開示技術の分野
ここに開示する技術は、一般に、欠陥検出方法及びシステムに関し、より詳細には、半導体製造手順において欠陥を検出する方法及びシステムに関する。
開示技術の背景
写真マスク即ちホトマスクは、大規模集積(LSI)半導体回路、超大規模集積(VLSI)半導体回路、又は超々大規模集積(ULSI)半導体回路を製造する製造プロセスに使用される。ウェハの製造は、通常、ウェハ上に異なる層を各々刻印するために複数の異なる写真マスクの使用を必要とする。これらの写真マスクは、全て、多数のウェハを製造するために何回も再使用することができる。一般に、写真マスクには、所定のパターンに基づいてパターンが刻印される。当業者であれば、写真マスクに刻印されるパターンは、所定のパターンと本質的に同一でなければならないことが明らかであろう。写真マスクのパターンが所定のパターンからずれると、欠陥が生じて、写真マスクが欠陥品になってしまう。欠陥品の写真マスクを使用すると、製造されたウェハも欠陥品になってしまうことに注意されたい。
従って、このような欠陥を検出することが重要である。欠陥が見つかったときには、写真マスクを破棄するか、又は欠陥を分析して、修理できるかどうか決定する。それ故、検査システムは、「偽の欠陥」を宣言(即ち、欠陥のない写真マスクに対して欠陥を宣言)してはならないことも重要である。
半導体チップは、構造的に益々複雑で且つ凝縮されたものになると共に、サイズ的に小型になってきており、従って、益々欠陥が生じる傾向にある。欠陥を検出する従来の方法は、しばしば多数の異なるテスト手順を含む。
ホトマスクの欠陥は、ホール(「ピンホール」)、「クラック」、スポット等の形態をとり得る。これらの欠陥は、製造中、取り扱い中又は運搬中にマスクに導入される。従って、製造後及び更には日常的にマスクの欠陥を検査しなければならない。
集積回路写真マスク検査方法は、一般に、ダイ対ダイ方法と、ダイ対データベース方法とに分割することができる。ダイ対ダイの検査では、同一であると想定される写真マスク(ダイパターン)の2つの部分が比較され、それらの間の著しい相違は、ダイパターンの一方に欠陥のおそれがあることを指示する。この検査は、同じ欠陥が両方のダイに現われる確率が非常に低いという仮定に基づいている。欠陥が見つかったときには、第3のダイパターンとの比較で、元の2つのダイパターンのどちらに欠陥があるか指示することができる。
ダイ対データベースの方法では、適切な(欠陥のない)写真マスクを表わす像がデータベースに記憶される。データベースの像と、写真マスクダイパターンの実際の像とが比較され、それらの間に著しい相違があると、おそらく欠陥があることを指示する。
ミナミ氏等の「Apparatus for Detecting the Defects of the Mask Pattern Using Spatial Filtering」と題する米国特許第3,972,616号は、ダイ対データベースの欠陥検査装置に関する。この開示された装置において、検査中の写真マスクの一部分を、各々異なるカラーのコヒレントな光源及びインコヒレントな光源により同時に照射する。像は、空間フィルタに通され、スクリーンに投影される。空間フィルタは、適切な写真マスクパターンのフーリエスペクトルに対応する。このフィルタは、コヒレント光の波長の光しかフィルタしない波長選択性を有する。従って、このフィルタは、コヒレントな光源のカラーで欠陥をスクリーンに表示させる。その波長選択性のために、フィルタは、インコヒレントな光源からの光をほとんど通過させる。従って、写真マスクの一部分の像全体がインコヒレント光のカラーで表示される。欠陥を1つのカラーで且つマスクの全部分を別のカラーでこのように同時に表示することで、写真マスクの欠陥を位置決めすることができる。
ヨシワラ氏の「Apparatus for Inspecting a Circuit Pattern Drawn on a PhotomaskUsed in Manufacturing Large Scale Integrated Circuits」と題する米国特許第4,559,603号は、ダイ対データベースの写真マスク検査装置に関する。ホトマスクに描かれた回路がX−Yテーブルにのせられ、照射される。線型像センサが、写真マスクを経て透過された光を測定し、アナログ測定信号を発生する。これらの信号は、多レベルグレー像を表わすデジタル信号に変換される。同時に、レーザ干渉計型測定システムが、写真マスクに対するテーブルの位置を正確に監視する。像センサは、基準クロックを使用してテーブル位置測定と同期される。テーブル位置座標を使用して基準像が発生される。これらの座標は一般に整数個のピクセルではないので、基準像は、所定の関数での畳み込みにより適宜シフトされる。基準データと、像センサからの実際の像データとが比較され、欠陥が報告される。
レビー氏等の「Photomask Inspection Apparatus and Method with Improved Defect Detection」と題する米国特許第4,579,455号は、ホトマスクのダイ対ダイ検査を実行する方法及び装置に関する。2つのダイパターンを検査して、それらの間の相違を明らかにする。2つのデジタル化像センサ及び2つのメモリを使用して、写真マスクの2つのダイパターンのピクセル表示が発生される。所与の瞬間に、各メモリは、検査されたダイの7x7ピクセル部分のピクセル表示を含む。欠陥検出器は、2つの表示が一致するかどうか決定する。欠陥検出器は、検査された部分の考えられる異なる整列をチェックすることにより、2ピクセルまでのダイの不整列を捕える。検査された考えられる整列がいずれも一致を生じない場合には、システムは、1つのダイパターンの対応位置に欠陥があると宣言する。
M.チェン氏等の「Anomaly Detection through Registration」と題する論文は、生物の検査器官の医療像の登録を実行する方法に関する。チェン氏は、脳の異常を検出する方法を述べている。この方法は、正常な脳は、その中心線に対して本質的に対称的であるという事実を利用するものである。検査プロセスは、脳の像と、中心線に対してひっくり返した同じ像との間の登録を含む。この登録(位置合わせ)プロセスは、像を一致させるように一方の像のピクセル(画素)を変形させることを含む。従って、脳の像と、ひっくり返した脳の像との間の登録で著しいピクセル変形が生じる場合には、検査された脳に異常があるという結論になる。
開示技術の概要
ここに開示する技術の目的は、従来技術の欠点を克服して、像の不規則性を検出する新規な方法及びシステムを提供することである。従って、ここに開示する技術によれば、像の不規則性を検出する方法が提供される。この方法は、像内の理論的に対称的な素子を識別する手順と、その理論的に対称的な素子をそれらの理論的対称性に基づいて分析する手順と、理論的対称性からの偏差に基づいて欠陥の存在を決定する手順とを備えている。
ここに開示する技術は、添付図面を参照した以下の詳細な説明から完全に理解され、明らかとなろう。
実施形態の詳細な説明
以下の説明では、次の用語を使用する。
・オブジェクト像 − 物理的オブジェクトを表わす像。このようなオブジェクトは、マスク、ダイ、ファブリック等である。
・データベース像 − データベースに記憶された像。データベース像は、コンピュータ化されたデザインツールにより仮想的に発生することもできるし、又はカメラやスキャナ等のソースから取得することもできる。
・像素子 − 像の他のエリアから区別できる像の一部分。
・欠陥 − 像素子又は冗長像素子或いはその一部分の欠落部分。
・領域 − 像の任意の部分。
・窓 − その中の特性を検出するために特に選択された領域。以下の説明に関連した図面中では、窓は、破線で示される。
・ピクセル − 像の基本的視覚単位である画素。
・操作 − 像又は領域に対して行なわれる数学的又は物理的動作、例えば、回転、ひっくり返し、拡大等、又はそれらの組み合わせ。
・操作された像(又は領域)の形態 − 既存の像を操作することで形成された像。
・対称性テスト窓 − 対称特性又は対称特性からの偏差を検出するために特に選択された窓。
・対称的類似性 − 所定の1組の操作又はその組み合わせから選択された対称性指向の操作及び少なくとも1つの任意の操作により一方の像を他方の像から形成することのできる2つの像の特性。
・理論的に対称的な窓 − 欠陥が存在しないと仮定すると、各データベース像窓と同じ対称特性を示すと予想される窓。
・理論的に対称的な類似窓 − 欠陥が存在しないと仮定すると、対称的類似性を示すと予想される窓。
・理論的に同一の窓 − 欠陥が存在しないと仮定すると、同一であると予想される窓。
・登録 − 第1像(又は領域)の各部分を第2像の各部分に関連付けて、相関関数を決定するプロセス。このような登録プロセスは、「第1像を第2像と登録(位置合わせ)する」と称されてもよい。
・軸方向対称性 − 対称線により2つの側部に分割することができ、像の片側が他側の鏡像であるような像(又は領域)の特性。
・回転対称性 − 像の少なくとも一部分を軸の周りで回転し、像の少なくとも別の部分と同一にすることのできる像(又は領域)の特性。この軸は、回転軸と称され、像を回転する角度は、回転角と称される。
・軸方向回転対称性 − 像の少なくとも一部分を回転及びひっくり返して、像の少なくとも別の部分と同一にすることのできる像(又は領域)の特性。
以下の説明及びその関連図面において、窓、区分、領域及び対称線は、説明の目的で図示されたものに過ぎず、実際の像には現われない。
参照番号100で一般的に示されたデータベース像の概略図である図1を参照して以下に説明する。このデータベース像100は、写真マスク又はダイに刻印されるべき所定の回路パターンを表わす。図1及びそれに続く幾つかの図において、斜線エリアは、非ゼロ強度の領域を示し、ブランクエリアは、ゼロ又はほぼゼロ強度の領域を示す。データベース像100は、異なる位置に分配されたデータベース像素子102、104及び106を含む。
データベース像素子102は、長方形の窓110で包囲され、垂直の対称線112で分割されている。データベース像素子102及び窓110は、両方とも、対称線112に対して対称的である。対称線112は、窓110を左窓区分120及び右窓区分122に分割する。左窓区分120及び右窓区分122は面積が等しい。
参照番号130で一般的に示された検査オブジェクト像の概略図である図2を参照して更に説明する。このオブジェクト像130は、データベース像110でも表わされた写真マスク、レチクルダイ、ファブリック、印刷材料等を表わすことができる。或いは又、オブジェクト像130は、データベース像110の複写であってもよい。オブジェクト像130は、オブジェクト像素子132、134及び136を含む。図1のデータベース像素子102、104及び106は、データベース像100(図1)においてオブジェクト像素子132、134及び136を各々表わす。オブジェクト像130は、更に、オブジェクト像素子132に接近して位置する欠陥138も含む。
半導体チップの製造に使用される写真マスクのようなオブジェクト像における欠陥は、ホール(「ピンホール」)、「クラック」、スポット等の形態をとり得る。これら欠陥は、製造中、取り扱い中又は運搬中にこのようなマスクに導入される。従って、製造後及び更には日常的にマスクの欠陥を検査しなければならない。ここに開示する技術の1つの態様によれば、マスクは、そのオブジェクト像を調べることで検査される。
オブジェクト像素子132及び欠陥138は、長方形の窓140により包囲される。垂直の対称線142は、窓140を左窓区分144及び右窓区分146に分割する。左窓区分144及び右窓区分146は、面積が等しい。オブジェクト像素子132は、対称線142に対して対称的である。対称線142は、オブジェクト像素子132を左素子部分148及び右素子部分150に分割する。欠陥138は、右窓区分146に位置している。
データベース像100(図1)の窓110は、オブジェクト像130の窓140に関連している。従って、窓140のサイズ及び位置は、データベース像100(図1)の窓110から導出されてもよい。窓110は、対称線112に対して対称的であるから、窓140も、欠陥が存在しないと仮定すれば、対称線142に対して対称的でなければならない。
更に、図3A、図3B及び図3Cも参照する。図3Aは、左素子部分148を含む左窓区分144(図2)の概略図である。図3Bは、ここに開示する技術の実施形態に基づき構成された、右窓区分146(図2)をひっくり返した形態である参照番号146Fで一般的に示すひっくり返し像の概略図である。図3Cは、ここに開示する技術の別の実施形態に基づき構成された、参照番号160で一般的に示す差の像の概略図である。
図3Bを参照すれば、ひっくり返し像146Fは、右窓区分146を水平方向にひっくり返し、即ち軸142の周りで反転することにより形成される。ひっくり返し像146Fは、ひっくり返された右素子部分150F及びひっくり返された欠陥138Fを含む。ひっくり返された右素子部分150F及びひっくり返された欠陥138Fは、右素子部分150及び欠陥138(図2)を各々水平方向にひっくり返した形態である。
ここに開示する技術に基づく欠陥検出手順は、操作(即ち、ひっくり返し、回転、拡大等)を、コンピュータ化されたやり方で数学的に実行することに注意されたい。従って、検出手順は、実際に操作された像を発生するのではなく、計算操作された像を発生する。或いは又、検出手順は、操作関数を介して、操作されるべき像にアクセスすることもできる(例えば、水平方向のひっくり返しは、f(x、y)=(−x、y)で表わされ、ここで、(x、y)は、ひっくり返されるべき像における各ポイントの座標を定義し、Y軸が対称線を定義する)。例えば、この手順は、右窓区分146(図2)からのデータを使用してひっくり返し像146Fにアクセスしてもよい。しかしながら、操作された像は、ディスプレイにおいてユーザに表示することができる。
図3Cを参照すれば、差の像160は、欠陥領域162及びブランク領域164を含む。ブランク領域164は、左窓区分144(図3A)及びひっくり返し像146Fにおける各々左素子部分148(図3A)及びひっくり返された右素子部分150F(図3B)と同じ幾何学軌跡を差の像160に有する。ブランク領域164は、ゼロ強度を有する。欠陥領域162は、ひっくり返し像146Fにおけるひっくり返された欠陥138Fと同じ幾何学的軌跡を差の像160に有する。
差の像160は、ひっくり返し像146F(図3B)と左窓区分144(図3A)との間の減算動作を実行することにより発生される。2つの像間の減算動作は、第1像の各ピクセルの強度値を第2像の各ピクセルから減算することより成る。数学項では、減算動作の簡単な式は、選択されたピクセルの座標をx及びyで表わし、且つ第1像、第2像及び差の像の強度値を各々I1(x、y)、I2(x、y)、IS(x、y)で表わすとすれば、IS(x、y)=I2(x、y)−I1(x、y)となる。操作に関して上述したように、減算動作は、実際の差の像を形成せずに、数学的に実行できることに注意されたい。差の像160において、左窓区分144(図3A)のゼロ強度領域(図示せず)を、ひっくり返し像146F(図3B)における非ゼロ強度のひっくり返された欠陥138Fから減算すると、欠陥領域162における非ゼロ強度が生じる。非ゼロ強度の左素子部分148を、これも非ゼロ強度のひっくり返された右素子部分150Fから減算すると、ブランク領域164におけるほぼゼロの強度が生じる。
差の像におけるピクセルの強度IS(x、y)は、一般に、正でも負でもゼロでもよいことに注意されたい。ここに示す実施例では、差の像160の強度値は、全て正又はゼロである。しかしながら、ひっくり返された像146F(図3B)が左窓区分144(図3A)から減算された場合には、差の像は、負の値を含むことになる。
欠陥を検出するために、差の像160が所定の基準に基づいて調査される。差の像160に非ゼロ強度の領域が存在することは、ひっくり返し像146F(図3B)及び左窓区分144(図3A)の各領域が強度的に異なることを示す。この差は、右窓区分146又は左窓区分144に欠陥があるために存在する。従って、欠陥検出のための所定の基準は、例えば、差の像160の著しい部分が非ゼロ強度を有することでもよいし、或いは差の像160の一部分の強度が所定の正のスレッシュホールドレベルより上又は負のスレッシュホールドレベルより下、等々であってもよい。差の像が所定の基準を満足する場合には、左窓区分144とひっくり返し像146Fとの間に著しい差があり、おそらく欠陥が存在することを指示する。従って、ここに開示する技術の方法では、これらエリアの1つに欠陥が存在するという結論になる。さもなければ、他の欠陥検出手順が適用されてもよい。
或いは又、絶対減算動作を使用して、差の像160に代わって絶対差の像を形成してもよい。2つの像間の絶対減算動作は、ピクセルごとに像の強度値I間の絶対差をとることより成る。選択されたピクセルの座標をx及びyで表わし、且つ第1及び第2像の強度値を各々I1(x、y)及びI2(x、y)で表わすとすれば、数学式|I1(x、y)−I2(−x、y)|は、このような絶対減算のための簡単な式を決定する。例えば、像が2進像で、ピクセル強度値0及び1をもつ場合には、絶対減算動作は、XOR動作と同じになる(即ち、XOR動作は、1XOR0=0XOR1=1;1XOR1=0XOR0=0で定義される)。通常の減算とは対照的に、絶対減算動作は、オペランドの次数に対して対称的であることに注意されたい(即ち、第1像と第2像との間の絶対減算の結果は、第2像と第1像との間の絶対減算の結果と同一である)。更に、絶対差の像は、ゼロ強度領域及び正強度領域より成ることにも注意されたい。従って、絶対差の像における欠陥検出の基準は、例えば、像の著しい部分が正であることでもよいし、或いは像のある部分の強度が所定の正のスレッシュホールドレベルを越える等々でもよい。例えば、絶対差の重み付けされた和を、欠陥検出のための基準として使用してもよい。従って、像の各部分には、所定の重みが指定される。各部分の絶対差に各重みを乗算し、それにより得られる積が加算される。その和を所定のスレッシュホールドレベルと比較して、欠陥が存在するかどうか決定する。
ここに示す実施例では、差の像160が正及びゼロ強度しかもたないので、差の像と絶対差の像は本質的に同一である。しかしながら、ひっくり返し像146F(図3B)が左窓区分144(図3A)から減算された場合には、差の像は負及びゼロ強度を含むが、絶対差は、依然、正及びゼロ強度を含むことになる。
差の像160と、以下に示す他の差の像及び絶対差の像では、オブジェクト像の非ゼロ強度の領域が、均一又はほぼ均一の強度を有し、従って、非ゼロ強度を減算すると、ゼロ又はほぼゼロの強度になると仮定することに注意されたい。更に、「ほぼゼロ強度の領域」、「ゼロ強度の領域」、及び「ブランク領域」という語は、ここでは、交換可能に使用され、「ゼロ又はほぼゼロ強度の領域」を意味することにも注意されたい。
例えば、均一な非ゼロ強度という仮定は、非ゼロ強度の全領域が厳密に同じ強度を有する2進像において有効である。又、この仮定は、おそらく、比較される非ゼロ領域が同じオブジェクト像素子の異なる部分であるか又は異なるオブジェクト像素子の領域である非2進像においても有効である。この仮定は、強度が連続的に著しく変化することのあるエッジ付近では無効化されてもよい。ここに開示する技術は、補間を適用することでこのような無効化に向けられ、これは、図19、20A及び20Bを参照して説明する。
ここに開示する技術に基づく欠陥検出は、異なる形式の対称性、例えば、水平、垂直又は対角軸との軸方向対称性、回転対称性、その組み合わせ等に向けられる。参照番号170で一般的に示されたデータベース像の概略図である図4を参照して以下に説明する。このデータベース像170は、物理的オブジェクトに刻印されるべき所定の回路パターンを表わし、このパターンは、回転対称性を示す素子と、軸方向回転対称性を示す素子とを含む。データベース像170は、その中の異なる位置に分配されたデータベース像素子172、176、178及び180を含む。これらのデータベース像素子172、176、178、180は、各々窓184、186、188、181で包囲される。
データベース像素子178は、これを水平にひっくり返して反時計方向に角度β1だけ回転した場合に、データベース像素子176と同一になり、ここに示す実施例では、β1=45度である。データベース像素子180は、図面の紙面に垂直な軸183の周りで回転対称性を有し、即ちオブジェクト像素子180を図面の紙面において軸183の周りで角度γ1=180度(時計方向又は反時計方向に)回転すると、オブジェクト像素子180の元々のものと、回転したものとが同一になる。又、データベース像素子180は、軸方向対称性も示し、即ち図面の紙面において軸183に交差する分割線、例えば、線185は、素子180の2つの半部分を定義し、従って、各半部分は、2つの垂直軸に対して他の半部分を2回ひっくり返したものと同一であることに注意されたい。データベース像素子172は、方形部分174と、右上隅のエンハンスメント176と、左上隅のエンハンスメント178と、左下隅のエンハンスメント180と、右下隅のエンハンスメント182とを含む。隅のエンハンスメント176、178、180及び182は、ウェハ製造プロセスにおいて生じることのある隅の丸め現象を修正する目的でデータベース像素子172に付加されている。データベース像素子172は、図面の紙面に垂直な軸173の周りで回転対称性を有し、回転角は、α1=90度(時計方向又は反時計方向)である。又、データベース像素子172は、垂直、水平及び対角対称線に対して軸方向対称性も示すことに注意されたい。
参照番号190で一般的に示された検査オブジェクト像の概略図である図5を参照して更に説明する。オブジェクト像190は、オブジェクト像素子192、196、198及び199を含む。これらオブジェクト像素子192、196、198及び199は、データベース像170(図4)において各々データベース像素子172、176、178及び180で表わされたものである。オブジェクト像190は、更に、欠陥200も含む。ここに示す実施例では、欠陥200で画成されたエリアは、オブジェクト像素子198と同じ特性を有していたものである。
オブジェクト像素子192、196、198及び199は、各々窓204、206、208及び211で包囲される。オブジェクト像素子194は、これを反時計方向に角度α2だけ回転した場合にオブジェクト像素子192と同一になり、ここで、角度α2は、図4の角度α1と同じ角度である。データベース像170(図4)の分析によれば、オブジェクト像素子198は、これを水平にひっくり返して反時計方向に角度β2=β1だけ回転した場合にオブジェクト像素子196と同一にならねばならない。しかしながら、オブジェクト像素子198と196との間の対称性に基づく比較は、オブジェクト像素子198が欠陥200を含むので、このような同一性を生じてはならない。オブジェクト像199は、軸185の周りでのオブジェクト像素子180の回転に関して説明したのと同様に、角度γ2=γ1で回転したときに垂直軸193の周りで回転対称性を示す。
窓204、206、208及び211は、データベース像170(図4)において各々窓184、186、188及び181で表わされたものである。従って、窓204、206、208及び211のサイズ及び位置は、各々窓184、186、188及び181のサイズ及び位置から導出されてもよい。
窓184は、回転角α1で回転対称性を示すので、窓202及び204は、欠陥が存在しないと仮定すれば、回転角α2=α1で回転対称性を示さねばならない。従って、窓184を時計方向に角度α2だけ回転すると、窓184の元々のものと回転したものとが完全に同一にならねばならない。
窓186及び188は、回転角β1で軸方向回転対称性を示すので、窓206及び208も、欠陥が存在しないと仮定すれば、回転角β2=β1で軸方向回転対称性を示さねばならない。従って、窓208を時計方向に角度β2だけ回転し、次いで、水平にひっくり返すと、窓206と同一にならねばならない。窓181は、回転角γ1で回転対称性を示すので、窓211も、欠陥が存在しないと仮定すれば、回転角γ2=γ1で回転対称性を示さねばならない。従って、窓211を角度γ2だけ回転すると、窓211の元々のものと、回転されたものとが完全に同一にならねばならない。
更に、図6A、6B及び6Cも参照する。図6Aは、オブジェクト像素子192を含む窓204(図5)の概略図である。図6Bは、ここに開示する技術の更に別の実施形態に基づいて構成された、窓204(図5)の回転された形態である参照番号204Rで一般的に示す回転像の概略図である。図6Cは、ここに開示する技術の別の実施形態に基づいて構成された、参照番号210で一般的示す絶対差の像の概略図である。
図6Bを参照すれば、回転像204Rは、窓204(図6A)を角度α2だけ時計方向に回転することにより形成される。回転像204Rは、回転されたオブジェクト像素子192Rを含む。この回転されたオブジェクト像素子192Rは、オブジェクト像素子192(図6A)の回転された形態である。
図6Cを参照すれば、絶対差の像210は、窓204(図6A)と回転像204R(図6B)との間で絶対減算を実行することにより形成される。絶対差の像210は、ブランク領域212を含む。
ブランク領域212、オブジェクト像素子192、及び回転されたオブジェクト像素子192Rは、各々、絶対差の像210、窓204、及び回転像204Rに同じ幾何学軌跡を有する。オブジェクト像素子192、及び回転されたオブジェクト像素子192Rは、非ゼロ強度を有する。従って、ブランク領域212は、絶対差の像210においてゼロ強度を有する。欠陥が存在するかどうか決定するために、絶対差の像210は、図3の差の像160と同じ手順で調査される。
更に、図7A、図7B及び図7Cを参照する。図7Aは、オブジェクト像素子196を含む窓206(図5)の概略図である。図7Bは、ここに開示する技術の更に別の実施形態に基づいて構成された、窓208(図5)の操作された形態である参照番号208RFで一般的に示す操作像の概略図である。図7Cは、ここに開示する技術の別の実施形態に基づいて構成された、参照番号220で一般的示す絶対差の像の概略図である。
図7Bを参照すれば、操作像208RFは、窓208(図5)を時計方向に角度β2だけ回転し、次いで、水平にひっくり返すことにより形成される。操作像208RFは、操作されたオブジェクト像素子198RFを含む。この操作されたオブジェクト像素子198RFは、オブジェクト像素子198(図5)を回転してひっくり返した形態である。操作像208RFは、更に、操作された欠陥200RFも含む。この操作された欠陥200RFは、欠陥200(図5)を回転してひっくり返したものを表わす。
図7Cを参照すれば、絶対差の像220は、窓206(図7A)と、操作像208RF(図7B)との間で絶対減算を行なうことにより形成される。絶対差の像220は、ブランク領域224及び欠陥領域222を含む。
ブランク領域224は、操作窓208RFにおける操作されたオブジェクト像素子198RFと同じ幾何学的軌跡を窓220に有している。窓220におけるブランク領域224の幾何学的軌跡は、窓206におけるオブジェクト像素子196の幾何学的軌跡に含まれる。オブジェクト像素子196、及び操作されたオブジェクト像素子198RFは、非ゼロ強度を有する。従って、ブランク領域224は、ゼロ強度を有する。
欠陥領域222は、操作像208RFにおける操作された欠陥200RFと同じ幾何学的軌跡を窓220に有する。絶対差の像220における欠陥領域224の幾何学的軌跡は、窓206におけるオブジェクト像素子196の幾何学的軌跡に含まれる。オブジェクト像素子196は、非ゼロ強度を有する。操作された欠陥200RFは、ゼロ強度を有する。従って、欠陥領域224は、非ゼロ強度を有する。
絶対差の像220は、図3の差の像160に適用された同様の手順で、欠陥が存在するかどうか決定するために調査される。
ここに開示する技術の別の態様によれば、必ずしも個々に対称性を示さず全体で対称性を示す層の結合に、対称性に基づく欠陥検出手順が適用される。図8A、図8B及び図8Cを参照して以下に説明する。図8Aは、参照番号230で一般的に示す下部層データベース像窓の概略図である。図8Bは、参照番号240で一般的に示す上部層データベース像の概略図である。図8Cは、参照番号250で一般的に示す合成データベース像の概略図である。
図8Aを参照すれば、下部層データベース像230は、2層オブジェクトの下部層に刻印されるべき所定の回路パターンを表わす。下部層データベース像230は、その中の異なる位置に分配されたデータベース像素子232及び234を含む。
図8Bを参照すれば、上部層データベース像240は、既に印刷された下部層の上に、2層オブジェクトの上部層として刻印されるべき所定の回路パターンを表わす。上部層データベース像240は、データベース像素子242を含む。
図8Cを参照すれば、合成データベース像250は、下部層データベース像230(図8A)及び上部層データベース像240(図8B)により形成された像を表わす。合成データベース像250は、データベース像素子232及び242を含む。データベース像素子242内の領域262は、下部層データベース像230(図8A)の像素子234と同じ幾何学的軌跡を有する。領域262は、データベース像素子242がデータベース像素子234を隠すので、実際のデータベース像には現われないことに注意されたい。
水平方向対称線256は、合成データベース像250を、等しい面積を有する上部データベース像区分252及び下部データベース像区分254に分割する。合成データベース像250は、対称線256に対して対称的である。
更に、参照番号270で一般的に示すオブジェクト像の概略図で、2層物理的オブジェクトを表わしている図9を参照する。このオブジェクト像270は、その中の異なる位置に分配されたオブジェクト像素子272及び274を含む。これらのオブジェクト像素子272及び274は、合成データベース像250(図8C)においてデータベース像素子232及び242によって各々表わされたものである。オブジェクト像270は、更に、オブジェクト像素子272におけるクラックである欠陥276も含む。ここに示す実施例では、欠陥276で画成されたエリアは、オブジェクト像素子198と同じ特性でなければならない。欠陥276は、オブジェクト像素子272を、第1オブジェクト像素子部分278及び第2オブジェクト像素子部分280に分割する。
オブジェクト像素子部分280内には領域288が指示されている。この領域288は、図8Aの下部層データベース像230において像素子234により表わされたオブジェクト像素子の幾何学的軌跡である。領域288は、オブジェクト像素子272のオブジェクト像素子部分280が領域288におけるオブジェクト像素子を隠すので、実際のオブジェクト像には現われないことに注意されたい。
水平の対称線286は、オブジェクト像270を、同じ面積を有する上部オブジェクト像区分282及び下部オブジェクト像窓284に分割する。これら上部オブジェクト像区分282及び下部オブジェクト像窓284は、各々、合成データベース像250(図8C)において上部データベース像区分252及び下部データベース像区分254により表わされたものである。従って、上部オブジェクト像区分282及び下部オブジェクト像窓284のサイズ及び位置は、各々、上部データベース像区分252及び下部データベース像区分254のサイズ及び位置から導出されてもよい。合成データベース像250は、対称線256に対して対称的であるので、オブジェクト像270は、欠陥が存在しないと仮定すれば、対称線286に対して対称的でなければならない。
更に、図10A、図10B及び図10Cを参照する。図10Aは、オブジェクト像素子274(図9)を含む下部オブジェクト像窓284の概略図である。図10Bは、ここに開示する技術の更に別の実施形態に基づいて構成された、上部オブジェクト像窓282(図9)のひっくり返し形態である参照番号282Fで一般的に示すひっくり返し像の概略図である。図10Cは、ここに開示する技術の別の実施形態に基づいて構成された、参照番号290で一般的に示す絶対差の像の概略図である。
図10Bを参照すれば、ひっくり返し像282Fは、オブジェクト像区分282(図8C)を垂直にひっくり返すことにより形成される。ひっくり返し像282Fは、ひっくり返されたオブジェクト像素子272Fを含む。このひっくり返されたオブジェクト像素子272Fは、オブジェクト像素子272(図8C)をひっくり返した形態である。ひっくり返し像282Fは、更に、ひっくり返された欠陥276Fも含む。このひっくり返された欠陥は、欠陥276(図8C)をひっくり返した形態である。ひっくり返された欠陥276Fは、ひっくり返されたオブジェクト像素子272Fを、ひっくり返されたオブジェクト像素子部分278F及び280Fに分割し、これらは、各々、オブジェクト像素子部分278及び280(図8C)をひっくり返した形態である。
図10Cを参照すれば、絶対差の像290は、オブジェクト像窓284(図10A)と、ひっくり返し像282F(図10B)との間で絶対減算を実行することにより形成される。この絶対差の像290は、ブランク領域292及び294と、欠陥領域296とを含む。ブランク領域292及び294は、各々、ひっくり返し像282Fにおけるひっくり返された成分278F及び280Fと同じ幾何学的軌跡を絶対差の像290に有する。ブランク領域292及び294の幾何学的軌跡は、オブジェクト像窓284(図10A)におけるオブジェクト像素子274の幾何学的軌跡に含まれる。ひっくり返されたオブジェクト像素子部分278F及び274Fと、オブジェクト像素子274は、非ゼロ強度を有する。従って、ブランク領域292及び294は、ゼロ強度を有する。欠陥領域296は、ひっくり返し像282F(図10B)のひっくり返された欠陥276Fと同じ幾何学的軌跡を有する。欠陥領域296は、オブジェクト像窓284におけるオブジェクト像素子274の幾何学的軌跡に含まれる。ひっくり返された欠陥276Fは、ゼロ強度を有する。オブジェクト像素子274は、非ゼロ強度を有する。従って、欠陥領域296は、絶対差の像290において非ゼロ強度を有する。絶対差の像290は、図3の差の像160に適用されたものと同じ手順で、欠陥が存在するかどうか決定するように検査される。
ここに開示する技術の更に別の実施形態に基づき構成されて動作される、参照番号300で一般的に示す欠陥検出システムの概略図である図11を参照して、以下に説明する。このシステム300は、データベース302と、像スキャナ304と、記憶ユニット306と、プロセッサ308と、ヒューマンインターフェイス310とを備えている。
プロセッサ308は、ヒューマンインターフェイス310、記憶ユニット306及びデータベース302に結合される。像スキャナ304は、記憶ユニット306及び物理的オブジェクト312に結合される。検査される物理的オブジェクト312は、ホトマスク、レチクルダイ、ファブリック等である。
データベース302は、検査される物理的オブジェクト312に刻印されていなければならないデータベース像の像データを含む。プロセッサ308は、データベース302からデータベース像を検索し、それを分析して、その対称特性を決定する。分析結果は、元のデータベース像に関連してデータベース302に記憶できることに注意されたい。
像スキャナ304は、物理的オブジェクト312を光学的に走査し、各データベース像を発生し、オブジェクト像を記憶ユニット306に記憶する。プロセッサ308は、データベース像の対称性分析に基づいて、記憶ユニット306に記憶されたオブジェクト像に欠陥分析手順を適用する。欠陥分析手順は、オブジェクト像とデータベース像とを整列させ、対称性を示さねばならないエリアを探索し、それらエリアがその対称性を示すかどうか決定し、これにより、欠陥のおそれを指示する等の多数の段階を含む。
更に、ここに開示する技術の別の実施形態に基づいて動作する図11のシステム300の動作方法を概略的に示す図12を参照して説明する。手順320では、データベース像が分析され、その中の対称的窓を識別する。対称的データベース像窓とは、種々の形式又はその組合せの対称性を、個々に示すか又は窓のグループとして考えたときに示す窓である。例えば、図1及び4を参照すれば、データベース像窓140(図1)は、個々に軸方向対称性を示し、一方、窓186及び188(図4)は、一対の窓として考えたときに軸方向回転対称性を示す。図4に示す窓181の例は、軸183の周りでの180度の回転対称性を含む。回転対称性は、一般に90又は180度に限定されるものではなく、他の状況では、非長方形の対称的領域又は窓を必要とする対称性にも関連し得ることが明らかであろう。又、対称性は、単にオブジェクト像の一部分に関連することもでき、従って、オブジェクト像の残り部分が対称性追求のために操作されないことにも注意されたい。例えば、素子の形状が円である場合には、回転対称性の数は無限に存在する。同様に、N次の正多角形は、360/N度離れたN−1個の異なる回転対称性を定義する。
図11に示す実施例では、プロセッサ308は、データベース302からデータベース像を受け取り、その中の対称的窓を、像の対称性を識別するための既知の方法を使用して識別する。プロセッサ308は、検出された対称性窓の座標、及びその対称特性に関連した他のデータを記憶ユニット306に記憶する。或いは又、データベース302は、対称性データ(即ち、対称的素子又は領域の座標及び対称特性)を予め含んでもよい。この場合、プロセッサ308は、データベース302から対称性データを検索する。
手順322では、物理的オブジェクトが走査され、オブジェクト像が形成される。図11に示す実施例では、像スキャナ304が物理的オブジェクト312を光学的に走査する。システム300は、取得したオブジェクト像を記憶ユニット306に記憶することができる。オブジェクト像は、種々の像圧縮フォーマットのいずれかに基づいて圧縮されたカラービットマップ、グレイスケールビットマップ、2進ビットマップ、等々である。
手順324では、対称的データベース像窓に基づきオブジェクト像において理論的対称的窓が識別される。この理論的対称的窓の座標は、それらの各データベース像対称的窓の座標から決定される。図1及び図2に示す実施例では、オブジェクト像窓140は、理論的対称的窓として識別され、その座標は、データベース像窓110の座標から導出される。
手順326では、検出された理論的対称的窓が、それらの予想される対称性に基づいて分析される。図2、図3A、図3B及び図3Cに示す実施例では、差の像160(図3C)を形成し、その中の非ゼロ領域を検出することにより、窓140(図2)が分析される。
手順328では、予想される対称性からの偏差に基づいて欠陥の存在が決定される。分析手順326からの結果が、1つ以上の所定スレッシュホールドと比較される。予想される対称性からの偏差が所定スレッシュホールドを越える場合には、欠陥検出システムが欠陥の疑いを宣言する。さもなければ、システムは、他の欠陥検出方法又は他の対称的窓へと進むことができる。
図12に示す方法は、2回以上繰り返されてもよく、且つその手順は、異なる順序で又は並列に繰り返され又は実行されてもよいことに注意されたい。例えば、図11を参照すれば、像スキャナ300は、物理的オブジェクト312を動的に検査してもよい(即ち、記憶ユニット306及びプロセッサ308が、全データベース像及びオブジェクト像を記憶し分析するに必要なメモリスペース又は処理能力を有していない場合)。従って、この手順の各段階に、像スキャナ304は、物理的オブジェクト312の一部分を走査し、その走査された像部分をオブジェクト像として記憶ユニット306に記憶する。プロセッサ308は、像の各部分をデータベース像としてデータベース302から検索する。プロセッサ308は、記憶されたオブジェクト像に対して検査を実行する。次いで、像スキャナ304は、物理的オブジェクト312の別の部分を走査するように進む。
ここに開示する技術の別の特徴によれば、対称的データベース像窓は、対称的データベース像素子を使用して識別される。従って、対称的データベース像素子が最初に識別され、次いで、これらの対称的データベース像素子に基づいて対称的窓が識別される。
ここに開示する技術の更に別の実施形態に基づき、図12の方法の手順320を詳細に示す図13を参照して以下に説明する。図13の方法は、単一のデータベース像素子の対称性を検出する状況において以下に説明するが、データベース像素子のグループの対称性を検出することに関して同様の方法を適用してもよいことに注意されたい。従って、グループとして考えたときに対称性を示すデータベース像素子のグループが最初に識別され、次いで、対称性窓の各グループをそこから導出することができる。更に、単一素子及び素子グループの対称性検出方法を組合せて適用してもよい。
図13の方法は、ピクセルマップデータベース像に関連して以下に説明する。ピクセルマップ像とは、ピクセルの2次元アレイ及びそれらの各視覚特性(例えば、強度値、クロミナンス値等)、例えば、グレイスケールマップ、2進ビットマップ、カラーマップ等で表わされた像である。説明上、ここに開示する技術に関連して述べる像は、単色(即ち、グレイスケール又は2進ピクセルマップ)である。しかしながら、データベース像は、種々のフォーマットで記憶されてもよいことに注意されたい。例えば、データベース像は、素子、それらの座標及びそれらの特性のリストを含む素子マップとして記憶されてもよい。図13の方法及びその手順は、更に、ノイズ減少のためにデータベース像を平滑化し、データベース像を異なるフォーマットに変換し(例えば、ピクセル、ラスタ又はベクトル表示へと変換し、解像度、強度スペクトル、ピクセルサイズ又はカラー表示を変更し)、等々の付加的な手順を含んでもよいことに更に注意されたい。図13の方法及びその手順は、2回以上繰り返されてもよく、且つその手順は、異なる順序で又は並列に実行されてもよい。
手順330では、データベース像素子が識別される。この素子は、ピクセルマップにおいて像素子を識別するための既知の方法を使用して識別される。例えば、データベース像の閉じた形状又は連続強度の領域がデータベース像素子として識別されてもよい。
手順332では、データベース像素子の寸法及び対称特性が決定される。素子は、対称性検出方法を使用してテストされて、示された対称性の形式(例えば、水平、垂直、回転対称性、又はその組合せ)と、それに関連したパラメータ(例えば、対称線の座標又は回転角)とが決定される。データベース像素子の寸法を予め知っていて、その対称特性のみが決定されてもよいことに注意されたい。或いは又、素子の対称特性を予め知っていてもよく、この場合にはその寸法だけが決定される。手順332は、更に、データベース像素子の他の特性、例えば、カラー表示及び強度スペクトルを決定することを含んでもよいことに更に注意されたい。
手順334では、データベース像素子に関連した対称的データベース像窓が識別される。この対称的データベース像窓は、データベース像素子の少なくとも一部分及びそれに隣接した領域を含み、各データベース像素子と同じ対称特性を示す。手順334は、ある種の対称性を示す素子に対してのみ要求されることに注意されたい。
対称的データベース像窓の座標は、データベース像素子の座標及び特性と、所定の基準とに基づいて決定される。例えば、対称的データベース像窓は、データベース像素子を包囲すると共に、検出された対称特性を示すと考えられる最大の窓として定義されてもよい。
ここに開示する技術の別の実施形態に基づく図12の方法の手順326を詳細に示す図14を参照して以下に説明する。図14の手順は、理論的に対称的な窓ごとに又は窓のグループごとに一度づつ、複数回繰り返されることに注意されたい。更に、図14の手順は、個々に対称性を示すデータベース像窓、及びそれらの各理論的に対称的な窓に関連して説明することにも注意されたい。窓のグループにおける対称性をテストするのに同様の手順が適用されてもよいことに注意されたい。
手順350では、理論的に対称的な同様の窓及びそれに関連した操作が、理論的に対称的な窓から識別される。図2に示す実施例では、左窓区分144及び右窓区分146が、理論的に対称的な同様の領域として識別され、それに関連した操作が、水平方向のひっくり返しとして識別される。図5に示す実施例では、オブジェクト像窓211が、180度の回転として識別される操作に基づき、それ自身に対して対称的類似性を示すものとして識別される。
手順352では、理論的に対称的な類似窓の少なくとも1つを操作して、理論的に同一の窓を形成する。理論的に対称的な類似窓は、その予想される類似性に関連した操作に基づいて操作される。図2、図3A及び図3Bに示す実施例では、理論的に同一の像である左窓区分144の像及びひっくり返し像146Fが、理論的に対称的な類似領域である窓区分144及び146から形成される。
手順354では、理論的に同一の窓が互いに比較されて、比較結果を発生する。比較結果は、理論的に対称的な同一の窓が実際にどの程度同一であるかを指示する。従って、比較結果は、理論的に対称的な窓が実際にどの程度まで対称的であるかを指示する。図3A、3B及び3Cを参照すれば、差の像160は、理論的に同一の像144及び146から形成され、その中の非ゼロ領域の存在が検出される。
手順352及び354は、操作が数学的に実行される単一の手順で組み込まれてもよく、更に、比較は、理論的に同一の窓を形成せずに、理論的に対称的な類似窓の各ピクセル間で直接行なわれてもよいことに注意されたい。
ここに開示する技術の別の態様によれば、理論的に対称的な窓及び各々の理論的に対称的な類似窓は、最適化プロセスにおいてオブジェクト像で識別される。このプロセスは、理論的に対称的な窓を近似するオブジェクト像窓を見つけ、次いで、この近似を精巧化することを含む。この最適化プロセスは、最適な対称性テスト窓を形成し、これは、次いで、理論的に対称的な窓として識別されてもよい。以下の実施例では、最適化手順は、理論的に対称的な窓の座標だけを決定する。しかしながら、理論的に対称的な窓の他の特性が決定されてもよいことに注意されたい。例えば、理論的に対称的な窓に関連した理論的に対称的な類似窓の座標が、同様の最適化プロセスで決定されてもよい。
次いで、図15A、図15B、図15C、図15D、図15E、図15F、図15G及び図15Hを参照する。図15Aは、図2のオブジェクト像130から取り出された参照番号360で一般的に示す領域であって、対称性テスト窓362を含む領域の概略図である。図15Bは、対称性テスト窓362(図15A)に基づいて形成された、参照番号370で一般的に示す絶対差の像の概略図である。図15Cは、対称性テスト窓380を含む領域360(図15A)の概略図である。図15Dは、対称性テスト窓380(図15C)に基づいて形成された、参照番号390で一般的に示す絶対差の像の概略図である。図15Eは、対称性テスト窓400を含む領域360(図15A)の概略図である。図15Fは、対称性テスト窓400(図15E)に基づいて形成された、参照番号410で一般的に示す絶対差の像の概略図である。図15Gは、対称性テスト窓420を含む領域360(図15A)の概略図である。図15Hは、対称性テスト窓420(図15G)に基づいて形成された、参照番号425で一般的に示す絶対差の像の概略図である。図15Iは、得られた最良の対称性を示す対称性テスト窓430を含む領域360(図15A)の概略図である。図15Jは、対称性テスト窓430(図15I)に基づいて形成された、参照番号435で一般的に示す絶対差の像の概略図である。
図15Aを参照すれば、領域360は、オブジェクト像素子132、欠陥138(図2)及び対称性テスト窓362を含む。対称性テスト窓362は、水平方向の対称性についてテストされる。オブジェクト像素子132は、対称線142(図2)に対して対称的である。対称線368は、対称性テスト窓362を左窓区分364及び右対称性窓366に分割する。左右の窓区分364及び366は、面積が等しい。対称線368は、対称線142から左へ大きく変位され、従って、対称性テスト窓362は、対称線368に対して対称的ではない。
図15Bを参照すれば、絶対差の像370は、図3A、3B及び3Cに示された手順と同様の手順で、右窓区分366(図15A)と、左窓区分364の水平にひっくり返した形態(図示せず)との間で絶対減算の動作を遂行することにより形成される。絶対差の像370は、非ゼロ領域372を含む。図15Aを参照すれば、絶対差の像370における非ゼロ領域372の幾何学的軌跡は、右窓区分366におけるオブジェクト像素子132の幾何学的軌跡に含まれる。左窓区分364のひっくり返し形態における各領域はゼロ強度を有するので、非ゼロ領域372は非ゼロ強度を有し、対称性テスト窓362の非対称性を指示する。
図15Cを参照すれば、領域360は、オブジェクト像素子132、欠陥138(図2)及び対称性テスト窓380を含む。対称性テスト窓380は、対称性テスト窓362(図15A)に対して1長さ単位だけ右へ変位される。例えば、この長さ単位は、単一ピクセルの長さでよい。
対称性テスト窓380は、水平方向の対称性についてテストされる。対称線386は、対称性テスト窓380を、面積の等しい左窓区分382及び右窓区分384に分割する。対称線386は、対称線142から左へ若干変位される。
図15Dを参照すれば、絶対差の像390は、右窓区分384(図15A)と、左窓区分382(図15A)の水平にひっくり返した形態(図示せず)との間で絶対減算の動作を遂行することにより形成される。絶対差の像390は、非ゼロ領域392、394及び欠陥領域396を含む。これら非ゼロ領域392、394及び欠陥領域396は、非ゼロ強度を有する。図15Cを参照すれば、非ゼロ領域392、394は、右窓区分384の像素子132の部分と同じ幾何学的軌跡を絶対差の像390に有する。左窓区分382の水平にひっくり返した形態における各領域は、ゼロ強度を有するので、領域392及び394は、非ゼロ強度を有する。欠陥領域396は、右窓区分384における欠陥138と同じ幾何学的軌跡を絶対差の像390に有する。左窓区分382の水平にひっくり返した形態における各領域は、ゼロ強度を有するので、欠陥領域396は非ゼロ強度を有する。
絶対差の像390における非ゼロ領域392、394及び欠陥領域396の存在は、対称性テスト窓380の非対称性を指示する。しかしながら、絶対差の像390における非ゼロ領域392、394及び欠陥領域396の合成面積は、絶対差の像370(図15B)における非ゼロ領域372の面積より著しく小さい。これは、対称性テスト窓380が、対称性テスト窓362(図15A)よりも水平対称状態に著しく近いことを示す。
図15Eを参照すれば、領域360は、オブジェクト像素子132、欠陥138(図2)及び対称性テスト窓400を含む。対称性テスト窓400は、領域360における対称性テスト窓380(図15C)に対して1長さ単位だけ右へ変位される。対称性テスト窓400は、水平方向の対称性についてテストされる。対称線406は、対称性テスト窓400を、面積が同じ左窓区分402及び右窓区分404に分割する。対称線406は、対称線142から右へ若干変位される。
図15Fを参照すれば、絶対差の像410は、右窓区分404(図15A)と、左窓区分402(図15A)の水平にひっくり返した形態(図示せず)との間で絶対減算の動作を遂行することにより形成される。絶対差の像410は、非ゼロ領域412、414、非ゼロ欠陥領域416、及びブランク欠陥領域418を含む。図15Eを参照すれば、非ゼロ領域412及び414の幾何学的軌跡は、左窓区分402におけるオブジェクト像素子132の幾何学的軌跡に含まれる。右窓区分404の各領域はゼロ強度を有し、従って、領域412及び414は非ゼロ強度を有する。非ゼロ欠陥領域416の幾何学的軌跡は、右窓区分404の欠陥138の幾何学的軌跡に含まれる。左窓区分402の各領域はゼロ強度を有し、従って、非ゼロ欠陥領域は非ゼロ強度を有する。ブランク欠陥領域の幾何学的軌跡は、オブジェクト像素子132の幾何学的軌跡に含まれるが、右窓区分404の欠陥138の幾何学的軌跡にも含まれ、従って、ブランク欠陥領域418は、ゼロ強度を有する。
絶対差の像410における非ゼロ領域412、414及び416の存在は、対称性テスト窓400の非対称性を示す。非ゼロ領域412の合成面積は、絶対差の像390(図15D)における非ゼロ領域392、394及び396の合成面積より大きい。これは、対称性テスト窓380が、対称性テスト窓400(図15C)よりも水平対称状態に近いことを示す。
図15Gを参照すれば、領域360は、オブジェクト像素子132、欠陥138(図2)、及び対称性テスト窓420を含む。対称性テスト窓420は、領域360の対称性テスト窓400(図15E)に対して1長さ単位だけ右へ変位される。対称性テスト窓420は、水平方向の対称性についてテストされる。対称線423は、対称性テスト窓420を、左窓区分421及び右窓区分422に分割する。左右の窓区分421及び422は面積が等しい。対称線423は、対称線から右へ大きく変位される。
図15Hを参照すれば、絶対差の像425は、右窓区分422(図15G)と、左窓区分421(図15G)の水平にひっくり返した形態(図示せず)との間で絶対減算の動作を遂行することにより形成される。絶対差の像425は、非ゼロ領域426、非ゼロ欠陥領域427、及びブランク欠陥領域428を含む。図15Gを参照すれば、非ゼロ領域428の幾何学的軌跡は、窓区分421のひっくり返した形態におけるオブジェクト像素子132の幾何学的軌跡に含まれる。右窓区分422の各領域はゼロ強度を有し、従って、非ゼロ領域426は非ゼロ強度を有する。非ゼロ欠陥領域の幾何学的軌跡は、右窓区分422における欠陥138の幾何学軌跡に含まれる。左窓区分の各領域はゼロ強度を有し、従って、非ゼロ欠陥領域427は、非ゼロ強度を有する。ブランク欠陥領域の幾何学的軌跡は、左窓区分421におけるオブジェクト像素子132の幾何学的軌跡に含まれると共に、右窓区分422における欠陥138の幾何学的軌跡にも含まれ、従って、ブランク欠陥領域は、ゼロ強度を有する。
絶対差の像425における非ゼロ領域427及び428の合成面積は、絶対差の像370(図15A)における非ゼロ領域の合成面積にほぼ等しい。これは、対称性テスト窓420が、対称性テスト窓362(図15A)とほぼ同程度に水平対称状態に近いことを示す。
図15Iを参照すれば、領域360は、オブジェクト像素子132、欠陥138(図2)、及び対称性テスト窓430を含む。対称性テスト窓430は、領域360における対称性テスト窓380(図15C)に対してほぼ0.25長さ単位だけ右へ変位される。垂直対称線433は、対称性テスト窓430を左窓区分431及び右窓区分432に分割する。左窓区分431及び右窓区分432は、面積が等しい。対称線433は、対称線142に本質的に一致する。対称性テスト窓430は、所与の欠陥検出システムの限界内で達成される最良の対称性を示し、従って、理論的に対称的な窓を表わすのに使用されてもよい。
図15Jを参照すれば、絶対差の像435は、欠陥領域436を含む。この欠陥領域436は、右窓区分432の欠陥領域138と同じ幾何学的軌跡を有する。欠陥領域436の面積は、絶対減算像370(図15B)、390(図15D)、410(図15F)及び425(図15H)における合成非ゼロ強度面積の各々より小さい。
ここに開示する技術の更に別の実施形態に基づく図12の方法の手順324を詳細に示した図16を参照して以下に説明する。図16の方法によれば、理論的に対称的な窓が最適化プロセスでオブジェクト像において識別される。
手順440では、対称的なデータベース像窓がオブジェクト像と登録され、対称性テスト窓を識別する。最初の対称性テスト窓は、各々の理論的に対称的な窓の近似である。減算のような2進演算は、一般に、登録された像において第1像の各部分と第2像の各部分とに対して作用することにより実行されてもよいことに注意されたい。登録手順は、図17を参照して説明する。
手順442では、対称性に基づく最適化により対称性テスト窓がより精巧化される。対称性に基づく最適化は、最も対称状態に近い対称性テスト窓を識別することに向けられる。従って、精巧化された対称性テスト窓は、その予想される対称性からの偏差が最も少ない対称性テスト窓を選択することにより識別される。対称性からの偏差は、図14の方法に基づき理論的に対称的な窓に適用される同様のプロセスで決定される。対称性テスト窓を精巧化することは、窓の座標を精巧化することに限定されず、窓の座標を精巧化したり、その対称特性に関連したパラメータを精巧化したり、等々を一般に含んでもよいことに注意されたい。
手順444では、対称性に基づく最適化で計算された結果を補間することにより対称性テスト窓が精巧化される。補間は、対称性からの偏差についてテストされないが、手順442で生じる結果に基づいて最適な結果を与えると予想される対称性テスト窓を形成する。図15Iを参照すれば、対称性テスト窓430は、対称性テスト窓362(図15B)、380(図15D)、400(図15F)及び420(図15H)からの結果を補間することにより、精巧化された対称性テスト窓として識別される。
手順446では、検出された対称性テスト窓が、理論的に対称的な窓として識別される。理論的に対称的な窓は、次いで、手順326及び328(図12)に使用されて、欠陥の存在を決定する。
図16の方法は、一般に、検査手順の精密さ及び正確さの事項に基づき、手順440、442及び444のいずれを、又はそれを組合せて適用してもよく、且つこれら手順は、一般に、異なる順序で実行されてもよいことに注意されたい。更に、図16の方法又はその手順は、像の平滑化やフォーマット変換といった前処理手順を含んでもよいことにも注意されたい。
ここに開示する技術の別の実施形態に基づく図16の方法の手順440を詳細に示した図17を参照して以下に説明する。以下に述べる実施例では、対称的なデータベース像窓及び各々のオブジェクト像窓は、それらの間の考えられるシフトはさておき、同様に表示されると仮定する。この場合に、データベース像窓とオブジェクト像との登録は、それらの間の水平及び垂直のシフトを決定することにより実行される。
手順450では、整列評価関数が定義される。この整列評価関数は、対称的なデータベース像窓と各々のオブジェクト像窓との間のシフトを入力として受け取り、それらがどれほど良好に整列されているか指示する値を出力する。この値は、以下、対称性評価値と称される。例えば、整列評価関数は、データベース像窓のピクセルとオブジェクト像窓の各ピクセルとの間の強度絶対差の和であってもよい。
手順452では、オブジェクト像窓が識別される。最初のオブジェクト像窓は、オブジェクト像において各々の対称的データベース像窓と同じ座標に定義されてもよい。その後のオブジェクト像窓は、一般に、最初のオブジェクト像窓に対して近傍の座標に定義される。オブジェクト像窓は、全て前もって決定されてもよいし、又は手前の結果に基づいて動的に決定されてもよい。
手順454では、オブジェクト像窓に対する整列評価値が整列評価関数に基づいて形成される。整列評価値は、更なる基準として記録されてもよいことに注意されたい。更に、手順452及び454のシーケンスを複数回繰り返し、各繰返しが異なるオブジェクト像窓を含むようにしてもよいことに注意されたい。加えて、手順452を複数の窓に対して実行し、それに続いて、手順454を、識別された窓の各々に対して実行することができる。
手順456では、最適なオブジェクト像窓が識別される。最適なオブジェクト像窓とは、最適な整列評価値を生じる窓である。例えば、整列評価関数が強度絶対差の和である場合には、最適なオブジェクト像窓は、絶対差の最小和を生じる窓である。従って、最適なオブジェクト像窓は、図16の方法のその後の手順において最初の対称性テスト窓として識別することができる。最適なオブジェクト像窓は、図19、20A及び20Bを参照して以下に述べる補間と同様の補間により精巧化されてもよいことに注意されたい。
ここに開示する技術の更に別の実施形態に基づく図16の方法の手順442を詳細に示した図18を参照して以下に説明する。手順460では、対称性評価関数が定義される。対称性評価関数は、対称性テスト窓を入力として受け取り、対称性からの偏差を指示する値を出力する。この値は、以下、対称性評価値と称される。図15A、15B、15C、15D、15E、15F、15G、15H、15I及び15Jに示す実施例では、対称性評価関数は、任意の基準点に対する水平方向シフトをXとすれば、A(X)で表わすことができる。この対称性評価関数A(X)は、対称性テスト窓の左窓区分及びひっくり返された右窓区分から形成される絶対差の像における非ゼロ領域の存在に基づくものである。例えば、次のようになる。
但し、i及びjは、絶対差の像の水平及び垂直座標であり、L
ij(X)及びR
ij(X)は、各々、座標i及びjを有する左窓区分及び右窓区分におけるピクセルの強度である。
手順462では、対称性評価関数に基づき対称性テスト窓に対して対称性評価値が形成される。最初の対称性テスト窓は、手順440において識別される。その後の対称性テスト窓は、次の手順464において定義されてもよい。
手順464では、別の対称性テスト窓が、必要なときに(例えば、対称性評価値が対称性評価基準を満足しないとき、最小繰り返し数に到達しなければならないとき、等々に)オブジェクト像において識別される。手順464で識別される対称性テスト窓は、一般に、手順440で識別された最初の対称性テスト窓に対して近傍の座標に定義される。対称性テスト窓は、全て前もって決定されてもよいし、又は手前の結果に基づいて動的に決定されてもよい。手順464を実行した後に、方法は、手順462から進む。
対称性評価値は、更なる基準として記録されてもよいことに注意されたい。更に、手順464を複数の窓に対して実行し、その後、識別された窓の各々に対して手順462を実行できることにも注意されたい。
図15Aに示した実施例では、対称性テスト窓362(図15A)は、データベース像窓110(図1)に関連した最初の対称性テスト窓として識別され、更に、対称性テスト窓380(図15C)、400(図15E)及び420(図15G)は、それに接近して水平にシフトされた位置に定義される。
手順466では、最適な対称性テスト窓が識別される。最適な対称性テスト窓とは、最適な対称性評価値を生じる対称性テスト窓である。従って、最適な対称性テスト窓は、図16の方法のその後の手順において、精巧化された対称性テスト窓として識別することができる。図15A、図15B、図15C、図15D、図15E、図15F、図15G及び図15Hに示す実施例では、対称性テスト窓400(図15E)が最適な対称性テスト窓として識別される。
ここに開示する技術の別の実施形態に基づき手順444(図16)に使用される、対称性からの偏差対水平方向変位を表わす構成、参照番号500で一般的に示す、の概略図である図19を参照して以下に説明する。
この構成500は、対称性からの偏差D対水平方向シフトXを表わす。対称性からの偏差は、手順442の対称性に基づく最適化に使用される対称性評価関数A(X)に基づいて定義される。対称性からの偏差Dは、構成100において0から100までの偏差単位を使用して示されている。水平方向シフトXを表わすのに使用される単位は、図15A、図15C、図15E及び図15Gにおける次々の窓間の水平方向変位(例えば、図15Aの窓362と図15Cの窓380との間の水平方向変位)である。
構成500は、テストポイント502、504、506及び508と、線512及び514と、補間ポイント510とを含む。各テストポイントのX座標は、各対称性テスト窓と、対称性テスト窓362(これは任意の基準)との間の水平方向シフトを表わす。各テストポイントのD座標は、対称性評価関数Aを使用して計算された対称性からの偏差を表わす。テストポイント502、504、506及び508の座標(X、D)は、各々、(0、90)、(1、30)、(2、40)及び(3、80)である。
線512は、テストポイント502及び504を通る。線514は、テストポイント506及び508を通る。図19に示す実施例では、ここに提案する補間は、偏差Dが最小偏差ポイント付近で水平方向シフトに対してほぼ区分的に線型であるという簡単な仮定に基づいている。他の仮定を適用してもよいことに注意されたい。線512及び514は、区分的線型近似に基づいて補間され、補間ポイント510において交差する。補間ポイント510の座標は、ほぼ(1.25、15)である。
補間ポイント510は、A(X)の最小値を生じる対称性テスト窓の近似を表わす。従って、補間ポイント510のX及びD座標は、各々、精巧化シフトと、対称性からの各偏差の近似とを表わす。補間ポイント510のD座標は、対称性からの偏差として識別され、従って、手順326及び328に使用されてもよい。或いは又、X座標は、対称性テスト窓を精巧化するのに使用されてもよい。構成100において、テストポイント502、504、506及び508は、各々、対称性テスト窓362(図15A)、380(図15C)、400(図15E)及び420(図15G)を表わす。補間ポイント510は、対称性テスト窓430(図15I)を定義するのに使用される。
図20A及び20Bを参照して以下に説明する。図20Aは、オブジェクト像窓(図示せず)を表わす、参照番号540で一般的に示されたピクセルアレイの概略図である。図20Bは、ここに開示する技術の更に別の実施形態に基づいて構成された、参照番号580で一般的に示されたシフトされたピクセルアレイの概略図である。
図20Aを参照すれば、ピクセルアレイ600は、二次元アレイに配列されたピクセル6021、6022及び602Nのような、参照番号602iで一般的に示された複数の方形ピクセルを含む。ピクセル6021、6022及び602Nは、各々、(X、Y)座標(2、3)、(3、3)及び(6、3)を有し、但し、X及びYは、任意の基準点に対する水平及び垂直の位置を表わす。
図20Bを参照すれば、シフトされたピクセルアレイ620は、ピクセルアレイ600(図20A)により表わされたオブジェクト像窓から右へ0.25ピクセルだけシフトされたオブジェクト像領域(図示せず)を表わす。例えば、図19で適用されたものと同様の補間プロセスは、シフトされたピクセルアレイ620により表わされたオブジェクト像窓を最適な対称性テスト窓として識別してもよく、従って、シフトされたピクセルアレイ620は、このオブジェクト像窓をテストする目的で形成される。
シフトされたピクセルアレイ620は、ピクセルアレイ602の強度値を補間し、従って、0.25ピクセルだけそこからシフトされたポイントにおいて強度値を近似することにより形成される。図20A、図20Bに示す実施例は、次の仮定のもとで作用し、
例えば、ピクセル622
1(図20B)は、(X、Y)座標(2.25、3)を有し、従って、ピクセル622
1の強度は、次のように近似される。
I(2.25, 3)=0.75×I(2, 3)+0.25×(3, 3)
座標(2、3)及び(3、3)を各々有するピクセル602
1及び602
2は、強度値32及び96を各々有するので、補間は、近似強度値0.75x32+0.25x96=48を生じる。
しかしながら、種々の他の近似を使用してもよいことに注意されたい。従って、近似強度値は、元のピクセルアレイの多数のピクセルの強度値に依存してもよい。数学的には、次のようになる。
但し、(X’、Y’)は、近似強度の座標であり、K(s、t)は、所定の重み関数(カーネル関数としても知られている)である。
当業者であれば、ここに開示する技術は、特に図示して上述されたものに限定されないことが明らかであろう。むしろ、ここに開示する技術の範囲は、特許請求の範囲のみによって規定される。
データベース像を概略的に示す図である。
検査オブジェクトの像を概略的に示す図である。
左素子部分を含む図2の窓の左窓区分を概略的に示す図である。
ここに開示する技術の実施形態に基づき構成された、図2の窓の右窓区分をひっくり返した形態であるひっくり返し像の概略図である。
ここに開示する技術の別の実施形態に基づき構成された差の像の概略図である。
データベース像を概略的に示す図である。
検査オブジェクト像の像を概略的に示す図である。
オブジェクト像素子を含む図5の窓を概略的に示す図である。
ここに開示する技術の更に別の実施形態に基づき構成された、図6Aの窓を回転した形態である回転像の概略図である。
ここに開示する技術の別の実施形態に基づき構成された絶対差の像の概略図である。
別のオブジェクト像素子を含む図5の別の窓を概略的に示す図である。
ここに開示する技術の更に別の実施形態に基づき構成された、図5の別の窓を操作した形態である操作像の概略図である。
ここに開示する技術の別の実施形態に基づき構成された絶対差の像の概略図である。
下部層データベース像を概略的に示す図である。
上部層データベース像を概略的に示す図である。
合成データベース像を概略的に示す図である。
2層の物理的オブジェクトを表わすオブジェクト像を概略的に示す図である。
図9のオブジェクト像素子を含む図9の下部オブジェクト像窓を概略的に示す図である。
ここに開示する技術の更に別の実施形態に基づき構成された、図9の上部オブジェクト像窓をひっくり返した形態であるひっくり返し像の概略図である。
ここに開示する技術の別の実施形態に基づき構成された絶対差の像の概略図である。
ここに開示する技術の更に別の実施形態に基づいて構成されて動作する欠陥検出システムの概略図である。
ここに開示する技術の別の実施形態に基づいて動作する図11のシステムの動作方法を示す概略図である。
ここに開示する技術の更に別の実施形態に基づく図12の方法のデータベース像分析手順を詳細に示す図である。
ここに開示する技術の別の実施形態に基づく図12の方法の、理論的に対称的な窓を分析する手順を詳細に示す図である。
図2のオブジェクト像から取り出された、対称性テスト窓を含む領域の概略図である。
図15Aの対称性テスト窓に基づき発生された絶対差の像の概略図である。
別の対称性テスト窓を含む図15Aの領域の概略図である。
図15Cの対称性テスト窓に基づき発生された絶対差の像の概略図である。
別の対称性テスト窓を含む図15Aの領域の概略図である。
図15Eの対称性テスト窓に基づき発生された絶対差の像の概略図である。
別の対称性テスト窓を含む図15Aの領域の概略図である。
図15Gの対称性テスト窓に基づき発生された絶対差の像の概略図である。
対称性テスト窓430を含み、得られる最良の対称性を示す図15Aの領域の概略図である。
図15Jの対称性テスト窓に基づき発生された絶対差の像の概略図である。
ここに開示する技術の更に別の実施形態に基づく図12の方法の、理論的に対称的な窓を識別する手順を詳細に示す図である。
ここに開示する技術の別の実施形態に基づく図16の方法の登録手順を詳細に示す図である。
ここに開示する技術の更に別の実施形態に基づく図16の方法の、対称性に基づく最適化手順を概略的に示す図である。
ここに開示する技術の別の実施形態に基づく図16の方法の補間手順に使用される、対称性からの偏差対水平方向変位を表わす構成を概略的に示す図である。
オブジェクト像領域を表わすピクセルアレイの概略図である。
ここに開示する技術の更に別の実施形態に基づき構成されたシフトされたピクセルアレイの概略図である。
符号の説明
100・・・データベース像、102、104、106・・・データベース像素子、110・・・窓、112・・・対称線、120・・・左窓区分、122・・・右窓区分、130・・・検査オブジェクト像、132、134、136・・・オブジェクト像素子、138・・・欠陥、138F・・・ひっくり返された欠陥、140・・・窓、142・・・対称線、144・・・左窓区分、146・・・右窓区分、146F・・・ひっくり返し像、148・・・左素子部分、150・・・右素子部分、150F・・・ひっくり返された右素子部分、160・・・差の像、162・・・欠陥領域、164・・・ブランク領域、170・・・データベース像、172、176、178、180・・・データベース像素子、181、184、186、188・・・窓、300・・・欠陥検出システム、302・・・データベース、304・・・像スキャナ、306・・・記憶ユニット、308・・・プロセッサ、310・・・ヒューマンインターフェイス、312・・・物理的オブジェクト、360・・・領域、362、380、400、420、430・・・対称性テスト窓、368・・・対称線、370、390、410、425、435・・・絶対差の像