JP2006329369A - 変速機の同期装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】変速動作時、同期中の動作荷重のピーク値を有効に下げると共に、同期完了前に変速段の選択を変更する選択変更動作時に変速機がロック状態となるのを防止する。
【解決手段】変速機の同期装置において、変速時であって、ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’との間で摩擦トルクが発生することにより、シンクロハブ5とボークリング4,4’との間に相対回転が発生しているとき、相対回転による周方向の力を、ボークリング4,4’をクラッチギヤ3,3’に押し付ける同期力発生機構と、カップリングスリーブ1が、クラッチギヤ方向に動かされた後、カップリングスリーブ1とクラッチギヤ3,3’のスプライン歯が噛み合うことなくクラッチギヤ方向とは逆方向に動かされたとき、ボークリング4,4’に逆方向の力を作用させて前記サポート同期力を解除するサポート同期力解除機構と、を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用歯車変速機等に適用され、少なくともカップリングスリーブとシンクロハブとボークリングとクラッチギヤとを備えた変速機の同期装置に関する。
従来、手動変速機の同期装置は、変速時、ドライバーがシフトレバー操作を行うことによりカップリングスリーブを動かすと、カップリングスリーブとボークリングとのチャンファ同士が接触し、カップリングスリーブの動きを阻止し、ボークリングテーパーコーン面がクラッチギヤテーパーコーン面を押して摩擦トルク(同期力)を発生することで、ボークリングとシンクロハブとの回転同期作用を行うようにしている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開平6−33952号公報 実開平6−8824号公報
しかしながら、従来の手動変速機の同期装置にあっては、カップリングスリーブとボークリングのチャンファ同士が接触し、ボークリングテーパーコーン面がクラッチギヤテーパーコーン面を押すことで発生する摩擦トルク(同期力)の全てが、カップリングスリーブからシフトレバーにダイレクトに伝わる構成となっていたため、ドライバーのシフト操作力が重くなる、という問題があった。また、クラッチを切り離しておいてカップリングスリーブをシフト方向に動作させる力を、油圧アクチュエータやモータアクチュエータ等により得る自動変速型平行2軸式歯車変速機(以下、自動MTという。)の場合には、アクチュエータ出力が高出力となり、大型化するし、コスト的にも不利である、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、変速動作時、同期中の動作荷重のピーク値を有効に下げることができると共に、同期完了前に変速段の選択を変更する選択変更動作時に変速機がロック状態となるのを防止することができる変速機の同期装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、カップリングスリーブと、シンクロハブと、ボークリングと、クラッチギヤと、を備えた変速機の同期装置において、
変速時であって、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面との間で摩擦トルクが発生することにより、前記シンクロハブと前記ボークリングとの間に相対回転が発生しているとき、前記相対回転による周方向の力を、前記ボークリングをクラッチギヤに押し付ける軸方向のサポート同期力に変換するサポート同期力発生機構と、
前記カップリングスリーブが、クラッチギヤ方向に動かされた後、カップリングスリーブとクラッチギヤのスプライン歯が噛み合うことなくクラッチギヤ方向とは逆方向に動かされたとき、前記カップリングスリーブの逆方向の動きに応じて前記ボークリングに逆方向の力を作用させて前記サポート同期力を解除するサポート同期力解除機構と、
を備えたことを特徴とする。
よって、本発明の変速機の同期装置にあっては、変速時であって、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面との間で摩擦トルクが発生することにより、シンクロハブとボークリングとの間に相対回転が発生しているとき、サポート同期力発生機構において、相対回転による周方向の力が、ボークリングをクラッチギヤに押し付ける軸方向のサポート同期力に変換される。このサポート同期力は、シンクロハブとボークリングとの間で発生し、その反力はシンクロハブで受けられ、カップリングスリーブ側に伝わるものではないため、メカ的な同期力ということができる。そして、回転同期のために必要とするシフト動作荷重は、メカ的なサポート同期力により予め低くなった相対回転数から相対回転数をゼロにするまでの荷重で良いため、変速動作時、同期中の動作荷重のピーク値を有効に下げることができる。
しかし、第1変速段への同期完了前に変速段の選択を変更して第2変速段とする選択変更動作時には、第1変速段用のサポート同期力が発生したままで、第2変速段へ変速することになるため、第2変速段状態で第1変速段のボークリングとクラッチギヤとの相対回転が無くなり、変速機がロック状態となるおそれがある。これに対し、カップリングスリーブが、クラッチギヤ方向に動かされた後、カップリングスリーブとクラッチギヤのスプライン歯が噛み合うことなくクラッチギヤ方向とは逆方向に動かされる変速段の選択変更動作時には、サポート同期力解除機構において、カップリングスリーブの逆方向の動きに応じてボークリングに逆方向の力を作用させることで、発生していた前記サポート同期力が解除される。このため、同期完了前に変速段の選択を変更する選択変更動作時に変速機がロック状態となるのを防止することができる。
以下、本発明の変速機の同期装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の変速機の同期装置を示す図2E−E線縦断正面図、図2は実施例1の変速機の同期装置を示すシンクロハブ部縦断側面図である。
実施例1の変速機の同期装置は、図1及び図2に示すように、カップリングスリーブ1と、メインギヤ2,2’と、クラッチギヤ3,3’と、ボークリング4,4’と、シンクロハブ5と、インサートキー6と、弾性部材7と、メインシャフト8と、リターンスプリング9と、組付けプレート10,10’と、を備えている。
前記メインシャフト8には、メインギヤ2,2’が離れた位置にそれぞれ回転可能に設けられ、前記メインギヤ2,2’にはクラッチギヤ3,3’がそれぞれ圧入等により一体化され、かつ、前記クラッチギヤ3,3’は軸方向に対向配置されている。前記クラッチギヤ3,3’のそれぞれには、同じ形状のクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’とが軸方向の対向位置に形成され、クラッチギヤ外面には、前記カップリングスリーブ1のスプライン歯に嵌合するチャンファが形成されている。
前記カップリングスリーブ1は、前記メインギヤ2,2’の間に配置された変速動作荷重の入力部材で、前記シンクロハブ5とはスプライン嵌合されており、シンクロハブ5と一体に回転し、且つ、軸方向に移動可能である。このカップリングスリーブ1のスリーブ内面には、インサートキー6を支持するキー溝とスプライン歯とが形成され、スリーブ外面には、図外のシフトフォークが嵌着するフォーク溝が形成されている。
前記ボークリング4,4’は、前記メインギヤ2,2’の回転をシンクロハブ5の回転と同期させる同期部材で、軸方向に移動可能で、且つ、シンクロハブ5に対して所定量(スプライン歯のチャンファ位置合わせ量:以下、「割り出し量」という。)だけ相対回転可能である。このボークリング4,4’のリング内面には、前記クラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’とテーパー嵌合するボークリングテーパーコーン面4e,4e’がそれぞれ形成され、リング外面には、前記カップリングスリーブ1のスプライン歯に嵌合するチャンファが形成されている。
前記シンクロハブ5は、前記ボークリング4,4’の間に挟まれた位置に配置され、メインシャフト1にスプライン固定された同期部材である。このシンクロハブ5のハブ内面には、メインシャフト1のスプライン歯と嵌合するスプライン歯が形成され、シンクロハブ5のハブ外面には、前記カップリングスリーブ1のスプライン歯と嵌合するスプライン歯が形成されている。
前記インサートキー6は、前記シンクロハブ5の外周に3箇所形成されたキー溝の位置に配置された同期部材である。このインサートキー6は、シンクロハブ5とカップリングスリーブ1と図外のキースプリングにより支持され、インサートキー6の外周に設けられたキー突起とカップリングスリーブ1のキー溝とがロックした状態で位置決めされており、シンクロハブ5と一体回転し、且つ、カップリングスリーブ1と連動して軸方向に移動可能である。
図3は実施例1の同期装置におけるサポート同期力発生機構を示すボークリングの斜視図(a)とサポート同期力発生機構を示すシンクロハブの斜視図(b)であり、以下、サポート同期力発生機構及び戻し機構の構成について説明する。
前記サポート同期力発生機構とは、変速時であって、ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’との間で摩擦トルクが発生することにより、前記シンクロハブ5と前記ボークリング4,4’との間に相対回転が発生しているとき、前記相対回転による周方向の力を、前記ボークリング4,4’をクラッチギヤ3,3’に押し付ける軸方向のサポート同期力に変換する機構である。つまり、カップリングスリーブ1とボークリング4,4’のチャンファ同士が接触してボークリングテーパーコーン面4e,4e’を押す前に、ボークリング4,4’に対しボークリングテーパーコーン面4e,4e’を押すサポート同期力を発生させる機構をいう。
実施例1のサポート同期力発生機構は、一対の斜面によるカム凸面4d,4dを、図3(a)に示すように、ボークリング4のキー溝部4cの両側に形成し、かつ、一対のカム凸面4d,4dを、図2に示すように、周方向の3箇所位置に配置する。そして、一対の斜面によるカム凹面5d,5dを、図3(b)に示すように、前記一対のカム凸面4d,4dと対応するシンクロハブ5のキー溝5cの両側位置に形成し、かつ、一対のカム凹面5d,5dを、図2に示すように、周方向の3箇所位置に配置する。前記ボークリング4’についてもボークリング4と同様であり、ボークリング4’に、図外の一対のカム凸面を周方向の3箇所位置に配置し、これと対応する位置のシンクロハブ5に一対のカム凹面5d,5dを周方向の3箇所位置に配置する。なお、各カム面の傾斜角度は、適正なサポート同期力を得るべく決められるものであり、実施例1では、サポート同期力Faを発生するのに有効な45°程度の一定傾斜角を持つ傾斜面としている。また、図3(a),(b)に示すように、一対のカム凸面4d,4dが形成されるキー溝部4cの両端幅L1は、一対のカム凹面5d,5dの対向幅L2より少し狭い幅となるように設定されている。
前記戻し機構は、カップリングスリーブ5が中立位置にあるとき、および、カップリングスリーブ5とクラッチギヤ3,3’のスプライン歯が噛み合っているとき(同期終了後)、前記サポート同期力が発生しないように、前記ボークリング4,4’を初期位置に戻し、ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’とを離す機構をいう。実施例1の戻し機構は、図1及び図2に示すように、一対のボークリング4,4’との間に組付けプレート10,10’を介して配置されたリターンスプリング9により構成されている。
図4は実施例1の同期装置において弾性部材を固定したボークリングを示す斜視図、図5は実施例1の同期装置において係合突起を有するカップリングスリーブのスプライン歯斜視図であり、以下、実施例1のサポート同期力解除機構の構成について説明する。
サポート同期力解除機構とは、前記カップリングスリーブ1が、例えば、クラッチギヤ3の方向に動かされた後、カップリングスリーブ1とクラッチギヤ3のスプライン歯が噛み合うことなくクラッチギヤ方向とは逆方向に動かされたとき、前記カップリングスリーブ1の逆方向の動きに応じて前記ボークリング4に逆方向の力を作用させて前記サポート同期力を解除する手段をいう。
実施例1のサポート同期力解除機構は、前記カップリングスリーブ1と前記ボークリング4,4’とを係合させ、前記カップリングスリーブ1への逆方向入力を前記ボークリング4,4’に対する逆方向力とする。
すなわち、前記カップリングスリーブ1には、図5に示すように、前記カップリングスリーブ1のスプライン歯に傾斜面を有する第1係合突起1a,1a’を形成する。なお、図5の1bは通常のスプライン歯である。
そして、図4に示すように、前記ボークリング4,4’の端面に第1端部7aを接着等にて固定した弾性部材7,7を設けた。この弾性部材7,7は、第2端部に前記カップリングスリーブ1の移動により前記第1係合突起1a,1a’と係合する第2係合突起7bを有し、前記カップリングスリーブ1の逆方向の動きにより係合する両突起1a,7bまたは両突起1a’,7bで発生する係合力(逆方向入力)を、前記ボークリング4,4’を前記クラッチギヤ3,3’から引き離す逆方向力とする。
なお、前記弾性部材7,7の第2係合突起7bは、カップリングスリーブ1に形成された第1係合突起1a,1a’が何れの軸方向からも、前記カップリングスリーブ1からの入力が所定入力を超える場合の撓み変形により傾斜乗り越えが可能なように、カップリングスリーブ1と対向する部分が台形断面形状とされている。
次に、作用を説明する。
[変速同期作用]
実施例1の同期装置による変速同期作用について、図6及び図7を用いて説明する。ここでは、カップリングスリーブ1を図1の左方向に移動させ、高速で回転しているメインギヤ2’の回転を低速で回転しているメインシャフト8の回転数に同期させ、メインギヤ2’をメインシャフト8と一体回転させる変速例について説明する。
例えば、手動変速機の場合、図6のt0の時点でシフトレバーに対するシフト操作を開始すると、中立状態からカップリングスリーブ1とインサートキー6とが図1の左方向に移動して徐々に動作荷重が増し、t1の時点に近づくと、シフトレバーに加えた荷重が伝達されるシフト操作機構の途中位置に設けられたシフトチェックボールをスプリング付勢力に抗して乗り上げ、乗り上げるt1の時点で最大のシフトチェック荷重が作用し、その後、t2の時点まで動作荷重は低下する。なお、自動MTの場合、図6のt0の時点でシフト動作を開始すると、t2の時点まで徐々に動作荷重が上昇する。以下述べる作用は、手動変速機の場合も自動MTの場合も同様である。
次に、インサートキー6がボークリング4’の溝壁面とのクリアランスを詰めて接触を開始すると、インサートキー荷重が上昇する。このインサートキー荷重の上昇によりボークリング4’が図1の左方向に移動すると、クラッチギヤテーパーコーン面3e’とボークリングテーパーコーン面4e’とが接触して摩擦トルクが発生し、t3の時点からサポート同期力による同期が開始される。
このサポート同期が開始されると、両テーパーコーン面3e’,4e’との間で摩擦トルクが発生することにより、シンクロハブ5とボークリング4’との間に相対回転が発生し、インサートキー6とキー溝4cとの周方向隙間のうち、一方の周方向隙間を無くす割り出しが行われ、ボークリング4’のカム凸面4dとシンクロハブ5のカム凹面5dとが接触する。このカム凹凸面4d,5dの接触により発生する周方向の相対回転力Fは、傾斜角度を持つカム面に垂直な方向に変えられてボークリング4’に作用し、図7に示すように、相対回転力Fの軸方向分力がFaとなり、相対回転力Fの周方向分力がFbとなる。このうち、軸方向分力であるFaが、ボークリング4’をメインギヤ2側に押す方向に作用するサポート同期力となる。
前記サポート同期力Faは、図6に示すように、t3(同期開始点)〜t4(最大点)〜t5(切り替え点)の間で山なりの特性を示し、サポート同期力Faによりクラッチギヤテーパーコーン面3e’とボークリングテーパーコーン面4e’との間で摩擦トルクが発生し、メインシャフト8(=シンクロハブ5)とメインギヤ2’(=クラッチギヤ3’)との相対回転数△Nは、初期相対回転数△N1から相対回転数△N0まで低下する。また、このサポート同期は、シンクロハブ5とボークリング4’との間で行われ、サポート同期力Faの反力はメインシャフト8に固定されたシンクロハブ5により受けられるため、サポート同期力Faの反力がカップリングスリーブ1に伝達されることは無い。つまり、メカ的に発生するサポート同期力Faは、シフト動作荷重を全く増大させることなく、シフト動作のために必要とする荷重をサポートすることになる。
さらに、カップリングスリーブ1が移動し、サポート同期力Faが低下する特性と、カップリングスリーブ1に加えられる動作荷重が増大する特性とが交差する交点となる時点t5からは、カップリングスリーブ1のスプライン歯1bのチャンファと、ボークリング4’のチャンファ4aとが接触し、カップリングスリーブ1の動きは阻止され、そのときの接触力の大きさにより、クラッチギヤテーパーコーン面3e’とボークリングテーパーコーン面4e’との間で摩擦トルクが発生し、従来と同様にボーク状態での同期が行われる。
このチャンファ同士を接触させての同期では、メインシャフト8(=シンクロハブ5)とメインギヤ2’(=クラッチギヤ3’)との相対回転数△Nを、予めメカ同期作用により低下させられていた相対回転数△N0から相対回転数ゼロまで低下するだけで良いため、t6時点での動作荷重のピーク値は低く、相対回転数がゼロとなるt7の時点で同期は終了する。
そして、同期が終了すると、摩擦トルクは消滅し、カップリングスリーブ1の阻止力も解除され、カップリングスリーブ1の移動が可能となり、t6の時点以降でカップリングスリーブ1が軸方向の移動に伴いインサートキー6がカップリングスリーブ1のキー溝から抜け、t7の時点でボークリング4’を押し分け、さらに、t8の時点でカップリングスリーブ1が第1クラッチギヤ3のスプライン歯へ噛み合い、t9の時点で変速動作が終了する。
よって、従来の同期装置のように、同期中はカップリングスリーブとボークリングのチャンファ同士を接触させ、カップリングスリーブから加えられる動作荷重のみにより、初期相対回転数△N1から相対回転数ゼロまで低下させる同期作用を行う場合、図6の従来動作力の特性に示すように、t4の時点から少し遅れた時点から動作荷重が大きく上昇し、t6の時点から動作荷重が低下するという特性を示し、動作荷重のピーク値が高くなる。
これに対し、実施例1では、上記のように、初期相対回転数△N1から相対回転数△N0まで低下させる同期力を、カップリングスリーブ1とボークリング4’のチャンファ同士を接触させる前に、ボークリング4’とシンクロハブ5とに形成したカム凹凸面4d,5dを接触させることにより発生するサポート同期力Faで予め補うようにしたため、図6の今回動作力の特性に示すように、t5〜t6〜t7までの領域による山なりの動作荷重特性を示す。
よって、動作荷重のピーク値については、図6の動作荷重のピーク値低減代に示すように、従来装置に比べて大幅に低下させることができる。この結果、例えば、アクチュエータによりシフト動作力を付与する場合、低くなった動作荷重のピーク値を出し得る定格出力を持つ小型アクチュエータを用いることができる。
加えて、図6のハッチングに示す領域が、従来装置での同期仕事量に対する同期仕事量低減代となり、従来装置での同期仕事量に比べ、カップリングスリーブ1に動作荷重を加えることなく行われるサポート同期による同期仕事量の分が減少し、同期仕事量の大幅な低減を図ることができる。
[ボークリングの戻し作用]
実施例1の同期装置では、例えば、上記のようにシフトアップを行う時(回転を下げる方向に同期する時)の必要シフト動作荷重を低減することができるが、この後、シフトダウンを行う時(回転を上げる方向に同期する時)、ボークリング4’はシンクロハブ5と一緒に回転しているので、両ボークリングテーパーコーン面3e’,4e’に引き摺りトルクが発生し、シフトダウンの動作荷重が重くなるという問題があった。
これに対し、実施例1では、同期終了後、ボークリング4,4’は、リターンスプリング9の付勢力により、シンクロハブ5の方向に戻されることになる。このように、ボークリング4,4’がシンクロハブ5の方向に戻されるため、両ボークリングテーパーコーン面4e,4e’の引き摺りトルク(フリクション)が無くなり、このフリクションに抗して行われるシフトダウン時の動作荷重が軽くなる。
ここで、戻し機構の必要性をより詳しく説明すると、両ボークリング4,4’が、シンクロハブ5に対して所定量相対回転可能であり、且つ、軸方向移動可能であるため、以下のような問題が発生する。
すなわち、非選択段のサポート同期力発生機構において、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面との間のクリアランスが確保されず、コーン面間に介在する潤滑油が油膜を形成し、この油膜によってコーン面間に引き摺りトルク(摩擦トルク)が発生して、シンクロハブとボークリングとの間に相対回転が発生してしまうと、カップリングスリーブにシフト動作力が入力されていなくても勝手にサポート同期力発生機構が作動してサポート同期力を発生させてしまい、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面とが必要以上に摩耗し、同期装置の寿命を低下させてしまうと共に、最悪の場合には、このサポート同期力によってシンクロハブとボークリングとの間の相対回転が0となって2重シフト(選択段と非選択段が同時に選択されロックしてしまう状態)が発生するという問題(問題1)が生じる。
また、選択段のサポート同期力発生機構において、同期終了後(変速終了後)、カップリングスリーブとクラッチギヤのスプライン歯が噛み合っているときには、通常、ボークリングを押し付ける力が作用しないため、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面とは外れた状態にあるが、エンジンの回転変動によってシンクロハブとボークリングとの間に相対回転が発生し、場合によっては相対回転量が大きくなってサポート同期力発生機構が作動し、ボークリングをクラッチギヤに押し付けてボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面とが嵌合状態(食い付き状態)となってしまうおそれがある。このような状態になると、当該変速段から他の変速段へ変速するに際に、上記ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面との嵌合を外すための力が必要となり、カップリングスリーブへ入力するシフト動作力を大きくしなければならないといった問題(問題2)が生じる。
ゆえに、実施例1のように戻し機構を設けると、カップリングスリーブ1がニュートラル位置にあるとき、ボークリング4,4’を初期位置に戻し、ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’とを離すことで、非選択段のボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面とのクリアランスを確実に確保して上記問題1の発生を防止できる。併せて、カップリングスリーブ1とクラッチギヤ3,3’のスプライン歯が噛み合っているときに、ボークリング4,4’を初期位置に戻し、ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’とを離すことで、変速終了後に選択段のボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面とが嵌合状態になることを防止して上記問題2の発生を防止できる。
[変速段の選択変更時における変速作用]
例えば、図8に示すように、運転者が2速→3速へ変速しようとしたものの、車速に対して3速では低すぎると感じ、2速→3速の変速が完了する前(同期完了前)に、4速への変速に変更した場合、実際には3速が選択されていないにもかかわらず、3速用のサポート同期力が発生したまま4速へ変速することになるため、4速選択状態で3速のボークリングとクラッチギヤとの相対回転が無くなり、変速機が3速と4速とが同時に選択される2重シフトにより、ロック状態となるおそれがある。
これに対し、実施例1では、上記のような変速段の選択変更動作時には、サポート同期力解除機構である弾性部材7,7により、カップリングスリーブ1の逆方向の動きに応じてボークリング4,4’に逆方向の力を作用させてサポート同期力の発生が抑制されるため、同期完了前に変速段の選択を変更する選択変更動作時に変速機がロック状態となるのを防止することができる。以下、変速段の選択変更時における変速作用を図9〜図13に基づいて説明する。
ニュートラル時、カップリングスリーブ1の第1係合突起1a,1a’に係合する弾性部材7,7をボークリング4,4’の端面に接着等により設定する。カップリングスリーブ1をシフト選択方向にシフトする。このシフト操作を途中まで行うことで、上記のようにサポート同期力が発生する(図9)。
更にシフトすることで、カップリングスリーブ1とボークリング4のチャンファ同士が接触すると(同期前)、弾性部材7,7のうち、シフト方向の弾性部材7は、カップリングスリーブ1の第1係合突起1aから離れてゆき、シフト方向とは反対側の弾性部材7は、カップリングスリーブ1の第1係合突起1a’に押されて撓む(図10)。
そして、サポート同期力が発生している状態で、選択シフトを中断し、他のポジションにシフトしようとした場合、カップリングスリーブ1の逆方向移動に伴い、カップリングスリーブ1の第1係合突起1aと弾性部材7の第2係合突起7bとが係合し、ボークリング4を引き摺りながらニュートラル位置へ戻そうとし、この戻し力がサポート同期力を解除する力となる(図11)。
そして、カップリングスリーブ1の逆方向移動が進みサポート同期力が解除されると、ボークリング4は、リターンスプリング9による戻し力により初期(ニュートラル)位置へ戻る。このように、カップリングスリーブ1の逆方向移動動作を利用したサポート同期力の強制解除に伴い、ボークリングテーパーコーン面4eとクラッチギヤテーパーコーン面3eとが離されるので、その直後、他の変速段を選択しても変速機の2重シフトによるロックを防止することができる(図12)。
なお、図10に示す選択シフト途中の状態から、他のポジションへシフト変更することなく、そのままカップリングスリーブ1を図面右方向へ移動させると、シフト方向とは反対側の弾性部材7は、カップリングスリーブ1の第1係合突起1a’に押されて撓み変形した後、さらに撓み変形量を増して第1係合突起1a’がそのまま乗り越えるため、上記のように、サポート同期力を発生させながら選択シフト変速段へのシフトを完了する。すなわち、選択シフトポジションを変更することのない通常のシフト動作時には、サポート同期力解除機構による影響を与えること無くシフトが完了する(図13)。
次に、効果を説明する。
実施例1の変速機の同期装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) カップリングスリーブ1と、シンクロハブ5と、ボークリング4,4’と、クラッチギヤ3,3’と、を備えた変速機の同期装置において、変速時であって、ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’との間で摩擦トルクが発生することにより、前記シンクロハブ5と前記ボークリング4,4’との間に相対回転が発生しているとき、前記相対回転による周方向の力を、前記ボークリング4,4’をクラッチギヤ3,3’に押し付ける軸方向のサポート同期力Faに変換するサポート同期力発生機構と、前記カップリングスリーブ1が、クラッチギヤ方向に動かされた後、カップリングスリーブ1とクラッチギヤ3,3’のスプライン歯が噛み合うことなくクラッチギヤ方向とは逆方向に動かされたとき、前記カップリングスリーブ1の逆方向の動きに応じて前記ボークリング4,4’に逆方向の力を作用させて前記サポート同期力を解除するサポート同期力解除機構と、を設けたため、変速動作時、同期中の動作荷重のピーク値を有効に下げることができると共に、同期完了前に変速段の選択を変更する選択変更動作時に変速機がロック状態となるのを防止することができる。
この結果、手動変速機の場合には、ドライバーがシフトレバーに加えるシフト操作力が軽減されるし、また、自動MTの場合には、シフトアクチュエータとして、コスト的にもスペース的にも有利な小型アクチュエータを用いることができる。
(2) 前記サポート同期力解除機構は、前記カップリングスリーブ1と前記ボークリング4,4’とを係合させ、前記カップリングスリーブ1への逆方向入力を前記ボークリング4,4’に対する逆方向力とするため、カップリングスリーブ1への逆方向入力を効率良くボークリング4,4’に対する逆方向力としてサポート同期力を解除することができる。
(3) 前記サポート同期力解除機構は、前記カップリングスリーブ1のスプライン歯に形成した第1係合突起1a,1a’と、前記ボークリング4,4’の端面に第1端部7aを固定し、第2端部に前記カップリングスリーブ1の移動により前記第1係合突起1a,1a’と係合する第2係合突起7bを有し、前記カップリングスリーブ1の逆方向の動きにより係合する両突起1a,7bまたは両突起1a’,7bで発生する係合力を、前記ボークリング4,4’を前記クラッチギヤ3,3’から引き離す逆方向力とする弾性部材7,7と、を備えたため、変速段の選択変更を行わない通常の変速動作に影響を与えることなく、簡単な構成にてサポート同期力を解除することができる。
実施例2は、同期完了前に変速段の選択を変更する選択変更動作時に作用するサポート同期力解除機構の構成を実施例1とは異なる構成とした例である。
まず、構成を説明する。
図14は実施例2の変速機の同期装置を示す図15G−G線縦断正面図、図15は実施例2の変速機の同期装置を示すシンクロハブ部縦断側面図である。
実施例2の変速機の同期装置は、図14及び図15に示すように、カップリングスリーブ1と、メインギヤ2,2’と、クラッチギヤ3,3’と、ボークリング4,4’と、シンクロハブ5と、インサートキー6と、メインシャフト8と、リターンスプリング9と、組付けプレート10,10’と、梃子部材11と、スプリング12と、ピン13と、を備えている。
なお、前記カップリングスリーブ1、メインギヤ2,2’、クラッチギヤ3,3’、ボークリング4,4’、シンクロハブ5、インサートキー6、メインシャフト8、リターンスプリング9、組付けプレート10,10’の構成については、実施例1と同様であるので説明を省略する。また、サポート同期力発生機構及び戻し機構についても実施例1と同様であるので説明を省略する。
図16は実施例2の同期装置における梃子部材を示す図、図17は実施例2の同期装置において梃子部材が設けるボークリング部を示す斜視図、図18は実施例2の同期装置において梃子部材を設けた状態のボークリング部を示す斜視図であり、以下、実施例2のサポート同期力解除機構の構成について説明する。
実施例2のサポート同期力解除機構は、前記カップリングスリーブ1と前記ボークリング4,4’とを係合させ、前記カップリングスリーブ1への逆方向入力の一部を前記ボークリング4,4’と前記クラッチギヤ3,3’とを離間する力に変換する。そして、梃子部材11(リンク機構)を有し、ボークリング4,4’にピン支持された梃子部材11がピン13を支点に回転動作することにより、前記離間力を発生する。
すなわち、前記カップリングスリーブ1には、図5に示すように、前記カップリングスリーブ1のスプライン歯に傾斜面を有する第1係合突起1a,1a’を形成する。この点は実施例1と同様である。
前記梃子部材11は、前記ボークリング4,4’に対してピン支持される部材であり、図16(a),(b)に示すように、前記カップリングスリーブ1の移動により前記第1係合突起1a,1a’と係合する第2係合突起11aを第1端部11bに有し、前記カップリングスリーブ1の逆方向の動きによる両突起1a,11aまたは両突起1a’,11aの係合でスプリング1の付勢力に抗してピン13を支点に回転動作するとき、第2端部11cが前記クラッチギヤ3,3’を押すことにより前記ボークリング4,4’を前記クラッチギヤ3,3’から引き離す離間力とする。前記第2係合突起11aの裏面には、スプリング12による付勢力を受けるスプリング溝11dが形成されている。また、前記第2端部11c側へ延びる腕の途中位置には、ピン13が挿着されるピン穴11eが開口されている。なお、前記第2係合突起11cは、カップリングスリーブ1に形成された第1係合突起1a,1a’が何れの軸方向からも傾斜乗り越えが可能なように、カップリングスリーブ1と対向する部分が台形断面形状とされている。
そして、前記梃子部材11は、図16(c)に示すように、L字形状であり、L字中心線の交点p1から第2係合突起11aの上端までの腕の長さをa、L字中心線の交点p1から第2係合突起11aの軸方向中心点p2までの腕の長さをb、L字中心線の交点p1からピン中心点p3までの腕の径方向長さをc、ピン中心点p3から第2端部11cの下端までの腕の長さをdとすると、各部の腕の長さa,b,c,dが、
a>0 …(1)
d<b …(2)
c<b …(3)
d<a+√(a2+b2) …(4)
の関係を満足する設定とされている。
そして、前記梃子部材11を設定するボークリング4には、図17(a),(b)に示すように、梃子部材軸方向挿入溝4fと、梃子部材径方向挿入溝4gと、ボークリング端面4hと、支点ピン設定溝4g,4gと、が形成されている。
前記梃子部材11をボークリング4に対し設定する際は、図18(a),(b)に示すように、ピン13をピン穴11dに装着し、ピン13の両端部を支点ピン設定溝4g,4gに嵌め込み、支点ピン固定部材14を支点ピン設定溝4g,4gに圧入することで、梃子部材11を梃子部材軸方向挿入溝4fと梃子部材径方向挿入溝4gとに設定し、且つ、スプリング12をスプリング溝11bに嵌め込むことで、梃子部材11の第2係合突起11cをカップリングスリーブ1の方向(外径方向)に付勢する。
次に、作用説明する。
[変速段の選択変更時における変速作用]
例えば、図8に示すように、運転者が2速→3速へ変速しようとしたものの、車速に対して3速では低すぎると感じ、2速→3速の変速が完了する前(同期完了前)に、4速への変速に変更した場合、実際には3速が選択されていないにもかかわらず、3速用のサポート同期力が発生したまま4速へ変速することになるため、4速選択状態で3速のボークリングとクラッチギヤとの相対回転が無くなり、変速機が3速と4速とが同時に選択される2重シフトにより、ロック状態となるおそれがある。
これに対し、実施例2では、上記のような変速段の選択変更動作時には、サポート同期力解除機構である梃子部材11,11により、カップリングスリーブ1の逆方向の動きに応じてボークリング4,4’に逆方向の力を作用させてサポート同期力の発生が抑制されるため、同期完了前に変速段の選択を変更する選択変更動作時に変速機がロック状態となるのを防止することができる。以下、変速段の選択変更時における変速作用を図19〜図24に基づいて説明する。
ニュートラル時、カップリングスリーブ1の第1係合突起1a,1a’に係合する梃子部材11,11をボークリング4,4’にピン13を介して回動可能に支持する。この梃子部材11,11はスプリング12,12によりカップリングスリーブ1の方向(外径方向)に付勢されている。カップリングスリーブ1をシフト選択方向にシフトする。このシフト操作を途中まで行うことで、上記のようにサポート同期力が発生する(図19)。
更にシフトすることで、カップリングスリーブ1とボークリング4のチャンファ同士が接触すると(同期前)、梃子部材11,11のうち、シフト方向の梃子部材11は、カップリングスリーブ1の第1係合突起1aとの係合力が弱められ、シフト方向とは反対側の梃子部材11は、カップリングスリーブ1の第1係合突起1a’に押され、スプリング12に抗して僅かに右回動する(図20)。
そして、サポート同期力が発生している状態で、選択シフトを中断し、他のポジションにシフトしようとした場合、カップリングスリーブ1の逆方向移動に伴い、カップリングスリーブ1の第1係合突起1aと梃子部材11の第2係合突起11aとの係合力が、図22の矢印(1)方向に作用する。この矢印(1)方向の係合力により、梃子部材11は、ピン13を支点として左方向に回動し、第2端部11cがクラッチギヤ3の端面に当たり、矢印(1)とは反対方向の力が図22の矢印(2)方向に作用する。この矢印(2)方向の力で梃子部材11がクラッチギヤ3の端面を押すことで、ボークリングテーパーコーン面4eがクラッチギヤテーパーコーン面3eから離れることで、図22の矢印(3)に示すように、サポート同期力が解除される(図21)。
そして、カップリングスリーブ1の逆方向移動が進みサポート同期力が解除されると、ボークリング4は、リターンスプリング9による戻し力により初期(ニュートラル)位置へ戻る。このように、サポート同期力の強制解除に伴いボークリングテーパーコーン面4eとクラッチギヤテーパーコーン面3eとが離されるので、その直後、他の変速段を選択しても変速機の2重シフトによるロックを防止することができる(図23)。
なお、図20に示す選択シフト途中の状態から、他のポジションへシフト変更することなく、そのままカップリングスリーブ1を図面右方向へ移動させると、シフト方向とは反対側の梃子部材11は、カップリングスリーブ1の第1係合突起1a’に押されて回動した後、さらに回動角度が増して第1係合突起1a’がそのまま乗り越えるため、サポート同期力を発生させながら選択シフト変速段へのシフトを完了する。このとき、梃子部材11はフリーな状態となり、スプリング12により径方向に拡がろうとするが、ボークリング4’の端面と梃子部材11の第2端部11cが当たることで、必要以上に拡がることを防止する。すなわち、選択シフトポジションを変更することのない通常のシフト動作時には、サポート同期力解除機構による影響を与えること無くシフトが完了する(図24)。
次に、効果を説明する。
この実施例2の変速機の同期装置にあっては、実施例1の(1)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(4) 前記サポート同期力解除機構は、前記カップリングスリーブ1と前記ボークリング4,4’とを係合させ、前記カップリングスリーブ1への逆方向入力の一部を前記ボークリング4,4’と前記クラッチギヤ3,3’とを離間する力に変換するため、カップリングスリーブ1への逆方向入力の一部を離間力に変換してサポート同期力を解除することができる。
(5) 前記サポート同期力解除機構は、梃子部材11(リンク機構)を有し、前記梃子部材11がピン13を支点に回転動作することにより、前記離間力を発生するため、変速段の選択変更を行わない通常の変速動作に影響を与えることなく、リンク機構を利用する構成により、サポート同期力を解除することができる。。
(6) 前記サポート同期力解除機構は、前記カップリングスリーブ1のスプライン歯に形成した第1係合突起1a,1a’と、前記ボークリング4,4’に対してピン支持され、前記カップリングスリーブ1の移動により前記第1係合突起1a,1a’と係合する第2係合突起11aを第1端部11bに有し、前記カップリングスリーブ1の逆方向の動きによる両突起1a,11aまたは両突起1a’,11aの係合でスプリング1の付勢力に抗してピン13を支点に回転動作するとき、第2端部11cが前記クラッチギヤ3,3’を押すことにより前記ボークリング4,4’を前記クラッチギヤ3,3’から引き離す離間力とする梃子部材11,11と、を備えたため、変速段の選択変更を行わない通常の変速動作に影響を与えることなく、梃子部材11による簡単な構成にてサポート同期力を解除することができる。
(7) 前記梃子部材11は、L字形状であり、L字中心線の交点p1から第2係合突起11aの上端までの腕の長さをa、L字中心線の交点p1から第2係合突起11aの軸方向中心点p2までの腕の長さをb、L字中心線の交点p1からピン中心点p3までの腕の径方向長さをc、ピン中心点p3から第2端部11cの下端までの腕の長さをdとすると、各部の腕の長さa,b,c,dが、
a>0 …(1)
d<b …(2)
c<b …(3)
d<a+√(a2+b2) …(4)
の関係を満足する設定としたため、変速段の選択変更動作時におけるサポート同期力の確実な解除作用と、通常の変速動作時のサポート同期力の発生作用と、の両立を達成する梃子部材11とすることができる。
以上、本発明の変速機の同期装置を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、本発明のサポート同期力発生機構及びサポート同期力解除機構は、実施例1,2に示したキー式同期装置に限らず、ピン式同期装置や、同期初期に相対回転するシンクロハブとボークリングを有する他の方式の同期装置にも適用することができる。
実施例1,2では、サポート同期力発生機構として、斜面によるカム面接触を利用したものを示したが、曲面によるカム面接触を利用したものや、コイルスプリングに蓄える弾性力を利用したものであっても良い。要するに、シンクロハブ(またはインサートキー)とボークリングとの間に相対回転が発生しているとき、相対回転による周方向の力を、ボークリングをクラッチギヤに押し付ける軸方向のサポート同期力に変換する機構であれば、その具体的な機構は、実施例1,2に記載した機構に限られることはない。
実施例1,2では、戻し機構として、リターンスプリングによる例を示したが、戻しキーによるものであっても良い。要するに、カップリングスリーブが中立位置にあるとき、および、カップリングスリーブとクラッチギヤのスプライン歯が噛み合っているとき、サポート同期力が発生しないように、ボークリングを初期位置に戻し、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面とを離す機構であれば、その具体的な機構は、実施例1,2に記載した機構に限られることはない。
実施例1では、サポート同期力解除機構として、弾性部材を用いた構成例を示し、実施例2では、サポート同期力解除機構として梃子部材を用いた構成例を示したが、要するに、カップリングスリーブが、クラッチギヤ方向に動かされた後、カップリングスリーブとクラッチギヤのスプライン歯が噛み合うことなくクラッチギヤ方向とは逆方向に動かされたとき、カップリングスリーブの逆方向の動きに応じてボークリングに逆方向の力を作用させてサポート同期力を解除する機構であれば、具体的な手段は、実施例1,2に限られることはない。
本発明の同期装置は、シフトレバーをドライバーによる手動動作により変速する手動変速機に適用することができるし、また、エンジンとの間に制御型クラッチを有し、変速時、制御型クラッチを切り離している間にモータアクチュエータ等により変速する、いわゆる自動MTと呼ばれる変速機にも適用することができる。
実施例1の変速機の同期装置を示す図2E−E線縦断正面図である。 実施例1の変速機の同期装置を示すシンクロハブ部縦断側面図である。 実施例1の同期装置におけるサポート同期力発生機構を示す斜視図である。 実施例1の同期装置におけるサポート同期力解除機構の弾性部材を示す斜視図である。 実施例1の同期装置におけるサポート同期力解除機構のカップリングスリーブのスプライン歯に形成した係合突起を示す斜視図である。 実施例1の同期装置における動作時間に対する相対回転数特性と動作時間に対する動作荷重特性とを従来装置と比較した対比特性図である。 実施例1の同期装置におけるサポート同期力の発生メカニズム説明図である。 実施例1の同期装置においてサポート同期力解除機構が作用するシフトパターン例を示す図である。 実施例1の同期装置においてサポート同期発生状態を示す作用説明図である。 実施例1の同期装置において選択シフト途中を示す作用説明図である。 実施例1の同期装置において選択シフト中断から他のポジションシフトへの移行を示す作用説明図である。 実施例1の同期装置においてサポート同期力解除を示す作用説明図である。 実施例1の同期装置において選択シフト変速段へのシフト完了状態を示す作用説明図である。 実施例2の変速機の同期装置を示す図15G−G線縦断正面図である。 実施例2の変速機の同期装置を示すシンクロハブ部縦断側面図である。 実施例2の同期装置における梃子部材を示す斜視図及び腕長さの設定を示す図である。 実施例2の同期装置における梃子部材が取り付けられるボークリングを示す斜視図である。 実施例2の同期装置における梃子部材が取り付けられた状態のボークリングを示す斜視図である。 実施例2の同期装置においてサポート同期発生状態を示す作用説明図である。 実施例2の同期装置において選択シフト途中を示す作用説明図である。 実施例2の同期装置において選択シフト中断から他のポジションシフトへの移行を示す作用説明図である。 実施例2の同期装置において選択シフト中断から他のポジションシフトへの移行を示す図21のJ部拡大作用説明図である。 実施例2の同期装置においてサポート同期力解除を示す作用説明図である。 実施例2の同期装置において選択シフト変速段へのシフト完了状態を示す作用説明図である。
符号の説明
1 カップリングスリーブ
2,2’ メインギヤ
3,3’ クラッチギヤ
4,4’ ボークリング
5 シンクロハブ
6 インサートキー
7 弾性部材
8 メインシャフト
9 リターンスプリング
10,10’ 組付けプレート
11 梃子部材
12 スプリング
13 ピン

Claims (7)

  1. カップリングスリーブと、シンクロハブと、ボークリングと、クラッチギヤと、を備えた変速機の同期装置において、
    変速時であって、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面との間で摩擦トルクが発生することにより、前記シンクロハブと前記ボークリングとの間に相対回転が発生しているとき、前記相対回転による周方向の力を、前記ボークリングをクラッチギヤに押し付ける軸方向のサポート同期力に変換するサポート同期力発生機構と、
    前記カップリングスリーブが、クラッチギヤ方向に動かされた後、カップリングスリーブとクラッチギヤのスプライン歯が噛み合うことなくクラッチギヤ方向とは逆方向に動かされたとき、前記カップリングスリーブの逆方向の動きに応じて前記ボークリングに逆方向の力を作用させて前記サポート同期力を解除するサポート同期力解除機構と、
    を備えたことを特徴とする変速機の同期装置。
  2. 請求項1に記載された変速機の同期装置において、
    前記サポート同期力解除機構は、前記カップリングスリーブと前記ボークリングとを係合させ、前記カップリングスリーブへの逆方向入力を前記ボークリングに対する逆方向力とすることを特徴とする変速機の同期装置。
  3. 請求項2に記載された変速機の同期装置において、
    前記サポート同期力解除機構は、
    前記カップリングスリーブのスプライン歯に形成した第1係合突起と、
    前記ボークリングの端面に第1端部を固定し、第2端部に前記カップリングスリーブの移動により前記第1係合突起と係合する第2係合突起を有し、前記カップリングスリーブの逆方向の動きにより係合する両突起で発生する係合力を、前記ボークリングを前記クラッチギヤから引き離す逆方向力とする弾性部材と、
    を備えたことを特徴とする変速機の同期装置。
  4. 請求項1に記載された変速機の同期装置において、
    前記サポート同期力解除機構は、前記カップリングスリーブと前記ボークリングとを係合させ、前記カップリングスリーブへの逆方向入力の一部を前記ボークリングと前記クラッチギヤとを離間する力に変換することを特徴とする変速機の同期装置。
  5. 請求項4に記載された変速機の同期装置において、
    前記サポート同期力解除機構は、リンク機構を有し、前記リンク機構がピンを支点に回転動作することにより前記離間力を発生することを特徴とする変速機の同期装置。
  6. 請求項5に記載された変速機の同期装置において、
    前記サポート同期力解除機構は、
    前記カップリングスリーブのスプライン歯に形成した第1係合突起と、
    前記ボークリングに対してピン支持され、前記カップリングスリーブの移動により前記第1係合突起と係合する第2係合突起を第1端部に有し、前記カップリングスリーブの逆方向の動きによる両突起の係合でスプリングの付勢力に抗してピンを支点に回転動作するとき、第2端部が前記クラッチギヤを押すことにより前記ボークリングを前記クラッチギヤから引き離す離間力とする梃子部材と、
    を備えたことを特徴とする変速機の同期装置。
  7. 請求項6に記載された変速機の同期装置において、
    前記梃子部材は、L字形状であり、L字中心線の交点から第2係合突起の上端までの腕の長さをa、L字中心線の交点から第2係合突起の軸方向中心点までの腕の長さをb、L字中心線の交点からピン中心点までの腕の径方向長さをc、ピン中心点から第2端部の下端までの腕の長さをdとすると、各部の腕の長さa,b,c,dが、
    a>0 …(1)
    d<b …(2)
    c<b …(3)
    d<a+√(a2+b2) …(4)
    の関係を満足する設定としたことを特徴とする変速機の同期装置。
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