JP2006517092A - 心不全遺伝子の決定及び治療薬スクリーニング - Google Patents

心不全遺伝子の決定及び治療薬スクリーニング Download PDF

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Abstract

心不全の進行及び内因性心筋回復及び修復機構に関与する遺伝子は、うっ血性心不全の治療のための医薬製剤として使用する潜在的治療化合物をスクリーニングするための基礎を提供する。その発現レベル又は生物活性が潜在的治療化合物によって変化する標的遺伝子又は標的遺伝子産物を、化合物が誘導する遺伝子発現又は遺伝子産物の生物活性の変化によって促進される生理的作用を測定することによって、機能的に確認することができる。特に、標的遺伝子の発現又は標的遺伝子産物の生物活性の変化を心機能の指標と相関させることができ、及びそのような発現又は活性の治療上有意の変化を生じさせる潜在的治療化合物は、薬剤候補物質としてのさらなる臨床検討を正当化する。

Description

(特許出願に関する相互参照)
本出願は、参照してここに組み込まれる、2002年11月27日出願の米国特許仮出願第60/429,379号、2002年12月31日出願の同第60/437,102号及び2002年12月31日出願の同第60/437,051号の優先権を主張する。
本発明は、うっ血性心不全の治療に関する。より具体的には、本発明は、心不全の発症と進行に関与する遺伝子及び遺伝子産物並びに内因性心筋回復及び修復機構に関与する遺伝子及び遺伝子産物の同定に関する。本発明はまた、そのような遺伝子の発現又は遺伝子産物の生物活性を変化させる潜在的治療化合物を同定する方法に関する。
うっ血性心不全は、1100万人のアメリカ人が罹患していると推定され、先進諸国において他のいずれの疾患よりも多くの死亡、障害を引き起こし、より高い社会経済的コストを生じさせている。うっ血性心不全は、米国では最も一般的な慢性の生命を脅かす疾病である。薬剤治療がますます進歩しつつあるにもかかわらず、進行した心疾患を有する患者の予後は不良のままである。
うっ血性心不全は、肺における液体の蓄積を伴って、心臓が身体の需要を満たすのに十分なだけ含酸素血液を有効に拍出できない状態である。うっ血性心不全は虚血性又は特発性の病因であり得る。うっ血性心不全の最も一般的な原因は、アテローム性動脈硬化症から生じる動脈狭窄による虚血である。虚血は、組織内で酸素の需要と供給の不均衡が存在し、及び灌流が不十分である組織における酸素不足の状態である。アテローム性動脈硬化症は、冠状動脈の内腔を狭小化し、それ故血流を低下させることによって心筋再灌流を低下させる。血流低下の他の原因は、動脈血栓及び痙攣、並びに他のあまり一般的でない事象を含む。心筋虚血はまた、先天性異常からも生じることがあり、心筋の酸素需要が著しく上昇する状況で起こり得る。うっ血性心不全は、病因が不明であるとき「特発性」と称される。
心不全の病因に関わりなく、罹患した心臓は、形態的変化、例えば心筋細胞の細胞容積の増大(細胞肥大)、筋節の存在率の上昇及び心臓質量の全体的増加(肥大型心筋症)、を含む、「適応リモデリング」と呼ばれる工程を受ける。例えばハウザーら、Trends Cardiovasc Med.10:101(2000)参照。この表現型適応は、心筋における再分極を妨げることによって収縮性を低下させる、生理的に異常なカルシウムホメオスタシスと平行する。例えばハウザーら、前出;Baileyら,Amer.J.Physiol.265:H2009(1993);Chenら,Circ.Res.91:517(2002);Diplaら,Circ.Res.84:435(1999);Gaughanら,Amer.J.Physiol.277:H714(1999);ハウザーら、J.Mol.Cell Caridol.,32:1595(2000);Nussら、Amer.J.Physiol.263:H1161(1992);Piacentinoら、J.Physiol.523:533(2000);Piacentinoら、Circ.Res.90:435(2002)参照。適応リモデリングが、正常な心機能を妨げることによって「不適応」となるのは心疾患のこの段階である。
心不全を発症した患者は、左心補助人工心臓(LVAD)による循環補助を受けた後、心疾患表現型の逆転を受ける。Chenら、前出。LVAD補助は、(1)心筋収縮性の改善、より速い弛緩及びカルシウム動態の改善、(2)病的細胞肥大及び付随する胎児遺伝子(fetal gene)の発現の抑制及び(3)突然死に結びつく活動電位延長及びパターンの改善を生じさせる。それ故、LVAD補助は細胞レベルでの機能的及び形態的回復を誘導する。これらの所見は、最も重度の疾患状態にあるヒト心臓の細胞でさえも、回復のための実質的な程度の可塑性及び能力を保持することを示している。その結果生じる、心臓が生理的に正常に機能する能力の改善を「逆リモデリング」と称する。
心不全の発症と進行並びに逆リモデリングを通しての機能の回復と共に起こる生理的変化は遺伝子レベルで反映される。しかし、これらの生理的変化を遺伝子発現の変化と相関させるという努力は、ほとんど全般的な洞察をもたらさなかった。これは、主として、限られた臨床及び/又は生理学的データに関連する試料が少ないことによる統計的困難さに起因すると考えられる。
例えばTanら、前出、は、末期拡張型心筋症(DCM)と診断されたヒト心臓からの8試料からのマイクロアレイデータを、8つの非不全ヒト心臓からの試料と比較した。この試験は遺伝子発現の変化を同定したが、限られた数の試料及び種々の心臓の間での固有の生物学的変動性に加えて、使用されたマイクロアレイチップ上のヒト遺伝子の限られた数の故に、結果は統計的に疑わしいものであった。同様に、Barransら、Amer.J.Pathol.6:2035(2002)は、7つのDCM心臓と5つの非不全心臓における包括的遺伝子発現プロフィールを検討した。ここで前記研究者達は、「我々の母集団からのより大きなnは我々の結論の有効性を増強するであろう。確かに、特に7名だけのDCM患者の間では、均質な心不全遺伝子型は存在しない」と述べ、彼らの試験の限界を認めた。同上、2041。
心不全における遺伝子発現の他の試験は、さらに少数の試料を使用している。Hwangら、Physiol.Genomics 10:31(2002)は、3つの特発性DCM心臓及び2つの肥大型心筋症(HCM)心臓からの試料における遺伝子発現を非不全心臓と比較した。この試験は、不全対非不全心臓の間での遺伝子発現の相違を同定し、同時にHCM心臓と比較したDCM心臓における弁別発現を区別した。やはり、前記研究者達は、結果の正確さが限られた試料数によって妨げられる可能性があることを認めている。
LVAD誘導の生理的変化と相関する遺伝子発現の変化についての洞察を得るために実施された試験は、前記で論じた心不全の試験と同様に統計的限界を内包する。文献は、心筋遺伝子発現における逆リモデリング及び翻訳後修飾に関連する変化を記録しているが、分子レベルでの特定の変化が中心的であるか又は随伴的であるかは不明のままである。
例えばHeerdtら、Circulation 102:2713(2000)は、LVAD誘導の収縮強度の回復を、Ca2+サイクルの調節に関与するタンパク質、すなわち筋小胞体Ca2+−ATPアーゼサブタイプ2a(SERCA2a)タンパク質、筋小胞体リアノジン感受性Ca2+−放出チャネル(RyR)タンパク質、及び筋線維鞘Na−Ca2+交換輸送体をコードする遺伝子の上方調節と結びつけることを試みた。Heerdtらは、LVAD補助後3つの遺伝子すべてが上方調節されるが、タンパク質のレベルはSERCA2aに関してのみ上昇することを認めた。わずかに数個の遺伝子だけを対象とする試験においてさえも、それ故、遺伝子発現の変化をLVAD誘導の回復に関連する生理的変化と結びつけることは不可能であった。
LVAD補助と共に起こる遺伝子発現の変化を検討するための、ゲノム全体の転写プロファイリングに関する予備報告が出された。Tanら、Circulation 102(18 Suppl’mt):II.266(2000);Rodrigue−Wayら、loc.cit.;ヤングら、J.Am.College Cardiology 39(Suppl’mt A):199A(2002)。これらの試験は遺伝子発現の包括的変化を同定したが、遺伝子変化自体を逆リモデリング又はそれが影響を及ぼす心不全の病理と因果関係で結びつけてはいない。
統計的に厳密な遺伝子発現プロファイリングが存在しないため、心不全の発症、進行及び逆転の間に転写産物レベルで認められる変化の生物学的及び臨床的関連性はあいまいなままである。
心不全の発症と進行の間及び疾患表現型の逆転の間にその発現が変化し得る数多くの遺伝子の中で、これまで特徴付けられていない一部分だけが、治療又は診断目的のための標的を含む又は標的をコードすると考えられる。従って、遺伝子発現又は遺伝子産物の生物活性の変化をこれに関連する生理現象と結びつけるため、及び遺伝子発現又は遺伝子産物の生物活性の変化への影響の故に、心不全を治療するための潜在的治療物質である化合物を同定するために、発症、進行及びLVADを介した逆リモデリングの様々な心不全の局面に関して多因子的根拠を明らかにする必要がある。
これらや他の必要性に応えるために、本発明は、心不全の発症と進行に関与する遺伝子及び遺伝子産物並びに内因性心筋回復及び修復機構に関与する遺伝子及び遺伝子産物を同定する方法を提供する。本発明はまた、心臓治療組成物のための潜在的治療化合物をスクリーニングする方法及びそのような治療化合物を使用する方法を提供する。
同様に、本発明はまた、心不全の発症と進行に関与する遺伝子及び内因性心筋回復機構に関与する遺伝子の発現を変化させる又は前記遺伝子産物の生物活性を調節する医薬組成物を同定するためのスクリーニング方法を提供する。
本発明はさらに、心不全の発症と進行に関与する遺伝子及び内因性心筋回復機構に関与する遺伝子の発現に影響を及ぼし得る化合物を提供する。
本発明の1つの実施形態は、細胞又は組織を含む試料を潜在的治療化合物と接触させること、配列番号1〜98及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される核酸によってコードされる産物をコードする遺伝子の発現のレベルを検出すること、及び前記遺伝子の発現レベルを前記化合物の不在下での前記遺伝子の発現レベルと比較すること、を特徴とする、心臓治療製剤のための潜在的治療化合物をスクリーニングする方法である。潜在的治療化合物が前記遺伝子の発現レベルに影響を及ぼす場合、その潜在的治療化合物は心臓治療製剤としての使用に適すると同定される。
本発明の別の実施形態は、(i)配列番号1〜98及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される核酸によってコードされる遺伝子産物を含む細胞又は組織あるいは(ii)単離形態の前記遺伝子産物、を含む試料を提供すること、前記試料を潜在的治療化合物と接触させること、前記潜在的治療化合物の存在下で前記遺伝子産物の生物活性のレベルを測定すること、及び前記遺伝子産物の生物活性のレベルを前記潜在的治療化合物の不在下での前記遺伝子産物の生物活性と比較すること、を特徴とする、心臓治療製剤のための潜在的治療化合物をスクリーニングする方法である。前記遺伝子産物の生物活性が潜在的治療化合物の存在によって調節される場合、その潜在的治療化合物は心臓治療製剤としての使用に適すると同定される。
本発明のさらなる実施形態は、前記配列群及びそれらの保存的変異体から選択される核酸によってコードされる産物をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現に影響を及ぼす化合物を含有する医薬組成物である。
本発明の別の実施形態は、前記配列群及びそれらの保存的変異体から選択される核酸によってコードされる産物をコードする遺伝子によってコードされる遺伝子産物の生物活性に影響を及ぼす化合物を含有する医薬組成物である。
本発明のさらなる実施形態は、前記配列群及びそれらの保存的変異体から選択される核酸によってコードされる産物をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現又はそのような産物の生物活性に影響を及ぼす化合物を含有する医薬組成物を被験者に投与することを特徴とする、その必要のある被験者において心不全を治療する方法である。
本発明の他の特徴、目的及び利点は以下の詳細な説明において明らかである。しかし、詳細な説明は、本発明の好ましい実施形態を示すが、例示としてのみ提供するものであり、限定でないことは了解されるべきである。本発明の精神及び範囲内での様々な変更及び修正は、詳細な説明から当業者には明白となる。
本発明は、心不全の発症と進行に関連する遺伝子の発現又は遺伝子産物の生物活性を調節する治療組成物を同定するためのアプローチを対象とする。本発明はまた、内因性心筋回復系に関与する遺伝子の発現又は遺伝子産物の生物活性を調節する治療組成物を同定する方法を対象とする。
これに関する治療的医薬組成物を開発することは、心不全表現型の進行及び逆転を推進する遺伝子の発現又は遺伝子産物の活性の変化についての理解を必要とする。
そのような治療組成物を開発するときに使用する化合物を正確に示すための有効なスクリーニング方法は、臨床/生理的変数、心筋遺伝子の発現パターン及び心筋遺伝子産物の生物活性の間で導かれる相関によって指示されるはずである。すなわち、そのような相関は、心不全の進行又は心機能の回復を調節するために、治療化合物によって調節され得る遺伝子及び遺伝子産物、発現及び生物活性の特定を容易にする。
遺伝子発現分析の成功は、一部には、遺伝子の上方調節又は下方調節を生理的変化に結びつけるデータの量と質に依存する。GeneExpress(登録商標)GX Explorer(商標) Training Manual、バージョン1.4、GeneLogic(登録商標),Inc.,1−9部、付属物A−G、BaxevanisとFrancis−Ouellette、前出。これに関して遭遇する問題の例証として、Razeghlら、Cardiology 97:203,208(2002)は、彼らの少ない患者試料数(左心補助人工心臓を介した補助を有する又は有さない疾患心組織の14対の試料)は、おそらく患者間の異質性に適応するには不十分であり、臨床的改善に結びつく遺伝子発現の変化の特定を妨げたことを認めた。さらに、心不全の初期マイクロアレイ試験は、均一な心不全表現型が存在しないことを実証した。Barransら、前出。それ故、意味のある相関は、統計的に適切な試料数からしか導くことができない。
発明者は、LVAD治療の前後両方の、心疾患を有する患者からの数多くの心組織試料を検討することにより、これに関する標的遺伝子の高品質のデータベースを確立した。このデータベースは左心室組織試料に限定されず、すべての心臓組織−左心室、右心室、左心房及び右心房を含む。前記データベースは、付属の「表」に列記されている98個の標的遺伝子、遺伝子産物を含む。前記標的遺伝子は、心不全を示す心筋において変化しており、同時にLVADを介した逆リモデリングの間にも変化する発現レベルを有する遺伝子である。データベースを作成する際に使用した組織試料の数は、心筋遺伝子発現への潜在的治療化合物の作用を分析するための統計的有意性の根拠を提供する。
「表」は、(A)遺伝子の各々についての配列番号を(B)GeneBankアクセッション番号及び各々の遺伝子に関して一般的に使用される一般名(遺伝子特定名、コードされる産物の名称、記号、遺伝子の別名)と結びつける。データベース情報の編集は本明細書の付属物に示しており、標的遺伝子についての公的に入手可能なデータ、例えばヌクレオチド配列及びコードされるポリペプチド配列、を提供する。
発見された標的遺伝子と細胞経路の関係についての知識は治療アプローチの作成を容易にする。疾患組織におけるmRNAレベルの全体的変化及びLVADを介した疾患表現型の逆転の間に起こる変化の評価は、疾患と回復の機構についての洞察を提供し、薬剤による治療的介入のための新規候補物質の特定を可能にする。特に、健常(非不全)心臓からの組織と比較した、心疾患を有する患者からの心組織の転写プロファイリングは、心不全の発症と進行の間にその発現レベルが変化する(上方又は下方に)遺伝子についての情報を提供する。同様に、LVADによる治療前後の疾患心組織の発現プロファイリングは、内因性心筋回復システムに関与する遺伝子を同定する。
標的遺伝子の発現レベル又は標的遺伝子産物の生物活性を変化させる化合物の特定は、化合物誘導性の遺伝子発現又は遺伝子産物の活性の変化によって促進される生理的作用の判定に基づき、遺伝子又は遺伝子産物の機能確認へと進むことができる。例えば「表」に列挙されている遺伝子の発現の変化を、心機能の指標、例えば細胞容積、細胞の伸長及び短縮、Ca2+中間体、収縮性、筋節の量及びイオン電流の変化、と相関させることができる。ハウザーら、Trends Cardiovasc.Med.10:101−7(2000)。正常な心機能の回復と相関する遺伝子発現の変化を、本明細書中では「治療的に有意」と称する。
同様に、本発明は、例えば生じるタンパク質の翻訳後修飾を変化させることによって、標的タンパク質の酵素活性を阻害することによって、標的レセプタータンパク質に対するリガンドとして働くことによって又はその天然リガンドに対する標的レセプタータンパク質の親和性を変化させることによって、遺伝子産物の生物活性を変化させる化合物の特定を考慮する。生物活性の変化も心機能の指標と相関させ得る。遺伝子発現に関して前述したように、心機能の改善と相関する標的遺伝子産物の生物活性の変化も「治療的に有意」と称する。
遺伝子発現又は標的遺伝子産物の活性にそのような治療的に有意の変化を生じさせることができる化合物は、本発明に従ったさらなる臨床的検討に値する潜在的医薬化合物である。
特に異なる記載がない限り、すべての技術的及び学術的用語は一般的な技術用途に適合するように使用される。一般に、本明細書の用語及びそれぞれ細胞培養、分子遺伝学及び核酸化学とハイブリダイゼーションにおける詳細な実験手順は周知であり、当技術分野において一般的に使用される。組換え核酸法、オリゴヌクレオチド合成、微生物培養、細胞培養、組織培養、形質転換、トランスフェクション、形質導入、分析化学、有機合成化学、化学合成、化学分析、及び医薬製剤及び送達については標準手法を使用する。一般に、酵素反応及び精製及び/又は単離工程は、製造者の仕様書に従って実施する。異なる指示がない限り、問題とする手法及び手順は、例えばサムブルックら、MOLECULAR CLONING A LABORATORY MANUAL,第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)及びCURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(John Wiley & Sons,1989)に開示されている従来の方法に従って実施する。
「配列同一性」は、当技術分野で認識されている意味を有し、公表手法を用いて算定することができる。COMPUTATIONAL MOLECULAR BIOLOGY,Lesk編集(Oxford University Press,1988); BIOCOMPUTING:INFORMATICS AND GENOME PROJECTS,スミス編集(Academic Press,1933);COMPUTER ANALYSIS OF SEQUENCE DATA,第I部、Griffin & Griffin編集(Humana Press,1984);SEQUENCE ANALYSIS IN MOLECULAR BIOLOGY,Von Heinje ed.,Academic Press(1987); SEQUENCE ANALYSIS PRIMER,Gribskov & Devereux編集(Macmillan Stockton Press,1991),及びCarillo & Lipton,SIAM J.Applied Math.48:1073(1988)参照。2つの配列間の同一性又は類似性を決定するために一般的に用いられる方法は、GUIDE TO HUGE COMPUTERS,Bishop編集(Academic Press,1994)及びCarillo & Lipton、前出に開示されているものを含むが、これらに限定されない。同一性及び類似性を決定するための方法は、コンピュータプログラムで書式化される。2つの配列間の同一性又は類似性を決定するための好ましいコンピュータプログラムは、GCGプログラムパッケージ(Devereuxら、Nucleic Acids Research 12:387(1984)),BLASTP、BLASTN、FASTA(アルチュールら、J.Mol.Biol.215:403(1990))及びFASTDB(Brutlagら、Comp.App.Biosci.6:237(1990))を含むが、これらに限定されない。
I.潜在的治療化合物のスクリーニング
「標的遺伝子」は、心不全の発症と進行又はLVADを介した心不全の逆転に関与するものである。「標的遺伝子産物」は、標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物であり、RNA及びタンパク質を含む。標的遺伝子産物又は標的遺伝子産物活性の標準レベルは、心臓の正常(非不全)生理的機能を示す被験者において遺伝子産物のレベル及び遺伝子産物の活性を測定することによって得られる。
前述したように、「表」は、その発現レベルが心不全の発症又は逆転の関数として変化する、配列番号1〜98に対応する標的遺伝子を同定する。「標的遺伝子」カテゴリー内で、本発明はまた、配列番号1〜98の遺伝子の保存的変異体を包含する。「保存的変異体」は、同等の条件下でそれぞれ配列番号1〜98の遺伝子(「元の遺伝子」)にも結合するオリゴヌクレオチドプローブに、ストリンジェント条件(下記参照)下でハイブリダイズするヌクレオチドである。保存的変異体ヌクレオチドは、好ましくはその元の遺伝子と少なくとも約75%の配列同一性を示す。
本明細書全体を通じて、「表」の核酸配列、配列番号1〜98をコードする遺伝子又は標的遺伝子及び標的遺伝子産物に言及する。「標的遺伝子」は、その発現が配列番号1〜98のいずれかの配列の核酸をもたらす遺伝子を指す。「標的遺伝子産物」は、配列番号1〜98のいずれかの核酸をコードする遺伝子によってコードされる遺伝子産物を指す。特に異なる記載がない限り、本発明の1つの実施形態は、この群の好ましいサブセット、すなわち配列番号6〜7、18〜19、21〜23、25〜26、29〜32、36、42〜45、48〜51、55〜57、62、64〜83、88〜90、92、94〜95及び97〜98及びそれらのそれぞれの保存的変異体である。
別の実施形態では、標的遺伝子のサブセットは、配列番号1〜5、7〜9、25〜28、41、45、48〜50、53〜58、68、85〜86、91及び93〜94及びそれらのそれぞれの保存的変異体を含む。遺伝子のこのサブセットは、アデニレートシクラーゼ(配列番号1及び2)、Ca2+輸送性及びNa/K輸送性ATPアーゼ(配列番号3〜5)、細胞周期、転写及び発生調節タンパク質(配列番号7、27、28、57及び94)、電位依存性カルシウムチャネルタンパク質(配列番号8及び9)、細胞シグナル伝達に関与するタンパク質(配列番号25〜26)、心臓肥大に関わるタンパク質(配列番号41、45、57)、鉱質コルチコイドレセプター(配列番号48〜50)、Gタンパク質(配列番号68)、Gタンパク質共役レセプター(配列番号53〜56)、ホスホランバン(配列番号58)、リアノジンレセプター(配列番号85及び86)、分泌FP(secreted frizzled protein)(配列番号91)、及びナトリウム/カルシウム交換輸送体(配列番号93)をコードする遺伝子を含む。これらの遺伝子の1又はそれ以上の発現あるいはこれらの遺伝子の1又はそれ以上によってコードされる産物の生物活性の調節は、心不全に罹患した被験者において予防、治療又は機能を改善するために使用できる。
例えば、cAMPは、L型カルシウムチャネル及び/又はホスホランバンをリン酸化し、及び活性化又は不活性化する、タンパク質キナーゼの活性化を調節するので、ATPからcAMPの形成を触媒するアデニレートシクラーゼは心不全の治療処置のための有用な標的DNAある。ホスホランバンは、順次、心筋の筋小胞体Ca2+−ATPアーゼを阻害することができる。筋小胞体Ca2+−ATPアーゼの機能は心筋弛緩速度に影響し、それ故ホスホランバンは心機能の重要な調節因子である。ホスホランバンの直接調節は、それ故、カルシウムホメオスタシスの制御のための中心的な治療調節部位でもある。同様に、Ca2+輸送性及びNa/K輸送性ATPアーゼ並びに電位依存性カルシウムチャネル及びナトリウム/カルシウム交換輸送体はカルシウムホメオスタシスを調節するように機能する。心筋細胞におけるカルシウムホメオスタシスの調節不全は、心不全における収縮機能不全にとって重要である。それ故、この過程を正常化する化合物は潜在的治療法である。
細胞周期、細胞発生、細胞シグナル伝達に関与する遺伝子及び遺伝子産物も、これらの標的遺伝子が心筋細胞の増殖と発育において重要であり、及び幾分かは、心筋細胞肥大及び筋発生を推進するので、心不全治療のための有用な標的である。鉱質コルチコイドレセプターもやはり転写調節に関与すると思われ、それ故、心不全の治療のための適切な標的である。
本発明のさらなる実施形態は、配列番号7、25、26、45、48〜49、50、55〜57、68、82及び94及びそれらのそれぞれの保存的変異体を含む標的遺伝子のサブセットを提供する。
別の実施形態では、標的遺伝子のサブセットは、配列番号7〜9、12、25〜26、41、68及び82及びそれらのそれぞれの保存的変異体を含む。
本発明の付加的な実施形態は、配列番号7、25〜26、68及び82及びそれらのそれぞれの保存的変異体を含む標的遺伝子のサブセットを提供する。
また別の実施形態では、標的遺伝子のサブセットは、配列番号26、68及び82及びそれらのそれぞれの保存的変異体を含む。例えば、本発明は、LVADによる補助後の以下の遺伝子:二重特異性ホスファターゼ5(DUSP5;配列番号26)、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子4(RGS4;配列番号82)及びデキサメタゾン誘導性RAS(配列番号68)、の発現レベルの変化を同定する。これらの標的遺伝子の発現は、細胞外シグナル調節キナーゼ−1(ERK)、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPキナーゼ)を調節する又はこれらによって調節される。DUSP5はERKを不活性化し、RGS4はERKの負の調節因子である。さらに、ATP2A2(SERCA2;配列番号5)の発現はERKによって調節される。治療的アプローチを作成するとき、例えば治療方法においてRGSタンパク質を直接標的することに加えて、RGSタンパク質と相互作用するタンパク質、例えばRGSタンパク質の天然阻害因子であるPIP3又はRGSの活性化因子であるカルモジュリンの拮抗物質、を標的することによって、RGSタンパク質の活性を調節することができる。
デキサメタゾンによって刺激されるRASD1(配列番号68)は、ヒト非不全心筋において高発現されるGタンパク質をコードする。心不全の進行はRASD1発現の低下及び/又は不活性化をもたらす。この初期シグナル伝達事象は、心筋肥大及び萎縮の決定因子である下流工程に連鎖する。それ故、RASD1の発現上昇は心不全を予防又は治療する手段を提供する。
潜在的治療化合物の初期スクリーニングは、細胞又は組織を化合物と接触させ、その後標的遺伝子の発現への作用又は標的遺伝子産物の生物活性への作用を観察することを含む。「遺伝子発現」は、DNA配列からRNA配列への転写、及びそれに続くRNAから、翻訳後プロセシングを受けるか又は受けなくてもよい、タンパク質への翻訳の工程を包含する。それ故、遺伝子発現への潜在的治療化合物の作用は、RNA又はタンパク質(「遺伝子産物」)のレベルの変化を定量的又は定性的に検出することによって観察できる。「生物活性」は、酵素活性及びレセプター結合活性を含む、タンパク質遺伝子産物の活性を含むが、これらに限定されない。
潜在的治療化合物のスクリーニングはインビトロ又はインビボで実施することができる。インビトロスクリーニングは、被験者からの又は培養中の、細胞又は組織を化合物と接触させ、化合物の存在下と不在下で遺伝子発現又は遺伝子産物の活性を観察することによって実施できる。典型的には、化合物を細胞培地又は組織培養培地に添加する。添加する化合物の量及び接触時間の長さは化合物の個々の特性に依存する。化合物濃度は約1pg/mL〜1000mg/mLの範囲であり得る。試験する化合物は、水溶液として供給し得るか又は溶媒、例えばDMSO、又は溶媒の組合せに溶解することができる。
潜在的治療化合物のスクリーニングは、潜在的治療化合物の投与前と投与後に被験者から細胞又は組織試料を採取し、潜在的治療化合物の投与前と投与後の試料における遺伝子発現又は遺伝子産物の活性を比較することによってインビボで実施できる。インビボ試験のための好ましい被験者は哺乳動物である。好ましい哺乳動物は、ヒト、マウス、ラット、モルモット又はイヌを含む。潜在的治療化合物の量及び投与方法は化合物の特性に依存し、当技術分野で常套的な実験によって容易に決定することができる。
A.細胞、組織、核酸及びタンパク質試料
細胞及び組織は、心組織生検試料又は末梢血から選択的に単離される。好ましい実施形態では、本発明は、心筋細胞、単離小柱又は乳頭筋を使用して実施される。
核酸及びアミノ酸遺伝子産物を含む遺伝子産物は、当技術分野で公知の何らかの方法によって細胞フラグメント又は溶解産物から単離することができる。分析手法、例えばハイブリダイゼーションアッセイ、酵素アッセイ又はリガンド結合アッセイ、に干渉することができる細胞成分から遺伝子産物を単離することが望ましい。
本発明を実施するときに使用する核酸試料は、何らかの使用可能な方法又は工程によって作製できる。核酸を単離するための慣例的な手法は、例えばTijssen、LABORATORY TECHNIQUES IN BIOCHEMISTRY AND MOLECULAR BIOLOGY: HYBRIDIZATION WITH NUCLEIC ACID PROBES,第3章(Elsevier Press,1993)、BergerとKimmel、Methods Enzymol.152:1(1987)、及びGIBCO BRL & LIFE TECHNOLOGIES TRIZOL RNA ISOLATION PROTOCOL Form No.3786(2000)に詳述されている。
適切な核酸試料は、標的遺伝子の転写産物に由来する核酸、すなわちmRNA転写産物の合成又はそれに続く工程が最終的に鋳型として使用した核酸を含み得る。転写産物から逆転写されたcDNA、cDNAから転写されたRNA、cDNAから増幅されたDNA、増幅されたDNAから転写されたRNA等は、転写産物に由来する核酸の例であり、そのような誘導産物の検出は、試料中のもとの転写産物の存在及び/又は存在割合を指示する。それ故、適切な試料は、遺伝子(1又はそれ以上)の転写産物、転写産物から逆転写されたcDNA、そのcDNAから転写されたcRNA、遺伝子から増幅されたDNA、増幅されたDNAから転写されたRNAを含むが、これらに限定されない。「転写産物」のカテゴリーは、プレmRNA新生転写産物、転写産物のプロセシング中間体及び成熟mRNA及びそれらの分解産物を含むが、これらに限定されない。
本発明を実施するために必ずしもすべての種類の転写産物をモニターする必要はない。例えば、本発明の1つの実施形態を履行するために成熟mRNAレベルだけを測定することを選択し得る。
1つの好ましい実施形態では、染色体DNA又はcDNAライブラリー(例えば全細胞mRNAから合成される蛍光標識cDNA)は、当該技術分野において認められた方法に従ったハイブリダイゼーション手法において使用するために調製される。サムブルックら、前出、参照。
ハイブリダイゼーション手法において使用する前に、ホモジネート又はライセート中にしばしば存在するRNアーゼを阻害するか又は破壊することが望ましい。ヌクレアーゼを阻害する又は破壊する方法は周知である。1つの実施形態では、ヌクレアーゼを阻害するためにカオトロピック試薬の存在下で細胞又は組織をホモジネートする。もう1つの実施形態では、熱処理とそれに続くプロテイナーゼ処理によってRNアーゼを阻害又は破壊する。
タンパク質試料は、当技術分野で公知の何らかの手段によって単離することができる。本発明において使用するタンパク質試料は、粗細胞ライセート又は粗組織ホモジネートであり得る。あるいは、タンパク質を精製することができる。当技術分野で周知のタンパク質精製の様々な方法は、Marshakら、STRATEGIES FOR PROTEIN PURIFICATION AND CHARACETIZATION:A LABORATORY COURSE MANUAL(Cold Spring Harbor Laboratory Press 1996)において認められる。
B.遺伝子発現のレベルの検出
本発明の方法は、遺伝子発現のレベルを検出することを含む。遺伝子発現を観察するためのいかなる方法も、制限なしに使用することができる。これらの方法は、伝統的ヌクレオチドハイブリダイゼーション手法、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づく方法及びタンパク質測定を含む。本発明において使用する方法は、固形支持体ベース及び溶液ベースのアッセイ方式を含む。
発現レベルの絶対的測定は、実施することはできるが、必ずしも実施する必要はない。試料間の発現レベルの差の比較が、しかしながら、好ましい。発現レベルの比較は、視覚的に又は手作業で実施できるか、又は例えば光学的検出手段を用いて、自動化するか又は機器によって実施することができる。Subrahmanyamら、Blood 97:2457(2002);Prasharら、Methods Enzymol. 303:258(1999)。遺伝子の示差発現を分析するためのハードウエア及びソフトウエアは使用可能であり、本発明の実施において選択的に使用される。GeneExpress(登録商標)GX Explorer(商標)Training Manual、前出;BaxevanisとFrancis−Ouellette、前出;GENE CHIP EXPRESSION MONITORING,Affymetrix GeneChip(登録商標) Expression Analysis Technical Manual,1999−2002、§2、第1−4章。
本発明の1つの実施形態は、遺伝子発現を観察するために核酸ハイブリダイゼーション手法を使用する。これらの手法は、ノーザンブロット法、サザンブロット法、溶液ハイブリダイゼーション及びS1ヌクレアーゼ保護アッセイを含む。
核酸ハイブリダイゼーションは、プローブとその相補的標的が相補的塩基対合を通して安定なハイブリッド二重鎖を形成することができる条件下で、プローブと標的核酸を接触させることを含む。例えば国際公開広報第WO99/32660号;Berger & Kimmel、Methods Enzymol.152:1(1987)参照。次に、ハイブリッド二重鎖を形成していない核酸を洗い流し、ハイブリダイズした核酸を残して、典型的には結合した検出可能標識の検出を通して、検出する。1つの実施形態では、標的核酸は、細胞中に存在するmRNA転写産物(例えばcDNAライブラリー)である、検出可能に標識したポリヌクレオチドである。検出可能標識は一般に放射性又は蛍光標識であるが、検出できるいかなる標識も使用し得る。標識は、例えば国際公開広報第WO99/32660号、前出、に述べられている幾つかのアプローチによって組み込むことができる。
核酸の二重鎖は、温度を上昇させること又は核酸を含む緩衝液の塩濃度を低下させることによって不安定化される。低ストリンジェンシー条件下で(例えば低い温度及び/又は高い塩)ハイブリッド二重鎖(例えばDNA:DNA、RNA:RNA又はRNA:DNA)は、アニーリングした配列が完全に相補的ではない場合でも形成される。それ故、低ストリンジェンシーではハイブリダイゼーションの特異性が低下する。逆に、高ストリンジェンシー(例えばより高い温度及び/又はより低い塩及び/又は不安定化試薬の存在)では、ハイブリダイゼーションの成功にはミスマッチがほとんどないことが求められる。
典型的には、短いプローブ(例えば10〜50ヌクレオチド)についてのストリンジェント条件は、塩濃度がpH7.0〜8.3で少なくとも約0.01〜1.0M、温度が少なくとも約30℃という条件である。ストリンジェント条件はまた、ホルムアミドのような不安定化剤の添加によっても実現しうる。
ハイブリダイゼーションを確実にするために、例えば6xSSPE−T(0.9M NaCl、60mM NaHPO、pH7.6、6mM EDTA、0.005%Triton)中37℃、の低ストリンジェンシー条件でハイブリダイゼーションを実施することが望ましいと考えられる。次に、ミスマッチハイブリッド二重鎖を取り除くためにその後の洗浄をより高いストリンジェンシー(例えば1xSSPE−T中37℃)で実施することができる。所望レベルのハイブリダイゼーション特異性が得られるまで、漸次より高いストリンジェンシーで(例えば37℃から50℃で0.25xSSPE−Tまで低下させる)連続的な洗浄を実施することができる。好ましい実施形態では、一貫した結果を生じ、バックグラウンド強度の約10%以上のシグナル強度を提供する最も高いストリンジェンシーで洗浄を実施する。
一般に、ストリンジェンシー(ハイブリダイゼーション特異性)とシグナル強度の間には折衷が存在する。それ故、好ましい実施形態では、ハイブリダイズしたアレイを連続的により高いストリンジェンシー溶液で洗浄し、各々の洗浄の間に読取りを行い得る。このようにして生成されたデータセットの解析は、ハイブリダイゼーションパターンが評価し得るほどに変化せず、及び対象とする特定オリゴヌクレオチドについて適切なシグナルを提供するストリンジェンシーよりも高い洗浄ストリンジェンシーを明らかにする。
1.プローブ
核酸ハイブリダイゼーション手法において有用なプローブは、1又はそれ以上の種類の化学結合を通して、通常は水素結合形成による相補的塩基対合を通して、相補的配列の標的核酸に結合することができる。プローブは、天然塩基(すなわちA、G、U、C又はT)又は修飾塩基(7−デアザグアノシン、イノシン等)を含みうる。加えて、プローブ中の塩基は、ハイブリダイゼーションに干渉しない限り、ホスホジエステル結合以外の結合によって連結されていてもよい。それ故、プローブは、成分塩基がホスホジエステル結合ではなくペプチド結合によって連結されているペプチド核酸であってもよい。
オリゴヌクレオチドプローブは当技術分野において公知の何らかの手段によって作製し得る。本発明において有用なプローブは、標的遺伝子の転写産物に由来するヌクレオチドにハイブリダイズすることができる。本発明の標的遺伝子に特異的なプローブは、配列番号1〜98に開示されているヌクレオチド配列を用いて作製できる。プローブは、好ましくは配列番号1〜98の対応する隣接配列の少なくとも2、10、12、14、16、18、20、22、24又は25ヌクレオチドフラグメントであり、2、1、0.5、0.1又は0.05kb未満の長さであり得る。
配列特異的プローブ領域を、検出する各々の遺伝子についてのコード及び3’UTR内に規定する。規定領域に相補的なプローブは、化学合成するか、制限酵素を用いてより長いヌクレオチドから作製するか、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの手法を用いて得ることができる。プローブは、例えば放射性、ビオチン化又は蛍光タグで標識することができる。PCR法は周知であり、例えばInnisら編集、PCR PROTOCOLS:A GUIDE TO METHODS AND APPLICATIONS, Academic Press Inc.San Diego,Calif.(1990)に述べられている。前記方法によって作製されるオリゴヌクレオチドプローブは、溶液又は固形支持体ベースの方法において使用できる。
2.オリゴヌクレオチドアレイ法
本発明の好ましい実施形態は、固形支持体に基づくオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション法を使用する。本発明の実施に適する固形支持体ベースの方法は広く知られており、例えば国際公開広報第WO97/11755号;GENE CHIP EXPRESSION MONITORING,Affymetrix GeneChip(登録商標)Expression Analysis Technical Manual,前出;Huberら、Anal.Biochem.299:24(2001);Melyantoら、Biotechniques.31:406(2001);Relogioら、Nucleic Acids Res.30:e51(2002)に述べられている。オリゴヌクレオチドが共有結合又は非共有結合によって結合することができる、いかなる固体表面も使用できる。そのような固形支持体は、フィルター、ポリ塩化ビニル皿、シリコン又はガラスベースのチップ等を含む。
1つの好ましい実施形態は、多くの遺伝子又は遺伝子産物を同時に試験するために使用できるオリゴヌクレオチドアレイを用いる。オリゴヌクレオチドアレイは、アレイ上のあらかじめ指定された位置に個々のオリゴヌクレオチドプローブを含む。各々の指定位置はプローブの2個以上の分子を含みうるが、指定位置内の各々の分子は同一配列を有する。そのような指定位置を特徴(feature)と称する。例えば単一固形支持体上に2、10、100、1,000、10,000、100,000又は400,000のそのような特徴が存在しうる。
遺伝子発現モニタリングのためのオリゴヌクレオチドプローブアレイは、例えばLockhartら、Nat'l Biotech.14:1675(1996)及びMcGallら、Proc.Nat'l Acad.Sci,USA 93:13555(1996)、に述べられている従来の手法に従って作製し、使用することができる。オリゴヌクレオチドアレイはまた、あらかじめ製造されたチップとして市販されている。例えばAffymetrix GeneChip(登録商標)Human Genome U133 Setはこの方法に適する。様々なオリゴヌクレオチドアレイのデザインが本発明の実施に適する。
本発明の1つの好ましい実施形態は、標的遺伝子の転写産物に由来するヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする試験プローブを含むオリゴヌクレオチドアレイを使用する。試験プローブは、長さが約5〜約45又は5〜約500ヌクレオチド、より好ましくは約60〜約100ヌクレオチド、最も好ましくは約15〜約40ヌクレオチドの範囲であるオリゴヌクレオチドであり得る。
好ましい実施形態では、マイクロアレイ手法において使用するプローブは、PCRを用いて作製する。プローブを作製するときに用いるPCRプライマーは、配列番号1〜98の配列に基づいて、ユニークフラグメント(すなわちマイクロアレイ上の他のフラグメントと10塩基以上の隣接同一配列を共有しないフラグメント)の増幅をもたらすように選択される。コンピュータプログラムは、必要な特異性と最適増幅特性を備えたプライマーの設計において有用である。例えばOligoバージョン5.0(National Biosciences)参照。
特に好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドアレイは1又はそれ以上の対象プローブを含む。対照プローブは、ここでは(1)正規化対照及び(2)発現レベル対照と称する2つのカテゴリーに属する。
正規化対照は、標識標準オリゴヌクレオチド又はスクリーニングする核酸試料に添加される他の核酸配列に相補的なオリゴヌクレオチド又は他の核酸プローブである。正規化対照から得られるシグナルは、ハイブリダイゼーション後に、ハイブリダイゼーション条件、標識強度、読取り効率、及び完全なハイブリダイゼーションのシグナルにアレイ間での相違を引き起こし得る他の因子の変動についての対照を提供する。好ましい実施形態では、アレイ内の全ての他のプローブから読み取ったシグナル(例えば蛍光強度又は放射能)を対照からのシグナルで除して、それによって測定値を正規化する。
実質上いかなるプローブも正規化プローブとして使用できる。ハイブリダイゼーション効率は、しかしながら、塩基組成とプローブ長によって異なる。好ましい正規化プローブは、アレイ内に存在する他のプローブの平均長を反映するように選択されるが、長さの範囲をカバーするように選択することもできる。さらに、正規化対照は、アレイ内の他のプローブの平均塩基組成を反映するように選択することができる。好ましい実施形態では、1個だけ又は数個のプローブだけを使用し、それらが良好にハイブリダイズし(すなわち二次構造を持たない)、及びいずれの標的特異的プローブにもマッチしないように選択する。
発現レベル対照は、生物学的試料において構成的に発現される遺伝子と特異的にハイブリダイズするプローブである。実質上いかなる構成的に発現される遺伝子も、発現レベル対照のための適切な標的を提供する。典型的には、発現レベル対照プローブは、アクチン遺伝子、トランスフェリンレセプター遺伝子、GAPDH遺伝子等を含むがこれらに限定されない、構成的に発現される「ハウスキーピング遺伝子」のサブ配列に相補的な配列を有する。
「バックグラウンド」又は「バックグラウンドシグナル強度」という用語は、標識標的核酸とオリゴヌクレオチドアレイの成分の間での非特異的結合又は他の相互作用から生じるハイブリダイゼーションシグナルを指す。バックグラウンドシグナルはまた、アレイの成分自体の内因性蛍光によっても生成されうる。
単一バックグラウンドシグナルをアレイ全体に関して算定することができ、あるいは異なるバックグラウンドシグナルを各々の標的核酸について算定することができる。好ましい実施形態では、バックグラウンドを、アレイ内のプローブの最低5〜10%についての平均ハイブリダイゼーションシグナル強度として、又は異なるバックグラウンドシグナルを各々の標的核酸について算定する場合は、各々の遺伝子についてのプローブの最低5〜10%についての平均ハイブリダイゼーションシグナル強度として算定する。特定遺伝子に対してプローブが良好にハイブリダイズし、それ故、標的配列に特異的に結合すると思われる場合は、それらをバックグラウンドシグナルの算定に使用すべきではない。あるいは、バックグラウンドは、試料中に認められるいかなる配列にも相補的でないプローブ(例えば反対側のセンスの核酸又は試料が哺乳動物核酸である場合の細菌遺伝子のような試料中には認められない遺伝子を対象とするプローブ)へのハイブリダイゼーションによって生成される平均ハイブリダイゼーションシグナル強度として算定することができる。バックグラウンドはまた、全くいかなるプローブも有さないアレイの領域によって生成される平均シグナル強度としても算定できる。
3.PCRに基づく方法
もう1つの好ましい実施形態では、PCRベースの方法を用いて遺伝子発現を検出する。これらの方法は、リアルタイム及びエンドポイント定量的逆転写酵素仲介ポリメラーゼ連鎖反応(Q−RTPCR)を含む、逆転写酵素を介したポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を包含する。これらの方法は当技術分野において周知である。例えば定量的PCRの方法は、例えばApplied BioSystems及びStratagene(登録商標)から市販されているキット及び方法を用いて実施できる。Kochanowski,QUANTITATIVE PCR PROTOCOLS (Humana Press,1999);Innisら、前出;Vandesompeleら、Genome Biol.3:RESEARCH0034(2002);スタイン、Cell Mol.Life Sci.59:1235(2002)も参照のこと。
好ましい実施形態では、Q−RTPCRを用いて遺伝子発現を溶液中で観察する。Q−RTPCRは、PCR産物の増幅の間に比例して生成される蛍光シグナルの検出に基づく。Innisら、前出、参照。伝統的なPCR法と同様に、この手法は、反対側の鎖及び対象とするDNA領域に隣接する領域にハイブリダイズする、典型的には15−30塩基の長さのPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いる。加えて、プローブ(例えばTaqMan(登録商標)、Applied Biosystems)は、PCR手法において伝統的に使用されるフォワード及びリバースプライマーの間の標的配列にハイブリダイズするように設計される。前記プローブを、5’末端でレポーター蛍光基、例えば6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)及びクエンチャー蛍光基、例えば6−カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)で標識する。プローブがインタクトである限り、クエンチャー蛍光基によるレポーター蛍光基の発光の吸収をもたらす蛍光エネルギー移動が起こる。Taqポリメラーゼはプライマーを伸長するので、しかしながら、Taqの内因性5’→3’ヌクレアーゼ活性はプローブを分解し、レポーター蛍光基を放出する。増幅サイクルの間に検出される蛍光シグナルの上昇は、各々のサイクル中に生成される産物の量に比例する。
フォワード及びリバース増幅プライマー及び内部ハイブリダイゼーションプローブは、標的遺伝子の転写産物に由来する1個のヌクレオチドと特異的に且つユニークにハイブリダイズするように設計しなければならない。好ましい実施形態では、プライマー及びプローブ配列についての選択基準には、TaqMan(登録商標)の必要条件を満たすヌクレオチド含量及びサイズに関する制約が組み込まれる。
各々のセグメントについて選択したプライマー及びプローブオリゴヌクレオチドの核酸配列は、選択プライマー及びプローブ配列がユニークであり、及び各々の標的遺伝子のセグメントに相補的であることを確認するためにGenBankのBLAST検索で問い合わせる。
本発明では、選択的に各々のプライマー対とプローブを用いて、各標的遺伝子に関して2回の、より選択的には3回のQ−RTPCRを促進する。好ましい実施形態では、工程を自動化するために複数のウエルをロボットステーションに接続する。
上記で論じたTaqMan(登録商標)アッセイに代わるプローブなしQ−RTPCRとして、SYBR Green(登録商標)を使用することができる。ABI PRISM(登録商標)7900 SEQUENCE DETECTION SYSTEM USER GUIDE APPLIED BIOSYSTEMS,第1−8章、App.A−F(2002)。
ABI 7900 PRISM(登録商標)(Applied BioSystems,CA)などの装置は、PCR増幅の間の蛍光放出強度の変化を測定する。前記測定は、「リアルタイム」で、すなわち増幅産物が反応において蓄積されると共に実施される。他の方法は、プローブ消化から生じる蛍光の変化を測定するために使用できる。例えば蛍光分極は、分子揺動(molecular tumbling)に基づき大分子と低分子を識別することができる(例えば米国特許第5,593,867号参照)。
4.タンパク質検出方法
タンパク質は、免疫学的方法、酵素測定法及びタンパク質アレイ/プロテオミクス手法を含む、当技術分野で公知の何らかの手段によって観察することができる。
翻訳状態の測定は幾つかのタンパク質法に従って実施し得る。例えばタンパク質の全ゲノムモニタリング―「プロテオーム」―は、結合部位が、固定化された、好ましくはモノクローナルの、配列番号1〜98の遺伝子によってコードされる多数のタンパク質種に特異的な抗体を含むマイクロアレイを構築することによって実施できる。Wildtら、Nature Biotechnol.18:989(2000)参照。ポリクローナル及びモノクローナル抗体を作製するための方法は周知であり、例えばHarlowとLane、ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988)に述べられている。
あるいは、タンパク質は二次元ゲル電気泳動システムによって分離することができる。二次元ゲル電気泳動システムは当技術分野において周知であり、典型的には一次元目の等電点電気泳動とそれに続く二次元目のSDS−PAGE電気泳動を含む。例えばHamesら、GEL ELECTROPHORESIS OF PROTEINS:A PRACTICAL APPROACH(IRL Press,1990)参照。生じた電気泳動図は、質量分析手法、ポリクローナル及びモノクローナル抗体を用いたウエスタンブロット法及び免疫ブロット分析、及び内部及びN末端微量配列分析を含む、数多くの手法によって分析することができる。
C.遺伝子産物活性のレベルの検出
標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の生物活性への潜在的治療化合物の作用も調べることができる。この生物活性は、例えば遺伝子産物が酵素である場合の酵素活性及び遺伝子産物がレセプター分子である場合のレセプターへのリガンドの結合、を含む。
1.酵素測定法
酵素ベースのスクリーニングでは、標的遺伝子によってコードされる酵素を含む試料を潜在的治療化合物と接触させる。試料は、単離遺伝子産物、精製遺伝子産物、又は前記遺伝子産物を含む細胞又は組織であり得る。酵素の活性を潜在的治療化合物の存在下で測定し、潜在的治療化合物の不在下での酵素の活性と比較する。測定された活性の上昇又は低下は、潜在的治療化合物が心臓治療化合物としての使用に適することの指標である。測定された活性が、試験物質の不在下で測定された酵素活性に比べて好ましくは約2倍、より好ましくは少なくとも約5倍、最も好ましくは少なくとも約10倍以上、上昇又は低下している場合、潜在的治療化合物は酵素活性に影響を及ぼすとみなされる。
潜在的治療化合物と酵素の相互作用のために十分な条件と時間は酵素によって異なるが、一般に相互作用が起こるのに適した条件は、0℃〜約40℃、好ましくは0℃〜約37℃である。酵素測定法は、好ましくは適切なイオンを適切な濃度範囲内で含む緩衝溶液中で実施される。これらの条件は所与の酵素によって異なり、典型的には5−9のpH範囲内である。結合及び応答のために十分な条件は、一般に接触後約1ミリ秒から約72時間である。
スクリーニングアッセイにおける使用のために、酵素は細胞又は組織試料中に存在することができ、前記細胞又は組織試料中で実質的に検定することができるか、あるいは検定する前に前記細胞又は組織試料から単離することができる。好ましくは、酵素は実質的に精製され得る。「実質的に単離された」又は「精製された」酵素は、その酵素が本来結合している物質、特に他のタンパク質様物質又は逆リモデリングに関連する酵素活性を阻害しうる物質を実質的に含まないものである。実質的に含まないとは、酵素が本来結合している物質を少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらに一層好ましくは少なくとも90%含まないことを意味する。「実質的に単離された」酵素はまた、起源又は操作によって、(1)本来結合している酵素の全部又は部分と結合していない、(2)本来結合しているもの以外のポリペプチドに結合している、又は(3)天然では生じない、組換え酵素を指す。
これらのアッセイにおける使用のための酵素は、天然ソースからの単離及び組換え手法による生産を含むが、これらに限定されない、当技術分野において公知の何らかの方法によって入手できる。本発明のスクリーニングアッセイにおける使用のための酵素は、様々な公知の方法のいずれかによって精製することができる。例えばDeutscher,Methods Enzymol.182、第1〜61章(1990)参照。
酵素活性は、例えばENZYME ASSAYS:A PRACTICAL APPROACH,R.EisenthalとM.J.Danson編集、Oxford University Press(1992)に述べられている、高度測定、放射能測定、HPLC及び電気化学的手法を含むが、これらに限定されない、何らかの公知の方法によって測定することができる。
2.リガンド結合アッセイ
リガンド結合アッセイは、別の化合物、例えばリガンドの、標的遺伝子によってコードされるレセプタータンパク質への結合に影響を及ぼす潜在的治療化合物を同定するために使用できる。それに加えて、潜在的治療化合物がリガンドそのものであり得る。本明細書において使用するとき「リガンド」は、一般に、標的細胞上のレセプター分子をインビトロで又はインビボで特異的に認識する又は結合することができる全ての分子を指す。具体的には、天然リガンドの例は、所望標的細胞に特異的に結合する、免疫グロブリン又はその結合フラグメント、リンホカイン、サイトカイン、細胞表面抗原、例えばCD22、CD4及びCD8、可溶化レセプタータンパク質、例えば可溶性CD4、ホルモン、増殖因子、例えば上皮増殖因子(EGF)等を含むが、これらに限定されない。さらに、潜在的治療化合物はまた、リガンドとして働くこともできる。レセプタータンパク質へのリガンドの結合を測定するために設計されたアッセイは広く確立されている。
リガンド結合は、例えばCURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,NY(1999)に述べられている、ゲルシフトアッセイ、ウエスタンブロット法、放射標識競合アッセイ、ファージに基づく発現クローニング、クロマトグラフィーによる共分画(co-fractionation)、共沈、架橋、相互作用捕捉/ツーハイブリッド分析、サウスウエスタンブロット分析、ELISA等を含むが、これらに限定されない、当技術分野で公知の何らかの方法によって検出できる。リガンドは、放射能標識、蛍光標識、化学発光標識又は生物発光標識で検出可能に標識することができる。適切な放射性リガンドの例は、放射性同位体を濃縮した1又はそれ以上の原子を有するリガンド、及び放射性同位体標識に共有結合されているリガンドを含む。リガンドを濃縮するために使用できる放射性同位体の例は、H及び14Cを含む。リガンドを共有結合標識するために使用し得る放射性同位体の例は、125I、131I、32P、35S、51Cr、36Cl、57Co、58Co、59Fe及び58Seを含む。スクリーニングするリガンドは、細胞外、細胞内、生物学的又は化学的起源の化合物を含むが、これらに限定されない。
例えば結合アッセイは、標的タンパク質遺伝子産物への天然リガンドの結合を潜在的治療化合物の存在下で検出し、潜在的治療化合物不在下でのリガンドの結合と比較する。潜在的治療化合物の存在下でのリガンドの結合の度合の変化は、レセプターと化合物の相互作用を指示し、その化合物はさらなる検討に値すると同定される。同じ方法で、潜在的治療化合物がリガンドそのものとして働く能力を測定することにより、潜在的治療化合物をインビトロで試験することもできる。
アッセイの1つの形態では、標識リガンド及び潜在的治療化合物と共にインキュベートした、標的タンパク質によってコードされるレセプターを、化合物がレセプタータンパク質に結合した標識リガンドに置き換わる能力を測定することによって試験する。
3.シグナル伝達アッセイ
天然リガンド又はリガンドとして働くことができる潜在的治療化合物のレセプタータンパク質への結合は、Gタンパク質共役レセプターによるシグナル伝達を生じさせることができ、Gタンパク質並びに他の細胞内シグナル伝達分子の活性を刺激する。化合物(例えば天然リガンド又は潜在的治療化合物)によるシグナル伝達機能の誘導は、何らかの適切な方法を用いて監視することができる。
Gタンパク質活性、例えばGTPからGDPへの加水分解、又はレセプター結合が引き金となるより後期のシグナル伝達事象、例えば細胞内(細胞質)遊離Ca2+濃度の迅速で一過性の上昇の誘導は、当技術分野で公知の方法又は他の適切な方法によって測定することができる。例えばNeoteら、Cell 72:415(1993);Van Riperら、J.Exp.Med.177:851(1993);Dahindenら、J.Exp.Med.179:751(1994)参照。例えばハイブリッドGタンパク質共役レセプターを使用する、Sledziewskiら、米国特許第5,284,746号の機能アッセイは、リガンド又は潜在的治療化合物がレセプタータンパク質に結合して、Gタンパク質を活性化する能力を監視するために使用できる。
II.標的遺伝子及び遺伝子産物の機能確認
心臓治療薬のための標的としてのその潜在能をさらに明らかにするために、標的遺伝子及び/又は遺伝子産物を機能確認することができる。それ故、「機能確認」は、本発明に従って、その化合物が影響を及ぼすことが示された標的遺伝子の発現又は標的遺伝子産物の発現を変化させることにより、標的遺伝子を治療上有意の生理的応答に相関させる工程を意味する。これに関して、機能確認は、以下で説明するようにインビトロ又はインビボで実施することができる。
逆リモデリングに関連する表現型への遺伝子発現の影響について情報を蓄積するために、本発明に従って使用できる手法は、(i)遺伝子産物を過剰発現すること、(ii)例えば遺伝子のmRNA転写産物を破壊することなどによって、遺伝子転写産物を破壊すること、(iii)遺伝子によってコードされるポリペプチドの機能を破壊すること、又は(iv)遺伝子自体を破壊すること、を含むが、これらに限定されない。遺伝子産物の過剰発現、アンチセンスRNAの使用、リボザイム、及び二本鎖RNA干渉(dsRNAi)の使用は、標的遺伝子の機能的作用を発見するため及び遺伝子ノックアウトを作製するための有用な手法である。
標的遺伝子の過剰発現は、しばしば、遺伝子又はcDNAを発現ベクターにクローニングし、そのベクターをレシピエント細胞に導入することによって実施される。あるいは、過剰発現は、外来性プロモーターを細胞に導入して、ゲノム内に存在する遺伝子の発現を推進することによって実施され得る。その後、細胞機能、生化学的及び生理的特性への過剰発現の影響を評価することができる。
アンチセンスRNA、リボザイム及びdsRNAiテクノロジーは、典型的には遺伝子のRNA転写産物、通常はmRNAを標的とする。アンチセンスRNAテクノロジーは、特定mRNA内に認められる配列に相補的又はアンチセンスであるRNA分子(又はRNA誘導体)を細胞において発現させること又は細胞に導入することを含む。mRNAと結合することにより、アンチセンスRNAは、コードされる遺伝子産物の翻訳を阻害することができる。同様に、リボザイムは、触媒ドメイン及び特定mRNAに相補的な配列の両方をRNAである。リボザイムは、mRNAと結合すること(リボザイムの相補的ドメインを通して)及び触媒ドメインを用いてメッセージを切断する(分解する)ことによって機能する。
RNA干渉(RNAi)は、特異的mRNAの定常状態レベルが、標的遺伝子自体の新規転写の速度の変化を伴わずに、転写され、通常は完全にプロセシングされたmRNAの配列特異的分解によって低下する、転写後遺伝子沈黙化(PTGS)調節工程を含む。RNAi手法は、例えばElibashirら、Methods Enzymol.26:199(2002);McManusとSharp,Nature Rev.Genetics 3:737(2002);国際公開広報第WO01/75164号;マルチネスら、Cell 110:563(2002);Elbashirら、前出;Lagos−Quintanaら、Curr.Biol. 12:735(2002);Tuschlら、Nat.Biotechnnol. 20:446(2002);Tuschl,Chembiochem. 2:239(2001);Harborthら、J.Cell Sci. 114:4557(2001);EMBO J.20:6877(2001);Lagos−Quintanaら、Science 294:8538(2001);Hutvagnerら、loc cit, 834;Elbashirら、Nature 411:494(2001)の中で論じられている。
RNAi手法は、「ダイサー(dicer)」と呼ばれるエンドヌクレアーゼによって創造される小さな干渉性二本鎖RNA分子(siRNA)が、「RNA誘導性沈黙化複合体」又はRISCと呼ばれる標的遺伝子コードmRNAとの複合体を形成する、見かけ上全細胞において機能する調節機構を利用する。標的される相同mRNAは、その後分解される。配列特異的mRNA分解のメディエイターは、より長いdsRNAからのリボヌクレアーゼIII開裂によって生成される21〜23ヌクレオチドの小さな干渉性RNA(siRNA)である。21ヌクレオチドsiRNA二本鎖は、非特異的インターフェロン応答の活性化を伴わずに哺乳動物体細胞における特異的遺伝子沈黙化の引き金を引く。
本発明の1つの実施形態では、1又はそれ以上の標的遺伝子が虚血性心疾患の発症及び進行に関与するかどうかを試験するためにRNAi手法を使用する(実施例2参照)。この方法は、前記で論じたような心機能の指標を標的遺伝子の発現と結びつける。
mRNA及びタンパク質発現の阻害は、INVITROGEN LIFE TECHNOLOGIES BLOCK−IT(商標)DICER RNAI KITS、Invitrogen Manual Catalog No. K3600-01K3650-01、バージョンA、2003年7月29日(25−0662)、p.1−37又はTuschlら、Chembiochem.2:239(2002)に述べられているRNAi法によって促進される。好ましい実施形態では、RNAiアッセイを、何らかの哺乳動物、しかし好ましくはヒト、イヌ、ラット、マウス又はモルモットから得た心筋、単離小柱又は乳頭筋において実施する。細胞又は組織を、当技術分野で公知の何らかの適切な方法、例えばリポフェクション又はアデノウイルス感染、を用いて、標的特異的siRNAでトランスフェクトすることができる。前記標的は、その発現レベルが潜在的治療化合物によって影響される、配列番号1〜98のサブセットのいずれかと定義される。好ましい実施形態では、Ca2+トランジェントアッセイを用いて心筋の生理的状態へのRNAiの作用を評価する。
III.心臓治療化合物
本発明はまた、標的遺伝子の発現又は標的遺伝子産物の生物活性に影響を及ぼすことができる化合物を対象とする。それぞれ、前述した方法によって標的遺伝子又は遺伝子産物の発現又は活性を調節することができると特定され、治療上機能性であると確認された化合物は、治療適用において被験者に投与し得る。これに関して、標的遺伝子の発現又は遺伝子産物の活性を調節する上で有効な量の本発明の化合物を投与することは、治療適用である。
本発明によって同定される治療化合物は、単独で又は、βアドレナリンレセプター拮抗物質、内皮細胞レセプター拮抗物質、カルシウムチャネル拮抗物質、ホスホジエステラーゼ阻害因子及び/又はアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害因子を含むがこれらに限定されない他の薬剤治療と組み合わせて投与することができる。
本発明によって同定される医薬組成物は、ペプチド、小分子、巨大分子、天然産物、抗体又はアンチセンスオリゴヌクレオチドでありうるが、これらに限定されない。
被験者への投与は、当分野において公知の何らかの適切な方法で実施できる。本発明の医薬組成物は、注射用組成物の形態で、又は薬剤投与の何らかの経路(例えば経口、直腸、非経口(静脈内、筋肉内又は皮下)、槽内、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏又は点滴剤)のための周知の組成物に製剤して、又は口腔又は鼻スプレーとして投与することができる。そのような目的のための典型的組成物は、例えばREMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES,第15版、Easton:Mack Publishing Co.p.1405−1412及び1461−1487(1975)及び国民医薬品集、第14版、Washington:American Pharmaceutical Association(1975)に述べられているような塩、防腐剤、緩衝液等を含む例えば水溶液、非毒性賦形剤のような、製薬上許容される担体を含む。
これに関する非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油及び注射用有機エステル、例えばエチルオレエート、である。水性担体は、水、アルコール/水溶液、塩類溶液、非経口賦形剤、例えば塩化ナトリウム、リンガー液、デキストロース等を含む。静脈内賦形剤は、液体及び栄養補充剤を含む。防腐剤は、抗菌薬、抗酸化薬、キレート化剤及び不活性ガスを含む。医薬組成物の様々な成分のpH及び正確な濃度は、この分野における常用慣例に従って調整される。GOODMAN AND GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS FOR THERAPEUTICS,第7版参照。
以下の実施例は本発明を例示するために提供するものである。しかし、本発明がこれらの実施例の中で述べる特定条件又は詳細に限定されないことは了解されるべきである。
転写の確認
潜在的治療化合物の結果としての遺伝子発現の変化を確認するための広汎な確認プロトコールを使用する。リアルタイムの定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(Q−RTPCR)を用いて、発現プロフィールの確認を液相において実施する。GeneExpress(登録商標)分析によるAffymetrix U133マイクロアレイデータの確認品質は高い信頼度を明らかにするが、プローブ特徴の多くは、選択的スプライシング変異及び/又は多数のポリアデニル化部位のような一部の重要な生物学的問題を考慮することができない。Q−RTPCRは、インビトロ機能確認モデル系の処理によって誘導されるゲノム化学的変化を評価するための半自動化アプローチを提供し、それによって生物学的経路における変化を同定し、マッピングする決定的な方法を確立する。
配列特異的プローブ領域を、各々の標的遺伝子についてコード及び3’UTR内に規定する。配列特異的プローブ領域を用いてTaqMan(登録商標)プローブを設計する。プローブは、典型的には60〜100ヌクレオチドの長さである。3回のQ−RTPCRを容易にするために各々の標的遺伝子についてのプライマー対を使用する。
ロボットステーションをApplied Biosystems(Foster City,CA)からのABI 7900 Prism PCR装置に接続する。ABI 7900 Prismは384穴試料方式の内蔵熱サイクラーを有する。以下の蛍光染料がレポーター蛍光基として使用できる:励起波長494nm及び発光波長525nmを有する6−FAM(PE Biosystems)、励起波長521nm及び発光波長536nmを有するTET(PE Biosystems)、励起波長535nm及び発光波長556nmを有するHEX(PE Biosystems)、励起波長643nm及び発光波長667nmを有するCy5(Amersham Pharmacia Biotech)、励起波長535nm及び発光波長552nm及び発光波長570nmを有するCy3(Amersham Pharmacia Biotech)。
転写確認についてのデータの解析
この実施例では、GeneExpress(登録商標)ソフトウェアシステム倍変化解析ツールを使用して、正常(非不全)心臓と比べて疾患心筋において少なくとも1.5倍上または下方向に発現される遺伝子を同定する。各遺伝子フラグメントに関して、正常(非不全)心臓組織と比較した疾患心筋における発現強度の幾何学的平均の比率を算定し、次にフラグメント当りのベースで倍変化を算定する。信頼限界は、強度の対数の平均の差に対するウェルチ修正両側t検定を用いて算定する。
GeneExpress(登録商標)は、「Gene Logic正規化」方法論をサポートする。この正規化手法のためのアルゴリズムは、単一チップ実験からの発現強度値が、小または大いずれの発現値を考慮するかによって異なる分布を有するという所見に基づく。大部分がノイズであると想定される小さい値は、平均零でほぼ正規分布するが、大きい値は、対数正規分布におおよそ従う。換言すると、それらの対数はほぼ非ゼロ平均で正規分布する。
Affymetrix正規化は、一実験における全ての発現値に同一スケールファクタを適用するが、Gene Logic正規化は、非発現体(小さい値)および発現体(大きい値)に対し、別個のスケールファクタを算定する。アルゴリズムへの入力は、刈り込み平均を100に等しく設定するようにすでにスケーリングされたAffymetrix正規化平均差値である。アルゴリズムは、非発現体に由来すると想定される、負の値の標準偏差SDnoiseを算定する。次いで、全ての負の値のみならず2.0SDnoise未満の全ての正の値にも、1/SDnoiseに比例するスケールファクタを乗算する。2.0SDnoiseを超える値は発現体に由来すると想定される。これらの値に対し、対数の標準偏差SDlog(シグナル)を算定する。次に、対数に1/SDlog(シグナル)に比例するスケールファクターを乗算し、ベキ乗する。生じた数値に、2.0SDnoiseのどちら側でも、非スケーリング値からの正規化値に不連続性が生じないように選択した別のスケールファクタを乗算する。
検出p値
Affymetrix MASバージョン5.0ソフトウェアの絶対発現解析は、絶対判定および絶対発現強度に加えて、検出p値の概念を導入する。アレイにセットされた各プローブに対し、この解析は、絶対発現の決定に関連するこれらの3つの尺度を生成する。検出p値は、ユーザ指定試料セット全体の多数の測定に基づく倍変化およびコントラスト解析アルゴリズムの一部として生成されるp値と混同してはならない。これらの解析p値は、Gene Logic発現データベースにおける多数の観測結果の統計力を反映し、多くの条件における特定の転写物の発現の差に対し有意の推定値をもたらす。検出p値は、単離された個々の転写物の一回の測定に依存するので、それらはその一つの特定の標本のみに関する情報を提供するが、倍変化およびコントラスト解析のp値は、多くの試料全体の傾向およびパターンに関する情報を与える。検出p値は、個々のプローブ対測定に対し統計的検定を実行することによって、絶対判定の有意性を測定する。これらのp値は、算出されたp値を閾値と比較することによって絶対判定を決定するために使用される。検出p値が0.04未満である場合には、遺伝子が存在すると判定される。検出p値が0.04から0.06の間である場合には、n番目の遺伝子は限界であると判定され、検出p値が0.06を超える場合、遺伝子は不在であると判定される。
正規化
正規化は、様々なGeneChip実験からの発現データの正確な比較に役立つ。正規化のプロセスは、試料の作成、ハイブリダイゼーション条件、染色、または様々なロットのアレイの使用における相違のため、システムに導入されるばらつき効果を軽減する。GeneExpress(登録商標)2000は次の5種類の正規化方法、つまり1)Affymetrix正規化、MAS 4.0、2)Affymetrix正規化、MAS 5.0、3)Gene Logic正規化、4)MAS 4.0用の標準曲線またはスパイクイン正規化、およびMAS 5.0用の標準曲線をサポートする。.
Affymetrix正規化は、チップの全体的強度がスケールファクタに影響を及ぼす、グローバルスケーリング法である。チップの全ての発現強度値の上位2%および下位2%は廃棄され、残りの96%の値を使用して「刈り込み平均」が算出される。次いで、この調整された平均を使用して、スケールファクタ(SF)が算出され(SF=100/刈り込み平均)、この単一のスケールファクタが、所定のチップ上の全てのフラグメントの発現値に適用されて、正規化平均差値(平均差)が生成される。
正規化は、Affymetrix正規化方法によって生成された正規化平均差値を入力として使用するが、それらを2つの相異なる群に分割する。負の値をはじめとする小さい発現強度は非発現体とみなされ、それらの平均差はほぼ平均零で正規分布する。より大きい強度値は、試料で実際に発現する遺伝子の発現レベルを反映する。これらの発現体の正規化平均差は、零より大きいおおよその平均を中心に対数正規分布する。最小発現値に対しては、非発現体が20の公称値にスケーリングされるように、標準偏差が算出される。発現体とは、非発現体の標準偏差の2倍を超える、つまり40を超える強度値を持つフラグメントである。標準偏差はスケールファクタを算出するために使用される。最後に、非発現体の場合には平均差を、発現体の場合には平均差の自然対数をスケールファクタに乗算することによって、この方法からの正規化発現値が算出される。
標準曲線を使用する正規化またはスパイクイン正規化は、チップからのオリジナル発現強度値を所定の試料で発現する各遺伝子のmRNAの実際の濃度に関連付ける方法である。これは、ハイブリダイゼーションミックス内に既知濃度の多数のバクテリア遺伝子フラグメントをスパイクすることによって達成される。次いで既知のフラグメントの濃度(pM)が、非スケーリング平均差値に対してプロットされ、線形回帰線が描かれる。次いで、この線の勾配を使用して、平均差値が濃度(pM)に変換される。この正規化方法を使用するためには、試料セット内の全てのチップがこれらのバクテリア遺伝子をスパイクしなければならないことに注意することが重要である。
MAS 5.0と呼ばれる新しい統計アルゴリズムは、マイクロアレイ実験からのデータの分布をより正確に反映させるために、Affymetrixによって設計された。発現値は、単一転写物を表わすプローブセット内の各プローブ対のハイブリダイゼーション強度に基づいて算出される。これらの強度測定値は定量的方法および定性的方法の両方で表現される。MAS 5.0の場合、定量的測定値は、従前の経験的アルゴリズム(MAS 4.0およびそれ以前のバージョン)における平均差とは対照的に、所定の転写物の相対存在量であるシグナルとして与えられる。定性的測定値は絶対判定と呼ばれ、今は検出として記述される。検出は存在、不在、または限界判定として評価され続ける。この検出測定に関連して、統計的有意性の指標つまり検出p値がある。これらの値は、検出判定の信頼性を反映し、検出判定の統計的有意性のより明確な決定をユーザにもたらす。MAS 5.0アルゴリズムはまた、検出p値に関連する上下信頼区間をも算出する。
シグナルの説明
各プローブ対に対して算出される定量的計量であるシグナルは、所定の転移物の発現のレベルを表わす。それは、外れ値に対して比較的鈍感な加重平均を返す、テューキーの1段階バイウェイト推定として知られる、標準的統計技術を使用して算出される。この計算において、プローブ対のミスマッチ(MM)が漂遊シグナルのバックグラウンドハイブリダイゼーションの推定量として使用される。このバックグラウンド測定は、MMのハイブリダイゼーション強度をPMに関連付けて、各プローブ対の推定バックグラウンドを生成し、かつシグナル値が零より大きくなり、転写物の発現レベルをより正確に表現することを確実にする、多数の厳格な規則に従って行われる。プローブ対の実際の信号は、MMを特異性対照として使用し、次式に見られるように、そのハイブリダイゼーション強度を対応する完全マッチ(PM)のハイブリダイゼーション強度と比較することによって、決定される。
シグナル=logPM−推定漂遊シグナル
次いで各プローブは、そのプローブ対のPMとMMとの間で強度差がどれだけ明確に異なるかによって、加重を割り当てられる。しかし、経験的アルゴリズムとは異なり、統計的アルゴリズムでは、全てのプローブ対がシグナルの決定に対し同等の影響を持つわけではない。プローブ対は、それがプローブセットのシグナル中央値に近い場合、全体シグナル計算でより大きい加重を持つ。任意の所定のプローブセットに対しユーザが見るシグナル値は、これらの加重強度値の平均である。
検出および検出p値
検出は存在、不在または限界と測定される。特定のプローブ対の強度は、これらの検出判定およびそれらの関連p値を生成するために使用される。プローブセット内の各々の個別プローブ対は、その転写物の検出判定に影響する。この影響つまり「票」は明瞭度Rと呼ばれ、各プローブ対がその意図された標的を検出する能力の尺度である。さらに詳しくは、明瞭度は、プローブ対の全体強度に対するPMとMMとの間のハイブリダイゼーション強度の相違を評価する。
R=(PM−MM)/(PM+MM)
次いで標的特異的強度(R)が予め定められた閾値tauと比較され、プローブ対が存在または不在のどちらを採択するかが決定される。
R>tauの場合、プローブ対は存在を採択する。
R<tauの場合、プローブ対は不在を採択する。
個々のプローブ対の票の和は、閾値tauからのRの距離に基づいて各プローブ対に順位を割り当てる、ウィルコクソンの片側符号付順位検定を使用して、検出p値を決定する。各検出判定に関連付けられるこのp値は、転写物が確実に検出されるか、それとも検出されないかを示し、検出される場合には存在と判定され、検出されない場合には不在と判定される。関連p値のどのような計算の場合とも同様に、検出p値が低ければ低いほど、ユーザが存在の判定に持つ信頼性が高い。逆に、一般的に不在の判定に関連付けられる高いp値は、転写物がその試料に実際に存在しないという統計的に有意の信頼性を示す。
機能確認−RNA阻害
この実施例では、Tuschlら、前出に述べられているRNAi法を使用して、潜在的治療化合物の転写確認の間に変化すると特定された遺伝子の発現を阻害する。
ヒト又はラット左心室からの心筋細胞又は単離小柱又は単離乳頭筋を、リポフェクション又はアデノウイルス感染によって標的特異的siRNAでトランスフェクトする。リポフェクションの場合は、グリーン蛍光タンパク質(GFP)の転写を推進するサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを含むプラスミドの導入によって効率を測定する。蛍光イメージングを用いてGFPを発現する筋細胞の数を定量する。全タンパク質ng当りのGFPの定量は、トランスフェクトした筋細胞の無細胞抽出物を調製し、その後連続希釈することによって確認される。抽出物を、395nm光による励起後の蛍光放出レベルを定量することによって分析し、GFP標準に対して正規化する。
siRNAでトランスフェクト心筋細胞の機能分析は、mRNA及び/又はタンパク質合成の阻害を判定することによって及びCa2+トランジェントアッセイを通して心筋細胞の生理的状態へのRNAiの作用を測定することによって実施される。常套的に成体及び/又は新生児ラット心臓から採取される心筋細胞を、96穴方式で培養する。標的特異的siRNAで3回トランスフェクトした細胞を抽出して、全RNA及びタンパク質を単離する。その後、Q−RTPCR分析によってmRNAのレベルを測定する。タンパク質定量は、二次元ゲル電気泳動と、それに続く標的タンパク質特異的モノクローナル又はポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロット分析によって実施する。
このアプローチは、カルシウムホメオスタシスを調節する標的を同定し、3つの鍵となる生物学的レベル、すなわち心筋細胞機能に不可欠の転写/転写後、翻訳後及び生理的過程からの導かれるデータを統合する。それに加えて、各々の実験のプロセシングを通して平行してこれらのデータの獲得を促進する。
機能確認−ヒト心不全の治療における標的遺伝子への生理的機能の指向性の評価
この実施例は、インビトロ及びインビボでの標的遺伝子の確認のために心不全のウサギモデルを使用する。以前にシャノンら、Circ.Res.93:592(2003)に述べられているように心不全はウサギにおいて模倣される。配列番号1〜98によってコードされるRNAに対するsiRNA分子を、公的ドメイン(GenBank)から既知のウサギホモログの配列を得ることによって、又はウサギ心筋RNAから相当遺伝子配列を生成することによって合成する。
予備確認である、収縮性及びCa2+トランジェントへのインビトロノックアウトの作用の短期的評価では、非不全又は不全左心室から単離した心筋細胞を、新たに導入したpLenti6/BLOCK−IT−DESTレンチウイルスベクター系を用いてRNAi遺伝子導入に供する。INVITROGEN LIFE TECHNOLOGIES BLOCK−IT(商標)DICER RNAI KITS、Invitrogen Manual Catalog No. K3600-01K3650-01、バージョンA、2003年7月29日(25−0662)、p.1−37参照。
siRNA構築物による筋細胞の感染を、Invitrogen Manual Catalog、同上、に述べられているように実施する。先に述べられているようにIonOptix Sarclensシステムを使用してトランジェント分析を実施する。レンとウォルド、Biol.Proceed.Online.3:43−53(2001)。
インビボでのRNAiを介した遺伝子ノックアウトの作用を評価するために、対象とするsiRNAを含むアデノウイルス構築物を作製し、ウサギ心臓の左心室への遺伝子導入を、Tevaearaiら、Circulation 106:124(2002)に述べられているように実施する。ミラーカテーテル及び心エコー図によって評価した心筋細胞肥大を用いて心拍出量データの生理的特性決定がインビボで獲得される。Thakralら、J.Appl.Physiol.89:1159(2000)、モランら、Herz.28:52(2003)参照。
【配列表】

Claims (74)

  1. 細胞又は組織を含む試料を潜在的治療化合物と接触させること;
    配列番号1〜98及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される核酸によってコードされる産物をコードする遺伝子の発現のレベルを検出すること;
    前記遺伝子の発現レベルを前記化合物の不在下での前記遺伝子の発現レベルと比較すること;及び
    潜在的治療化合物が前記遺伝子の発現レベルに影響を及ぼす場合、その潜在的治療化合物を心臓治療製剤としての使用に適すると同定すること
    を特徴とする、心臓治療製剤のための潜在的治療化合物をスクリーニングする方法。
  2. 前記産物がDNA、RNA及びタンパク質から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記DNAがcDNAである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記RNAがmRNAである、請求項2に記載の方法。
  5. 前記産物がタンパク質である、請求項2に記載の方法。
  6. 前記産物が検出可能な標識で標識されている、請求項1に記載の方法。
  7. 前記検出可能な標識が蛍光標識又は放射性標識である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記検出工程が、核酸ハイブリダイゼーション手法、PCR手法及びタンパク質検出手法から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
  9. 前記核酸ハイブリダイゼーション手法が固形支持体上で実施される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記固形支持体が2又はそれ以上のオリゴヌクレオチドプローブを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記固形支持体が、2、10、100、1000、10000、100000又は400000のオリゴヌクレオチド特徴を含む、請求項10に記載の方法。
  12. オリゴヌクレオチドプローブが、約5〜約45、約15〜約40、約5〜約500及び約60〜約100から成る群より選択される、請求項10に記載の方法。
  13. 前記固形支持体が1又はそれ以上の対照プローブをさらに含み、前記対照プローブが正規化対照プローブ及び発現レベル対照プローブから成る群より選択される、請求項10に記載の方法。
  14. 前記2又はそれ以上のオリゴヌクレオチドプローブが、配列番号1〜98及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される核酸によってコードされる産物の1つにハイブリダイズすることができる、請求項10に記載の方法。
  15. 前記2又はそれ以上のオリゴヌクレオチドプローブの少なくとも1つが、配列番号1〜98から成る群より選択される核酸配列を含む遺伝子の3’非翻訳領域にハイブリダイズする、請求項10に記載の方法。
  16. 前記2又はそれ以上のオリゴヌクレオチドプローブの各々が、配列番号1〜98及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される核酸配列の異なる1つを含む遺伝子によってコードされる産物にハイブリダイズする、請求項10に記載の方法。
  17. 前記2又はそれ以上のオリゴヌクレオチドプローブの少なくとも1つが、配列番号1〜98から成る群より選択される核酸配列を含む遺伝子の3’非翻訳領域に相補的な核酸配列にハイブリダイズする、請求項10に記載の方法。
  18. 前記オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号1〜98の隣接配列のフラグメントである、請求項10に記載の方法。
  19. 前記PCR手法が、RT−PCR、リアルタイムRT−PCR及びQ−RTPCRから成る群より選択される、請求項8に記載の方法。
  20. 前記検出工程を、免疫学的方法、酵素測定法及びプロテオミクス手法から成る群より選択される手法を用いて実施する、請求項5に記載の方法。
  21. (i)配列番号1〜98から成る群より選択される核酸によってコードされる遺伝子産物を含む細胞又は組織あるいは(ii)単離形態の前記遺伝子産物、を含む試料を提供すること;
    前記試料を潜在的治療化合物と接触させること;
    前記潜在的治療化合物の存在下で前記遺伝子産物の生物活性のレベルを測定すること;
    前記遺伝子産物の生物活性のレベルを前記潜在的治療化合物の不在下での前記遺伝子産物の生物活性と比較すること;及び
    前記遺伝子産物の生物活性が潜在的治療化合物の存在によって調節される場合、その潜在的治療化合物を心臓治療製剤としての使用に適すると同定すること
    を特徴とする、心臓治療製剤のための潜在的治療化合物をスクリーニングする方法。
  22. 前記産物がタンパク質である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記生物活性が、キナーゼ活性、ホスファターゼ活性、アデニレートシクラーゼ活性、ATPアーゼ活性、ホスファターゼ活性、Gタンパク質シグナル活性、Gタンパク質シグナル伝達の調節、細胞周期の調節、カルシウムホメオスタシスの調節、Ca2+/カルモジュリン依存性キナーゼ活性、クレアチンキナーゼ活性、Ser/Thrタンパク質キナーゼ活性、Ca2+結合及び貯蔵、システインプロテアーゼ活性の阻害、遺伝子の転写を調節する能力、タンパク質チロシンホスファターゼ活性、MAPキナーゼ活性、サーカディアンリズムの調節、cAMP依存性タンパク質キナーゼ活性、Ca2+−ATPアーゼ活性、ミオシン軽鎖ホスファターゼ活性、グリコーゲン関連タンパク質ホスファターゼ活性、5’−AMP活性化タンパク質キナーゼ活性、セリンプロテアーゼ活性、プレニル化タンパク質チロシンホスファターゼ活性、タンパク質キナーゼC活性、タンパク質キナーゼC依存性リン酸化活性、タンパク質ホスファターゼ1活性、タンパク質ホスファターゼ2活性、細胞外マトリックス合成、細胞形状の変化を引き起こす能力、から成る群より選択される、請求項21に記載の方法。
  24. 前記生物活性が、ホスファターゼ活性、Gタンパク質シグナル伝達の調節及びGタンパク質シグナル活性から成る群より選択される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記生物活性が、アデニレートシクラーゼ7、アデニレートシクラーゼ9、ATPアーゼ(Na/K輸送性、α2(+)ポリペプチド)、ATPアーゼ(Na/K輸送性、α3ポリペプチド)、ATPアーゼ(Ca2+輸送性、心筋(速筋1))、PTH応答性骨肉腫B1タンパク質、BTGファミリー(メンバー2)、カルシウムチャネル(電位依存性、P/Q型、α1Aサブユニット)、カルシウムチャネル(電位依存性、L型、α1Bサブユニット)、カルシウムチャネル(電位依存性、L型、α1Cサブユニット)、カルシウムチャネル(電位依存性、L型、α1Dサブユニット)、カルシウムチャネル(電位依存性、β1サブユニット)、カルシウムチャネル(電位依存性、β2サブユニット)、カルシウムチャネル(電位依存性、β3サブユニット)、カルシウムチャネル(電位依存性、β4サブユニット)、カルシウム/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼキナーゼ2β、カルセケストリン1(速筋、骨格筋)、コア結合因子(ラントドメイン、αサブユニット2;転位、2)、ケモカイン(C−Cモチーフ)レセプター1、クレアチンキナーゼ(ミトコンドリア2(筋節性))、カルメジン、cAMP応答性エレメント結合タンパク質様1(cAMP responsive element binding protein-like 1)(テナシンXB)、cAMP応答性エレメント調節因子、シスタチンA、二重特異性ホスファターゼ1、二重特異性ホスファターゼ5、即時型遺伝子1、FRP(frizzled-related protein)、Gタンパク質共役レセプター65、Gタンパク質共役レセプター88、予測上の骨芽細胞タンパク質、ホメオドメイン相互作用性タンパク質キナーゼ3、カリウム電位依存性チャネル(シェーカー関連サブファミリー、メンバー4)、カリウム電位依存性チャネル(シェーカー関連サブファミリー、βメンバー1)、カリウム電位依存性チャネル(Shal関連サブファミリー、メンバー2)、Kvチャネル相互作用性タンパク質1、Kvチャネル相互作用性タンパク質2、カリウムチャネル(サブファミリーK、メンバー1)、カリウムチャネル(サブファミリーK、メンバー4)、カリウム電位依存性チャネル(KQT様サブファミリー、メンバー1)、ホメオドメイン限定タンパク質(homeodomain only protein)、リソソーム関連マルチスパン膜タンパク質−5、推定上のタンパク質チロシンキナーゼ、Gタンパク質共役レセプターSALPR(ソマトスタチン及びアンジオテンシン様ペプチドレセプター)、筋疾患関連タンパク質、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ活性化タンパク質キナーゼ3、MAPキナーゼ相互作用性セリン/スレオニンキナーゼ2、核内レセプターサブファミリー3(C群、メンバー2)、核内レセプターサブファミリー4(A群、メンバー1)、核内レセプターサブファミリー4(グループA、メンバー2)、核内レセプター相互作用性タンパク質1、プリンレセプターP2Y(Gタンパク質共役、1)、プリンレセプターP2Y(Gタンパク質共役、11)、プリンレセプターP2Y(Gタンパク質共役、2)、ピリミジンレセプターP2Y(Gタンパク質共役、4)、ピリミジンレセプターP2Y(Gタンパク質共役、6)、時計遺伝子(period)ホモログ1(ショウジョウバエ)、ホスホランバン、タンパク質ホスファターゼ1(調節(阻害因子)サブユニット12B)、タンパク質ホスファターゼ1(調節(阻害因子)サブユニット1A)、タンパク質ホスファターゼ1(調節(阻害因子)サブユニット3A(グリコーゲン及び筋小胞体結合サブユニット、骨格筋))、タンパク質キナーゼ(AMP活性化、γ2非触媒サブユニット)、コーリン(corin)、タンパク質チロシンホスファターゼIVA型(メンバー3)、タンパク質チロシンホスファターゼ(非レセプター型3)、タンパク質チロシンホスファターゼ(非レセプター型6)、RAP2B(RAS癌遺伝子ファミリーのメンバー)、RAS(デキサメタゾン誘導性1)、網膜芽細胞種1(骨肉腫を含む)、Gタンパク質共役レセプター、RGC32タンパク質、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子1、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子10、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子11、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子14、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子16、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子17、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子19、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子19相互作用性タンパク質1、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子2(24kD)、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子3、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子4、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子7、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子9、リアノジンレセプター2(心臓)、リアノジンレセプター3、S100カルシウム結合タンパク質A1、ナトリウムチャネル(電位依存性、VI型、αポリペプチド)、ナトリウムチャネル(電位依存性、IX型、αポリペプチド)、ナトリウムチャネル((電位非依存性1α)、分泌FRP1(secreted frizzled−related protein 1))、推定上のGタンパク質共役レセプター、溶質キャリアファミリー8(ナトリウム/カルシウム交換輸送体、メンバー1)、分泌タンパク質(酸性、システインリッチ、(オステオネクチン))、腫瘍発生能の抑制13(結腸癌)(Hsp70相互作用性タンパク質)、STAT誘導性STAT阻害因子−2、転写因子8(インターロイキン2の発現を抑制する)、及びジンクフィンガータンパク質36(C3H型、ホモログ(マウス))から成る群より選択されるタンパク質に帰せられる、請求項23に記載の方法。
  26. 前記タンパク質が、二重特異性ホスファターゼ5、RAS及びGタンパク質シグナル伝達調節因子4から成る群より選択される、請求項25に記載の方法。
  27. 前記核酸が、配列番号6〜7、18〜19、21〜23、25〜26、29〜32、36、42〜45、48〜51、55〜57、62、64〜83、88〜90、92、94〜95及び97〜98及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される、請求項1及び21に記載の方法。
  28. 前記核酸が、配列番号1〜5、7〜9、25〜28、41、45、48〜50、53〜58、68、85〜86、91及び93〜94及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される、請求項1及び21に記載の方法。
  29. 前記核酸が、配列番号7、25、26、45、48〜49、50、55〜57、68、82及び94及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される、請求項1及び21に記載の方法。
  30. 前記核酸が、配列番号7〜9、12、25〜26、41、68及び82及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される、請求項1及び21に記載の方法。
  31. 前記核酸が、配列番号7、25〜26、68及び82及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される、請求項1及び21に記載の方法。
  32. 前記核酸が、配列番号26、68及び82及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される、請求項1及び21に記載の方法。
  33. 前記保存的変異体が、配列番号1〜98との75%、80%、85%、90%又は95%の配列同一性を特徴とする、請求項1及び21に記載の方法。
  34. 前記接触工程をインビトロで実施する、請求項1及び21に記載の方法。
  35. 前記化合物が、ペプチド、小分子、巨大分子、天然産物、抗体及びアンチセンスオリゴヌクレオチドから成る群より選択される、請求項1及び21に記載の方法。
  36. 前記潜在的治療化合物が1pg/ml〜1000mg/mLの濃度で存在する、請求項1及び21に記載の方法。
  37. 前記潜在的治療化合物が、ペプチド、小分子、巨大分子、天然産物、抗体及びアンチセンスオリゴヌクレオチドから成る群より選択される、請求項1及び21に記載の方法。
  38. 前記試料が哺乳類由来である、請求項1及び21に記載の方法。
  39. 前記哺乳類が、ヒト、マウス、ラット、モルモット及びイヌから選択される、請求項38に記載の方法。
  40. 前記哺乳類がヒトである、請求項39に記載の方法。
  41. 前記試料が、心臓組織、心筋細胞、単離小柱及び乳頭筋から成る群より選択される、請求項1及び21に記載の方法。
  42. 遺伝子の機能確認をさらに含む、請求項1及び21に記載の方法。
  43. 前記機能確認が、遺伝子の過剰発現、遺伝子の翻訳の破壊、遺伝子の転写の破壊及び遺伝子によってコードされるポリペプチドの機能の破壊から成る群より選択される手法を特徴とする、請求項42に記載の方法。
  44. 前記遺伝子の過剰発現が、外来的に提供されるDNA構築物を用いて達成され、前記DNA構築物が遺伝子の発現上昇を生じさせることができるプロモーターに作動可能に連結された遺伝子を含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記遺伝子の過剰発現が、ゲノムに存在する遺伝子の発現上昇を生じさせることができる、外来的に提供されるプロモーターを用いて達成される、請求項43に記載の方法。
  46. 前記遺伝子の転写の破壊が、アンチセンスRNA、リボザイム及びdsRNAiから成る群より選択される手法を用いて達成される、請求項43に記載の方法。
  47. 前記遺伝子の破壊がdsRNAiを用いて達成される、請求項46に記載の方法。
  48. 前記機能確認をインビボで実施する、請求項42に記載の方法。
  49. 配列番号1〜98及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される核酸によってコードされる産物をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現又は生物活性に影響を及ぼす化合物を含有する医薬組成物。
  50. 前記産物がDNA、RNA及びタンパク質から成る群より選択される、請求項49に記載の医薬組成物。
  51. 前記核酸が、配列番号6〜7、18〜19、21〜23、25〜26、29〜32、36、42〜45、48〜51、55〜57、62、64〜83、88〜90、92、94〜95及び97〜98及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される、請求項49に記載の医薬組成物。
  52. 前記核酸が、配列番号1〜5、7〜9、25〜28、41、45、48〜50、53〜58、68、85〜86、91及び93〜94及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される、請求項49に記載の医薬組成物。
  53. 前記核酸が、配列番号7、25、26、45、48〜49、50、55〜57、68、82及び94及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される、請求項49に記載の医薬組成物。
  54. 前記核酸が、配列番号7〜9、12、25〜26、41、68及び82及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される、請求項49に記載の医薬組成物。
  55. 前記核酸が、配列番号7、25〜26、68及び82及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される、請求項49に記載の医薬組成物。
  56. 前記核酸が、配列番号26、68及び82及びそれらの保存的変異体から成る群より選択される、請求項49に記載の医薬組成物。
  57. 前記保存的変異体が、配列番号1〜98との75%、80%、85%、90%又は95%の配列同一性を特徴とする、請求項49に記載の医薬組成物。
  58. 前記化合物が、ペプチド、小分子、巨大分子、天然生成物、抗体及びアンチセンスオリゴヌクレオチドから成る群より選択される、請求項49に記載の医薬組成物。
  59. 少なくとも1つのβアドレナリンレセプター拮抗物質、内皮細胞レセプター拮抗物質、カルシウムチャネル拮抗物質、ホスホジエステラーゼ阻害因子又はアンジオテンシン変換酵素阻害因子をさらに含む、請求項49に記載の医薬組成物。
  60. 液体剤型又は固体剤型に製剤された、請求項49に記載の医薬組成物。
  61. 製薬上許容される担体又は賦形剤をさらに含む、請求項49に記載の医薬組成物。
  62. 前記産物がタンパク質である、請求項50に記載の医薬組成物。
  63. 前記生物活性が、キナーゼ活性、ホスファターゼ活性、アデニレートシクラーゼ活性、ATPアーゼ活性、ホスファターゼ活性、Gタンパク質シグナル活性、Gタンパク質シグナル伝達の調節、細胞周期の調節、カルシウムホメオスタシスの調節、Ca2+/カルモジュリン依存性キナーゼ活性、クレアチンキナーゼ活性、Ser/Thrタンパク質キナーゼ活性、Ca2+結合及び貯蔵、システインプロテアーゼ活性の阻害、遺伝子の転写を調節する能力、タンパク質チロシンホスファターゼ活性、MAPキナーゼ活性、サーカディアンリズムの調節、cAMP依存性タンパク質キナーゼ活性、Ca2+−ATPアーゼ活性、ミオシン軽鎖ホスファターゼ活性、グリコーゲン関連タンパク質ホスファターゼ活性、5’−AMP活性化タンパク質キナーゼ活性、セリンプロテアーゼ活性、プレニル化タンパク質チロシンホスファターゼ活性、タンパク質キナーゼC活性、タンパク質キナーゼC依存性リン酸化活性、タンパク質ホスファターゼ1活性、タンパク質ホスファターゼ2活性、細胞外マトリックス合成、細胞形状の変化を引き起こす能力、から成る群より選択される、請求項49に記載の方法。
  64. 前記生物活性が、ホスファターゼ活性、Gタンパク質シグナル伝達の調節及びGタンパク質シグナル活性から成る群より選択される、請求項63に記載の方法。
  65. 前記生物活性が、アデニレートシクラーゼ7、アデニレートシクラーゼ9、ATPアーゼ(Na/K輸送性、α2(+)ポリペプチド)、ATPアーゼ(Na/K輸送性、α3ポリペプチド)、ATPアーゼ(Ca2+輸送性、心筋(速筋1))、PTH応答性骨肉腫B1タンパク質、BTGファミリー(メンバー2)、カルシウムチャネル(電位依存性、P/Q型、α1Aサブユニット)、カルシウムチャネル(電位依存性、L型、α1Bサブユニット)、カルシウムチャネル(電位依存性、L型、α1Cサブユニット)、カルシウムチャネル(電位依存性、L型、α1Dサブユニット)、カルシウムチャネル(電位依存性、β1サブユニット)、カルシウムチャネル(電位依存性、β2サブユニット)、カルシウムチャネル(電位依存性、β3サブユニット)、カルシウムチャネル(電位依存性、β4サブユニット)、カルシウム/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼキナーゼ2β、カルセケストリン1(速筋、骨格筋)、コア結合因子(ラントドメイン、αサブユニット2;転位、2)、ケモカイン(C−Cモチーフ)レセプター1、クレアチンキナーゼ(ミトコンドリア2(筋節性))、カルメジン、cAMP応答性エレメント結合タンパク質様1(テナシンXB)、cAMP応答性エレメント調節因子、シスタチンA、二重特異性ホスファターゼ1、二重特異性ホスファターゼ5、即時型遺伝子1、FRP、Gタンパク質共役レセプター65、Gタンパク質共役レセプター88、予測上の骨芽細胞タンパク質、ホメオドメイン相互作用性タンパク質キナーゼ3、カリウム電位依存性チャネル(シェーカー関連サブファミリー、メンバー4)、カリウム電位依存性チャネル(シェーカー関連サブファミリー、βメンバー1)、カリウム電位依存性チャネル(Shal関連サブファミリー、メンバー2)、Kvチャネル相互作用性タンパク質1、Kvチャネル相互作用性タンパク質2、カリウムチャネル(サブファミリーK、メンバー1)、カリウムチャネル(サブファミリーK、メンバー4)、カリウム電位依存性チャネル(KQT様サブファミリー、メンバー1)、ホメオドメイン限定タンパク質、リソソーム関連マルチスパン膜タンパク質−5、推定上のタンパク質チロシンキナーゼ、Gタンパク質共役レセプターSALPR(ソマトスタチン及びアンジオテンシン様ペプチドレセプター)、筋疾患関連タンパク質、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ活性化タンパク質キナーゼ3、MAPキナーゼ相互作用性セリン/スレオニンキナーゼ2、核内レセプターサブファミリー3(C群、メンバー2)、核内レセプターサブファミリー4(A群、メンバー1)、核内レセプターサブファミリー4(A群、メンバー2)、核内レセプター相互作用性タンパク質1、プリンレセプターP2Y(Gタンパク質共役、1)、プリンレセプターP2Y(Gタンパク質共役、11)、プリンレセプターP2Y(Gタンパク質共役、2)、ピリミジンレセプターP2Y(Gタンパク質共役、4)、ピリミジンレセプターP2Y(Gタンパク質共役、6)、時計遺伝子ホモログ1(ショウジョウバエ)、ホスホランバン、タンパク質ホスファターゼ1(調節(阻害因子)サブユニット12B)、タンパク質ホスファターゼ1(調節(阻害因子)サブユニット1A)、タンパク質ホスファターゼ1(調節(阻害因子)サブユニット3A(グリコーゲン及び筋小胞体結合サブユニット、骨格筋))、タンパク質キナーゼ(AMP活性化、γ2非触媒サブユニット)、コーリン、タンパク質チロシンホスファターゼIVA型(メンバー3)、タンパク質チロシンホスファターゼ(非レセプター型3)、タンパク質チロシンホスファターゼ(非レセプター型6)、RAP2B(RAS癌遺伝子ファミリーのメンバー)、RAS(デキサメタゾン誘導性1)、網膜芽細胞種1(骨肉腫を含む)、Gタンパク質共役レセプターRGC32タンパク質、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子1、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子10、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子11、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子14、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子16、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子17、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子19、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子19相互作用性タンパク質1、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子2(24kD)、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子3、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子4、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子7、Gタンパク質シグナル伝達の調節因子9、リアノジンレセプター2(心臓)、リアノジンレセプター3、S100カルシウム結合タンパク質A1、ナトリウムチャネル(電位依存性、VI型、αポリペプチド)、ナトリウムチャネル(電位依存性、IX型、αポリペプチド)、ナトリウムチャネル(電位非依存性1α)、分泌FRP1、推定上のGタンパク質共役レセプター、溶質キャリアファミリー8(ナトリウム/カルシウム交換輸送体、メンバー1)、分泌タンパク質(酸性、システインリッチ、(オステオネクチン))、腫瘍発生能の抑制13(結腸癌)(Hsp70相互作用性タンパク質)、STAT誘導性STAT阻害因子−2、転写因子8(インターロイキン2の発現を抑制する)、及びジンクフィンガータンパク質36(C3H型、ホモログ(マウス))から成る群より選択されるタンパク質に帰せられる、請求項63に記載の方法。
  66. 前記タンパク質が、二重特異性ホスファターゼ5、RAS及びGタンパク質シグナル伝達調節因子4から成る群より選択される、請求項65に記載の方法。
  67. 前記化合物が、ペプチド、小分子、巨大分子、天然産物、抗体及びアンチセンスオリゴヌクレオチドから成る群より選択される、請求項49に記載の医薬組成物。
  68. 少なくとも1つのβアドレナリンレセプター拮抗物質、内皮細胞レセプター拮抗物質、カルシウムチャネル拮抗物質、ホスホジエステラーゼ阻害因子又はアンジオテンシン変換酵素阻害因子をさらに含む、請求項49に記載の医薬組成物。
  69. 液体剤型又は固体剤型に製剤された、請求項49に記載の医薬組成物。
  70. 製薬上許容される担体又は賦形剤をさらに含む、請求項49に記載の医薬組成物。
  71. 請求項49に記載の医薬組成物の治療有効量を被験者に投与することを特徴とする、その必要のある被験者において心不全を治療する方法。
  72. 前記組成物を、経口、直腸、非経口、クモ膜下槽内、膣内、腹腔内、局所、口腔粘膜及び鼻投与から成る群より選択される投与用に製剤する、請求項71に記載の方法。
  73. 前記組成物が、1又はそれ以上の製薬上許容される賦形剤、担体又はそれらの組合せをさらに含む、請求項71に記載の方法。
  74. βアドレナリンレセプター拮抗物質、内皮細胞レセプター拮抗物質、カルシウムチャネル拮抗物質、ホスホジエステラーゼ阻害因子又はアンジオテンシン変換酵素阻害因子から成る群より選択される1又はそれ以上の活性物質を投与することをさらに特徴とする、請求項71に記載の方法。
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