JP2006342458A - 液晶性樹脂繊維からなる不織布 - Google Patents

液晶性樹脂繊維からなる不織布 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の液晶性樹脂繊維のスキン層コア層形成による配向偏在を解決し、部分的なフィブリル化を抑制し、かつフィブリル化させた場合に、強度低下などが起こりにくい液晶性樹脂繊維から形成した強度や高温での寸法安定性に優れ、圧縮変形量の極めて少ない回路基板基材などに好適な不織布を提供するものである。
【解決手段】下記(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の構造単位からなり、構造単位(I)が構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%であり、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して60〜75モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して60〜92モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は実質的に等モルである液晶性樹脂からなる不織布。
【化1】
Figure 2006342458

【選択図】なし

Description

本発明は、従来の液晶性樹脂繊維のスキン層コア層形成による配向偏在を解決し、部分的なフィブリル化を抑制し、かつフィブリル化させた場合に、強度低下などが起こりにくい液晶性樹脂繊維から形成した強度や高温での寸法安定性に優れ、圧縮変形量の極めて少ない回路基板基材などに好適な不織布に関するものである。
液晶性樹脂は、その優れた耐熱性、流動性、電気特性などを活かして、電気・電子用途の小型精密成形品を中心に需要が拡大している。また、近年、その高周波数特性に着目し、フィルムや不織布が回路基板材料やIC基盤などでの利用が検討されている。
特に不織布においては、液晶性樹脂が紡糸などの一方向せん断流動により高配向する特性を利用し、高配向した繊維を不織布とすることで、寸法安定性や耐熱性に優れた不織布を得ることが検討されている(例えば、特許文献1〜3)。
特開平10−325065号公報(第1〜2頁) 特開2001−11731号公報(第1〜2頁) 特開2002−348768号公報(第1〜2頁) 特開2003−166191号公報(第1〜2頁) 特開2004−100047号公報(第1〜2頁) 特開2004−270096号公報(第1〜2頁)
しかし、特許文献1記載の方法は液晶性樹脂を紡糸した後、1.01倍以上の延伸を施すものであるが、液晶性樹脂はせん断流動により紡糸時に一方向に分子配向するが、その配向はスキン層において主に起こるために、延伸において高強度化される部分は張力を受けるスキン層に限定されるものであり、このようなスキン層ばかりが配向した繊維ではコア層が強度や寸法安定性に寄与しないため、得られる効果は十分ではない。
また、引用文献2では、液晶性樹脂繊維の絶対伸長を規定しているが、得られる線膨張係数は十分なものではなく、引用文献3や5、6はバインダーを用いて結着強度を上げているが、液晶性樹脂繊維だけでなる不織布に比べその特性は低くなる。
また、引用文献4ではマイクロガラス繊維を加えて、特性を向上させようとしているが、回路基盤などでは柔軟性が重視されるため、これらの無機フィラーを充填する方法では望まれる特性のものは得られない。
本発明は、これらの方法では十分ではない不織布の寸法安定性や強度を改良することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、これらの方法とは全く異なる思想で、要求される高い寸法安定性や強度を達成するために検討した結果、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は、
(1)下記(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の構造単位からなり、構造単位(I)が構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%であり、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して60〜75モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して60〜92モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は実質的に等モルである液晶性樹脂繊維からなる不織布。
Figure 2006342458
(2)不織布を構成する液晶性樹脂繊維の繊維表面の配向度(Is)と繊維中心部の配向度(Ic)の比(Is/Ic)が1.2未満である上記(1)記載の不織布。
(3)液晶性樹脂を溶融紡糸する際に、樹脂温度を液晶性樹脂の融点+20℃以上とし、かつ口金直下30cmまでの雰囲気温度を融点−50〜融点−10℃の温度範囲に保った状態で紡糸した後、液晶性樹脂のガラス転移温度以上融点−100℃以下の温度において1.005倍未満の延伸を行って得た液晶性樹脂繊維を2〜10mmに切断し、湿式抄紙もしくは乾式抄紙のいずれかの方法を用いて繊維ウェブを形成し、フィブリル化交絡処理を行った後、熱圧着処理またはバインダー含浸処理のいずれかを行う不織布を製造する方法。
(4)液晶性樹脂が下記(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の構造単位からなり、構造単位(I)が構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%であり、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して60〜75モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して60〜92モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は実質的に等モルである液晶性樹脂である上記(3)記載の不織布を製造する方法。
Figure 2006342458
本発明の不織布は、不織布を構成する液晶性樹脂繊維の、繊維の太さ方向の配向偏在が少なく、フィブリル化がしにくく、フィブリル化しても強度低下などが起こりにくいため、これまでの液晶性樹脂繊維不織布よりも強度、寸法精度に優れた不織布が得られ、より高温での高い寸法安定性や工程通過強度が要求される回路基板基材などの電気・電子用途に最適である。
本発明の不織布は、液晶性樹脂繊維からなり、該液晶性樹脂は、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される液晶性樹脂である。
Figure 2006342458
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4´−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位を、構造単位(III)はハイドロキノンから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸から生成した構造単位を、構造単位(V)はイソフタル酸から生成した構造単位を各々示す。
構造単位(I)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%であり、より好ましくは68〜75モル%である。また、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して60〜75モル%であり、より好ましくは65〜73モル%である。また、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して60〜70モル%であり、より好ましくは62〜68モル%である。
特に、構造単位(IV)が構造単位(IV)および(V)の合計に対して62〜68モル%である場合には、本発明の特性である成形加工性がバランス良く発現するため好ましい。
構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は実質的に等モルであるが、ポリマーの末端基を調節するためにカルボン酸成分またはヒドロキシル成分を過剰に加えてもよい。すなわち「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットとしては等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
本発明の液晶性樹脂は、上記構造単位(I)〜(V)を構成する成分以外に2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、4,4´ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,3´−ジフェニルジカルボン酸、2,2´−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、クロルハイドロキノン、3,4´−ジヒドロキシビフェニル、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4´−ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族、脂環式ジオール、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、m−ヒドロキシ安息香酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸、p−アミノ安息香酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸などの芳香族アミノカルボン酸、1,4−フェニレンジアミン、4,4´−ジアミノビフェニル、2,6−ジアミノナフタレンなどの芳香族ジアミン、p−アミノフェノールなどの芳香族ヒドロキシルアミンなどを本発明の構造単位の特異的な組成比を逸脱することなく、本発明の特徴を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
本発明において使用する上記液晶性樹脂の製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
例えば、上記液晶性樹脂の製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4´−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンとテレフタル酸、イソフタル酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性樹脂を製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性樹脂を製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性樹脂を製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性樹脂を製造する方法。
なかでもp−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性樹脂を製造する方法が好ましい。さらに、4,4´−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンの合計使用量とテレフタル酸およびイソフタル酸の合計使用量は、実質的に等モルである。無水酢酸の使用量は、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4´−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンのフェノール性水酸基の合計の1.10当量以下であることが好ましく、1.05当量以下であることがより好ましく、下限については1.0当量以上であることが好ましい。
本発明の液晶性樹脂を脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶性樹脂が溶融する温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、無水酢酸を攪拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら加熱し水酸基をアセチル化させた後、液晶性樹脂の溶融温度まで昇温し、減圧により重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。アセチル化させる条件は、通常130〜300℃の範囲、好ましくは135〜200℃の範囲で通常1〜6時間、好ましくは140〜180℃の範囲で2〜4時間反応させる。重縮合させる温度は、液晶性樹脂の溶融温度、例えば、250〜350℃の範囲であり、好ましくは液晶性樹脂の融点+10℃以上の温度である。重縮合させるときの減圧度は通常0.1mmHg(13.3Pa)〜20mmHg(2660Pa)であり、好ましくは10mmHg(1330Pa)以下、より好ましくは5mmHg(665Pa)以下である。なお、アセチル化と重縮合は同一の反応容器で連続して行っても良いが、アセチル化と重縮合を異なる反応容器で行っても良い。
得られたポリマーは、それが溶融する温度で反応容器内を例えば、およそ1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少ない優れたポリマーを得ることができ、好ましい。
本発明の液晶性樹脂を製造する際に、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。例えば、本発明の液晶性樹脂のポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕し、窒素気流下、または、減圧下、液晶性樹脂の融点−5℃〜融点−50℃(例えば、200〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、所望の重合度まで重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。固相重合法は高重合度のポリマーを製造するための有利な方法である。
液晶性樹脂の重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
本発明の液晶性樹脂は、数平均分子量は3,000〜25,000であることが好ましく、より好ましくは5,000〜20,000、より好ましくは8,000〜18,000の範囲である。
なお、この数平均分子量は液晶性樹脂が可溶な溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定することが可能である。
また、本発明における液晶性樹脂の溶融粘度は1〜200Pa・sが好ましく、10〜200Pa・sがより好ましく、さらには10〜100Pa・sが特に好ましい。
なお、この溶融粘度は液晶性樹脂の融点+10℃の条件で、ずり速度1,000/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
本発明の液晶性樹脂は、式1で定義されるΔS(融解エントロピー)が0.9×10−3J/g・K以下であることが好ましく、このような液晶性樹脂は、無配向に近い状態であっても、とりわけ高い機械的強度を発現する。
ΔS(J/g・K)=ΔHm(J/g)/[Tm(℃)+273] −[1]
ここで、Tmは示差熱量測定において、重合を完了したポリマを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2 )を指し、ΔHmは該吸熱ピーク面積から算出した融解熱量(ΔHm2)である。
ΔSは0.9×10−3J/g・K以下であることが好ましいが、より好ましくは、0.7×10−3J/g・K以下であり、更に好ましくは0.5×10−3J/g・K以下である。
ただし、ΔSは0であることはなく、マイナスの値にもならないため、0より大きい実数範囲をとる。
本発明の液晶性樹脂の融点(Tm2)は、特に限定されるものではないが、280〜360℃が好ましく、300〜340℃がより好ましい。
ΔHmおよびTmの測定において、ピークが得られない場合には、ΔSを算出することができず、このようなピークの観測されない液晶性樹脂は、上記好ましい範囲を満たさないものと解釈する。
ΔSがこのような範囲にある場合には、液晶性樹脂の分子鎖が溶融状態および固体状態において、非常に秩序だった状態で存在しており、紡糸時に高配向を受けなくても、分子鎖の乱れが小さくきれいに配列するために、強度および寸法安定性に特に優れた繊維が得られるものと考えられる。
本発明の液晶性樹脂には、繊維化に支障とならない程度の微細な充填剤を配合することができる。
微細な充填剤としては、10μm以下の平均粒子径の粒状もしくは15μm以下の平均繊維長、3μm以下の平均繊維径の繊維状の充填剤が好ましく、5μm以下の平均粒子径の粒状の充填剤がより好ましい。
該繊維状の充填剤としては、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどのウィスカー状充填材が挙げられる。
該粒状の充填剤としては、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウムおよび黒鉛などが挙げられ、特にタルク、シリカ、クレーなどが好ましく、シリカが最も好ましい。
シリカとしては、真球状シリカが好ましく、その平均粒径については、0.2〜0.6μmであることが好ましく、0.3〜0.5μmがより好ましい。数平均粒径はレーザー回折式粒度分布計において測定できる。
本発明に使用される上記の充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
また、本発明の液晶性樹脂には、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料および顔料を含む着色剤、導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤などの通常の添加剤、熱可塑性樹脂以外の重合体を配合して、所定の特性をさらに付与することができる。
これらの添加剤を配合する方法は、溶融混練によることが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、180〜350℃、より好ましくは250〜320℃の温度で溶融混練して液晶性樹脂組成物とすることができる。その際には、1)液晶性樹脂、任意成分である充填材およびその他の添加剤との一括混練法、2)まず液晶性樹脂にその他の添加剤を高濃度に含む液晶性樹脂組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるようにその他の熱可塑性樹脂、充填材およびその他の添加剤を添加する方法(マスターペレット法)、3)液晶性樹脂とその他の添加剤の一部を一度混練し、ついで残りの充填材およびその他の添加剤を添加する分割添加法など、どの方法を用いてもかまわない。
本発明の不織布を構成する液晶性樹脂繊維を製造する方法としては、特に限定されず、公知の溶融紡糸法を用いることができる。
液晶性樹脂繊維の繊度は、不織布を製造できる繊度であればよいが、単繊維5d(デニール)以下が好ましく、抄紙においては、地合、密度の面から、3d以下がより好ましく、2d以下がより好ましい。
単繊維強度に関しては、1〜20cN/dtexが好ましく、不織布に加工処理時のカット性の面から、4〜15cN/dtexがより好ましく、9〜14cN/dtexが最も好ましい。
不織布を製造する際には、溶融紡糸により製造した液晶性樹脂繊維を長繊維もしくは単繊維カットファイバーとし、乾式抄紙、湿式抄紙にウェブを形成した後、ニードルパンチやをウォータージェット、水流(スパンレース)により交絡させる方法でも、スパンボンドやメルトブローによりウェブを形成する方法のいずれも用いることができ、好ましくは短繊維カットファイバーをニードルパンチにより交絡させる方法が好ましい。
繊維ウェブの形成時には、コロナ放電などの帯電処理や圧縮空気による開繊処理をすることも可能である。
湿式不織布を製造する場合、単繊維3d以下でかつ繊維長2〜10mmのカットファイバーを使用するのが好ましい。カット長が長すぎるとパルプ状物が絡まりやすく水分散性が低下し、カット長が短すぎれば、パルプ状物間の絡合が小さく紙に加工したときに十分な強度が得られない。得られたパルプ状物に分散剤を添加してもよい。
シートの成型性、繊維間の接着性、柔軟性等を改善する点においては、バインダー繊維あるいは樹脂状バインダー等のバインダー成分を併用するのが好ましく、不織布の全量に対して、1重量%以上95重量%以下、特に2重量%以上50重量%以下配合するのが好ましい。配合可能な成分は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリパラオキシ安息香酸、ポリエチレンアミド、ポリフェニレンケトン、ポリイミド、ポリビフェニルイミド、フェノール繊維、ポリカーボネート繊維等が挙げられる。耐熱性、電気絶縁性に優れている点から、アミン・エポキシドバインダーが好適に使用できる。
乾式不織布を製造する場合には、本発明の液晶性樹脂繊維の場合、単繊維1〜5d、繊維長15〜110mm程度が好ましい。該繊維への捲縮の有無については、特に限定はされないが、クリンプを有する繊維がより好ましい。
液晶性樹脂を溶融状態とし、短繊維カットファイバーを製造する際には、液晶性樹脂の配向状態を制御することが好ましい。
一般に溶融液晶形成性ポリエステルは、結晶化速度が非常に早く、また配向しやすいため、比較的低速度、低ドラフトで紡糸した場合であっても十分な配向結晶化がおこるとされており、一般的に延伸工程なしで製造される。
そのため、公知の液晶溶融紡糸法では、ドラフト限界が低いことが知られており、ノズルから吐出する際のせん断配向が繊維の配向度を決定づけているが、せん断配向では、液晶性樹脂のスキン層が主に配向することは周知の事実である。
そのため、繊維の太さ方向の中心部(コア部)は低配向であり、表層部(スキン部)が繊維の強度や寸法安定性を発現しているが、液晶性樹脂を不織布とする際にウォータージェット処理、ニードルパンチ処理などの交絡処理をするとフィブリル化することで交絡密度が高くなるが、スキン層がフィブリル化することで、強度や寸法安定性の低下は避けられない。
そこで、本願では、この液晶性樹脂繊維の太さ方向の配向強度の偏在を解消するために検討した結果、特定の組成の液晶性樹脂を用いることで、偏在が解消されうることを見出したものであるが、溶融紡糸方法により更に好ましい形態に近づけることができる。
すなわち、該液晶性樹脂を溶融紡糸する際に、樹脂温度を液晶性樹脂の融点+20℃以上とし、かつ口金直下30cmまでの雰囲気温度を融点−50〜融点−10℃の温度範囲に保った状態で紡糸することにより、溶融紡糸においてはスキン層のみの高度配向を抑制することができる。
樹脂温度としては、より好ましくは液晶性樹脂の融点+25℃以上であり、上限は+40℃である。
雰囲気温度としては、より好ましくは融点−35℃〜融点−15℃である。
紡糸速度は500〜6000m/分で行えるが、1000〜5000m/分の高速紡糸が好ましい。
ノズルとしては、太さ方向のせん断配向偏在を少なくするために、細径が好ましく、具体的には0.3mmφ以下が好ましく、0.15mmφ以下がより好ましい。
ノズル形状としては、直孔であっても、部分的もしくは全体がテーパーであってもよく、テーパーノズルが紡糸安定性、配向制御の点から好ましい。
テーパーノズルで圧縮を加えながら紡糸することで、繊維太さ方向の配向偏在を少なくすることができ好ましい。
テーパー長は5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、15mm以上が更に好ましい。テーパー角度は1〜30°が好ましく、5〜15°がより好ましい。
こうして溶融紡糸した液晶性樹脂繊維は、太さ方向の配向度の偏在が小さく、かつ固化までの雰囲気温度を高温に保つことで、スキン層にもコア層と同等の分子配向の緩い部分(非配列部)が存在する。
こうして得た液晶性樹脂繊維は、従来の液晶性樹脂繊維よりもフィブリル化した際の強度、寸法安定性の損失が少ないが、更に好ましくは、液晶性樹脂のガラス転移温度以上融点−100℃以下の温度において1.01倍未満の延伸を行うことが好ましい。
液晶性樹脂のガラス転移温度は動的粘弾性測定装置(DMS)により、tanδのピーク温度として検出され、50〜250℃程度に観測され、本発明では好ましくは100℃以上であり、より好ましくは110℃以上である。
延伸温度は、より好ましくは液晶性樹脂のガラス転移温度以上液晶性樹脂のガラス転移温度+50℃以下である。延伸温度が高すぎると、配向が緩和してしまい、低すぎると張力にもよるが物理的な欠点を生じるため、好ましくない。
延伸倍率は1.005未満がより好ましく、延伸倍率が1.01倍以上であると、残留ひずみが大きくなりすぎ、熱変形量が大きくなるため好ましくない。
この残留ひずみの解消のために、熱処理を行うと、表面荒れなどの問題が起こり好ましくない。
この極微量の延伸により、残留している非配列部に、スキン層、コア層等力で延伸が加えられ、全体として高度に配向し、かつ配向の偏在のない液晶性樹脂繊維が得られる。また、この繊維には残留ひずみが少なく、寸法安定性に優れている。
延伸の方法としては、紡糸した液晶性樹脂繊維を巻き取ることなく、テンターロールに導き、繊維温度が冷却過程で該温度となった所でロール間で延伸を行う方法や、一度巻き取った後に延伸機にかけて昇温し延伸を行う方法などがあるが、再昇温をかけると結晶化が促進されるので、冷却工程での調温しながらの延伸が好ましい。
配向の偏在については、繊維表面の配向度(Is)と繊維中心部の配向度(Ic)の比(Is/Ic)が1.2未満であることが好ましく、より好ましくは1.1未満、1.05未満が更に好ましい。
繊維の配向度比(Is/Ic)は、例えば理学製RINT2500微小部X線回折装置を用い、繊維中心を長さ方向にミクロトームで切削した断面について、表層から100nmを表層部として2θ=19〜20°に観測される液晶性樹脂の繊維長方向に平行な方向での回折ピーク強度をIsとし、中心部の100nmの同様に観測される液晶性樹脂の繊維長方向に平行な方向での回折ピーク強度をIcとして算出できる。
このように、液晶性樹脂繊維の太さ方向の配向分布を制御することで、液晶性樹脂繊維の持つ理論的強度や液晶性樹脂の理論的線膨張係数に近い寸法安定性を発現する。
該方法により、液晶性樹脂繊維がスキンコアの全部分において偏在することなく高配向しているために、スキン層だけがフィブリル化する従来のフィブリル化現象とそれに伴う強度発現部位であるスキン層の消失による単繊維強度の低下を引き起こしにくく、不織布とした場合に、非常に高い寸法安定性と強度を発現し、かつバインダーを有さない液晶性樹脂不織布のみであっても低圧縮歪みである極めて物理的外力や温度変化に対し寸法安定性の高い不織布が得られる。
溶融紡糸後、ウェブ形成後のいずれの工程においてもホモナイザーなどを用いて液晶性繊維をフィブリル化し、交絡効率を向上することができる。
本発明の液晶性樹脂繊維はスキン層とコア層の配向偏在が少ないため、該処理によってフィブリルが繊維から剥離されて抜け落ちることが少なく、フィブリル開繊して綿状の屑を生じることが少ない。
得られた繊維ウェブはバインダーを含浸したり、熱処理により一体接合することで不織布とすることができ、熱処理としては、全体もしくはウェブの一部を適宜熱プレスやカレンダー処理により一体接合することが可能である。
熱プレス温度150〜300℃等の高温処理においても、本発明に係る液晶性樹脂繊維は実質的に溶融することなく、また熱的耐熱性は優れていることから伸長もなく、優れた機械的特性及び寸法安定性を有する耐熱性不織布を得ることができる。
本発明の不織布および液晶性樹脂繊維についても、十分な強度、弾性率を有しているが、弛緩熱処理あるいは緊張熱処理により性能を更に向上させることが出来る。
熱処理は、窒素等の不活性ガス雰囲気中や、空気の如き酸素含有の活性ガス雰囲気中または減圧下で行うことが可能である。熱処理雰囲気は露点が−40℃以下の低湿気体が好ましい。熱処理条件としては、芯成分の融点マイナス40℃以下から鞘成分の融点以下まで順次昇温して行く温度パターンで行うことが好ましい。さらに処理時間は、目的性能により数分から数十時間行われる。
熱処理時における熱の供給は、気体等の媒体を用いる方法、加熱板、赤外線ヒーター等による輻射を利用する方法、熱ローラー、熱プレート等に接触させて行う方法、高周波等を利用した内部加熱方法等が使用できる。また、熱処理は目的により緊張下あるいは無緊張下で行ない、形状はカセ状、トウ状(例えば、金属網等にのせて行う)、あるいはローラー間で連続的に処理することも可能である。
緊張熱処理は、芯成分の融点マイナス60℃以下の温度で、切断強力の5〜50%の張力をかけた状態で行うことが好ましく、この処理により弾性率はさらに改善される。
本発明により得られる液晶性樹脂繊維を用いた不織布は、フィブリル化させた場合にもフィブリルの脱落などが少なく、配向偏在がないために強度低下や寸法安定性の低下が少ない、さらに高温中における形態安定性に優れ、圧縮変形量が少ないことから、これらの特性を活かし、さまざまな分野に用いることができる。
例えば、産業用資材用途等に広く用いられ、特に軸受けの摩耗材、パッキン材、ガスケット材、フィルター、研磨材、絶縁紙、耐熱紙、スピーカーコーン、ワイッピングクロス、樹脂強化材などに優れた性能を発揮する。
中でも、本発明により得られる液晶性樹脂繊維を用いた不織布は、電気絶縁性及び機械的性能、寸法安定性にも優れるため、回路基材、電気絶縁紙などに優れた性能を発揮できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(参考例1)
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870g(6.300モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル327g(1.890モル)、ハイドロキノン89g(0.810モル)、テレフタル酸292g(1.755モル)、イソフタル酸157g(0.945モル)および無水酢酸1367g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、330℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが10kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性樹脂(A−1)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して70モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して70モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して65モル%からなり、Tm(液晶性樹脂の融点)は314℃で、ガラス転移温度(Tg)120℃、数平均分子量12,000であり、高化式フローテスターを用い、温度324℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が15Pa・sで温度334℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が12Pa・sあった。
なお、融点(Tm)は示差熱量測定において、ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)とした。
ガラス転移温度は動的粘弾性測定装置(DMS)により、tanδのピーク温度を測定し、Tgとした。
また、分子量は液晶性樹脂が可溶な溶媒であるペンタフルオロフェノールを使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定し、数平均分子量を求めた。
(参考例2)
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994g(7.20モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を338.7g(1.80モル)、および無水酢酸965g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、330℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を330℃に保持し、重合温度を330℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、放圧し1.0時間で133Paに減圧し、更に120分間反応を続け、トルクが15kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性樹脂(A−2)はp−オキシベンゾエート単位が80モル%、6−オキシ−2−ナフタレート単位が20モル%であり、Tm(液晶性樹脂の融点)は320℃で、ガラス転移温度105℃、数平均分子量11,100であり、高化式フローテスターを用い、温度330℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が22Pa・s、温度340℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が14Pa・sであった。
(参考例3)
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸932g(6.75モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル419g(2.25モル)、テレフタル酸280g(1.69モル)、イソフタル酸93g(0.56モル)及び無水酢酸1286g(フェノール性水酸基合計の1.12当量)を仕込み、155℃で2時間反応させた後、350℃まで4時間かけて昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、放圧し1.0時間で133Paに減圧し、さらに30分間反応させトルクが15kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性樹脂(A−3)はp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位の合計に対して75モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位の合計に対して25モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して75モル%からなり、融点335℃、ガラス転移温度110℃、数平均分子量12,800であり、高化式フローテスターを用い、温度345℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・s、温度355℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が15Pa・sあった。
実施例1
液晶性樹脂(A−1)を樹脂温度を融点+26℃(340℃)、口金直下30cmの雰囲気温度を融点−24℃(290℃)において、テーパー長10mm、テーパー角度10°の先細りテーパーノズル(ノズル径0.1mmφ)を用いて、紡糸速度2000m/分で溶融紡糸を行った。
ローラーを介して導入時に繊維表面温度が150℃となるように延伸部に導入し、ローラー間を150℃雰囲気に保ちながら1.0035倍に延伸を行い、繊度2dtex、強度13.5cN/dtexの液晶性樹脂繊維を得た。該繊維を5mm長さにカットし、得られた繊維を、湿式抄紙を行い、ニードルパンチにより交絡させ、目付70g/m、でウェブを作成した。
230℃、線圧30kg/cmで熱カレンダー処理を行い、不織布を作成した。該不織布にエポキシ樹脂接着剤にて塗工後、乾燥処理し、2枚重ねて熱プレスし得られた不織布を評価した。
以下(1)〜(5)の評価を行った。
(1)フィブリル脱落重量変化(%)
ニードルパンチ前後のウェブ重量を測定し、ニードルパンチ前のウェブ重量からニードルパンチ後のウェブ重量を引き、ニードルパンチ前のウェブ重量で割った値をフィブリル脱落重量変化(%)とした。重量減少は洗浄水フィルター目詰まりの微細フィブリル屑重量と対応していた。
(2)フィブリル化前後の強度保持率(%)
ホモナイザー処理前後での単繊維強度の保持率を測定し、処理前後での強度保持率を求めた。単繊維強度は50mm長にカットした繊維を用いて処理を行い、JIS L1013に準じオリエンテック社製テンシロンUCT−100を用いて測定した。
(3)不織布強度(Kg/mm)
不織布の引張強度をJIS−P8116に従い評価した。
(4)寸法安定性(ppm/℃)
IPC TM650に従い、不織布の面線膨張係数を測定し、寸法安定性とした。
(5)配向の偏在
理学製RINT2500微小部X線回折装置を用い、繊維中心を長さ方向にミクロトームで切削した断面について、表層から100nmを表層部として2θ=19〜20°に観測される液晶性樹脂の繊維長方向に平行な方向での回折ピーク強度をIsとし、中心部の100nmの同様に観測される液晶性樹脂の繊維長方向に平行な方向での回折ピーク強度をIcとして配向度比(Is/Ic)を算出した。
実施例2
実施例1の口金直下30cmの雰囲気温度を融点−44℃(290℃)に変え、他は同じ条件で溶融紡糸を行い、延伸、不織布の製造を行った。評価は実施例1と同様に行った。
実施例3
実施例1の口金直下30cmの雰囲気温度を融点−12℃(290℃)に変え、他は同じ条件で溶融紡糸を行い、延伸、不織布の製造を行った。評価は実施例1と同様に行った。
比較例1
液晶性樹脂(A−2)を融点+26℃(346℃)、口金直下30cmの雰囲気温度を融点−24℃(296℃)において、テーパー長10mm、テーパー角度10°の先細りテーパーノズル(ノズル径0.1mmφ)を用いて、紡糸速度2000m/分で溶融紡糸を行った。
ローラーを介して導入時に繊維表面温度が135℃となるように延伸部に導入し、ローラー間を135℃雰囲気に保ちながら1.0035倍に延伸を行い、
繊度2dtex、強度13.5cN/dtexの液晶性樹脂繊維を得た。該繊維を5mm長さにカットし、得られた繊維を、湿式抄紙を行い、ニードルパンチにより交絡させ、目付70g/m、でウェブを作成した。
230℃、線圧30kg/cmで熱カレンダー処理を行い、不織布を作成した。
該不織布にエポキシ樹脂接着剤にて塗工後、乾燥処理し、2枚重ねて熱プレスし得られた不織布を評価した。
実施例1と同様に評価を行った。
比較例2
比較例1の口金直下30cmの雰囲気温度を23℃(室温)に変え、他は同じ条件で溶融紡糸を行い、延伸、不織布の製造を行った。評価は実施例1と同様に行った。
比較例3
比較例1の延伸倍率のみを1.015倍に変え、他は同じ条件で溶融紡糸を行い、延伸、不織布の製造を行った。評価は実施例1と同様に行った。
比較例4
比較例1の溶融紡糸温度のみを融点+15℃(335℃)に変え、他は同じ条件で溶融紡糸を行い、延伸、不織布の製造を行った。評価は実施例1と同様に行った。
比較例5
液晶性樹脂(A−3)を融点+26℃(361℃)、口金直下30cmの雰囲気温度を融点−24℃(311℃)において、テーパー長10mm、テーパー角度10°の先細りテーパーノズル(ノズル径0.1mmφ)を用いて、紡糸速度2000m/分で溶融紡糸を行った。
ローラーを介して導入時に繊維表面温度が140℃となるように延伸部に導入し、ローラー間を140℃雰囲気に保ちながら1.0035倍に延伸を行い、
繊度2dtex、強度13.5cN/dtexの液晶性樹脂繊維を得た。該繊維を5mm長さにカットし、得られた繊維を、湿式抄紙を行い、ニードルパンチにより交絡させ、目付70g/m、でウェブを作成した。
230℃、線圧30kg/cmで熱カレンダー処理を行い、不織布を作成した。
該不織布にエポキシ樹脂接着剤にて塗工後、乾燥処理し、2枚重ねて熱プレスし得られた不織布を評価した。
実施例1と同様に評価を行った。
Figure 2006342458
表1からも明らかなように本発明の液晶性樹脂を用いた不織布は、比較例の液晶性樹脂を用いた不織布に対して、繊維の太さ方向の配向偏在が少ないために、フィブリル化時のフィブリルの脱落が少なく、フィブリル化前後の強度低下が小さいために、不織布の強度や寸法安定性も高い。
また、実施例の不織布は、圧縮変形量が小さく、物理的外力に対しても寸法が安定であった。
このように、本発明の液晶性樹脂を用い、特殊な紡糸法、延伸法により配向制御を行った本発明の液晶性樹脂繊維を用いた不織布はこれらの特性が要求される回路基板基材などに有用である。

Claims (4)

  1. 下記(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の構造単位からなり、構造単位(I)が構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%であり、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して60〜75モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して60〜92モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は実質的に等モルである液晶性樹脂からなる不織布。
    Figure 2006342458
  2. 不織布を構成する液晶性樹脂繊維の繊維表面の配向度(Is)と繊維中心部の配向度(Ic)の比(Is/Ic)が1.2未満であることを特徴とする請求項1記載の不織布。
  3. 液晶性樹脂を溶融紡糸する際に、樹脂温度を液晶性樹脂の融点+20℃以上とし、かつ口金直下30cmまでの雰囲気温度を融点−50〜融点−10℃の温度範囲に保った状態で紡糸した後、液晶性樹脂のガラス転移温度以上融点−100℃以下の温度において1.005倍未満の延伸を行って得た液晶性樹脂繊維を2〜10mm長に切断し、湿式抄紙もしくは乾式抄紙のいずれかの方法を用いて繊維ウェブを形成し、フィブリル化交絡処理を行った後、熱圧着処理またはバインダー含浸処理のいずれかを行う不織布を製造する方法。
  4. 液晶性樹脂が下記(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の構造単位からなり、構造単位(I)が構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%であり、構造単位(II)は構造単位(II)および(III)の合計に対して60〜75モル%であり、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して60〜92モル%であり、構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は実質的に等モルである液晶性樹脂である請求項3記載の不織布を製造する方法。
    Figure 2006342458
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