上の検出可能特性は、前記第2同定プライマー上の検出可能特性とは異なる、請求項6に記載の方法。
  8. 前記5’タグにおける前記改変ヌクレオチドの同一性が、該改変ヌクレオチドの同一性が既知の比率に固定されるアンプリコンの集団を生成するように変えられる、請求項1に記載の方法。
  9. 前記5’タグにおける前記改変ヌクレオチドの同一性が、該改変ヌクレオチドに関して平衡の取れたヘテロ接合体集団であるアンプリコン集団を生成するように改変される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記標的核酸は、二つ以上の個体からの核酸を含む、請求項1に記載の方法。
  11. 2個以上の改変ヌクレオチドが同定される、請求項1に記載の方法。
  12. 前記2個以上の改変ヌクレオチドが同じ核酸分子上にある、請求項11に記載の方法。
  13. 前記2個以上の改変ヌクレオチドが異なる核酸分子上にある、請求項11に記載の方法。
  14. 前記同定プライマーは、1個以上の標識ヌクレオチド塩基によって延長され、質量、見かけ質量、分子量、見かけ分子量、質量と電荷との組み合わせまたは比、塩基数、磁気共鳴、分光光度計測、蛍光計測、電荷、偏光分析、光散乱、発光、および、抗原抗体相互作用からなるグループから選択される特性によって検出が可能である、請求項1に記載の方法。
  15. 前記同定プライマーが、鎖ターミネーターによって延長される、請求項1に記載の方法。
  16. 前記鎖ターミネーターは、ジデオキシヌクレオチドまたはアシクロターミネーターである、請求項14に記載の方法。
  17. 前記鎖ターミネーターは、検出可能な部分によって標識される、請求項14に記載の方法。
  18. 前記同定プライマーは、タグ捕捉部分を含む、請求項14に記載の方法。
  19. 前記同定プライマーがアレイに捕捉される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記アレイは、アドレス可能なアレイである、請求項19に記載の方法。
  21. 前記アレイは、実質上のアレイである、請求項19に記載の方法。
  22. プライマー伸長反応を実施する方法であって、
    一以上の個体から得られた標的核酸を含むサンプルを入手する工程;
    5’方向では未改変のヌクレオチドによって隣接され、3’方向では未改変のヌクレオチドによって隣接されるトランスバージョンである改変ヌクレオチドを有するサンプル中の核酸を増幅することによって、サンプルから生成された配列およびタグ化第1鎖増幅プライマーから生成される配列とを有するアンプリコン集団を入手する工程であって、ここで、該サンプル中の標的核酸と実質的にハイブリダイズすることが不可能な5’タグを含む該タグ化第1鎖プライマーを使用し、該5’タグが、未改変ヌクレオチドに隣接する該改変ヌクレオチドを含み、そして、第2鎖増幅プライマーを使用する工程;
    プライマー伸長反応において前記アンプリコン集団を使用する工程であって、ここで、サンプルから生成される配列中の該改変ヌクレオチドの同一性が、第1同定プライマーを、サンプルから生成される配列中の該改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズする工程によって決定される工程;
    第2同定プライマーを、該増幅プライマーから生成される該配列中の該改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズさせる工程;
    1種以上のヌクレオチド類および重合剤の存在下に該第1および該第2同定プライマーを伸長させる工程;
    該サンプルから生成される改変ヌクレオチドの同一性を決定する工程;および、
    該第1同定プライマーの伸長産物と該第2同定プライマーの伸長産物とを比較する工程であって、それによって、プライマー伸長反応を実行する工程、
    を包含する、方法。
  23. 5’方向において隣接する未改変ヌクレオチドは、3’方向において隣接する未改変ヌクレオチドと相補的である、請求項22に記載の方法。
  24. 前記第1鎖増幅プライマーは、該第1鎖増幅プライマーの改変ヌクレオチドの5’方向直近に2個以上のヌクレオチドを含み、前記2個以上のヌクレオチドは、標的中の改変ヌクレオチドの5’方向直近の2個以上のヌクレオチドと同一である、請求項22に記載の方法。
  25. 前記第1鎖増幅プライマーは、該第1鎖増幅プライマーの改変ヌクレオチドの3’方向直近に2個以上のヌクレオチドを含み、前記2個以上のヌクレオチドは、前記標的核酸中の前記改変ヌクレオチドの3’方向直近の2個以上のヌクレオチドと同一である、請求項22に記載の方法。
  26. 前記第1鎖増幅プライマーは、該第1鎖増幅プライマーの改変ヌクレオチドの5’方向直近に2個以上のヌクレオチドおよび第1鎖増幅プライマーの該改変ヌクレオチドに対して、3’方向直近に2個以上のヌクレオチドとを含み、それぞれが、該標的核酸中の該改変ヌクレオチドに隣接する対応するヌクレオチドと同一になるように配置されている、請求項22に記載の方法。
  27. 前記第2鎖増幅プライマーは、前記未改変ヌクレオチドを有する5’タグを含む請求項23に記載の方法。
  28. 前記改変ヌクレオチドは、前記標的核酸中の、隣接する同じ相補的未改変ヌクレオチドによって隣接される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記5’タグにおける前記改変ヌクレオチドの同一性は、該改変ヌクレオチドの同一性が既知の比率で変動させられるアンプリコン集団を生成するように変動される、請求項28に記載の方法。
  30. 前記第1鎖増幅プライマーおよび前記第2鎖増幅プライマーの5’タグにおける前記改変ヌクレオチドの同定が、該5’タグによって生成されるアンプリコン集団中のヌクレオチドの同定に関して、1:1の比率と3:1の比率を含む前記アンプリコン集団を生成するように変えられる、請求項28に記載の方法。
  31. 前記第1および前記第2同定プライマーは、検出可能特性を有する、請求項22に記載の方法。
  32. 前記第1同定プライマー上の検出可能特性は、前記第2同定プライマー上の検出可能特性と異なる、請求項22に記載の方法。
  33. 2個以上の改変ヌクレオチドが同定される、請求項22に記載の方法。
  34. 前記2個以上の改変ヌクレオチドが同じ核酸分子上にある、請求項33に記載の方法。
  35. 前記2個以上の改変ヌクレオチドが異なる核酸分子上にある、請求項33に記載の方法。
  36. 前記同定プライマーは、1個以上の標識ヌクレオチド塩基によって延長され、質量、見かけ質量、分子量、見かけ分子量、質量と電荷との組み合わせまたは比、塩基数、磁気共鳴、分光光度計測、蛍光計測、電荷、偏光分析、光散乱、発光、および、抗原抗体相互作用からなるグループから選択される特性によって検出が可能である、請求項22に記載の方法。
  37. 前記同定プライマーは、鎖ターミネーターによって延長される、請求項22に記載の方法。
  38. 前記鎖ターミネーターは、ジデオキシヌクレオチドまたはアシクロターミネーターである、請求項37に記載の方法。
  39. 前記鎖ターミネーターは、検出可能な部分によって標識される、請求項37に記載の方法。
  40. 前記同定プライマーは、タグ捕捉部分を含む、請求項22に記載の方法。
  41. 前記同定プライマーがアレイに捕捉される、請求項40に記載の方法。
  42. 前記アレイは、アドレス可能なアレイである、請求項41に記載の方法。
  43. 前記アレイは、実質上のアレイである、請求項41に記載の方法。
  44. 前記第2鎖増幅プライマーは、前記第1鎖増幅プライマーと同じ改変ヌクレオチド、その5’方向に隣接する同じ未改変ヌクレオチド、および、その3’方向に隣接する同じ未改変ヌクレオチドを有する5’タグを含み、第1鎖増幅プライマーは、改変ヌクレオチドにおける1:1のトランスバージョン比を反映し、第2鎖増幅プライマーは、改変ヌクレオチドにおける1:3のトランスバージョン比を反映し、かつ、少なくとも3種の同定プライマーがプライマー伸長反応に使用される、請求項23に記載の方法。
  45. 前記個体はヒツジである、請求項22に記載の方法。
  46. 前記1頭以上の個体の内少なくとも1頭は、少なくとも1種の複合遺伝型を示す、請求項22に記載の方法。
  47. 前記標的核酸はPrP座位を含む、請求項45に記載の方法。
  48. 少なくとも2種の増幅プライマーを用いるプライマー伸長を実施する方法であって、
    未改変ヌクレオチドによって隣接される該改変ヌクレオチドを含む標的核酸を入手する工程;
    該未改変ヌクレオチドによって隣接される改変ヌクレオチドを含む5’タグを有する第1増幅プライマーを標的核酸にハイブリダイズさせる工程であって、ここで、該5’タグは、該標的核酸に対して実質的にハイブリダイズ不可能なものであって、そして、第2増幅プライマーを該標的核酸にハイブリダイズさせる工程;および、
    少なくとも1種以上のヌクレオチド類および重合剤の存在下に増幅プライマーを伸長させる工程であって、それによって、プライマー伸長を実施する工程、
    を包含する、方法。
  49. 組成物であって、
    標的核酸に対してハイブリダイズすることが可能な領域を有するプライマーであって、ここで、該標的核酸は改変ヌクレオチドおよび未改変ヌクレオチドとを含み、ここで、該プライマーはさらに、該標的核酸の該改変ヌクレオチドおよび該未改変ヌクレオチドとを有する5’タグ領域を含み、かつ、該5’タグ領域は、該標的核酸の増幅に好適な条件下において、該標的核酸に実質的にハイブリダイズが不可能であるプライマー、
    を含有する、組成物。
  50. 前記標的核酸はスクラピー座位を含む、請求項49に記載の組成物。
  51. プライマー伸長反応において鎖ターミネーターのプライマーへの取り込み効率をモニタリングする方法であって、
    標的核酸の混合サンプルからアンプリコンの集団を生成する工程であって、ここで、アンプリコンの集団は複数の配列を既知の比率で含む工程;
    鎖ターミネーターを使用し、かつ、前記複数の配列に対して特異的なプライマーの集団を用いて、アンプリコンの集団に対してプライマー伸長反応を実行する工程;
    鎖ターミネーターの取り込みの効率を検出および測定する工程であって、該鎖ターミネーターが、前記既知の比率でプライマーの集団に取り込まれ、それによってプライマー伸長反応における、鎖ターミネーターのプライマーへの取り込み効率をモニタリングする工程;
    既知の比率における鎖ターミネーターの取り込み効率に関して得られた情報を用いて、未知の比率の多型に対して、標的プライマーに、該鎖ターミネーターの観察された取り込み効率を解釈する工程、
    を包含する、モニタリング方法。
  52. 前記既知の比率における鎖ターミネーターのプライマー集団への取り込み効率を使用して、未知の比率の多型に対して標的化されるプライマーへの該鎖ターミネーターの観察された取り込み効率を解釈する、請求項51に記載の方法。
  53. プライマー伸長反応を実施する方法であって、該方法は以下、
    一以上の個体から得られた標的核酸を含むサンプルを入手する工程;
    改変ヌクレオチドを有するサンプル中の核酸を増幅する工程によって、サンプルから生成された配列およびタグ化第1鎖増幅プライマーから生成された配列とを有するアンプリコン集団を入手する工程であって、ここで、該サンプル中の標的核酸と実質的にハイブリダイズすることが不可能な5’タグを含むタグ化第1鎖プライマーを使用し、かつ、該5’タグは該改変ヌクレオチドを含み、そして、第2鎖増幅プライマーを使用する工程;
    プライマー伸長反応において該アンプリコン集団を使用する工程であって、ここで、該サンプルから生成される該配列中の該改変ヌクレオチドの同一性は、第1同定プライマーを、該サンプルから生成される配列中の該改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズすることによって決定される工程;
    第2同定プライマーを、該増幅プライマーから生成される配列中の該改変ヌクレオチドの直近にハイブリダイズさせる工程;
    1種以上のヌクレオチド類および重合剤の存在下で、該第1および該第2同定プライマーを伸長させる工程;
    該サンプルから生成される該改変ヌクレオチドの同一性を決定する工程;および、
    該第1同定プライマーの伸長産物と該第2同定プライマーの伸長産物とを比較する工程であって、それによって、該プライマー伸長反応を実行する工程、
    を包含する方法。
  54. 前記改変ヌクレオチドは、トランスバージョンを現す、請求項53に記載の方法。
  55. 疾患または障害に対する感受性に関して動物をスクリーニングする方法であって、
    ある座位において3種類以上の対立遺伝子における多型ヌクレオチドの同一性を決定する工程、および、
    該多型ヌクレオチドの同一性を使用する工程であって、該動物が疾患または障害に対して感受性であるか否かを決定する工程、
    を包含する、スクリーニング方法。
  56. 前記動物はヒツジである、請求項55に記載の方法。
  57. 前記動物は、少なくとも1個の座位に関して複合遺伝型を示す、請求項55に記載の方法。
  58. 前記疾患または障害は、伝播性脳症である、請求項55に記載の方法。
  59. 前記疾患または障害は、スクラピーである、請求項55に記載の方法。
  60. スクラピー耐性ヒツジの繁殖法であって、
    請求項1に記載の方法を使用して、雄ヒツジおよび雌ヒツジのPrP座位において2種以上の対立遺伝子の多型ヌクレオチドの同一性を決定する工程;
    該多型ヌクレオチドの同一性を使用して、該雄ヒツジおよび雌ヒツジが、スクラピーに対する感受性と関連しない2種以上の対立遺伝子を有するか否かを決定する工程;および、
    スクラピーに対する感受性と関連しない2種以上の対立遺伝子を有する雄ヒツジと雌ヒツジとを繁殖させる工程、
    を包含する、ヒツジの繁殖法。
  61. スクラピー耐性ヒツジの繁殖法であって、
    請求項22に記載の方法を使用して、雄ヒツジおよび雌ヒツジのPrP座位において2種以上の対立遺伝子の多型ヌクレオチドの同一性を決定する工程;
    該多型ヌクレオチドの同一性を使用して、該雄ヒツジと雌ヒツジが、スクラピーに対する感受性と関連しない2種以上の対立遺伝子を有するか否かを決定する工程;および、
    スクラピーに対する感受性と関連しない2種以上の対立遺伝子を有する雄ヒツジと雌ヒツジとを繁殖させる工程、
    を包含する、ヒツジの繁殖法。
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