上記従来構成においては、熱電併給装置の運転条件を設定するための判定タイミングが、例えば午前零時などの1日のうちの定まった時刻に固定されていたので、次のような不利があった。
すなわち、コージェネレーションシステムでは、熱電併給装置が発生する電力と熱とを余らすことなく電力負荷と熱負荷とに有効利用することにより、省エネルギ化を向上できるものであり、例えば設定周期としての1日に対する計画運転を行うにあたり、電力負荷や熱負荷を余らすことなく利用できるようにする運転時間帯を決めることが望まれるものとなる。ところが、判定タイミングの近傍において大きな負荷があるような場合においては、判定タイミングの直前に大きな負荷がある場合と判定タイミングの直後に大きな負荷がある場合とがあり、このうち、判定タイミングの直後に大きな負荷がある場合には、適切な計画運転を行い難いものとなるものであった。
説明を加えると、一般に、コージェネレーションシステムでは、貯湯槽の湯水を熱電併給装置が発生する熱にて加熱して貯湯することにより、風呂湯張り等の大きな給湯負荷にも対応できる形態で給湯することが行われる。そして、貯湯槽に十分な湯水を貯湯するには時間が掛かるため、風呂湯張り等の大きな給湯負荷が存在する時刻に、貯湯に要する時間を見込んで熱電併給装置を運転させるように計画運転を行う必要があるが、風呂湯張り等の大きな給湯負荷が判定タイミングの直後に存在する場合には、風呂湯張り等の大きな給湯負荷が存在する時刻よりも前に貯湯槽に十分な湯水を貯湯するように計画運転を行うことができないものとなって、省エネルギ化の向上を図り難いものとなる。
又、前記判定タイミングの近傍において大きな負荷があるような場合には、各日の生活状況の変動により、判定タイミングの直前に大きな負荷がある状態となったり、判定タイミングの直後に大きな負荷がある状態となったりすることがあり、この結果、判定タイミングを基準とした場合における各日(設定周期)の負荷が変動することになり、適切な計画運転を行い難いものとなり、省エネルギ化の向上を図り難いものとなる不利もある。
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、省エネルギ化を図れるように良好な計画運転を行うことができるコージェネレーションシステムを提供する点にある。
本発明の第1特徴構成は、熱と電力とを併せて発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置の運転を制御する運転制御手段とが設けられ、前記運転制御手段が、設定周期の判定タイミングにおいて、次の設定周期において前記熱電併給装置を計画運転するための運転条件を設定して、その運転条件に基づいて前記熱電併給装置の運転を制御する運転処理を実行するように構成されているコージェネレーションシステムであって、
前記運転制御手段が、過去の負荷データを管理して、その過去の負荷データに基づいて前記判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行するように構成されている点にある。
第1特徴構成によれば、運転制御手段は、設定周期の判定タイミングになると、次の設定周期において熱電併給装置を計画運転するための運転条件を設定して、その運転条件に基づいて熱電併給装置の運転を制御する運転処理を実行するのであるが、一方、運転制御手段は、過去の負荷データを管理するようになっており、その過去の負荷データに基づいて前記運転処理を実行するための判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行するようになっている。
すなわち、過去の負荷データを管理することにより、その過去の負荷データから、例えば、熱電併給装置の負荷が大負荷となる大負荷時間帯とは異なる時間帯、あるいは、小負荷時間帯等を求めることができるので、前記判定タイミングをそのような時間帯に設定するのである。その結果、判定タイミングの直前や判定タイミングの直後に大きな負荷が発生することがなく、判定タイミングを基準とした場合における次の設定周期の負荷が安定したものになり易く、適切なタイミングにて熱電併給装置の運転条件を設定することができ、良好な計画運転を行うことが可能となる。
従って、省エネルギ化を図れるように良好な計画運転を行うことができるコージェネレーションシステムを提供できるに至った。
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記過去の負荷データに基づいて、大負荷時間帯とは異なる時間帯に前記判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行するように構成されている点にある。
第2特徴構成によれば、運転制御手段は、過去の負荷データに基づいて大負荷時間帯とは異なる時間帯に前記運転処理を実行するための判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行するようになっている。
すなわち、過去の負荷データから熱電併給装置の負荷が大負荷となる大負荷時間帯とは異なる時間帯を求めて、前記判定タイミングをそのような時間帯に設定するのである。その結果、判定タイミングの直前や判定タイミングの直後に大きな負荷が発生することがなく、判定タイミングを基準とした場合における次の設定周期の負荷が安定したものになり易く、適切なタイミングにて熱電併給装置の運転条件を設定することができる。
本発明の第3特徴構成は、第2特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記判定タイミング設定処理において、前記大負荷時間帯とは異なる時間帯としての小負荷時間帯に前記判定タイミングを設定するように構成されている点にある。
第3特徴構成によれば、前記運転制御手段が、前記大負荷時間帯とは異なる時間帯として、熱電併給装置の負荷が小負荷となる小負荷時間帯に前記判定タイミングを設定することになる。すなわち、運転制御手段は、過去の負荷データを管理することにより、その過去の負荷データから熱電併給装置の負荷が小負荷となる小負荷時間帯を求めることができるので、前記判定タイミングをそのような小負荷時間帯となるように設定するのである。その結果、判定タイミング付近の時間帯においては負荷が小負荷となり、判定タイミングの直前や判定タイミングの直後に大きな負荷が発生することがなく、適切なタイミングにて熱電併給装置の運転条件を設定することができる。
本発明の第4特徴構成は、第2特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記判定タイミング設定処理において、前記大負荷時間帯とは異なる時間帯として、前記大負荷時間帯から設定時間以上離れた時間帯に前記判定タイミングを設定するように構成されている。
第4特徴構成によれば、前記運転制御手段が、前記大負荷時間帯とは異なる時間帯として、大負荷時間帯から設定時間以上離れた時間帯に前記判定タイミングを設定することになる。すなわち、運転制御手段は、過去の負荷データを管理することにより、その過去の負荷データから熱電併給装置の負荷が大負荷となる大負荷時間帯から設定時間以上離れた時間帯を求めることができるので、前記判定タイミングをそのような時間帯となるように設定するのである。その結果、判定タイミングの直前や判定タイミングの直後に大きな負荷が発生することがなく、適切なタイミングにて熱電併給装置の運転条件を設定することができる。
本発明の第5特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記過去の負荷データに基づいて、小負荷時間帯を求めて、その小負荷時間帯に前記判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行するように構成されている点にある。
第5特徴構成によれば、前記運転制御手段が、前記過去の負荷データに基づいて、小負荷時間帯を求めて、その小負荷時間帯に前記運転処理を実行するための判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行するようになっている。
すなわち、過去の負荷データを管理することにより、その過去の負荷データから小負荷時間帯を求めて、前記判定タイミングをそのような時間帯に設定するのである。その結果、小負荷時間帯に判定タイミングを設定するので、判定タイミングの直前や判定タイミングの直後に大きな負荷が発生することがなく、判定タイミングを基準とした場合における次の設定周期の負荷が安定したものになり易く、適切なタイミングにて熱電併給装置の運転条件を設定することができる。
本発明の第6特徴構成は、第1特徴構成〜第5特徴構成のいずれかに加えて、前記熱電併給装置にて発生した熱を回収して湯水として給湯するように構成され、前記運転制御手段が、前記負荷データとして給湯用の負荷データを管理するように構成され、且つ、前記判定タイミング設定処理において、前記給湯用の負荷データに基づいて、前記判定タイミングを設定するように構成されている点にある。
第6特徴構成によれば、前記熱電併給装置にて発生した熱を回収して湯水として給湯することによって給湯負荷が賄われることになる。そして、運転制御手段は、前記負荷データとして給湯用の負荷データを管理して、その給湯用の負荷データに基づいて判定タイミングを設定するようになっている。
このように、給湯用の負荷データを管理するようにして、その給湯用の負荷データに基づいて判定タイミングを設定するようにしたから、給湯負荷を賄えるように適切なタイミングにて熱電併給装置の運転条件を設定することが可能であり、良好な計画運転を行うことが可能となる。
本発明の第7特徴構成は、第6特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記給湯用の負荷データとして、給湯の負荷量を管理するように構成され、且つ、前記判定タイミング設定処理において、前記負荷データにおける給湯の負荷量が最大負荷となる大負荷時間帯とは異なる時間帯に前記判定タイミングを設定するように構成されている点にある。
第7特徴構成によれば、前記運転制御手段が、前記給湯用の負荷データとして、給湯の負荷量を管理して、その負荷データにおける給湯の負荷量に基づいて給湯の負荷量が最大負荷となる大負荷時間帯とは異なる時間帯に判定タイミングを設定するようにしたので、給湯の負荷量に対応して適切な熱量を発生させるように熱電併給装置を運転させることが可能となる。
本発明の第8特徴構成は、第7特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、1日を複数に分割した複数の単位期間毎の負荷データを時間経過の並び順に各日毎に区分けした状態で過去の複数日について記憶手段に記憶させるデータ記憶処理を実行するように構成され、前記判定タイミング設定処理において、前記記憶手段に記憶されている記憶情報に基づいて、各日の同じ時刻に対応する単位期間における負荷データの合計値あるいは平均値である単位期間負荷データを求め、その単位期間負荷データに基づいて前記判定タイミングを設定するように構成されている点にある。
第8特徴構成によれば、運転制御手段は、前記データ記憶処理によって、過去の複数日について時間経過の並び順に各日毎に且つ各単位期間毎に区分けした状態で管理して記憶されている負荷データを利用して、各日の同じ時刻に対応する単位期間における負荷データの合計値あるいは平均値である単位期間負荷データを求め、その単位期間負荷データに基づいて判定タイミングを設定するのである。
すなわち、運転制御手段は、過去の複数日における各日の同じ時刻に対応する単位期間の負荷データの合計値あるいは平均値を単位期間負荷データとして求める。この単位期間負荷データは、1日のうちの同じ時刻において過去にどのような負荷が発生しているかを求めるのであるが、複数日の平均値や合計値とすることで、各日毎のバラツキによる誤差を少なくした状態で単位期間毎の負荷を求めることができる。そして、このような単位期間毎に求められる複数の単位期間負荷データにて、1日のうちで小負荷となる時間帯を適切に求めることができ、判定タイミングを適切なものとして設定することができるのである。
本発明の第9特徴構成は、第8特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記判定タイミング設定処理において、前記単位期間負荷データに基づいて、対象となる単位期間の前後における単位期間を含む設定数分の単位期間の夫々における前記単位期間負荷データの合計値あるいは平均値である複数期間負荷データを、1日の複数の前記単位期間の夫々について求めて、その複数の単位期間の夫々における複数期間負荷データのうちで最大負荷となる複数期間負荷データに対応する単位期間から設定時間以上離れ、且つ、小負荷となる複数期間負荷データに対応する単位期間を求め、その単位期間を前記判定タイミングとするように構成されている点にある。
第9特徴構成によれば、運転制御手段は、対象となる単位期間の前後における単位期間を含む設定数分の単位期間の夫々における単位期間負荷データの合計値あるいは平均値である複数期間負荷データを、1日の複数の単位期間の夫々について求め、そのような複数期間負荷データを対象として求めた適切な単位期間を判定タイミングとするようにしたので、設定数分の単位期間の夫々における単位期間負荷データにおける各単位時間毎のバラツキによる誤差を少なくした状態で負荷を求めることができる。
そして、このような単位期間毎に求められる複数期間負荷データのうちで最大負荷となる複数期間負荷データに対応する単位期間から設定時間以上離れ、且つ、小負荷となる複数期間負荷データに対応する単位期間を求め、その単位期間を前記判定タイミングとするようにしたので、大きい給湯負荷を賄うことが可能な状態で1日のうちで小負荷となる時間帯を適切に求めることができ、判定タイミングを適切なものとして設定することが可能となる。
本発明の第10特徴構成は、第6特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記給湯用の負荷データとして、前記熱電併給装置が発生した熱を回収した湯水を浴槽へ湯張り給湯する風呂湯張り時刻を管理するように構成され、且つ、前記判定タイミング設定処理において、風呂湯張り時刻の情報に基づいて前記判定タイミングを設定するように構成されている点にある。
第10特徴構成によれば、浴槽へ湯張り給湯するときは、湯水が短時間で多量に使用されるので大きな給湯負荷が発生することになり、この湯張り給湯を行う時間帯が大負荷時間帯に対応するが、運転制御手段は、前記給湯用の負荷データとして風呂湯張り時刻を管理するようになっており、前記判定タイミング設定処理において、風呂湯張り時刻の情報に基づいて判定タイミングを設定するのである。
従って、運転制御手段は、風呂湯張りが行われた時刻の情報を管理するものであるから、負荷データとして給湯の負荷量を管理するような構成に比べて、複雑な演算処理等が不要であり管理用の構成が簡単な構成で対応できる利点がある。
本発明の第11特徴構成は、第1特徴構成〜第10特徴構成のいずれかに加えて、前記熱電併給装置にて発生した熱を回収して湯水として貯える貯湯槽が備えられ、その貯湯槽に貯留される湯水を給湯するように構成されている点にある。
第11特徴構成によれば、記熱電併給装置にて発生した熱を回収して貯湯槽に湯水として貯えて、その貯湯槽に貯留される湯水を給湯することで給湯負荷が賄われることになる。このように貯湯槽にて湯水を貯湯するので、給湯負荷を消費していないときに排熱発生装置が発生する排熱を無駄なく回収することができる。
本発明の第12特徴構成は、熱と電力とを併せて発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置の運転を制御する運転制御手段とが設けられ、前記運転制御手段が、設定周期の判定タイミングにおいて、次の設定周期において前記熱電併給装置を計画運転するための運転条件を設定して、その運転条件に基づいて前記熱電併給装置の運転を制御する運転処理を実行するように構成されているコージェネレーションシステムであって、
前記運転制御手段が、熱量データを管理して、その熱量データに基づいて前記判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行するように構成されている点にある。
第12特徴構成によれば、前記運転制御手段は、設定周期の判定タイミングになると、次の設定周期において熱電併給装置を計画運転するための運転条件を設定して、その運転条件に基づいて熱電併給装置の運転を制御する運転処理を実行するのであるが、一方、運転制御手段は、熱量データを管理するようになっており、その熱量データに基づいて判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行することになる。
すなわち、前記熱電併給装置が運転されることにより、例えば、排熱を回収して湯水として貯える構成における貯湯量の情報等の熱電併給装置が発生した熱を回収した熱量についての熱量データ、あるいは、排熱を回収した湯水や貯湯される湯水を加熱する補助加熱手段を備える構成における補助加熱手段の加熱量についての加熱量データ等の情報は負荷の変動に対応するものである。そこで、前記運転制御手段が、そのような熱量データを管理するようにして、その熱量データに基づいて前記運転処理を実行するための判定タイミングを設定することにより、適切なタイミングにて熱電併給装置の運転条件を設定することができ、良好な計画運転を行うことが可能となる。
従って、省エネルギ化を図れるように良好な計画運転を行うことができるコージェネレーションシステムを提供できるに至った。
本発明の第13特徴構成は、第12特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記熱量データとして、前記熱電併給装置が発生した熱を回収した熱量についての回収熱量データを管理して、その回収熱量データに基づいて前記判定タイミングを設定するように構成されている点にある。
第13特徴構成によれば、前記熱電併給装置が発生した熱を回収した熱量についての回収熱量データを管理するのであるが、この回収熱量データは、熱の回収量に対する熱負荷の消費量の変動を表すことになるので、回収熱量データに基づいて前記判定タイミングを設定することで、適切なタイミングにて熱電併給装置の運転条件を設定することが可能となるのである。
本発明の第14特徴構成は、第13特徴構成に加えて、前記熱電併給装置にて発生した熱を回収して湯水として貯える貯湯槽が備えられ、その貯湯槽に貯留される湯水を給湯するように構成され、前記運転制御手段が、前記回収熱量データとして、前記貯湯槽に貯湯される湯水の貯湯量についての過去の貯湯量データを管理して、その貯湯量データに基づいて、前記貯湯量が少量となる時間帯に前記判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行するように構成されている点にある。
第14特徴構成によれば、前記熱電併給装置にて発生した熱を回収して貯湯槽に湯水として貯えて、その貯湯槽に貯留される湯水を給湯することによって給湯負荷が賄われることになる。そして、運転制御手段は、前記熱量データとして、貯湯槽に貯湯される湯水の貯湯量についての過去の貯湯量データを管理するようになっており、その貯湯量データに基づいて前記貯湯量が少量となる時間帯に前記判定タイミングを設定することになる。
前記熱電併給装置は、前記運転制御手段が運転処理を実行することにより計画運転されることになるが、熱電併給装置にて発生した熱を回収して貯湯槽内に湯水を貯留する構成においては、計画運転の対象となる設定周期における浴槽への湯張り給湯等のような給湯負荷を賄えるように、設定周期において予測される給湯量の湯水を貯湯槽内に貯湯するための運転が行われることになる。
前記熱電併給装置が運転されることにより貯湯槽内に湯水が貯留され、給湯負荷が発生すると貯湯槽に貯湯されている湯水が消費されるが、浴槽への湯張り供給等のように大きな給湯負荷が発生したときに、そのような大きな給湯負荷がほぼ終了すると想定される時点又はそれより後においては、貯湯槽内に貯湯されていた湯水の貯湯量が少ない状態、例えば、貯湯量が零又はそれに近い貯湯量になることが考えられる。
そこで、前記運転制御手段が、貯湯槽内に貯湯されている湯水の貯湯量についての過去の貯湯量データを管理するようにして、その貯湯量データに基づいて前記貯湯量が少量となる時間帯に前記運転処理を実行するための判定タイミングを設定することにより、判定タイミングの直前や判定タイミングの直後に大きな負荷が発生することがなく、判定タイミングを基準とした場合における次の設定周期の負荷が安定したものになり易く、適切なタイミングにて熱電併給装置の運転条件を設定することができ、良好な計画運転を行うことが可能となる。
本発明の第15特徴構成は、第14特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、
1日を複数に分割した複数の単位期間毎の前記貯湯量データを時間経過の並び順に各日毎に区分けした状態で過去の複数日について記憶手段に記憶させるデータ記憶処理を実行するように構成され、
前記判定タイミング設定処理において、前記記憶手段に記憶されている前記貯湯量データに基づいて、各日の同じ時刻に対応する単位期間における貯湯量データの平均値、最小値、又は、最大値のうちの少なくともいずれか1つを単位期間貯湯量データとして求め、その単位期間貯湯量データに基づいて前記判定タイミングを設定するように構成されている点にある。
第15特徴構成によれば、運転制御手段は、前記データ記憶処理によって、過去の複数日について時間経過の並び順に各日毎に且つ各単位期間毎に区分けした状態で管理して記憶されている貯湯量データを利用して、各日の同じ時刻に対応する単位期間における貯湯量データの平均値、最小値、又は、最大値のうちの少なくともいずれか1つを単位期間貯湯量データとして求め、その単位期間貯湯量データに基づいて前記判定タイミングを設定するのである。
すなわち、運転制御手段は、過去の複数日における各日の同じ時刻に対応する単位期間の貯湯量データの平均値、最小値、又は、最大値のうちの少なくともいずれか1つを単位期間貯湯量データとして求める。この単位期間貯湯量データは、1日のうちの同じ時刻において過去に貯湯槽での湯水の貯湯量がどのように変動しているかを表すものであるから、このような単位期間毎に求められる複数の単位期間貯湯量データに基づいて判定タイミングを適切なものとして設定することができる。
そして、前記単位期間貯湯量データを求めるときに、貯湯量データの平均値を用いると、各日毎のバラツキによる誤差を少なくした状態で単位期間毎の負荷を求めることができ、又、貯湯量データの最小値や最大値を用いる場合は平均値を演算するものに比べて演算が行い易いものとなる。
本発明の第16特徴構成は、第15特徴構成に加えて、前記運転制御手段が、前記判定タイミング設定処理において、前記貯湯量データに基づいて、対象となる単位期間の前後における単位期間を含む設定数分の単位期間の夫々における前記単位期間貯湯量データの合計値あるいは平均値である複数期間貯湯量データを、1日の複数の前記単位期間の夫々について求めて、その複数の単位期間の夫々における複数期間貯湯量データのうちで最少となる複数期間貯湯量データに対応する単位期間又はそれ以降の設定個数分あとの単位期間を前記判定タイミングとするように構成されている点にある。
第16特徴構成によれば、運転制御手段は、対象となる単位期間の前後における単位期間を含む設定数分の単位期間の夫々における単位期間貯湯量データの合計値あるいは平均値である複数期間貯湯量データを、1日の複数の単位期間の夫々について求め、そのような複数期間貯湯量データを対象として求めた適切な単位期間を判定タイミングとするようにしたので、設定数分の単位期間の夫々における単位期間貯湯量データにおける各単位時間毎のバラツキによる誤差を少なくした状態で貯湯量を求めることができる。
そして、このようにして求められる複数の単位期間の夫々における複数期間貯湯量データのうちで最少となる複数期間貯湯量データに対応する単位期間又はそれ以降の設定個数分あとの単位期間を前記判定タイミングとする。前記設定個数分あとの単位期間としては、最少となる複数期間貯湯量データに対応する単位期間から1時間〜数時間程度の短い時間後の単位期間が設定されることになる。従って、大きな給湯負荷が終了した後であると考えられる貯湯量が少量となる時間帯を適切に求めることができ、判定タイミングを適切なものとして設定することが可能となる。
本発明の第17特徴構成は、第12特徴構成に加えて、前記熱電併給装置が発生した熱を回収した湯水を加熱する補助加熱手段が備えられ、前記運転制御手段が、前記熱量データとして、前記補助加熱手段の加熱量データを管理するように構成され、その加熱量データに基づいて前記判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行するように構成されている点にある。
第17特徴構成によれば、前記熱電併給装置が発生した熱を回収した湯水を加熱する補助加熱手段が備えられる。例えば、貯湯槽に貯湯されている湯水が消費されて空又は空に近い状態になっている場合には、前記補助加熱手段によって湯水を加熱することで給湯することが可能になるものである。つまり、この補助加熱手段は、大きな給湯負荷の後では加熱量が大きくなる等、負荷の大きさにより変動するものである。そこで、補助加熱手段の加熱量データを管理して、その加熱量データに基づいて判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行することで、判定タイミングを適切なものとして設定することが可能となる。
尚、前記補助加熱手段の加熱量データとしては、数値化した熱量以外にも、補助加熱手段の稼動時間に関する時系列データや、補助加熱手段の稼動の有無に関する時系列データを用いることができる。
本発明の第18特徴構成は、熱と電力とを併せて発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置の運転を制御する運転制御手段とが設けられ、
前記運転制御手段が、設定周期の判定タイミングにおいて、次の設定周期において前記熱電併給装置を計画運転するための運転条件を設定して、その運転条件に基づいて前記熱電併給装置の運転を制御する運転処理を実行するように構成されているコージェネレーションシステムであって、
前記熱電併給装置にて発生した熱を回収して湯水として貯える貯湯槽が備えられ、その貯湯槽に貯留される湯水を給湯するように構成され、
前記運転制御手段が、過去の負荷データ、及び、前記貯湯槽に貯湯される湯水の貯湯量についての過去の貯湯量データを管理して、前記過去の負荷データに基づいて大負荷時間帯とは異なる時間帯に前記判定タイミングを設定する状態と、前記過去の貯湯量データに基づいて前記貯湯量が少量となる時間帯に前記判定タイミングを設定する状態とのうちの選択された状態にて、前記判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行するように構成されている点にある。
第18特徴構成によれば、前記熱電併給装置にて発生した熱を回収して貯湯槽に湯水として貯えて、その貯湯槽に貯留される湯水を給湯することによって給湯負荷が賄われることになる。そして、運転制御手段は、設定周期の判定タイミングになると、次の設定周期において熱電併給装置を計画運転するための運転条件を設定して、その運転条件に基づいて熱電併給装置の運転を制御する運転処理を実行するのであるが、一方、運転制御手段は、過去の負荷データ、及び、貯湯槽に貯湯される湯水の貯湯量についての過去の貯湯量データを管理するようになっており、例えば湯水の使用形態の違い等に応じて、前記過去の負荷データ及び前記過去の貯湯量データのうちのいずれか一方を用いて前記判定タイミングを設定するのである。つまり、前記過去の負荷データに基づいて大負荷時間帯とは異なる時間帯に前記判定タイミングを設定する状態と、前記過去の貯湯量データに基づいて前記貯湯量が少量となる時間帯に前記判定タイミングを設定する状態とのうちの選択された状態にて、前記判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行することになる。
例えば、設定周期内において、大きな給湯使用状態となる大負荷時間帯を明確に判別することができるような使用形態であれば、前記過去の負荷データに基づいて大負荷時間帯とは異なる時間帯に前記判定タイミングを設定する状態を選択して判定タイミングを設定することにより、判定タイミングの直前や判定タイミングの直後に大きな負荷が発生することがなく、判定タイミングを基準とした場合における次の設定周期の負荷が安定したものになり易く、適切なタイミングにて熱電併給装置の運転条件を設定することができ、良好な計画運転を行うことが可能となる。
又、設定周期内において貯湯槽に貯留される湯水の使用量がほぼ同じ状態が長く継続して消費され、どの時間帯が大負荷時間帯であるかを判定し難いような使用形態であれば、前記過去の貯湯量データに基づいて前記貯湯量が少量となる時間帯に前記判定タイミングを設定する状態を選択して判定タイミングを設定することにより、貯湯槽内の湯水がほぼ全て消費されるか又はそれに近い状態になっているときに判定タイミングを設定できるので、適切なタイミングにて熱電併給装置の運転条件を設定することができ、良好な計画運転を行うことが可能となる。
尚、判定タイミングを設定するための状態を選択する構成としては、手動操作にて選択するようにしたり、又、運転制御部が、過去の使用実績から自動で判断するような構成等、種々の構成で実施することが可能である。
すなわち、前記過去の負荷データ又は過去の貯湯量データのうちで、湯水の使用形態等の使用条件に応じて適切なデータを選択して使用することで、適切なタイミングにて熱電併給装置の運転条件を設定することが可能となり、良好な計画運転を行うことが可能となる。
従って、省エネルギ化を図れるように良好な計画運転を行うことができるコージェネレーションシステムを提供できるに至った。
本発明の第19特徴構成は、熱と電力とを併せて発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置の運転を制御する運転制御手段とが設けられ、
前記運転制御手段が、設定周期の判定タイミングにおいて、次の設定周期において前記熱電併給装置を計画運転するための運転条件を設定して、その運転条件に基づいて前記熱電併給装置の運転を制御する運転処理を実行するように構成されているコージェネレーションシステムであって、
前記熱電併給装置にて発生した熱を回収して湯水として貯える貯湯槽が備えられ、その貯湯槽に貯留される湯水を給湯するように構成され、
前記運転制御手段が、過去の負荷データ、及び、前記貯湯槽に貯湯される湯水の貯湯量についての過去の貯湯量データを管理して、
前記過去の負荷データ、前記過去の貯湯量データ、及び、予め定められる判定タイミング設定条件に基づいて、前記判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行するように構成されている点にある。
第19特徴構成によれば、前記熱電併給装置にて発生した熱を回収して貯湯槽に湯水として貯えて、その貯湯槽に貯留される湯水を給湯することによって給湯負荷が賄われることになる。そして、運転制御手段は、設定周期の判定タイミングになると、次の設定周期において熱電併給装置を計画運転するための運転条件を設定して、その運転条件に基づいて熱電併給装置の運転を制御する運転処理を実行するのであるが、一方、運転制御手段は、過去の負荷データ、及び、貯湯槽に貯湯される湯水の貯湯量についての過去の貯湯量データを管理するようになっており、前記過去の負荷データ、前記過去の貯湯量データ、及び、予め定められる判定タイミング設定条件に基づいて、前記判定タイミングを設定するのである。
説明を加えると、例えば、大きな給湯負荷が短時間の間に複数回発生している場合に、設定周期内で1回目の大きな給湯負荷が発生したときに設定タイミングを設定すると、その後、すぐに大きな給湯負荷が発生するおそれがあるので、判定タイミングとして不適切なものとなる。
そこで、このようなときは、前記判定タイミング設定条件として、大きな給湯負荷が複数回発生した複数の時点のうちで、前記貯湯量が少量となる時間帯に判定タイミングを設定するようにすると、判定タイミングの直前や判定タイミングの直後に大きな負荷が発生することがないので、判定タイミングを基準とした場合における次の設定周期の負荷が安定したものになり易く、適切なタイミングにて熱電併給装置の運転条件を設定することができ、良好な計画運転を行うことが可能となる。つまり、前記過去の負荷データ、及び、前記過去の貯湯量データの夫々の情報を利用して、判定タイミングを設定するのである。
前記判定タイミング設定条件としては、大きな給湯負荷が複数回発生した複数の時点のうちで前記貯湯量が少量となる時間帯に判定タイミングを設定する構成以外にも、各種の条件を設定することが可能である。
すなわち、前記過去の負荷データ、及び、前記過去の貯湯量データの夫々の情報を有効利用することで、適切なタイミングにて熱電併給装置の運転条件を設定することが可能となり、良好な計画運転を行うことが可能となる。
従って、省エネルギ化を図れるように良好な計画運転を行うことができるコージェネレーションシステムを提供できるに至った。
本発明の第20特徴構成は、第1特徴構成〜第19特徴構成のいずれかに加えて、前記運転制御手段が、前記運転処理において、前記熱電併給装置を計画運転するときの運転条件として、計画対象期間内において前記熱電併給装置を連続的に稼動させる連続稼動モード、計画対象期間内において前記熱電併給装置を断続的に稼動させる断続稼動モード、及び、前記熱電併給装置の運転を待機させる待機モードのうちの少なくとも2つを備えており、それらのうちのいずれかで運転するように構成されているか、又は、連続稼動モード及び断続稼動モードのうちの少なくとも1つを備えておりそれらのうちのいずれかで運転するように構成されている点にある。
第20特徴構成によれば、判定タイミングにおいて、熱電併給装置を計画運転するための運転条件として、前記連続稼動モード、前記断続稼動モード、及び、前記待機モードのうちの少なくとも2つを備えており、それらのうちのいずれかで運転するように構成されているか、又は、連続稼動モード及び断続稼動モードのうちの少なくとも1つを備えておりそれらのうちのいずれかで運転するように構成されている。
例えば、過去の負荷データに基づいて、連続運転した方が省エネルギ性の面で有利であるときには連続稼動モードを設定し、断続運転させた方が省エネルギ性の面で有利であるときには断続稼動モードを設定し、あるいは、運転を行わず待機させた方が省エネルギ性の面で有利であるときには待機モードを設定する等、判定タイミングにおいて適切な稼動モードを設定することで、省エネルギ化を図る上でより有利なものにできる。
〔第1実施形態〕
本発明に係るコージェネレーションシステムの第1実施形態について図面に基づいて説明する。
このコージェネレーションシステムは、図1及び図2に示すように、電力と熱とを発生する熱電併給装置としての燃料電池1と、その燃料電池1が発生する熱を冷却水にて回収し、その冷却水を利用して、貯湯槽2への貯湯及び熱消費端末3への熱媒供給を行う貯湯ユニット4と、燃料電池1及び貯湯ユニット4の運転を制御する運転制御手段としての運転制御部5などから構成されている。
前記燃料電池1は、その出力を調整可能に構成され、その燃料電池1の電力の出力側には、系統連系用のインバータ6が設けられ、そのインバータ6は、燃料電池1の発電電力を商用電源7から受電する受電電力と同じ電圧及び同じ周波数にするように構成されている。
前記商用電源7は、例えば、単相3線式100/200Vであり、受電電力供給ライン8を介して、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの電力負荷9に電気的に接続されている。
また、インバータ6は、発電電力供給ライン10を介して受電電力供給ライン8に電気的に接続され、燃料電池1からの発電電力がインバータ6及び発電電力供給ライン10を介して電力負荷9に供給するように構成されている。
前記受電電力供給ライン8には、電力負荷9の負荷電力を計測する電力負荷計測手段11が設けられ、この電力負荷計測手段11は、受電電力供給ライン8を通して流れる電流に逆潮流が発生するか否かをも検出するように構成されている。
そして、逆潮流が生じないように、インバータ6により燃料電池1から受電電力供給ライン8に供給される電力が制御され、発電電力の余剰電力は、その余剰電力を熱に代えて回収する電気ヒータ12に供給されるように構成されている。
前記電気ヒータ12は、複数の電気ヒータから構成され、冷却水循環ポンプ15の作動により冷却水循環路13を通流する燃料電池1の冷却水を加熱するように設けられ、インバータ6の出力側に接続された作動スイッチ14によりON/OFFが切り換えられている。
また、作動スイッチ14は、余剰電力の大きさが大きくなるほど、電気ヒータ12の消費電力が大きくなるように、余剰電力の大きさに応じて電気ヒータ12の消費電力を調整するように構成されている。
尚、電気ヒータ12の消費電力を調整する構成については、上記のように複数の電気ヒータ12のON/OFFを切り換える構成以外に、その電気ヒータ12の出力を例えば位相制御等により調整する構成を採用しても構わない。
前記貯湯ユニット4は、温度成層を形成する状態で湯水を貯湯する貯湯槽2、湯水循環路16を通して貯湯槽2内の湯水を循環させる湯水循環ポンプ17、熱源用循環路20を通して熱源用湯水を循環させる熱源用循環ポンプ21、熱媒循環路22を通して熱媒を熱消費端末3に循環供給させる熱媒循環ポンプ23、湯水循環路16を通流する湯水を加熱させる貯湯用熱交換器24、熱源用循環路20を通流する熱源用湯水を加熱させる熱源用熱交換器25、熱媒循環路22を通流する熱媒を加熱させる熱媒加熱用熱交換器26、ファン27を作動させた状態でのバーナ28の燃焼により貯湯槽2内から取り出した湯水及び熱源用循環路20を通流する熱源用湯水を加熱させる補助加熱用熱交換器29などを備えて構成されている。
前記湯水循環路16は、その一部が並列になるように分岐接続され、その接続箇所に三方弁18が設けられており、分岐された一方側の流路には、ラジエター19が設けられている。そして、三方弁18を切り換えることにより、貯湯槽2の下部から取り出した湯水がラジエター19を通過するように循環させる状態と、貯湯槽2の下部から取り出した湯水がラジエター19をバイパスするように循環させる状態とに切り換えるように構成されている。
前記貯湯用熱交換器24においては、燃料電池1から出力される熱を回収した冷却水循環路13の冷却水を通流させることにより、湯水循環路16を通流する湯水を加熱させるように構成されている。前記熱源用熱交換器25においては、燃料電池1が発生する熱を回収した冷却水循環路13の冷却水を通流させることにより、熱源用循環路20を通流する熱源用湯水を加熱させるように構成されている。そして、補助加熱手段Mが、ファン27、バーナ28、補助加熱用熱交換器29により構成されている。また、熱源用循環路20には、熱源用湯水の通流を断続させる熱源用断続弁40が設けられている。
前記冷却水循環路13は、貯湯用熱交換器24側と熱源用熱交換器25側とに分岐され、その分岐箇所に、貯湯用熱交換器24側に通流させる冷却水の流量と熱源用熱交換器25側に通流させる冷却水の流量との割合を調整する分流弁30が設けられている。
そして、分流弁30は、冷却水循環路13の冷却水の全量を貯湯用熱交換器24側に通流させたり、冷却水循環路13の冷却水の全量を熱源用熱交換器25側に通流させることもできるように構成されている。
前記熱媒加熱用熱交換器26においては、熱源用熱交換器25や補助加熱用熱交換器29にて加熱された熱源用湯水を通流させることにより、熱媒循環路22を通流する熱媒を加熱させるように構成されている。前記熱消費端末3は、床暖房装置や浴室暖房装置などの暖房端末にて構成されている。
また、貯湯槽2から取り出した湯水を給湯するときの給湯熱負荷を計測する給湯負荷計測手段31が設けられ、熱消費端末3での端末熱負荷を計測する端末熱負荷計測手段32も設けられている。
前記運転制御部5は、燃料電池1の運転中には冷却水循環ポンプ15を作動させる状態で、燃料電池1の運転及び冷却水循環ポンプ15の作動状態を制御すると共に、湯水循環ポンプ17、熱源用循環ポンプ21、熱媒循環ポンプ23の作動状態を制御することによって、貯湯槽2内に湯水を貯湯する貯湯運転や、熱消費端末3に熱媒を供給する熱媒供給運転を行うように構成されている。
ちなみに、給湯するときには、熱源用断続弁40を閉弁した状態で貯湯槽2から取り出した湯水を給湯するように構成され、貯湯槽2から取り出した湯水を補助加熱手段Mにて加熱したり、貯湯槽2から取り出した湯水に水を混合させて、図外のリモコンにて設定されている給湯設定温度の湯水を給湯するように構成されている。
したがって、貯湯槽2では、貯湯槽2の容量の範囲内で、燃料電池1の出力に応じて追加された湯水から、給湯用として取り出された湯水を差し引いた分の湯水が貯湯されていることになる。
次に、運転制御部5による燃料電池1の運転の制御について説明を加える。
前記運転制御部5は、燃料電池1の稼動時に燃料電池1の出力を、現在要求されている現電力負荷に対して追従する電主出力に設定する電主運転制御を実行する。
詳しくは、運転制御部5は、上記電主運転制御において、5分等の比較的短い所定の出力調整周期毎に、上記現電力負荷を求め、最小出力(例えば250W)から最大出力(例えば1000W)の範囲内で、図3(a)に示すように連続的に、又は、図3(b)に示すように段階的に、上記現電力負荷に追従する電主出力を決定し、燃料電池1の出力をその決定した電主出力に設定する。尚、上記最小出力は、許容範囲内で0W又はそれに近い極めて小さい出力に設定しても構わない。
上記現電力負荷は、電力負荷計測手段11の計測値及びインバータ6の出力値に基づいて求められ、更に、その現電力負荷は、前の出力調整周期における電力負荷の平均値として求められる。また、燃料電池1の出力として設定される電主出力は、現電力負荷に対して少なくとも所定の余裕分小さく設定されている。
運転制御部5は、後述するような判定タイミング設定処理において設定された設定周期の判定タイミングにおいて、次の設定周期において燃料電池1を計画運転するための運転条件を設定して、その運転条件に基づいて燃料電池1の運転を制御する運転処理を実行するように構成されている。前記運転処理では、燃料電池1を計画運転するときの運転条件として、計画対象期間内において燃料電池1を連続的に稼動させる連続稼動モードと、計画対象期間内において燃料電池1を断続的に稼動させる断続稼動モードと、計画対象期間内において燃料電池1の運転を停止して待機状態とする待機モードとが備えられ、それのうちのいずれで運転するかを設定するように構成されている。
上記連続稼動モードは、前記計画対象期間としての判定タイミングからの24時間等の判定対象期間(設定周期の一例)において、燃料電池1を連続的に稼動させる稼動モードである。即ち、運転制御部5は、連続稼動モードが選択された判定対象期間においては、燃料電池1を停止することなく連続的に稼動させ、その稼動時に上述した電主運転制御を実行する。
一方、上記断続稼動モードは、前記判定対象期間内において、燃料電池1を断続的に稼動させる稼動モードである。即ち、運転制御部5は、断続稼動モードが選択された判定対象期間においては、燃料電池1の起動及び停止を行って断続的に稼動させ、その稼動時に上述した電主運転制御を実行する。
前記待機モードは、前記判定対象期間内において燃料電池1の運転を停止させるモードである。
更に、運転制御部5は、ある燃料電池1の運転パターンに対して、予測電力負荷及び予測熱負荷についてのエネルギの削減量である予測エネルギ削減量を演算可能に構成されており、その予測エネルギ削減量の演算方法について、説明を加える。
運転制御部5は、先ず、時系列的な過去の電力負荷データ及び熱負荷データに基づいて、図4に示すような、判定タイミング以降の時系列的な予測電力負荷及び予測熱負荷を予測する。次に、予め設定された仮運転パターンにおける稼動時間帯において燃料電池1を稼動させる形態で上記予測電力負荷に対して電主運転制御を実行すると仮定して、燃料電池1の時系列的な予測発電電力及び予測発生熱を演算する。
そして、運転制御部5は、下記の[数1]に示すように、燃料電池1を稼動しない場合のエネルギ消費量を基準に、燃料電池1を上記仮運転パターンで稼動させた場合のエネルギ消費量の削減量を、上記予測エネルギ削減量として演算することができる。
[数1]
予測エネルギ削減量P=燃料電池1を稼動しない場合のエネルギ消費量E1−燃料電池1を稼動した場合のエネルギ消費量E2
尚、上記燃料電池1を稼動しない場合のエネルギ消費量E1は、下記の[数2]に示すように、上記予測電力負荷の全てを商用電源7からの受電電力で補う場合の商用電源7におけるエネルギ消費量と、予測熱負荷の全てを補助加熱手段Mの発生熱で補う場合のエネルギ消費量との和として求められる。
[数2]
E1=予測電力負荷/商用電源7の発電効率+予測熱負荷/補助加熱手段Mの発熱効率
一方、燃料電池1を稼動した場合のエネルギ消費量E2は、下記の[数3]に示すように、上記予測電力負荷及び予測熱負荷を燃料電池1の予測発電電力及び予測発生熱で補う場合の燃料電池1におけるエネルギ消費量(燃料消費量)と、予測電力負荷から予測発電電力を差し引いた分に相当する不足電力負荷を商用電源7からの受電電力で補う場合の商用電源7におけるエネルギ消費量と、予測熱負荷から予測発生熱を差し引いた分に相当する不足熱負荷を補助加熱手段Mの発生熱で補う場合のエネルギ消費量との和として求められる。
[数3]
E2=燃料電池1を稼動したときの燃料消費量+不足電力負荷/商用電源7の発電効率+不足熱負荷/補助加熱手段Mの発熱効率
また、上記燃料電池1を稼動した場合のエネルギ消費量E2を求める場合には、それに燃料電池1の起動時のエネルギロスや想定される待機時間等を加えることが望ましい。
上記のような燃料電池1を稼動した場合のエネルギ消費量E2を求める方法について説明を加える。
図5(a)に示すように、判定タイミングから24時間の判定対象期間における1時間毎の夫々の時間において、予測電力負荷(a)及び予測熱負荷(m)を求め、稼動時間帯を設定した仮運転パターンにおいて設定される稼動時間帯において設定される燃料電池1の電主出力(b)を、その予測電力負荷(a)に対して追従する形態で求める。尚、この際に、予測電力負荷が燃料電池1の最小出力以下である場合には、電主出力(b)はその最小出力に設定されると共に、その差分が余剰電力量(i)として求められる。一方、予測電力負荷が燃料電池1の最大出力以上である場合には、電主出力(b)はその最大出力に設定されると共に、その差分が不足電力量(c)として求められる。
夫々の時間において、電主出力(b)と燃料電池1の発電効率(e)から、燃料電池1の一次エネルギ消費量である燃料消費量(g)を求めると共に、その燃料消費量(g)と燃料電池1の発熱効率(f)から燃料電池1の発生熱量(d)を求める。
更に、夫々の時間において、貯湯槽2の最大容量以下の範囲内で、上記のような発生熱量(d)から排熱ロス(h)を差し引いたものを積算し、更に、それに余剰電力量(i)から求めた電気ヒータ12の発生熱量を加えたものから、貯湯槽2において放熱される貯湯放熱量(l)と、予測熱負荷(m)として利用された予測利用熱量(n)と、を差し引いた分を、貯湯槽2に貯えられる貯湯熱量(k)として求め、更に、貯湯槽2の最大容量を超える分の熱量をラジエター19で放熱される余剰熱量(j)として求める。
そして、判定対象期間における上記燃料消費量(g)の合計と、不足電力量(c)の合計と、貯湯熱量(k)が予測利用熱量(n)よりも小さい場合にその差として求められる不足熱負荷の合計とを、上記[数3]に代入することにより、上記のような燃料電池1を稼動した場合のエネルギ消費量E2を求めることができる。
尚、上記燃料電池1の発生熱量(d)の合計と、余剰電力量(i)から求めた電気ヒータ12の発生熱量の合計との和が、燃料電池1の総発生熱量と認識することができ、更に、排熱ロス(h)と余剰熱量(j)と貯湯放熱量(l)の夫々の合計の和に好ましくは起動ロスとを加えたものが、燃料電池1の総熱ロスと認識することができる。そして、この総発熱量から総熱ロスを差し引いた熱量の全てを熱負荷として利用できた場合には、予測エネルギ削減量は最大となり、このような予測エネルギ削減量を最大とする利用熱量をピーク利用熱量と呼ぶ。
また、判定タイミングにおける貯湯熱量(k)即ち初期貯湯熱量を考慮するために、上記[数1]において、その初期貯量熱量を補助加熱手段Mの発生熱で補う場合のエネルギ消費量(初期貯湯熱量/補助加熱手段Mの発熱効率)を加算して予測エネルギ削減量を求めても構わない。また、この場合、上記のように求めたピーク利用熱量も、上記のような初期貯量熱量を補助加熱手段Mの発生熱で補う場合のエネルギ消費量が加算された値として求められる。
運転制御部5は、1日を複数に分割した複数の単位期間毎の負荷データを時間経過の並び順に各日毎に区分けした状態で過去の複数日について記憶手段としての不揮発性のメモリ34に記憶させるデータ記憶処理を実行するように構成されている。
即ち、運転制御部5は、例えば、熱負荷を給湯熱負荷と端末熱負荷として、単位時間あたりの実電力負荷、実給湯負荷、及び、実端末熱負荷の夫々を、電力負荷計測手段11及びインバータ6の出力値、給湯熱負荷計測手段31、及び、端末熱負荷計測手段32にて計測する。そして、電力負荷計測手段11及びインバータ6の出力値、給湯熱負荷計測手段31、及び、端末熱負荷計測手段32にて計測された値を過去の3週間(21日間)分について、時間経過の並び順に各日毎に区分けした状態でメモリ34に記憶することにより、時系列的な電力負荷及び時系列的な熱負荷を単位期間の一例としての1時間毎に管理するように構成されている。
図9には、給湯熱負荷データの本出願人による実測データの例を示している。ここでいう給湯熱負荷データには、給湯栓から行われる一般給湯と、浴槽への湯張りを行う風呂湯張り給湯の両方が含まれる。
そして、運転制御部5は、上記したようにして記憶されている過去の負荷データを管理して、その過去の負荷データに基づいて判定タイミングを小負荷時間帯となるように設定する判定タイミング設定処理を実行するように構成されている。説明を加えると、判定タイミング設定処理においては、給湯熱負荷データに基づいて、給湯熱負荷データが最大負荷となる大負荷時間帯から設定時間以上離れ、且つ、小負荷となる時間帯を求めて、その時間帯を前記判定タイミングに設定するように構成されている。
以下、図6〜図8のフローチャートに基づいて、判定タイミングにおいて行われる運転処理及び判定タイミングの設定処理等について具体的に説明する。
運転制御部5は、先ず、そのときに設定されている判定タイミングになると、運転処理を実行する(ステップ1、2)。ちなみに、当該システムが初めて設置されたときには、設定タイミングとしては、予め午前3時が初期設定されている。
前記運転処理においては、図7に示すように、先ず、連続稼動モードによって燃料電池1を運転すると仮定したときの予測エネルギ削減量Pcと、断続稼動モードによって燃料電池1を運転すると仮定したときの予測エネルギ削減量Piとを演算し(ステップ21)、夫々の予測エネルギ削減量Pc,Piのうちどちらの方が大きいか否かを判定し(ステップ22)、予測エネルギ削減量Pcの方が大きい場合には、連続稼動モードを選択する(ステップ23)。そして、予測エネルギ削減量Piの方が大きい場合に、その予測エネルギ削減量Piが負でなければ断続稼動モードを選択し(ステップ24、25)、予測エネルギ削減量Piが負であれば待機モードを選択する(ステップ26)。尚、夫々の予測エネルギ削減量Pc,Piが等しい場合には、起動や停止に伴うエネルギ損失やセルの劣化を抑制する目的で、連続稼動モードが選択される。
そして、上記判定タイミング以降の判定対象期間においては、燃料電池1は、上記のように稼動モード選択処理で選択された稼動モードで稼動される。
即ち、断続稼動モードの方が連続稼動モードよりも予測エネルギ削減量が大きい場合には、判定タイミングにおける稼動モード選択処理により断続稼動モードが選択され、それ以降の判定対象期間において燃料電池1が断続的に稼動されるので、熱余り状態が抑制され、省エネルギ性の向上が図られる。
一方、連続稼動モードの方が断続稼動モードよりも予測エネルギ削減量が大きい場合には、判定タイミングにおける稼動モード選択処理により連続稼動モードが選択され、それ以降の判定対象期間において燃料電池1が連続的に稼動されるので、熱不足状態が抑制されて高い省エネルギ性が確保されながら、起動や停止に伴うエネルギ損失やセルの劣化が適切に抑制される。
〔連続稼動モード〕
次に、連続稼動モードが選択された場合における運転制御部5による詳細な運転制御方法について、説明を加える。
運転制御部5は、連続稼動モードにおいて、電主運転制御を実行することにより、熱負荷に対して燃料電池1の発生熱が余る熱余り状態が予測される場合に、燃料電池1の出力を現電力負荷に追従した電主出力よりも小さい抑制出力に設定する抑制運転を実行可能に構成されている。
更に、運転制御部5は、連続稼動モードにおいて、電主運転制御を実行することにより、熱負荷に対して燃料電池1の発生熱が不足する熱不足状態が予測される場合に、燃料電池1の出力を現電力負荷に追従した電主出力よりも大きい強制出力に設定する強制運転を実行可能に構成されている。
ちなみに、熱余り状態とは、例えば、貯湯槽2内に貯湯されている湯水が満杯であり、ラジエター19を作動させる状態や、熱媒供給運転中に燃料電池1から出力される熱が熱消費端末3で要求されている端末熱負荷よりも大きくて、貯湯槽2内に貯湯されている湯水が満杯であり、ラジエター19を作動させる状態である。
また、熱不足状態とは、例えば、貯湯槽2内に湯水が貯湯されておらず、補助加熱手段Mを作動させる状態や、熱媒供給運転中に燃料電池1から出力される熱だけでは熱消費端末3で要求されている端末熱負荷を賄えない状態である。
次に、熱余り状態及び熱不足状態の予測について説明を加える。
前記運転制御部5は、判定対象期間における予測電力負荷及び予測熱負荷を求め、その予測電力負荷を補うように、連続的に電主運転制御を実行することを想定して、燃料電池1の発生熱が予測熱負荷に対して余る熱余り状態が発生するか否かを判断すると共に、その熱余り状態が発生する時間帯を熱余り時間帯として求め、逆に、燃料電池1の発生熱が予測熱負荷に対して不足する熱不足状態が発生するか否かを判断すると共に、その熱不足状態が発生する時間帯を熱不足時間帯として求める。
尚、熱不足状態や熱余り状態を予測する構成については、例えば、補助加熱手段Mを作動した状態での給湯量やラジエター19における放熱量を積算し、その積算値が設定値以上となることにより、熱不足状態や熱余り状態を予測するなど、適宜変更が可能である。
上記抑制運転について説明を加えると、運転制御部5は、抑制運転を実行する場合において、熱余り状態が予測される熱余り時間帯よりも前の時間帯でその熱余り状態が解消できるように設定された抑制運転時間帯において、燃料電池1の出力を電主出力よりも小さい抑制出力に設定する。
更に、上記抑制出力は、燃料電池1の出力を電主出力に設定したときの発電メリットよりも優れた発電メリットを発揮する出力のうちの上記電主出力以下の範囲内における最大出力に設定することが望ましい。
即ち、運転制御部5は、現電力負荷の全てを商用電源7からの受電電力で補う場合のエネルギ消費量から、現電力負荷の少なくとも一部を燃料電池1の発電電力で補う場合のエネルギ消費量を差し引いた分に相当する上記発電メリットを、燃料電池1の出力を電主出力及びそれ以下に設定した場合について演算し、その発電メリットが、燃料電池1の出力を電主出力に設定した場合よりも優れている出力のうちの最大出力を、上記抑制出力として設定する。上記発電メリットは、余剰電力の発生によるエネルギロスを差し引いた値とすることが望ましい。尚、上記抑制出力は、燃料電池1の最小出力や、電主出力から所定の設定量小さい出力としても構わない。
上記強制運転について説明を加えると、運転制御部5は、強制運転を実行する場合において、熱不足状態が予測される熱不足時間帯よりも前の時間帯でその熱不足状態が解消できるように設定された強制運転時間帯において、燃料電池1の出力を電主出力よりも大きい強制出力に設定する。更に、上記強制出力は、燃料電池1の出力を電主出力に設定したときの発熱メリットよりも優れた発熱メリットを発揮する出力のうちの上記電主出力以上の範囲内における最小出力に設定することが望ましい。
即ち、運転制御部5は、現熱負荷の全てを補助加熱手段Mによる発生熱で補う場合のエネルギ消費量から、現熱負荷の少なくとも一部を燃料電池1の発生熱で補う場合のエネルギ消費量を差し引いた分に相当する上記発熱メリットを、燃料電池1の出力を電主出力及びそれ以上に設定した場合について演算し、その発熱メリットが、燃料電池1の出力を電主出力に設定した場合よりも優れている出力のうちの最小出力を、上記強制出力として設定する。上記発熱メリットは、余剰熱の発生によるエネルギロスを差し引いた値とすることが望ましい。又、上記強制出力は、燃料電池1の最大出力や、電主出力から所定の設定量大きい出力としても構わない。
また、上記抑制出力及び上記強制出力は、燃料電池1の出力を電主出力に設定したときの発電メリット及び発熱メリットの和である総合メリットよりも優れた総合発電メリットを発揮する出力として設定しても構わない。
〔断続稼動モード〕
次に、断続稼動モードが選択された場合における運転制御部5による詳細な運転制御方法について、説明を加える。
この断続稼動モードは、判定対象期間において上述した予測エネルギ削減量が最大となるように、燃料電池1の稼動時間帯を設定する稼動モードである。
そして、その断続稼動モードは、下記に示す第1断続稼動モードと第2断続稼動モードが含まれ、運転制御部5は、稼動モード選択処理により断続稼動モードが選択された場合には、例えば予測エネルギ削減量が優れている方の断続稼動モードで、燃料電池1を稼動させる。
(第1断続稼動モード)
第1断続稼動モードは、24時間等の判定対象期間において燃料電池1の稼動時間帯が異なる複数の仮運転パターンの夫々の予測エネルギ削減量を、判定対象期間における予測電力負荷と判定対象期間における予測熱負荷とに基づいて演算して、その予測エネルギ削減量が最大となるように、判定対象期間において燃料電池1の起動時間と停止時間を設定する断続稼動モードである。
即ち、運転制御部5は、第1断続稼動モードが選択された場合に、上記複数の仮運転パターンとしての、判定対象期間において燃料電池1の起動時間と停止時間との組み合わせが互いに異なる全ての仮運転パターンについて、その起動時間から停止時間までの稼動時間帯において燃料電池1に対して電主運転制御を実行することによる予測エネルギ削減量を、上述した[数1]〜[数3]等を用いて、演算する。
そして、その複数の仮運転パターンのうち、上記のように求めた予測エネルギ削減量が最も優れた即ち最大である仮運転パターンを、その判定対象期間における正式な運転パターンとして決定し、その運転パターンで定義される運転時間帯で燃料電池1を運転するように、判定時間帯における燃料電池1の起動時間と停止時間とを設定する。
(第2断続稼動モード)
第2断続稼動モードは、24時間等の判定対象期間において燃料電池1の稼動時間帯が異なる複数の仮運転パターンの夫々の予測エネルギ削減量を、判定対象期間における予測電力負荷と、判定対象期間よりも長い48時間又は72時間等の熱負荷判定対象期間における予測熱負荷とに基づいて演算して、予測エネルギ削減量が最大となるように、判定対象期間において燃料電池1の起動時間と停止時間を設定する断続稼動モードである。
即ち、運転制御部5は、第2断続稼動モードが選択された場合に、上記複数の仮運転パターンとしての、判定対象期間における燃料電池1の起動時間と停止時間との組み合わせが互いに異なる全ての仮運転パターンについて、その起動時間から停止時間までの稼動時間帯において燃料電池1に対して電主運転制御を実行することによる予測エネルギ削減量を演算する。
尚、この第2断続稼動モードで演算される予測エネルギ削減量は、例えば、図5(b)の判定対象期間以降の熱利用状態に示すように、その判定対象期間以降含む熱負荷判定対象期間において貯湯熱量(k)が継続して予測熱負荷(m)として利用された場合を想定して、上述した[数1]〜[数3]等を用いて演算された判定対象期間の予測電力負荷と予測熱負荷とに基づいて演算した予測エネルギ削減量に対して、その判定対象期間以降における予測利用熱量(n)の合計から貯湯放熱量(l)の合計を差し引いた分の熱量を、補助加熱手段Mの発生熱で補う場合のエネルギ消費量を加えた値として、求めることができる。
尚、運転制御部5は、稼動モード選択処理により断続稼動モードが選択された場合に、上記第1断続稼動モードと上記第2断続稼動モードとのうち、予測エネルギ削減量が優れた方の断続稼動モードを選択して、燃料電池1を断続的に稼動させるのであるが、例えば、上記第2断続稼動モードを優先的に選択したい場合に、上記第2断続稼動モードの予測エネルギ削減量が、第1断続稼動モードの予測エネルギ削減量から一定量差し引いた分よりも大きい場合に、第2断続稼動モードを選択するように構成しても構わない。
尚、断続稼動モードとしては、予測エネルギ削減量が最大となるように判定対象期間において燃料電池1の起動時間と停止時間を設定する稼動モードとするのではなく、例えば、燃料電池1の発生熱により熱負荷の全てを賄うように燃料電池1の起動時間と停止時間とを設定する稼動モードや、一定の出力調整周期毎に、予測エネルギ削減量を再計算して、燃料電池1を起動するか停止するかを判定する形態の稼動モード等のように、別の断続稼動モードを採用しても構わない。また、断続稼動モードにおける上記燃料電池1の稼動時間帯は、判定対象期間において夫々1回のみではなく、複数回設定しても構わない。
〔待機モード〕
この待機モードは、燃料電池1を運転させずに停止させるモードである。つまり、上記断続稼動モードの予測エネルギ削減量の方が連続稼動モードの予測エネルギ削減量よりも優れている場合において、その予測エネルギ削減量が負である場合には、燃料電池1を稼動させることによるエネルギの削減効果がないとして、何れの稼動モードも選択せずに、次の判定対象期間において燃料電池1を停止させるのである。
そして、上述したような運転処理が終了したのち設定日数(21日)が経過しているか否かを判別するようになっており(ステップ3)、設定日数が経過する毎に、上記した運転処理を実行するための判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理(ステップ4)を実行する。この判定タイミング設定処理を実行した後は、経過日数の積算値をリセットして、その日からの経過日数をカウントすることになる(ステップ5)。
運転制御部5は、判定タイミング設定処理において、メモリ34に記憶されている過去の給湯負荷データの情報に基づいて、各日の同じ時刻に対応する単位期間(1時間)毎の給湯負荷データの平均値である単位期間負荷データを求め、その単位期間負荷データに基づいて判定タイミングを設定するように構成されている。更には、単位期間データに基づいて、対象となる単位期間の前後における単位期間を含む設定数分の単位期間の夫々における前記単位期間負荷データの合計値である複数期間負荷データを、1日の複数の単位期間の夫々について求めて、その複数の単位期間の夫々における複数期間負荷データのうちで最大負荷となる複数期間負荷データに対応する単位期間から設定時間以上離れ、且つ、小負荷となる複数期間負荷データに対応する単位期間を求め、その単位期間を判定タイミングとするように構成されている。
すなわち、図8に示すように、この判定タイミング設定処理では、先ず、メモリ34に記憶して蓄積されている過去のS日間(21日間)の負荷データに関して、各時刻の負荷量平均値(A)(単位期間負荷データの一例)を求め、且つ、設定数分の単位期間(3時間の時間帯)の夫々における負荷量合計値(B)(複数期間負荷データの一例)を求める(ステップ41)。
具体例で説明すると、図9に示す過去21日分の給湯負荷データについて、各時刻に対応する単位期間毎の給湯負荷データの21日間分の平均値(A)を求める。そして、対象となる単位期間の前後における単位期間を含む3個分の単位期間にて構成される時間帯の夫々の単位期間における3つの負荷量平均値(A)を合計して負荷量合計値(B)を求める。
図9に示す例では、零時の負荷量平均値「32」、1時の負荷量平均値「17」、2時の負荷量平均値「20」の3つを合計した値「69」が1時における負荷量合計値(B)となる。以下、同じようにして各時間帯(3時間)毎の合計値を求める。
次に、各時間帯の負荷量合計値(B)のうちで最も小さい時間帯から順に、時間帯T1,時間帯T2,時間帯T3‥‥時間帯Tnを順序付ける状態で特定する(ステップ42)。図9に示す例では、最も小さい時間帯T1は8時〜10時であり、次に小さい時間帯T2は1時〜3時である。そして、各時間帯の中間の時刻をTn(mid)とする(ステップ43)。時間帯T1では、中間時刻Tn(mid)は9時である。
次に、負荷量合計値(B)が最大となる大負荷時間帯Tm及びその大負荷時間帯Tmにおける中間の時刻Tm(mid)を特定する(ステップ44)。そして、負荷量合計値(B)が小さい順に順序付けた時間帯の変数nを零にリセットして、n=1から順次大きなものになる順序で、ステップ47の条件判断をその条件が成立するまで繰り返して実行する(ステップ46、47)。すなわち、大負荷時間帯Tmから12時間以上離れ、且つ、大負荷時間帯Tmから22時間以上離れていない条件を満足する時間帯であって、最も負荷量合計値(B)が小さい時間帯を求め、その時間帯の中間時刻Tnを判定タイミングとする(ステップ48)。
ここで、前記大負荷時間帯Tmから12時間以上離れていることを条件とするのは、湯張り給湯等の大きい負荷を賄うためには、12時間以上前から貯湯タンク2への貯湯運転を行う方がよいからである。又、大負荷時間帯Tmから22時間以上離れていると、判定タイミングが負荷が大きい時間帯に近づき過ぎてほぼ同じタイミングになるおそれがあり、判定タイミングとしては適切でないからである。
図9においては、時間帯T1は負荷量合計値(B)が最も小さいがステップ47の条件を満たさない。時間帯T2は、負荷量合計値(B)が2番目に小さく、しかも、ステップ47の条件を満たすので、時間帯T2における中間の時刻(T2(mid)=2時)が判定タイミングとして設定されることになる。
以下、本出願人による実測データを用いて説明を加える。
図10、図11、図12に本出願人による実測データを示している。
それら各図の(イ)では、時間の変化に対応した予測給湯負荷及び燃料電池1の運転状態を表し、同(ロ)では、設定した運転モードと省エネ率の結果を示している。そして、この例では、過去の負荷データから午前3時付近に湯張り給湯が行われて大きな負荷が発生すると予測している場合であり、大きい負荷の発生時刻が午前3時よりも少し前後にずれる場合を例示している。ここでは、断続運転としては第1断続稼動モードにて運転している。
そのうち、図10においては、判定タイミングを上記したような判定タイミング設定処理をした結果午前6時付近に設定した場合を示し、図11は判定タイミングを午前0時に設定した場合、同じく、図12は判定タイミングを午前3時に設定した場合を示している。
図12においては、午前3時を判定タイミングとして判定したときに、次の設定周期、つまり、3時(1日目の午前3時)から27時(2日目の午前3時)までの間の予測給湯負荷から燃料電池1が給湯負荷を賄うように断続運転するようになっており、燃料電池1が運転を開始した以降の給湯負荷は賄えるが、午前3時等の燃料電池1が運転しない時間帯の給湯負荷は賄えず、熱不足となっている。又、例えば27時で判定したときには、次の設定周期、つまり、27時(2日目の午前3時)から51時(3日目の午前3時)までの間では負荷が少ないと判断して燃料電池1を停止させるようにしているから熱不足が発生している。一方、さらに次の設定周期、つまり、51時(3日目の午前3時)から75時(4日目の午前3時)までの間では予測給湯負荷が大きいと判断して連続運転を行うようになって熱余り状態となっている。従って、このような運転状態であれば、1日目と3日目においては、燃料電池1が過剰な熱を発生したり、逆に熱不足が生じる等、省エネ率が低く省エネルギ性の点で不利となるものであった。因みに、ここでいう省エネ率の判断としては、後述するような予測エネルギ削減量の算出量から求めるようにしており、(―)が省エネ率の低い場合を示し、(+)が省エネ率の高い場合を示している。
図11には、図12で示したものと略同じ使用条件であるが、この場合においても、判定タイミングよりもすぐ後で大きな負荷が発生するので、省エネ率が低く省エネルギ性の点で不利となるものであった。
これに対して、図10に示すものでは、前記小負荷時間帯として午前6時前後が該当するので、午前6時を判定タイミングとして設定したときの燃料電池1の運転状態を示しているが、各日において効率よく運転することができ、省エネルギ性の点で有利となるものとなっている。この図から明らかなように、適切なタイミングで運転処理の判定が行われることになり、省エネルギ性の面で有利となる結果が得られた。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態を説明する。この実施形態では、前記運転制御手段による設定タイミング設定処理の基礎となるデータの種類及びそのデータを記憶処理するための構成、並びに、そのデータに基づく設定タイミング設定処理の構成が異なるが、それ以外の構成は第1実施形態と同じであるから、異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明は省略する。
この第2実施形態では、前記運転制御手段が、前記熱電併給装置が発生した熱を回収した熱量についての回収熱量データ(熱量データの一例)を管理して、その回収熱量データに基づいて前記判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行するように構成されている。具体的には、回収熱量データとして、前記貯湯槽に貯湯される湯水の貯湯量についての過去の貯湯量データを管理して、その貯湯量データに基づいて、前記貯湯量が少量となる時間帯に前記判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行するように構成されている。
すなわち、運転制御部5は、第1実施形態において説明したような、電力負荷データ及び熱負荷データについてのデータ記憶処理と同様にして、1日を複数に分割した複数の単位期間毎の前記貯湯量データを時間経過の並び順に各日毎に区分けした状態で過去の複数日について記憶手段に記憶させるデータ記憶処理を実行するように構成されている。
前記貯湯槽2における貯湯量の検出は次のようにして行われる。図13に示すように、前記貯湯槽2には、貯湯量を検出するための温度検出手段として4個のサーミスタS1〜S4が上下方向に間隔を隔てて設けられている。そして、運転制御部5は、これら4個のサーミスタS1〜S4の検出情報に基づいて、貯湯槽2に温度成層を形成するように貯留されている湯水の貯湯量、具体的には、熱負荷に供給することが可能な貯湯熱量を演算にて求める構成となっている。
説明を加えると、4個のサーミスタS1〜S4にて計測した各部位の温度に重み係数を掛けて貯湯槽2内に形成される温度成層の各成層部分での貯湯熱量を算出してそれらを合計して貯湯槽2の貯湯熱量を求めるようにしている。具体的には、前記各サーミスタS1〜S4の検出値を夫々T1〜T4とし、図水しない給水サーミスタにて検出される給水温度をTiとして、下記数4に示すように重み係数K1〜K3を掛けて貯湯熱量Qを求める。尚、「V」は、貯湯槽の容量、「n」は温度成層の層数(図13に示す例では3層)、「Kw」は熱量(単位Wh)に換算するための換算係数である。
〔数4〕
Q=[(K1×T1+(1-K1)×T2-T1)×V/n+(K2×T2+(1−K2)×T3−Ti)×V/n+(K3×T3+(1-K3)×T4-T1)×V/n]×Kw
貯湯量を検出する構成としては、このような構成に限らず、4個のサーミスタのうち検出温度が設定温度以上であるサーミスタの内、最下部のサーミスタ32の位置に基づいて、貯湯量を複数段階に検出する構成としてもよい。
前記運転制御部5は、上記したように計測される貯湯量についての過去の貯湯量データを、例えば図15に示すように、1日を複数に分割した複数の単位期間毎の前記貯湯量データを時間経過の並び順に各日毎に区分けした状態で過去の複数日(21日)についてメモリに記憶させる。前記判定タイミング設定処理を実行するときは、貯湯量データに基づいて、前記貯湯量が少量となる時間帯に前記判定タイミングを設定する。
説明を加えると、メモリ34に記憶されている貯湯量データに基づいて、各日の同じ時刻に対応する単位期間における貯湯量データの平均値を単位期間貯湯量データとして求める。さらに、対象となる単位期間の前後における単位期間を含む設定数分の単位期間の夫々における単位期間貯湯量データの合計値である複数期間貯湯量データを、1日の複数の前記単位期間の夫々について求めて、その複数の単位期間の夫々における複数期間貯湯量データのうちで最少となる複数期間貯湯量データに対応する単位期間又はそれ以降の設定個数分あとの単位期間を前記判定タイミングとするように構成されている。
すなわち、図14に示すように、メモリ34に記憶して蓄積されている過去のS日間(21日間)の貯湯量データに関して、各時刻の貯湯量平均値(C)(単位期間データの一例)を求め、且つ、設定数分の単位期間(3時間の時間帯)の夫々における貯湯量合計値(D)(複数期間貯湯量データの一例)を求める(ステップ41)。図15に示す例では、零時の貯湯量平均値「2492」、1時の貯湯量平均値「2743」、2時の貯湯量平均値「3122」の3つを合計した値「8358」が1時を中間とする時間帯における貯湯量合計値(D)となる。以下、同じようにして各時間帯(3時間)毎の貯湯量合計値を求めて、その複数の貯湯量合計値のうちで最も貯湯量合計値(D)が小さい時間帯MIN(図15に示す例では18〜21時が相当する)を求め、最少となる複数期間貯湯量データに対応する単位期間として、その時間帯MINの中間時刻(図15では20時)を判定タイミングとする(ステップ42,43)。
前記判定タイミングとしては、時間帯MINの中間時刻に設定するものに限らず、それよりも設定個数分あとの単位期間として、時間帯MINの中間時刻よりも1〜3時間程度あとまでの時刻、つまり、21時、22時、23時等の時刻に判定タイミングを設定するようにしてもよい。
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態を説明する。この実施形態では、前記運転制御手段による設定タイミング設定処理の構成が異なるが、それ以外の構成は第1実施形態や第2実施形態と同じであるから、異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明は省略する。
この実施形態では、前記運転制御手段が、過去の負荷データ、及び、前記貯湯槽に貯湯される湯水の貯湯量についての過去の貯湯量データを管理して、前記過去の負荷データに基づいて大負荷時間帯とは異なる時間帯に前記判定タイミングを設定する状態と、前記過去の貯湯量データに基づいて前記貯湯量が少量となる時間帯に前記判定タイミングを設定する状態とのうちの選択された状態にて、前記判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行するように構成されている。
すなわち、運転制御部5は、1日を複数に分割した複数の単位期間毎の熱負荷及び貯湯槽に貯湯される湯水の貯湯量を時間経過の並び順に各日毎に区分けした状態で過去の複数日(21日)について記憶手段としての不揮発性のメモリ34に記憶させる。そして、前記過去の負荷データに基づいて大負荷時間帯とは異なる時間帯に判定タイミングを設定する状態と、過去の貯湯量データに基づいて貯湯量が少量となる時間帯に判定タイミングを設定する状態とのうちのいずれかの状態を、手動操作式の選択指令スイッチにて選択して、前記判定タイミングを設定する構成となっている。
前記過去の負荷データに基づいて判定タイミングを設定する構成は第1実施形態と同じであり、前記過去の貯湯量データに基づいて判定タイミングを設定する構成は第2実施形態と同じである。
この構成では、例えば、当該システムが設置されて使用される家庭等における給湯使用形態の違いに応じて、選択指令スイッチにて、過去の負荷データに基づいて大負荷時間帯とは異なる時間帯に判定タイミングを設定する状態と、過去の貯湯量データに基づいて貯湯量が少量となる時間帯に判定タイミングを設定する状態とのうちのいずれかの状態を設定することになる。
上記各状態うちのいずれかを選択する場合、選択指令スイッチにて選択する構成に代えて、例えば、いずれかの状態に初期設定しておき、運転制御部が、運転を継続するに伴って蓄積される過去の負荷データから、どちらを選択した方が省エネルギになるかを演算にて求めて、より省エネルギ化を図れるものを自動的に選択するように構成してもよい。
〔第4実施形態〕
次に、第4実施形態を説明する。この実施形態では、前記運転制御手段による設定タイミング設定処理の構成が異なるが、それ以外の構成は第1実施形態や第2実施形態と同じであるから、異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明は省略する。
この実施形態では、前記運転制御手段が、過去の負荷データ、及び、前記貯湯槽に貯湯される湯水の貯湯量についての過去の貯湯量データを管理して、前記過去の負荷データ、前記過去の貯湯量データ、並びに、予め定められる判定タイミング設定条件に基づいて、前記判定タイミングを設定する判定タイミング設定処理を実行するように構成されている。
すなわち、運転制御部5は、1日を複数に分割した複数の単位期間毎の熱負荷及び貯湯槽に貯湯される湯水の貯湯量を時間経過の並び順に各日毎に区分けした状態で過去の複数日(21日)について記憶手段としての不揮発性のメモリ34に記憶させる。そして、前記判定タイミング設定条件として、単位期間内において同じような量の大きめの給湯負荷が複数回発生している場合には、大きめの給湯負荷が複数回発生した複数の時点のうちで、前記貯湯量が少量となる時間帯に判定タイミングを設定することを条件として、前記判定タイミング設定処理を実行する構成となっている。
前記判定タイミング設定条件としては各種の条件を設定することが可能であり、この実施形態では、要するに、前記過去の負荷データ、及び、前記過去の貯湯量データの夫々の情報を利用して判定タイミングを設定するのである。
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を説明する。
(1) 上記第1実施形態では、運転制御手段が、前記給湯用の負荷データとして、給湯の負荷量を管理するように構成され、且つ、前記判定タイミング設定処理において、前記負荷データにおける給湯の負荷量に基づいて、前記判定タイミングを設定するように構成したが、このような構成に代えて、次のように構成するものでもよい。
すなわち、前記負荷データとして、貯湯槽に貯留される湯水を浴槽へ湯張り給湯する風呂湯張り時刻を管理するように構成され、且つ、判定タイミング設定処理において、風呂湯張り時刻の情報に基づいて判定タイミングを設定するように構成するものでもよい。
説明を加えると、湯張り給湯する場合には、給湯使用量は浴槽の大きさにより予め予測することができるものであり、しかも、一般家庭において、最も大きな給湯負荷が発生するのは風呂湯張り給湯の場合であることが多いから、貯湯槽に風呂用の湯を貯湯するための燃料電池の運転状態を設定するのに適したタイミングを設定タイミングとして設定することで、省エネルギ化を図れるものとなる。
(2) 上記第1実施形態では、前記判定タイミング設定処理において、過去の負荷データのうちで大負荷時間帯となる時間帯を求めて、その大負荷時間帯から12時間以上離れ、且つ、大負荷時間帯から22時間以上離れていない条件を満足する時間帯に設定タイミングを設定するようにしたが、このような構成に代えて、大負荷時間帯を求めることなく、過去の負荷データに基づいて小負荷時間帯を求めて、その小負荷時間帯に設定タイミングを設定するようにしてもよい。
(3) 上記第1実施形態では、前記判定タイミング設定処理において、前記給湯用の負荷データに基づいて判定タイミングを設定するように構成したが、このような構成に限らず、電力負荷データや暖房用の熱負荷データを総合的に判断して判定タイミングを設定するように構成するようにしてもよい。
(4) 上記第1実施形態では、前記判定タイミング設定処理において、複数の各日の同じ時刻に対応する単位期間における負荷データの平均値を単位期間負荷データとして求め、且つ、対象となる単位期間の前後における単位期間を含む設定数分の単位期間の夫々における単位期間負荷データの合計値である複数期間負荷データを求めて、複数期間負荷データに基づいて判定タイミングを設定するように構成したが、このような構成に代えて次のように構成するものでもよい。
すなわち、複数の各日の同じ時刻に対応する単位期間における負荷データの合計値を単位期間負荷データとして求めるようにしてもよい。又、設定数分の単位期間の夫々における単位期間負荷データの平均値を複数期間負荷データとして求めるようにしてもよい。更には、複数期間負荷データを求めることなく、単位期間負荷データだけを用いて判定タイミングを設定するようにしてもよい。
(5) 上記第2実施形態では、前記判定タイミング設定処理において、メモリに記憶されている貯湯量データに基づいて、各日の同じ時刻に対応する単位期間における貯湯量データの平均値を単位期間貯湯量データとして求め、設定数分の単位期間の夫々における単位期間貯湯量データの合計値である複数期間貯湯量データを、1日の複数の単位期間の夫々について求めて、その複数の単位期間の夫々における複数期間貯湯量データのうちで最少となる複数期間貯湯量データに対応する単位期間を前記判定タイミングとするように構成したが、このような構成に代えて次のように構成してもよい。
すなわち、複数の各日の同じ時刻に対応する単位期間における貯湯量データの最小値又は最大値を単位期間貯湯量データとして求めるようにしてもよい。又、設定数分の単位期間の夫々における単位期間貯湯量データの平均値を複数期間貯湯量データとして求めるようにしてもよい。更には、複数期間貯湯量データを求めることなく、単位期間貯湯量データを用いて判定タイミングを設定するようにしてもよい。
(6) 上記第2実施形態では、前記運転制御手段が、熱量データの一例として、燃料電池が発生した熱を回収した熱量についての回収熱量データ、具体的には、貯湯槽に貯留される湯水の貯湯量についての過去の貯湯量データを管理して、その貯湯量データに基づいて前記判定タイミングを設定する構成としたが、このような構成に代えて、前記熱量データとして、前記補助加熱手段Mにおける加熱量データ、具体的には、補助加熱手段Mにおけるバーナ28における燃料供給量のデータを管理するようにして、その燃料供給量のデータに基づいて、前記判定タイミングを設定するように構成してもよい。
この構成において、補助加熱手段の加熱量データとしては、前記バーナ28における燃料供給量のデータを数値化した熱量のデータを用いることができ、しかも、このような数値化したデータ以外にも、補助加熱手段の稼動時間に関する時系列データや、補助加熱手段の稼動の有無に関する時系列データを用いることができる。例えば、貯湯槽内の湯水の貯湯量が充分あるときは前記バーナの稼動時間が少ないが、貯湯槽内の湯水が無くなると前記バーナの稼動時間が長くなるからである。
つまり、貯湯槽に貯湯される湯水の貯湯量が少なくなると、給湯箇所にて必要とされる給湯温度が得られないので、前記補助加熱手段Mのバーナ28の燃焼量(燃料供給量)が多くなる。そこで、その燃料供給量を熱量データとして管理するようにして、過去の実績データに比べて燃料供給量が多くなると、貯湯槽における湯水の貯湯量が少量となっている時間帯であると見做して判定タイミングを設定するようにしてもよい。
(7) 上記各実施形態では、前記判定タイミング設定処理を設定日数(21日)が経過する毎に実行するようにしたが、設定日数としては21日に限らずそれよりも短い日数でもよくそれよりも長い日数でもよい。又、前記判定タイミング設定処理を1日に1回ずつ行うようにしてもよく、その繰り返し周期は適宜変更することができる。
(8) 上記各実施形態では、設定周期として24時間(1日)を設定して、設定タイミングから24時間後までの燃料電池の計画運転を行うようにしたが、このような構成に代えて、設定周期としては、12時間、36時間、48時間等、各種の時間を設定して実施することもできる。
(9) 上記各実施形態では、前記運転処理において、燃料電池を計画運転するための運転条件として、燃料電池を連続的に稼動させる連続稼動モード、断続的に稼動させる断続稼動モード、及び、燃料電池を停止させる待機モードのうちのいずれで運転するかを設定するように構成したが、このような構成に代えて次のように構成してもよい。
燃料電池を稼動するためのモードとして、連続稼動モード、断続稼動モード、待機モードのうちのいずれか2つを備える構成でもよい。例えば、連続稼動モードと断続稼動モードとを備える構成、連続稼動モードと待機モードを備える構成、あるいは、断続稼動モードと待機モードとを備える構成等、各種の形態で実施することができる。要するに、連続稼動モード、断続稼動モード、待機モードのうちの少なくとも2つを備える構成である。
又、連続稼動モード及び断続稼動モードのうちの少なくとも1つを備えておりそれらのうちのいずれかで運転するように構成するものでもよい。例えば、連続稼動モードだけを備える構成としてもよく、断続稼動モードだけを備える構成としてもよい。
さらに、次のように構成してもよい。
燃料電池を計画運転するための運転条件として、判定タイミングにおいて燃料電池を運転するために用いる電力負荷や熱負荷等における予測負荷データを算出する処理を行うようにして、その予測負荷データに基づいて、例えば、単位時間が経過する毎に省エネルギ化を図ることができるか否かを判定するための省エネ度を求め、その省エネ度が基準値よりも高ければ燃料電池を運転し、省エネ度が基準値よりも低ければ燃料電池を運転しないように運転状態を制御する構成としてもよい。
(10) 上記各実施形態では、燃料電池の稼動時に電主運転制御を実行するように構成したが、別に、燃料電池の稼動時に燃料電池の出力をある一定の出力に設定するように運転制御を行う構成としてもよい。
(11) 上記各実施形態では、貯湯槽に加えて、熱消費端末を設けて、熱負荷を給湯熱負荷と端末熱負荷としたものを例示したが、熱消費端末を設けずに、給湯熱負荷を熱負荷とするものでもよい。
(12) 上記各実施形態では、熱電併給装置として燃料電池を例示したが、熱電併給装置としては、例えばガスエンジンなどの内燃機関と発電装置とを組み合わせたもの等を用いることも可能である。