JP2006330131A - 電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄膜でも接触帯電部材と感光体との間で局所的な電場の集中を防止し、電荷リークを引き起こすことのない下引き層を有する電子写真感光体を提供する。
【解決手段】接触帯電を行う画像形成装置に用いる電子写真感光体であって、導電性支持体上に下引き層及び感光層をこの順に有し、下引き層が少なくとも金属酸化物粒子とバインダー樹脂を含有しており、金属酸化物粒子が有機珪素化合物で表面処理されており、かつバインダー樹脂がアルコキシアルキル基を導入したナイロン樹脂を含むように構成して、上記課題を解決した。有機珪素化合物が下記一般式で示される化合物であることが好ましい(式中、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基を示し、Rはアルキル基及びアルコキシ基の群より選ばれた基を示す)。
Figure 2006330131

【選択図】なし

Description

本発明は、特に接触帯電を行う画像形成装置に搭載され、少なくとも下引き層と感光層を有する電子写真感光体、及びその電子写真感光体を備えた画像形成装置に関するものである。
電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を形成したものが基本構成である。従来、電子写真感光体の感光層には、セレン、セレン−テルル合金、セレン化ヒ素、硫化カドミウム等の無機系光導電物質が広く用いられてきたが、近年では低公害であり、製造が容易な有機系光導電物質を用いることが主流となっている。特に光を吸収して電荷を発生する機能と、発生した電荷を輸送する機能とを分離した、電荷発生層及び電荷移動層からなる積層型の感光層が主流となっている。
電子写真感光体において、導電性支持体からの電荷注入の向上、導電性支持体の欠陥による画像欠陥の解消、導電性支持体と感光層との接着性の向上、及び帯電性の改善等のために、感光層と導電性支持体との間に下引き層を設けることが行われている。こうした下引き層としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、ポリビニルアルコール、カゼイン、ゼラチン等の樹脂材料を用いることが知られている。これらの樹脂材料の中でも特に有機溶剤可溶性ポリアミド樹脂が好ましいとされている。ポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン8、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、又はこれらを共重合したものが挙げられるが、有機溶剤に可溶であればいずれでもよい。また、残留電位やカブリ等の画像特性の観点から、下記構造式に示されるジアミン成分を構成成分として有する共重合ポリアミド樹脂が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。なお、下記式中、A、Bは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいシクロヘキシル環を表し、R、Rは、それぞれ独立して水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を表す。
Figure 2006330131
更に、これら共重合ナイロンを変性処理したN−アルコキシメチル化ナイロン樹脂を用いた下引き層を有する電子写真感光体は、帯電性が高く、暗減衰が低く、良好な画像特性を示すことが報告されている(例えば、特許文献2を参照)。
一方、ポリアミド樹脂に無機材料を分散させた下引き層としては、例えば、バンドギャップが2〜4eVの金属酸化物粒子である酸化チタンと酸化スズを8−ナイロンに分散させたもの(例えば、特許文献3を参照)、アルミナ処理した酸化チタンをポリアミド樹脂に分散させたもの(例えば、特許文献4を参照)、また、画像特性を乱さず、電気特性を向上させる目的で、平均1次粒子径が100nm以下の酸化チタン粒子をポリアミド樹脂に分散させたもの(例えば、特許文献1を参照)、更には、環境特性を改善する目的で、有機珪素化合物で処理した金属酸化物粒子をポリアミド樹脂等のバインダー樹脂に分散させたもの(例えば、特許文献5を参照)が提案されている。
ところで、感光体の表面を所定の電位に均一に帯電処理する手法として、ワイヤ電極とシールド電極を主構成部材とするコロナ放電器が用いられてきた。しかし、このコロナ放電器では、(i)4〜8kVといった高電圧をワイヤーに印加する必要があり、放電器自体が大型化するという問題、(ii)ワイヤからの放電電流の大半がシールド電極に流れ、感光体に流れるコロナ電流が非常に少ないといった帯電効率の低さの問題、(iii)コロナ放電によってオゾン等の発生があり、感光体のオゾン劣化による画像ボケが生じ易く、またオゾンの人体への影響を考慮してオゾン吸収・分解フィルタ及び気流発生手段であるファンが必要であるといった問題、(iv)高電界によってワイヤ自身が汚れ、放電にムラが生じ易く、それによって画像のムラが現れるといった問題等を有している。
このため最近では、帯電方法として、電圧を外部より印加した導電性弾性ローラや導電性繊維ブラシ、フィルム等を感光体表面に接触させることにより帯電させる接触帯電方法を採用する装置が増加してきている。このような接触帯電方法は、従来のコロナ放電を使用した帯電器と比較してオゾンの発生量が格段に少ないことから注目されている帯電方式の一つである。
特開平10−69116号公報 特開昭58−95351号公報 特開昭62−280864号公報 特開平2−181158号公報 特開平11−15183号公報
しかしながら、電子写真感光体の導電性支持体上に表面欠陥又は塗膜欠陥が存在すると、その欠陥が原因となり、帯電部材と感光体との間で局所的な電場の集中が起って電荷リークが生じ、形成画像には、そのリーク点に対応した黒点又は白点状のスポット欠陥が発生する。従来のコロナ放電を使用した帯電器では、点に対応したスポット欠陥が発生するに過ぎないが、接触帯電方法による画像形成装置においては、接触帯電部材と感光体ドラムとが軸方向で接触しているので、感光体ドラムに存在する欠陥に基づく電荷リークが著しい場合には、その欠陥で生じる電荷リークにより接触帯電部材全体の電位が低下してしまい、感光体ドラムの軸方向全体の帯電能が低下し、帯電不良をきたして帯状の帯電ムラによる画像欠陥となってしまうという問題が生じる。
これらの問題に対しては、下引き層をなるべく厚膜化することが有効であるが、下引き層を厚膜にすると残留電位が著しく上昇し使用に耐えられないレベルになってしまうのが通常であった。また、ポリアミド樹脂に酸化チタンを分散した下引き層等のように、バインダー樹脂中に金属酸化物を分散した下引き層では、金属酸化物の比率を大きくすることにより厚膜であっても良好な電気特性を示す場合があるが、下引き層中に導通路が形成されて導電性支持体側からのホールの過剰注入を引き起こすことにより、特に高温高湿環境下では黒ポチ、カブリ等の画像特性が悪くなるという欠点や、初期の電気特性は良くても繰り返しにより帯電電位が降下したり残留電位が上昇し易いという欠点をもっている。また、これら下引き層中に導通路が形成されることにより、局所的に電場が集中し、電荷リークの原因となることもある。
また、下引き層のバインダー樹脂中に、カーボンブラック、黒鉛、金、銀、パラジウム、白金、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属粉又は金属フレーク、炭素繊維、金属化ガラス繊維、ステンレス繊維、アルミ繊維等の導電性繊維、酸化インジウム、酸化スズ、酸化スズにアンチモン,インジウム等の金属元素がドープされた透明導電フィラー等の粉末等を添加することにより、下引き層の抵抗を低減し、厚膜にしても電気特性を良好に保つ試みがなされているが、金属酸化物の比率を大きくした場合と同様に、下引き層中に導通路が形成されることにより、画像欠陥や電荷リークを引き起こす問題がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、薄膜でも接触帯電部材と感光体との間で局所的な電場の集中を防止し、電荷リークを引き起こすことのない下引き層を有する電子写真感光体を提供すること、及びそうした電子写真感光体を備えた画像形成装置を提供することにある。
本発明者は、接触帯電を行う画像形成装置に用いる電子写真感光体において、下引き層が薄膜でも電荷リークを引き起こさない下引き層形成用材料について検討した結果、有機珪素化合物で表面処理された金属酸化物粒子と、アルコキシアルキル基を導入したナイロン樹脂からなるバインダー樹脂とを必須成分とした下引き層形成用材料で下引き層を形成することにより上記目的が達成されることを新たに見いだした。
即ち、本発明の電子写真感光体は、接触帯電を行う画像形成装置に用いる電子写真感光体であって、導電性支持体上に下引き層及び感光層をこの順に有し、該下引き層が少なくとも金属酸化物粒子とバインダー樹脂を含有しており、該金属酸化物粒子が有機珪素化合物で表面処理されており、かつ該バインダー樹脂がアルコキシアルキル基を導入したナイロン樹脂を含むことを特徴とする。
この発明によれば、有機珪素化合物で表面処理された金属酸化物粒子が、電場が集中して電荷リークの原因となる導通路の形成を極力抑制するように作用し、また、アルコキシアルキル基を導入したナイロン樹脂を含むバインダー樹脂も、電場が集中して電荷リークの原因となる導通路の形成を極力抑制するように作用すると共に、帯電性を向上させ、暗減衰を抑制して良好な画像特性を奏するように作用するので、これらを少なくとも含有する下引き層を備えた本発明の電子写真感光体は、電荷リークに基づいた黒点や白点状のスポット欠陥の発生を防ぐことができる。特に本発明の電子写真感光体は接触帯電を行う画像形成装置に用いられるので、接触帯電部材と感光体ドラムとが軸方向で接触した場合における感光体ドラムの軸方向全体の帯電能の低下を防ぎ、帯電不良をなくすことができる。
本発明の電子写真感光体においては、前記有機珪素化合物が下記一般式で示される化合物であることが好ましい。なお、下記式中、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基を示し、Rはアルキル基及びアルコキシ基の群より選ばれた基を示す。
Figure 2006330131
また、本発明の電子写真感光体においては、前記接触帯電を行う画像形成装置がローラ状の帯電部材を用い、かつ該ローラ状の帯電部材が有する表面部材の体積抵抗率が10Ω・cm以上であることが好ましい。
上記課題を解決するための本発明の画像形成装置は、少なくとも、上記本発明の電子写真感光体と、接触帯電部材とを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、電荷リークに基づいた黒点や白点状のスポット欠陥の発生を防ぐことができる電子写真感光体を備えるので、接触帯電部材と感光体ドラムとが軸方向で接触する際に、電荷リークにより感光体ドラムの軸方向全体の帯電能が低下するという現象をなくし、その現象に基づいた帯電不良をなくすことができる。
本発明の電子写真感光体によれば、電荷リークに基づいた黒点や白点状のスポット欠陥の発生を防ぐことができるので、接触帯電部材と感光体ドラムとが軸方向で接触した場合における感光体ドラムの軸方向全体の帯電能の低下を防ぎ、帯電不良をなくすことができる。
また、本発明の画像形成装置によれば、接触帯電部材と感光体ドラムとが軸方向で接触する際に、電荷リークにより感光体ドラムの軸方向全体の帯電能が低下するという現象をなくし、その現象に基づいた帯電不良をなくすことができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要素の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
(電子写真感光体)
本発明の電子写真感光体は、接触帯電を行う画像形成装置に用いる電子写真感光体であって、導電性支持体上に下引き層及び感光層をこの順に有し、下引き層が少なくとも金属酸化物粒子とバインダー樹脂を含有しており、金属酸化物粒子が有機珪素化合物で表面処理されており、かつバインダー樹脂がアルコキシアルキル基を導入したナイロン樹脂を含むことに特徴を有する。本発明の電子写真感光体の形状は、ドラム状、シート状又はベルト状等いずれでもよいが、本発明においては、主にドラム状の電子写真感光体について説明する。以下、本発明の各構成要素を順に説明する。
(下引き層)
下引き層は、導電性支持体と感光層との間に設けられるものであり、単一層であっても、複数層からなるものであっても構わないが、少なくとも、有機珪素化合物で表面処理された金属酸化物粒子と、アルコキシアルキル基を導入したナイロン樹脂を含むバインダー樹脂とを含有する。
下引き層に用いる金属酸化物粒子としては、電子写真感光体に使用可能な種々の公知のものをいずれも使用することができるが、n型性(電子輸送性)の金属酸化物からなる粒子が好ましい。そのような金属酸化物としては、具体的には、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩、酸化チタン、酸化チタンに酸化ニッケル又は酸化アンチモン等を固溶させたもの(チタンイエロー)、酸化チタンに酸化ニッケル、酸化亜鉛又は酸化コバルト等の金属酸化物を固溶させたもの、及び、酸化チタンにニオブ、アンチモン、タングステン、インジウム、ニッケル、鉄又は珪素等の金属元素をドープしたもの、等々挙げられる。これらは、一種類の粒子を単独で用いてもよいし、複数の粒子を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いても構わない。
これらの中でも、価格及び化合物としての安定性の観点から、酸化チタン粒子が好ましい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができるが、安定なルチル型の酸化チタンが好ましい。なお、酸化チタンは、単一の結晶型のものを用いてもよいし、2種以上の結晶型を任意の組み合わせ及び比率で用いても構わない。
これらの金属酸化物粒子は、下引き層形成用塗布液の分散安定性の面及び残留電位等の電気特性の面から、平均一次粒子径としては、通常、100nm以下(TEM写真から測定した場合の値として)の粒子が好ましい。平均一次粒子径が100nm以下の酸化チタンを金属酸化物粒子の使用は、下引き層の薄膜化に特に有利であり、残留電位の上昇を抑制できる電子写真感光体を容易に提供できる。なお、下限値は特に限定されないが、入手のし易さの観点から20nm程度である。
金属酸化物粒子は、有機珪素化合物で表面処理される。金属酸化物粒子を表面処理する有機珪素化合物は、電荷リークの原因となる導通路の形成を極力抑制するように作用するので、接触帯電部材と感光体との間で局所的に電場が集中して電荷リークが発生するのを防止することができる。なお、従来においては、無機酸化物粒子を分散した分散液を安定化するために、無機酸化物粒子の表面を有機物で覆う表面処理がされてきたが、接触帯電部材と感光体との間で局所的に電場が集中する電荷リークを防止するためには、本発明のように、金属酸化物粒子の表面処理が必須である。
有機珪素化合物は表面処理剤として最も好ましく用いられるものであるが、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、反応基を有する有機化合物、有機金属化合物等についても有効であり、中でも有機珪素化合物のような有機金属化合物が好ましい。有機珪素化合物としては、ジメチルポリシロキサン、又は、メチル水素ポリシロキサン等のシリコーンオイル及びメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤等が一般的であるが、本発明においては、下記一般式の構造で表される有機珪素化合物であるシラン処理剤が金属酸化物粒子との反応性も良く最も良好な処理剤である。
Figure 2006330131
式中、R及びRは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基等のアルキル基を示す。また、Rは、メチル基、エチル基等のアルキル基、及び、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基の群より選ばれた基を示す。
有機珪素化合物等の処理剤で表面処理された粒子の最表面は、このような処理剤で処理されているが、表面処理前の金属酸化物粒子は、酸化アルミ、酸化珪素又は酸化ジルコニウム等の処理剤等で処理されたものであっても構わない。
バインダー樹脂としては、アルコキシアルキル基を導入したナイロン樹脂を含むものを使用する。なお、バインダー樹脂としては、そうしたナイロン樹脂に加えて、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、ポリビニルアルコール、カゼイン、又はゼラチン等の樹脂材料を併用してもよい。本発明においては、バインダー樹脂が、アルコキシアルキル基を導入したナイロン樹脂を含むので、接触帯電部材と感光体との間で局所的に電場が集中する電荷リークを防止することができる。
なお、具体例としては、N−メトキシメチル化ナイロン(ナガセケミテックス(株)製、商品名:トレジンF−30K、メトキシメチル化度:約30%)を好ましく用いることができる。このN−メトキシメチル化ナイロンは、アルコール可溶性であり、6−ナイロンを原料として、これにホルムアルデヒドとメタノールを反応させて化学的に変性し、アルコールに溶けるようにしたナイロンで、アミド基部位がメトキシメチル化されていることにより、ゴム弾性が出て軟らかい。
金属酸化物粒子とバインダー樹脂の比率は任意に選ぶことができるが、金属酸化物粒子の比率が低すぎる場合には、残留電位が上昇することがあり、金属酸化物粒子の比率が高すぎる場合には、微小黒点等の画像欠陥が生じ易く、接触帯電部材と感光体との間で局所的に電場が集中する電荷リークの原因となり易い。そのため、本発明では、金属酸化物粒子の総量が、バインダー樹脂1重量部に対して、0.5重量部以上6重量部以下の範囲内であることが好ましく、2重量部以上4重量部以下の範囲内であることが特に好ましい。金属酸化物粒子とバインダー樹脂の割合を上記範囲内とすることにより、残留電位の上昇を極力抑制できると共に、接触帯電部材と感光体との間の局所的な電場の集中を防いで電荷リークを防ぐことができる。
下引き層の膜厚は、薄すぎると電場の集中による電荷リークを防ぐ効果が充分でなく、また逆に厚すぎると残留電位の上昇や、導電性支持体と感光層との間の接着強度が低下する原因となる。そのため、本発明においては、下引き層の膜厚は、通常0.1μm以上20μm以下の範囲内で使用され、好ましくは0.5μm以上10μm以下、特に好ましくは1μm以上3μm以下の範囲内で使用される。この範囲に薄膜化することにより、接触帯特有の、電荷リークに基づく軸方向全体の帯電不良を防ぐことができる電子写真感光体について、残留電位の上昇を抑制することができる。
下引き層は、常法により形成することができる。すなわち、下引き層を構成する材料を溶剤に溶解又は分散し、得られた塗布液を導電性支持体上に塗布、乾燥することにより形成することができる。なお、塗布液中には、下引き層の特性及び塗布液の分散安定性を悪化させない範囲で、必要に応じて、上記金属酸化物粒子以外の粒子、電荷輸送分子、酸化防止剤、分散剤、レベリング剤、その他の添加剤等を加えてもよい。下引き層の塗布は、ある程度均一に塗布できる方法であれば、いかなる塗布方法を用いてもよいが、一般的には、浸漬塗布やスプレー塗布、ノズル塗布方法等を採用できる。
本発明の電子写真感光体は、こうした下引き層を導電性支持体と感光層との間に形成するので、電荷リークに基づいた黒点や白点状のスポット欠陥の発生を防ぐことができるという本発明の特徴的な作用効果のみならず、導電性支持体からの電荷注入の向上、導電性支持体の欠陥による画像欠陥の解消、導電性支持体と感光層との接着性の向上、及び帯電性の改善等を図ることができる。なお、この下引き層は、特に接触帯電を行う画像形成装置に用いる電子写真感光体においては、接触帯電部材と感光体ドラムとが軸方向で接触した場合における感光体ドラムの軸方向全体の帯電能の低下を防ぎ、帯電不良をなくすことができるという格別の効果を奏する。
(導電性支持体)
導電性支持体としては、周知の電子写真感光体に採用されているものも使用できる。具体的には例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料からなるドラム、シート又はこれらの金属箔のラミネート物、蒸着物、又は表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化すず、酸化インジウム等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙等の支持体が挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダーと共に塗布して導電処理したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、紙、紙管等が挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラムが挙げられる。そして、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物で導電処理したプラスチックフィルムやベルトが挙げられる。
中でも、アルミニウム等の金属のエンドレスパイプが好ましい導電性支持体である。アルミニウム又はその合金のエンドレスパイプは、押し出し、引き抜き、しごき等の加工により成形される。成形したものをそのまま用いてもよいし、更に切削、研削、研磨等の加工を加えたものでもよい。導電性支持体の表面には、画質に影響のない範囲で、例えば陽極酸化処理やニッケル封孔剤等による薬品処理等の各種の処理を施すことができる。
(感光層)
感光層は、上述した下引き層の上に形成される。感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を単一の層に含むような単層構造(以下、単層型感光層ということがある)でもよいし、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層した積層構造(以下、積層型感光体ということがある)でも構わない。
単層型感光層の場合には、感光材料がバインダー樹脂に分散してなる公知のものが使用される。例えば、電荷発生物質を主成分としてバインダー樹脂に分散させたもの、又は、電荷発生物質及び電荷輸送物質を主成分としてバインダー樹脂に分散させたものが用いられる。一方、積層型感光層では、下引き層上に電荷発生層と電荷輸送層とが積層される。
先ず、電荷発生層について説明する。電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、フタロシアニン、アゾ、ペリレン、キナクリドン、多環キノン、ピリリウム塩、インジゴ、チオインジゴ、アントアントロン、ピラントロン、シアニン等の各種有機顔料や色素を使用できる。中でも、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン等の金属、又はその酸化物、水酸化物、塩化物の配位したフタロシアニン類、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類等のアゾ顔料、ペリレン顔料が好ましい。
そして、これらの電荷発生物質の中でも、無金属フタロシアニン及び金属含有フタロシアニン類は、比較的長波長のレーザー光に対して高感度の感光体が得られる点で優れており、また、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料は、白色光及び比較的短波長のレーザー光に対し十分な感度を持つ点で優れている。
また、フタロシアニン類の中でも特に、CuKα特性X線に対するX線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、27.3°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン、9.3°,13.2°,26.2°及び27.1°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン、9.2,14.1,15.3,19.7及び27.1 ゜に主たる回折ピークを有するジヒドロキシシリコンフタロシアニン、8.5°,12.2°,13.8°,16.9°,22.4°,28.4°及び30.1°に主たる回折ピークを示すジクロロスズフタロシアニン、7.5゜,9.9゜,12.5゜,16.3゜,18.6゜,25.1゜及び28.3゜に主たる回折ピークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニン、7.4゜,16.6゜,25.5゜及び28.3゜に回折ピークを示すクロロガリウムフタロシアニンが、好ましい。
電荷発生層は、これらの電荷発生物質の微粒子とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して得られる塗布液を塗布乾燥して得ることができる。
このときのバインダー樹脂としては、電荷発生層を形成することができる公知のものをいずれも使用することができるが、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂はこれらの樹脂の中の1種だけを用いてもよいし、2種類以上の混合物であっても構わない。これらの樹脂の中でも、顔料の分散安定性の理由からポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂が好ましい。
溶剤としては、メタノール、プロパノールのようなアルコール類、1,4−ジオキサン、1,2−メトキシエタンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンのようなケトン類、トルエンのような炭化水素類が、挙げられる。これらの溶媒の中から1種だけを用いてもよいし、2種類以上の混合物であっても構わない。これらの溶媒の中でも、顔料の結晶安定性の理由から1,2−メトキシエタン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンが好ましい。
電荷発生物質とバインダー樹脂の割合は、特に制限はないが、一般には電荷発生物質100重量部に対し、バインダー樹脂を5重量部以上500重量部以下、好ましくは20重量部以上300重量部以下で配合する。
なお、電荷発生層は、上記電荷発生物質の蒸着膜であってもよい。電荷発生層の膜厚は、塗布膜であっても蒸着膜であっても、0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。
次に、電荷輸送層について説明する。電荷輸送層に用いられる電荷輸送物質としては、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリアセナフチレン等の高分子化合物、又は各種ピラゾリン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、アリールアミン誘導体等の低分子化合物が使用でき、今日では、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、ヒドラゾン誘導体の低分子化合物が好適に用いられる。
電荷輸送層は、これら電荷輸送物質とバインダー樹脂とを溶剤に溶解して得られる塗布液を電荷発生層の上に塗布乾燥して得ることができる。バインダー樹脂としては、上記電荷輸送物質と相溶性がよく、塗膜形成後に電荷輸送物質が結晶化したり、相分離することのない樹脂であることが好ましい。それらの例としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂、及び、上記記載の低分子化合物の電荷移動材料を主鎖又は/及び側鎖に導入した重合体等が挙げられる。
これらの中でも、耐摩耗性等の機械的特性、溶液中での電荷輸送物質とバインダー樹脂との相溶性の点で、ポリカーボネート樹脂が好適に用いられる。
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂に対して電荷輸送物質が少なすぎると電気特性が悪化するため、通常10重量部以上、好ましくは20重量部以上であり、特に好ましくは30重量部以上である。また、電荷輸送物質が多すぎると電荷輸送層の機械的強度が下がり、使用時の摩耗が大きくなったり、表面が傷つき画像欠陥が発生し易くなることから、通常200重量部以下、好ましくは100重量部以下であり、特に好ましくは80重量部以下である。
電荷輸送層の膜厚は、通常10〜50μm、好ましくは13〜35μmの範囲で使用される。
電荷輸送層は、必要に応じて電子吸引性化合物を含むものであってもよい。電子吸引性化合物としては、テトラシアノキノジメタン、ジシアノキノメタン、ジシアノキノビニル基を有する芳香族エステル類等のシアノ化合物、2,4,6−トリニトロフルオレノン等のニトロ化合物、ペリレン等の縮合多環芳香族化合物、ジフェノキノン誘導体、キノン類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、酸無水物、フタリド類、置換及び無置換サリチル酸の金属錯体、置換及び無置換サリチル酸の金属塩、芳香族カルボン酸の金属錯体、芳香族カルボン酸の金属塩が挙げられる。好ましくは、シアノ化合物、ニトロ化合物、縮合多環芳香族化合物、ジフェノキノン誘導体、置換及び無置換サリチル酸の金属錯体、置換及び無置換サリチル酸の金属塩、芳香族カルボン酸の金属錯体、芳香族カルボン酸の金属塩を用いるのがよい。
以上説明した、単層型感光層や積層型感光層においては、成膜性、可とう性、塗布性、機械的強度、滑り性、オゾン,NOx等の耐ガス特性を向上させるために、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、無機粒子、樹脂粒子、ワックス、シリコーンオイル、レベリング剤を任意に含有するものであってもよい。
(その他の機能層)
本発明の電子写真感光体は、感光層の上に、機械的特性の向上及びオゾンやNOx等の耐ガス特性向上のために、オーバーコート層を設けたものであってもよい。更に必要に応じて、接着層、中間層、透明絶縁層等を有していてもよい。
更に、下引き層と感光層との間に、更に中間層を設けてもよいが、本発明において特徴的な下引き層は、その下引き層のみで、繰り返し時の電気特性を含めて良好な電気特性を示すので、そのような中間層を設けない方が生産性及びコストの面で好ましい。
(各層の形成方法)
下引き層及び感光層は、塗布液をスプレー法、スパイラル法、リング法、浸漬法等により、塗布して形成することができる。スプレー法で用いるスプレーとしては、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電エアレススプレー、回転霧化式静電スプレー、ホットスプレー、ホットエアレススプレー等が挙げられる。膜厚を均一とするには、再公表平1−805198号公報に記載されている回転霧化式静電スプレーを用い方法が好ましい。また、スパイラル法としては、特開昭52−119651号公報に記載されている注液塗布機又はカーテン塗布機を用いた方法、特開平1−231966号公報に記載されている微小開口部から塗料を筋状に連続して飛翔させる方法、特開平3−193161号公報に開示されているマルチノズル体を用いた方法等が挙げられる。
(画像形成)
このようにして作製された本発明の電子写真感光体は、主に帯電、露光、現像、転写の各プロセスを、感光体に対して行う電子写真装置において使用される。
帯電方法としては、電圧を外部より印加した帯電部材を感光体表面に接触させることにより行う接触帯電方式を採用できる。例えば、ブラシ帯電、粒子帯電、ローラ帯電、ブレード帯電又はフィルム帯電等の公知の接触帯電方式を採用することができる。
例えば、ブラシ帯電は、毛ブラシ状又は繊維状の導電性ブラシを感光体に接触させて帯電させる方法であり、静止固定型のものと、ローラ形状で接触回転させるものとがある。また、粒子帯電は、導電性磁性粒子を用いて、内部に回転するマグネットローラを持つ非磁性スリーブ上に導電性磁気ブラシを形成させ、感光体表面を接触帯電させるものである。また、ローラ帯電は、弾性を持つ導電性ローラを感光体表面に接触回転させて帯電するものであり、芯材上に、弾性及び導電性を有する支持部材と耐久性を有する表面部材とがその順で設けられたロール等が用いられる。また、ブレード帯電又はフィルム帯電は、ブレード状又はフィルム状の導電性部材を感光体に接触させて帯電させる方法である。
現像方法としては、磁性又は非磁性の一成分現像剤、二成分現像剤等を接触又は非接触させて現像する一般的な方法が用いられる。転写方法としては、コロナ放電によるもの、転写ローラを用いた方法等いずれでもよい。通常、現像剤を紙等に定着させる定着プロセスが用いられ、定着手段としては一般的に用いられる熱定着、圧力定着を用いることができる。これらのプロセスのほかに、クリーニング、除電等のプロセスが用いられてもよい。
(画像形成装置)
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。ただし、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電部材(帯電部)2、露光装置(露光部)3及び現像装置(現像部)4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した下引き層と感光層を形成したドラム状の電子写真感光体(以下、電子写真感光体ドラム1ともいう。)を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電部材2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電部材2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では、帯電部材2の一例としてローラ状の接触帯電部材(帯電ローラ)を示しているが、本発明はこれに限るものではなく、接触帯電を行うものであればどのような形態のものであっても構わず、帯電ブラシ、帯電フィルム等の接触帯電部材を用いてもよい。以下、接触帯電部材について詳細に説明する。
電子写真感光体1に帯電を行う帯電部材2の形状は、電子写真感光体1に接触する公知の形態のものであればどのようなものでも使用可能で、ブラシ状、ブレード状、フィルム状又はローラ状等、その形態は問わない。例えば図1に示すローラ状の帯電部材2は、通常、芯材とその周囲を覆う導電材料から構成される。導電材料としては、ドラム状の電子写真感光体1に密着させて接触させる必要から、比較的硬度が低い導電性又は半導電性の弾性体が好ましく、例えばゴム材にカーボン等の導電性粒子又はその他の半導電性粒子を含有させた導電性ゴムが使用される。また、下記の図2に示すように、帯電部材2を支持部材23と表面部材24に分けて、支持部材23に適当に硬度を持たせて電子写真感光体1への密着性を保ちながら、表面部材24で適度な電気抵抗を保持させた機能分離型帯電部材を使用することもできる。
図2は、ローラ状の帯電部材21を用いた本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。図2の電子写真感光体1はドラム状であるが、シート状又はベルト状等の電子写真感光体であってもよい。図2中、符号22は帯電部材21を支える芯材である。この芯材22の両端は、電子写真感光体1に帯電部材21を接触させるために適当な圧力印加装置、例えば金属バネ等で支えられた軸受けに保持される。そして、この芯材22の軸受け又は他の電気的接触手段を使ってバイアス電位が印加される。芯材22の材質としては、導電性を持つものならば何でもよく、通常は金属が使われる。金属の例としては、鉄、銅、真鍮、ステンレス材、アルミニウム等が挙げられる。芯材22のその他の例としては、導電性の有機材料例えばカーボンを練り込んだ樹脂成型品等を用いることもできる。
図2中、符号23はローラ状の支持部材であり、電子写真感光体1に密着して接触し回転する。回転の駆動力は軸25を介して外部から加えてもよく、又は電子写真感光体1との接触摩擦力で自由に回転させてもよい。支持部材23の材質としては、導電性又は半導電性を持つものなら何でもよい。通常は、電子写真感光体1と密着させて接触させる必要から、比較的表面硬度が低い弾性体であるゴム材、例えばNBR、EPDM、シリコン、ネオプレン又は天然のゴム材、及びこれらのゴムにカーボン等の導電性粒子又は半導電性粒子を練り込んだ導電性ゴム等が使用される。もちろん良好な密着性が保たれるようによく精密加工された表面を持てば、ゴムのような弾性体以外の材料を用いてもよい。しかるに、このような接触帯電部材21を用いた場合、帯電の均一性が問題となり、帯電部材21の電気伝導度が大きすぎると、電子写真感光体1の帯電ムラが生じて、正規現像時は黒部分の画像ムラ、反転現像時は白部分のカブリとなる画像欠陥になる。逆に電気伝導度が小さすぎると、帯電不良が生じて像担持体が十分に帯電されない。従って、支持部材23の体積抵抗率は10Ω・cm以上であることが好ましく、特に10Ω・cm以上であることが好ましい。また、支持部材23の体積抵抗率は1015Ω・cm以下であることが好ましく、特に1012Ω・cm以下であることが好ましい。
図2中、符号24は表面部材であり、機能分離型帯電部材を使用する場合に設けられる。表面部材24の材質としては、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、その他種々のポリエステル樹脂等が主成分として使用される。表面部材24の体積抵抗率は10Ω・cm以上であることが好ましく、更には10Ω・cm以上であることが好ましく、特には10Ω・cm以上であることが好ましい。また、表面部材24の体積抵抗率は1015Ω・cm以下であることが好ましく、特には1012Ω・cm以下であることが好ましい。表面部材24の膜厚は、帯電部材21としての摩耗による耐久性を考慮すると厚い方がよいが、厚くしすぎると電子写真感光体1への帯電能が悪くなるので通常0.01〜1000μm、好ましくは0.1〜500μmの範囲である。表面部材24の製法としては、支持部材23の上にデイップ法、スプレー法、真空蒸着法、プラズマコーテイング法等で形成される。
電子写真感光体1を帯電させるために、帯電部材21、すなわち芯材22に印加する電圧としては、直流電圧のみ、又は直流に交流を重畳してもよい。交流としては、周期的に変化する電圧であれば何でもよい。電圧の範囲としては、直流電圧の場合、正又は負の100〜4000V、好ましくは300〜3000Vである。重畳する交流電圧としては、ピーク間電圧が100〜4000V、好ましくは300〜3000Vである。なお、図2においては、直流電源20を用いている。
図3は、ブラシ状の帯電部材を用いた本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。図3の電子写真感光体1もドラム状であるが、シート状又はベルト状等の電子写真感光体であってもよい。ブラシ状の接触帯電部材としては、平板上にブラシを固定して使う固定型の導電性ブラシ31a(図3(A)を参照)と、回転しながら使う回転型の導電性ブラシ31b(図3(B)を参照)とに分けられるが、いずれの方式も用いることができる。
図3(A)の固定型の導電性ブラシ31aは、基布33に導電性繊維よりなるブラシ毛32を織り込み、さらに基布の裏面に導電性接着剤をコーティングして得ることができる。ブラシ毛32の材料は、適度な導電性材料であればよく、例えば、タングステン、ステンレス、金、白金、鉄、銅、アルミニウム等の金属線を挙げることができる。また、レーヨン、ナイロン、アセテート、銅アンモニア、ビニリデン、ビニロン、フッ化エチレン、プロミックス、ベンゾエート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリクラール、ポリノジック、ポリプロピレン等の繊維中に、カーボンブラック、炭素繊維、金属粉、金属ウィスカー、金属酸化物、半導体材料等の抵抗調整剤を分散させた導電性繊維を用いることができる。なお、抵抗調整剤を繊維の内部に分散させるのではなく、繊維表面に被覆してもよい。また、図3(B)の回転型の導電性ブラシ31bは、基布33に導電性繊維よりなるブラシ毛32を織り込んだ生地を導電性シャフト35に巻くことにより得られる。回転の駆動力は、導電性シャフト25を介して外部から加えてもよく、又は電子写真感光体1との接触摩擦力で自由に回転させてもよい。いずれの場合もブラシの特性としては、直径約10μm、体積抵抗率10〜10Ω・cmのものが一般的である。
図4は、フィルム状の帯電部材を用いた本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。図4の電子写真感光体1もドラム状であるが、シート状又はベルト状等の電子写真感光体であってもよい。フィルム状の帯電部材37としては、図4に示すように、導電性フィルム38の一辺が導電性の支持板39の一辺に支持された態様で構成され、導電性フィルム38の他の一辺が電子写真感光体1に接触するように構成される。
導電性フィルム38の材質としては、アルミニウム、金、銅、鉄、銀、クロム、ニッケル、白金、錫、チタニウム等の金属、又はこれらの合金等を挙げることができる。また、合成樹脂材料に導電性材料を分散させたり、樹脂材料の表面を導電化処理したりして、適宜導電性化又は低抵抗化した材料を用いてもよい。特に、樹脂中に金属粉、金属ウィスカー、カーボンブラック、カーボンファイバー等を含有させて低抵抗の材料を得ることもできる。また、導電性フィルム38の機械的強度を調整するために、フィルムの縦横の機械的強度に異方性を持たせたり、フィルム材料の結晶化度を適宜変更したり、液晶ポリマーの如き異方性材料を用いたりしてもよい。こうした導電性フィルム38は帯電に用いられるため、体積抵抗率が10〜10Ω・cm程度のフィルムであることが望ましい。
なお、本願における体積抵抗率は、いずれも、IEC60093に準拠した方法により測定される。
以上、図2〜図4により、各種の帯電部材の例を説明したが、それらの各帯電部材は、図1に示す帯電部材2として好ましく使用できる。なお、図1に示す電子写真感光体1及び帯電部材2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(電子写真感光体カートリッジ。以下適宜、「感光体カートリッジ」という)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。ただし、帯電部材2は、カートリッジとは別体に、例えば、画像形成装置の本体に設けられていてもよい。そして、例えば、電子写真感光体1や帯電部材2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1、帯電部材2、トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LED等が挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行うようにしてもよい。露光を行う際の光は、任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光で露光を行えばよい。
現像装置4は、露光した電子写真感光体1上の静電潜像を目に見える像に現像することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像等の乾式現像方式や、湿式現像方式等が挙げられる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジ等の容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル等の金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等を被覆した樹脂ロール等からなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。ただし、現像ローラ44と電子写真感光体1とは当接せず、近接していてもよい。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコン樹脂やウレタン樹脂等の樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅等の金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、通常、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧される。
アジテータ42は必要に応じて設けられ、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉砕トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法等を用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4μm〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト状の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写等の静電転写法、圧力転写法、粘着転写法等、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナー等、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、電子写真感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。なお、残留トナーが少ないか、又は、ほとんど無い場合には、クリーニング装置6は無くてもかまわない。
定着装置7は、上部定着部材(加圧ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73がそなえられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73がそなえられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウム等の金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シート等が公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着等、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された画像形成装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。すなわち、先ず、電子写真感光体1の表面(感光面)が、接触帯電型の帯電部材2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させてもよく、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された電子写真感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その電子写真感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは電子写真感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが電子写真感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が電子写真感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに電子写真感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としてもよい。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程等の工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。ただし、画像形成装置としては、反転現像を用いたものが、本発明の感光体の特徴において特に高い効果が現れる。
以上、本発明の画像形成装置は、電荷リークに基づいた黒点や白点状のスポット欠陥の発生を防ぐことができる電子写真感光体を備えるので、接触帯電部材と感光体ドラムとが軸方向で接触する際に、電荷リークにより感光体ドラムの軸方向全体の帯電能が低下するという現象をなくし、その現象に基づいた帯電不良をなくすことができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例中で用いる「部」は断りがない限り、「重量部」を示す。
(分散液S1の作製方法)
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、その酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機(株式会社カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。
ここで得られた分散スラリーに、更に、メタノール、1−プロパノール、トルエン、及びN−メトキシメチル化ナイロン(ナガセケミテックス(株)製、商品名:トレジンF−30K、メトキシメチル化度:約30%)粉末を添加し、加温しながら攪拌混合を行い、ナイロン粉末を溶解し、その後、超音波分散処理を行うことにより、最終的に、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2であって、疎水化処理酸化チタン/N−メトキシメチル化ナイロンを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0重量%の分散液を調整し、これを分散液S1とした。
(分散液S2の作製方法)
分散液S1の作製方法と同様にして得られた疎水化処理酸化チタンの分散スラリーに、更に、メタノール、1−プロパノール、トルエン、及び下記構造式で表されるナイロンのペレットを添加し、加温しながら攪拌混合を行い、ナイロンペレットを溶解し、その後、超音波分散処理を行うことにより、最終的に、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2であって、疎水化処理酸化チタン/ナイロンを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0重量%の分散液を調整し、これを分散液S2とした。
Figure 2006330131
(分散液S3の作製方法)
有機珪素化合物で表面を処理されていない酸化チタン(石原産業(株)製、製品名:TTO55N)をメタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミル分散を行い、酸化チタンの分散スラリーを得た。ここで得られた分散スラリーに、更に、メタノール、1−プロパノール、トルエン、及び分散液S1の作製方法で示されたN−メトキシメチル化ナイロンの粉末を添加し、加温しながら攪拌混合を行い、ナイロン粉末を溶解し、その後、超音波分散処理を行うことにより、最終的に、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2であって、酸化チタン/N−メトキシメチル化ナイロンを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0重量%の分散液を調整し、これを分散液S3とした。
(実施例1)
分散液S1に、表面が切削処理された外径24mm、長さ236.5mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダーを浸漬塗布し、その乾燥膜厚が2μmとなるように下引き層を設けた。
次に、CuKα線により粉末X線スペクトルパターンにおいてブラック角2θ(±0.2゜)、27.3゜に特徴的なピークを示すオキシチタニウムフタロシニアン10部、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名:#6000−C)5部に、1,2−ジメトキシエタン500部を加え、サンドグラインドミルで粉砕、分散処理を行った。この分散液に先に下引き層を設けたアルミニウム製シリンダーを浸漬塗布し、その乾燥膜厚が0.3g/m(約0.3μm)となるように電荷発生層を設けた。
次に下記構造式1で表される共重合ポリカーボネート100部と、下記構造式2で表されるヒドラゾン系化合物56部と、下記構造式3で表されるヒドラゾン系化合物14部と、下記構造式4で表されるシアノ化合物8部と、下記構造式5で表されるヒンダードフェノール系化合物8部とを、テトラヒドロフラン、トルエンの混合溶媒に溶解させた液を浸漬塗布することにより、乾燥後の膜厚が17μmになるように電荷輸送層を設けた。このようにして得られたドラムを感光体A1とする。
Figure 2006330131
(比較例1)
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを分散液S2に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が2μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得たドラムをB1とする。
(比較例2)
実施例1で用いたアルミニウム製シリンダーを分散液S3に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が2μmとなるように下引き層を設けた以外は、実施例1と同様にして感光体を得た。このようにして得たドラムをB2とする。
(評価)
これらの感光体A1、B1及びB2を三星電子社製モノクロレーザープリンターML−1710D3のカートリッジに装着して、アース側フランジよりアースをとり、帯電ローラに高圧電源(トレック社製、Model−610C)により3kVの直流電圧を印加したときの流れ込み電流をモニターし、電圧の印加から過電流が流れる時間を絶縁破壊時間とした。過電流が流れた直後、帯電ローラ直下の感光体表面には絶縁破壊痕が観察された。通常当該プリンターの帯電ローラには1〜2kVの直流電圧が印加されるが、3kVの直流電圧を印加することにより加速試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 2006330131
以上のように、下引き層の構成成分として、金属酸化物粒子が有機珪素化合物で表面処理されており、かつバインダー樹脂がN−アルコキシメチル化したナイロン樹脂である実施例1の感光体A1のみが帯電部材との接触による電荷リークに優れており、有機珪素化合物での表面処理、N−アルコキシメチル化のいずれかが欠けている比較例1,2の感光体B1、B2は電場の集中による電荷リークが引き起こされた。
本発明は、接触帯電で画像を形成する電子写真感光体を必要とする任意の分野で実施することができ、例えば複写機、プリンター、印刷機等に用いて好適である。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 ローラ状の帯電部材を用いた本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 ブラシ状の帯電部材を用いた本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 フィルム状の帯電部材を用いた本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 感光体(電子写真感光体)
2 帯電部材(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
20 直流電源
21 帯電部材
22 芯材
23 支持部材
24 表面部材
25 軸
31a,31b 導電性ブラシ
32 ブラシ毛
33 基布
35 導電性シャフト
37 フィルム状の帯電部材
38 導電性フィルム
39 支持板
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)

Claims (4)

  1. 接触帯電を行う画像形成装置に用いる電子写真感光体であって、導電性支持体上に下引き層及び感光層をこの順に有し、該下引き層が少なくとも金属酸化物粒子とバインダー樹脂を含有しており、該金属酸化物粒子が有機珪素化合物で表面処理されており、かつ該バインダー樹脂がアルコキシアルキル基を導入したナイロン樹脂を含むことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記有機珪素化合物が下記一般式で示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
    Figure 2006330131
    (式中、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基を示し、Rはアルキル基及びアルコキシ基の群より選ばれた基を示す。)
  3. 前記接触帯電を行う画像形成装置がローラ状の帯電部材を用い、かつ該ローラ状の帯電部材が有する表面部材の体積抵抗率が10Ω・cm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 少なくとも、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させるための接触帯電部材とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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