JP2006315265A - 親水性基板および平版印刷用原版 - Google Patents

親水性基板および平版印刷用原版 Download PDF

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Abstract

【課題】 厳しい印刷条件においても汚れが非常に少ない印刷物を得る。
【解決手段】 親水性ポリマーが結合している粒子を含む親水性層と支持体からなる親水性基板において、親水性ポリマーを片末端で粒子に結合させ、粒子を互いに化学結合させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、親水性ポリマーおよび粒子を含む親水性層と支持体からなる親水性基板に関する。また、本発明は、親水性ポリマー、粒子および熱エネルギーの付与により作用する親水性−疎水性変換剤を含む親水性層と支持体とを有する平版印刷用原版にも関する。さらに、本発明は、無処理または機上現像処理を採用する平版印刷方法にも関する。
平版印刷版の親水性基板として、従来から陽極酸化されたアルミニウム基板が用いられている。また、陽極酸化されたアルミニウム基板を、下塗り剤(例、シリケート、ポリビニルホスホン酸、ポリビニル安息香酸)で処理し、親水性を高めることも行われている。スルホン酸基を有するポリマーを下塗り層(親水性層)に使用する技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
アルミニウム板のような金属支持体に代えて、ポリマー(例、ポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート)フイルムからなる支持体も提案されている。ポリマーフイルム支持体には、親水性層を設ける必要がある。ポリマーフイルム支持体に設ける親水性層としては、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとからなる膨潤親水性層(例えば、特許文献2参照)、親水性ポリマーと架橋剤からなる親水性膨潤層(例えば、特許文献3参照)、親水性ポリマーが加水分解されたテトラアルキルオルソシリケートにより硬化された親水性層(例えば、特許文献4、5参照)が知られている。
特開昭59−101651号公報 特開平8−292558号公報 特開平9−218507号公報 特開平8−272087号公報 特開平8−507727号公報
従来の親水性層を平版印刷版に用いても、印刷開始時に汚れの生じない印刷物が得られる。しかし、親水性層の親水性がより高く、より厳しい印刷条件においても汚れの生じない印刷物が得られる平版印刷版が望まれている。
また、非画像部の耐刷性を改善するため、親水性層に含まれる親水性ポリマーの架橋密度を高めて、耐水性を向上させると、親水性層の保水性が低下する問題が判明した。
本発明の目的は、厳しい印刷条件においても汚れが非常に少ない印刷物が得られる平版印刷用の親水性基板を提供することである。
また、本発明の目的は、耐刷性(耐水性)が優れている親水性基板を提供することでもある。
本発明は、下記(1)〜(4)の親水性基板、下記(5)〜(8)の平版印刷用原版および下記(9)〜(11)の平版印刷方法を提供する。
(1)親水性ポリマーが結合している粒子を含む親水性層と支持体からなる親水性基板であって、親水性ポリマーが片末端で粒子に結合しており、粒子が互いに化学結合していることを特徴とする親水性基板。
(2)粒子が疎水性ポリマーからなり、親水性ポリマーの片末端と疎水性ポリマーとが化学結合している(1)に記載の親水性基板。
(3)粒子が、親水性ポリマーを介さずに、化学結合している(2)に記載の親水性基板。
(4)粒子が無機粒子であり、親水性ポリマーの片末端と無機粒子とが化学結合している(1)に記載の親水性基板。
(5)親水性ポリマーが結合している粒子および熱エネルギーの付与により作用する親水性−疎水性変換剤を含む親水性層と支持体とを有する平版印刷用原版であって、親水性ポリマーが片末端で粒子に結合しており、粒子が互いに化学結合していることを特徴とする平版印刷用原版。
(6)粒子が疎水性ポリマーからなり、親水性ポリマーの片末端と疎水性ポリマーとが化学結合している(5)に記載の平版印刷用原版。
(7)粒子が、親水性ポリマーを介さずに、化学結合している(6)に記載の平版印刷用原版。
(8)粒子が無機粒子であり、親水性ポリマーの片末端と無機粒子とが化学結合している(5)に記載の平版印刷用原版。
(9)親水性ポリマーが結合している粒子を含み、親水性ポリマーが片末端で粒子に結合しており、粒子が互いに化学結合している親水性層と支持体からなる親水性基板と親水性層上に設けられている画像記録層からなる平版印刷原版から、画像記録層の一部領域を画像に対応して除去し、露出した親水性層からなる親水性領域と残存する画像記録層からなる疎水性領域とを有する平版印刷版を製版する工程;そして、平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給して印刷する工程からなる平版印刷方法。
(10)親水性ポリマーが結合している粒子を含み、親水性ポリマーが片末端で粒子に結合しており、粒子が互いに化学結合している親水性層と支持体からなる親水性基板の上に、画像に対応して疎水性物質を付着させ、親水性層表面からなる親水性領域と疎水性物質が付着した疎水性領域とを有する平版印刷版を製版する工程;平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給して印刷する工程からなる平版印刷方法。
(11)親水性ポリマーが結合している粒子および熱エネルギーの付与により作用する親水性−疎水性変換剤を含み、親水性ポリマーが片末端で粒子に結合しており、粒子が互いに化学結合している親水性画像記録層と支持体とを有する平版印刷用原版を画像に対応して加熱し、親水性画像記録層の一部領域を疎水性領域に変換して、画像記録層の表面に親水性領域と疎水性領域とを有する平版印刷版を製版する工程;平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給して印刷する工程からなる平版印刷方法。
本発明者の研究の結果、充分な量の親水性グラフトポリマー鎖を粒子に結合できることが判明した。さらに、粒子を互いに化学結合させることにより、親水性層を強固な被膜として形成できる。
以上の結果、本発明に従うと、印刷汚れの発生が少なく、耐刷性にも優れた平版印刷用の親水性基板または平版印刷用原版が得られる。
[粒子]
粒子として、有機粒子または無機粒子を使用できる。
粒子の含有量は、親水性基板として用いる場合は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。また、親水性画像形成層として用いる場合は、親水性画像形成層の全固形分に対して、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
(有機粒子)
有機粒子は、ポリマーからなることが好ましい。有機粒子は、コア/シェル構造(マイクロカプセルを含む)を有していてもよい。
ポリマーは、炭化水素を主鎖とする疎水性ポリマーであることが好ましい。炭化水素を主鎖とする疎水性ポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により合成できる。エチレン性不飽和モノマーは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、スチレン誘導体、ビニルケトン、オレフィンが好ましい。
アクリル酸エステルの例は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレートを含む。
メタクリル酸エステルの例は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレートを含む。
ビニルエーテルの例は、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルを含む。
ビニルエステルの例は、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニルを含む。
スチレン誘導体の例は、スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンを含む。
ビニルケトンの例は、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンを含む。
オレフィンの例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンを含む。
エチレン性不飽和モノマーは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸メチル、エチルビニルエーテル、ビニルアセテートおよびスチレンが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、スチレンがさらに好ましい。
有機粒子は、3次元架橋していてもよい。3次元架橋している有機微粒子は、複数の重合性基(例、エチレン性不飽和基)を有する多官能モノマー(例、ペンタエリスリトールテトラアクリレート)の重合反応、または架橋性基を有する複数の化合物(例、多価アルコールと多価イソシアネート)の架橋反応により合成することができる。
有機粒子の平均粒径は、0.01乃至100μmが好ましく、0.1乃至50μmがさらに好ましい。
(無機粒子)
無機粒子は、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、酸化鉄、水酸化鉄、クレイまたはこれらの混合物からなることが好ましい。
無機粒子は、市販品(例えば、コロイダルシリカ分散物)を用いてもよい。
無機粒子の平均粒径は、0.01乃至100μmが好ましく、0.1乃至50μmがさらに好ましい。
[親水性ポリマー]
本発明では、親水性ポリマーの片末端を粒子に結合させる。
親水性ポリマーは、天然ポリマー(例、多糖類、タンパク質)や半合成ポリマー(例、デンプン誘導体、セルロースエーテル、セルロースエステル)よりも、合成ポリマーの方が好ましい。
親水性ポリマーの主鎖は、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミン、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリウレアまたはそれらの組み合わせが好ましく、炭化水素、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリウレアまたはそれらの組み合わせがさらに好ましく、炭化水素が最も好ましい。
親水性ポリマーは、側鎖あるいは主鎖または側鎖の置換基として親水性基を有することが好ましい。親水性基は、カルボン酸基、アミノ基、リン酸基、スルホン酸基、ヒドロキシル、アミド基、ポリオキシアルキレン基(例、ポリオキシエチレン)が好ましく、カルボン酸基、アミノ基、スルホン酸基、ヒドロキシル、アミド基、ポリオキシアルキレン基がさらに好ましい。
カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基は、アニオンまたは塩の状態になっていてもよい。カルボン酸基の対カチオンは、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオンが好ましい。スルホン酸基の対カチオンは、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンが好ましい。
アミノ基は、カチオン(アンモニウム基)または塩の状態になっていてもよい。アミノ基の対アニオンは、ハライドイオンが好ましい。
親水性ポリマーの主鎖と親水性基との間に連結基が介在していてもよい。連結基は、−O−、−S−、−CO−、−NH−、−N<、脂肪族基、芳香族基、複素環基、およびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。
親水性ポリマーは、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーの重合体であることが好ましい。親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーの例は、(メタ)アクリル酸およびその塩、イタコン酸およびその塩、マレイン酸およびその塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、3−ビニルプロピオン酸およびその塩、ビニルスルホン酸およびその塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレートおよびその塩、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩、ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートおよびその塩、アリルアミン、ヒドロキシプロピレンを含む。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドンも、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーの重合体に含まれる。ポリビニルアルコールのケン化度は、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
親水性ポリマーは、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーのホモポリマーであってもよい。親水性ポリマーは、二種類以上の親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーのコポリマーであってもよい。親水性ポリマーは、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーと他の(親水性基を有していない)エチレン性不飽和モノマーとのコポリマーであってもよい。
二種類以上の親水性ポリマーを併用してもよい。
親水性ポリマーの分子量は400乃至10万が好ましく、1000乃至5万がさらに好ましく、1500乃至2万が最も好ましい。
(有機粒子と親水性ポリマーとの結合)
主鎖または側鎖の一つの末端のみに、反応性基を有する親水性ポリマーを用いて、親水性ポリマーの片末端と有機粒子とを反応させることができる。主鎖の一方の末端のみに、反応性基を有することが好ましい。「反応性基」は、有機粒子と反応して化学結合を形成できる官能基を意味し、有機粒子を構成する物質(具体的にはポリマーの官能基)との関係で決定される相対的な概念である。化学結合は、通常の意味と同様に、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合を含む。化学結合は、共有結合であることが好ましい。
有機粒子と反応して化学結合を形成できる官能基は、カルボキシル(HOOC−)、その塩(MOOC−、Mはカチオン)、無水カルボン酸基(例えば、無水コハク酸、無水フタル酸または無水マレイン酸から誘導される一価の基)、アミノ(HN−)、ヒドロキシル(HO−)、エポキシ基(例、1,2−エポキシエチル)、メチロール(HO−CH−)、メルカプト(HS−)、イソシアナート(OCN−)、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、エチレン性不飽和二重結合、エステル結合、テトラゾール基を含む。片末端に2以上の反応性基を有していてもよい。2以上の反応性基は、互いに異なっていてもよい。
親水性ポリマーの繰り返し単位と反応性基との間に連結基が介在していることが好ましい。連結基は、−O−、−S−、−CO−、−NH−、−N<、脂肪族基、芳香族基、複素環基、およびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。連結基は、−O−、−S−、あるいは−O−または−S−を含む組み合わせであることが好ましく、−O−または−S−で親水性ポリマーの繰り返し単位と結合することがさらに好ましい。
片末端に反応性基を有する親水性ポリマーは、例えば、連鎖移動剤(ラジカル重合ハンドブック(エヌ・ティー・エス、蒲池幹治、遠藤剛)に記載)やIniferter (Macromolecules1986,19,p287−(Otsu)に記載)の存在下に、親水性モノマー(例、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸3−スルホプロピルのカリウム塩)をラジカル重合させることにより合成できる。連鎖移動剤の例は、3−メルカプトプロピオン酸、2−アミノエタンチオール塩酸塩、3−メルカプトプロパノール、2−ヒドロキシエチルジスルフィドを含む。また、連鎖移動剤を使用せず、反応性基(例、カルボキシル)を有するラジカル重合開始剤を用いて、親水性モノマー(例、アクリルアミド)をラジカル重合させてもよい。
また、粒子表面から親水性モノマーを重合させて親水性ポリマーを形成してもよい。例えば、親水性モノマーと疎水性モノマーとを共重合させて、疎水性ポリマーからなる粒子と、その表面に結合した親水性ポリマーとを同時に合成することもできる。親水性モノマー:疎水性モノマーのモル比は、1:50〜1:200が好ましく、1:80〜1:150がさらに好ましい。
親水性ポリマーを表面に結合させた有機粒子は、粒子と親水性ポリマーとを含めた状態で「コア−コロナ型粒子」と呼ばれる。
コア−コロナ型粒子では、親水性ポリマーが粒子の外側に秩序化して配列し、粒子を中心として放射状(コロナ状)に結合する。粒子の内側には疎水性モノマーが重合して核(コア)を形成する。コア−コロナ型粒子の詳細は、Polymer Journal,24,959(1992)、M.Akashi et al.Journal of Polymer Science,31,1153(1993)、特開平2−296813号公報、特開平2−296808号公報に記載がある。
(無機粒子と親水性ポリマーとの結合)
有機粒子の場合と同様に、主鎖または側鎖の一つの末端のみに、反応性基を有する親水性ポリマーを用いて、親水性ポリマーの片末端と無機粒子とを反応させることができる。
無機粒子と反応して化学結合を形成できる官能基は、カップリング剤に相当する官能基であることが好ましい。カップリング剤の種類は、無機粒子を構成する元素の種類に応じて決定できる。例えば、シリカ粒子に親水性ポリマーを結合させる場合は、シランカップリング剤に相当する官能基を末端に有する親水性ポリマーを用いることが好ましい。
シランカップリング剤に相当する官能基を末端に有する親水性ポリマーは、下記式で表されることが好ましい。
(R−)(RO−)3−mSi−(CH−S−(CHR−CR(−L−Y))
式中、Rは水素原子または炭素原子数が1乃至8の炭化水素基であり、mは0、1または2であり、nは1乃至8の整数であり、pは3〜10000の整数であり、Lは、単結合または二価の連結基であり、Yは−NHCOCH、−CONH、−CON(CH、−COCH、−OCH、−OH、−COMまたは−CONHC(CHSOMであり、Mは、プロトン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン及びオニウムイオンからなる群より選ばれる対カチオンである。二価の連結基は、1〜60個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜100個の水素原子、0〜20個の硫黄原子からなることが好ましい。
上記親水性ポリマーは、特開2003−175683号公報に記載がある。
シランカップリング剤以外に、アルミニウムカップリング剤やチタニウムカップリング剤を使用することができる。また、無機粒子がアルミナな酸化チタンからなる場合においても、同様に各種カップリング剤を用いることができる。言い換えると、無機粒子の構成元素とカップリング剤の構成元素を同一にする必要はない。
無機粒子表面を、重合開始能を有するカップリング剤で処理し、その後、親水性モノマーをグラフト重合反応させることもできる。これにより親水性ポリマーが表面に結合した無機粒子を得ることができる。
無機粒子表面から親水性モノマーをグラフト重合反応させる方法は、無機粒子の表面修飾方法として知られている。表面修飾方法は、鈴木昇、湯沢信子、遠藤敦、宇津木弘「色材」57巻、429頁(1984);吉岡博、池野正行「表面」21巻、33頁(1983);字津木弘「表面」16巻、525頁(1978);K. Tanaka, et al., Bull.Chem. Soc. Jpn., 53巻、1242頁 (1980);M.L. Hair, W. Hertl. J. Phys. Chem. 77巻、1965頁 (1973);Ya.Davydov et Al., Chromatographia, 14巻、13頁 (1981);K.Unger et al., Colloid Polym. Sci, 252巻、317頁 (1974);R. Burwell, O. Lea1, J.Chem. Soc. Chem. Commun., 342頁 (1974);W. Stoeber, Kolloid-Z 149頁、39頁(1956);K. Yoshinaga, et. al., Polym. Adv. Technol, 3巻、91頁(1992);N. Tsubokawa, et al., Polym. J. 21巻、475頁(1989);Franz.Pat.1368765、DAS 1163784に記載がある。
[粒子間の結合]
本発明では、さらに、粒子を互いに化学結合させる。
(有機粒子間の結合)
有機粒子間の結合は、親水性ポリマーを介さずに、直接または結合剤を介して粒子を互いに化学結合させることが好ましく、結合剤を介して粒子を互いに化学結合させることが好ましい。
有機粒子間の結合剤として、一般に架橋剤として知られている化合物を用いることができる。
架橋剤は、熱または光によりポリマー間に架橋を形成できる化合物である。架橋剤について、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊(1981)に記載がある。
架橋剤の反応性基は、カルボキシルおよびその塩、無水カルボン酸基、アミノ、イミノ、ヒドロキシル、エポキシ基、アルデヒド、メチロール、メルカプト、イソシアナート、ブロックイソシアナート基、アルコキシシリル基、エチレン性不飽和二重結合、配位結合基、エステル結合またはテトラゾール基であることが好ましい。
カルボキシルを反応性基として有する架橋剤の例は、α,ω−アルカンジカルボン酸(例、コハク酸、アジピン酸)、α,ω−アルケンジカルボン酸、ポリカルボン酸(例、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、トリメリット酸、ポリアクリル酸)を含む。
アミノ、イミノを反応性基として有する架橋剤の例は、アミン(例、ブチルアミン、スペルミン、ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、アニリン、フェニレンジアミン、1,2−エタンジアミン、ジエチレンジアミン、ジエチレントリアミン)、イミン(例、ポリエチレンイミン)を含む。
エポキシ基を反応性基として有する架橋剤の例は、ポリエポキシ化合物(例、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレンチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル)を含む。
ヒドロキシルを反応性基として有する架橋剤の例は、アルキレングリコール(例、エチレングリコール、プロピレングリコール)、オリゴアルキレングリコール(例、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール)、ポリアルキレングリコール、ポリオール(例、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリビニルアルコール)を含む。
アルデヒドを反応性基として有する架橋剤の例は、ポリアルデヒド(例、グリオキザール、テレフタルアルデヒド)を含む。
イソシアナート、ブロックイソシアナート基を反応性基として有する架橋剤の例は、ポリイソシアナート(例、トリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ジフェニルメタンイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、シクロヘキシルジイソシアナート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアナート、ナフタレン−1,5−ジイソシアナート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアナート、ポリプロピレングリコール/トリレンジイソシアナート付加反応物)、ブロックポリイソシアナート化合物を含む。
アルコキシシリル基を反応性基として有する架橋剤の例は、シランカップリング剤(例、テトラアルコキシシラン)を含む。
配位結合基を反応性基として有する架橋剤の例は、金属架橋剤(例、アルミニウムアセチルアセトナート、銅アセチルアセトナート、鉄(III)アセチルアセトナート)を含む。
メチロールを反応性基として有する架橋剤の例は、ポリメチロール化合物(例、トリメチロールメラミン、ペンタエリスリトール)を含む。
メルカプトを反応性基として有する架橋剤の例は、ポリチオール化合物(例、ジチオエリスリトール、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート))を含む。
(無機粒子間の結合)
無機粒子間の結合には、カップリング剤を用いることができる。
ただし、ゾル−ゲル変換系により無機粒子を形成する場合は、特にカップリング剤を用いなくとも、粒子間が結合している無機粒子が得られる。ゾル−ゲル変換系は、特開2003−175683号公報に記載がある。
(低分子親水性化合物)
親水性層に、低分子親水性化合物を添加してもよい。低分子親水性化合物の例は、グリコール(例、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール)、そのエーテルまたはエステル、多価アルコール(例、グリセリン、ペンタエリスリトール)、アミン(例、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン)およびその塩、スルホン酸(例、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)およびその塩、ホスホン酸(例、フェニルホスホン酸)およびその塩、カルボン酸(例、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸)およびその塩を含む。
(親水性−疎水性変換剤)
疎水性に変換可能な親水性画像記録層の態様では、親水性画像記録層が親水性−疎水性変換剤を含む。
親水性−疎水性変換剤は、加熱により化合物自体の物性が親水性から疎水性に変化する化合物(好ましくはポリマー)または疎水性化合物の熱可塑性粒子、熱硬化性粒子またはマイクロカプセルが好ましい。
親水性から疎水性に変化する化合物は、熱により脱炭酸を起こして親水性から疎水性に変化する官能基を有するポリマー(特開2000−122272号公報に記載)が好ましい。親水性から疎水性に変化する化合物を塗布したときの被膜表面の空中水滴による接触角が、加熱前に20°以下であり、加熱後には65°以上に変化することが好ましい。
熱可塑性粒子または熱硬化性粒子を構成する疎水性化合物は、ポリマーであることが好ましい。ポリマー粒子は、熱可塑性ポリマー粒子、熱反応性ポリマー粒子または疎水性化合物を内包するマイクロカプセルであることが好ましい。
熱可塑性ポリマー粒子は、1992年1月のResearch Disclosure No.33303、特開平9−123387号、同9−131850号、同9−171249号、同9−171250号の各公報および欧州特許第931647号明細書に記載がある。
熱可塑性ポリマー粒子の平均粒径は、0.01乃至2.0μmが好ましい。熱可塑性ポリマー粒子は、乳化重合法、懸濁重合法または溶解分散法(モノマーを非水溶性の有機溶剤に溶解し、これを分散剤が入った水溶液と混合乳化し、さらに熱をかけて、有機溶剤を蒸発させながら粒子状に固化させる方法)により合成できる。
熱反応性ポリマー粒子は、熱硬化性ポリマー粒子および熱反応性基を有するポリマー粒子に分類できる。
熱硬化性ポリマーは、フェノール骨格を有する樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂を含む。フェノール骨格を有する樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂およびエポキシ樹脂が好ましい。
熱硬化性ポリマー粒子の平均粒径は0.01乃至2.0μmが好ましい。熱硬化性ポリマー粒子は、溶解分散法で製造できる。熱硬化性ポリマーの合成と同時に粒子を形成することもできる。
熱反応性基を有するポリマー粒子の熱反応性基は、ラジカル重合性基(例、アクリロイル、メタクリロイル、ビニル、アリル)、カチオン重合性基(例、ビニル、ビニルオキシ)、付加反応性基(例、イソシアナート基又はそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基)および反応相手である活性水素原子を有する官能基(例、アミノ、ヒドロキシル、カルボキシル)、縮合反応性基(例、カルボキシル)および反応相手である官能基(例、ヒドロキシル、アミノ)、開環付加反応性基(例、酸無水物)および反応相手である官能基(例、アミノ、ヒドロキシル)を含む。
ポリマーの重合において、熱反応性基をポリマー粒子に導入できる。
重合において熱反応性基を導入する場合は、熱反応性基を有するモノマーを乳化重合または懸濁重合することが好ましい。熱反応性基を有するモノマーの例は、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、2−(ビニルオキシ)エチルメタクリレート、p−ビニルオキシスチレン、p−{2−(ビニルオキシ)エチル}スチレン、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−イソシアナートエチルメタクリレートまたはそのブロックイソシアナート、2−イソシアナートエチルアクリレートまたはそのブロックイソシアナート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、2官能アクリレート、2官能メタクリレートを含む。ブロックイソシアナートは、例えば、アルコールによりブロックできる。
熱反応性基を有するモノマーと他の(熱反応性基を持たない)モノマーとのコポリマーを用いてもよい。他のモノマーの例は、スチレン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニルを含む。
ポリマーの重合後に高分子反応を行って、熱反応性基を導入してもよい。高分子反応は、国際公開第96/34316号パンフレットに記載がある。
熱反応性基を有するポリマー粒子の平均粒径は、0.01乃至2.0μmが好ましく、0.05乃至2.0μmがさらに好ましく、0.1〜1.0μmが最も好ましい。
親水性−疎水性変換剤として機能するマイクロカプセルは、疎水性化合物を内包する。疎水性化合物は、熱反応性基を有することが好ましい。熱反応性基は、熱反応性基を有するポリマー粒子の熱反応性基と同様である。熱反応性基を有するモノマーの例は、熱反応性基を有するポリマー粒子のモノマーに加えて、複数のエチレン性不飽和基を有するモノマーを含む。複数のエチレン性不飽和基を有するモノマーは、多価アルコールのアクリル酸エステル(例、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート)、多価アルコールのメタクリル酸エステル(例、ジペンタエリスリトールジメタクリレート)、多価アルコールのイタコン酸エステル(例、エチレングリコールジイタコネート)、多価アルコールのマレイン酸エステル(例、エチレングリコールジマレエート)、多価アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)を含む。
マイクロカプセルは、公知の方法で製造できる。マイクロカプセルの製造方法は、コアセルベーション法(米国特許第2800457号、同第2800458号明細書に記載)、界面重合法(英国特許第990443号、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−711号の各公報に記載)、ポリマー析出法(米国特許第3418250号、同第3660304号の各明細書記載)、イソシアナートポリオール壁材料を用いる方法(米国特許第3796669号明細書記載)、イソシアナート壁材料を用いる方法(米国特許第3914511号明細書記載)、尿素−ホルムアルデヒド系又は尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法(米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書記載)、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(米国特許第4025445号明細書記載)、ヒドロキシセルロース壁材を用いる方法、モノマー重合によるin situ法(特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報記載)、スプレードライング法(英国特許第930422号、米国特許第3111407号の各明細書記載)、電解分散冷却法(英国特許第952807号、同第967074号の各明細書記載)が採用できる。
マイクロカプセルを水媒体中に安定に分散するための分散剤として、水溶性ポリマーを使用することができる。水溶性ポリマーとして、天然ポリマー(例、多糖類、タンパク質)、半合成ポリマー(セルロースエーテル、澱粉誘導体)または合成ポリマーを用いることができる。多糖類の例は、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウムを含む。タンパク質の例は、カゼイン、ゼラチンを含む。セルロースエーテルの例は、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースを含む。合成ポリマーは、炭化水素主鎖を有するポリマー(ポリビニルアルコール及びその変性物、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、ポリビニルピロリドン)が好ましい。コポリマーを用いてもよい。コポリマーの例は、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体を含む。
水溶性ポリマーは、イソシアネート化合物と反応しないか、極めて反応性が低いことが好ましい。イソシアネート化合物と反応性が高いポリマー(例とえばゼラチン)を用いる場合は、予め反応性の官能基を除去またはブロックしておくことが好ましい。
マイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤することが好ましい。マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、これらのコポリマーまたは混合物が好ましく、ポリウレア、ポリウレタンこれらのコポリマーまたは混合物がさらに好ましい。マイクロカプセル壁に熱反応性基を有する化合物を導入してもよい。
マイクロカプセルの平均粒径は、0.01乃至3.0μmが好ましく、0.05乃至2.0μmがさらに好ましく、0.10乃至1.0μmが最も好ましい。
ポリマー粒子及びマイクロカプセルの親水性画像記録層への添加量は、固形分換算で、画像記録層固形分の50質量%以上が好ましく、70乃至98質量%がさらに好ましい。
親水性画像記録層にマイクロカプセルを添加する場合、内包物が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤をマイクロカプセル分散媒中に添加することができる。ポリウレアまたはポリウレタン壁からなるマイクロカプセルの場合、溶剤は、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−3ブタノール、)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル)、アセタール、エステル(例、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチルラクトン)、ケトン(メチルエチルケトン)、多価アルコール、アミド(例、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド)、アミン、脂肪酸が好ましい。二種類以上の溶剤を併用してもよい。
溶剤の添加量は、塗布液の5乃至95質量%が好ましく、10乃至90質量%がさらに好ましく、15乃至85質量%が最も好ましい。
(光熱変換剤)
疎水性に変換可能な親水性画像記録層の態様では、親水性画像記録層が光熱変換剤を含むことが好ましい。
光熱変換剤は、光を吸収し、光エネルギーを熱エネルギーに変換して、発熱する機能を有する物質である。光は赤外光であることが好ましい。言い換えると、光熱変換剤は、赤外線吸収剤であることが好ましい。
赤外光を吸収できる顔料、染料または金属微粒子を、光熱変換剤として好ましく用いることができる。粒子としてマイクロカプセルを使用する場合は、光熱変換剤として赤外線吸収染料を用いることが特に好ましい。
赤外線吸収染料については、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシーに記載がある。好ましい赤外線吸収染料は、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料(特開昭58−112793号、同58−224793号、同59−48187号、同59−73996号、同60−52940号、同60−63744号の各公報記載)、アントラキノン染料、フタロシアニン染料(特開平11−235883号公報記載)、スクアリリウム染料(特開昭58−112792号公報記載)、ピリリウム染料(米国特許3881924号、同4283475号の各明細書、特開昭57−142645号、同58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号、特公平5−13514号、同5−19702号の各公報記載)、カルボニウム染料、キノンイミン染料およびメチン染料(特開昭58−173696号、同58−181690号、同58−194595号の各公報記載)である。
赤外吸収染料については、米国特許4756993号、同5156938号の各明細書および特開平10−268512号、特開2004−306582号の各公報にも記載がある。市販の赤外吸収染料(例えば、エポライトIII−178、エポライトIII−130、エポライトIII−125、エポリン社製)を用いてもよい。
光熱変換剤は、マイクロカプセルに内包させてもよい。添加量は、親水性画像記録層の全固形分に対し0.001〜50質量%が好ましく、0.005〜30質量%がさらに好ましく、0.01〜10質量%が最も好ましい。
[重合開始剤]
重合性化合物を重合させるために、重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤は、光、熱、あるいはその両方のエネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進させる化合物を指す。重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな総合を有する化合物などを選択して使用することができる。
ラジカルを発生する化合物は、好ましくは熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進させる化合物(熱ラジカル発生剤)である。熱ラジカル発生剤としては、公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物から適宜、選択して用いることができる。
ラジカルを発生する化合物を2種類以上併用してもよい。
ラジカルを発生する化合物は、特開2004−306582号公報に記載がある。ラジカルを発生する化合物の例は、ハロゲン化有機化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、オキシム塩化合物を含む。オニウム塩が最も好ましい。
[支持体]
支持体は、紙、ポリマー(例、セルロースエステル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール)フイルム、金属(例、アルミニウム、亜鉛、銅)板、ポリマーをラミネートした紙、金属を蒸着した紙、金属を蒸着したポリマーフイルムを用いることができる。ポリマーフイルムおよび金属板が好ましく、ポリエステルフィルムおよびアルミニウム板がさらに好ましく、アルミニウム板が最も好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板またはアルニウム合金板である。アルミニウム合金に含まれる異元素の例は、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンを含む。合金中の異元素の量は、10質量%以下である。
アルミニウム板の厚みは、0.1mm乃至0.8mmが好ましく、0.15mm乃至0.6mmがさらに好ましく、0.2mm乃至0.4mmが最も好ましい。
アルミニウム板には粗面化処理を実施することが好ましい。
例えば、アルミニウム板表面をサンドブラスト加工やブラシ加工などで機械的にこすり、表面を削って凹部を形成し、粗面を設けることができる。
アルミニウム板には粗面化処理を実施することが好ましい。
粗面化処理の前に、表面の圧延油を除去するための脱脂処理を行ってもよい。脱脂処理は、界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液を用いて実施できる。
粗面化処理は、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理、化学的粗面化処理を含む。
機械的粗面化処理は、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法を含む。
電気化学的粗面化処理は、例えば、酸(例、塩酸、硝酸)を含む電解液中で交流または直流により行うことができる。混合酸を用いる方法(特開昭54−63902号公報記載)も採用できる。
アルミニウムの圧延段階において凹凸を設けたロールで凹凸形状を転写する転写法も実施できる。機械的エンボス加工でも凹凸を設けることができる。さらに、グラビア印刷などで表面に凸部を形成して粗面を設けてもよい。固体微粒子(マット剤)を含有する層を、塗布あるいは印刷のような手段で支持体表面に粗面を設けてもよい。固体微粒子は、高分子フイルムを作製する段階で高分子フイルム中に含有させ(内添し)、高分子フイルム表面に凹凸を形成することもできる。溶剤処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、X線照射処理により粗面を形成することもできる。以上の手段を組み合わせて実施してもよい。サンドブラスト加工もしくは樹脂の印刷により粗面を形成する手段もしくは固体微粒子を添加して凹凸を形成する手段が、特に好ましい。
粗面化処理されたアルミニウム板は、アルカリエッチング処理、さらに中和処理を実施することが好ましい。
アルミニウム板は、陽極酸化処理することが好ましい。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸またはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の好ましい条件は、電解質濃度が1〜80質量%、液温が5〜70℃、電流密度が5〜60A/dm、電圧が1〜100V、電解時間が10秒〜5分である。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/mが好ましく、1.5〜4.0g/mがさらに好ましい。
[その他の層]
支持体と親水性層との間に下塗り層を設けてもよい。
親水性画像記録層の上に、保護層を設けてもよい。
[平版印刷用原版]
親水性画像記録層を有する態様では、親水性画像記録層および支持体からなる平版印刷用原版を用いて印刷する。
具体的には、親水性画像記録層と支持体とを有する平版印刷用原版の親水性画像記録層の一部領域を画像に対応して疎水性領域に変換し、画像記録層の表面に親水性領域と疎水性領域とを有する平版印刷版を製版し、平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給し、親水性領域の上に湿し水が付着し、疎水性領域の上に油性インクが付着している状態で印刷する。
親水性層と支持体とが親水性基板を構成する態様では、親水性層の上に画像記録層を設けることにより、平版印刷用原版を得ることができる。
画像記録層は、露光によりアルカリ水溶液に対する可溶性が向上するポジ型と、逆にアルカリ水溶液に対する可溶性が低下するネガ型とに分類できる。ポジ型とネガ型のいずれも公知である。油性インクまたは湿し水により画像記録層の未露光部または露光部が除去できると、露光後に現像処理(画像記録層の未露光部または露光部を除去する処理)を実施することなく、直接印刷機に装着して印刷することもできる。そのような画像記録層も提案されている。
具体的には、親水性層と支持体とを有する親水性基板と親水性層上に設けられている画像記録層からなる平版印刷原版から、画像記録層の一部領域を画像に対応して除去し、露出した親水性層からなる親水性領域と残存する画像記録層からなる疎水性領域とを有する平版印刷版を製版し、平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給し、親水性領域の上に湿し水が付着し、疎水性領域の上に油性インクが付着している状態で印刷する。
親水性層の上に設けられる画像記録層は、加熱により化合物自体の物性が親水性から疎水性に変化する化合物(好ましくはポリマー)または疎水性化合物の熱可塑性粒子、熱硬化性粒子またはマイクロカプセルを含むことができる。これらの詳細は、親水性画像記録層に添加する親水性−疎水性変換剤と同様である。
画像記録層は、光熱変換剤や重合開始剤を含むこともできる。光熱変換剤および重合開始剤の詳細も、親水性画像記録層に添加できる光熱変換剤および重合開始剤と同様である。
親水性層の上に疎水性領域を直接形成する(例えば、インクジェット方式で疎水性油滴を画像状に付与する、電子写真記録方式で疎水性のトナー画像を形成する)ことにより、平版印刷版を製版することもできる。
具体的には、親水性層と支持体とを有する親水性基板の上に、画像に対応して疎水性物質を付着させ、親水性層表面からなる親水性領域と疎水性物質が付着した疎水性領域とを有する平版印刷版を製版し、平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給し、親水性領域の上に湿し水が付着し、疎水性領域の上に油性インクが付着している状態で印刷する。
[実施例1]
(アルミニウム支持体の作製)
厚み0.24mmのアルミニウム板(材質1050)を、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン水懸濁液を用いてその表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を15%水酸化ナトリウム水溶液に浸してエッチングをした後、水洗した。更に1%硝酸で中和し、次に0.7%硝酸水溶液中で矩形波交番波形電流を用い、160クーロン/dmの陽極時電気量で電界粗面化処理を行った。水洗後、10質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸してエッチングした後、水洗した。次に30質量%硫酸水溶液中に浸してデスマットした後、水洗した。更に、20質量%硫酸水溶液中で直流電流を用いて陽極酸化処理を行い、酸化皮膜量2.7g/mとした。更に、ケイ酸ナトリウム0.5質量%水溶液を用いて30℃で10秒間処理し、アルミニウム支持体を得た。平均表面粗さは、0.45μmであった。
(下塗り層の形成)
下記組成の塗布液を調製し、上記のアルミニウム支持体上に、0.5g/m厚となるように塗布し、100℃1分間乾燥して下塗り層を形成した。
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下塗り層塗布液
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メタノールシリカ(日産化学(株)製)の30質量%メタノール分散液400g
イソプロピルアルコール 2000g
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(親水性ポリマーが結合した粒子の調製)
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N、75%酢酸エチル溶液)10g、パイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.12gを酢酸エチル16.67gに溶解した。
水相成分として親水性ポリマー(1)8g、親水性ポリマー(2)2gを溶解した水溶液30.5gを調製した。
油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で2時間攪拌した。得られた粒子分散液を、固形分濃度が、15質量%になるまで蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.3μmであった。
Figure 2006315265
Figure 2006315265
(親水性層の形成)
下記組成からなる塗布液を調製し、バーコーターにて下塗り層の上に乾燥膜質量が1.0g/mになるように塗布した。次いでオーブンにて140℃で10分乾燥を行い、親水性層を形成し、親水性基板を作製した。
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親水性層塗布液
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親水性ポリマーが結合した粒子の15質量分散液 500g
化学結合剤(1) 20g
アニオン系界面活性剤(日光ケミカルズ社製、ニッコールOTP−100S)の5質量%水溶液 30g
精製水 400g
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Figure 2006315265
[実施例2]
(末端に反応性基を有する親水性ポリマーの合成)
アクリルアミド60g及び、3−メルカプトプロピオン酸7gをエタノール150gに溶解後、窒素雰囲気下60℃に昇温し、熱重合開始剤2,2−アゾビスイソブチルニトリル0.6gを加えて7時間反応した。反応後白色沈殿を濾過しメタノールで十分洗浄して、末端カルボン酸プレポリマーを60.2g得た(酸価0.82meq/g、質量平均分子量18000)。
得られたプレポリマー40gをジメチルスルホキシド120gに溶解し、グリシジルメタクリレート14g、N,N−ジメチルドデシルアミン(触媒)1g、ハイドロキノン(重合禁止剤)1.2gを加え、窒素雰囲気下140℃で8時間反応した。反応溶液をアセトンに加え、ポリマーを沈殿させ、よく洗浄して末端に反応性基(メタクリロイル基)を有するポリアクリルアミド45g得た(質量平均分子量:1500)。
H−NMR(DO)6.12
5.70ppmメタクリロイル基オレフィンピークと、酸価(0.06meq/g)の減少から、末端に反応性基が導入できたことを確認した。
(親水性ポリマーが結合した粒子の調製)
フラスコに蒸留水30g、エタノール12g、上記末端に反応性基を有する親水性ポリマー1.6g、メタクリル酸メチル17.5g、アクリル酸2.5g、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](VA061、和光純薬工業(株)製)0.5gを入れて窒素雰囲気下65℃反応を開始した。反応開始後、約30分で白濁し、そのまま7時間反応を行った。反応終了後、限外ろ過で精製を行ない、固形分濃度15質量%に調製した。得られた白濁溶液は分散性良好で、大塚電子(株)製、ELS−800を用いて粒子径を測定したところ、0.8μmの粒子であった。
(親水性基板の作製)
作製した親水性ポリマーが結合した粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして、親水性基板を作製した。
[実施例3]
(親水性ポリマーが結合した粒子の調製)
メタノール70gに、テトラメトキシシラン20g、下記の末端にシランカップリング剤に相当する基を有する親水性ポリマー(3)5g、1規定塩酸1.5gを添加し、40℃6時間反応させた後、炭酸水素ナトリウムで中和し、さらに60℃2時間反応させた。反応終了後、限外ろ過で精製を行ない、固形分濃度15重量%に調製した。得られた溶液は分散性良好で、粒子径を測定したところ、0.05μmの粒子であった。ろ液から、親水性ポリマー(3)が検出されなかったことから、親水性ポリマー(3)が結合したシリカ粒子の生成を確認した。
Figure 2006315265
(親水性基板の作製)
作製した親水性ポリマーが結合した粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして、親水性基板を作製した。
[実施例4]
(ポリマーフイルム支持体の作製)
膜厚0.24mmのポリエチレンテレフタレートフイルムの表面にコロナ放電処理を施し、ポリマーフイルム支持体を作製した。
(親水性基板の作製)
アルミニウム支持体に代えて、ポリマーフイルム支持体を用いた以外は、実施例1と同様にして、親水性基板を作製した。
[実施例5〜8]
(感光液の調製)
下記の組成からなる感光液を調製した。
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感光液(1)
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バインダーポリマー(4) 16g
重合開始剤(2) 10g
赤外吸収染料(1) 2g
重合性モノマー(アロニックスM−215(東亜合成(株)製) 40g
フッ素系界面活性剤(1) 4g
メチルエチルケトン 110g
MFG 860g
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Figure 2006315265
Figure 2006315265
Figure 2006315265
Figure 2006315265
(マイクロカプセル分散液の作製)
油相として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N、75%酢酸エチル溶液)10g、エチレン性不飽和モノマー(アロニックスM−215、東亞合成(株)製)6.00g、界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.12gを酢酸エチル16.67gに溶解した。
水相としてポリビニルアルコール(PVA−205、(株)クラレ製)の4質量%水溶液37.5gを調製した。
油相および水相を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で2時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.2μmであった。
(マイクロカプセル液の調製)
下記の組成からなるマイクロカプセル液を調製した。
────────────────────────────────────────
マイクロカプセル液
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作製したマイクロカプセル分散液 260g
水 240g
────────────────────────────────────────
(画像記録層の形成)
感光液とマイクロカプセル液を混合し攪拌することで、画像記録層の塗布液を調製した。
塗布液を調製後直ちに、実施例1〜7で作製した親水性基板上にバー塗布した。塗布層を100℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/mの画像記録層を形成した。
(無機粒子分散液の調製)
イオン交換水193.6gに、合成雲母(ソマシフME−100、コープケミカル社製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法で測定)が3μmになるまで分散した。得られた分散無機粒子のアスペクト比は100以上であった。
(機上現像型平版印刷用原版の作製)
組成の保護層塗布を画像記録層上にバー塗布し、120℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/mの保護層を形成した。
このようにして、機上現像型平版印刷用原版を作製した。
────────────────────────────────────────
保護層塗布液
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無機粒子分散液(1) 150g
ポリビニルアルコール(PVA105、(株)クラレ製、ケン化度:98.5モル%、重合度:500) 6g
ポリビニルピロリドン(K30、東京化成工業(株)製、質量平均分子量:4万)
1g
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(LUVITEC VA64W、ICP社製、共重合比=6/4) 1g
ノニオン系界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)1g
イオン交換水 600g
────────────────────────────────────────
(印刷評価)
得られた平版印刷用原版を水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像には細線チャートを含むようにした。得られた露光済み原版を現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。湿し水(EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業社製)とを用い、湿し水とインクを供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を1000枚行った。
画像記録層の未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、印刷用紙にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として計測したところ、いずれの平版印刷用原版を用いた場合も、1000枚まで非画像部の汚れのない印刷物が得られた。
[実施例9]
(非現像型平版印刷用原版の作製)
実施例5〜8で作製したマイクロカプセル(1)を、実施例1の親水性層塗布液(1)に全固形分質量に対して固形分量として50質量%添加した。調製した塗布液を実施例1と同様に下塗り層の上に塗布、乾燥して、親水性画像記録層を形成した。このようにして、非現像型平版印刷用原版を作製した。
(印刷評価)
得られた平版印刷用原版を、実施例5〜8と同様にして画像露光を行った後、何ら処理することなく印刷機に取り付け、湿し水とインクを供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を1000枚行った。1000枚まで非画像部の汚れのない印刷物が得られた。
[実施例10〜13]
(樹脂粒子の製造)
ポリ(ドデシルメタクリレート)14g、酢酸ビニル100g、オクタデシルメタクリレート4.0gおよびアイソパーHを286gの混合溶液を、窒素気流下攪拌しながら温度70℃に加温した。重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソバレロニトリル)1.5g加え、4時間反応した。さらに、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.8gを加えた後、温度80℃に加温して2時間反応し、続けて2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.6g加えて2時間反応した。その後、温度を100℃に上げそのまま1時間攪拌し未反応のモノマーを留去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通して得られた白色分散物は重合率93%で平均粒径0.35μmのラテックスであった。粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製)で測定した。
(油性インクの作製)
ドデシルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合比:98/2質量比)10g、アルカリブルー10gおよびシェルゾール71、30gをガラスビーズとともにペイントシェーカー(東洋精機(株)製)に入れ、4時間分散し、アルカリブルーの微小な青色分散物を得た。
上記の樹脂粒子50g(固形分量として)、上記の青色分散物5g(固形分量)および、ナフテン酸ジルコニウム0.06gをアイソパーGの1リットルに希釈することにより青色油性インクを作製した。
(インクジェットによる平版印刷用原版の作製)
パソコン出力により描画できるグラフテック社製サーボ・プロターDA8400を改造し、ペン・プロッター部にインク吐出ヘッドを装着し、1.5mmの間隔をおいた対向電極上に、実施例1〜4で作製した親水性基板を設置した。親水性基板上に、作製した油性インクを用いて印字を行ない製版した。製版に際しては、印刷用支持体のアルミ裏層と対向電極を、銀ペーストを用いて電気的に接続した。
製版された版を、版面温度が70℃となる様に調整したリコーフュザー(リコー(株)製)で10秒間加熱しインク画像を定着した。得られた製版物の描画画像を光学顕微鏡により、200倍の倍率で観察して評価した。いずれも、細線・細文字等の滲みや欠落のない鮮明な画像であった。
(印刷評価)
得られた平版印刷用原版を、実施例5〜8と同様に印刷評価を行ったところ、1000枚まで非画像部の汚れのない印刷物が得られた。

Claims (11)

  1. 親水性ポリマーが結合している粒子を含む親水性層と支持体からなる親水性基板であって、親水性ポリマーが片末端で粒子に結合しており、粒子が互いに化学結合していることを特徴とする親水性基板。
  2. 粒子が疎水性ポリマーからなり、親水性ポリマーの片末端と疎水性ポリマーとが化学結合している請求項1に記載の親水性基板。
  3. 粒子が、親水性ポリマーを介さずに、化学結合している請求項2に記載の親水性基板。
  4. 粒子が無機粒子であり、親水性ポリマーの片末端と無機粒子とが化学結合している請求項1に記載の親水性基板。
  5. 親水性ポリマーが結合している粒子および熱エネルギーの付与により作用する親水性−疎水性変換剤を含む親水性層と支持体とを有する平版印刷用原版であって、親水性ポリマーが片末端で粒子に結合しており、粒子が互いに化学結合していることを特徴とする平版印刷用原版。
  6. 粒子が疎水性ポリマーからなり、親水性ポリマーの片末端と疎水性ポリマーとが化学結合している請求項5に記載の平版印刷用原版。
  7. 粒子が、親水性ポリマーを介さずに、化学結合している請求項6に記載の平版印刷用原版。
  8. 粒子が無機粒子であり、親水性ポリマーの片末端と無機粒子とが化学結合している請求項5に記載の平版印刷用原版。
  9. 親水性ポリマーが結合している粒子を含み、親水性ポリマーが片末端で粒子に結合しており、粒子が互いに化学結合している親水性層と支持体からなる親水性基板と親水性層上に設けられている画像記録層からなる平版印刷原版から、画像記録層の一部領域を画像に対応して除去し、露出した親水性層からなる親水性領域と残存する画像記録層からなる疎水性領域とを有する平版印刷版を製版する工程;そして、平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給して印刷する工程からなる平版印刷方法。
  10. 親水性ポリマーが結合している粒子を含み、親水性ポリマーが片末端で粒子に結合しており、粒子が互いに化学結合している親水性層と支持体からなる親水性基板の上に、画像に対応して疎水性物質を付着させ、親水性層表面からなる親水性領域と疎水性物質が付着した疎水性領域とを有する平版印刷版を製版する工程;平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給して印刷する工程からなる平版印刷方法。
  11. 親水性ポリマーが結合している粒子および熱エネルギーの付与により作用する親水性−疎水性変換剤を含み、親水性ポリマーが片末端で粒子に結合しており、粒子が互いに化学結合している親水性画像記録層と支持体とを有する平版印刷用原版を画像に対応して加熱し、親水性画像記録層の一部領域を疎水性領域に変換して、画像記録層の表面に親水性領域と疎水性領域とを有する平版印刷版を製版する工程;平版印刷版に湿し水と油性インクとを供給して印刷する工程からなる平版印刷方法。
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